(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011622
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】着用物品の製造装置及び着用物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61F13/15 351Z
A61F13/15 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113791
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】福原 武志
(72)【発明者】
【氏名】對馬 辰樹
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA02
3B200EA11
3B200EA21
3B200EA27
(57)【要約】
【課題】弾性部材の切断の際に、弾性部材が勢いよく収縮する現象を抑制できる着用物品の製造装置を提供する。
【解決手段】着用物品の製造装置(1)は、搬送装置(4)と、切断装置(20)を備える。搬送装置は、一対の連続するシート(S)と、一対のシートの間に挟まれ、一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向(D1)に沿って延びる連続する弾性部材(F)と、を含む積層連続体(100)を、第1搬送方向に搬送する。切断装置は、回転するロールと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有し、搬送装置により搬送される積層連続体を、ロールと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材を切断する。切断装置による弾性部材の切断位置(P)に対する第1搬送方向における上流側(B1)及び下流側(B2)の少なくとも一方において、ロールの外表面は、所定の区間(A)、搬送装置により搬送される積層連続体と接触する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の連続するシートと、前記一対のシートの間に挟まれ、前記一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向に沿って延びる連続する弾性部材と、を含む積層連続体を、前記第1搬送方向に搬送する搬送装置と、
回転するロールと、前記ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有し、前記搬送装置により搬送される前記積層連続体を、前記ロールと前記切断部との間で挟み込んだ状態で、前記弾性部材を切断する切断装置と、
を備え、
前記切断装置による前記弾性部材の切断位置に対する前記第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、前記ロールの外表面が、所定の区間、前記搬送装置により搬送される前記積層連続体と接触する、
着用物品の製造装置。
【請求項2】
前記積層連続体を前記切断部へ案内する第1の案内ロールをさらに備える、
請求項1に記載の着用物品の製造装置。
【請求項3】
前記切断部を通過した前記積層連続体を案内する第2の案内ロールをさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の着用物品の製造装置。
【請求項4】
前記ロールの外表面は、前記上流側及び前記下流側の両方で前記積層連続体と接触する、
請求項1又は請求項2に記載の着用物品の製造装置。
【請求項5】
前記ロールが前記積層連続体を接触する角度範囲は、120度以上である、
請求項1又は2に記載の着用物品の製造装置。
【請求項6】
前記切断部は、切断ロール、超音波装置、熱溶断装置の少なくとも何れかである、
請求項1又は請求項2に記載の着用物品の製造装置。
【請求項7】
一対の連続するシートと、前記一対のシートの間に挟まれ、前記一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向に沿って延びる連続する弾性部材と、を含む積層連続体を、前記第1搬送方向に搬送する搬送工程と、
回転するロールと、前記ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有する切断装置が、搬送される前記積層連続体を、前記ロールと前記切断部との間で挟み込んだ状態で、前記弾性部材を前記切断部で切断する切断工程と、を有し、
前記切断工程では、前記切断装置による前記弾性部材の切断位置に対する前記第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、前記ロールの外表面が、所定の区間、搬送される前記積層連続体と接触する、
着用物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、着用物品の製造装置及び着用物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、一対のシートに弾性部材を挟み込んで積層連続体を形成し、積層連続体から着用者の身体に着用される胴回り部材などの装着部材を形成して、装着部品を有する着用物品を製造する、着用物品の製造装置が知られている。このような製造装置では、特許文献1のように、積層連続体に吸収体を接合させるなどの目的で、積層連続体の一部の弾性部材を切断する弱化処理が行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弱化処理において弾性部材が切断されると、弾性部材は、その復元力により、切断位置を起点に収縮する。この際、弾性部材が勢いよく収縮すると、シートと弾性部材との接合が外れてしまい、装着部材の弾性部材が存在するべき部位に弾性部材が存在しなくなり、所望の着用物品が製造できなくなるおそれがある。
【0005】
本願発明の課題は、弾性部材の切断の際に、弾性部材が勢いよく収縮する現象を抑制できる着用物品の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の着用物品の製造装置は、搬送装置と、切断装置を備える。搬送装置は、一対の連続するシートと、連続する弾性部材を含む積層連続体を、第1搬送方向に搬送する。弾性部材は、一対のシートの間に挟まれ、一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向に沿って延びる。切断装置は、回転するロールと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有し、搬送装置により搬送される積層連続体を、ロールと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材を切断する。切断装置による弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面は、所定の区間、搬送装置により搬送される積層連続体と接触する。
【0007】
本願発明の着用物品の製造方法は、搬送工程と、切断工程を有する。搬送工程は、積層連続体を第1搬送方向に搬送する。積層連続体は、一対の連続するシートと、一対のシートの間に挟まれ、一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向に沿って延びる連続する弾性部材と、を含む。切断工程は、回転するロールと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有する切断装置が、搬送される積層連続体を、ロールと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材を切断部で切断する。切断工程では、切断装置による弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面が、所定の区間、搬送される積層連続体と接触する。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の着用物品の製造装置及び着用物品の製造方法では、弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面が、所定の区間、積層連続体と接触する。そのため、積層連続体とロールとの接触面積が増え、張力が保持された状態で弾性部材が切断されることとなる。その結果、本願発明の着用物品の製造装置及び製造方法では、弾性部材が切断される場合、勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置により製造される着用物品の例を示す概略図である。
【
図2】本願発明以外の装置により弾性部材が勢いよく収縮する現象を示す概略図である。
【
図3】本願発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置の概略図である。
【
図4】本願発明の一実施形態に係る積層連続体の概略図である。
【
図5】本願発明の一実施形態に係る所定の区間及び抱き角度を示す概略図である。
【
図6A】着用物品の製造装置の変形例A1に係る着用物品の製造装置の概略図である。
【
図6B】着用物品の製造装置の変形例A2に係る着用物品の製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本願発明に係る着用物品の製造装置の実施形態を説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施形態は、本願発明の一実施例に過ぎず、本願発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本願発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、以下の実施形態に多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0012】
(1)概要
本願発明に係る着用物品の製造装置1の一実施形態の製造装置及び着用物品の製造方法について説明する前に、着用物品と、着用物品の製造の流れの例と、弾性部材Fが収縮する現象について簡単に説明する。
【0013】
(1-1)着用物品
着用物品は、人が身体に着用する物品である。着用物品の例としては、オムツ200などが挙げられる。着用物品がオムツ200である場合、着用物品は、胴廻り部材と、吸収体202とを備える。
【0014】
胴廻り部材は、着用者の胴廻りを覆い、伸縮可能な弾性を有する部材である。胴廻り部材は、シートSと、弾性部材Fにより構成される。シートSは、着用者の胴廻りを覆う部材である。弾性部材Fは、伸縮可能な弾性を有し、一対のシートSに挟み込まれる部材である。胴廻り部材は、一対のシートSに弾性部材Fが挟み込まれて、シートS、弾性部材F、シートSの順で積層されることから、積層連続体と称される。
【0015】
吸収体は、着用者の尿、汗などの主に液体を吸収する部材である。吸収体は、胴廻り部材に接合される。
【0016】
着用物品の具体例を、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置1により製造される着用物品の例を示す概略図である。
図1に示す着用物品はオムツ200である。
【0017】
オムツ200は、胴廻り部材の一例であるフラップ201と、吸収体202とを備える。フラップ201は、後述する製造工程のステップS4において着用物品単位で切断された積層連続体100である。フラップ201は、フラップ201A及びフラップ201Bを含む。フラップ201には、複数の弾性部材Fが挟み込まれている。フラップ201と吸収体202が重複する重複領域C1、C2で、フラップ201と吸収体202が接合されている。
【0018】
(1-2)着用物品の製造の流れの例
着用物品の製造の流れについて説明する。まず、一対の連続するシートSに連続する弾性部材Fが接合され、連続するフラップ201が形成される(ステップS1)。その後、フラップ201と吸収体202とが重複する領域において、積層連続体100に吸収体202を接合させるため、重複領域C1、C2における弾性部材Fを除去する。そのため、フラップ201は、搬送装置により切断装置に搬送される(ステップS2)。切断装置は、フラップ201の弾性部材Fを切断する(ステップS3。ステップS3を弱化処理と称する)。弾性部材Fの切断の後、連続するフラップ201は、オムツ200単位で切断される(ステップS4)。その後、フラップ201と吸収体202とが接合される(ステップS5)。これにより、オムツ200が製造される。なお、当製造の流れは一例であり、これに限定されない。例えば、連続するフラップ201と吸収体202とが接合された後に、連続するフラップ201がオムツ200単位で切断されてもよい。
【0019】
(1―3)スナップバック現象
上述の着用物品であるオムツ200の製造では、ステップS3において、フラップ201の弾性部材Fを切断する弱化処理が行われる。この際、従来の着用物品の製造装置では、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象が発生するおそれがある。
【0020】
図2は、従来の製造装置により弾性部材が勢いよく収縮する現象を示す概略図である。
図2に示す切断装置42は、従来の製造装置で用いられる切断装置である。切断装置42は、切断位置Pで積層連続体100に挟み込まれた弾性部材Fを切断する。切断装置42が積層連続体100を切断位置Pで切断すると、切断位置Pから収縮方向D2に向かって弾性部材F1、F2、F3が勢いよく収縮するおそれがある。
【0021】
このように弾性部材が勢いよく収縮する場合、着用物品の製造装置1は、所望の着用物品を製造できないおそれがある。
【0022】
(2)構成
本願発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置1の構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本願発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置1の、ステップS1~ステップS3に係る工程のための構成を示す概略図である。着用物品の製造装置1は、着用物品に用いられる積層連続体100を形成し(ステップS1)、第1の切断装置20に積層連続体100を搬送し(ステップS2)、弾性部材Fを切断する(ステップS3)装置である。また、着用物品の製造装置1は、積層連続体100を着用物品単位で切断し(ステップS4)、積層連続体100と吸収体とを接合する(ステップS5)装置である。着用物品の製造装置1の動作の詳細については後述する。
【0023】
着用物品の製造装置1は、搬送装置4と、搬送ローラ10と、第1の切断装置20と、第1の案内ロール31と、第2の案内ロール32と、第2の切断装置(図示せず)と、接合装置(図示せず)を備える。
【0024】
(2-1)搬送装置
搬送装置4は、積層連続体100を第1搬送方向D1に向けて搬送する(ステップS2)装置である。搬送装置4は、ニップロール5を備える。
【0025】
図4は、本願発明の一実施形態に係る積層連続体100の概略図である。積層連続体100は、一対の連続するシートSと、シートSに挟み込まれる連続する弾性部材Fを含む。弾性部材FがシートSに挟み込まれる前に、シートSには接着剤が塗布されていてもいいが、後の工程において弾性部材Fを切断する箇所においては、接着剤は塗布されていなくてもよい。弾性部材Fは、一対のシートSの間に挟まれ、接着または溶着により一対のシートSに部分的に接合される。弾性部材Fは、第1搬送方向D1に沿って伸び、連続する。具体的には、積層連続体100は、
図4に示すように、シートS(S1、S2)と、シートSに挟まれる弾性部材F1、F2、F3を含む。なお、
図4に示す積層連続体100の態様は一例であり、これに限定されない。例えば、積層連続体100は、
図4に示す積層連続体100と異なる数の弾性部材Fを含んでもよい。
【0026】
ニップロール5は、回転駆動により積層連続体100を第1搬送方向D1に向けて搬送する装置である。ニップロール5は、回転軸を軸に回転駆動する円筒型の装置である。ニップロール5は、ニップロール5Aと、ニップロール5Bを含む。ニップロール5Aの回転速度とニップロール5Bの回転速度は同一である。
【0027】
ニップロール5に積層連続体100が挟み込まれる前に、積層連続体100が形成される(ステップS1)。形成された積層連続体100は、ニップロール5により第1搬送方向D1に向けて搬送される。
【0028】
(2-2)搬送ローラ
搬送ローラ10は、積層連続体100が所定の搬送経路に搬送されるように誘導する装置である。搬送ローラ10は、搬送ローラ10A、搬送ローラ10B、搬送ローラ10Cを含む。搬送ローラ10は、回転自在な円筒型の装置である。搬送ローラ10は、所定の搬送経路に搬送される積層連続体100により、第1回転方向R1又は第2回転方向R2に回転される。
【0029】
(2-3)第1の切断装置
第1の切断装置20は、弾性部材Fを切断する(ステップS3)装置である。第1の切断装置20は、アンビルロール21と切断ロール22を備える。第1の切断装置20は、切断装置の一例である。
【0030】
アンビルロール21は、切断ロール22により弾性部材Fが切断される際に、弾性部材Fを含む積層連続体100を支持する装置である。アンビルロール21は、ローラの一例である。アンビルロール21は、回転軸を軸に第2回転方向R2に回転駆動する円筒型の装置である。
【0031】
切断ロール22は、アンビルロール21と協働し、弾性部材Fの切断作用を行う装置である。切断ロール22は、切断部の一例である。切断ロール22は、回転軸を軸に第1回転方向R1に回転駆動する円筒型の装置である。切断ロール22の例としては、エンボスロールなどが挙げられる。エンボスロールは、凸凹の形状を有する外表面を有する。外表面は、凸部と凹部を含む。外表面の凸部の形状の例としては、ひし形、星形、刃物のような鋭利などが挙げられる。
【0032】
切断ロール22による弾性部材Fの切断を説明する。積層連続体100は、後述する第1の案内ロール31により、回転駆動する切断ロール22に案内される。第1の案内ロール31の案内により、積層連続体100はアンビルロール21と切断ロール22との間で挟み込まれる。エンボスロールの外表面により、積層連続体100の弾性部材Fは、切断位置Pで切断される。
【0033】
なお、切断ロール22の径方向側縁部において、不図示のオイル塗布ロールが設けられていてもよい。オイル塗布ロールは、オイル塗布ロールと接触する所にオイルを塗布して潤滑を行う。
【0034】
(2-4)第1の案内ロール
第1の案内ロール31は、積層連続体100を切断ロール22へ案内する円筒型の装置である。第1の案内ロール31は、回転自在な円筒型の装置である。第1の案内ロール31は、所定の搬送経路に搬送される積層連続体100により、回転される。
【0035】
(2-5)第2の案内ロール
第2の案内ロール32は、切断ロール22を通過した積層連続体100を案内する円筒型の装置である。第2の案内ロール32は、回転自在な円筒型の装置である。第2の案内ロール32は、所定の搬送経路に搬送される積層連続体100により、回転される。
【0036】
なお、
図3に示す第1の案内ロール31と第2の案内ロール32は、第1の切断装置20を起点に対称関係であるが、これに限定されない。
【0037】
(2-6)第2の切断装置
第2の切断装置は、連続する積層連続体100を着用物品単位で切断する(ステップS4)装置である。第2の切断装置の例としては、第1の切断装置20と同様の装置が挙げられる。
【0038】
第1の切断装置20により弾性部材Fが切断された(ステップS3)後、積層連続体100は、第2の切断装置に搬送される。第2の切断装置は、連続する積層連続体100を着用物品単位で切断する。積層連続体100は、着用物品単位で切断された後、接合装置に搬送される。
【0039】
(2-7)接合装置
接合装置は、積層連続体100と吸収体202とを接合する(ステップS5)装置である。吸収体202は、着用者の尿、汗などの主に液体を吸収する部材である。
【0040】
連続する積層連続体100が着用物品単位で切断された(ステップS4)後、積層連続体100は、接合装置に搬送される。積層連続体100と吸収体202との接合により着用物品が製造される。
【0041】
(2-8)その他
着用物品の製造装置1は、他の構成を更に備えてもよい。着用物品の製造装置1は、他の構成により、ステップS1の前、ステップS1~ステップS5の間、ステップS5の後に他の動作を行ってもよい。
【0042】
(3)動作
本願発明の一実施形態に係る着用物品の製造装置1の動作について説明する。
【0043】
<ステップS1>
連続するシートS1と連続するシートS2の少なくとも一方に接着剤が塗布される。連続するシートS1と連続するシートS2の間に弾性部材Fが挟み込まれる。挟み込まれた弾性部材Fは接着または溶着により一対のシートSに接合される。一対のシートSと弾性部材Fの接合により、シートS1と、弾性部材Fと、シートS2は積層状態となり、積層連続体100を形成する。
【0044】
ニップロール5に、積層連続体100が挟み込まれる。ニップロール5Aは、第2回転方向R2に回転駆動する。ニップロール5Bは、第1回転方向R1に回転駆動する。ニップロール5A及びニップロール5Bの回転駆動により、積層連続体100が連続して形成される。
【0045】
<ステップS2>
積層連続体100は、ニップロール5A及びニップロール5Bの回転駆動により第1搬送方向D1に向かって搬送される。ステップS2は、搬送工程の一例である。
【0046】
<ステップS2-1>
ニップロール5から搬送された積層連続体100は、搬送ローラ10Aへと搬送される。回転自在な搬送ローラ10Aは、積層連続体100により第1回転方向R1に回転させられる。積層連続体100は、搬送ローラ10Aにより、所定の搬送経路に誘導される。
【0047】
<ステップS2-2>
搬送ローラ10Aにより所定の搬送経路に誘導された積層連続体100は、第1の案内ロール31に搬送される。回転自在な第1の案内ロール31は、積層連続体100により第1回転方向R1に回転させられる。第1の案内ロール31の回転により、積層連続体100は切断ロール22に案内される。
【0048】
着用物品の製造装置1が第1の案内ロール31を備えない場合、切断位置Pの上流側B1で積層連続体100がアンビルロール21により支持されない。積層連続体100がアンビルロール21により支持されないと、弾性部材Fが切断される際、弾性部材Fは自由に移動する。そのため、弾性部材Fは、勢いよく収縮する。
【0049】
着用物品の製造装置1が第1の案内ロール31を備える場合、第1の案内ロール31が、積層連続体100がアンビルロール21に部分的に巻き付くように案内されるので、弾性部材Fの自由な移動が抑制される。そのため、着用物品の製造装置1は、弾性部材Fが切断されても、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象が抑制できる。
【0050】
<ステップS3>
積層連続体100は、第1搬送方向D1における上流側B1から、切断ロール22に搬送される。切断ロール22は、積層連続体100の弾性部材Fを切断ロール22の外表面により、切断位置Pで切断する。弾性部材Fが切断されるとき、積層連続体100は、アンビルロール21により支持される。
【0051】
アンビルロール21は第2回転方向R2に回転駆動する。切断ロール22は第1回転方向R1に回転駆動する。
【0052】
ステップS3は、切断工程の一例である。
【0053】
<ステップS3-1>
積層連続体100は、下流側B2の第2の案内ロール32に搬送される。第2の案内ロール32は、第1回転方向R1に回転し、第2の案内ロール32の回転により、切断ロール22を通過した積層連続体100が案内される。
【0054】
アンビルロール21の外表面は、第1の案内ロール31及び第2の案内ロール32が存在することで、第1搬送方向D1における上流側B1及び下流側B2において、所定の区間A、積層連続体100と接触する。アンビルロール21が積層連続体100と接触する部分の角度を、ここでは抱き角度θと呼ぶ。抱き角度θについては後述する。
【0055】
なお、着用物品の製造装置1が第2の案内ロール32を備えない場合、切断位置Pの下流側で、アンビルロール21により積層連続体100が支持されない。積層連続体100が支持されないため、弾性部材Fが切断される場合、弾性部材Fは自由に移動する。そのため、弾性部材Fは、勢いよく収縮する。
【0056】
着用物品の製造装置1が第2の案内ロール32を備える場合、第2の案内ロール32が、積層連続体100がアンビルロール21に部分的に巻き付くように案内されるので、支持により弾性部材Fの自由な移動が抑制される。そのため、着用物品の製造装置1は、弾性部材Fが切断されても、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象が抑制できる。
【0057】
図5は、本願発明の一実施形態に係る所定の区間A及び抱き角度θを示す概略図である。第1の案内ロール31と、第2の案内ロール32が存在するため、アンビルロール21の外表面は、所定の区間A、積層連続体100と接触する状態である。
【0058】
積層連続体100がアンビルロール21を抱く角度(抱き角度θ)は、120度以上で、好ましくは180度以上である。
図5の抱き角度θは好ましい抱き角度θの一例である。なお、抱き角度θは、これに限定されない。
【0059】
アンビルロール21の外表面が上流側B1及び下流側B2において、抱き角度θをつけて積層連続体100と接触することで、積層連続体100とアンビルロール21との接触面積が増え、弾性部材Fの張力が保持される状態で弾性部材Fが切断される。そのため、着用物品の製造装置1は、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0060】
なお、上流側B1及び下流側B2の両方において、アンビルロール21の外表面と積層連続体100が接触するが、これに限定されない。すなわち、アンビルロール21の外表面と積層連続体100は、上流側B1及び下流側B2の一方において接触してもよい。
【0061】
<ステップS3―2>
第2の案内ロール32から所定の搬送経路に搬送された積層連続体100は、搬送ローラ10Bに搬送される。搬送ローラ10Bは、積層連続体100により第1回転方向R1に回転させられる。搬送ローラ10Bに搬送された積層連続体100は、搬送ローラ10Bの回転により、所定の搬送経路に誘導される。
【0062】
<ステップS3-3>
搬送ローラ10Bから所定の搬送経路に搬送された積層連続体100は、搬送ローラ10Cに搬送される。搬送ローラ10Cは、積層連続体100により、第2回転方向R2に回転される。搬送ローラ10Cに搬送された積層連続体100は、搬送ローラ10Cの回転により、所定の搬送経路に誘導される。
【0063】
<ステップS4>
搬送ローラ10Cから所定の搬送経路に搬送された積層連続体100は、第2の切断装置に搬送される。第2の切断装置は、連続する積層連続体100を着用物品単位で切断する。
【0064】
第2の切断装置は、積層連続体100を切断し、積層連続体100に挟み込まれた弾性部材Fも切断する。なお、第2の切断装置は、第1の切断装置20と同様に、アンビルロールの所定区間に積層連続体100が接触する装置であってもよい。この場合、弾性部材Fが切断された際にも、弾性部材Fは勢いよく収縮しない。
【0065】
<ステップS5>
第2の切断装置から所定の搬送経路に搬送された積層連続体100は、接合装置に搬送される。接合装置は、積層連続体100と吸収体とを接合する。積層連続体100と吸収体との接合により、着用物品が製造される。
【0066】
(4)特徴
(4-1)
本願発明に係る着用物品の製造装置1は、搬送装置4と、切断装置を備える。搬送装置4は、一対の連続するシートSと、連続する弾性部材Fを含む積層連続体100を、第1搬送方向D1に搬送する。弾性部材Fは、一対のシートSの間に挟まれ、一対のシートSに部分的に接合され、第1搬送方向D1に沿って延びる。切断装置は、回転するローラと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有し、搬送装置4により搬送される積層連続体100を、ローラと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材Fを切断する。切断装置による弾性部材Fの切断位置Pに対する第1搬送方向D1における上流側B1及び下流側B2の少なくとも一方において、ローラの外表面は、所定の区間A、搬送装置4により搬送される積層連続体100と接触する。
【0067】
弾性部材Fの切断位置Pに対する第1搬送方向D1における上流側B1及び下流側B2の少なくとも一方において、ローラの外表面は、所定の区間A、積層連続体100と接触する。積層連続体100は、上流側B1及び下流側B2において、ローラに対して抱き角度θをつけるように導出入される。そのため、積層連続体100とローラとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材Fが切断される。そして、本願発明の着用物品の製造装置1は、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0068】
(4-2)
本願発明に係る着用物品の製造装置1は、積層連続体100を切断部へ案内する第1の案内ロール31を備える。そのため、弾性部材Fを切断する場合、積層連続体100の張力がより保持される状態となり、当着用物品の製造装置1は弾性部材Fが勢いよく収縮する現象をより抑制出来る。
【0069】
(4-3)
本願発明に係る着用物品の製造装置1は、切断部を通過した積層連続体100を案内する第2の案内ロール32をさらに備える。
【0070】
本願発明に係る着用物品の製造装置1は、切断部を通過した積層連続体100を案内する第2の案内ロール32を備える。そのため、弾性部材Fを切断する場合、積層連続体100の張力がより保持される状態となり、当着用物品の製造装置1は弾性部材Fが勢いよく収縮する現象をより抑制できる。
【0071】
(4-4)
本願発明に係る着用物品の製造装置1では、ローラの外表面が、上流側B1及び下流側B2の両方で積層連続体100と接触する。そのため、積層連続体100とローラとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材Fが切断される。そして、本願発明の着用物品の製造装置1は、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象をより抑制できる。
【0072】
(4-5)
本願発明に係る着用物品の製造装置1では、ローラが積層連続体100を接触する角度範囲が、120度以上であり、好ましくは180度以上である。そのため、積層連続体100とローラとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材Fが切断される。そして、本願発明の着用物品の製造装置1は、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象をより抑制できる。
【0073】
(4-6)
本願発明の着用物品の製造方法は、搬送工程と、切断工程を有する。搬送工程は、積層連続体100を第1搬送方向D1に搬送する。積層連続体100は、一対の連続するシートSと、一対のシートSの間に挟まれ、一対のシートSに部分的に接合され、第1搬送方向D1に沿って延びる連続する弾性部材Fと、を含む。切断工程は、回転するローラと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有する切断装置が、搬送される積層連続体100を、ローラと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材Fを切断部で切断する。切断工程では、切断装置による弾性部材Fの切断位置Pに対する第1搬送方向D1における上流側B1及び下流側B2の少なくとも一方において、ローラの外表面が、所定の区間A、搬送される積層連続体100と接触する。
【0074】
弾性部材Fの切断位置Pに対する第1搬送方向D1における上流側B1及び下流側B2の少なくとも一方において、ローラの外表面は、所定の区間A、積層連続体100と接触する。積層連続体100は、上流側B1及び下流側B2において、ローラに対して抱き角度θをつけるように導出入される。そのため、積層連続体100とローラとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材Fが切断される。そして、本願発明の着用物品の製造方法は、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0075】
(5)変形例
(5-1)変形例A
本願発明の変形例Aに係る着用物品の製造装置1について、
図6A及び
図6Bを参照しながら説明する。
図6Aは、変形例A1に係る着用物品の製造装置の概略図である。
図6Bは、変形例A2に係る着用物品の製造装置の概略図である。
【0076】
変形例A1及び変形例A2は、上記の実施形態と同様な構成要素を有する、また、変形例A1及び変形例A2は、上記の実施形態と同様な動作を行う。変形例A1及び変形例A2は、上記の実施形態と第1搬送方向D1だけが異なる。第1搬送方向D1の異なる変形例により、着用物品の製造装置1は、様々な状況においても、着用物品の製造装置1の構成要素を配置でき、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0077】
(5-2)変形例B
本願発明の変形例Bに係る着用物品の製造装置1について、説明する。上記の実施形態において、第1の切断装置20は、切断ロール22を備えたが、これに限定されない。
【0078】
第1の切断装置20は、切断ロール22の代わりに、若しくは切断ロール22に加えて、超音波装置、熱溶断装置を備えてもよい。実施例において、切断ロール22は、物理的な力により弾性部材Fを切断しているが、超音波装置の振動によって弾性部材Fを切断していてもいいし、熱溶断装置の熱によって弾性部材Fを切断していてもいい。なお、第1の切断装置20は、圧力、力、熱、超音波による振動の何れかを組み合わせる装置により、弾性部材Fを切断してもよい。
【0079】
(5-2-1)特徴
本願発明に係る着用物品の製造装置1では、切断部が、切断ロール22、超音波装置、熱溶断装置の少なくとも何れかである。そのため、本願発明の着用物品の製造装置1は、多様な切断手法に対応しながらも、弾性部材Fが勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0080】
最後に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0081】
本願発明の第1観点に係る着用物品の製造装置は、搬送装置と、切断装置を備える。搬送装置は、一対の連続するシートと、連続する弾性部材を含む積層連続体を、第1搬送方向に搬送する。弾性部材は、一対のシートの間に挟まれ、一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向に沿って延びる。切断装置は、回転するロールと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有し、搬送装置により搬送される積層連続体を、ロールと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材を切断する。切断装置による弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面は、所定の区間、搬送装置により搬送される積層連続体と接触する。
【0082】
弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面は、所定の区間、積層連続体と接触する。積層連続体は、上流側及び下流側において、ロールに対して抱き角度をつけるように導出入される。そのため、積層連続体とロールとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材が切断される。そして、本願発明の着用物品の製造装置は、弾性部材が勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0083】
本願発明の第2観点に係る着用物品の製造装置は、第1観点に係る着用物品の製造装置であって、積層連続体を切断部へ案内する第1の案内ロールをさらに備える。
【0084】
本願発明の第2観点に係る着用物品の製造装置は、積層連続体を切断部へ案内する第1の案内ロールを備える。そのため、弾性部材を切断する場合、積層連続体の張力がより保持される状態となり、当着用物品の製造装置は弾性部材が勢いよく収縮する現象をより抑制出来る。
【0085】
本願発明の第3観点に係る着用物品の製造装置は、第1観点又は第2観点に係る着用物品の製造装置であって、切断部を通過した積層連続体を案内する第2の案内ロールをさらに備える。
【0086】
本願発明の第3観点に係る着用物品の製造装置は、切断部を通過した積層連続体を案内する第2の案内ロールを備える。そのため、弾性部材を切断する場合、積層連続体の張力がより保持される状態となり、当着用物品の製造装置は弾性部材が勢いよく収縮する現象をより抑制できる。
【0087】
本願発明の第4観点に係る着用物品の製造装置は、第1観点から第3観点の何れかの観点係る着用物品の製造装置であって、ロールの外表面が、上流側及び下流側の両方で積層連続体と接触する。
【0088】
本願発明の第4観点に係る着用物品の製造装置は、ロールの外表面が、上流側及び下流側の両方で積層連続体と接触する。そのため、積層連続体とロールとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材が切断される。そして、本願発明の着用物品の製造装置は、弾性部材が勢いよく収縮する現象をより抑制できる。
【0089】
本願発明の第5観点に係る着用物品の製造装置は、ロールが積層連続体を接触する角度範囲が、120度以上であり、好ましくは180度以上である。そのため、積層連続体とロールとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材が切断される。そして、本願発明の着用物品の製造装置は、弾性部材が勢いよく収縮する現象をより抑制できる。
【0090】
本願発明の第6観点に係る着用物品の製造装置は、第1観点から第5観点の何れかの観点係る着用物品の製造装置であって、切断部が、切断ロール、超音波装置、熱溶断装置の少なくとも何れかである。
【0091】
本願発明の第6観点に係る着用物品の製造装置は、切断部が、切断ロール、超音波装置、熱溶断装置の少なくとも何れかである。そのため、本願発明の着用物品の製造装置は、多様な切断手法に対応しながらも、弾性部材が勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【0092】
本願発明の着用物品の製造方法は、搬送工程と、切断工程を有する。搬送工程は、積層連続体を第1搬送方向に搬送する。積層連続体は、一対の連続するシートと、一対のシートの間に挟まれ、一対のシートに部分的に接合され、第1搬送方向に沿って延びる連続する弾性部材と、を含む。切断工程は、回転するロールと、ロールと協働し、切断作用を行う切断部とを有する切断装置が、搬送される積層連続体を、ロールと切断部との間で挟み込んだ状態で、弾性部材を切断部で切断する。切断工程では、切断装置による弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面が、所定の区間、搬送される積層連続体と接触する。
【0093】
弾性部材の切断位置に対する第1搬送方向における上流側及び下流側の少なくとも一方において、ロールの外表面は、所定の区間、積層連続体と接触する。積層連続体は、上流側及び下流側において、ロールに対して抱き角度をつけるように導出入される。そのため、積層連続体とロールとの接触面積が増え、張力が保持される状態で弾性部材が切断される。そして、本願発明の着用物品の製造方法は、弾性部材が勢いよく収縮する現象を抑制できる。
【符号の説明】
【0094】
1 着用物品の製造装置
4 搬送装置
5 ニップロール
10 搬送ローラ
20 第1の切断装置
21 アンビルロール
22 切断ロール
31 第1の案内ロール
32 第2の案内ロール
42 切断装置
100 積層連続体
200 オムツ
201 フラップ
202 吸収体
A 所定の区間
B1 上流側
B2 下流側
C 重複領域
D1 第1搬送方向
D2 収縮方向
F 弾性部材
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向
S シート
S1 第1シート
S2 第2シート
P 切断位置
θ 抱き角度