IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ストライカー コーポレイションの特許一覧 ▶ ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-血管内デバイス 図1
  • 特開-血管内デバイス 図2
  • 特開-血管内デバイス 図3-1
  • 特開-血管内デバイス 図3-2
  • 特開-血管内デバイス 図4
  • 特開-血管内デバイス 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116140
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】血管内デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240820BHJP
   A61F 2/01 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A61B17/12
A61F2/01
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079155
(22)【出願日】2024-05-15
(62)【分割の表示】P 2022513912の分割
【原出願日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】16/567,845
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/872,124
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハンクン
(72)【発明者】
【氏名】リー,アンドリュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバーディング,ブレント
(57)【要約】      (修正有)
【課題】埋め込み型医療デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも10重量%のタングステンの割合を有する白金-タングステン合金を含む材料から作られた細長い部材を含み、代替的には、埋め込み型医療デバイスは、レニウムを含有する合金を含む材料から作られた細長い部材を含む。
【選択図】図3-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型医療デバイスであって、
細長い部材を含み、この細長い部材が、少なくとも10重量%のタングステンの割合を有する白金-タングステン合金を含む材料から作られていることを特徴とする埋め込み型医療デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、0.0001インチ~0.0015インチの範囲にある断面寸法を有することを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.0001インチ~0.0008インチの範囲内にあることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項2に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.0013インチ未満であることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.001インチ未満であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.00085インチ未満であることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
当該デバイスが、長手方向軸を有し、この長手方向軸の方向に測定した長さが、少なくとも1.2インチであり、
当該デバイスが、0.03インチ以下の内側ルーメン直径を有するチューブの内側ルーメン内に長さ方向に挿入可能であり、
当該デバイスが、座屈、キンクまたは塑性変形を受けることなく、前記ルーメンを介して前記埋め込み型医療デバイスを押し込むことを可能にするのに十分なカラム強度を有することを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスにおいて、
前記長手方向軸の方向に測定した当該デバイスの長さが、少なくとも0.4インチであることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項7または8に記載のデバイスにおいて、
当該デバイスが、0.02インチ以下の内側ルーメン直径を有するチューブの内側ルーメン内に長さ方向に挿入可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、8重量%以下のタングステンの割合を有する代替の白金-タングステン合金からなる同一寸法の代替の細長い部材よりも、大きな極限引張強度、大きなヤング率および小さな磁化率をそれぞれ有することを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記材料が、30Msi以上のヤング率を有することを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、350ksi以上の極限引張強度(UTS)を有することを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、編組の一部を形成していることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記材料が、Ta、Ir、Re、Rh、Ru、Mo、Zr、HfおよびAuのうちの1または複数をさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項15】
埋め込み型医療デバイスであって、
レニウムを含有する合金を含む材料から作られた細長い部材を含むことを特徴とする埋め込み型医療デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、0.0001インチ~0.0015インチの範囲にある断面寸法を有することを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項15または16に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.0001インチ~0.0008インチの範囲内にあることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項16に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.0013インチ未満であることを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.001インチ未満であることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が、0.00085インチ未満であることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項15乃至20の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記合金が、モリブデン-レニウム合金を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項22】
請求項15乃至20の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記合金が、タングステン-レニウム合金を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項23】
請求項15乃至22の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
当該デバイスが、長手方向軸を有し、この長手方向軸の方向に測定した長さが、少なくとも0.4インチであり、
当該埋め込み型医療デバイスが、0.03インチ以下の内側ルーメン直径を有するチューブの内側ルーメン内に長さ方向に挿入可能であり、
当該デバイスが、座屈、キンクまたは塑性変形を受けることなく、前記ルーメンを介して前記埋め込み型医療デバイスを押し込むことを可能にするのに十分なカラム強度を有することを特徴とするデバイス。
【請求項24】
請求項23に記載のデバイスにおいて、
前記長手方向軸の方向に測定した当該デバイスの長さが、少なくとも1.2インチであることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
請求項23または24に記載のデバイスにおいて、
当該デバイスが、0.02インチ以下の内側ルーメン直径を有するチューブの内側ルーメン内に長さ方向に挿入可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項26】
請求項15乃至25の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、レニウムを含まない8重量%以下のタングステンの割合を有する代替の合金からなる同一寸法の代替の細長い部材よりも、大きな極限引張強度、大きなヤング率および小さな磁化率をそれぞれ有することを特徴とするデバイス。
【請求項27】
請求項15乃至26の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、30Msi以上のヤング率を有することを特徴とするデバイス。
【請求項28】
請求項15乃至27の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、350ksi以上の極限引張強度(UTS)を有することを特徴とするデバイス。
【請求項29】
請求項15乃至28の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、編組の一部を形成していることを特徴とするデバイス。
【請求項30】
請求項15乃至29の何れか一項に記載のデバイスにおいて、
前記材料が、Ta、Ir、Rh、Ru、Mo、Zr、HfおよびAuのうちの1または複数をさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項31】
埋め込み型医療デバイスであって、
0.00085インチ未満の断面寸法を有する細長い部材を含み、
当該デバイスが、長手方向軸を有し、この長手方向軸の方向に測定した長さが、少なくとも1.2インチであり、
当該デバイスが、ルーメンを有するチューブ内に長さ方向に挿入可能であり、前記ルーメンの少なくとも一部が、0.02インチ以下の直径を有し、
当該デバイスが、座屈、キンクまたは塑性変形を受けることなく、前記ルーメンを介して当該デバイスを押し込むことを可能にするのに十分なカラム強度を有することを特徴とする埋め込み型医療デバイス。
【請求項32】
請求項31に記載のデバイスにおいて、
前記細長い部材が、
モリブデン-レニウム合金
タングステン-レニウム合金、および
タングステンの割合が少なくとも10重量%である白金-タングステン合金
のうちの少なくとも1または複数を含む材料から作られていることを特徴とするデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医療デバイスに関する。より詳細には、本開示は、血管内インプラントのような医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内医療デバイスの使用は、多くの種類の血管疾患を治療するための有効な方法となっている。ステント、フィルタ、血栓塞栓捕捉デバイス、フローダイバータ、血管閉塞デバイスなどの血管内医療デバイスは、本明細書では、まとめて「医療デバイス」と称するが、多くの場合、ポリマー(例えば、非生分解性プラスチックおよび生分解性プラスチック)および/または金属などの種々の生体適合材料で構成されている。これらの医療デバイスの一部は、編組またはメッシュパターンに編まれた1または複数の細長い部材(例えば、ワイヤ、引き抜き充填管(drawn-filled tubes)、糸、フィラメントなど)によって形成されている。このような編組デバイスは、動脈瘤などの様々なタイプの血管欠損を治療するために利用することができ、多種多様なそれぞれの送達および展開されるサイズおよび形状、特に、デバイスが標的血管系部位に配置されたときの二次的形状で提供することができる。編組デバイスのいくつかの例示的な二次的形状には、血管欠損の治療に適した、球形、卵形、扁平なリボン、螺旋状編組リボンまたはそれらの組合せが含まれる。一般に、適切な血管内埋め込み型デバイスは、患者の血管系に挿入され、既知の送達システムおよび方法を使用して、血管系を通って標的移植部位までナビゲートされる。
【0003】
医療デバイスは、形状記憶金属(例えば、形状記憶ニチノール)およびポリマー(例えば、ポリウレタン)のような形状記憶または超弾性材料から作製することができる。このような形状記憶塞栓デバイスは、治療部位への送達後に所定の形状(例えば、半径方向に拡張した形状)をとるように、(例えば、温度、電場、磁場または光によって)誘導され得る。超弾性材料、例えば超弾性ニチノールは、誘導刺激を必要とせずに、送達後に所定の形状をとる。薬物送達医療デバイスは、生物活性剤または治療剤(例えば、血栓誘発剤)を運ぶことができ、かつ/またはデバイスの表面をコーティングすることができる。
【0004】
医療デバイスの様々な物理的属性は、デバイスの成功率に直接寄与し得る。それらの物理的属性には、デバイスを形成するために使用される材料の放射線不透過性、フープ強度、半径方向力、カラム強度(column strength)、可撓性および寸法などが含まれる。一般に、ステントを形成するために、コバルト-クロム(Co-Cr)およびステンレス鋼が使用される。これらの材料は、安全性、有効性および生体適合性において既知の歴史を有するため、一般的に使用されている。しかしながら、これらの材料は、サイズ、強度、重量、曲げ性、生体安定性および放射線不透過性などの物理的パフォーマンス特性が制限されている。
【0005】
他の一般的に使用される材料には、白金、白金とタングステンの金属合金、およびエルジロイが含まれる。白金-タングステン合金(Pt-W)からなる既知の医療デバイスは、米国特許第6322576号、第6458119号、第7842054号、第9198670号、第9597155号、および米国公開第20070162108号に(一例として)説明および記載されている。しかしながら、これらの開示は、金属合金中の白金およびタングステンの特定の割合に関して示していないか、あるいは、白金(92%)およびタングステン(8%)を有する合金の好ましい又は望ましい組合せ(すなわち、Pt-8%wtW)を明示的に開示している。
【0006】
より高い弾性率と機械的強度のために、血流ダイバージョンステントを含むいくつかの最近の埋め込み型デバイスは、適切な半径方向の力を有するように設計されたコバルト-クロム(Co-Cr)合金から作られている。しかしながら、Co-Crデバイスは、磁気共鳴画像(MRI)の磁化率が非常に高いなどの望ましくない特性を有し、その結果、MR画像のアーチファクトが生じる。また、放射線不透過性も悪い。既知の白金-タングステン(Pt-W)合金においては、機械的強度、取り扱い性および製造性を高めるために、最大8%のタングステン(W)が白金(Pt)に合金化されている。白金(Pt)マトリックスにタングステン(W)を追加すると、一般にその脆性が増し、Pt-W合金の性能が低下すると考えられているため、8%を超えるタングステン(W)の合金化は一般に検討されていない。一般に使用されるPt-8%wtW合金は、MRIの磁化率が比較的低く、Co-Crよりも高い放射線不透過性を有するが、Pt-8%wtW合金は、合金の弾性率が低く、径方向拡張力が望ましくないほど低いため、そのようなフローダイバージョン(flow diversion)ステントには適さないことが分かっている。特に、8%タングステン(W)は、機械的強度、取り扱い性および製造性を高めるために白金(Pt)合金に添加されるものである。しかしながら、8%を超えるタングステン(W)を添加すると、Pt-W合金の脆性が増加することが予想されているため、これまでは検討されていない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載の実施形態は、合金中のタングステンの割合が約10重量%以上、例えば、約10重量%~約25重量%の範囲、より好ましくは約10重量%~約20重量%である白金-タングステン合金から少なくとも部分的に作られた(すなわち、構成された)塞栓デバイスおよび血流フィルタなどの埋め込み型医療デバイスを対象としている。
【0008】
様々な実施形態では、埋め込み型デバイスが、切断されたチューブ、コイル状のワイヤ、または編組構成で織られた複数のワイヤの形態など、白金-タングステン合金からなる1または複数の細長い部材から作られる。細長い部材は、白金-タングステン合金からなる少なくとも1の層を有する複合ワイヤを含むことができるが、これに限定されるものではない。他の実施形態では、細長い部材が、レニウムを含む合金から作られた少なくとも1の層を有する複合ワイヤを含むことができる。
【0009】
埋め込み型医療デバイスを製造する技術分野では、8%を超えるタングステンの割合を有する白金-タングステン合金は製造不可能であると従来は信じられてきたが、本発明者等は、実験を通じて、少なくとも10重量%のタングステンの割合を有する白金-タングステン合金は製造可能であるだけでなく、予想外にいくつかの有利な特性を有することを発見した。一例として、そのような予期せぬ有利な特性には、約8重量%のタングステンの割合を有する白金-タングステン合金からなる同一寸法の代替材料よりも、実質的に大きな極限引張強度、実質的に大きなヤング率、および実質的に低い磁化率を有することが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示の材料を利用して、埋め込み型医療デバイスの1または複数の細長い部材は、例えば、0.0001インチ~0.0015インチの範囲、0.0008インチ~0.0013インチの範囲、0.0001インチ~0.0008インチの範囲、または0.0003インチ~0.00075インチの範囲など、0.0015インチ未満の断面寸法のような非常に小さい断面を持つように作製することができる。いくつかの実施形態では、細長い部材の断面寸法が、0.0013インチ未満、0.001インチ未満、またはさらには0.0085インチ未満である。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、埋め込み型医療デバイスは、0.00085インチ未満の断面寸法を有する細長い部材を含み、細長い部材は、少なくとも10重量%のタングステンの割合を有する白金-タングステン合金を含む材料から作製される。
【0012】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、長手方向軸を有し、この長手方向軸の方向に測定した長さが、少なくとも1.2インチであるか、または少なくとも0.4インチと同程度であり、埋め込み型医療デバイスが、ルーメンを有するチューブ内に長さ方向に挿入可能であり、ルーメンの少なくとも一部が、0.03インチ以下または0.02インチ以下の直径を有し、埋め込み型医療デバイスが、座屈、キンクまたは塑性変形を受けることなく、ルーメンを介して埋め込み型医療デバイスを押し込むことを可能にするのに十分なカラム強度を有する。
【0013】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、カテーテル内への挿入前の弛緩した構成にあるときの第1の曲率半径R1と、埋め込み型医療デバイスがカテーテル内に挿入されてカテーテルから送り出された後の第2の曲率半径R2とを有し、R2が、R1の5倍未満である。
【0014】
任意選択的には、細長い部材が、8重量%のタングステンの割合を有する代替の白金-タングステン合金から成る同一寸法の代替の細長い部材よりも、大きな極限引張強度、大きなヤング率および小さな磁化率をそれぞれ有する。
【0015】
任意選択的には、細長い部材の断面寸法が、0.0001インチ~0.0008インチの間の何れかである。
【0016】
任意選択的には、細長い部材の断面寸法が、0.0003インチ~0.00075インチの間の何れかである。
【0017】
任意選択的には、材料が、30Msi以上のヤング率を有する。
【0018】
任意選択的には、材料が、350ksi以上の極限引張強度(UTS)を有する。
【0019】
任意選択的には、細長い部材が、編組の一部を形成する。
【0020】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、編組の第1の端部に第1のコイルセグメントをさらに含む。
【0021】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、編組の第2の端部に第2のコイルセグメントをさらに含む。
【0022】
任意選択的には、第1のコイルセグメントが、0.0001インチ~0.002インチの間の何れかの断面寸法を有するコイルワイヤから作られ、第1のコイルセグメントが、0.003インチ~0.030インチの間の何れかの一次巻径を有する。
【0023】
任意選択的には、編組が、8~96本の間の何れか、16~32本の間の何れか、24~144本の間の何れか、または24~72本の間の何れかのワイヤ数を有する。
【0024】
任意選択的には、編組が、扁平な編組を含む。
【0025】
任意選択的には、材料が、Ta、Ir、Re、Rh、Ru、Mo、Zr、Hf、Au、またはそれらの任意の組合せも含む。
【0026】
任意選択的には、細長い部材が、引き抜き充填管である。
【0027】
任意選択的には、カテーテルの少なくとも一部の最大ルーメン幅が、0.014インチ未満である。
【0028】
他の実施形態によれば、埋め込み型医療デバイスが、レニウムを含有する合金を含む材料から作られた細長い部材を含む。
【0029】
任意選択的には、細長い部材が、0.001インチ未満、より好ましくは0.0085インチ未満の断面寸法を有する。
【0030】
任意選択的には、細長い部材が、0.0001インチ~0.0008インチの間の何れかの断面寸法を有する。
【0031】
任意選択的には、細長い部材が、0.0003インチ~0.00075インチの間の何れかの断面寸法を有する。
【0032】
任意選択的には、合金が、モリブデン-レニウム合金を含む。
【0033】
任意選択的には、合金が、タングステン-レニウム合金を含む。
【0034】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、長手方向軸を有し、この長手方向軸の方向に測定した長さが、少なくとも1.2インチであり、埋め込み型医療デバイスが、ルーメンを有するチューブ内に長さ方向に挿入可能であり、ルーメンの少なくとも一部が、0.02インチ以下の直径を有し、埋め込み型医療デバイスが、座屈、キンクまたは塑性変形を受けることなく、ルーメンを介して埋め込み型医療デバイスを押し込むことを可能にするのに十分なカラム強度を有する。
【0035】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、カテーテル内への挿入前の弛緩した構成にあるときの第1の曲率半径R1と、埋め込み型医療デバイスがカテーテル内に挿入されてカテーテルから送り出された後の第2の曲率半径R2とを有し、R2が、R1の5倍未満である。
【0036】
任意選択的には、細長い部材が、8重量%であるタングステンの割合を有する代替の白金-タングステン合金からなる同一寸法の代替の細長い部材よりも、大きな極限引張強度、大きなヤング率および小さな磁化率をそれぞれ有する。
【0037】
任意選択的には、材料が、30Msi以上のヤング率を有する。
【0038】
任意選択的には、材料が、350ksi以上の極限引張強度(UTS)を有する。
【0039】
任意選択的には、細長い部材が、編組の一部を形成する。
【0040】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、編組の第1の端部に第1のコイルセグメントをさらに含む。
【0041】
任意選択的には、埋め込み型医療デバイスが、編組の第2の端部に第2のコイルセグメントをさらに含む。
【0042】
任意選択的には、第1のコイルセグメントが、0.0001インチ~0.002インチの間の何れかの断面寸法を有するコイルワイヤから作られ、第1のコイルセグメントが、0.003インチ~0.030インチの間の何れかの一次巻径を有する。
【0043】
任意選択的には、編組が、8~96本の間の何れか、16~32本の間の何れか、24~144本の間の何れか、または24~72本の間の何れかのワイヤ数を有する。
【0044】
任意選択的には、編組が、扁平な編組を含む。
【0045】
任意選択的には、材料が、Ta、Ir、Rh、Ru、Mo、Zr、Hf、Au、またはそれらの任意の組合せも含む。
【0046】
任意選択的には、細長い部材が、引き抜き充填管である。
【0047】
キットが、埋め込み型医療デバイスとカテーテルとを含む。
【0048】
任意選択的には、カテーテルの少なくとも一部の最大ルーメン幅が、0.014インチ未満である。
【0049】
他の実施形態によれば、埋め込み型医療デバイスは、0.00085インチ未満の断面寸法を有する細長い部材を含み、埋め込み型医療デバイスが、長手方向軸を有し、この長手方向軸の方向に測定された長さが少なくとも1.2インチであり、埋め込み型医療デバイスが、ルーメンを有するチューブに長さ方向に挿入可能であり、ルーメンの少なくとも一部が、0.02インチ以下の直径を有し、埋め込み型医療デバイスが、座屈、キンクまたは塑性変形を受けることなく、ルーメンを介して埋め込み型医療デバイスを押し込むことを可能にするのに十分なカラム強度を有する。
【0050】
実施形態の他のおよび更なる態様および特徴は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1A図1Cは、いくつかの実施形態に従って構築された編組ステント/フローダイバータの斜視図、詳細図および断面図である。
図2図2Aおよび図2Bは、いくつかの実施形態に従って構築された塞栓コイルの断面図および斜視図である。
図3図3A図3Fは、いくつかの実施形態に従って構築された血管内デバイスの斜視図である。
図4図4は、いくつかの実施形態に係る埋め込み型医療デバイスの一例を示している。
図5図5は、埋め込み型医療デバイスの別の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の定義された用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0053】
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されるものとする。「約」という用語は、一般に、当業者が言及された値と同等とみなす(すなわち、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指している。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数字を含み得る。
【0054】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0055】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。
【0056】
以下、開示の発明の様々な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、選択された要素の相対的な縮尺は明確にするために誇張されている場合があり、同様の構造または機能の要素は図面全体を通して同様の符号で表されている。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図しており、開示の発明の網羅的な説明とすること、あるいは開示の発明の範囲の限定とすることを意図したものではなく、開示の発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物によってのみ規定されることを理解されたい。
【0057】
さらに、開示の発明のそれぞれの例示された実施形態は、記載された特徴のすべてを有する必要はなく、特定の実施形態と関連して記載された特徴、態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、たとえそのように示されていない場合であっても、他の実施形態で実施することが可能である。
【0058】
金属合金
本明細書に記載の様々な実施形態では、合金の10%以上のタングステン(W)の割合(すなわち、以下、質量%または重量%)を有する白金およびタングステン(Pt-W)を含む金属合金が、医療デバイスの製造に使用される。いくつかの実施形態では、タングステン(W)の割合が、合金の10%~25%の範囲、より好ましくは10%~20%の範囲である。それらの実施形態では、合金の残りの割合は、大部分が白金(Pt)からなり、例えば、タングステン(W)の割合が10%以上である場合、白金(Pt)の割合は合金の90%以下であり、タングステン(W)の割合が20%以上である場合、白金(Pt)の割合は合金の80%以下である。
【0059】
本明細書に記載の1または複数の実施形態では、タングステン(W)の割合が、医療デバイスを形成するために使用される白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上である。医療デバイスを形成する白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有することにより、白金-タングステン(Pt-W)合金中に8%以下のタングステン(W)を有する既知の医療デバイスと比較して、改善された特性が提供される。
【0060】
上述したように、従来の常識によれば、埋め込み型医療デバイスを構築するために使用される白金-タングステン合金中のタングステンの割合を増加させることは勧められないが、本発明者等は、Pt-W状態図を検討および研究した際に、それにもかかわらず、Pt-高W含有合金は有用であると考えた。本発明者等は、理論的分析から、得られる合金の機械的強度が向上する可能性があると予想した。しかしながら、Pt-16%W合金を用いた実験では、機械的特性の向上、(血流ダイバータデバイスに重要な)放射線不透過性の増加、そして最も驚くべきことに、(殆ど変化がないと予想されていた)磁化率の大幅な低下という、非常に優れた予期せぬ結果が示された。
【0061】
開示の白金-タングステン(Pt-W)合金のそれらの予期せぬ特性は、例えば、カラム強度、半径方向強度、フープ強度、引張強度、引張伸び、応力-歪み特性、半径方向力、放射線不透過性、可撓性、曲げ性、熱感受性、生体適合性などの例示的な特性のうちの1または複数を含む。特に、タングステン(W)の割合が白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上である医療デバイスでは、デバイスの放射線不透過性、半径方向強度、硬度、降伏強度および/または極限引張強度が増加し、かつ/または、デバイスの応力-歪み特性、圧縮および/または膨張特性、曲げ性および/または可撓性、デバイスの全体的な強度および/または耐久性、長手方向の伸長特性、反跳特性、摩擦係数、熱感受性特性、生体安定性および/または生体適合性特性がさらに改善され、かつ/またはより小さく、薄くかつ/または軽量の医療デバイスの製造を可能にすることができる。例えば、白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有する医療デバイスは、30Ksi以上のヤング率を有するように構成される。追加的または代替的には、白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有する医療デバイスは、10ppm~300ppmの範囲の磁化率を有するように構成され、それにより、MRイメージング中のアーチファクトを減少させることができる。
【0062】
例えば、コバルト-クロム(Co-Cr)合金からなる現在のフローダイバージョンステントは、MRIの磁化率(すなわち、MRアーティファクト)が非常に高く、放射線不透過性が低い。このため、Co-Crからなる留置したフローダイバージョンステントに適していないMRフォローアップイメージングがもたらされる。場合によっては、Co-Crからなるフローダイバージョンステントの放射線不透過性を改善するために、Co-CrワイヤにPt-8%W合金ワイヤがブレンドされる。しかしながら、白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有するフローダイバージョンステントは、例えばCo-Cr合金と比較して、高弾性率による適切な優れた放射線不透過性と半径方向力とを実現することが可能である。さらに、白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有するフローダイバージョンステントは、MRアーチファクトに対する磁化率が非常に低く、留置したフローダイバージョンステントのMRフォローアップイメージングを可能にする。
【0063】
白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有する医療デバイスのこれらの1または複数の改善された特性は、デバイスの体積および/または重量を増加させることなく、達成することができる。さらに、これらの改善された特性は、ステンレス鋼、コバルト-クロム(Co-Cr)、またはタングステン(W)が8%以下の白金-タングステン(Pt-W)合金などの既知の材料から少なくとも部分的に形成されたデバイスと比較して、医療デバイスの体積および/または重量が減少する場合に得られると考えられる。
【0064】
さらに、タングステン(W)の割合が白金-タングステン(Pt-W)合金の10%以上である限り、合金中の白金(Pt)の割合は、他の材料が存在し得るように、90%~80%の範囲より小さくてもよいことを理解されたい。それらの実施形態では、白金-タングステン(Pt-W)合金が、より小さい割合(例えば、5%以下)の他の元素を含むことができる。例えば、放射線不透過性のレベルを下げるためにチタン(Ti)、または望ましいレベルの磁化率を得るためにジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)および/または金(Au)、または望ましいレベルの機械的特性を得るためにタンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)および/またはモリブデン(Mo)、これらの元素の任意の組合せまたは他の任意の適切な元素を含むことができる。
【0065】
さらに、合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金を用いて構成された医療デバイスは、デバイスを製造するために必要な製造プロセスに耐えられるように、デバイスに望ましい特性を付与する1または複数の材料を含むことができる。これらの製造プロセスには、例えば、レーザーカット、エッチング、圧着、アニール、延伸、ピルガ圧延、電気めっき、電気研磨、化学研磨、洗浄、酸洗い、イオンビーム蒸着または注入、スパッタコーティング、真空蒸着などが含まれる。
【0066】
非限定的な例として、開示の白金-タングステン(Pt-W)合金は、医療デバイスの少なくとも95%である。さらに、10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金は、ステント(例えば、スロット付きチューブステントおよび/または編組ステントまたは織られたステント)、フィルタ、血栓捕捉デバイス、フローダイバータ、血管閉塞デバイス、嚢内動脈瘤インプラント、血管送達アセンブリ、カテーテル、補強部材、ガイドワイヤ、送達ワイヤ、放射線不透過性マーカーなどのようなデバイスを形成するために使用することができる。
【0067】
非限定的な例として、合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金は、医療デバイスを少なくとも部分的に形成するように構成され得る。例えば、合金は、医療デバイスの大部分の重量パーセントを形成する場合があるが、それは必須ではない場合もある。
【0068】
例として、図1A図3Fの実施形態は、合金の10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金を用いて構築された埋め込み型医療デバイスを示している。
【0069】
図1A図1Cは、いくつかの実施形態に従って構築された管状編組ステントおよび/またはフローダイバータ10の形態の例示的な編組塞栓デバイスを示している。図1Aは、近位部分12と、遠位部分14と、それらの間に延びるルーメン16とを有する、半径方向に拡張された送達構成にある編組ステント10を示している。編組ステント10は、一緒に編まれる複数の細長い部材20(例えば、ワイヤ、引き抜き充填管、糸、フィラメントなど)から形成されている。図1Bは、編組ステント10の壁18のセクションの2次元平面図であり、細長い編組部材20が、既知の編組塞栓デバイスに用いられる一般的な織りパターンである標準的な繰り返し「ワンオーバー、ワンアンダー」パターン50(図1Aの詳細)で織られていることを示している。細長い部材20の1または複数は、10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金で構成されている。図1Aおよび図1Bの細長い部材20は、ほぼ矩形の断面(図1C)を有するリボン状の構成を含むことができる。図1Cにさらに示すように、リボン状の細長い部材20は、0.004インチ(0.102mm)の幅(W1)および0.002インチ(0.051mm)の高さ(H1)を有する。いくつかの実施形態では、リボン状の細長い部材20が、0.005インチ(0.127mm)の最大幅および0.0008インチ(0.0203mm)の最小高さ(厚さ)を有する。他の実施形態では、リボン状の細長い部材20が、0.002インチ(0.051mm)の最大幅および0.0001インチ(0.00254mm)の最小高さを有することができる。様々な実施形態では、リボン状の細長い部材20が、0.0001インチ~0.0015インチの範囲、例えば、0.0013インチ未満、0.001インチ未満、またはさらに0.00085インチ未満の断面寸法(幅または厚み)を有することができる。細長い部材20がほぼ円形の断面を有する更なる実施形態では(図示せず)、細長い部材20の円形の断面の直径が、0.0008インチ(0.0203mm)~0.004インチ(0.102mm)の範囲、好ましくは、0.001インチ(0.025mm)~0.002インチ(0.051mm)の範囲にある。他の実施形態では、細長い部材20の円形断面の直径が、0.00085インチ未満、好ましくは0.0001インチ~0.0008インチ、より好ましくは0.0003インチ~0.00075インチであってよい。細長い部材20は、他の断面形状を含むことができることを理解されたい。例えば、他の実施形態では、細長い部材20が、0.0001インチ(0.00254mm)~0.0015インチ(0.0381mm)の間の何れか、好ましくは0.0005インチ(0.0127mm)~0.001インチ(0.0254mm)の間の何れかの直径を有する編組ワイヤであってよい。
【0070】
図1Aおよび図1Bの実施形態では、ステント10の編組パターン50または編組の仕様が、24~144本の細長い部材20を含み、好ましくは48~120本の細長い部材20、または24~72本の細長い部材20を含む。さらに、編組ステント10の半径方向に拡張された送達構成は、30~200、好ましくは50~150のPPIを有する。
【0071】
細長い部材20の1または複数を形成する10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金に戻ると、以下の特性を有するステント10が提供される。a)ステント10は、より高い材料弾性率および強度により、より高い半径方向力を達成する。b)ステント10は、より小さい細長い部材20により、より多いワイヤ数で製造されるように構成され、それによりより優れたフローダイバージョン効果を達成する。c)ステント10は、低い磁化率により、フォローアップイメージング手順のためにMR画像アーチファクトを減少させるように構成されて、ステント10をMRイメージングにより適したものにするか、かつ/またはステント10は、完全な放射線不透過性、および前述した他の利点を有するように構成される。さらに、ステント10の放射線不透過性が用途に対して高すぎる場合、開示の白金-タングステン(Pt-W)合金からなる細長い部材20と放射線不透過性の低い別の材料または合金の組合せを用いてデバイスを製造することができ、または、外層としての開示の白金-タングステン(Pt-W)合金と、コアとしての放射線不透過性の低い別の合金からなる複合ワイヤを用いてデバイスを製造することができる。細長い部材20の1または複数を形成する10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金からなるステント10の上記開示の特性は、コバルト-クロム(Co-Cr)合金からなるステントまたは他の利用可能な材料からなるステントと比較される。
【0072】
他の実施形態では、編組ステント10を、レニウムを含む合金から作ることができる。例えば、編組ステント10は、モリブデン-レニウム(Mo-Re)合金またはタングステン-レニウム(W-Re)合金を含む材料から作製することができる。また、いくつかの実施形態では、材料を、材料の機械的特性を高めるために、Ta、Ir、Rh、Ru、またはそれらの任意の組合せとさらに合金化することができる。更なる実施形態では、材料を、磁化率を低減するために、Zr、Hf、Au、またはそれらの任意の組合せと、さらに合金化することができる。
【0073】
図2Aおよび図2Bは、いくつかの実施形態に従って構築された塞栓コイル100の形態の例示的な嚢内デバイスを示している。塞栓コイル100は、埋め込み型医療デバイスの別の例である。コイル100は、第1の端部104および第2の端部106を有する螺旋状に巻かれたワイヤ102から形成されている。コイル100は、第1の端部104と第2の端部106との両方に固定的に取り付けられた伸縮抵抗部材108を含む。代替的な実施形態では、伸張抵抗部材108が、2つの端部のうちの一方に取り付けられるようにしてもよく、あるいは2つの端部のどちらにも取り付けられなくてもよい。図2Aのコイル100は、「一次」巻線または形状で示され、図2Bのコイル100は、「二次」巻線または形状で示されている。図2Bのコイル100の二次形状は、重なり合わないループ120を有する実質的に球形の3次元形状を形成している。なお、コイル100の二次形状は、任意の他の適切な形状をとることができることを理解されたい。コイル100のワイヤ102は、単一のワイヤ、引き抜き充填管、スレッド、フィラメントなどで形成することができる。いくつかの実施形態では、図2Aおよび図2Bに示すように、ワイヤ102の直径(D1)が約0.0005インチ(0.0127mm)~約0.005インチ(0.127mm)の範囲であり、コイル100の一次巻径(D2)が約0.003インチ(0.0762mm)~約0.030インチ(0.762mm)の範囲であり、かつ/または二次巻径(D3)が約0.5mm~約50mmの範囲である。
【0074】
コイル100(図2Aおよび図2B)のワイヤ102は、10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金で構成されている。コイル100が開示の白金-タングステン(Pt-W)合金で構成される場合、(例えば、8%のタングステンを有する白金(Pt-8W)で構成されるコイルと比較して)コイル100は、以下の特性を含む。a)高いカラム強度をもたらす高い弾性率により、コイル100は、対応する大きなワイヤ102なしで、より長い長さを支持するように構成される。b)高い降伏強度により、コイル100は、より有効なフレーミングデバイスとなるように構成される。c)合金の安定性により、コイルは、小さな動脈瘤を治療するコイル(例えば、より高い強度とより高い弾性率の組合せにより2mm未満)に対してより良好な形状保持および送達性を達成するように構成される。
【0075】
上述したように、ワイヤの10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金からなるコイル100は、Pt-8%W合金からなる現在のコイルと比較して、磁化率が低いことにより、低いMRアーチファクトを有する。
【0076】
他の実施形態では、コイル100を、レニウムを含む合金から作製することができる。例えば、コイル100は、モリブデン-レニウム(Mo-Re)合金またはタングステン-レニウム(W-Re)合金を含む材料から作製することができる。また、いくつかの実施形態では、材料の機械的特性を高めるために、材料を、Ta、Ir、Rh、Ruまたはこれらの任意の組合せとさらに合金化するようにしてもよい。更なる実施形態では、磁化率を低下させるために、材料を、Zr、Hf、Auまたはこれらの任意の組合せとさらに合金化するようにしてもよい。
【0077】
図3A図3Fは、いくつかの実施形態に従って構築された、非外傷性端部材270を有する例示的な編組血管内デバイス200を示している。編組血管内デバイス200は、埋め込み型医療デバイスの別の例である。図3Aは、近位部分220と、遠位部分240と、それらの間に延びるルーメン260とを有する、半径方向に拡張した(すなわち、拘束されていない)構成にある編組血管内デバイス200を示している。編組血管内デバイス200は、互いに織られた(または「編まれた」)複数の細長い部材250(例えば、ワイヤ、引き抜き充填管、糸、フィラメントなど)から形成されている。編組血管内デバイス200は、図3Aに示すように、デバイス200の遠位部分240に非外傷性部材270(例えば、コイルなど)を含む。なお、別の非外傷性部材230を、デバイス200の近位部分220(図3Bに示す)に配置できることを理解されたい。個々の細長い部材250は、約0.0005インチ(0.0127mm)~約0.003インチ(0.0762mm)の範囲の断面直径を有する、ほぼ円形の断面(図3C)を有することができる。血管内デバイス200の直径(D4)は、約0.01インチ(0.25mm)~約0.2インチ(5mm)の範囲であってもよい。個々の細長い部材250は、例えば、角が丸められた矩形(図3D)、角が直角の矩形(図3E)、卵形(図3F)などのような他の適切な断面を有することができることを理解されたい。デバイス200は、角が丸められた扁平な矩形(図示せず)など、それらの拡張構成において異なる形状、すなわち非管状断面形状を有することができる。
【0078】
図3Aおよび図3Bの編組血管内デバイス200は、記載の寸法の例を有することに限定されるものではなく、編組血管内デバイス200は他の寸法を有することができることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、編組血管内デバイス200が、編組ワイヤから形成された編組構造を含むことができ、編組ワイヤの少なくとも1本が、0.0001インチ(0.00254mm)~0.001インチ(0.0254mm)の間の何れかの断面寸法を有することができる。他の実施形態では、編組ワイヤが、0.00085インチ(0.022mm)未満、好ましくは0.0001インチ(0.00254mm)~0.0008インチ(0.020mm)の間の何れか、より好ましくは0.0003インチ(0.0076mm)~0.00075インチ(0.019mm)の間の何れかの断面寸法を有することができる。代替的には、編組構造をリボンワイヤから形成することができ、リボンワイヤの少なくとも1本が、少なくとも0.0001インチ(0.00254mm)の厚さ、および最大0.002インチ(0.0508mm)の幅を有している。他の実施形態では、リボンワイヤが、0.00085インチ(0.022mm)未満、好ましくは0.0001インチ(0.00254mm)~0.0008インチ(0.020mm)の間の何れか、より好ましくは0.0003インチ(0.0076mm)~0.00075インチ(0.019mm)の間の何れかの断面寸法(幅または厚み)を有することができる。また、他の実施形態では、編組構造を、1または複数の撚りワイヤから形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、編組構造が、8~96本の間の何れか、16~32本の間の何れか、24~144本の間の何れか、または24~72本の間の何れかのワイヤ数を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、編組血管内デバイス200が送達カテーテルの外側で拘束されていないときに、編組構造が、20°~130°の間の何れかの角度、好ましくは20°~60°の間の何れかの角度である編組角度を有することができる。
【0079】
また、いくつかの実施形態では、編組血管内デバイス200の編組構造が、管状構成を有することができる。他の実施形態では、編組血管内デバイス200の編組構造が、非管状構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、編組構造が、扁平な編組であってもよい。扁平な編組は、幅Wおよび厚さT(幅に垂直な方向で測定)を有する断面を持つ任意の編組構造であってよく、W/Tの比が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20と同じか、それ以上である。また、いくつかの実施形態では、編組構造がリボン編組であってもよい。本明細書に記載の1または複数の実施形態では、編組が、0.020インチ(0.5mm)~0.197インチ(5mm)の間の何れかの幅、好ましくは0.030インチ(0.75mm)~0.079インチ(2.0mm)の間の何れかの幅、さらに好ましくは0.030インチ(0.75mm)~0.06インチ(1.5mm)の間の何れかの幅を有することができる。更なる実施形態では、編組が、0.039インチ(1mm)以上の幅を有することができる。例えば、一実施態様では、編組が、約1.25mm(例えば、1.25mm±0.1mm)の幅を有することができる。いくつかの実施態様では、編組が50mN/mm未満の編組剛性を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、編組を、同じサイズおよび/または同じ組成の複数の編組ワイヤから形成することができる。他の実施形態では、編組を、異なるサイズおよび/または異なる組成の複数の編組ワイヤから形成するようにしてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、編組がカテーテルの外側で非拘束であるとき、編組は第1の幅を有することができ、編組がカテーテルの内部にあるとき、弾性的に潰れて、かつ/または横方向(例えば、編組の長手方向軸に垂直な方向)に曲がって、第1の幅より小さい第2の幅を有することができる。例えば、編組は、カテーテルの内部にあるときに第2の幅を有するように弾性的に丸め込まれ又はクルクルと巻かれ、カテーテルの外部に展開されたときに、第1の幅を有する弛緩した構成に弾性的に飛び出す扁平な編組であってもよい。
【0081】
図3Bに示すように、編組血管内デバイス200の遠位部分240における非外傷性部材270は、コイルワイヤから作られた第1のコイルセグメントである。任意選択的には、編組血管内デバイス200は、近位部分220に別の非外傷性部材230を含むこともできる。非外傷性部材230は、図示の実施形態では、第2のコイルセグメントである。いくつかの実施形態では、(非外傷性部材230/270を形成する)コイルセグメントが、0.0001インチ(0.00254mm)~0.003インチ(0.075mm)の間の何れかの断面寸法を有するコイルワイヤを含むことができ、第1のコイルセグメントが0.003インチ(0.076mm)~0.030インチ(0.762mm)の間の何れかの一次巻径を有する。他の実施形態では、編組血管内デバイス200が、非外傷性部材230および/または非外傷性部材270を含まなくてもよい。非外傷性部材230/270を形成するコイルは、単純な形状または複雑な形状を有していてもよい。
【0082】
細長い部材250および/または非外傷性部材230/270のうちの1または複数は、10%以上の(例えば、10%~20%、10%~25%、または25%より大きい)タングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金で構成されている。細長い部材250および/または非外傷性部材230/270の1または複数が開示の白金-タングステン(Pt-W)合金で構成される場合、それらは以下の特性を含む。a)高いカラム強度をもたらす高い弾性率により、血管内デバイス200は細長い部材250および/または非外傷性部材230/270の間のより良好な遷移を含む。b)血管内デバイス200が、患者の標的部位に小さい内径カテーテルを介して送達するための小さいプロファイルを含むことができる。
【0083】
他の実施形態では、細長い部材250を、レニウムを含む合金から作製することができる。例えば、細長い部材250は、モリブデン-レニウム(Mo-Re)合金またはタングステン-レニウム(W-Re)合金を含む材料から作製することができる。また、いくつかの実施形態では、材料の機械的特性を高めるために、材料を、Ta、Ir、Rh、Ruまたはそれらの任意の組合せとさらに合金化することができる。更なる実施形態では、磁化率を低下させるために、材料を、Zr、Hf、Auまたはそれらの任意の組合せとさらに合金化することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、編組血管内デバイス200を、編組血管内デバイス200を収容するためのルーメンを有するカテーテルを介して、送達することができる。カテーテルのルーメンは、0.020インチ未満、0.018インチ未満、0.016インチ未満、または0.014インチ未満(例えば、0.013インチ以下)の内径を有することができる。他の実施形態では、カテーテルのルーメンが、0.04インチ、0.06インチ、0.08インチ、0.1インチ、0.2インチなど、0.020インチより大きい内径を有することができる。
【0085】
本明細書に記載の1または複数の実施形態では、細長い部材20/102/250を形成する材料が、30Msi以上、36Msi以上、または40Msi以上のヤング係数を有することができる。
【0086】
また、本明細書に記載の1または複数の実施形態では、細長い部材20/102/250を形成する材料が、350ksi以上、または400ksi以上、または470ksi以上、または500ksi以上、例えば500~700ksiの間の何れかの極限引張強度(UTS)を有することができる。
【0087】
いくつかの実施形態に従って、デバイスまたはその一部の10%以上のタングステン(W)の割合を有する開示の白金-タングステン(Pt-W)合金からなるデバイスに対して実験を行った。直径0.0011インチ(0.02794mm)の開示の白金-タングステン(Pt-W)合金(Pt-16%W)で作られたサンプルワイヤをテストして開示の合金の特性を確認するとともに、同じワイヤ直径0.0011インチを有する一般的に使用されているPt-8%Wと比較した。両ワイヤはともに約2%の伸びを示した。密度21.08g/cmの開示の白金-タングステン(Pt-W)合金(Pt-16%W)からなるサンプルワイヤは、470Ksiの極限引張強度(UTS)、36Msiのヤング率、23ppmの磁化率を有する。これに対し、一般的に使用されている密度21.26g/cmのPt-8%Wのワイヤは、200~250Ksiの極限引張強度(UTS)、26Msiのヤング率、69ppmの磁化率を有する。
【0088】
このため、約16重量%のタングステンを含む白金-タングステン合金からなるワイヤは、約8重量%のタングステンを含む白金-タングステン合金からなるほぼ同一寸法のワイヤに比べて、機械強度において約100%の改善、ヤング率の約40%の増加、磁化率の約65%の減少をそれぞれ示した。注目すべきことに、いくつかの実施形態では、約16重量%のタングステンを含む白金-タングステン合金から作られたテストしたワイヤと同じ属性を有するワイヤまたはフィラメントから、埋め込み型医療デバイスを形成することができる。
【0089】
細長い部材20/102/250がレニウムを含む合金から形成される他の実施形態では、同様の機械的特性を得ることができる。例えば、レニウム含有合金は、40Msi以上のヤング率を有することができる。レニウム含有合金は、400ksi以上のUTS、例えば500ksi~700ksiの間の何れかのUTSを有することができる。
【0090】
図4は、いくつかの実施形態に係る埋め込み型医療デバイス400の一例を示している。埋め込み型医療デバイス400は、複数の細長い部材410から作られた編組構造402を備える。細長い部材410の各々は、約16重量%(例えば、16%±2%)のタングステンの割合を有するPt-W合金から作られたワイヤである。また、細長い部材410の各々は、約0.00075インチ(例えば、0.00075インチ±0.0001インチ)の断面寸法を有している。細長い部材410の材料は、36Msiのヤング率と、470ksiの極限引張強度を有する。編組構造402は、約1.25mm(例えば、1.25mm±0.1mm)の幅を有するリボン編組である。
【0091】
埋め込み型医療デバイス400は、図5に示す別の埋め込み型医療デバイス500と比較して、許容可能な形状保持特性を有し、カテーテル(例えば、ルーメン径0.013インチのカテーテル)を使用してよりスムーズに送達することができる。図5の埋め込み型医療デバイス500は、細長い部材410と同様の寸法を有する細長い部材510から作られ、埋め込み型医療デバイス400と同じプロセスによって作製される。しかしながら、埋め込み型医療デバイス500の細長い部材510は、8重量%のタングステンの割合を有するPt-W合金から作られている。図4の埋め込み型医療デバイス400の形状保持性と比較して、埋め込み型医療デバイス500のループは(材料のヤング率が26Msiと低いため)、容易に展開されるか、容易に曲がらないか、または容易に塑性変形し、その結果、埋め込み型医療デバイス500は、望ましくない形状保持特性を有する。また、埋め込み型医療デバイス500のPt-8W材料は、Pt-16Wよりも機械的強度が低いため、小径のワイヤで構成された編組は、取り扱い時および/または加工時に容易に損傷を受け、かつ/または容易に破壊される。時には、埋め込み型医療デバイス500の編組を形成するワイヤは、材料のUTSが低い(250ksi)ことにより、断線することがある。
【0092】
上記実施形態に示すように、本明細書に記載の材料から作られた細長い部材を使用して埋め込み型医療デバイスを作製することは有利である。何故なら、材料のヤング率が高い(例えば、Pt-8Wと比較して高い)ことにより、軸方向(カラム)剛性および強度が高い埋め込み型医療デバイスを製造することができるからである。その結果、埋め込み型医療デバイスは、従来知られているデバイスと比較して、サイズ(例えば、断面寸法)をさらに小さくできる可能性がある。ある用途において、埋め込み型医療デバイスは、動脈瘤を閉塞するために小血管に送達されるように構成された血管閉塞デバイスであってよい。小血管は、患者の脳内の遠位の血管を含む、体内の任意の血管であってよい。また、本明細書に記載の材料の機械的強度が高いことにより、埋め込み型医療デバイスは、折れ曲がり、座屈およびキンクを生じることなく、小型カテーテルを用いて円滑に送達することができる。これは、医療デバイスのサイズを小さくしても同様である。さらに、材料のUTSが高いことにより、埋め込み型医療デバイスを形成する細長い部材は、取り扱い中および加工中に簡単に破損したり破断したりすることはない。さらに、材料のヤング率が高いことにより、より柔らかい曲げ剛性を達成するために、より小さな細長い部材を利用して埋め込み型医療デバイスを製造することができる。その結果、埋め込み型医療デバイスは、望ましい曲げ剛性を有し、より良好な形状保持特性を示すことができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の埋め込み型医療デバイスが、カテーテルを備えることができる。そのような場合、埋め込み型医療デバイスとカテーテルが一緒になってキットを形成する。カテーテルは、0.02インチ未満(例えば、0.014インチ未満)の断面寸法を有するルーメンを有することができる。いくつかの実施形態では、埋め込み型医療デバイスが、カテーテルのルーメンに収容される扁平な編組であってもよい。そのような場合、扁平な編組は、カテーテルに対して前進するのに十分なカラム強度を有することができる(例えば、扁平な編組は、前進しているときにカテーテルのルーメン内で座屈、キンク、折れ曲がりなどを生じないであろう)。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の埋め込み型医療デバイスが、0.4インチ(1cm)~19.7インチ(50cm)の何れかの長さ、好ましくは2インチ(5cm)~11.8インチ(30cm)の長さを有することができる。一実施形態では、長さが少なくとも0.4インチである。別の実施形態では、長さが少なくとも1.2インチである。また、1または複数の実施形態では、本明細書に記載の長さのいずれかを有する埋め込み型医療デバイス(例えば、編組)は、細長いルーメン内に長さ方向に挿入されたとき、座屈、キンクまたは塑性変形を生じることなく細長いルーメンを通って押し込まれる場合に十分なカラム強度を有すると見なされる。ここで、細長いルーメンは、0.03インチの最大ルーメン幅、より好ましくは0.2インチの最大幅、さらに好ましくは0.016インチの最大幅、さらに好ましくは0.014インチ(例えば、0.013インチ)の最大幅を有する。細長いルーメンは、カテーテルのルーメンであってもよいし、埋め込み型医療デバイスのカラム強度を試験するために使用するためのチューブのルーメンなど、任意の細長いルーメンであってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の埋め込み型医療デバイスは、特定の初期曲率半径R1を有する埋め込み型医療デバイスがカテーテル内に挿入され、埋め込み型医療デバイスがカテーテルから展開された後に曲率半径R2を有する場合、十分な形状保持特性を有すると見なされる。ここで、展開された埋め込み型医療デバイスの曲率半径R2は、R1の5倍未満、好ましくはR1の4倍未満、より好ましくはR1の3倍未満、さらに好ましくはR1の2倍未満(例えば、R1の1.5倍未満)である。
【0096】
本明細書で使用する場合、「編組」という用語は、複数の細長い部材によって形成される任意の構造を指し、細長い部材は、構造を形成するために織られていても、織られていなくてもよい。いくつかの実施形態では、編組が、間隔をあけた穴を有するオープンテクスチャを有するグリッドまたはメッシュ構成を有することができ、間隔をあけた穴が、ある均一なパターンを形成するようにしても、あるいはランダムなパターンを形成するようにしてもよい。他の実施形態では、編組が、他の構成を有してもよく、また、オープンテクスチャを有しても、有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、細長い部材を、細長い部材間の摩擦力などの機械的な力によって互いに結合することができる。非限定的な例では、細長い部材を結合して編組を形成する摩擦力を、細長い部材をねじること、細長い部材を織ること、細長い部材を重ね合わせること等によって作り出すことができる。他の実施形態では、細長い部材を、接着剤によって互いに結合することができる。
【0097】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特に明記しない限り、10%以内の値のばらつきを指している。例えば、重量で「約10%」以上であることは、総重量の少なくとも10%±1%である重量を指している。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
白金(Pt)およびタングステン(W)を含む合金から作られた細長い部材を含む編組を含み、
前記合金中のタングステン(W)の割合は10重量%以上であり、
前記合金はさらにハフニウム(Hf)を含み、前記合金中のハフニウム(Hf)の割合は5重量%以下であり、
前記編組は、前記編組がカテーテルの外側で拘束されていないときに第1の幅を有し、前記編組がカテーテルの内側にあるときに第2の幅を有しており、
前記第2の幅は第1の幅よりも小さいことを特徴とする医療デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金中のタングステン(W)の割合が20重量%未満であることを特徴とする医療デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金のヤング率は30Ksi以上であることを特徴とする医療デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金の磁化率は10ppmから300ppmの間であることを特徴とする医療デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金は、タングステンの割合が8重量%の白金-タングステン合金よりも、極限引張強度及びヤング率が大きく、磁化率が小さいことを特徴とする医療デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金の極限引張強度は、タングステンの割合が8重量%の白金-タングステン合金の極限引張強度よりも大きいことを特徴とする医療デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金のヤング率は、タングステンの割合が8重量%の白金?タングステン合金のヤング率よりも大きいことを特徴とする医療デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金の磁化率は、タングステンの割合が8重量%の白金-タングステン合金の磁化率よりも小さいことを特徴とする医療デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
さらに、カテーテルを備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の医療デバイスにおいて、
前記カテーテルのルーメンの最大ルーメン幅が0.02インチ未満であることを特徴とする医療デバイス。
【請求項11】
請求項9に記載の医療デバイスにおいて、
前記編組が前記カテーテル内にあるときに弾性的に丸め込まれ又はクルクルと巻かれることを特徴とする医療デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記細長い部材の最大幅が0.005インチであることを特徴とする医療デバイス
【請求項13】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記細長い部材の断面寸法が0.00085インチ未満であることを特徴とする医療デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、さらに、
前記編組の遠位部に連結されたコイルセグメントを備えることを特徴とする医療デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金の極限引張強度が350ksi以上であることを特徴とする医療デバイス。
【請求項16】
請求項1に記載の医療デバイスにおいて、さらに、
前記合金がジルコニウム(Zr)を含むことを特徴とする医療デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の医療デバイスにおいて、
前記合金中のハフニウム(Hf)の割合とジルコニウム(Zr)の割合との組み合わせが5重量%以下であることを特徴とする医療デバイス。
【外国語明細書】