(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116218
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】光演算装置、及び、光演算装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G06E 3/00 20060101AFI20240820BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06E3/00
G02B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090832
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2022569702の分割
【原出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2020208661
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山岸 裕幸
(57)【要約】
【課題】平面状光回折素子の相対的な位置関係を所期の関係に維持することが容易な光演算装置を実現すること。
【解決手段】光演算装置(1)は、基板(12)と、複数の平面状光回折素子(11a1~11a4)と、カバー(15)と、側壁と、を備え、各平面状光回折素子(11a1~11a4)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されており、基板(12)に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に固定された複数の平面状光回折素子を含む光回折素子群と、前記基板と対向するカバーであって、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子と接触しないように支持されたカバーと、前記光回折素子群を四方から取り囲む側壁であって、一端が前記基板の上面に固定され他端が前記カバーの下面に固定された側壁と、を備え、
前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されており、前記基板に固定されている、
ことを特徴とする光演算装置。
【請求項2】
前記基板、前記カバー、及び前記側室により囲まれた空間に液体又は気体が封入されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光演算装置。
【請求項3】
前記液体はマッチングオイルである、
ことを特徴とする請求項2に記載の光演算装置。
【請求項4】
前記気体は窒素ガスである、
ことを特徴とする請求項2に記載の光演算装置。
【請求項5】
前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子は、その入射面及び出射面が前記基板の主面と交わるように前記基板に固定されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の光演算装置。
【請求項6】
前記基板の主面と交わる面内において信号光の光路を折り返す光学素子を更に備えており、
前記光回折素子群は、折り返し前後の光路の一方に設けられ、前記基板に直接固定された平面状光回折素子と、折り返し前後の光路の他方に設けられ、前記基板に直接固定された平面状光回折素子を介して前記基板に間接固定された平面状光回折素子と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の光演算装置。
【請求項7】
前記光回折素子群は、第1の光路上に設けられた平面状光回折素子と、前記第1の光路とは異なる第2の光路上に設けられた平面状光回折素子と、を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の光演算装置。
【請求項8】
信号光の光路を前記第1の光路と前記第2の光路とに分岐させる光学素子を更に備えている、
ことを特徴とする請求項7に記載の光演算装置。
【請求項9】
信号光を前記第1の光路又は前記第2の光路へと導く光学素子であって、前記信号光を導く光路が可変な光学素子を更に備えている、
ことを特徴とする請求項7に記載の光演算装置。
【請求項10】
信号光を前記第1の光路又は前記第2の光路へと導く光学素子であって、信号光を導く光路が不変な光学素子を更に備えている、
ことを特徴とする請求項7に記載の光演算装置。
【請求項11】
前記光回折素子群は、高さが互いに独立に設定された複数のピラーが両面に形成された平面状光回折素子を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の光演算装置。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の光演算装置の製造方法であって、
前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子を一括して形成する工程を含んでいる、ことを特徴とする光演算装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の平面状光回折素子を含む光演算装置に関する。また、そのような光演算装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、並んで配置された複数の光学素子(具体的にはレンズ)の各々を筒状のホルダ(具体的にはレンズホルダ)に固定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光演算機能を有する光学素子として、厚み又は屈折率が個別に設定された複数のマイクロセルを有する平面状光回折素子が知られている。このような平面状光回折素子が信号光の光路上に並んだ光演算装置を用いれば、複雑な光演算を少ない消費電力で高速に実行することが可能である。しかしながら、光演算装置を構成する複数の平面状光回折素子を、特許文献1に記載の技術を流用して筒状のホルダに固定すると、以下のような問題を生じる。
【0005】
すなわち、環境温度が変化すると、熱膨張又は熱収縮によってホルダに歪みが生じる。各平面状光回折素子は、全周に亘ってホルダの内側面に固定されているので、ホルダに歪みが生じると、各平面状光回折素子に歪み又は応力が生じることが避け難い。そして、各平面状光回折素子に歪み又は応力が生じると、その平面状光回折素子に所期の演算を行わせることが困難又は不可能になる。その結果、これらの平面状光回折素子に全体として所期の演算を行わせることが困難又は不可能になる。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、環境温度が変化しても演算機能を維持することが容易な光演算装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光演算装置は、基板と、複数の平面状光回折素子を含む光回折素子群と、前記基板と対向するカバーであって、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子と接触しないように支持されたカバーと、前記光回折素子群を四方から取り囲む側壁であって、一端が前記基板の上面に固定され他端が前記カバーの下面に固定された側壁と、を備え、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されており、前記基板に固定されている。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光演算装置の製造方法は、上述した光演算装置の製造方法であって、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子を一括して形成する工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、環境温度が変化しても演算機能を維持することが容易な光演算装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す光演算装置が備える平面状光回折素子の具体例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第4の実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第5の実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第6の実施形態に係る光演算装置の構成を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第6の実施形態に係る光演算装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
(光演算装置の構成)
本発明の第1の実施形態に係る光演算装置1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、光演算装置1の構成を示す斜視図である。
【0012】
光演算装置1は、光回折素子群11と、基板12と、を備えている。光回折素子群11は、複数の(本実施形態においては4つの)平面状光回折素子11a1~11a4により構成されている。本実施形態においては、平面状光回折素子11a1~11a4として、樹脂により構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、基板12として、ガラスにより構成された、平面視形状が長方形の板状の部材を用いている。
【0013】
平面状光回折素子11a1~11a4は、それぞれ、その入射面及び出射面が基板12の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、その端面が基板12の主面に直接固定されている。
【0014】
各平面状光回折素子11ai(i=1,2,…,4)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。光演算装置1に信号光が入射すると、各マイクロセルを透過した位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算が行われる。なお、本明細書において、「マイクロセル」とは、例えば、セルサイズが10μm未満のセルのことを指す。また、本明細書において、「セルサイズ」とは、セルの面積の平方根のことを指す。例えば、マイクロセルの平面視形状が正方形である場合、セルサイズとは、セルの一辺の長さである。セルサイズの下限は、特に限定されないが、例えば1nmである。
【0015】
本実施形態において、平面状光回折素子11a1~11a4は、光演算装置1に入力される信号光の光路上に一直線に並んで配置されている。このため、光演算装置1に入力された信号光は、第1の平面状光回折素子11a1、第2の平面状光回折素子11a2、第3の平面状光回折素子11a3、及び第4の平面状光回折素子11a4をこの順に通過する。したがって、光演算装置1においては、第1の平面状光回折素子11a1による第1の光演算、第2の平面状光回折素子11a2による第2の光演算、第3の平面状光回折素子11a3による第3の光演算、及び、第4の平面状光回折素子11a4による第4の光演算がこの順に実行される。
【0016】
なお、光演算装置1は、基板12と対向するように配置された板状のカバー15(
図1において点線にて付記)を備えていてもよい。例えば、カバー15は、一端が基板12の上面に固定され、他端がカバー15の下面に固定された、少なくとも3本の支柱(
図1において不図示)により支持される。或いは、カバー15は、一端が基板12の上面に固定され、他端がカバー15の下面に固定された、光回折素子群11を四方から取り囲む側壁(
図1において不図示)により支持される。支柱又は側壁の高さは、カバー15の下面が各平面状光回折素子11aiの上端面に接触しないよう、十分に高く設定される。
【0017】
ここで、基板12の上面とは、基板12の2つの主面のうち、平面状光回折素子11a1~11a4が固定されている方の主面のことを指す。また、カバー15の下面とは、カバー15の2つの主面のうち、基板12の主面に対向する方の主面のことを指す。また、平面状光回折素子11aiの上端面とは、平面状光回折素子11aiの4つの端面のうち、基板12の上面に固定される端面と対向する端面のことを指す。カバー15を側壁により支持する構成を採用した場合、基板12、カバー15、及び側壁により囲まれた空間に、マッチングオイルなどの液体、或いは、窒素ガスなどの気体を封入することも可能である。
【0018】
(平面状光回折素子の具体例)
光演算装置1が備える各平面状光回折素子11aiの具体例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本具体例に係る平面状光回折素子11aiの斜視図である。
【0019】
本具体例に係る平面状光回折素子11aiは、一辺1.0mmの正方形の有効領域を有している。この有効領域は、マトリックス状に配置された100×100個のマイクロセルにより構成されている。各マイクロセルは、厚さ100μmのベース上に形成された、1辺1μmの正方形の底面を有する四角柱状のピラーにより構成されている。各ピラーの高さは、0nm、100nm、200nm、…、1100nm、1200nm(100nmステップ13段階)の何れかであり、そのピラーにより構成されるマイクロセルを透過する光の位相変化量が所期の値になるように決められている。
【0020】
なお、本具体例に係る平面状光回折素子11aiにおいては、ベースの一方の主面にのみピラーを設けているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ベースの両方の主面にピラーを設けてもよい。なお、ベースの一方の主面にのみピラーが設けられた平面状光回折素子11a1は、光演算装置1において、ピラー形成面が信号光の入射面となるように配置することもできるし、ピラー形成面が信号光の出射面となるように配置することもできる。一方、ベースの両方の主面にピラーが設けられた平面状光回折素子11a1は、光演算装置1において、一方のピラー形成面が信号光の入射面となり、他方のピラー形成面が信号光の出射面となるように配置することができる。
【0021】
なお、本具体例に係る平面状光回折素子11aiにおいては、各マイクロセルを透過する光の位相変化量が所期の値となるように、そのマイクロセルの厚み(すなわち、そのマイクロセルを構成するピラーの高さ)を設定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各マイクロセルを透過する光の位相変化量が所期の値となるように、そのマイクロセルの屈折率を設定してもよい。この場合、各マイクロセルの屈折率の設定は、そのマイクロセルの材料を選択することにより実現してもよし、そのマイクロセルの材料に添加する添加剤の種類及び/又は量を選択することにより実現してもよい。また、各マイクロセルが樹脂(高分子)により構成されている場合には、その樹脂の重合の度合いを制御することによって、そのマイクロセルの屈折率を設定してもよい。
【0022】
(光演算装置の効果)
以上のように、光演算装置1は、基板12と、複数の平面状光回折素子11a1~11a4を含む光回折素子群11と、を備えている。光回折素子群11に属する各平面状光回折素子11aiは、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されており、その入射面及び出射面が基板12の主面と交わるように基板12に固定されている。
【0023】
このため、光演算装置1においては、各平面状光回折素子11aiの外周(4つの端面)のうち、一部分(1つの端面)のみが基板12に固定され、残りの部分(3つの端面)は自由である。したがって、特許文献1に記載の技術を流用して筒状のホルダの内側面に各平面状光回折素子11aiの外周全体を固定する場合と比較して、環境温度の変化に起因する歪又は応力が各平面状光回折素子11aiに生じ難くなる。このため、環境温度が変化しても演算機能を維持することが容易な光演算装置1を実現することができる。
【0024】
また、光演算装置1は、基板12と対向するカバー15であって、光回折素子群11に属する各平面状光回折素子11aiと接触しないように支持されたカバー15を更に備え得る。
【0025】
この場合、光演算装置1によれば、光演算装置1の外部から各平面状光回折素子11aiに加わり得る衝撃や振動などから各平面状光回折素子11aiを保護することができる。また、光演算装置1に飛来し得る異物から各平面状光回折素子11aiを保護することができる。
【0026】
また、光回折素子群11は、高さが互いに独立に設定された複数のピラーが両面に形成された平面状光回折素子を含み得る。
【0027】
ピラーが両面に形成された平面状光回折素子においては、ピラーが片面に形成された平面状光回折素子よりも位相変化量が大きい(すなわち、厚みの厚い)セルを形成することが可能である。したがって、ピラーが両面に形成された平面状光回折素子に実行させることが可能な光演算の自由度は、ピラーが片面に形成された平面状光回折素子に実行させることが可能な光演算の自由度よりも高くなる。したがって、ピラーが両面に形成された平面状光回折素子を光回折素子群11に含めることで、光演算装置1に実行させることが可能な光演算の自由度を高めることができる。
【0028】
また、光演算装置1の製造方法としては、光回折素子群11に属する各平面状光回折素子11aiを一括して形成する工程を含む製造方法を採用することができる。
【0029】
このような製造方法を採用した場合、各平面状光回折素子11aiを別個に形成する場合に必要になる調整工程であって、各平面状光回折素子11aiの相対的な位置関係が所期の関係になるように、各平面状光回折素子11aiの位置及び向きを調整する調整工程を省略することができる。したがって、このような製造方法によれば、各平面状光回折素子11aiの相対的な位置関係を所期の関係に容易に維持することができる。
【0030】
なお、光回折素子群11に属する各平面状光回折素子11aiを一括して形成する工程は、例えば、ナノインプリント法又は光造形法により実現することが可能である。なお、光造形法は、液相光重合法とよばれることもある。
【0031】
〔第2の実施形態〕
(光演算装置の構成)
本発明の第2の実施形態に係る光演算装置2の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、光演算装置2の構成を示す斜視図である。
【0032】
光演算装置2は、光回折素子群21と、基板22と、プリズム23と、を備えている。光回折素子群21は、複数の(本実施形態においては4つの)平面状光回折素子21a1~21a4により構成されている。本実施形態においては、平面状光回折素子21a1~21a4として、樹脂により構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、基板22として、ガラスにより構成された、平面視形状が長方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、プリズム23として、互いに直交する2つの反射面23a,23bを有する直角プリズムを用いている。
【0033】
第1の平面状光回折素子21a1及び第2の平面状光回折素子21a2は、それぞれ、その入射面及び出射面が基板22の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、その端面が基板22の主面に直接固定されている。第3の平面状光回折素子21a3は、その入射面及び出射面が基板22の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、第2の平面状光回折素子21a2を介して基板22の主面に間接固定されている。第4の平面状光回折素子21a4は、その入射面及び出射面が基板22の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、第1の平面状光回折素子21a1を介して基板22の主面に間接固定されている。
【0034】
各平面状光回折素子21ai(i=1,2,3,4)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。光演算装置2に信号光が入射すると、各マイクロセルを透過した位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算が行われる。各平面状光回折素子21aiの具体例は、第1の実施形態に係る光演算装置1が備える各平面状光回折素子11aiの具体例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0035】
本実施形態において、光演算装置2に入力される信号光の光路上には、第1の平面状光回折素子21a1と第2の平面状光回折素子21a2とが、一直線に並んで配置されている。このため、光演算装置2に入力された信号光は、第1の平面状光回折素子21a1と第2の平面状光回折素子21a2とを、この順に通過する。第2の平面状光回折素子21a2を通過した信号光の光路上には、プリズム23の第1の反射面23aが配置されている。プリズム23の第1の反射面23aは、第2の平面状光回折素子21a2を通過した信号光を、その進行方向を基板22の主面と交わる(本実施形態においては直交する)面内において90°変化させるように反射する。プリズム23の第1の反射面23aにて反射された信号光の光路上には、プリズム23の第2の反射面23bが配置されている。プリズム23の第2の反射面23bは、プリズム23の第1の反射面23aにて反射された信号光を、その進行方向を基板22の主面と交わる(本実施形態においては直交する)面内において更に90°変化させるように反射する。すなわち、プリズム23は、第1の反射面23a及び第2の反射面23bを介して、第2の平面状光回折素子21a2を通過した信号光を、この信号光の進行方向と反対方向に反射する。プリズム23の第2の反射面23bにて反射された信号光の光路上には、第3の平面状光回折素子21a3と第4の平面状光回折素子21a4とが、一直線上に並んで配置されている。このため、プリズム23の第2の反射面23bにて反射された信号光は、第3の平面状光回折素子21a3と第4の平面状光回折素子21a4とを、この順に通過する。したがって、光演算装置2においては、第1の平面状光回折素子21a1による第1の光演算、第2の平面状光回折素子21a2による第2の光演算、第3の平面状光回折素子21a3による第3の光演算、及び、第4の平面状光回折素子21a4による第4の光演算がこの順に実行される。
【0036】
(光演算装置の効果)
以上のように、光演算装置2は、基板22の主面と交わる面内において信号光の光路を折り返す光学素子として機能するプリズム23を更に備えている。光回折素子群21は、折り返し前の光路に設けられ、基板22に直接固定された平面状光回折素子21a1,21a2と、折り返し後の光路に設けられ、平面状光回折素子21a1,21a2を介して基板12に間接固定された平面状光回折素子21a4,21a3と、を含んでいる。
【0037】
このため、光演算装置2によれば、平面状光回折素子21a1,21a2,21a3,21a4を基板22に実装する場合の実装密度を高めることができる。したがって、光演算装置2によれば、光演算装置1と比較して、基板22のサイズを小型化することができる。
【0038】
〔第3の実施形態〕
(光演算装置の構成)
本発明の第3の実施形態に係る光演算装置3の構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、光演算装置3の構成を示す斜視図である。
【0039】
光演算装置3は、光回折素子群31と、基板32と、プリズム33と、ミラー34と、を備えている。光回折素子群31は、複数の(本実施形態においては4つの)平面状光回折素子31a1~31a4により構成されている。本実施形態においては、平面状光回折素子31a1~31a4として、樹脂により構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、基板32として、ガラスにより構成された、平面視形状が長方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、プリズム33として、互いに直交する2つの反射面33a,33bを有する直角プリズムを用いている。
【0040】
平面状光回折素子31a1~31a4は、それぞれ、その入射面及び出射面が基板32の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、その端面が基板32の主面に直接固定されている。
【0041】
各平面状光回折素子31ai(i=1,2,3,4)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。光演算装置3に信号光が入射すると、各マイクロセルを透過した位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算が行われる。各平面状光回折素子31aiの具体例は、第1の実施形態に係る光演算装置1が備える各平面状光回折素子11ai(i=1,2,3,4)の具体例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0042】
本実施形態において、光演算装置3に入力される信号光の光路上には、第1の平面状光回折素子31a1が配置されている。このため、光演算装置3に入力された信号光は、第1の平面状光回折素子31a1を通過する。第1の平面状光回折素子31a1を通過した信号光の光路上には、プリズム33の第1の反射面33aが配置されている。プリズム33の第1の反射面33aは、第1の平面状光回折素子31a1を通過した信号光を、その進行方向を基板32の主面に平行な面内において90°変化させるように反射する。プリズム33の第1の反射面33aに反射された信号光の光路上には、プリズム33の第2の反射面33bが配置されている。プリズム33の第2の反射面33bは、プリズム33の第1の反射面33aにて反射された信号光の一部を、その進行方向を基板32の主面に平行な面内において更に90°変化させるように反射する。また、プリズム33の第2の反射面33bは、プリズム33の第1の反射面33aにて反射された信号光の一部を、透過させる。
【0043】
プリズム33の第2の反射面33bにて反射された信号光の光路上には、第2の平面状光回折素子31a2が配置されている。このため、プリズム33の第2の反射面33bにて反射された信号光は、第2の平面状光回折素子31a2を通過する。したがって、光演算装置3においては、第1の平面状光回折素子31a1による第1の光演算、及び、第2の平面状光回折素子31a2による第2の光演算が、この順に実行される。
【0044】
プリズム33の第2の反射面33bを透過した信号光の光路上には、ミラー34が配置されている。ミラー34は、プリズム33の第2の反射面33bを透過した信号光を、その進行方向を基板32の主面に平行な面内において90°変化させるように反射する。ミラー34に反射された信号光の光路上には、第3の平面状光回折素子31a3と第4の平面状光回折素子31a4とが、一直線上に並んで配置されている。このため、ミラー34に反射された信号光は、第3の平面状光回折素子31a3と第4の平面状光回折素子31a4とを、この順に通過する。したがって、光演算装置3においては、第1の平面状光回折素子31a1による第1の光演算、第3の平面状光回折素子31a3による第3の光演算、及び、第4の平面状光回折素子31a4による第4の光演算がこの順に実行される。
【0045】
(光演算装置の効果)
以上のように、光演算装置3は、信号光の光路を第1の光路(
図4における光路A)と第2の光路(
図4における光路B)とに分岐させる光学素子として機能するプリズム33及びミラー34を備えている。光回折素子群31は、第1の光路上に設けられた平面状光回折素子31a2と、第2の光路上に設けられた平面状光回折素子31a3,31a4と、を含んでいる。
【0046】
このため、光演算装置3によれば、1つの光路を2つの光路A,Bに分岐させ、光路A,Bの各々において別個の光演算を行うことができる。すなわち、光演算装置3によれば、複数の(本実施形態においては2つの)光演算を同時に実行することができる。
【0047】
〔第4の実施形態〕
(光演算装置の構成)
本発明の第4の実施形態に係る光演算装置4の構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、光演算装置4の構成を示す斜視図である。
【0048】
光演算装置4は、光回折素子群41と、基板42と、ミラー43と、を備えている。光回折素子群41は、複数の(本実施形態においては6つの)平面状光回折素子41a1~41a6により構成されている。本実施形態においては、平面状光回折素子41a1~41a6として、樹脂により構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、基板42として、ガラスにより構成された、平面視形状が長方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態において、ミラー43は、基板42の主面と直交する軸を回転軸として回転可能に構成されている。
図5においては、ミラー43の端面から突出した円柱状の突起43aを、基板42の上面に形成された円柱状の穴に挿入することで、ミラー43を基板42に回転可能に固定する構成を例示している。
【0049】
平面状光回折素子41a1~41a6は、それぞれ、その入射面及び出射面が基板42の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、その端面が基板42の主面に直接固定されている。
【0050】
各平面状光回折素子41ai(i=1,2,…,6)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。光演算装置4に信号光が入射すると、各マイクロセルを透過した位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算が行われる。各平面状光回折素子41aiの具体例は、第1の実施形態に係る光演算装置1が備える各平面状光回折素子11ai(i=1,2,3,4)の具体例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0051】
本実施形態において、光演算装置4に入力される信号光の光路上には、第1の平面状光回折素子41a1と第2の平面状光回折素子41a2とが、一直線に並んで配置されている。このため、光演算装置4に入力された信号光は、第1の平面状光回折素子41a1と第2の平面状光回折素子41a2とを、この順に通過する。第2の平面状光回折素子41a2を通過した信号光の光路上には、ミラー43が配置されている。ミラー43は、その反射面を第1の方向に向けること、及び、その反射面を第2の方向に向けることが可能である。
【0052】
ミラー43の反射面が第1の方向を向いている場合、ミラー43にて反射された信号光の光路上には、第3の平面状光回折素子41a3と第4の平面状光回折素子41a4とが、一直線上に並んで配置されている。このため、ミラー43にて反射された信号光は、第3の平面状光回折素子41a3と第4の平面状光回折素子41a4とを、この順に通過する。したがって、この場合、光演算装置4においては、第1の平面状光回折素子41a1による第1の光演算、第2の平面状光回折素子41a2による第2の光演算、第3の平面状光回折素子41a3による第3の光演算、及び、第4の平面状光回折素子41a4による第4の光演算がこの順に実行される。
【0053】
ミラー43の反射面が第2の方向を向いている場合、ミラー43にて反射された信号光の光路上には、第5の平面状光回折素子41a5と第6の平面状光回折素子41a6とが、一直線上に並んで配置されている。このため、ミラー43にて反射された信号光は、第5の平面状光回折素子41a5と第6の平面状光回折素子41a6とを、この順に通過する。したがって、この場合、光演算装置4においては、第1の平面状光回折素子41a1による第1の光演算、第2の平面状光回折素子41a2による第2の光演算、第5の平面状光回折素子41a5による第5の光演算、及び、第6の平面状光回折素子41a6による第6の光演算がこの順に実行される。
【0054】
(光演算装置の効果)
以上のように、光演算装置4は、信号光の光路を第1の光路(
図5における光路A)又は第2の光路(
図5における光路B)へと導く光学素子であって、信号光を導く光路が可変な光学素子として機能するミラー43を備えている。光回折素子群41は、第1の光路上に設けられた平面状光回折素子41a3,41a4と、第2の光路上に設けられた平面状光回折素子41a5,41a6と、を含んでいる。
【0055】
このため、光演算装置4によれば、使用者が光路A,Bの何れかを選択することができる。したがって、光演算装置4によれば、複数の(本実施形態においては2つの)光演算の何れかを実行することができ、且つ、何れの光演算を実行するかを使用者が選択することができる。
【0056】
〔第5の実施形態〕
(光演算装置の構成)
本発明の第5の実施形態に係る光演算装置5の構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、光演算装置5の構成を示す斜視図である。
【0057】
光演算装置5は、光回折素子群51と、基板52と、ミラー53と、を備えている。光回折素子群51は、複数の(本実施形態においては6つの)平面状光回折素子51a1~51a6により構成されている。本実施形態においては、平面状光回折素子51a1~51a6として、樹脂により構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、基板52として、ガラスにより構成された、平面視形状が長方形の板状の部材を用いている。
【0058】
平面状光回折素子51a1~51a6は、それぞれ、その入射面及び出射面が基板52の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、その端面が基板52の主面に直接固定されている。
【0059】
各平面状光回折素子51ai(i=1,2,…,6)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。光演算装置5に信号光が入射すると、各マイクロセルを透過した位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算が行われる。各平面状光回折素子51aiの具体例は、第1の実施形態に係る光演算装置1が備える各平面状光回折素子11ai(i=1,2,3,4)の具体例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0060】
本実施形態において、光演算装置5に入力される信号光の光路上には、第1の平面状光回折素子51a1と第2の平面状光回折素子51a2とが、一直線に並んで配置されている。このため、光演算装置5に入力された信号光は、第1の平面状光回折素子51a1と第2の平面状光回折素子51a2とを、この順に通過する。第2の平面状光回折素子51a2を通過した信号光の光路上には、ミラー53が配置されている。ミラー53は、(1)
図6に実線で示したように、その反射面が第1の方向を向くように基板52に固定することもできるし、(2)
図6に点線で示したように、その反射面が第2の方向を向くように基板52に固定することもできる。
【0061】
反射面が第1の方向を向くようにミラー53が基板52に固定されている場合、ミラー53にて反射された信号光の光路上には、第3の平面状光回折素子51a3と第4の平面状光回折素子51a4とが、一直線上に並んで配置されている。このため、ミラー53にて反射された信号光は、第3の平面状光回折素子51a3と第4の平面状光回折素子51a4とを、この順に通過する。したがって、この場合、光演算装置5においては、第1の平面状光回折素子51a1による第1の光演算、第2の平面状光回折素子51a2による第2の光演算、第3の平面状光回折素子51a3による第3の光演算、及び、第4の平面状光回折素子51a4による第4の光演算がこの順に実行される。
【0062】
反射面が第2の方向を向くようにミラー53が基板52に固定されている場合、ミラー53にて反射された信号光の光路上には、第5の平面状光回折素子51a5と第6の平面状光回折素子51a6とが、一直線上に並んで配置されている。このため、ミラー53にて反射された信号光は、第5の平面状光回折素子51a5と第6の平面状光回折素子51a6とを、この順に通過する。したがって、この場合、光演算装置5においては、第1の平面状光回折素子51a1による第1の光演算、第2の平面状光回折素子51a2による第2の光演算、第5の平面状光回折素子51a5による第5の光演算、及び、第6の平面状光回折素子51a6による第6の光演算がこの順に実行される。
【0063】
(光演算装置の効果)
以上のように、光演算装置5は、信号光の光路を第1の光路(
図6における光路A)又は第2の光路(
図6における光路B)へと導く光学素子であって、信号光を導く光路が不変な光学素子として機能するミラー53を備えている。光回折素子群51は、第1の光路上に設けられた平面状光回折素子51a3,51a4と、第2の光路上に設けられた平面状光回折素子51a5,51a6と、を含んでいる。
【0064】
このため、光演算装置5によれば、製造者が光路A,Bの何れかを選択することができる。したがって、光演算装置5によれば、複数の(本実施形態においては2つの)光演算の何れかを実行することができ、且つ、何れの光演算を実行するかを製造者が選択することができる。
【0065】
〔第6の実施形態〕
(光演算装置の構成)
本発明の第6の実施形態に係る光演算装置6の構成について、
図7を参照して説明する。
図7は、光演算装置6の構成を示す斜視図である。
【0066】
光演算装置6は、光回折素子群61と、基板62と、を備えている。光回折素子群61は、複数の(本実施形態においては2つの)平面状光回折素子61a1~61a2により構成されている。本実施形態においては、平面状光回折素子61a1~61a2として、樹脂により構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。また、本実施形態においては、基板62として、ガラスにより構成された、平面視形状が正方形の板状の部材を用いている。
【0067】
第1の平面状光回折素子61a1は、その出射面が基板62の一方の主面と面接触するように、基板62に固定されている。一方、第2の平面状光回折素子61a2は、その入射面が基板62の他方の主面と面接触するように、基板62に固定されている。
【0068】
各平面状光回折素子61ai(i=1,2)は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。マイクロセルをピラーにより構成する場合、第1の平面状光回折素子61a1のピラーは、例えば、第1の平面状光回折素子61a1の入射面側に設けられ、第2の平面状光回折素子61a2のピラーは、例えば、第2の平面状光回折素子61a2の出射面側に設けられる。光演算装置6に信号光が入射すると、各マイクロセルを透過した位相の異なる信号光が相互に干渉することによって、予め定められた光演算が行われる。各平面状光回折素子61aiの具体例は、第1の実施形態に係る光演算装置1が備える各平面状光回折素子11ai(i=1,2,3,4)の具体例と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0069】
本実施形態において、光演算装置6に入力される信号光の光路上には、第1の平面状光回折素子61a1と第2の平面状光回折素子61a2とが、一直線に並んで配置されている。このため、光演算装置6に入力された信号光は、第1の平面状光回折素子61a1と第2の平面状光回折素子61a2とを、この順に通過する。したがって、光演算装置6においては、第1の平面状光回折素子61a1による第1の光演算、及び、第2の平面状光回折素子61a2による第2の光演算がこの順に実行される。
【0070】
(光演算装置の効果)
以上のように、光演算装置6は、基板62と、複数の平面状光回折素子61a1~61a2を含む光回折素子群61と、を備えている。光回折素子群61に属する各平面状光回折素子61aiは、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されている。第1の平面状光回折素子61a1は、その出射面が基板62の一方の主面と面接触するように基板62に固定されている。第2の平面状光回折素子61a2は、その入射面が基板62の他方の主面と面接触するように基板62に固定されている。
【0071】
このため、光演算装置6においては、各平面状光回折素子61aiは、出射面又は入射面全体が基板62に固定されている。したがって、特許文献1に記載の技術を流用して筒状のホルダの内側面に各平面状光回折素子61aiの外周全体を固定する場合と比較して、環境温度の変化に起因する歪又は応力が各平面状光回折素子61aiに生じ難くなる。このため、環境温度が変化しても演算機能を維持することが容易な光演算装置6を実現することができる。
【0072】
(光演算装置の変形例)
光演算装置6を複数備えた光演算装置を実現することも可能である。
図8は、このような光演算装置6Aの構造を示す斜視図である。
【0073】
光演算装置6Aは、4つの光演算装置6を基板63上に配置したものである。光演算装置6Aにおいて、各光演算装置6は、基板62の主面が基板63の主面と交わる(本実施形態においては直交する)ように、基板62の端面が基板63の主面に直接固定されている。上述したように、各光演算装置6について、環境温度が変化しても演算機能を維持することが容易になる。その結果、光演算装置6の集合体である光演算装置6Aについても、環境温度が変化しても演算機能を維持することが容易になる。
【0074】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る光演算装置は、基板と、複数の平面状光回折素子を含む光回折素子群と、前記基板と対向するカバーであって、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子と接触しないように支持されたカバーと、前記光回折素子群を四方から取り囲む側壁であって、一端が前記基板の上面に固定され他端が前記カバーの下面に固定された側壁と、を備え、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子は、厚み又は屈折率が互いに独立に設定された複数のマイクロセルにより構成されており、前記基板に固定されている。
【0075】
また、本発明の第2の態様に係る光演算装置においては、上述した第1の態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記基板、前記カバー、及び前記側室により囲まれた空間に液体又は気体が封入されている。
【0076】
また、本発明の第2の態様に係る光演算装置においては、上述した第2の態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記液体はマッチングオイルである。
【0077】
また、本発明の第2の態様に係る光演算装置においては、上述した第2の態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記気体は窒素ガスである。
【0078】
また、本発明の第5の態様に係る光演算装置においては、上述した第1の態様~第4の態様の何れか一態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子は、その入射面及び出射面が前記基板の主面と交わるように前記基板に固定されている。
【0079】
また、本発明の第6の態様に係る光演算装置においては、上述した第1の態様~第4の態様の何れか一態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記基板の主面と交わる面内において信号光の光路を折り返す光学素子を更に備えており、前記光回折素子群は、折り返し前後の光路の一方に設けられ、前記基板に直接固定された平面状光回折素子と、折り返し前後の光路の他方に設けられ、前記基板に直接固定された平面状光回折素子を介して前記基板に間接固定された平面状光回折素子と、を含んでいる、構成が採用されている。
【0080】
また、本発明の第7の態様に係る光演算装置においては、上述した第1の態様~第4の態様の何れか一態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記光回折素子群は、第1の光路上に設けられた平面状光回折素子と、前記第1の光路とは異なる第2の光路上に設けられた平面状光回折素子と、を含んでいる、構成が採用されている。
【0081】
また、本発明の第8の態様に係る光演算装置においては、上述した第7の態様に係る光演算装置の構成に加えて、信号光の光路を前記第1の光路と前記第2の光路とに分岐させる光学素子を更に備えている、という構成が採用されている。
【0082】
また、本発明の第9の態様に係る光演算装置においては、上述した第7の態様に係る光演算装置の構成に加えて、信号光を前記第1の光路又は前記第2の光路へと導く光学素子であって、前記信号光を導く光路が可変な光学素子を更に備えている、という構成が採用されている。
【0083】
また、本発明の第10の態様に係る光演算装置においては、上述した第7の態様に係る光演算装置の構成に加えて、信号光を前記第1の光路又は前記第2の光路へと導く光学素子であって、前記信号光を導く光路が不変な光学素子を更に備えている、という構成が採用されている。
【0084】
また、本発明の第11の態様に係る光演算装置は、上述した第1の態様~第10の態様の何れか一態様に係る光演算装置の構成に加えて、前記光回折素子群は、高さが互いに独立に設定された複数のピラーが両面に形成された平面状光回折素子を含んでいる、構成が採用されている。
【0085】
上記の課題を解決するために、本発明の第12の態様に係る光演算装置の製造方法は、上述した第1の態様~第11の態様の何れか一態様に係る光演算装置の製造方法であって、前記光回折素子群に属する各平面状光回折素子を一括して形成する工程を含んでいる。
【0086】
〔付記事項〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1,2,3,4,5,6,6A 光演算装置
11,21,31,41,51,61 光回折素子群
11ai,21ai,31ai,41ai,51ai,61ai 平面状光回折素子
12,22,32,42,52,62,63 基板
23,33 プリズム(光学素子)
34,43,53 ミラー(光学素子)
15 カバー