(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116158
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20240820BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240820BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240820BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G02F1/1368
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
H01L29/78 618B
H01L29/78 619A
H01L29/78 612Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024082460
(22)【出願日】2024-05-21
(62)【分割の表示】P 2021207388の分割
【原出願日】2016-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2015056766
(32)【優先日】2015-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015067084
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】窪田 勇介
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画素の開口率を高めた液晶表示装置を提供する。また、表示画像のコントラストが高く、また表示画像が明るい液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1の画素電極と、第2の画素電極と、トランジスタと、容量素子と、第1の絶縁膜と、第2の絶縁膜と、第3の絶縁膜と、を有する液晶表示装置であって、トランジスタは、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、第1の酸化物半導体膜と、ソース電極及びドレイン電極と、を有し、容量素子の一対の電極の一方は、第2の酸化物半導体膜を含み、第1の絶縁膜は、第1の酸化物半導体膜上に設けられ、第2の絶縁膜は、第2の酸化物半導体膜が第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とによって挟持されるように、第2の酸化物半導体膜上に設けられ、第3の絶縁膜は第1の画素電極の端部の上に重ねて設けられ、第2の画素電極は、第3の絶縁膜上に設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素電極と、
第2の画素電極と、
前記第1の画素電極と電気的に接続されるトランジスタと、
前記トランジスタと電気的に接続される容量素子と、
第1の絶縁膜と、第2の絶縁膜と、第3の絶縁膜と、を有し、
前記トランジスタは、
ゲート電極と、
前記ゲート電極に接して設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜に接して設けられ、前記ゲート電極と重畳する位置に設けられた第1の酸化物半導体膜と、
前記第1の酸化物半導体膜に電気的に接続されるソース電極及びドレイン電極と、を有し、
前記容量素子の一対の電極の一方は、第2の酸化物半導体膜を含み、
前記第1の絶縁膜は、前記第1の酸化物半導体膜上に設けられ、
前記第2の絶縁膜は、前記第2の酸化物半導体膜が前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜とによって挟持されるように、前記第2の酸化物半導体膜上に設けられ、
前記第3の絶縁膜は前記第1の画素電極の端部の上に重ねて設けられ、
前記第2の画素電極は、前記第3の絶縁膜上に設けられる、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、液晶表示装置、または該液晶表示装置を用いた電子機器に関する。
特に、反射型の液晶表示装置に関する。または、本発明の一態様は、物、方法、又は製造
方法に関する。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は
組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。本発明の一態様は、半導体装置、表
示装置、電子機器、それらの作製方法、又はそれらの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や発光表示装置に代表されるフラットパネルディスプレイの多くに用いら
れているトランジスタは、ガラス基板上に形成されたアモルファスシリコン、単結晶シリ
コン又は多結晶シリコンなどのシリコン半導体によって構成されている。また、該シリコ
ン半導体を用いたトランジスタは、集積回路(IC)などにも利用されている。
【0003】
近年、シリコン半導体に代わって、半導体特性を示す金属酸化物をトランジスタに用い
る技術が注目されている。なお、本明細書中では、半導体特性を示す金属酸化物を酸化物
半導体とよぶことにする。例えば、酸化物半導体として、酸化亜鉛、またはIn-Ga-
Zn系酸化物を用いたトランジスタを作製し、該トランジスタを表示装置の画素のスイッ
チング素子などに用いる技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-123861号公報
【特許文献2】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、導電性を有する酸化物半導体膜を備えた液晶表示装置を提供するこ
とを課題の一とする。または、本発明の一態様は、画素の開口率を高めた液晶表示装置を
提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、表示画像のコントラストが
高く、また表示画像が明るい液晶表示装置を提供することを課題の一とする。または、本
発明の一態様は、新規な液晶表示装置などを提供することを課題の一とする。
【0006】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1の画素電極と、第2の画素電極と、第1の画素電極と電気的に
接続されるトランジスタと、トランジスタと電気的に接続される容量素子と、第1の絶縁
膜と、第2の絶縁膜と、第3の絶縁膜と、を有する液晶表示装置であって、トランジスタ
は、ゲート電極と、ゲート電極に接して設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜に接し
て設けられ、ゲート電極と重畳する位置に設けられた第1の酸化物半導体膜と、第1の酸
化物半導体膜に電気的に接続されるソース電極及びドレイン電極と、を有し、容量素子の
一対の電極の一方は、第2の酸化物半導体膜を含み、第1の絶縁膜は、第1の酸化物半導
体膜上に設けられ、第2の絶縁膜は、第2の酸化物半導体膜が第1の絶縁膜と第2の絶縁
膜とによって挟持されるように、第2の酸化物半導体膜上に設けられ、第3の絶縁膜は第
1の画素電極の端部の上に重ねて設けられ、第2の画素電極は、第3の絶縁膜上に設けら
れることを特徴とする、液晶表示装置である。
【0008】
また、第3の絶縁膜及び第2の画素電極は互いに端部が概ね一致するように重畳する、
上記の液晶表示装置も本発明の一態様である。
【0009】
また、第1の着色膜と、第2の着色膜と、を有し、第1の着色膜は、第1の画素電極上
に設けられ、第2の着色膜は、第2の画素電極上に設けられる、上記の液晶表示装置も本
発明の一態様である。
【0010】
また、本発明の一態様は、第1の画素電極と、第2の画素電極と、導電膜と、第1の画
素電極と電気的に接続されるトランジスタと、トランジスタと電気的に接続される容量素
子と、第1の絶縁膜と、第2の絶縁膜と、第3の絶縁膜と、を有する液晶表示装置であっ
て、トランジスタは、ゲート電極と、ゲート電極に接して設けられたゲート絶縁膜と、ゲ
ート絶縁膜に接して設けられ、ゲート電極と重畳する位置に設けられた第1の酸化物半導
体膜と、第1の酸化物半導体膜に電気的に接続されるソース電極及びドレイン電極と、を
有し、容量素子の一対の電極の一方は、第2の酸化物半導体膜を含み、第1の絶縁膜は、
第1の酸化物半導体膜上に設けられ、第2の絶縁膜は、第2の酸化物半導体膜が第1の絶
縁膜と第2の絶縁膜とによって挟持されるように、第2の酸化物半導体膜上に設けられ、
第3の絶縁膜は第2の画素電極及び導電膜と重畳する領域を有し、導電膜は、第1の画素
電極と電気的に接続されることを特徴とする、液晶表示装置である。
【0011】
また、第3の絶縁膜は、第1の画素電極及び第2の画素電極上に設けられ、導電膜は、
第3の絶縁膜上に設けられる、上記の液晶表示装置も本発明の一態様である。
【0012】
また、第1の画素電極及び第3の絶縁膜は、導電膜上に設けられ、第2の画素電極は、
第3の絶縁膜上に設けられる、上記の液晶表示装置も本発明の一態様である。
【0013】
また、導電膜は、第3の絶縁膜を介して第2の画素電極と重なる領域を有する、上記の
液晶表示装置も本発明の一態様である。
【0014】
また、容量素子の一対の電極の他方が第1の画素電極を含む、上記の液晶表示装置も本
発明の一態様である。
【0015】
また、トランジスタは、第1の絶縁膜と、第1の酸化物半導体膜と重畳する位置に設け
られた第2の酸化物半導体膜と、を有する、上記の液晶表示装置も本発明の一態様である
。
【0016】
また、上記の液晶表示装置において、第1の酸化物半導体膜及び第2の酸化物半導体膜
がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、Snま
たはHfを表す)であることが好ましい。
【0017】
また、上記の液晶表示装置において、第1の絶縁膜が酸素を含み、第2の絶縁膜が水素
を含むことが好ましい。
【0018】
また、上記の液晶表示装置と、スイッチ、スピーカ、表示部または筐体と、を有する電
子機器も、本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様により、導電性を有する酸化物半導体膜を備えた液晶表示装置を提供す
ることができる。または、本発明の一態様により、開口率を高めた液晶表示装置を提供す
ることができる。または、本発明の一態様により、表示画像のコントラストが高く、また
表示画像が明るい液晶表示装置を適用することができる。または、本発明の一態様により
、新規な液晶表示装置などを提供することができる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】液晶表示装置の一態様を示す上面図及び断面図。
【
図4】液晶表示装置の作製方法の一態様を示す断面図。
【
図5】液晶表示装置の作製方法の一態様を示す断面図。
【
図6】液晶表示装置の作製方法の一態様を示す断面図。
【
図7】液晶表示装置の作製方法の一態様を示す断面図。
【
図8】液晶表示装置の作製方法の一態様を示す断面図。
【
図9】液晶表示装置の一態様を示す上面図及び断面図。
【
図12】液晶表示装置の一態様を示す上面図及び断面図。
【
図13】液晶表示装置の一形態を示す上面図及び画素の一形態を示す回路図。
【
図26】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
【
図27】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
【
図28】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
【
図29】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
【
図30】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
【
図34】トランジスタの一例を示す上面図及び断面図。
【
図39】表示装置に配置される画素の構成を説明する上面図。
【
図41】表示装置の第1の表示部の断面の構成を説明する断面図。
【
図42】表示装置の第2の表示部の断面の構成を説明する断面図。
【
図44】表示装置の第1の表示部の断面の構成を説明する断面図。
【
図45】表示装置の第2の表示部の断面の構成を説明する断面図。
【
図48】実施例に係る、液晶表示装置の表示結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明の
一態様は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなくその
形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本
発明の一態様は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、以下に説明する実施の形態において、同一部分または同様の機能を有する部分には
、同一の符号または同一のハッチパターンを異なる図面間で共通して用い、その繰り返し
の説明は省略する。
【0023】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、又は領域は、明
瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない
。
【0024】
また、本明細書等において用いる第1、第2等の序数詞は、構成要素の混合を避けるた
めに付したものであり、数的に限定するものではない。そのため、例えば、「第1の」を
「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
【0025】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ
替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変
更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」
という用語に変更することが可能な場合がある。
【0026】
なお、本明細書等において「端部が概ね一致」とは、端部が完全には重なり合わず、上
層が下層の内側に位置することや、上層が下層の外側に位置することを含む。
【0027】
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が
十分に低い場合は、「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「
絶縁体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書
等に記載の「半導体」は、「絶縁体」に言い換えることが可能な場合がある。同様に、本
明細書等に記載の「絶縁体」は、「半導体」に言い換えることが可能な場合がある。また
は、本明細書等に記載の「絶縁体」を「半絶縁体」に言い換えることが可能な場合がある
。
【0028】
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が
十分に高い場合は、「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「
導電体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書
等に記載の「半導体」は、「導電体」に言い換えることが可能な場合がある。同様に、本
明細書等に記載の「導電体」は、「半導体」に言い換えることが可能な場合がある。
【0029】
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタ
を採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わること
がある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替え
て用いることができるものとする。
【0030】
なお、本明細書等においてパターニングとは、フォトリソグラフィ工程を用いるものと
する。ただし、パターニングは、フォトリソグラフィ工程に限定されず、フォトリソグラ
フィ工程以外の工程を用いることもできる。また、フォトリソグラフィ工程で形成したマ
スクはエッチング処理後除去するものとする。
【0031】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸
素の含有量が多い膜を指し、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1
原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原
子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。窒化酸化シリコン膜とは、その組
成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指し、好ましくは窒素が55原子%以上6
5原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子
%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶表示装置について、
図1乃至
図8を用いて説
明する。
【0033】
<液晶表示装置の構成例>
図1(A)は、本発明の一態様の液晶表示装置の上面図であり、
図1(B)は、
図1(
A)の一点鎖線A-B間、及び一点鎖線C-D間における切断面の断面図に相当する。な
お、
図1(A)において、煩雑になることを避けるため、液晶表示装置の構成要素の一部
(ゲート絶縁膜等)を省略して図示している。なお、トランジスタの上面図においては、
以降の図面においても
図1(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合があ
る。
【0034】
図1(A)の一点鎖線A-Bはトランジスタ150のチャネル長方向を示している。ま
た一点鎖線C-Dはトランジスタ150のチャネル幅方向を示している。なお、本明細書
においてトランジスタのチャネル長方向とは、ソース(ソース領域またはソース電極)及
びドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)間において、キャリアが移動する方向を
意味し、チャネル幅方向は、基板と水平な面内において、チャネル長方向に対して垂直の
方向を意味する。
【0035】
図1(A)、(B)に示す液晶表示装置は、第1の酸化物半導体膜110を含むトラン
ジスタ150と、一対の電極間に絶縁膜を含む容量素子160と、を有する。なお、容量
素子160において、一対の電極の一方が第2の酸化物半導体膜111であり、一対の電
極の他方が導電膜120である。
【0036】
トランジスタ150は、基板102上のゲート電極104と、ゲート電極104上のゲ
ート絶縁膜として機能する絶縁膜108と、絶縁膜108上のゲート電極104と重畳す
る位置の第1の酸化物半導体膜110と、第1の酸化物半導体膜110上のソース電極1
12a及びドレイン電極112bとを有する。別言すると、トランジスタ150は、第1
の酸化物半導体膜110と、第1の酸化物半導体膜110に接して設けられたゲート絶縁
膜として機能する絶縁膜108と、絶縁膜108に接して設けられ、第1の酸化物半導体
膜110と重畳する位置に設けられたゲート電極104と、第1の酸化物半導体膜110
と電気的に接続されたソース電極112a及びドレイン電極112bとを有する。なお、
図1(A)、(B)に示すトランジスタ150は、所謂ボトムゲート構造である。
【0037】
また、トランジスタ150上、より詳しくは、第1の酸化物半導体膜110、ソース電
極112a及びドレイン電極112b上に絶縁膜114、116、118、119が形成
されている。絶縁膜114、116、118は、トランジスタ150の保護絶縁膜として
の機能を有する。絶縁膜119は、平坦化膜としての機能を有する。また、絶縁膜114
、116、118,119には、ドレイン電極112bに達する開口143が形成されて
おり、開口143を覆うように絶縁膜119上に導電膜120が形成されている。すなわ
ち、導電膜120はトランジスタ150と電気的に接続される。導電膜120は、液晶表
示装置の画素電極としての機能を有する。
【0038】
容量素子160は、絶縁膜116上の一対の電極の一方の電極としての機能を有する第
2の酸化物半導体膜111と、第2の酸化物半導体膜111上の誘電体膜として機能する
絶縁膜118,119と、絶縁膜118,119を介して第2の酸化物半導体膜111と
重畳する位置の一対の電極の他方の電極としての機能を有する導電膜120と、を有する
。すなわち、導電膜120は画素電極としての機能と容量素子の電極としての機能を有す
る。
【0039】
図1(A)、(B)に示すトランジスタ150、容量素子160、及び導電膜120に
よって、液晶表示装置が有する一の画素を構成することができる。
【0040】
また、絶縁膜130は、導電膜120の端部の上に重ねて設けられ、絶縁膜130上に
導電膜121が設けられている。導電膜121は、例えばトランジスタ150を含む一の
画素と隣接する画素の画素電極としての機能を有する。
【0041】
導電膜120及び導電膜121は、絶縁膜130を介することで絶縁されている。よっ
て、上面形状において、導電膜120及び導電膜121の間の空隙をなくすことができる
。このような構成を有することで、本発明の一態様の液晶表示装置は画素の開口率を高め
ることができる。また、画素の開口率を高めることで、表示画像のコントラストが高く、
また表示画像が明るい反射型の液晶表示装置とすることができる。
【0042】
また、導電膜121が絶縁膜130上に設けられることで、導電膜121とコモン電極
(図示しない)との間の距離(以下、電極間距離とも記す)を、導電膜120およびコモ
ン電極の電極間距離よりも短くすることができる。本発明の一態様の液晶表示装置は、液
晶を有する層(図示しない)を挟持する画素電極及びコモン電極によって液晶素子が構成
され、コモン電極は各画素において共通の電位が与えられる。液晶表示装置が複数の着色
層(例えばR(赤)、G(緑)、B(青)、またはR、G、B、Y(黄)など)を画素に
有する場合、特定の色の着色層を有する画素の電極間距離を短く(または長く)すること
で、表示画像の色調を調節することができる。
【0043】
なお、
図1(B)においては絶縁膜130及び導電膜121は、互いに端部が概ね一致
するように重畳して設けられているが、これに限られない。
図2(A)に示すように、絶
縁膜130が導電膜120の端部を覆うように、導電膜120の端部近傍にのみ設けられ
ていてもよい。また、
図1(A)、(B)に示す液晶表示装置は、導電膜120及び導電
膜121が絶縁膜130を介して重なる領域を有しているが、導電膜120及び導電膜1
21が重なる領域を有していなくてもよい。
【0044】
また、本発明の一態様の液晶表示装置が有する絶縁膜119の表面に凹凸が設けられて
いることが好ましい。
図2(B)に示す絶縁膜119の表面にある凹凸は、不規則な形状
の凹凸構造、いわゆるテクスチャ構造を模式的に表している。導電膜120及び導電膜1
21は絶縁膜119上に設けられているため、絶縁膜119のテクスチャ構造が導電膜1
20及び導電膜121の表面に現れる。その結果、これらの導電膜に入射する光は乱反射
し、導電膜120及び導電膜121は巨視的には概ね白色に見える。白色に見える画素電
極を用いて液晶の配向を制御することで、反射型の液晶表示装置におけるコントラストを
高めることができる。なお、絶縁膜130の表面にテクスチャ構造が設けられていてもよ
い。
【0045】
液晶表示装置において容量素子160が要する容量値に応じて、絶縁膜119の膜厚を
適宜調整することができる。また絶縁膜119を設けない構成としてもよい。
図3(A)
に、絶縁膜119を有さない液晶表示装置の断面図の一例を示す。
図3(A)においては
、絶縁膜118が容量素子160の誘電体膜として機能する。
【0046】
なお、
図3(A)に示す液晶表示装置は絶縁膜116上に第2の酸化物半導体膜111
aを設けている。第2の酸化物半導体膜111aは、第2の酸化物半導体膜111と同時
に成膜し、同時にエッチングすることで、トランジスタのチャネル領域と重なるように設
けてもよい。第2の酸化物半導体膜111aは、一例としては、第2の酸化物半導体膜1
11と同時に成膜し、同時にエッチングして、同時に形成するため、同じ材料を有してい
る。そのため、プロセス工程の増加を抑制することができる。ただし、本発明の実施形態
の一態様は、これに限定されない。第2の酸化物半導体膜111aは、第2の酸化物半導
体膜111とは異なる工程で形成してもよい。
【0047】
第2の酸化物半導体膜111aは、トランジスタ150のチャネル領域となる第1の酸
化物半導体膜110と重なる領域を有している。したがって、第2の酸化物半導体膜11
1aは、トランジスタ150の第2のゲート電極としての機能を有している。そのため、
第2の酸化物半導体膜111aは、ゲート電極104と接続されていてもよい。または、
第2の酸化物半導体膜111aは、ゲート電極104と接続されずに、ゲート電極104
とは異なる信号や異なる電位が供給されていてもよい。
図3(A)に示すトランジスタ1
50は、所謂ダブルゲート構造である。このような構成とすることで、トランジスタ15
0の電流駆動能力を向上させることができる。このとき、第2のゲート電極に対するゲー
ト絶縁膜は、絶縁膜114、116となる。
【0048】
また、トランジスタ150が第2の酸化物半導体膜111aを有し、ゲート電極104
を有さない構成であってもよい。
図3(B)に示すトランジスタ150は、
図3(A)に
示すトランジスタ150と比較して、ゲート電極104を有さない点が異なる。
図3(B
)に示すトランジスタは所謂トップゲート構造であり、第2の酸化物半導体膜111aは
第1のゲート電極としての機能を有する。
【0049】
なお、第1の酸化物半導体膜110は、トランジスタ150のチャネル領域として機能
する。また、第2の酸化物半導体膜111は、容量素子160の一対の電極の一方の電極
として機能する。よって、第1の酸化物半導体膜110よりも第2の酸化物半導体膜11
1の抵抗率が低い。また、第1の酸化物半導体膜110と第2の酸化物半導体膜111は
、同一の金属元素を有すると好ましい。第1の酸化物半導体膜110と第2の酸化物半導
体膜111を同一の金属元素を有する構成とすることで、製造装置(例えば、成膜装置、
加工装置等)を共通に用いることが可能となるため、製造コストを抑制することができる
。
【0050】
また、第2の酸化物半導体膜111に、別途金属膜等で形成される配線等を接続しても
よい。例えば、
図1に示す液晶表示装置を画素部のトランジスタ及び容量素子に用いる場
合、引き回し配線、またはゲート配線等を金属膜で形成し、該金属膜に第2の酸化物半導
体膜111を接続させる構成を用いてもよい。引き回し配線、またはゲート配線等を金属
膜で形成することによって、配線抵抗を下げることが可能となるため、信号遅延等を抑制
することができる。
【0051】
なお、トランジスタ150上に設けられかつ容量素子160に用いられる絶縁膜118
としては、少なくとも水素を含む絶縁膜を用いる。また、トランジスタ150に用いる絶
縁膜107、並びにトランジスタ150上に設けられる絶縁膜114、116としては、
少なくとも酸素を含む絶縁膜を用いる。このように、トランジスタ150及び容量素子1
60に用いる絶縁膜、並びにトランジスタ150及び容量素子160上に用いる絶縁膜を
、上述の構成の絶縁膜とすることによって、トランジスタ150が有する第1の酸化物半
導体膜110及び容量素子160が有する第2の酸化物半導体膜111の抵抗率を制御す
ることができる。
【0052】
また、容量素子160に用いる絶縁膜、並びにトランジスタ150及び容量素子160
上に用いる絶縁膜を、以下の構成とすることによって、導電膜120及び/または導電膜
121の平坦性を高めることができる。具体的には、絶縁膜114、116は第1の酸化
物半導体膜110上に設けられ、絶縁膜118は、第2の酸化物半導体膜111が絶縁膜
116と絶縁膜118とによって挟持されるように第2の酸化物半導体膜111上に設け
られることで、第2の酸化物半導体膜111と重なる位置の絶縁膜114、116に開口
を設けずに第2の酸化物半導体膜111の抵抗率を制御することができる。このような構
成とすることで、
図1(A)、(B)に示す液晶表示装置において、導電膜120及び導
電膜121上に形成される液晶の配向性を良好なものとすることができる。
【0053】
なお、トランジスタ150において、第1の酸化物半導体膜110は、チャネル領域と
して用いるため、第2の酸化物半導体膜111と比較して抵抗率が高い。一方で、第2の
酸化物半導体膜111は電極としての機能を有するため、第1の酸化物半導体膜110と
比較して抵抗率が低い。
【0054】
ここで、第1の酸化物半導体膜110及び第2の酸化物半導体膜111の抵抗率の制御
方法について、以下説明を行う。
【0055】
<酸化物半導体膜の抵抗率の制御方法>
第1の酸化物半導体膜110及び第2の酸化物半導体膜111に用いることのできる酸
化物半導体膜は、膜中の酸素欠損及び/又は膜中の水素、水等の不純物濃度によって、抵
抗率を制御することができる半導体材料である。そのため、第1の酸化物半導体膜110
及び第2の酸化物半導体膜111へ酸素欠損及び/又は不純物濃度が増加する処理、また
は酸素欠損及び/又は不純物濃度が低減する処理を選択することによって、それぞれの酸
化物半導体膜の抵抗率を制御することができる。
【0056】
具体的には、容量素子160の電極として機能する第2の酸化物半導体膜111に用い
る酸化物半導体膜にプラズマ処理を行い、該酸化物半導体の膜中の酸素欠損を増加させる
、および/または酸化物半導体の膜中の水素、水等の不純物を増加させることによって、
キャリア密度が高く、抵抗率が低い酸化物半導体膜とすることができる。また、酸化物半
導体膜に水素を含む絶縁膜を接して形成し、該水素を含む絶縁膜、例えば絶縁膜118か
ら酸化物半導体膜に水素を拡散させることによって、キャリア密度が高く、抵抗率が低い
酸化物半導体膜とすることができる。第2の酸化物半導体膜111は、上記のように膜中
の酸素欠損を増加させる、または水素を拡散させる工程の前においては半導体としての機
能を有し、該工程の後においては、導電体としての機能を有する。
【0057】
一方、トランジスタ150のチャネル領域として機能する第1の酸化物半導体膜110
は、絶縁膜107、114、116を設けることによって、水素を含む絶縁膜106、1
18と接しない構成とする。絶縁膜107、114、116の少なくとも一つに酸素を含
む絶縁膜、別言すると、酸素を放出することが可能な絶縁膜を適用することで、第1の酸
化物半導体膜110に酸素を供給することができる。酸素が供給された第1の酸化物半導
体膜110は、膜中または界面の酸素欠損が補填され抵抗率が高い酸化物半導体膜となる
。なお、酸素を放出することが可能な絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、または
酸化窒化シリコン膜を用いることができる。
【0058】
また、抵抗率が低い酸化物半導体膜を得るために、イオン注入法、イオンドーピング法
、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、水素、ボロン、リ
ン、または窒素を酸化物半導体膜に注入してもよい。
【0059】
また、抵抗率が低い酸化物半導体膜を得るために、該酸化物半導体膜にプラズマ処理を
行ってもよい。例えば、該プラズマ処理としては、代表的には、希ガス(He、Ne、A
r、Kr、Xe)、水素、及び窒素の中から選ばれた一種以上を含むガスを用いたプラズ
マ処理が挙げられる。より具体的には、Ar雰囲気下でのプラズマ処理、Arと水素の混
合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、アンモニア雰囲気下でのプラズマ処理、Arとアンモ
ニアの混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、または窒素雰囲気下でのプラズマ処理などが
挙げられる。
【0060】
上記プラズマ処理によって、酸化物半導体膜は、酸素が脱離した格子(または酸素が脱
離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損は、キャリアが生成される要因になる場
合がある。また、酸化物半導体膜の近傍、より具体的には、酸化物半導体膜の下側または
上側に接する絶縁膜から水素が供給されると、上記酸素欠損と水素が結合することで、キ
ャリアである電子を生成する場合がある。
【0061】
一方、酸素欠損が補填され、水素濃度が低減された酸化物半導体膜は、高純度真性化、
又は実質的に高純度真性化された酸化物半導体膜といえる。ここで、実質的に真性とは、
酸化物半導体膜のキャリア密度が、8×1011個/cm3未満、好ましくは1×101
1個/cm3未満、さらに好ましくは1×1010個/cm3未満であることを指す。高
純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないた
め、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性
である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度を低減することが
できる。
【0062】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著し
く小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソー
ス電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ
電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下と
いう特性を得ることができる。したがって、上述した高純度真性または実質的に高純度真
性である酸化物半導体膜を用いる第1の酸化物半導体膜110aをチャネル領域に用いる
トランジスタ150は、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
【0063】
絶縁膜118として、例えば、水素を含む絶縁膜、別言すると水素を放出することが可
能な絶縁膜、代表的には窒化シリコン膜を用いることで、第2の酸化物半導体膜111に
水素を供給することができる。水素を放出することが可能な絶縁膜としては、膜中の含有
水素濃度が1×1022atoms/cm3以上であると好ましい。このような絶縁膜を
第2の酸化物半導体膜111に接して形成することで、第2の酸化物半導体膜111に効
果的に水素を含有させることができる。このように、第1の酸化物半導体膜110及び第
2の酸化物半導体膜111に接する絶縁膜の構成を変えることによって、酸化物半導体膜
の抵抗率を制御することができる。なお、絶縁膜106として、絶縁膜118と同様の材
料を用いてもよい。絶縁膜106として窒化シリコンを用いることで、絶縁膜107から
放出される酸素がゲート電極104に供給され、酸化されることを抑制できる。
【0064】
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に
、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。該酸素欠損
に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が
金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。
したがって、水素が含まれている絶縁膜と接して設けられた第2の酸化物半導体膜111
は、第1の酸化物半導体膜110よりもキャリア密度の高い酸化物半導体膜となる。
【0065】
トランジスタ150のチャネル領域が形成される第1の酸化物半導体膜110は、水素
ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、第1の酸化物半導体膜110
において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass
Spectrometry)により得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm
3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019
atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×101
8atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さら
に好ましくは1×1016atoms/cm3以下とする。
【0066】
一方、容量素子160の電極として機能する第2の酸化物半導体膜111は、第1の酸
化物半導体膜110よりも水素濃度及び/又は酸素欠損量が多く、抵抗率が低い酸化物半
導体膜である。第2の酸化物半導体膜111に含まれる水素濃度は、8×1019以上、
好ましくは1×1020atoms/cm3以上、より好ましくは5×1020以上であ
る。また、第1の酸化物半導体膜110と比較して、第2の酸化物半導体膜111に含ま
れる水素濃度は2倍以上、好ましくは10倍以上である。また、第2の酸化物半導体膜1
11の抵抗率が、第1の酸化物半導体膜110の抵抗率の1×10-8倍以上1×10-
1倍未満であることが好ましく、代表的には1×10-3Ωcm以上1×104Ωcm未
満、さらに好ましくは、抵抗率が1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満である
とよい。
【0067】
ここで、
図1(A)及び
図1(B)に示す液晶表示装置のその他の構成要素の詳細につ
いて、以下説明を行う。
【0068】
<基板>
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度
の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サ
ファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンから
なる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板
、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられた
ものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる
場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200m
m)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800m
m)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型
の表示装置を作製することができる。また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓
性基板上に直接、トランジスタ150、容量素子160等を形成してもよい。
【0069】
これらの他にも、基板102として、様々な基板を用いて、トランジスタを形成するこ
とが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例として
は、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイ
ルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、
貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板
の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダラ
イムガラスなどがある。可撓性基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表
されるプラスチック、又はアクリル等の可撓性を有する合成樹脂などがある。貼り合わせ
フィルムの一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ
塩化ビニルなどがある。基材フィルムの一例としては、ポリアミド、ポリイミド、無機蒸
着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板など
を用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又は形状などのばらつき
が少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。この
ようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積
化を図ることができる。
【0070】
なお、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転
置し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一
例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロフ
ァン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン
、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、
再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を
用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形
成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、又は薄型化を図ることができる。
【0071】
<第1の酸化物半導体膜及び第2の酸化物半導体膜>
第1の酸化物半導体膜110及び第2の酸化物半導体膜111は、少なくともインジウ
ム(In)、亜鉛(Zn)及びM(Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Snまた
はHf等の金属)を含むIn-M-Zn酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。ま
た、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと
共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0072】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム(Ga)、ス
ズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)
等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)
、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、
ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(
Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム
(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある。
【0073】
第1の酸化物半導体膜110及び第2の酸化物半導体膜111を構成する酸化物半導体
として、例えば、In-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-
Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Z
n系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn
系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系
酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸
化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化
物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-
Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化
物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができる。
【0074】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有す
る酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZ
n以外の金属元素が入っていてもよい。
【0075】
また、第1の酸化物半導体膜110と、第2の酸化物半導体膜111は、上記酸化物の
うち、同一の金属元素を有していてもよい。第1の酸化物半導体膜110と、第2の酸化
物半導体膜111を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる
。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで製造コストを低減させ
ることができる。また同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることによって、酸
化物半導体膜を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることが
できる。ただし、第1の酸化物半導体膜110と、第2の酸化物半導体膜111は、同一
の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素
子の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0076】
なお、第1の酸化物半導体膜110がIn-M-Zn酸化物であるとき、InとMの原
子数比率は、InおよびMの和を100atomic%としたとき、好ましくはInが2
5atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34
atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。
【0077】
第1の酸化物半導体膜110は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5
eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い酸
化物半導体を用いることで、トランジスタ150のオフ電流を低減することができる。
【0078】
第1の酸化物半導体膜110の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm
以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0079】
第1の酸化物半導体膜110がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、L
a、Ce、またはNd)の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタ
リングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい
。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=
1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M
:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6等が挙げられる。なお、成膜される第
1の酸化物半導体膜110の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングター
ゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0080】
第1の酸化物半導体膜110としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。
例えば、第1の酸化物半導体膜110は、キャリア密度が1×1017個/cm3以下、
好ましくは1×1015個/cm3以下、さらに好ましくは1×1013個/cm3以下
、より好ましくは1×1011個/cm3以下の酸化物半導体膜を用いる。
【0081】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、第1の酸化物半導体膜110のキャリア密度
や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なもの
とすることが好ましい。
【0082】
第1の酸化物半導体膜110において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含
まれると、第1の酸化物半導体膜110において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。
このため、第1の酸化物半導体膜110におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量
分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×
1017atoms/cm3以下とする。
【0083】
また、第1の酸化物半導体膜110において、二次イオン質量分析法により得られるア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好
ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属及びアルカリ土類金
属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電
流が増大してしまうことがある。このため、第1の酸化物半導体膜110のアルカリ金属
またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。
【0084】
また、第1の酸化物半導体膜110に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生
じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導
体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、当該酸化物半導体
膜において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、二次イオン質量
分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好
ましい。
【0085】
また、第1の酸化物半導体膜110は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は
、例えば、後述するCAAC-OS(C Axis Aligned-Crystall
ine Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または
非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CA
AC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0086】
第1の酸化物半導体膜110は、例えば非晶質構造でもよい。非晶質構造の酸化物半導
体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の
酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0087】
なお、第1の酸化物半導体膜110が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶
構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であっ
てもよい。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域
、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する場合があ
る。また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域
、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有す
る場合がある。
【0088】
<絶縁膜>
トランジスタ150のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜106、107としては、プ
ラズマCVD(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、ス
パッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、
窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジ
ルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜
、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁膜を、それぞれ用いることが
できる。なお、絶縁膜106、107の積層構造とせずに、上述の材料から選択された単
層の絶縁膜を用いてもよい。
【0089】
絶縁膜106は、酸素の透過を抑制するブロッキング膜としての機能を有する。例えば
、絶縁膜107、114、116及び/または第1の酸化物半導体膜110中に過剰の酸
素を供給する場合において、絶縁膜106は酸素の透過を抑制することができる。
【0090】
なお、トランジスタ150のチャネル領域として機能する第1の酸化物半導体膜110
と接する絶縁膜107は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過
剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域)を有することがより好ましい。別言すると、絶
縁膜107は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。なお、絶縁膜107に酸素過
剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜107を形成すればよい。または
、成膜後の絶縁膜107に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよい。酸素の導入
方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法
、プラズマ処理等を用いることができる。
【0091】
また、絶縁膜106、107として、酸化ハフニウムを用いる場合、以下の効果を奏す
る。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。した
がって、酸化シリコンと比べて、絶縁膜106、107の膜厚を大きくできるため、トン
ネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。すなわち、オフ電流の小さいトラ
ンジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質
構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小
さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ま
しい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の
一態様は、これらに限定されない。
【0092】
なお、本実施の形態では、絶縁膜106として窒化シリコン膜を形成し、絶縁膜107
として酸化シリコン膜を形成する。窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電
率が高く、酸化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、トラン
ジスタ150のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜108として、窒化シリコン膜を含む
ことで絶縁膜を物理的に厚膜化することができる。よって、トランジスタ150の絶縁耐
圧の低下を抑制、さらには絶縁耐圧を向上させて、トランジスタ150の静電破壊を抑制
することができる。
【0093】
<ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極>
ゲート電極104、ソース電極112a及びドレイン電極112bに用いることのでき
る材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコ
ニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成
分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。例えば、アルミニウ
ム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造
、モリブデン膜上に銅膜を積層した二層構造、モリブデンとタングステンを含む合金膜上
に銅膜を積層した二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する
二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねて
アルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成
する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モ
リブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜
または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。また、ソース電極112a、及び
ドレイン電極112bを三層構造とする場合、一層目及び三層目には、チタン、窒化チタ
ン、モリブデン、タングステン、モリブデンとタングステンを含む合金、モリブデンとジ
ルコニウムを含む合金、又は窒化モリブデンでなる膜を形成し、2層目には、銅、アルミ
ニウム、金又は銀、或いは銅とマンガンの合金等の低抵抗材料でなる膜を形成することが
好ましい。なお、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化
タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チ
タンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジ
ウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を用いてもよい。また、ゲート電極104、
ソース電極112a及びドレイン電極112bに用いることのできる材料は、例えば、ス
パッタリング法を用いて形成することができる。
【0094】
<導電膜>
導電膜120及び導電膜121は、画素電極としての機能を有する。導電膜120とし
ては、例えば、可視光において、反射性を有する材料を用いればよい。具体的には、アル
ミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト
、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又はこれら金属材料を含む合金を用いることが
できる。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加
されていてもよい。また、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金
、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al
-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や、銀と銅の合金、銀
とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)、銀とマグネシウムの合
金等の銀を含む合金を用いて形成することができる。銀と銅を含む合金は、耐熱性が高い
ため好ましい。上記材料からなる膜を単層または積層して用いることができる。さらに、
アルミニウム合金膜に接する金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、アルミニウム合
金膜の酸化を抑制することができる。該金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタン、
酸化チタンなどが挙げられる。
【0095】
<保護絶縁膜>
トランジスタ150の保護絶縁膜として機能する絶縁膜114、116、118として
は、プラズマCVD法、スパッタリング法等により、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン
膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸
化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネ
シウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁膜
を、それぞれ用いることができる。
【0096】
また、トランジスタ150のチャネル領域として機能する第1の酸化物半導体膜110
と接する絶縁膜114は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、酸素を放出することが可
能な絶縁膜を用いる。酸素を放出することが可能な絶縁膜を別言すると、化学量論的組成
よりも過剰に酸素を含有する領域(酸素過剰領域)を有する絶縁膜である。なお、絶縁膜
114に酸素過剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁膜114を形成すれ
ばよい。または、成膜後の絶縁膜114に酸素を導入して、酸素過剰領域を形成してもよ
い。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョ
ンイオン注入法、プラズマ処理等を用いることができる。
【0097】
絶縁膜114として、酸素を放出することが可能な絶縁膜を用いることで、トランジス
タ150のチャネル領域として機能する第1の酸化物半導体膜110に酸素を移動させ、
第1の酸化物半導体膜110の酸素欠損量を低減することが可能となる。例えば、昇温脱
離ガス分析(以下、TDS分析とする。)によって測定される,膜の表面温度が100℃
以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲における酸素分子の放出量が
、1.0×1018分子/cm3以上ある絶縁膜を用いることで、第1の酸化物半導体膜
110に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0098】
また、絶縁膜114は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定によ
り、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度
が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。これは、絶縁膜114に
含まれる欠陥密度が多いと、当該欠陥に酸素が結合してしまい、絶縁膜114における酸
素の透過量が減少してしまうためである。また、絶縁膜114と第1の酸化物半導体膜1
10との界面における欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、
第1の酸化物半導体膜110の欠陥に由来するg値が1.89以上1.96以下に現れる
信号のスピン密度が1×1017spins/cm3以下、さらには検出下限以下である
ことが好ましい。
【0099】
なお、絶縁膜114においては、外部から絶縁膜114に入った酸素が全て絶縁膜11
4の外部に移動する場合がある。または、外部から絶縁膜114に入った酸素の一部が、
絶縁膜114にとどまる場合もある。また、外部から絶縁膜114に酸素が入ると共に、
絶縁膜114に含まれる酸素が絶縁膜114の外部へ移動することで、絶縁膜114にお
いて酸素の移動が生じる場合もある。絶縁膜114として酸素を透過することができる酸
化物絶縁膜を形成すると、絶縁膜114上に設けられる、絶縁膜116から脱離する酸素
を、絶縁膜114を介して第1の酸化物半導体膜110に移動させることができる。
【0100】
また、絶縁膜114は、窒素酸化物の準位密度が低い酸化物絶縁膜を用いて形成するこ
とができる。なお、当該窒素酸化物の準位密度は、酸化物半導体膜の価電子帯の上端のエ
ネルギー(EV_OS)と、酸化物半導体膜の伝導帯下端のエネルギー(EC_OS)と
の間に形成され得る場合がある。上記酸化物絶縁膜として、窒素酸化物の放出量が少ない
酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム膜等を用
いることができる。
【0101】
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法におい
て、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニア
分子の放出量が1×1018分子/cm3以上5×1019分子/cm3以下である。な
お、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃
以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
【0102】
窒素酸化物(NOx、xは0より大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的に
はNO2またはNOは、絶縁膜114などに準位を形成する。当該準位は、第1の酸化物
半導体膜110のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁膜1
14及び第1の酸化物半導体膜110の界面に拡散すると、当該準位が絶縁膜114側に
おいて電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁膜114
及び第1の酸化物半導体膜110界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧を
プラス方向にシフトさせてしまう。
【0103】
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁膜114
に含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁膜116に含まれるアンモニアと反応
するため、絶縁膜114に含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁膜114及
び第1の酸化物半導体膜110の界面において、電子がトラップされにくい。
【0104】
絶縁膜114として、上記酸化物絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧
のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することが
できる。
【0105】
なお、トランジスタの作製工程の加熱処理、代表的には400℃未満または375℃未
満(好ましくは、340℃以上360℃以下)の加熱処理により、絶縁膜114は、10
0K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.03
9以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及び
g値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグ
ナル及び第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナル及び第3のシグナルのス
プリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037
以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシ
グナル、及びg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルのスピンの密度の合
計が1×1018spins/cm3未満であり、代表的には1×1017spins/
cm3以上1×1018spins/cm3未満である。
【0106】
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下
の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が1
.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0より大き
く2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例と
しては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下
の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、及びg値が
1.964以上1.966以下の第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸
化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
【0107】
また、上記酸化物絶縁膜は、SIMSで測定される窒素濃度が6×1020atoms
/cm3以下である。
【0108】
基板温度が220℃以上350℃以下であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPEC
VD法を用いて、上記酸化物絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を
形成することができる。
【0109】
絶縁膜114に接するように形成される絶縁膜116は、化学量論的組成を満たす酸素
よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する。化学量論的組成を満たす酸素よ
りも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組
成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:
Thermal Desorption Spectroscopy)にて、酸素原子に
換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上、好ましくは3.0
×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDSにおけ
る膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の
範囲が好ましい。
【0110】
また、絶縁膜116は、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定によ
り、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度
が1.5×1018spins/cm3未満、更には1×1018spins/cm3以
下であることが好ましい。なお、絶縁膜116は、絶縁膜114と比較して第1の酸化物
半導体膜110から離れているため、絶縁膜114より、欠陥密度が多くともよい。
【0111】
絶縁膜114の厚さは、5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以
下、好ましくは10nm以上30nm以下とすることができる。絶縁膜116の厚さは、
30nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下とすることがで
きる。
【0112】
また、絶縁膜114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁
膜114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の
形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。なお、本
実施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について説明したが、こ
れに限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造、絶縁膜116の単層構造、または3
層以上の積層構造としてもよい。
【0113】
容量素子160の誘電体膜として機能する絶縁膜118としては、窒化物絶縁膜である
ことが好ましい。特に窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と比較して比誘電率が高く、酸
化シリコン膜と同等の静電容量を得るのに必要な膜厚が大きいため、容量素子160の誘
電体膜として機能する絶縁膜118として、窒化シリコン膜を含むことで絶縁膜を物理的
に厚膜化することができる。よって、容量素子160の絶縁耐圧の低下を抑制、さらには
絶縁耐圧を向上させて、容量素子160の静電破壊を抑制することができる。なお、絶縁
膜118は、容量素子160の電極として機能する第2の酸化物半導体膜111の抵抗率
を低下させる機能も有する。
【0114】
また、絶縁膜118は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等をブロッ
キングできる機能を有する。絶縁膜118を設けることで、第1の酸化物半導体膜110
からの酸素の外部への拡散と、絶縁膜114、116に含まれる酸素の外部への拡散と、
外部から第1の酸化物半導体膜110への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。な
お、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒
化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設
けてもよい。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜としては、酸化
アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリ
ウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
【0115】
平坦化膜としての機能を有する絶縁膜119としては、例えばポリイミド樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹
脂等の耐熱性を有する有機材料を用いることができる。
【0116】
絶縁膜130としては、絶縁膜119と同様の材料を用いることができる。また、絶縁
膜130として、絶縁膜106と同様の材料を用いてもよい。
【0117】
<液晶表示装置の作製方法>
次に、
図1(A)、(B)に示す液晶表示装置の作製方法の一例について、
図4乃至図
8を用いて説明する。
【0118】
まず、基板102上にゲート電極104を形成する。その後、基板102、及びゲート
電極104上に絶縁膜106、107を含む絶縁膜108を形成する(
図4(A)参照)
。
【0119】
なお、基板102、ゲート電極104、及び絶縁膜106、107としては、上述の列
挙した材料の中から選択することで形成できる。なお、本実施の形態においては、基板1
02としてはガラス基板を用い、ゲート電極104としては、導電膜としてタングステン
膜を用い、絶縁膜106としては、水素を放出することが可能な窒化シリコン膜を用い、
絶縁膜107としては、酸素を放出することが可能な酸化窒化シリコン膜を用いる。
【0120】
ゲート電極104は、基板102上に導電膜を成膜後、該導電膜の所望の領域が残るよ
うにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで形成できる。
【0121】
次に、絶縁膜108上のゲート電極104と重畳する位置に第1の酸化物半導体膜11
0を形成する(
図4(B)参照)。
【0122】
第1の酸化物半導体膜110としては、上述の列挙した材料の中から選択することで形
成できる。なお、本実施の形態においては、第1の酸化物半導体膜110としては、In
-Ga-Zn酸化物膜(In:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを使
用。)を用いる。
【0123】
また、第1の酸化物半導体膜110は、絶縁膜108上に酸化物半導体膜を成膜後、該
酸化物半導体膜の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチン
グすることで形成できる。
【0124】
第1の酸化物半導体膜110を形成後、熱処理を行うと好ましい。該熱処理は、250
℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、より好ましくは350℃以
上450℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、
または減圧雰囲気で行えばよい。また、熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で熱処理を
行った後に、第1の酸化物半導体膜110から脱離した酸素を補うために酸化性ガスを1
0ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。ここでの熱処理によって、絶縁膜106、10
7、及び第1の酸化物半導体膜110の少なくとも1つから水素や水などの不純物を除去
することができる。なお、該熱処理は、第1の酸化物半導体膜110を島状に加工する前
に行ってもよい。
【0125】
なお、第1の酸化物半導体膜110をチャネル領域とするトランジスタ150に安定し
た電気特性を付与するためには、第1の酸化物半導体膜110中の不純物を低減し、第1
の酸化物半導体膜110を真性または実質的に真性にすることが有効である。
【0126】
次に、絶縁膜108、及び第1の酸化物半導体膜110上に導電膜を成膜し、該導電膜
の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで、
絶縁膜108及び第1の酸化物半導体膜110上にソース電極112a、及びドレイン電
極112bを形成する(
図4(C)参照)。
【0127】
ソース電極112a、及びドレイン電極112bとしては、上述の列挙した材料の中か
ら選択することで形成できる。なお、本実施の形態においては、ソース電極112a、及
びドレイン電極112bとしては、タングステン膜と、アルミニウム膜と、チタン膜との
3層の積層構造を用いる。
【0128】
また、ソース電極112a、及びドレイン電極112bの形成後に、第1の酸化物半導
体膜110の表面を洗浄してもよい。当該洗浄方法としては、例えば、リン酸等の薬液を
用いた洗浄が挙げられる。リン酸等の薬液を用いて洗浄を行うことで、酸化物半導体膜1
10の表面に付着した不純物(例えば、ソース電極112a、及びドレイン電極112b
に含まれる元素等)を除去することができる。なお、当該洗浄を必ずしも行う必要はなく
、場合によっては、洗浄を行わなくてもよい。
【0129】
また、ソース電極112a、及びドレイン電極112bを形成する工程、及び上記洗浄
工程のいずれか一方または双方において、第1の酸化物半導体膜110のソース電極11
2a、及びドレイン電極112bから露出した領域が、薄くなる場合がある。
【0130】
次に、絶縁膜108、第1の酸化物半導体膜110、ソース電極112a、及びドレイ
ン電極112b上に絶縁膜114、116を形成する。そして、絶縁膜114、116の
所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで開口
141を形成する(
図4(D)参照)。
【0131】
なお、絶縁膜114を形成した後、大気に曝すことなく、連続的に絶縁膜116を形成
することが好ましい。絶縁膜114を形成後、大気開放せず、原料ガスの流量、圧力、高
周波電力及び基板温度の一以上を調整して、絶縁膜116を連続的に形成することで、絶
縁膜114と絶縁膜116との界面において大気成分由来の不純物濃度を低減することが
できるとともに、絶縁膜114、116に含まれる酸素を第1の酸化物半導体膜110に
移動させることが可能となり、第1の酸化物半導体膜110の酸素欠損量を低減すること
が可能となる。
【0132】
また、絶縁膜116の形成工程において、絶縁膜114が第1の酸化物半導体膜110
の保護膜となる。したがって、第1の酸化物半導体膜110へのダメージを低減しつつ、
パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁膜116を形成することができる。
【0133】
絶縁膜114、116としては、上述の列挙した材料の中から選択することで形成でき
る。なお、本実施の形態においては、絶縁膜114、116としては、酸素を放出するこ
とが可能な酸化窒化シリコン膜を用いる。
【0134】
また、絶縁膜114、116を成膜した後に、加熱処理(以下、第1の加熱処理とする
)を行うと好適である。第1の加熱処理により、絶縁膜114、116に含まれる窒素酸
化物を低減することができる。または、第1の加熱処理により、絶縁膜114、116に
含まれる酸素の一部を第1の酸化物半導体膜110に移動させ、第1の酸化物半導体膜1
10に含まれる酸素欠損量を低減することができる。
【0135】
第1の加熱処理の温度は、代表的には、400℃未満、好ましくは375℃未満、さら
に好ましくは、150℃以上350℃以下とする。第1の加熱処理は、窒素、酸素、超乾
燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは10
ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。
なお、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ま
しい。該加熱処理には、電気炉、RTA(Rapid Thermal Anneal)
等を用いることができる。
【0136】
開口141としては、ドレイン電極112bが露出するように形成する。開口141の
形成方法としては、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。ただし、開口1
41の形成方法としては、これに限定されず、ウエットエッチング法、またはドライエッ
チング法とウエットエッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい。なお、開口14
1を形成するためのエッチング工程によって、ドレイン電極112bの膜厚が減少する場
合がある。
【0137】
次に、開口141を覆うように、絶縁膜116上に第2の酸化物半導体膜111となる
酸化物半導体膜を形成する(
図5(A)、(B)参照)。
【0138】
なお、
図5(A)は、絶縁膜116上に酸化物半導体膜を形成する際の、成膜装置内部
の断面模式図である。
図5(A)では、成膜装置としてスパッタリング装置を用い、当該
スパッタリング装置内部に設置されたターゲット193と、ターゲット193の下方に形
成されたプラズマ194とが、模式的に表されている。
【0139】
まず、酸化物半導体膜を形成する際に、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させ
る。その際に、酸化物半導体膜の被形成面となる絶縁膜116中に、酸素が添加される。
また、酸化物半導体膜を形成する際に、酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウム
ガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。例えば、アルゴンガスと
、酸素ガスと、を用い、アルゴンガスの流量よりも酸素ガスの流量を多くするのが好まし
い。酸素ガスの流量を多くすることで、好適に絶縁膜116に酸素を添加することができ
る。一例としては、酸化物半導体膜の形成条件としては、成膜ガス全体に占める酸素ガス
の割合を、50%以上100%以下、好ましくは、80%以上100%以下とすればよい
。
【0140】
なお、
図5(A)において、絶縁膜116に添加される酸素または過剰酸素を模式的に
破線の矢印で表している。
【0141】
また、酸化物半導体膜を成膜する際の基板温度としては、室温以上340℃未満、好ま
しくは室温以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好まし
くは100℃以上200℃以下である。酸化物半導体膜を加熱して成膜することで、酸化
物半導体膜の結晶性を高めることができる。一方で、基板102として、大型のガラス基
板(例えば、第6世代乃至第10世代)を用いる場合、酸化物半導体膜を成膜する際の基
板温度を150℃以上340℃未満とした場合、基板102が変形する(歪むまたは反る
)場合がある。よって、大型のガラス基板を用いる場合においては、酸化物半導体膜の成
膜する際の基板温度を100℃以上150℃未満とすることで、ガラス基板の変形を抑制
することができる。
【0142】
該酸化物半導体膜としては、上述の列挙した材料の中から選択することで形成できる。
本実施の形態では、In-Ga-Zn金属酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3
:6[原子数比])を用いて、スパッタリング法により酸化物半導体膜を形成する。
【0143】
次に、該酸化物半導体を所望の形状に加工することで、島状の第2の酸化物半導体膜1
11を形成する(
図5(C)参照)。
【0144】
第2の酸化物半導体膜111は、絶縁膜116上に酸化物半導体膜を成膜後、該酸化物
半導体膜の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングする
ことで形成できる。
【0145】
次に、絶縁膜116、及び第2の酸化物半導体膜111上に絶縁膜118を形成する(
図6(A)参照)。
【0146】
絶縁膜118は、水素及び窒素のいずれか一方または双方を有する。絶縁膜118とし
ては、例えば、窒化シリコン膜を用いると好適である。また、絶縁膜118としては、例
えば、スパッタリング法またはPECVD法を用いて形成することができる。例えば、絶
縁膜118をPECVD法で成膜する場合、基板温度は400℃未満、好ましくは375
℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下である。絶縁膜118を成膜する場
合の基板温度を、上述の範囲にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい。また、
絶縁膜118を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、絶縁膜114、1
16中の酸素または過剰酸素を、第1の酸化物半導体膜110に移動させることが可能と
なる。
【0147】
また、絶縁膜118の形成後に、先に記載の第1の加熱処理と同等の加熱処理(以下、
第2の加熱処理とする)を行ってもよい。このように、第2の酸化物半導体膜111とな
る酸化物半導体膜の成膜の際に絶縁膜116に酸素を添加した後に、400℃未満、好ま
しくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下の温度で、加熱処理を
行うことで、絶縁膜116中の酸素または過剰酸素を第1の酸化物半導体膜110中に移
動させ、第1の酸化物半導体膜110中の酸素欠損を補填することができる。
【0148】
ここで、第1の酸化物半導体膜110中に移動する酸素について、
図7を用いて説明を
行う。
図7は、絶縁膜118成膜時の基板温度(代表的には375℃未満)、または絶縁
膜118の形成後の第2の加熱処理(代表的には375℃未満)によって、第1の酸化物
半導体膜110中に移動する酸素を表すモデル図である。
図7中において、第1の酸化物
半導体膜110中に移動する酸素(酸素ラジカル、酸素原子、または酸素分子)を破線の
矢印で表している。なお、
図7(A)及び(B)は絶縁膜118成膜後の、それぞれ
図1
(A)に示す一点鎖線A-B及び一点鎖線C-Dに対応する断面図である。
【0149】
図7に示す第1の酸化物半導体膜110は、第1の酸化物半導体膜110に接する膜(
ここでは、絶縁膜107、及び絶縁膜114)から酸素が移動することで、酸素欠損が補
填される。特に、本発明の一態様の液晶表示装置において、第1の酸化物半導体膜110
となる酸化物半導体膜のスパッタリング成膜時に、酸素ガスを用い、絶縁膜107中に酸
素を添加する場合、絶縁膜107は過剰酸素領域を有する。また、第2の酸化物半導体膜
111となる酸化物半導体膜のスパッタリング成膜時に、酸素ガスを用い、絶縁膜116
中に酸素を添加するため、絶縁膜116は過剰酸素領域を有する。よって、該過剰酸素領
域を有する絶縁膜に挟まれた第1の酸化物半導体膜110は、酸素欠損が好適に補填され
る。
【0150】
また、絶縁膜107の下方には、絶縁膜106が設けられており、絶縁膜114、11
6の上方には、絶縁膜118が設けられている。絶縁膜106、118を酸素透過性が低
い材料、例えば、窒化シリコン等により形成することで、絶縁膜107、114、116
中に含まれる酸素を第1の酸化物半導体膜110側に閉じ込めることができるため、好適
に第1の酸化物半導体膜110に酸素を移動させることが可能となる。なお、絶縁膜11
8は、外部からの不純物、例えば、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が、トランジ
スタ150に含まれる第1の酸化物半導体膜110へ拡散するのを防ぐ効果も奏する。
【0151】
また、絶縁膜118は、水素及び窒素のいずれか一方または双方を有する。そのため、
絶縁膜118を形成することで、絶縁膜118に接する第2の酸化物半導体膜111は、
水素及び窒素のいずれか一方または双方が添加されることで、キャリア密度が高くなり、
酸化物導電膜として機能することができる。
【0152】
なお、第2の酸化物半導体膜111の抵抗率の低下に伴い、
図5(C)と
図6(A)に
示す第2の酸化物半導体膜111のハッチングを変えて図示している。
【0153】
第2の酸化物半導体膜111の抵抗率は、少なくとも第1の酸化物半導体膜110より
も低く、好ましくは、1×10-3Ωcm以上1×104Ωcm未満、さらに好ましくは
、1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満であるとよい。
【0154】
次に、絶縁膜118の所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエ
ッチングすることで開口142を形成する(
図6(B)参照)。
【0155】
開口142としては、ドレイン電極112bが露出するように形成する。開口142の
形成方法としては、例えば、ドライエッチング法を用いることができる。ただし、開口1
42の形成方法としては、これに限定されず、ウエットエッチング法、またはドライエッ
チング法とウエットエッチング法を組み合わせた形成方法としてもよい。なお、開口14
2を形成するためのエッチング工程によって、ドレイン電極112bの膜厚が減少する場
合がある。
【0156】
なお、前述の開口141を形成する工程を行わずに、開口142の形成する工程におい
て絶縁膜114、116、118に開口を連続して形成してもよい。このような工程とす
ることで、本発明の一態様の液晶表示装置の作製工程を減らすことが可能となるため、製
造コストを抑制することができる。
【0157】
次に、絶縁膜118上に絶縁膜119を形成し、絶縁膜119の所望の領域が残るよう
にパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで開口143を形成する。そ
して開口143を覆うように、絶縁膜119上に導電膜を成膜し、該導電膜の所望の領域
が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで、導電膜120
を形成する(
図6(C)参照)。
【0158】
なお、前述の開口141及び開口142を形成する工程を行わずに、開口143を形成
する工程において絶縁膜114、116、118、119に開口を連続して形成してもよ
い。このような工程とすることで、本発明の一態様の液晶表示装置の作製工程を減らすこ
とが可能となるため、製造コストを抑制することができる。
【0159】
絶縁膜119及び導電膜120としては、上述の列挙した材料の中から選択することで
形成できる。なお、本実施の形態においては、絶縁膜119としてアクリル樹脂を用いる
。また導電膜120としてAg-Pd-Cu合金を用いる。
【0160】
また、導電膜120の形成に伴い、容量素子160が作製される。容量素子160は、
一対の電極間に誘電体層が挟持された構造であり、一対の電極の一方が第2の酸化物半導
体膜111であり、一対の電極の他方が導電膜120である。また、絶縁膜118、11
9が容量素子160の誘電体層として機能する。
【0161】
次に、絶縁膜119及び導電膜120上に絶縁膜を形成し、所望の領域が残るようにパ
ターニングし、その後不要な領域をエッチングすることで絶縁膜130を形成する(
図8
(A)参照)。絶縁膜130は導電膜120の端部を覆うように設けられる。また図示し
ないが、絶縁膜130は、トランジスタ150を有する画素と隣接する画素が有するトラ
ンジスタと導電膜121が電気的に接続されるための開口を有する。
【0162】
絶縁膜130としては、上述の列挙した材料の中から選択することで形成できる。なお
、本実施の形態では、絶縁膜130としてアクリル樹脂を用いる。
【0163】
次に、絶縁膜119、導電膜120及び絶縁膜130上に導電膜121となる導電膜を
形成し、所望の領域が残るようにパターニングし、その後不要な領域をエッチングするこ
とで導電膜121を形成する(
図8(B)参照)。
【0164】
導電膜121としては、上述の列挙した材料の中から選択することで形成できる。なお
、本実施の形態においては、導電膜121としてAg-Pd-Cu合金を用いる。
【0165】
以上の工程によって、
図1(A)、(B)に示す液晶表示装置を作製することができる
。
【0166】
以上、本実施の形態で示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0167】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶表示装置について、実施の形態1に示す液晶
表示装置の変形例について、
図9乃至
図11を用いて説明する。なお、実施の形態1の図
1乃至
図8で示した符号と同様の箇所または同様の機能を有する箇所については同様の符
号を用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0168】
<液晶表示装置の構成例(変形例)>
図9(A)は、本発明の一態様の液晶表示装置の上面図であり、
図9(B)は、
図9(
A)の一点鎖線E-F間、及び一点鎖線G-H間における切断面の断面図に相当する。な
お、
図9(A)において、煩雑になることを避けるため、液晶表示装置の構成要素の一部
(ゲート絶縁膜等)を省略して図示している。
【0169】
図9(A)、(B)に示す液晶表示装置は、第1の酸化物半導体膜110を含むトラン
ジスタ150と、一対の電極間に絶縁膜を含む容量素子160と、を有する。トランジス
タ150及び容量素子160の構成は、
図1(A)、(B)に示す液晶表示装置と同様で
ある。なお、
図9(A)の一点鎖線E-Fはトランジスタ150のチャネル長方向を示し
ている。また一点鎖線G-Hはトランジスタ150のチャネル幅方向を示している。
【0170】
また、導電膜120aの構成は
図1(A)、(B)に示す導電膜120と同様である。
図9(A)、(B)に示すトランジスタ150、容量素子160、及び導電膜120aに
よって、液晶表示装置が有する一の画素を構成することができる。
【0171】
導電膜120bは、導電膜120aと同様の材料で、同時に形成することができる。導
電膜120bは、例えばトランジスタ150を含む一の画素と隣接する画素の画素電極と
しての機能を有する。
【0172】
本実施の形態で説明する液晶表示装置は、絶縁膜130が導電膜120b及び導電膜1
22と重畳する領域を有し、導電膜122は絶縁膜130及び導電膜120a上に設けら
れている。導電膜122は、導電膜120aと電気的に接続される。
【0173】
また、
図9(B)に示す液晶表示装置において、絶縁膜130は導電膜120a及び導
電膜120b上に設けられる。具体的には、絶縁膜130は導電膜120aの端部及び導
電膜120bの端部の上に重ねて設けられる。
【0174】
導電膜120a及び導電膜122は、絶縁膜130を介することで絶縁されている。よ
って、上面形状において、導電膜120a及び導電膜122の間の空隙をなくすことがで
きる。このような構成を有することで、本発明の一態様の液晶表示装置は画素の開口率を
高めることができる。また、画素の開口率を高めることで、表示画像のコントラストが高
く、また表示画像が明るい反射型の液晶表示装置とすることができる。
【0175】
なお、
図9(A)、(B)においては導電膜120b及び導電膜122は、絶縁膜13
0を介して互いに端部が概ね一致するように設けられている。すなわち上面形状において
、導電膜120b及び導電膜122の間に空隙を有さない構成としているが、これに限ら
れず、導電膜120b及び導電膜122の間に空隙を有していてもよい。また、
図10(
A)に示すように、導電膜120b及び導電膜122が、絶縁膜130を介して重なる領
域を有していてもよい。
【0176】
また、
図10(B)に示すように、導電膜122が導電膜120aの下に設けられてい
てもよい。
図10(B)に示す液晶表示装置は、導電膜120a及び絶縁膜130が導電
膜122上に設けられ、導電膜120bは絶縁膜130上に設けられる。導電膜120a
及び導電膜120bは、同様の材料を用いて同時に形成することができる。
図10(B)
では、上面形状において導電膜120b及び導電膜122の間に空隙を有さない構成とし
ているが、
図11(A)に示すように導電膜120b及び導電膜122が絶縁膜130を
介して重畳する領域を有していてもよい。
【0177】
なお、液晶表示装置において容量素子160が要する容量値に応じて、絶縁膜119の
膜厚を適宜調整することができる。また、絶縁膜119を設けない構成としてもよい。図
11(B)に、絶縁膜119を有さない液晶表示装置の断面図の一例を示す。
図11(B
)においては、絶縁膜118が容量素子160の誘電体膜として機能する。
【0178】
なお、第1の酸化物半導体膜110、及び第2の酸化物半導体膜111、111aの抵
抗率については、実施の形態1の記載を参酌することで、制御することができる。
【0179】
本実施の形態で示した液晶表示装置の各層の材料及び作製方法は、実施の形態1の説明
を参酌できる。導電膜120a、120bの材料及び作製方法は、実施の形態1の導電膜
120を参照できる。また、導電膜122の材料及び作製方法は、実施の形態1の導電膜
121を参照できる。
【0180】
以上、本実施の形態で示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0181】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶表示装置について、実施の形態1に示す液晶
表示装置の変形例について、
図12を用いて説明する。
【0182】
<液晶表示装置の構成例>
図12(A)は、本発明の一態様の液晶表示装置の上面図であり、
図12(B)は、図
12(A)の一点鎖線I-J間、及び一点鎖線K-L間における切断面の断面図に相当す
る。なお、
図12(A)において、煩雑になることを避けるため、液晶表示装置の構成要
素の一部(着色膜、ゲート絶縁膜等)を省略して図示している。
【0183】
図12(A)の一点鎖線I-Jはトランジスタ151のチャネル長方向を示している。
また一点鎖線K-Lはトランジスタ151のチャネル幅方向を示している。なお、本明細
書においてトランジスタのチャネル長方向とは、ソース(ソース領域またはソース電極)
及びドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)間において、キャリアが移動する方向
を意味し、チャネル幅方向は、基板と水平な面内において、チャネル長方向に対して垂直
の方向を意味する。
【0184】
図12(A)、(B)に示す液晶表示装置は、第1の酸化物半導体膜110及び第2の
酸化物半導体膜111aを含むトランジスタ151と、一対の電極間に絶縁膜を含む容量
素子160と、を有する。なお、容量素子160において、一対の電極の一方が第2の酸
化物半導体膜111であり、一対の電極の他方が導電膜120である。
【0185】
トランジスタ151は、基板102上のゲート電極104と、ゲート電極104上の第
1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜108と、絶縁膜108上のゲート電極104と
重畳する位置の第1の酸化物半導体膜110と、第1の酸化物半導体膜110上のソース
電極112a及びドレイン電極112bと、第1の酸化物半導体膜110、ソース電極1
12aおよびドレイン電極112b上の第2のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜114
、116と、絶縁膜116上の第1の酸化物半導体膜110と重畳する位置の第2の酸化
物半導体膜111aと、を有する。なお、
図12(A)、(B)に示すトランジスタ15
1は、所謂ダブルゲート構造である。
【0186】
また、トランジスタ151上、より詳しくは、第2の酸化物半導体膜111a、及び絶
縁膜116上に絶縁膜118、119が形成されている。絶縁膜114、116、118
は、トランジスタ151の保護絶縁膜としての機能を有する。絶縁膜119は、平坦化膜
としての機能を有する。また、絶縁膜114、116、118,119には、ドレイン電
極112bに達する開口143が形成されており、開口143を覆うように絶縁膜119
上に導電膜120が形成されている。すなわち、導電膜120はトランジスタ151と電
気的に接続される。導電膜120は、例えば液晶表示装置の画素電極としての機能を有す
る。
【0187】
容量素子160は、絶縁膜116上の一対の電極の一方の電極としての機能を有する第
2の酸化物半導体膜111と、第2の酸化物半導体膜111上の誘電体膜として機能する
絶縁膜118,119と、絶縁膜118,119を介して第2の酸化物半導体膜111と
重畳する位置の一対の電極の他方の電極としての機能を有する導電膜120と、を有する
。すなわち、導電膜120は画素電極としての機能と容量素子の電極としての機能を有す
る。
【0188】
図12(A)、(B)に示すトランジスタ151、容量素子160、及び導電膜120
によって、液晶表示装置が有する一の画素を構成することができる。
【0189】
また、絶縁膜130は、導電膜120の端部の上に重ねて設けられ、絶縁膜130上に
導電膜121が設けられている。導電膜121は、例えばトランジスタ151を含む一の
画素と隣接する画素の画素電極としての機能を有する。
【0190】
導電膜120及び導電膜121は、絶縁膜130を介することで絶縁されている。よっ
て、上面形状において、導電膜120及び導電膜121の間の空隙をなくすことができる
。このような構成を有することで、本発明の一態様の液晶表示装置は画素の開口率を高め
ることができる。また、画素の開口率を高めることで、表示画像のコントラストが高く、
また表示画像が明るい反射型の液晶表示装置とすることができる。
【0191】
また、導電膜120上には着色膜170が設けられ、導電膜121上には着色膜171
が設けられる。導電膜上に接して着色膜を設けることで、一の画素における画素電極の反
射光が隣接する画素の着色膜を通過するクロストークを抑制し、反射型液晶表示装置の視
野角依存性を抑えることができる。また、このような構成とすることで、液晶を介して基
板102と対向する基板(以下、対向基板とも記す)に着色膜を設ける必要がなくなるた
め、基板102と対向基板を貼り合わせる際に要求される位置合わせ精度を下げることが
できる。よって、液晶表示装置の作製において歩留りを向上させることができる。
【0192】
なお、
図12(B)においては絶縁膜130が導電膜120の端部を覆うように、導電
膜120の端部近傍にのみ設けられているが、これに限られない。絶縁膜130が、絶縁
膜130及び導電膜121の端部が互いに概ね一致するように重畳して設けられていても
よい。また、
図12(A)、(B)に示す液晶表示装置は、導電膜120及び導電膜12
1が絶縁膜130を介して重なる領域を有しているが、導電膜120及び導電膜121が
重なる領域を有していなくてもよい。
【0193】
液晶表示装置において容量素子160が要する容量値に応じて、絶縁膜119の膜厚を
適宜調整することができる。また絶縁膜119を設けない構成としてもよい。
【0194】
また、
図12(A)、(B)に示す液晶表示装置は絶縁膜116上に第2の酸化物半導
体膜111aを設けている。第2の酸化物半導体膜111aは、第2の酸化物半導体膜1
11と同時に成膜し、同時にエッチングすることで、トランジスタのチャネル領域と重な
るように設けてもよい。第2の酸化物半導体膜111aは、一例としては、第2の酸化物
半導体膜111と同時に成膜し、同時にエッチングして、同時に形成するため、同じ材料
を有している。そのため、プロセス工程の増加を抑制することができる。ただし、本発明
の実施形態の一態様は、これに限定されない。第2の酸化物半導体膜111aは、第2の
酸化物半導体膜111とは異なる工程で形成してもよい。
【0195】
第2の酸化物半導体膜111aは、トランジスタ151のチャネル領域となる第1の酸
化物半導体膜110と重なる領域を有している。したがって、第2の酸化物半導体膜11
1aは、トランジスタ151の第2のゲート電極としての機能を有している。そのため、
第2の酸化物半導体膜111aは、ゲート電極104と接続されていてもよい。または、
第2の酸化物半導体膜111aは、ゲート電極104と接続されずに、ゲート電極104
とは異なる信号や異なる電位が供給されていてもよい。このような構成とすることで、ト
ランジスタ151の電流駆動能力を向上させることができる。
【0196】
なお、第1の酸化物半導体膜110は、トランジスタ151のチャネル領域として機能
する。また、第2の酸化物半導体膜111は、容量素子160の一対の電極の一方の電極
として機能する。よって、第1の酸化物半導体膜110よりも第2の酸化物半導体膜11
1の抵抗率が低い。また、第1の酸化物半導体膜110と第2の酸化物半導体膜111は
、同一の金属元素を有すると好ましい。第1の酸化物半導体膜110と第2の酸化物半導
体膜111を同一の金属元素を有する構成とすることで、製造装置(例えば、成膜装置、
加工装置等)を共通に用いることが可能となるため、製造コストを抑制することができる
。
【0197】
なお、トランジスタ151上に設けられかつ容量素子160に用いられる絶縁膜118
としては、少なくとも水素を含む絶縁膜を用いる。また、トランジスタ151に用いる絶
縁膜107、並びにトランジスタ151上に設けられる絶縁膜114、116としては、
少なくとも酸素を含む絶縁膜を用いる。このように、トランジスタ151及び容量素子1
60に用いる絶縁膜、並びにトランジスタ151及び容量素子160上に用いる絶縁膜を
、上述の構成の絶縁膜とすることによって、トランジスタ151が有する第1の酸化物半
導体膜110及び容量素子160が有する第2の酸化物半導体膜111の抵抗率を制御す
ることができる。第1の酸化物半導体膜110、及び第2の酸化物半導体膜111、11
1aの抵抗率については、実施の形態1の記載を参酌することで、制御することができる
。
【0198】
なお、トランジスタ151において、第1の酸化物半導体膜110は、チャネル領域と
して用いるため、第2の酸化物半導体膜111と比較して抵抗率が高い。一方で、第2の
酸化物半導体膜111、111aは電極としての機能を有するため、第1の酸化物半導体
膜110と比較して抵抗率が低い。
【0199】
本実施の形態で示した液晶表示装置の各層の材料及び作製方法は、実施の形態1の説明
を参酌できる。着色膜170、171に用いることのできる材料としては、金属材料、樹
脂材料、顔料又は染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0200】
以上、本実施の形態で示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0201】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である液晶表示装置80について、
図13乃至
図2
5を用いて説明する。
【0202】
図13(A)に示す液晶表示装置80は、画素部71と、走査線駆動回路74と、信号
線駆動回路76と、各々が平行または略平行に配設され、且つ走査線駆動回路74によっ
て電位が制御されるm本の走査線77と、各々が平行または略平行に配設され、且つ信号
線駆動回路76によって電位が制御されるn本の信号線79と、を有する。m、nは、と
もに1以上の整数である。さらに、画素部71はマトリクス状に配設された複数の画素7
0を有する。また、走査線77に沿って、各々が平行または略平行に配設された容量配線
75を有する。また、走査線駆動回路74及び信号線駆動回路76をまとめて駆動回路部
という場合がある。
【0203】
各々の走査線77は、画素部71においてm行n列に配設された画素70のうち、いず
れかの行に配設されたn個の画素70と電気的に接続される。また、各々の信号線79は
、m行n列に配設された画素70のうち、いずれかの列に配設されたm個の画素70に電
気的に接続される。また、各容量配線75は、m行n列に配設された画素70のうち、い
ずれかの行に配設されたn個の画素70と電気的に接続される。
【0204】
図13(B)は、
図13(A)に示す液晶表示装置80の画素70に用いることができ
る回路構成の一例を示している。
【0205】
図13(B)に示す画素70は、液晶素子51と、トランジスタ50と、容量素子55
と、を有する。
【0206】
液晶素子51の一対の電極の一方は、トランジスタ50と接続され、電位は、画素70
の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子51の一対の電極の他方は、コモン線(図示し
ない)と接続され、電位は各画素に対して共通の電位(コモン電位)が与えられる。液晶
素子51が有する液晶は、トランジスタ50に書き込まれるデータにより配向状態が制御
される。
【0207】
なお、液晶素子51は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御す
る素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方
向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子51に用いる
液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強
誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により
、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相
等を示す。
【0208】
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよ
い。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリ
ック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発
現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組
成物を用いて液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、
応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む
液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくて
もよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破
壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができ
る。
【0209】
液晶素子51を有する液晶表示装置80の駆動方法としては、TN(Twisted
Nematic)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、F
FS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axiall
y Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(O
ptical Compensated Birefringence)モード、FLC
(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(A
ntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用い
ることができる。
【0210】
また、液晶素子51を有する液晶表示装置80の駆動方法として、MVA(Multi
-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patte
rned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどの垂直配
向モードを用いることができる。
【0211】
図13(B)に示す画素70の構成において、トランジスタ50のソース電極及びドレ
イン電極の一方は、信号線79に電気的に接続され、他方は液晶素子51の一対の電極の
一方に電気的に接続される。また、トランジスタ50のゲート電極は、走査線77に電気
的に接続される。トランジスタ50は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を
有する。
【0212】
図13(B)に示す画素70の構成において、容量素子55の一対の電極の一方は、ト
ランジスタ50のソース電極及びドレイン電極の他方に接続される。容量素子55の一対
の電極の他方は、容量配線75に電気的に接続される。容量配線75の電位の値は、画素
70の仕様に応じて適宜設定される。容量素子55は、書き込まれたデータを保持する保
持容量としての機能を有する。
【0213】
<液晶表示装置の構成例>
次に、液晶表示装置80の具体的な構成について説明する。まず、液晶表示装置80が
有する複数の画素70R、70G、70Bの上面図を
図14に示す。上面図においては、
液晶表示装置80に含まれる素子基板の構成についてのみ示している。また、
図14の一
点鎖線P1-P2における液晶表示装置80の断面図を
図15に示す。例えば、画素70
R、70G、70Bはそれぞれ赤、緑、青の表示を行う画素である。該表示は、液晶表示
装置80が画素70R、70G、70Bと重なる位置にそれぞれ赤色、緑色、青色の光を
選択的に透過する着色膜340R、340G、340Bを有することで実現できる。
【0214】
液晶表示装置80は、画素70R、画素70G、及び画素70Bを有する。画素70R
は、画素電極320R、トランジスタ50Rを有し、画素70Gは、画素電極320Gと
トランジスタ50Gを有し、画素70Bは、画素電極320Bとトランジスタ50Bを有
する。トランジスタ50Rは、信号線79R及び走査線77と電気的に接続される。トラ
ンジスタ50Gは、信号線79G及び走査線77と電気的に接続される。トランジスタ5
0Bは信号線79B及び走査線77と電気的に接続される。
【0215】
また、画素70Rは、画素電極320Rと酸化物半導体膜311Rとを一対の電極とす
る容量素子を有する。画素70Gは、画素電極320Gと酸化物半導体膜311Gとを一
対の電極とする容量素子を有する。画素70Bは、画素電極320Bと酸化物半導体膜3
11Bとを一対の電極とする容量素子を有する。酸化物半導体膜311R、311G、3
11Bは、容量配線75と電気的に接続される。
【0216】
液晶表示装置80は、同一の基板302上に少なくとも3つのトランジスタ(50R、
50G、及び50B)を有し、該トランジスタを覆う絶縁膜318及び絶縁膜318を覆
う絶縁膜319を有する(
図15参照)。画素電極320R、320G、320Bは絶縁
膜319上に設けられている。
【0217】
また、絶縁膜314、316、318、319の開口部を介して、画素電極320Rと
トランジスタ50Rのソース電極またはドレイン電極が電気的に接続され、画素電極32
0Gとトランジスタ50Gのソース電極またはドレイン電極が電気的に接続され、画素電
極320Bとトランジスタ50Bのソース電極またはドレイン電極が電気的に接続されて
いる。画素電極320R、320G、320B上には配向膜335が設けられている。
【0218】
液晶表示装置80は、基板303の側に着色膜340R、340G、340Bを有する
。各色の着色膜に重なるように絶縁膜344、コモン電極345、配向膜336を有する
。たとえば画素70Bにおける液晶素子51Bは、画素電極320Bと、コモン電極34
5と、画素電極320B及びコモン電極345に挟持される液晶層341によって構成さ
れる。なお、絶縁膜344が平坦化膜の機能を有していてもよい。また、絶縁膜344を
設けない構成としてもよい。
【0219】
また、画素電極320Bの一方の端部が、絶縁膜330aを間に挟んで画素電極320
Gの上に重ねて設けられ、画素電極320Bの他方の端部が、絶縁膜330bを間に挟ん
で画素電極320Rの上に重ねて設けられている。
【0220】
なお、
図15では絶縁膜330a、330bがそれぞれ画素電極320R、320Gの
端部を覆うように該端部近傍にのみ設けられているが、これに限られない。
図16に示す
ように、絶縁膜330Bが画素電極320R、320Gの端部を覆い、かつ絶縁膜330
Bと画素電極320Bの端部が概ね一致するように設けられてもよい。
図16に示す液晶
表示装置80において、絶縁膜330Bには開口が設けられ、該開口を介して画素電極3
20Bとトランジスタ50Bのソース電極またはドレイン電極が電気的に接続される。
【0221】
また、
図16では画素電極320Bの下に絶縁膜330Bを設け、画素電極320R、
320Gの下には設けない構成としているが、これに限られない。
図17に示すように、
画素70Gに隣接する画素70Rにおいて画素電極320Rの下に絶縁膜330Rが設け
られ、画素70Rに隣接する画素70Gにおいて画素電極320Gの下に絶縁膜330G
が設けられていてもよい。このような構成により、画素70R、70G、70Bをそれぞ
れ複数有する液晶表示装置において、画素70R、70G、70Bの開口率を一律に高め
ることができる。
【0222】
ところで、隣接する2つの画素電極の間に空隙を有する場合に、該空隙と重なる位置に
構造体を形成してもよい。
図18に示す液晶表示装置は、画素電極320Rと画素電極3
20G、画素電極320Gと画素電極320B、及び画素電極320Bと画素電極320
Rの間に空隙を有し、絶縁膜318上の該空隙と重なる位置に構造体333を有する。構
造体333として、可視光を遮る材料を用いることができる。例えば、構造体333はブ
ラックマトリクスとしての機能を有する。構造体333によって、構造体333より下層
に配線等がある場合に該配線が外光を反射することを抑制し、反射型液晶表示装置のコン
トラストを向上させることができる。
【0223】
また、
図19に示すように、複数の材料を用いて液晶表示装置が有する複数の画素電極
を構成してもよい。
図19においては、画素電極320R、320Gは同様の材料を用い
て同時に形成できる。また画素電極320Bは、画素電極320R、320Gと異なる材
料を用いている。例えば画素電極320R、320GにAPCを用い、画素電極320B
にアルミニウムを用いることができる。アルミニウムは青色の光の波長域(例えば400
nm以上450nm以下)における反射率がAPCよりも高いため、着色膜340Bを有
する画素70Bの画素電極として好適に用いることができる。また、画素電極320R、
320Gと画素電極320Bの膜厚を変えることで液晶素子が有する液晶層341の厚さ
を画素ごとに調整することができる。液晶層341を通過する光の波長に応じて液晶層3
41の厚さを変えることで、反射型液晶表示装置において外光を効率良く取り出すことが
できる。なお、
図19では絶縁膜330は隣接する異色画素間に設けられ、絶縁膜330
上に位置する画素電極(320G、320R)と絶縁膜330との端部は概ね一致してい
る。また絶縁膜330は全て、絶縁膜319上に設けられている。また、絶縁膜330は
画素電極上に、画素電極の端部を覆うように設けられていてもよい。
図20では絶縁膜3
30は、画素電極320Bの端部を覆うように設けられている。なお、
図21に示すよう
に絶縁膜330上に位置する画素電極(320G、320R)の端部が絶縁膜330の端
部より内側にあってもよい。
【0224】
本発明の一態様の液晶表示装置は、隣接する2つの画素電極間に絶縁膜を介することで
、上面形状において、隣接する2つの画素電極間の空隙をなくすことができる。このよう
な構成を有することで、画素の開口率を高めることができる。本発明の一態様によって、
液晶表示装置の開口率を75%以上100%未満、好ましくは90%以上100%未満、
より好ましくは98%以上100%未満とすることができる。
【0225】
なお、上面形状において、絶縁膜330を介して隣接する2つの画素電極の境界と、該
2つの画素電極とそれぞれ重なる着色膜との境界は一致しないことが好ましい。具体的に
は、例えば
図22に示すように、画素電極320Bをその端部近傍が着色膜340Rと重
なるように設けることが好ましい。
【0226】
画素電極320Bと隣接する画素電極320Rは絶縁膜330上にあるため、絶縁膜3
30上の画素電極320Rとコモン電極345との距離は、画素電極320Bとコモン電
極345との距離よりも小さい。また画素電極320Bの側面近傍に絶縁膜330及び画
素電極320Rが位置する。以上のことから、画素電極320Bと画素電極320Rの境
界付近において、画素電極320Bとコモン電極345との間にかかる電場よりも画素電
極320Rとコモン電極345との間にかかる電場の方が大きい。よって、画素電極32
0Rが形成する電場は画素電極320Bの端部近傍と重なる位置にも及ぶことになる。こ
のため、画素電極320Bをその端部近傍が着色膜340Rと重なるように設けることで
、画素70Rの表示における画素70Bからの光漏れを効果的に抑制することができる。
同様のことから、画素電極320Bをその端部近傍が着色膜340Gと重なるように設け
ることで、画素70Gの表示における画素70Bからの光漏れを効果的に抑制することが
できる。
【0227】
例えば、
図22において画素電極320Rの幅W
R、画素電極320Gの幅W
Gがそれ
ぞれ18μm、画素電極320Bの幅W
B1が21.5μmであるとする。また、APC
を用いて形成される画素電極320R、320Gの厚さがそれぞれ100nm、アルミニ
ウムを用いて形成される画素電極320Bの厚さが300nmであるとする。画素電極3
20Rの表面とコモン電極345の表面との距離d
1が2.2μmである場合、画素電極
320Bの端部を着色膜340Bの端部より0.5μm外側に配置する、すなわち着色膜
340Bの幅W
B2を20.5μmとすることで、液晶表示装置80の光漏れを抑制し、
ひいては表示の色純度を向上させることができる。なお、着色膜340Bと着色膜340
Rの端部および着色膜340Bと着色膜340Gの端部はそれぞれ一致しているものとす
る。
【0228】
また、
図23に示すように、着色膜を画素電極上に接して設けてもよい。すなわち、着
色膜340R、340G、340Bをそれぞれ画素電極320R、320G、320B上
に接して設けてもよい。このとき、配向膜335は着色膜340R、340G、340B
上に設けられ、また配向膜336はコモン電極345上に設けられる。このような構成と
することで、一の画素(例えば画素70B)における画素電極の反射光が隣接する画素(
例えば画素70G)の着色膜を通過するクロストークを抑制し、反射型液晶表示装置の視
野角依存性を抑えることができる。また、基板303側に着色膜を設ける必要がなくなる
ため、基板302と基板303を貼り合わせる際に要求される位置合わせ精度を下げるこ
とができる。よって、液晶表示装置の作製において歩留りを向上させることができる。
【0229】
また、
図23の構成に加えて、着色膜上にオーバーコート膜を設け、該絶縁膜上に導電
膜を設けてもよい。
図24に示す液晶表示装置は、着色膜340R、340G、340B
上に、オーバーコート膜337及び導電膜325R、325G、325Bを有する。導電
膜325Rは、オーバーコート膜337及び着色膜340Rに設けられた開口を介して画
素電極320Rと電気的に接続される。導電膜325Gは、オーバーコート膜337及び
着色膜340Gに設けられた開口を介して画素電極320Gと電気的に接続される。導電
膜325Bは、オーバーコート膜337及び着色膜340Bに設けられた開口を介して画
素電極320Bと電気的に接続される。
【0230】
導電膜325R、325G、325Bは透光性を有する導電膜であり、例えばコモン電
極345と同様の材料を用いることができる。
図24に示す液晶表示装置においては、た
とえば画素70Bにおける液晶素子51Bは、導電膜325Bと、コモン電極345と、
導電膜325B及びコモン電極345に挟持される液晶層341によって構成される。導
電膜325R、325G、325Bは画素電極としての機能を有する。また、画素電極3
20R、320G、320Bは反射膜としての機能を有する。
【0231】
トランジスタ50R、50G、50Bは、実施の形態1で説明したトランジスタ150
と同様の材料及び形成方法によって作製することができる。また、トランジスタ50R、
50G、50Bとして、実施の形態6で説明するトランジスタ270を用いてもよい。
【0232】
なお、
図25に示すように、トランジスタ50R、50G、50Bは、第2のゲート電
極を有することが好ましい。第2のゲート電極は、トランジスタの有する半導体層と画素
電極の間に、半導体層と重なる位置に設けることができる。例えば、第2のゲート電極は
酸化物半導体膜311Rと同様の材料を用いて同時に形成することができる。
図25に示
す液晶表示装置80は、
図15と比較してトランジスタ50R、50G、50Bが第2の
ゲート電極として機能する酸化物半導体膜311aを有する点が異なる。トランジスタ5
0R、50G、50Bが第2のゲート電極を有することで、半導体層と画素電極との距離
が近い場合に、画素電極の電位の変化がトランジスタの特性に与える影響を抑制すること
ができる。トランジスタと重なる位置にも画素電極を設けることで、液晶表示装置80の
開口率を広げることができる。
【0233】
画素70R、70G、70Bが有する各容量素子は、実施の形態1で説明した容量素子
160と同様の材料及び形成方法によって作製することができる。該容量素子において、
絶縁膜318及び絶縁膜319が誘電体膜として機能する。
【0234】
画素電極320R、320G、320Bとしては、実施の形態1で説明した導電膜12
0と同様の材料及び形成方法によって作製することができる。また、コモン電極345と
しては、例えば、可視光において、透光性を有する材料を用いればよい。具体的には、イ
ンジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いる
とよい。また、コモン電極345としては、例えば、酸化タングステンを含むインジウム
酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸
化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(ITO:Indiu
m Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫
酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。また、コモン電極345
としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0235】
絶縁膜344としては、プラズマCVD法、スパッタリング法等により、酸化シリコン
膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、
酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タ
ンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜
を一種以上含む絶縁膜を、用いることができる。
【0236】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法な
どと適宜組み合わせて用いることができる。
【0237】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶表示装置のトランジスタ及び容量素子に適用
可能な酸化物半導体の一例について説明する。
【0238】
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0239】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置
されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略
平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態
をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、
二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0240】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0241】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、nc-OS(nanocrystalline Oxide Semicond
uctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous l
ike Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
【0242】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物
半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体、nc-OSなどがある。
【0243】
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であ
って不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距
離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
【0244】
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(comple
tely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でな
い(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化
物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a-like OSは、微小な領域において周
期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため
、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
【0245】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0246】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体の一つである。
【0247】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micr
oscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一
方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーと
もいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に
起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0248】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。
図26(A)に
、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。
高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberratio
n Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を
、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、
日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行う
ことができる。
【0249】
図26(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を
図26(B)に示す
。
図26(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認でき
る。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)
または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0250】
図26(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。
図26(C
)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。
図26(B)および
図26(C
)より、ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあり、ペレッ
トとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。
したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともでき
る。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nanocr
ystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0251】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレ
ット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造
となる(
図26(D)参照。)。
図26(C)で観察されたペレットとペレットとの間で
傾きが生じている箇所は、
図26(D)に示す領域5161に相当する。
【0252】
また、
図27(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のC
s補正高分解能TEM像を示す。
図27(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3
)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ
図27(B)、
図27(C)および
図27(D)に示す。
図27(B)、
図27(C)および
図27(D)より、ペレットは
、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しか
しながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0253】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したC
AAC-OSについて説明する。例えば、InGaZnO
4の結晶を有するCAAC-O
Sに対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、
図28(A)に示すよ
うに回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGa
ZnO
4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向
性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0254】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31
°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°
近傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれること
を示している。より好ましいCAAC-OSは、out-of-plane法による構造
解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
【0255】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを5
6°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析
(φスキャン)を行っても、
図28(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに
対し、InGaZnO
4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφ
スキャンした場合、
図28(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属される
ピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは
、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0256】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGa
ZnO
4の結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nm
の電子線を入射させると、
図29(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回
折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
4
の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを
図29(B)に示す。
図2
9(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる
。なお、
図29(B)における第1リングは、InGaZnO
4の結晶の(010)面お
よび(100)面などに起因すると考えられる。また、
図29(B)における第2リング
は(110)面などに起因すると考えられる。
【0257】
上述したように、CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の
結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をす
るとCAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0258】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金
属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸
素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、
二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0259】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合が
ある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャ
リア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップと
なる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0260】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体で
ある。具体的には、8×1011個/cm3未満、好ましくは1×1011個/cm3未
満、さらに好ましくは1×1010個/cm3未満であり、1×10-9個/cm3以上
のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度
真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が
低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0261】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0262】
nc-OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明
確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は
、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。な
お、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸
化物半導体と呼ぶことがある。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界
を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレット
と起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと
呼ぶ場合がある。
【0263】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペ
レット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導
体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径の
X線を用いた場合、out-of-plane法による解析では、結晶面を示すピークは
検出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50
nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが
観測される。一方、nc-OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプ
ローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、
nc-OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高
い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測され
る場合がある。
【0264】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc
-OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有
する酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystal
s)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0265】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため
、nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くな
る。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのた
め、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0266】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物
半導体である。
【0267】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、
高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認
することのできない領域と、を有する。
【0268】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-lik
e OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すた
め、電子照射による構造の変化を示す。
【0269】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS
(試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いず
れの試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0270】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試
料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0271】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば
、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層
を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。こ
れらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度
であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞
の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と
見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa-b面に対応する。
【0272】
図30は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例であ
る。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。
図30より、a-li
ke OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体
的には、
図30中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程
度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10
8e
-/n
m
2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-O
SおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
8e
-
/nm
2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、
図30中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSお
よびCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度
であることがわかる。
【0273】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合が
ある。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとん
ど見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-
OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0274】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比
べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結
晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAA
C-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結
晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0275】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よ
って、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体におい
て、a-like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。ま
た、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm
3未満となる。
【0276】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異な
る単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積も
ることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わ
せる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少な
い種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0277】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS
、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0278】
<CAAC-OSの成膜方法>
以下では、CAAC-OSの成膜方法の一例について説明する。
図31は、成膜室内の
模式図である。CAAC-OSは、スパッタリング法により成膜することができる。
【0279】
図31に示すように、基板5220とターゲット5230とは向かい合うように配置し
ている。基板5220とターゲット5230との間にはプラズマ5240がある。また、
基板5220の下部には加熱機構5260が設けられている。図示しないが、ターゲット
5230は、バッキングプレートに接着されている。バッキングプレートを介してターゲ
ット5230と向かい合う位置には、複数のマグネットが配置される。マグネットの磁場
を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ば
れる。
【0280】
基板5220とターゲット5230との距離d(ターゲット-基板間距離(T-S間距
離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下と
する。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を5体積
%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましく
は0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット5230に一定以上の
電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマ5240が確認される。なお、ターゲッ
ト5230の近傍には磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ
領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン5201が生じる。イオン5201は
、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
【0281】
ターゲット5230は、複数の結晶粒を有する多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒に
は劈開面が含まれる。一例として、
図32に、ターゲット5230に含まれるInMZn
O
4(元素Mは、例えばAl、Ga、YまたはSn)の結晶構造を示す。なお、
図32(
A)は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO
4の結晶構造である。InM
ZnO
4の結晶では、酸素原子が負の電荷を有することにより、近接する二つのM-Zn
-O層の間に斥力が生じている。そのため、InMZnO
4の結晶は、近接する二つのM
-Zn-O層の間に劈開面を有する。
【0282】
高密度プラズマ領域で生じたイオン5201は、電界によってターゲット5230側に
加速され、やがてターゲット5230と衝突する。このとき、劈開面から平板状またはペ
レット状のスパッタ粒子であるペレット5200が剥離する(
図31参照)。ペレット5
200は、
図32(A)に示す二つの劈開面に挟まれた部分である。よって、ペレット5
200のみ抜き出すと、その断面は
図32(B)のようになり、上面は
図32(C)のよ
うになることがわかる。なお、ペレット5200は、イオン5201の衝突の衝撃によっ
て、構造に歪みが生じる場合がある。
【0283】
ペレット5200は、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状またはペレット状
のスパッタ粒子である。または、ペレット5200は、六角形、例えば正六角形の平面を
有する平板状またはペレット状のスパッタ粒子である。ただし、ペレット5200の形状
は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が複数個合わさった形状となる場合
がある。例えば、三角形(例えば、正三角形)が2個合わさった四角形(例えば、ひし形
)となる場合もある。
【0284】
ペレット5200は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。例えば、ペレット
5200は、厚さを0.4nm以上1nm以下、好ましくは0.6nm以上0.8nm以
下とする。また、例えば、ペレット5200は、幅を1nm以上100nm以下、好まし
くは2nm以上50nm以下、さらに好ましくは3nm以上30nm以下とする。例えば
、In-M-Zn酸化物を有するターゲット5230にイオン5201を衝突させる。そ
うすると、M-Zn-O層、In-O層およびM-Zn-O層の3層を有するペレット5
200が剥離する。なお、ペレット5200の剥離に伴い、ターゲット5230から粒子
5203も弾き出される。粒子5203は、原子1個または原子数個の集合体を有する。
そのため、粒子5203を原子状粒子(atomic particles)と呼ぶこと
もできる。
【0285】
ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、表面が負または正に帯電する
場合がある。例えば、ペレット5200がプラズマ5240中にあるO2-から負の電荷
を受け取る場合がある。その結果、ペレット5200の表面の酸素原子が負に帯電する場
合がある。また、ペレット5200は、プラズマ5240を通過する際に、プラズマ52
40中のインジウム、元素M、亜鉛または酸素などと結合することで成長する場合がある
。
【0286】
プラズマ5240を通過したペレット5200および粒子5203は、基板5220の
表面に達する。なお、粒子5203の一部は、質量が小さいため真空ポンプなどによって
外部に排出される場合がある。
【0287】
次に、基板5220の表面におけるペレット5200および粒子5203の堆積につい
て
図33を用いて説明する。
【0288】
まず、一つ目のペレット5200が基板5220に堆積する。ペレット5200は平板
状であるため、平面側を基板5220の表面に向けて堆積する。このとき、ペレット52
00の基板5220側の表面の電荷が、基板5220を介して抜ける。
【0289】
次に、二つ目のペレット5200が、基板5220に達する。このとき、既に堆積して
いるペレット5200の表面、および二つ目のペレット5200の表面が電荷を帯びてい
るため、互いに反発し合う力が生じる。その結果、二つ目のペレット5200は、既に堆
積しているペレット5200上を避け、基板5220の表面の少し離れた場所に平面側を
向けて堆積する。これを繰り返すことで、基板5220の表面には、無数のペレット52
00が一層分の厚みだけ堆積する。また、ペレット5200間には、ペレット5200の
堆積していない領域が生じる(
図33(A)参照)。
【0290】
次に、プラズマからエネルギーを受け取った粒子5203が基板5220の表面に達す
る。粒子5203は、ペレット5200の表面などの活性な領域には堆積することができ
ない。そのため、粒子5203は、ペレット5200の堆積していない領域へ動き、ペレ
ット5200の側面に付着する。粒子5203は、プラズマから受け取ったエネルギーに
より結合手が活性状態となることで、ペレット5200と化学的に連結して横成長部52
02を形成する(
図33(B)参照)。
【0291】
さらに、横成長部5202が横方向に成長(ラテラル成長ともいう。)することで、ペ
レット5200間を連結させる(
図33(C)参照)。このように、ペレット5200の
堆積していない領域を埋めるまで横成長部5202が形成される。このメカニズムは、原
子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法の堆積メカニ
ズムに類似する。
【0292】
したがって、ペレット5200がそれぞれ異なる方向を向けて堆積する場合でも、ペレ
ット5200間を粒子5203がラテラル成長しながら埋めるため、明確な結晶粒界が形
成されることがない。また、ペレット5200間を、粒子5203が滑らかに結びつける
ため、単結晶とも多結晶とも異なる結晶構造が形成される。言い換えると、微小な結晶領
域(ペレット5200)間に歪みを有する結晶構造が形成される。このように、結晶領域
間を埋める領域は、歪んだ結晶領域であるため、該領域を指して非晶質構造と呼ぶのは適
切ではないと考えられる。
【0293】
次に、新たなペレット5200が、平面側を表面に向けて堆積する(
図33(D)参照
)。そして、粒子5203が、ペレット5200の堆積していない領域を埋めるように堆
積することで横成長部5202を形成する(
図33(E)参照)。こうして、粒子520
3がペレット5200の側面に付着し、横成長部5202がラテラル成長することで、二
層目のペレット5200間を連結させる(
図33(F)参照)。m層目(mは二以上の整
数。)が形成されるまで成膜は続き、積層体を有する薄膜構造となる。
【0294】
なお、ペレット5200の堆積の仕方は、基板5220の表面温度などによっても変化
する。例えば、基板5220の表面温度が高いと、ペレット5200が基板5220の表
面でマイグレーションを起こす。その結果、ペレット5200間が、粒子5203を介さ
ずに連結する割合が増加するため、より配向性の高いCAAC-OSとなる。CAAC-
OSを成膜する際の基板5220の表面温度は、室温以上340℃未満、好ましくは室温
以上300℃以下、より好ましくは100℃以上250℃以下、さらに好ましくは100
℃以上200℃以下である。したがって、基板5220として第8世代以上の大面積基板
を用いた場合でも、CAAC-OSの成膜に起因した反りなどはほとんど生じないことが
わかる。
【0295】
一方、基板5220の表面温度が低いと、ペレット5200が基板5220の表面でマ
イグレーションを起こしにくくなる。その結果、ペレット5200同士が積み重なること
で配向性の低いnc-OSなどとなる。nc-OSでは、ペレット5200が負に帯電し
ていることにより、ペレット5200は一定間隔を空けて堆積する可能性がある。したが
って、配向性は低いものの、僅かに規則性を有することにより、非晶質酸化物半導体と比
べて緻密な構造となる。
【0296】
また、CAAC-OSにおいて、ペレット同士の隙間が極めて小さくなることで、一つ
の大きなペレットが形成される場合がある。一つの大きなペレットの内部は単結晶構造を
有する。例えば、ペレットの大きさが、上面から見て10nm以上200nm以下、15
nm以上100nm以下、または20nm以上50nm以下となる場合がある。
【0297】
以上のような成膜モデルにより、ペレットが基板の表面に堆積していくと考えられる。
被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC-OSの成膜が可能であること
から、エピタキシャル成長とは異なる成長機構である上述した成膜モデルの妥当性が高い
ことがわかる。また、上述した成膜モデルであるため、CAAC-OSおよびnc-OS
は、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能であることがわかる。例えば、
基板の表面(被形成面)の構造が非晶質構造(例えば非晶質酸化シリコン)であっても、
CAAC-OSを成膜することは可能である。
【0298】
また、被形成面である基板の表面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレットが
配列することがわかる。
【0299】
また、上述した成膜モデルより、結晶性の高いCAAC-OSを成膜するためには以下
のようにすればよいことがわかる。まず、平均自由行程を長くするために、より高真空状
態で成膜する。次に、基板近傍における損傷を低減するために、プラズマのエネルギーを
弱くする。次に、被形成面に熱エネルギーを加え、プラズマによる損傷を成膜するたびに
治癒する。
【0300】
また、上述した成膜モデルは、ターゲットが複数の結晶粒を有するIn-M-Zn酸化
物のような複合酸化物の多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる場合
に限定されない。例えば、酸化インジウム、元素Mの酸化物および酸化亜鉛を有する混合
物のターゲットを用いた場合にも適用することができる。
【0301】
混合物のターゲットは劈開面を有さないため、スパッタされるとターゲットからは原子
状粒子が剥離する。成膜時には、ターゲット近傍にプラズマの強電界領域が形成されてい
る。そのため、ターゲットから剥離した原子状粒子は、プラズマの強電界領域の作用で連
結して横成長する。例えば、まず原子状粒子であるインジウムが連結して横成長してIn
-O層からなるナノ結晶となる。次に、それを補完するように上下にM-Zn-O層が結
合する。このように、混合物のターゲットを用いた場合でも、ペレットが形成される可能
性がある。そのため、混合物のターゲットを用いた場合でも、上述した成膜モデルを適用
することができる。
【0302】
ただし、ターゲット近傍にプラズマの強電界領域が形成されていない場合、ターゲット
から剥離した原子状粒子のみが基板表面に堆積することになる。その場合も、基板表面に
おいて原子状粒子が横成長する場合がある。ただし、原子状粒子の向きが一様でないため
、得られる薄膜における結晶の配向性も一様にはならない。即ち、nc-OSなどとなる
。
【0303】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1に示すトランジスタとは異なる構成のトランジスタの
構成について、
図34乃至
図37を参照して説明する。
【0304】
<トランジスタの構成例1>
図34(A)は、トランジスタ270の上面図であり、
図34(B)は、
図34(A)
に示す一点鎖線X1-X2間における切断面の断面図に相当し、
図34(C)は、
図34
(A)に示す一点鎖線Y1-Y2間における切断面の断面図に相当する。なお、一点鎖線
X1-X2方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1-Y2方向をチャネル幅方向と呼称する
場合がある。
【0305】
トランジスタ270は、基板202上の第1のゲート電極として機能する導電膜204
と、基板202及び導電膜204上の絶縁膜206と、絶縁膜206上の絶縁膜207と
、絶縁膜207上の酸化物半導体膜208と、酸化物半導体膜208に電気的に接続され
るソース電極として機能する導電膜212aと、酸化物半導体膜208に電気的に接続さ
れるドレイン電極として機能する導電膜212bと、酸化物半導体膜208、導電膜21
2a及び導電膜212b上の絶縁膜214、216と、絶縁膜216上の酸化物半導体膜
211bと、を有する。また、酸化物半導体膜211b上に絶縁膜218が設けられる。
【0306】
また、トランジスタ270において、絶縁膜214及び絶縁膜216は、トランジスタ
270の第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。また、酸化物半導体膜211aは、
絶縁膜214及び絶縁膜216に設けられる開口部252cを介して、導電膜212bと
接続される。酸化物半導体膜211aは、例えば、表示装置に用いる画素電極としての機
能を有する。また、トランジスタ270において、酸化物半導体膜211bは、第2のゲ
ート電極(バックゲート電極ともいう)として機能する。
【0307】
また、
図34(C)に示すように酸化物半導体膜211bは、絶縁膜206、207、
絶縁膜214及び絶縁膜216に設けられる開口部252a、252bにおいて、第1の
ゲート電極として機能する導電膜204に接続される。よって、導電膜220bと酸化物
半導体膜211bとは、同じ電位が与えられる。
【0308】
なお、本実施の形態においては、開口部252a、252bを設け、酸化物半導体膜2
11bと導電膜204を接続する構成について例示したが、これに限定されない。例えば
、開口部252aまたは開口部252bのいずれか一方の開口部のみを形成し、酸化物半
導体膜211bと導電膜204を接続する構成、または開口部252a及び開口部252
bを設けずに、酸化物半導体膜211bと導電膜204を接続しない構成としてもよい。
なお、酸化物半導体膜211bと導電膜204を接続しない構成の場合、酸化物半導体膜
211bと導電膜204には、それぞれ異なる電位を与えることができる。
【0309】
また、
図34(B)に示すように、酸化物半導体膜208は、第1のゲート電極として
機能する導電膜204と、第2のゲート電極として機能する酸化物半導体膜211bのそ
れぞれと対向するように位置し、2つのゲート電極として機能する導電膜に挟まれている
。第2のゲート電極として機能する酸化物半導体膜211bのチャネル長方向の長さ及び
チャネル幅方向の長さは、酸化物半導体膜208のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅
方向の長さよりもそれぞれ長く、酸化物半導体膜208の全体は、絶縁膜214及び絶縁
膜216を介して酸化物半導体膜211bに覆われている。また、第2のゲート電極とし
て機能する酸化物半導体膜211bと第1のゲート電極として機能する導電膜204とは
、絶縁膜206、207、絶縁膜214及び絶縁膜216に設けられる開口部252a、
252bにおいて接続されるため、酸化物半導体膜208のチャネル幅方向の側面は、絶
縁膜214及び絶縁膜216を介して第2のゲート電極として機能する酸化物半導体膜2
11bと対向している。
【0310】
別言すると、トランジスタ270のチャネル幅方向において、第1のゲート電極として
機能する導電膜204及び第2のゲート電極として機能する酸化物半導体膜211bは、
第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜206、207及び第2のゲート絶縁膜として
機能する絶縁膜214及び絶縁膜216に設けられる開口部において接続すると共に、第
1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜206、207並びに第2のゲート絶縁膜として
機能する絶縁膜214及び絶縁膜216を介して酸化物半導体膜208を囲む構成である
。
【0311】
このような構成を有することで、トランジスタ270に含まれる酸化物半導体膜208
を、第1のゲート電極として機能する導電膜204及び第2のゲート電極として機能する
酸化物半導体膜211bの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ270
のように、第1のゲート電極及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル領域が形成
される酸化物半導体膜を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造をsurrounde
d channel(s-channel)構造と呼ぶことができる。
【0312】
トランジスタ270は、s-channel構造を有するため、第1のゲート電極とし
て機能する導電膜204によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に酸化物半導
体膜208に印加することができるため、トランジスタ270の電流駆動能力が向上し、
高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能である
ため、トランジスタ270を微細化することが可能となる。また、トランジスタ270は
、第1のゲート電極として機能する導電膜204及び第2のゲート電極として機能する酸
化物半導体膜211bによって囲まれた構造を有するため、トランジスタ270の機械的
強度を高めることができる。
【0313】
<トランジスタの構成例2>
次に、
図34(A)(B)(C)に示すトランジスタ270と異なる構成例について、
図35(A)(B)(C)(D)を用いて説明する。
図35(A)(B)は、
図34(B
)(C)に示すトランジスタ270の変形例の断面図である。また、
図35(C)(D)
は、
図34(B)(C)に示すトランジスタ270の変形例の断面図である。
【0314】
図35(A)(B)に示すトランジスタ270Aは、
図34(B)(C)に示すトラン
ジスタ270が有する酸化物半導体膜208を3層の積層構造としている。より具体的に
は、トランジスタ270Aが有する酸化物半導体膜208は、酸化物半導体膜208aと
、酸化物半導体膜208bと、酸化物半導体膜208cと、を有する。
【0315】
図35(C)(D)に示すトランジスタ270Bは、
図34(B)(C)に示すトラン
ジスタ270が有する酸化物半導体膜208を2層の積層構造としている。より具体的に
は、トランジスタ270Bが有する酸化物半導体膜208は、酸化物半導体膜208bと
、酸化物半導体膜208cと、を有する。
【0316】
本実施の形態に示すトランジスタ270、270A及び270Bの構成は、実施の形態
1で説明した液晶表示装置の構成を参照できる。すなわち、基板202の材料及び作製方
法は、基板102を参照できる。導電膜204の材料及び作製方法は、ゲート電極104
を参照できる。絶縁膜206及び絶縁膜207の材料及び作製方法は、それぞれ絶縁膜1
06及び絶縁膜107を参照できる。酸化物半導体膜208の材料及び作製方法は、第1
の酸化物半導体膜110を参照できる。酸化物半導体膜211a及び酸化物半導体膜21
1bの材料及び作製方法は、第2の酸化物半導体膜111を参照できる。導電膜212a
及び導電膜212bの材料及び作製方法は、それぞれソース電極112a及びドレイン電
極112bを参照できる。絶縁膜214、絶縁膜216及び絶縁膜218の材料及び作製
方法は、それぞれ絶縁膜114、絶縁膜116及び絶縁膜118を参照できる。
【0317】
ここで、酸化物半導体膜208、及び酸化物半導体膜208に接する絶縁膜のバンド構
造について、
図36を用いて説明する。
【0318】
図36(A)は、絶縁膜207、酸化物半導体膜208a、208b、208c、及び
絶縁膜214を有する積層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。また、
図36(B
)は、絶縁膜207、酸化物半導体膜208b、208c、及び絶縁膜214を有する積
層構造の膜厚方向のバンド構造の一例である。なお、バンド構造は、理解を容易にするた
め絶縁膜207、酸化物半導体膜208a、208b、208c、及び絶縁膜214の伝
導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
【0319】
また、
図36(A)は、絶縁膜207、214として酸化シリコン膜を用い、酸化物半
導体膜208aとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸
化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜208bとし
て金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸化物ターゲットを用
いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜208cとして金属元素の原子数
比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成される酸化
物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
【0320】
また、
図36(B)は、絶縁膜207、214として酸化シリコン膜を用い、酸化物半
導体膜208bとして金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=4:2:4.1の金属酸
化物ターゲットを用いて形成される酸化物半導体膜を用い、酸化物半導体膜208cとし
て金属元素の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用
いて形成される酸化物半導体膜を用いる構成のバンド図である。
【0321】
図36(A)(B)に示すように、酸化物半導体膜208a、208b、208cにお
いて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化ま
たは連続接合するともいうことができる。このようなバンド構造を有するためには、酸化
物半導体膜208aと酸化物半導体膜208bとの界面、または酸化物半導体膜208b
と酸化物半導体膜208cとの界面において、トラップ中心や再結合中心のような欠陥準
位を形成するような不純物が存在しないとする。
【0322】
酸化物半導体膜208a、208b、208cに連続接合を形成するためには、ロード
ロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜
を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。
【0323】
図36(A)(B)に示す構成とすることで酸化物半導体膜208bがウェル(井戸)
となり、上記積層構造を用いたトランジスタにおいて、チャネル領域が酸化物半導体膜2
08bに形成されることがわかる。
【0324】
なお、酸化物半導体膜208a、208cを設けることにより、酸化物半導体膜208
bに形成されうるトラップ準位を酸化物半導体膜208bより遠ざけることができる。
【0325】
また、トラップ準位がチャネル領域として機能する酸化物半導体膜208bの伝導帯下
端のエネルギー準位(Ec)より真空準位から遠くなり、トラップ準位に電子が蓄積しや
すくなってしまうことがある。トラップ準位に電子が蓄積されることで、マイナスの固定
電荷となり、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。したがって
、トラップ準位が酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)より真
空準位に近くなるような構成にすると好ましい。このようにすることで、トラップ準位に
電子が蓄積しにくくなり、トランジスタのオン電流を増大させることが可能であると共に
、電界効果移動度を高めることができる。
【0326】
また、酸化物半導体膜208a、208cは、酸化物半導体膜208bよりも伝導帯下
端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体膜208bの伝導帯下
端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜208a、208cの伝導帯下端のエネルギー準
位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV
以下である。すなわち、酸化物半導体膜208a、208cの電子親和力と、酸化物半導
体膜208bの電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2
eV以下、または1eV以下である。
【0327】
このような構成を有することで、酸化物半導体膜208bが主な電流経路となる。すな
わち、酸化物半導体膜208bは、チャネル領域としての機能を有し、酸化物半導体膜2
08a、208cは、酸化物絶縁膜としての機能を有する。また、酸化物半導体膜208
a、208cは、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜208bを構成する金属元素
の一種以上から構成される酸化物半導体膜であるため、酸化物半導体膜208aと酸化物
半導体膜208bとの界面、または酸化物半導体膜208bと酸化物半導体膜208cと
の界面において、界面散乱が起こりにくい。従って、該界面においてはキャリアの動きが
阻害されないため、トランジスタの電界効果移動度が高くなる。
【0328】
また、酸化物半導体膜208a、208cは、チャネル領域の一部として機能すること
を防止するため、導電率が十分に低い材料を用いるものとする。そのため、酸化物半導体
膜208a、208cを、その物性及び/または機能から、それぞれ酸化物絶縁膜とも呼
ぶことができる。また、酸化物半導体膜208a、208cには、電子親和力(真空準位
と伝導帯下端のエネルギー準位との差)が酸化物半導体膜208bよりも小さく、伝導帯
下端のエネルギー準位が酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネルギー準位と差分(
バンドオフセット)を有する材料を用いるものとする。また、ドレイン電圧の大きさに依
存したしきい値電圧の差が生じることを抑制するためには、酸化物半導体膜208a、2
08cの伝導帯下端のエネルギー準位が、酸化物半導体膜208bの伝導帯下端のエネル
ギー準位よりも真空準位に近い材料を用いると好適である。例えば、酸化物半導体膜20
8bの伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体膜208a、208cの伝導帯下端
のエネルギー準位との差が、0.2eV以上、好ましくは0.5eV以上とすることが好
ましい。
【0329】
また、酸化物半導体膜208a、208cは、膜中にスピネル型の結晶構造が含まれな
いことが好ましい。酸化物半導体膜208a、208cの膜中にスピネル型の結晶構造を
含む場合、該スピネル型の結晶構造と他の領域との界面において、導電膜212a、21
2bの構成元素が酸化物半導体膜208bへ拡散してしまう場合がある。なお、酸化物半
導体膜208a、208cがCAAC-OSである場合、導電膜212a、212bの構
成元素、例えば、銅元素のブロッキング性が高くなり好ましい。
【0330】
酸化物半導体膜208a、208cの膜厚は、導電膜212a、212bの構成元素が
酸化物半導体膜208bに拡散することを抑制することのできる膜厚以上であって、絶縁
膜214から酸化物半導体膜208bへの酸素の供給を抑制する膜厚未満とする。例えば
、酸化物半導体膜208a、208cの膜厚が10nm以上であると、導電膜212a、
212bの構成元素が酸化物半導体膜208bへ拡散するのを抑制することができる。ま
た、酸化物半導体膜208a、208cの膜厚を100nm以下とすると、絶縁膜214
から酸化物半導体膜208bへ効果的に酸素を供給することができる。
【0331】
また、本実施の形態においては、酸化物半導体膜208a、208cとして、金属元素
の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1.2の金属酸化物ターゲットを用いて形成さ
れる酸化物半導体膜を用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、酸
化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]、
In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比
]、またはIn:Ga:Zn=1:3:6[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いて
形成される酸化物半導体膜を用いてもよい。
【0332】
なお、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:1:1[原
子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜208a、208cは、
In:Ga:Zn=1:β1(0<β1≦2):β2(0<β2≦3)となる場合がある
。また、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原
子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜208a、208cは、
In:Ga:Zn=1:β3(1≦β3≦5):β4(2≦β4≦6)となる場合がある
。また、酸化物半導体膜208a、208cとして、In:Ga:Zn=1:3:6[原
子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる場合、酸化物半導体膜208a、208cは、
In:Ga:Zn=1:β5(1≦β5≦5):β6(4≦β6≦8)となる場合がある
。
【0333】
また、トランジスタ270が有する酸化物半導体膜208と、トランジスタ270A、
270Bが有する酸化物半導体膜208cと、は図面において、導電膜212a、212
bと重畳しない領域の酸化物半導体膜が薄くなる、別言すると酸化物半導体膜の一部が凹
部を有する形状について例示している。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、導
電膜212a、212bと重畳しない領域の酸化物半導体膜が凹部を有さなくてもよい。
この場合の一例を
図37(A)(B)に示す。
図37(A)(B)は、トランジスタの一
例を示す断面図である。なお、
図37(A)(B)は、先に示すトランジスタ270Bの
酸化物半導体膜208が凹部を有さない構造である。
【0334】
また、
図37(C)(D)に示すように、酸化物半導体膜208cの膜厚を、予め酸化
物半導体膜208bよりも薄く形成し、さらに酸化物半導体膜208c及び絶縁膜207
上に絶縁膜219を形成してもよい。この場合、絶縁膜219には酸化物半導体膜208
cと導電膜212a及び導電膜212bとが接するための開口を形成する。絶縁膜219
は、絶縁膜214と同様の材料及び形成方法によって形成できる。
【0335】
また、本実施の形態に係るトランジスタは、上記の構造のそれぞれを自由に組み合わせ
ることが可能である。
【0336】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み
合わせて用いることができる。
【0337】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成について、
図38乃至
図45を参
照しながら説明する。
【0338】
<表示装置の構成例1.>
図38は本発明の一態様の表示装置の構成を説明する上面図である。また
図39は本発
明の一態様の表示装置が備える画素の構成を説明する上面図である。
【0339】
図40は、
図38に示す切断線Z1-Z2、Z3-Z4、Z5-Z6における本発明の
一態様の表示装置の断面の構成を説明する断面図である。
【0340】
図41(A)は、
図38に示す切断線Z1-Z2、Z3-Z4、Z5-Z6における本
発明の一態様の表示装置の第1の表示部700Eの断面の構成を説明する断面図であり、
図41(B)は、トランジスタの構成を説明する断面図である。
【0341】
図42は、
図38に示す切断線Z1-Z2、Z3-Z4、Z5-Z6における本発明の
一態様の表示装置の第2の表示部500Eの断面の構成を説明する断面図である。
【0342】
本実施の形態で説明する表示装置は、画素702Eと、基板710と、を有する(
図3
8、
図39および
図40参照)。なお、副画素702EB、副画素702EGまたは副画
素702ERを、画素702Eに用いることができる。
【0343】
基板710は、画素702Eを支持する機能を備える(
図40参照)。
【0344】
画素702Eは、第1の表示素子750EBと、第1の表示素子750EBと重なる領
域を備える第2の表示素子550EBと、を備える(
図39および
図40参照)。
【0345】
第1の表示素子750EBは、外光を反射する反射膜(第1の導電膜751EB)およ
び外光の透過を制御する機能を備える。反射膜(第1の導電膜751EB)は、開口部7
51Hを備える。
【0346】
第2の表示素子550EBは、開口部751Hと重なる領域および開口部751Hに向
けて光を射出する機能を備える。
【0347】
また、第1の表示素子750EBは、液晶層753、第1の導電膜751EBおよび第
2の導電膜752を備える(
図41参照)。
【0348】
第2の表示素子550EBは、発光性の有機化合物を含む層553E、第3の導電膜5
51EBおよび第4の導電膜552を備える(
図42参照)。
【0349】
開口部751Hは、第1の導電膜751EBの面積の、例えば5%以上35%以下、好
ましくは15%以上25%以下の面積を備える。
【0350】
第2の表示素子550EBは、開口部751Hと概ね重なる形状の領域に光を射出する
機能を備える。なお、開口部751Hと概ね重なる形状の領域は、開口部751Hと重な
る領域と重ならない領域を有する。そして、開口部751Hと重ならない領域の面積は、
重なる領域の面積に対して20%以下好ましくは10%以下である。
【0351】
具体的には、第2の表示素子550EBの光を射出する領域は、開口部751Hの面積
の0.5倍以上1.5倍未満の面積、好ましくは0.8倍以上1.2倍未満の面積、より
好ましくは0.9倍以上1.1倍未満の面積を備える。
【0352】
上記の表示装置は、副画素702EBと副画素702EBを支持する基板710とを有
し、副画素702EBは、開口部751Hを備える反射膜を第1の導電膜751EBに用
いる第1の表示素子750EB(例えば、反射型の液晶素子)と、開口部751Hに向け
て光を射出する第2の表示素子550EB(例えば、有機EL素子)と、を含んで構成さ
れる。
【0353】
これにより、反射型の表示装置として、例えば、外光の強い環境において使用すること
ができ、自発光型の表示装置として、例えば、薄暗い環境において使用することができる
。その結果、消費電力が低減された、利便性または信頼性に優れた新規な表示装置を提供
することができる。
【0354】
また、隣接する副画素間において、2つの画素電極間に絶縁膜が設けられる。具体的に
は、副画素702EBが有する第1の導電膜751EB及び副画素702EGが有する第
1の導電膜751EGの間に、絶縁膜777が設けられる。絶縁膜777を介して第1の
導電膜751EB及び第1の導電膜751EGが絶縁されることで、上面形状において第
1の導電膜751EB及び第1の導電膜751EGの間の空隙をなくすことができる。こ
のような構成とすることで、第1の表示部700Eの画素の開口率を高めることができる
。また、画素の開口率を高めることで、第1の表示部700Eによる表示画像のコントラ
ストを高く、また表示画像を明るくすることができる。
【0355】
<構成>
本発明の一態様の表示装置は、第1の表示部700E、第2の表示部500Eおよび接
着層535を有する(
図38および
図40参照)。
【0356】
《第1の表示部700E》
第1の表示部700Eは、画素部、配線部、ソースドライバ回路部SD1、ゲートドライ
バ回路部GD1および端子部を有する(
図38および
図41参照)。
【0357】
また、第1の表示部700Eは、基板710、基板770、構造体KB1、液晶層75
3、シール材730および光学フィルム770Pを有する。
【0358】
基板770は、基板710と重なる領域を備える。
【0359】
シール材730は、基板710および基板770を貼り合せる機能を備える。
【0360】
液晶層753は、基板710、基板770およびシール材730で囲まれた領域に配設
される。
【0361】
構造体KB1は、基板710および基板770の間に配置される。構造体KB1は、所
定の距離の間隙を基板710および基板770の間に形成する機能を備える。
【0362】
《画素部》
画素部は画素702E、絶縁膜771、絶縁膜721A、絶縁膜721Bおよび絶縁膜7
28を備える。
【0363】
例えば、複数の副画素を画素702Eに用いることができる。具体的には、青色の表示
をする副画素702EB、緑色の表示をする副画素702EG、赤色の表示をする副画素
702ER等を用いることができる。また、白色の表示をする副画素または黄色の表示を
する副画素等を用いることができる。
【0364】
例えば、青色の表示をする画素の面積を、他の色の表示をする画素の面積より大きくす
る。これにより、白色の表示を好適にすることができる。
【0365】
《画素》
副画素702EBは、第1の表示素子750EB、着色膜CFB1および画素回路を有す
る。
【0366】
《第1の表示素子750EB》
例えば、光の反射または透過を制御する機能を備える表示素子を、第1の表示素子750
EBに用いることができる。例えば、液晶素子と偏光板を組み合わせた構成またはシャッ
ター方式のMEMS表示素子等を用いることができる。
【0367】
具体的には、IPS(In-Plane-Switching)モード、TN(Twi
sted Nematic)モード、FFS(Fringe Field Switch
ing)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Mi
cro-cell)モード、OCB(Optically Compensated B
irefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liqui
d Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liq
uid Crystal)モードなどの駆動方法を用いて駆動することができる液晶素子
を用いることができる。
【0368】
また、例えば垂直配向(VA)モード、具体的には、MVA(Multi-Domai
n Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned V
ertical Alignment)モード、ASVモードなどの駆動方法を用いて駆
動することができる液晶素子を用いることができる。
【0369】
例えば、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電
性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コ
レステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を
示す液晶材料を用いることができる。または、ブルー相を示す液晶材料を用いることがで
きる。
【0370】
例えば、液晶材料を含む液晶層753、液晶材料の配向を制御する電界を印加できるよ
うに配置された第1の導電膜751EBおよび第2の導電膜752を備える。
【0371】
導電性を備える材料を第1の導電膜751EBに用いることができる。
【0372】
例えば、配線部に用いる材料を第1の導電膜751EBまたは第2の導電膜752に用
いることができる。
【0373】
例えば、液晶層753側から入射する光を反射する材料を第1の導電膜751EBに用
いることができる。これにより、第1の表示素子750EBを反射型の液晶素子にするこ
とができる。第1の導電膜751EBは画素電極としての機能を有する。
【0374】
また、例えば、表面に凹凸を備える導電膜を、第1の導電膜751EBに用いてもよい
。これにより、入射する光をさまざまな方向に反射して、白色の表示をすることができる
。
【0375】
例えば、可視光について透光性を有し且つ導電性を備える材料を、第2の導電膜752
に用いることができる。
【0376】
例えば、導電性酸化物またはインジウムを含む導電性酸化物を第2の導電膜752に用
いることができる。または、光が透過する程度に薄い金属膜を第2の導電膜752に用い
ることができる。
【0377】
具体的には、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛
、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを、第2の導電膜752に用いることができる。
【0378】
《開口部751H》
第1の表示部700Fは、開口部751Hを第1の導電膜751EBに備える。基板71
0から入射した光の一部は開口部751Hを透過して、基板770から射出することがで
きる。
【0379】
第1の導電膜751EBの面積の5%以上35%以下、好ましくは15%以上25%以
下が、開口部751Hの面積に好ましい。
【0380】
多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状を開口部751Hの形状に用いるこ
とができる。
【0381】
《第1の着色膜》
第1の着色膜は、第1の表示素子750EBと重なる領域を備え、所定の色の光を透過す
る機能を備える。着色膜は、例えばカラーフィルターとして用いることができる。
【0382】
例えば、青色の光を透過する着色膜CFB1を副画素702EBに用いることができる
。緑色の光を透過する着色膜CFG1を副画素702EGに用いることができる。赤色の
光を透過する着色膜を副画素702ERに用いることができる。また、白色の光を透過す
る着色膜や黄色の光を透過する着色膜をさまざまな色の表示をするための副画素に用いる
ことができる。
【0383】
《遮光膜BM》
副画素702EBと重なる領域に開口部を備える遮光膜BMを備えていてもよい。
【0384】
光の透過を妨げる材料を遮光膜BMに用いることができる。これにより、遮光膜BMは
、例えばブラックマトリクスとして機能する。
【0385】
《画素回路》
トランジスタME1または容量素子C1等を画素回路に用いることができる。
【0386】
トランジスタME1は、半導体膜718および半導体膜718と重なる領域を備える導
電膜704を備える(
図41(B)参照)。また、トランジスタME1は、導電膜712
Aおよび導電膜712Bを備える。
【0387】
なお、導電膜712Aはソース電極の機能またはドレイン電極の機能の一方を備え、導
電膜712Bはソース電極の機能またはドレイン電極の機能の他方を備える。また、導電
膜704はゲート電極として機能し、絶縁膜706はゲート絶縁膜として機能する。
【0388】
半導体膜718に用いる半導体材料は特に限定されず、例えば、酸化物半導体、シリコ
ン、ゲルマニウム等が挙げられる。またトランジスタに用いる半導体材料の結晶性につい
ても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導
体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶
性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0389】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素、化合物半
導体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。代表的には、シリコンを含む半
導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。
【0390】
特に、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、酸化物半導体を適用することが
好ましい。特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好
ましい。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を
用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0391】
例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタとして、実施の形態1または実施の形態6
で説明するトランジスタをトランジスタME1に用いることができる。
【0392】
容量素子C1は、導電膜712Aおよび導電膜712Aと重なる領域を備える導電膜を
備える(
図41(A)参照)。
【0393】
なお、導電膜712Aは、第1の導電膜751EBと電気的に接続する。
【0394】
《絶縁膜》
絶縁膜771は、液晶層753および着色膜CFB1、CFG1の間に配設される。
【0395】
着色膜CFB1等から液晶層753への不純物の拡散を、抑制する機能を備える材料を
絶縁膜771に用いることができる。
【0396】
絶縁膜721Bは、導電膜704と重なる領域および半導体膜718と重なる領域を備
える。
【0397】
絶縁膜721Aは、半導体膜718および絶縁膜721Bの間に配設される(
図41(
A)および
図41(B)参照)。
【0398】
《絶縁膜728》
絶縁膜728は、絶縁膜721Bおよび液晶層753の間に配設される。
【0399】
絶縁膜728は、絶縁膜728と重なるさまざまな構造に由来する段差を平坦化するこ
とができる。これにより、液晶層753の厚さを均一にすることができる。
【0400】
例えば、絶縁性の無機材料、絶縁性の有機材料または無機材料と有機材料を含む絶縁性
の複合材料を、絶縁膜728に用いることができる(
図41(A)参照)。
【0401】
具体的には、無機酸化物膜、無機窒化物膜もしくは無機酸化窒化物膜またはこれらから
選ばれた複数を積層した積層材料を、絶縁膜728に用いることができる。
【0402】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート、ポリシロキサン若しくはアクリル樹脂等またはこれらから選択された複数の樹脂の
積層材料もしくは複合材料などを絶縁膜728に用いることができる。また、感光性を有
する材料を用いて形成してもよい。
【0403】
《絶縁膜777》
絶縁膜777は、一の画素電極の端部を覆うように設けられる。具体的には、第1の導電
膜751EGの端部を覆うように設けられる(
図39、
図40参照)。また、第1の導電
膜751ERの端部を覆うように設けられる(
図39参照)。
【0404】
《ソースドライバ回路部SD1》
例えば、集積回路をソースドライバ回路部SD1に用いることができる。具体的には、シ
リコン基板上に形成された集積回路を用いることができる(
図38参照)。
【0405】
例えば、COG(Chip on glass)法を用いて、基板710上に設けられ
たパッドにソースドライバ回路部SD1を実装できる。具体的には、異方性導電膜を用い
て、パッドに集積回路を実装できる。なお、パッドは、画素回路と電気的に接続される。
【0406】
《ゲートドライバ回路部GD1》
例えば、トランジスタME2をゲートドライバ回路部GD1に用いることができる(
図4
1(A)および
図41(B)参照)。
【0407】
例えば、実施の形態1または実施の形態6で説明するトランジスタをトランジスタME
2に用いることができる。
【0408】
例えば、トランジスタME1が備える半導体膜718と同一の工程で形成することがで
きる半導体膜をトランジスタME2に用いることができる。
【0409】
なお、トランジスタME1と同一の構成を、トランジスタME2に用いることができる
。また、異なる構成をトランジスタME2に用いることができる。
【0410】
《導電膜720》
導電膜720は、半導体膜718と重なる領域を備える。言い換えると、半導体膜718
を導電膜720および導電膜704の間に配置する。これにより、トランジスタME1ま
たはトランジスタME2の特性または信頼性を高めることができる。
【0411】
導電膜720をトランジスタME2の第2のゲート電極に用いることができる。導電膜
720をトランジスタME1またはトランジスタME2の一部ということもできる。
【0412】
例えば、導電膜704と同じ電位を供給することができる配線と導電膜720を電気的
に接続することができる。
【0413】
例えば、配線部に用いる材料を導電膜720に用いることができる。具体的には、導電
性酸化物またはインジウムを含む導電性酸化物、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、
インジウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛ガリウム酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した
酸化亜鉛などを、導電膜720に用いることができる。
【0414】
《配線部、端子部》
配線部は信号線711を備える。また、端子部は接続電極719を備える(
図41(A)
参照)。
【0415】
信号線711は、接続電極719と電気的に接続される。また、信号線711の一部を
接続電極719に用いることができる。
【0416】
接続電極719は、例えば、導電部材ACF1を用いてフレキシブルプリント基板FP
C1と電気的に接続される。
【0417】
導電性を備える材料を信号線711および接続電極719に用いることができる。
【0418】
例えば、無機導電性材料、有機導電性材料、金属または導電性セラミックスなどを信号
線711または接続電極719に用いることができる。
【0419】
具体的には、アルミニウム、金、白金、銀、銅、クロム、タンタル、チタン、モリブデ
ン、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、パラジウムまたはマンガンから選ばれた金
属元素などを、信号線711または接続電極719に用いることができる。または、上述
した金属元素を含む合金などを、信号線711または接続電極719に用いることができ
る。特に、銅とマンガンの合金がウエットエッチング法を用いた微細加工に好適である。
【0420】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタ
ン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タ
ンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と
、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構
造等を信号線711または接続電極719に用いることができる。
【0421】
具体的には、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛
、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を、信号線711または接続電極71
9に用いることができる。
【0422】
具体的には、グラフェンまたはグラファイトを含む膜を信号線711または接続電極7
19に用いることができる。
【0423】
例えば、酸化グラフェンを含む膜を形成し、酸化グラフェンを含む膜を還元することに
より、グラフェンを含む膜を形成することができる。還元する方法としては、熱を加える
方法や還元剤を用いる方法等を挙げることができる。
【0424】
具体的には、導電性高分子を信号線711または接続電極719に用いることができる
。
【0425】
《導電部材ACF1》
例えば、はんだ、導電性ペーストまたは異方性導電膜等を、導電部材ACF1に用いるこ
とができる。
【0426】
具体的には、導電性を備える粒子と、粒子を分散する材料等を導電部材ACF1に用い
ることができる。
【0427】
例えば、1μm以上200μm以下好ましくは3μm以上150μm以下の大きさの球
状、柱状またはフィラー状等の形状を備える粒子を用いることができる。
【0428】
例えば、ニッケルまたは金等を含む導電性の材料で被覆された粒子を用いることができ
る。
【0429】
具体的には、ポリスチレン、アクリル樹脂または酸化チタン等を含む粒子を用いること
ができる。
【0430】
例えば、合成ゴム、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を、粒子を分散する材料に用いるこ
とができる。
【0431】
これにより、粒子を用いてフレキシブルプリント基板FPC1と接続電極719を電気
的に接続することができる。
【0432】
《基板710》
透光性を備える材料を基板710に用いることができる。また、研磨法を用いて厚さを薄
くした材料を基板710に用いることができる。
【0433】
例えば、基材710Aと絶縁膜710Bの積層材料を基板710に用いる。絶縁膜71
0Bは、基材710Aに含まれる不純物または外部からの不純物の拡散を抑制する機能を
備える。
【0434】
作製工程中の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を基板710に用いることが
できる。
【0435】
例えば、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×220
0mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×280
0mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の面積が大きなガラス基板を基
板710に用いることができる。これにより、大型の表示装置を作製することができる。
【0436】
有機材料、無機材料または有機材料と無機材料等の複合材料等を基板710に用いるこ
とができる。例えば、ガラス、セラミックス、金属等の無機材料を基板710に用いるこ
とができる。
【0437】
具体的には、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、
石英またはサファイア等を、基板710に用いることができる。具体的には、無機酸化物
膜、無機窒化物膜または無機酸窒化物膜等を、基板710に用いることができる。例えば
、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム等を、基板710
に用いることができる。SUSまたはアルミニウム等を、基板710に用いることができ
る。
【0438】
例えば、シリコンや炭化シリコンからなる単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリ
コンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を基板710に用いることができ
る。これにより、半導体素子を基板710に形成することができる。
【0439】
例えば、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチック等の有機材料を基板710に用いるこ
とができる。具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リカーボネートまたはアクリル樹脂等の樹脂フィルムまたは樹脂板を、基板710に用い
ることができる。
【0440】
例えば、金属板、薄板状のガラス板または無機材料等の膜を樹脂フィルム等に貼り合わ
せた複合材料を基板710に用いることができる。例えば、繊維状または粒子状の金属、
ガラスもしくは無機材料等を樹脂フィルムに分散した複合材料を、基板710に用いるこ
とができる。例えば、繊維状または粒子状の樹脂もしくは有機材料等を無機材料に分散し
た複合材料を、基板710に用いることができる。
【0441】
また、単層の材料または複数の層が積層された材料を、基板710に用いることができ
る。例えば、基材と基材に含まれる不純物の拡散を防ぐ絶縁膜等が積層された材料を、基
板710に用いることができる。具体的には、ガラスとガラスに含まれる不純物の拡散を
防ぐ酸化シリコン層、窒化シリコン層または酸化窒化シリコン層等から選ばれた一または
複数の膜が積層された材料を、基板710に用いることができる。または、樹脂と樹脂を
透過する不純物の拡散を防ぐ酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜
等が積層された材料を、基板710に用いることができる。
【0442】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルム、樹脂板または積層体等を基板710に用い
ることができる。
【0443】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、
ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂もしくはシ
ロキサン結合を有する樹脂を含む材料を基板710に用いることができる。
【0444】
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(P
EN)、ポリエーテルサルフォン(PES)またはアクリル等を基板710に用いること
ができる。
【0445】
また、紙または木材などを基板710に用いることができる。
【0446】
例えば、可撓性を有する基板を基板710に用いることができる。
【0447】
なお、可撓性を有する基板にトランジスタまたは容量素子等を直接形成する方法を用い
ることができる。また、耐熱性を備える工程用の基板にトランジスタまたは容量素子等を
形成し、可撓性を有する基板に形成されたトランジスタまたは容量素子等を転置する方法
を用いることができる。
【0448】
《基板770》
透光性を備える材料を基板770に用いることができる。
【0449】
例えば、基板710に用いることができる材料を基板770に用いることができる。
【0450】
《シール材730》
無機材料、有機材料または無機材料と有機材料の複合材料等をシール材730に用いるこ
とができる。
【0451】
例えば、熱溶融性の樹脂または硬化性の樹脂等の有機材料を、シール材730に用いる
ことができる。
【0452】
例えば、反応硬化型接着剤、光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤または/および嫌気型接
着剤等の有機材料をシール材730に用いることができる。
【0453】
具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイ
ミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチ
ラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等を含む接着剤をシール材730
に用いることができる。
【0454】
《光学フィルム770P》
基板770は、光学フィルムと液晶層753の間に挟まれる。光学フィルム770Pは、
第1の表示素子750EBと重なる領域を備える。
【0455】
例えば、偏光板、位相差板、拡散フィルムまたは集光フィルム等を光学フィルム770
Pに用いることができる。
【0456】
また、傷の発生を防ぐハードコート層などを光学フィルムに用いることができる。
【0457】
《第2の表示部500E》
第2の表示部500Eは、画素部、配線部、ソースドライバ回路部SD2、ゲートドライ
バ回路部GD2または端子部を有する(
図38および
図42参照)。
【0458】
また、第2表示部500Eは、基板510、絶縁膜570、構造体KB2または接合層
530を有する。
【0459】
また、着色膜または絶縁膜571を有する。
【0460】
また、絶縁膜521A、絶縁膜521B、隔壁528Aまたは絶縁膜528Bを備える
。
【0461】
絶縁膜570は、基板510と重なる領域を備える。
【0462】
接合層530は、基板510と絶縁膜570を貼り合わせる機能を備える。
【0463】
構造体KB2は、基板510および絶縁膜570の間に配設される。構造体KB2は、
所定の距離の間隙を基板510および絶縁膜570の間に形成する機能を備える。
【0464】
《画素部》
画素部は、画素を備える。
【0465】
例えば、複数の副画素を画素に用いることができる。具体的には、青色の表示をする副
画素、緑色の表示をする副画素、赤色の表示をする副画素等を用いることができる。また
、白色の表示をする副画素または黄色の表示をする副画素等を用いることができる。
【0466】
例えば、青色の表示をする画素の面積を、他の色の表示をする画素の面積より大きくす
る。これにより、白色の表示を好適にすることができる。
【0467】
《画素》
画素は、第2の表示素子550EB、着色膜CFB2および画素回路を有する。
【0468】
《第2の表示素子550EB》
第2の表示素子550EBは、開口部751Hと重なる領域および開口部751Hに向け
て光を射出する機能を備える。
【0469】
第2の表示素子550EBは、光を射出する領域を開口部751Hと概ね重なる形状の
領域に備える(
図39参照)。
【0470】
さまざまな発光素子を第2の表示素子550EBに用いることができる。例えば、有機
エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子または発光ダイオー
ドなどを、第2の表示素子550EBに用いることができる。
【0471】
例えば、第3の導電膜551EBと、第3の導電膜と重なる領域を備える第4の導電膜
552と、第3の導電膜551EBおよび第4の導電膜552の間に配置される発光性の
有機化合物を含む層553Eと、を、第2の表示素子550EBに用いることができる(
図42参照)。
【0472】
例えば、白色の光を射出するように積層された積層体を、発光性の有機化合物を含む層
553Eに用いることができる。具体的には、青色の光を射出する蛍光材料を含む発光性
の有機化合物を含む層と、緑色または/および赤色の光を射出する蛍光材料以外の材料を
含む層と、を積層した積層体を、発光性の有機化合物を含む層553Eに用いることがで
きる。
【0473】
例えば、配線部に用いる材料を第3の導電膜551EBまたは第4の導電膜552に用
いることができる。
【0474】
例えば、可視光について反射性を有し且つ導電性を備える材料を、第3の導電膜551
EBに用いることができる。
【0475】
例えば、可視光について透光性を有し且つ導電性を備える材料を、第4の導電膜552
に用いることができる。
【0476】
具体的には、導電性酸化物またはインジウムを含む導電性酸化物、酸化インジウム、イ
ンジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛など
を、第4の導電膜552に用いることができる。
【0477】
または、光が透過する程度に薄い金属膜を第4の導電膜552に用いることができる。
【0478】
《第2の着色膜》
第2の着色膜は、第1の導電膜751EBの開口部751Hおよび第2の表示素子550
EBの間に配設される。
【0479】
第2の着色膜は、開口部751Hおよび第2の表示素子550EBと重なる領域を備え
、所定の色の光を透過する機能を備える。例えば、着色膜CFB1を透過する光を透過す
る着色膜を着色膜CFB2に用いることができる。これにより、第2の表示素子550E
Bが射出する光の一部を、着色膜CFB2、開口部751Hおよび着色膜CFB1を透過
して、表示装置の外側に取り出すことができる。
【0480】
例えば、着色膜CFB1に用いることができる材料を着色膜CFB2に用いることがで
きる。
【0481】
《画素回路》
トランジスタME3等を画素回路に用いることができる。
【0482】
例えば、トランジスタME1に用いることができる構成を、トランジスタME3に用い
ることができる。
【0483】
例えば、実施の形態1または実施の形態6で説明するトランジスタをトランジスタME
3に用いることができる。
【0484】
《絶縁膜》
着色膜CFB2および接合層530の間に、絶縁膜571を備える。
【0485】
絶縁膜521Bは、導電膜504と重なる領域および半導体膜と重なる領域を備える。
【0486】
絶縁膜521Aは、半導体膜および絶縁膜521Bの間に配設される(
図42参照)。
【0487】
《絶縁膜528B》
絶縁膜528Bは、絶縁膜528Bと重なるさまざまな構造に由来する段差を平坦化する
ことができる。
【0488】
例えば、絶縁膜728に用いることができる材料を絶縁膜528Bに用いることができ
る。
【0489】
《隔壁528A》
隔壁528Aは、開口部を第2の表示素子550EBと重なる領域に備える。例えば、絶
縁性を備える材料を隔壁528Aに用いることができる。これにより、第2の表示素子5
50EBを隣接する他の構成から分離することができる。または、隔壁528Aに設ける
開口部の形状を用いて、第2の表示素子の形状を決定することができる。
【0490】
例えば、絶縁膜528Bに用いることができる材料を隔壁528Aに用いることができ
る。
【0491】
《ソースドライバ回路部SD2》
例えば、集積回路をソースドライバ回路部SD2に用いることができる。具体的には、シ
リコン基板上に形成された集積回路を用いることができる(
図38参照)。
【0492】
例えば、COG(Chip on glass)法を用いて、基板510に設けられた
パッドにソースドライバ回路部SD2を実装できる。具体的には、異方性導電膜を用いて
、パッドに集積回路を実装できる。なお、パッドは、画素回路と電気的に接続される。
【0493】
《ゲートドライバ回路部GD2》
例えば、トランジスタME4をゲートドライバ回路部GD2に用いることができる(
図4
2参照)。
【0494】
例えば、実施の形態1または実施の形態6で説明するトランジスタをトランジスタME
4に用いることができる。
【0495】
例えば、トランジスタME3が備える半導体膜と同一の工程で形成することができる半
導体膜をトランジスタME4に用いることができる。
【0496】
なお、トランジスタME3と同一の構成を、トランジスタME4に用いることができる
。また、異なる構成をトランジスタME4に用いることができる。
【0497】
《導電膜520》
導電膜520は、半導体膜と重なる領域を備える。言い換えると、半導体膜を導電膜52
0および導電膜504の間に配置する。これにより、トランジスタME3またはトランジ
スタME4の信頼性を高めることができる。
【0498】
導電膜520をトランジスタME4の第2のゲート電極に用いることができる。導電膜
520をトランジスタME3またはトランジスタME4の一部ということもできる。
【0499】
例えば、導電膜504と同じ電位を供給することができる配線と導電膜520を電気的
に接続することができる。
【0500】
例えば、配線部に用いる材料を導電膜520に用いることができる。具体的には、導電
性酸化物またはインジウムを含む導電性酸化物、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、
インジウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛ガリウム酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した
酸化亜鉛などを、導電膜520に用いることができる。
【0501】
《配線部、端子部》
配線部は信号線を備える。また、端子部は接続電極519を備える(
図42参照)。
【0502】
信号線は、接続電極519と電気的に接続される。また、信号線の一部を接続電極51
9に用いることができる。
【0503】
接続電極519は、例えば、導電部材ACF2を用いてフレキシブルプリント基板FP
C2と電気的に接続される。
【0504】
信号線711または接続電極719に用いることができる材料を、信号線または接続電
極519に用いることができる。
【0505】
《導電部材ACF2》
導電部材ACF1に用いることができる材料を、導電部材ACF2に用いることができる
。
【0506】
《基板510》
作製工程中の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を基板510に用いることがで
きる。
【0507】
例えば、基材510Aと絶縁膜510Bの積層材料を基板510に用いる。絶縁膜51
0Bは、基材510Aに含まれる不純物または外部からの不純物の拡散を抑制する機能を
備える。
【0508】
例えば、基板710に用いることができる材料を基板510に用いることができる。な
お、遮光性を備える材料も基板510に用いることができる。
【0509】
《絶縁膜570》
例えば、単層の材料または複数の層が積層された材料を、絶縁膜570に用いることがで
きる。例えば、不純物の拡散を防ぐ絶縁膜等が積層された材料を、絶縁膜570に用いる
ことができる。具体的には、樹脂と樹脂等を透過する不純物の拡散を防ぐ酸化シリコン層
、窒化シリコン層または酸化窒化シリコン層等から選ばれた一または複数の膜が積層され
た材料を、絶縁膜570に用いることができる。
【0510】
《接合層530》
無機材料、有機材料または無機材料と有機材料の複合材料等を接合層530に用いること
ができる。
【0511】
例えば、シール材730に用いることができる材料を接合層530に用いることができ
る。
【0512】
《接着層535》
無機材料、有機材料または無機材料と有機材料の複合材料等を接着層535に用いること
ができる。
【0513】
例えば、接合層530に用いることができる材料を接着層535に用いることができる
。
【0514】
<表示装置の構成例2.>
本発明の一態様の表示装置の別の構成について、
図38、
図39または
図43乃至
図4
5を参照しながら説明する。
【0515】
図43は、
図38に示す切断線Z1-Z2、Z3-Z4、Z5-Z6における本発明の
一態様の表示装置の断面の構成を説明する断面図である。
【0516】
図44(A)は、
図38に示す切断線Z1-Z2、Z3-Z4、Z5-Z6における本
発明の一態様の表示装置の第1の表示部700Fの断面の構成を説明する断面図であり、
図44(B)は、トランジスタの構成を説明する断面図である。
【0517】
図45は、
図38に示す切断線Z1-Z2、Z3-Z4、Z5-Z6における本発明の
一態様の表示装置の第2の表示部500Fの断面の構成を説明する断面図である。
【0518】
ここでは、上記で説明した表示装置と異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を
用いることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0519】
《第1の表示部700F》
第1の表示部700Fにおいて、平坦な第1の導電膜751FBを備える点、光学フィル
ム770PFを備える点および構造体KB1が基板770に設けられている点、トップゲ
ート型のトランジスタMF1およびトランジスタMF2を備える点が、
図41を参照しな
がら説明する第1の表示部700Eと異なる。
【0520】
例えば、2色性色素を含む偏光板を光学フィルム770PFに用いることができる。
【0521】
《第2の表示部500F》
第2の表示部500Fにおいて、着色膜CFB2を備えない点および青色、緑色または赤
色等の光を射出する第2の表示素子550FBを備える点、トップゲート型のトランジス
タMF1およびトランジスタMF2を備える点が、
図42を参照しながら説明する第2の
表示部500Eとは異なる。
【0522】
他の副画素に配置された第2の表示素子とは異なる色を射出する第2の表示素子550
FBを、一の副画素に用いる。例えば、青色の光を射出する第2の表示素子550FBを
一の副画素に用い、他の副画素に緑色または赤色の光を射出する第2の表示素子を用いる
。
【0523】
具体的には、青色の光を射出する発光性の有機化合物を含む層553Fを備える第2の
表示素子を、一の副画素に用いる。また、緑色の光を射出する発光性の有機化合物を含む
層または赤色の光を射出する発光性の有機化合物を含む層を備える第2の表示素子を、他
の副画素に用いる。
【0524】
なお、発光性の有機化合物を含む層を形成する方法にシャドーマスクを用いる蒸着法ま
たはインクジェット法を用いることができる。これにより、他の副画素に配置された第2
の表示素子とは異なる色を射出する第2の表示素子550FBを、一の副画素に用いるこ
とができる。
【0525】
《トランジスタMF1》
トランジスタMF1は、絶縁膜710Bと重なる領域を備える導電膜704と、絶縁膜7
10Bおよび導電膜704の間に配設される領域を備える半導体膜718と、を備える。
なお、導電膜704はゲート電極の機能を備える(
図44(B))。
【0526】
半導体膜718は、導電膜704と重ならない第1の領域718Aおよび第2の領域7
18Bと、第1の領域718Aおよび第2の領域718Bの間に導電膜704と重なる第
3の領域718Cを備える。
【0527】
トランジスタMF1は、第3の領域718Cおよび導電膜704の間に絶縁膜706を
備える。なお、絶縁膜706はゲート絶縁膜の機能を備える。
【0528】
第1の領域718Aおよび第2の領域718Bは、第3の領域718Cに比べて低抵抗
化され、ソース領域の機能またはドレイン領域の機能を備える。
【0529】
なお、例えば後述する酸化物半導体膜の抵抗率の制御方法を、半導体膜718の第1の
領域718Aおよび第2の領域718Bを形成する方法に用いることができる。具体的に
は、希ガスを含むガスを用いるプラズマ処理を適用することができる。例えば、導電膜7
04をマスクに用いると、第3の領域718Cの形状の一部を導電膜704の端部の形状
と自己整合することができる。
【0530】
トランジスタMF1は、第1の領域718Aと接する導電膜712Aと、第2の領域7
18Bと接する導電膜712Bと、を備える。導電膜712Aおよび導電膜712Bは、
ソース電極またはドレイン電極の機能を備える。
【0531】
トランジスタMF1と同一の工程で形成できるトランジスタをトランジスタMF2に用
いることができる。
【0532】
<酸化物半導体膜の抵抗率の制御方法>
酸化物半導体膜の抵抗率を制御する方法について説明する。
【0533】
所定の抵抗率を備える酸化物半導体膜を、導電膜720、第1の領域718Aまたは第
2の領域718Bに用いることができる。酸化物半導体膜の抵抗率を制御する方法は、実
施の形態1で説明する第2の酸化物半導体膜111の抵抗率の制御方法を参照できる。
【0534】
なお、半導体膜718よりも水素濃度及び/又は酸素欠損量が多く、抵抗率が低い酸化
物半導体膜を、導電膜720に用いる。
【0535】
また、導電膜720に含まれる水素濃度は、半導体膜718に含まれる水素濃度の2倍
以上、好ましくは10倍以上である。
【0536】
また、導電膜720の抵抗率は、半導体膜718の抵抗率の1×10-8倍以上1×1
0-1倍未満である。
【0537】
具体的には、導電膜720の抵抗率は、1×10-3Ωcm以上1×104Ωcm未満
、好ましくは、1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満である。
【0538】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0539】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶表示装置を有する電子機器について、
図46
および
図47を用いて説明を行う。
【0540】
図46に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002と
の間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、FPC8005に接続され
た表示パネル8006、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリ8011を
有する。
【0541】
本発明の一態様の表示装置は、例えば、表示パネル8006に用いることができる。
【0542】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004及び表示パネル
8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0543】
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル
8006に重畳して用いることができる。また、表示パネル8006の対向基板(封止基
板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示パネル8
006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
【0544】
フレーム8009は、表示パネル8006の保護機能の他、プリント基板8010の動
作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレ
ーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0545】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信
号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は
、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0546】
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追
加して設けてもよい。
【0547】
図47(A)乃至
図47(H)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐
体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDランプ5004、操作キー50
05(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子5006、センサ5007(
力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質
、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、にお
い又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン5008、等を有することが
できる。
【0548】
図47(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009
、赤外線ポート5010、等を有することができる。
図47(B)は記録媒体を備えた携
帯型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表
示部5002、記録媒体読込部5011、等を有することができる。
図47(C)はゴー
グル型ディスプレイであり、上述したものの他に、第2表示部5002、支持部5012
、イヤホン5013、等を有することができる。
図47(D)は携帯型遊技機であり、上
述したものの他に、記録媒体読込部5011、等を有することができる。
図47(E)は
テレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アンテナ5014、シ
ャッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。
図47(F)は携
帯型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011
、等を有することができる。
図47(G)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したも
のの他に、信号の送受信が可能な充電器5017、等を有することができる。
図47(H
)は腕時計型情報端末であり、上述したもののほかに、バンド5018、留め金5019
、等を有する。ベゼル部分を兼ねる筐体5000に搭載された表示部5001は、非矩形
状の表示領域を有している。表示部5001は、時刻を表すアイコン5305、その他の
アイコン5306等を表示することができる。
【0549】
図47(A)乃至
図47(H)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。
例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッ
チパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プ
ログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコ
ンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は
受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に
表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器におい
ては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文字情報
を表示する機能、又は、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立体的な画
像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器において
は、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動又は手動で補正す
る機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画
像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、
図47(A)乃至
図47(
H)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有す
ることができる。
【0550】
本実施の形態の電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴
とする。該表示部に、本発明の一態様の液晶表示装置を適用することができる。
【0551】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【実施例0552】
本実施例では、本発明の一態様である液晶表示装置を作製し、表示確認を行った結果に
ついて説明する。該液晶表示装置の画素70R、70Gの断面構成は
図21に対応し、画
素70Bの断面構成は
図22に対応する。
【0553】
まず、本実施例で作製した液晶表示装置の仕様を表1に示す。
【0554】
【0555】
本実施例で作製した液晶表示装置は、アクティブマトリクス反射型液晶表示装置、カラ
ーディスプレイであり、バックプレーン側のFETにはCAAC-IGZOを用いた。作
製した液晶表示装置の反射率は25.1%、NTSC比は37%である。
【0556】
該液晶表示装置の表示例を
図48に示す。
図48より、本発明の一態様の液晶表示装置
は高い開口率を維持しつつコントラストの高い表示を行うことができる。
【0557】
本実施例に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることがで
きる。