(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116222
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ラミネートされた包装材料を製造する方法、この方法によって得られた包装材料、及びこの包装材料から製造された包装容器
(51)【国際特許分類】
B32B 29/00 20060101AFI20240820BHJP
B32B 3/28 20060101ALI20240820BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20240820BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B32B29/00
B32B3/28
B32B5/18
B65D65/40 A
B65D65/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091077
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2021203809の分割
【原出願日】2016-11-25
(31)【優先権主張番号】15196871.6
(32)【優先日】2015-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・トフト
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ニーマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・フリスク
(72)【発明者】
【氏名】アラン・コヨー
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・エーマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラミネートされたセルロースベースの液状食品又は半液状食品の包装材料の製造方法であって、コストを低減する包装材料の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ラミネートされたセルロースベースの液状又は半液状食品の包装材料の製造のための方法に関し、ラミネートされた包装材料は、低密度セルロースのスペーサ層、印刷表面を有する基材層を備える外側モジュール、及びバリア層又はバリアコーティングを備える内側材料モジュールを備える。本発明は、前記方法によって得られるラミネートされた包装材料、及びラミネートされた包装材料を備える又は前記方法によって得られたラミネートされた包装材料から作成される液状食品の包装のための包装容器にさらに関する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
十分な機械強度及びバリア特性、並びに魅力的な外観を有するパッケージへの熱シール用の、ラミネートされたセルロースベースの、液状又は半液状食品のための包装材料(10a;10b;10c;10d)を製造する方法であって、
a)曲げ剛性を有さないか、又は低い固有の曲げ剛性を有する、850kg/m3より小さい、例えば750kg/m3より小さい、例えば700kg/m3より小さい等の密度、及び60~250g/m2の坪量を有するセルロースのスペーサ層(11a;11b;11c;11d)を備えるバルク材料から成る中央モジュール(1A;2A;3A;4A)のウェブを提供するステップ、
b)その上に印刷されたか、又は適用された装飾(21d)を有する、又は有さない少なくとも1つの印刷基材層(12a;19b;12c;12d)を備える外側材料モジュール(1B;2B;3B;4B)のウェブを提供するステップであって、前記外側材料モジュールが、前記ラミネートされた包装材料から成る包装容器の前記外側に方向づけられる、前記中央モジュールのバルク材料の側のためを意図されている、ステップ、
c)前記中央モジュールのバルク材料の前記ウェブの外側、及び前記外側材料モジュールのウェブを、互いに対してラミネートするステップ、
d)前記外側材料モジュールに前記装飾(21d)を加えるステップ、
e)少なくとも1つのバリア層(13a;18b;18c;18d)を備える内側材料モジュール(1C;2C;3C;4C)のウェブを提供するステップであって、前記内側材料モジュールが、前記ラミネートされた包装材料から成る包装容器の内側に方向づけられている、前記バルク材料の側のためを意図されている、ステップ、
f)前記内側材料モジュールの前記ウェブと、前記中央モジュールのバルク材料の前記ウェブの内側を、互いに対してラミネートするステップ、
g)最も外側の透明かつ液密な保護層(16a;16b;16c;16d)を、前記外側材料モジュールの前記外側に適用するステップ、
h)最も外側の熱可塑性の、液密かつ熱シール可能な層(17a;17b;17c;17d)を、前記内側材料モジュールの前記内側に適用するステップ、
i)前記ラミネートされたセルロースベースの、液状食品又は粘性食品用の包装材料のウェブを得るステップ、
を備え、
前記スペーサ層(11a;11b;11c;11d)が、前記ラミネートされた包装材料内のサンドイッチ構造の前記中央を構成し、前記サンドイッチ構造は、前記スペーサ層の少なくとも一方の側に配置され、前記スペーサ層の前記他方の側に配置されたさらなる対面層に接する少なくとも1つの紙の対面層(12a;12b;12c;12d)を有し、前記紙の対面層及び前記さらなる対面層は、前記スペーサ層より大幅に小さい厚み及び高いヤング率を有する、方法。
【請求項2】
前記スペーサ層は、前記印刷可能なコーティング(クレイコート)の坪量を除外したときに、対応する坪量において、液体カートンの板紙の前記曲げ剛性より30~100%小さい曲げ剛性を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バルク材料は、スペーサ層(11a)を備え、前記内側材料モジュール及び前記外側材料モジュールは、さらに紙の対面層(12a、12b)をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バルク材料は、スペーサ層(11c;11d)及び、前記スペーサ層の前記内側に直接隣接する統合された紙の対面層(13c;13d)を備え、一方で前記外側材料モジュールはさらなる紙の対面層(12c;12d)を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バルク材料は、スペーサ層及び前記スペーサ層の前記外側に直接隣接する紙の対面層を備え、一方で前記内側材料モジュールはさらなる紙の対面層を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記紙の対面層は、20~100g/m2、例えば20~70g/m2、例えば30~70g/m2等の坪量、600~1500kg/m3の密度、及び1~10GPa、例えば5~10GPa等のヤング率を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記スペーサ層の前記密度は、例えば100~600kg/m3、例えば100~600kg/m3、例えば200~500kg/m3、例えば300~400kg/m3等、750kg/m3より小さいことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記スペーサ層は、発泡体形成プロセスによって作成された繊維層であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記スペーサ層は、いわゆるコンテナボード材、例えば、フルーティング材であり、前記フルーティング材は、前記印刷可能なコーティング(クレイコート)の坪量を除外したときに対応する坪量において、液体用カートンの板紙の曲げ剛性より少なくとも30%低い曲げ剛性と、ISO 9895及びISO536に従って決定された、前記機械方向(MD)における少なくとも30Nm/gインチの短時間圧縮試験インデックス(Short Compression Test Index:SCT Index)値を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外側材料モジュール(1B;3B;4B)は、該モジュールの前記外側に向かって方向づけられた、印刷可能な、若しくは印刷された表面を有する紙の対面層(12a;12c;12d)を備え、中間接合層又は接着剤によって前記バルク材料の前記外側表面にラミネートされることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記内側材料モジュールは、バリアコーティングを有する紙の対面層であり、中間接合層又は接着剤によって前記バルク材料の前記内側表面にラミネートされることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記内側材料モジュール(2C;3C;4C)は、バリアコーティング(18b;18c;18d)を有するポリマフィルムを備え、前記フィルムは中間接合層又は接着剤によって、前記バルク材料の前記内側表面にラミネートされることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記内側材料モジュールは、ポリマフィルム及び該ポリマフィルムがさらにラミネートされる紙の対面層を備え、前記フィルム又は前記紙はバリアコーティングを有し、前記モジュールは、中間接合層又は接着剤によって前記バルク材料の前記内側表面にラミネートされることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記印刷可能な表面は、クレイコートされた白色の紙の表面、又は金属化されたフィルム、又は金属化された紙の表面であることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記外側材料モジュールは、互いに対してラミネートされる前記表面のうちの一方に、0.5~4g/m2の量で水性接着剤組成物を適用し、それらを一緒にプレスすることによって、前記バルク材料にラミネートされることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記内側材料モジュールは、互いにラミネートされる前記表面のうちの一方に、0.5~4g/m2の量で水性接着剤組成物を適用し、それらを一緒にプレスすることによって、前記バルク材料にラミネートされることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載された方法によって得られた、ラミネートされた包装材料。
【請求項18】
請求項17に記載のラミネートされた包装材料を備える包装容器(30a;30b;30c;30d)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネートされた包装材料及びこのラミネートされた包装材料を製造するための方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、ラミネートされた包装材料を備えるか、又はラミネートされた包装材料から作られる包装容器に関する。特に、本発明は、ラミネートされた包装材料を備える、液状食品の包装のためを意図された包装容器に関する。
【背景技術】
【0003】
液状食品用の1回だけ使われる、使い捨てタイプの包装容器は、板紙又はカートンベースの包装ラミネートから生産されることが多い。そのような一般的にみられる包装容器の1つは、商標Tetra Brik Aseptic(登録商標)の下で市場に出ており、長期間の常温貯蔵用に販売されている、例えば牛乳、フルーツジュース等のような液状食品の無菌包装のために採用されている。この既知の包装容器における包装材料は、通常は紙又は板紙から成るバルク層と、外側の熱可塑性を有する液密層と、を備えるラミネートである。例えば無菌包装及び牛乳又はフルーツジュースの包装の目的のために、包装容器を気密、特に酸素気密にするために、これら包装容器のラミネートは通常、少なくとも1つの追加の層、最も一般的にはアルミニウム箔を備える。
【0004】
ラミネートの内側、すなわちラミネートから製造された容器の、充填された食品に面することを意図された側には、アルミニウム箔の上に適用された最も内側の層があり、この最も内側の内側層は、熱シール可能な熱可塑性ポリマ、例えば接着性ポリマ及び/又はポリオレフィン等を備える、1つ又はいくつかの部分層から構成することができる。また、バルク層の外側には、最も外側の熱シール可能なポリマ層がある。
【0005】
包装容器は、ウェブから、又は包装材料からなる既成のブランクから形成し、充填し、シールするタイプの現代的な、高速包装機器によって一般的に生産される。したがって包装容器は、ラミネートされた包装材料のウェブを、最も内側及び最も外側の熱シール可能な熱可塑性ポリマ層を共に溶接することによって、ウェブの両長手方向端縁が重なり合う接合部へと互いに対して一体化されることによってチューブ状に変形させることによって製造することができる。チューブは意図された液状食品で充填され、その後、チューブ中の内容物の高さより下において、互いから所定の距離でチューブの横方向のシールを繰り返すことにより個々の包装に分割される。パッケージは、横方向シールに沿った切開によってチューブから分離され、包装材料の準備された折り目線に沿った折り畳み形成によって、通常は平行六面体又は直方体の望ましい幾何学的構成を与えられる。
【0006】
この連続したチューブ成形、充填及びシールからなる、包装を行う方法のコンセプトの主な利点は、ウェブをチューブ成形の直前に連続的に殺菌することができるので、無菌包装の方法、すなわち、充填される液体内容物及び包装材料それ自体から細菌が低減され、充填された包装容器を、充填された製品中における微生物の成長のリスク無しに室温においてさえ長時間保存することができるように、充填された包装容器が清潔な条件下で生産される、方法の可能性を提供するという点にある。Tetra Brik(登録商標)タイプの包装方法の別の重要な利点は、上述のように、費用効果に相当の影響がある連続的高速包装の可能性である。
【0007】
影響を受けやすい液状食品、例えばミルクやジュースのための包装容器もまた、本発明のラミネートされた包装材料からなるシート状ブランク又は既製のブランクから生産することができる。最初にブランクを組み立て、開放した管状の容器カプセルを形成し、この容器カプセルの一方の開放端が、一体の端部パネルの折り曲げ及び熱シールによって閉じられることによって、平坦に折り曲げられる包装ラミネートの管状ブランクからパッケージが生産される。このように閉じられた容器カプセルは、当該容器カプセルの開放端を通じてくだんの食品、例えばジュースで充填され、その後、対応する一体の端部パネルをさらに折り曲げ、かつ熱シールすることによって閉じられる。シート状及び管状のブランクから生産される包装容器の一例は、従来のいわゆる切妻頂部パッケージである。
また、プラスティックから成る成形された頂部及び/又はねじ式キャップを有するこの種類のパッケージもある。
【0008】
包装ラミネートにおけるアルミニウム箔の層は、大部分の高分子気体バリア材料よりも格段に優れた気体バリア特性を提供する。液状食品用の無菌包装のための従来のアルミニウム箔ベースの包装ラミネートは、その性能レベルにおいて、今日の市場で入手可能なものの中では依然として最も費用効率の高い包装材料である。
【0009】
そのような箔ベースの材料と競合する他の任意の材料は、原料に関して費用効率が高く、食品保存特性が同程度であり、十分に機械的に安定しており、完成した包装ラミネートに変形させるにあたっての複雑さが同程度に低いものでなければならない。
【0010】
今日の包装材料のコストをさらに低下させることは、ポリマ層の厚みを薄くすることによって、又はアルミニウム箔のバリアを1つ以上の異なるバリア層によって交換することによって成すことができるが、それは非常に困難であることが判明している。コストを節約する別の方法は、今まで液体カートン包装の分野では実用的であるとはみなされていなかったものではあるが、セルロース繊維材料のタイプ及び/又は量によって、セルロースベースのバルク層を少なくすることによるものであろう。それは、機械的強度及びパッケージの完全性、並びに材料のバリア特性といった重要な特性が台無しにされることをもたらし、以前から好ましい方法ではないと考えられてきた。板紙は液体カートン包装材料の大部分を占めているが、それはまた包装材料の全コストの大部分に相当する。
【0011】
液体包装容器のための将来のラミネートされた包装材料に対するさらなる要求は、そのような包装容器の外観が高度に差別化できなければならない、すなわち、新しく、興味深くかつ魅力的な装飾、又は消費者や小売業者を魅了するための触知性特徴を提供することによって差別化できなければならないということである。そのような特徴は、例えば、金のメタライゼーション又は他の異なる光沢のある色のような印刷された装飾パターンへの背景効果、例えばホログラム装飾、触知効果又はレリーフ表面効果、艶消し/光沢のある表面等のエンボス加工及びエングレイビングの特徴である。そのような差別化オプションに対して高まる要求は、特徴及び材料の追加が通常、原材料及び/又は製造プロセスのより高いコストを自動的に伴うので困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記を考慮して、本発明の目的は、ラミネートされたセルロースベースの液状食品又は半液状食品の包装材料のコストを低減する新しい方法を実現することである。
【0013】
また、本発明の一般的な目的は、液体用カートンにラミネートされた包装材料における必要性を満たす、十分な機械的安定性、並びに良好なバリア特性及び完全性特性を有するセルロースベースの包装材料を低コストで製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明の別の1つの目的は、生物由来材料および再生可能材料に基づく材料、すなわち化石原材料を利用しない供給源からの材料の含有量を増加させたそのようなラミネートされた包装材料を低コストで提供することである。
【0015】
またさらなる目的は、弱められた曲げ剛性又は低下した曲げ剛性のような、現在設計されかつ生産されているような既存の液体包装用板紙に比較して、液体用包装材料に対する不十分な機械的性能を有する少なくされたバルク又はコアの層に基づくセルロースベースのラミネートされた包装材料を製造する方法を提供することである。
【0016】
栄養価を維持された液状食品の周囲条件下における長期間の貯蔵のための無菌包装容器を製造する目的で、最適な圧縮強度及び曲げ剛性を有する、コスト効率的で、箔ではなく、セルロースベースであり、かつ熱シール可能な包装ラミネートを提供することが、本発明の特定の目的である。
【0017】
またさらなる特定の目的は、湿気によるカーリングの問題のない、すなわち平坦のままであり、かつ包装材料のウェブ又はブランクの残りの部分と同じレベルにあるラミネートされた包装材料のウェブの端縁部分を有するような包装材料を提供することである。
【0018】
別の1つの特定の目的は、既存の印刷された装飾の選択肢に加えて、装飾的及び触知的な差別化の選択肢を有し、それによってラミネートされた包装材料の魅力的な装飾及び表面効果の選択が、依然としてコストの上昇を回避しつつ可能とされる、そのような包装ラミネートを提供することである。
【0019】
したがって、ラミネートされた包装材料の外層、すなわち包装容器の外側において、消費者を魅了し、惹きつける層のコスト効率的な差別化を可能にすることが1つの目的である。そのような外層は、本発明の方法によれば容易に交換することができ、それによって異なる装飾的及び/又は触知的な特徴を、乳製品及び充填物の顧客(dariy and filler customers)、消費者、及び小売業者の異なる要求に従って材料にラミネート加工することができる。そのような特注生産は、材料製造工程の主ラインにおける停止、無駄、及びロジスティクスの問題を生じること無く、別々の、短い、一連の異なって装飾された注文仕立ての包装材料を生産することを可能にする。
【0020】
異なる食品のニーズに合わせるために、必要とされる包装ラミネート全体の機械的特性を依然として達成しつつ、材料モジュールの内側と外側との間の材料層を交換するか又は加える方法の自由度を増すことによって、内側のバリア材料に関する差別化の機会を対応させて可能にすることもまた、1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
結果として、これら目的のいくつか又はすべてが、本発明に従って、特許請求の範囲に規定される、ラミネートされた包装材料を製造する方法、この方法によって得られる包装材料、並びにこの包装材料から作られた包装容器によって達成可能である。
【0022】
本発明に関連して「長期の保存(long-term storage)」との用語によって、包装容器が、少なくとも1か月間又は2か月間、例えば少なくとも3か月間、好ましくはさらに長期間、例えば6か月間、例えば12か月間又はより長期間、周囲条件において、パックされた食品の品質、すなわち栄養価、衛生上の安全性、及び味を保つことができなければならないことが意味される。
【0023】
「パッケージの完全性(package integrity)」との用語によっては、パッケージの耐久性、すなわち包装容器の漏出又は破損に対する耐性が一般的に意味される。この特性に対する貢献の主なものは、包装ラミネート内で、ラミネートされた包装材料の隣接する層間に良好な内部接着性があることである。別の一の貢献は、材料層内のピンホール、断裂などのような欠陥に対する材料の耐性に起因し、さらに別の一の貢献は、包装容器の成形時に材料が共にシールされることによるシール接合部の強度に起因する。ラミネートされた包装材料それ自体に関しては、完全性の特性は、結果的に各ラミネート層のその隣接層に対する接着性及び個々の材料層の品質に主に焦点が当てられる。
【0024】
「液状又は半液状食品」との用語は、任意選択的に食品の欠片を含むことができる流れる内容物を有する食品を一般的に参照する。乳製品及び牛乳、大豆、米、穀類及び種子の飲料、ジュース、ネクター、発泡性のない飲料、エナジードリンク、スポーツドリンク、コーヒー又は紅茶飲料、ココナッツ水、緑茶飲料、ワイン、スープ、ハラペニョ、トマト、ソース(例えばパスタソース)、豆及びオリーブオイルは、期待される食品のいくつかの限定的でない例示である。
【0025】
包装材料および包装容器と関連する用語「無菌の」は、微生物が除去されているか、不活性化されているか、又は殺されている状態を参照する。微生物の例は、バクテリア及び胞子である。一般的に、製品が無菌的に包装容器にパックされるときには無菌プロセスが使用される。
【0026】
用語「熱シール」は、熱可塑性材料の1つの面を他の1つの熱可塑性の表面に溶接するプロセスを参照する。熱シール可能な材料は、十分な加熱及び圧力をかけるような適当な条件の下で、別の好適な熱可塑性材料に押圧されるとともに接触状態にされるときにシールを生成することができる。好適な加熱は、誘導加熱若しくは超音波加熱、又は他の従来の接触手段又は従来の加熱手段、例えばホットエアによって達成することができる。
【0027】
用語「バルク層」によっては、最も厚い層又は多層ラミネートのほとんどの材料を含む層、すなわちラミネート及びこのラミネートから折り曲げられた包装容器の機械的特性及び寸法安定性に最も貢献する層が、通常意味される。本発明の明細書において、「バルク層」は、サンドイッチ構造におけるもっとも大きな厚み距離を提供する層をもまた意味し、十分なそのような機械的特性及び寸法安定性を達成するために、バルク層の両側上の、より高いヤング率を有する安定化対面層とさらに相互作用する。
【0028】
「スペーサ層」は、非常に薄い材料層間に所定の距離又は空間を作り出す層であり、スペーサ層の両側に配置された高密度、高引張剛性を有する紙層、箔又はフィルムのような高いヤング率及び密度を有する層、すなわち剛性及び安定性を提供する層、いわゆる対面層である。スペーサ層は、低い又は低くされた固有の曲げ剛性を有するが、それ自体がラミネートされた包装材料の曲げ剛性に直接貢献することはない。それは間接的には非常に貢献するばあいがあるが、両側の隣接する又はラミネートされた層との相互作用によって、層のうちのいくつかは高いヤング率を有するが、スペーサ層と比較して小さい厚みを有する。サンドイッチ構造において、スペーサ層のいずれかの側に少なくとも1つのそのような対面層又は剛性強化層があることは重要である。スペーサ層が非常に低い密度を有し、それ自体いずれの曲げ剛性特性によっても貢献しないときには、スペーサ層のいずれかの側に1つの対面層が必要である。紙の対面層間の距離が増加すると、ラミネートされたサンドイッチ構造の曲げ強度及び曲げ剛性もまた増加する。「バルク層」は、バルク層内に「スペーサ層」及びさらに組み合わされ統合された層を備える場合があるが、スペーサ層と同じとすることもまた可能である。
【0029】
本発明の第1の態様によれば、ラミネートされたセルロースベースの、液状又は半液状食品の包装材料を製造するための方法であって、十分な機械的強度及びバリア特性、並びに魅力的な外観を有するパッケージへと熱シールするステップが、
a)低密度セルロースのスペーサ層を備える中央モジュールのバルク材料のウェブを提供するステップであって、前記ウェブが固有の曲げ剛性を有さないか又は低い曲げ剛性を有し、850Kg/m3より低い密度、及び60~250g/m2の坪量を有する、ステップと、
b)装飾が印刷されるか又はその上に適用された装飾を有する、或いは有しない少なくとも1つの印刷基材層を備える外側材料モジュールのウェブを提供するステップであって、外側材料モジュールは、中央モジュールのバルク材料の側が、ラミネートされた包装材料から作られた包装容器の外側に方向づけられるように意図されている、ステップと、
c)中央モジュールのバルク材料のウェブ及び外側材料モジュールのウェブの外側を互いに対してラミネート加工するステップと、
d)装飾を外側材料モジュールに加えるステップと、
e)少なくともバリア層を備える内側材料モジュールのウェブを提供するステップであって、内側材料モジュールは、バルク材料の側が、ラミネートされた包装材料から作られた包装容器の内側に方向づけられるように意図されている、ステップと、
f)内側材料モジュールのウェブ及び中央モジュール部バルク材料のウェブの内側を互いに対してラミネート加工するステップと、
g)最も外側の透明かつ液密な保護層を、外側材料モジュールの外側に適用するステップと、
h)最も外側の熱可塑性の液密かつ熱シール可能な層を、外側材料モジュールの内側に適用するステップと、
i)結果としてラミネートされたセルロースベースの液状又は粘性のある食品の包装材料のウェブを、リール上にさらに巻き付けるために得るステップと、
からなるステップを備え、スペーサ層が、ラミネートされた包装材料内にサンドイッチ構造の中央を構成し、このサンドイッチ構造は、スペーサ層の少なくとも一方の側に配置され、スペーサ層の他方の側に配置されたさらなる対面層と相互作用する、少なくとも1つの紙製対面層を有し、この紙製対面層及びさらなる対面層は、非常に小さい厚みを有するが、スペーサ層より高いヤング率を有する方法が提供される。
【0030】
この方法のステップは、いずれの順番で行ってもよいが、上述にリストされた順番は、ラミネーションの設定の観点から好ましいと考えられる。
【0031】
低密度セルロースのスペーサ層は、750Kg/m3より低い、例えば700Kg/m3未満等の密度を有することができる。
【0032】
さらに、スペーサ層は、印刷可能なコーティング(クレイコート(clay-coat)の坪量を除いたときに60~250g/m2の対応する坪量を有するトリプレックス又はデュープレックスタイプの液体カートン用板紙の曲げ剛性より少なくとも30%低い曲げ剛性を有することができる。
【0033】
したがって、好適なスペーサ層は、印刷可能なコーティング(クレイコートの坪量を除いたときに、対応する坪量でトリプレックス又はデュープレックスタイプの液体カートン用板紙の曲げ剛性より30~100%低い曲げ剛性を有する。
【0034】
ラミネートされた包装材料の曲げ剛性を、平坦な包装材料を折り曲げ成形されたパッケージに再形成する瞬間までできるだけ高い状態に維持するための、より好ましい異なる実施形態によれば、外側材料モジュール及び内側材料モジュールは、別のステップにおいて予めラミネート加工されなければならず、次いで、最終ステップにおいて、スペーサ層を備える中央モジュールにラミネート加工されなければならない。このようにして、ラミネーションの作業及びスペーサ層にかけられるローラの圧力は可能な限り短くかつ低い。したがって、発想は、弱く、低密度のスペーサ層の材料のような、材料の中央部分にかけられるラミネーション圧力の時間及び大きさを最小化することである。
【0035】
特定の実施形態では、外側の紙の対面層は、従来の板紙のバルク層において今日行われているような、厚いかさばった材料の部分における材料の穿孔(perforation)のような、プレカット孔、開口部、又はスリットを作る時に一緒にプレカットされるために、最初にバルク層にラミネートされるべきである。したがって、そのようなプレカット孔、開口部、又はスリットは、引き続く作業においてラミネートされる、内側層及び紙製対面層、金属箔、又はバリアコーテッドフィルムを含むラミネート層間に封入される。
【0036】
ラミネートがプレカットされた孔をバルク中に(及び対面層の外側材料中に)有するとき、プレカットされた孔の領域内の他のラミネート層からなるラミネートされた膜の改善された開放可能性における、紙の対面層をバルク層の内側に有するそのような包装ラミネートによる特定の利点がある。開放装置は、通常は切断又はスリットの特徴を有し、それによってプレカットされた孔に亘る膜が、開放装置のキャップ又はねじ式コルクをねじる/回転させるとき、又はストローで押し通すときに切断又は破られて開放される。ラミネートされた膜における切断又はスリットの形成に対するあまりにも高い抵抗がある場合には、取り付けられたパッケージの開放装置は、非常に強いポリマフィルム又は層が膜中の材料層として使用されるときのように、開放することが難しくなる。また、ラミネートされた膜の層間に低い接着力しかない場合には、開放の後にあまり良くは見えない材料の剥離及び破れがある。バルク層の内側に紙の対面層を使用するとき、ラミネートされた膜は機械的に安定であるとともに高いラミネートされた品質を有する、すなわち開放の前後において、層間の断裂又は剥がれがない。さらに、紙の対面層が高密度である場合には、密な表面(compact surface)を有する紙、例えば耐油紙のような密な表面の紙もまたかなり薄く、特に、切断し、又はスリットを開放するのが容易であり、そのような破れ又はスリット形成又は切断の開放性に対する完全な特性を有するように思われる。紙は、ラミネーション中の膜に安定性を提供し、従って結果的にうまくラミネートされた膜を生じさせるだけでなく、切断ちゅうにもまた、膜は開放装置によって開放される。したがって、切断は清浄であり、正常な切断端縁を提供し、かつねじ式コルクを回して開放するときに、高すぎる抵抗無しに容易に行うことができる。
【0037】
したがって、本発明の方法によって得られるラミネートされた包装材料は、セルロースベースのスペーサ層及び、このスペーサ層の一方の側の比較的薄い高密度の紙層の少なくとも1つの機械的に安定化された対面層を備える、3つのモジュラのサンドイッチ材料であり、ラミネートは、様々なバリア特性及び熱シール特性を有する機能層をさらに備える。
【0038】
一実施形態に従う場合のあるスペーサ層は、非常に薄い材料層間の距離又は空間を作り出し、これら非常に薄い材料層は、スペーサ層の両側に配置された高密度の紙層、すなわち剛性及び安定性を提供する層、いわゆる対面層のような、高いヤング率及び密度を有する。この発明に従うさらなる層をスペーサ層の両側に配置して全サンドイッチ構造に寄与することができるが、我々は本発明にしたがって、紙の対面層について主に述べる。スペーサ層は、低い曲げ剛性を有するか、又は固有の曲げ剛性を有さない場合があり、したがって、それ自体がラミネートされた包装材料の曲げ剛性又は強度に直接寄与することはない。しかし、間接的に、スペーサ層は隣接する又はラミネートされた両側の層との相互作用によって非常に寄与する場合があり、層のうちのいくつかは高いヤング率を有するが、スペーサ層に比べて小さな厚みを有する。サンドイッチ構造においては、そのような対面層、又はスペーサ層の両側上の剛性強化層の少なくとも1つがあることが重要である。スペーサ層が非常に小さい密度を有し、それ自体にいずれかの曲げ剛性特性によって貢献することがない場合、スペーサ層の両側上の1つの紙の対面層が必要とされる。紙の対面層間の距離が大きくされるとき、ラミネートされたサンドイッチ構造の機械的強度及び曲げ剛性もまた、増加する。
【0039】
スペーサ層のために好適なセルロースベースの材料は、例えばいわゆる発泡セルロース、すなわち発泡形成された繊維セルロースとすることができ、この発泡形成された繊維セルロースは調節可能な密度を有する繊維材料であり、発泡体形成プロセスによって製造することができる。
【0040】
このように、発泡セルロースを備えるバルク層は、例えば100~600Kg/m3、例えば100~500Kg/m3、例えば200~500Kg/m3、例えば200~400Kg/m3、例えば300~500Kg/m3、例えば300~400Kg/m3等、700Kg/m3より小さい密度を有する。発泡セルロース層の密度が低ければ低いほど、消費される原材料に関するコスト効率は高くなり、一方で発泡形成されたセルロースの厚みの減少に対するより良い抵抗の特性は700Kg/m3より上で得られた。一実施形態によれば、ラミネートされた包装材料に使用される発泡セルロースの最適な密度は、300~500Kg/m3、特に300~400Kg/m3と結論付けられた。
【0041】
したがって、本発明の方法は、発泡セルロースのバルク材料の、食品用の、特に液状及び半液状の食品用の包装容器を準備するために好適なラミネートされた包装材料への組み込みを可能にする。そのようなバルク層のポリマ層へのラミネーションは、ポリマ層の押出コーティング及び押出ラミネーションのような、溶融押出作業によって行うことができる。押出は、一般的に高温で、溶融低密度ポリエチレンの場合には、約330℃までの温度で行われる。そのような温度は、他の発泡ポリマ層の場合とは逆に、発泡セルロースを備えるバルク層に対しては大きな問題となることはなかった。発泡セルロースは、一般に発泡ポリマ層、特に発泡ポリオレフィンとは逆に、300℃より上で熱的にかなり安定であるとともに低い熱伝導を有する。300~400Kg/m3の比較的低い密度で、発泡セルロースが押出ラミネーション作業において厚みを大幅に失うことはなく、十分な剥離強度又は、本発明の目的のための包装ラミネートにおける使用のための、いわゆるz強度を維持することが分かった。
【0042】
本明細書の態様及び実施形態に記載されるような発泡セルロースを備えるバルク層は、剥離に対する望ましい強度をさらに提供する、すなわち発泡セルロースを備えるバルク層は、標準的な条件下では容易に剥離することがない。剥離強度は、例えばTAPPI T569に従い、J/m2の値を提供するHuygen Internal Bonding Energy試験装置によって測定することができ、ここで本明細書における包装材料は、60~300J/m2、例えば60~250J/m2、例えば80~200J/m2、例えば140~200J/m2等である。いくつかの観点及び実施形態では、バルク層は、バリア層と最も外側の熱可塑性装飾層との間に距離が設けられ、それによって注文仕立てのラミネートされた包装材料構造を可能にする。いくつかの実施形態では、発泡セルロースを備えるバルク層は、厚み方向(Z-又はZD)における圧縮強度との組み合わせで剥離強度を提供するとともに、バリア層と装飾層との間に十分な距離を提供する。
【0043】
発泡セルロースは、セルロース繊維と、水のようなフォーミング流体と、任意選択的にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような表面活性剤と、を混合することによって生成することができる。表面活性剤の量は、0.1w%~20w%、例えば0.5w%~10w%、例えば1w%~5w%、例えば1.5w%~3w%等とされる。一般的なフォーム生成装置上のロータ混合装置が発泡セルロースを生成する。発泡体は、ガスを混合機にもたらすことによって一般的に形成される。空気が適当なガスの例である。別の好適なガスは酸素である。一般的に、ガスは、加圧されたガスによって、及び撹拌によって生じた渦によって混合物の中にもたらされる。一般的に、セルロースは、セルロース繊維を備える液分散(liquid dispersion)として提供される。液体の例は水である。セルロース繊維のいくつかの例は、化学パルプ繊維、ケミサーモメカニカルパルプ繊維、サーモメカニカルパルプ繊維、及びクラフトパルプ繊維のような、セルロースベースの繊維である。繊維分散は、例えば発泡体が(表面活性剤を含む)流体によって生成された後に、フォーミング流体に添加することができる。任意選択的に、セルロース繊維を備える液分散は、発泡に先立ってフォーミング流体と結合させることができる。発泡体の稠度を制御するために、添加剤を必要に応じて添加することができる。本明細書に記載されるように生成された発泡セルロースは、圧力及び発泡形成具が発泡セルロースのウェブを生成するノズル配置(「ヘッドボックス(headbox)」)を通過し、この発泡セルロースのウェブは、少なくとも部分的に乾燥された後にレールに巻かれ、将来の使用、例えば包装材料のための準備の前に貯蔵される。任意選択的に発泡セルロースのウェブをインラインで使用する、すなわち発泡セルロースのウェブを、液状又は半液状食品のパッケージのためのラミネートされた包装材料に変形するために、さらなる層を直接的に適用することができる。従来の紙製造に比較すると、さらなる又は変形された乾燥を、望ましい乾燥度及び密度を達成するために好適に使用することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、発泡セルロースを他の材料、例えば添加剤、及び/又は微小繊維セルロース、及び/又は精製パルプ、及び/又は強化化学物質又は強化剤、例えばでんぷん及びその誘導体、マンノガラクタンス(mannogalactans)、カルボキシメチルセルロース、メラミン‐ホルムアルデヒドコロイド、ウレア‐ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド‐ポリアミン‐エピクロルヒドリン樹脂と混合することができる。
【0045】
スペーサ層のまた別の一例は、通常は非常に高い密度を有するが低い固有の曲げ剛性並びに既存の液体包装用板紙と比較して他の機械的特性、例えば寸法及び機械的安定性における差異を有するいわゆるコンテナボード材(containerboard material)から作られており、したがってそのような材料からなるバルク層を有するラミネートから作られたパッケージの完全性及びバリア特性は、包装ラミネートの従来の製造によって作られるときには悪化してしまうだろう。
【0046】
特に、コンテナボード層は、液体包装用に好適なラミネートされた包装材料に比較してそれ自体実質的に低い曲げ剛性を有する。一般的に、フルーティング材はライナーボード材よりも高い坪量当たりの曲げ剛性を有する。
【0047】
曲げ剛性は通常はコンテナボード材に対しては測定されない。なぜなら、コンテナボード材は波型カートン製造のためをいずれにしても意図されていたからであるが、そのような材料は、印刷可能なコーティング(クレイコート)の坪量を除外すると、対応する坪量で、液体カートン用板紙の曲げ剛性より、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、低い曲げ剛性を有すると測定された。しかし、サンドイッチ構造における対面層間における高いヤング率を有する間隔層(distance layer)をもまた提供すること、及び液体包装のための従来の板紙より大きな圧縮強度特性を層の面内(x‐y)に有することによって、コンテナボードは依然としてラミネートされた包装材料の全機械的特性及び曲げ剛性に貢献している。
【0048】
コンテナボードは波型ケース材料(corrugated case material:CCM)としても知られており、波型ケース材料のために必要とされる材料は、使用中には溝付き(ウェルド)とされ、次いで2つの平坦なライナーボード又はライナー媒体間に糊付けすることによって配置される波型媒体(又は溝付き媒体)である。そのような波型の構成は、2つの比較的薄いライナー層間の間隔層又はスペーサ層として作用する溝付きの中間層のために、高いサンドイッチ構造の曲げ剛性を提供する。したがって、コンテナボードを作り上げる2つのタイプの紙は、一般的にクラフトライナー又はテストライナーと称されるライナーボード材及びフルーティング(又は波型媒体)材である。
【0049】
コンテナボードを作り上げる2つのタイプの紙は、ライナーボード材及びフルーティング(又は波型媒体)材である。コンテナボードは、主に天然の漂白されていないセルロース繊維から作られるので、その形状はセルロースのタイプによって変化する場合があるが一般的に茶色又はベージュ色である。しかし、白色の頂部ライナーボードもまた存在し、それは1つの面に白色の頂部層を有し、この頂部ライナーボードは通常はより高価な材料である。
【0050】
ライナーボードは通常、例えば835kg/m3等、850kg/m3より低い密度を有し、茶色又はベージュ色であり、例えばトウヒ及び松の繊維など、軟材の繊維を主に備える。
【0051】
したがって、フルーティングは、通常は波型とされた600~750kg/m3、例えば600~700kg/m3、通常は約650kg/m3等の密度を有する容器用板紙中の波型媒体として使用される。フルーティング紙は、茶色又はベージュ色であり、大部分は短い繊維を含み、一般的にはライナーボードとほとんど同様に非常に低価格かつ低品質の紙であり、それ自体は液体カートン用パッケージには好適でない。しかし、サンドイッチ構造におけるスペーサ層として使用されるときには、認可された種類のものであって、そのような包装ラミネート中で適切な層と適切な方法で組合される場合には、その目的のために実質的に低価格で十分に作用する。
【0052】
しかし、フルーティング媒体はスペーサ層を形成する場合があり、ラミネートされた液体カートン用包装材料のためのサンドイッチ構造において十分な距離を提供することができる低剛性で低コストの繊維材料であることによって、溝の付いていないスペーサ層を形成する場合がある。溝の付いたスペーサ層、すなわち形の良いスペーサ層は本発明の範囲内にはない。波型のカートン材料は、液体用カートンのラミネートされた包装材料に対して、全く異なる技術的意味合い及び要求をもたらす場合があり、ここでは論じられない。
【0053】
コンテナボード材の製造において一般的に使用される繊維は、2つの主なタイプ、再生繊維及び新しい、すなわち未使用の繊維に大別することができる。紙の特性は、シートを構成する様々な繊維の構造的特徴に依存する。一般的には、未使用の繊維の含有量が高いほど、フルーティング材又はライナーボード材は強くかつ剛くなる。この発明の目的のために調査されてきたフルーティング材は、パワーフルート(Powerflute)からの、例えば樺などの硬材から作られた100%一次繊維から成るセミケミカルフルーティングである。樺は最適なフルーティンの原材料である。その構造は高濃度のリグニン及びヘミセルロースを含む。パルプ化プロセスは、必然的に高度に疎水性のリグニンを保有し、繊維の柔らかく柔軟なセルロースコアが保護されるように残りのヘミセルロースを修正する。このことは、より高い剛性とクリープ特性とを提供する。液体用パッケージ用に使用されるとき、市場で入手可能なフルーティング材は、この新しい使用及び用途のための液体及び高湿度の条件に対処するために、パルプ化又はセルロースウェブ製造中に1つ以上の追加的なサイジング材によって補完される必要がある。従来のサイジング技術及び化学薬品(AKD、ASA、樹脂、等)を、特定の製品に対する必要な要求を満たすためにフルーティング材に対して使用することができる。
【0054】
未使用の繊維から成るライナーボードは、クラフトライナーと称され、再生された繊維からのライナーボードはテストライナーとして知られている。また、未使用の繊維と再生された繊維との混合物も可能である。クラフトライナーボードは、少なくとも80重量%、好ましくは100重量%の未使用の繊維を有さなければならない。ライナーボード用に使用される繊維はフルーティング材に使用される繊維より長く、また、ライナーボードはそもそもカートン材の外側のライナー層のためを意図されているので、繊維は異なる湿度及び湿潤条件に耐えるために、サイジング材によって定寸化される。
【0055】
したがって、コンテナボード材は液体包装用の対応する板紙より低い曲げ剛性を有するが、他方でより高いSCTインデックス、すなわち通常の液体用板紙材より、又はこの文脈中において好適である他の紙又はセルロース材よりも高い機械方向(machine direction)における坪量単位当たりのSCT値を有する。一般的にコンテナボードは、印刷可能なコーティング(クレイーコート)の坪量を除外するときに、対応する坪量を有する液体用板紙の曲げ剛性より少なくとも30%低い曲げ剛性を有する。一般的に、フルーティング材は、ライナーボード材より高い坪量当たりの曲げ剛性を有する。
【0056】
SCT値は、国際標準ISO9895によって測定される特性であり、様々なコンテナボードを互いに比較するために信頼されている。SCT又は短時間圧縮試験(Short Compression Test)は、紙の繊維の内部圧縮抵抗(internal compression resistance)、すなわちCD及びMDにおける紙の平面内の圧縮強度を測定する。この特性は、測定される特定の紙の坪量によって変化する。
【0057】
より高いSCTインデックスを有する材料から作成されたパッケージは、より良い積み重ね性を有し、したがって、それはカートン材料の平面内(x‐y平面)における坪量当たりの圧縮強度の測定値である。コンテナボード材は、通常はMDにおいて30Nm/gより大きなSCTインデックスを有し、したがって液体用板紙ラミネートに対して必要とされる圧縮強度及び積み重ね性を提供する。これら材料は、液体用カートン包装のためのラミネートされた材料における(溝の付いていない)スペーサ層としてしか使用されないので、曲げ剛性特性に関して最適化される必要はない。したがって、そのようなライナーボード材はそもそも波型のカートンのサンドイッチ構造における対面層用を意図されているのに反して、本発明の目的のために、液体用カートンのラミネートされた材料に対して必要とされる曲げ剛性を提供するために、そのいずれかの側にさらなるラミネートされた対面層を有する、ラミネートされた構造におけるスペーサ層として使用される。
【0058】
比較のために、今日の液体用板紙材は約25Nm/gのSCTインデックスを有するが、それらは液体用カートンのラミネートされた包装材料における寸法的な安定性の主な提供物として信頼されているので、その他のすべての特性に関してもまた最適化されている。ラミネート中のサンドイッチ構造における低コストスペーサ層を有する今日の最適化された液体用板紙を置き換える場合には、そのようなスペーサ層は、最先端の板紙を除去する際の特性の損失を相殺するために、30Nm/gより上のより高いSCTインデックスを有する必要がある。
【0059】
新しいスペーサ層はラミネート構造におけるサンドイッチ構成におけるさらなる対面層に対してラミネート加工されるので、白色の、又はスペーサ層それ自体上の滑らかな(例えばクレイコートされた)印刷表面を提供する必要はない。またその点で、コンテナボード材は、そのようなスペーサ層に対して好適な材料である。
【0060】
耐湿性に関して、これら材料は、液体用カートン包装ラミネートにおいてよりよく機能するために、35g/m2より低いCobb吸水値を有することができる。Cobb値は、ISO535に従って測定され、ほとんどのライナーボード材によって既に満足されているが、いくつかのフルーティング材は、液体用カートン包装ラミネートにおける溝の付いていないスペーサ層として使用するために、さらなるサイジングを必要とする場合がある。したがって、バルク層中のコンテナボード材は少なくとも1つのサイジング添加剤を備える。
【0061】
さらなる実施形態では、スペーサ層は異なるセルロース又は紙のタイプの組み合わせを備えることができる。スペーサ層が発泡セルロースを備える場合には、発泡セルロースの部分はバルク層の厚みの少なくとも20%、例えば少なくとも25%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%である。このパーセンテージは、顕微鏡中で包装材料の断面を観察することによって測定することができる。
【0062】
また別の一実施形態では、バルク層はスペーサ層から主に構成することができるが、スペーサ層より比較的高いヤング率を有するが小さい厚みを有する1つ又は2つの統合された紙層を、最終的に生産されるラミネートされた材料にいくらかの曲げ強度及び曲げ剛性を提供するためにさらに備える。
【0063】
したがって、最終的なラミネートされた材料は、スペーサ層の両側に配置された、少なくとも1つのそのような比較的より薄く、より硬い紙を備える。そのような構成では、より薄く、より硬い紙は、I字状ビーム構造のフランジ又はサンドイッチ構造の対面層と同様に作用し、したがって、サンドイッチを機械的に、例えば曲げ剛性及び材料内の様々な方向における平面内の圧縮強度に関して安定化する。
【0064】
好適なそのような紙の対面層は、薄いクラフト紙、耐油紙、又は硫酸紙のなかに見ることができる。それらは例えば30~70g/m2、例えば30~60g/m2等、20~100g/m2の坪量、及び600~1500kg/m3の密度を有する。
【0065】
典型的には、紙の対面層は、例えば5~10GPaなど、1~10GPaのヤング率を有するべきである。
【0066】
紙の対面層は、異なる方法でラミネートされた材料構造に含むことができる。例えば、スペーサ層がコンテナボード材のスペーサ層のような、より高い密度及びそれ自体による固有の剛性を有するとき、バルク材料層はコンテナボード材層及びより薄く、硬い又はより高密度の紙の対面層を、スペーサ層の一方の側に備えることができる。その結果、最終的なラミネートされた材料が、1つの紙の対面層だけを一方の側に有し、延伸のプラスティックフィルムのような異なる材料から成る安定性が低い対面層をスペーサ層の他方の側に有することで十分な場合がある。代替的に、紙の対面層を、フルーティング材層にラミネート加工される内側又は外側材料モジュールの一方に含むことができる。
【0067】
包装材料ラミネートの曲げ剛性は、個々の層の厚み及びヤング率に由来する場合がある。ラミネートされた材料のサンドイッチ構造の機械的特性を調和させるために、サンドイッチの対面層をそれぞれ、それらが実質的に等しい伸長剛性を有するように、スペーサ層の両側に配置すべきである。伸長剛性は、ヤング率及び厚みの結果(product)によって与えられる。これは、紙の厚み及びヤング率を変化させることによって調節することができ、スペーサ層の一方の側に1つ以上のそのような紙の対面層がある場合には、対面層のその特定の組み合わせの全曲げ剛性を計算することが可能である。
【0068】
様々な特定の実施形態が本発明によって想到可能である。バルク材料は、600~700kg/m3の密度を有するフルーティングのスペーサ層を備えることができ、一方で外側材料モジュールは紙の対面層を備える。代替的に、バルク材料は、スペーサ層の内側にスペーサ層と、統合された紙の対面層と、を備えることができ、このスペーサ層は600~700kg/m3の密度を有するいわゆるフルーティングである。
【0069】
外側のより厚い紙の対面層がスペーサ層から分離され得、同時に印刷の背景色、質感、及び模様の差別化を可能とし、かつ内側の材料モジュールにおけるラミネーションのためのできるだけ薄い、しかしより高いヤング率のバリアコーティング基材の紙を有する印刷基材層を構成するようにサンドイッチ構造を仕立てることにより、薄い基材及びしたがって例えば真空コーティングプロセスにおいてより少ない基材のロールを使用することによって、バリアコーティングプロセスの効率もまた増加させることができる。紙の対面層の特性の非対称性は、構造中の他の層によるバランスであってもよく、それによってスペーサ層の中央ラインに対する(vs)対称性が依然として得られ、カーリングが回避され得る。
【0070】
バルク層が発泡セルロースを備える一実施形態では、最終的なラミネート加工される材料は、十分な安定性を最終的なラミネートされた包装材料に提供するために、スペーサ層の両側に配置された1つの紙の対面層を備える。
【0071】
一実施形態では、バルク材料はスペーサ層の第1の側(内側)上に、スペーサ層及び統合された紙の対面層を備え、一方で外側の材料モジュールもまた、バルクの第2の側(外側)及びスペーサ層にラミネート加工される紙の対面層を備える。また別の一実施形態では、バルク材料層は、スペーサ層の第2の側上にスペーサ層及び統合された紙の対面層を備え、一方で内側の材料モジュールもまた、バルク及びスペーサ層の第1の側にラミネート加工される紙の対面層を備える。
【0072】
さらなる実施形態では、バルク材料は、スペーサ層と、1つの統合された紙の対面層と、をスペーサ層の両側に備える。
【0073】
異なる実施形態では、バルク材料は1つのスペーサ層又は2つ以上の異なるスペーサ層の組み合わせを備え、一方でバルク層の第1及び第2の側にラミネート加工される内側及び外側材料モジュールは、紙の対面層それぞれ、又は延伸のポリマフィルムを備える。
【0074】
特定の実施形態では、スペーサ層は発泡形成プロセスによって作られた繊維層であり、150g/m2の坪量と600μmの厚みとを有するとともに、その両側に配置された、60~80g/m2、例えば70g/m2等の坪量の高密度の紙を有する。
【0075】
一実施形態によれば、外側材料モジュールは、モジュールの外側に向かって方向づけられた印刷可能な又は印刷された表面を有する紙の対面層を備え、バルク材料の外側表面に中間接合層又は接着剤によってラミネート加工されている。
【0076】
また別の一実施形態では、外側材料モジュールは、印刷可能な又は印刷された表面を有するポリマフィルムであり、このフィルムはバルク材料の外側表面に中間接合層又は接着剤によってラミネート加工されている。
【0077】
さらなる実施形態では、外側材料モジュールは、印刷可能な又は印刷された表面を有するポリマフィルムと紙の対面層とを備え、この対面層にはポリマフィルムがさらにラミネート加工され、モジュールはバルク材料の外側表面に中間接合層又は接着剤によってラミネート加工されている。
【0078】
今日のバルク層、すなわちその上に彩色の装飾パターンを印刷することができる白色の印刷可能な表面の装飾的機能並びにその曲げ剛性の少なくともいくらかをバルク層から除去し、代わりにバルク層の外側に別の印刷基材層に低品質のバルク層をラミネート加工することによって、異なって見える包装ラミネートの製造プロセスにおける大きな柔軟性を、低価格かつ発注から納入までの短いリードタイムで提供することができる。したがって、単に印刷基材及び実際の印刷された装飾パターンを変更することによる以外の、製造プロセス又は原材料に影響を与えずに包装コンテナの外観を変更することが容易となる。印刷基材層は白色、茶色、有色の、金属被覆されたもの等とすることができる。同時に、ラミネートの層の全体としてのサンドイッチ効果によって、良好な外観を有する、機械的及び寸法的に安定な包装容器が依然として得られる。
【0079】
一実施形態では、内側材料モジュールはバリアコーティングを有する紙の対面層を備え、中間接合層又は接着剤によってバルク材料の内側表面にラミネートされている。
【0080】
別の一実施形態では、内側材料モジュールはバリアコーティングを有するポリマフィルムであり、このフィルムは中間接合層又は接着剤によってバルク材料の内側表面にラミネートされている。
【0081】
さらなる実施形態では、内側材料モジュールはポリマフィルム及びこのポリマフィルムがさらにラミネートされた紙の対面層を備え、フィルム又は紙はバリアコーティングを有し、モジュールはバルク材料の内側表面に中間接合層又は接着剤によってラミネートされている。
【0082】
また別の実施形態では、内側材料モジュールはアルミニウム箔を備える。
【0083】
したがって、バリア機能の内側の区別もまた、中央及び外側材料モジュールをいかにして調和させるかによって、及び包装される食品の要求によって、変化させることができる。
【0084】
好適な印刷基材ポリマフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸又は非延伸のPET(OPET、BOET)、延伸又は非延伸のポリエチレンフラノエート(polyethylenefuranoate)(PEF)、延伸又は非延伸のポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタネート(polyethylene napthanate)(PEN)等のポリエステル、例えば非延伸又は延伸のポリアミド(PA、OPA、BOPA)、エチレンビニルアルコールコポリマ(EVOH)等のポリアミド、例えばポリプロピレン、延伸の一軸延伸ポリプロピレン又は二軸延伸ポリエチレン(PP、OPP、BOPP)等のポリオレフィン、例えば延伸又は非延伸の高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン、及びシクロオレフィンコポリマ(COC)、並びにこれらポリマのいずれかの混合物のいずれかに基づくフィルムから成る群から選択された、前以て製造された、引き延ばされた安定化ポリマフィルム、又は前記ポリマ若しくはそれらの混合物のいずれかを備える表面層を有する多層フィルムとすることができる。
【0085】
さらなる実施形態では、印刷基材は、クレイコートされた白色の紙の表面である印刷可能な表面、又は金属被覆されたフィルム若しくは紙の表面を有する。
【0086】
外側材料モジュールは、0.5~4g/m2、例えば1~3g/m2等の量で水性接着剤成分を、互いに対して接着される表面の一方に適用し、続いてそれらを一緒に加圧形成することによって、バルク材料にラミネートすることができる。
【0087】
内側材料モジュールは、0.5~4g/m2、例えば1~3g/m2等の量で水性接着剤成分を、互いに対して接着される表面の一方に適用し、続いてそれらを一緒に加圧形成することによって、バルク材料にラミネートすることができる。
【0088】
本発明の最終的なラミネートされた包装材料は、通常はバリア材料としてのアルミニウム箔を含まない。アルミニウム箔がバルク層の第1の側上の第1の前以てラミネートされた材料に含まれるようにされるならば、それは本質的にいくらかの剛性及び機械的強度を最終的なサンドイッチ構造、すなわち最終的なラミネートされた包装材料に加えるだろう。しかし、将来の包装材料が製造において二酸化炭素の消費を低減し、それによってアルミニウムのバリア材料の含有量をなくすか又は少量にすることを目指す、すなわちいわゆる箔を使用しないラミネートされた包装材料を目指すことを仮定すると、今日の液体包装用板紙よりも著しく低い密度及び曲げ剛性の発泡セルロースを備えるスペーサ層を有するバルク層に基づくラミネートでは、スペーサ層の両側上の機械的に安定化した紙の対面層がラミネートされた構造のより良い選択となるだろう。さらに、スペーサ層の両側に紙の対面層を有する対称的な配置は、それが、増加した含水率によるラミネートされた包装材料のカーリングの増加を減少させるとともに、材料から成る包装容器の圧縮強度をさらに改善する、すなわちパレット上における輸送及び流通において互いに重なり合う積み重ねられた包装容器からの「ゆがんだ」パッケージがほとんどないので、有利である。
【0089】
内側材料モジュール及び外側材料モジュールの2つのウェブのバルク層のウェブへのラミネーションにおいて、様々な方法およびラミネート材料を使用することができる。中間にある溶融した熱可塑性接合ポリマを有する溶融押出ラミネーションが上述されており、これは2つのウェブを互いに対してラミネートする一般的な方法である。本発明の一実施形態では、互いに対してラミネートされる表面は、すべてが紙又はセルロースベースの表面であり、結果的に良好な接着がラミネートされた表面間に形成される。表面のいくつかのタイプは、他の表面への接着の前に表面の酸化予備処理を必要とする場合があり、又は代替的に、若しくは追加的に、溶融押出される接合ポリマが少なくとも部分的に接着性の熱可塑性ポリマ、すなわち様々な表面に対する親和力を有する官能基、通常はカルボキシル又はマレイックアンハイドライド基を有するポリマを有する場合がある。
【0090】
ラミネートされる材料の内側、すなわち外側の熱シール可能な層とバリア層又はプライマーをコートされた基材層の間の接合層のため、又は一層若しくは多層のそのような接合ラミネート層におけるバリアフィルムのバルク層への接合のための好適な接着性ポリマは、例えばほとんどがLDPEまたはLLDPEコポリマに基づく修正されたポリオレフィン等、いわゆる接着性熱可塑性ポリマ、又は例えばカルボキシル又はグリシジル官能基等、モノマ単位を含む官能基を有するグラフトコポリマ、例えば(メタ)アクリル酸モノマ若しくは無水マレイン酸(MAH)モノマ(すなわち、エチレンアクリル酸コポリマ(EAA)又はエチレンメタクリル酸コポリマ(EMAA))、エチレン‐グリシジル(メタ)アクリレートコポリマ(EG(M)A)又はMAHグラフテッドポリエチレン(MAH-g-PE)である。そのような修正されたポリマ又は接着性ポリマの別の例は、いわゆるイオノマー又はイオノマーポリマである。好ましくは、修正されたポリオレフィンは、エチレンアクリル酸コポリマ(EAA)又はエチレンメタクリル酸コポリマ(EMAA)である。
【0091】
対応する修正されたポリプロピレンベースの熱可塑性接着剤又は接合層もまた、完成した包装容器の要求によっては有益である。
【0092】
そのような接着性ポリマ層又は結合層(tie layers)は、通常は共押し出しコーティング作業において、それぞれの外側層又はさらなるバルク‐バリア接合層と共に適用される。
【0093】
接着剤は、水性の接着剤溶液又は組成物として適用することができ、互いに対してラミネートされる表面のうちの一方上に適用され、次いで、1つ以上のラミネーションローラニップを含むラミネーションステーションにおいて他方の表面と接合される。好ましくは、できる限り少ない圧力を、弱く低密度のスペーサ層にかけるために、ラミネーションステーションには1つのラミネーションニップだけがあるべきである。しかし、いくつかの連続的なニップが、いくつかの実施形態においては接着を強化するために、いくつかの連続したローラニップにおいて、又は1つの幅のあるニップにおいて、低い圧力をかけることによって有利となる場合がある。
【0094】
したがって、ラミネートされた包装材料は高含有量の繊維及び再生可能な供給源からの材料を有することができ、このことは環境的な観点から有利である。さらに、材料中の増加されたセルロース繊維の比率によって、再生プロセスにおいて、特に熱可塑性ポリマ層とアルミニウム箔との量の比率が同時に減少され得るときに、処理するのが容易となる場合がある。このことは、セルロースベースのモジュールのラミネーションを水性の接着剤吸収ラミネーション、すなわち非常に少量のポリマ接着剤だけが適用され、ともにラミネートされる2つの表面を結合し、一方で水性媒体又は溶剤がラミネートされる層のセルロース繊維ネットワークの中に吸収され、さらなる乾燥又は加熱が必要とされないラミネーション法によって行われ得るときに、1つの有利な硬化である。このように、例えば溶融押出ラミネーション等、より少ない熱可塑性の接合材料しか必要とされないにもかかわらず、紙又はセルロースベースの材料の層を増加し、ラミネートされた包装材料に含まれる様々な材料層の特性の効果的な組み合わせのために、さらにバリア層を薄くすることができる。
【0095】
本発明のラミネートされた包装材料の最も外側及び最も内側の熱シール可能な液密な層に対して好適な熱可能性ポリマは、好ましくは、例えばポリエチレン及びポリプロピレンのホモポリマ又はコポリマ等、ポリオレフィンであり、より好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状LDPE(LLDPE)、シングルサイト触媒メタロセンポリエチレン(m-LLDPE)、及びそれらの混合物又はコポリマである。好ましい実施形態によれば、最も外側の熱シール可能かつ液密の層はLDPEであり、一方で最も内側の熱シール可能な液密の層は、最適なラミネーション及び熱シールの特性のために、m-LLDPEとLDPEとの混合組成物である。最も外側及び最も内側の熱可塑性ポリマ層は、溶融ポリマの(共)押出コーティングによって、望ましい厚みまで適用することができる。別の実施形態によれば、最も外側及び/又は最も内側の液密かつ熱シール可能な層は、前以て製造された延伸又は非延伸フィルムの形で適用することができる。
【0096】
また別の実施形態によれば、最も外側の熱シール可能で液密な、かつ保護用の熱可塑性ポリマ層は、熱可塑性のポリマから成る水性分散コーティングによって、そのような最も外側の層の薄い厚みのみが望まれる場合、又はそのようなプロセスが他の理由で好ましい場合などに適用することができる。
【0097】
最も外側の層及び最も内側の層に関して上述に列挙されたような同じ熱可塑性ポリオレフィンベースの材料、特にポリエチレンが、またラミネートされた材料内部、バルク層又はコア層、すなわち紙又は板紙等とバリアフィルム又は他のフィルム層を含む前以てラミネートされた材料との間の接合層に好適である。
【0098】
したがって、好適なバリア層は、例えば分散コーティングされた、又は液体フィルムコーティングされたバリアコーティング、又は蒸着されたバリアコーティング等、バリアコーティングを有するフィルム又は紙の基材を含む。
【0099】
そのようなバリアフィルム用に好適なフィルム基材は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸又は非延伸のPET(OPET、BOET)、延伸又は非延伸のポリエチレンフラノエート(polyethylenefuranoate)(PEF)、延伸又は非延伸のポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタネート(polyethylene napthanate)(PEN)等のポリエステル、例えば非延伸又は延伸のポリアミド(PA、OPA、BOPA)、エチレンビニルアルコールコポリマ(EVOH)等のポリアミド、例えばポリプロピレン、一軸延伸ポリプロピレン又は二軸延伸ポリエチレン(PP、OPP、BOPP)等のポリオレフィン、例えば延伸又は非延伸の高密度ポリエチレン(HDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン、及びシクロオレフィンコポリマ(COC)、並びにこれらポリマのいずれかの混合物のいずれかに基づくフィルムから成る群から選択されたポリマフィルム、又は前記ポリマ若しくはそれらの混合物のいずれかを備える表面層を有する多層フィルムとすることができる。
【0100】
バリア特性は、1つポリマの層若しくは多層、又は1つ以上のバリアポリマからのフィルムによって提供することができるが、一方で他の実施形態では、フィルムのポリマは、続いて適用されるバリアコーティングのための基材を提供する目的のためのみである。無菌の、長期間にわたる包装における最も重要なバリア特性は、酸素バリア特性である。したがって、酸素バリア特性は薄い液体フィルムコーティング、例えば液体媒体又は溶剤中の分散又は溶体の形で基材上にコーティングされ、続いて薄いバリアコーティングへと乾燥されるバリアポリマによってさらに提供される。分散又は溶体が均一であるとともに安定であることが、結果的に均一なバリア特性を有する一様なコーティングを得るために重要である。水性の組成物のための好適なポリマの例は、ポリビニルアルコール(PVOH)、水に分散可能なエチレンビニルアルコール(EVOH)、又はポリサッカライドベースの水に分散可能な又は溶解可能なポリマである。そのような分散コーティングされた、又はいわゆる液体フィルムコーティングされた(LFC)層は、分散又は溶液が均質かつ安定である、すなわち良好に準備され、かつ混合されているという条件の下で、非常に薄く、m2あたり10分の1グラムまでとすることができ、高品質の均質な層を提供することができる。PVOHは、乾燥した条件の下で優れた酸素バリア特性を有し、また、パッケージの長期間にわたる貯蔵において重要となる、非常に良好な臭気バリア特性、すなわち臭気物質が周囲環境、例えば冷蔵庫又は貯蔵室から包装容器に入るのを防ぐ能力を提供する。さらに、水に分散可能な、又は水に溶解可能なポリマから成るそのような液体フィルムコーティングされたポリマ層は、隣接する層への良好な内部接着力を提供し、それは最終的な包装容器の良好な完全性に貢献する。
【0101】
好適には、ポリマは、ビニルアルコールベースのポリマ、例えばPVOH又は水に分散可能なEVOH、アクリル酸若しくはメタクリル酸ベースのポリマ(PAA、PMAA)、例えばでんぷん若しくはでんぷん派生物、セルロースナノファイバ(CNF)、ナノ結晶セルロース(NCC)、キトサン、又は他のセルロース派生物、ヘミセルロース、水に分散可能なポリビニリデンクロライド(PVDC)又は水に分散可能なポリエステルのようなポリサッカライドから成る群から選択されたポリマ、又はそれらの2つ以上の組み合わせである。
【0102】
より好ましくは、ポリマバインダが、PVOH、水に分散可能なEVOH、アクリル酸若しくはメタクリル酸ベースのポリマ(PAA、PMAA)、例えばでんぷん若しくはでんぷん派生物、キトサン、又は他のセルロース派生物のようなポリサッカライド、又はそれらの2つ以上の組み合わせから成る群から選択される。
【0103】
したがって、そのようなバリアポリマは、液体フィルムコーティングプロセスによって、すなわち、水性の又は溶剤ベースの分散又は溶液の形で、好適に適用され、適用の際には、基材上に薄い均一な層に広げられ、その後乾燥される。
【0104】
水性の組成物は一般的には所定の環境上の利点を有する。なお、好ましくは、液体ガスバリア組成物は、そのような組成物が通常は溶剤ベースのシステムより良い作業環境保全性を有するので、水ベースである。
【0105】
簡潔に上述されるように、カルボン酸官能基を有するポリマ又は化合物を、PVOHコーティングの水蒸気及び酸素バリア特性を改善するために含むことができる。好適には、カルボン酸官能基を有するポリマは、エチレンアクリル酸コポリマ(EAA)及びエチレンメタクリル酸コポリマ(EMAA)又はそれらの混合物の中から選択される。1つの特に好ましいバリア層の混合物は、PVOH、EAA、及び薄板状の無機化合物から成る。次いで、EAAコポリマは、乾燥コーティング重量に基づく約1~20重量%の量でバリア層に含まれる。液体フィルムコーティングに好適な酸素バリア特性を提供するポリマバインダの他の例は、ポリサッカライド、特にでんぷん又はでんぷん派生物、例えば、好ましくは酸化でんぷん、カチオンでんぷん、及びヒドロキシプロピレーテドでんぷん等である。そのような修正されたでんぷんの例は、ヒポクロリット酸化ポテトでんぷん(RaisioからのRaisamyl 306)、ヒドロキシプロピレーテドコーンスターチ(Cerestar 05773)等である。しかし、他のでんぷんの形態、及びポリサッカライド派生物もまた、ある程度ではあるがガスバリア特性を提供することができる。
【0106】
しかし、最も好ましくは、ガスバリアポリマは、PVOHが上述のすべての良好な特性、すなわちフィルム形成特性、ガスバリア特性、コスト効率、食品適合性、及び臭気バリア特性を有するので、PVOHである。
【0107】
PVOHベースのガスバリアの組成物は、PVOHが、少なくとも98%の、好ましくは少なくとも99%の鹸化度を有するときに、細孔にその能力を発揮するが、低い鹸化度を有するPVOHもまた、酸素バリア特性を提供する。
【0108】
一実施形態によれば、液体の組成物は、さらに酸素ガスバリア特性をさらに改善するために無機物粒子を備える。
【0109】
ポリマバインダ材料は、例えば薄板状の形状、又はフレーク状に形成された無機化合物と混合することができる。フレーク状形状の無機物粒子の層状配置によって、酸素ガス分子は酸素バリア層を通じ、曲がりくねった経路を介して、バリア層を横切る通常の真直ぐな経路より長い道程を移動する。
【0110】
薄板状の無機化合物は、剥離状態に分散されたいわゆるナノ粒子化合物であり、すなわち層状の無機化合物のラメラが液体媒体によって互いから分離されている。したがって、層状の化合物は、好ましくはポリマの分散又は溶液によって膨潤するか、又は劈開することができ、ポリマは分散に際して無機材料の層状構造に浸透している。また、層状の化合物は、ポリマ溶液又はポリマ分散に添加される前に、溶媒によって膨潤させられる。したがって、薄板状の無機化合物は、液体ガスバリア組成物及び乾燥したバリア層中で剥離した状態へ分散される。好ましいナノ粒子は、モンモリロナイト、例えば精製されたモンモリロナイト又はナトリウム交換モンモリロナイト等のナノ粒子である。ナノサイズの薄板状の無機化合物又は粘土鉱物は、剥離状態において、50~5000のアスペクト比と、約5mmまでのサイズと、を有することができる。
【0111】
好適な無機粒子は、50~5000のアスペクト比を有するそのような薄板状のベントナイト粒子から主に成る。
【0112】
バリア層は、約1重量%~約40重量%の、より好ましくは約1重量%~約30重量%の、最も好ましくは約5重量%~約20重量%の、乾燥したコーティングの重量に基づく薄板状の無機化合物を含むことができる。総量が少なすぎる場合には、コーティングされ、乾燥されたバリア層のガスバリア特性は、薄板状の無機化合物が使用されないときに比べて著しく改善されることはない。総量が多すぎる場合には、液体組成物はコーティングとしてより適用が難しくなるとともに、貯蔵タンク及び塗布機システムの導管中でより扱いにくくなる。好ましくは、バリア層は約99%~約60%の、より好ましくは約99%~約70%の、最も好ましくは約95%~約80%の乾燥したコーティングの重量に基づくポリマを含む。添加剤、例えば分散安定剤又はその種のものは、ガスバリア組成物の中に、好ましくは乾燥したコーティングに基づく約1重量%以下の総量で含まれてもよい。組成物の全乾燥含有量は、好ましくは5~15重量%、より好ましくは7~12重量%である。
【0113】
異なる好ましい実施形態によれば、無機粒子は、10~500のアスペクト比を有する薄板状の滑石粒子から主に成る。組成物は、乾燥した重量に基づく、10~50重量%、より好ましくは20~40重量%の滑石粒子を備えることができる。20重量%より少ない場合には、ガスバリア特性における大きな増加はないが、一方で50重量%より多い場合には、層中の粒子間の内部凝集が弱いので、粒子コーティングされた層はより脆く、壊れやすい。ポリマバインダは、粒子を取り囲み、分散させるにはあまりにも少なすぎ、層内でそれらを互いに対してラミネートすると思われる。PVOH及び滑石粒子からのそのような液体バリア組成物の全乾燥含有量は、5~25重量%とすることができる。
【0114】
良好な酸素バリア特性は、3~150nm、好ましくは4~100nm、さらにより好ましくは5~70nmを示すコロイド状シリカ粒子が使用されるときに達成することができ、これら粒子は好ましくはアモルファスであるとともに球状である。コロイド状シリカ粒子の使用は、液体バリア組成物を15~40重量%、好ましくは20~35重量%、さらにより好ましくは24~31重量%の乾燥含有量において適用することができるという利点をさらに有し、それによって強制的な乾燥に対する要求が減少する。
【0115】
本発明による無機粒子の代替物は、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム等の粒子である。
【0116】
酸素バリア特性を提供するために無機粒子を採用する場合にも好ましいポリマバインダは、部分的に上述のその有利な特性によって、PVOHである。さらに、PVOHは混合の観点、すなわちPVOHがPVOHの水溶液中の無機粒子を一般的に容易に分散するか、又は剥離して、PVOHと粒子との安定した混合物を形成することから有利であり、したがって、均一な組成及び形態を有する良好なコーティングされたフィルムを可能にする。
【0117】
酸素ガスバリア層は、乾燥重量で0.1~5g/m2の、好ましくは0.5~3.5g/m2の、より好ましくは0.5~2g/m2の全量を適用することができる。0.5g/m2より少ないと、多孔の基材表面をさらに充填し閉止する効果が何らなく、ガスバリア特性が全くなく、一方で5g/m2を超えると、コーティングされた層は、一般的にバリアポリマの高いコスト及び液体を蒸発させるための高いエネルギーコストのために、包装ラミネートに何らコスト効率をもたらさない可能性が高い。酸素バリアの認識できるレベルは、0.5g/m2以上のPVOHによって達成することができ、バリア特性とコストとの良好なバランスは、0.5~3.5g/m2で達成される。
【0118】
酸素ガスバリア層は、中間に乾燥するステップを有する2つの連続するステップで2つの部分層(two part-layers)として適用することができる。2つの部分層として適用されるとき、それぞれの層は、0.1~2.5g/m2、好ましくは0.5~1g/m2の量で好適に適用され、より少量の液体ガスバリア組成から高品質の層全体が可能となる。2つの部分層は、それぞれ0.5~2g/m2の、好ましくはそれぞれ0.5~1g/m2の量で適用することができる。
【0119】
さらなるバリア層を、基材表面、例えば密な表面を有する紙の基材又はフィルム材料の上に、物理気相蒸着(PVD)又は化学気相蒸着(CVD)によって適用することができる。基材材料自体もまた、いくつかの特性によって貢献することができるが、何をおいても、気相蒸着コーティングを受容するのに好適な表面特性を有するべきであり、かつ気相蒸着プロセスにおいて効率的に作用すべきである。
【0120】
薄い気相蒸着された層は、通常、僅かナノメートルレベルの厚みである、すなわち、ナノメートルの大きさのオーダーの、例えば1~500nm(50~5000Å)、好ましくは1~200nm、より好ましくは1~100nm、最も好ましくは1~50nmの厚みを有する。
【0121】
いくつかのバリア特性、特に水蒸気バリア特性を有することが多い気相蒸着コーティングの一般的なタイプの一つは、いわゆる金属化層、例えば金属アルミニウム物理気相蒸着(PVD)コーティングである。
【0122】
そのような気相蒸着層は、実質的に金属アルミニウムから成り、5~50nmの厚みを有することができ、これは、包装用の従来の厚み、すなわち6.3mmのアルミニウム箔中に存在する金属アルミニウム材料の1%未満に対応する。気相蒸着金属コーティングは、著しく少量の金属材料しか必要としないが、よくても低レベルの酸素バリア特性を提供するのみであり、最終的なラミネート材料に十分なバリア特性を付与するために、さらなる気体バリア材料と組み合わせる必要がある。他方で、それはさらなる気体バリア層を補完することができるが、水蒸気バリア特性は有さず、むしろ水分に対して影響を受けやすい。
【0123】
気相蒸着コーティングの別の例は、アルミニウム酸化物(AlOx)コーティング及びシリコン酸化物(SiOx)コーティングである。一般的には、このようなPVD-コーティングは、より脆く、ラミネーションによって包装材料の中へ組み込むには適していない。例外としての金属化層は、PVDで形成されているにもかかわらず、ラミネーション材料用に好適な機械的特性を有するものではあるが、一般的に酸素ガスに対して低いバリアしか提供しない。
【0124】
ラミネートされた包装材料のために研究されてきた他のコーティングを、プラズマ増強化学気相蒸着法(PECVD)によって適用することができ、そこでは、化合物の蒸気が、程度の差はあれ、酸化雰囲気下において、基材に蒸着される。例えば、シリコン酸化物コーティング(SiOx)をPECVDプロセスによって適用することができ、これにより、所定のコーティング条件下及び気体組成下で非常に良好なバリア特性を得ることができる。残念ながら、SiOxコーティングは、溶融押出ラミネーションによりポリオレフィン及び他の隣接するポリマ層にラミネートされ、かつラミネートされた材料が湿潤又は高い湿度の包装条件に曝された場合に、不十分な接着特性を示す。液体用カートン包装のためを意図されたタイプの包装ラミネートにおいて十分な接着性に到達し、維持するためには、特別で高価な接着剤又は接着性ポリマが必要とされる。
【0125】
本発明によれば、気相蒸着コーティングは、プラズマ増強化学気相蒸着プロセス(PECVD)により適用されたアモルファス水素化カーボンバリア層、いわゆるダイアモンドライクカーボン(DLC)である。DLCは、ダイアモンドの典型的な特性のうちのいくつかを呈するアモルファス炭素材料の分類を定義する。炭化水素ガス、例えばアセチレンやメタン等が、コーティングを形成するためのプラズマ中のプロセスガスとして使用される。上記に指摘したように、そのようなDLCコーティングは、湿潤な試験条件下において、ラミネートされた包装材料における隣接するポリマ層又は接着剤層に対する良好かつ十分な接着性を提供するものであることがわかった。隣接するラミネートされたポリマ層、すなわちDLCバリアコーティングに接着又はコーティングされたポリマ層との、特に良好な接着適合性が、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリエチレンベースコポリマーで見られた。
【0126】
したがって、DLCバリアコーティングは、良好な機械的性質及び、充填されるパッケージから内側又は外側のいずれかへの方向におけるそのようなラミネートされた材料を通じて移動する様々な物質に対する良好なバリア特性によって貢献することによって、並びに、ラミネートにおける隣接するポリマ層に対する優れた接着性が結果的に得られることによって、このバリアコーティングを有するバリアフィルム又はバリア紙を備える包装ラミネートから作られた液体が充填された包装容器に対する、良好なバリア特性及び完全性を提供する。したがって、DLCバリアコーティングを有する、ポリエステル又はポリアミドから成る基材層からのバリアフィルムは、長期間の常温貯蔵、例えば2~6ヵ月までの、例えば12か月までの、酸素バリア特性及び水蒸気バリア特性を有する包装ラミネート及び包装容器を提供することができる。さらに、DLCバリアコーティングは、包装された食品中に存在する様々な芳香物質及び風味物質に対する、隣接する材料層中に存在する可能性のある低分子物質に対する、また臭気及び酸素以外の気体に対する良好なバリア特性を提供する。さらに、DLCバリアコーティングは、ポリマフィルム基材にコーティングされた状態で、カートンベースの包装ラミネートへとラミネートされた場合に良好な機械的性質を呈するとともに、ラミネーション並びに引き続く包装ラミネートの折り曲げ成形及び充填されたパッケージへのシールに耐える。ポリエステル及びポリアミドフィルムは、気相蒸着コーティングプロセス中の、DLCコーティング層の開始及び成長に対して優れた基材表面を提供する。コーティングプロセスにおける好ましい条件は結果的に改善されたコーティング品質をもたらし、したがって、コーティング層をより薄く形成することができ、望ましいバリア特性、並びに接着特性及び密着特性を達成することができる。
【0127】
DLCバリアコーティングでコーティングされた二軸延伸PETフィルムのクラック開始歪み(crack-onset strain;COS)は、2%より高くすることができ、これは通常、フィルムに2%を超える歪みが生じるまでは劣化し始めることがないという、コーティングの酸素バリア特性に関している。
【0128】
DLCコーティングは、自然界及び我々の周囲環境には天然に存在することがない元素又は材料を含む再生含有物中の残留物無しに、容易に再生できるという利点をさらに有する
【0129】
上述した接着性ポリマの使用は、通常は本発明のDLCバリアコーティングに対する接合のためには必要とされるべきではない。隣接する層としてのポリオレフィン層に対する十分かつ適当な接着性は、少なくとも200N/mのレベル、例えば少なくとも300N/mのレベル等であると結論付けられた。接着力測定は、LDPEラミネーションの24時間後に、180度剥離力試験機(Telemetric Instrument AB)によって室温で行われる。剥離は、DLC/LDPE界面において行われ、剥離アーム(peel-arm)はバリアフィルムである。必要に応じて、湿潤条件下の、すなわちラミネートされた包装材料が、ラミネートされた材料から作られた包装容器中に貯蔵された液体からの及び/又は湿潤した又は高湿度の環境における貯蔵による、材料層を通じた湿気の移動によって飽和したときの条件下にある接着性を評価するために、蒸留水の水滴が剥離中に剥離された界面に添加される。所与の接着力の値は、N/mで与えられ、6回の測定の平均である。
【0130】
200N/mを超える乾式接着は、層が通常のパッケージ製造条件下、例えばラミネートされた材料を曲げて、折り曲げ成形する時等には、剥離しないことを確実にする。これと同じレベルの湿式接着は、充填及びパッケージ形成の後、輸送、流通、及び貯蔵中に、ラミネートされた包装の層が剥がれないことを確実とする。内部接合ポリマ層は、一般的な技術及び機械、例えば、アルミニウム箔のラミネーションのために、特に溶融ポリマからDLCバリアコーティング上へのポリマ層の高温ラミネーション(押出)を使用することによって、その上にDLCバリア層がコーティングされたポリマフィルム基材上に直接コーティングすることができる。また、予め作製されたポリマフィルムを使用し、このポリマフィルムをバリアコーティングされた担持体フィルムに局所的溶融によって、例えば高温のシリンダ又は過熱されたローラで熱を適用することによって、直接、結合させることが可能である。上述から、DLCバリアフィルムを、ラミネーション及びラミネートされた包装材料への変換方法におけるアルミニウム箔バリアと同様の方法で、すなわち押出ラミネーション及び押出コーティングによって、取り扱うことができることは明らかである。ラミネーション装置及びラミネーション方法は、例えば、他のプラズマコーティングされた材料によって必要とされる場合があるような、特定の接着性ポリマ又はバインダー/結合層を追加することによって、いずれかの修正を必要とされることがない。さらに、その上にコーティングされたDLCバリア層を含む新規なバリアフィルムは、最終的な食品パッケージにおけるバリア特性に悪影響を及ぼすことなく、アルミニウム箔と同じくらい薄く作成することができる。
【0131】
本発明のラミネートされた包装材料を製造する際、スペーサ層の2つの側に同等でない伸長剛性特性を有するラミネートされた層構造を有する非対称なラミネート構造においては、湿気によって引き起こされたカーリングと称される問題が生じる、すなわち平坦な材料が、平坦な表面上に位置するときに平坦なままでなく、端部が持ち上げられ包装材料の平坦な部分の平面の上に互いに向かって曲がように巻き上がる。包装容器における平坦なラミネートされた側部パネルによるさらなる利点は、把持剛性(grip stiffness)が改善されることである。これは、真直ぐなパネルが当初の「不完全性」、すなわち撓みから解放されることによる。必然的に、平坦な包装材料を充填機を通じて流すときに、カーリングしたゆがんだ包装材料よりも問題は少ない。
【0132】
カーリングは、スペーサ層の両側の紙の対面層を、同等の伸長剛性を有するようにマッチングさせることによって主に防止される。そうすることによって、驚くべきことにx-y方向におけるラミネートの圧縮強度もまた増加することが分かった。これは、例えば折り曲げられラミネートされた包装材料からの折り曲げられた包装容器を、流通及び貯蔵中に、今日の市場に出ている液状食品のパッケージより大きな荷重で互いに積み重ねることができることを意味する。
【0133】
これによって、そのような対照的に寸法を決められた、ラミネートされた包装材料から作られたパッケージは、改善されたパッケージの完全性を得ることができ、ラミネートされた材料は、単なる取り扱い及び搬送によっては、損傷し難く、バリア層に割れを生じ難い。
【0134】
サンドイッチ材料の機械的特性がこのように調和されると、パックされた食品をゆっくりと移動する酸素及び他の気体、並びに蒸気から保護しているバリア層を含む様々なラミネートされた層もまた、損傷及び剥離に対してより耐性を有し、結果として、充填され、シールされたパッケージの完全性もまたこの観点から改善される。
【0135】
したがって、パッケージの完全性を改善するさらなる態様は、様々な層間の接着性を改善することである。特に良好な当初の接着性が、疎水性官能基、例えばヒドロキシル基及びカルボキシル基等を有する分散コーティングされた、又は溶液コーティングされたバリアコーティングと、隣接する層、例えばポリオレフィン及びポリエチレン等と、の間に得られる。また、気相蒸着された、金属化されたコーティング及びDLC-PECVDコーティングは、これらコーティングとそれらのラミネートされた包装材料中の隣接する層との間に追加のプライマー又は接着剤を使用する必要がないように、隣接する有機ポリマ層及びフィルムに対する非常に良好な接着特性を提供することが証明された。
【0136】
それでもなお、少なくとも金属化されたバリアコーティング層に関して、結合ポリマ又は接着性ポリマの隣接する層へのラミネーションによって、さらに強化された接着力がまた、驚くべきことにラミネートされた材料の酸素バリア特性をさらにもっと、想像し得るより高度まで改善することが示された。
【0137】
追加的な酸素バリア特性を、移動する自由脂肪酸、例えばバルク層にラミネートされる、第1の前以てラミネートされた材料中のポリアミド等に対するバリアとして作用するポリマの層をさらに含むことによって提供することができる。特に、ポリアミドの主な部分を備える層が金属バリア層の内側に追加される際に、この層が、パックされた食品からの自由脂肪酸が食品から金属バリアへ移動するのを防ぎ、したがって、バリア層のバリア特性を維持することができ、かつ内側のポリマ層の金属バリアへの接着力を長期の品質保持期限に対して維持することができる。
【0138】
ポリアミドのバリア層は、50重量%以上のポリアミド及び残部のエチレンビニルアルコール(EVOH)又はポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリアミドと親和性を有するとともに自由脂肪酸の移動に対するバリア特性を提供する同様のポリマを備えることができ、充填される食品の要求及び使用される材料のコストとのバランスによって、3~12g/m2、例えば3~8g/m2、例えば3~6g/m2等の量で適用することができる。
【0139】
さらなる実施形態によれば、ポリアミドバリア層は芳香族又は半芳香族のポリアミドポリマを備える。そのようなポリアミドは、移動する自由脂肪酸に対するより良いバリア特性を提供することができ、勿論そのような組み合わせはフルーツジュース及びその種の物の包装に対して特に好都合である。しかし、コスト効率的なラミネートされた包装材料及びそのような共押出コーティングされたラミネート構造の容易な製造の目的に好適な最も一般的なポリアミドは、PA-6である。
【0140】
代替的に、バリアコーティングのための基材は、バルク層及びスペーサ層より比較的高い密度及びヤング率を有する比較的薄い紙とすることができる。そのようなバリア基材の紙は、サンドイッチラミネートされた包装材料の紙の対面層と同じ紙、又は紙の対面層に使用されるのとは異なる特質のさらなるそのような紙とすることができる。
【0141】
特に良好に機能するそのようなバリアコーティング基材の紙は、耐油紙又は、滑らかにされ、引き続くバリアコーティング、特に気相蒸着バリアコーティングのために予めコーティングされた表面を有する高密度紙とすることができる。勿論、そのような紙の対面層は、その結果最終的な包装ラミネートの酸素バリアにさらに貢献する。
【0142】
またさらなる実施形態によれば、生物由来のできる限り再生可能な材料に基づくパッケージを得ることができる。
【0143】
例えば、セルロースベースのスペーサ層及びバルク層、バリア特性を有し、非常に薄い、ナノオーダーの薄いバリアコーティングをさらに備える紙の対面層を有する、包装材料を製造することができる。さらに、熱可塑性のポリマを野菜又は有機材料、例えばいわゆるグリーンポリエチレンから製造することができる。
【0144】
また、最終的なラミネートされた包装材料へのラミネーション作業において使用される接着剤又は接着性ポリマは、完全に生物起源であって非常に少量でのみ使用されるものでもよく、これは再生可能の相対的比率及びセルロース繊維の含有量をよりさらに増加させる。
【0145】
本発明の第2の態様によれば、本発明の方法によって生産されるような、ラミネートされた包装材料が得られる。
【0146】
第3の態様によれば、本発明の方法によって製造されるラミネートされた包装材料からの包装容器が提供される。
【0147】
得られたラミネートされた包装材料のさらなる実施形態によれば、ラミネートされた材料の最も外側の熱シール層は、1つ又は2つの前以て製造されたフィルムとして提供される。したがって、そのようなフィルムは、バルク層の第1の側にラミネートされる第1の前以てラミネートされた材料のバリア層に前以てラミネートされてもよく、及び/又はバルク層の第2の側にラミネートされる印刷され装飾された外側表面層に前以てラミネートされてもよい。フィルムが、バリア層又は印刷され、装飾された層に前以てラミネートされるとき、それは、特に前以てコーティングされるか又は、EAA若しくはEMAAのような接着性のポリマの統合された層がラミネーション表面のうちの1つ上に存在する場合には、フィルムの他の層への単なる熱‐圧力ラミネーションによって行うことができる。代替的に、それは、中間にある溶融押出ポリマの高い消費の故にたぶんより高価である溶融押出ラミネーションの手段によって行うことができるか、又は乾燥ステップを必要とせずに、ラミネートされる少なくとも紙又はセルロースベースの表面上に浸透することができる少量の水性接着剤によって前以てコーティングすることによって行うことができる。
【0148】
ラミネートされた包装材料のコストを低下させる一般的な探求内で、できるだけ少ない追加の層が必要とされるように、様々な層の特性を組み合わせることが強く望まれている。
【0149】
今日の包装ラミネートの従来の液体の包装用板紙が、大幅なコストの節約を可能にするより弱いバルク層によって置き換えられるとき、いくらかの追加的なコストを代わりにラミネートされた包装材料を印刷し装飾するための様々な注文仕立ての装飾基材に使用することができる。本発明のバルク層はもはや印刷用表面、すなわち印刷される表面を構成しないので、高価なクレイコートをバルク層から除外することができ、滑らか、かつ白色の印刷表面をバルク層の外側にラミネートされる、外側の紙に面する印刷基材上に他の手段によって得ることができる。そのような印刷基材は、例えば有色の、若しくは金属化されたフィルム、又は白色の印刷可能な紙の対面層とすることができる。代替的に、白色の印刷の背景面を提供するための白色の紙を透明なフィルムに予めラミネートすることができ、このフィルムはラミネートされる前にその裏側に印刷され(すなわち裏刷りフィルム)、それによって、印刷された装飾は、白色の紙表面に向かって方向づけられ、透明なフィルム基材によって保護される。したがって、外側の白色の紙の対面層への印刷及びラミネーション並びに場合によっては最も外側の熱シール可能な層に対するさらなるラミネーションは、第2の側のための予めラミネートされた第2の材料を提供するために、前のラミネーション作業において行うことができる。
【0150】
少ないバリア特性及び白さをさらに提供するために、そのようなフィルム又は紙は、白色のフィラー材料を備えることができ、又は紙の場合には、クレイコート、また若しくはその代わりに、金属化された層を備えることができる。特に、生産及び物流における複雑さを最小化するために、同じ外側の印刷基材、フィルム、又は薄い紙を、例えば一方の金属化された側及び他方の白色の又は有色の側を有することによって複数の最終製品のために使用することができる場合がある。いくつかの製品及び包装容器の外観に対しては、金属化された印刷表面が好ましく、別のケースでは有色の印刷表面又は茶色の天然セルロースのプリント表面が好ましい。印刷表面層をバルク層から分離させることによって、考えられる外側の外観における多様性が可能となり、このことは、この発明の3部分のモジュラーラミネーションモデルのさらなる利点である。さらに、最終的なラミネートされた材料の全バリア性能を強化するために、酸素バリア層を、前以てラミネートされた第2の材料中に含ませることができる。
【0151】
以下に、本発明の好ましい実施形態が図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【
図1a】本願の一実施形態による、3つのモジュラーラミネートタイプのラミネートされた包装材料の断面図を示す図である。
【
図1b】3つのモジュラーラミネートタイプのラミネートされた包装材料のさらなる実施形態の断面図を示す図である。
【
図1c】3つのモジュラーラミネートタイプのラミネートされた包装材料のまたさらなる実施形態の断面図を示す図である。
【
図1d】3つのモジュラーラミネートタイプのラミネートされた包装材料の別の一のさらなる実施形態の断面図を示す図である。
【
図2a】本発明によるバルク材料へ外側(又は内側)材料モジュールをラミネートするための方法の一例を示す図である。
【
図2b】本発明によるバルク材料へ内側(又は外側)材料モジュールをラミネートするための異なる方法の一例を示す図である。
【
図3a】本発明によるラミネートされた包装材料から製造された包装容器の典型例を示す図である。
【
図3b】本発明によるラミネートされた包装材料から製造された包装容器の典型例を示す図である。
【
図3c】本発明によるラミネートされた包装材料から製造された包装容器の典型例を示す図である。
【
図3d】本発明によるラミネートされた包装材料から製造された包装容器の典型例を示す図である。
【
図4】如何にして包装容器を、包装ラミネートから、連続的、ロール供給、成形、充填、及びシールプロセスから製造することができるのかの原理を示す図である。
【
図5】対称的及び非対称的ラミネートされた層構造の異なる例によってカーリング問題がどのように変化するかを示す図である。
【
図6】圧縮強度が、異なるラミネートされた材料層の構造によってどのように変化するかを示す図であり、スペーサ層の両側に配置された対称な紙対面層がある時に、その最適な値にある。
【
図7】曲げ剛性が、ラミネートされた包装材料内のいくつかの例示のサンドイッチ構造によってどのように変化することができるかを示す図である。
【
図8】低い密度の発泡セルロースからなるスペーサ層を有するバルク層をラミネートしたのちの、結果的に得られる渥美の減少を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0153】
図1には、本発明のラミネートされた包装材料10aの第1の実施形態が断面図で示されている。それは基本的には、実質的にラミネートされたその機械的強度特性を有する材料を提供するとともに寸法安定性を有する最終的な包装容器を提供する、サンドイッチ構造に貢献する材料層からなる3つの当初のモジュールから構成されたラミネートである。モジュール1Aは、例えば発泡形成された繊維セルロース層若しくはフルーティング材の層等の低密度セルロース材料からなる、又は高密度の紙若しくはセルロースベースの製品と発泡セルロース若しくはフルーティング材とのいずれかの組み合わせを有するスペーサ層11aから成るバルク材料の中心層である。この特定の実施形態において、150g/m
2の発泡セルロース層がスペーサ層として使用されている。
【0154】
外側材料モジュール1Bは、薄く、かつ印刷表面を有する高密度紙12aからなる印刷基材層を備える。紙12aはまた、スペーサ層11aに接するサンドイッチ構造の外側に対面層を構成する。最終的なラミネートされた材料において、基材12aは、様々な色、画像、及び文章からの印刷パターンで印刷され、かつ装飾される。外側材料モジュール1Bもまた、プラスティック、好ましくは熱シール可能な熱可塑性の例えばポリエチレンのようなポリオレフィン等から成る最も外側の液密で透明な層16aを備える。印刷基材及び紙の対面層12aは、スペーサ層へのラミネーションの前又は後に印刷され得、最も外側のプラスティック層16aは、スペーサ層11aへのラミネーションの前又は後に、別の作業において印刷基材層上に適用される。プラスティック層16aによる装飾印刷コーティングが、中央モジュールのスペーサ層へのラミネーションの前に行われる場合には、外側材料モジュール全体は1つのモジュールとして、すなわち前以て作成された外側として準備され、次いで中央スペーサ層の外側上において中央モジュールへ又はラミネートの残りへラミネートされる。ラミネーション作業は溶融押出ラミネーション作業とすることができ、中間の熱可塑性接合層14aをスペーサ層と、基材及び紙の対面層12aと、の間に適用する。しかし、この特定の実施形態では、印刷基材の紙の対面層12aの中央モジュールのスペーサ層11aへのラミネーションは、低量の接着剤14aの水溶液を単純に適用することによって行われ、接着剤はそれぞれのセルロース層中に部分的に吸収され、2つの紙‐セルロース層を共に接着し、この接着剤は、でんぷん又はナノ‐/マイクロファイバセルロース又はポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート又は同様の天然物質であり、セルロース分子を結合することができる。
【0155】
スペーサ層11aの他方の側である内側の内側材料モジュール1Cは、それに適用されたバリアコーティング18aを有する、同様の薄い高密度紙の対面層13aを備え、紙の対面層はしたがって、スペーサ層11a及び外側モジュールの紙の対面層12aを有するサンドイッチ構造に接する。内側材料モジュールもまた、最も内側の熱シール可能な熱可塑性層17aを備え、この熱可塑性層17aはまた、最終的な包装容器に充填された食品に直接接触することになる包装ラミネートの層である。最も内側の熱シール可能なポリマ層17aは、適用されたバリアコーティング18aを有する紙の対面層13aの内側上に溶融押出コーティング又は多層ポリマ構造の溶融共押出コーティングによって適用することができる。バリアコーティングは、この実施形態では、前述のコーティング及び乾燥作業において水性の分散コーティングによって紙の表面層上に適用されたバリアポリマによってコーティングされる。バリアポリマは、代替的には押出コーティングによって薄い紙の基材及び対面層上に適用することができる。バリアコーティングされた紙の対面層は、代替的にはラミネート中で、バリアコーティング18aが包装ラミネート内で外側に面するように、中央モジュール及びスペーサ層11aに向かって方向づけられているが、この特定の実施形態では、最も内側のシール層に向かって内側に方向づけられている。代替的な実施形態では、紙の対面層13aは、コーティングを剥がすことができ、依然としていくらかのバリア特性を提供し、したがっていずれのさらなるコーティング無しにバリア層であるように、ポリマ層間にラミネートされたときに、それ自体でいくらかのバリア特性を提供する。例えば所定の耐油紙のような、密な表面(compact surface)を有するそのような高密度の紙の例がある。固有のバリア特性に加えて、耐油紙は、さらにバリア特性を強化するために金属化コーティングによってコーティングされてもよい。特に、金属化された層はラミネートに対していくらかの少ないバリア特性を付加するという利点を有する。この例における紙の対面層13aは、40g/m2の表面重量を有する。バリアコーティングされた紙13a~18aは、少量の水性接着剤15aによってスペーサ層11aにラミネートされ、この水性接着剤は、表面を共にプレスローラニップにおいてプレスされる際に互いに対して接着される表面のうちの少なくとも1つの中に部分的に吸収される。
【0156】
外側モジュール中の紙の対面層12aもまたそのような耐油紙とすることができ、その上に印刷表面を、例えば薄いクレイコート層又は同様の白色コーティング層によって配置されるが、この例では70g/m2の白色の印刷可能な表面を有する高密度のクラフト紙である。
【0157】
最も内側の層17aの(共)押出コーティングは、内側材料モジュール1Cの中央モジュール及びスペーサ層11aへのラミネーションの前又は後に行うことができる。最も内側の熱シール可能な層又は多層17aは、代替的には前以て製造されたフィルムの形態で適用することができ、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムであることによって、押出コーティング作業で得られるものより高い程度までのいくらかのさらなる安定性及び耐久性を追加する。ここでもまた、内側材料モジュール1Cは、中央モジュール及びスペーサ層11cにラミネートする前に、内側の別のモジュールとして前以てラミネートすることができる。しかし、この特定の実施形態では、バリアコーティングされた紙の対面層13a~18aは、スペーサ層11aに、又はラミネートされた材料の残り、すなわち外側モジュール1Bにラミネートされたモジュール1Aに最初にラミネートされ、続いて、バリアコーティングされた紙層の内側に、メタロセン触媒された鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)であるポリオレフィンである、熱シール可能なポリマから成る層又は多層17aと共に溶融押出コーティングされる。
【0158】
結果的に得られるラミネートは、Tetra Brik Aseptic(登録商標)1000mlの群に属するパッケージに通常求められるものである、340mNを十分に上回る曲げ剛性を有する。
【0159】
図1bには、ラミネートされた包装材料10bの第2の実施形態の同様の断面図が示されている。それもまた、基本的には、ラミネートされたその機械的強度特性を有する材料を実質的に提供するとともに寸法安定性を有する最終的な包装容器を提供する、サンドイッチ構造に貢献する材料層からなる3つの当初のモジュールから構成されたラミネートである。モジュール2Aは、セルロース材料から成るスペーサ層11bを備えるバルク材料から成る中央層であるが、また薄い、高密度の紙から成るとともに、スペーサ層11bと接する中央バルク層に統合された、紙の対面層12b及び13bを有する。紙の対面層12b、13bは、スペーサ層11bにスペーサ層の材料の供給装置によって、又はこの目的のためを意図された場所で、前以てラミネートすることができる。紙の対面層のスペーサ層へのラミネーションは、少量の接着剤の水溶液を、ともにラミネートされる表面のうちの1つ上に適用することによって行われ、水性の接着剤の組成は、2つの紙‐セルロース層を共に効率的に接着する間に、それぞれのセルロース層中に部分的に吸収される。接着剤は好適にはでんぷん又はナノ‐/マイクロファイバセルロース又はポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート又は同様の天然物質であり、セルロース分子を結合することができる。
【0160】
外側材料モジュール2Bは、印刷表面を有する白色の前以て製造されたポリマフィルム19bからなる印刷基材層を備える。代替的に、印刷基材フィルムは、白色でない背景の外観を有する印刷のためを意図された、異なる色又は金属化された表面を有することができる。最終的なラミネートされた材料では、基材19bは、様々な色、画像、及び文章から成る印刷パターンで印刷されるとともに装飾される。外側材料モジュール1Bもまた、プラスティック、好ましくは熱シール可能な熱可塑性の、例えばポリエチレンのようなポリオレフィン等から成る最も外側の液密かつ透明な層16bを備える。印刷基材19bは、中央モジュール2へのラミネーションの前、又は後に印刷することができ、最も外側のプラスティック層16bは、中央モジュール2A又はラミネートの残り、すなわちモジュール2Cを有するモジュール2Aへのラミネーションの前又は後に、別の作業において、印刷された基材フィルム上に適用することができる。プラスティックの外層16bを有する、装飾印刷されたフィルム19bのコーティングが、中央モジュール2Aへのラミネーションの前に行われる場合には、外側材料モジュール全体が1つのモジュールとして、すなわち前以て作成された外側として準備される。ラミネーション作業は溶融押出ラミネーション作業であり、これにより熱可塑性中間接合層14bをバルク材料層及び中央モジュール2Aと、印刷基材フィルム19bとの間に適用する。ラミネーション作業は、代替的には少量の接着剤の水溶液を適用することによって行われ、接着剤は、紙の対面層12b、すなわち中央モジュール2Aの外側中に部分的に吸収され、効率的に対面層を印刷基材ポリマフィルム19bに接着する。
【0161】
中央モジュール2Aの他方の側、内側の内側材料モジュール2Cは、バリアコーティングを一方の側に適用されたポリマ基材フィルムであるバリアフィルム18bを備える。また、内側材料モジュールは、これもまた最終的な包装容器中に充填された食品と直接接触することになる包装ラミネートの層である最も内側の熱シール可能な熱可塑性層17bを有する。最も内側の熱シール可能なポリマ層17bは、多層のポリマ構造をバリアフィルム18bの内側上に、溶融押出コーティング又は溶融共押出コーティングによって適用することができる。バリアコーティングは、この実施形態では、前述の気相蒸着作業において、基層蒸着コーティングによってポリマフィルム基材の上に適用された気相蒸着バリアコーティングを設けられる。バリアコーティングは、この実施形態では、物理的気相蒸着によって適用された金属化コーティングであるが、この図には示されていない。バリアコーティングされたフィルムは代替的に、バリアコーティングが、中央モジュール及び紙の対面層13bに向かって、包装ラミネート中で外側に面するように、ラミネート中で中央モジュール及び紙の対面層13bに向かって方向づけることができるが、この特定の実施形態では、最も内側のシール層に向かって内側に方向付けられている。最も内側の層17bの(共)押出コーティングは、内側材料モジュール2Cの中央モジュール2Aへのラミネーションの前又は後に行うことができる。バリアコーティングされたフィルム18bは、少量の水性接着剤成分15bによってスペーサ層11bにラミネートされ、この接着剤成分は、強制的な乾燥無しに、プレスローラニップにおいて表面を共にプレスする際に、互いに対して接着される表面のうちの少なくとも一方の中に部分的に吸収される。
【0162】
最も内側の熱シール可能な層又は多層17bは、代替的に前以て製造されたフィルムの形態で適用することができ、押出コーティング作業で得られるものより高い程度までの延伸フィルムであることによって、いくらかのさらなる安定性及び耐久性を追加する。ここでもまた、内側材料モジュール2Cは、中央モジュール2Aへのラミネーションの前に、内側の別のモジュールとして前以てラミネートすることができる。しかし、この特定の実施形態では、バリアコーティングされたフィルム18bは、バルク材料に、又はラミネートされた材料の残り、すなわち外側モジュール2Bにラミネートされたモジュール2Aに最初にラミネートされ、続いて、バリアコーティングされたフィルムの内側に、メタロセン触媒された鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)の混合物を備える低密度成分であるポリオレフィンである、熱シール可能なポリマから成る層又は多層17bと共に溶融押出コーティングされる。
【0163】
図1cは、ラミネートされた包装材料10cの第3の実施形態の断面図を示す。それもまた基本的には、ラミネートされたその機械的強度特性を有する材料を実質的に提供するとともに寸法安定性を有する最終的な包装容器を提供する、サンドイッチ構造に貢献する材料層からなる3つの当初のモジュールから構成されたラミネートである。モジュール3Aは、低密度セルロース材料から成るスペーサ層11cを備えるバルク材料から成る中央層であるが、薄い、高密度の紙から成るとともに、スペーサ層11cと接するために、内側で中央バルク層に統合された、1つの紙の対面層13cをも有する。紙の対面層13cは、スペーサ層11cにスペーサ層の材料の供給装置によって、又はこの目的のためを意図された場所で、前以てラミネートすることができる。紙の対面層のスペーサ層へのラミネーションは、少量の接着剤の水溶液を、ともにラミネートされる表面のうちの1つ上に適用することによって行われ、水性の接着剤の組成は、2つの紙‐セルロース層を共に効率的に接着する間に、それぞれのセルロース層中に部分的に吸収される。接着剤は好適にはでんぷん又はナノ‐/マイクロファイバセルロース又はポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート又は同様の天然物質であり、セルロース分子を結合することができる。
【0164】
外側材料モジュール3Bは、薄く、かつ印刷表面を有する高密度紙12cからなる印刷基材層を備える。紙12cはまた、スペーサ層11cに接するサンドイッチ構造の外側に対面層を構成する。最終的なラミネートされた材料において、基材12cは、様々な色、画像、及び文章からの印刷パターンで印刷され、かつ装飾される。
外側材料モジュール3Bもまた、プラスティック、好ましくは熱シール可能な熱可塑性の、例えばポリエチレンのようなポリオレフィン等から成る最も外側の液密かつ透明な層16cを備える。印刷基材及び紙の対面層12cは、スペーサ層へのラミネーションの前又は後に印刷することができ、最も外側のプラスティック層16cは、スペーサ層11cへのラミネーションの前又は後に、別の作業において印刷基材層上に適用される。プラスティック層16cによる装飾印刷コーティングが、中央モジュールのスペーサ層へのラミネーションの前に行われる場合には、外側材料モジュール全体が1つのモジュールとして、すなわち前以て作成された外側として準備され、次いで中央スペーサ層の外側上において中央モジュールへ又はラミネートの残りへラミネートされる。ラミネーション作業は溶融押出ラミネーション作業とすることができ、これにより熱可塑性中間接合層14cをスペーサ層と、基材及び紙の対面層12cと、の間に適用する。しかし、この特定の実施形態では、印刷基材の紙の対面層12cの中央モジュールのスペーサ層11cへのラミネーションは、低量の接着剤14aの水溶液を適用することによって行われ、接着剤はそれぞれのセルロース層中に部分的に吸収され、2つの紙‐セルロース層を共に接着し、この接着剤は、でんぷん又はナノ‐/マイクロファイバセルロース又はポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート又は同様の天然の生分解性の物質であり、セルロース分子を結合することができる。
【0165】
中央モジュール3Aの他方の側である内側の内側材料モジュール3Cは、1つの側に適用されたバリアコーティング18c2を有するポリマ基材フィルム18c1であるバリアフィルム18cを備える。内側材料モジュールもまた、最も内側の熱シール可能な熱可塑性層17cを備え、この熱可塑性層17cもまた、最終的な包装容器に充填された食品に直接接触することになる包装ラミネートの層である。最も内側の熱シール可能なポリマ層17cは、バリアフィルム18cの内側上に多層ポリマ構造の溶融押出コーティング又は溶融共押出コーティングによってバリアフィルム上に適用することができる。バリアコーティングは、この実施形態では、前述の気相蒸着作業における気相蒸着コーティングによってポリマフィルム基材の上に適用された気相蒸着バリアコーティング18c2を設けられる。バリアコーティングは、この実施形態では、プラズマ増強化学的気相蒸着(PECVD)によって適用されたダイアモンドライクカーボン(DLC)であり、それはとりわけ酸素及び水蒸気バリア特性を有するバリアフィルムを提供する。代替的に、基層蒸着コーティングは、物理的気相蒸着の手段によって適用された金属化コーティングとすることができる。この特定の実施形態では、バリアフィルムのバリアコーティングされた側は、最も内側のシール層に向かって、内側に方向づけられている。最も内側の層17cの(共)押出コーティングは、内側材料モジュール3Cの中央モジュール3Aへのラミネーションの前又は後に行うことができる。最も内側の熱シール可能な層又は多層17cは、代替的には前以て製造されたフィルムの形態で適用することができ、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムであることによって、押出コーティング作業で得られるものより高い程度へのいくらかのさらなる安定性及び耐久性を追加する。ここでもまた、内側材料モジュール3Cは、中央モジュール3Aにラミネートする前に、内側の別のモジュールとして前以てラミネートすることができる。しかし、この特定の実施形態では、バリアコーティングされたフィルム18cは、バルク材料に、又はラミネートされた材料の残り、すなわち外側モジュール3Bにラミネートされたモジュール3Aに最初にラミネートされ、続いて、バリアコーティングされたフィルムの内側に、メタロセン触媒された鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)の混合物を備える低密度組成であるポリオレフィンである、熱シール可能なポリマから成る層又は多層17cとともに、溶融押出コーティングされる。バリアコーティングされたフィルム18cは、ポリエチレン15cから成る中間の熱可塑性接合ポリマとともに溶融押出ラミネートによって、スペーサ層11cにラミネートされる。
【0166】
図1dは、ラミネートされた包装材料10dの第4の実施形態の断面図を示す。それもまた基本的には、ラミネートされたその機械的強度特性を有する材料を実質的に提供するとともに寸法安定性を有する最終的な包装容器を提供するサンドイッチ構造に貢献する材料層からなる3つの当初のモジュールから構成されたラミネートである。モジュール4Aは、低密度セルロース材料から成るスペーサ層11dを備えるバルク材料から成る中央層であるが、薄い、高密度の紙から成るとともに、スペーサ層11dと接するために、内側で中央バルク層中に統合された、1つの紙の対面層13dをも有する。紙の対面層13dは、スペーサ層11dにスペーサ層の材料の供給装置によって、又はこの目的のためを意図された場所で、前以てラミネートすることができる。
【0167】
外側材料モジュール4Bは、薄く、かつ印刷表面を有する高密度紙12dからなる印刷基材層を備える。紙12dはまた、スペーサ層11dに接するサンドイッチ構造の外側に対面層を構成する。最終的なラミネートされた材料において、基材12dは、様々な色、画像、及び文章からの印刷パターンで印刷され、かつ装飾される。外側材料モジュール4Bもまた、プラスティック、好ましくは熱シール可能な熱可塑性の、例えばポリエチレンのようなポリオレフィン等から成る最も外側の液密かつ透明な層16dを備える。
印刷基材及び紙の対面層12dは、中央スペーサ層へのラミネーションの前又は後に印刷することができ、最も外側のプラスティック層16dは、スペーサ層11dへのラミネーションの前又は後に、別の作業において印刷基材層上に適用される。プラスティック層16dによる装飾印刷コーティングが、中央モジュールのスペーサ層へのラミネーションの前に行われる場合には、外側材料モジュール全体が1つのモジュールとして、すなわち前以て作成された外側としてこのように準備され、次いで中央スペーサ層の外側上において中央モジュールへ又はラミネートの残りへラミネートされる。ラミネーション作業は溶融押出ラミネーション作業とすることができ、したがって熱可塑性中間接合層14dをスペーサ層と、基材及び紙の対面層12dと、の間に適用する。しかし、この特定の実施形態では、印刷基材の紙の対面層12dの中央モジュールのスペーサ層11dへのラミネーションは、低量の接着剤の水溶液を適用することによって行われ、接着剤はそれぞれのセルロース層中に部分的に吸収され、2つの紙‐セルロース層を共に接着し、この接着剤は、でんぷん又はナノ‐/マイクロファイバセルロース又はポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート又は同様の天然の生分解性の物質であり、セルロース分子を結合することができる。
【0168】
中央モジュール4Aの他方の側である内側の内側材料モジュール4Cは、1つの側に適用されたバリアコーティング18d2を有するポリマ基材フィルム18d1であるバリアフィルム18dを備える。内側材料モジュールもまた、最も内側の熱シール可能な熱可塑性層17dを備え、この熱可塑性層17dもまた、最終的な包装容器に充填された食品に直接接触することになる包装ラミネートの層である。最も内側の熱シール可能なポリマ層17dは、バリアフィルム18dの内側上に多層ポリマ構造の溶融押出コーティング又は溶融共押出コーティングによってバリアフィルム上に適用することができる。バリアコーティングは、この実施形態では、前述の気相蒸着作業における気相蒸着コーティングによってポリマフィルム基材の上に適用された気相蒸着バリアコーティング18d2を設けられる。バリアコーティングは、この実施形態では、プラズマ増強化学的気相蒸着(PECVD)によって適用されたダイアモンドライクカーボン(DLC)であり、それはとりわけ酸素及び水蒸気バリア特性を有するバリアフィルムを提供する。代替的に、基層蒸着コーティングは、物理的気相蒸着の手段によって適用された金属化コーティングとすることができる。この実施形態よれば、バリアをコーティングされたフィルムは、バリアコーティングが中央モジュール及び紙の対面層13d向かって、包装ラミネートの外側に面しているようにラミネート中で方向づけられている。最も内側の層17dの(共)押出コーティングは、内側材料モジュール4Cの中央モジュール4Aへのラミネーションの前又は後に行うことができる。最も内側の熱シール可能な層又は多層17dは、代替的には前以て製造されたフィルムの形態で適用することができ、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムであることによって、押出コーティング作業で得られるものより高い程度へのいくらかのさらなる安定性及び耐久性を追加する。ここでもまた、内側材料モジュール4Cは、中央モジュール4Aにラミネートする前に、内側の別のモジュールとして前以てラミネートすることができる。しかし、この特定の実施形態では、バリアコーティングされたフィルム18dは、バルク材料に、又はラミネートされた材料の残り、すなわち外側モジュール4Bにラミネートされたモジュール4Aに最初にラミネートされ、続いて、バリアコーティングされたフィルムの内側に、メタロセン触媒された鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)の混合物を備える低密度組成であるポリオレフィンである、熱シール可能なポリマから成る層又は多層17dとともに、溶融押出コーティングされる。
【0169】
バリアコーティングされたフィルム18dは、少量の水性接着剤成分15dによってスペーサ層11dにラミネートされ、接着剤成分は、強制的な乾燥無しに、プレスローラニップにおいて表面を共にプレスする際に、互いに対して接着される表面のうちの少なくとも1つの中に部分的に吸収される。
【0170】
ラミネートされた包装材料において、外側材料モジュールの薄い、高密度の紙の対面層はこのように、20~100g/m2、例えば30~80g/m2、例えば30~60g/m2等の坪量と、600~1500kg/m3の密度を有する紙とすることができる。特に、紙の対面層は、単独の、又はさらなるバリアコーティング、例えば金属化コーティング等によってコーティングされた耐油紙とすることができる。いくつかの耐油紙は、プラスティック層、例えばポリエチレンラミネート層間にラミネートされるときに、2cc/m2/日/23℃における気圧、及び50%RHより低いガスバリアを提供する。
【0171】
図2aには、どのように、1つのモジュールを他のモジュールに、低温(環境)によって、すなわち熱乾燥又は硬化、水性接着剤の吸収ラミネーション無しに、非常に少量の水性接着剤溶液が互いに対してラミネートされる表面の一方上に適用され、次いで水性接着剤が2つの表面の一方又は両方中に吸収されるようにラミネートすることができるのかを図的に示している。
図1a~1dにおけるラミネートされた包装材料を製造するための実施形態では、水性接着剤溶液は、接着剤適用作業21において、外側材料モジュール1B;2B;3B;4Bのラミネートされる表面、すなわち印刷基材層12a、19b、12c、12dの印刷されない表面に適用される。2つのニップローラ間のラミネーションニップにおいて、中央モジュール材料のウェブ1A、2A、3A、4Aは、ラミネーションニップを通じて2つのウェブが同時に送られる状態で、2つの表面を共に接着するために十分高い圧力、しかしサンドイッチ構造の低密度のスペーサ層が壊れるほど高くはない圧力で、外側モジュール材料1B、2B、3B、4Bのウェブにラミネートされる。2つのモジュール1A+1B、2A+2B、3A+3B、4A+4Bの中間プレラミネートの得られたウェブは、
図2bにおいて後述されるように第3のモジュール又はその一部へのラミネーションのためのさらなるラミネーションステーションへ送られるか、又は代替的に中間貯蔵又は異なる時間又は場所への輸送のために、最終ラミネーション及び仕上げステップが行われるリール上に巻かれる。冷間水性接着剤吸収ラミネーション法(cold aqueous adhesive absorption lamination method)をもまた、又は代替的に、内側材料モジュールの内側を中央モジュール材料にラミネートするときに適用することができる。
【0172】
図2bには、1つのモジュールを、2つのラミネートされる表面が互いに対して熱可塑性中間接合層によって接合されるように、別のモジュールに溶融押出ラミネーションによってどのようにラミネートすることができるのかが図的に示されている。この例によれば、
図2の例においてラミネートされた2つのモジュールのプレラミネートのウェブは、内側材料モジュール1C、2C、3C、4Cのウェブと同時にラミネーションニップに送られる。同時に、熱可塑性の接合ポリマ23、15a、15b、15c、15dの溶融したカーテンが、ラミネーションローラニップの中へ下方に押し出され、十分な接着力がセルロースベースの中央モジュール間に得られるように、すなわち、スペーサ層11a又は統合された対面層13b、13c、13d及びバリア層13a、18b、又は内側材料モジュールのバリアフィルム18c、18dの表面に、2つのウェブを共にプレスする間に冷却される。
【0173】
図3aは、本発明による包装ラミネート10a、10b、10c、10dから製造された包装容器30aの一実施形態を示す。包装容器は、ソース、スープ又はその種の物等、飲料に特に適する。典型的には、そのようなパッケージは、約100~1000mlの容積を有する。この包装容器は任意の構成とすることができるが、好ましくは、長手方向シール及び横方向のシール31a及び32aをそれぞれ有し、任意選択的に開放装置33を有するブリック形状の物である。別の一実施形態(図示せず)では、包装容器は、楔形のような形状とすることができる。そのような「楔形の形状」を得るために、パッケージの底部のみが、底部の横方向熱シールが三角形のコーナーフラップの下に隠されるように、折り曲げ成形され、三角形のコーナーフラップが折り曲げられてパッケージの底部に対してシールされる。頂部セクションの横方向シールは、折り曲げられていない状態のままとされる。このように、半分折り曲げられた包装容器は、食料品店の棚に置かれるか、又はテーブル等に置かれた際に、取扱いが容易で、寸法的に安定している。
【0174】
図3bは、本発明による代替的な包装ラミネートから製造される包装容器30bの代替的な好ましい例を示す。この代替的な包装ラミネートは、より薄いセルロースバルク層11を有することによってより薄くされており、したがって、直方体、平行六面体、又は楔形の包装容器を形成するに十分には寸法的に安定でなく、横方向シール32b後には折り曲げ成形されない。従って、この包装容器は、枕型のポーチ状容器のままとなり、この形態で流通及び販売される。
【0175】
図3cは、本発明の板紙のバルク層及び耐久性を有するバリアフィルムを備えるラミネートされた包装材料から作製された、予めカットされたシート又はブランクから折り曲げ成形された切妻頂部パッケージ30cを示す。平坦な頂部のパッケージもまた、材料の同様のブランクから形成することができる。
【0176】
図3dはボトル状のパッケージ30dを示し、このパッケージ30は、本発明のラミネートされた包装材料の予めカットされたブランクから形成されたスリーブ34と、スクリューコルク又はその種の開放装置との組み合わせで射出成型プラスティックによって形成された頂部35と、の組合せである。このタイプのパッケージは、例えば、Tetra Top(登録商標)及びTetra Evero(登録商標)の商標の下で販売されている。それら特定のパッケージは、閉位置で取り付けられた開放装置を有する成形された頂部35を、ラミネート包装材料からなる管状スリーブ34に取り付け、このように形成されたボトルトップカプセルを殺菌し、食品で充填し、最後にパッケージの底部を折り曲げ成形し、シールすることにより形成される。
【0177】
図4は、本出願の導入部に記載された原理、すなわち、包装材料のウェブが、このウェブの長手方向端縁42で互いに重なり合う接合部43に一体化されることによって、チューブ41状に形成される様子を示す。チューブは予定された液体食品で充填され(44)、チューブ中の充填された内容物の高さより下で互いから所定の距離における繰り返されるチューブの横方向のシール45によって、個々のパッケージに分割される。パッケージ46は、横方向のシールで切開することによって分離され、材料の用意された折り目線に沿って折り曲げ成形することによって、望ましい幾何学的構成を与えられる。
【0178】
図5は、パッケージを、その角部が平坦化されてパッケージが壊される、又はそれらの当初の直方体の形状からねじれる、いわゆる「座屈」無しに、貯蔵及び流通中にパレット上で互いの頂部に積み重ねることができるように、ラミネートされた材料から成る包装容器の十分な圧縮強度を得るための、スペーサ層の周りに対称性を有する重要性を示している。包装材料の圧縮試験においては、600μmの厚みの発泡セルロース層の両側の70g/m
2の薄い紙の対面層を使用することによって、包装材料の圧縮強度は、今日の既存の、高剛性板紙‐アルミニウム箔包装ラミネートに比較してさらに約10%改善され、一方でスペーサ層の内側にアルミニウム箔を含み、外側に薄い紙の対面層を含む非対称な構造は、大幅に低下したパッケージの圧縮強度を有することが示された。サンプルラミネートにおいては、70g/m
2の紙の対面層と6.3μmのアルミニウム箔との間に、異なる標準繊維タイプ「150ST」、及び異なる厚み(400、600、900μm)の発泡セルロースから成る異なるスペーサ層が使用された。使用された参照は、同じアルミニウム箔にラミネートされたバルク層としての既存の270mNの液体用板紙であるが、バルク層の外側にはラミネートされたポリマ層しか有していなかった。
【0179】
包装材料の圧縮強度は、Scan-P4683に従って測定された。
【0180】
図6は、ラミネートされた包装材料が、材料中の相対湿度が50%RHから90%RHまで増加するとき、例えば液体で充填されたパッケージの一部の環境における長期間の貯蔵の場合等に、カーリングを示すのを避けるためのスペーサ層の周りの対称性を有することの重要性を示す。したがって図は、湿度が増加したときのカーリングの増加又は減少を示す。紙又は板紙のバルク層に基づくラミネートされた包装材用における高い相対湿度でのカーリングは、その材料から作られた包装容器の寸法安定性の損失の問題、例えばラミネートされたカートン材料の折り曲げられた角部及び端縁の膨れ現象等に大きく貢献すると考えられる。非対称なラミネート構造の中には、一方の側に薄い紙の対面層を有し、比較的剛性であるが非常に薄いアルミニウム箔又はポリマフィルムを他方の側に有するサンドイッチ構造が存在しており、それは、ラミネートされた材料がカーリングするのをほとんど回避できないことがわかる。また、既存の板紙及びアルミニウム箔から成るバリア層を有する参照材料(サンプル4131)は、湿度環境の下で、ラミネートの幅方向における著しいカーリングを示す。他方で、本発明に従って、バルク層が薄い紙を両側に有するようにラミネートする場合には、湿度が増加するときのカーリングの増加に関する問題は消滅したも同然に解決され、機械方向においても大したことはない。低密度のスペーサ層の両側の主な対面層が、吸湿性であって、ラミネートされた包装材料における相対湿度RHの増加における湿度と同じ又は少なくとも同様の量を吸収する、セルロース層又は板紙層であることが最良であると考えられる。サンプル4180及び4182では、スペーサ層の両側に70g/m2の高密度の紙の対面層がある。
【0181】
したがって、増加する相対湿度RHに暴露されるときと同様に膨張する2つの対向する対面材料を有することは、ロバストな包装材料と、貯蔵及び輸送中の天候の変化に敏感でないパッケージを提供する。
【0182】
サンドイッチ状の包装材料の変形体は、少なくとも48時間、50、70、及び90%RHにおいてその変形体を最初に調整(conditioning)することによって、湿気カール試験を評価された。試験は、バーニアキャリパ(vernier calliper)及び金属平板を使用して行われた。金属平板は試験片の(CD又はMDにおける)端縁から10cmに置かれ、テーブルと試験片の端縁との間の高さで測定された。-の記号は、内側/フォイルに向かうカールを示し、それ以外ではカールは外側/装飾に向かう。
【0183】
図7は同様に、ラミネートされた包装材料の曲げ剛性が、低剛性のバルクの板紙又は低密度のセルロースベースのスペーサ層の側の少なくとも1つの紙の対面層の組み込みによってどのように増加するかを示す。
【0184】
曲げ剛性を試験されたラミネートされたサンプルは、
1:小さなパッケージ用の80mNの剛性の板紙
2:6.3μm厚みのアルミニウム箔でラミネートされた、1の板紙
3:40g/m2の耐油紙でラミネートされた、1の板紙
4:72g/m2の紙を一方の側にラミネートされ、6.3μm厚みのアルミニウム箔を他方の側にラミネートされた165g/m2のフルーティング材から成るバルク層
5:72g/m2の紙を一方の側にラミネートされ、40g/m2の耐油紙を他方の側にラミネートされた165g/m2のフルーティング材から成るバルク層
である。
【0185】
図8は、発泡セルロースから成るスペーサ層を有するバルクをラミネートした後の、結果的に得られた厚みの減少を示す。例えば、識別記号(ID)「FC 300 2x」は、密度300kg/m
3の発泡セルロースが参照のニップ荷重の2倍のニップ荷重でラミネートされていることを意味する。一般的に、発泡セルロースの残りの厚みは、同様の軽い荷重の発泡ポリマ材料を有するラミネートの変化形に比べて実質的に大きいことを見て取ることができる。
【0186】
また、押出コーティングによるラミネーションが、300kg/m3の密度を有するセルロースの発泡体に良好に作用することが結論付けられた。通常は、低密度の材料を有するバルク層又はスペーサ層はラミネーションの熱及び圧力にもっと敏感であるが、発泡材料の厚みのより大きな減少を示す。
【0187】
さらに、ポリマ発泡体の厚みの減少は永久的であるが、加熱されたポリマ発泡体のセルの溶融及び再形成の故に、発泡セルロースのスペーサ層にはスプリングバック効果があり、それによってラミネーション中の厚みの減少は、約300~400kg/m3の密度で参照ニップにおける約10~15%だけしか減少していない最終的な厚みへ回復する。セルロース発泡体の密度が高ければ高いほど、このスプリングバック効果又はz方向ZDの圧縮力は大きくなる。したがって、発泡セルロースは、他の軽量の材料とは異なり、そのようなスペーサ材料の非常に小さい密度にもかかわらず、液状食品の包装のための寸法安定性のある折り曲げ成形されたパッケージを形成するために、十分な曲げ剛性と機械的安定性を有するラミネートされた包装材料へのラミネーションに対して作用すると結論付けられた。
【0188】
このように、低い曲げ剛性を有するバルク層を、少なくとも一方の側で紙の対面層によってより適正に支持することができ、バルク層の両側にそのような紙の対面層を有することで明らかに最良のものとなることがわかる。試料の曲げ剛性は、ISO2493-1にしたがって、ローレンツェン及びウェッター(Lorentzen & Wettre)によって測定された。
【0189】
このように我々は、本発明の新しいラミネートされた包装材料がまた、湿潤状態下においてもまた良好な完全性の特性を有する、すなわち長い保存可能期間を有する液状の又は湿潤食品用の包装容器の提供を可能にすることが分かった。
【0190】
一般的に、上述及び以下の説明において記載した坪量は、SCAN P 6:75によって測定された。材料の密度及び厚みは、ISO53:1988によって測定された。
【0191】
本発明は、図示され上述された実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において変化させることができる。一般的な注意事項として、層の厚み間の比率、層間の距離、及び互いに比較した他の特徴のサイズ及びそれらの相対で黄なサイズは図に示されたままととらえてはならず、図は単に、本明細書の文章に記載されていると理解される他のすべての特徴のそれぞれに関する層のオーダー及びタイプを図示しているに過ぎない。
【符号の説明】
【0192】
1A;2A;3A;4A 中央モジュール
1B;2B;3B;4B 外側材料
1C;2C;3C;4C 内側材料モジュール
10a;10b;10c;10d 包装材料
11a;11b;11c;11d スペーサ層
12a;12c;12d 印刷基材層、紙の対面層
12b;13c;13d 紙の対面層
13a;18b;18c;18d バリア層
16a;16b;16c;16d 保護層
17a;17b;17c;17d 熱シール可能な層
18b;18c;18d バリアコーティング
19b 印刷基材層
21d 装飾
30a;30b;30c;30d 包装容器
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
十分な機械強度及びバリア特性、並びに魅力的な外観を有するパッケージへの熱シール用の、ラミネートされた、箔を使用しないセルロースベースの、液状又は半液状食品のための包装材料(10a;10b;10c;10d)を製造する方法であって、
a)セルロースのスペーサ層(11a;11b;11c;11d)を備えるバルク材料から成る中央モジュール(1A;2A;3A;4A)のウェブを提供するステップであって、前記スペーサ層は、ライナーボード材又はフルーティング材を含むコンテナボードであり、ISO 9895及びISO536に従って決定された、前記機械方向(MD)における少なくとも30Nm/gインチの短時間圧縮試験インデックス(Short Compression Test Index:SCT Index)値を有し、850kg/m3より小さい密度、及び60~250g/m2の坪量を有し、印刷可能なコーティング(クレイコート)の坪量を除外したときに、対応する坪量において、液体カートンの板紙の前記曲げ剛性より30~100%小さい曲げ剛性を有する、ステップ、
b)その上に印刷されたか、又は適用された装飾(21d)を有する、又は有さない少なくとも1つの印刷基材層(12a;19b;12c;12d)を備える外側材料モジュール(1B;2B;3B;4B)のウェブを提供するステップであって、前記外側材料モジュールが、前記ラミネートされた包装材料から成る包装容器の前記外側に方向づけられる、前記中央モジュールのバルク材料の側のためを意図されている、ステップ、
c)前記中央モジュールのバルク材料の前記ウェブの外側、及び前記外側材料モジュールのウェブを、互いに対してラミネートするステップ、
d)前記外側材料モジュールに前記装飾(21d)を加えるステップ、
e)内側材料モジュール(1C;2C;3C;4C)のウェブを提供するステップであって、前記内側材料モジュールは、バリアコーティング(18b;18c;18d)を有するポリマフィルムを備え、前記ポリマフィルムは、中間接合層又は接着剤によって、前記バルク材料の前記内側表面にラミネートされ、前記内側材料モジュールが、前記ラミネートされた包装材料から成る包装容器の内側に方向づけられている、前記バルク材料の側のためを意図されている、ステップ、
f)前記内側材料モジュールの前記ウェブと、前記中央モジュールのバルク材料の前記ウェブの内側を、互いに対してラミネートするステップ、
g)最も外側の透明かつ液密な保護層(16a;16b;16c;16d)を、前記外側材料モジュールの前記外側に適用するステップ、
h)最も外側の熱可塑性の、液密かつ熱シール可能な層(17a;17b;17c;17d)を、前記内側材料モジュールの前記内側に適用するステップ、
i)前記ラミネートされたセルロースベースの、液状食品又は粘性食品用の包装材料のウェブを得るステップ、
を備え、
前記スペーサ層(11a;11b;11c;11d)が、前記ラミネートされた包装材料内のサンドイッチ構造の前記中央を構成し、前記サンドイッチ構造は、前記スペーサ層の少なくとも一方の側に配置され、前記スペーサ層の前記他方の側に配置されたさらなる対面層に接する少なくとも1つの紙の対面層(12a;12b;12c;12d)を有し、前記紙の対面層及び前記さらなる対面層は、前記スペーサ層より大幅に小さい厚み及び高いヤング率を有する、方法。
【請求項2】
前記バルク材料は、スペーサ層(11a)を備え、前記内側材料モジュール及び前記外側材料モジュールは、紙の対面層(12a、12b)をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バルク材料は、スペーサ層(11c;11d)及び、前記スペーサ層の前記内側に直接隣接する統合された紙の対面層(13c;13d)を備え、一方で前記外側材料モジュールはさらなる紙の対面層(12c;12d)を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バルク材料は、スペーサ層及び前記スペーサ層の前記外側に直接隣接する紙の対面層を備え、一方で前記内側材料モジュールはさらなる紙の対面層を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記紙の対面層は、20~100g/m
2
の坪量、600~1500kg/m3の密度、及び1~10GPaのヤング率を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スペーサ層の前記密度は、750kg/m3より小さいことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記外側材料モジュール(1B;3B;4B)は、該モジュールの前記外側に向かって方向づけられた、印刷可能な、若しくは印刷された表面を有する紙の対面層(12a;12c;12d)を備え、中間接合層又は接着剤によって前記バルク材料の前記外側表面にラミネートされることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記内側材料モジュールは、ポリマフィルム及び該ポリマフィルムがさらにラミネートされる紙の対面層を備え、前記フィルム又は前記紙はバリアコーティングを有し、前記モジュールは、中間接合層又は接着剤によって前記バルク材料の前記内側表面にラミネートされることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記印刷可能な表面は、クレイコートされた白色の紙の表面、又は金属化されたフィルム、又は金属化された紙の表面であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外側材料モジュールは、互いに対してラミネートされる前記表面のうちの一方に、0.5~4g/m2の量で水性接着剤組成物を適用し、それらを一緒にプレスすることによって、前記バルク材料にラミネートされることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記内側材料モジュールは、互いにラミネートされる前記表面のうちの一方に、0.5~4g/m2の量で水性接着剤組成物を適用し、それらを一緒にプレスすることによって、前記バルク材料にラミネートされることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載された方法によって得られた、ラミネートされた包装材料。
【請求項13】
請求項12に記載のラミネートされた包装材料を備える包装容器(30a;30b;30c;30d)。