(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116131
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】光学カモフラージュフィルター
(51)【国際特許分類】
G02B 5/26 20060101AFI20240820BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240820BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240820BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240820BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240820BHJP
H01L 27/146 20060101ALN20240820BHJP
【FI】
G02B5/26
G02B5/22
G02B5/30
G09F9/00 313
G02B5/28
H01L27/146 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024078450
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2022084184の分割
【原出願日】2017-01-20
(31)【優先権主張番号】62/281,643
(32)【優先日】2016-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/349,944
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
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(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウィートリー,ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,グワーンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ユスト,デイヴィッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,ニーラジュ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カワカミ,エリソン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】レンストローム,アンソニー エム.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可視波長による望ましくない光学干渉を防止し、あるいは電磁放射源を視覚からカモフラージュし、その一方で、所望の近赤外波長が発光器によって透過されること、又は受光器によって受光されることを少なくとも部分的に可能にし、比較的高い透明度による近赤外波長の透過を可能にする
【解決手段】波長選択性反射層14と、少なくとも1つの波長選択性吸収層とを含む光学フィルターを含む。光学フィルターは、400nm~700nmの約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【請求項2】
400nm~700nmの波長に対する平均可視透過率が約5%未満である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
830nm~900nmの波長に対する平均近赤外透過率が約50%より大きい、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記波長選択性反射層が干渉フィルターを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記波長選択性反射層が多層光学フィルムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記波長選択性反射層が反射型偏光子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記波長選択性吸収層が、波長選択性染料及び波長選択性顔料の一方又は両方を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記波長選択性吸収層が多孔質層を含み、前記波長選択性染料及び前記波長選択性顔料の一方又は両方が前記多孔質層の細孔内に配置されている、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記波長選択性染料及び前記波長選択性顔料の一方又は両方が第1のスペクトル範囲内の光を吸収し、異なる第2のスペクトル範囲内の光を再放射する、請求項7に記載の物品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの波長選択性吸収層が第1の波長選択性吸収層及び第2の波長選択性吸収層を含み、前記波長選択性反射層が前記第1の波長選択性吸収層と前記第2の波長選択性吸収層との間にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記第1の波長選択性吸収層が、前記第2の波長選択性吸収層と異なる光学特性を有する、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記第1の波長選択性吸収層が黒色染料及び黒色顔料の一方又は両方を含み、
前記第2の波長選択性吸収層がカラー染料及びカラー顔料の一方又は両方を含む、
請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記カラー染料及び前記カラー顔料が、シアン成分、マゼンタ成分、及び黄色成分のうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記光学フィルターがシーラント層を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記波長選択性吸収層が前記シーラント層上に配置されている、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記波長選択性吸収層が前記シーラント層上にコーティング又は印刷されている、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の約50%未満を散乱させ、830nm~900nmの波長の約50%未満を散乱させる、請求項1~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
前記波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の約30%未満を散乱させ、830nm~900nmの波長の約30%未満を散乱させる、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記波長選択性吸収層が、830nm~900nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、請求項1~18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
前記波長選択性吸収層が、800nm~1200nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、請求項1~18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項21】
前記波長選択性吸収層が、900nm~980nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、請求項1~18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記波長選択性吸収層が印刷層である、請求項1~21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
前記波長選択性吸収層が別の層上のコーティングを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
波長選択性散乱層を更に含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の物品。
【請求項25】
前記波長選択性吸収層が前記波長選択性散乱層上に配置されている、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
前記波長選択性吸収層が前記波長選択性散乱層上にコーティングされている、請求項24に記載の物品。
【請求項27】
前記波長選択性吸収層が前記波長選択性散乱層上に印刷されている、請求項24に記載の物品。
【請求項28】
前記光学フィルターがフレキシブルである、請求項1~27のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
前記光学フィルターが3次元形状を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の物品。
【請求項30】
基板を更に備えている、請求項1~29のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
前記基板が、ガラス及びポリマーのうちの少なくとも一方を含む、請求項30に記載の物品。
【請求項32】
前記基板が3次元基板である、請求項30に記載の物品。
【請求項33】
前記物品が3次元形状を有し、前記物品を物体に取り付けるように構成された1つ以上の取付構造を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の物品。
【請求項34】
前記取付構造が1つ以上のプレスフィット取付構造を含む、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
前記物体が電子構成要素である、請求項33に記載の物品。
【請求項36】
前記光学フィルターが、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項37】
前記光学フィルターが、800nm~1200nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項38】
前記光学フィルターが、800nm~1200nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、請求項37に記載の物品。
【請求項39】
垂直入射時の前記光学フィルターの可視透過率が、斜め角度における前記光学フィルターの可視透過率未満である、請求項1~38のいずれか一項に記載の物品。
【請求項40】
傾斜角度における前記光学フィルターの可視透過率が、垂直入射時の前記光学フィルターの可視透過率未満である、請求項1~38のいずれか一項に記載の物品。
【請求項41】
0~60度の傾斜角度における前記光学フィルターの可視透過率が、垂直入射時の前記光学フィルターの可視透過率未満である、請求項1~38のいずれか一項に記載の物品。
【請求項42】
光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び900nm~980nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【請求項43】
光学フィルターを含む印刷物であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、印刷物。
【請求項44】
前記光学フィルターが、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、請求項43に記載の印刷物。
【請求項45】
前記光学フィルターが、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び800nm~1200nmの全波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、請求項43に記載の印刷物。
【請求項46】
光学フィルターを含む印刷物であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び900nm~980nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、印刷物。
【請求項47】
光学フィルターを含む印刷物であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、及び900nm~980nmにおける全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、印刷物。
【請求項48】
物体と、
前記物体に隣接する光学フィルターと、を備えるシステムであって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、システム。
【請求項49】
平均可視透過率が約1%未満である、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記平均近赤外透過率が約75%よりも大きい、請求項48又は49に記載のシステム。
【請求項51】
前記波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の50%未満、及び830nm~900nmの波長の50%未満を散乱させる、請求項48~50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
前記波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の約25%未満、及び830nm~900nmの波長のより少ない25%を散乱させる、請求項48~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記波長選択性吸収層が、830nm~900nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、請求項48~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、請求項48~53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、請求項48~53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記受光器が虹彩走査システムを含む、請求項48~53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記光学フィルターが基板層上に配置されている、請求項48~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
前記光学フィルターが、前記受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、前記受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、請求項48~57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記光学フィルターが、前記受光器及び前記発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、請求項48~58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
前記光学フィルターが波長選択性散乱層を更に含む、請求項48~59のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記少なくとも1つの発光器及び受光器が電子デバイスの構成要素であり、前記光学フィルターが、3次元形状を有し、前記光学フィルターを含む物品を前記電子デバイスに取り付けるように構成された1つ以上の取付構造を含む前記物品の構成要素である、請求項48~60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
前記物体が発光器及び受光器のうちの1つ以上を含む、請求項48~61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記物体が再帰反射性である、請求項48~62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
400nm~700nmの波長に対する平均可視吸収を有して約30%より大きい少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【請求項65】
前記少なくとも1つの波長選択性吸収層が、400nm~700nmの全波長に対して約30%より大きい可視吸収を有し、前記光学フィルターが、830nm~900nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、請求項64に記載の物品。
【請求項66】
400nm~700nmの波長に対する平均可視吸収が約50%より大きい、請求項64に記載の物品。
【請求項67】
前記波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の50%未満、及び830nm~900nmの波長の50%未満を散乱させる、請求項64~66のいずれか一項に記載の物品。
【請求項68】
前記波長選択性吸収層が、830nm~900nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、請求項64~66のいずれか一項に記載の物品。
【請求項69】
前記波長選択性反射層が、830nm~900nmの波長に対して約50%より大きい平均近赤外透過率を有する、請求項64~68のいずれか一項に記載の物品。
【請求項70】
波長選択性散乱層を更に含む、請求項64~69のいずれか一項に記載の物品。
【請求項71】
光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
400nm~700nmの波長に対して約30%より大きい平均可視吸収を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、900nm~980nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【請求項72】
光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
400nm~700nmの波長に対して約30%より大きい平均可視吸収を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、前記光学フィルターは、800nm~1200nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【請求項73】
物体と、
前記物体に隣接する光学フィルターと、を備えるシステムであって、前記光学フィルターは、
830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する波長選択性反射層と、
400nm~700nmにおいて約30%より大きい平均可視吸収、及び約30%より大きい830nm~900nmの波長に対する平均近赤外透過率を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、
を含む、システム。
【請求項74】
前記発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
前記受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項76】
前記受光器が虹彩走査システムを含む、請求項73に記載のシステム。
【請求項77】
前記光学フィルターが、前記受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、前記受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、請求項73~76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記光学フィルターが、前記受光器又は前記発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、請求項73~77のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項79】
前記物体が発光器及び受光器の一方又は両方を含む、請求項73~78のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項80】
前記物体が再帰反射性である、請求項73~79のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項81】
光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは、
染料及び顔料のうちの少なくとも一方を含む波長選択性散乱層であって、前記波長選択性散乱層は、400nm~700nmの可視波長を散乱させ、830nm~900nmの近赤外波長を透過させるように構成されている、波長選択性散乱層と、
830nm~900nmの近赤外波長を透過させるように構成された波長選択性反射層と、
を含む、物品。
【請求項82】
前記波長選択性散乱層が、前記染料及び前記顔料のうちの少なくとも一方を含むコーティングを含む、請求項81に記載の物品。
【請求項83】
前記コーティングが、約11%を超える固形物を含有する、請求項81に記載の物品。
【請求項84】
前記コーティングが、約12%を超える固形物を含有する、請求項81に記載の物品。
【請求項85】
前記コーティングが、約13%を超える固形物を含む、請求項81に記載の物品。
【請求項86】
前記コーティングが、約14%を超える固形物を含む、請求項81に記載の物品。
【請求項87】
光学フィルターを作製する方法であって、前記方法は、
波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成する工程を含み、前記光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、方法。
【請求項88】
前記波長選択性吸収層及び前記波長選択性反射層を形成する工程が、前記波長選択性吸収層を前記波長選択性反射層上に形成する工程、又は前記波長選択性反射層を前記波長選択性吸収層上に形成する工程を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記波長選択性吸収層及び前記波長選択性反射層を形成する工程が、単一の複合層を形成する工程を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記波長選択性吸収層を形成する工程が、波長選択性吸収材料を印刷又はコーティングする工程を含む、請求項87~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記波長選択性吸収層を印刷又はコーティングする工程が、波長選択性吸収材料、波長選択性散乱材料、波長選択性反射材料、及びシーラント材料のうちの2つ以上を含む溶液を印刷又はコーティングする工程を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記波長選択性吸収層を形成する工程が、波長選択性吸収材料を含む溶液を多孔質層にコーティングする工程を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項93】
前記多孔質層が波長選択性散乱層である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記波長選択性吸収材料が、前記多孔質層の細孔に入る染料を含み、前記溶液が、前記多孔質層の表面上に残留してシーラントを形成する粒子を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記波長吸収層を形成する工程が、2つ以上の波長選択性吸収材料の混合物を一体に形成し、前記混合物を前記波長選択性吸収層として堆積させる工程を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項96】
前記波長吸収層を形成する工程が、
第1の波長選択性吸収材料を含む第1の波長選択性吸収層を形成する工程と、
第2の波長選択性吸収材料を含む第2の波長選択性吸収層を形成する工程と、
を含む、請求項87に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2016年1月21日に出願された米国特許出願第62/281,643号、及び2016年5月6日に出願された国際出願PCT/CN2016/081271号に関連する。これらの出願は全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【0002】
光は、例えば鏡面反射又は拡散反射として、異なる仕方で表面から反射し得る。不透明材料では、材料の最表面層上において、例えば空気/材料界面において、鏡面反射が生じ得、反射は入射光の全スペクトルを伝えることができる。鏡面反射は、全反射光の4%未満を占め得る、テカリ又は光沢として発現し得る。対照的に、材料の上面下では拡散反射が生じ得、選択された波長又は色を伝えることができる。例えば、非金属物体の拡散反射では色が見え得る。例えば、透明な仕上げ塗りで被覆されたペンキ塗膜を含む表面などのハイブリッド表面においては、両方の種類の反射が観察され得る。それゆえ、空気/仕上げ塗り界面では鏡面反射が生じ得、仕上げ塗り/ペイント塗膜界面では拡散反射が生じ得る。
【0003】
光学フィルターは、光通信システム、センサ、イメージング、科学及び産業光学機器、並びにディスプレイシステムなどの多種多様の用途において使用されている。光学フィルターは、光を含む入射電磁放射の透過を管理する光学層を含み得る。光学フィルターは入射光の一部分を反射又は吸収し、入射光の他の部分を透過させることができる。光学フィルター内の光学層は、波長選択性、光透過率、光学的透明性、光学ヘイズ、及び屈折率が異なり得る。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、物品は、波長選択性反射層と、少なくとも1つの波長選択性吸収層とを含む光学フィルターを含む。光学フィルターは、400nm~700nmの約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する。
【0005】
いくつかの実施形態は、光学フィルターを含む印刷物に関する。光学フィルターは、波長選択性反射層と、少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層とを含む。光学フィルターは、400nm~700nmにおいて約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、システムは、発光器及び受光器の一方又は両方と、発光器及び受光器の一方又は両方に隣接する光学フィルターとを含む。光学フィルターは、波長選択性反射層と、少なくとも1つの波長選択性吸収層とを含む。光学フィルターは、400nm~700nmにおいて約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、物品は光学フィルターを含む。光学フィルターは、波長選択性反射層と、400nm~700nmにおいて約30%より大きい可視吸収を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層とを含む。光学フィルターは、830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、システムは、発光器及び受光器の一方又は両方と、発光器及び受光器の一方又は両方に隣接する光学フィルターとを含む。光学フィルターは、830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する波長選択性反射層を含む。光学フィルターは、400nm~700nmにおいて約30%より大きい可視吸収、及び830nm~900nmにおいて約30%より大きい近赤外透過率を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、物品は光学フィルターを含む。光学フィルターは、染料及び顔料のうちの少なくとも一方を含む波長選択性散乱層を含む。波長選択性散乱層は、400nm~700nmの可視波長を散乱させ、830nm~900nmの近赤外波長を透過させる。光学フィルターは、830nm~900nmの近赤外波長を透過させるように構成された波長選択性反射層を更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態は、波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成することを含む光学フィルターの製造方法に関する。波長選択性吸収層及び波長選択性反射層は、光学フィルターが400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有するように形成されている。
【0011】
様々な実施形態の1つ以上の態様の詳細を添付の図面及び以下の説明に示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1B】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1C】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1D】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1E】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1F】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1G】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1H】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1I】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1J】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図1K】光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
【
図2A】光学フィルターを含む例示的なシステムの概念的略図である。
【
図2B】光学フィルターを含む例示的なシステムの概念的略図である。
【
図2C】光学フィルターを含む例示的なシステムの概念的略図である。
【
図2D】光学フィルターを含む例示的なシステムの概念的略図である。
【
図2E】光学フィルターを含む例示的なシステムの概念的略図である。
【
図2F】光学フィルターを含む例示的なシステムの概念的略図である。
【
図2G】それぞれ、光学フィルターを含む物品であって、この物品は、物体に適合するように構成されている、物品を示す、正面図及び背面図である。
【
図2H】それぞれ、光学フィルターを含む物品であって、この物品は、物体に適合するように構成されている、物品を示す、正面図及び背面図である。
【
図3A】例示的な光学フィルターと、視認可能なパターン及び不可視の近赤外パターンを表示する電子ディスプレイとを含む例示的なシステムの概念図である。
【
図3B】例示的な光学フィルターと、視認可能なパターン及び不可視の近赤外パターンを表示する電子ディスプレイとを含む例示的なシステムの概念図である。
【
図3C】例示的な光学フィルターと、視認可能なパターン及び不可視の近赤外パターンを表示する電子ディスプレイとを含む例示的なシステムの概念図である。
【
図3D】例示的な光学フィルターと、視認可能なパターン及び不可視の近赤外パターンを表示する電子ディスプレイとを含む例示的なシステムの概念図である。
【
図5】例示的な光学フィルターとインクパターンとを含む例示的な物品の写真である。
【
図6B】例示的な光学フィルターによってカモフラージュされたソーラーパネルの写真である。
【
図7】例示的な光学フィルターとインクパターンとを含む例示的な物品の写真である。
【
図8A】例示的な光学フィルターと近赤外LEDとを含む例示的なシステムの写真である。
【
図8B】例示的な光学フィルターと近赤外LEDとを含む例示的なシステムの写真である。
【
図8C】例示的な光学フィルターと近赤外LEDとを含む例示的なシステムの写真である。
【
図9】例示的な光学フィルターの表面の原子間力顕微鏡(atomic force microscopy、AFM)写真である。
【
図10A】例示的な光学フィルターの走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)写真である。
【
図10B】例示的な光学フィルターの走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)写真である。
【
図11】例示的な光学フィルターについての%反射率及び%透過率対波長を示すチャートである。
【
図12A】例示的な光学フィルターについての%透過率対波長を示すチャートである。
【
図12B】例示的な光学フィルターについての%透過率対波長を示すチャートである。
【
図13】例示的な光学フィルターについての%透過率対波長を示すチャートである。
【
図14】例示的な光学フィルターについての散乱効率対波長を示す、ミー散乱の結果を示すチャートである。
【
図15】媒体と複数の粒子とを含む例示的な波長選択性散乱層についての、近赤外散乱比を粒径及び屈折率差の関数として示すチャートである。
【
図16A】近赤外黒色インクコーティングを含む近赤外フィルム、及び近赤外黒色インクコーティングを含まない近赤外フィルムのウェットアウトを比較した写真である。
【
図16B】近赤外黒色インクコーティングを含む近赤外フィルム、及び近赤外黒色インクコーティングを含まない近赤外フィルムのウェットアウトを比較した写真である。
【
図16C】近赤外黒色インクコーティングを含む近赤外フィルム、及び近赤外黒色インクコーティングを含まない近赤外フィルムのウェットアウトを比較した写真である。
【
図16D】近赤外黒色インクコーティングを含む近赤外フィルム、及び近赤外黒色インクコーティングを含まない近赤外フィルムのウェットアウトを比較した写真である。
【
図18A】着色された吸収層を含む例示的な近赤外フィルムの写真である。
【
図18B】着色された吸収層を含む例示的な近赤外フィルムの写真である。
【
図19】近赤外反射防止コーティングを有しない反射多層光学フィルムと比較した、近赤外反射防止コーティングで被覆された反射多層光学フィルムについての%透過率対波長を示すチャートである。
【
図20A】可視光成分を有する赤外LEDを含む例示的なシステムの写真である。
【
図20B】吸収層を有しない反射多層光学フィルムによってフィルタリングされた可視光成分を有する赤外LEDを含む例示的なシステムの写真である。
【
図21】赤外染料コーティングを有しない反射多層光学フィルムについての%透過率対波長を示すチャートである。
【
図22】染料コーティングを有しない比較光学フィルターと比較した、赤外染料コーティングを有する反射多層光学フィルムについての%透過率対波長を示すチャートである。
【
図23】染料添加量が増大する5つのフィルムサンプルについての垂直入射時の透過率のグラフを示す。
【
図24】垂直入射、垂直入射から20度及び60度における、ミラーフィルムに積層された染料の透過率を示す。
【
図25】垂直入射、垂直入射から20度及び60度における、ミラーフィルムに積層された染料の透過率を示す。
【
図26】最適化されたミラーフィルムに積層された、3から34.7%まで変化する染料濃度を有する垂直入射時のサンプルのモデル化したグラフを示す。
【
図27】垂直入射時のミラー透過光の透過率を示す。
【
図28】
図26の場合と同じデータのプロットであるが、0~0.1%の透過率の目盛を用いたプロットを示す。
【
図30】
図29の反射型偏光子と組み合わせた、3から34.7%まで変化する染料濃度を有する垂直入射時のサンプルの透過率を示す。
【0013】
本開示の特定の図の特徴は必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らず、図は、本明細書に開示されている技術の非排他例であることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示において、「可視」は、約400nm~約700nmの範囲の波長を指し、「近赤外」は約700nm~約2000nmの範囲の波長、例えば約800nm~約1200nmの範囲の波長を指す。ULI(ultra-low index、超低屈折率)フィルムは、全体が本明細書において参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0038990号に記載されている、バインダー、複数の粒子、及び複数の相互接続空隙を含む光学フィルムを指す。
【0015】
周囲電磁放射源は、特定の波長の、又は特定の光源からの光を受光するように構成された受光器、あるいは特定の波長の光を発光するように構成された発光器と干渉し得る。例えば、可視波長は、例えば、受光器内又は発光器内のノイズを増大させることによって、近赤外波長の受光、感知、又は透過に干渉し得る。電磁放射源も意図せずに露見し得る。例えば、近赤外波長のみを発光するように構成された発光器によって発光された光は視認可能ではないが、発光を担う装置又は構造体、例えば発光器の筐体が視認可能になり得る。カモフラージュ技術は、所望の近赤外波長の透過の阻止、干渉、又は減少を不必要に生じさせ得るため、発光器のマスキング、隠蔽、又はその他の仕方のカモフラージュは課題を提示し得る。本開示の諸例に係る光学フィルターは、可視波長による望ましくない光学干渉を防止し、あるいは電磁放射源を視覚からカモフラージュし、その一方で、所望の近赤外波長が発光器によって透過されること、又は受光器によって受光されることを少なくとも部分的に可能にし、あるいはその一方で、比較的高い透明度による近赤外波長の透過を可能にするために用いられ得る。
【0016】
例えば、近赤外波長を受光又は感知するよう動作する受光器は可視波長から遮蔽され、可視波長によって生じ得る近赤外波長の受光又は感知との干渉を防止することができる。近赤外波長を透過するよう動作する光送信器は、可視波長を散乱させることによって、視覚に対してカモフラージュされ得る。例えば、散乱された可視波長は、近赤外波長の送信を妨げることなく、光送信器の存在を隠蔽することができる。
【0017】
表面からの鏡面反射量は、空気界面のフレネル反射によって決定され得る。透明な最上層を有する不透明な表面については、全ての鏡面反射は上部の空気界面から生じ、残りの反射は下層からの拡散反射であると想定され得る。不透明な着色材料もまた、その屈折率を用いて上面上におけるフレネル反射を算出し、他の全ての反射は拡散性であると扱いつつ、同様のモデルに従うことができるであろう。例示的な光学フィルターは、透明基板上又は反射フィルム上に配置された拡散コーティングを有し得る。透明基板上に拡散コーティングがコーティングされる場合には、それは、その下にある要素を隠すために、より高いヘイズを有し得る。反射体上にコーティングがコーティングされる場合には、コーティングは、入射光を反射によって2回拡散させることになる。この場合には、コーティングはより少ないヘイズを有し得る。
【0018】
それゆえ、例示的なシステムは、受光器及び発光器の一方又は両方と、可視波長の透過を少なくとも部分的に減少させることができ、その一方で、近赤外波長の透過を少なくとも部分的に可能にする波長選択性散乱層とを含む光学フィルターを含み得る。例えば、波長選択性散乱層は、入射可視光の大部分を拡散させることができる。本開示による例示的なシステム及び物品は、近赤外光を比較的高い透明度で透過させ、その一方で、例えば可視波長を選択的に散乱又は反射させることによって可視波長の透過を減少させる例示的な波長選択性散乱層を含む例示的な光学物品を含み得る。
【0019】
図1A~
図1Kは、光学フィルターを含む例示的な物品の横断面図である。
図1Aは例示的な物品10aの横断面図を示す。物品10aは、基板12と、波長選択性散乱層14とを含む。基板12は、ガラス、ポリマー、金属、又は任意の他の好適な硬質、半硬質又は軟質材料、及びそれらの組み合わせを含み得る。
図1Aの例示的な物品10aでは、基板12が層として示されているが、諸例では、基板12は、平坦な表面、実質的に平坦な表面、又はテクスチャー化表面を有し得る任意の適切な三次元形状を取ることができる。諸例では、基板12は、デバイスの、例えば、パーソナルコンピューティングデバイス又は通信デバイス、例えば、携帯電話又はスマートウオッチなどの電子デバイスの、筐体、スクリーン、部品、又は表面を含み得る。いくつかの実施形態では、基板12はフレキシブルであり得る。いくつかの実施形態では、基板12は、いくつかの実施形態において、ガラス又はポリマーを含み得る。
【0020】
光学フィルターの1つ以上の層は、基板12に積層又は接着されていてもよいし、基板12上に一体的に形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、基板12は成形構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、基板12は成形部分であり得る。光学フィルターの1つ以上の層、例えば、波長選択性層14、16、34のうちの1つ以上は、インサート射出成形プロセスの間に基板12に付着させてもよい。例えば、波長選択性層14、16、34(及び/又は光学フィルターの他の層)は成形前に射出成形金型内に配置されてもよい。層を金型内に配置した後、成形材料を射出成形金型内に射出して成形基板を形成する。その後、光学フィルター層が付着された射出成形基板を金型から取り外す。
【0021】
図1A~
図1Kに示す例10a~10kのうちの任意のものに係る光学フィルターは、2次元又は3次元形状に形成され得る。いくつかの実施形態では、波長選択性層14、16、34のうちの1つ以上(及び/又は光学フィルターの他の層)は、基板12上に配置され、及び/又はそれに付着される前又は後に3次元形状に形成され得る。
図1A~
図1Kに示す例10a~10kのうちの任意のものに係る光学フィルターはフレキシブルであり得る。
図1A~
図1Kに示す例10a~10kのうちの任意のものに係る光学フィルターは、スロット、孔、突起、及び/又は他の特徴を含む、様々な特徴を含み得る。
【0022】
波長選択性散乱層14は、可視光を選択的に散乱させ、近赤外光を透過させる。諸例では、波長選択性散乱層は、約0.9未満、約0.8未満、約0.7未満、約0.6未満、又は約0.5未満の近赤外散乱比を有し得る。近赤外散乱比は、平均可視散乱に対する平均近赤外散乱の比である。例えば、(例えば、帯域幅1300nm、500nm、100nm、10nm、1nmの)選択された狭い又は広い近赤外波長帯域内における平均散乱が決定され得、選択された狭い又は広い可視波長帯域内における平均散乱が決定され得、それぞれの平均の比が決定され得る。例えば、波長選択性散乱層14は、約0.5より大きい、又は約0.7より大きい、又は約0.9より大きい可視反射ヘイズ率を有し得る。可視反射ヘイズ率は、平均可視全反射率に対する平均可視拡散反射率の比率である。諸例では、波長選択性散乱層14は入射可視光の約50%未満を透過させることができる。諸例では、波長選択性散乱層14は入射近赤外光の約50%超を透過させることができる。諸例では、波長選択性散乱層14は入射可視光の約50%未満を透過させ、入射近赤外光の約50%超を透過させることができる。諸例では、波長選択性散乱層14は入射可視光の約50%超を散乱させることができる。例えば、波長選択性散乱層14は、入射可視光の約50%超を散乱させることによって、入射可視光の約50%未満を透過させることができる。諸例では、波長選択性層14は入射可視光の約50%超を白色光として散乱させることができる。
【0023】
波長選択性散乱層14は、それぞれの所定の屈折率を有する媒体と複数の粒子とを含み得る。諸例では、波長選択性散乱層14はビーズ状の拡散層を含み得る。例えば、波長選択性散乱層14は、媒体と、媒体中に分散されたビーズとを含み得る。ビーズ状の拡散層の媒体は、ガラス、ポリマー、又は任意の他の好適な光学媒体、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。ビーズは、シリカ、ガラス、ポリマー、有機、無機、金属酸化物、ポリスチレン、又は他の好適な散乱材料、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。拡散層は、空気などの気体を含む細孔を含み得る。諸例では、気体を含む細孔はビーズ内に封入されていてもよい。
【0024】
波長選択性散乱層14は、第1の屈折率を有する光学媒体を含み得る。光学媒体は複数の粒子を含み得る。複数の粒子は、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.1未満となるように第2の屈折率を有し得る。諸例では、複数の粒子は約5μm未満の平均粒径を有し得、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差は約0.1未満であり得る。諸例では、複数の粒子は約1μm未満の平均粒径を有し得、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差は約0.2未満であり得る。諸例では、複数の粒子は約0.5μm未満の平均粒径を有し得、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差は約0.4未満であり得る。諸例では、複数の粒子は約0.3μm未満の平均粒径を有し得、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差は約0.6未満であり得る。諸例では、複数の粒子は約0.2μm未満の平均粒径を有し得、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差は約1.8未満であり得る。
【0025】
諸例では、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率は、下記の
図15の線82の下の区域から選択される。それゆえ、波長選択性散乱層14の近赤外散乱比は0.2未満になり得る。諸例では、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率は、
図15の線84の下の区域から選択される。それゆえ、波長選択性散乱層14の近赤外散乱比は0.4未満になり得る。諸例では、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率は、
図15の線86の下の区域から選択される。それゆえ、波長選択性散乱層14の近赤外散乱比は0.6未満になり得る。諸例では、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率は、
図15の線88の下の区域から選択される。それゆえ、波長選択性散乱層14の近赤外散乱比は0.8未満になり得る。諸例では、波長選択性散乱層14の近赤外散乱比は0.7未満になり得るか、又は0.5未満になり得る。諸例では、それぞれの線82、84、86、88の下の区域、又は任意の他の区域は、粒径下限によって境界付けされ得る。例えば、区域は、10nm、又は30nm、又は50nmを超える粒径、あるいはレイリー散乱が発現又は支配し得る粒径よりも大きい粒径のみを含み得る。
【0026】
諸例では、波長選択性散乱層14は、50%未満、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%の全可視反射率を有し得る。諸例では、全可視反射率は50%未満であってもよく、波長選択性散乱層14は可視ヘイズによって物体を隠蔽し得る。諸例では、全可視反射率は50%より大きくてもよく、波長選択性散乱層14は可視反射と可視ヘイズとの組み合わせによって物体を隠蔽し得る。諸例では、波長選択性散乱層14は、60%未満、又は40%未満の平均近赤外散乱を有し得る。諸例では、波長選択性散乱層は、10%より大きい、又は25%より大きい、又は58%より大きい平均可視散乱を有し得る。諸例では、波長選択性散乱層14の%全可視反射率と%拡散可視反射率との差は20未満であり得る。諸例では、波長選択性散乱層は、40%未満の平均近赤外散乱、及び58%より大きい平均可視散乱率を有し得、%全可視反射率と%拡散可視反射率との差は18未満であり得る。
【0027】
諸例では、波長選択性散乱層14は、少なくとも15%、又は少なくとも25%、又は少なくとも35%、又は少なくとも50%の可視ヘイズを有し得る。諸例では、光学フィルター10aは、微細複製表面構造などの表面光学微細構造を含み得る。
【0028】
諸例では、波長選択性散乱層14は、バインダーと、複数の粒子と、複数の相互接続空隙とを含むULI層を含み得る。光学フィルター中の複数の相互接続空隙の体積分率は約20%以上であり得る。バインダーと複数の粒子との重量比は約1:2以上であり得る。
【0029】
波長選択性散乱層14は、近赤外波長、例えば、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの波長を透過させ、少なくとも可視波長、例えば、400nm~700nmの波長を散乱させるように構成され得る。波長選択性散乱層14は、光を散乱させる染料及び顔料の一方又は両方を含み得る。例えば、波長選択性散乱層14は、染料及び/又は顔料を含むコーティングを含み得る。染料及び/又は顔料は、約11%より多く、約12%より多く、約13%より多く、又は更に約14%より多くの固形物を含有し得る。波長選択性散乱層14の染料及び/又は顔料は、黒色染料及び/若しくは顔料、並びにカラー染料及び/若しくは顔料、例えばシアン、マゼンタ及び/若しくは黄色カラー染料若しくは顔料の一方又は両方を含み得る。いくつかの実施形態では、吸収体、例えば染料又は顔料は、1つの吸収体材料であってもよいし、1つを超える吸収体材料の組み合わせであってもよい。例えば、複数の染料、顔料及び/又は他の吸収体材料は任意の仕方で組み合わせることができ、例えば、一体に混合すること、及び/又は積み重ねて層状にすることなどができる。
【0030】
図1Bは、例示的な物品10bの横断面図を示す。物品10bは、基板12と、波長選択性散乱層14と、反射層16とを含み得る。物品10bにおいては、波長選択性散乱層14と基板12との間に反射層16が示されているが、諸例では、物品10bは基板12を含まなくてもよく、波長選択性散乱層は反射層16上に配置されていてもよい。諸例では、基板12は、例えば、基板12の主表面、又は内部中に、反射層16を含み得る。諸例では、反射層16は基板12の下方に配置されていてもよい。諸例では、反射層16は基板12の上方に配置されていてもよい。諸例では、反射層16は穿孔されていてもよい。諸例では、物品10bは可視光の50%未満を反射し、近赤外光の50%超を透過させることができる。諸例では、反射層16は、例えば選択された波長のみを反射する波長選択性であり得る。反射層16は、多層光学フィルム、ダイクロイック反射体、干渉フィルム、無機多層積層体、金属誘電体積層体、研磨された基板、ミラー、反射型偏光子、又は反射金属若しくはガラス表面などの反射表面を含み得る。諸例では、物品10bは、反射層と波長選択性散乱層14との間、又は波長選択性散乱層14の上方の、又は物品10b内の任意の層に隣接して位置する染料層(図示せず)を含み得る。染料層は、近赤外では透過性又は透明、可視では中性になることができ、それにより、反射層16の可視反射を低減する、スペクトル選択性染料を含み得る。諸例では、染料層は、少なくとも30%、50%、70%、又は90%の吸収を有し得る。諸例では、染料層は、可視色を有し、その一方で、近赤外では透過性のままであるように着色されてもよい。
【0031】
図1Cは、例示的な物品10cの横断面図を示す。物品10cは、基板12と波長選択性散乱層14とを含み得る。物品10cは、任意選択的に、
図1Cに示すように、反射層16、インク受容層18、印刷パターン層22、及び保護層24のうちの1つ以上を含み得る。
図1Cは物品10c内の層のための特定の配置を示しているが、それぞれの層は任意の適切な構成に再配置されてもよい。例えば、反射層12が存在する場合には、基板16を省略してもよい。保護層24はシーラント層を含み得る。諸例では、インクパターン層22は、インク受容層18上に堆積され得るインク又は顔料の印刷パターンを含む。諸例では、インク受容層は省略されてもよく、インクパターン層22は波長選択性散乱層14上に堆積されてもよい。諸例では、保護層24は、インクパターン層22と波長選択性散乱層14との間に配置されていてもよい。諸例では、2つの保護層24が配置されていてもよく、一方はインクパターン層22の上方に、他方は波長選択性散乱層14に隣接して配置されていてもよい。
【0032】
図1Dは、例示的な物品10dの横断面図を示す。物品10dは、基板12と、波長選択性散乱層14と、第1のシーラント層26と、第2のシーラント層28とを含み得る。第1のシーラント層26及び第2のシーラント層28の両方のうちの一方はラテックスコーティングを含み得る。各シーラント層は、例えば、水分又は他の反応物若しくは崩壊剤の侵入を防止又は低減することによって、波長選択性散乱層14の完全性を保護することができる。各シーラント層は、波長選択性散乱層14に対して構造支持及び物理的安定性をも提供し得る。例えば、第1のシーラント層26及び第2のシーラント28の一方又は両方は、波長選択性散乱層14が製造基板から剥離又は除去され、その後、製品基板、例えば基板12上に移送され、適用されることを可能にし得る。
【0033】
図1Eは、例示的な物品10eの横断面図を示す。物品10eは、基板12と、基板12に隣接する波長選択性散乱層14と、波長選択性散乱層14上に堆積されたインクパターン層24とを含み得る。各センサセグメント32a、32b、32c、32dを含むセンサ層32が、基板12に隣接して配置され得る。諸例では、基板12は省略されてもよく、波長選択性散乱層14はセンサ層32上に堆積されてもよい。諸例では、波長選択性散乱層14は、各センサセグメント32a、32b、32c、及び32dと整列され得る、各選択散乱セグメント14a、14b、14c、及び14dを含み得る。選択散乱セグメントのうちの1つ以上は省略されてもよく、そのため、波長選択性散乱層14は、各センサセグメントのうちの少なくとも1つと整列され得る少なくとも1つの穿孔を含み得る。異なる選択散乱セグメントは、近赤外散乱比、可視ヘイズ率、又は各選択散乱セグメントと整列したセンサセグメントの性能を向上させることができる他の光学特性を変更することによって調整され得る。
図1Eの波長散乱層14及びセンサ層32内には、4つのセグメントが表示されているが、諸例では、波長散乱層14及びセンサ層32は任意の適当な数のセグメントを有し得る。
図1Eの例では、センサ層32が記載されているが、諸例では、物品10eは、センサセグメントの代わりに光源32a、32b、32c、及び32dを含み得る。
【0034】
図1Fは、例示的な物品10fの横断面図を示す。物品10fは、基板12と、波長選択性散乱層14と、反射層16と、波長選択性吸収層34とを含み得る。反射層16は波長選択性反射層を含み得る。例えば、反射層16は、波長選択性干渉フィルター又は波長選択性多層光学フィルムを含み得る。いくつかの実施例では、波長選択性吸収層34は、可視透過率よりも高い赤外透過率を有する任意の好適な染料又は顔料、例えば近赤外波長を透過させつつ可視波長を実質的に吸収する近赤外黒色インクを含み得る。例えば、波長選択性吸収層34は、SpectreTMインク、例えば、SpectreTM 100、110、120、130、140、150、若しくは160(Epolin、Newark、NJ)、Mimakiインク、例えば、Mimaki ES3、SS21、BS3、SS2、若しくはHS(Mimaki Global、Tomi-city、Nagano、Japan)、又はSeikoインク、例えば、Seiko 1000、1300、SG700、SG740、若しくはVIC(Seiko Advance Ltd.、Japan)などの染料又はインクを含み得る。諸例では、波長選択性吸収層34は、シアン、マゼンタ、黄色又は黒色の染料成分のうちの1つ以上を含んでもよいし、例えば、所定の色に関連付けられた所定の波長帯域、ピーク、又はスペクトルを散乱又は反射することによって任意の所望の色を有する染料を含んでもよい。いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、可視透過率よりも高い赤外透過率を有し得るスペクトル選択性多層吸収フィルムを含み得る。諸例では、波長選択性吸収層34の色を選択して、物品10fの外観を全体として調整すること、例えば、物品10fの主表面によって呈される物品10fの外観色を変更するように反射又は散乱される波長を調整することができる。波長選択性吸収層34は、可視波長を遮断しつつ、少なくとも一部、又は実質的に全ての近赤外波長を透過させることができる。いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、染料又は顔料の一方又は両方を含む別個のコーティングを含み得る。いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、染料を含まなくてもよく、近赤外透過性可視遮断顔料を含み得る。例えば、波長選択性吸収層34は、Lumogen(登録商標)Black FK 4280又はLumogen Black FK 4281(BASF、Southfield、MI)を含み得る。いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、多層フィルムであって、多層フィルムの層のうちの1層以上は染料又は顔料の一方又は両方を含む、多層フィルムを含み得る。いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、染料又は顔料を含む多層フィルムの接着層、ポリマー層、スキン層、又は任意の他の層を含み得るか、又は当該の層である。いくつかの例では、物品1fは別個の波長選択性吸収層34を含まなくてもよく、代わりに、任意の他の好適な層内に波長選択性染料又は顔料を含み得る。いくつかの例では、波長選択性吸収層34、又は物品10fの任意の他の層は、染料又は顔料を所定のパターン又は区域内にのみ含み得る。いくつかの例では。波長選択性吸収層34は、所定の波長帯域の少なくともそれぞれのサブバンドを少なくとも吸収する1つ以上の吸収染料又は顔料を含むことにより、広帯域の吸収、例えば、所定の波長帯域にわたる吸収を呈することができる。
【0035】
いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、拡散又は散乱を呈するためのビーズ又は粒子を含み得る。例えば、波長選択性吸収層34は、媒体と、媒体内に分散されたビーズ又は粒子とを含み得る。媒体は、ガラス、ポリマー、又は任意の他の好適な光学媒体、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。ビーズ又は粒子は、シリカ、ガラス、ポリマー、有機、無機、金属酸化物、ポリスチレン、又は他の好適な散乱材料、あるいはそれらの組み合わせを含み得る。波長選択性吸収層34は拡散性又は散乱性の空隙又は細孔を含み得、空隙又は細孔は空気などの気体を含み得る。
【0036】
それゆえ、各々のそれぞれの波長選択性層(14、16、34)は近赤外波長をそれぞれ透過させ得る。例えば、波長選択性層のうちの1つ以上、又は全体としての物品10fは、例えば、830nmより大きい波長において、5%より大きい、又は10%より大きい、又は20%より大きい、50%より大きい、又は7%より大きい近赤外透過率である、透過率を有し得る。諸例では、物品10fは、5%未満、又は1%未満、又は約0を透過させ得る。諸例では、物品10fは、830nmより大きい波長に対して10%より大きい近赤外透過率を有し得る。諸例では、物品10fは、850nmより大きい波長に対して20%より大きい近赤外透過率を有し得る。諸例では、物品10fは、870nmより大きい波長に対して50%より大きい近赤外透過率を有し得る。諸例では、物品10fは、900nmより大きい波長に対して50%より大きい近赤外透過率を有し得る。諸例では、物品10fは、900nmより大きい波長に対して75%より大きい平均近赤外透過率を有し得る。
【0037】
いくつかの例では、
図1Fに示すように、波長選択性吸収層34は、波長選択性散乱層14と波長選択性反射層16との間にあってもよい。波長選択性吸収層34を波長選択性散乱層14の背後に位置決めすることは、波長選択性散乱層14のグレースケール又は見かけの白色度を調整するために利用することができる。上述のように、波長選択性吸収層34は、視覚的外観、例えば所定の色空間における色座標を調整するための非中間色を含み得る。諸例では、波長選択性吸収層34は、全近赤外透過率を実質的に低下させることなく、光学フィルターの全可視反射率を所定の大きさだけ低下させることができる。物品10fは別個の波長選択性吸収層34を含むが、いくつかの例、例えば、
図1Gの例示的な物品10gでは、波長選択性染料が波長選択性散乱層14gに添加され得、それにより、波長選択性散乱層が吸収層の役割も果たす。諸例では、波長選択性散乱層14が、染色された波長選択性散乱層14gの上に配置されていてもよい。
【0038】
いくつかの例では、
図1Hに示すように、例示的な物品10hは、波長選択性散乱層14と波長選択性吸収層34との間に位置付けられた波長選択性反射層16を含み得る。波長選択性吸収層34は、全近赤外透過率を実質的に低下させることなく、全可視反射率を物品10hの主表面の区域にわたって均一に低下させることができる。全可視反射率の均一な低下は、ウェットアウトを低減又は防止するために利用され得る。ウェットアウトは、可視光の漏れ、又は物品10hの全層を通した可視光の透過から起こり得る現象であり、これは、光学フィルターの均一な外観に、可視の不連続、乱れ、収差、ばらつき、又は外乱の出現をもたらし得る。例えば、光学フィルターが下地基板に接触する区域はウェットアウトを呈し得、これにより、接触区域に対応する形状が光学フィルターを通して知覚可能になり得る。波長選択性吸収層34は、可視反射率を物品10hの全域にわたって均一に低下させ、かつ可視光の漏れを防止し、その一方で、近赤外波長が透過させられることを依然として可能にし、それにより、物品10hの主表面にわたる不連続又は乱れが見えなくなり、かくしてウェットアウトを回避し得る。
【0039】
いくつかの例では、波長選択性吸収層34は、波長選択性反射層16の主表面に隣接する完全な中間区域を占めることができる。しかし、いくつかの例では、
図1Hに示すように、波長選択性吸収層34は、波長選択性反射層16の主表面に隣接する部分区域を占めてもよく、光拡散層36が、波長選択性反射層16の主面に隣接する残りの区域を占める。この構成は、例えば、波長選択性吸収層34を作成するために必要とされ得る近赤外染料の量を低減するために用いることができ、例えば、この場合には、相対的に暗い又は可視光吸収構成要素が光拡散層36に隣接して配置され得る。可視光吸収構成要素、例えばセンサが、波長選択性反射層16の区域に隣接して配置されている例では、その区域内では、ウェットアウトが発現しないことが期待され得る。したがって、その区域を波長選択性吸収層34で覆う必要がなくなり得、代わりに、光拡散層36をその構成要素に隣接して用いることができ、例えば、近赤外染料に関連付けられるコストが低減される。
【0040】
いくつかの例では、例示的な物品は波長選択性散乱層14を含まなくてもよく、
図1I~
図1Kに示すように、波長選択性反射層16及び波長選択性吸収層34のみを含み得る。いくつかの例では、
図1Iに示すように、例示的な物品10iは、基板12に隣接して配置された波長選択性反射層16を含み得、波長選択性吸収層34は基板12と波長選択性反射層16との間にある。様々な実施形態では、
図1A~
図1Kにおける層の順序は変化し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の介在層が、
図1A~
図1Kに例示される物品10a~10kの層のうちの任意のものの間に配置され得る。例えば、波長選択性散乱層14と波長選択性反射層16との間、波長選択性散乱層14と波長選択性吸収層34との間、及び/又は波長選択性吸収層34と波長選択性反射層16との間に介在層を設けてもよい。
【0041】
いくつかの例では、
図1Jに示すように、例示的な物品10jは、基板12に隣接して配置された波長選択性反射層16を含み得、波長選択性反射層16は波長選択性吸収層34と基板12との間にある。いくつかの例では、
図1Kに示すように、例示的な物品10kは、第1の波長選択性吸収層34aと第2の波長選択性吸収層34bとの間に波長選択性反射層16を含み得る。波長選択性吸収層34、34a、及び34bは、波長選択性反射層16による可視波長の不均一な遮断を補償するために用いられ得る。例えば、波長選択性反射層16は可視波長の大部分の透過を遮断し得るが、波長選択性反射層16は、特定の可視波長のピーク又は帯域が通過することを依然として可能にし得る。それゆえ、波長選択性反射層16は、波長選択性反射層16によって例えば視覚から隠蔽されるべき物体を現し得る、いくらかの可視光を「漏らす」可能性がある。波長選択性染料は、例示的な物品10i~10kが、近赤外波長を透過させつつ、全可視波長を実質的に遮断するよう、少なくとも、波長選択性反射層16によって透過されたそれらの可視波長を遮断するように選択することができる。
【0042】
諸例では、物品10i~10kは、380~800nmの波長に対して、若しくは400nm~700nmの波長に対して0.1%未満の平均可視透過率、並びに830nm~900nm、900nm~980nm、及び/若しくは800nm~1200nmの波長に対して50%より大きい平均近赤外透過率を有し得る。本明細書において示されているように、波長範囲の平均可視透過率は、範囲内の全波長の透過率の平均値である。諸例では、物品10i~10kは、380~800nm若しくは400nm~700nmの波長に対して0.01%未満の平均可視透過率、並びに830nm~900nm、900nm~980nm、及び/若しくは800nm~1200nmの波長に対して75%より大きい平均近赤外透過率を有し得る。物品10i~10kは、380~800nmの全波長に対する、若しくは400nm~700nmの全波長に対して0.1%未満の可視透過率、並びに830nm~900nm、900nm~980nm、及び/若しくは800nm~1200nmの全波長に対して50%より大きい近赤外透過率を有し得る。諸例では、物品10i~10kは、380~800nm若しくは400nm~700nmの波長に対して0.01%未満の可視透過率、並びに830nm~900nm、900nm~980nm、及び/若しくは800nm~1200nmの波長に対して75%より大きい近赤外透過率を有し得る。諸例では、例示的な物品10i~10kは、以上において
図1A~
図1Eを参照して説明されたように、シーラント層又は保護層を更に含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、波長選択性吸収層34を含む物品10f~10kは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、並びに830nm~900nm、900nm~980nm、及び/若しくは800nm~1200nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有し得る。いくつかの実施形態では、400nm~700nmの波長に対する物品10f~10kの平均可視透過率は、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、又は約1%未満であり得る。いくつかの実施形態では、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの波長に対する物品10f~10kの平均近赤外透過率は、約40%より大きい、約50%より大きい、又は約75%より大きいものであり得る。いくつかの実施形態では、波長選択性吸収層34を含む物品10f~10kは、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、並びに830nm~900nm、900nm~980nm、及び/若しくは800nm~1200nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有し得る。いくつかの実施形態では、400nm~700nmの全波長に対する物品10f~10kの可視透過率は、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、又は約1%未満であり得る。いくつかの実施形態では、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの波全長に対する物品10f~10kの近赤外透過率は、約40%より大きい、約50%より大きい、又は約75%より大きいものであり得る。
【0044】
波長選択性吸収層34は、いくつかの実施形態では、例えば、400nm~700nmの波長に対して、約30%より大きい、約40%より大きい、約50%より大きい、約70%より大きい、又は約90%より大きい平均可視吸収を有し得る。波長選択性吸収層34は、いくつかの実施形態では、例えば、400nm~700nmの全波長に対して約30%より大きい、約40%より大きい、約50%より大きい、約70%より大きい、又は約90%より大きい可視吸収を有し得る。波長選択性吸収層34は、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの波長に対して約30%より大きい、約40%より大きい、又は約50%より大きい平均近赤外透過率を有し得る。波長選択性吸収層34は、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの全波長に対して約30%より大きい、約40%より大きい、又は約50%より大きい近赤外透過率を有し得る。
【0045】
波長選択性吸収層を含む物品に対する光の入射角の影響が、以下において、特に実施例22を参照して、説明される。本明細書で議論されているとおりの光学フィルターについての光の最小可視透過率の角度は、垂直入射であってもよいし、垂直入射でなくてもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態では、物品は、傾斜角度における光の可視透過率未満である垂直入射光の可視透過率を有し得る。いくつかの実施形態では、物品は、垂直入射光の可視透過率未満である、傾斜角度、例えば0~60度における光の可視透過率を有し得る。
【0046】
波長選択性吸収層34は、波長選択性染料及び波長選択性顔料の一方又は両方を含むことができる。いくつかの実施形態では、波長選択性吸収層は多孔質層を含み得、多孔質層の細孔内に染料及び/又は顔料が配置されている。
【0047】
染料又は顔料は第1のスペクトル範囲内の光を吸収し、異なる第2のスペクトル範囲で光を再放射し得る。例えば、染料又は顔料は、より短波長の光を吸収し、より長波長で光を再放射する蛍光染料、燐光体又は量子ドットを含み得る。それゆえ、染料又は顔料はダウンコンバータとして機能することができる。例えば、染料又は顔料は、紫外波長又は青色波長を吸収することができ、可視波長を再放射することができる。物体の外観を制御するために、異なる波長で光を吸収し再放射する染料又は顔料を含む光学フィルターを物体に近接して配置すること、又は物体に付着させることができる。例えば、スペクトル変換層、例えば、ダウンコンバート層は、白色の輝度を高めたり、物体に様々な特殊な色効果を与えたりすることができる。
【0048】
光学フィルターは、
図1Kにおける物品10kによって示されるように、1つを超える波長選択性吸収層を含み得る。例えば、物品10kは、第1及び第2の波長選択性吸収層34a、34bを含み得、第1の波長選択性吸収層34aは、第2の波長選択性吸収層34bの光学特性と異なる光学特性を有する。例えば、第1の波長選択性吸収層34aは黒色染料及び黒色顔料の一方又は両方を含み得、第2の波長選択性吸収層34bはカラー染料及びカラー顔料の一方又は両方を含み得る。カラー染料又はカラー顔料を有する波長選択性吸収層を含む実施形態では、染料又は顔料は、シアン、マゼンタ、及び黄色成分のうちの1つ以上を含み得る。
図1Kは第1及び第2の波長選択性吸収層34a、34bの間に配置された波長選択性反射層16を示しているが、このとおりである必要はない。いくつかの実施形態では、層は異なる配置を取ることができ、例えば、第2の波長選択性吸収層は、第1の波長選択性吸収層と波長選択性反射層との間に配置され得る。例えば、1つ以上の介在層が、
図1Kに示される物品10kの層のうちの任意のものの間に配置され得る。
【0049】
上述されたように、いくつかの実施形態では、
図1F~
図1Kにおける物品10f~10kによって示される光学フィルターは、シーラント層及び/又は保護コーティングを含み得る。例えば、波長選択性吸収層は、物品10f~10kの別の層上にコーティング又は印刷されたパターン層として配置され得る。例えば、波長選択性吸収層は、波長選択性反射層16、波長選択性散乱層14、基板12、インク受容層18、保護層24、及び/又はシーラント層26、28上にコーティング又は印刷され得る。いくつかの実施形態では、波長選択性吸収層は、波長選択性反射層16、波長選択性散乱層14、インク受容層18、保護層24、及び/又はシーラント層26、28と一緒にコーティングされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、波長選択性散乱層コーティング溶液中に、波長選択性吸収材料、例えば染料及び/又は顔料が含み得る。いくつかの実施形態では、波長選択性吸収材料をラテックスコーティングの水溶液中に混合することができる。次いで、コーティングは、多孔性波長選択性散乱層に適用される。この水溶液は散乱層の細孔内に流れ込み、散乱層を色で染色する。ラテックス粒子は複合散乱/吸収層の表面上に残留し、シーラント層を形成する。いくつかの実施形態では、染料又は顔料は、波長選択性散乱コーティング溶液の溶媒中に複合されてもよく、散乱及び吸収コーティングの両方を提供する1つの層にコーティングされる複合溶液を適用することができる。波長選択性吸収層が印刷層である場合には、波長選択性吸収層は、例えば、スクリーン印刷、ジェット印刷、フレキソ印刷、及び/又はその他の種類の印刷によって下地層上に印刷され得る。いくつかの実施形態では、印刷物は、波長選択性反射層及び印刷された波長選択性吸収層を含む光学フィルターを含む。400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する光学フィルターの製造方法は、少なくとも、波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成することを含む含む(comprising includes)。いくつかの態様によれば、波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成することは、波長選択性吸収層を波長選択性反射層上に形成すること、又は波長選択性反射層を波長選択性吸収層上に形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、波長選択性吸収層及び波長選択性反射層は、単一の複合層として形成され得る。波長選択性吸収層及び/又は波長選択性反射層を形成することは、波長選択性吸収材料及び/又は波長選択性反射材料を印刷又はコーティングすることを含む。波長選択性吸収層及び/又は波長選択性反射層を印刷又はコーティングすることは、波長選択性吸収材料、波長選択性散乱材料、波長選択性反射材料、及びシーラント材料のうちの2つ以上を含む溶液を印刷又はコーティングすることを含み得る。いくつかの実施形態では、波長選択性吸収層は、波長選択性吸収材料を含む溶液を多孔質層にコーティングすることによって形成することができる。多孔質層は、本明細書において説明されたとおりの波長選択性散乱層であってもよい。波長選択性吸収材料は、多孔質層の細孔内に入る染料を含む。溶液は、多孔質層の表面上に残留してシーラントを形成する粒子を含み得る。波長吸収層を形成することは、2つ以上の波長選択性吸収材料の混合物を形成し、混合物を波長選択性吸収層として堆積させることを含み得る。代替的に、波長選択性吸収層は2つ以上の層を含み得、第1の層は第1の波長選択性吸収材料を含み、第2の層は第2の波長選択性吸収材料を含む。
【0050】
波長選択性吸収層34は光を散乱させ、吸収し得る。波長選択性吸収層は、例えば、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの近赤外域内において波長選択性吸収層によって散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視域内でより多くを散乱させ得る。いくつかの実装形態によれば、波長選択性吸収層34は、400nm~700nmの可視波長域内の光の約50%未満、約40%未満、約30%未満、又は約25%未満を散乱させ得、また、波長選択性吸収層34は、830nm~900nm、900nm~980nm、及び/又は800nm~1200nmの近赤外域内の光の約50%未満、約40%未満、約30%未満、又は約25%未満を散乱させ得る。
【0051】
図1A~
図1Kは、それぞれの物品10a~10kを、平坦な層を含むように示しているが、様々な例では、物品10a~10kは、任意の好適な形状、周囲又は断面を取り得、物品10a~10kの層は、規則的、不規則、又は複合的な曲率を取り得るか、あるいは異なる区域内では、平坦な、若しくは湾曲した幾何形状を取るか、又はさもなければ、層若しくは物品10a~10kの真下の基板の外形に一致し得る。例えば、物品10a~10kは、半球状又はレンズ状の形状、あるいは不規則な外形を有する表面を取り得る。いくつかの例では、それぞれの波長選択性層、例えば、波長選択性散乱層14、反射層16、及び波長選択性吸収層34のうちの任意のものは、例えば、基板12又は下地層の少なくとも一部の領域、約1~約100%の領域を覆う空間的に変異するパターン、又は周期的パターンを有することによって、主要寸法にわたって変化する形状及び厚さを有し得る。更に、いくつかの例では、
図1A~
図1Kの物品10a~10kは基板12を含み得るが、他の例では、物品10a~10kは基板12を含まなくてもよい。いくつかの例では、基板12はフレキシブルであり得る。いくつかの例では、物品10a~10kはフレキシブルであってもよく、フレキシブル基板上に配置されていてもよい。例えば、フレキシブル基板は、光源、センサ、又は光電池を含み得る。いくつかの例では、物品10a~10kは、連続的にフレキシブルであるか、又は所定の区域内においてのみフレキシブルであり得る。それゆえ、
図1A~
図1Kを参照して説明された例に係る例示的な物品は、近赤外波長の透過を可能にしつつ、可視波長の透過を遮断する光学フィルターを含み得る。例示的な物品及び光学フィルターは、後述される例示的な光学システムにおいて用いられ得る。
【0052】
図2A~
図2Fは、光学フィルターを含む例示的な光学システムの概念的略図である。
図2Aは、光学フィルター10及び受光器40を含む例示的な光学システムの概念的略図である。諸例では、受光器40は、光センサ、カメラ、CCD、又は少なくとも光の所定の波長区域を感知するように構成された任意の他のセンサを含み得る。例えば、受光器40は近赤外センサを含み得る。諸例では、受光器40は、光を受光する物体、例えば、入射光を少なくとも部分的に吸収する物体、例えば、太陽熱ヒータ、又は光を受光する任意の他の物体を含み得る。光学フィルター10は、以上において
図1A~
図1Eを参照して説明されたとおりの、波長選択性散乱層を含む例示的な光学フィルターのうちの任意のもの、又は本開示に記載の他の例示的な光学フィルターを含み得る。
図2Aに示すように、光学フィルター10は受光器40に隣接して配置されていてもよい。入射近赤外線42aは近赤外波長を含んでもよく、光学フィルター10を通して受光器40へ実質的に透過され得る。入射可視光線44aは可視波長を含んでもよく、光学フィルター10によって実質的に反射又は散乱され得、これにより、受光器40は可視光線44aから少なくとも部分的に遮蔽され、近赤外線42aを少なくとも部分的に受光する。諸例では、受光器は光学フィルター10によって可視光線44aから実質的に又は完全に遮蔽され得、近赤外線42aの実質的に全てを受光し得る。
【0053】
図2Bは、光学フィルター10、受光器40、発光器46、及び物体48を含む例示的な光学システムの概念的略図である。諸例では、発光器46は、可視波長、近赤外波長、又は紫外波長を含む、光又は電磁放射の任意の好適な波長の発生源を含み得る。諸例では、発光器46は、電球、白熱光源、小型蛍光灯、LED、ライトガイド、又は任意の自然光源若しくは人工光源を含み得る。諸例では、発光器46は光を発生しなくてもよく、光源によって発生された光を反射又は透過させるのみでもよい。光学フィルター10は受光器40と物体48との間に配置されていてもよい。発光器は、光学フィルター10の、受光器40と同じ側に配置されていてもよい。発光器46から透過された近赤外線42bは近赤外波長を含んでもよく、光学フィルター10を通して物体48へ実質的に透過され得る。光42bは物体48によって反射され得、反射光は物体48の光学特性によって変更され得る。反射光線42は光学フィルター10を通して受光器40へ実質的に透過され得る。入射可視光線44bは可視波長を含んでもよく、光学フィルター10によって実質的に反射又は散乱され得、これにより、受光器40及び発光器46の一方又は両方は可視光線44aから少なくとも部分的に遮蔽される。諸例では、受光器は光学フィルター10によって可視光線44bから実質的に又は完全に遮蔽され得、近赤外線42bの実質的に全てを受光し得る。
【0054】
図2Cは、光学フィルター10、受光器40、及び物体48を含む例示的な光学システムの概念的略図である。光学フィルター10は受光器40と物体48との間に配置されていてもよい。入射近赤外線42cは近赤外波長を含んでもよく、物体48及び光学フィルター10を通して受光器40へ実質的に透過され得る。入射可視光線44cは可視波長を含んでもよく、光学フィルター10によって実質的に反射又は散乱され得、これにより、受光器40は可視光線44cから少なくとも部分的に遮蔽され、近赤外線42cを少なくとも部分的に受光する。諸例では、受光器40は光学フィルター10によって可視光線44cから実質的に又は完全に遮蔽され得、近赤外線42cの実質的に全てを受光し得る。
【0055】
図2Dは、光学フィルター10及び受光器40を含む例示的な光学システムの概念的略図である。光学フィルター10は受光器40に隣接して配置されていてもよい。入射近赤外線42dは近赤外波長を含んでもよく、光学フィルター10から受光器40へ実質的に反射され得る。入射可視光線44dは可視波長を含んでもよく、光学フィルター10によって実質的に反射又は散乱され得、これにより、受光器40は可視光線44dを少なくとも部分的に受光し、その一方で、近赤外線42dを少なくとも部分的に受光する。
【0056】
図2Eは、光学フィルター10、受光器40、及び発光器46を含む例示的な光学システムの概念的略図である。光学フィルター10は、発光器46と受光器40との間に配置されていてもよい。発光器46から透過された近赤外線42eは近赤外波長を含んでもよく、光学フィルター10を通して受光器40へ実質的に透過され得る。入射可視光線44eは可視波長を含んでもよく、光学フィルター10によって実質的に反射又は散乱され得、これにより、発光器46は可視光線44eから少なくとも部分的に遮蔽される。諸例では、発光器46は、光学フィルター10によって可視光線44eから実質的に又は完全に遮蔽され得る。
図2Eの例示的な光学システムにおいては、受光器40が記載されているが、諸例では、
図2Eの例示的な光学システムは受光器40を含まなくてもよい。例えば、例示的な光学システムは発光器46及び光学フィルター10を含み得、光学フィルター10は、発光器46を、視覚によって見えてしまうことから隠蔽し得る。
【0057】
図2Fは、光学フィルター10、受光器40、発光器46、及び物体48fを含む例示的な光学システムの概念的略図である。諸例では、発光器46は、近赤外波長の発生源、例えば近赤外電球又はLEDを含み得る。例えば、発光器は、レーザ、レーザダイオード、又は注入レーザを含み得る。受光器40は、近赤外波長に感応するセンサ又はカメラを含み得る。例えば、センサは、ジェスチャセンサ、光学式タッチセンサ、又は連続的に感知されている光ビームの乱れを検出するセンサなどの光電センサを含み得る。センサは、1つの種類又は異なる種類のセンサのアレイ又は任意の他のグループを含み得る。光学フィルター10は受光器40と物体48fとの間に配置されていてもよい。発光器46は、光学フィルター10の、受光器40と同じ側に配置されていてもよい。発光器46から透過された近赤外線42bは近赤外波長を含んでもよく、光学フィルター10を通して物体48fへ実質的に透過され得る。光線42bは物体48によって反射され得、反射光線は物体48fの光学特性によって変更され得る。反射光線42は光学フィルター10を通して受光器40へ実質的に透過され得る。いくつかの例では、入射可視光線44bは可視波長を含んでもよく、光学フィルター10によって実質的に反射又は散乱され得、これにより、受光器40及び発光器46の一方又は両方は可視光線44aから少なくとも部分的に遮蔽される。諸例では、受光器は光学フィルター10によって可視光線44bから実質的に又は完全に遮蔽され得、近赤外線42bの実質的に全てを受光し得る。
【0058】
いくつかの例では、虹彩走査システムが
図2Fの例示的な光学システムを含み得、例えば、物体48fは、眼又は虹彩を含み、受光器40は、発光器46によって放射され、物体48fによって跳ね返された近赤外光を受光する虹彩スキャナである。発光器46は近赤外波長を放射することができるが、発光器46はまた、発光器46の存在を例えば使用者又は観察者に示し得る可視波長を放射することもできる。波長選択性層16を含む物品は、発光器46を視覚からカモフラージュするべく可視波長の透過を阻止するために用いられ得るが、波長選択性反射層16は、一部の可視波長、例えば、可視波長のピーク又は帯域が透過させられることを可能にし得る。いくつかの例では、光学フィルター10は、以上において
図1i~
図1kを参照して説明されたように、波長選択性反射層16によって透過させられた可視波長の透過を遮断する波長選択性吸収層34を含み得る。それゆえ、諸例では、光学フィルター10は、380~800nmにおいて0.1%未満の可視透過率、及び830~900nmにおいて50%より大きい近赤外透過率を有し得る。したがって、光学フィルター10は、たとえ、発光器46が可視波長を放射する場合であっても、発光器46を視覚からカモフラージュし、その一方で、光学フィルター10を横切って両方向に近赤外波長を透過させることによって、虹彩走査システムが虹彩を走査することを可能にし得る。いくつかの例では、
図2Fの例示的な光学システムは、1つを超える光学フィルター10を含み得る。例えば、第1の光学フィルターが発光器46又は受光器40に隣接して配置されていてもよく、第2の光学フィルターが物体48fの主表面に隣接して配置されていてもよい。いくつかの例では、第1及び第2の光学フィルターはそれぞれ、同一又は異なる光学フィルターを含む。いくつかの例では、光学フィルター10は再帰反射性フィルムを含み得るか、又は再帰反射経路を挟んで、又はそれに沿って配置され得る。いくつかの例では、物体48fが再帰反射性フィルムを含み得る。虹彩走査システムが以上において
図2Fを参照して説明されたが、いくつかの例では、
図2Fの例は、視覚から隠蔽又はカモフラージュされることになる可視波長を放射しつつ、近赤外波長を識別のために使用する任意の生体認証又は識別システムを含み得る。例えば、
図2Fの例示的なシステムは、指紋スキャナ、顔認識システム、又は熱認識システムを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、
図1A~1Kに示す物品10a~10kは、発光器及び受光器の一方又は両方を含む電子デバイスなどの、物体に取り付けることができる構成要素として形成することができる。いくつかの実施形態では、物品10a~10kは、物体に対して取り付け、取り外し、及び再取り付けすることができる。いくつかの実施形態では、物体は再帰反射性であり得る。物品10a~10kは、例えば、電子デバイス、又はその他の物体、例えば、携帯電話、タブレット、ノートブックコンピュータ、自動車などの物体に適用することができるスキン又はフィルムであり得る。物品10a~10kは装飾的なものであってもよく、物品上に配置されたテキスト、ロゴ及び/又はデザインを有してもよい。
図2G及び
図2Hは、それぞれ、物体210に適合するように構成された物品200の正面図及び背面図を示す。
図2G及び
図2Hにおいて、物体210は携帯電話として表されており、物品200は、携帯電話に適合する携帯電話カバーとして表されている。物品200は、光学フィルターの波長選択性層を含む少なくとも1つ以上の区域201a、201bを含む。光学フィルターの波長選択性層は光を散乱及び/又は吸収し、発光器及び受光器(
図2G及び
図2Hには示されていない)の一方又は両方をカモフラージュする。いくつかの実施形態では、光学フィルターの波長選択性層は物品の大部分又は実質的に全てにわたって延在し、いくつかの実施形態では、物品の部分は光学フィルター層を含み、他の部分は光学フィルター層を含まず、不透明であってもよい。物品200は、物品200を物体210に取り付けることを容易にするために、クリングフィルム表面、接着剤、及び/又は取付構造を含むことができる。例えば、
図2G及び
図2Hに示す携帯電話カバー200は、携帯電話に装着した際にプレスフィットをもたらす壁202b及び/又はリップ202aを含む取付構造を介して携帯電話210に取り付けられ得る。代替的に、物品200は、プレスフィット構造以外の他の種類の取付構造、例えば、物品200を物体210に取り付けるボルト又はねじを受け入れるように構成された孔などの、ボルト締め取付構造を用いて物体210に取り付けられ得る。
【0060】
諸例では、光学フィルター10は、少なくとも1つの取り外し可能又は再配置可能な層を含み得るか、あるいは光学フィルター10は全体として取り外し又は再配置可能であり、そのため、光学フィルター10は、光学フィルター10の下の、又はそれに隣接する基板に対して取り外し又は再配置可能である。諸例では、光学フィルター10の周囲は、発光器46又は受光器40の一方又は両方の周囲を越えて延びていてもよく、あるいは光学フィルター10の主表面の面積は、発光器46又は受光器40の一方又は両方の表面積よりも大きいか小さくてもよい。諸例では、光学フィルター10は、電子機器、回路、基板、センサ、送信機などの他の構成要素を、光学フィルターによってこれらの構成要素を視覚から遮蔽することによって、カモフラージュするように構成され得る。諸例では、1つ以上の発光器46又は受光器40、例えばアレイを、光学フィルター10に隣接して配置することができるであろう。諸例では、発光器46又は受光器40の一方又は両方は、光学フィルター10から、例えば、少なくとも1cm、又は10cm、又は1m、又は10m、又は100m、又は1km、相対的に離れているか、あるいはなお更に離れていてもよい。
図2A~
図2Fでは、例えば、発光器46及び受光器40の一方又は両方と光学フィルター10との間の、直接経路が示されているが、諸例では、発光器46及び受光器40の一方又は両方と光学フィルター10との間の光は、光学的に導かれた経路、反射経路、又は屈折若しくはフィルタリングを含む光学的操作を含む経路、又は異なる光学媒体を通って進む経路を含む、非直接的経路をたどり得る。
【0061】
このように、諸例では、光学フィルター10は、受光器40を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器40が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成され得る。例えば、光学フィルター10は、受光器40、発光器46、又は物体48のうちの1つ以上を隠蔽又はカモフラージュするように構成され得る。諸例では、光学フィルター10は、例えば、以上において
図2A~
図2Fを参照して説明されたように、可視波長を散乱させることによって、受光器40又は発光器46の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成され得る。
【0062】
図3A~
図3Dは、例示的な光学フィルターと、視認可能なパターン及び不可視の近赤外パターンを表示する電子ディスプレイとを含む例示的なシステムの概念図である。電荷結合素子(charge-coupled device、CCD)などの撮像センサは近赤外区域内で検出するため、可視的に反射可能なグラフィックを含む標示を生成することが可能であろう。標示は、カメラによって検出可能である不可視画像を隠蔽することができるであろう。例えば、画像は、例えば、バーコード、2Dバーコード、又はQRコードなどの、信号又は情報を符号化する所定のパターンを含むことができるであろう。QRコードの物理的サイズは、それらが包含し得る情報量を制限し得る。しかし、不可視QRコードは、可視グラフィックを乱す、又は損なうことなく、標示と同じ物理的大きさを有することができるであろう。一例では、電子ディスプレイ60は、ディスプレイ60の背後に隠蔽されたそれぞれの可視及び近赤外発光器によって放射された可視及び近赤外光パターンを同時に表示する能力を有し得る。電子ディスプレイ60は、以上において
図1A~
図1Eを参照して説明された例示的な光学フィルターで被覆されていてもよい。例えば、電子ディスプレイ60は、
図3Bに示すように、視認可能であるパターン62と不可視の近赤外パターン64とを同時に表示し得る。パターン62は、相対的により小さいQRコード、又は相対的により小さい表示フットプリントを有する他のインダイシア(indicia)を含み得、パターン64は、相対的により大きいQRコード、又は相対的により大きなフットプリントを有する他のインダイシアを含み得る。パターン62は、光学フィルター(図示されていない)による可視波長の反射又は散乱の結果、視認可能になり得る。
図3Aにおいて見られるように、パターン62のみが視認可能であり、パターン64は、近赤外波長において比較的高い透明度で提示されている一方で、視覚に対して不可視のままとなり得る。それゆえ、近赤外波長を感知する能力を有するカメラは、十分な解像度で、例えば、パターン64内に包含され得る情報を復号するのに十分な解像度で、パターン64を感知することができる。
図3Cに示す例では、所定のパターンのみがディスプレイ60上で視認可能であり、その一方で、
図3Dに示すように、近赤外カメラによってのみ検出可能な不可視の近赤外パターンがディスプレイ60上に同時に表示され得る。それゆえ、3A、3B、3C、及び3Dのそれぞれの例示的なシステムでは、例示的な光学フィルターを用いて、所定の可視パターンのみを見せつつ、近赤外パターンの発生源を隠蔽又はカモフラージュすることができる。一部の例では、不可視の近赤外パターン64を用いて秘匿情報を符号化することができ、その一方で、視認可能なパターン62を用いて、視認可能な情報、又は少なくとも、符号化可能であるが符号化しても視認可能な情報を提示することができる。例えば、パターン62は、ウェブサイトなどの、情報の第1のセットを符号化することができ、その一方で、パターン64は、ディスプレイ60の位置などの、情報の第2のセットを符号化することができる。諸例では、電子ディスプレイ60は、可視パターン、不可視パターン、又はその両方を表示し得る。諸例では、電子ディスプレイ60は複数のパターンを表示し得る。諸例では、電子ディスプレイは、静的パターン又は動的パターンを表示し得る。それゆえ、例示的な光学フィルターは、高透明度の近赤外透過を有するカモフラージュをもたらし得る。
【0063】
図4は例示的な技術のフローチャートである。例示的な技術は、発光器46又は受光器40の一方又は両方に隣接して光学フィルター10を配置すること(52)を含み得る。光学フィルター10は、以上において
図1A~
図1E及び
図2A~
図2Eを参照して説明されたとおりの、波長選択性散乱層を含む。例示的な技術は任意選択的に、光学フィルター10と発光器46又は受光器40の一方又は両方との間に反射層16を配置すること(54)を更に含み得る。光学フィルター10は任意選択的に、発光器46又は受光器40の一方又は両方をカモフラージュし得る(56)。光学フィルター10は任意選択的に、発光器又は受光器の一方又は両方を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し得る(58)。
【0064】
上述された物品は多層フィルムを含み得るか、又は複数の層を含み得るが、いくつかの例では、1つ以上の層が、隣接する層に融合され得るか、又は隣接する層との可視的に不明瞭な段階的境界を形成し得る。いくつかの例では、多層フィルム又は物品は、認識可能な境界又は主表面が1つ以上の層を分離することなく、異なる層が隣接する層に移行するように処理することができる。いくつかの例では、層は、物理的に別個の又は離散的な層ではなく、所定の実質的に平面状又は湾曲状の幾何学的区域を意味し得る。
【0065】
このように、本開示による例示的なシステム、物品、及び技術は、例えば可視波長を選択的に散乱又は反射させることによって可視波長の透過を減少させながら近赤外光を比較的高い透明度で透過させる例示的な波長選択性散乱層を含む例示的な光学物品を含み得る。
【0066】
本開示に係る例示的な物品及び技術が、以下の非限定的実施形態及び実施例によって例示される。
【0067】
実施形態
本発明の諸実施形態は、以下に列挙された項目を含む。
【0068】
項目1.発光器又は受光器の一方又は両方と、
前記発光器又は前記受光器の一方又は両方に隣接する光学フィルターであって、前記光学フィルターは波長選択性散乱層を含み、前記波長選択性散乱層は約0.9未満の近赤外散乱比を有し、前記近赤外散乱比は、平均可視散乱に対する平均近赤外散乱の比であり、前記波長選択性散乱層は、約0.5より大きい可視反射ヘイズ率を有し、前記可視反射ヘイズ率は、平均可視全反射率に対する平均可視拡散反射率の比率である、光学フィルターと、を含むシステム。
【0069】
項目2.波長選択性散乱層が約0.7未満の近赤外散乱比を有する、項目1に記載のシステム。
【0070】
項目3.波長選択性散乱層が約0.6未満の近赤外散乱比を有する、項目1に記載のシステム。
【0071】
項目4.波長選択性散乱層が、約0.6より大きい可視反射ヘイズ率を有する、項目1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【0072】
項目5.波長選択性散乱層が、約0.7より大きい可視反射ヘイズ率を有する、項目1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【0073】
項目6.発光器又は受光器の一方又は両方が近赤外域内の動作波長を有する、項目1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【0074】
項目7.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%未満を透過させ、波長選択性散乱層が入射近赤外光の約50%超を透過させる、項目1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【0075】
項目8.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%超を散乱させる、項目1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【0076】
項目9.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%超を白色光として散乱させる、項目1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【0077】
項目10.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約5μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.1未満である、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0078】
項目11.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約1μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.2未満である、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0079】
項目12.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約0.5μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.4未満である、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0080】
項目13.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約0.3μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.6未満である、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0081】
項目14.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約0.2μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約1.8未満である、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0082】
項目15.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線82の下の区域から選択される、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0083】
項目16.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線84の下の区域から選択される、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0084】
項目17.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線86の下の区域から選択される、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0085】
項目18.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線88の下の区域から選択される、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0086】
項目19.波長選択性散乱層が少なくとも25%の可視ヘイズを有する、項目1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【0087】
項目20.光学フィルターが表面光学微細構造を含む、項目1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【0088】
項目21.発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、項目1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【0089】
項目22.受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、項目1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【0090】
項目23.波長選択性散乱層が、バインダー、複数の粒子、及び複数の相互接続空隙を含み、波長選択性散乱層内における複数の相互接続空隙の体積分率が約20%以上であり、複数の粒子に対するバインダーの重量比が約1:2以上である、項目1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0091】
項目24.光学フィルターが反射層を含む、項目1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【0092】
項目25.光学フィルターがビーズ状の拡散層を含む、項目1~23のいずれか一項に記載のシステム。
【0093】
項目26.光学フィルターが、受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、項目1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【0094】
項目27.光学フィルターが、受光器又は発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、項目1~26のいずれか一項に記載のシステム。
【0095】
項目28.光学フィルターが、可視波長を散乱させることによって受光器又は発光器の一方又は両方を視覚から少なくとも部分的にカモフラージュするように構成されている、項目27に記載のシステム。
【0096】
項目29.発光器又は受光器の一方又は両方に隣接して光学フィルターを配置することを含む方法であって、光学フィルターは波長選択性散乱層を含み、この波長選択性散乱層は約0.9未満の近赤外散乱比を有し、この近赤外散乱比は、平均可視散乱に対する平均近赤外散乱の比であり、波長選択性散乱層は、約0.5より大きい可視反射ヘイズ率を有し、この可視反射ヘイズ率は、平均可視全反射率に対する平均可視拡散反射率の比率である、方法。
【0097】
項目30.光学フィルターと発光器又は受光器の一方又は両方との間に反射層を配置することを更に含む、項目29に記載の方法。
【0098】
項目31.発光器又は受光器の一方又は両方を少なくとも部分的にカモフラージュすることを含む方法であって、カモフラージュすることは項目29又は30に記載の方法を含む、方法。
【0099】
項目32.発光器又は受光器の一方又は両方を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽することを含む方法であって、遮蔽することは項目29又は30に記載の方法を含む、方法。
【0100】
項目33.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%超を散乱させる、項目29~32のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
項目34.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%超を白色光として散乱させる、項目33に記載の方法。
【0102】
項目35.光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは波長選択性散乱層を含み、前記波長選択性散乱層は約0.9未満の近赤外散乱比を有し、前記近赤外散乱比は、平均可視散乱に対する平均近赤外散乱の比であり、前記波長選択性散乱層は、約0.5より大きい可視反射ヘイズ率を有し、前記可視反射ヘイズ率は、平均可視全反射率に対する平均可視拡散反射率の比率である、物品。
【0103】
項目36.波長選択性散乱層が約0.7未満の近赤外散乱比を有する、項目35に記載の物品。
【0104】
項目37.波長選択性散乱層が約0.6未満の近赤外散乱比を有する、項目36に記載の物品。
【0105】
項目38.波長選択性散乱層が、約0.6より大きい可視反射ヘイズ率を有する、項目35~37のいずれか一項に記載の物品。
【0106】
項目39.波長選択性散乱層が、約0.7より大きい可視反射ヘイズ率を有する、項目35~37のいずれか一項に記載の物品。
【0107】
項目40.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%未満を透過させ、波長選択性散乱層が入射近赤外光の約50%超を透過させる、項目35~39のいずれか一項に記載の物品。
【0108】
項目41.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%超を散乱させる、項目35~40のいずれか一項に記載の物品。
【0109】
項目42.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%超を白色光として散乱させる、項目35~40のいずれか一項に記載の物品。
【0110】
項目43.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約5μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.1未満である、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0111】
項目44.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約1μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.2未満である、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0112】
項目45.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約0.5μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.4未満である、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0113】
項目46.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約0.3μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約0.6未満である、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0114】
項目47.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率及び約0.2μm未満の平均粒径を有し、第1の屈折率と第2の屈折率との絶対差が約1.8未満である、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0115】
項目48.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線82の下の区域から選択される、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0116】
項目49.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線84の下の区域から選択される、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0117】
項目50.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線86の下の区域から選択される、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0118】
項目51.波長選択性散乱層が第1の屈折率を有する光学媒体を含み、この光学媒体が複数の粒子を含み、これらの複数の粒子が第2の屈折率を有し、複数の粒子の平均粒径、第1の屈折率、及び第2の屈折率が
図15の線88の下の区域から選択される、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0119】
項目52.波長選択性散乱層が少なくとも25%の可視ヘイズを有する、項目35~51のいずれか一項に記載の物品。
【0120】
項目53.光学フィルターが表面光学微細構造を含む、項目35~52のいずれか一項に記載の物品。
【0121】
項目54.波長選択性散乱層が、バインダー、複数の粒子、及び複数の相互接続空隙を含み、波長選択性散乱層内における複数の相互接続空隙の体積分率が約20%以上であり、複数の粒子に対するバインダーの重量比が約1:2以上である、項目35~42のいずれか一項に記載の物品。
【0122】
項目55.光学フィルターが反射層を含む、項目35~54のいずれか一項に記載の物品。
【0123】
項目56.光学フィルターがビーズ状の拡散層を含む、項目35~55のいずれか一項に記載の物品。
【0124】
項目57.光学フィルターが、受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器が近赤外波長を少なくとも部分的に受光することを可能にするように構成されている、項目35~56のいずれか一項に記載の物品。
【0125】
項目58.光学フィルターが、受光器及び発光器の一方又は両方を視覚から少なくとも部分的にカモフラージュするように構成されている、項目35~56のいずれか一項に記載の物品。
【0126】
項目59.光学フィルターが、可視波長を少なくとも部分的に散乱させることによって受光器又は発光器の一方又は両方を視覚から少なくとも部分的にカモフラージュするように構成されている、項目58に記載の物品。
【0127】
項目60.光学フィルターが、波長選択性散乱層に隣接するインク受容コーティングを含む、項目35~59のいずれか一項に記載の物品。
【0128】
項目61.光学フィルターが、インク受容コーティング上に配置されたインクパターンを含む、項目35~60のいずれか一項に記載の物品。
【0129】
項目62.光学フィルターがシーラント層を含む、項目35~61のいずれか一項に記載の物品。
【0130】
項目63.光学フィルターが保護コーティングを含む、項目35~62のいずれか一項に記載の物品。
【0131】
項目64.波長選択性散乱層が少なくとも50%の全可視反射率を有する、項目35~63のいずれか一項に記載の物品。
【0132】
項目65.波長選択性散乱層が少なくとも60%の全可視反射率を有する、項目64に記載の物品。
【0133】
項目66.波長選択性散乱層が少なくとも70%の全可視反射率を有する、項目65に記載の物品。
【0134】
項目67.光学フィルターを含む物品であって、前記光学フィルターは波長選択性散乱層を含み、前記波長選択性散乱層が60%未満の平均近赤外散乱を有し、前記波長選択性散乱層が、10%より大きい平均可視散乱を有し、%全可視反射率と%拡散可視反射率との差が20未満である、物品。
【0135】
項目68.波長選択性散乱層が40%未満の平均近赤外散乱を有し、波長選択性散乱層が、58%より大きい平均可視散乱を有し、%全可視反射率と%拡散可視反射率との差が18未満である、項目67に記載の物品。
【0136】
項目69.発光器又は受光器の一方又は両方と、
発光器又は受光器の一方又は両方に隣接する光学フィルターであって、
波長選択性散乱層であって、この波長選択性散乱層は、可視波長を実質的に散乱させるように構成されている、波長選択性散乱層と、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、波長選択性散乱層、
波長選択性反射層、及び
少なくとも1つの波長選択性吸収層のそれぞれは、近赤外波長を透過させるように構成されている、光学フィルターと、を含む、システム。
【0137】
項目70.光学フィルターが、5%未満の可視透過率、及び830nmより大きい波長に対する5%より大きい近赤外透過率を有する、項目69に記載のシステム。
【0138】
項目71.光学フィルターが1%未満の可視透過率を有する、項目70に記載のシステム。
【0139】
項目72.光学フィルターが、830nmより大きい波長に対する10%より大きい近赤外透過率を有する、項目70又は71に記載のシステム。
【0140】
項目73.光学フィルターが、850nmより大きい波長に対する20%より大きい近赤外透過率を有する、項目72に記載のシステム。
【0141】
項目74.光学フィルターが、870nmより大きい波長に対する50%より大きい近赤外透過率を有する、項目73に記載のシステム。
【0142】
項目75.光学フィルターが、900nmより大きい波長に対する50%より大きい近赤外透過率を有する、項目74に記載のシステム。
【0143】
項目76.光学フィルターが、900nmより大きい波長に対する75%より大きい平均近赤外透過率を有する、項目75に記載のシステム。
【0144】
項目77.波長選択性散乱層が約0.9未満の近赤外散乱比を有し、近赤外散乱比は、平均可視散乱に対する平均近赤外散乱の比であり、波長選択性散乱層が、約0.5より大きい可視反射ヘイズ率を有し、可視反射ヘイズ率は、平均可視全反射率に対する平均可視拡散反射率の比率である、項目69~76のいずれか一項に記載のシステム。
【0145】
項目78.波長選択性散乱層が60%未満の平均近赤外散乱を有し、波長選択性散乱層が、10%より大きい平均可視散乱を有し、%全可視反射率と%拡散可視反射率との差が20未満である、項目69~76のいずれか一項に記載のシステム。
【0146】
項目79.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%未満を透過させ、波長選択性散乱層が入射近赤外光の約50%超を透過させる、項目69~76のいずれか一項に記載のシステム。
【0147】
項目80.波長選択性散乱層が、バインダー、複数の粒子、及び複数の相互接続空隙を含み、波長選択性散乱層内における複数の相互接続空隙の体積分率が約20%以上であり、複数の粒子に対するバインダーの重量比が約1:2以上である、項目69~79のいずれか一項に記載のシステム。
【0148】
項目81.発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、項目69~80のいずれか一項に記載のシステム。
【0149】
項目82.受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、項目69~81のいずれか一項に記載のシステム。
【0150】
項目83.反射層が多層光学フィルムを含む、項目69~82のいずれか一項に記載のシステム。
【0151】
項目84.反射層が波長選択性干渉フィルターを含む、項目69~83のいずれか一項に記載のシステム。
【0152】
項目85.光学フィルターが基板層上に配置されている、項目69~84のいずれか一項に記載のシステム。
【0153】
項目86.光学フィルターが、受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、項目69~85のいずれか一項に記載のシステム。
【0154】
項目87.光学フィルターが、受光器又は発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、項目69~86のいずれか一項に記載のシステム。
【0155】
項目88.光学フィルターが、可視波長を散乱させることによって受光器又は発光器の一方又は両方を視覚から少なくとも部分的にカモフラージュするように構成されている、項目87に記載のシステム。
【0156】
項目89.波長選択性吸収層が波長選択性散乱層と波長選択性反射層との間にあり、波長選択性吸収層が、全近赤外透過率を実質的に低下させることなく、光学フィルターの全可視反射率を所定の大きさだけ低下させるように構成されている、項目69~88のいずれか一項に記載のシステム。
【0157】
項目90.波長選択性反射層が波長選択性散乱層と波長選択性吸収層との間にあり、波長選択性吸収層が、全近赤外反射率を実質的に低下させることなく、光学フィルターの主表面の区域にわたって全可視反射率を均一に低下させるように構成されている、項目69~88のいずれか一項に記載のシステム。
【0158】
項目91.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性散乱層であって、この波長選択性散乱層は、可視波長を実質的に散乱させるように構成されている、波長選択性散乱層と、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、波長選択性散乱層、
波長選択性反射層、及び
少なくとも1つの波長選択性吸収層のそれぞれは、近赤外波長を透過させるように構成されている、物品。
【0159】
項目92.光学フィルターが、5%未満の可視透過率、及び830nmより大きい波長に対する5%より大きい近赤外透過率を有する、項目91に記載の物品。
【0160】
項目93.光学フィルターが1%未満の可視透過率を有する、項目92に記載の物品。
【0161】
項目94.光学フィルターが、830nmより大きい波長に対する10%より大きい近赤外透過率を有する、項目92又は93に記載の物品。
【0162】
項目95.光学フィルターが、850nmより大きい波長に対する20%より大きい近赤外透過率を有する、項目94に記載の物品。
【0163】
項目96.光学フィルターが、870nmより大きい波長に対する50%より大きい近赤外透過率を有する、項目95に記載の物品。
【0164】
項目97.光学フィルターが、900nmより大きい波長に対する50%より大きい近赤外透過率を有する、項目96に記載の物品。
【0165】
項目98.光学フィルターが、900nmより大きい波長に対する75%より大きい平均近赤外透過率を有する、項目97に記載の物品。
【0166】
項目99.波長選択性散乱層が約0.9未満の近赤外散乱比を有し、近赤外散乱比は、平均可視散乱に対する平均近赤外散乱の比であり、波長選択性散乱層が、約0.5より大きい可視反射ヘイズ率を有し、可視反射ヘイズ率は、平均可視全反射率に対する平均可視拡散反射率の比率である、項目91~98のいずれか一項に記載の物品。
【0167】
項目100.波長選択性散乱層が60%未満の平均近赤外散乱を有し、波長選択性散乱層が、10%より大きい平均可視散乱を有し、%全可視反射率と%拡散可視反射率との差が20未満である、項目91~99のいずれか一項に記載の物品。
【0168】
項目101.波長選択性散乱層が入射可視光の約50%未満を透過させ、波長選択性散乱層が入射近赤外光の約50%超を透過させる、項目91~100のいずれか一項に記載の物品。
【0169】
項目102.波長選択性散乱層が、バインダー、複数の粒子、及び複数の相互接続空隙を含み、波長選択性散乱層内における複数の相互接続空隙の体積分率が約20%以上であり、複数の粒子に対するバインダーの重量比が約1:2以上である、項目91~101のいずれか一項に記載の物品。
【0170】
項目103.反射層が多層光学フィルムを含む、項目91~102のいずれか一項に記載の物品。
【0171】
項目104.反射層が波長選択性干渉フィルターを含む、項目91~103のいずれか一項に記載の物品。
【0172】
項目105.光学フィルターが基板層上に配置されている、項目91~104のいずれか一項に記載の物品。
【0173】
項目106.光学フィルターが、波長選択性散乱層に隣接するインク受容コーティングを含む、項目91~105のいずれか一項に記載の物品。
【0174】
項目107.光学フィルターが、インク受容コーティング上に配置されたインクパターンを含む、項目106に記載の物品。
【0175】
項目108.光学フィルターがシーラント層を含む、項目91~107のいずれか一項に記載の物品。
【0176】
項目109.光学フィルターが保護コーティングを含む、項目91~107のいずれか一項に記載の物品。
【0177】
項目110.波長選択性吸収層が波長選択性散乱層と波長選択性反射層との間にあり、波長選択性吸収層が、全近赤外透過率を実質的に低下させることなく、光学フィルターの全可視反射率を所定の大きさだけ低下させるように構成されている、項目91~109のいずれか一項に記載の物品。
【0178】
項目111.波長選択性反射層が波長選択性散乱層と波長選択性吸収層との間にあり、波長選択性吸収層が、全近赤外反射率を実質的に低下させることなく、光学フィルターの主表面の領域にわたって全可視反射率を均一に低下させるように構成されている、項目91~109のいずれか一項に記載の物品。
【0179】
項目112.発光器又は受光器の一方又は両方と、
発光器又は受光器の一方又は両方に隣接する光学フィルターであって、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、波長選択性反射層、及び
少なくとも1つの波長選択性吸収層のそれぞれは、近赤外波長を透過させるように構成されており、光学フィルターは、380~800nmにおいて0.1%未満の可視透過率、及び830~900nmにおいて50%より大きい近赤外透過率を有する、光学フィルターと、を含む、システム。
【0180】
項目113.光学フィルターが、380~800nmにおいて0.01%未満の可視透過率、並びに830~900nmにおいて75%より大きい近赤外透過率を有する、項目112に記載のシステム。
【0181】
項目114.発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、項目112又は113に記載のシステム。
【0182】
項目115.受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、項目112~114のいずれか一項に記載のシステム。
【0183】
項目116.受光器が虹彩走査システムを含む、項目112~115のいずれか一項に記載のシステム。
【0184】
項目117.項目112~116のいずれか一項に記載のシステムを含む、虹彩ベースの識別システムを含むシステム。
【0185】
項目118.反射層が波長選択性干渉フィルターを含む、項目112~117のいずれか一項に記載のシステム。
【0186】
項目119.反射層が多層光学フィルムを含む、項目112~118のいずれか一項に記載のシステム。
【0187】
項目120.光学フィルターが基板層上に配置されている、項目112~119のいずれか一項に記載のシステム。
【0188】
項目121.光学フィルターが、受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、項目112~120のいずれか一項に記載のシステム。
【0189】
項目122.光学フィルターが、受光器又は発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、項目112~121のいずれか一項に記載のシステム。
【0190】
項目123.少なくとも1つの波長選択性吸収層が第1の波長選択性吸収層及び第2の波長選択性吸収層を含み、波長選択性反射層が第1の波長選択性吸収層と第2の波長選択性吸収層との間にある、項目112~122のいずれか一項に記載のシステム。
【0191】
項目124.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、波長選択性反射層、及び
少なくとも1つの波長選択性吸収層のそれぞれは、近赤外波長を透過させるように構成されており、光学フィルターは、380~800nmにおいて0.1%未満の可視透過率、及び830~900nmにおいて50%より大きい近赤外透過率を有する、物品。
【0192】
項目125.光学フィルターが、380~800nmにおいて0.01%未満の可視透過率、並びに830~900nmにおいて75%より大きい近赤外透過率を有する、項目124に記載の物品。
【0193】
項目126.反射層が波長選択性干渉フィルターを含む、項目124又は125に記載の物品。
【0194】
項目127.反射層が多層光学フィルムを含む、項目124~126のいずれか一項に記載の物品。
【0195】
項目128.光学フィルターが基板層上に配置されている、項目124~127のいずれか一項に記載の物品。
【0196】
項目129.少なくとも1つの波長選択性吸収層が第1の波長選択性吸収層及び第2の波長選択性吸収層を含み、波長選択性反射層が第1の波長選択性吸収層と第2の波長選択性吸収層との間にある、項目124~128のいずれか一項に記載の物品。
【0197】
項目130.光学フィルターがシーラント層を含む、項目124~130のいずれか一項に記載の物品。
【0198】
項目131.光学フィルターが保護コーティングを含む、項目124~130のいずれか一項に記載の物品。
【0199】
項目132.波長選択性吸収層が、波長選択性染料又は波長選択性顔料の一方又は両方を含む、項目124~131のいずれか一項に記載の物品。
【0200】
項目133.波長選択性吸収層が、波長選択性染料又は波長選択性顔料の一方又は両方を含む、項目69~90のいずれか一項に記載のシステム。
【0201】
項目134.波長選択性吸収層が、波長選択性染料又は波長選択性顔料の一方又は両方を含む、項目91~111のいずれか一項に記載の物品。
【0202】
項目135.波長選択性吸収層が、波長選択性染料又は波長選択性顔料の一方又は両方を含む、項目112~123のいずれか一項に記載のシステム。
【0203】
項目136.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【0204】
項目137.400nm~700nmの波長に対する平均可視透過率が約5%未満である、項目136に記載の物品。
【0205】
項目138.830nm~900nmの波長に対する平均近赤外透過率が約50%より大きい、項目136又は137に記載の物品。
【0206】
項目139.波長選択性反射層が干渉フィルターを含む、項目136~138のいずれか一項に記載の物品。
【0207】
項目140.波長選択性反射層が多層光学フィルムを含む、項目136~138のいずれか一項に記載の物品。
【0208】
項目141.波長選択性反射層が反射型偏光子を含む、項目136~138のいずれか一項に記載の物品。
【0209】
項目142.波長選択性吸収層が、波長選択性染料及び波長選択性顔料の一方又は両方を含む、項目136~141のいずれか一項に記載の物品。
【0210】
項目143.波長選択性吸収層が多孔質層を含み、波長選択性染料及び波長選択性顔料の一方又は両方が多孔質層の細孔内に配置されている、項目142に記載の物品。
【0211】
項目144.波長選択性染料及び波長選択性顔料の一方又は両方が第1のスペクトル範囲内の光を吸収し、異なる第2のスペクトル範囲内の光を再放射する、項目142に記載の物品。
【0212】
項目145.少なくとも1つの波長選択性吸収層が第1の波長選択性吸収層及び第2の波長選択性吸収層を含み、波長選択性反射層が第1の波長選択性吸収層と第2の波長選択性吸収層との間にある、項目136~144のいずれか一項に記載の物品。
【0213】
項目146.第1の波長選択性吸収層が、第2の波長選択性吸収層と異なる光学特性を有する、項目145に記載の物品。
【0214】
項目147.
第1の波長選択性吸収層が黒色染料及び黒色顔料の一方又は両方を含み、
第2の波長選択性吸収層がカラー染料及びカラー顔料の一方又は両方を含む、
項目146に記載の物品。
【0215】
項目148.カラー染料及びカラー顔料が、シアン成分、マゼンタ成分、及び黄色成分のうちの1つ以上を含む、項目147に記載の物品。
【0216】
項目149.光学フィルターがシーラント層を含む、項目136~148のいずれか一項に記載の物品。
【0217】
項目150.波長選択性吸収層がシーラント層上に配置されている、項目149に記載の物品。
【0218】
項目151.波長選択性吸収層がシーラント層上にコーティング又は印刷されている、項目150に記載の物品。
【0219】
項目152.波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の約50%未満を散乱させ、830nm~900nmの波長の約50%未満を散乱させる、項目136~151のいずれか一項に記載の物品。
【0220】
項目153.波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の約30%未満を散乱させ、830nm~900nmの波長の約30%未満を散乱させる、項目52に記載の物品。
【0221】
項目154.波長選択性吸収層が、830nm~900nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、項目136~153のいずれか一項に記載の物品。
【0222】
項目155.波長選択性吸収層が、800nm~1200nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、項目136~153のいずれか一項に記載の物品。
【0223】
項目156.波長選択性吸収層が、900nm~980nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、項目136~153のいずれか一項に記載の物品。
【0224】
項目157.波長選択性吸収層が印刷層である、項目136~156のいずれか一項に記載の物品。
【0225】
項目158.波長選択性吸収層が別の層上のコーティングを含む、項目136~156のいずれか一項に記載の物品。
【0226】
項目159.波長選択性散乱層を更に含む、項目136~158のいずれか一項に記載の物品。
【0227】
項目160.波長選択性吸収層が波長選択性散乱層上に配置されている、項目159に記載の物品。
【0228】
項目161.波長選択性吸収層が波長選択性散乱層上にコーティングされている、項目159に記載の物品。
【0229】
項目162.波長選択性吸収層が波長選択性散乱層上に印刷されている、項目159に記載の物品。
【0230】
項目163.光学フィルターがフレキシブルである、項目136~162のいずれか一項に記載の物品。
【0231】
項目164.光学フィルターが3次元形状を有する、項目136~163のいずれか一項に記載の物品。
【0232】
項目165.基板を更に備えている、項目136~164のいずれか一項に記載の物品。
【0233】
項目166.基板が、ガラス及びポリマーのうちの少なくとも一方を含む、項目165に記載の物品。
【0234】
項目167.基板が3次元基板である、項目165に記載の物品。
【0235】
項目168.物品が3次元形状を有し、物品を物体に取り付けるように構成された1つ以上の取付構造を含む、項目136~167のいずれか一項に記載の物品。
【0236】
項目169.取付構造が1つ以上のプレスフィット取付構造を含む、項目168に記載の物品。
【0237】
項目170.物体が電子構成要素である、項目168に記載の物品。
【0238】
項目171.光学フィルターが、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、項目136~170のいずれか一項に記載の物品。
【0239】
項目172.光学フィルターが、800nm~1200nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、項目136~170のいずれか一項に記載の物品。
【0240】
項目173.光学フィルターが、800nm~1200nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、項目136~170のいずれか一項に記載の物品。
【0241】
項目174.垂直入射時の光学フィルターの可視透過率が、傾斜角度における光学フィルターの可視透過率未満である、項目136~173のいずれか一項に記載の物品。
【0242】
項目175.傾斜角度における光学フィルターの可視透過率が、垂直入射時の光学フィルターの可視透過率未満である、項目136~173のいずれか一項に記載の物品。
【0243】
項目176.0~60度の傾斜角度における光学フィルターの可視透過率が、垂直入射時の光学フィルターの可視透過率未満である、項目1~173のいずれか一項に記載の物品。
【0244】
項目177.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び900nm~980nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【0245】
項目178.光学フィルターを含む印刷物であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、印刷物。
【0246】
項目179.光学フィルターが、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、及び830nm~900nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、項目178に記載の印刷物。
【0247】
項目180.光学フィルターが、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び800nm~1200nmの全波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、項目178に記載の印刷物。
【0248】
項目181.光学フィルターを含む印刷物であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び900nm~980nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、印刷物。
【0249】
項目182.光学フィルターを含む印刷物であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの印刷された波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、400nm~700nmの全波長に対して約30%未満の可視透過率、及び900nm~980nmにおいて全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、印刷物。
【0250】
項目183.物体と、
この物体に隣接する光学フィルターと、を備えるシステムであって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、システム。
【0251】
項目184.平均可視透過率が約1%未満である、項目183に記載のシステム。
【0252】
項目185.平均近赤外透過率が約75%より大きい、項目183又は184に記載のシステム。
【0253】
項目186.波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の50%未満、及び830nm~900nmの波長の50%未満を散乱させる、項目183~185のいずれか一項に記載のシステム。
【0254】
項目187.波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の約25%未満、及び830nm~900nmの波長のより少ない25%を散乱させる、項目183~186のいずれか一項に記載のシステム。
【0255】
項目188.波長選択性吸収層が、830nm~900nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、項目183~187のいずれか一項に記載のシステム。
【0256】
項目189.発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、項目183~188のいずれか一項に記載のシステム。
【0257】
項目190.受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、項目183~188のいずれか一項に記載のシステム。
【0258】
項目191.受光器が虹彩走査システムを含む、項目183~188のいずれか一項に記載のシステム。
【0259】
項目192.光学フィルターが基板層上に配置されている、項目183~191のいずれか一項に記載のシステム。
【0260】
項目193.光学フィルターが、受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、項目183~192のいずれか一項に記載のシステム。
【0261】
項目194.光学フィルターが、受光器及び発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、項目183~193のいずれか一項システム。
【0262】
項目195.光学フィルターが波長選択性散乱層を更に含む、項目183~194のいずれか一項に記載のシステム。
【0263】
項目196.少なくとも1つの発光器及び受光器が電子デバイスの構成要素であり、光学フィルターが、3次元形状を有し、光学フィルターを含む物品を電子デバイスに取り付けるように構成された1つ以上の取付構造を含む物品の構成要素である、項目183~195のいずれか一項に記載のシステム。
【0264】
項目197.物体が発光器及び受光器のうちの1つ以上を含む、請求項183~196のいずれか一項に記載のシステム。
【0265】
項目198.物体が再帰反射性である、請求項183~197のいずれか一項に記載のシステム。
【0266】
項目199.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
400nm~700nmの波長に対して約30%より大きい平均可視吸収を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【0267】
項目200.少なくとも1つの波長選択性吸収層が、400nm~700nmの全波長に対して約30%より大きい可視吸収を有し、光学フィルターが、830nm~900nmの全波長に対して約30%より大きい近赤外透過率を有する、項目199に記載の物品。
【0268】
項目201.400nm~700nmの波長に対する平均可視吸収が約50%より大きい、項目199に記載の物品。
【0269】
項目202.波長選択性吸収層が、400nm~700nmの波長の50%未満、及び830nm~900nmの波長の50%未満を散乱させる、項目199~201のいずれか一項に記載の物品。
【0270】
項目203.波長選択性吸収層が、830nm~900nmの近赤外波長内で散乱させられた光と比べて、400nm~700nmの可視波長内でより多くの光を散乱させる、項目199~201のいずれか一項に記載の物品。
【0271】
項目204.波長選択性反射層が、830nm~900nmの波長に対して約50%より大きい平均近赤外透過率を有する、項目199~201のいずれか一項に記載の物品。
【0272】
項目205.波長選択性散乱層を更に含む、項目199~204のいずれか一項に記載の物品。
【0273】
項目206.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
400nm~700nmの波長に対して約30%より大きい平均可視吸収を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、900nm~980nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【0274】
項目207.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
波長選択性反射層と、
400nm~700nmの波長に対して約30%より大きい平均可視吸収を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、を含み、光学フィルターは、800nm~1200nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、物品。
【0275】
項目208.物体と、
この物体に隣接する光学フィルターと、を備えるシステムであって、光学フィルターは、
830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する波長選択性反射層と、
400nm~700nmにおいて約30%より大きい平均可視吸収、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する少なくとも1つの波長選択性吸収層と、
を含む、システム。
【0276】
項目209.発光器が近赤外LED又は近赤外レーザを含む、項目208に記載のシステム。
【0277】
項目210.受光器が、近赤外カメラ、又は近赤外受光帯域を有する光センサを含む、項目208に記載のシステム。
【0278】
項目211.受光器が虹彩走査システムを含む、項目208に記載のシステム。
【0279】
項目212.光学フィルターが、受光器を可視波長から少なくとも部分的に遮蔽し、その一方で、受光器が近赤外波長を受光することを実質的に可能にするように構成されている、項目208~211のいずれか一項に記載のシステム。
【0280】
項目213.光学フィルターが、受光器及び発光器の一方又は両方を視覚からカモフラージュするように構成されている、項目208~212のいずれか一項に記載のシステム。
【0281】
項目214.物体が発光器及び受光器のうちの1つ以上を含む、請求項208~213のいずれか一項に記載のシステム。
【0282】
項目215.物体が再帰反射性である、請求項208~214のいずれか一項に記載のシステム。
【0283】
項目216.光学フィルターを含む物品であって、光学フィルターは、
染料及び顔料のうちの少なくとも一方を含む波長選択性散乱層であって、この波長選択性散乱層は、400nm~700nmの可視波長を散乱させ、830nm~900nmの近赤外波長を透過させるように構成されている、波長選択性散乱層と、
830nm~900nmの近赤外波長を透過させるように構成された波長選択性反射層と、
を含む、物品。
【0284】
項目217.波長選択性散乱層が、染料及び顔料のうちの少なくとも一方を含むコーティングを含む、項目216に記載の物品。
【0285】
項目218.コーティングが、約11%を超える固形物を含有する、項目216に記載の物品。
【0286】
項目219.コーティングが、約12%を超える固形物を含有する、項目216に記載の物品。
【0287】
項目220.コーティングが、約13%を超える固形物を含む、項目216に記載の物品。
【0288】
項目221.コーティングが、約14%を超える固形物を含む、項目216に記載の物品。
【0289】
項目222.光学フィルターを作製する方法であって、この方法は、
波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成することを含み、光学フィルターは、400nm~700nmの波長に対して約30%未満の平均可視透過率、及び830nm~900nmの波長に対して約30%より大きい平均近赤外透過率を有する、方法。
【0290】
項目223.波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成することが、波長選択性吸収層を波長選択性反射層上に形成すること、又は波長選択性反射層を波長選択性吸収層上に形成することを含む、項目222に記載の方法。
【0291】
項目224.波長選択性吸収層及び波長選択性反射層を形成することが、単一の複合層を形成することを含む、項目222に記載の方法。
【0292】
項目225.波長選択性吸収層を形成することが、波長選択性吸収材料を印刷又はコーティングすることを含む、項目222~224のいずれか一項に記載の方法。
【0293】
項目226.波長選択性吸収層を印刷又はコーティングすることが、波長選択性吸収材料、波長選択性散乱材料、波長選択性反射材料、及びシーラント材料のうちの2つ以上を含む溶液を印刷又はコーティングすることを含む、項目225に記載の方法。
【0294】
項目227.波長選択性吸収層を形成することが、波長選択性吸収材料を含む溶液を多孔質層にコーティングすることを含む、項目222に記載の方法。
【0295】
項目228.多孔質層が波長選択性散乱層である、項目227に記載の方法。
【0296】
項目229.波長選択性吸収材料が、多孔質層の細孔に入る染料を含み、溶液が、多孔質層の表面上に残留してシーラントを形成する粒子を含む、項目227に記載の方法。
【0297】
項目230.波長吸収層を形成することが、2つ以上の波長選択性吸収材料の混合物を一体に形成し、この混合物を波長選択性吸収層として堆積させることを含む、項目222に記載の方法。
【0298】
項目231.波長吸収層を形成することが、
第1の波長選択性吸収材料を含む第1の波長選択性吸収層を形成することと、
第2の波長選択性吸収材料を含む第2の波長選択性吸収層を形成することと、
を含む、項目222に記載の方法。
【実施例0299】
実施例1
様々なサンプル光学フィルムについて光学特性を決定した。後述のようにサンプル光学フィルムS01~S34を調製した。サンプルS01~S33の各々について、分光計(Lambda 900、PerkinElmer)を積分球とともに用いて拡散及び鏡面反射率を取得することで、可視散乱、近赤外散乱、全可視反射率、及び拡散可視反射率を測定した。結果を表1に示す。提示された反射率値は、SPIN(鏡面含む、若しくは全)反射率、及びSPEX(鏡面除く、若しくは拡散)反射率を含む。各サンプルフィルムで被覆された近接センサの感度を決定し、「機能せず」、「機能」、「良」、及び「優良」のうちの1つとして分類した。ヘイズ計(Haze-gard Plus、BYK-Gardner)を用いて、サンプルS01~S34について、透過率、ヘイズ、及び透明度を決定した。結果を表2に示す。
【0300】
サンプルS01~S03はULIフィルムであり、サンプルS02は高ヘイズ高透明度ULIフィルムを含むものであった。サンプルS01は、Silquest A-174 75nmシラン粒子(Momentive)を、60%wt比のペンタエリスリトールトリアクリレートモノマー(SR444、Sartomer)、及び2.5%のIrgacure184(Ciba Specialty Chemicals Company、High Point N.C)と組み合わせることによって調製し、10μmのコーティング厚さに到達した。サンプルS04は、TiO
2ナノ粒子及びシリコーン微粒子のフィルムを含むものであった。サンプルS04は、19.13gのM1192(Miwon)、3.38gのCN9018(Sartomer)、2.5gのTospearl145(Momentive)、12.5gのSR415(Sartomer)、12.5gの、IBOA中42.3wt%TiO
2(UV-TITAN L-530、Sachtleben)、25gのメチルエチルケトン、及び0.5gの光開始剤TPO-L(BASF)を混合し、#8メイヤーバーを用いて調合物をコーティングすることによって調製した。サンプルS05は、微細複製表面構造を有するフィルムであった(
図9)。サンプルS6は、ペンタエリトリトールトリアクリレートバインダー(SR444、Sartomer)及びイソプロピルアルコール溶媒とともに、10μmの乾燥厚さのためにESR2フィルム(Enhanced Specular Reflector、3M)上にコーティングされた3μmのポリスチレンビーズを含むものであった。サンプルS07は、不織布材料(Sony TVモデル40W600Bから取り外した下部拡散板)を含むものであった。サンプルS08は、TiO
2コーティングPETフィルム、SH2FGST Fasara Film(3M)を含むものであった。サンプルS09及びS10は、ヘイズ値の異なるバルク拡散体である。サンプルS09は、PATTCLR0艶消しアクリレートシート(ePlastics、San Diego、CA)を含むものであった。サンプルS10は、TCL TV(モデル40FD2700)からの拡散板を含むものであった。サンプルS11は、iPad(第1世代、Apple)バックライトからの下部拡散シートであった。サンプルS12は、分散TiO
2(白色書き込みブロックを有するプラスチック6”x8”小型シールトップ食品袋、Elkay Plastics、Bensenville、ILから)を含むプラスチックフィルムを含むものであった。サンプルS13は、白色紙(HAmmermill Copy Plus多目的プリンタ用紙)を含む。サンプルS14は、微細複製表面構造(iPhone6バックライト)を有するフィルムを含む。サンプルS15~S22はULI材料のフィルムを含む。サンプルS23は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS04を含む。サンプルS24は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS03を含む。サンプルS25は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS15を含む。サンプルS26は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS16を含む。サンプルS27は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS17を含む。サンプルS28は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS18を含む。サンプルS29は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS19を含む。サンプルS30は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS20を含む。サンプルS31は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS21を含む。サンプルS32は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS2を含む。サンプルS33は、自分自身の上に折り重ねられたサンプルS22を含む。
【0301】
【0302】
【0303】
実施例2
図5は、例示的な光学フィルターとインクパターンとを含む例示的な物品の写真である。ESR2を反射層として用いた。ULI層(サンプルS01コーティング)を波長選択性散乱層と反射層に適用している。乾燥時に厚さ1ミルである、ラテックスコーティング(PrintRite DP 261、Lubrizol))の層をインク受容層とシーラント層との組み合わせとしてULI層上にコーティングしている。インク受容層の上には、インクジェット(溶剤インク)印刷パターンが印刷されている。
図5に示すように、インクジェット印刷パターンは鮮明であり、汚れ、ぼやけ、又はその他の欠陥がない。
【0304】
実施例3
図6Aはソーラーパネルの写真である。
図6Bは、例示的な光学フィルターによってカモフラージュされたソーラーパネルの写真である。ESR2層上にULI層(サンプルS01)を堆積させることによって多層光学フィルターを形成した。光学フィルターは、カモフラージュパターン(背景木目に類似した模造木材)を印刷したものであった。
図6AのCIGS(copper indium gallium selenide、セレン化銅インジウムガリウム)フィルムソーラーパネルを、
図6Bに示すように、例示的な光学フィルターでカモフラージュした。このフィルターは、3M 8211 Optically Clear adhesiveを用いてソーラーパネルに積層した。カモフラージュしたフィルムパネルは、その元の電力の45%を発生した。裏面のESR2フィルムはほぼ全ての可視光を反射した。電力は、IV5ソーラー出力試験装置(PV Measurements,Inc.、Boudler CO)によって測定した。
【0305】
実施例4
図7は、例示的な光学フィルターとインクパターンとを含む例示的な物品の写真である。光学フィルターは、反射基板上に堆積させたULI層で形成した。光学フィルターの右側は、インク受容層区域として、乾燥後に透明フィルムを形成したラテックスコーティング(PrintRite DP 261,Lubrizol)でコーティングした。インク受容コーティング区域及び非コーティング光学フィルター区域上にパターンをインクジェット印刷した。
図7に示すように、左側の非コーティング区域上の印刷品質は、右側のインク受容層をコーティングした区域内よりも劣っていた。例えば、非コーティング区域上の印刷パターンは不明瞭で筋があった。
【0306】
実施例5
図8A~
図8Cは、(
図2Eに示す例示的な光学システムと同様の)例示的な光学フィルターと近赤外LEDとを含む例示的なシステムの写真である。
図8Aには、近赤外発光LEDを含む構造が示されている。この構造を、ESR2層上にコーティングされたULIの層(サンプルS01)を含む例示的な光学フィルターによって被覆した。この被覆した構造を赤外カメラを用いて撮像し、
図8Bに示す赤外画像を得た。
図8Bに示すように、LED光源の画像は、
図8Cに示す不明瞭な赤外画像と比較して、比較的明瞭である。
図8Bとは異なり、
図8Cの構造(サンプルS06)は、波長選択性散乱層を含む光学フィルターの代わりにビーズ層でコーティングした。
図8Cに示すように、非選択性ビーズ層は、非常に低い透明度でIR LEDの画像を透過した。
【0307】
実施例6
図9は、例示的な光学フィルターの表面の原子間力顕微鏡(AFM)写真である。光学フィルターは表面テクスチャー化フィルム(サンプルS05)を含むものであった。
【0308】
実施例7
図10A及び
図10Bは例示的な光学フィルターの走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図10Aは、高ヘイズ低透明度ULI層(サンプルS22)を含む光学フィルターを示し、
図10Bは、高ヘイズ高透明度ULI層(サンプルS02)を含む光学フィルターを示す。
【0309】
実施例8
図11は、例示的な光学フィルターについての%反射率及び%透過率対波長を示すチャートである。曲線72は、第1のサンプルULI層(サンプルS01)の%透過を表す。曲線74は、第2のサンプルULI層(サンプルS01、ただし50%、より厚い)の%透過率を表す。曲線76は、第1のサンプルULI層の%透過率を表す。曲線78は、第2のサンプルULI層の%反射率を表す。
図11に示すように、両サンプルULI層は、近赤外波長を透過しつつ、可視波長を選択反射した。
【0310】
実施例9
図12A及び
図12Bは、例示的な光学フィルターについての%透過率対波長を示すチャートである。
図12Aは、ビーズをコーティングされ、PETで限定されたESR2を含む第1のサンプル光学フィルター(サンプルS06)についての%透過率を示す。
図12Bは、ULIをコーティングされ、PETを積層されたESR2を含む第2のサンプル光学フィルターについての透過率を示す。
図12A及び
図12Bに示すように、どちらのサンプル光学フィルターも近赤外波長を透過したが、ULIコーティングESRはビーズコーティングESRに比べて可視波長の透過を選択的に遮断した。ビーズコーティングESRは可視波長の遮断の程度がより低かった。
【0311】
実施例10
図13は、サンプルフィルムについての%透過率対波長を示すチャートである。最上部の曲線は、コーティングされていないPETについての%透過率を示し、%透過率はスペクトルの可視区域及び近赤外区域にわたって比較的平坦であることが分かる。中間の曲線及び下の曲線は、#3メイヤーバービーズコーティングPET層、及び#10メイヤーバービーズコーティングPET層についての%透過率をそれぞれ示す。ビーズコートは透過率を低下させたが、ビーズコートは透過率を選択的に低下させず、得られた透過率曲線はスペクトルの可視区域及び近赤外区域にわたって同じく比較的平坦であった。それゆえ、ビーズコーティングPETは、ULIをコーティングすることによって形成した波長選択性散乱層のようにうまく機能しなかった。
【0312】
実施例11
図14は、粒径の異なる粒子を含む光学フィルターについての散乱効率対波長を示す、ミー散乱の結果を表すチャートである。媒体中に分散された粒子を含む光学フィルターのために、媒体中に分散された粒子の粒径、及び媒体と粒子との屈折率の差の関数としての散乱効率のための、ミー散乱に基づくモデルを用意した。媒体の屈折率を1.5に設定し、散乱粒子の屈折率を1.0に設定することにより、モデルを評価した。粒径を0.2μmから1.0μmまで0.1μmの刻みで変化させた(左から右への曲線)。
【0313】
実施例12
図15は、媒体と、媒体中に分散された複数の粒子とを含む光学フィルターについての、近赤外散乱比を粒径及び屈折率差の関数として示すチャートである。モデルを用いて、近赤外散乱比に対する、粒径、及び媒体と粒子との屈折率の差の影響を評価し、
図15にモデルの結果が提示されている。X軸は屈折率の差(媒体-粒子)を表し、Y軸は粒径(μm単位)を表す。等高線は、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、及び1.8などの異なる散乱比を表す。それゆえ、曲線82は0.2の近赤外散乱比を表す。曲線84は0.4の近赤外散乱比を表す。曲線86は0.6の近赤外散乱比を表す。曲線88は0.8の近赤外散乱比を表す。
【0314】
実施例13
表3は、空気界面上における、特定の屈折率を有するハイブリッド表面(又は非金属)を模擬することができる拡散コーティングの最小散乱(透過)を提示する。
【0315】
【0316】
表面は白色に処理されている。R%は、既知のRIを有する材料に対する空気のフレネル反射によって算出する。100%全反射=フレネル反射+拡散反射と仮定して、SPEX/SPINの理論的最大比(拡散/全可視反射)を算出した。
【0317】
実施例14
X-Riteを用いて多数のサンプルについての拡散反射率及び全反射率を測定した。結果を表4に示す。
【0318】
【0319】
実施例15
近赤外フィルムのウェットアウトを評価した。ウェットアウトは、基板に適用された光学フィルムの、特に光学フィルムが基板に接触する区域における、光学フィルムの均一な外観の可視の乱れ又は外乱である。波長選択性赤外光透過性可視光遮断ULI層を反射型多層光学ESR2フィルム上に適用することによって、2つの近赤外フィルムを調製した。フィルムのうちの一方に近赤外透過性黒色インクを適用した。
図16A~
図16Dは、近赤外フィルムのウェットアウトを比較した写真である。
図16Aは正面を示し、
図16Bは各近赤外フィルムの裏面を示し、一方は近赤外インクコーティングを有せず、一方は近赤外インクコーティングを有する。両フィルムの裏面に両面テープを適用し、それぞれのガラススライドにフィルムをそれぞれ接着させた。
図16Cは正面を示し、
図16Dは各近赤外フィルムの裏面を示し、一方は近赤外インクコーティングを有せず、一方は近赤外インクコーティングを有し、各々、両面テープでガラススライドに接着させている。
図16A及び
図16Cを比較することによって分かるように、近赤外インクコーティングを有しない近赤外フィルムは可視のウェットアウトを呈し、その一方で、近赤外インクコーティングを有する近赤外フィルムは均一に見え、ウェットアウトを呈しなかった。
図17は、
図16A~
図16Dの近赤外フィルムについての%透過率対波長を示すチャートである。
図17に示すように、曲線92は、近赤外黒色インクコーティングを有しない近赤外フィルムの透過スペクトルを表し、その一方で、曲線94は、近赤外黒色インクコーティングを有する近赤外フィルムの透過スペクトルを表す。かように、各々のそれぞれのフィルムは、引き続き、約800nmを上回る波長を透過させつつ、約800nmを下回る波長の透過を遮断したため、近赤外黒色インクコーティングを適用することは、近赤外フィルムの可視光遮断及び赤外透過率に大きく影響を与えなかった。それゆえ、近赤外フィルムの近赤外フィルタリング特性に影響を与えることなく、ウェットアウトが解消された。
【0320】
実施例16
近赤外フィルムに着色染料を適用した。
図18A~
図18Bは、着色された染料層を含む例示的な近赤外フィルムの写真である。波長選択性赤外光透過性可視光遮断ULI層を反射型多層光学ESR2フィルム上に適用することによって、近赤外フィルムを調製した。
図18Aの例では、散乱層の上に、反射フィルムから離れた面においてシアン染料を適用した。染料コーティングは、
図18Aにおいて見られるように、可視の不均一性を呈した。
図18Bの例では、散乱層と反射フィルムとの間にシアン染料を適用した。シアン染料層は、
図18Bにおいて見られるように、可視的に均一なシアンの色合いを近赤外フィルムに付与した。
【0321】
実施例17
近赤外反射防止コーティングを近赤外フィルム上に適用する効果を評価した。近赤外反射防止コーティングで被覆された反射多層光学フィルムの透過率を、赤外反射防止コーティングを有しない反射多層光学フィルムと比較した。
図19は、近赤外反射防止コーティングを有しない反射多層光学フィルム(曲線96)と比較した、近赤外反射防止コーティングで被覆された反射多層光学フィルム(曲線98)についての%透過率対波長を示すチャートである。曲線96において見られるように、反射多層光学フィルムは、主反射帯域外で高次高調波を呈した。高調波リップルは主反射帯域に近づくほど強くなった。曲線98において見られるように、近赤外反射防止コーティングを適用することは、透過率を増大させ、高調波リップルを均した。
【0322】
実施例18
反射多層光学フィルムによって赤外源から放射された可視赤色成分の遮断に対する近赤外染料コーティングの効果を評価した。
図20Aは、可視赤色光成分を有する赤外LEDを含む例示的なシステムの写真である。
図20Bは、染料コーティングを含まない反射多層光学フィルム(ESR2)によってフィルタリングされた可視光成分を有する赤外LEDを含む例示的なシステムの写真である。
図20Bにおいて見られるように、ESR2フィルムは、赤外LEDによって放射された可視成分の強度をある程度低下させたが、可視成分の透過を完全に遮断しなかった。
図21は、染料コーティングを有しない反射多層光学フィルム(ESR2)についての%透過率対波長を示すチャートである。
図21において見られるように、ESR2は、約830nmを上回る波長(近赤外波長を含む)を透過させ、830nmを下回る波長(可視波長を含む)を遮断するが、ESR2は全ての可視波長を遮断することができない。例えば、透過スペクトルは、380~450nm、及び550~650nmにおいてピークを呈した。
図22は、染料コーティングを有しない比較光学フィルターと比較した、赤外染料コーティングを有する反射多層光学フィルムについての%透過率対波長を示すチャートである。曲線102及び106は、染料コーティングを含まない異なる光学フィルターの透過率を表す。
図22において見られるように、曲線102及び106の光学フィルターは、可視波長をある程度遮断しつつ、スペクトルの可視成分を完全に遮断しなかった。対照的に、近赤外波長を実質的に透過させつつ、可視波長を完全に遮断する曲線104は、近赤外染料コーティング、MingBoインクIR9508-A及びMingBoインクIR9508-B(Mingbo Anti-Forgery Technology(Shenzhen)Co.,Ltd.、Guangdong、Chinaから入手可能)を含むESR2フィルムを表す。380~800nmの波長はMingBo IRインクによって吸収されるが、830~900nmの波長は透過させられる。曲線104の例では、ESR2の両側にMingBo IRインクをコーティングした。380~800nmの透過はほぼ0%であり、その一方で、830~900nmの透過は75%よりも高かった。曲線104のフィルムを、虹彩走査装置内の赤外源を隠蔽するために用いた。それゆえ、近赤外染料コーティングを適用することは、近赤外波長の透過率を可能にしつつ、ESR2による可視成分の遮断を向上させた。
【0323】
実施例19
Epolin、Inc.Newark、NJによって販売されているEpolightTM 7527D Visible Opaque Dyeが、最大875nmまでの可視内におけるその低透過、及び950nmより上方での高透過への急峻な上昇のために選定された染料であった。Epolight 7527Dを、MEK及びトルエン中に溶解された、Bostik、Inc.Wauwatosa、WIによって販売されているVitel2200コポリエステルからなるコーティング溶液と、様々な比率、及び75um透明PET基板上へのコーティング厚さで組み合わせた。Vitel2200B以外の他のバインダーを染料キャリアとして用いることもできるであろう。メイヤーロッドを用いてサンプルを小規模に調製し、実験室溶剤オーブン(lab solvent oven)内において80℃で乾燥させた。Vitel中の添加量(低~高染料濃度)のついてのコーティング溶液が、表1~5において全溶液と全固形分の両方に関して与えられている。コーティング厚さを変えることにより、これらの溶液で様々な光学濃度を作ることができる。
【0324】
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
この手順を用いて、染料添加量が増加する5つのフィルムサンプルを作製した。ここで、用語、染料「添加量」は濃度及び/又は染料の濃さである。垂直入射時の透過スペクトルを、Perkin-Elmerによって作製されたLambda900分光光度計上で350から1400nmまで測定し、表1~5に対応する
図23の曲線1、2、3、4、5として示している。
【0330】
この一連のサンプルは染料の2つの基本的な問題を示す。第1のものは、消光からNIR透過への移行の勾配が大幅に増加し、NIR透過の低下を生じさせることである。第2のものは、染料が溶液に出入りしないことに起因し、粒状の外観及び散乱を生じさせる、より高い濃度における低品質のコーティングである。視覚的品質の低さをコーティングに生じさせることに加えて、NIRカメラのための画質を低下させることになる散乱がNIR内に生じ得る。
【0331】
実施例20
本実施例では、実施例19において説明したとおりの染料を干渉フィルムと組み合わせた。曲線3において測定されたとおりのPET上のEpolight7527D染料コーティングを、3M、St.Paul、MNによって販売されているものからの8171 Optically Clear Adhesiveを用いてミラーフィルムESR基板に積層した。積層体スタックの外部透過スペクトルを、Lambda900分光光度計において、
図24のそれぞれ曲線6、7、及び8としての垂直入射、垂直入射から20度及び60度において測定した。
【0332】
図25は
図24の場合と同じデータセットを示すが、0~1%の透過の目盛を用いている。透過は、可視スペクトルの広い区域内において、0.1から0.2%を若干超える間であることが分かる。
【0333】
実施例21
3M、St.Paul、MNによって販売されている8171 Optically Clear Adhesiveを用いて、最適化されたミラーフィルム基板に積層した、曲線1~5において測定されたとおりのPET上のEpolight7527D染料コーティングをモデル化した。
図26は、以前の実施例の場合のように3から34.7%まで変化した染料濃度を有する垂直入射時のサンプルの透過を示す。最適化されたミラーフィルムは、交互のPEN樹脂及びPMMA樹脂の265個の層からなる、3M、St.Paul、MNによって販売されているESR2ミラーフィルムに基づくものであった。全体の帯域幅を増大させ、LBEを~420nmから~400nmへシフトさせ、右帯域端を~800nmから~860nmへシフトさせ、より急峻な右帯域端を有するように、層プロファイルを最適化した。これは、最大60度の入射角までの、IRにおけるより高い透過、及び400nm~700nmの低い可視透過を可能にする。
【0334】
図27は、垂直入射時のみの、ミラーを透過したs偏光(Ts)及びp偏光(Tp)の透過率を示す。
図28は
図26の場合と同じデータのプロットであるが、0~0.1%の透過の目盛を用いている。右帯域端の急峻化及び帯域幅の増大は、可視内におけるより高い透過と引き換えにもたらされ、光の漏れは、染料の添加によって効果的に制御することができる。必要である場合には、ミラーフィルム構造における二重層の数を増やすことによって、より高い光学密度を実現することができる。
【0335】
表10に、
図26及び
図28における曲線についての平均可視透過率が、関連する染料濃度レベルとともに示されている。最大5.8%の平均可視透過レベルがより低い濃度で見られる。
【0336】
【0337】
実施例22
本実施例は以前の実施例についての入射角度の効果をモデル化した。
【0338】
表11、12、及び13は、垂直入射、30度、及び60度の光についての以前の実施例の結果をそれぞれ示す。各表は、各染料濃度レベルについての平均可視透過を示す。最小可視透過の角度は垂直入射ではないことに留意されたい。この特定のセットの場合には、60度が最も低い可視透過をもたらす。垂直入射など、60度以外の角度で最も低いVtを有するフィルムを設計することが可能であろう。
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
実施例23
本実施例は、干渉フィルムが反射型偏光子である場合をモデル化したものである。層プロファイルはミラーの場合と同一であるが、材料は、今度は、3M、St.Paul、MNによって販売されているAPF反射型偏光子フィルムの場合のように、PEN及びCoPENである。
図29は、垂直入射時の反射型偏光子の通過及び遮断状態を示すグラフである。偏光子は、スペクトル選択性を有し、垂直入射時に可視を遮断し、NIRを透過させるように設計されている。
【0343】
図29に示すとおりの透過率を有する反射型偏光子を、以前の実施例の場合と同じEpolin染料と組み合わせた。
図30は、以前の実施例の場合のように3から34.7%まで変化した染料濃度を有する垂直入射時のサンプルの透過を示す。表14、15及び16は、それぞれ、0度、30度、及び60度の入射角におけるスペクトル応答及び可視透過を提示する。上述同様に、濃度及び平均可視透過の表を提示する。本実施例は、たとえ、比較的高い可視透過の干渉フィルムを用いても、適当な染料濃度と組み合わせると、10%、5%、又は更に1%という低いVtが可能であることを示している。
【0344】
【0345】
【0346】
【0347】
特に指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する加工寸法(feature size)、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語により修飾されていると理解すべきである。したがって、特に反対の指示のない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る、近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0348】
上述の説明においては、様々な実施形態の数多くの特徴が、様々な実施形態の構造及び機能の詳細とともに記載されたが、この詳細な説明は例示にすぎず、細部においては、特に、様々な実施形態によって示されている部分の構造及び配置の事項においては、添付の請求項が表現されている用語の広い一般的な意味によって指示される最大限の範囲まで変更を行うことができることを理解されたい。