(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011619
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A63F7/02 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113786
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 海
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
【テーマコード(参考)】
2C333
【Fターム(参考)】
2C333AA11
2C333CA28
2C333CA42
2C333CA50
2C333CA76
2C333CA77
(57)【要約】
【課題】装飾図柄を利用した面白みのある演出を実行することが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】当否抽選結果を報知するための装飾図柄が表示される表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に演出画像を表示する特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記特定演出は、前記演出画像が前記表示領域の一方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記一方縁の反対である他方縁に近づくように変位する態様を含む演出であることを特徴とする遊技機。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否抽選結果を報知するための装飾図柄が表示される表示領域を有する表示手段と、
前記表示領域に演出画像を表示する特定演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記特定演出は、前記演出画像が前記表示領域の一方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記一方縁の反対である他方縁に近づくように変位する態様を含む演出であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記特定演出は、
前記演出画像が前記表示領域の前記一方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記他方縁に近づくように変位する第一演出部と、
前記演出画像が前記表示領域の前記他方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記一方縁に近づくように変位する第二演出部と、
を含み、
前記第一演出部を経て前記表示領域の前記他方縁側に位置した前記装飾図柄と、前記第二演出部を経て前記表示領域の前記一方縁側に位置した前記装飾図柄とで、リーチの成立が示される演出であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記装飾図柄は、その種類を示す主要素部と当該主要素部に付随する副要素部を含む複合態様にて表示されることもあれば、前記主要素部は含むものの前記副要素部は含まない単独態様にて表示されることもあり、
前記装飾図柄が前記複合態様から前記単独態様に変化した上で、前記特定演出が実行されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否抽選結果を示す装飾図柄とその他の画像が一緒に表示される演出により、趣向性向上を図った遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、装飾図柄を利用した面白みのある演出を実行することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否抽選結果を報知するための装飾図柄が表示される表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に演出画像を表示する特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記特定演出は、前記演出画像が前記表示領域の一方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記一方縁の反対である他方縁に近づくように変位する態様を含む演出であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装飾図柄を利用した面白みのある演出を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】表示領域に表示された装飾図柄および保留図柄を示した図である。
【
図3】遊技状態(遊技状態の移行)を説明するための図である。
【
図10】装飾図柄の複合態様および単独態様を説明するための図である。
【
図11】事前演出、特定演出(第一演出部および第二演出部)、事後リーチ演出を説明するための図である。
【
図15】示唆画像と対象領域(補助画像)の関係を説明するための図である。
【
図16】画像演出中に発生する変化演出(事前段階、中継段階、事後段階)を説明するための図である。
【
図17】画像演出の一例(最終結果が示唆画像「大」である例)を示した図である。
【
図18】具体例3-2、具体例3-3を説明するための図である(具体例3-2と具体例3-3は異なる例であるが、当該二つの具体例の説明図として「兼用」する)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。また、特に明示した場合を除き、以下の説明は、遊技者が指示通りの遊技を行うこと(遊技者が特殊な遊技を行わず、正常な遊技を行うこと)を前提としたものである。また、「○○に遊技球が進入(入賞)」等というときは、厳密には当該○○に設けられたセンサが進入した遊技球を検出したことをいう。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、メインの表示装置である表示装置91、始動領域904、大入賞領域906、アウト口907などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板(制御回路)に設けられた当否抽選手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否抽選情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。以下、第一始動領域904aに遊技球が進入することで取得される第一当否抽選情報に基づく当否抽選を第一当否抽選(特
図1抽選)と、第二始動領域904bに遊技球が進入することで取得される第二当否抽選情報に基づく当否抽選を第二当否抽選(特
図2抽選)と称することもある。
【0014】
本実施形態では、当該数値が取得された順に当否抽選結果の報知が開始されることとなるが、未だ当否抽選結果の報知が完了していない当否抽選情報が存在する場合には、新たに取得された当否抽選情報は保留情報(厳密には後述する変動前保留情報)として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。
【0015】
本実施形態では、保留図柄70として、当否抽選結果を報知する変動中演出(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう。以下単に「変動」や「回転」と称することもある)は開始されているものの、当否抽選結果の報知は完了していない当否抽選情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71と、当否抽選結果を報知する変動中演出が開始されていない当否抽選情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(
図2参照)。なお、変動中保留情報(変動中保留図柄71)は、厳密には「保留」の概念に含まれるものではないが、一般的に「当該変動保留」等と称されるものであるため、本実施形態では「保留」の概念に含まれるものとして規定する。本実施形態では、変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示されるが、両者の基本的な形態は同じである。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中保留図柄71が表示されない構成としてもよい。なお、変動前保留図柄72に対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる保留「消化順」)は、右に位置するものほど早い。
【0016】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる第一変動前保留情報(特
図1保留)の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる第二変動前保留情報(特
図2保留)の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(
図2参照)。変動前保留図柄72は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する通常遊技状態)であれば第一変動前保留情報(特
図1保留)が変動前保留図柄72として表示され、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射すべき状態(後述する特定遊技状態)であれば第二変動前保留情報(特
図2保留)が変動前保留図柄72として表示されるように設定されている。遊技状態によらず、記憶手段に記憶されている第一変動前保留情報および第二変動前保留情報のいずれにも対応する変動前保留図柄72が表示される(最大八つの変動前保留図柄72が表示される)構成としてもよい。
【0017】
記憶手段に第一変動前保留情報と第二変動前保留情報の両方が記憶されている場合には、第二変動前保留情報(第二当否抽選情報)に基づく当否抽選結果が優先して報知される。すなわち、本実施形態にかかる遊技機1は、特
図2優先消化である。
【0018】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否抽選結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する(以下、単に停止というときは、完全に停止することをいい、いわゆる擬似停止状態(遊技者には停止したように見えるがわずかに揺れている状態等)は除かれるものとする)。大当たりに当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80(左から並ぶ左装飾図柄80L、中装飾図柄80C、右装飾図柄80R)の組み合わせは所定の当たり組み合わせ(本実施形態では、同じ種類の装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)のはずれ組み合わせとなる。本実施形態では、各種装飾図柄80は、「1」~「7」の数字のいずれかを含むものである。同じ数字の装飾図柄80が「同種」の図柄である(異なる数字の装飾図柄80が「異種」の図柄である)。
【0019】
本実施形態では、奇数の数字を含む装飾図柄80(「1」、「3」、「5」、「7」の装飾図柄80)による当たり組み合わせが確定表示(変動が停止して示される組み合わせをいう)されたときには詳細を後述する特定大当たりであることが確定する。一方、偶数の数字を含む装飾図柄80(「2」、「4」、「6」の装飾図柄80)による当たり組み合わせが確定表示されたときには特定大当たりであることが確定せず、詳細を後述する通常大当たりである可能性もある。具体的には、偶数の数字を含む装飾図柄80による当たり組み合わせが表示された場合、その後の大当たり遊技中に当選した大当たりが特定大当たりであったことを報知する昇格演出が発生する可能性があり、当該昇格演出が発生しなければ通常大当たりが確定することになる。この種の昇格演出は周知であるし、その内容はどのようなものであってもよいから説明を省略する。通常大当たりよりも特定大当たりの方が遊技者にとって価値が高いものであるから、奇数の数字を含む装飾図柄80による当たり組み合わせが確定表示されること(特定大当たり確定となること)の方が、偶数の数字を含む装飾図柄80による当たり組み合わせが確定表示されること(通常大当たりである可能性があること)よりも、遊技者にとって有利な事象であるといえる。
【0020】
なお、表示領域911の外縁近傍に、目立たないように各種情報を示す画像(いわゆる「小図柄」等)が表示されるようにしてもよい(各図においては当該画像の図示を省略する)。遊技者は、この種の画像を意識せずに遊技を楽しむことが可能となっている。つまり、基本的には、装飾図柄80を見て当否抽選結果を把握することが可能である。
【0021】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特定遊技状態が設定されている(
図3参照)。特定遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い(本実施形態では約1/319である)低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・時短無)である。特定遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い(本実施形態では約1/50である)高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・時短有)である。通常遊技状態は、第一始動領域904aを狙って遊技球を発射させるべき状態である。本実施形態では、いわゆる「左打ち」を行うべき状態である。よって、通常遊技状態は、第一当否抽選を経た大当たりの獲得を目指す遊技状態であるといえる。一方、特定遊技状態は、第二始動領域904bを狙って遊技球を発射させるべき状態である。本実施形態では、いわゆる「右打ち」を行うべき状態である。よって、特定遊技状態は、第二当否抽選を経た大当たりの獲得を目指す遊技状態であるといえる。特定遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0022】
本実施形態では、大当たりとして、通常大当たりおよび特定大当たりが設けられている。通常大当たりは、大当たり遊技終了後に通常遊技状態に移行する大当たりである。特定大当たりは、大当たり遊技終了後に特定遊技状態に移行する大当たりである。第一当否抽選に当選することで得られる大当たりは、通常大当たりまたは特定大当たりとなる。第二当否抽選に当選することで得られる大当たりは、特定大当たりとなる。遊技状態移行直後に記憶手段に記憶されていた保留情報に基づく抽選(いわゆる残保留分の抽選)に当選するといった特殊な場合を除き、通常遊技状態は第一当否抽選の当選を目指す遊技状態であるから、通常遊技状態にて獲得される大当たりは通常大当たりまたは特定大当たりとなる。特定遊技状態は第二当否抽選の当選を目指す遊技状態であるから、特定遊技状態にて獲得される大当たりは特定大当たりとなる。
【0023】
なお、特定大当たり遊技中に開放される所定の領域(V領域)に遊技球を進入させること(V入賞)が、特定大当たり遊技終了後に特定遊技状態に移行する条件とされた構成(いわゆるV確変機)としてもよい。
【0024】
特定遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることをもって終了する。特定遊技状態が終了した場合には通常遊技状態に移行する。特定遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に大当たり(特定大当たり)を獲得した場合には再び特定遊技状態に移行する(所定回数のカウントがリセットされる)ことになる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、特定遊技状態に移行してから所定回数連続してはずれとなる前に第二当否抽選に当選することが連チャンの条件となるいわゆるST機である。本実施形態では、上記所定回数(ST回数)=72回とされている。
【0025】
当否抽選結果が大当たりとなったときには大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定の閉鎖条件成立まで大入賞領域906(
図1参照;大入賞領域906は常態において閉鎖されたものである)が開放される単位遊技を一または複数回繰り返すものである。閉鎖条件は、大入賞領域906が開放されてから所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞すること(入賞条件)および大入賞領域906が開放されてから所定時間経過すること(時間条件)のいずれか一方の成立をもって成立するものとされる。本実施形態では、大当たり遊技にて継続的に大入賞領域906に向かって遊技球を発射していれば、時間条件が成立する前に入賞条件が成立するものとされている。すなわち、一の単位遊技にて10個の遊技球が大入賞領域906に入賞する。単位遊技は、ラウンド(遊技)等とも称される。大当たり遊技が含む単位遊技の数(ラウンド数)は適宜設定することができる。本実施形態では、全ての大当たり(通常大当たり、特定大当たり)が10ラウンド大当たりとされている。
【0026】
以下、本実施形態にかかる遊技機1が実行可能な演出を説明する。なお、以下で説明する演出の一部のみが実行可能な構成としてもよい。また、各種演出を説明する図面の一部において、保留図柄や装飾図柄の図示を省略することがある。
【0027】
2)復帰演出
2-1)変化画像
特定遊技状態においては変化画像10(
図4、5参照)が表示される。本実施形態では、特定遊技状態中にある少なくとも一部の期間である特定期間にて変化画像10が表示される。当該特定期間は特定遊技状態の開始時(特定大当たり遊技が終了した後、最初(一回目)の変動中演出の開始時のことをいう)を含む期間である。本実施形態では、特定遊技状態に移行してから1~36回目(回転目)までの変動中演出が実行されている最中を特定期間とする。上述した通り本実施形態における特定遊技状態はST回数=72であるため、特定遊技状態の開始時を含む一部の期間が特定期間とされているということである。特定遊技状態は、STの残回数に応じて演出モードが変化するというものであり、1~36回目の特定期間中は、変化画像が表示される所定の演出モード(時計モード)が設定されているということである。なお、本実施形態における時計モードは、当たり変動およびはずれ変動の両方を含めた変動中演出に要する平均の時間(平均変動時間)が1~3秒程度とされる、いわゆる「高速消化モード」である。
【0028】
本実施形態における変化画像10は、「時計」を表した画像である。変化画像10は、時計の「針」を表した変位部11を含む。当該変位部11がまっすぐ上を向いた状態(以下、当該状態における変位部11の位置を初期位置と称する)が変化画像10の初期態様とされ、特定遊技状態の開始時には変化画像10は初期態様にある(
図4(a)参照)。本実施形態では、特定遊技状態は「○○RUSH」と名付けられており、特定遊技状態の開始時には当該名称を含む画像が表示される。これとともに初期態様にある変化画像10が表示される。これに加え、または、これとは異なり、所定の演出モード(本実施形態では時計モード)が開始されることを示す画像が初期態様にある変化画像10と一緒に表示されるようにしてもよい。
【0029】
特定期間中は、一回の変動中演出が終了する度に(はずれ変動が終了する度に)、変位部11が変位する(
図4(b)(c)参照)。当該変位量は、特定期間の終了時にちょうど一回転する(360°変位する)(
図4(d)参照)ような変位量とされる。本実施形態における特定期間は36変動分であるから、一変動が終了する度に、10°ずつ変位部11が時計回りで回動する。遊技者は、当該変化画像10の変化(変位部11の変位)により、特定遊技状態が進行していること(ST残回数が減少していること)を感じ取ることができる。
【0030】
変化画像10は、一変動当たりの変位部11の変位量(本実施形態では角度)を示す目安(以下、補助部12と称する)が設けられていることが好ましい。本実施形態では、一変動が終了する度に変位部11が10°時計回りで回動するから、略円形である変化画像10の外形に沿って10°間隔で「目盛り」が補助部12として設けられている(
図4参照)。このような補助部12を設けることにより、一変動が終了する度に、次の順番(時計回りの順)の補助部12に対応づけられた位置に変位部11が変位するであろうことを遊技者が感じ取ることができる。
【0031】
特定遊技状態が開始されてから36回連続してはずれとなった場合には特定期間(時計モード)が終了(
図4(d)参照)する。本実施形態における変化画像10は「時計」を表現したものであるから、「TIME UP」の表示がなされ、特定期間(時計モード)の終了が示される。それ以降は、別の演出モード(変化画像10が表示されない演出モード)で特定遊技状態が進行する。
【0032】
2-2)特定期間中の特定大当たりに伴う復帰演出の実行
特定期間中に特定大当たりを獲得した場合には復帰演出が発生する。つまり、特定遊技状態が開始されてから1~36回転目までに特定大当たりに当選した場合には復帰演出が発生する。特定大当たりを獲得した場合には特定大当たり遊技終了後に再び特定遊技状態が開始される(STの残回数がリセットされる)ところ、それを示すために復帰演出が発生する。当該復帰演出は、変化画像10が初期態様にあるときには発生しない。本実施形態では、特定遊技状態が開始されてから一回目の変動中演出が終了するまでは変化画像10が初期態様にあるから、一回目の当否抽選が特定大当たりとなった場合には復帰演出は発生しない。ただし、一回目の当否抽選が特定大当たりとなった場合に復帰演出が発生するようにすることを否定するわけではない。
【0033】
復帰演出は、初期態様にない変化画像10が初期態様に戻されることを示すものである。すなわち、初期位置に位置していない変位部11が初期位置に戻されることを示すものである。本実施形態における復帰演出は、時計の針を表す変位部11が反時計回りで回動する態様を含む(
図5(c)参照)。つまり、時計が「巻き戻される」ことにより、初期態様に戻ったことが示される演出である。はずれ変動終了を契機として変位部11が変位する(復帰演出が実行されていない状態で変位部11が変位する)方向と、復帰演出にて変位部11が変位する方向は反対方向であるということがいえる。なお、反時計回りで回動するのであれば変位部11が一回転以上回動するようにしてもよい。本実施形態では、復帰演出中に表示される変化画像10は、常態(復帰演出が実行されていない最中の状態)よりも大きく表示され、変化画像10に注目すべき状況であることが遊技者に示唆される。さらに、復帰演出が実行されている期間の少なくとも一部においては変化画像10が初期態様に戻されていることを強調する強調画像15が表示される。本実施形態では、「巻き戻し」を示すマークが強調画像15として表示される。
【0034】
本実施形態では、復帰演出は、特定大当たりに当選した変動中(当たり変動中)に実行される。具体的には、大当たりに当選時にしか発生しない大当たり用演出(当該大当たり用演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。また、二種以上の大当たり用演出のいずれかが実行されるものとしてもよい)が実行されることで大当たりの当選が示された(
図5(b)参照)後、変化画像10が初期態様に戻る復帰演出が発生する(
図5(c)参照)。変化画像10が初期態様に戻ると同時または戻った後、装飾図柄80の三つ揃い(当たり組み合わせ)が完全に停止して当たり変動が終了する。本実施形態では初期態様に戻った変化画像10と当たり組み合わせが一緒に表示される(
図5(d)参照)。このような復帰演出が発生することで、遊技者は再び特定遊技状態が開始されること(ST回数がリセットされること)を容易に把握することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、当否抽選結果がはずれとなる度に変化する変化画像10により特定遊技状態の進行(ST残回数の減少)が示される(
図4参照)ところ、特定大当たりに当選した場合には変化画像10が初期態様に戻される(
図5(c)(d)参照)ことで新たに特定遊技状態が開始される(ST回数がリセットされる)ことが示されるから、遊技の進行(展開)が分かりやすい。
【0036】
また、本実施形態における変化画像10は、特定遊技状態が開始された時点で変位部11が初期位置に位置しているもの(
図4(a)参照)であって、復帰演出が発生した場合には当該変位部11が初期位置に戻される(
図5(d)参照)から、新たに特定遊技状態が開始されることが分かりやすい。
【0037】
また、本実施形態における変化画像10は、変動終了により変化する値(ST残回数等)をそのまま数値で示すといったものではなく、当否抽選結果がはずれとなる度に変位部11が所定角度ずつ回動するものである(
図4参照)ため、特定遊技状態の進行が分かりやすい。特に、当該変位部11が一回転(360°)変位することで特定期間(特定演出モード)が終了する(
図4(d)参照)ものであるから、所定回転数分の変動が変位部11の一回転で終了すること(「回数切り」のモードが終了する時点)を分かりやすく示すことができる。
【0038】
以下、上記復帰演出(変化画像10)に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0039】
〇具体例1-1
復帰演出の少なくとも一部が特定大当たり遊技中に実行されるものとする。そして、特定大当たり遊技中に変化画像10が初期態様に戻されて復帰演出が終了するものとする。復帰演出が、特定大当たりに当選した当たり変動にて開始され、当該当たり変動から特定大当たり遊技にかけて実行されるようにしてもよいし、特定大当たり遊技中に復帰演出の全体が実行されるようにしてもよい。
図6には、特定大当たり遊技中に復帰演出の全体が実行される例を示す。このような構成とする場合には、大当たり遊技中に復帰演出が開始されるということになる(
図6(b)参照)。復帰演出は、特定大当たり遊技の終了後に新たに特定遊技状態が開始されることを示すものであるから、特定大当たり遊技中に復帰演出が実行されるようにする。
【0040】
変化画像10が初期態様に戻ったことが示される(復帰演出が終了する)時点は、特定大当たり遊技の後半であることが好ましい。具体的には、特定大当たり遊技の最後の単位遊技(最終ラウンド)またはエンディング(ED)期間(最後の単位遊技が終了した後の期間であって、特定遊技状態が開始される前の期間)であることが好ましい(
図6(c)参照)。このようにすることで、変化画像10が初期態様に戻って(
図6(c)参照)から比較的早く特定遊技状態が開始される(
図6(d)参照)ことになるから、復帰演出の発生が、新たな特定遊技状態の開始を示すものであることがより分かりやすくなる。
【0041】
本例のようにすることで、特定大当たりに当選した当たり変動にて復帰演出を実行する必要がない、または、復帰演出を実行する時間を短くすることができる。当たり変動は、あくまで特定大当たりに当選したことを主として示すべきものであり、特定遊技状態が開始されることは特定大当たりの当選に付随して発生するものであるといえるから、当たり変動中においては特定当たりに当選したことが、特定大当たり遊技中には特定遊技状態が開始されることが強調されるようにするとよい。
【0042】
〇具体例1-2
上記実施形態における変化画像10は、「時計」を表したような画像であることを説明したが、その他の態様のものとしてもよい。例えば、はずれ変動が終了する度に大きさが変化する「メータ」のような画像が変化画像10とされたものとしてもよい。当該メータの端部は、はずれ変動が終了する度に位置が変化することになるから、変位部11に相当するということになる。復帰演出が実行された際には、当該メータの端部が初期位置に戻ることになる。
【0043】
〇具体例1-3
上記実施形態における変化画像10は、はずれ変動が終了する度に(一変動毎に)変化すること(変位部11が変位すること)を説明したが、N回(Nは2以上である)のはずれ変動が終了する度に変化するものとしてもよい。例えば、5回のはずれ変動が終了する度に変位部11が変位するものとした場合には、5回を1セットとして特定遊技状態の進行(ST残回数の減少)が示されることになる。
【0044】
本例のようにする場合、特定期間の変動回数は、Nの倍数(ただし2倍以上)とすることが好ましい。上記例のようにN=5とするのであれば、例えば特定遊技状態に移行してから1~50回転目までの変動中演出が実行されている最中を特定期間とする。変位部11の一回あたりの変位量は、特定期間の終了時にちょうど一回転する(360°変位する)ようにするのであるから、360/50/5=36°とする。つまり、5回のはずれ変動が終了する度に36°変位部11が時計回りに回動するようにする(
図7参照)。
【0045】
〇具体例1-4
変化画像10は、特定遊技状態の開始から終了までを表すものとする。すなわち、特定遊技状態の終了時に変位部11がちょうど一回転する(360°変位する)ようにする。上記実施形態のように特定遊技状態のST回数が72回であるとすれば、はずれ変動が終了する度に5°変位部11が変位するようにする(
図8参照)。これにより、変化画像10の変位部11がちょうど一回転することで特定遊技状態が終了(ST終了)することになるため、どの程度特定遊技状態が進行したか(特定遊技状態終了までの残りの抽選回数(STの残回数)の多少)が分かりやすい。
【0046】
〇具体例1-5
上記実施形態における特定遊技状態は、所定回数連続して当否抽選結果がはずれとなることで終了するいわゆるST状態であるが、次回大当たりまで継続するものであってもよい。このような次回大当たりまで継続する特定遊技状態とする場合であっても、特定遊技状態が開始されてから規定回数の変動が終了するまでを特定期間(特定演出モード)とし(例えば、特定遊技状態が開始されてから1~36回目の変動が終了するまでを特定期間とし)、当該特定期間中の遊技の進行が変化画像10により示されるものとすることができる。また、このようにした場合でも、特定大当たりを獲得した場合に復帰演出が実行されるようにすることで、新たに特定遊技状態が開始されることを分かりやすく示すことができる。
【0047】
〇具体例1-6
変化画像10により、当否抽選結果の大当たり信頼度が示唆される演出(以下、示唆演出とする)が発生しうるものとする。当該示唆演出は、変位部11を用いたものとすることが好ましい。変位部11は変動の度に変位するものであるため、当該変位部11により信頼度が示唆されている対象の変動が分かりやすいという利点がある。例えば、ある変動の開始時(
図9には、特定遊技状態開始後10回転目の変動開始時の例を示す)に、変位部11の態様が第一態様(
図9(a)参照)にある場合よりも、第一態様とは異なる第二態様(
図9(b)参照)にある場合の方が、当該ある変動に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高いという設定とする。第一態様と第二態様の違いを設定する手法はどのようなものであってもよい。両者の色を異ならせる、大きさを異ならせるといった種々の方法が考えられる。変位部11がなりうる態様として、大当たりが確定するものが設定されていてもよい。
【0048】
3)特定演出
3-1)特定モード
本実施形態にかかる遊技機1は、通常遊技状態にて設定されることがある演出モード(変動中演出の様式を司るステータス)が複数用意されている。当該演出モードの一種として、特定モードが用意されている。図示しないが、特定モード中であるかどうかは、装飾図柄80の背景として表示される背景画像により把握できる。すなわち、特定モード中は、特定モード中でなければ表示されない専用の背景画像が表示される。当該特定モードが設定された状態での変動中演出(一変動)を構成する演出として、以下で詳細を説明する特定演出が発生しうる。
【0049】
3-2)特定モード中の装飾図柄
3-2-1)複合態様
特定モード中においては、装飾図柄80は以下のような複合態様とされることがある。特定モード中に限り装飾図柄80が以下のような複合態様とされうるものとしてもよいし、特定モード中であるか否かにかかわらず、装飾図柄80が以下のような複合態様とされうるものとしてもよい。
【0050】
複合態様の各装飾図柄80は主要部および当該主要素部80mに付随する副要素部80sを含む(
図10(a)参照)。主要素部80mは、図柄の種類を示すものである。装飾図柄80の種類の異同は数字の異同に基づいて決まるものとされているため、主要素部80mは数字を含む部分である。副要素部80sは、キャラクタを表す部分である。同じ種類の装飾図柄80には同じ種類のキャラクタが、異なる種類の装飾図柄80には異なる種類のキャラクタが付随する。本実施形態では、「1」の装飾図柄80はキャラクタA、「2」の装飾図柄80はキャラクタB、「3」の装飾図柄80はキャラクタC・・・「7」の装飾図柄80はキャラクタGが副要素部80sとされている。なお、各図面においては、各種キャラクタを文字で表す。また、各種キャラクタは、遊技者が同種のキャラクタを表していると把握可能な範囲で態様の変更が生じてもよいものとする。
【0051】
3-2-2)単独態様
単独態様は、主要素部80mは含むものの副要素部80sは含まない態様である。すなわち、種類を示す要素である数字を含むものの、上記キャラクタは含まない態様である(
図10(b)参照)。本実施形態における単独態様は、数字の部分のみとされる。同じ主要素部80m(数字)を含むものは、複合態様にあるか単独態様にあるかにかかわらず、同種の装飾図柄80であるとする。副要素部80sを含まない分、単独態様の装飾図柄80は複合態様の装飾図柄80に比して単純な形態であるということがいえる。なお、単独態様が含む数字と複合態様が含む数字の態様(フォント等)が異なっていてもよい。
【0052】
なお、特定演出を説明するための図面以外の図面においては、装飾図柄80を単独態様で示す。ただし、複合態様で表示されることがあってもよい。また、本実施形態における主要素部80mは「数字」を含むものであるが、数字以外の文字を含むものとしてもよい。その場合は、当該文字が同じか否かで同種か否かが判別されるものとする。
【0053】
3-3)事前演出
本実施形態では、特定演出が発生する前に事前演出が発生する。事前演出は装飾図柄80が複合態様(
図11(a)参照)から単独態様(
図11(b)参照)に変化する演出である。特定演出が発生する変動中演出(以下、対象変動中演出(対象変動)と称することもある。また、当該対象変動中演出に対応する当否抽選結果を対象当否抽選結果と称することもある。)の開始時点(変動開始時点)においては、装飾図柄80は複合態様にある。その装飾図柄80が、事前演出の発生を契機に単独態様に変化する。
【0054】
本実施形態では、事前演出にて全ての種類の装飾図柄80が複合態様から単独態様に変化する。ただし、一部の装飾図柄80のみが複合態様から単独態様に変化するようにしてもよい。後述する通り、特定演出はリーチの成立が示される演出であるところ、当該リーチを構成する可能性がある装飾図柄80が事前演出にて複合態様から単独態様に変化するものとしてもよい。このようにした場合には、事前演出は、リーチを構成するリーチ図柄となりうる装飾図柄80を事前に示唆するものとして機能することになる。
【0055】
また、本実施形態における事前演出では、演出画像20(詳細は後述)が表示される(
図11(b)参照)。演出画像20は特定演出にて用いられる画像であるところ、当該演出画像20を事前に登場させることでこれから特定演出が発生することを示唆する。
【0056】
3-4)特定演出の具体的態様
特定演出は、演出画像20を用いた演出である。演出画像20は、所定のキャラクタを表した画像である。本実施形態では、「馬」を表した演出画像20が表示される。本実施形態における特定演出は、リーチ成立が示される演出である。当否抽選結果は三つの装飾図柄80の組み合わせにより報知される(大当たり時には同種の装飾図柄80の三つ揃いとなる)ものであるところ、当該三つの装飾図柄80のうちの二つが同種の装飾図柄80となること(当該同種の装飾図柄80がリーチ図柄である)がリーチの成立とされている。
【0057】
特定演出は、第一演出部(
図11(c)(d)参照)および第二演出部(
図11(e)(f)参照)を含む。本実施形態では、第一演出部が実行された後、第二演出部が実行される。つまり、特定演出の前半部分が第一演出部、後半部分が第二演出部であるといえる。
【0058】
第一演出部は、演出画像20が表示領域911の右側縁に次第に近づくように変位する表示がなされるものである。本実施形態では、馬のキャラクタが右に向かって変位する表示がなされる。これに合わせて、リーチ図柄となる装飾図柄80(単独態様にある)が表示領域911の左側縁に次第に近づくように変位し、最終的に表示領域911の左側縁近傍で停止または擬似停止(遊技者には停止しているように見えるが完全に停止していない状態をいう)する。つまり、第一演出部は、演出画像20が表示領域911の右側縁に近づくように変位することに合わせて、単独態様にある装飾図柄80が表示領域911の左側縁に近づくように変位するものである(
図11(c)(d)参照)。このようにすることで、演出画像20(馬のキャラクタ)が右側に移動した結果、その勢いに押されて装飾図柄80が左側(反対側)に飛ばされたかのように見える演出形態(演出画像が表すキャラクタの躍動感が強調される演出形態)となる。なお、演出画像20が変位する期間と装飾図柄80が変位する期間は少なくとも一部重複していることが好ましいが、演出画像20の変位が終了した直後に装飾図柄80が変位するようにしてもよい。
【0059】
第二演出部は、演出画像20が表示領域911の左側縁に次第に近づくように変位する表示がなされるものである。本実施形態では、馬のキャラクタが左に向かって変位する表示がなされる。これに合わせて、リーチ図柄となる装飾図柄80(単独態様にある)が表示領域911の右側縁に次第に近づくように変位し、最終的に表示領域911の右側縁近傍で停止または擬似停止する。なお、第一演出部にて変位させられる装飾図柄80はリーチ図柄の一方、第二演出部にて変位させられる装飾図柄80はリーチ図柄の他方である。このように、第二演出部は、上記第一演出部とは逆の方向に演出画像20および装飾図柄80のそれぞれが変位するものである。すなわち、演出画像20が表示領域911の左側縁に近づくように変位することに合わせて、単独態様にある装飾図柄80が表示領域911の右側縁に近づくように変位するものである(
図11(e)(f)参照)。このようにすることで、演出画像20(馬のキャラクタ)が左側に移動した結果、その勢いに押されて装飾図柄80が右側(反対側)に飛ばされたかのように見える演出形態(演出画像が表すキャラクタの躍動感が強調される演出形態)となる。なお、第一演出部と同様、第二演出部においても、演出画像20が変位する期間と装飾図柄80が変位する期間は少なくとも一部重複していることが好ましいが、演出画像20の変位が終了した直後に装飾図柄80が変位するようにしてもよい。
【0060】
かかる特定演出にてリーチ成立が示された(
図11(g)参照)後、事後リーチ演出(
図11(f)参照)を経て対象当否抽選結果が報知される。本実施形態では、事後リーチ演出は演出画像20(演出画像20が表すキャラクタ)が登場するものとされる。このようにすることで、特定演出は、事後リーチ演出の内容を事前に示唆するものとして機能することになる。対象当否抽選結果が大当たりである場合には事後リーチ演出は遊技者に有利な状況となったことを示す有利結末に至り、はずれである場合には遊技者に不利な状況となったことを示す不利結末に至る(有利結末には、一旦不利結末に至ったように見せかけてそれが覆されるいわゆる逆転パターンを含むものとする)。
【0061】
このように、本実施形態における特定演出は、表示領域911の一方縁に近づくように演出画像20が変位する表示がなされた結果、その勢いに押されて装飾図柄80が表示領域911の他方縁(反対側)に飛ばされたかのように見える面白みのあるものである。また、装飾図柄80が反対側に飛ばされることで、演出画像が表すキャラクタの躍動感が強調されるものでもある。
【0062】
また、本実施形態における特定演出のように、演出画像20の変位する方向が逆である第一演出部と第二演出部を設けることで、最終的に表示領域911の左側および右側にリーチ図柄が表示されるに至る演出形態とすることができる。つまり、リーチの成立を示すものとして特定演出を利用することができる。
【0063】
なお、最終的に表示される二つのリーチ図柄の位置に応じ、第一演出部および第二演出部における演出画像20の変位する方向を決定すればよい。図示しないが、例えば、第一演出部においては、演出画像20が表示領域911の下側縁に向かって変位することに合わせて、装飾図柄80(リーチ図柄)が表示領域911の上側縁に向かって変位し、最終的に表示領域911の上側縁近傍に当該装飾図柄80(リーチ図柄)が表示された状態に至るようにする。第二演出部においては、演出画像20が表示領域911の上側縁に向かって変位することに合わせて、装飾図柄80(リーチ図柄)が表示領域911の下側縁に向かって変位し、最終的に表示領域911の下側縁近傍に当該装飾図柄80(リーチ図柄)が表示された状態に至るようにする。このようにすることで、リーチ図柄が表示領域911の上側および下側に表示されるに至る演出形態となる。
【0064】
また、本実施形態では、特定演出が発生するよりも前に事前演出が発生して、特定演出の対象となる装飾図柄80が複合態様から単独態様に変化させられる。特定演出は演出画像20の勢いに押されて装飾図柄80が飛ばされたかのように見せる演出であるから、当該特定演出が発生するよりも前に装飾図柄80を単独態様として装飾図柄80が「軽く」見えるようにしている。すなわち、事前演出にて装飾図柄80を複合態様から単独態様に変化させることは、特定演出の作用を明確にするための事前準備であるといえる。
【0065】
以下、上記特定演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0066】
〇具体例2-1
上記実施形態における特定演出は、リーチ成立を示すもの(リーチが成立する結末に至るもの)であることを説明したが、リーチが成立する結末に至る場合もあれば、リーチが成立しない結末に至ることもある演出形態としてもよい。例えば以下のような特定演出の態様とする。
【0067】
第一演出部にて一つの装飾図柄80が示される(
図12(a)参照)。第二演出部においては、第一演出部にて示された装飾図柄80と同種の装飾図柄80が演出図柄の変位によって飛ばされ(
図12(b)参照)、そのまま表示領域911内で停止または擬似停止すればリーチ成立(
図12(c-1)参照)、停止または擬似停止しなければ(例えば表示領域911外まで移動したような表示がなされる)(
図12(c-2)参照)リーチ不成立となるような演出形態とする。リーチ不成立となった場合には、最終的に、第一演出部にて示された装飾図柄80と別種の装飾図柄80が示された状態となるようにする(
図12(d)参照)。リーチ成立となった場合には対象当否抽選結果は大当たりとなる可能性はあるものの、リーチ不成立となった場合には対象当否抽選結果ははずれであることが確定する。
【0068】
〇具体例2-2
特定演出時に表示されうる演出画像20として、互いに態様が異なる複数種の演出画像20が表示されうるものとし、表示される演出画像20の種類により、特定演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性が異なる設定とする。例えば、第一演出画像21(
図13(a)参照)および第二演出画像22(
図13(b)参照)が表示されうる構成とし、第一演出画像21が表示された場合よりも、第二演出画像22が表示された場合の方が、特定演出の結末が遊技者に有利なものとなる蓋然性が高い設定とする。
【0069】
上記具体例2-1にて説明したように、特定演出がリーチ成立となる結末に至ることもあれば、リーチ不成立となる結末に至ることもある場合には、対象当否抽選結果が大当たりとなる可能性がある点でリーチ成立となる結末が遊技者に有利な結末であるといえる。このような構成であることを前提とすれば、リーチ成立となる結末に至る蓋然性が表示される演出画像20の種類により示唆されるという演出形態となる。リーチ成立となれば対象当否抽選結果が大当たりとなる可能性があるのであるから、対象当否抽選結果の大当たり信頼度が演出画像20の種類により示唆されるともいえる。
【0070】
〇具体例2-3
上記実施形態における特定演出は、リーチ成立を示すものとして、すなわち二つの装飾図柄80(リーチ図柄)を示すものとして発生することを説明したが、一の装飾図柄80を示すものとして発生するようにしてもよい。
【0071】
一の装飾図柄80を示すものとして特定演出を実行する例の一つとして、リーチ成立後、最後の装飾図柄80を示すものとして特定演出を実行することが考えられる。すなわち李リーチ演出の結末(対象当否抽選結果)を示すものとして特定演出を実行する。例えば、表示領域911の上側縁近傍(上側縁近傍の左側および右側)二つのリーチ図柄が表示された状態にあるものとする。演出画像20が表示領域911の下側縁に近づくように変位する表示がなされることに合わせてリーチ図柄と同種の装飾図柄80が二つのリーチ図柄の間に向かって表示領域911の上側縁に次第に近づくように変位する(
図14(a)参照)。対象当否抽選結果が大当たりである場合には、当該装飾図柄80が二つのリーチ図柄の間で停止または擬似停止することで、当たり組み合わせが構築される(
図14(b-1)参照)。対象当否抽選結果がはずれである場合には、リーチ図柄と同種の装飾図柄80が二つのリーチ図柄の間で停止せず(
図14(b-2)参照)、別の装飾図柄80が表示されてはずれ組み合わせが構築される(
図14(c)参照)。
【0072】
〇具体例2-4
上記実施形態では、特定演出前に事前演出が発生することを説明したが、事前演出が発生しないようにしてもよい。装飾図柄80が複合態様のまま特定演出が実行されるようにしてもよい。また、そもそも特定演出を含む変動中演出の変動開始時点から装飾図柄80が単独態様にあるのであれば、事前演出を発生させる必要はない。
【0073】
4)画像演出
4-1)示唆画像
本実施形態にかかる遊技機1は、通常遊技状態における変動中演出を構成する演出として画像演出が実行されることがある。画像演出は、表示領域911に表示される示唆画像30の大きさにより遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆するものである。本実施形態では、画像演出を含む変動中演出に対応する当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が示唆画像30の大きさにより示唆される。後述する通り、画像演出は、示唆画像30の大きさが段階的に大きくなっていく可能性があるものであるため、一種のステップアップ演出であるともいえる。なお、遊技者の利益(出玉)に関する事象であれば、その他の事象が発生する蓋然性を示唆するものとして画像演出を用いることができる。例えば、大当たり遊技中に、いわゆる昇格演出が発生する蓋然性を示唆するものとして画像演出を用いることもできる。
【0074】
画像演出にて表示される示唆画像30の大きさは複数段階に区分けされる。本実施形態では、小さいものから順に、示唆画像「小」、示唆画像「中」、示唆画像「大」、示唆画像「特大」の四段階に区分けされている(
図15参照)。各大きさの示唆画像30は、外形および内側の模様等を含め、拡大・縮小したものが他の大きさの示唆画像30と一致するような相似関係にあることが好ましい。ただし、同じ画像の大きさが変化したのであるということが遊技者に理解できる範囲で、大きさの異なる示唆画像30の外形や内側の模様等が異なるものとしてもよい。示唆画像30の外形は、後述する対象領域32sの形状と相似関係にあることが好ましい。本実施形態では、両者は略円形とされる。ただし、本実施形態とは異なり、示唆画像30の外形と対象領域32sの形状が相似関係に無い構成とすることを否定するわけではない。
【0075】
画像演出の最終結果にて表示される示唆画像30の大きさにより大当たり信頼度が示唆される。本実施形態では最終結果にて表示される示唆画像30が大きいほど大当たり信頼度が高い設定である(
図15参照)。詳細を後述する通り、画像演出においては示唆画像30の大きさが変化する可能性があるところ、本実施形態では示唆画像30の大きさが大きくなる方向に変化する、すなわち大当たり信頼度が高まる方向に変化する可能性がある。示唆画像30が最大の大きさ(本実施形態では「特大」)となって終了した場合には、大当たりが確定する(信頼度100%である)といった設定としてもよい。示唆画像30が最小の大きさ(本実施形態では「小」)で終了した場合には、はずれが確定する(信頼度0%である)といった設定としてもよい。なお、示唆画像30の大きさが信頼度を示唆するのであれば、これとは異なる設定としてもよい。例えば、最終結果にて表示される示唆画像30が小さいほど大当たり信頼度が高い設定としてもよい。
【0076】
4-2)補助画像
画像演出においては、上記示唆画像30に加え、補助画像32が表示領域911に表示される(
図15参照)。補助画像32は、表示領域911の一部である対象領域32sを示すものとして表示される。上記示唆画像30は、当該対象領域32sに表示される。よって、対象領域32sは、示唆画像30が表示される範囲よりも広い領域である。補助画像32は、対象領域32sを取り囲むように表示される画像である。よって、補助画像32は、表示領域911における対象領域32sよりも外側の領域に表示される画像であるともいえる。なお、本実施形態では、補助画像32の内縁が、対象領域32sの外縁を構成するものとされる。ただし、補助画像32の内縁の一部が途切れたような形状としてもよい。補助画像32がおおよその対象領域32sの範囲(大きさ)を示すものであると認識できればよい。本実施形態では、補助画像32は、所定の模様を有する「壁」を表す画像とされる。当該壁の中央側に「穴」が空いており、当該「穴」の部分が対象領域32sとされる。つまり、当該「穴」の外縁が対象領域32sの範囲(大きさ)である。対象領域32sの大きさが大きくなるということは、補助画像32が表す「壁」に空いた「穴」が大きくなるという変化に遊技者には見える。
【0077】
対象領域32sの大きさは変化しうる。本実施形態では、(小さいものから順に)対象領域「小」、対象領域「中」、対象領域「大」、対象領域「特大」のいずれかとされる。各対象領域32sの大きさは、上記各示唆画像30の大きさに対応づけられたものである。すなわち、対象領域「小」は示唆画像「小」に、対象領域「中」は示唆画像「中」に、対象領域「大」は示唆画像「大」に、対象領域「特大」は示唆画像「特大」に対応づけられたものである(
図15参照)。各大きさの対象領域32sは、対応する示唆画像30の大きさよりも大きい。よって、各大きさの対象領域32s内には、対応する示唆画像30を表示することができる。また、本実施形態では、各示唆画像30の大きさは、対応する対象領域32s未満の対象領域32sよりも大きいものとされている。すなわち、示唆画像「特大」は、対象領域「小」、対象領域「中」、対象領域「大」のいずれよりも大きいし、示唆画像「大」は、対象領域「小」、対象領域「中」のいずれよりも大きいし、示唆画像「中」は、対象領域「小」よりも大きい。よって、各示唆画像30(示唆画像「特大」、「大」、「中」)は、対応する対象領域32s未満の対象領域32s内に表示することができないものである。このようにすることで、各示唆画像30と各対象領域32sの対応関係がより明確になる。なお、画像演出において、ある大きさの示唆画像30が表示された状態においては、それに対応しない対象領域32sが形成された状態となることはない。
【0078】
4-3)画像演出の進行
画像演出の開始時には、補助画像32が対象領域「小」を形成し、当該対象領域「小」内にそれに対応する示唆画像「小」が表示された状態にある(
図17(a)参照)。すなわち、『示唆画像「小」-対象領域「小」』の状態が画像演出の基準状態(初期状態)とされている(このように、画像演出における示唆画像30および対象領域32s(補助画像32)の状態を『示唆画像「○」-対象領域「○」』と記すことがある)。ただし、本実施形態とは異なり、いわゆるチャンスアップとして、『示唆画像「小」-対象領域「小」』の状態以外の状態が初期状態とされた画像演出が発生しうるようにしてもよい。
【0079】
画像演出では、示唆画像30の大きさの変化が発生することがある。当該示唆画像30の大きさの変化は、事前段階、中継段階、事後段階という三つの段階(三つの状態)を経て実現される(以下、当該三つの段階を含む一回の演出を変化演出と称することもある)。事前段階は、変化前の示唆画像30が対応する大きさの対象領域32sに表示された状態である。例えば、変化前が示唆画像「小」であれば、『示唆画像「小」-対象領域「小」』の状態(
図16(a)参照)が事前段階ということになる。
【0080】
事前段階の後の中継段階は、示唆画像30が、補助画像32における対象領域32s側に衝突するような表示がなされる段階である。上述した通り、補助画像32の内縁が対象領域32sを区画するものであるから、示唆画像30が当該補助画像32の内縁に衝突したかのように見える態様の画像が表示される。具体的には、示唆画像30が一旦小さくなった(
図16(b)参照)後、次第に大きくなるものとされることで、当該示唆画像30が手前に移動してくるかのように見せ、このような手前に移動してきた示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突したかのような表示(
図16(c)参照)がなされる。
【0081】
中継段階の後の事後段階は、事前段階よりも示唆画像30および対象領域32sの大きさが大きくなったことが示される段階である。例えば、事前段階が『示唆画像「小」-対象領域「小」』の状態(
図16(a)参照)であれば、事後段階にて『示唆画像「中」-対象領域「中」』の状態となる示唆画像30および対象領域32s(補助画像32)の態様とされる(
図16(d)参照)。これにより、遊技者は、(事前段階に比して)示唆画像30の大きさが大きくなったことを把握する。上述した通り、中継段階は、示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突したかのように見せる(
図16(c)参照)ものであるところ、当該「衝突」の結果、補助画像32の「穴」である対象領域32sが大きくなり(当該「衝突」により「穴」が広げられ)、それとともに示唆画像30が大きくなったかのように見える演出形態となる。
【0082】
画像演出においては、このような事前段階~事後段階を含む変化演出の発生を経て示唆画像30が大きくなる(ただし、示唆画像30の大きさが大きくならずに終了する(『示唆画像「小」-対象領域「小」』で終了する)こともある)。画像演出を実行する場合には、信頼度示唆対象である当否抽選結果を踏まえ、最終的にどの段階まで示唆画像30を大きくするか(最終結果時に表示される示唆画像30の大きさ)が予め決定される(あくまで遊技機内部で決定されるものであり、画像演出の最終結果まで遊技者には分からない)。例えば、示唆画像「大」まで大きくすることが決定された場合には、上記事前段階~事後段階を含む変化演出が「二回」発生することになる。つまり、『示唆画像「小」-対象領域「小」』から『示唆画像「中」-対象領域「中」』に変化する変化演出(一回目の変化演出)が発生した(
図17(a)~(c)参照)後、『示唆画像「中」-対象領域「中」』から『示唆画像「大」-対象領域「大」』に変化する変化演出(二回目の変化演出)が発生する(
図17(c)~(e)参照)ことになる。
【0083】
本実施形態における画像演出では、示唆画像30が変化すると見せかけて変化しない非変化演出が発生する。非変化演出は、示唆画像30が大きくなることを「煽る」演出であるとみることもできる。本実施形態における非変化演出は、事前段階および中継段階の態様は変化演出と同じであり、事後段階が変化演出と異なるものである。具体的には、中継段階にて示唆画像30が補助画像32の内側に衝突する(
図17(f)参照)ものの、事後段階において示唆画像30および対象領域32sの大きさが変化しない(事前段階と同じとなる)結果に至る(
図17(g)参照)ものが非変化演出として実行される。つまり、中継段階を分岐とし、事後段階にて示唆画像30および対象領域32sの大きさが事前段階よりも大きくなるのが変化演出であり、事後段階にて示唆画像30および対象領域32sの大きさが事前段階と同じとなる(変化しない)のが非変化演出である。
【0084】
本実施形態における画像演出は、非変化演出の発生をもって終了する。つまり、示唆画像30の大きさが変化するかもしれないという「煽り」が発生したものの、示唆画像30の大きさが変化しなかった場合をもって画像演出が終了する。例えば、示唆画像「大」まで大きくすることが予め決定された画像演出の場合には、事前段階および事後段階が『示唆画像「大」-対象領域「大」』である非変化演出が発生する(
図17(e)~(f)参照)ことで終了する。また、示唆画像30が「特大」(最大の大きさ)となった場合には、それ以上示唆画像30が大きくなることはないため画像演出は終了する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態における画像演出は、示唆画像30の大きさにより大当たり信頼度を示唆するものであるところ、当該示唆画像30の大きさに応じて対象領域32sの大きさ(補助画像32の態様)も変化する(
図15参照)ため、示唆画像30の変化が分かりやすい(強調される)という利点がある。
【0086】
また、示唆画像30の大きさが変化する際には、示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突することで対象領域32sの大きさが広げられるかのようなアクション(中継段階)が発生するようにされている(
図16参照)。このようにすることで、示唆画像30とともに対象領域32sが大きくなっていることがより分かりやすくなる。
【0087】
以下、上記画像演出に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0088】
〇具体例3-1
上記実施形態における画像変化演出は、非変化演出が発生することで終了するものであることを説明したが、このような非変化演出が発生せずに終了するものとしてもよい。
【0089】
また、本例のようにする場合、示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突する事象が発生した場合にはもれなく対象領域32sが大きくなる(対象領域32sに応じて示唆画像30も大きくなる)という設定としてもよい。つまり、示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突することは、対象領域32sが大きくなる(これに合わせて示唆画像30も大きくなる)ことを示す事象として発生するものとする。このようにすることで、示唆画像30が補助画像32に衝突することを遊技者が願う演出形態となる。
【0090】
〇具体例3-2
中継段階の態様により、変化演出となる蓋然性が示唆されるものとしてもよい。上述した通り、中継段階は、変化演出となるか非変化演出となるかの分岐であるところ、当該中継段階の態様により、変化演出となる蓋然性、すなわち示唆画像30および対象領域32sが大きくなる変化が生じる蓋然性が示唆されるものとする。
【0091】
例えば、中継段階が第一態様(
図18(a)参照)である場合よりも、第二態様(第一態様とは異なる態様)(
図18(b)参照)である場合の方が、変化演出である蓋然性が高いものとする。第一態様と第二態様の違いは、「衝突」の違いを表すものとすることが考えられる。例えば、示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突した際に、当該衝突を強調する(「衝突」の衝撃を表す)ものとして表示される効果画像(エフェクト画像)が、第一態様と第二態様とで異なるものとする。具体的には、第一態様とされる場合に表示される効果画像よりも、第二態様とされる場合に表示される効果画像の方が、より激しい「衝突」であることを示すようなものとされ、対象領域32sが大きくなる確率が高いことを示唆するようにする。対象領域32sが大きくなること(示唆画像30が大きくなること)は遊技者にとって喜ばしい事象であるから、中継段階が第一態様となることよりも、第二態様となることの方が、遊技者にとって有利であるといえる。このようにすることで、中継段階における「衝突」の違いにより、対象領域32sが大きくなる(示唆画像30が大きくなる)蓋然性が示唆されるという演出形態となる。
【0092】
なお、中継段階が第二態様とされた場合には、対象領域32sが大きくなる(示唆画像30が大きくなる)ことが確定するという設定としてもよい。
【0093】
〇具体例3-3
一回の変化演出(示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突すること)の発生に伴い、対象領域32sが二段階以上大きくなることが発生しうるものとする。例えば、事前段階では『示唆画像「小」-対象領域「小」』の状態にあり、中継段階を経て、事後段階では『示唆画像「大」-対象領域「大」』の状態となる、といった示唆画像30および対象領域32sの変化が発生することもある画像演出とする。
【0094】
本例のようにする場合、中継段階の態様により、対象領域32sが二段階以上大きくなることが示唆されるものとしてもよい。例えば、中継段階が態様A(
図18(a)参照)である場合には対象領域32sが一段階大きくなる(示唆画像30も一段階大きくなる)ものの、中継段階が態様B(態様Aとは異なる態様)(
図18(b)参照)である場合には対象領域32sが二段階以上大きくなる(示唆画像30も二段階以上大きくなる)という構成とする。態様Aと態様Bの違いは、「衝突」の違いを表すものとすることが考えられる。例えば、示唆画像30が補助画像32の内縁に衝突した際に、当該衝突を強調するものとして表示される効果画像(エフェクト画像)が、態様Aと態様Bとで異なるものとする。具体的には、態様Aとされる場合に表示される効果画像よりも、態様Bとされる場合に表示される効果画像の方が、より激しい「衝突」であることを示すようなものとされる。このようにすることで、中継段階における「衝突」の違いにより、対象領域32sの大きさの変化の度合が予め示唆されるという演出形態となる。
【0095】
なお、中継段階が態様Bとされた場合には対象領域32sが二段階(複数段階)大きくなることが確定するわけではなく、態様Aとされた場合よりも対象領域32sが二段階以上大きくなる確率が高い(当該確率≠100%である)に留まる設定としてもよい。
【0096】
〇具体例3-4
示唆画像30は、その大きさにより態様が異なる(なお、ここでいう「態様」の違いは、「大きさ」以外の要素として表れるもののとする)ものとしてもよい。上記実施形態に即して言えば、示唆画像「小」、示唆画像「中」、示唆画像「大」、示唆画像「特大」のそれぞれの態様が異なるものとする。例えば示唆画像「小」は白色を、示唆画像「中」は青色を、示唆画像「大」は緑色を、示唆画像「特大」は赤色を呈するものとする。このようにすることで、示唆画像30の大きさに加え、示唆画像30の態様により大当たり信頼度が示唆されることになるからより分かりやすい演出形態となる。
【0097】
ただし、本例のようにする場合でも、各示唆画像30の外形は、対象領域32sと相似形であることが保たれるよういするとよい。すなわち、上記実施形態のように対象領域32sを略円形とするのであれば、全ての大きさの示唆画像30の外形が略円形であることは保たれるようにする(「円」の内側の部分の態様が異なる構成とする)。対象領域32sは示唆画像30の大きさを強調する(分かりやすくする)要素であるし、示唆画像30は対象領域32sを「広げる」要素としても機能することになるから、両者の外形は相似形状とすることが好ましいといえる。
【0098】
〇具体例3-5
示唆画像30が装飾図柄80の一種であるものとしてもよい。つまり、当否抽選結果を示す図柄組み合わせを構成するものとして示唆画像30が表示されることがある設定とし、当該示唆画像30の大きさ(装飾図柄80の一種)により大当たり信頼度が示唆されるものとする。
【0099】
装飾図柄80が所定の組み合わせで停止または擬似停止して再び変動を開始する連続演出(擬似連続演出や先読み連続演出)が周知であるところ、当該所定の組み合わせが構築された際に画像演出が発生する構成とすることができる。具体的には、所定の組み合わせを構築する装飾図柄80の一種(例えば、所定の組み合わせを構築する三つの装飾図柄80のうち、中央の装飾図柄80)が示唆画像30である設定とする。そして、所定の組み合わせ構築された際に画像演出が発生し、示唆画像30がどの段階まで大きくなるかに応じ、大当たり信頼度が示唆されるものとする。
【0100】
5)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0101】
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
【0102】
上記実施形態では、当否抽選結果の態様として大当たりおよびはずれが設定され、大当たりとなることで大当たりが獲得される(大当たり遊技が実行される)ものであるが、いわゆる小当たり経由により大当たりが獲得できるものとしてもよい。このように小当たり経由で大当たりが獲得できる遊技性(小当たり当選時に開放される特典領域(V領域)に遊技球を進入させることで大当たりが得られるいわゆる「二種遊技機」の遊技性)を備えたもの自体は周知であるため詳細な説明を省略するが、例えば小当たりに当選した場合、(遊技機の故障や遊技者が指示通り遊技を行わない等のイレギュラーな事象が発生した場合を除き)それが大当たりの獲得に繋がるという設定(実質的に小当たり当選と大当たり当選が同一視できる設定)である設定とするのであれば、上記実施形態にて説明した大当たりの当選とは、小当たりに当選することを含む(「大当たり」は「小当たり」に読み替えることができる)ものとする。
【0103】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0104】
・手段1-1
当否抽選結果が当たりとなることを目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態が設けられた遊技機であって、前記特定遊技状態にて当否抽選結果が当たりとなって特定大当たりを獲得した場合には当該特定大当たり遊技終了後に再び前記特定遊技状態が開始されるものであり、前記特定遊技状態では、当該特定遊技状態の開始時には初期態様にあり、当否抽選結果がはずれとなる度に変化する変化画像が表示され、前記変化画像が前記初期態様にない状態で前記特定大当たりが獲得された際には前記変化画像が前記初期態様に戻されることを示す復帰演出が発生することを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定大当たり獲得により再び特定遊技状態が開始されることを復帰演出により分かりやすく示すことが可能である。
【0105】
・手段1-2
前記復帰演出の少なくとも一部が前記特定大当たり遊技中に実行され、当該特定大当たり遊技中に前記変化画像が前記初期態様に戻されることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このようにすることで、大当たり遊技終了後に特定遊技状態が開始されることをより分かりやすく示すことができる。
【0106】
・手段1-3
前記変化画像は、当否抽選結果がはずれとなる度に変位する変位部を含み、前記初期態様は、前記変位部が初期位置に位置した状態であることを特徴とする手段1-1または手段1-2に記載の遊技機。
このようにすることで、復帰演出が発生して変位部が初期位置に戻ることが、特定遊技状態の開始であることがより分かりやすくなる。
【0107】
・手段1-4
前記変化画像は、当否抽選結果がはずれとなる度に前記変位部が所定角度回動するものであることを特徴とする手段1-3に記載の遊技機。
このようにすることで、変位部の回動により、はずれの報知回数が増加していることが視覚的に示されるから、特定遊技状態の進行が分かりやすくなる。
【0108】
・手段2-1
当否抽選結果を報知するための装飾図柄が表示される表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に演出画像を表示する特定演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記特定演出は、前記演出画像が前記表示領域の一方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記一方縁の反対である他方縁に近づくように変位する態様を含む演出であることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、表示領域の一方縁に近づくように演出画像が変位する表示がなされた結果、その勢いに押されて装飾図柄が表示領域の他方縁(反対側)に飛ばされたかのように見える面白みのある演出を実行することができる。
【0109】
・手段2-2
前記特定演出は、前記演出画像が前記表示領域の前記一方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記他方縁に近づくように変位する第一演出部と、前記演出画像が前記表示領域の前記他方縁に近づくように変位することに合わせて前記装飾図柄が前記表示領域の前記一方縁に近づくように変位する第二演出部と、を含み、前記第一演出部を経て前記表示領域の前記他方縁側に位置した前記装飾図柄と、前記第二演出部を経て前記表示領域の前記一方縁側に位置した前記装飾図柄とで、リーチの成立が示される演出であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
このように、演出画像の変位する方向が逆である第一演出部と第二演出部を設けることで、最終的に表示領域の一方側および他方側にリーチを構成する装飾図柄が表示されるに至る演出形態とすることができる。
【0110】
・手段2-3
前記装飾図柄は、その種類を示す主要素部と当該主要素部に付随する副要素部を含む複合態様にて表示されることもあれば、前記主要素部は含むものの前記副要素部は含まない単独態様にて表示されることもあり、前記装飾図柄が前記複合態様から前記単独態様に変化した上で、前記特定演出が実行されることを特徴とする請求項1または手段2-2に記載の遊技機。
特定演出は変位する演出画像により装飾図柄が飛ばされたかのように見せる演出であるため、当該特定演出前に装飾図柄を複合態様から単独態様に変化させるとよい(複合態様の装飾図柄を用いているのであれば、特定演出前に装飾図柄を「軽く」見えるような態様に変化させるとよい)。
【0111】
・手段3-1
表示領域を有する表示手段と、前記表示領域に表示される示唆画像の大きさにより、遊技者に有利な事象が発生する蓋然性を示唆する画像演出を実行する演出実行手段と、を備え、前記画像演出では、前記表示領域の一部である対象領域に前記示唆画像が表示されるとともに、当該対象領域を形成する補助画像が表示され、前記示唆画像の大きさに応じた前記対象領域の大きさとなるよう前記補助画像が変化することを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、示唆画像の大きさに応じて対象領域の大きさも変化するため、示唆画像の変化が分かりやすい画像演出とすることができる。
【0112】
・手段3-2
前記画像演出における前記示唆画像の大きさの変化は、前記対象領域に前記示唆画像が表示される事前段階と、前記事前段階の後、前記示唆画像が前記補助画像における前記対象領域側に衝突する中継段階と、前記中継段階の後、前記事前段階よりも前記示唆画像および前記対象領域の大きさが大きくなる事後段階と、を経て実現されることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、示唆画像の大きさが変化する際には、示唆画像が補助画像の内縁に衝突することで対象領域の大きさが広げられるかのようなアクションが発生することになるから、示唆画像とともに対象領域が大きくなっていることがより分かりやすくなる。
【符号の説明】
【0113】
1 遊技機
10 変化画像
11 変位部
20 演出画像(21 第一演出画像 22 第二演出画像)
30 示唆画像
32 補助画像
32s 対象領域
80 装飾図柄(80m 主要素部 80s 副要素部)
91 表示装置
911 表示領域