(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116245
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】乾性眼疾患の治療のための眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/13 20060101AFI20240820BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240820BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240820BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240820BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20240820BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240820BHJP
A61F 9/00 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
A61K38/13
A61P27/02
A61K9/08
A61K47/06
A61P27/04
A61K47/10
A61F9/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091857
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2021517030の分割
【原出願日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】18200154.5
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18202263.2
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19167551.1
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512086242
【氏名又は名称】ノバリック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】レオ, キアラ, シルヴァーナ
(72)【発明者】
【氏名】クレッサー, ソンヤ
(72)【発明者】
【氏名】シュレーター, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マイデス, アリス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乾性眼疾患の特定の基準を満たす患者を治療するための、および乾性眼疾患の特定の症状が特に蔓延している患者を治療するための組成物を提供する。
【解決手段】乾性眼疾患の局所治療に使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を提供する。本発明はさらに、同じ用途のためのそのような組成物を備えるキットを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、前記方法は、前記組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、前記患者が総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有する、眼科用組成物。
【請求項2】
前記患者が55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、請求項1に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項3】
前記患者が、総角膜フルオレセイン染色スコアが少なくとも10以上の少なくとも1つの眼を有する、請求項1または2に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項4】
1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、
a)乾性角結膜炎(ドライアイ)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、前記症状が乾燥およびかすみ目である方法における使用のための、
および/または
b)ドライアイの症状および乾燥の頻度の認識を治療および/または改善する方法における使用のための眼科用組成物。
【請求項5】
前記組成物が患者の眼に局所投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項6】
前記組成物が眼ごとに1日2回投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約8~10μlの容量を有する1滴として投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項8】
前記組成物が最大約1.0%(w/w)のエタノールを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項9】
前記組成物が、0.1%(w/v)のシクロスポリン、1-(パーフルオロブチル)ペンタン、および最大約1.0%(w/w)のエタノールからなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項10】
前記組成物が眼表面損傷を軽減するのに有効である、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項11】
前記眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、請求項10に記載の使用のための眼科用組成物。
【請求項12】
前記患者が、
-10~15、好ましくは10~13(NEIスケール)の範囲の総角膜フルオレセイン染色値;
-1~3(NEIスケール)、好ましくは2~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値、
-2~6、好ましくは3~5の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコア、
-25~64、好ましくは30~64の範囲の総OSDIスコア、
-2~8mmの範囲の無麻酔のシルマー試験のスコア、
からなる群から選択される基準のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記患者が、少なくとも片眼において、3~7mmの範囲、好ましくは4~6mmの範囲、より好ましくは約5mmの無麻酔のシルマー試験スコアを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記患者が、少なくとも11(NEIスケール)以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物を備えるキット。
【請求項16】
前記キットが、前記眼科用組成物を保持するための容器と、約8~10μlの容量の前記組成物を1滴として投与するように適合されたドロップディスペンサーとを備える、請求項15に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
乾性眼疾患または機能不全涙症候群としても知られる乾性角結膜炎は、今日、涙液膜および眼表面の多機能障害として理解されており、不快感、視覚障害、さらには涙液膜の不安定性によって引き起こされる眼表面損傷をもたらす。ドライアイの有病率の推定値は、疾患を定義するために使用される基準によってかなり異なるが、米国では、50歳以上の320万人もの女性および170万人の男性にドライアイがあると推定されており、2030年までに影響を受ける患者数が40%増加すると予測されている。
【0002】
乾性眼疾患の薬理学的治療の選択肢はシクロスポリンである。シクロスポリンは、少なくとも米国では、眼科用(o/w)エマルジョン(Restasis(登録商標))の形で承認された医薬品として入手できる。この製品は、乾性角結膜炎に伴う眼の炎症により涙液産生が抑制されていると推定される患者の涙液産生を増加させることが示されている。
【0003】
国際公開第2011/073134号公報A1は、乾性角結膜炎の治療などのために、シクロスポリンと、患者の眼に投与することができる液体ビヒクルとして半フッ素化アルカンとを含む溶液形態の医薬組成物、例えば、共溶媒としてのエタノールの存在下で半フッ素化アルカン1-(パーフルオロブチル)ペンタン(F4H5)中にシクロスポリンを含む組成物を開示している。
【0004】
Gehlsen et al.(Investigative Ophthalmology&Visual Science June 2015,Vol.56,319)は、実験的乾性眼疾患のマウスモデルにおける局所療法用の(F4H5)中におけるCsAの使用を試験する研究について記載している。Gehlsen et alは、この研究では、実験的乾性眼疾患が誘発されたマウスに3回/日(5μL/眼)の局所療法を行ったと記載している。Gehlsen et al.は、しかしながら、ヒト対象における乾性眼疾患の治療のための治療または投薬レジメンを開示していない。
【0005】
国際公開第2018/115097号公報は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した約0.05~0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物に基づく、乾性眼疾患を有する患者の治療のための投薬レジメンを記載している。ただし、この文書では、乾性眼疾患に関連する特定の症状およびその発生頻度に関する標的治療については開示していない。この治療方法はまた、特定の乾性眼疾患の徴候および症状のセットを満たす患者の治療に使用するための組成物を開示していない。
【0006】
したがって、乾性眼疾患の特定の基準を満たす患者を治療するための手段および方法、ならびに乾性眼疾患の特定の症状が特に蔓延している患者を治療するための手段および方法が依然として必要とされている。そのため、本発明の目的は、これらの特定の態様に対処するのに有効な使用のための組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、本発明の以下の説明、実施例および特許請求の範囲に基づいて明らかになるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/073134号公報A1
【特許文献2】国際公開第2018/115097号公報
【非特許文献】
【0008】
(非特許文献1)Gehlsen et al.(Investigative Ophthalmology&Visual Science June 2015,Vol.56,319)
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本発明は、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、該方法は、該組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、患者が総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有する、眼科用組成物に関する。他の実施形態では、患者は55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する。
第2の態様では、本発明は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、a)乾性角結膜炎(ドライアイ)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、該症状が乾燥およびかすみ目である方法における使用のための、および/またはb)ドライアイの症状および乾燥の頻度の認識を治療および/または改善する方法における使用のための眼科用組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】総眼表面疾患指数(OSDI)-ベースラインの総OSDIが45以上の対象における、ビヒクル(F4H5;N=90)およびCyclASol 0.1%点眼液(1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明点眼液、1.0%w/wエタノール;N=79)による2週間、4週間、8週間、および12週間の治療(1日2回)時の総OSDIスコア(平均)のベースラインからの変化を示す。
【
図2】総眼表面疾患指数(OSDI)-ベースラインの総OSDIが55以上の対象における、ビヒクル(F4H5;N=55)およびCyclASol 0.1%点眼液(1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明点眼液、1.0%w/wエタノール;N=41)による2週間、4週間、8週間、および12週間の治療(1日2回)時の総OSDIスコア(平均)のベースラインからの変化を示す。
【
図3】VAS症状の改善。かすみ目、ドライアイの症状の認識、乾燥の頻度、乾燥の重症度、および乾燥の頻度と重症度の組み合わせに関して、ビヒクル(F4H5;N=165)、およびCyclASol 0.1%点眼液(N=160;1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明な眼科用溶液、1.0%w/wエタノールを含む)を投与された(1日2回)研究の対象におけるVASスコアの4週間後のベースライン(来院1)からの平均変化である。
【
図4】総眼表面疾患指数(OSDI)-対象集団全体に関する、ビヒクル(F4H5;N=166)およびCyclASol 0.1%点眼液(1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明点眼液、1.0%w/wエタノール;N=162)による2週間、4週間、8週間、および12週間の治療(1日2回)時の総OSDIスコア(平均)のベースラインからの変化を示す。
【
図5】総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)-対象集団全体に関する、ビヒクル(F4H5;N=165)およびCyclASol 0.1%点眼液(1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明点眼液、1.0%w/wエタノール;N=160)による2週間、4週間、8週間、および12週間の治療(1日2回)時の総角膜フルオレセイン染色(平均)のベースラインからの変化を示す。エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。
【
図6】4週間の治療後の総角膜フルオレセイン染色レスポンダー分析(3グレード以上の改善)。それぞれCyclAsol 0.1%およびビヒクルで治療された対象の割合を比較し、総角膜フルオレセイン染色(tCFS)は3グレード以上改善されている。
【
図7】4週間の治療後の中心角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)レスポンダー分析(1グレード以上の改善)。それぞれCyclAsol 0.1%およびビヒクルで治療された対象の割合を比較し、中心角膜フルオレセイン染色(cCFS)は1グレード以上改善されている。
【
図8】12週間の治療後の結膜リサミングリーン染色レスポンダー分析(2グレード以上の改善)。それぞれCyclAsol 0.1%およびビヒクルで治療された対象の割合を比較し、結膜リサミングリーン染色は2グレード以上改善されている。
【
図9】結膜リサミングリーン染色(オックスフォードスケールでのベースラインからの変化)-対象集団全体に関する、ビヒクル(F4H5)およびCyclASol 0.1%点眼液(1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明点眼液、1.0%w/wエタノール)による4週間および12週間の治療(1日2回)時の結膜リサミングリーン染色値(平均)のベースラインからの変化を示す。エラーバーは、平均の標準誤差(SEM)を示す。
【
図10】国際読書速度テキスト(IResT:International Reading Speed Texts)の臨界文字サイズ-a)ベースライン時のすべての患者(N=322)の1分あたりに読み取られた単語の数で;b)4週間後のtCFS非レスポンダー群(N=172);c)4週間後のtCFSレスポンダー群(N=150)が示され、ここで、tCFSレスポンダーは、4週間後にtCFSスコアが3ユニット(NEI)以上減少した対象である。
【
図11】国際読書速度テキスト(IResT:International Reading Speed Texts)の臨界文字サイズ-それぞれ、ベースライン時のCyclASol群の患者(N=157)、4週間後のCyclASol tCFS非レスポンダー(N=74)、および4週間後のCyclASol tCFSレスポンダー(N=83)の1分あたりの読み取り単語数を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、第1の態様では、本発明は、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、該方法は、該組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、患者が総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有する、眼科用組成物に関する。
【0012】
乾性眼疾患(DEDとも略され、乾性角結膜炎、涙機能障害症候群、または乾性癌疾患症候群としても知られる)は、不快感、視覚障害、涙液膜の不安定性の症状を引き起こす複雑な疾患であり、眼表面損傷を生じる可能性がある。乾性眼疾患は、涙液膜の浸透圧の増加および眼表面の炎症を伴う場合がある。乾性角結膜炎を患っている患者は、涙液の高浸透圧、涙液膜の不安定性、または涙液膜の脂質層組成の異常のいずれか、またはそれらの組み合わせを経験する場合がある。
【0013】
今日、乾性角結膜炎または乾性眼疾患(DED)の2つの主要なカテゴリーが区別されており、これらは、涙液分泌減少型DED及び涙液蒸発亢進型DEDである。涙液分泌減少型のDEDのクラス内では、シェーグレン症候群と非シェーグレン症候群の2つの主要なサブタイプが区別される場合がある。
【0014】
シェーグレン症候群の患者は、涙腺が活性化されたT細胞が浸潤する自己免疫疾患に苦しんでおり、これは乾性眼疾患だけでなく口渇状態にもつながる。シェーグレン症候群は、原発性疾患である場合もあれば、全身性エリテマトーデスまたは関節リウマチなどの他の自己免疫疾患に起因する場合もある。涙液分泌減少型DEDに罹患している非シェーグレン患者は、通常、涙腺機能不全、涙管閉塞、または反射性分泌低下を有する。
【0015】
第2の主要なクラスである涙液蒸発亢進型乾性眼疾患もやや不均一であり、さまざまな根本原因の結果として発症する可能性がある。主な原因の1つは、マイボーム腺の疾患または機能障害、眼瞼の開口部の障害、まばたき障害(パーキンソン病など)、または眼表面障害(アレルギー性結膜炎など)である。
【0016】
乾性眼疾患の症状には、眼の乾燥、ちくちくした、ざらざらした、もしくは砂のような感覚;異物感;痛みもしくはひりひり感;刺痛もしくは灼熱感;かゆみ;まばたきの増加;眼精疲労;羞明;かすみ目;発赤;粘液分泌物;コンタクトレンズ不耐症;および過度の反射性涙のいずれか、1つまたはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。乾性眼疾患に罹患しているすべての患者がこれらの症状のすべてを同時に示すとは限らないことが理解されている。
【0017】
乾性眼疾患に罹患している対象は、視覚障害に寄与する可能性があるかすみ眼、痛み、刺激、または視覚能力および視力が必須となり得る機能的タスクにおける対象のパフォーマンスへの悪影響によって反映される場合がある視力障害もしくは視認困難などの個別または集合的な症状を経験する可能性がある。乾性眼疾患はまた、角膜表面の損傷、例えば中心角膜への損傷につながるか、またはその一因となる可能性がある。
【0018】
本明細書で理解されるように、「乾性眼疾患」という用語は、個別に、サブタイプまたはカテゴリーの任意の1つもしくは組み合わせを指すか、または本明細書に記載の根本原因を指し、乾性眼疾患の任意の症状もしくは態様、または病態生理学的結果に対処することができる。
【0019】
対象または患者の乾性眼疾患の重症度は、乾性眼疾患の症状の評価に基づく標準的な試験の1つ以上または組み合わせを使用して分類およびスコアリングできる。たとえば、乾性眼疾患の重症度は、眼の症状に対する患者の認識および視力への影響の評価に基づく試験を使用して、評価の前の週の乾性眼疾患に関連する眼刺激の症状、ならびに患者の日常活動およびライフスタイルへの影響に焦点を当てた12項目の質問票である、眼表面疾患指数(OSDI)質問票などの質問票に基づいて決定することができる。
【0020】
OSDI試験は、質問ごとに0~4のスケールを使用して採点される。たとえば、試験の一環として、患者は先週のかすみ目に関する問題について質問され、該当する場合、なしは0、時々は1、半分は2、ほとんどは3、または常には4のいずれかを示すように求められる場合がある。質問票のスコアを合計し、0~100のスケールで評価して、スコアが高いほど、乾性眼疾患の程度/重症度と影響が大きくなる。本発明の関連で、定義された組成物は、特に、組成物による治療の開始前に、ベースライン時に45以上の総OSDIスコアを有する患者、または55以上の総OSDIスコアを有する患者の乾性眼疾患の治療において特に有効であることがわかった。
【0021】
ドライアイ症状の視覚アナログスケール(VAS)は、質問票形式の試験であり、対象は、水平線に垂直マークを付けて、乾燥、べたつき感、灼熱感/刺痛、異物感、かゆみ、かすみ目、光に対する感受性、および痛みに関して0~100%のスケールで不快感のレベルを示すことにより、眼の症状(両方の眼を同時に)を評価するよう求められ、ここで、0は「不快感なし」に対応し、100%は「不快感が最大」に対応する。VAS試験では、対象が経験した乾燥の発生頻度、および対象がドライアイの症状を経験していることを認識した時間の割合も評価する(0は「まったくない」に対応し、100%は「常に」に対応する)。乾性眼疾患のこれらの症状に対する治療の影響に関する有効性および患者の反応を評価するために、VAS試験をさまざまな時点で実施することができる。
【0022】
患者の眼の乾性眼疾患の徴候は、シルマー試験1型、角膜および結膜のフルオレセイン染色、および/またはリサミングリーン染色、涙の質の測定としての涙液層破壊時間(TFBUT、またはTBUT)などの客観的な臨床測定の任意の組み合わせを使用して評価および決定することもできる。治療効果はまた、所与の治療期間中の様々な時点で得られた、これらの臨床測定値のそれぞれまたは組み合わせの測定値の比較によって、また上記の症状評価のいずれかと組み合わせてまたは併せて評価することができる。
【0023】
本明細書に記載の本発明の一実施形態では、対象または患者は、本明細書で定義される組成物による治療の前に、45以上、好ましくは55以上の総OSDIスコアを有し、また少なくとも片眼、あるいは両方の眼において、次のいずれか1つまたは組み合わせを有する:
i.NEIグレーディングによる総角膜フルオレセイン染色スコアが10以上(すなわち、下部、上部、中心、鼻側、および側頭角膜領域のスコアの合計が10以上);
ii.オックスフォードスケールによる総リサミングリーン結膜スコア(側頭領域と鼻側領域の合計)が2以上;
iii.シルマー試験I法のスコアが1mm~10mm、またはそれらの任意の組み合わせ。
【0024】
シクロスポリンは乾性眼疾患の薬理学的治療選択肢であり、たとえば米国では0.05%眼科(o/w)エマルジョン(Restasis(登録商標))の形態で処方薬として利用できる。この製品は、乾性角結膜炎に伴う眼の炎症により涙液産生が抑制されていると推定される患者の涙液産生を増加させることが示されている。Restasis(登録商標)は、約12時間間隔で各眼に1日2回投与される。Restasis(登録商標)は、シングルバイアルに包装されている(処方情報、Restasis(登録商標))。
【0025】
シクロスポリン(同義語にはシクロスポリンA、CsA、またはシクロスポリンが含まれる)は、実験式C62H111N11O12および分子量1202.61の11個のアミノ酸を含む環状非リボソームペプチドである。これは、同種間臓器移植後(post-allergenic organ transplant)で広く使用されている免疫抑制薬であり、患者の免疫系の活動を低下させ、それによって臓器拒絶反応のリスクを軽減する。シクロスポリンは通常、無色または白色の粉末として提供される。シクロスポリンは、免疫担当リンパ球、特にTリンパ球の細胞質ゾルタンパク質シクロフィリン(イムノフィリン)に結合すると考えられている。シクロスポリンとシクロフィリンのこの複合体は、通常の状況下でインターロイキン2の転写を活性化する役割を担うカルシニューリンを阻害する。また、リンホカインの産生およびインターロイキンの放出を阻害するため、エフェクターT細胞の機能が低下する。
【0026】
本発明による眼科用組成物は、シクロスポリンの液体ビヒクルとして、化合物1-(パーフルオロブチル)ペンタンを使用する。1-(パーフルオロブチル)ペンタンは、化学式F(CF2)4(CH2)5Hの半フッ素化アルカンである。これは不活性で水に不溶性の液体であり、密度は25°Cで1.284g/cm3、屈折率は20°Cで1.3204である。この化合物の代替命名法には、F4H5が含まれ、Fは4個の炭素原子を含む直鎖状の過フッ素化アルカンセグメントを示し、Hは5個の炭素原子の直鎖状の非フッ素化アルカン炭化水素セグメントを示す。好ましくは、1-(パーフルオロブチル)ペンタンは実質的に水を含まない。
【0027】
一実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、本発明の好ましい濃度のいずれか1つで特徴づけられるシクロスポリンに加えて、眼科用組成物(最終剤形)の総重量に基づいて少なくとも約97%(w/w)またはより好ましくは少なくとも約98%(w/w)、または少なくとも約99%(w/w)の1-(パーフルオロブチル)ペンタンを含んでもよく、またはそれからなってもよい。別の実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための医薬組成物は、本明細書で定義される量または濃度のシクロスポリンに加えて、最終組成物の総重量に基づいて、約95.0~約99.99%(w/w)、または約96.0~約99.99%(w/w)、または約98.0~99.99%(w/w)、または約99.999~約99.9999%(w/w)の1-(パーフルオロブチル)ペンタンからなってもよい。
【0028】
別の実施形態において、本発明について本明細書に記載されるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、任意に、2-(パーフルオロブチル)ペンタンをさらに含み得る。組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに加えて、任意に、最大2%(w/w)、または最大1%(w/w)、または最大0.5%(w/w)の少量の2-(パーフルオロブチル)ペンタンを含み得る。
【0029】
本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物中のシクロスポリンの濃度は、組成物の0.1%(w/v)である。
【0030】
特に明記しない限り、「%(w/v)」という用語は、組成物の総容量に対する重量パーセントとしての組成物の成分の量を示す(「w」は重量を示し、「v」は容量を示す)。例えば、0.1%(w/v)は、1mLの組成物中の1.0mgの成分に対応するであろう。特に明記しない限り、「%(w/w)」または重量%という用語は、組成物の総重量に対する重量パーセントとしての組成物の成分の量を指す(「w」は重量を示す)。
【0031】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、組成物に溶解したシクロスポリンの濃度、または組成物の単回投与もしくは適用される液滴に特徴的な容量などのパラメータを参照またはそれに関連して、定義された正確な値を含む、ならびに当技術分野で知られている標準的な技術および装置を使用してこれらのパラメータを測定または決定する際に通常観察される変動性の程度内にある任意の値を含む。
【0032】
本明細書で定義される眼科用組成物を、乾性眼疾患を有するヒト対象の治療、ならびに関連する状態、またはそれに関連する徴候および症状に対して使用することができる。
【0033】
第1の態様では、本発明は、以下の項目を提供する。
【0034】
1.1 乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、該方法は、該組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、患者は総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有する、眼科用組成物。
【0035】
1.2 患者が55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、1.1に記載の使用のための組成物。
【0036】
1.3 組成物が最大約1.0%(w/w)のエタノールを含む、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【0037】
1.4 組成物が0.1%(w/v)のシクロスポリン、1-(パーフルオロブチル)ペンタン(F4H5)および最大1.0%(w/w)のエタノールからなる、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【0038】
1.5 眼科用組成物が液滴の形態で角膜および/または結膜の表面に投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0039】
1.6 組成物が、約8~11μL、好ましくは約8~10μLの容量を有する1滴として投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0040】
1.7 組成物が、1日1回、眼ごとに容量約8~10μLの1滴の用量で投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0041】
1.8 組成物が約10μlの容量を有する1滴として投与される、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【0042】
1.9 組成物が、眼あたり1日2回投与される、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための眼科用組成物。
【0043】
1.10 組成物が、1日2回、眼ごとに約容量16~20μLの1滴の用量で投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0044】
1.11 乾性眼疾患が涙液分泌減少型乾性眼疾患である、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0045】
1.12 乾性眼疾患が涙液蒸発亢進型乾性眼疾患である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0046】
1.13 患者が水性点眼剤組成物(例えば、水性シクロスポリンエマルジョン点眼薬)での治療に対して無反応であるか、または反応が不十分である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0047】
1.14 第1の用量と第2の用量の眼または眼表面への組成物の局所投与の時間間隔が少なくとも4時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0048】
1.15 治療期間が少なくとも2週間、または少なくとも4週間、または少なくとも6週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0049】
1.16 患者がヒト患者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0050】
1.17 患者が女性患者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0051】
1.18 患者が男性患者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0052】
1.19 患者が治療時に20~80歳、例えば、20~50歳、または20~70歳、または30~80歳、または30~50歳、または30~70歳、または40~80歳、または40~60歳、または40~70歳、または50~80歳、または50~70歳である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0053】
1.20 患者が併存疾患、例えば、結膜炎、麦粒腫、霰粒腫、眼瞼炎、眼瞼外反、眼瞼弛緩、眼瞼浮腫、眼瞼皮膚炎、点状角膜炎、もしくは眼アレルギー、またはそれらの任意の組み合わせに罹患している、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0054】
1.21 患者が併存疾患の治療、例えば、イソトレチノイン、鎮静剤、利尿薬、三環系抗うつ薬、降圧薬、抗コリン薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、抗鼻閉薬、ベータアドレナリン拮抗薬、フェノチアジン、アトロピン、オピエート(例えば、モルヒネ)、いずれか1つ以上による治療によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患している、任意にそのような治療が同時または以前に存在する、さらに任意に、そのような治療が全身的である(例えば、経口または非経口)、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0055】
1.22 患者が眼の外科的介入、例えば、角膜手術、屈折矯正手術、LASIK手術、白内障手術によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患しており、任意に、そのような手術が同時に又は以前に存在する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0056】
1.23 患者が別の局所眼科薬、例えば、抗生物質、抗真菌剤、コルチコステロイド、別の免疫抑制剤、交感神経刺激薬、麻酔薬、抗ヒスタミン薬、またはそれらの任意の組み合わせによる治療を同時に受けている、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0057】
1.24 患者がコンタクトレンズ装用者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0058】
1.25 患者が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の以前の治療に対して反応しなかったか、または反応が不十分であった、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0059】
1.26 当該以前の治療が、局所水性免疫抑制剤投与(例えば、局所水性シクロスポリン)、局所コルチコステロイド投与、または局所水性人工涙液投与の治療方法の1つ以上を含む、1.25に記載の使用のための組成物
【0060】
1.27 患者が、総角膜フルオレセイン染色スコアが少なくとも10以上である少なくとも1つの眼を有する、前述する項に記載のいずれかの使用のための組成物。
【0061】
1.28 患者が、以下からなる群から選択される基準(例えば、乾性眼疾患の徴候)のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物:
i.オックスフォードスケールによる総リサミングリーン結膜スコア(側頭領域と鼻側領域の合計)が2以上;
ii.総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)(すなわち、下部、上部、中心、鼻側および側頭領域の合計)が10以上;
iii.無麻酔のシルマー試験スコアが1mm~10mm。
【0062】
1.29 患者が、基準(i)、(ii)、および(iii)を満たす少なくとも1つの眼(すなわち、同じ眼)を有する、項1.28に記載の使用のための組成物。
【0063】
1.30 患者が、以下のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも片眼または両眼を有する、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための組成物:
i.中心角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)スコアが2以上、
ii.下部角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)スコアが2以上、
iii.総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)スコアが11以上。
【0064】
1.31 患者が少なくとも6ヶ月間にわたる片眼または両眼に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の病歴を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0065】
1.32 組成物が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効であり、好ましくは1つ以上の徴候および/または症状が眼表面損傷から選択される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0066】
1.33 組成物が、組成物の最初の投与後/治療の開始後2週間以内、4週間以内、または8週間以内に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0067】
1.34 組成物が眼表面損傷を軽減するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0068】
1.35 眼表面損傷が以下からなる群から選択される、1.32~1.34に記載の使用のための組成物:
i.角膜領域全体の表面損傷;
ii.中心角膜領域の表面損傷;
iii.鼻側角膜領域の表面損傷;
iv.側頭角膜領域の表面損傷;
v.下部角膜領域の表面損傷;および
vi.それらの組み合わせ。
【0069】
1.36 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、1.35に記載の使用のための組成物。
【0070】
1.37 眼の表面損傷の軽減が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、1.32~1.36に記載の使用のための組成物。
【0071】
1.38 角膜フルオレセイン染色法が以下からなる群から選択される、1.37に記載の使用のための組成物:
iv.総角膜フルオレセイン染色;
v.中心角膜フルオレセイン染色;
vi.鼻側角膜フルオレセイン染色;
vii.側頭フルオレセイン染色;
viii.下部角膜フルオレセイン染色;および
ix.それらの任意の組み合わせ。
【0072】
1.39 治療が、任意に少なくとも8週間、または少なくとも12週間の治療期間内に、総角膜フルオレセイン染色スコア(下部、上部、中心、鼻側、および側頭の染色スコアの合計;NEIスケール)を少なくとも整数2ポイントまたは少なくとも3ポイント減少させるのに有効である、1.32~1.38に記載の使用のための組成物。
【0073】
1.40(x)乾燥、(xi)べたつき感、(xii)灼熱感/刺痛、(xiii)異物感、(xiv)かゆみ、(xv)かすみ目、(xvi)光に対する感受性、(xvii)痛み、および(xviii)それらの任意の組み合わせから選択される乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の眼症状を治療するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0074】
1.41(xix)乾燥の頻度、(xx)ドライアイの症状の認識、および(xxi)乾燥の重症度、ならびに(xxi)それらの任意の組み合わせを軽減するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0075】
1.42 組成物が、乾燥の重症度もしくは乾燥の頻度、またはそれらの組み合わせを軽減するのに有効である、項目1.41に記載の使用のための組成物。
【0076】
1.43 治療方法が、眼の表面損傷、例えば、角膜の眼表面損傷、またはi.角膜領域全体の表面損傷;ii.中心角膜領域の表面損傷;iii.鼻側角膜領域の表面損傷;iv.側頭角膜領域の表面損傷;v.下部角膜領域の表面損傷;およびvi.それらの組み合わせから選択される眼表面損傷の軽減を含む、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0077】
1.44 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、項1.43に記載の使用のための組成物。
【0078】
1.45 眼の表面損傷の軽減が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、項1.43~1.44に記載の使用のための組成物。
【0079】
1.46 患者が、以下からなる群から選択される基準のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物:
-10~15、好ましくは10~13(NEIスケール)の範囲の総角膜フルオレセイン染色値;
-1~3(NEIスケール)、好ましくは2~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値;
-2~6、好ましくは3~5の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコア;
-2~8mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコア。
【0080】
1.47 患者がマイボーム腺機能不全および/または眼瞼炎に罹患していない、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0081】
1.48 患者が、3~7mmの範囲、好ましくは4~6mmの範囲、より好ましくは約5mmの無麻酔のシルマー試験スコアを有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0082】
1.49 患者が、少なくとも11(NEIスケール)以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0083】
1.50 患者が、1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0084】
1.51 患者が2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0085】
1.52 患者が4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0086】
1.53 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0087】
1.54 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0088】
1.55 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0089】
1.56 乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、該方法が、該組成物を眼に局所投与する工程を含み、患者が、少なくとも11(NEIスケール)以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0090】
1.57 乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、該方法が、組成物を眼に局所投与する工程を含み、患者が45以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有し、該患者が少なくとも11以上(NEIスケール)の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0091】
1.58 乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、この方法は、該組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、該患者が総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有し、該患者が、
総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)であり、
中心角膜フルオレセイン染色値(NEIスケール)が1~3の範囲である、少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0092】
1.59 乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、この方法は、該組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、該患者が総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有し、該患者が、
総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)であり、
中心角膜フルオレセイン染色値(NEIスケール)が1~3の範囲であり、
総リサミングリーン結膜染色スコアが2~6の範囲である、少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0093】
1.60 乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法で使用するための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、この方法は、該組成物を患者の眼に局所投与する工程を含み、該患者が総眼表面疾患指数(OSDI)スコア45以上を有し、該患者が、
総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)であり、
中心角膜フルオレセイン染色値(NEIスケール)が1~3の範囲であり、
総リサミングリーン結膜染色スコアが2~6の範囲であり、
無麻酔のシルマー試験スコアが4~6mmの範囲である、少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0094】
1.61 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、項1.58~1.60のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0095】
1.62 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲である、項1.59~1.61のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0096】
1.63 無麻酔シルマー試験スコアが約5mmである、項1.60~1.62のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0097】
1.64 患者が55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、項1.57~1.63のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0098】
1.65 患者が、指定された値の総角膜フルオレセイン染色スコア、角膜中心フルオレセイン染色値、リサミングリーン結膜染色スコア、および/または無麻酔のシルマー試験スコアを両眼に有する、項1.49~1.64のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0099】
第2の態様では、本開示は、以下に記載の治療方法に関し得る。
【0100】
2.1 1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与する工程を含む、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法であって、患者が45以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、方法。
【0101】
2.2 患者が55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、方法2.1。
【0102】
2.3 組成物が最大約1.0%(w/w)のエタノールを含む、前述するいずれかの方法。
【0103】
2.4 組成物が約0.1%(w/v)のシクロスポリン、F4H5および最大約1.0%(w/w)のエタノールからなる、前述するいずれかの方法。
【0104】
2.5 眼科用組成物が液滴の形態で角膜および/または結膜の表面に投与される、前述するいずれかの方法。
【0105】
2.6 組成物が、約8~11μL、好ましくは約8~10μLの容量を有する1滴として投与される、前述するいずれかの方法。
【0106】
2.7 組成物が、1日1回、眼ごとに容量8~10μLの1滴の用量で投与される、前述するいずれかの方法。
【0107】
2.8 組成物が、約10μlの容量を有する1滴として投与される、前述するいずれかの方法。
【0108】
2.9 組成物が眼ごとに1日2回投与される、前述するいずれかの方法。
【0109】
2.10 組成物が、1日2回、眼ごとに容量16~20μLの1滴の用量で投与される、前述するいずれかの方法。
【0110】
2.11 乾性眼疾患が涙液分泌減少型乾性眼疾患である、前述するいずれかの方法。
【0111】
2.12 乾性眼疾患が涙液蒸発亢進型乾性眼疾患である、前述するいずれかの方法。
【0112】
2.13 患者が水性点眼剤組成物(例えば、水性シクロスポリンエマルジョン点眼薬)での治療に対して無反応であるか、または反応が不十分である、前述するいずれかの方法。
【0113】
2.14 第1の用量と第2の用量の眼または眼表面への組成物の局所投与の時間間隔が少なくとも4時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間である、前述するいずれかの方法。
【0114】
2.15 治療期間が少なくとも2週間、または少なくとも4週間、または少なくとも6週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間である、前述するいずれかの方法。
【0115】
2.16 患者がヒト患者である、前述するいずれかの方法。
【0116】
2.17 患者が女性患者である、前述するいずれかの方法。
【0117】
2.18 患者が男性患者である、前述するいずれかの方法。
【0118】
2.19 患者が治療時に20~80歳、例えば、20~50歳、または20~70歳、または30~80歳、または30~50歳、または30~70歳、または40~80歳、または40~60歳、または40~70歳、または50~80歳、または50~70歳である、前述するいずれかの方法。
【0119】
2.20 患者が併存疾患、例えば、結膜炎、麦粒腫、霰粒腫、眼瞼炎、眼瞼外反、眼瞼弛緩、眼瞼浮腫、眼瞼皮膚炎、点状角膜炎、もしくは眼アレルギー、またはそれらの任意の組み合わせに罹患している、前述するいずれかの方法。
【0120】
2.21 患者が併存疾患の治療、例えば、イソトレチノイン、鎮静剤、利尿薬、三環系抗うつ薬、降圧薬、抗コリン薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、抗鼻閉薬、ベータアドレナリン拮抗薬、フェノチアジン、アトロピン、オピエート(例えば、モルヒネ)、いずれか1つ以上による治療によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患している、任意にそのような治療が同時または以前に存在する、さらに任意に、そのような治療が全身的である(例えば、経口または非経口)、前述するいずれかの方法。
【0121】
2.22 患者が眼の外科的介入、例えば、角膜手術、屈折矯正手術、LASIK手術、白内障手術によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患しており、任意に、そのような手術が同時に又は以前に存在する、前述するいずれかの方法。
【0122】
2.23 患者が別の局所眼科薬、例えば、抗生物質、抗真菌剤、コルチコステロイド、別の免疫抑制剤、交感神経刺激薬、麻酔薬、抗ヒスタミン薬、またはそれらの任意の組み合わせによる治療を同時に受けている、前述するいずれかの方法。
【0123】
2.24 患者がコンタクトレンズ装用者である、前述するいずれかの方法。
【0124】
2.25 患者が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の以前の治療に反応しなかった、または反応が不十分であった、前述するいずれかの方法。
【0125】
2.26 当該以前の治療が、局所水性免疫抑制剤投与(例えば、局所水性シクロスポリン)、局所コルチコステロイド投与、または局所水性人工涙液投与の治療方法の1つ以上を含む、2.25に記載の方法。
【0126】
2.27 患者が、総角膜フルオレセイン染色スコアが少なくとも10以上である少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0127】
2.28 患者が、以下からなる群から選択される基準(例えば、乾性眼疾患の徴候)のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法:
i.オックスフォードスケールによる総リサミングリーン結膜スコア(側頭領域と鼻側領域の合計)が2以上;
ii.総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)(すなわち、下部、上部、中心、鼻側および側頭領域の合計)が10以上;
iii.無麻酔のシルマー試験スコアが1mm~10mm。
【0128】
2.29 患者が、基準(i)、(ii)、および(iii)を満たす少なくとも1つの眼(すなわち、同じ眼)を有する、方法2.28。
【0129】
2.30 患者が、以下のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも片眼または両眼を有する、前述するいずれかの方法:
i.中心角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)スコアが2以上、
ii.下部角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)スコアが2以上、
iii.総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)スコアが11以上。
【0130】
2.31 患者が少なくとも6ヶ月間にわたる片眼または両眼に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の病歴を有する、前述するいずれかの方法。
【0131】
2.32 組成物が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効であり、好ましくは1つ以上の徴候および/または症状が眼表面損傷から選択される、前述するいずれかの方法。
【0132】
2.33 組成物が、組成物の最初の投与後/治療の開始後2週間以内、4週間以内、または8週間以内に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0133】
2.34 組成物が眼表面損傷を軽減するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0134】
2.35 眼表面損傷が以下からなる群から選択される方法2.32~2.34:
i.角膜領域全体の表面損傷;
ii.中心角膜領域の表面損傷;
iii.鼻側角膜領域の表面損傷;
iv.側頭角膜領域の表面損傷;
v.下部角膜領域の表面損傷;および
vi.それらの組み合わせ。
【0135】
2.36 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、方法2.35。
【0136】
2.37 眼の表面損傷の軽減が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、方法2.32~2.36。
【0137】
2.38 角膜フルオレセイン染色法が以下からなる群から選択される、方法2.37:
iv.総角膜フルオレセイン染色;
v.中心角膜フルオレセイン染色;
vi.鼻側角膜フルオレセイン染色;
vii.側頭フルオレセイン染色;
viii.下部角膜フルオレセイン染色;および
ix.それらの任意の組み合わせ。
【0138】
2.39 治療が、任意に少なくとも8週間、または少なくとも12週間の治療期間内に、総角膜フルオレセイン染色スコア(下部、上部、中心、鼻側、および側頭の染色スコアの合計;NEIスケール)を少なくとも整数2ポイントまたは少なくとも3ポイント減少させるのに有効である、方法2.32~2.38。
【0139】
2.40(x)乾燥、(xi)べたつき感、(xii)灼熱感/刺痛、(xiii)異物感、(xiv)かゆみ、(xv)かすみ目、(xvi)光に対する感受性、(xvii)痛み、(xviii)およびそれらの任意の組み合わせから選択される乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の眼症状を治療するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0140】
2.41(xix)乾燥の頻度、(xx)症状の認識、および(xxi)乾燥の重症度、ならびに(xxi)それらの任意の組み合わせを軽減するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0141】
2.42 組成物が、乾燥の重症度もしくは乾燥の頻度、またはそれらの組み合わせを軽減するのに有効である、方法2.40~2.41。
【0142】
2.43 治療方法が、眼の表面損傷、例えば、角膜の眼表面損傷、またはi.角膜領域全体の表面損傷;ii.中心角膜領域の表面損傷;iii.鼻側角膜領域の表面損傷;iv.側頭角膜領域の表面損傷;v.下部角膜領域の表面損傷;およびvi.それらの組み合わせから選択される眼表面損傷の軽減を含む、前述するいずれかの方法。
【0143】
2.44 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、方法2.43。
【0144】
2.45 眼の表面損傷が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、方法2.43~2.44。
【0145】
2.46 患者が、以下からなる群から選択される基準のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法:
-10~15、好ましくは10~13(NEIスケール)の範囲の総角膜フルオレセイン染色値;
-1~3(NEIスケール)、好ましくは2~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値;
-2~6、好ましくは3~5の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコア;
-スコア2~8mmの範囲の無麻酔のシルマー試験のスコア。
【0146】
2.47 患者が眼瞼炎および/またはマイボーム腺機能不全に罹患していない、前述するいずれかの方法。
【0147】
2.48 患者が、3~7mmの範囲、好ましくは4~6mmの範囲、より好ましくは約5mmの無麻酔のシルマー試験スコアを有する、前述するいずれかの方法。
【0148】
2.49 患者が、少なくとも11(NEIスケール)以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述のいずれかの方法。
【0149】
2.50 患者が、1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値を伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0150】
2.51 患者が、2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0151】
2.52 患者が、4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0152】
2.53 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、前述するいずれかの方法。
【0153】
2.54 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲にある、前述するいずれかの方法。
【0154】
2.55 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、前述するいずれかの方法。
【0155】
2.56 1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与する工程を含む、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法であって、患者が、少なくとも11以上(NEIスケール)の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0156】
2.57 1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与する工程を含む、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法であって、患者が、総眼表面疾患指数(OSDI)スコアが45以上であり、総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)の少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0157】
2.58 1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与する工程を含む、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法であって、患者が45以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有し、該患者が、
総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)であり、
中心角膜フルオレセイン染色値(NEIスケール)が1~3の範囲である、少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0158】
2.59 1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与する工程を含む、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法であって、患者が45以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有し、該患者が、
総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)であり、
中心角膜フルオレセイン染色値(NEIスケール)が1~3の範囲であり、
総リサミングリーン結膜染色スコアが2~6の範囲である、少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0159】
2.60 1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に局所投与する工程を含む、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法であって、患者が45以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有し、該患者が、
総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)であり、
中心角膜フルオレセイン染色値(NEIスケール)が1~3の範囲であり、
総リサミングリーン結膜染色スコアが2~6の範囲であり、
無麻酔のシルマー試験スコアが4~6mmの範囲である、少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0160】
2.61 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、方法2.58~2.60。
【0161】
2.62 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲にある方法2.59~2.61。
【0162】
2.63 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、方法2.60~2.62。
【0163】
2.64 患者が55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、方法2.57~2.63。
【0164】
2.65 患者が、指定された値の総角膜フルオレセイン染色スコア、角膜中心フルオレセイン染色値、リサミングリーン結膜染色スコア、および/または無麻酔のシルマー試験スコアを両眼に有する、方法2.49~2.64。
【0165】
第3の態様では、本発明は、以下の項目を提供する。
【0166】
3.1 以下における使用のための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物:
a)乾性角結膜炎(ドライアイ)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、症状が乾燥(乾燥の重症度)およびかすみ目である、方法;
および/または
b)ドライアイの症状の認識および乾燥の頻度を治療および/または改善する方法であって、好ましくは、ドライアイの症状が、患者の眼の乾燥、べたつき感、灼熱感/刺痛、異物感、かゆみ、かすみ目、光に対する感受性、および痛みから選択される、方法。
【0167】
3.2 組成物が患者の眼に局所投与される、3.1に記載の使用のための組成物。
【0168】
3.3 乾燥(乾燥の重症度)、かすみ目、乾燥の頻度、およびドライアイの症状の認識が、0%~100%のスケールの視覚アナログスケール(VAS)で決定され、ここで、乾燥の頻度およびドライアイ症状の認識の場合、0%~100%のスケールは、患者が乾燥およびドライアイ症状を経験する時間のパーセンテージであり、乾燥およびかすみ目の場合、0%から100%のスケールは、患者が経験する不快感のパーセンテージレベルである、3.1または3.2に記載の使用のための組成物。
【0169】
3.4 組成物が最大約1.0%(w/w)のエタノールを含む、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0170】
3.5 組成物が約0.1%(w/v)のシクロスポリン、1-パーフルオロブチルペンタン(F4H5)および最大約1.0%(w/w)のエタノールからなる、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0171】
3.6 眼科用組成物が液滴の形態で角膜および/または結膜の表面に投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0172】
3.7 組成物が、約8~11μL、好ましくは約8~10μLの容量を有する1滴として投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0173】
3.8 組成物が、眼ごとに容量約8~10μLの1滴の用量で投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0174】
3.9 組成物が、約10μlの容量を有する1滴として投与される、前述する請求項のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0175】
3.10 組成物が、眼あたり1日2回投与される、前述する項のいずれか1項に記載の使用のための眼科用組成物。
【0176】
3.11 組成物が、1日2回、眼ごとに約容量16~20μLの1滴の用量で投与される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0177】
3.12 乾性眼疾患が涙液分泌減少型乾性眼疾患である、前述する項のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0178】
3.13 乾性眼疾患が涙液蒸発亢進型乾性眼疾患である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0179】
3.14 患者が水性点眼剤組成物による治療に対して無反応であるか、または反応が不十分である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0180】
3.15 第1の用量と第2の用量の眼または眼表面への組成物の局所投与の時間間隔が少なくとも4時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0181】
3.16 治療期間が少なくとも2週間、または少なくとも4週間、または少なくとも6週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0182】
3.17 患者がヒト患者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0183】
3.18 患者が女性患者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0184】
3.19 患者が男性患者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0185】
3.20 患者が治療時に20~80歳、例えば、20~50歳、または20~70歳、または30~80歳、または30~50歳、または30~70歳、または40~80歳、または40~60歳、または40~70歳、または50~80歳、または50~70歳である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0186】
3.21 患者が併存疾患、例えば、結膜炎、麦粒腫、霰粒腫、眼瞼炎、眼瞼外反、眼瞼弛緩、眼瞼浮腫、眼瞼皮膚炎、点状角膜炎、もしくは眼アレルギー、またはそれらの任意の組み合わせに罹患している、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0187】
3.22 患者が併存疾患の治療、例えば、イソトレチノイン、鎮静剤、利尿薬、三環系抗うつ薬、降圧薬、抗コリン薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、抗鼻閉薬、ベータアドレナリン拮抗薬、フェノチアジン、アトロピン、オピエート(例えば、モルヒネ)、いずれか1つ以上による治療によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患している、任意にそのような治療が同時または以前に存在する、さらに任意に、そのような治療が全身的である(例えば、経口または非経口)、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0188】
3.23 患者が眼の外科的介入、例えば、角膜手術、屈折矯正手術、LASIK手術、白内障手術によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患しており、任意に、そのような手術が同時に又は以前に存在する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0189】
3.24 患者が別の局所眼科薬、例えば、抗生物質、抗真菌剤、コルチコステロイド、別の免疫抑制剤、交感神経刺激薬、麻酔薬、抗ヒスタミン薬、またはそれらの任意の組み合わせによる治療を同時に受けている、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0190】
3.25 患者がコンタクトレンズ装用者である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0191】
3.26 患者が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の以前の治療に反応しなかった、または反応が不十分であった、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0192】
3.27 当該以前の治療が、局所水性免疫抑制剤投与(例えば、局所水性シクロスポリン)、局所コルチコステロイド投与、または局所水性人工涙液投与の治療方法の1つ以上を含む、3.26における使用のための組成物
【0193】
3.28 患者が、以下からなる群から選択される基準(例えば、乾性眼疾患の徴候)のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物:
i.オックスフォードスケールによる総リサミングリーン結膜スコア(側頭領域と鼻側領域の合計)が2以上;
ii.総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)(すなわち、下部、上部、中心、鼻側および側頭領域の合計)が10以上;および
iii.無麻酔のシルマー試験スコアが1mm~10mm;
および/または
患者が20以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する。
【0194】
3.29 患者が45以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0195】
3.30 患者が55以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0196】
3.31 患者が、基準(i)、(ii)、および(iii)のすべてを満たす少なくとも1つの眼(すなわち、同じ眼)を有する、項3.28~3.30に記載の使用のための組成物。
【0197】
3.32 患者が少なくとも6ヶ月間にわたる片眼または両眼に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の病歴を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0198】
3.33 組成物が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の徴候および/または症状を軽減するのに有効であり、好ましくは1つ以上の徴候および/または症状が眼表面損傷から選択される、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0199】
3.34 組成物が、組成物の最初の投与後2週間以内、または4週間以内、または8週間以内に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0200】
3.35 組成物が眼表面損傷を軽減するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0201】
3.36 眼表面損傷が以下からなる群から選択される、3.35に記載の使用のための組成物:
i.角膜領域全体の表面損傷;
ii.中心角膜領域の表面損傷;
iii.鼻側角膜領域の表面損傷;
iv.側頭角膜領域の表面損傷;
v.下部角膜領域の表面損傷;および
vi.それらの組み合わせ。
【0202】
3.37 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、項3.36に記載の使用のための組成物。
【0203】
3.38 眼の表面損傷の軽減が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、項3.35~3.37に記載の使用のための組成物。
【0204】
3.39 角膜フルオレセイン染色法が以下からなる群から選択される、項3.38に記載の使用のための組成物:
iv.総角膜フルオレセイン染色;
v.中心角膜フルオレセイン染色;
vi.鼻側角膜フルオレセイン染色;
vii.側頭フルオレセイン染色;
viii.下部角膜フルオレセイン染色;および
ix.それらの任意の組み合わせ。
【0205】
3.40 組成物が、乾燥の頻度および/またはドライアイ症状の認識および/または乾燥の重症度、ならびにそれらの任意の組み合わせを軽減するのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0206】
3.41 組成物が、治療開始後2週間以内、または治療開始後4週間以内に、ドライアイの頻度および/またはドライアイ症状の認識および/またはドライアイの重症度、またはそれらの任意の組み合わせを軽減するのに有効である、項3.40に記載の使用のための組成物。
【0207】
3.42 組成物が、乾燥の頻度および/または乾燥の重症度を、治療の2週間後、または4週間後、または8週間後、または12週間後に少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%軽減するのに有効である、項3.40または3.41に記載の使用のための組成物。
【0208】
3.43 組成物が、2週間の治療後に治療を受けている患者の少なくとも20%超において、または4週間の治療後に治療を受けている患者の30%超において、または8週間の治療後に治療を受けている患者の少なくとも35%超において、乾燥の重症度および/または乾燥の頻度を少なくとも25%軽減するのに有効である、項3.40~3.42に記載の使用のための組成物。
【0209】
3.44 使用のための組成物の有効性が、0~100%のスケールの視覚アナログスケール(VAS)試験によって決定され、乾燥の頻度およびドライアイ症状の認識が、当該症状(複数の場合がある)を患者が経験した時間のパーセンテージとして0~100%のスケールで測定され、乾燥の重症度が、患者が経験した不快感のパーセンテージレベルとして0~100%のスケールで測定される、項3.40~3.43に記載の使用のための組成物。
【0210】
3.45 治療方法が、眼の表面損傷、例えば、角膜の眼表面損傷、またはi.角膜領域全体の表面損傷;ii.中心角膜領域の表面損傷;iii.鼻側角膜領域の表面損傷;iv.側頭角膜領域の表面損傷;v.下部角膜領域の表面損傷;およびvi.それらの組み合わせから選択される眼表面損傷を軽減することを含む、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0211】
3.46 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、項3.45に記載の使用のための組成物。
【0212】
3.47 眼の表面損傷の軽減が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、項3.45~3.46に記載の使用のための組成物。
【0213】
3.48 患者が、以下からなる群から選択される基準のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述の項目のいずれかに記載の使用のための組成物:
-10~15、好ましくは10~13(NEIスケール)の範囲の総角膜フルオレセイン染色値;
-1~3(NEIスケール)、好ましくは2~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値;
-2~6、好ましくは3~5の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコア;
-2~8mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコア;
-25~64、好ましくは30~64の範囲の総OSDIスコア。
【0214】
3.49 患者が、3~7mmの範囲、好ましくは4~6mmの範囲、より好ましくは約5mmの無麻酔のシルマー試験スコアを有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0215】
3.50 組成物が、患者の総角膜フルオレセイン染色スコア(下部、上部、中心、鼻側、および側頭の染色スコアの合計;NEIスケール)を、4週間の治療後に、好ましくは治療を受けている患者の少なくとも50%において、少なくとも3グレード減少させるのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0216】
3.51 組成物が、治療の4週間後、好ましくは治療を受けている患者の少なくとも50%において、患者の中心角膜フルオレセイン染色スコアを少なくとも1グレード低下させるのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0217】
3.52 組成物が、治療の4週間後又は12週間後に、好ましくは治療の4週間後に治療を受けている患者の少なくとも30%において、または好ましくは治療の12週間後に患者の50%において、患者の結膜リサミングリーン染色(オックスフォードスケール)を少なくとも2グレード減少させるのに有効である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0218】
3.53 患者がマイボーム腺機能不全および/または眼瞼炎に罹患していない、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0219】
3.54 患者が、少なくとも11(NEIスケール)以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0220】
3.55 患者が、1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0221】
3.56 患者が2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0222】
3.57 患者が4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0223】
3.58 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0224】
3.59 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲である、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0225】
3.60 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、前述する項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【0226】
3.61 以下における使用のための1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物:
a)乾性角結膜炎(ドライアイ)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、症状が乾燥(乾燥の重症度)およびかすみ目である、方法;
および/または
b)ドライアイの症状の認識および乾燥の頻度を治療および/または改善する方法であって、好ましくは、ドライアイの症状が、患者の眼の乾燥、べたつき感、灼熱感/刺痛、異物感、かゆみ、かすみ目、光に対する感受性、および痛みから選択される、方法;
ここで、組成物は、患者の眼に局所投与され、患者は、総角膜フルオレセイン染色スコア(NEIスケール)が少なくとも11以上の少なくとも1つの眼を有する、眼科用組成物。
【0227】
3.62 患者が、中心角膜フルオレセイン染色スコアが1~3(NEIスケール)の範囲の少なくとも1つの眼を有する、項3.61に記載の使用のための組成物。
【0228】
3.63 患者が、2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、項3.61~3.62に記載の使用のための組成物。
【0229】
3.64 患者が4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、項3.61~3.63のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0230】
3.65 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、項3.62~3.64のいずれか一向に記載の使用のための組成物。
【0231】
3.66 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲である、項3.63~3.65のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0232】
3.67 無麻酔シルマー試験スコアが約5mmである、項3.64~3.66のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【0233】
3.68 患者が45以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、項3.61~3.67のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0234】
3.69 患者が55以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、項3.61~3.68のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【0235】
3.70 患者が、指定された値の総角膜フルオレセイン染色スコア、角膜中心フルオレセイン染色値、リサミングリーン結膜染色スコア、および/または無麻酔のシルマー試験スコアを両眼に有する、項3.54~3.69のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0236】
第4の態様では、本発明は、以下の方法を提供する。
【0237】
4.1 乾性角結膜炎(ドライアイ)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、症状が乾燥(乾燥の重症度)およびかすみ目であり、該方法が、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に投与することを含む、方法。
【0238】
4.2 好ましくは、ドライアイの症状が、乾燥、べたつき感、灼熱感/刺痛、異物感覚、かゆみから選択され、当該方法が、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に投与することを含む、方法4.1および/またはドライアイの症状の認識および乾燥の頻度を治療および/または改善する方法。
【0239】
4.3 組成物が患者の眼に局所投与される、方法4.1または4.2。
【0240】
4.4 乾燥(乾燥の重症度)、かすみ目、乾燥の頻度、およびドライアイの症状の認識が、0%~100%のスケールの視覚アナログスケール(VAS)で決定され、ここで、乾燥の頻度およびドライアイ症状の認識の場合、0%~100%のスケールは、患者が乾燥およびドライアイ症状を経験する時間のパーセンテージであり、乾燥およびかすみ目の場合、0%から100%のスケールは、患者が経験する不快感のパーセンテージレベルである、方法4.1~4.3。
【0241】
4.5 組成物が最大約1.0%(w/w)のエタノールを含む、前述するいずれかの方法。
【0242】
4.6 組成物が約0.1%(w/v)のシクロスポリン、1-(パーフルオロブチル)ペンタン(F4H5)および最大約1.0%(w/w)のエタノールからなる、前述するいずれかの方法。
【0243】
4.7 眼科用組成物が液滴の形態で角膜および/または結膜の表面に投与される、前述するいずれかの方法。
【0244】
4.8 組成物が、約8~11μL、好ましくは約8~10μLの容量を有する1滴として投与される、前述するいずれかの方法。
【0245】
4.9 組成物が、眼ごとに容量約8~10μLの1滴の用量で投与される、前述するいずれかの方法。
【0246】
4.10 組成物が、約10μlの容量を有する1滴として投与される、前述するいずれかの方法。
【0247】
4.11 組成物が眼ごとに1日2回投与される、前述するいずれかの方法。
【0248】
4.12 組成物が、1日2回、眼ごとに容量16~20μLの1滴の用量で投与される、前述するいずれかの方法。
【0249】
4.13 乾性眼疾患が涙液分泌減少型乾性眼疾患である、前述するいずれかの方法。
【0250】
4.14 乾性眼疾患が涙液蒸発亢進型乾性眼疾患である、前述するいずれかの方法。
【0251】
4.15 患者が水性点眼剤組成物による治療に対して無反応であるか、または反応が不十分である、前述するいずれかの方法。
【0252】
4.16 第1の用量と第2の用量の眼または眼表面への組成物の局所投与の時間間隔が少なくとも4時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間である、前述するいずれかの方法。
【0253】
4.17 治療期間が少なくとも2週間、または少なくとも4週間、または少なくとも6週間、または少なくとも8週間、または少なくとも12週間である、前述するいずれかの方法。
【0254】
4.18 患者がヒト患者である、前述するいずれかの方法。
【0255】
4.19 患者が女性患者である、前述するいずれかの方法。
【0256】
4.20 患者が男性患者である、前述するいずれかの方法。
【0257】
4.21 患者が治療時に20~80歳、例えば、20~50歳、または20~70歳、または30~80歳、または30~50歳、または30~70歳、または40~80歳、または40~60歳、または40~70歳、または50~80歳、または50~70歳である、前述するいずれかの方法。
【0258】
4.22 患者が併存疾患、例えば、結膜炎、麦粒腫、霰粒腫、眼瞼炎、眼瞼外反、眼瞼弛緩、眼瞼浮腫、眼瞼皮膚炎、点状角膜炎、もしくは眼アレルギー、またはそれらの任意の組み合わせに罹患している、前述するいずれかの方法。
【0259】
4.23 患者が併存疾患の治療、例えば、イソトレチノイン、鎮静剤、利尿薬、三環系抗うつ薬、降圧薬、抗コリン薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、抗鼻閉薬、ベータアドレナリン拮抗薬、フェノチアジン、アトロピン、オピエート(例えば、モルヒネ)、いずれか1つ以上による治療によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患している、任意にそのような治療が同時または以前に存在する、さらに任意に、そのような治療が全身的である(例えば、経口または非経口)、前述するいずれかの方法。
【0260】
4.24 患者が眼の外科的介入、例えば、角膜手術、屈折矯正手術、LASIK手術、白内障手術によって引き起こされる乾性角結膜炎に罹患しており、任意に、そのような手術が同時に又は以前に存在する、前述するいずれかの方法。
【0261】
4.25 患者が別の局所眼科薬、例えば、抗生物質、抗真菌剤、コルチコステロイド、別の免疫抑制剤、交感神経刺激薬、麻酔薬、抗ヒスタミン薬、またはそれらの任意の組み合わせによる治療を同時に受けている、前述するいずれかの方法。
【0262】
4.26 患者がコンタクトレンズ装用者である、前述するいずれかの方法。
【0263】
4.27 患者が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の以前の治療に反応しなかった、または反応が不十分であった、前述するいずれかの方法。
【0264】
4.28 当該以前の治療が、局所水性免疫抑制剤投与(例えば、局所水性シクロスポリン)、局所コルチコステロイド投与、または局所水性人工涙液投与の治療方法の1つ以上を含む、方法4.27。
【0265】
4.29 患者が、以下からなる群から選択される基準(例えば、乾性眼疾患の徴候)のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法:
i.オックスフォードスケールによる総リサミングリーン結膜スコア(側頭領域と鼻側領域の合計)が2以上;
ii.総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)(すなわち、下部、上部、中心、鼻側および側頭領域の合計)が10以上;および
iii.無麻酔のシルマー試験スコアが1mm~10mm;
および/または
患者が20以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する。
【0266】
4.30 患者が45以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、前述するいずれかの方法。
【0267】
4.31 患者が55以上の総眼表面疾患指数(OSDI)スコアを有する、前述するいずれかの方法。
【0268】
4.32 患者が、基準(i)、(ii)、および(iii)のすべてを満たす少なくとも1つの眼(すなわち、同じ眼)を有する方法4.29~4.31。
【0269】
4.33 患者が少なくとも6ヶ月間にわたる片眼または両眼に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の病歴を有する、前述するいずれかの方法。
【0270】
4.34 組成物が乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効であり、好ましくは徴候および/または症状が眼表面損傷から選択される、前述するいずれかの方法。
【0271】
4.35 組成物が、組成物の最初の投与後2週間以内、または4週間以内、または8週間以内に乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の1つ以上の徴候および/または症状を軽減するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0272】
4.36 組成物が眼表面損傷を軽減するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0273】
4.37 眼表面損傷が以下からなる群から選択される方法4.36:
i.角膜領域全体の表面損傷;
ii.中心角膜領域の表面損傷;
iii.鼻側角膜領域の表面損傷;
iv.側頭角膜領域の表面損傷;
v.下部角膜領域の表面損傷;および
vi.それらの組み合わせ。
【0274】
4.38 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、方法4.37。
【0275】
4.39 眼の表面損傷の軽減が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、方法4.36~4.38。
【0276】
4.40 角膜フルオレセイン染色法が以下からなる群から選択される、方法4.39:
iv.総角膜フルオレセイン染色;
v.中心角膜フルオレセイン染色;
vi.鼻側角膜フルオレセイン染色;
vii.側頭フルオレセイン染色;
viii.下部角膜フルオレセイン染色;および
ix.それらの任意の組み合わせ。
【0277】
4.41 組成物が、乾燥の頻度および/またはドライアイ症状の認識および/または乾燥の重症度、ならびにそれらの任意の組み合わせを軽減するのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0278】
4.42 組成物が、治療開始後2週間以内、または治療開始後4週間以内に、ドライアイの頻度および/またはドライアイ症状の認識および/またはドライアイの重症度、またはそれらの任意の組み合わせを軽減するのに有効である、方法4.41。
【0279】
4.43 組成物が、乾燥の頻度および/または乾燥の重症度を、治療の2週間後、または4週間後、または8週間後、または12週間後に少なくとも25%軽減するのに有効である、方法4.41または4.42。
【0280】
4.44 組成物が、2週間の治療後に治療を受けている患者の20%超において、または4週間の治療後に治療を受けている患者の30%超において、または8週間の治療後に治療を受けている患者の35%超において、乾燥の重症度および/または乾燥の頻度を少なくとも25%軽減するのに有効である、方法4.41~3.43。
【0281】
4.45 使用のための組成物の有効性が、0~100%のスケールの視覚アナログスケール(VAS)試験によって決定され、乾燥の頻度およびドライアイ症状の認識が、当該症状(複数の場合がある)を患者が経験した時間のパーセンテージとして0~100%のスケールで測定され、乾燥の重症度が、患者が経験した不快感のパーセンテージレベルとして0~100%のスケールで測定される、方法4.41~4.44。
【0282】
4.46 治療方法が、眼の表面損傷、例えば、角膜の眼表面損傷、またはi.角膜領域全体の表面損傷;ii.中心角膜領域の表面損傷;iii.鼻側角膜領域の表面損傷;iv.側頭角膜領域の表面損傷;v.下部角膜領域の表面損傷;およびvi.それらの組み合わせから選択される眼表面損傷を軽減することを含む、前述するいずれかの方法。
【0283】
4.47 眼表面損傷が、中心角膜領域の眼表面損傷および下部角膜領域の眼表面損傷から選択される、方法4.46。
【0284】
4.48 眼の表面損傷が角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)によって決定される、方法4.46~4.47。
【0285】
4.49 患者が、以下からなる群から選択される基準のいずれか1つまたは組み合わせを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法:
-10~15、好ましくは10~13(NEIスケール)の範囲の総角膜フルオレセイン染色値;
-1~3(NEIスケール)、好ましくは2~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値;
-2~6、好ましくは3~5の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコア;
-2~8mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコア;
-25~64、好ましくは30~64の範囲の総OSDIスコア。
【0286】
4.50 患者が眼瞼炎および/またはマイボーム腺機能不全に罹患していない、前述するいずれかの方法。
【0287】
4.51 患者が、3~7mmの範囲、好ましくは4~6mmの範囲、より好ましくは約5mmの無麻酔のシルマー試験スコアを有する、前述するいずれかの方法。
【0288】
4.52 方法が、患者の総角膜フルオレセイン染色スコア(下部、上部、中心、鼻側、および側頭の染色スコアの合計;NEIスケール)を、4週間の治療後に、好ましくは治療を受けている患者の少なくとも50%において、少なくとも3グレード減少させるのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0289】
4.53 方法が、治療の4週間後、好ましくは治療を受けている患者の少なくとも50%において、患者の中心角膜フルオレセイン染色スコアを少なくとも1グレード低下させるのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0290】
4.54 方法が、治療の4週間後又は12週間後に、好ましくは治療の4週間後に治療を受けている患者の少なくとも30%において、または好ましくは治療の12週間後に患者の50%において、患者の結膜リサミングリーン染色(オックスフォードスケール)を少なくとも2グレード減少させるのに有効である、前述するいずれかの方法。
【0291】
4.55 患者が、少なくとも11(NEIスケール)以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述のいずれかの方法。
【0292】
4.56 患者が、1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値を伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0293】
4.57 患者が、2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0294】
4.58 患者が、4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0295】
4.59 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、前述するいずれかの方法。
【0296】
4.60 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲にある、前述するいずれかの方法。
【0297】
4.61 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、前述するいずれかの方法。
【0298】
4.62 乾性角結膜炎(ドライアイ)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、症状が乾燥(乾燥の重症度)およびかすみ目であり、該方法が、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に投与することを含み、該患者が、総角膜フルオレセイン染色スコア(NEIスケール)少なくとも11以上の少なくとも1つの眼を有する、方法。
【0299】
4.63 好ましくは、ドライアイの症状は、乾燥、べたつき感、灼熱感/刺痛、異物感覚、かゆみから選択され、当該方法が、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物を患者の眼に投与することを含み、該患者が総角膜フルオレセイン染色スコアが11以上(NEIスケール)の少なくとも1つの眼を有する、方法4.62および/またはドライアイの症状の認識および乾燥の頻度を治療および/または改善する方法。
【0300】
4.64 患者が、1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値を伴う少なくとも1つの眼を有する、方法4.62~4.63。
【0301】
4.65 患者が、2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、方法4.62~4.64。
【0302】
4.66 患者が、無麻酔のシルマー試験スコアが4~6mmの範囲の少なくとも1つの眼を有する、方法4.62~4.65
【0303】
4.67 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、方法4.64~4.66。
【0304】
4.68 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲にある、方法4.65~4.67。
【0305】
4.69 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、方法4.66~4.68。
【0306】
4.70 患者が45以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、方法4.62~4.69。
【0307】
4.71 患者が55以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、方法4.62~4.70。
【0308】
4.72 患者が、指定された値の総角膜フルオレセイン染色スコア、角膜中心フルオレセイン染色値、リサミングリーン結膜染色スコア、および/または無麻酔のシルマー試験スコアを両眼に有する、方法4.55~4.71。
【0309】
別の態様では、本発明は、以下の方法を提供する。
【0310】
5.1 乾性眼疾患(乾性角結膜炎)に罹患し、ベースラインでの総角膜フルオレセイン染色スコアが10~15の範囲(NEIスケール)であることを特徴とする対象の視覚機能の改善を予測する方法であって、3単位以上の総角膜フルオレセイン染色スコア(NEIスケール)の減少が視覚機能の改善を示す、方法。
【0311】
5.2 視覚機能の改善が、国際読解速度テキスト(IReST)において1分あたりに読まれる単語数の改善を含む、項5.1に記載の方法。
【0312】
5.3 視覚機能の改善が、かすみ目、読書、夜間の運転、コンピュータでの作業、現金自動預け払い機での作業、低コントラストでの読書、および低文字サイズでの読書に関する改善を含む、項5.1または5.2に記載の方法。
【0313】
5.4 対象が眼表面損傷を軽減するのに有効な治療を受けている、前述する項のいずれかに記載の方法。
【0314】
5.5 治療が、a)0.05~0.1%(w/v)の濃度のシクロスポリンを含む眼科用組成物、またはb)リフィテグラストを含む眼科用組成物から選択される、項5.4に記載の方法。
【0315】
5.6 治療が、1-パーフルオロブチル-ペンタンおよび最大約1%(w/w)のエタノールに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む組成物である、前述する項のいずれかに記載の方法。
【0316】
5.7 組成物が、眼ごとに容量約8~12μLの1滴の用量で投与される、項5.6に記載の方法。
【0317】
5.8 組成物が、眼ごとに容量約10~12μlを有する1滴として投与される、項5.7に記載の方法。
【0318】
5.9 組成物が眼ごとに1日2回投与される、項5.6~5.8のいずれかに記載の方法。
【0319】
5.10 対象が、総角膜フルオレセイン染色スコアが少なくとも11(NEIスケール)以上である少なくとも1つの眼を有する、前述のいずれかの方法。
【0320】
5.11 対象が、1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値を伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0321】
5.12 対象が、2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0322】
5.13 対象が、4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、前述するいずれかの方法。
【0323】
5.14 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、前述するいずれかの方法。
【0324】
5.15 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲にある、前述するいずれかの方法。
【0325】
5.16 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、前述するいずれかの方法。
【0326】
5.17 乾性眼疾患(乾性角結膜炎)に罹患し、ベースラインでの総角膜フルオレセイン染色スコアが少なくとも11(NEIスケール)以上であることを特徴とする対象の視覚機能の改善を予測する方法であって、3単位以上の角膜フルオレセイン染色スコア(NEIスケール)の減少が視覚機能の改善を示す、方法。
【0327】
5.18 対象が1~3(NEIスケール)の範囲の中心角膜フルオレセイン染色値を伴う少なくとも1つの眼を有する、方法5.17。
【0328】
5.19 対象が、2~6の範囲の総リサミングリーン結膜染色スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、方法5.17または5.18。
【0329】
5.20 対象が、4~6mmの範囲の無麻酔のシルマー試験スコアを伴う少なくとも1つの眼を有する、方法5.17~5.19。
【0330】
5.21 中心角膜フルオレセイン染色値が約3(NEIスケール)である、方法5.18から5.20。
【0331】
5.22 リサミングリーン結膜染色スコアが3~5の範囲にある方法5.19~5.21。
【0332】
5.23 無麻酔のシルマー試験スコアが約5mmである、方法5.20から5.22。
【0333】
5.24 対象が、45以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、方法5.17~5.23。
【0334】
5.25 対象が、55以上の総眼表面疾患指数スコア(OSDI)を有する、方法5.17~5.24。
【0335】
5.26 患者が、指定された値の総角膜フルオレセイン染色スコア、角膜中心フルオレセイン染色値、リサミングリーン結膜染色スコア、および/または無麻酔のシルマー試験スコアを両眼に有する、方法5.10~5.25。
【0336】
さらなる態様において、本発明は、対象にいて涙液産生量を増加させる方法で使用するための眼科用組成物を提供し、組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%w/vシクロスポリンを含む。当該方法は、組成物を対象の眼、例えば眼の表面(例えば、角膜および/または結膜の表面)に局所投与する工程を含み得る。組成物を、用量ごとに単一の液滴(すなわち、1滴)の形態で投与することができる。好ましくは、当該投与用量の滴下量は、約8~10μLである。当該態様の一実施形態では、組成物を、対象の眼ごとに1日2回投与することができる。当該態様による組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび任意に最大約1.0%w/wのエタノールに溶解した約0.1%w/vのシクロスポリンを含み得る。この態様による別の実施形態では、対象おいて涙液産生量を増加させる当該方法で使用するための組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび約1.0%w/wエタノールに溶解した約0.1%w/vシクロスポリンからなる溶液であり得る。この態様によるさらに別の実施形態では、組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した約0.1%w/vのシクロスポリンからなる溶液である。
【0337】
この態様および上記のその実施形態のいずれか1つに従って使用するための眼科用組成物を、対象の涙液産生が抑制される、または乾性角結膜炎に関連する眼の炎症のために抑制されると推定される、対象において涙液産生量を増加させる方法で使用することができる。対象における乾性角結膜炎に関連する眼の炎症などによる涙の抑制は、例えば、乾性眼疾患の徴候および症状、例えばシルマーI型試験もしくは角膜フルオレセイン染色をアッセイするために使用される本明細書に記載の方法、または患者の質問票のいずれか1つまたは組み合わせに基づいて対象において判断され得る。
【0338】
別の態様では、本発明は、眼球乾燥症(xerophtalmia)を治療する方法で使用するための眼科用組成物を提供し、この組成物は、1-(ペルフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%w/vシクロスポリンを含む。好ましくは、当該治療方法は、対象における涙液産生を増加させる。当該態様による方法は、組成物を対象の眼、例えば眼の表面(例えば、角膜および/または結膜)に局所投与する工程を含み得る。組成物は、用量ごとに単一の液滴の形で投与することができ、一実施形態では、投与される液滴の量は約8~10μLである。組成物を、対象の眼ごとに1日2回(1日2回)投与することができる。一実施形態では、当該態様による組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび任意に最大約1.0%w/wのエタノールに溶解した約0.1%w/vのシクロスポリンを含み得る。
【0339】
この態様による別の実施形態では、眼球乾燥症(xerophtalmia)を治療する当該方法で使用するための組成物は、任意に、この方法が対象の涙液産生を増加させる場合、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび約1.0%w/wエタノールに溶解した約0.1%w/vのシクロスポリンからなる溶液である。この態様による代替の実施形態では、組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%w/vのシクロスポリンからなる溶液である。
【0340】
角膜および関連組織への損傷は、乾性眼疾患の患者、特に中等度から重度、または重度の乾性眼疾患の患者に蔓延している。涙液膜は、脂質層、水層およびムチン層を備えており、通常、角膜組織および角膜上皮に対する保護バリアを提供し、湿潤機能を有し、つまり、乾燥/脱水を防ぐ。涙液膜は、角膜上皮細胞への酸素および栄養素の供給とならんで、潜在的な病原体、壊死組織片および老廃物の除去のための導管として作用する。乾性眼疾患の患者では、涙液膜は通常不安定であるか破壊されており(たとえば、涙液膜の水分分泌の減少もしくは蒸発の増加、またはムチンもしくは脂質の分泌の減少の結果として)、その結果、角膜組織、および結膜は、保護が弱くなり、脆弱になり、および/または損傷や劣化を起こしやすくなる可能性がある。
【0341】
例えば、角膜上皮の点状破壊または眼球結膜の表面破壊によって特徴付けられ得る眼表面損傷の重症度は、例えば本明細書に記載されるような角膜および結膜染色測定、すなわち、フルオレセイン染色(NEIスケール)およびリサミングリーン染色(オックスフォードスケール)によって評価され得て、これらは、特に、角膜および結膜の死細胞または損傷細胞を強調して染色する。特に、(角膜の下部、上部、鼻側、および側頭領域を含む周辺角膜領域と比較して)中心角膜領域をアッセイする中心角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)は、視覚機能障害に影響を与える眼表面損傷を反映する。
【0342】
本明細書で使用される場合、「角膜染色」または「総角膜染色」という用語は、任意にフルオレセイン、または角膜の染色に適したまたは適合された染料の言及と併せて、角膜のすべての領域、すなわち角膜の下部、上部、中心、側頭、および鼻側の領域の合計として観察される染色を指す。「中心角膜染色」のような(すなわち、特定の角膜領域で始まる)用語は、任意に、フルオレセインなどの染色に使用される色素と併せて、特定の解剖学的領域でのみ観察される染色を特に指す。
【0343】
本明細書で使用される場合、「結膜染色」または「総結膜染色」という用語は、任意に、フルオレセインまたは角膜の染色に適したまたは適合された色素の言及と併せて、結膜のすべての領域、すなわち結膜の側頭および鼻側の領域に関して合計として観察される染色を指す。この用語が特定の結膜領域(例えば、鼻結膜染色)を指定するために使用される場合、任意に、リサミングリーンなどの染色に使用される色素の言及と併せて、これは特に当該領域で観察される染色を指すことを理解されたい。
【0344】
一実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、ドライアイに罹患している対象において、乾性眼疾患の徴候を治療および軽減するために、特に角膜損傷および/または結膜損傷などの眼表面損傷を治療または軽減するために使用され得る。一実施形態では、治療される当該対象は、角膜の眼表面損傷を有し得て、少なくとも10以上(≧10)の総角膜フルオレセイン染色スコアを有し得て、このスコアは、0~3のNEIグレーディングスケールに基づいて、角膜の下部、上部、中心、鼻側、および側頭領域について得られたスコアの合計である。別の実施形態では、対象は、治療の開始前に、少なくとも11以上の総角膜フルオレセイン染色スコアを有し得て、任意に、対象は、45以上、又は55以上の総OSDIスコアを有する。
【0345】
別の実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、乾性眼疾患に罹患している対象において、角膜損傷および/または結膜損傷などの眼表面損傷を軽減するために使用され得る。一実施形態では、当該対象は、0~3のNEIグレーディングスケールに基づいて、少なくとも2以上(≧2)の中心角膜フルオレセイン染色スコアを有し得る。別の実施形態では、当該対象はさらに、オックスフォードスケールに基づいて、少なくとも2以上(すなわち≧2)の総リサミングリーン結膜染色スコア(側頭および鼻側領域の合計)を有し得る。
【0346】
一実施形態では、本発明は、乾性眼疾患に罹患している対象の眼表面損傷を治療する、すなわち軽減するのに使用するための眼科用組成物に関し、当該対象は、45以上の総OSDIスコアを有し、組成物は1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび任意に最大約1.0%(w/w)のエタノールに溶解した約0.1%(w/v)のシクロスポリンを含み、組成物は、約8~10μLの液滴容量で、眼ごとに1滴、1日2回局所投与される。別の特定の実施形態では、そのような使用は、例えば、治療用、角膜表面損傷の軽減、特に中心角膜領域および/または角膜下部領域の眼表面損傷の軽減用であり得る。
【0347】
さらなる実施形態において、当該眼科用組成物は、該組成物が1日2回投与される、角膜眼表面損傷の徴候を伴う(例えば、角膜染色スコア(NEIスケール)が少なくとも11である)乾性眼疾患を有する患者の効果的な治療に使用され得る。当該組成物は、用量ごとおよび眼ごとに1滴として局所投与することができ、当該液滴は、約10μLの容量を有する。
【0348】
別の実施形態では、本開示は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンを含む眼科用組成物であって、a)乾性角結膜炎(乾性眼疾患)に関連する症状を治療および/または改善する方法であって、該症状が乾燥およびかすみ目である方法、および/またはb)乾性眼疾患の症状および乾燥の頻度の認識を治療および/または改善する方法における使用のための眼科用組成物に関する。
【0349】
任意に、当該実施形態による治療方法は、眼ごとに1滴の組成物を1日2回、さらに任意に約8~10μLの滴下量で局所投与することを含む。さらに別の実施形態では、当該組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび任意に最大1.0%(w/w)のエタノールに溶解した0.1%(w/v)のシクロスポリンからなり得る。
【0350】
本明細書で使用される場合、「乾燥の重症度」という用語は、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)の患者が経験する可能性のある症候性の眼の乾燥感を指す(眼の)「乾燥」という用語と交換可能に使用され得る。
【0351】
上で定義される使用のための組成物は、治療において驚くほど効果的であり、すなわち、特に乾燥およびかすみ目から選択されるドライアイ症状における重症度の程度を軽減することがわかった。上記のように、乾燥は眼の乾燥感を指し、以下に説明するようにVAS質問票の最初の質問である。かすみ目は、例えば、ある程度の視力障害を指す場合があり、例えば、物体/文字は、かすみ目がある対象には、はっきりしないもしくは不明瞭に見えるか、または部分的に不明瞭に見える場合がある。これらの症状は、全体的な視覚障害または困難の一因となる可能性があり、視機能および視力が不可欠な場合がある機能的タスクにおける対象のパフォーマンスに悪影響を与える可能性がある。そのため、対象のこれらの症状を緩和および軽減するという点で前向きな特に初期の影響は、特にこれらの症状の不快レベルが非常に高く頻繁にある対象では、視力の質を改善し、緩和を提供するという点で特に有益となり得る。
【0352】
乾燥およびかすみ目の重症度の軽減とならんで、本発明による本組成物はまた、乾燥の全体的な程度の頻度を軽減するのに効果的であることがわかった。対象がドライアイを経験する頻度の減少、および/またはドライアイ症状に対する対象の全体的な認識の低下も、全体的な視力の質を改善するという点で有益であり、以前は、ドライアイの症状の絶え間ない認識または発生による頻繁な刺激または注意散漫のために厳しく制限されていた可能性がある活動を対象が行えるようになる。
【0353】
これらの症状の改善は、視覚アナログスケール(VAS)の眼の乾燥試験に基づいており、その適用によって決定され得て、この試験では、一連の治療の間、0~100%レベルのスケールの不快感のほか、0~100%のスケールで、目の症状に気付いている、または経験している(つまり頻度が高い)時間の割合で当該症状に関して患者を評価する。
【0354】
一実施形態では、本発明のいずれかの使用のための組成物は、本明細書に記載される、患者もしくは対象が経験する乾燥(例えば、眼の乾燥)の重症度および/または乾燥の頻度を少なくとも25%減少することによる改善に有効である。別の実施形態では、組成物は、治療の開始から2週間以内に、乾燥の重症度および乾燥の頻度を少なくとも25%減少させるのに有効である。別の実施形態では、組成物は、治療を受けている対象の少なくとも25%において、治療の開始から2週間以内に乾燥の重症度および乾燥の頻度を少なくとも25%減少させるのに有効である。さらなる実施形態において、治療は、開始から、すなわち治療を開始してから4週間以内に、治療を受けている対象の少なくとも30%において、乾燥の重症度および/または乾燥の頻度を少なくとも25%減少させるのに有効である。減少は、上記の症状のそれぞれまたは組み合わせのVASスコアを、治療前に得られた初期ベースラインスコアと比較することによって決定することができる。
【0355】
さらなる実施形態において、乾性角結膜炎(乾性眼疾患)を治療する方法は、患者の片眼または両眼への本発明による組成物の局所投与、ならびに乾燥の頻度および/またはドライアイに関連する症状(例えば、乾燥、べたつき感、灼熱感/刺痛、異物感、かゆみ、かすみ目、光に対する感受性、および痛みから選択される症状)の認識の治療または改善を含み得て、ここで、当該治療は、一般的に、治療開始後2週間以内、または4週間以内に乾燥の頻度またはドライアイ症状の認識の少なくとも25%の効果的な減少を含む。
【0356】
任意に、本明細書に記載の眼科用組成物およびその投与量を、水性人工涙液による治療に反応しない、または十分に反応しない患者または対象を治療するために使用することができる。
【0357】
乾性眼疾患の症状を緩和および治療するために、潤滑点眼薬または涙液代替物としても知られる人工涙液が使用され、通常は店頭(OTC)で入手できる。これらは通常、溶液形態の水性組成物であるが、眼に水分を加えることによって機能するゲルまたは軟膏の形態でもあり、通常、潤滑剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの液体ポリオール)を含んでもよく、また治癒を促進する添加剤(例えばヒプロメロース酸)または天然涙液膜の電解質組成を模倣する添加剤、または眼の表面の組成の保持を促進する添加剤(例えばカルボマーなどのゲル化剤)を含んでもよい。
【0358】
一実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、少なくとも2週間、または少なくとも1か月、または少なくとも約6か月にわたる水性人工涙液のみによる治療期間の後でも、乾性眼疾患の症状および関連する状態が持続する患者を治療するために使用され得る。
【0359】
本発明による、および本明細書の実施形態のいずれかに記載されるいずれか1つの使用のための組成物の用量は、対象の眼に単一の液滴(すなわち、1滴)の形態で局所投与される。液滴は、眼の表面、好ましくは、局所投与または注入にアクセス可能な眼の任意の表面領域または組織、例えば角膜または結膜に投与することができる。1滴の組成物を、眼の角膜表面などの眼の表面に直接、あるいは、眼の下眼瞼をやさしく引き下げることによって形成される空間、すなわち嚢またはポケットに点眼することができる。
【0360】
本明細書で使用される場合、「眼への投与」または「眼ごとに」という用語は、対象の個々の眼への本発明による眼科用組成物の所与の用量、例えば単回用量の投与を指す。しかしながら、本明細書に記載の乾性眼疾患および乾性眼疾患関連の状態の治療は、対象における片眼の治療に限定されるものではなく、それぞれの、すなわち、ドライアイ状態によって影響を受ける対象の両眼に対する本発明による組成物の投与を含む治療法も含むものとして理解されるべきである。
【0361】
本発明の一実施形態では、本明細書に記載のいずれかの使用のための眼科用組成物は、眼ごとに1日2回、1滴の用量で投与される。そのため、そのような投薬レジメンに従って両眼の治療を受けている患者は、所与の治療期間の各日に、各眼に対して合計2滴を受けることになる。
【0362】
眼科用組成物が各眼に1日1回以上、例えば、眼ごとに1日2回投与される場合、さらなる実施形態において、第1の用量と第2の用量の眼または眼表面への組成物の局所投与の時間間隔は、少なくとも4時間、または少なくとも6時間、または少なくとも12時間であり得る。
【0363】
さらなる実施形態において、本発明のいずれかの使用のための眼科用組成物は、少なくとも1ヶ月(4週間)、さらには少なくとも3ヶ月(12週間)の治療期間にわたって投与される。別の実施形態において、本発明のいずれかの使用のための眼科用組成物は、乾性眼疾患の症状および指標が持続する間、継続的に投与され得る。
【0364】
他の実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、最大約1.0%(w/w)のエタノールを含み得る。
【0365】
本明細書で使用される場合、例えば本発明の組成物中のエタノールの量などに関連して、パラメータの文脈で使用される「最大約」または「最大」という用語は、ゼロより大きく、定義されたパラメータを含めて最大までのパラメータの任意の値を指す。たとえば、「最大約1.0%(w/w)のエタノール」の量は、関連分野で知られている標準的な技術および機器を使用して、このパラメータを測定または決定する際に通常観察されるあらゆる程度の変動を考慮に入れて、1.0%(w/w)のエタノールの値までの範囲で、ゼロより大きい任意の値、たとえば、0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5% 0.6%、0.7、0.8、0.9、0.95%、0.99%(w/w)のエタノールなどの値を含むと理解すべきである。
【0366】
本発明の一実施形態では、本明細書に記載の治療用途のための組成物は、本質的に、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび任意に約1.0%(w/w)のエタノールに溶解した約0.1%(w/v)のシクロスポリンのエタノールからなり得る。
【0367】
別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は本質的にエタノールを含まず、組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した本明細書に記載の実施形態のいずれかに記載の量のシクロスポリンのみから本質的になる。
【0368】
エタノールなどの有機共溶媒が存在しないことは、エタノールなどの共溶媒をさらに含む3成分配合物と比較して、より単純な2成分配合物の利点を提供し得る。1つの追加の組成物成分であっても、さらにそれを含めることは、コスト、製造、取り扱い、包装、さらには患者のコンプライアンスなどの要因に関して複雑さを追加する可能性がある。
【0369】
本発明の好ましい実施形態では、本明細書に記載のいずれかの使用のための組成物は、好ましくは、以下を含んでもよく、または以下からなってもよい:
1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび約0.5%(w/w)のエタノールに溶解した約0.1%(w/v)のシクロスポリン、または
1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよび約1.0%(w/w)のエタノールに溶解した約0.1%(w/v)のシクロスポリン、または
1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解した約0.1%(w/v)のシクロスポリン。
【0370】
本発明のいずれかの使用のための組成物は、好ましくは、シクロスポリンが1-(パーフルオロブチル)ペンタンの溶液に完全に溶解している(室温、すなわち15~25℃の条件)透明な溶液として提供される。エタノールが含まれる場合、当該組成物は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンおよびエタノールの溶液に溶解したシクロスポリンの透明な溶液としても提供される。一実施形態では、組成物は無菌形態で提供される。
【0371】
別の実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、実質的に水を含まず、および/または実質的に防腐剤を含まない。本明細書で理解されるように、組成物の構成成分に関して「実質的に含まない」、あるいは「本質的に含まない」という用語は、微量以下の当該構成成分の存在を指し、微量で存在する場合、その構成成分は組成物に対して何らの技術的寄与も提供しない。
【0372】
好ましくは、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、実質的に水を含まず、実質的に防腐剤を含まず、微生物の増殖を阻害するのに有効である。
【0373】
別の実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、角膜および/または結膜の表面などの眼の表面に迅速かつ効果的に拡散することができる顕著な湿潤および拡散挙動を特徴とする。そのため、眼の表面に投与された場合の本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物の液滴(滴)は、角膜および/または結膜の表面への組成物の迅速な拡散をもたらす。
【0374】
好ましくは、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、ドロップディスペンサーから投与された場合、約8~10μl、例えば約10μLの範囲の小さな液滴(滴)を形成する。
【0375】
別の好ましい実施形態では、本発明によるいずれか1つの使用のための眼科用組成物は、眼ごとに単回用量で投与される約10μgのシクロスポリン、または眼ごとに単回用量で投与される約8~10μgのシクロスポリンなど、眼ごとに単回用量で投与される同等の少量のシクロスポリンを特徴とする。
【0376】
本明細書で使用される場合、「からなる(consists)」という用語および「からなる(consisting)」または「からなる(consist)」という関連用語は、その用語で始まるもの以外の他の特徴が存在しないことを意味すると理解されるべきである。本明細書に記載の眼科用組成物の文脈において、他の成分または成分がそのような用語で始まるもの以外の組成物に存在する場合、それは、本発明の目的に関して、技術的利点または関連性を与えないような微量または残留量でのみ存在し、例えば、これらの用語と併せて使用される「本質的に」または「実質的に」という用語によってさらに理解され得る(例えば、「本質的に~からなる」)。
【0377】
本明細書に記載の好ましい乾性眼疾患の状態のいずれか1つに関連して、それを必要とする対象の治療のための薬剤または医薬の製造または調製における上記の実施形態のいずれか1つに記載の眼科用組成物の使用もまた、本発明の関連で提供される。また、本発明の関連でさらに提供されるのは、本明細書に記載の当該乾性眼疾患の状態と診断された、および/または罹患している対象を治療する方法であり、この方法は、好ましくは記載される用量または量のいずれか1つ、および/または治療法に関して定義される期間のいずれか1つにわたる、定義される組成物のいずれか1つの眼への直接的な局所注入などによる局所投与を含み得る。
【0378】
さらに、治療用途のための当該治療方法および組成物は、好ましくは、乾性眼疾患と診断されたおよび/またはそれに罹患しているヒト対象または患者を標的とする。
【0379】
さらに別の態様では、本発明は、本発明によるいずれか1つの使用および上記の実施形態のいずれかのための眼科用組成物を含むキットも提供する。一実施形態では、キットは、眼科用組成物を保持するための容器と、1滴あたり約8~10μL、または約10μlの容量の組成物を投与するように適合されたドロップディスペンサーとを備える。キットはまた、例えば、リーフレット、包装、または他の読み取り可能な手段の形で、本明細書に記載の使用または方法のいずれか1つによる使用を示す使用説明書をさらに備えてもよい。
【0380】
本明細書で理解されるように、ドロップディスペンサーは、眼科用組成物を保持するための容器に取り付け、固定、または接続することができるディスペンサーまたはアプリケーター手段であり得る。好ましくは、ドロップディスペンサーは、組成物の単一の液滴の形態で単回用量を分配するように適合されている。より好ましくは、ドロップディスペンサーは、約8~10μlの容量の単回用量を分配するように適合されているか、または約10μlの容量の単回用量を分配するように適合されている。
【0381】
本明細書で理解される眼科用組成物を保持するための容器は、好ましくは単回用量を保持し得る容量であるが、より好ましくは、組成物の複数(multiple)または複数(plurality)の用量を保持し得る容量である。
【0382】
以下の実施例は、本発明を説明する役割を果たすが、これらは、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【実施例0383】
実施例1
研究のセットアップ
乾性眼疾患の徴候及び症状の治療のための局所CyclASol(登録商標)の有効性及び安全性を評価するためのフェーズ2b/3、多施設、無作為化、二重盲検(ビヒクル)対照臨床試験。この研究は、clinicaltrials.govにNCT03292809の番号で収載されている。
【0384】
無作為化するのに適格な対象は、両側BIDを約85日間(来院1~来院5)投与するために次のいずれかの治療を受けた:
1)CyclASol 0.1%点眼液(シクロスポリンA 0.1%溶液)
2)ビヒクル点眼液(F4H5)
【0385】
CyclASol 0.1%点眼液は、1-(パーフルオロブチル)ペンタンに溶解したシクロスポリンAの透明な点眼液である。一般にF4H5と略される1-(パーフルオロブチル)ペンタンをビヒクルとして使用する。配合物中の他の唯一の成分は、共溶媒としてのエタノール1.0%(w/w)である。CyclASolの投与量、つまり1滴の容量は約8~10μLである。
【0386】
無作為化前の対象の選択には、14日間の研究前観察期間を用いた。この期間中、両側BIDを投与するために、すべての対象はSystane(登録商標)Balanceを受けた。
【0387】
この研究には、約14週間の間に6回の来院が含まれていた。
来院0、-14日目±2日、スクリーニング;
来院1、1日目、ベースライン/無作為化;
来院2、15日目±1日、2週間目のフォローアップ;
来院3、29日目±2日、4週間目のフォローアップ;
来院4、57日目±2日、8週間目のフォローアップ;および
来院5日目、85日目±2日、12週間目のフォローアップおよび研究終了。
【0388】
調査対象母集団
研究に含まれる患者は、以下の基準を満たさなければならなかった:
(a)18歳以上である;
(b)書面によるインフォームドコンセントを提供する;
(c)来院0の前に少なくとも180日間、対象に両眼の乾性眼疾患の病歴を報告させる;
(d)現在、来院0の時点(来院0の30日以内)でドライアイの症状に市販(OTC)点眼薬および/または人工涙液を使用している;
(e)来院0および来院1の時点で総OSDI(登録商標)スコアが20以上である;
(f)来院0および来院1の時点でNEIスケールに従って、総角膜フルオレセイン染色スコアが10以上(つまり、下、上、中心、鼻側、および側頭領域の合計)である;
(g)来院0および来院1の時点でオックスフォードスケールによる総リサミングリーン結膜スコア(側頭領域と鼻側領域の合計)が2以上である。
(h)来院0および来院1を含めて、無麻酔のシルマー試験スコア1mm~10mmを有する;
(i)同じ眼である少なくとも片方の眼が、選択基準f、g、およびhを満たしている;ならびに
(j)指示に従い、すべての研究評価および来院に参加することができ、これらを進んで行う。
【0389】
各対象は以下があってはならない:
a.来院0の時点で、規定の医学的処置を必要とする、および/または研究者の意見で、外傷、スティーブンス・ジョンソン症候群、進行性上皮基底膜疾患を含む研究パラメータを妨げる可能性のある臨床的に重要な細隙灯所見がある;
b.活動性眼瞼炎、マイボーム腺機能不全(MGD)、または眼瞼縁の炎症があり、局所もしくは全身の抗生物質、または局所ステロイド、またはその他の規定の医学的処置もしくは次亜塩素酸ワイプによる治療が来院0の前の過去30日以内に必要であるか、または研究の間にそのような治療が必要となる。眼瞼スクラブ、眼瞼ワイプ、温湿布などの他の治療法は、来院0の前の過去30日以内に安定している必要があり、対象は研究を通じてそれらの治療法を進んで継続する必要がある;
c.異常な眼瞼の解剖学的構造(例えば、不完全なまぶたの閉鎖、眼瞼内反症、または眼瞼外反症)または異常なまばたきがある;
d.たとえば、放射線照射(irradiation)、アルカリ熱傷、瘢痕性類天疱瘡、または結膜杯細胞破壊(すなわち、ビタミンA欠乏による結膜杯細胞の破壊)による瘢痕に続発する乾性眼疾患がある;
e.眼または眼周囲の悪性腫瘍がある;
f.角膜上皮の欠陥がある、または5つの角膜領域のうち2つ以上に50%を超えるコンフルエントな角膜染色がある;
g.ヘルペス性角膜炎の病歴がある;
h.活動性の眼アレルギー、または研究期間中に活動性になる可能性のある眼アレルギーがある;
i.発熱を含む進行中の眼または全身の感染症(細菌、ウイルス、または真菌)と診断されているか、または来院0もしくは来院1の時点で抗生物質による治療を受けている;
j.来院0の前90日以内にコンタクトレンズを装着したか、研究中にコンタクトレンズを使用する予定である;
k.来院0または来院1の前2時間以内に点眼薬、ジェル、またはスクラブを使用した;
l.来院0の前60日以内に局所シクロスポリンA(CsA)またはリフィテグラスト(Lifitegrast)を使用した;
m.以前のCyclASol研究に参加したことがある(レスタシス(Restasis)治療群に割り当てられた患者は研究に参加できる);
n.来院0の前180日以内に眼内手術もしくは眼レーザー手術を受けたか、または研究期間中に眼または眼瞼の手術を予定している;
o.妊娠中、授乳中、または妊娠を計画している女性である;
p.出産の可能性がある場合に、来院0および来院5(または早期中止来院)の時点で尿妊娠検査を提出することを望んでいない。出産の可能性がないことは、永久不妊法を受けている(すなわち、子宮摘出術、両側卵管結紮術、または両側卵巣摘出術を受けている)、または閉経後(すなわち、12か月連続で月経がない)の女性として定義される;
q.許容できる避妊手段を使用していない、出産の可能性のある女性であること。許容される避妊方法としては、ホルモン避妊薬(経口避妊薬、埋め込み型避妊薬、注射用避妊薬、または経皮的避妊薬)、避妊具(つまり、ペッサリーまたはコンドームなどのバリアと組み合わせた殺精子剤)、子宮内避妊器具(IUD)、またはパートナーの避妊手術が挙げられる。性的に活発でない女性にとって、禁欲は避妊の適切な方法と見なされる場合があるが、対象が研究中に性的に活発になった場合、対象は、研究の残りの部分で上記で定義された適切な避妊を使用することに同意する必要がある;
r.管理されていない全身性疾患がある;
s.治験薬またはその成分:シクロスポリンA(CsA)または半フッ素化アルカン(SFA)に対する既知のアレルギーまたは感受性がある;
t.活動性の眼または眼周囲の酒さまたは翼状片がある;
u.現在、治験用の薬物またはデバイスの研究に登録されているか、来院0の前60日以内に治験用の薬物またはデバイスを使用している;
v.来院0の前90日以内に局所抗緑内障薬を使用した;
w.来院0の前30日以内に局所的な眼若しくは顔のステロイド、または血清涙、または経口ドキシサイクリン、または経口テトラサイクリンを使用した;
x.来院0の前90日以内に全身ステロイド(効力の高いまたは広い治療領域を有する皮膚科ステロイドを含む)または免疫調節剤を非安定レジメンで使用したか、または研究期間中に非安定レジメンでの使用が見込まれる;
y.来院0の前30日以内に不安定なレジメンで眼の乾燥を引き起こすことが知られている経口薬(抗ヒスタミン薬または抗うつ薬など)を使用したか、研究中に経口眼乾燥薬の不安定な使用が見込まれる;
z.来院0または来院1の時点のいずれかの眼において、糖尿病性網膜症の早期治療研究(ETDRS)スケールによって評価した場合にlogMAR+0.7以上の矯正視力がある;
aa.治験責任医師が対象を重大なリスクにさらす可能性がある、研究結果を混乱させる可能性がある、または対象の研究への参加を著しく妨げる可能性があると感じる状態または状況(言語の壁など)がある;
bb.来院0の前90日以内に涙点プラグを受けた若しくは取り外したか、または研究中に涙点プラグの埋め込みまたは取り外しが見込まれる。
【0390】
患者の完全な分析セットは、それぞれ、CyclAsol 0.1%治療で162名、ビヒクル治療で166名であった。
【0391】
ベースラインでは、CyclAsol 01.%の患者群は次の特徴を有していた:平均総角膜フルオレセイン染色NEIスケール(SD)11.5(1.26);平均中心角膜フルオレセイン染色NEIスケール(SD)2(0.51);平均結膜染色(1.70)4.1;平均総OSDI(SD)46.9(16.73);VAS乾燥度(SD)68.5(21.6);シルマー試験の平均スコア5.2(2.83)。
【0392】
ベースラインでは、ビヒクル群の患者は以下の特徴を有していた:平均総角膜フルオレセイン染色NEIスケール(SD)11.5(1.25);平均中心角膜フルオレセイン染色NEIスケール(SD)2(0.52);平均結膜染色4.3(1.66);平均総OSDI(SD)47.1(16.41);VAS乾燥度(SD)69.9(20.5);シルマー試験の平均スコア5.1(2.64)。
【0393】
使用の指示
対象に、1日2回(朝と就寝前の晩)、各下まぶたに1)または2)の治療を1滴滴下するように指示した。
【0394】
評価基準
治療期間中の各来院で、各対象を、角膜フルオレセイン染色(NEIグレーディング);結膜染色(リサミン、オックスフォードグレーディング)と並んで、眼表面疾患指数質問票(OSDI、Schiffman R.M.et al 2000;118:615-621を参照)および視覚アナログスケール(VAS)などの対象症状評価質問票を含む試験を使用して治療効果に関して評価した
【0395】
研究中に以下の有効性測定値を得た。
【0396】
主要有効性測定
次の主要評価項目を、階層的な固定シーケンス試験を使用して順番に試験した:
1.29日目の総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)のベースラインからの変化。
2.29日目の眼表面疾患指数(OSDI)のベースラインからの変化。
【0397】
主要な副次有効性測定:
-総角膜フルオレセイン染色(NEIスケール)およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院(29日目を除く)までの変化
-眼表面疾患指数(OSDI)およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化(29日目を除く)
-主要な/最悪の症状の評価
-読書障害スコアおよびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化
-無麻酔のシルマー試験およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変更
-中心および下部角膜染色(NEIスケール)およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化
【0398】
副次有効性測定:
-読書評価およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変更
-他の小領域を染色する角膜フルオレセイン(NEIスケール)およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化
-眼表面疾患指数(OSDI)の小計スコア、およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化
-領域および合計(オックスフォードスケール)による結膜リサミングリーン染色、およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化
-涙液膜破壊時間(TFBUT)およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変化
-視覚アナログスケール(VAS)、ならびに乾燥、灼熱感/刺痛、べたつき感、異物感、かゆみ、かすみ目、光に対する感受性、痛み、およびドライアイの症状の認識、ならびに乾燥の頻度の認識に関するベースライン後の各来院までのベースラインからの変化
-InflammaDry(登録商標)試験(MMP-9)およびベースラインから測定されたベースライン後の各来院までの変更
-測定されたベースライン後の各来院までの対象の日記に記録された症状
【0399】
角膜染色
角膜染色のため(Sook Chun Y et al.,Am J Ophthalmol.2014 May;157(5):1097-102)、防腐剤を含まないフルオレセインナトリウム2%溶液5μlを各眼の下部結膜の結膜嚢に注入した。最大の蛍光を達成するため、フルオレセイン染色を、点眼後約3~5分後にのみ評価する。フルオレセイン染色を等級付けする能力を高めるために、Wratten#12黄色フィルターを使用した。
【0400】
角膜のみが等級付けされた状態で、NEIグレーディングスケール(国立眼研究所のグレーディングシステム)で染色を等級付けした。角膜フルオレセイン染色スコアを、0~3のスケールに基づいて、角膜の下部、上部、中心、側頭、および鼻側の各領域について得て、スコア0は、染色が観察されないことを意味する。「総角膜フルオレセイン染色総スコア」という用語は、角膜の下部、上部、中心、側頭、および鼻側の領域からのスコアの合計を指す。
【0401】
結膜リサミングリーン染色
結膜リサミングリーン染色(Bron A.J.et al,Cornea.2003;22:640-650)を、対象の下部結膜の結膜嚢にリサミングリーン溶液10μlを滴下することによって実施した。約30秒待った後、染色を評価した。対象に、リサミングリーンを散布するために数回まばたきするように指示した。染色をオックスフォードグレーディングスケールで等級付けした。ここでは、リサミン染色を、一連のパネル(A~E)上の点線のドットによって表す。染色の範囲は、各パネルで0~5、露出した眼瞼間結膜全体で0~10である。鼻側と側頭の両方の領域を別々に等級付けした。スコア0は、染色がないことを意味する。結膜の側頭領域と鼻側領域の両方からのスコアの合計を参照して、総結膜リサミングリーン染色スコアを得た。
【0402】
眼表面疾患指数(OSDI)
眼表面疾患指数(OSDI)(Schiffman RM,et al.,Arch Ophthalmol.2000;118:615-621を参照)は、乾性眼疾患における眼刺激の症状と、それらが視力と関連する機能にどのように影響するかを評価するために使用される調査ツールである。これは、患者の過去1週間のドライアイの症状および視力関連機能への影響を評価する12項目の質問票である。質問票には、眼症状、視力関連機能、および環境トリガーの3つのサブスケールがある。患者は0~4のスケールで反応を評価し、0は「常になし」に対応し、4は「常に」に対応する。0~100の範囲の最終スコアを算出する。
【0403】
質問では、過去1週間以内に患者が経験したドライアイの症状を評価し、これには、光に対する感受性、ざらつき感、眼の痛みまたはひりひり感、かすみ目、および視力低下;読書、夜間の運転、コンピュータまたは銀行の現金自動預け払い機での作業、テレビの視聴などの問題の観点から、ならびに環境要因またはトリガー(すなわち、風がある条件、湿度の低い場所、および空調のある場所での不快感)の観点からの視覚関連機能が含まれる。すべての質問と並んで、回答された質問の総数について小計を取得する。OSDIインデックスを、0~100のスケールに基づいて評価し、スコアが高いほど障害が大きいことを表す。OSDIインデックスを、回答された質問の総数に対して、スコアの合計に25の係数を掛けて計算する。
【0404】
視覚アナログスケール(VAS)
対象に10項目の質問票で眼の乾燥による眼の症状(両眼を同時に)を評価するように求め、不快感がないことに対応する0%の値で始まり、最大の不快感に対応する100%の値で終わる水平線に垂直マークを付けて不快感のレベルを示すように求める。対象に次のそれぞれについて質問した:乾燥(VAS質問票の最初の質問に対応し、テキストおよびグラフでは乾燥の重症度とも称される)、べたつき感(質問2)、灼熱感/刺痛(質問3)、異物感(質問4)、かゆみ(質問5)、かすみ目(質問6)、光に対する感受性(質問7)、および痛み(質問8)。対象には、時間の割合の観点から、ドライアイの症状(質問9)および乾燥の頻度(質問10)の認識についても質問した。これらの2つの質問では、0%の値は「まったくない」に対応し、100%の値は「常に」に対応する。スケールの評価線の長さは100mm(10cm)であり、10mmごとに等級付けされる(10%、20%などを推奨)。
【0405】
治療の有効性を判断するために、1日目の来院1の時点のベースライン値と比較して、各来院で患者によって示される値を比較することができる。
【0406】
シルマー試験I法(麻酔なし)
シルマー試験I法を、以下の手順で実施する。試験の前に吸い取らないこと。無菌のTear Floシルマー試験片を使用して、条片のノッチに合わせて条片を曲げる。対象に見上げるように指示する。シルマー試験片を、条片がしっかりとはまるように、各眼の下眼瞼縁に配置する。対象に目を閉じるように指示した。5分が経過した後、シルマー条片を取り外した。湿った領域の長さ(mm)を各眼について記録した。
【0407】
涙液膜破壊時間(TFBUT)
検査官は、防腐剤を含まないフルオレセインナトリウム2%溶液5μLを各眼の下部結膜の結膜嚢に注入した。フルオレセインと涙液膜を完全に混合するために、対象に数回まばたきするように指示した。最大の蛍光を達成するには、検査官はTFBUTを評価する前に点眼後約30秒待つ必要がある。
【0408】
細隙灯の補助により、検査官は涙液膜の完全性を監視し、目を開いたときからミセルを形成するのにかかる時間を記録した。ストップウォッチおよび右眼、続いて左眼のデジタル画像記録システムを使用して数秒でTFBUTを測定した。Wratten #12黄色フィルターを使用して、TFBUTの等級付け能を強化した。
【0409】
各眼について、2つの測定値が2秒以上離れており、それぞれが10秒未満である場合を除き(そのような場合には3回目の測定を行い、3回のうち最も近い2回を平均する)、各眼について2つの測定値を取得し、平均化する。すべての値をソースドキュメントに記録した。
【0410】
研究結果
乾性眼疾患の患者におけるCyclAsolによる治療は、ベースラインで最初の来院時に得られた45以上(≧45)の総OSDIスコア(ベースラインスコア)を持っていることが特に効果的であることが観察された(
図1)。治療中に総OSDIのベースラインから有意な変化があったことが観察された。特に、ビヒクルと比較して、CyclAsolは、ベースラインで総OSDIが55以上の患者群でも顕著な効果がある(
図2)。
【0411】
また、研究対象の患者母集団と比較して、Cyclasolによる12週間の治療過程における総OSDIのベースラインからの平均変化は、OSDIが45以上または55以上の患者で総じて有意であったことも観察されている。
【0412】
また、ビヒクルと比較して、ドライアイ症状の視覚アナログスケール(VAS)試験を使用して評価した、乾性眼疾患の症状の全体的な認識および頻度が、ベースラインの来院スコアと比較して、CyclASolによる治療期間のわずか4週間後に既に大幅に減少していることもわかった(
図3)。
【0413】
VAS質問票の「乾燥」の症状に関連する質問に対応する乾燥の重症度については、ベースラインからの平均変化が、乾燥の重症度のレベルの減少に関して、治療の4週間目で既に有意であったことも観察された。乾燥のVAS重症度のベースライン値は、CyclAsol 0.1%およびビヒクルでそれぞれ68.5および69.9であった。
【0414】
同様に、VAS(視覚アナログスケール)試験の一部として評価されるかすみ目の重症度の低下も観察された。主要評価項目の来院時に、
図3に示す症状について、統計的に有意な(p=0.02~0.03)症状の改善が示された。
【0415】
また、VAS試験によって決定された乾燥の重症度の軽減に関して、(ベースライン来院値と比較して)少なくとも25%以上の改善が見られた研究中の患者の割合は、ビヒクルと比較したすべての来院においてCyclASolの方が高かったことがわかった。乾燥の重症度の軽減に関して、CyclASolによる治療からの奏効率が25%以上の患者の割合は、治療の2週間目で既に約26%であった。4週間、8週間、および12週間で、乾燥の重症度の軽減について、25%以上の奏効率を有する、すなわち25%以上の改善があった患者の割合は、それぞれ33%、37%、および39%であることが観察された。同様に、VAS試験によって決定された、(ベースライン来院値と比較して)25%以上の改善度を有する患者に関して、患者が経験する乾燥の頻度の減少に対するレスポンダー率も、ビヒクルと比較して、CyclASol治療で高いことが観察された。乾燥の頻度の減少に関して、CyclASolによる治療からの奏効率が25%以上の患者の割合は、治療の2週間目で既に約24%であった。4週間、8週間、および12週間で、乾燥の頻度の減少について、25%以上の奏効率を有する患者の割合は、それぞれ34%、42%、および37%であることが観察された。
【0416】
図5および6に示すように、4週間での研究の主要評価項目は、統計的および臨床的に高い有意性を示した。角膜フルオレセイン染色全体に対する効果の発現は、早くも2週間であり、研究期間全体を通して持続した(
図5)。CyclAsol 0.1%およびビヒクルのtCFSの平均ベースライン値は、両群で11.5であった。
図6に示すように、全患者の50%以上がCyclAsol 0.1%に反応し、4週間の治療後に角膜フルオレセインの総染色が3グレード以上改善した。
【0417】
CyclAsol 0.1%治療の大部分の恩恵を受けた角膜の領域は、視覚機能にとって最も重要な領域である中心領域であった。
図7に示すように、4週間の治療後にCyclAsol 0.1%治療を受けた対象の58.6%で、1グレード以上の中心角膜フルオレセイン染色の改善が得られた。
【0418】
結膜でも高いレスポンダー率が得られた。
図8には、12週間の治療後、CyclAsol 0.1%治療を受けた患者の50.3%が、眼の健康に関連する徴候である結膜リサミングリーン染色スコアで少なくとも2グレード改善したことが示されている。
図9は、2つの患者集団における結膜リサミングリーン染色のベースラインからの変化を示している。CyclAsol 0.1%群およびビヒクル群のベースライン値は、それぞれ4.1および4.3である。