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特開2024-116127子宮内膜がんのマーカーとしてのMMP9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116127
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】子宮内膜がんのマーカーとしてのMMP9
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240820BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/53 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024077227
(22)【出願日】2024-05-10
(62)【分割の表示】P 2023003700の分割
【原出願日】2017-03-30
(31)【優先権主張番号】16168328.9
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512274953
【氏名又は名称】フンダシオ オスピタル ウニベルシタリ バル デブロン-インスティテュート デ レセルカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ガルシア,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】コラス オルテガ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ギル モレノ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】レベントス プッチジャネー,ジャウメ
(72)【発明者】
【氏名】ドモン,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ルシュール,アントワーヌ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】子宮内膜がんの診断又は予後の方法を提供。
【解決手段】この方法は、女性生殖器から得る子宮吸引液試料中のMMP9の発現レベルを判定することを含む。本発明は更に、疾患の診断のためのキットを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性生殖器から得られる子宮吸引液試料中のMMP9の発現レベルを判定することを含む、子宮内膜がんの診断又は予後判定の方法。
【請求項2】
以下のタンパク質:KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2の1以上の発現レベルを判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1つのタンパク質の発現レベルを判定することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記発現レベルがタンパク質のレベルで判定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
タンパク質の前記発現レベルが、前記タンパク質に結合することができる抗体又はその断片を用いて判定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体又はその断片oがキットの一部を形成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
単離された前記試料が子宮体液である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
女性生殖器から得られる子宮吸引液試料において、子宮内膜がんを診断又は予後判定するための、インビトロマーカーとしてのMMP9の使用。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において子宮内膜がんを診断又は予後判定するための、MMP9の使用。
【請求項10】
固体支持体と、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1以上のタンパク質並びにMMP9の発現レベルを検出するための手段と、を含む、キット。
【請求項11】
KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1つのタンパク質並びにMMP9の前記発現レベルを判定するための手段を更に含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記タンパク質の前記発現レベルを検出するための手段が抗体又はその断片である、請求項10~11のいずれかに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年5月4日に出願された欧州特許出願公開第16168328.9号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、子宮内膜癌(carcinoma)の診断及び予後に関する。
【背景技術】
【0003】
子宮内膜がん(cancer)(EC)は、女性生殖器で最も頻繁に認められる侵襲性の腫瘍であり、先進国においては女性で4番目に多いがんであり、2015年に米国では54,870例という診断数を占め、10,170例は死亡が推定されている。今日、ECの症例の70%は、腫瘍が子宮内膜内に依然局在化しており、全5年生存率96%と関連している疾患の初期の段階で診断されている。しかし、EC患者の30%は、5年生存率の大幅な低下に関連する疾患の進行期にのみ診断されている。それは、子宮筋層浸潤及び/又はリンパ節の罹患が既に存在する場合、67%に低下し、遠隔転移の場合は18%に低下する。従って、早期診断の改善は、ECを適切に管理し、疾患に関連する死亡率を減少させるための主要な問題である。
【0004】
EC患者の早期発見は、ECと診断される女性の93%に存在する異常な膣の出血のような症状の存在によって支持される。しかし、他の多くの良性の疾患が同様の症状を引き起こす。良性の子宮内膜病変の患者とECの患者の識別は、骨盤検査及び経膣超音波検査からなる長々しい診断プロセスの後、子宮内膜生検の確認用の組織病理学的検査を行った後にのみ達成される。この処置で使用される好ましい生検は、子宮吸引物及び/又はpipelleによる生検と呼ばれており、子宮腔内からの子宮内膜液の低侵襲吸引によって得られる。現在のところ、子宮吸引物の診断処置は細胞の物質の存在に頼っているため、このプロセスは残念なことに診断不全を伴い、関連する不適当なサンプリング率がそれぞれ8%及び15%である。これは、閉経後の女性では12%及び22%まで増加する。これらの症例では、子宮鏡により誘導される生検を行うことが必要である。この場合、この侵襲的な技法が子宮穿孔、出血、及び他の臓器に及ぼし得る害を含む合併症のリスクの増加をもたらす。
【0005】
これまで、EC腫瘍組織及び正常な子宮内膜に関し数多くの研究がなされたにもかかわらず、プロテオームに基づく診断アッセイの開発は依然として困難であった。診療所でのこれらの研究によってもたらされた結果の転換の欠如は、以下の2つの決定要因が占めている:i)ECバイオマーカーを作り出すための生体流体の研究が欠如していることである。研究の大部分は、組織及び/又は血清若しくは血漿に基づくものであった。しかし、血漿又は血清のバイオマーカーの探索は、有効なバイオマーカーの濃度が低く、タンパク質存在量が広いダイナミックレンジに亘るために非常に困難である。また、ii)バイオマーカーパイプラインの発見段階と検証段階との間の橋渡しとしての検証研究が欠如していることである。バイオマーカーを発見する実験には、生物学的変動性や含まれる試料が少数であることに起因した誤った発見が伴う。
【0006】
従って、努力がなされたにもかかわらず、高い感度及び特異度を備える初期の子宮内膜がんの診断を可能にするバイオマーカーの必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、子宮体液試料が、高い感度及び特異度を備える子宮内膜がんの診断のた
めの適切な試料となるいくつかの堅牢なマーカーを含むことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に示されるように、本発明者らは、子宮内膜がんに罹患している患者の子宮体液試料において示差的に発現される27個のタンパク質を初めて同定することができた。驚くべきことに、27種類のタンパク質は全て非常に高い感度と特異度を示し(下記の表1参照)、偽陽性又は偽陰性の診断リスクを最小限に抑える。
【0009】
これらの知見は、血液/血清又は組織生検の代わりに疾患の診断のための生体試料として子宮体液試料を使用する扉を開く。有用な診断バイオマーカーは、疾患に罹患している患者と良性の症例との間の識別について改善しなければならないだけでなく、経済的に有益で、臨床的なシナリオにおいて有利なものにするべきである。ECのための診断用バイオマーカーの場合、侵襲的生検の数及び診断コストの減少は非常に重要な値である。従って、現在の診断プロセスで既に実施されている低侵襲性の処置で得られる子宮体液試料のような入手しやすい生体流体における、本発明の目的であるバイオマーカーの同定は、疾患の早期診断での著しい前進を意味する。
【0010】
それ故に、本発明は、子宮内膜がんの早期診断における大きな進歩を意味する。
【0011】
従って、第1の態様において、本発明は、子宮内膜癌の診断又は予後判定の方法を提供し、この方法は、女性生殖器から得る単離された液体試料におけるPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0012】
本発明の第1の態様のバイオマーカーが、がんと個別に及び集合的に関連付けられ、共通して改変されるがんの分子的な過程、例えば特に細胞運動、細胞死、及び生存との強い関連性を維持しているという結論に至ったことは、注目に値する。
【0013】
従って、第2の態様において、本発明は、女性生殖器から得る単離された液体における子宮内膜癌の診断又は予後判定のためのインビトロマーカーとして、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、又はGTR1を使用することを提供する。また、この態様は、対象における1以上の子宮内膜がんマーカーを検出するための方法として公式化することもでき、(a)女性生殖器から液体試料体液試料を得ること、(b)PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1から選択される少なくとも1つの子宮内膜がんマーカーの量を試料中で検出することを含む。
【0014】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の方法における子宮内膜癌の診断又は予後判定のため、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1の発現
レベルを判定するための手段の使用を提供する。
【0015】
重要なことに、本発明の目的であるタンパク質バイオマーカーは、免疫化学又はELISAのような簡単且つ低コストの方法、即ち病院で広く利用可能なプラットフォームによって評価することができる。その結果、これらのタンパク質バイオマーカーは、健康システムのコストを低減したルーチンの臨床診断キットとして容易に実施することができる。更に、本発明によって提供されるバイオマーカーに基づく診断キットの試験は、診断の現在のプロセスを改善し、子宮吸引物で疾患の有用な診断情報又は予後情報を提供することができるようにする。
【0016】
従って、第4の態様では、本発明は、固体支持体と、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される2以上のタンパク質の発現レベルを検出するための手段と、を含むキットを提供する。
【0017】
更なる態様において、本発明は、子宮内膜癌に罹患していることが疑われる対象を同定するための方法を提供し、方法は、
a)対象の女性生殖器から得る液体試料におけるPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで判定すること、並びに
b)ステップ(a)のレベルを基準対照レベルと比較することであって、ステップ(a)で判定されたレベルが基準対照レベルよりも高い場合、それは対象が子宮内膜癌に罹患している疑いがあることを示すこと、
を含む。
【0018】
更なる態様において、本発明は、子宮内膜癌に罹患している疑いがある対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定又は推奨する方法であって、
a)対象の女性生殖器から得る液体試料におけるPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで判定するステップ、並びに
b)試験試料のタンパク質レベルが基準対照レベルよりも高い場合、子宮内膜癌と診断するか、対象が子宮内膜癌に罹患している疑いがあるかどうかを判定するステップ、
を含み、
i)対象が子宮内膜癌に罹患していると診断された場合又は子宮内膜癌に罹患した疑いがある場合、医療レジメンの開始が推奨され、
ii)患者が子宮内膜癌に罹患していないと診断された場合、医師による患者の検査結果を考慮して任意選択にフォローアップを行う
方法を提供する。
【0019】
試験試料のマーカーレベルを判定することにより、当業者は、試料中で検出されたレベルが疾患の進展(即ち、重症度)を反映し得るので、推奨できる最も適切な療法であるものを更に確立することができる。
【0020】
更に、対象が子宮内膜癌に罹患しているかその疑いがあるために医療レジメンを開始しなければならないと決定された場合、本発明のマーカーを使用してレジメンがどれほど効率的であるかをモニタすることができ、マーカーの正常なレベルへの(即ち、がんのない対照の対象のレベルまで)低下又は回復は、患者が医療レジメンに好都合に反応し、従って当該のレジメンが有効であるということを示すことができ、マーカーのレベルが有意には変化しないか増加する場合、これはレジメンが有効ではないことを示すことができる。最後に、マーカーのレベルは、再発を制御するための治療の終了後に測定することができる。
【0021】
従って、更なる態様において、本発明は、子宮内膜癌と既に診断されている患者における医療レジメンの有効性を判定する方法であって、
(a)医療レジメンの投与に先立ち、対象の女性生殖器から得る液体試料におけるPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで測定するステップ、
(b)医療レジメンの投与を開始したら、対象の女性生殖器から得る液体試料における当該のマーカーのレベルをインビトロで測定するステップ、並びに
(c)ステップ(b)で測定されたレベルがステップ(a)で測定されたレベルよりも低い場合には、医療レジメンが子宮内膜癌の治療に有効であることを示すように、ステップ(a)及び(b)で測定されたレベルを比較するステップ
を含む方法、あるいは
(i)医療レジメンの投与を開始させたら対象の女性生殖器から得る液体試料におけるPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで測定するステップ、並びに
(ii)ステップ(i)で測定されたレベルをマーカーの基準対照レベルと比較するステップ、
を含み、
ステップ(i)で測定されたレベルが基準対照レベルほど高くない場合、それは、医療レジメンが子宮内膜癌の治療に有効であることを示す方法を提供する。
【0022】
本発明のこの方法を用いて、治療の転帰(個々の症例又は連鎖におけるこれらの介入の効果、有効性、安全性、実用性等を判定するために、疾患との闘いで使用される管理及び手順の結果を評価すべく行われる評価)を判定することができる。
【0023】
本発明者らはまた、以下に示すように、驚くべきことに、MMP-9が、健常の対照と比較して、子宮内膜がん対象から得た子宮吸引物試料(「pipelleによる生検検」、又は子宮内膜生検に含まれる液としても知られている)において、顕著に高く発現したことを見出した。
【0024】
従って、更なる態様において、本発明者らは、
【0025】
1.単離された子宮吸引物試料におけるMMP9の発現レベルを判定することを含む、子宮内膜癌の診断又は予後判定の方法;
【0026】
2.子宮吸引液試料の子宮内膜癌を診断又は予後判定するためのインビトロマーカーとしてのMMP-9の使用;
【0027】
3.子宮内膜癌に罹患している疑いがある対象を同定するための方法であって、
a)子宮吸引液試料のMMP9の発現レベルをインビトロで判定すること、及び
b)ステップ(a)のレベルを基準対照レベルと比較することであって、ステップ(a)で判定されたレベルが基準対照レベルよりも高い場合、それは対象が子宮内膜癌に罹患している疑いがあることを示すことを含む方法;
【0028】
4.子宮内膜癌に罹患している疑いがある対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定又は推奨する方法であって、
a)子宮吸引液試料におけるMMP9の発現レベルをインビトロで判定するステップ、及び
b)試験試料のタンパク質レベルが基準対照レベルよりも高い場合、子宮内膜癌と診断するか、対象が子宮内膜癌に罹患している疑いがあるかどうかを判定するステップ
を含み、
i)対象が子宮内膜癌に罹患していると診断された場合又は子宮内膜癌に罹患している疑いがある場合、医療レジメンの開始が推奨され、
ii)患者が子宮内膜癌に罹患していないと診断された場合、医師による患者の検査結果を考慮して任意選択にフォローアップを行う
方法;並びに
【0029】
5.子宮内膜癌と既に診断されている患者における医療レジメンの有効性を判定する方法であって、
(a)医療レジメンの投与に先立ち対象の女性生殖器から単離された子宮吸引液試料におけるMMP9の発現レベルをインビトロで判定するステップ、
(b)医療レジメンの投与を開始したら、対象の女性生殖器から得る単離された子宮吸引液試料における当該のマーカーのレベルをインビトロで測定するステップ、及び
(c)ステップ(b)で測定されたレベルがステップ(a)で測定されたレベルよりも低い場合には、医療レジメンが子宮内膜癌の治療に有効であることを示すように、ステップ(a)及び(b)で測定されたレベルを比較するステップ
を含む方法、あるいは
(i)医療レジメンの投与を開始させたら対象の女性生殖器から得る単離された子宮吸引液試料におけるMMP9の発現レベルをインビトロで判定するステップ、及び
(ii)ステップ(i)で測定されたレベルをマーカーの基準対照レベルと比較するステップ
を含み、
ステップ(i)で測定されたレベルが基準対照レベルほど高くない場合、それは、医療レジメンが子宮内膜癌の治療に有効であることを示す方法
を、提供する。
【0030】
最後の態様において、本発明は、標的捕捉モードで質量分析を行うことにより、子宮内膜がんの潜在可能性のあるタンパク質マーカーを検証するためのワークフローを提供する。潜在可能性のある子宮内膜がんタンパク質マーカーのリストから、各タンパク質の少なくとも1つの代理ペプチドを、質量分析による検出可能性の基準及びアミノ酸配列の一意性に従って選択した。炭素及び窒素の安定な重同位体で標識されたアミノ酸を含むこれらのペプチドの変形を合成した。女性生殖器から得た液をトリプシンで個別にタンパク質分解し、等量の安定同位体標識合成ペプチド混合物を補充した。ハイブリッド高分解能質量分析計でハイフン化された高速液体クロマトグラフィーにより試料が分析され、それは(a)規定されたクロマトグラフィーの分離条件下における溶出時間と関連する、検出され
るべきペプチドイオンのリストを含む取得方法を生成すること、(b)四重極型分析器によって、列挙されたペプチドイオンの溶出時間ウィンドウ中に繰り返し単離することによって、質量分析を行うこと、(c)単離されたペプチドイオンの衝突誘発断片化を実施すること、及び(d)その後のペプチド断片イオンを高分解能分析器で分析することによってなされる。各ペプチドについて、対象の断片イオンのシグナルを抽出して、統合することができるペプチドの溶出プロファイルを構築した。内在性ペプチドに起因する領域の正規化を、それぞれの安定同位体標識ペプチドの領域で行った。本方法は、スペクトルマッチングによってペプチドの同一性を確認するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願において本明細書で使用される全ての用語は、別段の記載がない限り、当技術分野で知られている通常の意味で理解されるものとする。本願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は、以下に述べるものであり、他の明確に規定された定義がより広い定義を付与しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体で均等に適用することを意図する。
【0032】
本発明は、女性生殖器液の子宮内膜癌の診断又は予後判定のための新規なバイオマーカーを提供する。
【0033】
「診断」という用語は当業者に公知である。本明細書で使用される場合、「診断」は、対象において特定の医学的状態の合併症又はリスクを認識すること、疾患又は状態の性質の判定をすること、あるいは1つの疾患又は状態を別のものと区別することとして理解される。これは、考えられる疾患又は障害を判定又は特定しようとするプロセス、及びそのプロセスにより到達する意見の両方を示す。診断処置という意味での診断は、治療及び予後に関して医学的に判断できるようにしている別個の異なるカテゴリーに、個人の状態を分類する試みとみなすことができる。その後、診断上の意見は、疾患又は他の状態の観点から説明されることが多い。しかし、診断は多くの形をとり得る。存在を検出し、疾患、病変、機能不全、又は不能状態を識別することがあり得る。それは、管理又は予後のためカテゴリーに帰属させる試みである場合もある。それは、連続体の異常の程度又は分類上の異常の種類のいずれかを示す場合もある。
【0034】
本発明の第1の態様のインビトロな診断方法は、(a)無症候性対象、(b)子宮内膜癌に罹患している疑いがあると既に特定されている対象、(c)相補的な確定診断アッセイのときに子宮内膜癌と既に診断されている対象、又は(d)疾患に罹患する危険性の高い対象の試料を用いて実施することができる。
【0035】
本明細書で使用する場合、「予後・予後判定」は、疾患の起こり得る進行及び転帰の予測を示す。それは、新生物の類別(増加する退形成が新生物の攻撃性と相関するとき、新生物における細胞の分化のレベルを反復可能な言葉で表現しようとする試み)、新生物の病期分類(患者における新生物の程度を反復可能な形で表現しようとする試み)を含む。
【0036】
「女性生殖器から得る液体試料」という用語は、女性生殖器の一部を形成する子宮器官により産生され、真空化吸引(即ち、「吸引試料」)等の吸引によって採取された液体を示す。本発明によれば、液体の吸引は、食塩水注入の前段階なしで行われる。即ち、「吸引物」という用語は、子宮を洗うことで生じる試料を包含しない。
【0037】
本発明の第1の態様の方法の別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、(a)インビトロで、試験試料においてPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD
44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを測定すること、並びに(b)検証されるタンパク質それぞれの発現レベルを基準の対照値と比較することを含む。本発明の第1の態様の方法の別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、(a)インビトロで、試験試料においてPERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを測定すること、並びに(b)検証されるタンパク質それぞれの発現レベルを基準の対照値と比較することを含み、タンパク質が過剰発現される場合、それは子宮内膜癌又は予後不良を示す。
【0038】
本発明において、本発明の第1及び第2の態様の方法において言及している「基準対照レベル」という用語は、所与の分子マーカーの所定の値として理解されるべきであり、本件においては、第1の態様又は第2の態様及び特定の実施形態でいずれかのタンパク質が挙げられており、それは試料又は試料群中の当該の分子マーカーのレベルに由来している。発現レベルがタンパク質のレベルで判定される場合、「基準発現レベル」はタンパク質の量の所定の値であり、一方で発現レベルがmRNAのレベルで判定される場合、「基準発現レベル」はmRNAの量の所定の値である。試料は、疾患の存在、不在、段階、又は経過が先行して適切に進んでいる対象又は対象群から採取している。この値は、とりわけ疾患の段階、子宮内膜癌を発症するリスク、又はそれに罹患するリスクを判定するために、分析すべき状態が存在している対象と係る状態がない対象とを(即ち、子宮内膜がんを有している対象と子宮内膜がんではない対象とを)識別するための閾値として使用される。この基準対照レベルは、対象が医療レジメンを開始しなければならないかどうか、及びレジメンがどれほど有効であるかを判定するためにも有用である。「基準対照レベル」が得られる1人以上の対象としては、その状態が存在しない対象、その状態が存在する対象、又はその両方を挙げることができる。当業者は、一般知識を利用して、本発明の方法の各々に対する基準対照レベルを得るのにより適切な対象又は対象の群を選択することができる。選択された対象群から基準値を得る方法は、最新技術において周知である(Burtis C.A.et al.,2008,Chapter14,section「Statistical Treatment of Reference Values」)。特定の場合、「基準制御レベル」は、従来のROC分析(受信者動作特性分析)によって定められるカットオフ値である。当業者が認識するように、最適なカットオフ値は、診断又は予後判定の方法の特定の用途、即ち、目的、診断又は予後の標的集団、特異度と感度の間のバランス等に従って定められる。
【0039】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを判定することを更に含む。
【0040】
PERMは、ミエロペルオキシダーゼ又はMPOとしても知られており、Uniprotデータベース受託番号P05164、2014年2月19日-v4を有する。MPOは、細胞レベルでの炎症及び酸化ストレスにおいて重要な役割を果たす白血球によって放出されるタンパク質である。
【0041】
カドヘリン-1又はE-カドヘリンとしても知られているCADH1は、Uniprotデータベース受託番号P12830、1993年7月1日-v3を有する。このタンパク質は、細胞-細胞接着、上皮細胞の移動性及び増殖を調節する機構に関与している。有
効な侵略的なサプレッサーの役割を担っている。
【0042】
Kunitz型プロテアーゼ阻害剤1としても知られているSPIT1は、Uniprotデータベース受託番号O43278、2005年3月15日-v2を有する。このタンパク質は、HGF活性化因子の阻害剤である。マトリプターゼの阻害剤としても作用する(ST14)。
【0043】
アルファ-エノラーゼとしても知られているENOAは、Uniprotデータベース受託番号P06733、2007年1月23日-v2を有する。これは、解糖におけるその役割のみならず、増殖の制御や、低酸素耐性、アレルギー反応等の様々なプロセスにおいて役割を果たす多機能酵素である。また、白血球やニューロン等のいくつかの細胞型の細胞表面のプラスミノーゲンの受容体及び活性化因子として機能する能力に起因して、血管内及び細胞周囲の線維素溶解系で機能することができる。免疫グロブリンの産生を刺激する。
【0044】
マトリックスメタロプロテイナーゼ-9としても知られているMMP9は、Uniprot受託番号P14780、2009年11月24日-v3を有する。このタンパク質は、細胞外マトリックスの局所的タンパク質分解及び白血球の移動において必須の役割を果たしている可能性がある。骨の破骨細胞再吸収において役割を果たしている可能性がある。KiSS1をGly-|-Leu結合で切断する。IV型及びV型コラーゲンを、大きなC末端の3/4断片及びそれより短いN末端の1/4断片に切断する。フィブロネクチンは分解するがラミニンやPz-ペプチドは分解しない。
【0045】
ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼとしても知られているNAMPTは、Uniprotデータベース受託番号P43490、1995年11月1日-v1を有する。この酵素は、哺乳動物NAD生合成経路における律速性の構成要素であり、5-ホスホリボシル-1-ピロリン酸とのニコチンアミドの縮合を触媒して、NADの生合成における中間体であるニコチンアミドモノヌクレオチドを生成する。
【0046】
L-乳酸デヒドロゲナーゼA鎖としても知られているLDHAは、Uniprotデータベース受託番号P00338、2007年1月23日-v2を有する。このタンパク質は、ピルビン酸から(S)-乳酸を合成するサブ経路のステップ1に関与している。
【0047】
カスパーゼ-3としても知られているCASP3は、Uniprotデータベース受託番号P42574、2005年10月11日-v2を有する。これは、アポトーシスの遂行を司るカスパーゼの活性化カスケードに関与している。
【0048】
ピルビン酸キナーゼPKMとしても知られているKPYMは、Uniprotデータベース受託番号P14618、2007年1月23日-v4を有する。ホスホエノールピルビン酸(PEP)からADPへのホスホリル基の転移を触媒し、ATPを生成し、腫瘍細胞のカスパーゼ非依存性細胞死において一般的な役割を果たす解糖酵素である。
【0049】
ペルオキシレドキシン-1としても知られているPRDX1は、Uniprotデータベース受託番号Q06830、1994年6月1日-v1を有する。それは、細胞のレドックスの調節に関与している。
【0050】
オステオポンチンとしても知られているOSTPは、Uniprotデータベース受託番号P10451、1989年7月1日-v1を有する。これは、インターフェロン-ガンマ及びインターロイキン-12の産生増強、並びにインターロイキン-10の産生減少に関与しているサイトカインとして作用し、I型免疫を導く経路において必須である。
【0051】
タンパク質ジスルフィド-イソメラーゼとしても知られているPDIA1は、Uniprotデータベース受託番号P07237、1997年11月1日-v3を有する。それはジスルフィド結合の形成、破壊、及び再配列を触媒する。
【0052】
マクロファージ遊走阻止因子としても知られているMIFは、Uniprotデータベース受託番号P14174、2007年1月23日-v4を有する。それは、細菌性病原体に対する本来の免疫応答に関与している。
【0053】
カテニンベータ-1としても知られているCTNB1は、Uniprotデータベース受託番号P35222、1994年2月1日-v1を有する。これは、中心体の凝集の負の調節因子として作用し、悪性の腎臓及び腸上皮細胞のアノイキスを阻止する。
【0054】
ケラチン、II型細胞骨格8としても知られているK2C8は、Uniprotデータベース受託番号P05787、2007年1月23日-v7を有する。KRT19と一緒に、横紋筋のコスタメートルで収縮装置とジストロフィンを繋げるのに役立つ。
【0055】
アネキシン-2としても知られているANXA2は、Uniprotデータベース受託番号P07355、2007年1月23日-v2を有する。それは、カルシウムに対する親和性が陰イオン性リン脂質によって大きく増強されたカルシウム調節膜結合タンパク質である。それは、高親和性でカルシウムイオンに結合し、熱ストレス反応に関与している可能性がある。
【0056】
マクロファージキャッピングタンパク質としても知られているCAPGは、Uniprotデータベース受託番号P40121、2010年11月30日-v2を有する。これは、アクチンフィラメントの有棘末端を可逆的にブロックするが、予め形成されたアクチンフィラメントを切断しないカルシウム感受性タンパク質である。マクロファージの機能において重要な役割を果たしている可能性がある。
【0057】
脂肪酸結合タンパク質(表皮)としても知られているFABP5は、Uniprotデータベース受託番号Q01469、2007年1月23日-v3を有する。それは脂肪酸に対する高い特異度を示し、ケラチノサイトの分化に関与している可能性がある。
【0058】
ムチン-1としても知られているMUC1は、Uniprotデータベース受託番号P15941、2010年5月18日-v3を有する。このアルファサブユニットは細胞接着特性を有する。これは、接着性及び接着防止性の両方のタンパク質として作用することができる。細菌及び酵素の攻撃に対して上皮細胞に保護層をもたらすことができる。
【0059】
カルシフォシンとしても知られているCAYP1は、Uniprotデータベース受託番号Q13938、1997年11月1日-v1を有する。それは、細胞のシグナル伝達事象において役割を果たし得るカルシウム結合タンパク質である。
【0060】
エキスポーチン-2としても知られているXPO2は、Uniprotデータベース受託番号P55060、2005年3月29日-v3を有する。とりわけ、このタンパク質は、インポーチン-アルファ用の受容体を搬出したり、移入基質(カーゴ)後に核から細胞質へのインポーチンアルファの再搬出を仲介したり、活性GTP結合型でインポーチン-アルファ及びGTPase Ranと協同するよう結合したりするものとして開示されてきた。
【0061】
好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリンとしても知られているNGALは、Unipro
tデータベース受託番号P80188、1995年11月1日-v2を有する。これは、インターロイキン3(IL3)欠乏及び先天性免疫に起因するアポトーシスに関与している。
【0062】
マンマグロビン-Bとしても知られているSG2A1は、Uniprotデータベース受託番号O75556、1998年11月1日-v1を有する。それは、アンドロゲン及び他のステロイドに結合し得る。
【0063】
アネキシン-1としても知られているANXA1は、Uniprotデータベース受託番号P04083、2007年1月23日v2を有する。とりわけ、先天性免疫応答において重要な役割を果たし、炎症過程を調節し、抗炎症活性を有し、炎症の解決及び創傷の治癒を促進するものとして開示されてきた。
【0064】
熱ショックタンパク質ベータ-1としても知られているHSPB1は、Uniprotデータベース受託番号P04792、2001年9月26日-v2を有する。それはストレス抵抗性及びアクチン組織に関与している。
【0065】
高分子免疫グロブリン受容体としても知られているPIGRは、Uniprotデータベース受託番号P01833、2007年6月26日-v4を有する。この受容体は、上皮細胞の基底外側面でポリマーIgA及びIgMに結合する。
【0066】
10kDa熱ショックタンパク質、ミトコンドリアとしても知られているCH10は、Uniprotデータベース受託番号P61604、2007年1月23日-v2を有する。これは、CPN60と共に、ミトコンドリアタンパク質の生合成に不可欠である。CPN60にMg-ATPの存在下で結合し、後者のATPase活性を抑制する。
【0067】
CD44抗原としても知られているCD44は、Uniprotデータベース受託番号P16070、2010年10月5日-v3を有する。HAに対する親和性を介して、場合によってはオステオポンチン、コラーゲン、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)等の他のリガンドに対する親和性によっても、細胞-細胞及び細胞-マトリックスの相互作用を媒介する。
【0068】
クロライド細胞内チャネルタンパク質1としても知られているCLIC1は、Uniprotデータベース受託番号O00299、2007年1月23日-v4を有する。それは膜に挿入され、塩化物イオンチャネルを形成する。チャネルの活性はpHに依存する。膜の挿入はレドックスの調節がなされているように思われ、酸化条件下でのみ起こり得る。細胞周期の調節に関与している。
【0069】
トリオースリン酸イソメラーゼとしても知られているTPISは、Uniprotデータベース受託番号P60174、2011年10月19日-v3を有する。このタンパク質は、炭水化物生合成の一部である経路の糖新生に関与している。
【0070】
グルタチオンS-トランスフェラーゼPとしても知られているGSTP1は、Uniprotデータベース受託番号P09211、2007年1月23日-v2を有する。それは、神経変性を防止するためにp25/p35転座を介して負のCDK5活性を調節する。
【0071】
GTR1はUniprotデータベース受託番号P11166、2006年10月3日-v2を有する。それは促進的なグルコース輸送体である。このアイソフォームは、構成的又は基礎的なグルコース取り込みを司る可能性がある。これは、非常に広い基質特異性
を有する。ペントースとヘキソースの両方を含む広範囲のアルドースを輸送することができる。
【0072】
本発明の第1の態様の方法の別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、(a)インビトロで、女性生殖器から得る単離された液体試料において、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1のタンパク質の第1の群から選択される1以上のタンパク質の発現レベル、並びにENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる第2の群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを測定すること、並びに(b)検証されるタンパク質それぞれの発現レベルを基準値と比較することを含み、タンパク質が過剰発現される場合、それは子宮内膜癌又は予後不良を示す。
【0073】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される2つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0074】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される3つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0075】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される4つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0076】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される5つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0077】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、
LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される6つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0078】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される7つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0079】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される8つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0080】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される9つのタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0081】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、方法は、PERM、OSTP、CTNB1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、CADH1、SPIT1、MMP9、NAMPT、LDHA、CASP3、PRDX1、MIF、K2C8、CAPG、MUC1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、GTR1、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5からなる群から選択される10のタンパク質の発現レベルを判定することを含む。
【0082】
本発明の第1の態様の別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、以下のMMP9、LDHA、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT、及びCADH1のマーカーの2以上の発現レベルを判定することを含む。
【0083】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記で提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定することを含む:MMP9、LDHA;MMP9、KPYM;MMP9、PERM;MMP9、SPIT1;MMP9、NAMPT;LDHA、KPYM;LDHA、PERM;LDHA、SPIT1;LDHA、NAMPT;KPYM、PERM;KPYM、SPIT1;KPYM、NAMPT;PERM、SPIT1;PERM、NAMPT;及びSPIT1、NAMPT。
【0084】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定することを含む:MMP9、LDHA、KPYM;MMP9、LDHA、PERM;MMP9、LDHA、SPIT1;MMP9、LDHA、NAMPT;MMP9、KPYM、PERM;MMP9、KPYM、SPIT1;MMP9、KPYM、NAMPT;MMP9、PERM、SPIT1;MMP9、PERM、NAMPT;MMP9、SPIT1、NAMPT;LDHA、KPYM、PERM;LDHA、KPYM、SPIT1;LDHA、KPYM、NAMPT;LDHA、PERM、SPIT1;LDHA、PERM、NAMPT;LDHA、SPIT1、NAMPT;KPYM、PERM、SPIT1;KPYM、PERM、NAMPT;KPYM、SPIT1、NAMPT;及びPERM、SPIT1、NAMPT。
【0085】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定することを含む:MMP9、LDHA、KPYM、PERM;MMP9、LDHA、KPYM、SPIT1;MMP9、LDHA、KPYM、NAMPT;MMP9、LDHA、PERM、SPIT1;MMP9、LDHA、PERM、NAMPT;MMP9、LDHA、SPIT1、NAMPT;MMP9、KPYM、PERM、SPIT1;MMP9、KPYM、PERM、NAMPT;MMP9、KPYM、SPIT1、NAMPT;MMP9、PERM、SPIT1、NAMPT;LDHA、KPYM、PERM、SPIT1;LDHA、KPYM、PERM、NAMPT;LDHA、KPYM、SPIT1、NAMPT;LDHA、PERM、SPIT1、NAMPT;及びKPYM、PERM、SPIT1、NAMPT。
【0086】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定することを含む:MMP9、LDHA、KPYM、PERM、SPIT1;MMP9、LDHA、KPYM、PERM、NAMPT;MMP9、LDHA、KPYM、SPIT1、NAMPT;MMP9、LDHA、PERM、SPIT1、NAMPT;MMP9、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT;及びLDHA、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT。
【0087】
本発明の第1の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、本方法は、MMP9、LDHA、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT、及びCADH1の発現レベルを判定することを含む。
【0088】
以下で伝えるように、MMP9の発現レベルが子宮吸引物において判定される場合、正確な診断/予後の情報(約0.89~0.90のAUC値)が達成される。
【0089】
ECバイオマーカーとしてのMMP9の堅牢性を改善する試みにおいて、本発明者らは、MMP9検出を、以下のタンパク質KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2の1以上の検出と組み合わせたときに、感度の実質的な改善が達成され、約0.96までのAUC値に到達したということを、驚くべきことに見出した。この知見は、MMP9を他のタンパク質と組み合わせたとき、MMP9単独で提供されるものと比較して、その組み合わせから生じるAUCが影響を受けないか、悪化したため、驚くべきものであった。
【0090】
従って、上記又は下記の本発明によって提供される方法及び使用のいずれかの一実施形
態では、MMP9、並びにKPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1以上のタンパク質の量が判定される。
【0091】
上記又は下記の本発明によって提供される方法及び使用のいずれかの別の実施形態では、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1つのタンパク質を伴うMMP9の量が判定される。
【0092】
上記又は下記の本発明によって提供される方法及び使用のいずれかの別の実施形態では、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される2つのタンパク質を伴うMMP9の量が判定される。
【0093】
上記又は下記の本発明によって提供される方法のいずれかの別の実施形態では、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される3つのタンパク質を伴うMMP9の量が判定される。
【0094】
上記又は下記の本発明によって提供される方法のいずれかの別の実施形態では、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される4つのタンパク質を伴うMMP9の量が判定される。
【0095】
上記又は下記の本発明によって提供される方法のいずれかの別の実施形態では、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される5つのタンパク質を伴うMMP9の量が判定される。
【0096】
上記又は下記で提供される実施形態のいずれかにおいて、本発明の態様のいずれかについて、発現レベルはタンパク質レベルで判定される。この実施形態では、タンパク質マーカーは、ポリペプチド及びその誘導体の修飾された形態を含む、マーカーの天然配列ポリペプチド、アイソフォーム、キメラポリペプチド、全ての相同体、断片、及び前駆体を含むが、これに限定されない。
【0097】
上記又は下記で提供される実施形態のいずれかにおいて、発現レベルは、免疫化学によって判定される。
【0098】
本明細書で使用する場合、「免疫化学」という用語は、特異的に抗原に結合する抗体の原理を利用することによって、当該の抗原(通常はタンパク質及びペプチド、本件の場合は、単独又は組み合わせて上に列挙したタンパク質のいずれか)を試料において検出するための様々な技法を示す。抗体-抗原の相互作用を視覚化することは、いくつかの方法で達成することができる。最も一般的な例では、抗体が発色反応を触媒することができる酵素、例えばペルオキシダーゼに共役される。あるいは、抗体をフルオレセインやローダミ
ン等のフルオロフォアにタグ付けすることもできる。免疫化学の技法は、直接的であっても間接的であってもよい。直接的な方法は、一段階染色法であり、抗原と直接反応する標識化させた抗体(例えば、FITCコンジュゲート抗血清)を含む。この技法は抗体を1つしか使用せず、そのため単純で迅速になされるが、間接的な方法等のシグナル増幅が少ないために感度が低く、間接的な方法ほど一般的には利用されていない。間接的な方法は、試料の標的抗原に結合する標識されていない一次抗体(第1の層)及び一次抗体と反応する標識された二次抗体(第2の層)に関与する。この方法は、二次抗体が蛍光又は酵素レポーターに共役されている場合、各一次抗体といくつかの二次抗体が結合していることに起因するシグナルの増幅のために、直接的な検出法よりも感度が高い。
【0099】
二次抗体が、アビジン、ストレプトアビジン、又はニュートラアビジン酵素の複合体を動員することができるいくつかのビオチン分子に共役している場合、更なる増幅が達成できる。間接的な方法は、その感度が高いこと以外に、相対的に少数の標準共役(標識)二次抗体だけを生成する必要があるという利点も有する。直接的な方法では、対象の全ての抗原について各一次抗体を標識することが必要である。タグ化核酸プローブ(特定の標的核酸配列に特異的に結合するように設計されている)が後に、標識された抗体で検出され得る場合、免疫化学技術を用いて特定の核酸配列を検出することもできることを覚えておかねばならない。従って、タンパク質の検出は、標的タンパク質RNAの特定の配列に結合するように設計されたタグ化核酸を使用し、次いでタグに選択的に結合する標識抗体で当該のタグ化核酸を検出することによって行うことができる。
【0100】
適切なイムノアッセイの処置には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素イムノドットアッセイ、凝集アッセイ、抗体-抗原-抗体サンドイッチアッセイ、抗原-抗体-抗原サンドイッチアッセイ、免疫クロマトグラフィー、又は当業者に周知の他のイムノアッセイ形式が含まれる。
【0101】
一実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、タンパク質の発現レベルはイムノアッセイによって判定される。
【0102】
別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、タンパク質の発現レベルをELISAによって判定する。
【0103】
あるいは、タンパク質の発現レベルは、生物発光、蛍光、化学発光、電気化学、又は質量分析によって判定することができる。
【0104】
別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、タンパク質の発現レベルは、標的タンパク質に結合することができる抗体又はその断片を用いて判定される。
【0105】
「標的タンパク質に結合することができる抗体又はその断片」という用語は、標的タンパク質に選択的に結合することができる任意の免疫グロブリン又はその断片として理解されるべきである。これには、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体が含まれる。「その断片」という用語は、標的タンパク質のエピトープに結合するのに適したサイズ及び立体配座を有する抗体の任意の部分を包含する。適切な断片には、F(ab)、F(ab’)、及びFvが含まれる。「エピトープ」は、免疫系(B細胞、T細胞、又は抗体)によって認識される抗原の一部である。
【0106】
特異的検出に使用される抗体は、ポリクローナルでもモノクローナルでもよい。抗体の調製及び特徴付けについては最新技術の周知の手段がある。ポリクローナル抗体を生成するための方法は、先行技術において周知である。簡潔には、タンパク質について動物に免
疫をもたせることによって、ポリクローナル抗体を調製し、その後、免疫を得た動物から血清を回収し、抗体を単離する。抗血清の産生のために広範囲の動物の種を使用することができる。典型的には、抗血清の産生に使用される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、又はヤギであり得る。
【0107】
更に、モノクローナル抗体(MAb)は、周知の技術を用いて調製することができる。典型的には、この処置は、疾患に関連するタンパク質について適切な動物に免疫をもたせることを含む。免疫をもたせる組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効な量で投与することができる。モノクローナル抗体を調製するための方法は、一般に、ポリクローナル抗体の調製と同じラインに従って開始させる。免疫原は抗原として動物に注入される。抗原は、完全又は不完全フロイントアジュバント等のアジュバントと混合することができる。およそ2週間の間隔で、同じ抗原で免疫化を繰り返す。
【0108】
第3の態様の別の特定の実施形態において、本発明を実施する手段は、キットの一部を形成する。標的タンパク質を検出するための抗体又はその断片は、キットに含めることができる。キットは、抗体-タンパク質の相互作用を視覚化するための手段(添加剤、溶媒)を更に含むことができる。
【0109】
これらの抗体は、本発明の第5の態様における標的タンパク質の発現を判定するための「手段」として用いることができる。
【0110】
また、分析されるタンパク質(リストの2~10及び2、3、4、5、又は6つの特定のマーカーを含むタンパク質のセット)に関して、本発明の第1の態様において、上記で提供された全ての実施形態は、本発明の第3の態様の使用の特定の実施形態である。
【0111】
あるいは、発現レベルはmRNAレベルで判定される。
【0112】
一実施形態では、マーカーのそれぞれ1つのmRNAの量は、例えば、1つ以上のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカー又はそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応によって検出される。他の実施形態において、mRNAの量は、1つ以上のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカー又はそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを使用してハイブリダイゼーション技術を用いて検出される。
【0113】
mRNA検出を使用する場合、この方法は、単離されたmRNAを試薬と組み合わせて、当技術分野で周知の標準的な方法に従ってcDNAに変換し、変換されたcDNAを容器において(cDNA PCR反応試薬のような)増幅反応試薬で核酸プライマーの適切な混合物と共に処理し、容器の内容物を反応させて増幅産物を生成し、更に増幅産物を分析して、試料のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーの1以上の存在を検出することによって実行できる。mRNAについては、ノーザンブロット分析を用いて分析ステップを実施して、試料のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーの存在を検出することができる。分析ステップは、増幅産物のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーの存在を定量的に検出し、検出されたマーカーの量を、類似のプライマーを使用して得られる正常及び悪性の組織におけるこのようなマーカーの既知の有無に関する予想値のパネルと比較することによって、更に達成することができる。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、(a)試料からmRNAを単離し、mRNAを試薬と組み合わせてcDNAに変換すること、(b)変換されたcDNAを、増幅反応試薬及びポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカー、子宮内膜がんマーカーの1以上にハイブリダイズする核酸プライマーで処理して増幅産物を産生すること、(c)タンパク質子宮内膜がん
マーカーをコードして存在するmRNAの量を判定するための増幅産物を分析すること、並びに(d)判定されたmRNAの量を、同様の方法を用いて得られた正常及び疾患組織(例えば、悪性組織)についての予想値のパネルに対して検出された量と比較することによってmRNAを検出する方法を提供する。
【0115】
本発明の特定の実施形態では、検出及び分析用のタンパク質子宮内膜がんマーカーのmRNAを増幅するために、RT-PCRを使用することができる。本発明の他の実施形態は、定量的RT-PCRを用いてタンパク質子宮内膜がんマーカーのmRNAの量を定量的に判定する。本発明の更なる実施形態は、定量及び分析のためにリアルタイムRT-PCRを使用する。
【0116】
第4の態様において、本発明はキットを提供する。
【0117】
本発明の第4の態様の一実施形態において、発現レベルを測定するための手段は、標的タンパク質に特異的に結合する抗体又はその断片である。
【0118】
キットに含まれる特異的抗体又はその断片の数は、検出されるタンパク質の数に依存する。これに関して、本発明の第1の態様の方法の先の実施形態は、子宮内膜癌の適切な診断を行うため又は予後のために判定されるいくつかのタンパク質セットを提供しており、これらのタンパク質セットは、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のタンパク質を含む。この情報から出発して、当業者は、各タンパク質の検出のために、既に述べたセットの1つを選択し、既に利用可能なものから、より適切な抗体又はその断片を選択することができる。適切な固体支持体での選択された抗体の取り込みは、日常的な方法を用いて実施することができる。
【0119】
第4の態様の1つの実施形態では、上記又は下記で提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、キットは、MMP9、LDHA、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT、及びCADH1から選択される2以上のタンパク質の発現レベルを検出するための手段を含む。
【0120】
本発明の第4の態様の1つの実施形態では、上記又は下記で提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、キットは、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定するための手段を含む:MMP9、LDHA;MMP9、KPYM;MMP9、PERM;MMP9、SPIT1;MMP9、NAMPT;LDHA、KPYM;LDHA、PERM;LDHA、SPIT1;LDHA、NAMPT;KPYM、PERM;KPYM、SPIT1;KPYM、NAMPT;PERM、SPIT1;PERM、NAMPT;SPIT1、NAMPT;MMP9、GSTP1;MMP9、HSPB1;及びMMP9、CH10。
【0121】
本発明の第4の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、キットは、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定するための手段を含む:MMP9、LDHA、KPYM;MMP9、LDHA、PERM;MMP9、LDHA、SPIT1;MMP9、LDHA、NAMPT;MMP9、KPYM、PERM;MMP9、KPYM、SPIT1;MMP9、KPYM、NAMPT;MMP9、PERM、SPIT1;MMP9、PERM、NAMPT;MMP9、SPIT1、NAMPT;LDHA、KPYM、PERM;LDHA、KPYM、SPIT1;LDHA、KPYM、NAMPT;LDHA、PERM、SPIT1;LDHA、PERM、NAMPT;LDHA、SPIT1、NAMPT;KPYM、PERM、SPIT1;KPYM、PERM、NAMPT;KPYM、SPIT1、NAMPT;及びPERM、SPIT1、NAMPT。
【0122】
本発明の第4の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、キットは、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定するための手段を含む:MMP9、LDHA、KPYM、PERM;MMP9、LDHA、KPYM、SPIT1;MMP9、LDHA、KPYM、NAMPT;MMP9、LDHA、PERM、SPIT1;MMP9、LDHA、PERM、NAMPT;MMP9、LDHA、SPIT1、NAMPT;MMP9、KPYM、PERM、SPIT1;MMP9、KPYM、PERM、NAMPT;MMP9、KPYM、SPIT1、NAMPT;MMP9、PERM、SPIT1、NAMPT;LDHA、KPYM、PERM、SPIT1;LDHA、KPYM、PERM、NAMPT;LDHA、KPYM、SPIT1、NAMPT;LDHA、PERM、SPIT1、NAMPT;及びKPYM、PERM、SPIT1、NAMPT。
【0123】
本発明の第4の態様の1つの実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、キットは、以下のマーカー群の1つの発現レベルを判定するための手段を含む:MMP9、LDHA、KPYM、PERM、SPIT1;MMP9、LDHA、KPYM、PERM、NAMPT;MMP9、LDHA、KPYM、SPIT1、NAMPT;MMP9、LDHA、PERM、SPIT1、NAMPT;MMP9、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT;及びLDHA、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT。
【0124】
第4の態様の別の実施形態では、上記又は下記に提供される実施形態のいずれかと任意選択に組み合わせて、キットは、MMP9、LDHA、KPYM、PERM、SPIT1、NAMPT、及びCADH1の発現レベルを検出する手段を含む。
【0125】
上記で提供される本発明の第4の態様の実施形態のいずれかにおいて、キットは、任意選択に、ENOA、KPYM、PDIA1、ANXA2、及びFABP5から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出するための手段を含むことができる。
【0126】
別の実施形態で、本発明は、固体支持体と、MMP9並びにKPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出するための手段を含むキットを提供する。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、MMP9並びにKPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2からなる群から選択される1つのタンパク質の発現レベルを判定するための手段を含むキットを提供する。
【0128】
本発明の第4の態様の別の実施形態において、キットはELISAキットである。この実施形態では、キットは、固体支持体と、上記で提供されたタンパク質の群のいずれかの発現レベルを判定するための手段とを含む。別の実施形態では、キットは、固体支持体、及び検出される標的タンパク質に特異的に結合する抗体又はその断片を含み、これらの抗体はシグナルを生成することができるレポーター分子と共役される。
【0129】
「固体支持体」は、ニトロセルロース膜、ガラス、又はポリマーを含む。最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンである。固体支持体は、ストリップ、チューブ、ビー
ズ、ディスク、若しくはマイクロプレート、又はイムノアッセイを実施するのに適した任意の他の表面の形態であり得る。
【0130】
本明細書において使用される場合、「レポーター分子」は、その化学的性質により、抗原結合抗体の検出を可能にする分析上同定可能なシグナルを提供する分子を意味する。検出は定性的でも定量的でもよい。このタイプのアッセイにおける最も一般的に使用されるレポーター分子は、酵素、フルオロフォア、又は放射性核種含有分子(即ち、放射性同位体)のいずれかである。酵素イムノアッセイの場合、酵素は一般にグルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸塩を用いて第2の抗体に共役される。しかし、容易に認識されるように、当業者に容易に利用可能な様々な異なる結合技術が存在する。一般に使用される酵素としては、とりわけ西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びアルカリホスファターゼが挙げられる。特定の酵素と共に使用される基質は、一般に、対応する酵素による加水分解の際に検出可能な変色を生じるように選択される。例えば、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウムは、アルカリホスファターゼ共役体との使用に適している。ペルオキシダーゼ共役体については、1,2-フェニレンジアミン、5-アミノサリチル酸、3,3:5,5:テトラメチルベンジジン、又はトリジンが一般的に使用される。上記の発色基質ではなく蛍光産物を生じる蛍光発生基質を使用することも可能である。蛍光発生基質の例は、フルオレセイン及びローダミンである。特定の波長の光で照射することにより活性化されると、蛍光色素標識抗体は光エネルギーを吸収し、分子に励起状態を誘導し、その後光学顕微鏡で視覚的に検出可能な特徴的な色の光を放出する。免疫蛍光法及びEIA法はいずれも当技術分野において十分に確立されており、本方法にとって特に好ましい。しかし、他のレポーター分子、例えば放射性同位元素、化学発光、生物発光分子、並びに/又は色素及び他の発色物質も使用することができる。
【0131】
特定のレポーター分子共役抗体の選択は、大部分が、本発明の試験用キットの意図された使用及び使用者によって決定される。
【0132】
別の実施形態では、キットはマイクロアレイである。
【0133】
別の実施形態では、キットは、タンパク質子宮内膜がんマーカーをコードする遺伝子の規定された群を含むマイクロアレイである。子宮内膜疾患により発現が顕著に変化する2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のタンパク質を有するタンパク質の特定のセットについて上記で提供された全ての実施形態はまた、マイクロアレイの特定の実施形態である。
【0134】
本発明のインビトロの方法は、診断及び予後の情報を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、(i)診断又は予後の情報を収集するステップと、(ii)情報をデータキャリアで保存するステップと、を更に含む。
【0135】
本発明の意味において、「データキャリア」は、紙等の、子宮内膜癌の診断又は予後のための意味のある情報のデータを含む任意の手段として理解するべきである。キャリアはまた、予後のデータを移すことができる任意のエンティティ又はデバイスであってもよい。例えば、キャリアは、例えばCD-ROM又は半導体ROMなどの記憶媒体、あるいはフロッピーディスクやハードディスク等の磁気記録媒体を備えていてもよい。更に、キャリアは、電気信号又は光信号等の伝送可能なキャリアであってもよく、電気又は光ケーブルを介して、あるいは無線又は他の手段によって伝達されてもよい。予後のデータが、ケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって直接伝達され得る信号に具体化される場合、そのキャリアは、そのようなケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成され得る。他のキャリアは、USBデバイス及びコンピュータアーカイブに関するものである
。適切なデータキャリアの例は、紙、CD、USB、PC内のコンピュータアーカイブ、又は同じ情報を有する音声登録である。
【0136】
明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という単語及びその単語の変形は、他の技術的特徴、添加物、構成要素、又はステップを排除することを意図しない。更に、「含む(comprise)」という用語及びその変形は、「からなる(consisting of)」という用語を包含する。本発明の更なる目的、利点、及び特徴は、説明を検討して当業者に明らかになるか、本発明を実施することにより習得されるであろう。以下の実施例は説明のために提供され、本発明を限定する意図はない。更に、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態のあらゆる可能な組み合わせを包含する。
【実施例0137】
実施例1
【0138】
試薬
Albumin and IgG Depletion SpinTrapカラムを、GE Healthcare(カタログ番号28-9480-20)から購入した。Lys CエンドプロテイナーゼMSグレードは、Thermo Scientificから購入した(カタログ番号90051)。Watersから固相抽出カートリッジ、Sep
Pak tC18、50mgを得た(カタログ番号WAT054960)。全ての他の試薬はSigma-Aldrichから得た。
【0139】
患者と試料の収集
2012年~2015年にかけて、Vall d’Hebron大学病院(スペイン、バルセロナ)で、本前向き試験に参加する合計38人の患者(ECに苛まれている20人の女性と非ECの対照18人、即ちECの症状を有するがECと診断されなかった女性)が集められた。Vall d’Hebron倫理委員会によって承認された同意説明文書に、全ての患者が署名した(承認番号:PR_AMI_50-2012)。
【0140】
手術前に臨床医の診療室又は手術室でCornier Pipelle(Eurogine Ref.03040200)を用いて吸引して子宮液の試料を収集し、1.5mlのマイクロチューブに移した。リン酸緩衝液生理食塩水を1:1(v/v)の比で加え、2500rcfで20分間遠心分離して、可溶性画分(上清)を固体画分(ペレット)から分離した。分離した画分は、使用するまで-80℃に保った。
【0141】
検証研究用の試料の調製
20人のEC患者及び18人の非EC対照から得た子宮吸引物の上清を超音波処理して潜在性微小胞、タンパク質凝集体、及び/又は粘液を、5秒間に100%の振幅で5サイクルで破壊した(Labsonic M)。次いで、製造者の指示に従ってAlbumin&IgG Depletion Spin Trapキットを使用して、アルブミン及び免疫グロブリンGを50μlの上清試料から枯渇させた。全タンパク質濃度は、3回実施したBradfordアッセイによって測定した。次いで38試料の各々を25μgの2つのアリコートに分離して、全プロセスについて複製を生成したが、複製するには材料の量が不十分であった1つの試料を除いた。試料を重炭酸アンモニウムの50mM溶液に希釈して120μlの最終容量にし、50mMの重炭酸アンモニウム中に懸濁した185μlの10Mの尿素を添加することにより変性させ、22℃で20分間撹拌しながらインキュベートし、続いて超音波に浸して(Branson5510)10分間インキュベートした。次いで、試料を200mMジチオスレイトール7.8μlで37℃で60分間還元し、22℃で12.2μlの400mMヨードアセトアミドで暗所で30分間アルキル
化した。試料をLys C(プロテアーゼ/総タンパク質量比1/150;w/w)で37℃で4時間消化した。その後、尿素の濃度を50mM重炭酸アンモニウム緩衝液で1Mに希釈し、試料をトリプシン(プロテアーゼ/全タンパク質の量の比1/50;w/w)で37℃で一晩インキュベートした。トリプシンの活性を、100μlの溶液当たり1μlの無水のギ酸の添加によりクエンチした。試料を重合成ペプチドの混合物でスパイクし、次いで固相抽出カートリッジ(Sep Pak tC18、50mg、Waters)に脱塩した。その後、溶離液を真空遠心分離機で蒸発乾固させ、次いでLC-PRM分析の前に0.1%ギ酸で再懸濁した。
【0142】
LC-MS/MS PRMの構成
LC MSのセットアップは、高圧バイナリグラジエント用に構成され、カラム切り替えモードで動作するDionex Ultimate3000RSLCクロマトグラフィシステムからなる。移動相Aは、水中の0.1%ギ酸からなり、相Bはアセトニトリル中の0.1%ギ酸に存し、装填相は水中の0.05%トリフルオロ酢酸及び1%アセトニトリルに存した。250ngの消化された各々の試料に相当するものを注入し、5μl/分でトラップカラム(75μm×2cm、C18 PepMap100、3μm)に装填し、分析カラム(75μm×15cm、C18 PepMap100、2μm)に、300nl/分で、48分間で2%A~35%Bで開始する線形勾配でさらに溶出した。MSの分析は、PRMモードで操作されるハイブリッド四重極オービトラップ質量分析計(Q Exactive plus、Thermo Scientific)により行った。MSサイクルは、70,000の分解能(200m/z)で実行される完全MS1スキャンで開始され、20の標準化された衝突エネルギーで、35,000の分解能(200m/z)で獲得される、時間スケジュール化した標的化PRMスキャンが続いた。PRM事象の四重極単離ウィンドウを1m/z単位に設定し、内因性ペプチド及び同位体標識ペプチドのそれぞれの対に関するスケジュールされた時間ウィンドウの持続時間を2分に設定した。
【0143】
統計分析
全ての分析は、SPSSバージョン20.0(IBM、USA)及びGraph Pad Prism v.6.0(GraphPad Software、CA、米国)で行った。平均化された軽度/重度の面積比を複製の間で計算した。ピアソン相関係数を用いて、同じタンパク質のシグナチャのペプチド間の線形相関を計算した。Kolmogorov-Smirnova検定及びShapiro-Wilk検定によって評価された非正規分布のデータセットに起因して、腫瘍と対照試料との間のモニタされたペプチドの発現の比較を、ノンパラメトリックなMann-Whitney U検定によって評価した。3を超える倍率変化を伴う0.05を下回るP値が、統計的に有意であると考えられた。受信者動作特性(ROC)曲線を用いて、EC対非EC対照群の感度と特異度との間の関係を計算し、それによって各バイオマーカー候補の診断能力を評価した。
【0144】
結果
20人のEC患者と18人の非EC対照との間の各バイオマーカー候補の発現を比較した。重要なことに、患者と対照の両方共、異常な膣の出血を患っている閉経後女性であり、ECに罹患している患者の93%がこれらの臨床的特徴を示していたが、その15%のみが最終的にECと診断されることになる。
【0145】
Bradfordアッセイに基づいて、アルブミン及びIgG枯渇後の全タンパク質濃度の250ngを各試料に対して注入した。MS1スキャンの全イオンクロマトグラムの積分によって、試料間で注入された一定量のタンパク質が更に確認された。MSデータのキュレーション後、MS2における98個のモニタリングされたペプチドの相対レベル(軽/重比)を、腫瘍試料と対照試料との比較のためにMann-Whitney検定にか
けた。32のタンパク質に対応する58のペプチドが、2群間でp値<0.05及び倍率変化1.5超で有意差を示した:PERM、CADH1、SPIT1、ENOA、MMP9、LDHA、CASP3、KPYM、PRDX1、OSTP、PDIA1、NAMPT、MIF、CTNB1、K2C8、ANXA2、CAPG、FABP5、MUC1、CAYP1、XPO2、NGAL、SG2A1、ANXA1、HSPB1、PIGR、CH10、CD44、CLIC1、TPIS、GSTP1、及びGTR1。これらのタンパク質は全て、対照試料と比較して、腫瘍試料で過剰発現していた。
【0146】
EC診断用のバイオマーカーとしてのそれらの有用性を更に評価するために、各バイオマーカーの感度及び特異度を判定するためのROC分析を行った。興味深いことに、全てのタンパク質は、0.71から0.95の範囲の低侵襲性子宮吸引物でのECの増加した可能性を規定するための優れた濃度曲線下面積(AUC)値を達成した。10種の最高の能力の個々のタンパク質は、全てが0.9より高いAUC値のPERM、CADH1、SPIT1、ENOA、MMP9、LDHA、CASP3、KPYMアイソフォームM1-M2、PRDX1、及びOSTPアイソフォームAであった。
【0147】
【表1】
【0148】
これらの結果により、これらのタンパク質が女性生殖器から得た単離された液体試料において非常に高い感度及び特異度を示すと結論づけられる。
【0149】
更に、これらのタンパク質とがんとの関連及び細胞内の位置に関するそれらの起源をよ
りよく理解するために、Ingenuity Pathway Analysis(IPA)を使用する生物情報学の解析も実施した。予想されるように、データの統合は、これらのバイオマーカーに関連する主要な疾患としてがん、炎症性疾患、生命体の傷害及び異常、並びに生殖器系の疾患の同定をもたらした。これらのタンパク質に関わる分子機能と細胞機能の主要な5つには、細胞運動、細胞死と生存、細胞の発達、細胞の増殖、細胞間シグナル伝達と相互作用が含まれる。この全てが、がんにおいて変化する重要な過程である。これらのタンパク質は、主に細胞質、原形質膜、及び細胞外空間に見出され、それらが子宮内膜の上皮細胞及び炎症細胞の分泌から、又は近位組織における細胞の壊死から来ることを示す。これらの特徴は、女性生殖器に関連する近位体液中のECを診断するためのバイオマーカーの使用を促進するために重要であった。
【0150】
実施例2
【0151】
いくつかのタンパク質の診断能力は、116人の女性から得た子宮吸引試料において、先に開示したような並列反応モニタリング取得法(LC-PRM)を用いた質量分析検出による液体クロマトグラフィーによって評価した。
【0152】
子宮吸引物の処理には、特殊な装置を用いた吸引による収集、PBS1×生理食塩水溶液を1:1(v/v)の比でチューブに吸引する希釈が含まれていた。次に、液体画分を細胞画分から分離するために、2,500×gで20分間の遠心分離を行った。子宮吸引物の上清を用いてタンパク質バイオマーカーを評価した。
【0153】
116人の女性のうち、69人がECと診断された。49人の類内膜EC(EEC)及び20人の非類内膜の漿液性EC(SEC)が含まれていた。残りの47人の女性は非EC女性で、通常の子宮内膜症又は良性の疾患と診断された。
【0154】
有意なECバイオマーカーを得るために、LC-PRM研究(LC-PRMの構成は実施例1と同じである)で得られた軽/重面積比として測定された各マーカーの発現を、ノンパラメトリックであるマンホイットニーU検定を用いて、腫瘍団(n=69)と非EC団(n=47)とで比較した。0.05未満の調整後のp値が統計的に有意であると考えられた。受信者動作特性(ROC)分析を用いて、バイオマーカーの特異度及び感度を評価し、ROC曲線下面積(AUC)を各タンパク質について評価した。結果を以下の表2に要約する。
【0155】
【表2】
【0156】
より堅牢なバイオマーカーから、本発明者らは、MMP9によって提供される診断情報の改善に関心を向けた。この目的のために、ロジスティック回帰モデルをデータに適合させて、タンパク質の異なる組み合わせの力を評価して、2つの臨床的カテゴリー(がん及び対照)の試料を分類した。これらの回帰モデルのそれぞれについてROC曲線を生成した。群間の識別用の「最適な」カットオフ点でのAUC、感度、及び特異度が得られた。最適なカットオフは、アイデンティティ(対角線)までの距離を最大化する閾値に対応していた。最適性の基準は、最大(感度+特異度)であった。AUCの95%信頼区間(CI)をDelong法(20)で計算した。感度及び特異度の値の95%CIは、Fawcettに記載されている平均化方法及びブートストラップ再サンプリングを用いて計算した(Fawcett T., 「An Introduction to ROC A
nalysis」,Pattern Recogn Lett.2006,v.27,pages861-874)。全てのROC分析は、R 「pROC」パッケージを用いて実施した(Robin X.et al.,“pROC:an open-source
package for R and S+to analyze and compare ROC curves”,BMC Bioinformatics,2011,v.12,page77)。各タンパク質パネルの堅牢性を評価するために、データセットの残りの試料に対して調整されたロジスティック回帰モデルを、データセットの各試料に適用することにより、「leave-one-out」交差確認手順を実行し、それにより新しいROC曲線を得て、その後通常のROC分析を実行した。同様の方法で、診断したタンパク質パネルの識別能力は、初期のセット(コホート1:実施例2のコホート)に対して調整されたロジスティック回帰モデルを、独立した試料のセットの各試料(コホート2:実施例1のコホート)に適用することによって更に検証し、それにより新しいROC曲線を得て、その後通常のROC分析を実行した。
【0157】
従って、MMP9バイオマーカーの値は、MMP9と組み合わせたときにMMP9単独のECバイオマーカー値に悪影響を及ぼす他のタンパク質とは対照的に、KPYM、ENOA、PRDX1、MIF、GSTP1、CAPG、CADH1、HSPB1、PDIA1、LDHA、CLIC1、CASP3、FABP5、TPIS、LDHA、CTNB1、CH10、NAMPT、及びANXA2と組み合わせて判定を実施したときに著しく改善したことが見出された。
【0158】
陽性の組み合わせの特定の例は、0.96のAUC値を示すMMP9+KPYMの組み合わせである。個々のAUC値がそれぞれMMP9は0.89、KPYMは0.90であり、組み合わせたときにMMP9のAUC値が増加しているため、この知見は意外であった。
【0159】
対照的に、MMP9とPERMとの組み合わせは、ECの検出精度を改善しなかった。実施例1及び実施例2において、MMP9について得られた個々のAUC値は0.91及び0.89であった。PERMのAUC値は0.96及び0.86であった。しかし、それらの組み合わせは、いかなるAUC値の改善をも報告しなかった。MMP9とPERMとの組み合わせは、0.89のAUC値を有する。
【0160】
実施例3
【0161】
ELISA技法によるMMP9とKPYMの検出。製造者のプロトコールによる、ELISAキット(それぞれ、R&D Systems及びUSCN life Science and Technology Company)。MMP9については、105の子宮吸引試料を、1:10、1:100、又は1:1000の希釈物を用いて分析した。KPYMについては、試料物質が不足していたために、1:2、1:4、又は1:10の希釈物を用いて、39の子宮吸引試料のみ分析することができた。全ての試料を2回測定し、平均値をng/mLとして報告した。LC-PRM及びELISAアッセイの結果間の線形相関は、ピアソン相関係数を用いて計算した。ELISAの結果により、質量分析で観察された結果と高度な相関があることが見出された。従って、MMP9及びKPYMは、ECを診断するための抗体ベースの技術において使用できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性生殖器から単離された体液試料中の、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを決定することを含む、子宮内膜がんの診断又は予後判定の方法。
【請求項2】
子宮内膜がんに罹患していることが疑われる対象を同定するための方法であって、前記方法は、
(a)女性生殖器から単離された体液試料中の、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで決定すること;並びに
(b)工程(a)の発現レベルと基準対照レベルとを対比すること;
を含み、
工程a)で決定された発現レベルが、前記基準対照レベルより高い場合、前記対象が子宮内膜がんに罹患していることが疑われることを示す、方法。
【請求項3】
子宮内膜がんに罹患している疑いがある対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定又は推奨するための方法であって、前記方法は、
女性生殖器から単離された体液試料中の、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで決定すること;
を含み、
前記試料中のタンパク質の発現レベルが、基準対照レベルよりも高い場合、子宮内膜がんと診断するか、又は前記対象が子宮内膜がんに罹患している疑いがあることを示す、方法。
【請求項4】
既に子宮内膜がんであると診断された対象に対する医療レジメンの有効性を決定するための方法であって、前記方法は、
a)医療レジメンを実施する前に、女性生殖器から単離された体液試料中の、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルをインビトロで測定すること;並びに
b)医療レジメンを開始したら、前記対象の女性生殖器から単離された体液試料中の前記マーカーの発現レベルをインビトロで測定すること;並びに
c)前記工程(a)及び前記工程(b)で測定された前記発現レベルを対比すること、この対比により、前記工程(b)で測定された発現レベルが、前記工程(a)で測定された発現レベルよりも低い場合、前記医療レジメンが、子宮内膜がんの治療の有効であることを示す;
を含み、
あるいは、前記方法は、
(i)医療レジメンを開始したら、前記対象の女性生殖器から単離された体液試料中の、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを、インビトロで測定すること;並びに
(ii)前記工程(i)で測定された前記発現レベルと基準対照レベルとを対比すること、ここで、前記工程(i)で測定された前記発現レベルが、前記基準対照レベルよりも高くない場合、前記医療レジメンが、子宮内膜がんの治療の有効であることを示す;
を含む、方法。
【請求項5】
前記発現レベルがタンパク質のレベルで決定される、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質の前記発現レベルが、前記タンパク質に結合することができる抗体又はその断片を用いて決定される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体又はその断片がキットの一部を形成する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
単離された前記試料が子宮吸引液である、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
更に、(i)診断又は予後判定情報を収集すること、及び(ii)前記データをデータ媒体に保存することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
女性生殖器から単離された体液試料において、子宮内膜がんを診断又は予後判定するためインビトロマーカーとしての、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のマーカーの使用。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法における、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のマーカーの発現レベルを検出するための手段の使用。
【請求項12】
固体支持体と、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを検出するための手段と、を含む、子宮内膜がんの診断又は予後判定のためのキット。
【請求項13】
前記タンパク質の前記発現レベルを検出するための手段が抗体又はその断片である、請求項12に記載のキット。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
女性生殖器から単離された体液試料中の、KPYM;又はKPYM並びにANXA1、ANXA2、CAPG、CAYP1、CASP3、CD44、CADH1、XPO2、CTNB1、ENOA、FABP5、GSTP1、HSPB1、CH10、K2C8、NGAL、LDHA、MIF、MMP9、MUC1、NAMPT、PIGR、PRDX1、SG2A1、GTR1、SPIT1、OSTP、TPIS、及びPDIA1からなる群から選択される1以上のタンパク質の発現レベルを決定することを含む、子宮内膜がんの診断又は予後判定のための方法。
【外国語明細書】