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特開2024-116111エネルギー管理システムおよびその動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116111
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】エネルギー管理システムおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20240820BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240820BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 120
H02J3/32
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061973
(22)【出願日】2024-04-08
(31)【優先権主張番号】10-2023-0019855
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523340797
【氏名又は名称】イーエヌ テクノロジーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】EN Technologies Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒュン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ナム ソウン シグ
(72)【発明者】
【氏名】リー タイ シーク
(72)【発明者】
【氏名】ユン セオン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン へー セ
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA04
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】線路増設投資コストを削減するエネルギー管理システム及びその動作方法を提供する。
【解決手段】エネルギー管理システムは、第1地域500に位置する第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量、第2地域503に位置する第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量及び第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信する受信機と、受信した電力量情報に基づいて各エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定する制御器と、を含み、第1新再生可能エネルギー発電所の電力を第1線路506を介して第1変電所に供給し、第2新再生可能エネルギー発電所の電力を第2線路507を介して第2変電所に供給し、第1、第2変電所で生産した電力を、統合線路510を介してユーザ511に供給する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地域に位置する第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量と前記第1地域に位置し、前記第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する第1電力量情報、および第2地域に位置する第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量と前記第2地域に位置し、前記第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する第2電力量情報を含む電力量情報を受信する受信機と、
前記受信された電力量情報に基づいて、前記第1エネルギー貯蔵装置と前記第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードおよびと前記動作モードによる充電量または放電量を設定する分配基準を決定する制御器と、を含み、
前記第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第1線路を介して第1変電所に供給され、前記第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第2線路を介して第2変電所に供給され、前記第1変電所および前記第2変電所で生産された電力は、統合線路を介してユーザに供給され、
前記統合線路の基準容量は、前記第1線路の基準容量および前記第2線路の基準容量の和に等しく、前記統合線路を介してユーザに供給される電力量は、前記統合線路の基準容量よりも小さく、
前記分配基準に従った前記動作モードで動作することにより、前記第1線路を介して供給される第1電力量が前記第1線路の基準容量を超えるか、前記第2線路を介して供給される第2電力量が前記第2線路の基準容量を超えると予測されれば、
前記制御器は、
前記電力量情報および線路の基準容量情報に基づいて、前記線路を介して供給される電力量が前記線路の基準容量を超えずに、前記統合線路を介して前記第1電力量と前記第2電力量との和に対応するユーザ供給電力量を供給するように、前記分配基準を修正するエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記動作モードは、
前記第1エネルギー貯蔵装置の充電を示す第1充電モード、前記第1エネルギー貯蔵装置の放電を示す第1放電モード、前記第2エネルギー貯蔵装置の充電を示す第2充電モード、または前記第2エネルギー貯蔵装置の放電を示す第2放電モードのうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記動作モードが前記第1充電モードおよび前記第2充電モードを含む場合、
前記第1充電モードによる充電量および前記第2充電モードによる充電量は、前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量および前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた貯蔵電力量に基づいて決定される請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記第1充電モードによる充電量に対する前記第2充電モードによる充電量の割合は、
前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量の割合と同じである請求項3に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記動作モードが前記第1放電モードおよび前記第2放電モードを含む場合、
前記第1放電モードによる放電量および前記第2放電モードによる放電量は、前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量および前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に基づいて決定される請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記第1放電モードによる放電量に対する前記第2放電モードによる放電量の割合は、
前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量の割合と同じである請求項5に記載のエネルギー管理システム。
【請求項7】
前記動作モードが前記第1充電モードおよび前記第2放電モードを含むか、または前記第1放電モードおよび前記第2充電モードを含む場合、
前記第1線路を介して前記第1変電所に供給される電力量に対する前記第2線路を介して前記第2変電所に供給される電力量に対する割合は、
前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量の割合と同じである請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項8】
前記受信機は、
スキャダ(Supervisory Control And Data Acquisition、SCADA)システムに基づいて前記電力量情報を受信する請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項9】
第1地域に位置する第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量と前記第1地域に位置し、前記第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する第1電力量情報と、第2位置に位置する第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量と前記第2位置に位置し、前記第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する第2電力量情報と、を含む電力量情報を受信するステップと、
前記受信された電力量情報に基づいて、前記第1エネルギー貯蔵装置および前記第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードおよび前記動作モードによる充電量または放電量を設定する分配基準を決定するステップと、を含み、
前記第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第1線路を介して第1変電所に供給され、前記第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第2線路を介して第2変電所に供給され、前記第1変電所および前記第2変電所で生産された電力は、統合線路を介してユーザに供給され、
前記統合線路の基準容量は、前記第1線路の基準容量および前記第2線路の基準容量の和に等しく、前記統合線路を介して前記ユーザに供給される電力量は、前記統合線路の基準容量よりも小さく、
前記分配基準に従った前記動作モードで動作することにより、前記第1線路を介して供給される第1電力量が前記第1線路の基準容量を超えるか、前記第2線路を介して供給される第2電力量が前記第2線路の基準容量を超えると予測されれば、
前記制御器は、
前記電力量情報および線路の基準容量情報に基づいて、前記線路を介して供給される電力量が前記線路の基準容量を超えずに、前記統合線路を介して前記第1電力量と前記第2電力量との和に対応するユーザ供給電力量を供給するように、前記分配基準を修正するエネルギー管理システムの動作方法。
【請求項10】
前記動作モードは、
前記第1エネルギー貯蔵装置の充電を示す第1充電モード、前記第1エネルギー貯蔵装置の放電を示す第1放電モード、前記第2エネルギー貯蔵装置の充電を示す第2充電モード、または前記第2エネルギー貯蔵装置の放電を示す第2放電モードのうちの少なくとも1つを含む請求項9に記載のエネルギー管理システムの動作方法。
【請求項11】
前記動作モードが前記第1充電モードおよび前記第2放電モードを含むか、または前記第1放電モードおよび前記第2充電モードを含む場合、
前記第1線路を介して前記第1変電所に供給される電力量に対する前記第2線路を介して前記第2変電所に供給される電力量に対する割合は、
前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量の割合と同じである請求項10に記載のエネルギー管理システムの動作方法。
【請求項12】
第1地域に位置する第1新再生可能エネルギー発電所と、
第2地域に位置する第2新再生可能エネルギー発電所と、
前記第1地域に位置し、前記第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置と、
前記第2地域に位置し、前記第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置と、
前記第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を第1変電所に供給する第1線路と、
前記第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を第2変電所に供給する第2線路と、
前記第1変電所および前記第2変電所で生産された電力をユーザに供給する統合線路(前記統合線路の基準容量は、前記第1線路の基準容量および前記第2線路の基準容量の和に等しく、前記統合線路を介して前記ユーザに供給される電力量は、前記統合線路の基準容量よりも小さい)と、
前記第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量と前記第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する第1電力量情報、および第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量と前記第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量に対する第2電力量情報を含む電力量情報を受信し、前記受信された電力量情報に基づいて、前記第1エネルギー貯蔵装置および前記第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードおよび前記動作モードによる充電量または放電量を設定する分配基準を決定するエネルギー管理システムと、を含み、
前記分配基準に従った前記動作モードで動作することにより、前記第1線路を介して供給される第1電力量が前記第1線路の基準容量を超えるか、前記第2線路を介して供給される前記第2電力量が前記第2線路の基準容量を超えると予測されれば、
前記エネルギー管理システムは、
前記電力量情報および線路の基準容量情報に基づいて、前記線路を介して供給される電力量が前記線路の基準容量を超えずに、前記統合線路を介して前記第1電力量と前記第2電力量との和に対応するユーザ供給電力量を供給するように、前記分配基準を修正する電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統とは、発電所、変電所、送配電線および負荷が一体となって電力の発生および利用が行われるシステムを意味する。発電所は、電気を生産して送電端変電所に電気を送電する。送電端変電所は、電気を配電端変電所に送電する。配電端変電所は、最終消費先に電気を分けて配電する。一方、最近二酸化炭素排出なしで電力発電が可能な新再生可能エネルギーについての関心が多く、新再生可能エネルギー発電所の増設が避けられない状況である。新再生可能エネルギー発電所が増設されるにつれて、既存の設備を効率的に使用しながら電力を安定して供給できる技術が求められている。
【0003】
一般に、統合線路(1つまたは複数の発電所に接続された変電所から電力の供給を受けて電力ユーザに伝達する線路)を介してユーザに供給されなければならない電力量は、統合線路の基準容量と同じであり得る。ただし、統合線路の基準容量よりも少ない電力量を統合線路を介してユーザに供給しなければならない場合があり得る。例えば、ユーザ側または統合線路側に安全問題が発生した場合、発電所および変電所で生産する電力量が著しく少ない場合などに統合線路を介して連続送電しなければならない最大電力は、統合線路の基準容量よりも少ないことがある。したがって、この場合でも、統合線路の基準容量よりも少ない電力量は、一定に統合線路を介して供給できるシステムが必要となる。
【0004】
また、一般的なエネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)は、新再生可能エネルギー発電所の発電量および発電所に接続された線路の基準容量に基づいて電力の充電または放電を行い得る。ただし、従来のESS充/放電方式のみでは、前述した統合線路を介して供給しなければならない電力量が統合線路の基準容量よりも少ない場合、統合線路を介して供給しなければならない電力量を供給できないこともあり得る。例えば、従来のESS充/放電方式のみでは、統合線路の基準容量と同じ電力量のみを統合線路を介して供給し得る。したがって、このような場合にも、発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を決定するシステムが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、エネルギー貯蔵システムの充電動作または放電動作を制御することによって、線路の利用率を改善するためのものである。
【0006】
本発明の実施形態は、統合線路を介して供給しなければならない電力量が統合線路の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理するためのものである。
【0007】
本発明の実施形態は、電力系統の発電所、変電所および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて異なる領域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によるエネルギー管理システムは、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、および第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信する受信機と、受信された電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置および第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードを決定する制御器と、を含み、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第1線路を介して第1変電所に供給され、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第2線路を介して第2変電所に供給され、第1変電所および第2変電所で生産された電力は、統合線路を介してユーザに供給され、統合線路の基準容量は、第1線路の基準容量および第2線路の基準容量の和に等しく、統合線路を介してユーザに供給される電力量は、統合線路の基準容量より小さいことがある。
【0009】
一実施形態によるエネルギー管理システムの動作方法は、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、および第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信するステップと、受信された電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置および第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードを決定するステップと、を含み、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第1線路を介して第1変電所に供給され、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力は、第2線路を介して第2変電所に供給され、第1変電所および第2変電所で生産された電力は、統合線路を介してユーザに供給され、統合線路の基準容量は、第1線路の基準容量および第2線路の基準容量の和に等しく、統合線路を介してユーザに供給される電力量は、統合線路の基準容量より小さいことがある。
【0010】
一実施形態による電力系統は、第1新再生可能エネルギー発電所、第2新再生可能エネルギー発電所、第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置と、第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置と、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を第1変電所に供給する第1線路と、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を第2変電所に供給する第2線路と、第1変電所および第2変電所で生産された電力をユーザに供給する統合線路と、統合線路の基準容量は、第1線路の基準容量および第2線路の基準容量の和に等しく、統合線路を介してユーザに供給される電力量は、統合線路の基準容量よりも小さく、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、および第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信し、受信された電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置および第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードを決定するエネルギー管理システムを含み得る。
【発明の効果】
【0011】
開示される実施形態によると、新再生可能エネルギー発電所が増設されても、エネルギー貯蔵システムを用いた線路の負荷調整により線路の増設なしに線路を運営することができ、線路増設投資コストを削減することができる。
【0012】
開示される実施形態によると、統合線路を介して供給しなければならない電力量が統合線路の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理することができる。
【0013】
開示される実施形態によると、電力系統の発電所、変電所および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、以下の詳細な説明とそれに付随する図面との結合で簡単に理解することができ、参照番号(Reference Numerals)は、構造的構成要素(Structural Elements)を意味する。
【0015】
図1】一実施形態による新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を電力系統に供給するための線路の電力容量を制御する電力システムを示す。
【0016】
図2】一実施形態によるエネルギー貯蔵システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
図3】一実施形態による電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
図4】一実施形態による新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量に応じたエネルギー貯蔵システムの動作を説明するためのグラフである。
【0019】
図5】一実施形態による複数の新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を複数の変電所を介して電力系統に供給するための統合線路の電力容量を制御する電力システムを示す。
【0020】
図6】一実施形態によるエネルギー管理システムの動作の一例を示す。
【0021】
図7】一実施形態によるエネルギー管理システムの動作の一例を説明するためのグラフである。
【0022】
図8】一実施形態によるエネルギー管理システム構造の一例である。
【0023】
図9】一実施形態によるエネルギー管理システムの動作方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して様々な実施形態を詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、様々な異なる形態に変形されて実施され得る。実施形態の特徴をより明確に説明するために、以下の実施形態が属する技術分野における通常の知識を有する者に広く知られている事項についての詳細な説明は省略する。
【0025】
一方、本明細書においてある構成が他の構成と「連結」されているとする場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、「その中間に他の構成を挟んで連結」されている場合も含む。また、ある構成が他の構成を「含む」と言う場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成を除外するものではなく、他の構成をさらに含み得ることを意味する。
【0026】
なお、本明細書で使用される「第1」または「第2」などの序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるべきではない。この用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0027】
本明細書全体において、「新再生可能エネルギー」とは、新エネルギーと再生可能エネルギーとを組み合わせたことを意味する。「新エネルギー」とは、従来の化石燃料を変換して用いたり、水素、酸素などの化学反応を介して電気または熱を用いたりするエネルギーを意味する。例えば、新エネルギーの種類には、水素エネルギー、燃料電池、石炭液化ガスなどがあり得る。「再生可能エネルギー」とは、太陽光、水、地熱、降水、生物有機体などを含む再生可能エネルギーを変換して用いるエネルギーを意味する。例えば、再生可能エネルギーの種類には、太陽光、太陽熱、風力、水力、海洋エネルギー、地熱、バイオエネルギー、廃棄物エネルギーなどがあり得る。
【0028】
本明細書全体において、「新再生可能エネルギー発電所」とは、新再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を発生させる場所を意味する。
【0029】
本明細書全体において、「エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System)」とは、超過する電力を蓄えて不足したときに使用するか、または必要な場所に伝達する方式を意味する。エネルギー貯蔵システムは、発電所から供給される電力の一部を充電し、電力が不足したときに充電された電力を放電することができる。
【0030】
本明細書全体において、「線路」とは、新再生可能エネルギー発電所およびエネルギー貯蔵システムと連結され、新再生可能エネルギー発電所またはエネルギー貯蔵システムから伝達された電力を負荷に供給する通路を意味する。例えば、線路は、新再生可能エネルギー発電所および/またはエネルギー貯蔵システムから伝達された電力を変電所に供給する。
【0031】
線路の「基準容量」とは、線路を介して送電できる電力量を意味する。線路の基準容量は、線路の最大送電容量であってもよいし、予め設定された送電容量であってもよい。すなわち、線路の基準容量と線路を介して実際に伝達(または供給)される電力量は、異なる値を有し得る。例えば、線路を介して実際に供給される電力量は、線路の基準容量よりも小さい。
【0032】
図1は、一実施形態による新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力を電力系統に供給するための線路300の電力容量を制御する電力システムを示す。
【0033】
図1を参照すると、電力システムは、新再生可能エネルギー発電所100、エネルギー貯蔵システム200、線路300、および負荷400で構成される。例えば、負荷400は、変電所、配電線路、産業団地、都心負荷などであり得る。
【0034】
一実施形態による新再生可能エネルギー発電所100は、前述した新再生可能エネルギーを電気エネルギーを変換して電力を発生させる発電所(Electric Power Station)であり得る。すなわち、新再生可能エネルギー発電所は、新再生可能エネルギーの流れを力学的エネルギーに変えた後、電磁誘導現象を使用して電力に変換させることができる。
【0035】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100は、太陽光発電所、風力発電所、潮力発電所、波力発電所、燃料電池発電所、および/またはバイオ発電所などであり得、前記の例に限定されない。
【0036】
一実施形態による変電所(Substation)は、発電所から生産された電力を線路を介して供給を受け、ユーザ(または需要者)に供給する過程で電圧および/または電流の性質を変えるための施設であり得る。例えば、変電所は、生成された電圧を上昇させる昇圧変電所、生成された電圧を下げる降圧変電所などを示す。
【0037】
一実施形態による変電所は、発電所から最初に電力の供給を受けて電圧を調整する1次変電所(Primary Substation)および/または電力のユーザに供給する前の電力を降圧する2次変電所(Secondary Substation)を含み得る。
【0038】
一実施形態によるエネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力の全部または一部をエネルギー貯蔵装置250に充電するか、線路300または負荷400の状態に応じてエネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。例えば、線路300では、基準容量だけの電力を送電できると仮定する。新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力が基準容量を超えると、超過する電力を蓄える貯蔵空間または超過する電力を収容するための追加線路が必要になる。エネルギー貯蔵システム200は、追加線路を設置しなくても、超過する電力を蓄えて電力が必要な場合に供給し得る。
【0039】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力が線路300の基準容量を超える場合、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力に対して線路300の基準容量を超過する電力分だけ充電することができる。超過電力をエネルギー貯蔵システム200に充電することによって、線路300の容量を基準容量だけ維持することができる。
【0040】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力が線路300の基準容量を超えない場合、線路300は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力以外の電力を追加的に収容できる。この場合、エネルギー貯蔵システム200は、充電された電力の全部または一部を線路300に放電することができる。
【0041】
すなわち、エネルギー貯蔵システム200は、線路300に流れる電力容量が基準容量分となるようにエネルギー貯蔵システム200の動作を制御できる。
【0042】
この図で説明するエネルギー貯蔵システムにより、新再生可能エネルギー発電所100が追加増設されたとしても、発電所、送配電線および/または負荷を含む電力系統は、増設された新再生可能エネルギー発電所100のための線路の追加の増設なしにシステムを稼働および安定化することができる。すなわち、電力系統は、この図で説明するエネルギー貯蔵システムを通じて線路増設によるコストを削減することができる。また、電力系統は、この図で説明するエネルギー貯蔵システムを通じて新再生可能エネルギー発電所100の増設にも既存の設備をそのまま使用して電力系統の安定化を図ることができる。
【0043】
図2は、一実施形態によるエネルギー貯蔵システム200の構成を示すブロック図である。
【0044】
図2を参照すると、エネルギー貯蔵システム200は、遮断器およびMOF210、系統連系変圧器220、電力変換装置230、エネルギー貯蔵装置250、および/または電力管理装置240を含み得る。しかし、図示の構成要素のすべてが必須構成要素であるわけではない。図示の構成要素よりも多くの構成要素によってエネルギー貯蔵システム200を実施することができ、より少ない構成要素によってもエネルギー貯蔵システム200を実施することができる。以下、前述の構成要素について説明する。図2に示すエネルギー貯蔵システム200は、図1に示すエネルギー貯蔵システム200と同様に対応し得る。
【0045】
一実施形態による遮断器およびMOF210は、エネルギー貯蔵システム200の保護のために、エネルギー貯蔵システム200上に異常電圧、異常電流、異常周波数、異常温度が検知されるかをモニタリングし、異常発生時にエネルギー貯蔵システム200の運転を停止することができる。
【0046】
一実施形態による系統連系変圧器220は、電力系統側に電力を供給するために電圧の大きさを調整することができる。線路300の抵抗によって電力損失が発生するため、系統連系変圧器220は、電圧の大きさを増加させて電力を供給し得る。
【0047】
一実施形態によるエネルギー貯蔵装置250は、新再生可能エネルギー発電所100で生産されたエネルギーを蓄えることができる。例えば、エネルギー貯蔵装置250は、バッテリーおよびバッテリー管理モジュールを含み得る。バッテリーは、エネルギー貯蔵装置250の動作モードによって電力変換装置230を介して充電された電力を放電したり、電力を充電したりすることができる。バッテリー管理モジュールは、バッテリーの状態情報を管理することができる。
【0048】
一実施形態による電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングすることができる。電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100と連結された線路300の基準容量および電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを決定し得る。電力管理装置240は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードによって線路300に流れる電力容量を制御できる。
【0049】
一実施形態による電力変換装置230は、電力管理装置240からエネルギー貯蔵装置250の動作モードに対応する命令を受信し、命令によってエネルギー貯蔵装置250の動作を制御できる。
【0050】
例えば、電力管理装置240は、電力変換装置230から電力変換装置230の状態情報、運用情報、運転情報、および/または動作可能情報を取得し得る。電力変換装置230の状態情報は、運転状態、遮断器情報、ネットワークなどの情報であり得る。電力変換装置230の運用情報は、電圧、電流、電力、周波数、インバータなどの情報であり得る。電力変換装置230の運転情報は、運転モード、充電量、放電量、累積充電量、累積放電量などの情報であり得る。電力変換装置230の動作可能情報は、電力変換装置230の保護のための異常電圧、異常電流、異常周波数、異常温度などの情報であり得る。
【0051】
例えば、電力管理装置240は、バッテリー管理モジュールと通信を行うことによって、バッテリー遮断器の状態、温度、電圧、電流、電力、充電量、放電量、累積充電量、累積放電量などの情報およびバッテリー動作可能情報を取得し得る。
【0052】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えると、電力管理装置240は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し得る。電力管理装置240は、線路300の基準容量を超える電力量の超過電力がエネルギー貯蔵装置250に蓄えられるように制御する第1命令を電力変換装置230に伝達し得る。電力変換装置230は、第1命令によってエネルギー貯蔵装置250に超過電力を蓄えることができる。エネルギー貯蔵装置250は、直流に変換された直流電力を蓄えることができる。
【0053】
他の例として、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えない場合、電力管理装置240は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを放電モードに決定し得る。電力管理装置240は、線路300に流れる電力容量が基準容量分となるように、新再生可能エネルギー発電所100の電力量に基づいて、エネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電する第2命令を電力変換装置に伝達し得る。電力変換装置230は、第2命令によってエネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。
【0054】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100に加えて新規設置された新再生可能エネルギー発電所100がエネルギー貯蔵システム200および線路300に連結されると、電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100および新規設置された新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングした結果および線路300の基準容量に基づいて、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを決定し得る。すなわち、新再生可能エネルギー発電所100が追加設置されても、線路300の基準容量を超える電力については、エネルギー貯蔵装置250に充電されることによって、線路300の増設がなくても電力系統安定化に寄与することができる。
【0055】
例えば、電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力量についての履歴情報を取得し得る。電力管理装置240は、履歴情報、エネルギー貯蔵装置250の貯蔵容量および線路300の基準容量に基づいて、新規設置される新再生可能エネルギー発電所100の需要電力量を予測することができる。例えば、電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100で予め設定された時間中に生産された電力量の情報を取得し得る。電力管理装置240は、電力量の情報に基づいて、予め設定された期間中の平均電力量を算出することができる。電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100の平均電力量およびエネルギー貯蔵装置250の貯蔵容量および線路300の基準容量に基づいて需要電力量を予測することができる。
【0056】
例えば、電力管理装置240は、需要電力量に基づいて新規設置される新再生可能エネルギー発電所100のタイプおよびタイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成し得る。
【0057】
例えば、エネルギー貯蔵装置250は、バッテリーおよびバッテリー管理モジュールを含み得る。バッテリーは、新再生可能エネルギー発電所100の電力を電力変換装置230を介して交流から直流に変換された直流電力を蓄えることができる。例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えると、バッテリーは、直流変換装置を介して電力を蓄えることができる。また、バッテリーは、電力変換装置230を介して充電された電力を電力系統に放電することができる。例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えないか、または電力系統線路300の故障復旧時に、バッテリーは、充電された電力を電力系統に放電することができる。
【0058】
バッテリー管理モジュールは、バッテリーの運転状態、バッテリーの残存容量、バッテリーの耐久性、温度、電圧、電流、充電量、放電量などの状態情報を取得し得る。バッテリー管理モジュールは、バッテリーで異常状態が検出された場合に遮断器を遮断することができる。
【0059】
バッテリー管理モジュールは、電力管理装置240と通信を行うことによって、バッテリーの状態情報を電力管理装置240に提供し得る。電力管理装置240は、バッテリー管理モジュールから提供されたバッテリーの状態情報を用いてバッテリーを効率的に管理することができる。
【0060】
また、エネルギー貯蔵装置250は、電力変換装置230から異常発生時に直流電源を遮断する遮断器と、過電流発生時にバッテリーを保護するヒューズと、を含み得る。
【0061】
電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングすることによって、エネルギー貯蔵システム200の充電または放電の運営を効率的に制御できる。したがって、新再生可能エネルギー発電所100が新設されても、エネルギー貯蔵システム200によって線路300の負荷を調整することによって、線路300の増設なしに線路300を運営することができる。
【0062】
一方、スキャダ制御器450は、変電所410と通信を行うことによって、電流、電圧などの運営中の電力情報を取得し得る。また、スキャダ制御器450は、送電端変圧器の故障情報および送電線路300の故障情報を取得してモニタリングすることができる。電力管理装置240は、スキャダ制御器450と通信を行うことによって、電力系統の運営情報、送電端変圧器の故障情報および送電線路300の故障情報を取得し得る。
【0063】
図3は、一実施形態による電力変換装置230の構成を示すブロック図である。
【0064】
図3を参照すると、電力変換装置230は、制御器310、AC遮断器320、EMCフィルター330、ACフィルター340、インバータ350、DCリンク360、EMCフィルター370、DC遮断器380を含み得る。
【0065】
制御器310は、AC遮断器320、EMCフィルター330、ACフィルター340、インバータ350、DCリンク360、EMCフィルター370、およびDC遮断器380の動作を制御できる。
【0066】
AC遮断器320は、電力系統の異常発生時に電力系統側を遮断することができる。EMCフィルター330は、インバータで発生するノイズを低減することができる。ACフィルター340は、正弦波化のために高調波を低減することができる。インバータ350は、交流電力を直流電力に変換するように制御できる。DCリンク360は、変換された脈流を直流に平滑化することができる。EMCフィルター370は、直流側のノイズを低減することができる。DC遮断器380は、エネルギー貯蔵装置250の直流電源の異常発生時に直流電源を遮断することができる。
【0067】
図3に示す構成要素のすべてが必須構成要素であるわけではない。図3に示す構成要素よりも多くの構成要素によって電力変換装置230を実施することができ、それよりも少ない要素によっても電力変換装置230を実施することができる。図3に示す電力変換装置230は、図2に示す電力変換装置230と同様に対応し得る。電力変換装置230の構成要素の動作により、以下の動作を行い得る。
【0068】
電力変換装置230は、電力管理装置240からエネルギー貯蔵装置250の動作モードに対応する命令を受信し、命令に応じて新再生可能エネルギー発電所100の電力をエネルギー貯蔵装置250に充電するか、またはエネルギー貯蔵装置250に蓄えられた電力を放電するようにエネルギー貯蔵装置250の動作を制御できる。
【0069】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えると、電力変換装置230は、電力管理装置240と通信を行うことによって、充電モードに対応する命令を受信し、エネルギー貯蔵装置250に新再生可能エネルギー発電所100の電力を充電することができる。
【0070】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えない場合、電力変換装置230は、電力管理装置240と通信を行うことによって、放電モードに対応する命令を受信し、エネルギー貯蔵装置250に蓄えられた電力を線路300を介して電力系統に放電することができる。
【0071】
例えば、電力変換装置230は、電力変換装置230の状態情報、運用情報、運転情報、動作可能情報を電力管理装置240に提供することによって、エネルギー貯蔵システム200が効率的に運転されるようにすることができる。
【0072】
例えば、電力変換装置230は、エネルギー貯蔵システム200で異常電圧、異常電流、異常周波数、異常温度などが検知されたかをモニタリングし、異常状態が検知されると、エネルギー貯蔵システム200の運転を停止することができる。
【0073】
図4は、一実施形態による新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力量に応じたエネルギー貯蔵システム200の動作を説明するためのグラフである。
【0074】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100は、太陽光発電所、第1風力発電所、第2風力発電所があると仮定する。また、線路300の基準容量は、80MWであると仮定する。また、第1風力発電所および第2風力発電所は、従来にあった新再生エネルギー発電所100であり、太陽光発電所は、新規に増設された新再生エネルギー発電所100であると仮定する。また、第1風力発電所および第2風力発電所間に合計された最大容量は、80MWであり、太陽光発電所の最大容量は、20MWであると仮定する。
【0075】
図4を参照すると、第1グラフ610は、太陽光発電所の電力量を示し、第2グラフ620は、第1風力発電所の電力量を示し、第3グラフ630は、第2風力発電所の電力量を示し、第4グラフ640は、太陽光発電所、第1風力発電所および第2風力発電所の全体の電力量を示し、第5グラフ650は、線路300の基準容量を示す。
【0076】
図4を参照すると、t0からt1までの区間601において、全体の電力量は、線路300の基準容量を超えない。t1からt2までの区間602において、全体の電力量は、線路300の基準容量を超える。t2からt3までの区間603において、全体の電力量は、線路300の基準容量を超えない。
【0077】
例えば、エネルギー貯蔵システム200は、全体の電力量が線路300の基準容量を超えない区間については、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを放電モードに決定し、エネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。すなわち、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力量が線路300の基準容量未満であれば、線路300に容量の余裕があるため、エネルギー貯蔵システム200は、充電された電力を線路300に放電することができる。この場合、各新再生可能エネルギー発電所100は、線路300を介して生産された電力を送電することができる。図4に示すように、エネルギー貯蔵システム200は、t0からt1までの区間601およびt2からt3までの区間603で放電スケジュールに応じてエネルギー貯蔵システム200の動作を制御できる。
【0078】
例えば、エネルギー貯蔵システム200は、全体の電力量が線路300の基準容量を超える区間については、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し、エネルギー貯蔵装置250に電力を充電することができる。この場合、エネルギー貯蔵システム200は、基準容量を超える超過電力分だけエネルギー貯蔵装置250に充電することができる。図4に示すように、エネルギー貯蔵システム200は、t1からt2までの区間602で充電スケジュールに応じてエネルギー貯蔵システム200の動作を制御できる。
【0079】
図5は、一実施形態による複数の新再生可能エネルギー発電所で生産された電力を複数の変電所を介して電力系統に供給するための統合線路の電力容量を制御する電力システムを示す。
【0080】
この図は、一実施形態による複数の新再生可能エネルギー発電所(例えば、第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504)に対応する複数の変電所(例えば、第1変電所508および第2変電所509)がある場合、電力系統の電力供給過程の一例を説明するための図である。
【0081】
一実施形態による電力系統の電力供給のために、電力系統は、第1新再生可能エネルギー発電所501、第1エネルギー貯蔵装置502、第2新再生可能エネルギー発電所504、第2エネルギー貯蔵装置505、第1線路506、第2線路507、第1変電所508、第2変電所509、統合線路510、および/または電力のユーザ511を含み得る。一実施形態による電力系統の電力供給のために、この図に示されていない1つまたは複数のモジュールをさらに使用できる。第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504についての説明は、図1図4で前述した新再生可能エネルギー発電所100についての説明と同じであり得る。第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505についての説明は、図1図4で前述したエネルギー貯蔵装置250についての説明と同じであり得る。第1変電所508および第2変電所509についての説明は、図1図4で前述した変電所についての説明と同じであり得る。第1線路506および第2線路507についての説明は、図1図4で前述した線路300についての説明と同じであり得る。
【0082】
一実施形態による第1新再生可能エネルギー発電所501および第1エネルギー貯蔵装置502は、第1地域500に位置し得る。また、第2新再生可能エネルギー発電所504および第2エネルギー貯蔵装置505は、第2地域503に位置し得る。第1地域500と第2地域503は、互いに異なる領域であり得る。すなわち、この図に示す電力系統は、複数の地域で生産された電力を電力のユーザに供給するシステムの一例を示す。
【0083】
一実施形態による統合線路510は、第1変電所508および第2変電所509で生産された(または変換された)電力をユーザ511に供給するための線路であり得る。すなわち、電力系統上、複数の発電所および/または変電所で電力が生産されたとしても、全体の電力は、単一の統合線路510を介して最終電力ユーザ511に供給され得る。統合線路510とユーザ511との間には、この図には示されていない1つまたは複数の設備(例えば、配電送電塔)をさらに含み得る。
【0084】
一実施形態による第1新再生可能エネルギー発電所501で生産された(または発電した)電力は、第1線路506を介して第1変電所508に供給され得る。 一実施形態による第2新再生可能エネルギー発電所504で生産された電力は、第2線路507を介して第2変電所509に供給され得る。一実施形態による第1変電所508および第2変電所509で生産された電力は、統合線路510を介してユーザ511に供給され得る。
【0085】
一実施形態による統合線路510の基準容量は、第1線路506の基準容量および第2線路507の基準容量の和に等しいことがある。線路の基準容量についての説明は、図1図4で前述したものと同じである。
【0086】
一般に、統合線路510を介してユーザに供給されなければならない電力量は、統合線路510の基準容量と同じであり得る。ただし、統合線路の基準容量よりも少ない電力量が統合線路510を介してユーザに供給されなければならない場合がある。例えば、ユーザ511側または統合線路510側に安全問題が発生した場合、発電所および変電所で生産する電力量が著しく少ない場合などに、統合線路を介して連続送電しなければならない最大電力は、統合線路510の基準容量よりも少ない可能性がある。したがって、この場合も、統合線路510の基準容量よりも少ない電力量は、一定に統合線路510を介して供給し得るシステムが必要である。
【0087】
また、図1図4で前述したように、一般的なエネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)は、対応する新再生可能エネルギー発電所の発電電力量および線路の基準容量に基づいて電力の充電または放電を行い得る。ただし、従来のESS充/放電方式のみでは、前述した統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合、統合線路510を介して供給しなければならない電力量を供給できないことがある。例えば、従来のESS充/放電方式のみでは、統合線路510の基準容量と同じ電力量のみを統合線路510を介して供給し得る。したがって、この場合も、発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を決定するシステムが必要である。
【0088】
図6は、一実施形態によるエネルギー管理システムの動作の一例を示す。
【0089】
この図は、一実施形態によるエネルギー管理システム700の動作の一例を説明する。この図で説明するエネルギー管理システム700は、図5で前述した問題を解決することができる。すなわち、一実施形態によるエネルギー管理システム700は、統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理することができる。また、一実施形態によるエネルギー管理システム700は、電力系統の発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定し得る。
【0090】
この図に示すように、エネルギー管理システム700は、図5で前述した電力系統に追加された形態であり得る。
【0091】
前述したように、エネルギー管理システム700は、統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合、電力系統を管理して統合線路510の基準容量よりも少ない電力量を統合線路510を介して供給し得る。具体的に、エネルギー管理システム700は、複数の地域に位置するエネルギー貯蔵装置との通信を通じて統合線路510に供給される電力量を管理することができる。例えば、エネルギー管理システム700は、複数の地域に位置する複数のエネルギー貯蔵装置のそれぞれに蓄えられた電力量に基づいて、各地域の発電所が対応する変電所に供給しなければならない電力量を決定する。
【0092】
エネルギー管理システム700は、第1新再生可能エネルギー発電所501で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所501のための第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所504で生産された電力量および第2新再生可能エネルギー発電所504のための第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信し得る。例えば、エネルギー管理システム700は、エネルギー貯蔵装置502、505に接続されたスキャダ制御器450との通信を通じて前述した電力量情報を受信し得る。
【0093】
エネルギー管理システム700は、受信された電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれのための動作モードを決定し得る。動作モードは、図1図4で前述した動作モードと同一または類似であり得る。例えば、この図で説明する動作モードは、図1図4で前述した動作モードと充電または放電モードを示す点で同じであるが、それぞれのモードによる充電量または放電量は、図1図4で前述したものと異なる。
【0094】
エネルギー管理システム700が決定する動作モードは、第1エネルギー貯蔵装置502の充電を示す第1充電モード、第1エネルギー貯蔵装置502の放電を示す第1放電モード、第2エネルギー貯蔵装置505の充電を示す第2充電モードまたは第2エネルギー貯蔵装置505の放電を示す第2放電モードのうちの少なくとも1つを含み得る。すなわち、エネルギー管理システム700が決定する動作モードは、2つまたはその以上のエネルギー貯蔵装置についての動作モードを示し得る。例えば、動作モードは、第1エネルギー貯蔵装置502についての充電モードおよび第2エネルギー貯蔵装置505についての放電モードを示す。
【0095】
第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505は、異なる量の電力を貯蔵していてもよい。したがって、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505に電力を充電または放電する場合、各エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を考慮すると、より効率的な充/放電を行い得る。ただし、図1図4で前述した従来のエネルギー貯蔵システムの充/放電方式は、エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を考慮しないことがある。
【0096】
前述のように、エネルギー管理システム700は、受信された電力量に基づいてエネルギー貯蔵装置のための動作モードを決定し得る。すなわち、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量および/または第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量に基づいて、エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードを決定し得る。例えば、第1エネルギー貯蔵装置502と第2エネルギー貯蔵装置505の両方が放電モードに決定された場合、エネルギー管理システム700は、蓄えられた電力量の割合に応じて第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれを放電させる。
【0097】
エネルギー管理システム700は、電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の各動作モードによる充電量または放電量を設定する第1分配基準を決定し得る。エネルギー管理システム700は、第1分配基準に従って、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の充電動作または放電動作を制御できる。
【0098】
一方、第1分配基準に従った動作モードで動作することにより、第1線路506を介して供給される第1電力量が第1線路506の基準容量を超えるか、第2線路507を介して供給される第2電力量が第2線路507の基準容量を超えると予測されれば、エネルギー管理システム700は、電力量情報および線路の基準容量情報に基づいて、第1電力量が第1線路506の基準容量を超えずに、第2電力量が第2線路507の基準容量を超えないように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の各動作モードに対する充電量または放電量を設定する第2分配基準を決定し得る。エネルギー管理システム700は、第2分配基準に従って、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の充電動作または放電動作を制御できる。第2分配基準は、新再生可能エネルギー発電所に生産された電力量およびエネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量だけでなく、線路の基準容量まで考慮することによって、エネルギー管理システム700は、統合線路510を介して電力が安定的に供給できるスケジュールを提供し得る。
【0099】
後述する表1~表3は、第1エネルギー貯蔵装置502に400[MW]の電力、第2エネルギー貯蔵装置505に600[MW]の電力が蓄えられており、統合線路510を介して供給しなければならない電力量(ユーザ供給電力量)が700[MW]、統合線路510の基準容量が1000[MW]、第1線路506の基準容量が500[MW]および第2線路507の基準容量が500[MW]の場合(以下、条件)、エネルギー管理システム700の動作を説明するための表である。
【0100】
【表1】
【0101】
表1に示すように、前述の条件下で第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504のそれぞれは、600[MW]の電力を生産することができる。したがって、図1図4で前述した動作モード決定方式と同様に、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれについて充電モードを決定し得る。ただし、前述したように、エネルギー管理システム700が決定した充電モードによる充電量は、図1図4で前述した充電モードによる充電量とは異なり得る。
【0102】
表1に示すように、ユーザ供給電力量は、700[MW]であるため、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505は、合計500[MW]の電力を充電しなければならない。エネルギー管理システム700は、充電しなければならない500[MW]の電力をエネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量の割合に基づいて第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれに分配することができる。
【0103】
例えば、前述の条件のように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量は、2:3であるため、エネルギー管理システム700は、当該割合の逆数で電力充電量を分配する。すなわち、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502に300[MW]、第2エネルギー貯蔵装置505に200[MW]の電力を蓄え、合計700[MW]の電力を統合線路510に供給する。
【0104】
すなわち、動作モードが第1充電モードおよび第2充電モードを含む場合、第1充電モードによる充電量および第2充電モードによる充電量は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた貯蔵電力量に基づいて決定され得る。例えば、第1充電モードによる充電量に対する第2充電モードによる充電量の割合は、第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量に対する第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量の割合と同じであり得る。
【0105】
【表2】
【0106】
表2に示すように、前述の条件下で第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504のそれぞれは、200[MW]、250[MW]の電力を生産することができる。したがって、図1図4で前述した動作モード決定方式と同様に、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれについて放電モードを決定し得る。ただし、前述したように、エネルギー管理システム700が決定した放電モードによる放電量は、図1図4で前述した放電モードによる放電量とは異なり得る。
【0107】
表2に示すように、ユーザ供給電力量は、700[MW]であるため、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505は、合計250[MW]の電力を放電しなければならない。エネルギー管理システム700は、放電しなければならない250[MW]の電力をエネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量の割合に基づいて第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれに分配することができる。
【0108】
例えば、前述の条件のように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量は、2:3であるため、エネルギー管理システム700は、当該割合で電力放電量を分配する。すなわち、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502で100[MW]、第2エネルギー貯蔵装置505で150[MW]の電力を放電し、合計700[MW]の電力を統合線路510に供給する。
【0109】
すなわち、動作モードが第1放電モードおよび第2放電モードを含む場合、第1放電モードによる放電量および第2放電モードによる放電量は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量に基づいて決定され得る。例えば、第1放電モードによる放電量に対する第2放電モードによる放電量の割合は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量に対する第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量の割合と同じであり得る。
【0110】
【表3】
【0111】
表3に示すように、前述の条件下で第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504のそれぞれは、550[MW]、50[MW]の電力を生産することができる。したがって、図1図4で前述した動作モード決定方式と同様に、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502について充電モード、第2エネルギー貯蔵装置505について放電モードを決定し得る。ただし、前述したように、エネルギー管理システム700が決定した充電/放電モードによる充電/放電量は、図1図4で前述した充電/放電モードによる充電/放電量とは異なり得る。
【0112】
表3に示すように、ユーザ供給電力量は、700[MW]であるため、第1エネルギー貯蔵装置502の充電量および第2エネルギー貯蔵装置505の放電量の合計は、100[MW]であり得る。この場合、エネルギー貯蔵装置は、第1線路506を介して第1変電所508に供給される電力量および第2線路507を介して第2変電所509に供給される電力量の割合を第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれに蓄えられた電力量の割合で設定できる。
【0113】
例えば、前述の条件のように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量は、2:3であるため、エネルギー管理システム700は、当該割合で第1線路506を介して第1変電所508に供給される電力量および第2線路507を介して第2変電所509に供給される電力量が設定されるように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれについての充電量または放電量を決定する。すなわち、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502に250[MW]の電力を充電し、第2エネルギー貯蔵装置505で150[MW]の電力を放電し、合計700[MW]の電力を統合線路510に供給する。
【0114】
前述したように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505について決定された動作モードが互いに異なる場合、表1~表2で説明した方式とは異なる方式で充電量または放電量が決定され得る。
【0115】
すなわち、動作モードは、第1充電モードおよび第2放電モードを含むか、または第1放電モードおよび第2充電モードを含み得る。この場合、第1線路506を介して第1変電所508に供給される電力量に対する第2線路507を介して前記第2変電所509に供給される電力量に対する割合は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量に対する第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量の割合と同じであり得る。
【0116】
【表4】
【0117】
表4は、表1~表3に適用された条件とは異なり、第1エネルギー貯蔵装置502に50[MW]の電力、第2エネルギー貯蔵装置505に450[MW]の電力が蓄えられている場合を説明するための表である。その他の条件は、前述した表1~表3に適用された条件と同じである。
【0118】
表3に示すように、前述の条件下で第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504のそれぞれは、600[MW]の電力を生産することができる。また、表1で前述したように、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量の割合が1:9であるため、エネルギー管理システム700は、第1エネルギー貯蔵装置502に450[MW]の電力を充電し、第2エネルギー貯蔵装置505に50[MW]の電力を充電することができる。
【0119】
ただし、表1で前述した方法をそのまま適用する場合、第2線路507を介して供給される電力量(550[MW])が第2線路507の基準容量(500[MW])よりも大きくなることがある。この場合、エネルギー管理システム700は、充電量分配方式を修正できる。
【0120】
例えば、エネルギー管理システム700は、表1~表3で前述した分配方式で分配した結果、特定線路を介して供給しなければならない電力量が当該線路の基準容量を超える場合、超過した電力量は、当該線路に対応するエネルギー貯蔵装置にさらに蓄えられる。
【0121】
例えば、表4に示すように、エネルギー管理システム700が表1に前述した分配方式で分配した結果、第2線路507を介して供給しなければならない電力量が第2線路507の基準容量よりも50[MW]の電力分を超えるため、超過分の50[MW]の電力を第2線路507に対応する第2エネルギー貯蔵装置505にさらに蓄えられる。
【0122】
また、エネルギー管理システム700は、表1~表4で前述した方法ではなく、図1図4で前述した方法によって統合線路510を介して供給される電力量を管理することができる。この場合、統合線路510を介して供給されなければならない電力量は、統合線路510の基準容量と同じであり得る。すなわち、エネルギー管理システム700は、図1図4で前述した方法による第1線路506および第2線路507を介して供給される電力量を一定に維持(例えば、線路のそれぞれの基準容量で維持)して統合線路510を介して供給される電力量を一定に維持(例えば、統合線路510の基準容量で維持)できる。エネルギー管理システム700が第1線路506および/または第2線路507に対して供給される電力量を一定に維持させる方法は、図1図4で前述したエネルギー貯蔵システム200が線路300に対して供給される電力量を一定に維持させる方法と同一または類似である。
【0123】
一実施形態によるエネルギー管理システム700は、この図に記載された方法によって複数の変電所に接続された統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理することができる。特に、エネルギー管理システム700は、電力系統の発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定し得る。
【0124】
図7は、一実施形態によるエネルギー管理システムの動作の一例を説明するためのグラフである。
【0125】
この図は、一実施形態によるエネルギー管理システム700の動作(図5図6で前述した動作)の一例をグラフで示す図である。
【0126】
この図に示すように、統合線路510を介して供給されなければならない電力量702は、一定の値(例えば、1000[MW])を有し得る。また、図5図6で前述したように、統合線路510の基準容量は、統合線路510を介して供給されなければならない電力量よりも大きいことがある。
【0127】
複数の発電所によって生産された電力量701は、第1新再生可能エネルギー発電所501で生産された電力量703、第2新再生可能エネルギー発電所504で生産された電力量704、および/または新規として追加された新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量705の総和であり得る。新規に追加された新再生可能エネルギー発電所は、第1新再生可能エネルギー発電所501および第2新再生可能エネルギー発電所504以外の第1地域500および/または第2地域503に新たに新設された新再生可能エネルギー発電所を示すことができる。すなわち、複数の発電所によって生産された電力量701は、従来の発電所による電力量および/または新たに追加される発電所による電力量の両方を含み得る。
【0128】
例えば、エネルギー管理システム700は、複数の発電所によって生産された電力量701が統合線路510を介して供給されなければならない電力量702よりも小さい場合(t0からt1までの区間およびt2からt3までの区間)、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505について放電モードを決定し得る。エネルギー管理装置が決定した放電モードによる放電量を算出する方式は、図6で前述した方式と同様であり得る。
【0129】
例えば、エネルギー管理システム700は、複数の発電所によって生産された電力量701が統合線路510を介して供給されなければならない電力量702よりも大きい場合(t1からt2までの区間)、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505について充電モードを決定し得る。エネルギー管理装置が決定した充電モードによる充電量を算出する方式は、図6で前述した方式と同様であり得る。
【0130】
一実施形態によるエネルギー管理システム700は、この図に記載された方法によって複数の変電所に接続された統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理することができる。特に、エネルギー管理システム700は、電力系統の発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定し得る。
【0131】
図8は、一実施形態によるエネルギー管理システム構造の一例である。
【0132】
この図は、一実施形態によるエネルギー管理システム700の構造の一例を示すブロック図である。エネルギー管理システム700は、受信機800、制御器801、管理者用HMI802、データ格納装置803、オペレータ用HMI804、および/またはSCADAモジュール805を含み得る。エネルギー管理システム700は、この図には示されていない1つまたは複数のモジュールをさらに含み得る。
【0133】
一実施形態による受信機800は、第1新再生可能エネルギー発電所501で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所501のための第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所504で生産された電力量および第2新再生可能エネルギー発電所504のための第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信し得る。電力量情報についての具体的な説明は、図5図7で前述したものと同じである。
【0134】
一実施形態による制御器801は、受信された電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505のそれぞれのための動作モードを決定し得る。受信された電力量情報に基づいて動作モードを決定する方法についての具体的な説明は、図5図7で前述したものと同じである。
【0135】
一実施形態によるデータ格納装置803は、受信された電力量情報を蓄えられる。したがって、制御器801は、データ格納装置803に蓄えられた電力量情報に基づいて動作モードを決定し得る。
【0136】
一実施形態による管理者用HMI(Human Machine Interface)802は、エネルギー管理システム700の管理者のためのエネルギー管理システム700モニタリングダッシュボードであり得る。例えば、エネルギー管理システム700の管理者は、管理者用HMI802を介してエネルギー管理システム700の動作をモニタリングすることができる。
【0137】
一実施形態によるオペレータ用HMI(Human Machine Interface)804は、エネルギー管理システム700のオペレータのためのエネルギー管理システム700モニタリングダッシュボードであり得る。例えば、エネルギー管理システム700の管理者は、オペレータ用HMI804を介してエネルギー管理システム700の動作をモニタリングすることができる。
【0138】
一実施形態によるSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)モジュール805(またはスキャダシステム)は、受信機800のために前述した電力量情報の受信を支援することができる。すなわち、受信機800は、SCADAモジュール805に基づいて電力量情報を受信し得る。例えば、SCADAモジュール805は、受信機800のために第1新再生可能エネルギー発電所501で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所501のための第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所504で生産された電力量および第2新再生可能エネルギー発電所504のための第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量に関するデータを収集する。
【0139】
一実施形態によるエネルギー管理システム700は、この図で説明する構造により、複数の変電所に接続された統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理することができる。特に、エネルギー管理システム700は、電力系統の発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定し得る。
【0140】
図9は、一実施形態によるエネルギー管理システムの動作方法の一例を示すフローチャートである。
【0141】
この図は、一実施形態によるエネルギー管理システム700の動作方法の一例を説明するフローチャートである。
【0142】
一実施形態によるエネルギー管理システム700の動作方法は、第1新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量、第1新再生可能エネルギー発電所のための第1エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量、第2新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量および第2新再生可能エネルギー発電所のための第2エネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量を表す電力量情報を受信するステップ900、および/または受信された電力量情報に基づいて第1エネルギー貯蔵装置および第2エネルギー貯蔵装置のそれぞれのための動作モードを決定するステップ901を含み得る。エネルギー管理システム700の動作方法は、この図には示されていない1つまたは複数のステップをさらに含み得る。
【0143】
第1新再生可能エネルギー発電所501で生産された電力は、第1線路506を介して第1変電所508に供給され得る。第2新再生可能エネルギー発電所504で生産された電力は、第2線路507を介して第2変電所509に供給され得る。第1変電所508および前記第2変電所509で生産された電力は、統合線路510を介してユーザに供給され得る。
【0144】
統合線路510の基準容量は、第1線路506の基準容量および第2線路507の基準容量の和に等しいことがある。統合線路510を介してユーザに供給される電力量は、統合線路510の基準容量よりも小さいことがある。
【0145】
動作モードは、第1エネルギー貯蔵装置502の充電を示す第1充電モード、第1エネルギー貯蔵装置502の放電を示す第1放電モード、第2エネルギー貯蔵装置505の充電を示す第2充電モードまたは第2エネルギー貯蔵装置505の放電を示す第2放電モードのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0146】
動作モードが第1充電モードおよび第2充電モードを含む場合、第1充電モードによる充電量および第2充電モードによる充電量は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた貯蔵電力量に基づいて決定され得る。
【0147】
例えば、第1充電モードによる充電量に対する前記第2充電モードによる充電量の割合は、第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量に対する第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量の割合と同じである。
【0148】
動作モードが第1放電モードおよび前記第2放電モードを含む場合、第1放電モードによる放電量および第2放電モードによる放電量は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量および第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量に基づいて決定され得る。
【0149】
例えば、第1放電モードによる放電量に対する第2放電モードによる放電量の割合は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量に対する第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量の割合と同じである。
【0150】
動作モードが第1充電モードおよび前記第2放電モードを含むか、または第1放電モードおよび第2充電モードを含む場合、第1線路506を介して前記第1変電所508に供給される電力量に対する第2線路507を介して第2変電所509に供給される電力量に対する割合は、第1エネルギー貯蔵装置502に蓄えられた電力量に対する第2エネルギー貯蔵装置505に蓄えられた電力量の割合と同じであり得る。
【0151】
エネルギー管理システム700は、電力量情報に基づいて、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の各動作モードによる充電量または放電量を設定する第1分配基準を決定し得る。エネルギー管理システム700は、第1分配基準に従って、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の充電動作または放電動作を制御できる。
【0152】
一方、第1分配基準に従った動作モードで動作することにより、第1線路506を介して供給される第1電力量が第1線路506の基準容量を超えるか、第2線路507を介して供給される第2電力量が第2線路507の基準容量を超えると予測されれば、エネルギー管理システム700は、電力量情報および線路の基準容量情報に基づいて、第1電力量が第1線路506の基準容量を超えずに、第2電力量が第2線路507の基準容量を超えないように、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の各動作モードに対する充電量または放電量を設定する第2分配基準を決定し得る。エネルギー管理システム700は、第2分配基準に従って、第1エネルギー貯蔵装置502および第2エネルギー貯蔵装置505の充電動作または放電動作を制御できる。第2分配基準は、新再生可能エネルギー発電所に生産された電力量およびエネルギー貯蔵装置に蓄えられた電力量だけでなく、線路の基準容量まで考慮することによって、エネルギー管理システム700は、統合線路510を介して電力が安定的に供給できるスケジュールを提供し得る。
【0153】
電力量情報を受信するステップ900は、スキャダシステム(Supervisory Control And Data Acquisition、SCADA)システムに基づいて行われ得る。
【0154】
一実施形態によるエネルギー管理システム700は、この図で説明される動作に従って複数の変電所に接続された統合線路510を介して供給しなければならない電力量が統合線路510の基準容量よりも少ない場合であっても、対応する電力量を供給するように電力系統を管理することができる。特に、エネルギー管理システム700は、電力系統の発電所、変電所、および/または対応するエネルギー貯蔵装置間の通信を通じて、異なる地域に位置するESSの充/放電電力量を適切に決定し得る。
【0155】
本開示で説明されるエネルギー貯蔵システム200、エネルギー管理システム700および電力システムは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素の組み合わせで実施できる。また、本開示は、エネルギー貯蔵システム200および電力システムの動作方法を実行することができるようにコンピュータ読み取り可能な格納媒体に格納されたコンピュータプログラムの形で提供され得る。また、本開示は、コンピュータで実行できるプログラムとして作成可能であり、コンピュータ読み取り可能な格納媒体を用いてこのようなプログラムを作動させる汎用のデジタルコンピュータで具現できる。
【0156】
このようなコンピュータ読み取り可能な格納媒体は、Read-Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)、Flash Memory、CD-ROMs、CD-Rs、CD+Rs、CD-RWs、CD+RWs、DVD-ROMs、DVD-Rs、DVD+Rs、DVD-RWs、DVD+RWs、DVD-RAMs、BD-ROMs、BD-Rs、BD-RLTHs、BD-REs、磁気テープ、フロッピーディスク、光磁気データ格納装置、光データ格納装置、ハードディスク、ソリッドステートディスク(SSD)であり得、命令またはソフトウェア、関連データ、データファイル、およびデータ構造を格納することができ、プロセッサまたはコンピュータが命令を実行できるようにプロセッサまたはコンピュータに命令またはソフトウェア、関連データ、データファイル、およびデータ構造を提供できる任意の装置であり得る。
【0157】
以上、実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた技術分野における通常の知識を有する者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9