IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロバン プロダクツ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特開-繊維材料の臭気減少及び細菌制御 図1
  • 特開-繊維材料の臭気減少及び細菌制御 図2
  • 特開-繊維材料の臭気減少及び細菌制御 図3
  • 特開-繊維材料の臭気減少及び細菌制御 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116244
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】繊維材料の臭気減少及び細菌制御
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/10 20060101AFI20240820BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240820BHJP
   A01N 37/36 20060101ALI20240820BHJP
   A01N 37/06 20060101ALI20240820BHJP
   A01N 65/00 20090101ALI20240820BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20240820BHJP
   D06M 13/184 20060101ALI20240820BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20240820BHJP
   D06M 11/44 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A01N37/10
A01P3/00
A01N37/36
A01N37/06
A01N65/00 A
A01N25/02
D06M13/184
D06M13/00
D06M11/44
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091779
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2022540585の分割
【原出願日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】62/955,155
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/128,849
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/955,161
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500233555
【氏名又は名称】マイクロバン プロダクツ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーレス, ケネス, クレイ
(72)【発明者】
【氏名】スローン, ジナ, パリズ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, バーク, アーヴィング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、抗菌又は保存特性を有するGRAS添加剤又は成分、及びキャリアを含む。組成物は、精油を含んでもよい。GRAS添加剤又は成分は、最小危険殺菌剤であることができる。組成物は、キャリアを有してもよい。組成物を使用する方法、及び組成物で処理された物品も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための組成物であって、組成物が、抗菌又は保存特性を有するGRAS添加剤又は成分、及びキャリアを含む、組成物。
【請求項2】
精油をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
GRAS添加剤が、最小危険殺菌剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
GRAS添加剤が、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
GRAS添加剤が、食品保存剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
GRAS添加剤が、有機酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
有機酸が、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、エリトルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、グリコール酸、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
有機酸が、安息香酸、ソルビン酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
精油が、セダー油、ティーツリー油(Melaleuca alternifolia)、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、ゼラニウム油(Pelargonium graveolens)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、レモングラス油(Cymbopogon flexuosus)、バジル油(Ocimum basilicum)、ラベンダー油(Lavandula angustifolia)、レモン油(Citrus limon)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、ベルガモット油(Citrus bergamia)、シソ油(Perilla frutescens)、コリアンダー油(Coriandrum sativum)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
臭気緩和化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
臭気緩和化合物が、金属酸化物、活性炭素、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リシノレイン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
GRAS添加剤又は成分が、組成物の5~60重量%の全活性濃度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
GRAS添加剤又は成分が、組成物の10~50重量%の全活性濃度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
有機酸が、組成物の5~60重量%の全活性濃度で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
有機酸が、組成物の10~50重量%の全活性濃度で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
精油が、組成物の1~20重量%の全濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項17】
臭気緩和化合物が、組成物の1~20重量%の全濃度で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
組成物が、濃縮物の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物で処理された物品。
【請求項20】
物品が、繊維材料である、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための方法であって、抗菌又は保存特性を有するGRAS添加剤又は成分を含む組成物を準備し、その組成物を繊維材料に付与することを含む方法。
【請求項22】
精油をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
GRAS添加剤が、最小危険殺菌剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
GRAS添加剤が、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
GRAS添加剤が、食品保存剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
GRAS添加剤が、有機酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
有機酸が、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、エリトルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、グリコール酸、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
有機酸が、安息香酸、ソルビン酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
精油が、セダー油、ティーツリー油(Melaleuca alternifolia)、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、ゼラニウム油(Pelargonium graveolens)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、レモングラス油(Cymbopogon flexuosus)、バジル油(Ocimum basilicum)、ラベンダー油(Lavandula angustifolia)、レモン油(Citrus limon)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、ベルガモット油(Citrus bergamia)、シソ油(Perilla frutescens)、コリアンダー油(Coriandrum sativum)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
臭気緩和化合物をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
臭気緩和化合物が、金属酸化物、活性炭素、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リシノレイン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
組成物が、ポリマー濃縮物の形態である、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
ポリマー濃縮物が、ポリマー結合剤である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ポリマー結合剤が、溶液に基づいて0.1~40%の範囲の固形分の濃度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
一種より多い有機酸が、組み合わせて使用され、活性酸の全重量が、最終組成物の5~60重量%である、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
ポリマー濃縮物が、繊維材料に付与する前に吸尽又はパディング浴中に添加される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
繊維材料が、繊維材料の重量に基づいて0.1~5%の付与された最終活性濃度を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
無機ポリマーレオロジー調節剤をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項39】
臭気減少又は細菌制御のための方法であって、浴液を準備し、浴液に安息香酸ナトリウム塩を添加し、浴液に別の酸を添加して安息香酸ナトリウム塩を安息香酸に変化させ、処理浴液を作成することを含む方法。
【請求項40】
処理浴液を繊維材料に付与し、それによって臭気減少又は細菌制御特性を付与することをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、米国特許商標庁に2019年12月30日に出願された米国仮特許出願No.62/955161、2019年12月30日に出願された米国仮特許出願No.62/955155、及び2020年12月21日に出願された米国特許出願No.17/128849からの優先権を主張する。この開示は、その全体を参照としてここに組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための組成物及び方法、特に食品保存剤のような一般に安全と認識される(Generally-Recognized-as-Safe(GRAS))抗菌/保存添加剤又は成分を使用した繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
繊維衣料に対する現在の細菌制御は、銀又は亜鉛のような金属含有活性体の使用に強く依存する。これらの化学物質は、劣った洗濯耐久性を有し、布帛の脱色をもたらし、ほとんどの繊維製造プロセス中に容易に混入されることができない。さらに、繊維工場におけるプロセス流出水中の「重金属」の存在は、取り締まり人及び政策決定者にとって重大な関心事であった。
【0004】
あるいは、4級アンモニウムシラン、フェノール、及びアゾールのような有機分子が、繊維表面を処理するために使用されることができる。これらの化学物質は、疎水性を低めたり、耐久性を高めるための広範な配合努力を要求し、繊維詰め物用途に適用可能であるにすぎない。
【0005】
今日まで、技術的問題なしで繊維製造プロセスの多くに付与されうる唯一の化学物質は、ジンクピリチオンである。しかしながら、この独特の化学物質は、規制当局によって監督されている。このような監督は、究極的には繊維表面に臭気及び汚れを起こす細菌を減少させるためにジンクピリチオンを利用できなくする可能性がある。
【0006】
従って、本技術は、吸尽したり、パディングしたりするために利用することができず、繊維特性に悪影響を持ち、毒物として分類されることがある。そのため、繊維表面の臭気及び細菌を制御するための新しい解決策を得ることが必須である。
【0007】
従って、効果的で、安全で、環境に優しく、現在の工場技術で付与するのが容易で、かつ使用するのに手頃な、細菌及び臭気制御のための代替化学物質に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、抗菌又は保存特性を有する一般に安全と認識される(GRAS)添加剤又は成分を使用した繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための組成物に関する。GRAS添加剤の例は、特に最小危険殺菌剤、食品保存剤であるが、これらに限定されない。
【0009】
本発明の実施形態では、組成物は、抗菌又は保存特性を有するGRAS添加剤又は成分からなる群から選択された化合物を含む。組成物は、精油、キャリア、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分をさらに含むことができる。
【0010】
本発明の実施形態では、組成物は、濃縮物の形態である。
【0011】
本発明の実施形態では、組成物は、金属酸化物、活性炭素、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リシノレイン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される臭気緩和化合物をさらに含む。
【0012】
本発明の実施形態では、GRAS抗菌添加剤/保存剤は、有機酸である。
【0013】
本発明の実施形態では、有機酸は、組成物の5~60重量%の全活性濃度を有する。
【0014】
本発明の実施形態では、繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための方法であって、GRAS抗菌添加剤/保存剤及びキャリアから構成される組成物を付与することを含む方法が提供される。
【0015】
本発明の実施形態では、本発明の組成物で処理された繊維材料のような物品が提供される。
【0016】
本発明の適用可能性のさらなる領域は、以下に与えられる詳細な記載から明らかになるだろう。詳細な記載及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、説明のみの目的にために意図され、本発明の範囲を限定することを意図されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、詳細な記載及び添付図面(それは、必ずしも縮尺通りでない)から十分に理解されるようになるだろう。
【0018】
図1図1は、AATCC TM100プロトコルを使用して評価した、家庭洗濯(HL)を行なわない状態での「一般に安全と認識される(GRAS)」化合物の効果を示すグラフである。
【0019】
図2図2は、10℃/秒(「.001」試料)及び30℃/秒(「.002」試料)の温度上昇速度で測定された安息香酸、ソルビン酸、及びクエン酸の各々についての温度に対する重量損失パーセントを示すTGAグラフである。このグラフは、試料の熱安定性、及び試料が分解する温度の指標を与える。
【0020】
図3図3は、25回の家庭洗濯(HL)後の効果結果を示すグラフである。
【0021】
図4図4は、AATCC TM100を使用して評価した、家庭洗濯を行なわない状態(0 HL)での還元洗浄後の効果結果を示すグラフである。安息香酸及びソルビン酸は、ポリエステル布帛上で吸尽され、還元洗浄後の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態の以下の記載は、本質的には例示にすぎず、いかなる方法においても本発明、その適用、又は使用を制限することを意図されない。以下の記載は、本発明の実現可能な開示を与える目的のために例示としてのみ本明細書に与えられるが、本発明の範囲又は実体を制限しない。
【0023】
本発明は、繊維材料の染色プロセスと妥協せずに環境に優しい成分を使用して繊維材料に細菌及び臭気制御を付与するための組成物及び方法に関する。本発明は、おそらく繊維染色及び処理プロセス中の染色をいくらか変化させうる活性成分を含むが、本発明はまた、繊維染色及び処理プロセス中の変化から染料分子を同時に保護する。
【0024】
本発明の実施形態では、繊維材料に臭気減少及び細菌制御を付与するための「一般に安全と認識される(GRAS)」組成物が提供される。頭字語「GRAS」は、良好な製造慣習に従って使用されるときに「一般に安全と認識される」と考えられる物質を示すために連邦取締機関によって使用されている。例えば、かかる規則は、21 CFR 182,21 CFR 184、及び21 CFR 186を含む。
【0025】
GRAS成分又は化合物の例は、食品保存剤を含むが、それに限定されない。分類として、食品保存剤は、本発明の組成物に使用するために好適でありうる。なぜならそれらは、抗菌効果を与えつつも最小危険殺菌剤として分類されるからである。しかしながら、本発明に使用するために好適な食品保存剤は、150℃を超える温度を含む繊維加工環境に耐えることができ、水分散性、酢酸との相溶性、及び低い皮膚毒性プロファイルを有するものであるべきである。
【0026】
本発明の実施形態では、抗菌添加剤は、有機酸である。有機酸の例は、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、エリトルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、グリコール酸、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。好ましい有機酸は、安息香酸、ソルビン酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0027】
本発明に使用するために好適なGRAS添加剤の他の例は、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸カリウムである。
【0028】
本発明の組成物は、一種以上の添加剤を含むことができる。例えば、真菌種に対する活性を与えるために、精油を、安息香酸、ソルビン酸、又はそれらの組み合わせと共に添加することができる。
【0029】
精油の例は、セダー油、ティーツリー油(Melaleuca alternifolia)、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、ゼラニウム油(Pelargonium graveolens)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、レモングラス油(Cymbopogon flexuosus)、バジル油(Ocimum basilicum)、ラベンダー油(Lavandula angustifolia)、レモン油(Citrus limon)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、ベルガモット油(Citrus bergamia)、シソ油(Perilla frutescens)、コリアンダー油(Coriandrum sativum)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。好ましい精油は、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、レモングラス油(Cymbopogon flexuosus)、タイム油(Thymus vulgaris)、セダー油、シトロン油、ペパーミント油、ローズマリー油、クローブ油、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。ペパーミント油、桂皮油のような一部の精油は、抗菌活性をほとんど持たないか、又は全く持たないが、真菌種に対して独自の影響を持つ。
【0030】
さらに、繊維表面の微生物と関係しない臭気を制御することが望ましい。有機酸(又はそれらの組み合わせ)は、アンモニアのようなアルカリ性ベースの臭気を中和する能力を与えることができる。さらに、アリール基を有する有機酸は、ピリジンのような環ベースの臭気物質を抑制する能力を有する。これらの効果を補うために、追加の臭気緩和化合物を、実在する臭気の除去のために安息香酸、ソルビン酸、及び/又は精油の組み合わせに添加することができる。臭気緩和化合物の添加は、抗菌及び臭気制御の効果を与えることができる独自のブレンドをもたらす。臭気緩和化合物の例は、金属酸化物、活性炭素、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリシノレイン酸亜鉛を含むが、それらに限定されない。
【0031】
化学物質のいずれかへの金属酸化物(例えばZnO)の添加は、抗菌及び臭気制御の効果を与えることができる独自のブレンドをもたらす。アンモニア、ノナナールのようなアルデヒドベースの臭気、及びピリジンのようなアルカリ性臭気が、(GC測定により)試験され、臭気レベルが減少するかどうかが決定された。この機能は、活性酸が、細菌集団を制御することによって細菌臭気を減少させることに加えて、細菌によって発生しない臭気を制御することを可能にするだろう。
【0032】
本発明の実施形態では、本発明の組成物は、組成物の5~60重量%、好ましくは10~50重量%の全活性濃度で安息香酸、ソルビン酸、又はそれらの組み合わせの安定した懸濁物を含む。酸は、キャリア中に存在し、キャリアは、水であるか、又はプロピレングリコール、ジプロピレングリコールのようなグリコールなどの有機溶媒中である。もしくは酸を溶解する界面活性剤を利用することができ、これは、本発明の組成物が分散液よりむしろ溶液であることを可能にする。しかし、抗菌剤を入れる別の方法は、安息香酸の場合は、安息香酸ナトリウムのような酸の塩を配合し、塩ベースのこの配合物を吸尽浴液に添加し、次いで吸尽浴液に別の酸を添加して吸尽浴液のpHを低下させ、安息香酸塩を安息香酸に変換することである。これは、濃縮物が水中の塩の高い溶解性のために容易に扱える水性液として配合されることを可能にするだろう。
【0033】
本発明の組成物は、任意選択的に組成物の1~20重量%の全濃度で精油を含むことができ、任意選択的に組成物の1~20重量%、好ましくは5~10重量%の全濃度で金属酸化物を含むことができる。
【0034】
本発明の実施形態では、繊維処理組成物、好ましくはGRAS繊維処理組成物を使用する方法が提供される。本発明の組成物は、繊維産業の業界において公知のいかなる付与方法によっても繊維材料に付与されることができる。例えば、二つの伝統的な繊維への付与方法は、吸尽及びバディングである。
【0035】
繊維工場では、吸尽又はバディングのような液体加工プロセスを利用して、抗菌剤のような補助化学物質及び仕上げ剤を繊維に混入させる。繊維製造プロセスにおいては液体成分が要求されるため、有機酸は、液体形態(安定した溶液又は分散液)であるか、又は消費者によってその使用前に水に分散される。多くの有機酸は、水と容易に混和しない。水中に有機酸を分散すると、短時間で酸が沈澱し、使用者に優しい方法で再分散することが難しい充填層を形成することが観察された。この問題に対処するために、分散剤が繊維組成物又は浴に添加されることができる。例えば、非イオン性分散剤がこの目的のために使用されることができる。分散剤は、酸表面を湿潤させ、個々の粒子間に距離を作ることを助け、高荷重のスラリーの粘度を減少させる。別の限定されない分散剤の例は、酸粒子間で作用し、濃縮物のレオロジーにチキソトロピー特性を与える能力を有する分散可能な無機ポリマー結晶である。この添加剤は、消費者の使用後に酸粒子の再分散の容易性をさらに確実にする。
【0036】
興味深いことに、吸尽染色プロセスにおいて、安息香酸及びソルビン酸は、目標作用温度でPET繊維で起こる熱駆動ガラス転移物理変化によって染料とともにPETの表面及び内部非晶質領域に導入される。分散染料は、分散剤とともにミルされる。これらの分散剤は、解離性の酸官能性基で末端処理された本質的に炭素の鎖である。分散剤は、解離を受けると、ミセル作用によって正しい作用温度でPET繊維中に染料分子を運ぶ。いったんミセルがPET構造に適切に近接すると、ファンデルワールス力が生じ、染料分子は、PET繊維の内部非晶質領域に付着する。ミセル界面活性剤分子は、次いで異なる結合していない染料分子に引き寄せられ、プロセスが再び開始される。安息香酸及びソルビン酸のような有機酸は、解離を受け、ヒドロキシル酸素で負の電荷を発現し、従って追加の分散剤を必要としない。それゆえ、有機酸は、極性の性質を持つようになり、染料とともに導入された極性分散剤に引き寄せられる。有機酸は、ミセルの一部になり、それは、染料を運び、PETの表面又は内部非晶質領域に近接する経路をとる。繊維染色プロセス中にPET繊維中に有機酸を埋め込むことにより、還元洗浄工程が有機酸を損なうことを防止し、繊維材料は、洗濯後も効果をなお保持する(図4参照)。
【0037】
本発明の組成物は、液体濃縮物の物理的形態であることができる。酸は、まず濃縮形態で分散されなければならず、次いで実際の付与を可能にするために処理されることができる。繊維吸尽プロセスは、一般的に布帛の処理のための添加剤及び染料を担持するためにビヒクルとして水の使用を要求する。
【0038】
本発明の実施形態では、好ましくは被覆のためのポリマー結合剤のようなポリマー濃縮物の形の本発明の組成物は、安息香酸、ソルビン酸、又はそれらの組み合わせを含む。ポリマー結合剤では、溶液に基づいて0.1~40重量%の範囲の固形分の濃度が必要とされる。もし一種より多い酸が組み合わせて使用されるなら、活性酸の全重量は、最終組成物の5~60重量%、好ましくは5~40重量%である。処理組成物は、布帛の0.1~5重量%の最終活性濃度を可能とするように吸尽又はパディング浴中に濃縮物として添加される。例えば、精油(もし存在するなら)は、布帛の0.05~1重量%の最終濃度であることができ、臭気緩和化合物(もし存在するなら)は、布帛の0.05~1重量%の最終濃度であることができる。
【0039】
無機ポリマーレオロジー調節剤を本発明の濃縮物とともに使用して、有機酸の存在による繊維吸尽プロセスに使用される一部の染料に対する悪影響を防止するか又は減少させることができる。安息香酸又はソルビン酸のような有機酸は、染料の色調を変えるかもしれない。色調の変化は、一般的に望ましくない。なぜなら繊維工場は、いったん吸尽プロセスが開始されたら染料ブレンドを調整する能力を持たないからである。予期せぬことに、無機ポリマーレオロジー調節剤は、濃縮物のレオロジー特性を調節することに加えて、染料の色を保持して安定させるのに役立つ。無機添加剤は、非イオン性分散剤、有機酸、及び水分子を有する配向マトリックスを与え、吸尽プロセスにおける染料には厳しくない環境を与える。
【0040】
この付与方法は、合成及び天然の繊維を含む繊維材料の処理のために使用される。
【0041】
本発明の繊維組成物は、エンドユースレベルで危険ではなく、繊維製造のほとんどの形態に適用可能であり、洗濯に対して安定であり、繊維特性に影響を与えない。選択されたGRAS酸は、図2に示された熱重量分析データによって示される関連処理温度で熱的に安定している。
【0042】
染料吸尽プロセスの後、繊維布帛は、「還元洗浄(reductive clear)」として知られるプロセスで繊維から未反応染料を除去するためにナトリウムハイドロサルファイトのような還元剤及び/又はNaOHに露出されることができる。安息香酸及びソルビン酸は、還元洗浄プロセス中に理論的には除去されることがあり得るので、これらのいずれかの化学物質を有する繊維は、これらの化学物質が工業プロセスにおいて残留することを保証するために、還元洗浄後に評価された。
【0043】
繊維処理及び染色プロセス中、本発明の活性成分は、布帛の繊維の一部になり、そこでそれらは、多数回の洗濯によっても洗い除かれることはできない。界面活性剤、吸い上げ剤、レベリング剤、柔軟剤、及び結合剤の使用は、吸尽プロセス中の活性成分の適切な分布、及びそれらの分子配向を確実にする。乳剤界面活性剤は、活性成分を含むミセル形成を助ける。吸い上げ剤は、吸尽中の極性及び非極性表面の界面を改良するために使用される。レベリング剤は、布帛に対する染料の均一な分布を確実にするために添加される。染料吸尽プロセスに使用される繊維結合剤は、布帛に残り、活性成分の耐久性に寄与する。繊維柔軟剤は、結合剤が使用されたときに布帛に柔らかい感触を与えるために入れられる。分散染料化学物質、及びさらに加えて使用される界面活性剤は、正しい作用温度でPET繊維中に染料分子を運ぶミセルの形成を可能にする。いったんミセルがPET構造に適切に近接すると、ファンデルワールス力が発生し、染料分子は、PET繊維の内部非晶質領域に付着する。ミセル界面活性剤分子は、次いで異なる結合していない染料分子に引き寄せられ、プロセスが再び開始する。これは、有機酸が同様に解離を受け、負に帯電したイオン性の酸となり、ミセルの親水性ヘッドに引き寄せられ、PETの表面及び/又は内部非晶質領域に近接する経路を見出すことを示す。繊維染色プロセス中のPET繊維内への有機酸の埋め込みは、有機酸が繰り返しの洗濯で洗い流されることを防止し、それは、抗菌効果の耐久性を与える。
【0044】
本発明の実施形態では、本発明の組成物で処理された繊維材料のような物品が提供される。本発明の範囲内では、他の材料及び物体が本発明の組成物で処理されることが考えられる。
【実施例0045】
比較例
【0046】
図1に示されるように、安息香酸、ソルビン酸、及びクエン酸の各々の塩(安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及びクエン酸三ナトリウム)のみを使用すると、相対的に低いレベルの効果をもたらした。さらに、衣料表面を処理するための塩の使用は、付与後に繊維を硬い感触にした。また、塩は、良好な水溶解性を有するため、洗濯耐久性を低下させる。これらの欠点のため、塩は、繊維への使用のために不適切である。液体のpHを低下させて塩を酸に変換する試みは、この場合になされなかったことに注意。
【0047】
実施例1
【0048】
図3に示されるように、工業的に認識される方法AATCC 38による洗浄方手順に従って洗浄を繰り返したところ、安息香酸及びソルビン酸の各々は、多数の洗浄サイクル後でも効果を維持することができた。これは、繊維産業における典型的な要求条件である。クエン酸は、単独では、安息香酸及びソルビン酸処理と同じ洗浄手順の後に効果を維持することができなかった。
【0049】
実施例2
【0050】
0.4%の桂皮油で処理された繊維材料の耐真菌性を示すために実験が実施された。工業的方法AATCC 30(III)に従って、Aspergillus niger培養物に4日間露出した後、安息香酸又はソルビン酸のいずれかに精油を添加すると、処理された試料のまわりに生長が全く見られない領域を生じた。この独特の組み合わせは、処理された繊維材料に抗細菌及び抗真菌活性の両方を与えることを可能にした。
【0051】
実施例3
【0052】
同じ百分率割合の三つの染料(青、赤、及び黄)を使用し、各々を三つのポリエチレンテレフタレート布帛試料の各々に対して組み合わせて使用して、繊維染料吸尽実験が実施された。第一布帛試料(A)は、染料のみを吸尽させられた。第二布帛試料(B)は、染料及び活性濃縮物を吸尽させられ、無機ポリマーレオロジー調節剤を配合され、そこに存在する有機酸の量は、吸尽浴の0.5重量%に相当していた。第三布帛試料(C)は、吸尽浴の0.5重量%の有機酸及び染料を吸尽させられたが、濃縮物を配合しなかった。浴の液比は、10:1であった。
【0053】
その結果、試料(A)の色調は、第二試料(B)の色調にずっと似ていたが、試料(C)の色調は、明らかに異なっていた。従って、濃縮物の配合は、有機酸のみの使用と比べて色を合わせるのにより効果的であった。
【0054】
実施例3の具体的な条件は、以下の通りである。
色比較を行なうために、0.5%owbの処理割合で安息香酸を使用した。Aは、安息香酸なしの未処理コントロールであり、Bは、濃縮物の配合ありで0.5%owb安息香酸で処理され、Cは、濃縮物の配合なしで0.5%owbの安息香酸で処理された。
【0055】
実施例4
【0056】
高染料充填試料は、吸尽染色技術を使用して加工することが最も難しかった。一連の試験は、PET(ポリエステル)及びポリスパンデックス布帛を使用して実施された。この一連の試験では、材料は、コンテナスタイルラボ吸尽装置を使用して二つの異なる実験室で試験された。試験された試料以外に、未処理布帛が比較のために評価された。吸尽プロセスでは、以下のパラメータを使用した。
【0057】
10:1液比
【0058】
12.5g/L安息香酸分散液、40%安息香酸
【0059】
130℃で40分間の吸尽サイクル
【0060】
5%酸性分散染料-黒
【0061】
還元洗浄-0.3% NaOH & 0.4% Naハイドロサルファイトを85℃で20分間
【0062】
130℃で120秒間乾燥
【0063】
AATCC TM100-2019を使用して、試料の抗菌性効果について試験した。Kpだけが指標生物として試験された。その理由は、Kpに対して効果があった試料はいずれもSaに対しても効果があることがわかっているからである。
【0064】
【0065】
表1-二つの異なる供給者からのポリエステル布帛の二つの異なる位置における処理された試料のパーセント細菌減少。布帛は、作られたまま及び25回の家庭洗濯(25HL)後で試験された。各家庭洗濯は、Tide HE洗浄剤を使用してAATCC Monograph M6に従って商業用ドラム式洗濯機で実施された。
【0066】
表1の結果は、全ての場合において90%超、ほとんどの場合において99%超の平均細菌減少率を示す。各数値は、均染剤あり及びなしで異なる供給者からの二つの黒染料を使用して製造された24個の試験試料の細菌減少率の平均値である。グループ間に効果において有意な差は見出されなかった。従って、表1の結果は、この技術による優れた洗濯耐久性を証明する。
【0067】
ポリスパンデックスが、上と同一の方法でPETと同様に実施された。この材料は、PETと同様であるが、追加のエラストマー成分(90%PET、10%スパンデックス)を有する。この材料に対して、以下の結果が得られた。
【0068】
【0069】
効果試験に加えて、染色及び堅ろう度がこれらの試料について試験された。なぜなら染色の品質は、抗菌処理によって影響されてはいけないからである。以下の標準繊維品質コントロール試験は、上の二つの試験組からの試料に対して実施され、これらの試料と同一の方法で製造された未処理試料が比較のために評価された。
【0070】
表3-ポリエステル材料についてのクロック及び染色堅ろう度結果
【0071】
【0072】
これらの結果から、処理布帛の染色堅ろう度及び色は未処理布帛の染色堅ろう度及び色と整合することがわかる。これは、本発明で提案される抗菌処理が染色堅ろう度又は色に影響を与えないという結果を与える。
【0073】
実施例5
【0074】
試験は、小規模のThiele吸尽パイロットユニット並びにMathis JFOパイロットスケール装置で実施された。それらの両方とも、吸尽液で繊維を強制的に含浸するために噴射を使用する。以下の表中のデータが示すように、本発明は、工業的に関連する噴射吸尽プロセスで使用され、優れた結果をもたらした。
【0075】
表5は、噴射吸尽装置における加工を示す様々な実施からの結果を記載する。これらの実施はまた、異なる染料レベル、レベリング化学物質、還元洗浄、及び乾燥温度との適合性を示す。還元洗浄-方法Aは、1% Naハイドロサルファイトであり、方法Bは、0.3% NaOH、0.4% Naハイドロサルファイトであり、「owg」は、「物体にどのくらいの重量で付いているか(on weight of goods)」である。
【0076】
【0077】
実施例6
【0078】
吸尽液のような水性系中に安息香酸のような有機酸を導入する一つの可能性は、有機酸の塩を系に添加し、次いで系のpHをpKa値以下に下げることである。一般的には、酢酸又はクエン酸は、液体のpHを制御するために繊維工場で使用される。安息香酸の塩は、安息香酸ナトリウムであり、この系のためのpKa値は、4.2である。ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式によれば、pHが3.6以下に低下されるなら、系に添加されるNa安息香酸の80%は、安息香酸に変換されるだろう。水溶性塩を使用し、液体を3.6以下のpHに酸性化することは、この発明の組成物を吸尽液に入れ、分散液を調製する必要なしに水性配合を可能にするための一般的な方法である。表6の結果は、安息香酸ナトリウムを使用して液浴を酸性化することが安息香酸で処理することと等価であることを示す例である。
【0079】
表6-ポリエステル布帛は、抗菌結果を与えるために安息香酸の代わりにクエン酸で3.6未満のpHに酸性化した安息香酸ナトリウムが使用されたことを除いて、上の実施例4と同様に処理された。処理された染色布帛試料と未処理の染色布帛試料の間に目に見える差は、観察されなかった。
【0080】
【0081】
それゆえ、本発明が広い有用性及び用途を受け入れる余地があることは、当業者によって容易に理解されるだろう。ここで記載したもの以外の多くの実施形態及び適応例、並びに多くの変形例、修正例、及び均等構成は、本発明の実体又は範囲から逸脱せずに、本発明及びその前述の記載から明らかであるか、又はそれによって当業者に合理的に示唆されるだろう。従って、本発明は、その好ましい実施形態に関してここで詳細に記載されたが、この開示が本発明の実例及び例示にすぎず、本発明の完全でかつ実現可能な開示を与える目的のためにのみなされていることが理解されるべきである。前述の開示は、かかる他の実施形態、適応例、変形例、修正例、及び均等構成を制限したり、又はそうでなければ除外することも意図されていないし、そのように解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸尽法又はパディング法によって、繊維材料上に及び/又は前記繊維材料中に含まれるように構成されている長期の臭気減少及び細菌制御のための組成物であって、
前記組成物は
前記組成物の全重量に基づいて、5重量%~60重量%の一般に安全と認識される添加剤(GRAS添加剤)であって、安息香酸、プロピオン酸、乳酸、エリソルビン酸、フマル酸、安息香酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される前記GRAS添加剤と、
グリコール、有機溶剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒と、
を含み、
前記組成物は、安定性を維持しつつ、120℃~150℃の範囲の適用温度に耐えるように構成されており、120℃~150℃の範囲の温度で前記繊維材料に適用されたときに、洗浄方法AATCC Monograph M6中及びその後の細菌成長を90%超減少させる、
組成物。
【請求項2】
前記組成物の前記全重量に基づいて、1重量%~20重量%の真菌制御剤をさらに含み、
前記真菌制御剤は、精油である、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記精油は、セダー油、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、バジル油(Ocimum basilicum)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、シソ油(Perilla frutescens)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の前記全重量に基づいて、1重量%~20重量%の臭気緩和化合物をさらに含み、
前記臭気緩和化合物は、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記GRAS添加剤は、前記組成物の前記全重量に基づいて、10重量%~50重量%の濃度で存在する前記安息香酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
その中に及び/又はその上に請求項1の前記組成物が適用された物品であって、
前記物品は、前記組成物を含まない物品と比較したときに、臭気減少及び細菌制御特性を有しており、
前記物品は、洗浄方法AATCC Monograph M6中及びその後の細菌成長を、90%超減少させることを維持する、
物品。
【請求項7】
前記物品は、繊維材料である請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記GRAS添加剤は、前記物品の全重量に基づいて、0.1重量%~5重量%の濃度で存在する、請求項6に記載の物品。
【請求項9】
前記組成物は、真菌制御のために、精油である真菌制御剤をさらに備え、
前記精油は、前記組成物の全重量に基づいて、1重量%~20重量%の濃度で存在する、請求項6に記載の物品。
【請求項10】
前記精油は、前記物品の前記全重量に基づいて、0.05重量%~1重量%の濃度で存在する、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記物品は、AATCC 30(III)に従って、Aspergillus niger培養物に4日間暴露した後、真菌成長を全く示さない、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
処理された繊維材料上及び中の臭気減少及び細菌制御のための方法であって、
前記方法は、
請求項1の前記組成物を提供することと、
120℃~150℃の温度範囲で吸尽又はパディングすることによって、前記組成物を繊維材料に適用し、それにより、前記GRAS添加剤を前記繊維材料の内部非晶質領域に導入し、埋め込み、それにより、その上に及びその中に前記GRAS添加剤を有する処理された前記繊維材料を形成し、前記GRAS添加剤は前記処理された繊維材料上及び中で臭気減少及び細菌制御を示す、前記適用することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記組成物は、前記吸尽又は前記パディング中に、前記組成物の全重量に基づいて、1重量%~20重量%の濃度の精油である真菌制御剤を適用し、前記吸尽又は前記パディング後に、前記精油は、前記繊維材料の全重量に基づいて、0.05重量%~1重量%の最終濃度で存在する、前記適用すること、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記精油は、セダー油、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、バジル油(Ocimum basilicum)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、シソ油(Perilla frutescens)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
それゆえ、本発明が広い有用性及び用途を受け入れる余地があることは、当業者によって容易に理解されるだろう。ここで記載したもの以外の多くの実施形態及び適応例、並びに多くの変形例、修正例、及び均等構成は、本発明の実体又は範囲から逸脱せずに、本発明及びその前述の記載から明らかであるか、又はそれによって当業者に合理的に示唆されるだろう。従って、本発明は、その好ましい実施形態に関してここで詳細に記載されたが、この開示が本発明の実例及び例示にすぎず、本発明の完全でかつ実現可能な開示を与える目的のためにのみなされていることが理解されるべきである。前述の開示は、かかる他の実施形態、適応例、変形例、修正例、及び均等構成を制限したり、又はそうでなければ除外することも意図されていないし、そのように解釈されるべきでない。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の内容である。
(項目1)
繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための組成物であって、組成物が、抗菌又は保存特性を有するGRAS添加剤又は成分、及びキャリアを含む、組成物。
(項目2)
精油をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
GRAS添加剤が、最小危険殺菌剤である、項目1に記載の組成物。
(項目4)
GRAS添加剤が、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目5)
GRAS添加剤が、食品保存剤である、項目1に記載の組成物。
(項目6)
GRAS添加剤が、有機酸である、項目1に記載の組成物。
(項目7)
有機酸が、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、エリトルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、グリコール酸、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせから選択される、項目6に記載の組成物。
(項目8)
有機酸が、安息香酸、ソルビン酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目7に記載の組成物。
(項目9)
精油が、セダー油、ティーツリー油(Melaleuca alternifolia)、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、ゼラニウム油(Pelargonium graveolens)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、レモングラス油(Cymbopogon flexuosus)、バジル油(Ocimum basilicum)、ラベンダー油(Lavandula angustifolia)、レモン油(Citrus limon)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、ベルガモット油(Citrus bergamia)、シソ油(Perilla frutescens)、コリアンダー油(Coriandrum sativum)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目10)
臭気緩和化合物をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目11)
臭気緩和化合物が、金属酸化物、活性炭素、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リシノレイン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目10に記載の組成物。
(項目12)
GRAS添加剤又は成分が、組成物の5~60重量%の全活性濃度を有する、項目1に記載の組成物。
(項目13)
GRAS添加剤又は成分が、組成物の10~50重量%の全活性濃度を有する、項目1に記載の組成物。
(項目14)
有機酸が、組成物の5~60重量%の全活性濃度で存在する、項目6に記載の組成物。
(項目15)
有機酸が、組成物の10~50重量%の全活性濃度で存在する、項目6に記載の組成物。
(項目16)
精油が、組成物の1~20重量%の全濃度で存在する、項目2に記載の組成物。
(項目17)
臭気緩和化合物が、組成物の1~20重量%の全濃度で存在する、項目10に記載の組成物。
(項目18)
組成物が、濃縮物の形態である、項目1に記載の組成物。
(項目19)
項目1に記載の組成物で処理された物品。
(項目20)
物品が、繊維材料である、項目19に記載の物品。
(項目21)
繊維材料の臭気減少及び細菌制御のための方法であって、抗菌又は保存特性を有するGRAS添加剤又は成分を含む組成物を準備し、その組成物を繊維材料に付与することを含む方法。
(項目22)
精油をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
GRAS添加剤が、最小危険殺菌剤である、項目21に記載の方法。
(項目24)
GRAS添加剤が、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目21に記載の方法。
(項目25)
GRAS添加剤が、食品保存剤である、項目21に記載の方法。
(項目26)
GRAS添加剤が、有機酸である、項目21に記載の方法。
(項目27)
有機酸が、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、エリトルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、グリコール酸、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせから選択される、項目26に記載の方法。
(項目28)
有機酸が、安息香酸、ソルビン酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
精油が、セダー油、ティーツリー油(Melaleuca alternifolia)、ユーカリ油(Eucalyptus globulus又はE.radiata)、クローブ油(Eugenia caryophyllata)、オレガノ油(Origanum vulgare)、タイム油(Thymus vulgaris)、ゼラニウム油(Pelargonium graveolens)、桂皮油(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント油(Mentha piperita)、レモングラス油(Cymbopogon flexuosus)、バジル油(Ocimum basilicum)、ラベンダー油(Lavandula angustifolia)、レモン油(Citrus limon)、ローズマリー油(Salvia rosmarinus)、ベルガモット油(Citrus bergamia)、シソ油(Perilla frutescens)、コリアンダー油(Coriandrum sativum)、シトロン油(Citrus medica)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目22に記載の方法。
(項目30)
臭気緩和化合物をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目31)
臭気緩和化合物が、金属酸化物、活性炭素、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リシノレイン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目30に記載の方法。
(項目32)
組成物が、ポリマー濃縮物の形態である、項目21に記載の方法。
(項目33)
ポリマー濃縮物が、ポリマー結合剤である、項目32に記載の方法。
(項目34)
ポリマー結合剤が、溶液に基づいて0.1~40%の範囲の固形分の濃度を有する、項目33に記載の方法。
(項目35)
一種より多い有機酸が、組み合わせて使用され、活性酸の全重量が、最終組成物の5~60重量%である、項目26に記載の方法。
(項目36)
ポリマー濃縮物が、繊維材料に付与する前に吸尽又はパディング浴中に添加される、項目32に記載の方法。
(項目37)
繊維材料が、繊維材料の重量に基づいて0.1~5%の付与された最終活性濃度を有する、項目36に記載の方法。
(項目38)
無機ポリマーレオロジー調節剤をさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目39)
臭気減少又は細菌制御のための方法であって、浴液を準備し、浴液に安息香酸ナトリウム塩を添加し、浴液に別の酸を添加して安息香酸ナトリウム塩を安息香酸に変化させ、処理浴液を作成することを含む方法。
(項目40)
処理浴液を繊維材料に付与し、それによって臭気減少又は細菌制御特性を付与することをさらに含む、項目39に記載の方法。
【外国語明細書】