(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011625
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/40 20060101AFI20240118BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240118BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01G4/40 321A
H01G4/30 201A
H01G4/30 201C
H01G4/30 201Z
H01F27/00 S
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113801
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】易 龍飛
(72)【発明者】
【氏名】戸蒔 重光
【テーマコード(参考)】
5E001
5E070
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E001AH07
5E070AA05
5E070AB06
5E070CB12
5E070DB08
5E070EA01
5E082AB03
5E082BB01
5E082BB05
5E082BC30
5E082DD08
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG26
5E082JJ03
5E082JJ06
5E082MM24
(57)【要約】
【課題】Q値の向上が図れる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、一方向に延在している第一導体11と、一方向に延在している第二導体12と、第一導体11の延在方向の端部と第二導体12の延在方向の端部とにわたって直線状に延在して架設されている第一インダクタ導体18と、一方向に延在していると共に延在方向において第一端部16A及び第二端部16Bを有する連結導体16であって、第一端部16Aが第一インダクタ導体18に接続されていると共に第一導体11と第二導体12との間に位置している連結導体16と、連結導体16の第二端部16Bに電気的に接続されているキャパシタパット17と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在している第一導体と、
前記一方向に延在している第二導体と、
前記第一導体の延在方向の端部と前記第二導体の延在方向の端部とにわたって直線状に延在して架設されている第一接続導体と、
前記一方向に延在していると共に延在方向において第一端部及び第二端部を有する連結導体であって、前記第一端部が前記第一接続導体に接続されていると共に前記第一導体と前記第二導体との間に位置している該連結導体と、
前記連結導体の前記第二端部に電気的に接続されているキャパシタパットと、を備える、電子部品。
【請求項2】
前記連結導体の前記第一端部は、前記第一接続導体の延在方向の中央部に接続されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記一方向に延在している第三導体と、
前記一方向に延在している第四導体と、
前記第三導体の延在方向の端部と前記第四導体の延在方向の端部とにわたって直線状に延在して架設されている第二接続導体と、を備え、
前記連結導体の前記第一端部は、前記第二接続導体に接続されていると共に前記第三導体と前記第四導体との間に位置している、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第一接続導体と前記第二接続導体とは、前記一方向から見て、前記第一接続導体の延在方向と前記第二接続導体の延在方向とが交差するように配置されており、
前記連結導体の前記第一端部は、前記第一接続導体と前記第二接続導体との交差部分に接続されている、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記キャパシタパットを複数有し、
前記連結導体の前記第二端部と、複数の前記キャパシタパットのそれぞれとを接続する第三接続導体を備える、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項6】
第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の実装面及び主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有し、直方体形状を呈している素体を備え、
前記第一導体、前記第二導体、前記第三導体及び前記第四導体は、前記第二方向に沿って延在しており、
前記第二方向から見て、前記第一導体と前記第二導体とは前記素体内において第一対角線上に位置し、前記第三導体と前記第四導体とは前記素体内において前記第一対角に交差する第二対角線上に位置している、請求項3に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の誘電体層と複数の電極層との積層体であり、複数の電極層で、第一キャパシタ電極と、この第一キャパシタ電極に対向する第二キャパシタ電極と、第一キャパシタ電極に第一端が接続され、第二キャパシタ電極に第二端が接続され、第一端を始点、第二端を終点とするループを形成するインダクタ電極とが構成され、インダクタ電極は、誘電体層に沿って形成された線路電極と誘電体層の積層方向に延びるビア電極とで構成され、第一キャパシタ電極、第二キャパシタ電極及びインダクタ電極によって構成されるLC並列共振器が三つ以上の複数個設けられた積層帯域通過フィルタが開示されている。特許文献1に記載の積層帯域通過フィルタでは、複数のLC並列共振器のインダクタ電極は、当該インダクタ電極のループ面が誘電体層の積層方向に延びる中心軸から放射状となるように配置され、入力段のLC並列共振器のインダクタ電極と出力段のLC並列共振器のインダクタ電極とが隣接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面は、Q値の向上が図れる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一側面に係る電子部品は、一方向に延在している第一導体と、一方向に延在している第二導体と、第一導体の延在方向の端部と第二導体の延在方向の端部とにわたって直線状に延在して架設されている第一接続導体と、一方向に延在していると共に延在方向において第一端部及び第二端部を有する連結導体であって、第一端部が第一接続導体に接続されていると共に第一導体と第二導体との間に位置している該連結導体と、連結導体の第二端部に電気的に接続されているキャパシタパットと、を備える。
【0006】
本発明の一側面に係る電子部品では、キャパシタパットに電気的に接続される連結導体は、第一導体と第二導体とに架設されている第一接続導体に接続され、第一導体と第二導体との間に位置している。すなわち、連結導体は、第一接続導体に吊り下げられている。これにより、電子部品では、第一導体と連結導体との間、及び、第二導体と連結導体との間に空間が形成される。そのため、電子部品では、連結導体の周囲に磁束が発生する領域を確保できるため、連結導体の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品では、第一導体、第二導体、第一接続導体及び連結導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができる。その結果、電子部品では、Q値の向上を図れる。
【0007】
(2)連結導体の第一端部は、第一接続導体の延在方向の中央部に接続されている、(1)に記載の電子部品。この構成では、第一導体及び第二導体のそれぞれと連結導体との間の距離を同等にできる。そのため、第一導体及び第二導体のそれぞれと連結導体との間に空間を適切に形成することができる。
【0008】
(3)一方向に延在している第三導体と、一方向に延在している第四導体と、第三導体の延在方向の端部と第四導体の延在方向の端部とにわたって直線状に延在して架設されている第二接続導体と、を備え、連結導体の第一端部は、第二接続導体に接続されていると共に第三導体と第四導体との間に位置している、(1)又は(2)に記載の電子部品。この構成では、連結導体は、第二接続導体に吊り下げられている。これにより、電子部品では、第三導体と連結導体との間、及び、第四導体と連結導体との間に空間が形成される。そのため、電子部品では、連結導体の周囲に磁束が発生する領域を確保できるため、連結導体の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品では、第一導体、第二導体、第三導体、第四導体、第一接続導体、第二接続導体及び連結導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができる。その結果、電子部品では、Q値の向上を図れる。
【0009】
(4)第一接続導体と第二接続導体とは、一方向から見て、第一接続導体の延在方向と第二接続導体の延在方向とが交差するように配置されており、連結導体の第一端部は、第一接続導体と第二接続導体との交差部分に接続されている、(3)に記載の電子部品。この構成では、第一導体、第二導体、第三導体及び第四導体のそれぞれと連結導体との間の距離を同等にできる。そのため、第一導体、第二導体、第三導体及び第四導体のそれぞれと連結導体との間に空間を適切に形成することができる。
【0010】
(5)キャパシタパットを複数有し、連結導体の第二端部と、複数のキャパシタパットのそれぞれとを接続する第三接続導体を備える、(1)から(4)のいずれか一つに記載の電子部品。この構成では、複数の共振器を構成することができる。
【0011】
(6)第一方向において互いに対向している一対の端面と、第二方向において互いに対向している一対の実装面及び主面と、第三方向において互いに対向している一対の側面と、を有し、直方体形状を呈している素体を備え、第一導体、第二導体、第三導体及び第四導体は、第二方向に沿って延在しており、第二方向から見て、第一導体と第二導体とは素体内において第一対角線上に位置し、第三導体と第四導体とは素体内において第一対角に交差する第二対角線上に位置している、(3)又は(4)に記載の電子部品。この構成では、素体内において、第一導体と第二導体との間の距離、及び、第三導体と第四導体との間の距離を最大に確保することができる。そのため、電子部品では、素体内の限られたスペースにおいて、第一導体、第二導体、第三導体、第四導体、第一接続導体、第二接続導体及び連結導体を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を最大限に増加させることができる。その結果、電子部品では、Q値の向上を図れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、Q値の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
【
図8】
図8は、第二実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[第一実施形態]
図1(a)、
図1(b)、
図2及び
図3を参照して、第一実施形態に係る電子部品を説明する。
図1(a)及び
図1(b)は、第一実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2は、
図1に示す電子部品の透過斜視図である。
図3は、
図1に示す電子部品の透過斜視図である。
図1(a)、
図1(b)、
図2及び
図3に示されるように、電子部品1は、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と、共振器6と、を備えている。
図2及び
図3では、説明の便宜上、素体2を二点鎖線で示している。
【0016】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、外面として、一対の端面2a,2bと、一対の主面2c,2dと、一対の側面2e,2fと、を有している。端面2a,2bは、互いに対向している。主面2c,2dは、互いに対向している。側面2e,2fは、互いに対向している。以下では、端面2a,2bの対向方向を第一方向D1、主面2c,2dの対向方向を第二方向(一方向)D2、及び、側面2e,2fの対向方向を第三方向D3とする。第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は互いに略直交している。
【0017】
端面2a,2bは、主面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。端面2a,2bは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。主面2c,2dは、端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。主面2c,2dは、側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。側面2e,2fは、端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。側面2e,2fは、主面2c,2dを連結するように第二方向D2にも延在している。
【0018】
主面2dは、実装面であり、たとえば電子部品1を図示しない他の電子機器(たとえば、回路基材、又は積層電子部品)に実装する際、他の電子機器と対向する面である。端面2a,2bは、実装面(すなわち主面2d)から連続する面である。
【0019】
素体2の第一方向D1における長さは、素体2の第二方向D2における長さ及び素体2の第三方向D3における長さよりも長い。素体2の第二方向D2における長さは、素体2の第三方向D3における長さよりも短い。すなわち、本実施形態では、端面2a,2b、主面2c,2d及び側面2e,2fは、長方形状を呈している。素体2の第二方向D2における長さは、素体2の第三方向D3における長さと同等であってもよいし、素体2の第三方向D3における長さよりも長くてもよい。
【0020】
なお、本実施形態で「同等」とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
【0021】
素体2は、複数の素体層(図示省略)が第二方向D2において積層されてなる。つまり、素体2の積層方向は、第二方向D2である。実際の素体2では、複数の素体層は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されていてもよいし、層間の境界が視認できるように一体化されていてもよい。
【0022】
素体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系材料、Ba(Ti,Zr)O3系材料、(Ba,Ca)TiO3系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料から選択された少なくとも1つを含んでいる。
【0023】
第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、素体2に設けられている。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、素体2の主面2dに配置されている。第一端子電極3と第二端子電極4とは、第一方向D1において互いに離間して素体2に設けられている。具体的には、第一端子電極3は、素体2の端面2a側に配置されている。第二端子電極4は、素体2の端面2b側に配置されている。第三端子電極5は、第一端子電極3と第二端子電極4との間に配置されている。
【0024】
第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、長方形状(矩形状)を呈している。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれは、各辺が第一方向D1又は第三方向D3に沿うように配置されている。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5は、主面2dよりも突出している。すなわち、本実施形態では、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれの表面は、主面2dと面一ではない。第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5は、導電材料(たとえば、Cu)により構成されている。
【0025】
第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5のそれぞれには、電解めっき又は無電解めっきが施されることにより、たとえばNi、Sn、Auなどを含むめっき層(不図示)が設けられてもよい。めっき層は、たとえばNiを含み第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5を覆うNiめっき膜と、Auを含み、Niめっき膜を覆うAuめっき膜と、を有していてもよい。
【0026】
図4は、
図1に示す電子部品を上から見た図である。
図5は、
図1に示す電子部品の端面図である。
図6は、
図1に示す電子部品の側面図である。
図1~
図6に示されるように、共振器6は、グラウンド導体10と、第一導体11と、第二導体12と、第三導体13と、第四導体14と、インダクタ導体15と、連結導体16と、キャパシタパット17と、を備えている。
【0027】
グラウンド導体10は、素体2の主面2d側に配置されている。グラウンド導体10は、第二方向D2から見て、長方形状を呈している。グラウンド導体10は、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と電気的に接続されている。グラウンド導体10と第一端子電極3とは、接続導体20によって電気的に接続されている。グラウンド導体10と第二端子電極4とは、接続導体21によって電気的に接続されている。グラウンド導体10と第三端子電極5とは、複数の接続導体22によって電気的に接続されている。
【0028】
第一導体11は、第二方向D2に沿って延在している。第一導体11は、例えば、円柱状を呈している。第一導体11は、複数のビア導体によって構成され得る。第一導体11は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第一導体11は、第二方向D2から見て、端面2aと側面2fとにより形成される角部に配置されている。第一導体11は、第一端部11Aと、第二端部11Bと、を有している。第一導体11の第一端部11Aは、第一インダクタ導体18(インダクタ導体15)に接続されている。第一導体11の第二端部11Bは、グラウンド導体10に接続されている。
【0029】
第二導体12は、第二方向D2に沿って延在している。第二導体12は、例えば、円柱状を呈している。第二導体12は、複数のビア導体によって構成され得る。第二導体12は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第二導体12は、第二方向D2から見て、端面2bと側面2eとにより形成される角部に配置されている。素体2内において、第二導体12と第一導体11とは、第一対角線上の位置に配置されている。第二導体12は、第一端部12Aと、第二端部12Bと、を有している。第二導体12の第一端部12Aは、第一インダクタ導体18(インダクタ導体15)に接続されている。第二導体12の第二端部12Bは、グラウンド導体10に接続されている。
【0030】
第三導体13は、第二方向D2に沿って延在している。第三導体13は、例えば、円柱状を呈している。第三導体13は、複数のビア導体によって構成され得る。第三導体13は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第三導体13は、第二方向D2から見て、端面2aと側面2eとにより形成される角部に配置されている。第三導体13は、第一導体11と第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第三導体13は、第一端部13Aと、第二端部13Bと、を有している。第三導体13の第一端部13Aは、第二インダクタ導体19(インダクタ導体15)に接続されている。第三導体13の第二端部13Bは、グラウンド導体10に接続されている。
【0031】
第四導体14は、第二方向D2に沿って延在している。第四導体14は、例えば、円柱状を呈している。第四導体14は、複数のビア導体によって構成され得る。第四導体14は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第四導体14は、第二方向D2から見て、端面2bと側面2fとにより形成される角部に配置されている。素体2内において、第四導体14と第三導体13とは、第一対角線に交差する第二対角線上に配置されている。第四導体14は、第二導体12と第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第四導体14は、第一端部14Aと、第二端部14Bと、を有している。第四導体14の第一端部14Aは、第二インダクタ導体19(インダクタ導体15)に接続されている。第四導体14の第二端部14Bは、グラウンド導体10に接続されている。
【0032】
インダクタ導体15は、インダクタを構成している。本実施形態では、インダクタ導体15は、第二方向D2において対向して配置されている二枚の導体で構成されている。
図4に示されるように、インダクタ導体15は、第二方向D2から見て、略X字状を呈している。インダクタ導体15は、第一インダクタ導体(第一接続導体)18と、第二インダクタ導体(第二接続導体)19と、を有している。本実施形態では、第一インダクタ導体18及び第二インダクタ導体19は、一体に形成されている。
【0033】
第一インダクタ導体18は、所定の幅を有しており、直線状に延在している。第一インダクタ導体18の延在方向は、第一対角線と一致する。第一インダクタ導体18は、第一導体11と第二導体12とを電気的に接続している。第一インダクタ導体18は、第一導体11の第一端部11Aと第二導体12の第一端部12Aとにわたって架設されている。
【0034】
第二インダクタ導体19は、所定の幅を有しており、直線状に延在している。第二インダクタ導体19の延在方向は、第二対角線と一致する。第二インダクタ導体19は、第三導体13と第四導体14とを電気的に接続している。第二インダクタ導体19は、第三導体13の第一端部13Aと第四導体14の第一端部14Aとにわたって架設されている。
【0035】
第一インダクタ導体18と第二インダクタ導体19とは、第二方向D2から見て、それぞれの延在方向が交差するように配置されている。第一インダクタ導体18の延在方向の中央部と、第二インダクタ導体19の延在方向の中央部とは、互いに重なるように位置している。
【0036】
連結導体16は、第二方向D2に沿って延在している。連結導体16は、例えば、円柱状を呈している。連結導体16は、複数のビア導体によって構成され得る。連結導体16は、第一端部16Aと、第二端部16Bと、を有している。連結導体16の第一端部16Aは、インダクタ導体15に接続されている。具体的には、第一端部16Aは、第一インダクタ導体18と第二インダクタ導体19との交差部分に接続されている。すなわち、連結導体16は、第一インダクタ導体18及び第二インダクタ導体19のそれぞれの延在方向の中央部に接続されている。連結導体16は、インダクタ導体15に吊り下げられた状態で固定されているといえる。連結導体16の第二端部16Bは、キャパシタパット17に接続されている。
【0037】
連結導体16は、第一導体11と第二導体12との間に位置している。連結導体16は、第一導体11及び第二導体12と共に第一対角線上に位置している。すなわち、連結導体16は、第一対角線に沿って見た場合、第一導体11及び第二導体12と重なる。連結導体16は、第三導体13と第四導体14との間に位置している。連結導体16は、第三導体13及び第四導体14と共に第二対角線上に位置している。すなわち、連結導体16は、第二対角線に沿って見た場合、第三導体13及び第四導体14と重なる。
【0038】
キャパシタパット17は、キャパシタを構成している。キャパシタパット17は、略矩形状を呈している。キャパシタパット17は、連結導体16に接続されている。キャパシタパット17は、連結導体16の第二端部16Bに接続されている。キャパシタパット17は、グラウンド導体10と対向して配置されている。
【0039】
図7は、
図1に示す電子部品1の等価回路図である。
図7に示されるように、電子部品1は、キャパシタC1と、第一インダクタL1と、第二インダクタL2と、第三インダクタL3と、第四インダクタL4と、を備えている。キャパシタC1、第一インダクタL1、第二インダクタL2、第三インダクタL3及び第四インダクタL4は、LC共振器を構成している。
【0040】
キャパシタC1は、グラウンド導体10とキャパシタパット17とによって構成されている。第一インダクタL1は、第一導体11と、連結導体16と、第一インダクタ導体18と、によって構成されている。第二インダクタL2は、第二導体12と、連結導体16と、第一インダクタ導体18と、によって構成されている。第三インダクタL3は、第三導体13と、連結導体16と、第二インダクタ導体19と、によって構成されている。第四インダクタL4は、第四導体14、連結導体16と、第二インダクタ導体19と、によって構成されている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1では、キャパシタパット17に電気的に接続される連結導体16は、第一導体11と第二導体12とに架設されている第一インダクタ導体18に接続され、第一導体11と第二導体12との間に位置している。すなわち、連結導体16は、第一インダクタ導体18に吊り下げられている。これにより、電子部品1では、第一導体11と連結導体16との間、及び、第二導体12と連結導体16との間に空間が形成される。そのため、電子部品1では、連結導体16の周囲に磁束が発生する領域を確保できるため、連結導体16の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品1では、第一導体11、第二導体12、第一インダクタ導体18及び連結導体16を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができる。その結果、電子部品1では、Q値の向上を図れる。
【0042】
本実施形態に係る電子部品1では、連結導体16の第一端部16Aは、第一インダクタ導体18の延在方向の中央部に接続されている。この構成では、第一導体11及び第二導体12のそれぞれと連結導体16との間の距離を同等にできる。そのため、第一導体11及び第二導体12のそれぞれと連結導体16との間に空間を適切に形成することができる。
【0043】
本実施形態に係る電子部品1では、第三導体13と、第四導体14と、第二インダクタ導体19と、を備えている。電子部品1では、連結導体16の第一端部16Aは、第二インダクタ導体19に接続されていると共に第三導体13と第四導体14との間に位置している。この構成では、連結導体16は、第二インダクタ導体19に吊り下げられている。これにより、電子部品1では、第三導体13と連結導体16との間、及び、第四導体14と連結導体16との間に空間が形成される。そのため、電子部品1では、連結導体16の周囲に磁束が発生する領域を確保できるため、連結導体16の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品1では、第一導体11、第二導体12、第三導体13、第四導体14、第一インダクタ導体18、第二インダクタ導体19及び連結導体16を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができる。その結果、電子部品1では、Q値の向上を図れる。
【0044】
本実施形態に係る電子部品1では、第一インダクタ導体18と第二インダクタ導体19とは、第二方向D2から見て、第一インダクタ導体18の延在方向と第二インダクタ導体19の延在方向とが交差するように配置されている。連結導体16の第一端部16Aは、第一インダクタ導体18と第二インダクタ導体19との交差部分に接続されている。この構成では、第一導体11、第二導体12、第三導体13及び第四導体14のそれぞれと連結導体16との間の距離を同等にできる。そのため、第一導体11、第二導体12、第三導体13及び第四導体14のそれぞれと連結導体16との間に空間を適切に形成することができる。
【0045】
本実施形態に係る電子部品1では、第二方向D2から見て、第一導体11と第二導体12とは素体2において第一対角線上に位置し、第三導体13と第四導体14とは素体2内において第一対角に交差する第二対角線上に位置している。この構成では、素体2内において、第一導体11と第二導体12との間の距離、及び、第三導体13と第四導体14との間の距離を最大に確保することができる。そのため、電子部品1では、素体2内の限られたスペースにおいて、第一導体11、第二導体12、第三導体13、第四導体14、第一インダクタ導体18、第二インダクタ導体19及び連結導体16を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を最大限に増加させることができる。その結果、電子部品1では、Q値の向上を図れる。
【0046】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。
図8は、第二実施形態に係る電子部品の透過斜視図である。
図9は、
図8に示す電子部品の透過斜視図である。
図8及び
図9に示されるように、電子部品1Aは、素体2と、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と、共振器6Aと、を備えている。
図8及び
図9では、説明の便宜上、素体2を二点鎖線で示している。
【0047】
図10は、
図8に示す電子部品を上から見た図である。
図11は、
図8に示す電子部品の端面図である。
図12は、
図8に示す電子部品の側面図である。
図8~
図12に示されるように、共振器6Aは、グラウンド導体30と、第一導体31と、第二導体32と、第三導体33と、第四導体34と、インダクタ導体35と、連結導体36と、接続導体37と、接続導体(第三接続導体)38と、接続導体(第三接続導体)39と、キャパシタパット40と、キャパシタパット41と、キャパシタパット42と、キャパシタパット43と、キャパシタパット44と、備えている。
【0048】
グラウンド導体30は、素体2の主面2d側に配置されている。グラウンド導体30は、第二方向D2から見て、略H字形状を呈している。グラウンド導体30は、第一端子電極3、第二端子電極4及び第三端子電極5と電気的に接続されている。グラウンド導体30と第一端子電極3とは、接続導体45によって電気的に接続されている。グラウンド導体30と第二端子電極4とは、接続導体46によって電気的に接続されている。グラウンド導体30と第三端子電極5とは、複数の接続導体47によって電気的に接続されている。
【0049】
第一導体31は、第二方向D2に沿って延在している。第一導体31は、例えば、円柱状を呈している。第一導体31は、複数のビア導体によって構成され得る。第一導体31は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第一導体31は、第二方向D2から見て、端面2aと側面2fとにより形成される角部に配置されている。第一導体31は、第一端部31Aと、第二端部31Bと、を有している。第一導体31の第一端部31Aは、第一インダクタ導体35A及び第二インダクタ導体35B(インダクタ導体35)に接続されている。第一導体31の第二端部31Bは、グラウンド導体30に接続されている。
【0050】
第二導体32は、第二方向D2に沿って延在している。第二導体32は、例えば、円柱状を呈している。第二導体32は、複数のビア導体によって構成され得る。第二導体32は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第二導体32は、第二方向D2から見て、端面2bと側面2eとにより形成される角部に配置されている。素体2内において、第二導体32と第一導体31とは、第一対角線上の位置に配置されている。第二導体32は、第一端部32Aと、第二端部32Bと、を有している。第二導体32の第一端部32Aは、第一インダクタ導体35A及び第三インダクタ導体35C(インダクタ導体35)に接続されている。第二導体32の第二端部32Bは、グラウンド導体30に接続されている。
【0051】
第三導体33は、第二方向D2に沿って延在している。第三導体33は、例えば、円柱状を呈している。第三導体33は、複数のビア導体によって構成され得る。第三導体33は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第三導体33は、第二方向D2から見て、端面2aと側面2eとにより形成される角部に配置されている。第三導体33は、第一導体31と第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第三導体33は、第一端部33Aと、第二端部33Bと、を有している。第三導体33の第一端部33Aは、第二インダクタ導体35B(インダクタ導体35)に接続されている。第三導体33の第二端部33Bは、キャパシタパット42に接続されている。
【0052】
第四導体34は、第二方向D2に沿って延在している。第四導体34は、例えば、円柱状を呈している。第四導体34は、複数のビア導体によって構成され得る。第四導体34は、素体2の角部に配置されている。具体的には、第四導体34は、第二方向D2から見て、端面2bと側面2fとにより形成される角部に配置されている。素体2内において、第四導体34と第三導体33とは、第一対角線に交差する第二対角線上に配置されている。第四導体34は、第二導体32と第三方向D3において所定の間隔をあけて配置されている。第四導体34は、第一端部34Aと、第二端部34Bと、を有している。第四導体34の第一端部34Aは、第三インダクタ導体35C(インダクタ導体35)に接続されている。第四導体34の第二端部34Bは、キャパシタパット43に接続されている。
【0053】
インダクタ導体35は、インダクタを構成している。本実施形態では、インダクタ導体35は、第二方向D2において対向して配置されている二枚の導体で構成されている。
図10に示されるように、インダクタ導体35は、第二方向D2から見て、略Z字状を呈している。インダクタ導体35は、第一インダクタ導体35Aと、第二インダクタ導体35Bと、第三インダクタ導体35Cと、を有している。本実施形態では、第一インダクタ導体35A、第二インダクタ導体35B及び第三インダクタ導体35Cは、一体に形成されている。
【0054】
第一インダクタ導体35Aは、所定の幅を有しており、直線状に延在している。第一インダクタ導体4Aは、第一導体31と第二導体32とを電気的に接続している。第一インダクタ導体35Aは、第一導体31の第一端部31Aと第二導体32の第一端部32Aとにわたって架設されている。
【0055】
第二インダクタ導体35Bは、所定の幅を有しており、直線状に延在している。第二インダクタ導体35Bは、第一導体31と第三導体33とを電気的に接続している。第二インダクタ導体35Bは、第一導体31の第一端部31Aと第三導体33の第一端部33Aとにわたって架設されている。
【0056】
第三インダクタ導体35Cは、所定の幅を有しており、直線状に延在している。第三インダクタ導体35Cは、第二導体32と第四導体34とを電気的に接続している。第三インダクタ導体35Cは、第二導体32の第一端部32Aと第四導体34の第一端部34Aとにわたって架設されている。
【0057】
第一インダクタ導体35Aの一端部と第二インダクタ導体35Bの一端部とは接続されている。第一インダクタ導体35Aの他端部と第三インダクタ導体35Cの一端部とは接続されている。
【0058】
連結導体36は、第二方向D2に沿って延在している。連結導体36は、例えば、円柱状を呈している。連結導体36は、複数のビア導体によって構成され得る。連結導体36は、第一端部36Aと、第二端部36Bと、を有している。連結導体36の第一端部36Aは、インダクタ導体35に接続されている。具体的には、第一端部36Aは、第一インダクタ導体35Aに接続されている。連結導体36は、第一インダクタ導体35Aの延在方向の中央部に接続されている。連結導体36の第二端部36Bは、接続導体37に接続されている。
【0059】
接続導体37の延在方向の一端部には、接続導体38が接続されている。接続導体38は、第二方向D2に沿って延在している。接続導体38には、キャパシタパット40が接続されている。キャパシタパット40は、略矩形状を呈している。キャパシタパット40は、グラウンド導体30と対向して配置されている。接続導体37の延在方向の他端部には、接続導体39が接続されている。接続導体39は、第二方向D2に沿って延在している。接続導体39には、キャパシタパット41が接続されている。キャパシタパット41は、略矩形状を呈している。キャパシタパット41は、グラウンド導体30と対向して配置されている。
【0060】
キャパシタパット42及びキャパシタパット43のそれぞれは、第二方向D2から見て、略L字形状を呈している。キャパシタパット44は、第二方向D2から見て、矩形状を呈している。キャパシタパット44は、キャパシタパット42及びキャパシタパット43のそれぞれと重なる位置に配置されている。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品1Aでは、キャパシタパット40,41に電気的に接続される連結導体36は、第一導体31と第二導体32とに架設されている第一インダクタ導体35Aに接続され、第一導体31と第二導体32との間に位置している。すなわち、連結導体36は、第一インダクタ導体35Aに吊り下げられている。これにより、電子部品1Aでは、第一導体31と連結導体36との間、及び、第二導体32と連結導体36との間に空間が形成される。そのため、電子部品1Aでは、連結導体36の周囲に磁束が発生する領域を確保できるため、連結導体36の周囲に磁界を形成することができる。したがって、電子部品1Aでは、第一導体31、第二導体32、第一インダクタ導体35A及び連結導体36を含んで構成されるインダクタの見かけの体積を増加させることができる。その結果、電子部品1Aでは、Q値の向上を図れる。
【0062】
本実施形態に係る電子部品1Aは、連結導体36の第二端部36Bと、複数のキャパシタパット40及びキャパシタパット41のそれぞれとを接続する接続導体38,39を備えている。これにより、電子部品1Aでは、複数の共振器を構成することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0064】
上記第一実施形態では、電子部品1のインダクタ導体15が、第一インダクタ導体18と第二インダクタ導体19とを有する形態を一例に説明した。しかし、電子部品1は、第一インダクタ導体18(第二インダクタ導体19)のみを備える構成であってもよい。
【0065】
上記第一実施形態では、連結導体16は、第一インダクタ導体18及び第二インダクタ導体19のそれぞれの延在方向の中央部に接続されている形態を一例に説明した。しかし、連結導体16は、他の位置に接続されてもよい。
【0066】
上記第二実施形態では、連結導体36が、第一インダクタ導体35Aの延在方向の中央部に接続されている形態を一例に説明した。しかし、連結導体36は、第一インダクタ導体35Aの他の位置に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A…電子部品、2…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、11,31…第一導体、11A,12A,13A,14A,16A,31A,32A,33A,34A,36A…第一端部、11B,12B,13B,14B,16B,31B,32B,33B,34B,36B…第二端部、12,32…第二導体、13,33…第三導体、14,34…第四導体、16,36…連結導体、17,40,41,42,43,44…キャパシタパット、18,35A…第一インダクタ導体(第一接続導体)、19…第二インダクタ導体(第二接続導体)、38,39…接続導体(第三接続導体)、D1…第一方向、D2…第二方向(一方向)、D3…第三方向。