(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116123
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】付加製造システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/34 20140101AFI20240820BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240820BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240820BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240820BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20240820BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240820BHJP
B29C 64/35 20170101ALI20240820BHJP
B29C 64/357 20170101ALI20240820BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240820BHJP
B22F 10/85 20210101ALI20240820BHJP
B22F 10/73 20210101ALI20240820BHJP
B22F 10/68 20210101ALI20240820BHJP
B23K 15/00 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B29C64/153
B33Y10/00
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/35
B29C64/357
B22F10/28
B22F10/85
B22F10/73
B22F10/68
B23K15/00 501B
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076873
(22)【出願日】2024-05-10
(62)【分割の表示】P 2022119447の分割
【原出願日】2016-10-27
(31)【優先権主張番号】62/248,848
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,835
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,776
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,758
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,966
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,783
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,765
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,980
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,795
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,847
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,841
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,833
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,791
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,839
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,821
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,770
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,799
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,780
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,829
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,787
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,968
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,969
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/248,989
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517405068
【氏名又は名称】シューラット テクノロジーズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】SEURAT TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】デムス,ジェイムズ エー.
(72)【発明者】
【氏名】フェーズ,ハイナー
(72)【発明者】
【氏名】トゥームレ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ベルディチェフスキー,ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】リード,フランシス エル.
(72)【発明者】
【氏名】カムサド,コロッシュ
(57)【要約】
【課題】粉末床を結像するための2次元エネルギーパターニングシステムを含む付加製造システムが開示される。
【解決手段】ビーム結合と、ビーム操縦と、パターニングされたビーム及びパターニングされないビームの両方の再生利用及び再利用とを支持する向上した光学システムが記述される。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルドプラットフォームの支持面上に粉末床の第1のレイヤを形成するために粉末材料を定量供給することと、
前記粉末床に向かって2次元のパターニングされたエネルギービームを向けることと、
1つ以上の第1の壁が前記ビルドプラットフォーム上の前記粉末床の第1のレイヤの非溶融部分を含むように、前記粉末床の前記第1のレイヤの溶融部分から外へ1つ以上の第1の壁を形成するために前記粉末床の前記第1のレイヤの部分を選択的に溶融すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の第1の壁は、前記粉末材料を欠く領域を作り出すために、前記ビルドプラットフォームの内部の領域を囲む複数の壁を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の第1の壁中に流体通路を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
空気、窒素、水、及び油を含むグループから選択される流体のソースに前記流体通路を接続することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末床の前記第1のレイヤ上に前記粉末床の第2のレイヤを形成するために前記粉末材料を定量供給することと、
前記粉末床の前記第2のレイヤの溶融部分から外へ1つ以上の第2の壁を形成するために前記粉末床の前記第2のレイヤの部分を選択的に溶融すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のレイヤの前記非溶融部分は、前記ビルドプラットフォームの第1の領域に渡っており、前記1つ以上の第2の壁は、前記粉末床の第2の領域に渡って前記第2のレイヤの非溶融部分を囲む壁を含み、前記第2の領域は前記第1の領域よりも小さい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の第1の壁は、前記ビルドプラットフォームの複数の境界の内の少なくとも1つの境界に沿った少なくとも1つの壁を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の第1の壁の内の1つの壁の高さを増やすために前記粉末床の前記第2のレイヤの部分を選択的に溶融することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記粉末床のレイヤ毎に前記ビルドプラットフォームの一時的な境界壁を形成するために前記粉末を溶融することと、前記一時的な境界壁を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
定量供給される前記粉末の量は、前記1つ以上の第1の壁の内の複数の壁によって囲まれる領域に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
粉末床を形成するためにビルドプラットフォーム上に粉末材料の複数のレイヤを粉末定量供給アセンブリによって定量供給することと、
前記ビルドプラットフォームから前記粉末床を十分分離することと、
前記ビルドプラットフォームを移動することによってホッパー中に前記粉末床の前記粉末材料の大部分を収集すること
を含む、方法。
【請求項12】
前記ビルドプラットフォームから前記粉末床を十分分離することは、
前記ビルドプラットフォームを傾斜させることと、
前記ビルドプラットフォームを震動させることと、
前記ビルドプラットフォームを反転させることと、
前記ビルドプラットフォームを掃くこと
の内少なくとも1つを実行することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビルドプラットフォームから前記粉末床を十分分離することは、掃除機又はガスジェットにより前記ビルドプラットフォーム上の前記粉末材料の残り続ける粉末を除去することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
相互に直交する縦方向、横方向、及び横断方向に対応する3次元空間における付加製造の方法であって、
第1の区域から第2の区域へ前記縦方向に連続的な部品の各部分を連続的に前進させることと、
粒状材料の選ばれた粒子を前記第1の区域内で融合させることと、
前記粒状材料の非融合粒子を前記第2の区域内で除去することと、
(1)前記連続的な部品の最後の部分が前記第1の区域内に形成され、(2)前記第1の区域及び前記第2の区域内で前記連続的な部品の第1の部分が占めた前記横方向及び前記横断方向に同じ位置に前記第1の部分が維持されながら、前記第2の区域から第3の区域へ前記第1の部分を前進させること
を含む、方法。
【請求項15】
プリントジョブ中にリアルタイムで粉末材料の複数の粉末試料を収集するステップと、
前記粉末試料に対して特性のセットを実施するステップと、
特性の前記セットの結果に従って前記プリントジョブ中に用いられたプリントパラメータを変更するか、それとも前記プリントジョブを中止するかを判定するステップ
を含む、方法。
【請求項16】
前記リアルタイムで前記粉末材料の前記複数の粉末試料を収集するステップは、前記プリントジョブ中、前記プリントジョブ前、又は前記プリントジョブ後に、所定間隔で定期的に、不規則に、又は1つ以上の所定段階で、前記粉末材料の前記複数の粉末試料を収集することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
無認可の粉末が使用された場合、前記プリントジョブを中止するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記粉末試料に対して特性の前記セットを実施するステップは、ガスクロマトグラフィー質量分析を実施することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
プリント物の予測寸法を特定するために、特性の前記セットに基づいて温度勾配をシミュレーションすることと、
前記予測寸法が許容範囲を超えることを特定することと、
前記予測寸法が前記許容範囲を超えることを特定することに応じて、前記プリントジョブを中止すること
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連特許出願の相互参照]
本開示は、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,758、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,765、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,770、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,776、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,783、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,791、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,799、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,966、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,968、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,969、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,980、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,989、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,780、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,787、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,795、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,821、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,829、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,833、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,835、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,839、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,841、
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,847、及び
2015年10月30日に出願された米国特許出願番号62/248,848の優先権の便益を主張する非仮特許出願の一部であり、参照により全体として組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、付加製造のためのシステム及び方法に概して関する。一実施形態では、2次元エネルギーパターニング及びエネルギービームを備えた粉末床溶融結合製造が記述される。
【背景技術】
【0003】
伝統的な部品加工は、部品を形成するために、掘削、切断、又は破砕による材料の除去にしばしば依存する。一方、3次元プリントとも称される付加製造は、部品を構築するために、材料のレイヤ付加による連続的なレイヤを典型的には含む。3次元コンピュータモデルをはじめ、付加製造システムは、多種多様な材料から複雑な部品を作り出すために用いられる。
【0004】
粉末床溶融(PBF)として周知のある付加製造技術は、粉末を融解しそれを下方のレイヤに結合することによって粉末の薄いレイヤ中にパターンを描くために、レーザ又は電子ビームといった1つ以上の収束エネルギー源を用いる。粉末は、プラスチック、金属、又はセラミックであり得る。この技術は、高度に正確であり、150~300μm程度の小さな形状を実現する。しかしながら、粉末床溶融付加製造機械の製造業者は、1kg/hrを超えるプリント材料を生み出し得るマシンを作り出すのに苦労する。粉末から固体へのこの遅い変換速度のために、より大きな部品をプリントするためにかかる時間の長さが原因で機械のサイズは比較的小さい。今日の最大の機械は、64L(40cm)3よりも一般的に少ないプリント可能な部品容積を有する。これらのプリンタは、おおよそ任意の形状の部品をプリント可能であるが、機械の高いコストと低い粉末変換速度に起因して、機械の償却コストは、最終的に非常に高くなり、高価な部品をもたらす。
【0005】
残念ながら、機械を単にスケールアップすることによって部品サイズを増加させたり製造コストを減少させることは、満足できる解決策ではない。最低限として、材料の所望容積を融解するために、融解温度まで上げていくための十分なエネルギーと、融解に必要な相変化エネルギーとの両方をレーザは伝送しなければならない。仮に、この工程で熱エネルギーが何ら消散されないならば、その結果、時間をかけて蓄積したレーザエネルギー(レーザ出力)と、材料の処理速度(throughput rate)との間に線形のスケーリングが存在する。仮に、粉末床溶融付加製造機械のメーカーが材料の処理速度でのスケールアップを欲するならば、彼らは、彼らのレーザ出力を増加させることが必然的に必要であろう。レーザ出力のこの増加は、残念ながら、レーザのコストに比例して増加し、スケールアップは、今日既に高価であるマシンのコストを非常に増加させる。
【0006】
仮にレーザのコストが要因ではなかったとしても、レーザをスケーリングする出力は有害なその他の作用を有する。全ての粉末材料は、出力変動(power flux)に依存して最適な融解特性を有する。仮に、出力が低すぎると、粉末は融解せず、仮に高すぎると、レーザは材料中に掘削し得る(キーホホールディング)。これらの最適点の1つで既に動作している機械のレーザ出力の増加は、最適な出力変動を維持するためのレーザ領域(スポットサイズ)の増大の必要性を必然的にもたらす。レーザを複数のビームに分けることは、システムの複雑さを増加させるが、スポットサイズを単に増加させることは、プリント可能な分解能を低下させる。
【0007】
実際、現在利用可能な粉末床付加製造機械は、部品サイズ、部品製造コスト、部品細部の分解能、及び部品製造の処理能力が制限され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の非限定的で非包括的な実施形態が以下の図面を参照しながら記述され、同様の参照符号は、別段の記述がない限り様々な図面を通して同様の部品を指す。
【
図1B】付加製造システム上に形成されている構造物の上面図である。
【
図3A】レーザを含む付加製造システムを示す図面である。
【
図3B】
図3Aに示した光パターニングユニットの詳細な説明である。
【
図3C】複数の画像中継器を用いて光を向けて再パターニングするための“スイッチヤード”を備えた付加製造システムの一実施形態である。
【
図3D】簡略化したミラー画像画素の再マッピングを図示する。
【
図3E】画素再マッピングのための一連の画像変換画像中継を図示する。
【
図3F】パターニング可能な電子エネルギービーム付加製造システムを図示する。
【
図3G】
図3Fに示した電子ビームパターニングユニットの詳細な説明を図示する。
【
図5A】反射光パターニングユニットの実施形態を図示する。
【
図5B】反射光パターニングユニットの実施形態を図示する。
【
図8】倍率変更及びガントリーの移動のフローチャートである。
【
図9A】粉末床システム及び熱管理システムを夫々図示する。
【
図9B】粉末床システム及び熱管理システムを夫々図示する。
【
図10】粉末を含むための一時的な壁の付加的形成を説明するフローチャートである。
【
図12A】複数の区域を備えた長い部品の製造を図示する。
【
図12B】複数の区域を備えた長い部品の製造を図示する。
【
図14】付加的な確定された操作点を有する代表的な部品である。
【
図15】粉末試料の試験及び特性評価を説明するフローチャートである。
【
図17】複数の作業領域を有する付加製造設備の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記述において、その一部を形成する図面であって、開示が実施され得る具体的な例示的実施形態を説明する方法で示されている添付の図面が参照される。これらの実施形態は、本明細書で開示される概念を当業者が実施するのに十分に詳細に記述され、本開示の範囲から離れることなく、様々な開示された実施形態への変更がなされてもよく、その他の実施形態が利用されてもよいことは理解されるべきである。以下の詳細な記述は、それ故、限定的な意味でとらえるべきではない。
【0010】
一実施形態では1つ以上のレーザ又は電子ビームを含む、1つ以上のエネルギー源を有する付加製造システムは、1つ以上のビームを放射するために位置付けられる。ビーム整形光学系は、エネルギー源から1つ以上のエネルギービームを受け取り、単一ビームを形成する。エネルギーパターニングユニットは、該単一ビームを受け取るか生成し、2次元パターンをビームへ転送し、該パターンにない未使用のエネルギーを廃棄する。画像中継器は、2次元のパターニングされたビームを受け取り、高さが固定か可動のビルドプラットフォーム(例えば、粉末床)上の所定位置に、2次元画像としてそれを集束する。幾つかの実施形態では、エネルギーパターニングユニットからの任意の廃棄されたエネルギーの一部又は全が再利用される。
【0011】
幾つかの実施形態では、レーザアレイからの複数のビームは、ビームホモジナイザーを用いて結合される。この結合されたビームは、透過又は反射の何れかの画素アドレス可能光弁を含むエネルギーパターニングユニットに向けられ得る。一実施形態では、画素アドレス可能光弁は、偏光素子を有する液晶モジュールと、2次元入力パターンを供給する光投射ユニットとの両方を含む。画像中継器により集束した2次元画像は、3次元構造体を構築するために粉末床上の複数の位置に向けられる。
【0012】
図1に見られるように、付加製造システム100は、連続的又は断続的な1つ以上のエネルギービームをビーム整形光学系114に向け得るエネルギー源112を備えたエネルギーパターニングシステム110を有する。整形後、必要であれば、一般的にはいくらかのエネルギーが廃棄エネルギー処理ユニットに向けられると共に、エネルギーパターニングユニット116によりビームがパターニングされる。パターニングされたエネルギーは、典型的には床146の近くに集束した2次元画像122として、物品処理ユニット140に向けて画像中継器120により中継される。(任意的な壁と共に)床146は、材料ディスペンサ142により定量供給された材料144を含むチャンバーを形成し得る。画像中継器120により向けられた、パターニングされたエネルギーは、融解し得、溶融し得、焼結し得、融合し得、結晶構造体に変化させ得、応力パターンを与え得、又はその他の方法で、所望の特性を有する構造物を形成するために、定量供給された材料144を化学的又は物理的に変更し得る。
【0013】
エネルギー源112は、光子(光)、電子、イオン、又は向けられ、整形され、パターニングされ得るその他の適切なエネルギービーム若しくは流束を生成する。エネルギー源112は、レーザ、白色光、集光した太陽光、その他の光源、電子ビーム、又はイオンビームを含み得る。可能なレーザの種類としては、ガスレーザ、化学レーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、固体レーザ(例えば、ファイバ)、半導体(例えば、ダイオード)レーザ、自由電子レーザ、ガスダイナミックレーザ、“ニッケル様”サマリウムレーザ、ラマンレーザ、又は核励起レーザが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
ガスレーザは、ヘリウム-ネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、セキノンイオンレーザ、窒素レーザ、二酸化炭素レーザ、一酸化炭素レーザ、又はエキシマーレーザ等のレーザを含み得る。
【0015】
化学レーザは、フッ化水素レーザ、フッ化重水素レーザ、COIL(化学酵素ヨウ素レーザ)、又はAgil(全気相ヨウ素レーザ)等のレーザを含み得る。
【0016】
金属蒸気レーザは、ヘリウム-カドミウム(HeCd)金属蒸気レーザ、ヘリウム-水銀(HeHg)金属蒸気レーザ、ヘリウム-セレン(HeSe)金属蒸気レーザ、ヘリウム-銀(HeAg)金属蒸気レーザ、ストロンチウム蒸気レーザ、ネオン-銅(NeCu)金属蒸気レーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ、マンガン(Mn/MnCl2)蒸気レーザ等のレーザを含み得る。
【0017】
固体レーザは、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、ネオジムYLF(Nd:YLF)固体レーザ、ネオジムドープドオルトバナジン酸イットリウム(Nd:YVO4)レーザ、ネオジムドープドイットリウムカルシウムオキソボレートNd:YCa4O(BO3)3若しくは単純にNd:YCOB、ネオジガラス(Nd:ガラス)レーザ、チタンサファイア(Ti:サファイア)レーザ、ツリウムYAG(Tm:YAG)レーザ、イットリウムYAG(Yb:YAG)レーザ、イットリウム:2O3(ガラス若しくはセラミック)レーザ、イットリウムドープドガラスレーザ(ロッド、プレート/チップ、及びファイバ)、ホルミウムYAG(Ho:YAG)レーザ、クロムZnSe(Cr:ZnSe)レーザ、セリウムドープドリチウムストロンチウム(若しくはカルシウム)アルミニウムフッ化物(Ce:LiSAF、Ce:LiCAF)、プロメチウム147ドープドリン酸塩ガラス(147Pm+3:ガラス)固体レーザ、クロムドープドクリソベリル(アレキサンドライト)レーザ、エルビウムドープドエルビウム-イットリウム共ドープドガラスレーザ、三価ウランドープドカルシウムフッ化物(U:CaF2)固体レーザ、二価サマリウムドープドカルシウムフッ化物(Sm:CaF2)レーザ、又はF中心レーザ等のレーザを含み得る。
【0018】
半導体レーザは、GaN、InGaN、AlGaInP、AlGaAs、InGaAsP、GaInP、InGaAs、InGaAsO,GaInAsSb、鉛塩、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、量子カスケードレーザ、ハイブリッドシリコンレーザ、又はそれらの組み合わせ等のレーザ媒質類を含み得る。
【0019】
例えば、一実施形態では、単一のNd:YAG q-スイッチレーザは、複数の半導体レーザと共に用いられ得る。別の実施形態では、電子ビームは、紫外線半導体レーザアレイと共に用いられ得る。更に他の実施形態では、レーザの2次元アレイが用いられ得る。幾つかの実施形態では、複数のエネルギー源と共に、エネルギー源の選択的な起動及び停止によってエネルギービームの事前パターニングがなされ得る。
【0020】
ビーム整形ユニット114は、エネルギー源から受け取った1つ以上のエネルギービームを結合し、集束し、分岐し、反射し、屈折し、均質にし、強度を調整し、周波数を調整し、又はその他の方法で整形し、エネルギーパターニングユニット116へ向けるための幅広い様々な結像光学系を含み得る。一実施形態では、異なる光波長を夫々有する複数の光ビームは、波長選択ミラー(例えば、2色性)又は回折素子を用いて結合され得る。その他の実施形態では、複数のビームは、多面ミラー、マイクロレンズ、及び屈折若しくは回折光学素子を用いて均質化又は結合され得る。
【0021】
エネルギーパターニングユニット116は、静的又は動的なエネルギーパターニング素子を含み得る。例えば、光子、電子、又はイオンビームは、固定又は可動の素子でのマスクにより遮られ得る。画像パターニングの自由度及び容易さを大きくするために、画素アドレス可能マスキング、画像生成、又は透過が用いられ得る。幾つかの実施形態では、エネルギーパターニングユニットは、アドレス可能光弁の単体、又はパターニングを供給するためのその他のパターニング装置との組み合わせを含む。光弁は、透過し得、反射し得、又は透過及び反射素子の組み合わせを用い得る。パターンは、電気的又は光学的アドレッシングを用いて動的に変更され得る。一実施形態では、透過的光学的アドレス光弁は、光投射源により画定されたパターンを形成する光学的にアドレスされた画素と共に、該弁を通過する光の偏光を回転するように作用する。別の実施形態では、反射的光学的アドレス光弁は、読み出しビームの偏光を変更するための書き込みビームを含む。更に別の実施形態では、電子パターニングデバイスは、電気的又は光子刺激源からのアドレスパターンを受け取り、電子のパターニングされた放出を生成する。
【0022】
廃棄エネルギー処理ユニット118は、パターニングされずエネルギーパターン画像中継器120を通過したエネルギーを消散し、向け直し、利用するために用いられる。一実施形態では、廃棄エネルギー処理ユニット118は、エネルギーパターニングユニット116から熱を除去する受動的又は能動的冷却素子を含み得る。他の実施形態では、廃棄エネルギー処理ユニットは、エネルギーパターンの画定に用いられない任意のビームエネルギーを吸収して熱に変換するための“ビームダンプ”を含み得る。更に他の実施形態では、廃棄されたエネルギービームは、ビーム整形光学系114を用いて再生利用され得る。或いは、又は加えて、廃棄されたエネルギービームは、加熱又は更なるパターニングのために物品処理ユニット140に向けられ得る。幾つかの実施形態では、廃棄されたビームエネルギーは、付加的なエネルギーパターニングシステム又は物品処理ユニット向けられ得る。
【0023】
画像中継器120は、エネルギーパターニングユニット116からパターニングされた画像(典型的には二次元)を受け取り、物品処理ユニット140にそれを導く。ビーム整形光学系114と同様の方法で、画像中継器120は、パターニングされた画像を結合し、集束し、分岐し、反射し、屈折し、強度を調整し、周波数を調整し、又はその他の方法で整形し、向けるための光学系を含み得る。
【0024】
物品処理ユニット140は、壁付きチャンバー148及び床144と、材料を分配するための材料ディスペンサ142とを含み得る。材料ディスペンサ142は、材料を分配し得、除去し得、混合し得、材料の種類若しくは物品のサイズにグラデーション若しくは変化を提供し得、又はレイヤの厚さを調整し得る。材料は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー粉末、固体から液体への熱的に誘導される相変化とその復元を受けることが可能な融解可能なその他の材料を含み得る。材料は、融解可能な材料と融解不可能な材料との複合材料を更に含み得、該複合材料において、融解不可能な材料のみを残すか、又は蒸発/破壊/燃焼若しくはその他の破壊的な工程をそれに受けさせるかの何れかがなされつつ、何れか又は両方の構成要素は、融解可能な構成要素を融解するために選択的に画像中継システムの標的にされ得る。幾つかの実施形態では、材料のスラリー、噴霧、塗料膜、ワイヤ、一片、又はシートが用いられ得る。不要な材料は、使い捨て又は再生利用のために、送風機、掃除(vacuum)システムの使用、床146の掃きとり、振動、震動、傾斜化、又は反転によって除去され得る。
【0025】
材料処理コンポーネントに加えて、物品処理ユニット140は、3次元構造体を保持及び支持するためのコンポーネントと、チャンバーを加熱又は冷却するための装置と、補助的若しくは支持的な光学系と、材料又は環境条件を監視又は調整するためのセンサ及び制御装置とを含み得る。物品処理ユニットは、(特に反応性が高い金属との)火災又は爆発の危険性を軽減すると共に不要な化学的相互作用を減らすために真空又はガス雰囲気を全体として又は部分的に支持し得る。
【0026】
制御プロセッサ150は、付加製造システム100の任意のコンポーネントを制御するために接続され得る。制御プロセッサ150は、動作を連係させるために、様々なセンサ、アクチュエータ、加熱又は冷却システム、モニタ、及びコントローラに接続され得る。制御又は監視に用いられる情報を提供するために、撮像装置、光度モニタ、熱、圧力、若しくはガスセンサを含む広範囲のセンサが用いられ得る。制御プロセッサは、単一の中央制御装置であり得、又はそれに代わって、1つ以上の独立制御システムを含み得る。制御プロセッサ150は、製造指示書を入力できるインタフェースを提供する。センサの広範囲の使用は、様々なフィードバック制御装置が品質、製造処理能力、及びエネルギー効率を向上できるようにする。
【0027】
図1Bは、材料144を支持する床146を説明する図である。連続的に適用された2次元のパターニングされた一連のエネルギービーム画像(点線の輪郭の四角形)を用いて、構造体149は付加的に製造される。当然のことながら、非四角形の境界線を有する画像パターンが用いられ得、重複又は相互浸透する画像が用いられ得、2つ以上のエネルギーパターニングシステムによって画像が提供され得る。他の実施形態では、仕向けられた電子若しくはイオンビームで、又はプリント若しくは選択的噴霧システムで画像は形成され得る。
【0028】
図2は、記述された光学的機械的コンポーネントにより支持される付加製造工程の一実施形態を説明するフローチャートである。ステップ202において、床、チャンバー、又はその他の適切な支持に材料が配置される。材料は、融解し得、溶融し得、焼結し得、結晶構造を変化するよう誘導され得る粉末であり得、所望の特性を有する構造体を形成するのに影響を与え、又は化学的若しくは物理的に変更される応力パターンを有し得る。
【0029】
ステップ204において、パターニングされていないエネルギーは、固体状態若しくは半導体レーザ、又は電子をワイヤの下へ流す電力供給装置を含むがそれらに限定されない1つ以上のエネルギー放射体によって放射される。ステップ206において、パターニングされていないエネルギーは、整形されて変更される(例えば、強度が調節され、又は集束される)。ステップ208において、このパターニングされていないエネルギーは、ステップ210(これは、排熱への変換、又はパターニングされた若しくはパターニングされていないエネルギーとしての再生利用を含み得る)で処理されているパターンの一部を形成しないエネルギーと共に、パターニングされる。ステップ212において、2次元画像を現在形成するパターニングされたエネルギーは、材料に向けて中継される。ステップ214において、画像は材料に適用され、3次元構造体の一部を構築する。これらのステップは、材料の最上層の全ての必要な領域に該画像(又は異なる後続の画像)が適用されるまで繰り返される(ループ218)。材料の最上層へのエネルギーの適用が終了すると、3次元構造体の構築を継続するために新たなレイヤが適用され得る。残った余分な材料が除去又は再生利用し得る場合、これらの工程のループは、3次元構造体が完成するまで継続される。
【0030】
図3Aは、エネルギーパターニングシステム310の一部として複数の半導体レーザを用いる付加製造システム300の一実施形態である。制御プロセッサ350は、様々なセンサ、アクチュエータ、加熱又は冷却システム、モニタ、複数のレーザ312の動作を連係するためのコントローラ、光パターニングユニット316、並びに画像中継器320に、システム300の任意のその他のコンポーネントと共に接続し得る。これらの接続は、システム300のコンポーネントを囲む点線の輪郭351によって概して示されている。お分かりのように、接続は、有線又は無線であり得、連続的又は断続的であり得、フィードバック機能を含み得る(例えば、感知された温度に応じて温度の加熱は調整され得る)。複数のレーザ312は、例えば、20mmの高さで90mmの幅である1000nmの波長の光のビーム301を放射し得る。ビーム301は、ビーム303を作り出すために結像光学系370によりサイズが変更される。ビーム303は、6mmの高さで6mmの幅であり、混合したビーム305を作り出すために光を渾然一体にする光均一化装置372に入射する。ビーム305は、該光をビーム307に再整形する結像アセンブリ374にその後入射し、温冷ミラー376にその後入射する。ミラー376は、450nmの光を反射するが、1000nmの光を通過させ得る。1080pの画素分解能で450nmの低出力光を投射する能力がある光投射機378はビーム309を放射し、温冷ミラー376にその後入射する。ビーム307及び309は、ビーム311に重ね合わされ、両者は、20mmの幅、20mmの高さの画像で光学的アドレス光弁380上に撮像される。ホモジナイザー372及び投射機378から形成された画像は、光弁380上で再作成され重ね合わされる。
【0031】
光学的アドレス光弁380は、(典型的には400~500nmの幅がある)光によって刺激され、偏光子382上へ入射する伝送されたビーム313に偏光回転パターンを刻み込む。偏光子382は、該2つの偏光状態を分割し、p-偏光をビーム317中に伝送し、廃棄エネルギーを処理するビームダンプへその後送られるビーム315中にs―偏光を反射する。当然のことながら、他の実施形態では、偏光は、ビーム317中に形成されるs-偏光と、ビーム315中へ反射されるp-偏光とに入れ替えられ得るだろう。ビーム317は、パターニングされた光をサイズ変更する光学系384を含む最終的な結像アセンブリ320に入る。このビームは、可動ミラー386からビーム319へ反射し、物品処理ユニット340中の材料床344に適用される集束画像に終結する。複数のレイヤに広がるように画像の被写界深度は選択され、エラー又はオフセットの少数のレイヤの範囲に最適集点が供給される。
【0032】
床390は、材料ディスペンサ342により定量供給された材料344を含むチャンバー壁388内に上げ下げ(垂直に牽引)され得る。幾つかの実施形態では、床390は、固定されたままであり得、最終的な結像アセンブリ320の光学系は、垂直に上げ下げされ得る。材料の分配は、ホッパー394に保持された粉末を一様に散布するスイープ装置392によって供給され、必要に応じて材料の新たなレイヤを供給し得る。6mmの高さで6mmの幅の画像が、床の様々な位置で可動ミラー386によって連続して向けられる。
【0033】
この付加製造システム300において粉末のセラミック又は金属材料を用いる場合、部品が構築されるにつれて、該粉末は、基板(及び後続のレイヤ)の最上部の上の、約1~3粒子の厚さの薄層中に広がり得る。パターニングされたビーム319によって粉末が融解し、焼結し、又は溶融すると、該粉末は下層に結合し、固体の構造体を作り出す。パターニングされたビーム319は、40Hzのパルス型で動作し得、粉末の選択されたパターニング領域が融解するまで、10msから0.5ms(3から0.1msが望ましい)の間隔で後続の6mm×6mmの画像位置に移動する。床390は、1つのレイヤに対応する厚さだけそれ自体がその後下がり、スイープ装置392は、粉末材料の新たなレイヤを散布する。この工程は、2次元レイヤが所望の3次元構造体を構築するまで繰り返される。幾つかの実施形態では、物品処理ユニット340は、制御雰囲気を有し得る。これは、(反応性が高い金属が用いられた場合に)酸化若しくは化学反応、又は火災若しくは爆発の危険なしに、不活性ガス又は真空環境中で反応性の高い材料が製造され得るようにする。
【0034】
図3Bは、
図3Aの光パターニングユニット316のより詳細な動作を図示する。
図3Bに見られるように、代表的入力パターン333(ここでは数字“9”として見られる)は、ミラー376に向かってビーム309として投影された8×12画素の光のアレイで画定される。白色の画素は点灯されておらず、灰色の各画素は明るい画素を表す。例えば、各画素は、光自由(light-free)、部分的光度、最大光度を含む様々な光のレベルを有し得る。ビーム307を形成するパターニングされていない光331は、温冷ミラー376を通じて向けられ通過し、そこでは、パターニングされたビーム309と結合する。温冷ミラー376による反射後、ビーム311中のビーム307とビーム309の重ね合わせからパターニングされた光ビーム311が形成され、両者は、光学的アドレス光弁380上に画像化される。パターニングされていない光331の偏光状態を回転し得る光学的アドレス光弁380は、数字“9”のパターン中の偏光された光307、311の偏光状態をビーム313中へ選択的に回転させないために、パターニングされた光ビーム309、311によって刺激される。ビーム313中の回転していない光の代表的パターン333は、ビーム317及びパターン335をもたらす偏光子ミラー382をその後通過し得る。第2の回転状態の偏光された光は、光自由な数字“9”から構成される負の画素パターン337を運ぶビーム315中に偏光子ミラー382によって廃棄される。
【0035】
光弁のその他の種類が記述した光弁に置換され得、又は記述した光弁と組み合わせて用いられ得る。反射光弁、又は回折若しくは屈折に基づく光弁も用いられ得る。幾つかの実施形態では、非光学的アドレス光弁が用いられ得る。これらは、電気的にアドレス可能な画素素子、可動ミラー若しくはマイクロミラーシステム、圧電若しくはマイクロ作動光学システム。固定若しくは可動マスク、又は遮蔽版、又は、高い明暗度のパターニングを提供し得るその他の従来のシステムを含み得るが、それらに限定されない。電子ビームパターニングのために、これらの弁は、アドレス位置に基づいて電子を選択的に放射してもよく、その結果、該弁を離れる電子のビーム上にパターンを染み込ませてもよい。
【0036】
図3Cは、パターニングされた2次元エネルギーの再利用が可能なスイッチヤードシステムを含む付加製造システムの一実施形態である。
図1Aに関して論じた実施形態と同様に、付加製造システム220は、ビーム整形光学系114に1つ以上の連続的又は断続的なエネルギービームを向けるエネルギー源112を備えたエネルギーパターニングシステムを有する。整形後、該ビームは、一般的には、幾らかのエネルギーが廃棄エネルギー処理ユニット222に向けられると共に、エネルギーパターニングユニット222によって2次元にパターニングされる。パターニングされたエネルギーは、典型的には可動又は固定の高さの床近くに集束される2次元画像として、1つ以上の物品処理ユニット234A、234B、234C、又は234Dに向けて複数の画像中継器232の1つによって中継される。(任意的な壁と共に)床は、材料ディスペンサにより定量供給された材料を含むチャンバーを形成し得る。画像中継器232により向けられた、パターニングされたエネルギーは、融解し得、溶融し得、焼結し得、融合し得、結晶構造体に変化させ得、応力パターンを与え得、又はその他の方法で、所望の特性を有する構造物を形成するために、定量供給された材料144を化学的又は物理的に変更し得る。
【0037】
この実施形態では、廃棄エネルギー処理ユニットは、パターニングされた廃棄エネルギーの再利用を可能にするための複数のコンポーネントを有する。中継器228A、228B、及び22Cは、発電機224、加熱/冷却熱管理システム225、又はエネルギーダンプ226へエネルギーを夫々中継し得る。任意的に、中継器228Cは、更なる工程のために、パターニングされたエネルギーを画像中継器232に向け得る。他の実施形態では、パターニングされたエネルギーは、エネルギー源112によって供給されるエネルギービーム中への挿入のために、中継器228Cによって中継器228B及び228Aに向けられ得る。画像中継器232を用いて、パターニングされた画像の再利用も可能である。画像は、1つ以上の物品処理ユニット234A~Dへの分配のために向け直され、反転され、映し出され、副パターニングされ、又は変換され得る。有利には、パターニングされた光の再利用は、付加製造工程のエネルギー効率を向上し得、幾つかのケースでは、床に向けられるエネルギー強度を向上し得、又は製造時間を削減し得る。
【0038】
図3Dは、再利用のための廃棄エネルギービームの簡易な幾何学的変換を説明する図である。入力パターン236は、ミラー画像画素パターン238を供給可能な画像中継器237に向けられる。お分かりのように、幾何学的変換、又は個々の画素及び画素群のパターン再配置を含むより複雑な画像変換が可能である。ビームダンプの不使用の代わりに、この再配置されたパターンは、製造処理能力又はビーム強度を向上させるために物品処理ユニットに向けられ得る。
【0039】
図3Eは、再利用のための廃棄エネルギービームの複数の変換を説明する図である。入力パターン236は、画像パターン238を供給可能な一連の画像中継器237B~Eに向けられる。
【0040】
図3F及び
図3Gは、例えば“P”形状の画素画像を作り出し得るパターニングされた電子ビーム241を含む非光ベースのエネルギービームシステム240を図示する。高電圧電力システム243は、光学的アドレス可能パターン陰極システム245に接続される。プロジェクタ244による2次元のパターニングされた画像の適用に応じて、陰極ユニット245は、パターニングされた画像が光学的にどこにアドレスされようとも電子を放射するように刺激される。電子ビームパターンの集束は、結像コイル246A及び246Bを含む画像中継システム247により供給される。パターニングされた画像の最終的な位置決めは、パターニングされた画像を付加製造コンポーネント249の床上の所望位置に移動可能な偏光コイル248によって提供される。
【0041】
光再生利用及び再利用を支持する別の実施形態では、1つ以上の光源からの多重で複数の光のビームが供給される。複数の光のビームは、光の第1のビームを供給するために再整形され混合されてもよい。空間的な偏光パターンは、光の第2のビームを供給するために光の第1のビームに適用されてもよい。光の第2のビームの偏光状態は、光の第3のビームを反射するために分割されてもよく、光の第4のビームに再整形されてもよい。光の第4のビームは、光の複数のビームの1つとして導入され、光の第5のビーをもたらしてもてもよい。実際、これ又はこれと同様のシステムは、付加製造システムに関連するエネルギーコストを削減し得る。偏光変更モードで動作する空間的偏光弁又は光弁により廃棄された不要な光を収集し、ビーム結合し、均質化し、再導入することによって、伝送された光パワー全体は、光弁によって適用されたパターンに影響を受けない可能性があり得る。これは、光弁を介して所望のパターン中に通過する光の効果的再分配を有利にもたらし、パターニングされる領域の量に比例して光度を増加させる。
【0042】
複数のレーザからのビームを単一のビームに結合することは、ビーム強度を増加させる1つの方法である。一実施形態では、異なる光波長を夫々有する複数の光ビームは、波長選択ミラー又は回折素子の何れかを用いて結合され得る。幾つかの実施形態では、波長に依存する屈折の影響に敏感ではない反射光学素子が、多波長ビームを導くために用いられ得る。
【0043】
パターニングされた光は、可動ミラー、プリズム、回折光学素子、又は多くの物理的移動を必要としない固体状態光学システムを用いて向けられ得る。一実施形態では、粉末床の最上面の位置上の入射光の強度及び画素サイズと関連する倍率及び像距離は、付加製造3次元プリントジョブに対して決定され得る。複数のレンズアセンブリの内の1つは、光学レンズの第1のセットと光学レンズの第2のセットとの両方のレンズアセンブリで、また、該レンズアセンブリから交換可能な光学レンズの第2のセットで、該倍率を有する入射光を提供するように構成され得る。補償(compensating)ガントリー上に搭載された1つ以上のミラーのセットと、ビルドプラットフォームガントリー上に搭載された最終ミラーとの回転は、先行ミラーから粉末床の最上面の位置上へ入射光を向けるために用いられ得る。補償ガントリー及びビルドプラットフォームガントリーの並進動作は、先行ミラーから粉末床の最上面の位置までの入射光の距離が像距離にほぼ等しくできるようにもし得る。実際、これは、システムの高い可用性を確保しつながら、様々な粉末材料に対する構築領域の位置に渡る光学ビームの放出サイズ及び強度の素早い変更を可能にする。
【0044】
幾つかの実施形態では、粉末床を保持するためのビルドプラットフォームを夫々有する複数のビルドチャンバーは、1つ以上の入射エネルギービームを受けてビルドチャンバー中に向けるように配置された複数の光学機械的アセンブリと共に用いられ得る。複数のチャンバーは、1つ以上のビルドチャンバー内部の1つ以上のプリントジョブの同時プリントを可能にする。他の実施形態では、可動のチャンバー側壁は、ビルドチャンバーからの印刷物の除去を容易にし得、粉末材料の素早い交換を可能にし得る。チャンバーは、調整可能な製造工程温度制御をも備え得る。
【0045】
別の実施形態では、1つ以上のビルドチャンバーは、光学系が垂直に移動可能でありつつ、固定の高さで維持されるビルドチャンバーを有し得る。レンズアセンブリの最終光学系と粉末床の最上面との間の距離は、固定の高さでビルドプラットフォームを保ちつつ、粉末レイヤの厚さに等しい距離で、最終光学系を上方に牽引することによって原則的に一定になるように管理されてもよい。有利には、ビルドプラットフォームを垂直に移動することに比べて、ビルドプラットフォームの正確なミクロン規模の移動は必要ないので、大きく重い対象物を容易に製造し得る。典型的には、0.1~0.2立方メートルを超える(すなわち、100~200リッター又は500~1000kgよりも重い)容積を有する金属粉末を対象としたビルドチャンバーは、固定の高さでビルドプラットフォームを保つことの便益を最も受けるだろう。
【0046】
一実施形態では、粉末床のレイヤの一部は、ビルドプラットフォーム上の粉末床のレイヤの別の部分を含むために、粉末床のレイヤの溶融部分から外へ1つ以上の一時的な壁を形成するように選択的に融解又は溶融されてもよい。選り抜きの実施形態では、熱管理を改善できるように、1つ以上の第1の壁中に流体通路が形成され得る。
【0047】
改善された粉末処理は、改善された付加製造システムの別の側面であり得る。粉末床を支持するビルドプラットフォームは、ホッパーにおいてビルドプラットフォームから粉末床を十分分離するために、傾斜、反転、及び震動可能であり得る。粉末床を形成する粉末材料は、その後のプリントジョブでの再利用のためにホッパー中に収集されてもよい。粉末収集工程は、自動化されてもよく、粉末の撤去又は除去を支援するために、掃除機掛け又はガス噴射システムが用いられる。
【0048】
開示の付加製造システムの幾つかの実施形態は、利用可能なチャンバーよりも長い部品を容易に処理するように構成され得る。連続的な(長い)部品は、第1の区域から第2の区域へ縦方向に連続的に前進し得る。第1の区域において、粒状材料の選ばれた粒子は、融合し得る。第2の区域において、粒状材料の非融合粒子は除去され得る。連続部品の最後の部分が第1の区域内で形成され、第1の区域及び第2の区域内で第1の部分が占めた横及び横断方向に同じ位置に第1の部分が維持されながら、連続部品の第1の部分は、第2の区域から第3の区域へ前進し得る。実際、付加製造及び清浄化(例えば、非融合の粒状材料の分離及び/又は再生若しくは再利用)は、粒状材料及び/又は部品の除去のために停止する必要なく、部品コンベヤー上の異なる位置又は区域で並行して(すなわち、同時に)実施されてもよい。
【0049】
別の実施形態では、付加製造能力は、エンクロージャの内部とエンクロージャの外部との間の気体の交換を制限するエンクロージャの使用によって向上し得る。気密室は、複数の付加製造チャンバーを有し、それらの支持する粉末床溶融含む内部と、外部との接点を提供する。ガス管理システムは、限界酸素濃度以下で内部の気体酸素を維持し、こうすることで、システム内で使用することのできる粉末および処理の種類の自由度が増大される。
【0050】
別の製造実施形態では、エンクロージャ内に含まれる3次元プリンタであって、2000キログラム以上の重さを有する部品を作り出し得る3次元プリンタを有することによって性能が向上され得る。ガス管理システムは、大気中濃度を下回る濃度でエンクロージャ内の気体酸素を維持してもよい。幾つかの実施形態では、気密室は、エンクロージャ内のガス環境とエンクロージャ外のガス環境とのバッファの役割を果たすので、車両は、気密室を介して、エンクロージャの内側からエンクロージャ及び気密室の外部の位置へ部品を運んでもよい。
【0051】
その他の製造実施形態は、粉末床溶融付加製造システムにおいてリアルタイムで粉末試料を収集することを含む。粉末試料の工程内での収集及び特性評価のために、摂取システムが用いられる。該収集は、定期的に行われてもよく、特性評価の結果は、粉末床溶融工程の調整をもたらす。摂取システムは、プリンタのパラメータの変更又は認定された粉末材料の適正使用の検証等、1つ以上の監査、処理調整、又は動作に付随的に用いられ得る。
【0052】
付加製造工程の更に別の改良は、クレーン、リフティングガントリー、ロボットアーム、又は人では移動させることが困難か不可能な部品の操作が可能な同様の物等、操作デバイスの使用によって提供され得、記述される。操作デバイスは、部品を再配置又は操作できるように、部品上の様々な恒久的又は一時的な付加製造操作点をつかみ得る。
【0053】
図4Aは、複数波長の半導体レーザを有し、透過可能な結像光学系を用いるビーム結合システムを図示する。当然のことながら、波長フィルタにより反射又は伝送される選択された波長と共に、論じられるレーザ出力及び波長は例示である。波長フィルタの配置及び使用の適切な変更と共に、より多くの又はより少ない数のレーザが用いられ得る。幾つかの実施形態では、固体レーザは、半導体レーザの代わりになり得、又はそれと組み合わせて使用され得る。他の実施形態では、ガス、化学、又は金属蒸気レーザを含む
図1に関して論じたようなその他の種類のレーザが用いられ得る。一実施形態では、廃棄された光の再生利用及び再利用がレーザの代わりになり得る。付加製造システムで入手可能な廃棄光は、収集され得、均質化され得、ビームライン中に再導入され得る。有利には、廃棄光の再生利用及び再利用は、ビーム強度を増加し得、システムに関係するエネルギーコストを削減し得る。
【0054】
図4Aにおいて、第1の波長(1020nm)の半導体レーザ406は、対応する波長407の光子の33.3kWのビームを放射し、第2の波長(1000nm)の半導体レーザ408は、対応する波長409の光子の33.kWのビームを放射し、それらは、1000nmの光子を反射するが1020nm光子を伝送する波長フィルタ410を用いてその後結合される。これは、66.6kWの結合した2波長のビーム411をもたらす。第3の波長(980nm)の半導体レーザ412は、対応する波長413の光子の33.3kWのビームを放射し、波長フィルタ414を用いてビーム411とその後結合される。波長フィルタ414は、980nmのビームを反射するが、1020nm及び1000nmを伝送し、99.9kWの3波長のビーム415をもたらす。第4の波長(960nm)の半導体レーザ417は、対応する波長418の光子の33.3kWのビームを放射し、960nmを反射するが1020nm、1000nm、及び980nmを伝送する波長フィルタ416を用いてビーム415とその後結合され、133.2kWの4波長のビーム419をもたらす。このビームは、例えば、レンズ420において20mm×20mmのビーム寸法で1.1度の発散のビーム寸法で光学結像システムに入射する。レンズ420は、ビームの結像能力において波長振動の影響をなくすために、異なる屈折率を夫々有するC79-79及びULE7972の2つの材料を用いる一連のレンズである。該ビームは、421で光学システムを出射し、421は、ビームの結像能力において波長振動の影響をなくすために、ZeruDur、ULE7972、及びC79-79の3つの材料を使用する一連のレンズである。422でのビームは、光学システムへの通過の結果として強度が増加しており、現在、粉末のステンレス鋼等の金属の付加製造処理に十分な370kW/cm
2の強度をもたらす3.67度の発散で、6mmの幅で6mmの高さである。
【0055】
レンズ材料の適切な選択は、最高の性能のために必要である。レンズ420等の透過光学素子は、溶融した石英ガラスで作られ得る。これは、1000nm近くの波長での極めて低い吸収率に起因する熱膨張の問題を少なくし、石英ガラスの極めて低い熱膨張率に起因するレンズの熱膨張を少なくする。石英ガラスの使用は、破砕、ガラス屈折率の変化、ガラス形状の変化、及び焦点の変化を導き得る昇温及び膨張なしに、該光学素子がよりはるかに高い強度に持ちこたえ得るようにする。不必要な光学変化は、2つ以上の材料の使用によっても削減し得る。各材料は、波長で異なって変化する異なる屈折率を有し得る。適切な組み合わせが用いられると、率及び光路長の変化がなくなり、波長の関数としての焦点距離が変化しない。
【0056】
図4Bは、複数の半導体レーザの組み合わせを含み、透過光学素子に関連する前述の問題点を削減するための反射結像光学系を用いる別のビーム結合システム401を図示する。
図4Aのビーム結合システムと同様に、当波長フィルタにより反射又は伝送される選択された波長と共に、システム401中の論じられるレーザ出力及び波長は例示であることは当然である。波長フィルタの配置及び使用の適切な変更と共に、より多くの又はより少ない数のレーザが用いられ得る。複数種類のレーザが用いられ得、一実施形態では、破棄された光の再生利用及び再利用は、レーザの代わりになり得る。付加製造システムで入手可能な廃棄光は、収集され得、均質化され得、ビームライン中に再導入され得る。有利には、反射光学系は、始動の過渡状態の間及びその存続期間に渡る半導体レーザのチャープ(時間と共の波長の移動)の問題を改善する。反射光学系の使用は、この影響に起因するダイオードレーザの焦点の離調を阻止し、達成される分解能又は結像能力に影響を与えない。また、反射光学系の使用によって、レーザ動作温度の変化により生じる波長差は、分解能又は結像能力に影響を与えない。
【0057】
図4Bにおいて、第1の波長(1020nm)の半導体レーザ423は、対応する波長424の光子の33.3kWのビームを放射し、第2の波長(1000nm)の半導体レーザ425は、対応する波長426の光子の33.3kWのビームを放射する。これらのビームは、1000nmの光子を反射するが1020nmの光子を伝送する波長フィルタ427を用いて結合され、66.6kWの2波長のビーム411をもたらす。第3の波長(980nm)の半導体レーザ429は、対応する波長430の光子の33.3kWのビームを放射する。これらのビームは、980nmのビームを反射するが1020nm及び1000nmを伝送する波長フィルタ431を用いて結合され、99.9kWの3波長のビーム432をもたらす。第4の波長(960nm)の半導体レーザ433は、対応する波長434の光子の33.3kWのビームを放射する。これらのビームは、960nmを反射するが1020nm、1000nm、及び980nmを伝送する波長フィルタ432を用いて結合され、133.2kWの4波長のビーム436をもたらす。このビームは、例えば、反射光学系437において20mm×20mmのビーム寸法で1.1度の発散で光学結像システムに入射する。反射光学系は、波長に何ら依存性を有さず、ビームの結合能力に影響を与えない。ビームは、反射光学系438においてビーム結合光学システム401を出射する。該ビーム439は、光学システムへの通過の結果として強度が増加しており、現在、粉末のステンレス鋼等の金属の付加製造処理に十分な370kW/cm
2の強度をもたらす3.67度の発散で、6mmの幅で6mmの高さである。
【0058】
図4Cは、回折結像光学系444を用いて同じ又は複数の波長レーザ442からのビーム443を結合するビーム結合システム440の別の実施形態を図示する。回折光学素子は、ビーム443を受け取るために整形され得、又はパターニングされ得、十分に同じビーム軸に沿ってそれらを反射し得る。当然ながら、ビームを反射する回折光学素子が
図4Cに示されているが、他の実施形態では、回折光学素子は、ビームを伝送し得、又は、反射、透過、若しくはその他の適切なビーム操縦光学アセンブリ若しくはコンポーネントの組む合わせを用い得る。
【0059】
図5Aは、本明細書に開示されるような付加製造システムに有用な反射光学的アドレス光弁システム500Aである。反射光弁は、光パターニングための透明な半導体を通って光を伝送する必要がなく、そこでは、高平均出力レベルでは、小さな吸収量であっても、不要で最悪な加熱を引き起こし得る。反射光弁は、書き込みビーム及び読み出しビームが入射する側とは反対側での冷却と共に、反射面上の冷却をより容易にもし得る。
【0060】
図5Aに見られるように、反射光学的アドレス光弁システム500Aは、エネルギービームをパターニングする能力があり、高透過性レイヤ501、ねじれネマティック(TN)液晶レイヤ502、及び光伝導体レイヤ503から構成される。高透過性レイヤは、1000nm及び700nmの光に対して光学的に透明であり、504及び506の両側上に反射防止膜を有するガラス基板(C79-79石英ガラス)501から作られる。酸化インジウムスズ(ITO)導電膜は、高透明性レイヤ501及び505に利用される。レイヤ502は、基板507と509とを繋ぎ止めることを通じて506及び510に繋ぎ止められる。502の正確な間隔は、2倍の通路中に1000nmの光を通す場合の最大コントラスト比を調整する2.5ミクロンの間隙を画定するスペーサボール508の寸法によって与えられる。レイヤ503は、1000nmで反射するが700nmに対して透明である510で適用される高反射誘電体膜と共に、単一の結晶シリコン半導体で作られる。レイヤ511は、付着するはんだ点512を有し、且つ別のはんだ点513を通じてAC電圧原514を通じてレイヤ505に接続されるITOの別のレイヤである。光のパターニングされた書き込みビームは、700nmで投光源から放射され、504、501、505、506、507、502、509、及び510を通って伝送された後、503上に入射する。書き込みビームが503に当たると、電子が価電子帯から導電帯へ移動し、503の局所的な導電率を非常に増加させ、511から503、510、509、502、507、及び506を通って505へ電流を流せるようになる。TN液晶502を通って電流が流れると、それは、透過光の分極回転を引き起こす液晶502の回転を誘発する。“読み出し”ビーム516は、p-偏光され、504、501、505、506、507、502、及び509を通って伝送された後510上に入射し、該点で、それは、光弁システム500Aを出射するために509、502、507、506、505、501、及び504を通って逆に伝送される。このビームは、偏光子517上にその後入射し、偏光子517は、反射ビーム518をもたらすs-偏光を反射し、透過ビーム519をもたらすp-偏光を伝送する。該デバイスでの吸収は非常に低いとしても、HR膜509は完全には反射せず、幾らかのエネルギーは吸収される。このエネルギーは、放射、導電、又は対流冷却520によって除去される。
【0061】
図5Bは、書き込みビーム及び読み出しビームが異なる側から入射する一方の側での冷却を伴う別の反射光学的アドレス光弁500Bを図示する。該弁は、高透過性レイヤ521、ねじれネマティック(TN)液晶レイヤ522、及び光伝導体レイヤ523から構成される。高透過性レイヤは、1000nm及び700nmの光に対して光学的に透明であり、524及び526の両側上に反射防止膜を有するガラス基板(C79-79石英ガラス)521から作られる。酸化インジウムスズ(ITO)導電膜は、521及び525に利用される。レイヤ522は、基板527と529とを繋ぎ止めることを通じて526及び530に繋ぎ止められる。522の正確な間隔は、2倍の通路中に1000nmの光を通す場合の最大コントラスト比を調整する2.5ミクロンの間隙を画定するスペーサボール528の寸法によって与えられる。レイヤ523は、1000nmで反射する530で適用される高反射誘電体膜と共に、単一の結晶シリコン半導体で作られる。レイヤ531は、付着するはんだ点532を有し、且つ別のはんだ点533を通じてAC電圧原534を通じてレイヤ525に接続されるITOの別のレイヤである。光のパターニングされた書き込みビームは、700nmで投光源から放射され、付随的な対流/導電基板540を通って且つITO膜531を通って伝送された後、523上に入射する。書き込みビームが503に当たると、電子が価電子帯から導電帯へ移動し、523の局所的な導電率を非常に増加させ、531から523、530、529、522、527、及び526を通って525へ電流を流せるようになる。TN液晶522を通って電流が流れると、それは、透過光の分極回転を引き起こす液晶522の回転を誘発する。“読み出し”ビーム536は、p-偏光され、524、521、525、526、527、522、及び529を通って伝送された後530上に入射し、該点で、それは、光弁を出射するために529、522、527、526、525、521、及び524を通って逆に伝送される。このビームは、反射ビーム538をもたらすs-偏光を反射し、且つ透過ビーム539をもたらすp-偏光を伝送する偏光子537上にその後入射する。該デバイスでの吸収は非常に低いとしても、HR膜529は完全には反射せず、幾らかのエネルギーは吸収される。このエネルギーは、放射、導電、又は対流冷却540によって除去される。
【0062】
別の若しくは付加的な光学システム、チャンバーの設計、粉末処理システム及び方法、構造体の構成、部品の作成及び操作、複数の付加製造システムの使用、並びに自動化若しくは半自動化工場に適した高処理能力の製造方法を含む様々なシステムの実施形態のよりよい理解及び認識に役立つために、以下の開示は、開示のシステム、方法、及び構造体の様々な新たな側面の理解及び認識に役立つであろう。
【0063】
図6は、付加製造工程におけるレーザ光の再生利用のための例示的装置400の配置を図示する。装置600は、例示であって制限されないが、光源601、602、及び603等の1つ以上の光源を含んでもよい。幾つかの実施形態では、光源601、602、及び603はレーザを含んでもよい。或いは、固体レーザ等のその他の種類の光源が利用されてもよい。幾つかの実施形態では、光源601、602、及び603の各々又は少なくとも1つは、700nmでp-偏光の11.1kWを放射してもよく、7.9cm×7.9cmの寸法と発散で7.6mradとを有してもよい。光源601、602、及び603により放射される光のビームは、一連のミラーを含む第1の光学アセンブリ604により相互に多重化されてもよく、それ故、可及的にビームが相互に近接させることが可能である。これらのビームは、光学デバイス605によりその後再整形され混合されてもよく、33.3kW、4.7cm×4.7cm、発散で70.4mradのビーム6をもたらす。ビーム606は、空間的偏光弁上に入射してもよく、それは、ビーム8を供給するために、選択された画素の偏光をp-偏光からs-偏光へ回転することによってビーム606上に空間的偏光パターンマップを適用し得る。適切な変更と共に、ビームを供給するためにs-偏光からp-偏光へ回転することによって、選択された画素は形成され得る。更に他の実施形態では、部分的な回転によってグレースケールの画素が作り出され得る。偏光子609と相互作用すると、ビーム608のs-偏光状態は、ビーム610中に反射されてもよい。正確な断片(fraction)は、空間的偏光弁607によりパターニングされる光の断片の機能として与えられてもよい。ビーム10は、一連のミラー、再整形レンズ、波長板、又はその他の光学コンポーネントを含む第2の光学アセンブリ611に入ってもよく、7.9cm×7.9cmのビームに変更されてもよく、あたかもそれが元々の1つ以上の光源601、602、及び603と共に光源612であったかのようにシステムにその後再導入されてもよい。
【0064】
光再生利用のための工程は、1つ以上の光源601、602、及び603からの少なくとも1つの光のビームを含む複数の光のビームを多重化するステップを含み得る。複数の光のビームは、光の第1のビームを供給するために再整形され得、混合され得る。装置600の空間的偏光弁607は、光の第2のビームを供給するために光の第1のビーム上に空間的偏光パターンを適用する。装置600の偏光子609は、光の第3のビーム(例えば、ビーム610)を反射するために、光の第2のビーム608の偏光状態を分割する。装置600の第2の光学アセンブリ611は、光の第3のビームを光の第4のビーム中へ再整形し、光の第4のビームは、偏光子609を通って放射し偏光子609によって反射されない光の第5のビーム(例えば、ビーム613)をもたらすために、複数の光のビームの内の1つとして第1の光学アセンブリ604に導かれる。
【0065】
図7は、本開示に従って(極限では)元の半導体レーザ強度の2倍を達成するための偏光結合の例示的光学アセンブリ700を図示する。半導体レーザは、典型的には、ある偏光状態で約70~90%に偏光される。光をパターニングするために偏光回転の方法が用いられる場合、不要な偏光状態における光の10~20%が潜在的に役に立たなくなる(廃棄される)であろう。この損失を回避するために、伝送効率を向上すること若しくは2の因数で結果強度を増加させることの何れか一方又はそれら両方がなされるように偏光結合とパターニングとが用いられ得る。
【0066】
一実施形態では、第1の強度を備える2つ以上の光のビームが供給され、該2つ以上の光のビームの各々は、偏光され、大多数の偏光状態と少数の偏光状態とを有する。個々の偏光パターンは、2つ以上の光のビームの各々の大多数の偏光状態に適用され、2つ以上の光のビームは、第1の強度よりも大きい第2の強度を備える単一の光のビームを供給するために結合される。別の実施形態では、任意の偏光状態の2つ以上のレーザが用いられ得る。偏光子は、ビームをその(それらの)個々の偏光状態に分割するために用いられ、2つの実効ビームを作り出す空間的位置決めによって、相互に近接して対応する偏光状態のビームを空間的に積み重ねる。異なる偏光状態のこれら2つのビームは、それらの投射偏光状態に関連する光変調器をその後通過し、偏光状態パターンでビームにその後適用され、偏光結合によって続いてビーム結合される。この方法は、工程中の全ての光に用いられ、レーザ光のより高い利用を可能にし、それによって、よりよいシステム効率と共に偏光状態の変化に起因する損失の最小化ないし損失なしを実現する。
【0067】
光学アセンブリ700は、以下で記述される
図7に示したそれらのコンポーネントの幾つか又は全てを含んでもよい。光源701及び702は、高出力光子源として夫々用いられる。幾つかの実施形態では、光源701及び702は、20mmの幅×20mmの正方形ビームに整形され混合される1000nmで光子を放出する、各々33.3kWの出力を備えた半導体レーザアレイであってもよい。放射光は、光ビーム703及び704をもたらす大多数の状態pに90%が偏光されてもよい。放射光ビーム703及び704は、偏光子705及び706に夫々入射してもよい。偏光子705及び706は、光ビーム709及び7010をもたらすために少数状態s-偏光を反射してもよく、光ビーム709及び7010は、ビームダンプ7011に入射してもよい。偏光子705及び706は、光ビーム706及び707をもたらすためにp-偏光を伝送してもよく、光ビーム706及び707は、偏光回転光学的アドレス光弁712及び13に夫々入射してもよい。光弁712及び713の各々は、偏光パターンを作り出すために光ビーム706及び707に適用される同じ画像を有してもよく、光ビーム714及び715をもたらす所望パターンにおいてp-偏光からs-偏光へ“画素”の20%が空間的に反転してもよい。ビーム714及び715は、偏光子716及び717上に夫々入射してもよい。偏光子716及び717は、光ビーム718及び719をもたらすs-偏光を夫々反射してもよく、光ビーム718及び719は、該エネルギーの20%を含み、ビームダンプ720へ放出されてもよい。偏光子716及び717は、光ビーム721及び722をもたらすためにp-偏光を伝送してもよい。ビーム722は、半波長板723に入射してもよく、半波長板723は、半波長で全ての光子の偏光を回転し、それによって光ビーム724をもたらすためにp-偏光をs-偏光に回転させる。ビーム721及び724は、光ビーム727及び728をもたらすためにミラー725及び726上に夫々入射してもよい。ビーム727は、ビーム730をもたらすためにミラー729上に入射してもよく、p-偏光の偏光子731上に入射してもよい。s-偏光のビーム728は、偏光子731上に入射してもよく、偏光子731は、光ビーム732をもたらためにビーム728のs-偏光を反射してもよく、ビーム730のp-偏光を伝送してもよい。ビーム732は、初めの偏光が90%であることに起因して元々の強度の1.8倍となる総初期強度については、光源701または702からの単一偏光状態の2倍の強度のビームになることもあり、光弁712及び713で適用される偏光マップ画像の20%については、その強度よりも比例的に小さくなることもある。ビーム732での全伝搬強度は、放射された47.52kWの全伝送出力に対して初期強度の1.44倍であってもよい。元の20×20mmの正方形に結像され、最終強度は、発散角が維持されたなら11.88kW/cm2であってもよい。
【0068】
粉末床溶融付加製造において、(化学結合と共に又は化学結合なしに)粉末材料が処理される場合に完全な物を形成するために、粉末床の最上面(プリント面)上の位置に、十分なエネルギーの光学ビームのソース画像が向けられる。粉末床溶融付加製造に用いられる光学システムの分解能(又は画像サイズ)は、光学システムの又は結像システムに対する期間の最終光学系の焦点面とプリント面が一致するか否かに従い、結像動作を実行する光学系に対するレンズと画像面との間の距離が所定のレンズ配置に対して一定距離を十分取っているか否かに従う。粉末床溶融付加製造において大きな物をプリント可能にするためには、粉末床の最上面の全ての可能な位置上の分解能又は画像サイズを維持するために、プリント面上の画像位置及びレンズ間の距離の正確な制御が必要である。異なる粉末材料は、結合エネルギーの個々の閾値が異なると、光学ビームの異なる強度又はエネルギーを必要とし得る。粉末の種類又は粉末サイズの分配が変更される場合に強度の変更が必要であるならば、光学システムは、結像レンズの再取り付け又は再配置のために停止することが必要であり得る。
【0069】
強度及び分解能の変更に関する問題に対処するために、以下のように工程は記述される。
図8は、画像中継ガントリーを含み得る動的光学アセンブリの使用のためのステップを図示するフローチャート800である。ステップ810において、粉末床溶融付加製造システムにおいてプリントされる対象物に対する最小分解能(入射光の画素サイズ)を見つけるために情報が取得され、又は決定される。強度及び分解能の必要条件に従って、画像情報及び動的光学アセンブリの画像距離を含む入射光の倍率が計算される。倍率は、先行画像面での画像の第1のサイズをプリント面(粉末床の最上面)での画像の第2のサイズへ移動させてもよい。入射光は、エネルギー源から生じてもよく、画像情報が作り出され得る先行画像面を通過してもよい。工程800は、対象物の幾何学的データ、動的光学アセンブリの位置的回転制御データを格納することを含み得る。
【0070】
ステップ820において、工程800は、粉末材料に適した810で取得した倍率を実現するために、機械的アセンブリ及び1つ以上のレンズアセンブリを設定することを含み得る。機械的アセンブリ及びレンズアセンブリの1つの設定は、機械的アセンブリの回転、光学レンズの第2のセットの交換、又は光学レンズの第2のセットの除去を含んでもよい。
【0071】
ステップ830において、粉末床溶融付加製造の各々の連続するステップでプリント面(例えば、粉末床の最上面)上の所望の位置に先行画像面からプリント面へ入射光を向けるために、複数の回転が実行され得る。ステップ840において、動的光学アセンブリは、粉末床溶融付加製造の各々の連続するステップで先行画像面からプリント面(例えば、粉末床の最上面)の全ての位置までの一定の画像距離を維持するために複数の並進動作を実行し得る。粉末床又は光学アセンブリの垂直の動きは、最終レンズに関する粉末床の一定の分離を維持するために用いられ得る。
【0072】
工程800を実行するための装置は、ビルドプラットフォームにより支持された粉末床の最上面上に定量供給される粉末材料のレイヤを含み得る。先行画像面に配置された入射光のソース画像は、バレル中のレンズアセンブリ上に入射される。レンズアセンブリは、粉末材料に対して適切な倍率を有するために、光学レンズの第2のセットの交換をもたらすバレルの回転、光学レンズの第2のセットの除去、形状を変化する動的レンズの使用、電子的レンズ交換、ビーム向け直しシステム、電子光学的に制御される屈折ビーム操縦デバイス、又はそれらの組み合わせにより構成されてもよい。ソース画像とはサイズが異なる物体画像は、レンズアセンブリの通過後に現れ、レンズアセンブリの倍率に従って変更される。画像情報を含むビームは、先行ミラー上に入射し、補償ガントリー上に搭載されたミラーに向けられ、補償ガントリーでは、それは、ミラーに反射し、ビルドプラットフォームガントリー上に搭載された最終ミラー上にその後入射する。最終ミラーは、粉末床の最上面に向けて最終レンズを通って画像情報を含むビームに向けられ、物体画像は、その上に形成され得る画像面に再作成され、拡大される。粉末床上の粉末材料は、物体画像の形状を形成するために融解してもよい。ビルドプラットフォームガントリーは、粉末床の最上面上の指定位置がそのレイヤに対して結合されるまで、次の位置へその後移動する。粉末材料の新たなレイヤが再び定量供給され、ビルドプラットフォームは、ビルドプラットフォームガントリーまでの一定の距離を保つために、粉末材料のレイヤの厚さと等しい距離を下方に移動してもよい。付加製造工程の継続中、新たなレイヤのために該サイクルが開始する。
【0073】
図9Aは、本開示に従った粉末床溶融付加製造プリント工程における中間点の例示的シナリオ900を図示する。例示的シナリオ800は、固定されたビルドプラットフォーム930で被写界深度を制御しつつ、ビルドチャンバー中のコンポーネントを上方に移動することを示す。ビルドプラットフォーム930は、プリントサイクル中粉末が定量供給され得る1メートル×0.5メートルの領域を有してもよい。一実施形態では、ビルドプラットフォーム930は、ガントリーテーブル905の真下の位置に移動し、該位置に固定される。夫々3メートルの高さである垂直柱903(1)~903(4)は、ガントリーテーブル905上に搭載されたガントリー907を支持する。粉末定量供給ユニット910、圧縮機能911、及びミラー917は、水平面に並進移動するためにガントリー907上に搭載されてもよい。ガントリーテーブル905は、プリントが進行中であり得ることを反映するために
図8の粉末床920よりも高い位置で示されている。粉末床920は、完成の様々な段階で粉末レイヤ及びプリント物の両方を含む。粉末の新たなレイヤ925は、粉末拡散及び圧縮を含む粉末定量供給ユニット910から定量供給される。プリントヘッド(図示せず)から入射するビーム921は、粉末の新たなレイヤ925の位置923に衝突するビーム922になるためにミラー917に反射してもよい。粉末の新たなレイヤ925の位置923での粉末の融解、焼結、又は融合によってプリントは生じ得る。ミラー917と粉末の新たなレイヤ925の位置923との間の距離は、分解能の要求を満足するために厳密に制御される必要がある被写界深度である。矢印970は、ガントリー907、粉末定量供給ユニット910、ミラー917、及び幾つかの実施形態では囲まれたチャンバー又は壁を支持するガントリーテーブル905の上方向への移動を示す。この工程の間、ビルドプラットフォーム930は、位置が固定され、ガントリー907(並びに/又はチャンバー及びチャンバー壁)は、関係するビルドプラットフォーム930を移動する。この配置は、ビルドプラットフォームが大きく、且つ要求される正確さで垂直方向に容易に移動しない大量の重い材料を支持することが必要であり得る以下で記述する実施形態に特に有用である。
【0074】
幾つかの実施形態では、例示的シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、0.25平方メートルを超える領域を有してもよい。或いは、シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、0.5平方メートルを超える領域を有してもよい。或いは、シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、1平方メートルを超える領域を有してもよい。或いは、シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、5平方メートルを超える領域を有してもよい。或いは、シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、10平方メートルを超える領域を有してもよい。或いは、シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、50平方メートルを超える領域を有してもよい。
【0075】
幾つかの実施形態では、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、10キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、50キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、100キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、500キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、1000キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、2000キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、5000キログラムを超える質量を有してもよい。或いは、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、10,000キログラムを超える質量を有してもよい。
【0076】
幾つかの実施形態では、例示的シナリオ900のビルドプラットフォーム930は、0.25平方メートルを超える領域を有してもよく、例示的シナリオ900のプリント物を含む粉末床920は、10キログラムを超える質量を有してもよい。
【0077】
粉末床溶融技術は、金属、セラミック、及びプラスチック粉末から完全な物を形成するために粉末材料を処理する。個々の融解/焼結/合金化温度、又は相変化温度へ粉末を持っていくために、十分なエネルギーが必要である。粉末材料が相変化温度付近で始まる場合、相変化を完結するためにより少ないエネルギーが要求され得る。粉末床溶融付加製造は、レーザ又はその他のエネルギー源により運ばれるエネルギー量を削減するために粉末床の事前加熱の便益を受けてもよい。これは、粉末を結合するためにより低強度のレーザとより少ない滞在時間の使用を可能にし、処理速度を向上させる。
【0078】
応力集中を緩和し、機械的強度を増加させるために、金属等の幾つかの粉末材料に対して後処理の熱処理が要求されてもよい。後処理の熱処理は、所望の機械的又は電気的特性を向上させるために、制御温度アニール又は高速冷却を含んでもよい。粉末の事前加熱及び後処理の熱処理は、ビルドチャンバーの壁の内側に/ビルドプラットフォームの内側に加熱/冷却素子/温度センサを組み込み、フィードバックアルゴリズムで加熱/冷却の速度を制御することにより実現されてもよい。ビルドチャンバーの壁の内側に絶縁材料を用いることによって熱損失を削減してもよい。
【0079】
所望の粉末床及びチャンバーと共に使用するための適切な熱管理システムが
図9Bに関して論じられる。
図9Bは、本開示の実施形態に従ったレーザベースの粉末床溶融付加製造システム900Bの例示的装置を図示する。システム900Bは、プリントヘッド910Bの一部として、エネルギー源950及びエネルギービーム操縦システム/ドライバ955の両方を含む。光学機械的アセンブリ930(1)~930(N)は、プリントヘッド910Bに対するエネルギービームをシステム900Bを介して分配し得る。データ入力、監視、制御、及び様々なセンサを用いたフィードバック制御は、プロセッサ901及びメモリ940によって可能である。これらのシステムは、3次元対象物データ941、プリントヘッド制御942、ビルドプラットフォーム制御943、光学機械的アセンブリ制御944、及びビルドチャンバー制御945を含み得る。
【0080】
レーザベースの粉末床溶融付加製造システム900は、1つ以上のビルドチャンバーを含んでもよい。例証目的で制限することなく、システム900の1つ以上のビルドチャンバーがビルドチャンバー920B(N)として
図9Bに示され、ここで、Nは、1以上の正数である。ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)は、粉末材料を定量供給するための粉末定量供給ユニット922(1)~922(N)と、粉末材料により形成された粉末床を支持するためのビルドプラットフォーム924(1)~924(N)とを含んでもよい。ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の各々は、異なるサイズを有してもよく、粉末床溶融付加製造システム900内で相互に交換可能であってもよい。ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)は、構築の後、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)側からの粉末除去を容易にするための可動ドアを有してもよい。ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)は、粉末床溶融付加製造の間、雰囲気中に密封されてもよい。雰囲気は、真空、空気、窒素、アルゴン、又はヘリウムを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0081】
幾つかの実施形態では、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の壁/天井は、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の内側の熱環境を制御するために、加熱/冷却素子926(1)~926(N)及び温度センサ928(1)~928(N)を組み込んでもよい。
【0082】
幾つかの実施形態では、加熱/冷却素子926(1)~926(N)は、熱交換可能な流路であってもよい。流体は、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の外側で加熱又は冷却されてもよく、流体が流路を通って移動することによって壁/天井との熱交換を実行してもよい。流体は、油、水、蒸気、空気、窒素、アルゴン、又は冷却材を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0083】
幾つかの実施形態では、加熱/冷却素子926(1)~926(N)は夫々、抵抗加熱素子及び熱電子冷却素子であってもよい。
【0084】
幾つかの実施形態では、温度センサ928(1)~928(N)は、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の内側の壁/天井の内側に組み込まれた熱電温度計であってもよい。
【0085】
幾つかの実施形態では、温度センサ928(1)~928(N)は、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の内側の壁/天井の内側に組み込まれた赤外線カメラであってもよい。
【0086】
幾つかの実施形態では、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の各々は、熱損失を削減するために、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の壁/天井上に防熱板を含んでもよい。
【0087】
幾つかの実施形態では、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)は、壁/天井の部品として低熱伝導材料を含んでもよい。
【0088】
幾つかの実施形態では、ビルドチャンバー920B(1)~920B(N)の各々は、垂直移動可能であってもよく、又は粉末床溶融付加製造中に所定の高さに固定されてもよい。ビルドプラットフォーム924(1)~924(N)は、異なるサイズであってもよく、粉末床の可変の質量を支持してもよい。ビルドプラットフォーム924(1)~924(N)は、レール、車輪、又はその他の手段でビルドチャンバー920B(1)~920B(N)から取り外し可能であってもよい。
【0089】
図10は、構築動作中の粉末体積の要求を最小にする方法を記述する。工程1000は、本開示の実施形態に従った粉末床溶融付加製造システムでの粉末床溶融のための可変のプリントチャンバー壁をプリントすることを実現するために利用されてもよい。1010において、工程1000は、ビルドプラットフォームの支持面上に粉末床の第1のレイヤを形成するために粉末材料を定量供給することを含む。
【0090】
1020において、工程1000は、粉末床の第1のレイヤの溶融部分の外側に1つ以上の第1の壁を形成するために、粉末床の第1のレイヤの一部を選択的に溶融することを含んでもよい。1つ以上の第1の壁は、ビルドプラットフォーム上に粉末床の第1のレイヤの別の部分を含んでもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の第1の壁は、粉末材料を欠く領域を作り出すために、ビルドプラットフォームの内部の領域を囲む複数の壁を含んでもよい。1030において、工程1000は、粉末床の第1のレイヤ上に粉末床の第2のレイヤを形成するために、粉末材料を定量供給することを含んでもよい。1040において、工程1000は、粉末床の第2のレイヤの溶融部分の外側に1つ以上の第2の壁を形成するために、粉末床の第2のレイヤの一部を選択的に溶融することを含んでもよい。1つ以上の第2の壁は、粉末床の第2のレイヤの別の部分を含んでもよい。
【0091】
幾つかの実施形態では、1つ以上の第1の壁は、ビルドプラットフォームの第1の領域に渡って粉末床の第1のレイヤの別の部分を囲む複数の第1の壁を含んでもよい。更に、1つ以上の第2の壁は、粉末床の第1のレイヤの第2の領域であって、第1の領域よりも小さい第2の領域に渡って粉末床の第2のレイヤの別の部分を囲む複数の第2の壁を含んでもよい。
【0092】
幾つかの実施形態では、1つ以上の第1の壁は、ビルドプラットフォームの複数の境界の内の少なくとも1つの境界に沿った少なくとも1つの壁を含んでもよい。加えて、ビルドプラットフォームの複数の境界の内の1つ以上の境界を残すことは、1つ以上の構造壁を縁取ってもよい。幾つかの実施形態では、工程1000は、ビルドプラットフォームとビルドプラットフォームの支持面に垂直方向の1つ以上の構造壁との間に相対的な移動を生じさせることを更に含んでもよい。更に、工程100は、粉末床の第2のレイヤを形成するために、粉末床の第1のレイヤ及び1つ以上の第1の壁上に粉末材料を定量供給することを含んでもよい。更にまた、工程1000は、1つ以上の第1の壁の高さを増やすために、粉末床の第2のレイヤの一部を選択的に溶融することを含んでもよい。
【0093】
別の実施形態では、流体の流れを支持し得る管、空洞、又は多孔質部分(以下では“流体通路”と称す)を有するように一時的な壁が作られ得る。流体通路は、開放され得、又は部分的に閉鎖され得、外部の管、ホース、噴霧器、又はその他の流体伝達システムと整合するように形成され得る。熱管理を向上するために、空気、窒素、水、高温若しくはシリコーン油、又はその他の適切な気体又は液体が流体通路を通って循環し得、又は別の方法で移動し得る。熱管理は、急速冷却及び制御冷却の両方又は一方を含み得、流体は、(例えば、一時的な壁に形成された管を通って)循環し得、又は例えば、多孔質外壁部分に対して噴霧され得、滴り得、若しくははね得る。
【0094】
提案するスキームは、金属、プラスチック、又はセラミック部品をプリントするための粉末床溶融付加製造システムに実装されてもよい。提案するスキームの利用は、より具体的には、レーザ又は電子ビームの受け取り側上の機械のプリント床部分での使用に関して定義されてもよい。本開示の様々な実施形態において、粉末床溶融付加製造システムのプリントヘッドの1つ以上のエネルギー源は、ビルドチャンバーの壁をプリントするために制御されてもよい。これは、チャンバーの境界壁の排除を可能にし、部分集合の領域を作り出すことが可能になり得る。部分集合の領域/体積/空間の存在は、最小限の粉末の使用の助けになり得、粉末を欠く体積の作り出しを可能にする。これは、金、銀、及び銅等の高価な材料で作業する場合に特に有益であり、標準的なプリント体積の非常に大きな部分を余分な粉末が含み得る非常に大きな対象物での作業にも有益である。提案するスキームの下では、付加製造工程中に作り出された事前確定の壁付き領域中のビルド領域に渡って選択的に粉末が定量供給されてもよい。
【0095】
プリント床及びプリントヘッドは、典型的には、連続するレイヤに対して垂直に分離されるので、粉末及びプリント物を含む以前に堆積したレイヤを支持するためのプリントチャンバー壁が必要である。一実施例は、ぴったりと合った壁へ隆起することを含む。別の実施例は、各レイヤの間に、外壁(及び恐らくその構造的支持)をプリントすることを含む。この壁は、各プリントの後、切り取られて再生利用されてもよい。
【0096】
幾つかの実施形態では、囲壁の多く又は全ては隆起し、プリントされた壁の外側に落ちる粉末の捕獲のための囲壁によって形成された“おけ”を用いつつ、粉末のレイヤに対する粉末床領域を減らすために壁がプリントされてもよい。
【0097】
幾つかの実施形態では、隆起した壁は、全ての外周を意図しなくてもよい。例えば、粉末床がプリントステーション中に初めに入れられる時及び完成した床(粉末及びプリント物)がその後持ち上げ出される時に、フォークリフト又はその他の材料処理設備のための接続ポイントが必要であり得る。この領域のための限定的な壁のプリントは、プリントサイクルの間粉末を支持するために要求される残りの床を提供する。材料処理設備は、持ち上げポイントへの接続を得るために、このプリントされた壁を通ってその後“穴を開ける”可能性があり得る。幾つかの実施形態では、持ち上げ位置は、アルゴリズム又はユーザの配置によって構築前に決定されてもよく、肝要な位置に壁中に構築される。
【0098】
プリントされた壁は、プリントテーブルの形状に一致する必要はなく、以前のレイヤにプリントされた壁に正確に一致する必要もない。これは、適切な粉末定量供給設備及びロジックと共に、粉末が必要な壁付き領域間を覆うのに十分なだけ粉末を定量供給するようにできる。有利には、これは、非常に多くの時間、レイヤ毎の重さ及び/又は粉末を抑制できる。
【0099】
図11Aは、本開示に従ってビルドプラットフォーム1130上に粉末床1120が形成される例示的シナリオ1100を図示し、利用されてもよい。ビルドプラットフォーム1130は、0.25平方メートルの領域を有してもよく、粉末材料の粉末床1120を支持してもよく、それは、ビルドチャンバー1110の内側に0.5mの深さであってもよい。シナリオ1100は、プリントサイクルの最後又は中間であってもよい。ビルドプラットフォーム1130よりも下に、ビルドプラットフォーム1130が配置される水平面に対して45~60度であり得る傾斜した壁を備えたホッパー1140がある。幾つかの実施形態では、ホッパー1140は、オーガー(auger)1150を含み得る。
【0100】
図11Bは、ビルドプラットフォーム1131からの粉末床1121の分離が描写される別の例示的シナリオ1101を図示する。シナリオ1101は、プリントサイクルの最後又は様々な理由に起因して中止されるプリントサイクルの中間であってもよい。ビルドチャンバー1111の内側では、粉末床1121を支持するビルドプラットフォーム1131が水平の位置から90度を超えて傾けられてもよい。粉末床1121の重さに起因する重力は、粉末床1121内にはめ込まれた粉末材料及びプリント物をホッパー1141中に落とす。ビルドチャンバー1111は、粉末の大部分がホッパー1141中に収集され得るように掃除機1160及び高圧ジェット1162を含んでもよい。掃除機1160及びガスジェット1162は、ビルドプラットフォーム1131の傾斜後ビルドプラットフォーム1131上に残った不要な粉末を除去するために使用されてもよい。ホッパー1141は、ホッパー1141の底への粉末の誘導を助けるための傾斜した壁を有してもよい。ホッパー1141は、オーガー1151を含んでもよい。
【0101】
処理は、プリントサイクル中の粉末床の形成において、粉末材料の複数のレイヤを定量供給するための粉末定量供給アセンブリを制御することを含み得る。粉末定量供給アセンブリの垂直動作は、粉末床から一定距離を維持するように制御され得る。垂直動作は、定量供給された粉末レイヤの一部が相互に結合された後、定量供給された粉末レイヤの厚さに等しい距離だけ粉末床から粉末定量供給アセンブリを(例えば、上方へ)離し得る動作をもたらす。残りの粉末を除去するために、ビルドプラットフォームの移動は、回転、傾斜、反転、震動、振動、及び/又は微小振動を含んでもよい。これらの動作の結果として、ビルドプラットフォーム上の粉末床は、粉末床の重さに起因して、ビルドプラットフォームより下のホッパー中に落ちてもよい。掃除機システム、機械的アーム、及び/又はガス噴霧器は、ビルドプラットフォーム上の残りの粉末を更に除去するために用いられ得る。それ故、粉末材料の大部分は、再生利用のため又は貯蔵のためにホッパーに収集されてもよい。幾つかの実施形態では、ホッパー中の収集された粉末を1つ以上の貯蔵室へ運ぶためにオーガー及び又はコンベヤーが用いられ得る。別の工程の実施形態では、粉末材料の大部分は、粉末材料に適した雰囲気で1つ以上の貯槽室に密封され得る。雰囲気は、真空、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、その他の不活性ガス、又は希ガスを含んでもよい。
【0102】
図12A及び
図12Bは、長い部品の製造のためのシステムを図示する。多くの現在の3次元プリンタは、次のプリントジョブのためにビルドチャンバーが粉末及びプリント部品を出して空の状態にされ、リセットされなければならない場合に著しく且つ頻発するダウン時間を有する。以下の記述では、統一座標システム1211が定義される。したがって、幾つかのシステムは、相互に直交する縦方向、横方向、及び横断方向1211a、1211b、1211cに対応してもよい。縦方向1211aは、システムの長軸に対応してもよい。したがって、付加製造中、長い部品1210の長軸が、縦方向1211aと十分揃えられてもよい。横方向1211bは、水平面を定義するために縦方向1211aと結合されてもよい。すなわち、縦方向及び横方向は共に、水平面内に延伸してもよい。横断方向1211bは、重力と一直線になって上下に延伸してもよい。
【0103】
選り抜きの実施形態では、本発明に従ったシステム及び方法は、上記のダウン時間を有しない十分に連続的な付加製造を可能にしてもよく、又は支持してもよい。
図12A及び
図12Bを参照して明らかなように。これは、部分的に部品1210を製造することにより達成されてもよい。例えば、システムは、(1)部品1210の第1の区分1212aを製造し得、(2)下方のコンベヤー1216により選択された距離だけ部品1210を前進させ得、(3)部品1210の第2の区分1212bを製造し得、(4)下方のコンベヤー1218により選択された距離だけ部品1210を前進させ得、(5)部品1210の全ての区分が仕上がるまで繰り返され得る。この方法では、付加製造と清掃(例えば、未使用又は非融合の粒状材料の分離及び/又は再利用)とがコンベヤー上の別の位置又は区域で並行して(例えば、同時に)実行されてもよい。それ故、本発明に従った付加製造は、粒状材料及び/又は部品の除去のために停止する必要がない。
【0104】
システムは、複数の区域1236a~cを定義し得、又は含み得る。異なる区域で異なる作業が実行されてもよい。選り抜きの実施形態では、異なる区域は、コンベヤーに沿った異なる位置に対応してもよい。したがって、コンベヤーは、システムの様々な区域を通って部品を前に進めてもよい(矢印1232で示される方向に平行移動させてもよい)。幾つかの実施形態では、システムは、3つの区域1236a、1236b、1236cを含んでもよい。第1の区域1236aは、付加製造が生じるコンベヤーの部分に対応してもよく、含んでもよく、又は及んでもよい。それ故、第1の区域1236aは、粒状材料144の様々なレイヤが生み出され、且つ粒状材料が部品との親密な接触を維持するコンベヤー上の領域に対応してもよい。
【0105】
第2の区域1236bは、第1の区域1236aに直接続いてもよい。第2の区域1236bは、粒状領域の非融合部分の相当な部分が部品から立ち去ることによって特徴づけられてもよい。例えば、第2の区域1236bでは、粒状材料の非融合部分が横方向1211bにもはや全く含まれ得ないように、1つ以上の壁が終了されてもよく又は除去されてもよい。結果として、粒状材料の非融合部分の幾らかは、1つ以上のプレートの側面、又はコンベヤー等から離れてこぼれ落ちてもよい。こぼれ落ちる粒状材料は、それが収集又は再利用され得る1つ以上のコンテナ中に落ちてもよい。
【0106】
第3の区域1236cは、第2の区域1236bに直接続いてもよい。第3の区域1236cは、部品1210が横及び横断方向1211b、1211cにおけるその位置を変えることなく、第3の区域1236c内の部品1210の一部が現れてくる(例えば、粒状材料の非融合部分の相当部分の除去又は移動によって完全に、相当に、又は部分的に現れてくる)ことによって特徴づけられてもよい。
【0107】
例えば、幾つかの実施形態では、部品1210の末尾部分が第1の区域1236a内で依然製造されつつ、部品1210の先頭部分は第3の区域に到達してもよい。したがって、選り抜きの実施形態では、第1の区域1236a及び第2の区域1236b内を占める先頭部分と横及び横断方向1211a、1211cの同じ位置に部品1210の先頭部分を維持するように、コンベヤー、1つ以上のプレート、1つ以上の一時的支持1223、若しくは1つ以上の壁等、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせは、協働してもよい。それ故、第1の区域1236aにおいて部品1210の末尾部分上で生じている付加製造を部品1210の先頭部分の位置が過度に中断させたり、ゆがめたり等しなくてもよい。
【0108】
選り抜きの実施形態では、部品1210の外側にある粒状材料の非融合部分の全ては、第2の区域1236bにおいて、又は第2及び第3の区域1236b、1236cの幾らかの組み合わせ内で除去されてもよい。しかしながら、幾つかの別の実施形態では、無傷の4つの壁と共に床がコンベヤーから除去されてもよい。したがって、粒状材料の非融合部分の全て又は幾らかは、第1の区域1236aから少し離れて間隔が空いたステーションにおいて除去されてもよい。
【0109】
別の実施形態では、より下の区分又は区域から後続のより高い区分又は区域へ移行するために傾斜が用いられてもよい。例えば、末尾の壁が後続のより高い区分の先頭の壁になり得るように、より低い区分の大部分よりも付加製造の工程によってより低い区分に対応する末尾の壁がより高く構築されることを傾斜は可能にする。傾斜を構築することは、末尾の壁のみが構築されている場合に仕上がったレイヤ(例えば、より低い区分全体を覆うレイヤ)を建造することよりも非常に速くてもよい。
【0110】
傾斜は、1つ以上の方向(例えば、縦方向1211a)の長さが徐々に変わる粒状材料の複数のレイヤを含んでもよい。例えば、傾斜内において、次に続く各レイヤは、直接先行するレイヤよりも長さが短くてもよい。水平に対して傾斜がもたらす角度は、粒状材料に対する臨界安息角よりも小さくてもよい。したがって、傾斜を形成する粒状材料は、安定してもよく、それに起きる重力加速度に起因してはがれなくてもよく、移動しなくてもよい。
【0111】
動作中、粒状材料の粒子の第1のレイヤが分配され得、選択された粒子の部分を形成する第1のレイヤ内の全ての粒子に放射エネルギーが向けられてもよい。粒状材料の粒子の第2のレイヤは、第1のレイヤの最上部に渡って分配され、選択された粒子の部分を形成する第2のレイヤ内の全ての粒子に放射エネルギーが向けられる。第1のレイヤは、第1の平面を画定し得、第2のレイヤは、第1の平面に平行な第2の平面を画定し得る。幾つかの実施形態では、第1及び第2の平面は、共に水平面である。他の実施形態では、第1及び第2の平面は共に、ゼロよりも大きく粒状材料の臨界安息角以下である、水平に対する角度で延伸し、傾斜を形成する。
【0112】
図13Aは、粉末床1304を備える粉末チャンバー1302を含む付加製造システム1300を図示する。システム1300は、指定された処理領域である処理プラットフォーム1320、別の粉末チャンバー、塗装ステーション、コンベヤー、運送コンテナ、又はその他の必要な製造システムコンポーネントをも含み得る。システム1300は、その付加製造操作点1332により部品1330をつかむことが可能な遠隔操作機1312を備えたロボットアーム1310をも含む。センサシステム1334は、ロボットアーム1310に搭載され得、又は粉末チャンバー1302の上、内、又は近くに搭載され得る。
【0113】
締め付け補足器具を備える自由な単一のロボットアームの6レベルが図示された操作デバイスであるが、その他のオートメーション化された、機械的、又は手動の実施形態が用いられてもよい。例えば、クレーン、リフト、油圧アーム、クランプ、軌道若しくはレール、ピン留め装置、又は任意のその他の種類の手動若しくは自動の制御可能操作デバイスが用いられ得る。操作デバイスは、粉末チャンバー1302の傍、上、近く、又は内に搭載され得る。或いは、操作デバイスは、粉末チャンバーより上、近く、又は内に位置するレール上に移動可能に搭載され得る。幾つかの実施形態では、複数の操作デバイスが用いられ得る。
【0114】
操作デバイスは、位置、深さ、レーザスキャニング、又は同様のセンサシステム1314を含み得る。センサは、遠隔操作機上又は近くに搭載され得、その他、ロボットアーム上、粉末チャンバー又は処理プラットフォーム1320の上、近く、又は内に搭載され得る。幾つかの実施形態では、センサは、ヒンジで連結されたレール、油圧ピストン、又はセンサの回転、持ち上げ、押し下げ、振動、又は横方向スキャンに用いられるその他の適切な作動装置で移動され得る。幾つかの実施形態では、従来のRGB CMOS又はCCDセンサが単独で、又は専用の深さセンサ若しくは光学エッジ追跡検知システムと組み合わせて用いられ得る。実施形態は、部品の3次元位置の特定を向上させるために選択され得、識別及び使用ガイド、マーカー、又はその他の検出可能な位置決めのしるしを含む。
【0115】
図13Bは、その付加製造操作点1332の内の1つにより部品1330を持ち上げ、再配向するロボットアーム1310を備えた、
図13Aに関して記述したシステムを図示する。幾つかの実施形態では、部品1330は、持ち上げられ得、回転され得、直線的に移動され得、更なる処理のために粉末床1304上に戻され得る。
【0116】
図13Cは、その付加製造操作点1332の内の1つにより部品1330を持ち上げ、再配向するロボットアーム1310を備えた、
図13Aに関して記述したシステムを図示する。この実施形態では、部品1330は、持ち上げられ、回転され、更なる処理のために処理プラットフォーム1320上に戻され得る。
【0117】
図14は、様々な可能な付加製造ロボット操作点を含む部品1400を図示する。部品1400は、ロボット操作点としての役割を果たし得る、内部構造体又は空洞(すなわち、1410、1412、及び1416)と共に、様々な突出した構造体(すなわち、1402、1404、1406、1408、及び1414)を支持する。図において、構造体1402は、部品1400への2つの狭い接続点を有する三日月状のタブである。タブ部分は、機械的切抜き、切断、押し抜き、若しくは穴開けによって、又は向けられたエネルギービームによって構造体1402の除去を狭い接続点が簡易にしつつ、挟む若しくはつまむ補足器具を有する遠隔操作機で容易に噛み合うことを可能する。同様に、ピン1404は、挟む若しくはつまむ補足器具によって、又はピン1402を保持するために囲って締め付ける“少量”保持型噛み合わせシステムによって噛み合い得る小さな突出した構造体である。長方形のタブ1406は、単一の狭い点に付着され、所望の領域/位置に部品が移動した後、幾つかの実施形態の遠隔操作機が該タブをねじって解放できるようにする。機械的切抜き又はエネルギービームによる後の除去を簡易にするための2つの点に再付着されたプレート1408は、遠隔操作機による噛み合わせを簡易にするために相対的に長く且つ幅が広い。
【0118】
部品1400の付加製造は、くぼみ、ランド、空洞、穴、又はロボットアームでの噛み合わせの確実性を向上させるが部品の機能に大した影響を与えない内部で画定されたその他の構造体を含むように設計され得る。例えば、角柱固定空洞1410は、ピン又は締め付けシステムを該空洞との噛み合わせに導き得る。或いは、部品1400で画定される切欠き部1412を噛み合させるために拡散型の把持部が用いられ得る。必要に応じて、除去可能な突出タブにおいて空洞又は開口1416も画定され得る。幾つかの実施形態では、相当の付加製造部品中の空洞又は開口は、減算(subtractive)機械工法、掘削、押し抜き、又はエッチングされる材料の除去若しくは向けられたエネルギービームによって画定され得る。幾つかの実施形態では、使用後、空洞は、付加製造システムを用いて、熱硬化性プラスチックの使用、又は任意のその他の適切な充填技術によって充填され得る。
【0119】
幾つかの実施形態では、突出タブ又は空洞位置を用いて部品の正確な位置を特定する結像若しくはその他の光学センサの使用によって、部品の2次元又は3次元位置の位置決めが向上され得る。その他の実施形態では、移動後の3次元位置決めの噛み合わせのための指針を向上させるために、突出構造体又は部品そのものの上にマーキング光学ガイド又はしるしが付加的に形成され得、機械又はレーザで刻みこまれ得る。
【0120】
一実施形態では、以下のステップを伴って処理が生じ得る。最初のステップにおいて、粉末チャンバー中の粉末床上に材料が配置される。そして、2次元のパターニングされたエネルギーの向けられたビームを用いて、1つ以上の操作点を含む部品が製造される。遠隔操作機は、操作点を噛み合わせ得、部品を粉末床から離れて持ち上げ得る。部品は、再処理のために粉末床上に再配置され得、或いは粉末床及びチャンバーから離れて新たな処理領域へ移動させられ得る。任意のステップにおいて、操作点は除去され得(例えば、突出タブが機械的に切り取られ)、又は塞がれ得る(例えば、付加的に画定された穴又は空洞がエポキシ樹脂で充填される)。
【0121】
図15は、プリント工程中における粉末材料の粉末試料の収集及び特性評価の例示的工程1500を図示する。工程1500は、粉末床又は粉末分配アセンブリから粉末試料を収集するために使用され得、本開示に従って試験室においてリアルタイムで粉末試料を特性評価する。1510において、工程1500は、プリントサイクル中でのプリント物の形成において、粉末材料の複数の粉末試料を収集するための採取機(ingester)を制御することを含み得る。粉末材料は、金属、セラミック、プラスチック粉末、又は熱エネルギーにさらされながら相互に結合可能なその他の適切な粉末を含んでもよい。採取機は、プリント工程中に所定間隔で、又は不規則に、又は所定段階で定期的に粉末試料を収集し得る。例えば、粉末試料は、10分毎の間隔で、又はプリント工程の1/5及び4/5の完了時のみに収集され得る。採取機は、粉末床又は粉末定量供給アセンブリから流入粉末を転用するための装置を含む。採取機はまた、分析に幾つの試験が必要かに従って、転用されている粉末の量を制御してもよい。1520において、工程1500は、試験の1つ以上の試験を実施するための試験室を制御することを含む。幾つかの実施形態では、プリント物の機械的、電気的、又は光学的特性を保証するための一定範範囲内で、粉末材料の1つ以上の具体的特性が厳密に制御される必要があってもよい。他の実施形態では、プリント工程中の粉末の特徴は、監査目的で保持される必要があってもよい。試験室は、1つ以上の試験を実施するための機能を有する器具を含み得る。図示の目的であって限定することなく、第1の試験は、粒子サイズ分析装置によって粉末サイズの分配を測定してもよく、第2の試験は、比重瓶によって粉末試料の密度を測定してもよく、第3の試験は、ガスクロマトグラフィー質量分析によって粉末試料内の物質を特定してもよい。1530において、工程1500は、プリント工程に用いられる一式のプリントパラメータを変更するか否か、又は試験からの特性評価結果に従ってプリント工程を中止するか否かを判定することを含んでもよい。該判定は、入力としての特性評価の結果を用いた一式のモデルに基づくコンピュータシミュレーションを含んでもよい。粉末試料は、証明又は不十分な処理条件なしに粉末に対する不必要な変化を受けたかもしれない。試験は、プリント工程中に粉末の特性についてリアルタイムのフィードバックを提供してもよい。1つ以上のプリントパラメータは、試験の結果に従って変更されてもよい。例えば、粉末を融解又は焼結するために必要な単位当たりのエネルギーに影響を与え得る特定の粉末密度の逸脱をガスクロマトグラフィーが測定する場合に、エネルギー入射ビーム強度が増加又は減少されてもよい。プリントヘッドにより供給される入力ビームの滞在時間、又は粉末定量供給アセンブリにより定量供給される粉末レイヤの厚さも、エネルギーの必要な変化のために調整されるように制御され得る。特定の粉末密度への単位体積当たりのエネルギーの分配が大きすぎる場合には、プリントヘッドの内部のエネルギー源が粉末の溶解のための要求に合っていないため、プリント工程は停止又は中止され得る。別の実施例では、粉末試料内の汚染物は、ガスクロマトグラフィーによって検出されてもよく、それは、プリント物の1つ以上の電気的、機械的、及び光学的特性に影響を与え得る。更にその他の実施形態では、劣った付加製造結果をもたらすような無認可の粉末を含む、無認可の粉末又は危険な粉末の使用を特性評価が示す場合には、プリント工程は停止され得る。
【0122】
幾つかの実施形態では、粉末試料の工程中の(リアルタイムの又は原位置での)特性評価の結果に基づく最終プリント品質の予測は、一式のモデルを用いてシミュレーションにより実施されてもよい。例えば、プリント物の寸法制御は、入力ビームの分解能と融解部分の境界に渡る粉末の温度勾配とに依存し得る。温度が境界に渡って十分急速に落ちず、寸法的な要求の許容範囲を超える結果をもたらす場合、融解部分は、意図した境界を越えて広がり得る。粉末の組成及びサイズ等の粉末の特性に基づいて熱伝導速度を計算する熱伝導モデルによって温度勾配はシミュレーションされてもよい。シミュレーションモデルによるプリント物の予測寸法が寸法要求の許容範囲を超える場合、プリント工程は中止され得る。
【0123】
1540において、工程5100は、複数の試料容器中に粉末試料を貯蔵することを含んでもよい。試料容器は、工程中の特性評価又は後の監査目的に適し得ない分析のために貯蔵されてもよい。貯蔵容器は、試料容器の内部の工程中の(リアルタイムの又は原位置での)雰囲気に実質的に等しい雰囲気で粉末試料を梱包できてもよい。雰囲気は、真空、空域、又は窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム、若しくはその他の希ガス等の不活性ガスであってもよい。
【0124】
図16を参照すると、本発明に従った製造設備1624は、エンクロージャ1626内に含まれる1つ以上の機械1610を含んでもよい。こうしたエンクロージャ1626は、要望又は必要通りの1つ以上の環境条件を制御してもよい。例えば、エンクロージャ1626は、望まない熱的、化学的、光子の、放射性の、若しくは電子的反応若しくは相互作用等、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせから、プリントされた又はプリント予定の材料を保護してもよい。エンクロージャ1626はまた、熱、UV光、化学反応、放射性崩壊生成物、及びレーザ露光等の機械又は機械粉末1610の潜在的に有害な局面から人間オペレータ又はその他の近くの職員を保護してもよい。
【0125】
特定のエンクロージャ1626内に含まれる1つ以上の機械1610は、様々なサイズの内の同じサイズであってもよい。同様に、特定のエンクロージャ1626内に含まれる1つ以上の機械1610は、様々なサイズの内の同じサイズであってもよい。例えば、選りすぐりの実施形態では、エンクロージャ1626内の1つ以上の機械1610の各々は、一回分の工程で特定の粒状材料を融合(例えば、一体化、結合、溶融、焼結、又は融解等)してもよい。他の実施形態では、エンクロージャ1626内の1つ以上の機械1610の各々は、連続する工程で、特定の粒状材料を融合してもよい。更にその他の実施形態では、エンクロージャ1626内の1つ以上の機械1610が連続する工程で特定の粒状材料を融合しつつ、エンクロージャ1626内の1つ以上の機械1610が一回分の工程で特定の粒状材料を融合してもよい。
【0126】
幾つかの実施形態では、製造設備1624は、対応するエンクロージャ1626に対する1つ以上の副チャンバー(antechambers)を形成する1つ以上の気密室1628を含む。気密室1628は、エンクロージャ1626内の環境(例えば、低酸素又は不活性ガス環境)を危うくすることなくエンクロージャ1626の内外を部品、材料144、又は職員等が通過できるようにしてもよい。気密室1628は、少なくとも2つの気密(又は十分な気密)ドア1630a、1630bを含んでもよい。気密室1628の第1のドア1630aは、気密室1628の内部と対応するエンクロージャ1626の内部との間を部品、材料144、又は職員等が通過できるようにしてもよい。気密室1628の第2のドア1630bは、気密室1628の内部と対応するエンクロージャ1626を囲む外部環境とのを部品、材料144、又は職員等が通過できるようにしてもよい。気密室1628は、エンクロージャ1626の内部に適合する状態とエンクロージャ1626の外部環境に適合する状態との間で気密室1628内のガス環境を効果的に移行することの要望又は必要性として、気密室1628を浄化及び/又は通気し得るガス交換システム(図示せず)をも含んでもよい。
【0127】
機械1610を接続し、そこから部品を除去し、又は再利用のために非融合の粒状材料144を吸引する等のための1つ以上の人間作業員又はロボット等に対して、機械1610の周囲の十分な空間が維持され得るように、1つ以上の機械1610はエンクロージャ1626中に配置されてもよい。或いは、又はそれに加えて、エンクロージャ1626は、1つ以上の人間作業員又はロボット等が機械1610を上記から接続(例えば、視覚的接続、物理的接続)できるようにする様々なガントリー又は狭い通路(catwalk)を含んでもよい。これは、ある作業にとってその端又は側面からの接続が不十分であり得る1つ以上の大きな機械1610をエンクロージャ1626が含む場合に有用であり得る。
【0128】
幾つかの実施形態では、製造設備1624は、エンクロージャ1626内の気体の組成を制御する1つ以上のガス管理システム1632を含んでもよい。ガス管理システム1632は、所望濃度(例えば、容量で約99.9%以上のアルゴン)を上回る不活性又は十分な不活性ガス(例えば、真空、窒素、アルゴン、若しくは二酸化炭素等、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせ)の濃度を維持してもよい。或いは、又はそれに加えて、ガス管理システムは、大気中濃度を下回る酸素及び/又は水蒸気の濃度を維持してもよい。例えば、一実施形態では、所望濃度は、気体酸素に対する容量で0.05%を下回ってもよく、水蒸気に対する容量で0.05%を下回ってもよい。
【0129】
エンクロージャ1626内のガス環境は、エンクロージャ1626内に入って作業する必要があり得る1人以上の人間の呼吸条件に不適合であってもよい。したがって、本発明に従ったあるエンクロージャ1626内で作業するために、1人以上の作業員は、個人用保護具(PPE)を着用してもよい。その後、作業員がエンクロージャ1626に入る場合に、PPEは、作業員とエンクロージャ1626内の作業環境との間の障壁を作り出してもよい。
【0130】
選り抜きの実施形態では、1人以上の作業員が着用するPPEは、自給式呼吸器(SCBA)を含んでもよい。SCBAは、呼気ガス(例えば、再呼気)をろ過し、補足し、再循環し、又は格納する閉鎖循環式デバイスであり得る。或いは、SCBAは、少なくとも幾らかの呼気ガス(例えば、窒素、二酸化炭素、酸素、水蒸気、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせ)を周辺環境中へ排出する開放循環式デバイスであってもよい。開放循環式デバイスが用いられる実施形態では、エンクロージャ1626内の1人以上の作業員が排出する量は、エンクロージャ1626の特大なサイズに対して極めて小さくてもよい。したがって、エンクロージャ1626の内部への酸素又は水蒸気等の放出は、無視できる程に、又は少なくとも許容限界内(例えば、調整のためのガス管理システム1632の能力内)程に十分小さくてもよい。
【0131】
図17を参照すると、選りすぐりの実施形態では、製造設備は、ネットワーク1740を形成するための1つ以上のインタフェース装置1728により接続される複数の作業領域1724を含んでもよい。ネットワーク1740等を形成する1つ以上の作業領域1724は、エンクロージャ1726内に含まれてもよい。ネットワーク1740等を形成する1つ以上の作業領域1724は、エンクロージャ1726を必要としなくてもよく、それ故、その中に含まれなくてもよい。ネットワーク1740等を形成する1つ以上の作業領域1724は、1つ以上の建造物内に含まれてもよい。例えば、選りすぐりの実施形態では、ネットワーク1740等を形成する様々な作業領域1724の全ては、単一の建造物内に含まれてもよい。そうした実施形態では、エンクロージャ1726内に含まれる任意の作業領域1724は、建造物により提供される環境条件よりもよりよい環境条件を必要とする作業領域1724であってもよい。
【0132】
ネットワーク1740の様々な作業領域1724は、ある製造関連工程に対応して画定されてもよく、及び/又は配置されてもよい。そうした工程は、付加製造を介して部品を製造することと、部品を作り出した機械から部品を除去することと、非融合の粒状材料を除去することと、基板若しくは床、1つ以上の支持構造体(例えば、完成部品内に含まれない付加製造中に部品を支持するためにプリントされた1つ以上の一時的な構造体、部品を介して延伸する1つ以上の移動する壁の外側部分等)から部品を分離すること等と、熱処理することと、ピーニングすることと、粉末塗装すること、ペインティングすること、若しくは陽極酸化処理することと、発送のために梱包することと、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせを含んでもよい。
【0133】
例えば、選りすぐりの実施形態では、ネットワーク1740は、エンクロージャ1726により提供された不活性環境での粉末床溶融のための第1の作業領域1724a、エンクロージャ1726においてビルドプラットフォーム146から粒状材料144を除去するための第2の作業領域1724b、エンクロージャ1726において表面仕上げを向上させるショットピーニングのための第3の作業領域1724cと、エンクロージャ1726において金属部品を熱なましする熱処理のための第4の作業領域1724d、エンクロージャ1726においてビルドプラットフォームから部品を除去するための第5の作業領域1724e、梱包及び発送のための第6の作業領域1724f等、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせを含んでもよい。
【0134】
第1の作業領域1724aにおいて、1つ以上の機械がエンクロージャ1726内に含まれてもよい。機械は、様々なサイズの内の全て同じサイズであってもよい。同様に、1つ以上の機械は、様々なサイズの内の全て同じサイズであってもよい。例えば、選りすぐりの実施形態において、エンクロージャ1726内の1つ以上の機械の各々は、一回分の工程において特定の粒状材料を融合(例えば、一体化、結合、溶融、焼結、又は融解等)してもよい。他の実施形態では、エンクロージャ内の1つ以上の機械の各々は、連続する工程で、特定の粒状材料を融合してもよい。更にその他の実施形態では、エンクロージャ内の1つ以上の機械が連続する工程で特定の粒状材料を融合しつつ、エンクロージャ内の1つ以上の機械が一回分の工程で特定の粒状材料を融合してもよい。
【0135】
機械を接続し、そこから部品を除去し、又は再利用のために非融合の粒状材料を吸引する等のための1つ以上の人間作業員又はロボット等に対して、機械の周囲の十分な空間が維持され得るように、第1の作業領域1724aの1つ以上の機械は配置されてもよい。或いは、又はそれに加えて、第1の作業領域1724aは、1つ以上の人間作業員又はロボット等が機械を上記から接続(例えば、視覚的接続、物理的接続)できるようにする様々なガントリー又は狭い通路を含んでもよい。これは、ある作業にとってその端又は側面からの接続が不十分であり得る1つ以上の大きな機械を第1の作業領域1724aが含む場合に有用であり得る。
【0136】
第2の作業領域において、非融合の粒状材料は、様々な方法を介してビルドプラットフォームから除去されてもよい。例えば、部品の周囲から非融合の粒状材料を収集し、ビルドプラットフォーム又は床等から取り去るために、手動又はロボット制御で制御される(例えば動かされる)収集部を有する掃除装置が用いられてもよい。或いは、又はそれに加えて、ある隙間から非融合の粒状材料を除去し、ビルドプラットフォーム若しくは床から非融合の粒状材料を掃き去り、及び/又は掃除によって接続され得る1つ以上の位置へ非融合の粒状材料を移動するために、手動又はロボット制御で制御される(例えば、標的にされる)1つ以上の加圧ガス流が用いられてもよい。
【0137】
選りすぐりの実施形態では、第1及び第2の作業領域1724a、1724bは、図示されるような分離したエンクロージャ1726内に含まれてもよい。他の実施形態では、第1及び第2の作業領域1724a、1724bは、同じエンクロージャ1726内に含まれてもよい。更に、幾つかの実施形態では、第1及び第2の作業領域1724a、1724bは、時間内で一時的に引き離されてもよい(例えば、ある作業領域1724aに対応する1つ以上の作業が他の作業領域1724bに対応する1つ以上の作業よりも異なる時間で実行されてもよい)が、少なくとも幾つかの段階で地理的に重なり合ってもよい。
【0138】
或いは、第1及び第2の作業領域1724a、1724bは、幾つかの段階で一時的に重なり合ってもよい(例えば、ある作業領域1724aに対応する1つ以上の作業が他の作業領域1724bに対応する1つ以上の作業と同時に実施されてもよい)が、相互に地理的に隣接してもよい。そうした実施形態では、機械の第1の区域は、第1の作業領域1724aに対応してもよく、又は第1の作業領域1724aであってもよく、第2の区域(又は第2及び第3の区域に組み合わせ)は、第2の作業領域1724bに対応してもよく、又は第2の作業領域1724bであってもよい。
【0139】
第3の作業領域1724cにおいて、ピーニング工程が1つ以上の部品に手動又はロボット制御で適用されてもよい。例えば、選りすぐりの実施形態では、手動又はロボットシステムは、部品の表面仕上げを向上させるためのピーニング工程において、投射材と同じ粒状材料(すなわち、部品を作り出すために用いられた同じ粒状材料)を用いてもよい。
第4の作業領域172dにおいて、エンクロージャ1726は、1つ以上の部品を熱処理するためのオーブンであってもよく、又はオーブンを含んでもよい。そうしたエンクロージャ1726は、それ故、かなりの熱量を生成してもよく、維持してもよく、制御してもよい。正確な熱量は、エンクロージャ1726のサイズと、熱処理されている部品の性質等との間で変化してもよい。
【0140】
第5の作業領域1724eでは、1つ以上のビルドプラットフォーム又は床は、それらが支持した部品から分離されてもよく、部品を介して延伸する1つ以上の移動する壁の1つ以上の外側部分が除去されてもよく、完成部品内に含まれない付加製造中に部品を支持するためにプリントされた1つ以上の一時的な構造体が除去されてもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。選りすぐりの実施形態では、これは、ワイヤ放電加工(EDM)工程を向上させ得る。こうした実施形態では、EDM工程の一部としてイオン量が慎重に制御される部分的に脱イオン化された水のバス中に部品が沈められてもよい。第5の作業領域1724eのためのエンクロージャは、要望又は必要に応じて含まれてもよく、又は省かれてもよい。
【0141】
第6の作業領域1724fにおいて、1つ以上の部品は、発送のために準備されてもよく、発送されてもよい。例えば、第6の作業領域1724fにおいて、1つ以上の部品は、ペイントされてもよく、梱包されてもよく、プラスチックで包装されてもよく、1つ以上の荷台等に設置されてもよく、発送のためのトラックに積まれてもよい。第6の作業領域1724fのためのエンクロージャは、要望又は必要に応じて含まれてもよく、又は省かれてもよい。
【0142】
選りすぐりの実施形態では、ネットワーク1740は、1つ以上のインタフェース装置1728によって直列に接続された複数の作業領域1724を含んでもよい。こうしたインタフェース装置1728は、ある作業領域1724から次の作業領域1724へ1つ以上の部品を円滑かつ効率的に流すことが可能であってもよい。したがって、作業領域1724は、それに関連する作業が要求又は要望された順で実行され得るように、ネットワーク1740に配置されてもよい。
【0143】
記述されたエンクロージャの何れかは、所望濃度(例えば、容量で約99.9%以上のアルゴン)を上回る不活性又は十分な不活性ガス(例えば、真空、窒素、アルゴン、若しくは二酸化炭素等、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせ)の濃度を維持してもよい。或いは、又はそれに加えて、エンクロージャは、大気中濃度を下回る(例えば、気体酸素に対する容量で0.05%を下回る、水蒸気に対する容量で0.05%を下回る)酸素及び/又は水蒸気の濃度を維持してもよい。
【0144】
経路(例えば、コンクリートの床)の上を回転又は移動することによるインタフェース装置1728、コンベヤーシステム、レール、又は伝統的な鉄道概念を用いた複数のレールの組み合わせ、符号器を用いた軌道上の線形移動、滑車システムにより提供される線形動作、磁気浮上式レールにより提供される動作及び/若しくは浮上、コンベヤーシステム若しくはベルトを介した動作、又はそれらの組み合わせ若しくは従属的な組み合わせを介して、プリント床、部品又はその他の材料を運ぶために運搬具が用いられてもよい。2000キログラム以上の重さである大きな部品が運ばれ得る。運搬具は、支持面上を回転する車輪を有してもよい。支持面は、床(例えば、それに適用され又はその中に実装される視覚的、電子的、又は磁気的に検出可能な経路を有する床)であってもよい。支持面はまた、1つ以上のレールであってもよい。こうしたレールは、運搬具により運ばれている部品より下に配置されてもよい。或いは、こうしたレールは、運搬具により運ばれている部品より上に配置されてもよい。すなわち、レールは、高架式のレールであってもよく、運搬具は、その下に部品を吊るしながら高架式のレール上を回転する台車又はトロリーであってもよい。
【0145】
車両又はその他の運搬具は、手動で、自動で、自律的に、又は準自律的に制御及び/又は操作され得る。例えば、選りすぐりの実施形態では、1つ以上の車両は、1つ以上の人間操作者によって押されてもよく、及び/又は操縦されてもよい。他の実施形態では、様々な基板上又は基板外の制御システムは、車両に発生することを感知してもよく、移動時、停止時、及び操縦方法等を車両に指示してもよい。
【0146】
前述した説明及び関連する図面で提示した技術の便益を有する当業者であれば、発明の多くの変更及びその他の実施形態が思い浮かぶであろう。それ故、発明は開示された特定の実施形態に制限されず、そうした変更及び実施形態は添付の請求項の範囲内に含まれることを意図することが理解される。本明細書で特に開示されない要素/ステップを除外して、この発明のその他の実施形態が実施されてもよいことも理解される。