(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116289
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】モジュール式吸入器の遵守モニタ
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093615
(22)【出願日】2024-06-10
(62)【分割の表示】P 2022506728の分割
【原出願日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/881,100
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522043611
【氏名又は名称】レシプロカル ラボ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーキー、アンバー、ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】コブレンスキ、サミュエル、エー.
(72)【発明者】
【氏名】バデリー、ロバート、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー、グレゴリー、フレドリック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸入器ユーザの遵守を監視するモジュール式吸入器遵守監視デバイスを提供する。
【解決手段】吸入器10は、薬剤キャニスターと、薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、アクチュエータは、マウスピースを有する、アクチュエータと、薬剤キャニスターを作動させて1回分の用量を放出させるように動作可能な投薬デバイスとを含む。遵守モニタ100は、作動時において薬剤キャニスターの物理的移動を感知するように動作可能な作動検出センサを含む。吸入データセンサは、吸入に起因して発生した空気圧変化を感知するように動作可能である。コントローラは、作動イベントを記録するようにセンサへ連結される。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器へ取り付けられる遵守モニタであって、前記吸入器は、薬剤キャニスターと、前記薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、一端により前記薬剤キャニスターが他端上のマウスピースと共に保持される円筒型本体を有する、アクチュエータと、前記薬剤キャニスターへ取り付けられた投薬デバイスであって、前記投薬デバイスは、前シールド面を含み、前記投薬デバイスは、前記薬剤キャニスターを作動させて1回分の用量を放出させるように動作可能である、投薬デバイスとを有し、前記遵守モニタは、
前記アクチュエータの円筒型本体の側部に一致する一対の曲線状の側壁であって、前記側壁はそれぞれ、開口した前縁部および閉鎖した後縁部を有する、一対の曲線状の側壁;前記アクチュエータの円筒型本体と重複するように前記側壁のうちの1つに取り付けられたサイドアームであって、前記吸入器のマウスピースはアクセス可能であり、前記前シールド面は露出される、サイドアームと、
前記側壁の閉鎖した後縁部に取り付けられた電子装置ハウジングと、
を含む、遵守モニタ。
【請求項2】
前記吸入器は、カバーを前記アクチュエータに連結するストラップを含み、前記側壁はそれぞれ、前記ストラップのためのスロットを形成する下部を含む、請求項1の遵守モニタ。
【請求項3】
作動時において前記薬剤キャニスターの物理的移動を感知するように動作可能な作動検出センサと、
前記作動に起因して発生した空気圧変化を感知するように動作可能な吸入データ検出センサと、
作動イベントを記録するように前記作動検出センサおよび前記吸入データ検出センサへ連結された前記電子装置ハウジング中のコントローラと、を含む、請求項1または2に記載の遵守モニタ。
【請求項4】
プリント回路基板を前記電子装置ハウジング内にさらに含み、前記プリント回路基板は、前記作動検出センサへ接続されたコネクタを含む第1の面を有し、前記作動検出センサは、前記吸入器のシールド面の近隣における前記側壁のうちの1つと、前記側壁の上カバーと前記吸入器のアクチュエータとの間の隙間の近隣の前記吸入データ検出センサが取り付けられた第2の対向面とのうちの1つの上に取り付けられる、請求項3の遵守モニタ。
【請求項5】
吸入器の遵守モニタへの取付を検出するように動作可能である、プリント回路基板の第1の面上に取り付けられた取付検出センサをさらに含む、請求項4に記載の遵守モニタ。
【請求項6】
前記電子装置ハウジングは、前記コントローラおよび前記作動検出センサおよび前記吸入データ検出センサを起動するように作動可能である作動ボタンを有するバックパネルを含む、請求項4に記載の遵守モニタ。
【請求項7】
吸入器へ取り付けられる遵守モニタであって、前記吸入器は、薬剤キャニスターと、前記薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記薬剤キャニスターを前記他端上のマウスピースと共に保持する一端および前記薬剤キャニスターを被覆するキャニスターカバーを有し、前記薬剤キャニスターは、1回分の用量を放出させるように作動されるように動作可能であり、前記遵守モニタは、
前記キャニスターカバーの周囲にフィットして取り付けられた本体と、
前記本体に取り付けられた電子装置ハウジングと、
作動時において前記薬剤キャニスターを感知するように動作可能な作動検出センサと、
前記作動に起因して発生した空気圧変化を感知するように動作可能な吸入データ検出センサと、
作動イベントを記録するように前記作動検出センサおよび前記吸入データ検出センサへ連結された前記電子装置ハウジング中のコントローラと、を含む、遵守モニタ。
【請求項8】
プリント回路基板を前記電子装置ハウジング内にさらに含み、前記プリント回路基板は、作動検出センサを有する持つ第1の面と、前記電子装置ハウジングの上カバーと前記吸入器のキャニスターカバーとの間の隙間の近隣の前記吸入データ検出センサが取り付けられた第2の対向面とを有する、請求項7の遵守モニタ。
【請求項9】
前記電子装置ハウジングは、前記コントローラおよび前記作動検出センサおよび前記吸入データ検出センサを起動するように作動可能である作動ボタンを有するパネルを含む、請求項8に記載の遵守モニタ。
【請求項10】
前記キャニスターカバーは、薬剤キャニスターを作動させるように、物理的に移動可能である、請求項7~9のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
【請求項11】
前記作動検出センサは、キャニスターカバーが移動されたときに起動するリミットスイッチである、請求項10に記載の遵守モニタ。
【請求項12】
前記作動検出センサおよび吸入検出センサは、大気圧センサである、請求項7~11のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年7月31日に出願された米国仮特許連続出願第62/881,100号の優先権と恩恵を主張する。本明細書中、同文献全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、主に吸入器のアクセサリに関し、より詳細には、吸入器ユーザの遵守を監視するモジュール式吸入器遵守監視デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、病気を抱える多数の患者に対し、投与量の薬剤を供給する吸入器が提供されている。例えば、喘息の患者に対しては、粘液生成支援および呼吸通路を広げる際の炎症の低減のために、作用薬が提供され得る。そのため、患者の喘息が悪化したか、症状をコントロールするために日々維持投薬を続ける場合、患者は、症状軽減のために、吸入器を自身の口の前方に配置し、吸入器スプレーを起動させ得る。
【0004】
薬剤吸入のための公知の加圧式定量用量吸入器(pMDI)吸入器(例えば、AstraZeneca Symbicort Rapihaler(登録商標))の場合、アクチュエータハウジングにより、吸入器を通じた流通路が空気入口から出口が少なくとも部分的に規定される。加圧式定量用量キャニスターが、アクチュエータによって保持される。キャニスターは、弁軸と、ハウジング上に形成された弁軸ブロック内に載置されるように配置された絞り弁とを含み、キャニスターの主要キャニスター体は、ハウジングおよび弁軸に相対して移動されて、絞り弁を動作させ、計量された投与量の推進薬および活性薬剤を弁軸ブロックを通じて発進させ、流れ通路内へ移動させ得る。ユーザがキャニスターの押圧によりハウジングのマウスピースを通じて吸入すると、空気がキャニスターとハウジングの内壁との間のハウジング中に引き込まれ得、キャニスターを通過して出口へ流動し得る。Symbicort Rapihaler(登録商標)は、喘息および/または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のために、ブデソニドおよびホルモテロールの組み合わせ(ICS/LABAの組み合わせ)を送達させる。他の種類の吸入器により、このような病気および他の病気のために他の種類の薬品が送達され得る。このような吸入器を挙げると、Orion Easyhaler(登録商標)およびTeva Redihaler(登録商標)がある。
【0005】
1つの大きな問題として、ユーザが吸入器の操作を適切にできていない場合が多く、薬品送達が非効率になる点がある。例えば、ユーザが吸入できない場合として、薬品がキャニスターから分配される場合またはマウスピースを口腔に対して適切な関係で保持できていない場合がある。残念なことに、ユーザが正しい技術を遵守しているかについて判断するための有効な方法は、吸入器の一定期間の使用後にヘルスケア専門家による長期健康状態の調査を行う以外に無い。
【0006】
吸入器そのものと一体化された遵守モニタの使用が提案されているが、そのような解決法は高価であり、吸入器も使い捨て型に設計されているため、実際的な解決法ではない。別の解決法として、既存の吸入器(例えば、Symbicort Rapihaler(登録商標))へ取り付けられ得る取付可能なモニタの設置がある。しかし、Symbicort Rapihaler(登録商標)および他の類似の吸入器の場合、独自の形状をしているため、そのようなモニタの物理的設計が困難になる。詳細には、キャニスターの小刻みな撓みが吸入器本体に相対して有意に発生する。キャニスターが押圧されたときに可撓性がこのような変化量を超えた場合、吸入器の作動の検出のためにリミットスイッチを使用することが不可能になる。
【0007】
さらに、Symbicort Rapihaler(登録商標)のキャニスターにおいては、ラベルおよび投与量カウンターが前部および上部に設けられているが、これらを遵守モニタの本体で被覆することができない。これらのフィーチャに起因して、本体以外のどこにも取り付けることが困難になり、また、これらのフィーチャの場合、(吸入器本体に相対する遊び量が最小である)キャニスターの前方の縁部のみにおいて感知を行う。また、実質的な量の吸入器を被覆するマウスピースカバーを露出状態に保持する必要がある。さらに吸入器の下部において、マウスピースカバーを保持するストラップが設けられるが、このストラップも露出させる必要がある。その結果、取付の利用可能性がさらに制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既存の吸入器の使用の遵守に関連するデータを収集するためのモジュール式遵守モニタを既存の吸入器に取り付けることを可能にする必要がある。取り付けられた吸入器の作動および吸入イベントを決定する複数のセンサを備えた遵守モニタも、必要とされる。吸入器の使用と干渉せずまた吸入器の使用を変化させないモジュール式遵守センサも、必要とされている。タイムスタンプおよび吸入データを吸入器の作動イベントへ適用するモジュール式遵守センサも、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの開示例として、吸入器へ取り付けられる遵守モニタがある。吸入器は、キャニスターカバーによって被覆される薬剤キャニスターと、薬剤キャニスターを保持するアクチュエータと、薬剤キャニスターを作動させて1回分の用量を放出させるように動作可能な投薬デバイスとを有する。アクチュエータは、マウスピースを有する。モニタは、作動時において薬剤キャニスターの物理的移動を感知するように動作可能な作動検出センサを含む。モニタは、1回分の用量の吸入に起因して発生した空気圧変化を作動から感知するように動作可能な吸入データセンサを含む。コントローラが、作動イベントを記録するように、作動検出センサおよび吸入データセンサへ連結される。
【0010】
例示的遵守モニタのさらなる実行として、コントローラへ連結された加速度計を含む実施形態がある。加速度計は、作動前の吸入器の動きを示す信号を出力する。コントローラは、動きが検出された際にセンサを起動させる。別の具現例において、作動検出センサは、赤外線センサである。別の具現例において、作動検出センサは、コンタクトスイッチである。別の具現例において、作動検出センサは、大気圧センサである。別の具現例において、吸入器は、キャニスターカバーへ取り付けられたシールドを含む。作動検出センサは、シールドの動きを吸入器の動きを示すものとして検出する。別の具現例において、吸入データセンサは、圧力センサである。コントローラは、吸入器からの1回分の用量の吸入時の圧力曲線を決定する。別の具現例において、コントローラは、吸入器の動きを示すタイムスタンプを収集データへ付加する。別の具現例において、遵守モニタは、コントローラへ連結されたトランシーバを含む。コントローラは、作動イベントに基づいたデータをトランシーバと通信する外部クライアントデバイスへ送信する。別の実装形態は、外部デバイスがユーザと関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスである実装形態である。外部デバイスは、収集されたデータを分析して、遵守を決定するアプリケーションを実行する。別の具現例において、遵守モニタは、吸入器が遵守モニタへ取り付けられたときを検出する取付検出センサを含む。別の具現例において、遵守モニタは、コントローラおよびセンサを起動させるためにユーザが操作することが可能な作動ボタンを含む。別の具現例において、遵守モニタは、吸入器のキャニスターカバー上にフィットして取り付けられる本体を含む。別の具現例において、吸入データセンサは、遵守モニタと、吸入器のキャニスターカバーとの間の隙間へ露出されるように回路基板上に位置決めされる。
【0011】
別の例として、吸入器へ取り付けられる遵守モニタがある。この吸入器は、薬剤キャニスターと、薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、アクチュエータは、一端により薬剤キャニスターが他端上のマウスピースと共に保持される円筒型本体を有する、アクチュエータと、薬剤キャニスターへ取り付けられた投薬デバイスとを有する。投薬デバイスは、前シールド面を含み、薬剤キャニスターを作動させて1回分の用量を放出させるように動作可能である。モニタは、アクチュエータの円筒型本体の側部に一致する一対の曲線状の側壁を含む。側壁はそれぞれ、開口した前縁部と、閉鎖した後縁部とを有する。サイドアームが、アクチュエータの円筒型本体と重複するように、側壁のうちの1つへ取り付けられる。吸入器のマウスピースは、アクセス可能であり、前シールド面が露出される。側壁の閉鎖した後縁部へ、電子装置ハウジングが取り付けられる。
【0012】
例示的な遵守モニタのさらなる実行として、作動時において薬剤キャニスターの物理的移動を感知するように動作可能な作動検出センサを含む実施形態がある。吸入データ検出センサが、作動に起因して発生した空気圧変化を感知する。電子装置ハウジング内のコントローラが、作動イベントを記録するようにセンサへ連結される。別の具現例において、吸入器は、下部ストラップを含む。これらの側壁はそれぞれ、ストラップ用のスロットを形成する下部を含む。別の具現例において、遵守モニタは、プリント回路基板を電子装置ハウジング内に含む。プリント回路基板は、作動検出センサへ接続されたコネクタを含む第1の面を有する。作動検出センサは、吸入器のシールド面の近隣において側壁のうちの1つ上に取り付けられる。回路基板は、吸入データセンサが取り付けられた第2の対向面を、側壁の上カバーと吸入器のアクチュエータとの間の隙間の近隣において含む。別の具現例において、遵守モニタは、プリント回路基板の第1の面上に取り付けられた取付検出センサを含む。この取付検出センサは、吸入器の遵守モニタへの取付を検出するように動作可能である。別の具現例において、電子装置ハウジングは、コントローラおよびセンサの起動のための作動ボタンを有するバックパネルを含む。
【0013】
別の例として、吸入器へ取り付けられる遵守モニタがある。吸入器は、薬剤キャニスターと、薬剤キャニスターを保持するアクチュエータと、薬剤キャニスターを被覆するキャニスターカバーとを有する。アクチュエータは、薬剤キャニスターを他端上のマウスピースと共に保持する一端を有する。薬剤キャニスターは、1回分の用量を放出させるように起動され得る。モニタは、キャニスターカバーの周囲にフィットして取り付けられた本体を含む。電子装置ハウジングが、本体へ取り付けられる。作動検出センサが、薬剤キャニスターの起動を感知するように動作可能である。吸入データ検出センサが、作動に起因して発生した空気圧変化を感知するように動作可能である。電子装置ハウジング内のコントローラが、作動イベントを記録するように、センサへ連結される。
【0014】
例示的な遵守モニタのさらなる実行は、電子装置ハウジング内にプリント回路基板を含む実施形態である。プリント回路基板は、第1の面を作動検出センサと共に有する。プリント回路基板は、電子装置ハウジングの上カバーと、吸入器のキャニスターカバーとの間の隙間の近隣において、吸入データセンサが取り付けられた第2の対向面を有する。別の具現例において、電子装置ハウジングは、コントローラおよびセンサを起動させるように動作可能な作動ボタンを有するパネルを含む。別の具現例において、キャニスターカバーは、薬剤キャニスターを作動させるように、物理的に移動可能である。別の具現例において、作動検出センサは、キャニスターカバーが移動されたときに起動するリミットスイッチである。別の具現例において、作動検出センサおよび吸入検出センサは、大気圧センサである。
【0015】
上記の要旨は、本開示の各実施形態または各態様を示すことを意図していない。すなわち、上記の要旨は、本明細書中に記載の新規の態様および特徴のうちいくつかの例を示すものに過ぎない。上記の特徴および利点ならび本開示の他の特徴および利点は、本発明の実行のための代表的な実施形態および態様の以下の詳細な説明を添付の図面および添付の特許請求の範囲と共に読めば、容易に明らかになる。
【0016】
例示的実施形態に関する以降の説明を添付図面と併せて参照することにより、本開示に対する理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1B】
図1A中の吸入器に例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の斜視図である。
【
図2A】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の斜視図である。
【
図2B】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の後方斜視図である。
【
図2C】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の上方斜視図である。
【
図2D】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の底斜視図である。
【
図2E】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の側面図である。
【
図2F】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の反対側の側面図である。
【
図2G】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の正面図である。
【
図2H】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の背面図である。
【
図2I】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の上面図である。
【
図2J】
図1Aに示す吸入器へ例示的な遵守モニタが取り付けられた様子の底面図である。
【
図3A】
図1B中の遵守モニタの斜視後方破断図であり、内部電子コンポーネントが回路基板上に取り付けられた様子を示す。
【
図3B】
図1B中の遵守モニタの斜視前方破断図であり、回路基板の後面を示す。
【
図4】吸入器の動作時における
図1B中の遵守モニタおよび吸入器の破断図である。
【
図5】
図1B中の遵守モニタの回路基板の後面の破断側面図である。
【
図6】
図1B中の遵守モニタの電子コンポーネントの回路図である。
【
図7】
図1B中の遵守モニタを作動させるルーチンの状態図である。
【
図8】
図1B中の遵守モニタを作動させるルーチンのフロー図である。
【
図9A】公知の従来技術の吸入器の別の例の斜視図である。
【
図9B】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられた別の例示的な種類のモジュール式遵守モニタの前方斜視図である。
【
図9C】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの後方斜視図である。
【
図9D】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの側面図である。
【
図9E】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの反対側の側面図である。
【
図9F】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの正面図である。
【
図9G】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの上面図である。
【
図9H】
図9Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの背面図である。
【
図10A】
図9Bに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタのプリント回路基板の破断図である。
【
図11A】吸入器の動作時における
図9B中の遵守モニタおよび吸入器を示す破断図である。
【
図12A】
図9B中の遵守モニタのイベント検出ルーチンの状態図である。
【
図13A】公知の従来技術の吸入器の別の例の斜視図である。
【
図13B】
図13A中に示す吸入器へ取り付けられた別の例示的な種類のモジュール式遵守モニタの前方斜視図である。
【
図13C】
図13A中に示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの後方斜視図である。
【
図13D】
図13A中に示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの側面図である。
【
図13E】
図13A中に示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの反対側の側面図である。
【
図13F】
図13Aに示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの正面図である。
【
図13G】
図13A中に示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの上面図である。
【
図13H】
図13A中に示す吸入器へ取り付けられたモジュール式遵守モニタの背面図である。
【
図15A】吸入器の動作時における
図13B中の遵守モニタおよび吸入器の破断背面図である。
【
図15C】
図13B中の遵守モニタに関連する吸入器の通気部の破断前方側面図である。
【
図17】例示的な遵守モニタによって得られたデータをサポートするヘルスケアシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示には、種々の変形および代替形態がある。図面に例示したいくつかの代表的な実施形態について、本明細書において以下に詳述する。ただし本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図してはいないものと理解すべきであり、本開示はむしろ、添付の請求項によって定義された本発明の精神および範囲内にあるすべての変形、均等物、および代替物を網羅するものである。
【0019】
本発明は、数多くの異なる形態で具現化することできる。代表的な実施形態を図面に示しており、本明細書において以下に詳述する。本開示は、本開示の原理の一例または例示であり、本開示の広範な態様を、例示された実施形態に限定することを意図するものではない。そのため、例えば「要約」、「発明の概要」、「発明を実施するための形態」の各節で開示されていても、請求項に明記されていない要素や制限は、単独でも集合的にも、暗示、推論、または他の方法によって請求項に組み込むべきでない。本明細書中では、特に断りがない限り、単数形は複数形を含み、その逆もある。「~を含む」という語は、「~を含むがそれ(ら)に限定されない」を意味する。さらに、本明細書においては、「概ね」、「略」、「実質的に」、「約」といった近似を表す語を、例えば、「ちょうど」、「付近」、「前後」、「~の3~5%以内」、「許容可能な製造公差の範囲内」、またはそれらの任意の論理的な組み合わせを意味する目的で使用することできる。
【0020】
本開示は、吸入器の使用を監視することを意図したモジュール式遵守用アタッチメントに関連する。一例として、AstraZeneca Symbicort(登録商標)加圧式定量用量吸入器(pMDI)の形状因子の使用を監視することを意図したモジュール式遵守用アタッチメントがある。遵守モニタに含まれる物理的フィーチャは、吸入器周囲を包囲するため、遵守モニタがAstraZeneca Symbicort(登録商標)吸入器へ取り付けられる。
【0021】
別の例示的なモジュール式遵守用アタッチメントは、OrionEasyhaler(登録商標)加圧式定量用量吸入器(pMDI)の形状因子の使用の監視を意図する。この遵守モニタに含まれる物理的フィーチャは、吸入器のアクチュエータと噛み合うため、吸入器の動きを検出するように、遵守モニタがOrionEasyhaler(登録商標)吸入器へ取り付けられる。
【0022】
別の例示的なモジュール式遵守用アタッチメントは、Teva Redihaler(登録商標)加圧式定量用量吸入器(pMDI)の形状因子の使用の監視を意図する。この遵守モニタに含まれる物理的フィーチャは、吸入器のキャニスターカバーと噛み合うため、遵守モニタは、TevaRedihaler(登録商標)吸入器へ取り付けられる。
【0023】
通常使用時において、ユーザがpMDIのキャニスターを押圧すると、薬品の加圧ミストが放出される。患者は、薬品の吸入を直接行うかまたはアドオンのスペーサデバイスを通じて行う。遵守モニタは、ユーザがpMDIのキャニスターを押圧したときを検出し、この作動イベントのタイムスタンプをオンボードの不揮発性(NV)メモリ内にキャプチャする。他の吸入データが収集され、イベントのタイムスタンプへ付加され得る。次に、遵守モニタは、クライアントデバイス(例えば、スマートフォン)へのリンクの確立のために、送信プロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE))を用いた接続をアドバタイズする。BLEリンクの形成後、遵守モニタは、任意のイベント記録(吸入または心拍)を(吸入器の使用についての遵守のさらなる分析のために)クライアントデバイスへ送る。
【0024】
図1Aは、公知のpMDI薬品吸入器10の斜視図である。本例において、吸入器10は、AstraZenecaによって製造されたSymbicort(登録商標)pMDI吸入器であるが、本明細書中に記載の遵守モニタの原理は、他の任意の類似の吸入器と共に採用され得る。吸入器10は、加圧薬品キャニスター14を保持するアクチュエータ12を含む。吸入器10において、投与量カウンター16がアクチュエータ12上に設けられる。投与量カウンター16により、キャニスター14中に残留している残りの複数回分の用量の薬品の指標が得られる。アクチュエータ12の他端は、マウスピース20として形成される。吸入器10が使用されていないとき、マウスピース20は、マウスピースカバー22によって被覆され得る。ユーザが投与量カウンター16を押圧すると、キャニスター14が押されて発射位置へ移動する。
【0025】
吸入器10は、キャニスター14から延びるスプレーステム(図示せず)も備える。このスプレーステムは、アクチュエータ12内に収容されたスプレー方向付け要素(図示せず)と係合するように適合される。キャニスター14が押圧されてアクチュエータ12内へ移動すると、スプレーステムおよびスプレー方向付け要素は協働して、計量された1回分の用量の薬品をマウスピース20を通じてユーザの口腔内へ送達させる。理想的には、ユーザによるキャニスター14の押圧とユーザの吸入とが同時に行われると良く、これにより、1回分の用量の薬品の吸入が最大化される。
【0026】
マウスピースカバー22により、マウスピース20が清潔な状態で確実に維持され、吸入器の非使用時においてマウスピース20への異物進入も確実に回避される。マウスピースカバー20は、ストラップ26を介してアクチュエータ12の後部へ取り付けられ、これにより、キャップ24が取り外された後に不意に落下する事態または紛失される事態が確実に回避される。ストラップ26の他端は、アクチュエータ12の後部にいてスロット28へ取り付けられる。
【0027】
投与量カウンター16に含まれる円筒形状のハウジング30は、シールド形状の下方に方向付けられた面32を備える。この面32は、下縁部34を有する。下縁部34は、マウスピース20上に取り付けられる際にマウスピースカバー22の上部に隣接する。シールド形状の面32の前部において、ラベル36が設けられる。ラベル36は、キャニスター14内に含まれる薬品に関連する情報を含み得る。マウスピースカバー22がマウスピース20上にある場合、シールド面32により、(下方に方向付けられた面の下縁部34の下方動きを回避することにより)投与量カウンター16のハウジング30の動きが遮断され、これにより、吸入器10の発射が回避される。
【0028】
下方に方向付けられたシールド32は、アパチャ(図示せず)を有する。このアパチャは、アクチュエータ12の上縁部(図示せず)からの突出部(図示せず)を噛み合った関係で受容するように適合される。ハウジング30が(吸入器10の作動のために)押圧されると、突出部は、アパチャを通じてカウンターハウジング30内へ延び、カウンター機構を作動させる。投与量カウンター16が1つのキャニスターから(異なるレベルの薬品を含む)別のキャニスターへ取り外される事態を回避するように、投与量カウンター16は、好適には恒久的にキャニスター14へ取り付けられる。
【0029】
図1Bは、吸入器10が例示的な遵守モニタ100と噛み合っている様子を示す斜視図である。遵守モニタ100は、吸入器10の発射に関するデータおよび他の有用な動作データを収集する。遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子を
図2A~
図2Jに示す。よって、
図2Aは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の斜視図であり;
図2Bは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の後方斜視図であり;
図2Cは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の上方斜視図であり;
図2Dは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の底斜視図であり;
図2Eは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の側面図であり;
図2Fは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の反対側の側面図であり;
図2Gは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の正面図であり;
図2Hは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の背面図であり;
図2Iは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の上面図であり;
図2Jは、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられた様子の底面図である。
【0030】
遵守モニタ100は、吸入器10へ取り付けられるように設計されるため、キャニスター14中の薬品供給が枯渇した場合に遵守モニタ100を取り外して、新規の吸入器へ取り付けられることができる。遵守モニタ100は、ハウジング102を介して吸入器10のアクチュエータ12へ固定される。ハウジング102は、(人体との接触が外部から制限された持続時間で行われた場合に)機械的強度および生体適合性を提供するように選択された材料から構成される。ハウジング102の設計により、モニタ100を吸入器10上に取り付ける際の誘導となる視覚的な合図がユーザへ提供される。ハウジング102は、吸入器10の上部周囲にフィットするより大きな開口部104を含む。ハウジング102は、スロット106をベース内に含む。スロット106は、カバーストラップ26のための吸入器10上のスロット28と整列される。
【0031】
ハウジング102の設計により、遵守モニタ100を吸入器に相対して正しい方向付けで噛み合わせることができ、吸入器10の使用との干渉が回避される。幅広の開口部104は、吸入器10の上部において最良にフィットし、下部における幅狭のスロット106は、吸入器10のベースに固定的にフィットする。一般的に、ハウジング102の形状は、吸入器ハウジングの反転した型である。遵守モニタ100を新規の吸入器へ移動させるには、遵守モニタ100を吸入器10から引き戻して遵守モニタ100を吸入器10の本体からクリップ解除させればよい。
【0032】
遵守モニタ100のハウジング102は、2つの概して曲線状の側壁110および112を含む。これらの曲線状の側壁110および112は、吸入器10のアクチュエータ14のマウスピース20の外形と整合する。2つの曲線状の側壁110および112の下縁部は、概して半円形の下部突出部114および116へ取り付けられる。下部突出部114および116はそれぞれ、吸入器10のアクチュエータ14の底部を保持する各縁部118および120を有する。縁部118および120により、吸入器10のストラップ26を収容するカットアウトが形成される。ハウジング102の後部上の縁部118および120によって形成されたカットアウトは、吸入器10の成形フィーチャの模倣であり、カバーストラップ26をアンカー固定する機能を提供する。壁部110および112の下半分により、各閉鎖端130および132と、反対側の半円形状の開口端134および136とが形成される。開口端134および136の形状は、ユーザが吸入器10のマウスピース20の側部を保持できるような形状にされる。側壁110のうちの1つにおいて、吸入器10のアクチュエータ14の前方上に延びる上フロントアーム122が設けられる。側壁110および112は、突出部114および116と協働して、アクチュエータ12を封入するが、ラベル36は視認可能でありかつ用量カウンター16は露出された状態にされる。突出部114および116により、マウスピース20の露出が可能になる。縁部118および120によって生成されたスロットにより、ストラップ26の配置が可能となる。アーム122は、吸入器10の前部周囲を部分的に包囲する。よって、遵守モニタ100の吸入器10上への取付を、側壁110および112の前部を若干撓ませて、アーム122により吸入器10の前部上を包囲することにより行うことができる。同様に、吸入器10の遵守モニタからの取り外しを、アーム122を離隔方向に移動させ、吸入器10をスライドさせて側壁110および112から外すことにより、行うことができる。
【0033】
側壁110および112は、整合する後端を有する。これらの後端はそれぞれ、相互に接合され、ハウジング102の後部を形成する電子装置ハウジング140を支持する。以下に述べるように、電子装置ハウジング140は、取り付けられた吸入器10の動作からのデータを収集するコンポーネントを保持する。電子装置ハウジング140は、各側壁110および112へ取り付けられた一対の側部コンポーネント142および144を有する。バックパネル146が、側部コンポーネント142および144へ取り付けられる。後カバー146および側部コンポーネント142および144の組み合わせにより、以下に述べるような電子コンポーネントの収納装置が形成される。バックパネル146は、透明な補助ボタン150を含む。本例において、LEDにより、補助ボタン150が発光する。これらのLEDは、異なる順序の閃光を単一の色(例えば、緑)で発光させる。補助ボタン150は、遵守モニタ100のモードに応じて異なる色も発光し得る。半円形の上カバー160は、アクチュエータ12の一般的形状と一致して形成される。以下に述べるように、遵守モニタ100が吸入器10と係合すると、上カバー160によってキャニスター14の縁部間に隙間が生成される。
【0034】
図3Aは、吸入器10を取り付けられた遵守モニタ100と共に示す斜視破断図であり、電子装置ハウジング140内に取り付けられた内部回路基板300上の電子コンポーネントを示す。回路基板300において、溶接または他の取付機構によって取り付けられた電子コンポーネントが設けられた前面302がある。回路基板300は、バッテリー310、圧電ベンダー回路312、ピエゾドライバ回路314、通信モジュール316、加速度計318、一対のLED320および322、補助スイッチ324、および前面302上に取り付けられた大気圧センサ326を含む。
【0035】
バッテリー310により、回路基板300上の電子コンポーネントが給電される。本実施例においては、電池310が、非充電式(一次)コイン型電池である。本例において、意図されるバッテリー寿命としては、貯蔵寿命が3年であり、その後の使用寿命が1年である。極めて低電力の在庫モードを用いて、貯蔵寿命期間におけるバッテリー充電を維持する。もちろん、再充電バッテリーまたは他の電源を利用してもよい。
【0036】
圧電ベンダー回路312により、吸入器10および遵守モニタ100の使用からのユーザ可聴フィードバックが提供される。本例において、ピエゾベンダー回路312により、多様な音および指示が提供される(すなわち、ボタン押圧フィードバック、リマインダ音)。ピエゾベンダー回路312は、ピエゾドライバ314によって増幅される。
【0037】
本例において、通信モジュール316は、データ収集および遵守モジュール100の作動を行うアルゴリズムを実行するコントローラを含む。コントローラは、クライアントデバイス(例えば、外部コンピューティングデバイス)へのデータ送信も制御する。
【0038】
本例において、加速度計318は、低出力の3軸加速度計であり、在庫モード終了後は常に実行される。加速度計318は、遵守モニタ100の電力管理のために主に用いられる。感知得された加速が所定の閾値を超えた場合、遵守モニタ100は、スリープモードを終了し、以下に述べるように回路基板300上のIRセンサの電源をオンにする。加速度計318は、吸入検出前に吸入器10および遵守モジュール100が十分に動いたときの揺れも検出する。プログラム可能な量の無活動時間後、加速度計の無活動タイマーが時間切れとなり、遵守モニタ100はスリープモードになる。
【0039】
本例において、
図2A~
図2B中の補助ボタン150は、補助スイッチ324の上方に設けられる。補助ボタン150は、複数の機能を有する(例えば、リマインダ音のオン/オフのトグルおよびマニュアル心拍イベントの生成)。補助ボタン150は、ハウジング140のカバー146と、補助スイッチ324との間にキャプチャされる。これにより、ユーザがボタン150を容易に押圧して補助スイッチ324を起動させて、モニタ100に強制的にコントローラファームウェア内に設計された多様なモードをアドバタイズまたは入力させることが可能になる。補助ボタン150上のアクチュエータは、透明ポリカーボネート製であり、補助スイッチ324用のアクチュエータおよびLED320および322用の光パイプとして機能する。本例において、LED320および322は、緑色を発光し、カバー146の後部上の補助ボタン150を通じて視認可能である。LED320および322は、多様な閃光/ストロボ組み合わせと共に用いられ、デバイス動作の状態についてのフィードバックをユーザへ提供する。LED320および322双方は、同じ機能を有し、補助ボタン150の対称的な発光を生成するために用いられる。
【0040】
本例において、大気圧センサ326は、ユーザがマウスピース20を通じて薬品を吸入する際に、ユーザの吸入についての情報をキャプチャする。コントローラは、圧力センサ326からの情報を、当該吸入と関連付けられたイベント記録へ取り付ける。このさらなる情報は、ピーク、持続時間、総量、および作動関連時間を含み得る。本例において、大気圧センサ326は、回路基板300の上部の近隣に配置され、吸入器10のアクチュエータ12のリップへのアクセスを有する。ユーザが吸入器10のマウスピース20を通じて吸入すると、圧力読み取り値の変化が測定可能かつ定量化可能になり、吸入プロファイルについてのデータが提供される。大気圧センサ326から提供され得る圧力データは、(プライミングイベントの場合のように吸入が発生しなかった場合)の吸入持続時間の計算に用いられ得る。圧力センサ326からのデータを用いて、ピーク値をキャプチャすることができる。このピーク値は、大気圧と発生したピーク圧力降下との間の圧力変化測定である。これは、較正された流量ではない。圧力センサ326からのデータを用いて、投薬イベント時において吸入された空気の総量も(瞬間的な流量の経時的合計を通じて)計算することができる。最後に、圧力センサ326からのデータを用いて吸入開始と吸入器10の動きとを関連付けて、呼吸開始に相対する薬品放出の時間が示され得る。次に、この吸入データは、直近の適切な作動イベント(単数または複数)へ添付される。このようにして、単一の吸入を複数の作動または単一の作動と関連付けることが可能になる。作動が記録されておらずかつ圧力降下が記録されているイベントの場合、吸入イベントを示し、この吸入イベントに関連するデータは、使用イベントとしてキャプチャされない。このデータは、次の心拍イベントと共にまたは別のイベントにおいて転送され得る。本例において、圧力センサ326が起動されるのは動きが検出されたときのみであるため、バッテリー消費が低減する。
【0041】
図3Bは、回路基板300の後面330の斜視図である。後面330は、
図3Aに示す回路基板300の前面302上のコンポーネントの接続のための電気トレースを主に示す。後面330は、吸入器取付検出赤外線(IR)センサ332を含む。後面330は、可撓性ケーブル336の一端へ取り付けられたソケット334も含む。可撓性ケーブル336の他端は、遠隔の薬品作動検出IRセンサ338へ取り付けられる。作動検出IRセンサ338は、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられる際に吸入器10のシールド32の近隣に配置される。ケーブル336は、シールド32の縁部34の近隣においてアーム122の前方の近隣に配置されるように、側壁110の内面の周囲を包囲する。ケーブル336は、別個のカバーによって保護される。本例において、吸入器取付検出IRセンサ332および作動検出IRセンサ338は、同一のIRセンサ回路である。
【0042】
IRセンサ332および338はそれぞれ、同じ方向を指向する赤外線放射体および赤外線受信器を有する。放射された光が別の面から反射されない限り、受信器は、放射体からの光を感知することはできない。IRセンサの近隣を決定するプロセスにおいては、電力を用いた読み取りが必要となり、赤外線放射体はオンにされ、受信器値が収集される。第2に、電力を用いない読み取りが行われ、ここで、赤外線放射体はオフにされ、受信器値が収集される。これら2つの値の差は、センサの近接物の決定に用いられる。この差が大きい場合、何かによってIR光が受信器上へ反射されていることを示すため、近接性が示される。この差が小さい場合、IR光を受信器上に反射しているものが無いことを示すため、開放空間が示される。しかし、異なる種類のIRセンサが利用され得ることが認識され得る。さらに、他の種類のセンサが、以下の記載に従った取付および作動の検出のために用いられ得る。
【0043】
遠隔の1次薬品作動検出IRセンサ338は、ユーザが吸入器10のキャニスター14を押圧したときを決定するために用いられる。作動検出IRセンサ338は、キャニスター14の押圧時におけるシールド32の近接性を検出する。作動検出IRセンサ338は、キャニスター14が1回分の用量の薬品の放出に十分なくらいに押圧されたときのシールド32の配置位置に対応する位置に配置される。シールド32は、押圧されて下方に動くと、作動検出センサ338の前方に移動する。
【0044】
吸入器取付検出IRセンサ332は、吸入器10が遵守モニタ100へ取り付けられたかを決定するために用いられる。
図3Bに示すように、吸入器取付検出IRセンサ332は、回路基板300上に吸入器10の本体の中心線に沿って配置され、遵守モニタ100が吸入器10に相対して完全に配置されたときを検出する。
【0045】
吸入器取付検出IRセンサ332は、通信モジュール316からの別個のマイクロコントローラ汎用入力/出力(GPIO)ピンから給電されることにより、吸入器取付検出IRセンサ332に起因してバッテリー310の電力が恒久的に枯渇することが無いようにする。吸入器検出IRセンサ332の給電を別個のピンを通じて行うことにより、(遵守モニタ100が静的な電力引き込み無しに吸入器10上に一定時間取り付けられた場合に)吸入器取付検出IRセンサ332からのサンプリングが可能になる。
【0046】
遵守モニタ100の動作について、
図4および
図5に関連して説明する。
図4は、吸入器12のキャニスター14およびアクチュエータ12の取り付けられた遵守モニタ100に関連する断面図である。
図5は、用量カウンター12のシールド32の遵守モニタ100の回路基板300に関連する前方側断面図である。遵守モニタ100のコントローラによって実行されるイベント検出アルゴリズムは、以下に依存する:吸入器10の動きを検出するための加速度計318からの信号、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられたかを検出する吸入器取付検出赤外線センサ332、およびキャニスター14からの薬品放出を検出する作動検出IRセンサ338。よって、一定順序の信号が受信されたときにイベントが検出される。これらの信号のうち、第1の信号は、吸入器の動きを検出する加速度計318からのものであり、次の信号は、遵守モニタ100が吸入器へ取り付けられたことを示す吸入器取付検出IRセンサ332からのものであり、最後の信号は、薬品放出が十分な長さの時間にわたって行われたことを示す吸入器作動検出センサ338からのものである。大気圧センサ326は、薬品放出と共に吸入が発生したかを示すさらなる情報を提供するために用いられる。加速度計318は、1回分の用量の薬品放出の前に吸入器10のユーザが吸入器10を振ったかを検出するためにも用いられ得る。吸入器10および取り付けられた遵守モニタ100が移動された場合、加速度計318を用いて、コントローラをスリープモード(低電力状態)から覚醒させる。
【0047】
ユーザが吸入器10のマウスピース20を通じて吸入すると、破線400によって示される空気流れが、アクチュエータ10と本体12との間の吸入器を通じて引き出される。遵守モニタのカバー160は、この空気流れを若干妨害し、遵守モニタ100のカバー160と吸入器10のキャニスター14との間の隙間402を通じて圧力降下を発生させるように設計される。大気圧センサ(BPS)326は、吸入時における圧力降下を登録し、この信号は、コントローラによってイベント記録中に記録される。
【0048】
フレックスケーブル336へ取り付けられたIRセンサ338は、シールド32がIRセンサ338を通過したときを検出するために用いられる。この通過は、1回分の用量の薬品放出が吸入器10から行われたことを示す。上記において説明したように、フレックスケーブル336は、側壁110の内面に追随し、アーム122によって概して伸長される。
図5に示すように、ケーブルカバー510は、ケーブル336およびIRセンサ338を保護するように、主にケーブル336上に取り付けられる。ユーザが用量カウンター16を押圧すると、吸入器10のキャニスター14は、下方に移動する。よって、シールド32は、作動検出IRセンサ338の前方へ移動する。よって、IRセンサ338は、シールド32の存在および不在の検出により、キャニスター14の動きを検出する。通信モジュール316上の遵守モニタ100のコントローラは、RTCと関連付けられたタイムスタンプを記録し、吸入イベントをイベント待ち行列内に保存する。吸入圧力データが圧力センサ326から利用可能である場合、このデータも吸入イベント内に保存される。
【0049】
本例において、遵守モニタ100が吸入器10が作動したことを検出し、この情報をイベント待ち行列中に保存した後、遵守モニタ100は、イベント待ち行列中の未送信アイテムをクライアントデバイス(例えば、モバイルデバイス)へオフロードしようとする。本例において、この送信は、通信モジュール316内において実行されるBLE無線プロトコルを介して行われる。クライアントデバイスは、イベント送信の成否を通知し、この結果は、その後コントローラへ返送される。
【0050】
図6は、プリント回路基板300上のコンポーネントの回路図である。上記において説明したように、通信モジュール316は、遵守モニタ100のコントローラとして機能する。通信モジュール316は、メインコントローラ600および通信マイクロコントローラ602を含む。通信モジュール316は、ファームウェアおよびデータ格納装置として用いられるメモリ604を含む。本例において、通信モジュール316は、BGM123 Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)システムインパッケージ(SIP)である。もちろん、任意の適切なコンポーネントまたは1組のコンポーネントを適切な機能性と共に通信モジュール316のために用いてもよい。本例において、BGM123 BLE SIPは、ARMM4マイクロコントローラ(メインコントローラ600)と、内部Bluetooth(登録商標) Smart(登録商標)に適合するスタックを実行するARMM0マイクロコントローラ(通信マイクロコントローラ602)とを含む。本例において、BGM123 BLE SIPは、Bluetooth(登録商標)無線および遵守モニタ100の主要マイクロプロセッサ双方として機能する。本例において、メモリ604は、BGM123 BLE SIP中の埋設フラッシュメモリであり、コントローラ600によって実行されるファームウェアを保存する。このフラッシュメモリの一部は、多様なセンサによって検出されたイベント記録(吸入&心拍)の保存にも用いられる。
【0051】
BGM123 BLE SIPは、一時的なスクラッチスペースおよびデータ構造のために用いられる埋設SRAMメモリも含む。いくつかの周辺装置(UART、SPI、A2D、RTC、PWM、DMA、および電力管理)が、システム駆動のために用いられる。BGM123 BLE SIPは、オンボードのバッテリー310から直接駆動され、システムのエネルギー効率の向上のために内部DC-DCスイッチャー以外の電力調整は用いられない。モジュールは、外部クライアントデバイスへの収集データの送信を可能にする一体型の全方向性チップアンテナ606を含む。
【0052】
図7は、遵守モニタ100のコントローラ600によって実行される動作イベント検出ルーチンの状態図である。保管状態(在庫モードとしても知られる)700は最小電力モードであり、加速度計318がオフにされ、内部クロックは実行されず、遵守モニタはアドバタイズを行わない(Bluetooth(登録商標)無線を介した送信または受信)。この最小電力状態において、遵守モニタ100を覚醒させる唯一の方法は、ボタン150を押圧することである。ユーザは、保管状態または在庫モード700において先ず遵守モニタ100を受信するが、両者間の第1の対話の後、モニタ100は、スリープ状態704に戻るだけであり、保管状態700へ戻らない。吸入器10の揺れを示す信号が加速度計318から生成されると、吸入器取付検出読み取り状態702へ進む。
【0053】
ボタン150が押圧されると、ルーチンは、吸入器取付検出読み取り状態702へ移動する。吸入器取付検出センサ332からの信号が受信されない場合、遵守モニタ100は吸入器10へ取り付けられず、ルーチンは、スリープ状態704へ移動する。スリープ状態704は、低電力モードであり、センサおよびコンポーネントは低電力状態にある。遵守モニタ100の吸入器10への取付を示す信号が吸入器取付検出センサ332から受信されない場合、ルーチンは、リスニング状態706に進む。リスニング状態706は、1次薬物投与作動IRセンサ332からのデータをリッスンする。これとは別に、大気圧センサ326は、ポーリングを行い、吸入検出を試行する。吸入取付検出センサ332からの信号が検出されない場合、ルーチンは、スリープ状態704に戻る。
【0054】
リスニング状態706において、圧力センサ326によって検出された圧力が閾値よりも低い場合、ルーチンは、吸入状態708にシフトする。圧力センサ326によって検出された圧力が閾値を超える場合、ルーチンは、非吸入状態710にシフトする。カウントが閾値未満である場合、ルーチンは、リスニング状態706にシフトバックする。カウントが閾値を上回る場合、ルーチンは、吸入データ収集状態712にシフトする。タイムスタンプが直近イベントへ付加された後、ルーチンは、イベント状態714にシフトする。イベント状態714は、1回分の用量の薬品が放出されたことを示す。次に、ルーチンは、ウィンドウ空白状態716にシフトし、次にリスニング状態706にシフトする。ウィンドウ空白状態716は、吸入器10のダブルタップを回避するかまたはキャニスター14からの薬品放出直後に第2の用量が不意に検出される事態を回避するために用いられる。ルーチンにより、作動時に発生する若干のシフトから複数のイベントが誤って検出されることが回避される。これにより、1秒の何分の1のウィンドウ空白が正しい数を超えるイベントを検出する事態が回避される。1回分の用量の検出後、リスニング状態706に戻る。なぜならば、複数の用量をとることが可能であり、ルーチンは、ユーザが加速度計318を再度トリガして検出サイクル全体を繰り返すだけ十分に吸入器10を移動させることに依存できないからである。
【0055】
リスニング状態706において作動センサ338からの出力が作動を示す閾値を超える場合、ルーチンは、キャニスター押圧状態718にシフトする。作動センサ338からの出力信号が閾値を下回る場合、これは、キャニスター14の作動が終了したことを示し、ルーチンは、放出完了状態720にシフトする。次に、カウントが閾値を超える場合、ルーチンは、イベント状態714にシフトする。カウントが閾値を下回る場合、ルーチンは、リスニング状態706にシフトする。
【0056】
使用イベントは、作動検出IRセンサ338により作動が検出された瞬間からキャプチャされたタイムスタンプを含む。作動時におけるキャニスター14の押圧の持続時間も、使用イベントへ付加される。加速度計318が作動前の揺れを検出した場合、揺れ強度および揺れ持続時間が使用イベントに付加される。大気圧センサ326が作動時間近辺(作動時間前、作動時間中または作動時間後)において吸入を検出した場合、圧力測定のピーク値、吸入の持続時間、および作動と吸入開始との間の時間が、使用イベントに関連するデータへ付加される。全ての使用イベントは、作動時において通信モジュール上のコントローラからキャプチャされたバッテリー測定および温度測定も含む。
【0057】
図8は、コントローラ600が吸入器10の作動イベントを記録するために実行するルーチンのフロー図である。
図8中のフロー図は、
図1B中の遵守モニタ100から収集された遵守データの収集および分析のための機械可読指示の代表例である。本例において、機械可読命令は、以下によって実行されるアルゴリズムを含む:(a)プロセッサ;(b)コントローラ;および/または(c)1つ以上の他の適切な処理デバイス(単数または複数)。アルゴリズムは、有形媒体(例えば、フラッシュメモリ、CD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、デジタルビデオ(バーサタイル)ディスク(DVD)または他のメモリデバイス)上に保存されたソフトウェア中に埋設され得る。しかし、当業者であれば、アルゴリズム全体および/またはその一部を、プロセッサ以外のデバイスによって実行しかつ/またはファームウェアまたは専用ハードウェア中に周知の様態で埋設してもよい(例えば、これは、特定用途向け集積回路[ASIC]、プログラマブル論理デバイス[PLD]、フィールドプログラマブル論理デバイス[FPLD]、フィールドプログラマブルゲートアレイ[FPGA]、個別論理によって実行され得る)ことを理解する。例えば、インターフェースのコンポーネントのうちいずれかまたは全てを、ソフトウェア、ハードウェアおよび/またはファームウェアによって実行することができる。また、フローチャートによって示される機械可読命令のうちいくつかまたは全てを手動で実行してもよい。さらに、例示的なアルゴリズムについて
図8中に示すフローチャートを参照して述べているが、当業者であれば、例示的な機械可読命令を実行するための他の多数の方法も用いられ得ることを容易に理解する。例えば、ブロックを実行する順序を変更しかつおよび/または記載のブロックのうちいくつかを変更、除去または組み合わせてもよい。
【0058】
一般的に、これらのコンポーネントは、遵守モニタ100が保存/在庫状態から起動された後、電力保存のために
図7中のスリープ状態704に維持される(800)。ルーチンは、モニタ100を起動させてボタン150の押圧からのデータまたは加速度計318からの信号からのデータを待機すべきか否かを検出する(802)。システムが覚醒すると、コントローラ600は、遵守モニタ上のコンポーネントの電源をオンにする(804)。システムは、取付検出センサ332の出力を読み取ることにより、遵守モニタ100が吸入器10へ取り付けられているかを決定する(806)。吸入器が取り付けられていない場合、ルーチンは、スリープ状態(800)へループバックする。吸入器が取り付けられている場合、ルーチンは、作動検出センサ338の読み取りにより吸入器10が作動しているかを連続的に決定する(808)。当該吸入器が所定の期間内において作動していない場合、ルーチンは、スリープ状態(800)に戻る。当該吸入器が作動している場合、コントローラ600は、作動検出センサ338からの信号を介して作動を検出する(810)。あるいは、この作動は、圧力センサ326からの読み取り値の検出に基づいてもよい。吸入も、作動検出センサ338または圧力センサ326からの信号に基づいてもよいし、あるいはこれら双方からの信号を用いてもよい。
【0059】
ルーチンは、圧力センサ326からの圧力データの形態の吸入データを収集し、この吸入データをタイムスタンプと共に作動イベントへ取り付ける(812)。吸入データ、タイムスタンプおよびイベントデータは、メモリに保存される(814)。次に、関連する吸入データおよび作動イベントデーが、外部デバイスへ送信される(816)。
【0060】
図9Aは、別の例示的な公知の従来技術の吸入器900の斜視図である。この従来技術の吸入器900は、上記した原理を採用したモジュール式遵守モニタへ取り付けられ得る。本例において、吸入器900は、Orion Easyhaler(登録商標)吸入器である。吸入器900は、円錐形のマウスピース904を有する四角形状のアクチュエータ本体902を含む。ダストキャップ906が、吸入器900が使用されていないときにマウスピース904を保護するために設けられる。キャニスターカバー908が、本体902内に挿入されたキャニスター(図示せず)上にぴったりと載置される。本体902中の開口した上端により、キャニスターおよび取り付けられたキャニスターカバー908の挿入が可能になる。キャニスターカバー908は、アクチュエータ本体902に相対して押圧され得、これにより、保存されている薬品を1回分の用量だけ放出させるための圧力がキャニスター上に付加される。キャニスターカバー908の上部において、ボタン910および一連の通気部912が設けられる。アクチュエータ本体902は、用量カウンター914を含む。
【0061】
吸入器900の動作は、ユーザが吸入器900を上下に数回振ることによって開始される。ユーザは、吸入器900を直立状態に保持し、クリック音が聞こえるまで、ボタン910を人差し指で押圧する。次に、ユーザは、人差し指を離し、キャニスターからの薬品用量が準備完了となる。ユーザは、吸入器900から距離を空けた状態で快適な範囲で呼吸を行う。次に、患者は、唇をマウスピース904周囲に密閉させた状態で、マウスピース904を自身の口腔内に装着する。患者は、肺が満杯になるまで、できるだけ高速にかつ深く呼吸を行う。
【0062】
図9Bは、
図9A中の吸入器900を取り付けられたモジュール式遵守モニタ950の別の例と共に示す前方斜視図である。
図9Cは、モジュール式遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられた様子の後方斜視図である。
図9Dは、モジュール式遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられた様子の側面図である。
図9Eは、モジュール式遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられた様子の反対側の側面図である。
図9Fは、モジュール式遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられた様子の正面図である。
図9Hは、モジュール式遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられた様子の背面図である。
図9Gは、モジュール式遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられた様子の上面図である。
【0063】
説明するように、遵守モニタ950は、作動イベントと、吸入器900からの対応する吸入データとを記録し得る。遵守モニタ950は、閉鎖上端962および反対側の開口端964を有する支持体960を含む。支持体960は、前壁966および反対側の後壁968を有する。2つの側壁970および972は、前壁966および後壁968へ接合される。支持体960の形状は、開口端964をキャニスターカバー908上に挿入することにより、
図9B~
図9Hに示すような吸入器900のキャニスターカバー908の上および周囲にフィットするように設計される。
【0064】
壁966、968、970および972の上部は、上部材974によって封入される。上部材974が有する一連のフィーチャ976は、吸入器900の通気部フィーチャの感触の模倣である。電子装置ハウジング980は、後壁968へスナップ嵌めされ、これらの電子コンポーネントを保護する。電子装置ハウジング980の上部は、上部材974と接合された曲線状部982を含む。電子装置ハウジング980の下部は、開口され、吸入器900の本体902と共に隙間984を形成する。接触部材986は、隙間984から突出する。以下に述べるように、モニタ950は、キャニスターカバー908上に挿入される。よって、患者がモニタ950を押し下げると、キャニスターカバー908が本体902内へ押圧されて、1回分の用量の薬品がキャニスターから放出される。モニタ950が押し下げられると、接触部材986は、本体902の縁部と接触する。側壁972も、補助ボタン988を含む。
【0065】
図10Aは、遵守モニタ950が吸入器900のキャニスターカバー908上に挿入された様子の破断背面図である。
図10Aは、内部回路基板1000が電子装置ハウジング980内に取り付けられた様子を示す。回路基板1000は、遵守モニタ950がキャニスターカバー908上に挿入された際にキャニスターカバー908の後部に対して平行に取り付けられる。
図10Bは、回路基板1000の前面1002の詳細図である。前面1002は、モニタ950の後壁968の近隣にある。
図10Cは、回路基板1000の後面1004の詳細図である。後面1004は、ハウジング980の内部の近隣にある。
【0066】
回路基板1000の前面1002は、溶接または他の取付機構によって取り付けられた電子コンポーネントを有する。回路基板1000上に、圧電ベンダー回路1012、取付検出IRセンサ1014、通信モジュール1016、加速度計1018、補助スイッチ1020、リミットスイッチ1022および前面1002上に取り付けられた大気圧センサ1024が載置される。回路基板1000は、バッテリー1030と、後面1004上に取り付けられたLED1032とを含む。LED1032は、光が回路基板1000の側部から補助ボタン988を通じて方向付けられるように、垂直に取り付けられる。本例において、補助ボタン988は、透明なプラスチックであるため、LED1032からの光によってプラスチックボタン988が発光して、フィードバックがユーザへ提供される。本例において、通信モジュール1016は、BGM123 BLE SIPチップであり、
図6を参照して上述した能力および機能を有する。
【0067】
バッテリー1030により、回路基板1000上の電子コンポーネントが給電される。本例において、バッテリー1030は、コインセルバッテリーである。遵守モニタ950は、さらに低電力の在庫モードを用いて、貯蔵寿命期間におけるバッテリー充電を保存する。もちろん、再充電バッテリーまたは他の電源を利用してもよい。
【0068】
圧電ベンダー回路1012により、吸入器900および遵守モニタ950の使用からのユーザ可聴フィードバックが提供される。通信モジュール1016は、
図3中の通信モジュール316に類似し、コントローラを含む。このコントローラは、データ収集および遵守モジュール950の作動を行うためのアルゴリズムを実行する。コントローラは、クライアントデバイス(例えば、外部コンピューティングデバイス)へのデータ送信も制御する。
【0069】
本例において、加速度計1018は、低電力の3軸型加速度計であり、初期保存/在庫モードの終了後は常に実行される。加速度計1018は、上記した加速度計318と同様に、遵守モニタ950の電力管理のために主に用いられる。加速度計1018は、作動検出前の十分な動きにより、吸入器900および遵守モジュール950の揺れも検出する。
【0070】
本例において、
図9Cおよび
図9E中の補助ボタンは、補助スイッチ1020の上方に配置される。補助ボタン988は、複数の機能を有する(例えば、リマインダ音のオン/オフのトグル、マニュアル心拍イベントの生成、およびモニタ950を在庫状態から覚醒させること)。本例において、LED1032は、緑色を発光し、多様な閃光/ストロボの組み合わせと共に用いられ、デバイス動作の状態についてのフィードバックを(ボタン988の発光により)ユーザに提供する。
【0071】
本例において、大気圧センサ1024は、上記した圧力センサ326と同様にユーザがマウスピース904を通じて薬品を吸入する際、ユーザの吸入についての情報をキャプチャする。通信モジュール1016中のコントローラは、圧力センサ1024からの情報を、吸入器900の作動イベントと関連付けられたイベント記録へ取り付ける。このさらなる情報は、ピーク、持続時間、総量、および作動関連時間を含み得る。本例において、大気圧センサ1024は、回路基板1000の上部近隣に配置され、遵守モニタ950の内部と吸入器900のキャニスターカバー908との間の内部隙間によって生成された空気リザーバへのアクセスを有する。ユーザが吸入器900のマウスピース904を通じて吸入すると、圧力読み取り値の変化が測定可能かつ定量化可能になり、吸入プロファイルについてのデータが提供される。大気圧センサ1024からの出力により、圧力データが得られ得、この圧力データは、吸入の持続時間(およびプライミングイベントの場合のように吸入が発生しなかった場合)の計算のために用いられ得る。圧力センサ1024からのデータを用いて、ピーク値をキャプチャすることができる。このピーク値は、大気圧と発生したピーク圧力降下との間の圧力変化測定である。
【0072】
図11Aは、吸入器900を取り付けられた遵守モニタ950と共に示す側面断面図である。
図11Bは、吸入器900および取り付けられた回路基板1000の詳細破断側面図である。通信モジュール1016中のコントローラは、
図8を参照して上記したルーチンに従って遵守モニタ950を作動させる。ユーザが遵守モニタ950の上部材974を押圧すると、キャニスターカバー908が押し下げられる。キャニスターカバー908が吸入器900の本体902中へ押し下げられると、リミットスイッチ1022に取り付けられた接触部材986が、吸入器900の本体902の開口端の縁部と接触した際にトリップされる。
【0073】
そのため、リミットスイッチ1022のトリップは、吸入器900の動きを示す。リミットスイッチ1022からの信号が処理され、吸入開始に相対してキャニスターカバー908が押圧されたときを示すイベント情報に付加される。回路基板100の位置により、キャニスターカバー908が静止状態にある際の本体902からの設定距離(例えば、1cm)であるリミットスイッチ1022の配置が可能になる。この距離において、接触部材988は、キャニスターカバー908が押圧されるたびに本体102の縁部と接触することにより、リミットスイッチ1022を信頼性よくトリップさせる。
【0074】
キャニスターカバー908の上に切り込まれた通気部912は、吸入検出の鍵である。患者が吸入器900を通じて吸入を行うと、
図11B中のオレンジ色の破線1100によって示すように、空気が吸入器中の複数の通気部を通じて引き込まれる。吸入時に安定した信号を生成するために、小型の空気リザーバ1110が、遵守モニタ950の上部内に設計される。遵守モニタ950がキャニスターカバー908上に配置されると、リザーバ1110は、キャニスターカバー908の上部から間隔を開けて配置された上面974によって境界付けられる。本例において、一連の硬質プラスチックリブ1112が、上部材974の内部から突出し、2つの機能を有する。1つの機能は、電子装置カバー980に傾斜を付加するために遵守モニタ950の高さを増加させることである。この傾斜は、吸入器900のユーザが(中心を外した押圧により)吸入器本体902中のキャニスターカバー908に噛み込まれる危険性の低減のために、必要である。リブ1112の第2の機能は、キャニスターカバー908と遵守モニタ950との間の空気リザーバ1110のサイズを増大させることである。
【0075】
大気圧センサ1024は、吸入器900からの薬品吸入時における圧力降下を検出するように、空気リザーバ1110内に設けられる。ユーザが遵守モニタ950およびキャニスターカバー908を押し下げると、大気圧センサ1024が起動される。圧力センサ1024は、起動されると、吸入開始を示す圧力降下の「リスニング」を開始する。偽信号のフィルタリング除去のために、通信モジュール1016内のコントローラによって実行されるファームウェアアルゴリズム内に閾値が設定される。
【0076】
回路基板1000の前面1002上に取り付けられた取付検出IRセンサ1014は、遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられたときを検出する。遵守モニタ100と同様に、遵守モニタ950は、主に低電力のスリープ状態に保持される。加速度計1018は、モニタ950をこのモードから覚醒させることと、吸入器900の揺れを検出することとのために用いられる。遵守モニタ950が覚醒されると、赤外線センサ1014は、デバイス状態に応じて、さらなる感知に対するゲート開閉を行う。センサ1014が面が近隣にあること(これは、遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられたことを示す)を検出すると、さらなる感知機構が起動される。
【0077】
図12Aは、吸入器900の使用検出の状態図である。保管状態(在庫モードとしても知られる)1200は、最小電力モードであり、この状態において、加速度計1018はオフにされ、内部クロックは実行されず、遵守モニタはアドバタイズを行わない。この最小電力状態において、遵守モニタ100を覚醒させて検出状態1202へ進むための唯一の方法は、補助ボタン988の押圧によってリミットスイッチ1020を起動させるかまたはキャニスターカバー908の押し下げによってリミットスイッチ1022を起動させるかのいずれかである。ユーザは、保管状態または在庫モード900において先ず遵守モニタ950を受信するが、両者間の第1の対話の後、モニタ950は、スリープ状態1204に戻るだけであり、保管状態1200へ戻らない。
【0078】
保存/在庫状態1200を終了させて検出状態1202に進むために補助ボタン988が押圧された後、取付検出IRセンサ1014が試験される。取付検出IRセンサ1014からの信号を測定して、遵守モニタ950が吸入器900へ取り付けられているかを決定する。モニタ950が吸入器900へ取り付けられていないと決定された場合、モニタ950は、スリープ状態1204に進む。モニタ950が吸入器900へ取り付けられている場合、コントローラはリスニング状態1206に進み、大気圧センサ1024が起動され、タイマーが開始される。本例において、圧力センサ1024は、データ収集を10Hzの速度で開始し、雰囲気圧力の移動平均を維持する。圧力の移動平均からの変動が構成可能な圧力活性閾値を超える場合、吸入状態1208に入り、移動平均は、現在の値に固定される。圧力センサ値が圧力活性閾値値を下回る構成可能なヒステリシス値に少なくとも維持される限り、アルゴリズムは、吸入状態1208に維持される。圧力がより低い閾値を下回った後、吸入サンプル数が構成可能な持続時間閾値を上回る場合、吸入完了状態1210に入る。吸入イベントは、イベント状態1212として記録される。次に、モニタ950は、吸入イベント1214のアドバタイズを開始し、スリープ状態1204に戻る。測定された持続時間が持続時間閾値を下回る場合、アルゴリズムは、リスニング状態1206に戻る。リミットスイッチ1022の押圧後の構成可能なタイムアウト期間後にイベントが検出されなかった場合、アルゴリズムは、イベントについての測定を停止し、スリープ状態1204に戻る。
【0079】
使用イベントは、作動検出IRセンサにより作動が検出された瞬間からキャプチャされたタイムスタンプを含む。作動時の押圧の持続時間も、使用イベントへ付加される。加速度計が作動前に揺れを検出した場合、揺れ強度および揺れ持続時間が、使用イベントに付加される。大気圧センサが作動時間近辺(作動時間前、作動時間中または作動時間後)において吸入を検出した場合、圧力測定のピーク値、吸入の持続時間、および吸入開始から吸入ピークまでの時間が、使用イベントへ付加される。全ての使用イベントは、作動時にコントローラからキャプチャされたバッテリー測定および温度測定も含む。
【0080】
図12Bは、揺れ検出の状態図である。加速度計の動きが監視され、この動きが所定の閾値に到達した場合(これは、揺れの発生を示す)、揺れ閾値を超えるサンプル量がカウントされ、データは吸入イベントパケットへ添付される。キャプチャされた揺れデータは、吸入イベントに繋がる指定時間枠内において発生しなかった場合、期限切れになる。
【0081】
通信モジュール1016中のコントローラにより、揺れ検出アルゴリズムが実行される。コントローラは、低電力保存モード1250から開始する。上記において説明したように、補助ボタン988の押圧によって(キャニスターカバー908の押し下げにより)リミットスイッチ1022が起動されると、ルーチンは、低電力保存モード1250を終了し、モニタ検出状態1252に進む。保存/在庫状態1200から覚醒した後、取付検出IRセンサ1014が測定されて、遵守モニタ950が吸入器900に取り付けられているかを決定する。遵守モニタ950が吸入器900に取り付けられていない場合、モニタは、低電力のスリープ状態1254となる。補助ボタン988が押圧された後、取付検出IRセンサ1014が試験される。モニタ950が吸入器900に取り付けられていないと決定された場合、モニタ950は、スリープ状態1254に戻る。モニタ950が吸入器900に取り付けられている場合、コントローラは、リスニング状態1256に進む。
【0082】
モニタ950が吸入器900に取り付けられている場合、加速度計1018は、アクティブ測定と、リッスン状態1256において開始されたタイマーとのために構成される。加速ベクトルの大きさが構成可能な動き活動閾値を超える場合、揺れ状態1258に入る。加速度計ベクトルの大きさが構成可能なサンプル数の構成可能な動き活動閾値を下回らない限り、アルゴリズムは、揺れ状態1258において加速度計を継続的に測定する。加速度計ベクトルの大きさが活動閾値未満に戻った後、揺れサンプル数が揺れサンプルの構成可能な閾値を超える場合、この揺れは終了したものとみなされ、ルーチンは、完了状態1260へ移動する。次に、揺れデータが保存され(1262)、その後、次に検出された使用イベント中に含まれる。次に、アルゴリズムは、スリープ状態1254に戻る。測定された揺れサンプル数が揺れサンプルの閾値未満である場合、モニタ950は、リスニング状態1256に戻る。加速度計の動きが検出された後の構成可能なタイムアウト期間が揺れ検出の無い状態で発生した場合、アルゴリズムは、揺れ測定を停止させ、スリープ状態1254に戻る。
【0083】
図13Aは、別の種類の公知の従来技術の吸入器1300の斜視図である。本例において、吸入器1300は、Teva Redihaler(登録商標)である。吸入器1300は、アクチュエータ本体1302、円筒型マウスピース1304、キャニスターカバー1306、および枢動キャップ1308(開口位置に示す)を含む。枢動キャップは、開口位置から閉鎖位置へ回転してマウスピース1304を被覆するように、ピボット点1310上に取り付けられる。キャニスターカバー1306は、上カバー1312を通気部1314と共に含む。
【0084】
本例において、吸入器1300のユーザは、キャップ1308を開口位置に回転させて、マウスピース1304を露出させる。次に、ユーザは、深く呼吸をする。次に、ユーザは、マウスピース1304を自身の口腔内に配置し、深く吸入して、キャニスターカバー1306中のキャニスターから薬品を放出させる。吸入器1300は、膜(図示せず)を有する。この膜は、吸入によって開口されるため、キャニスターから薬品を放出させる。
【0085】
図13Bは、
図13Aに示す吸入器1300へ取り付けられた別の例示的な種類のモジュール式遵守モニタ1350の前方斜視図である。
図13Cは、吸入器1300に取り付けられたモジュール式遵守モニタ1350の後方斜視図である。
図13Dは、吸入器1300に取り付けられたモジュール式遵守モニタ1350の側面図である。
図13Eは、吸入器1300に取り付けられたモジュール式遵守モニタ1350の反対側の側面図である。
図13Fは、吸入器1300に取り付けられたモジュール式遵守モニタ1350の正面図である。
図13Hは、吸入器1300に取り付けられたモジュール式遵守モニタ1350の背面図である。
図13Gは、吸入器1300に取り付けられたモジュール式遵守モニタ1350の上面図である。
【0086】
遵守モニタ1350に含まれる支持体1360は、開口した上端1362と、反対側の開口端1364とを有する。支持体1360は、曲線状の前壁1366と、反対側の曲線状の後壁1368とを有する。2つの側壁1370および1372は、前壁1366および後壁1368へ接合される。壁部1366、1368、1370および1372によって形成された支持体1360の形状は、
図13B~
図13Hに示すような吸入器900のキャニスターカバー1306上およびキャニスターカバー1306の周囲にフィットするように設計される。
【0087】
壁部1366、1368、1370および1372は、吸入器1300周囲を完全に包囲するため、上カバー1312および通気部1314が露出される。後壁1368は、遵守モニタ1350の吸入器1300からの取り外しを支援するための親指プッシュタブ1378を底部に含む。押圧されると、モニタ1350は、吸入器1300に相対して上方に引き出される。
【0088】
側壁1372は、電子装置ハウジング1380を支持する。電子装置ハウジング1380は、前壁1382および後壁と、隣接する側壁1386とから形成される。側壁1386は、インターフェースボタン1390を含む上側パネル1388を有する。その他の例示的な遵守モニタと同様に、インターフェースボタン1390は、異なる機能の作動のために押圧され得る。カバー1392は、側壁1372から延びて、電子コンポーネントをハウジング1380内に封入する。
【0089】
図14Aは、
図13B~
図13H中の電子装置ハウジング1380内に取り付けられた回路基板1400の前面1402を示す。
図14Bは、回路基板1400の後面1404を示す。回路基板1400の前面1402および後面1404は、溶接または他の取付機構によって取り付けられた電子コンポーネントを有する。回路基板1400は、バッテリー1410、圧電ベンダー回路1412、通信モジュール1416、加速度計1418、補助スイッチ1420、および前面1402上に取り付けられたLED1422を含む。回路基板1400は、後面1404上に取り付けられた取付検出IRセンサ1424および大気圧センサ1426とを含む。
【0090】
バッテリー1410により、回路基板1400上の電子コンポーネントが給電される。本例において、バッテリー1410は、コインセルバッテリーである。遵守モニタ1350は、さらに低電力の在庫モードを有する。このさらに低電力の在庫モードは、貯蔵寿命期間におけるバッテリー充電を維持するために用いられる。圧電ベンダー回路1412により、吸入器1300および遵守モニタ1350の使用からのユーザ可聴フィードバックが提供される。通信モジュール1416は、
図3中の通信モジュール316と同様であり、データ収集と、
図8中のフロー図に従った遵守モジュール1350の作動とのためのアルゴリズムを実行するコントローラを含む。コントローラは、クライアントデバイス(例えば、外部コンピューティングデバイス)へのデータ送信も制御する。
【0091】
本例において、加速度計1418は、低電力の3軸加速度計であり、初期保存/在庫モードの終了後に常時実行される。加速度計1018は、電力管理のために主に用いられ、作動検出に十分な動きがあれば、吸入器1300および遵守モジュール1350の揺れも検出する。
【0092】
本例において、
図13Bおよび
図13E中のインターフェースボタン1390は、補助スイッチ1420の上方に配置される。LED1422により、インターフェースボタン1390が発光され、LED1422は、異なる状態を示すためにオンおよびオフにされ得る。インターフェースボタン1390は、複数の機能を有する(例えば、トグルリマインダ音のオン/オフ、遵守モニタ1350を保管状態から覚醒させること、およびマニュアル心拍イベントを生成すること)。
【0093】
本例において、大気圧センサ1426は、ユーザが上記した圧力センサ326と同様にマウスピース1304を通じて薬品を吸入する際に、ユーザの吸入についての情報をキャプチャする。通信モジュール1016中のコントローラにより、圧力センサ1426からの情報が、吸入器の作動イベント1300と関連付けられたイベント記録へ取り付けられる。このさらなる情報は、上記したその他の例示的吸入器中の圧力センサに類似する。
【0094】
図15Aは、遵守モニタ1350がキャニスターカバー1306上に挿入された際の回路基板1400の側面断面図である。
図13Bは、遵守モニタ1350がキャニスターカバー1306上に挿入された際の回路基板1400詳細な正面断面図である。
図15Cは、吸入器1300の空気通気部1314に関連する圧力センサ1426の詳細な側面図である。
図14Bから分かるように、取付検出IRセンサ1424は、回路基板1400とキャニスターカバー1306との間において回路基板1400の後面1404上に配置される。取付検出IRセンサ1424は、遵守モニタ1350が吸入器1300のキャニスターカバー1306上に挿入されたときを検出する。
【0095】
吸入に起因して吸入器1300内に大きな圧力降下が発生すると、破線1500によって示すように空気が(吸入器1300の上カバー1312において通気部1314を通じて)引き込まれる。一連のリブ1510は、カバー1392の内面から延び、吸入器1300の通気部1314へ接続される。これらのリブ1510に起因して、(破線1512によって示す)通路が生成されて、大気圧センサ1426が吸入器中の通気部1314へ接続されて、吸入時におけるベンチュリ効果を利用する。その結果得られた圧力降下は、回路基板1400の上部の近隣の大気圧センサ1426によって登録される。
【0096】
図16は、本例における通信モジュール1416上のコントローラによって用いられる検出アルゴリズムの状態図である。コントローラは、低電力保存モード1600から開始する。上記において説明したように、ボタン1390の押圧によってリミットスイッチ1320が起動されると、低電力保存モード1600を終了して、モニタ検出状態1602となる。モニタ検出状態1602におけるコントローラにより、取付検出IRセンサ1424が覚醒される。覚醒されると、IRセンサ1424は、状態に応じて、さらなる感知に対してゲート開閉を行う。IRセンサ1424が近隣の面を検出しなかった場合(これは、モニタ1350が吸入器1300に取り付けられていないことを示す)、ルーチンは、スリープ状態1604に進む。その他の例示的な遵守モニタと同様に、遵守モニタ1350は、主に低電力のスリープ状態1604にある。加速度計1418は、遵守モニタ1350をスリープ状態1604から覚醒させることと、吸入器1300の揺れを検出することとのために用いられる。ボタン1390の押圧によって補助スイッチ1420を起動させた場合も、遵守モニタ1350が覚醒される。
【0097】
IRセンサ1424が近隣に面を検出した場合(これは、遵守モニタ1350が吸入器1300に取り付けられたことを示す)、ルーチンは、リスニング状態1606に進む。大気圧センサ1426が起動され、タイマーが開始される。本例において、圧力センサ1426は、作動および吸入が開始したことを示す圧力降下をリッスンする。偽信号をフィルタリング除去するために、閾値がファームウェアアルゴリズム内に設定される。本例において、大気圧センサ1426は、データ収集を10Hzの速度において開始して、雰囲気圧力の移動平均を維持する。圧力の移動平均からの変動が構成可能な圧力活性閾値を超える場合、吸入状態1608に入り、移動平均は、現在の値に固定される。圧力センサ1426からの値が少なくとも圧力活性閾値を下回る構成可能なヒステリシス値に収まる限り、アルゴリズムは、吸入状態1608のままとなる。圧力がより低い閾値を下回る値に戻った後、吸入サンプル数が構成可能な持続時間閾値を上回る場合、吸入完了状態1610に入る。吸入イベントは、イベント状態1612において記録される。イベントは、アドバタイズ状態1614においてアドバタイズされる。次に、モニタ1350は、リスニング状態1606に戻る。作動後の構成可能なタイムアウト期間後においてイベントが検出されなかった場合、アルゴリズムは、イベントの測定を停止し、スリープ状態1604に戻る。
【0098】
使用イベントは、大気圧センサ1426が作動を検出した瞬間からキャプチャされたタイムスタンプを含む。加速度計1418が作動前に揺れを検出した場合、揺れ強度および揺れ持続時間が使用イベントに付加される。大気圧センサ1426が作動時間近辺(作動時間前、作動時間中または作動時間後)において吸入を検出した場合、圧力測定のピーク値、吸入の持続時間、および吸入開始から吸入ピークまでの時間が、使用イベントへ付加される。全ての使用イベントは、作動時にコントローラからキャプチャされたバッテリー測定および温度測定も含む。
【0099】
図1B中の例示的な遵守モニタ100、
図9B中の950および
図13B中の1350はモジュール式であり、その各吸入器から取り付けまたは取り外しが可能であるが、例示的な遵守モニタのコンポーネントは、吸入器(例えば、
図1A中の吸入器10、
図9A中の吸入器900、または
図13A中の吸入器1300)と一体化され得ることが理解されるべきである。本明細書中に記載の原理は、他の種類のモジュール式遵守モニタ内に取り入れてもよいし、あるいは他の種類の吸入器と一体化させてもよい。
【0100】
上記において説明したように、例示的な遵守モニタはそれぞれ、吸入器作動についてのデータを収集し、タイムスタンプおよび他の関連データを提供する。収集データは、一意の識別子を含む吸入器作動イベント、イベントのタイムスタンプ、雰囲気温度、およびセンサバッテリーレベルを含む。各例示的な遵守モニタのためのコントローラは、覚醒回数および覚醒持続時間も収集する。覚醒回数および覚醒持続時間は、バッテリー寿命を推定することと、用量感知が正しく行われていないかを決定することとにおいて有用である。コントローラは、いくつかのさらなるフラグも収集する(例えば、取り付けられた吸入器が直近24時間以内に移動されたか、吸入器が薬品に取り付けられているか、および吸入器が各加速度計によって決定されたような正しい方向付けにおいて保持されているか)。
【0101】
よって、例示的なデータ記録は、左記のようなフォーマットをとり得る:「イベント1、4:00PM、2019年7月25日、21C、2.9V、2回覚醒、90秒間覚醒、動きあり、中間レベル」。加えて、センサの種類の知識と、ユーザによるユーザインターフェースを介した薬品との関連付けとに基づいて、当該薬品は既知であり得、遵守モニタからデータを受信する外部デバイスまたは外部サーバによってデータ記録へ付加され得る。さらなるデータ(例えば、用量数)も、外部デバイスまたは外部サーバによってデータ記録へ添付され得る。最後に、個々のセンサにより、センサ特有のさらなるデータが収集される。例示的な遵守モニタは、使用前の薬品の揺れ持続時間および揺れ強度を収集する。上記において説明したように、大気圧センサにより、吸入のピーク値および吸入の持続時間の収集が可能になる。例示的な遵守モニタ950および1350は、吸入開始とピーク値との間の差としてのピーク時間ならびに吸入総量を収集する。遵守モニタ100は、作動(薬品が放出されたとき)と吸入開始との間の時間と、薬品アクチュエータが押圧された秒数をキャプチャする。このデータにより、ヘルスケアプロバイダは、患者が自身の薬品を適切な吸入技術により指示されたように使用しているかを決定し得る。このデータのトレンドを評価することにより、ヘルスケアプロバイダは、薬物投与のより有効な使用についての指示を提供することができ、あるいは、治療の変更が必要であることを決定し得る。
【0102】
例示的な遵守モニタによって収集されたデータの計量の別の例として、最初の1秒容量がある。最初の1秒容量は、吸入の第1の部分における容量であり、吸入に最も関連し、吸入プロファイルのより完全な画像を提供する。最初の1秒容量は、(閾値に到達した後の)吸入の初期サンプル時において吸入された容量を指す。吸入検出アルゴリズムの開始後(
図13A中のRedihaler吸入器1300によってまたは
図9A中のEasyhaler吸入器900のためのリミットスイッチによって
図1A中のSymbicort吸入器10についての動き検出によってゲート開閉されたもの)、大気圧センサは、先ず(数個のサンプルのキャプチャおよびこれらの平均化によって)ベースラインを収集する。本例において、大気圧センサが100ms毎に新規読み取り値をキャプチャすると、このベースラインは、新規読み取り値と共に連続的に更新され、移動平均が維持される。圧力読み取り値の降下が事前設定された閾値の半分を超えた場合、その後の読み取り値は、移動平均に貢献しない。圧力読み取り値が閾値まで降下した場合、吸入が開始したとみなされる。
【0103】
最初の1秒容量は、閾値に到達した後の第1の10個のサンプル(1秒)についてのベースラインからの圧力差の合計である。一例として、ベースライン圧力の移動平均が98000パスカル周辺において小さく動いており、閾値が16である場合、ユーザの吸入開始時に、圧力読み取り値が閾値の1/2を下回った場合(97992)、移動平均に貢献せず、圧力読み取り値が97984を下回った場合、吸入開始としてカウントされる。これは、(閾値への到達を困難にする原因となる)吸入が低速である場合に移動平均が調節されないように行われる。これにより、自然な環境圧力変化(例えば、高度変化)に合わせたシステムの調節も可能になる。
【0104】
ほとんどの吸入は強い呼吸と共に開始し、ピーク到達後にゆっくりとテーパーオフするため、この計量を用いて、呼吸プロファイルのより正確な表現を決定することも可能になる。患者は、典型的には吸入の最初の1秒における吸入器からの薬物投与も分配するため、この計量により、最も重要な吸入時に関連するさらなるデータの収集が可能になる。ユーザが最初の1秒において吸入器から薬物投与を分配しかつその際の呼吸が低速であるかまたはゆっくりと上昇する場合、最初の1秒の容量により、患者が自身の呼吸のタイミングとりをうまく行っていない状態の診断が支援され得る。
【0105】
遵守モニタによって収集されたデータはライブデータであり得、センサ値は全て、遠隔デバイス(例えば、スマートフォン)へのBluetooth(登録商標)接続を介してストリーミングされる。これにより、患者の吸入器技術についてのより多量のデータの収集のために遵守モニタの使用が可能になり、吸入器の適切な使用について患者の訓練が可能になる。
【0106】
ライブデータフィーチャにおいて送信されるデータを以下に挙げる:遵守モニタ上の各ボタンの状態、吸入器の3次元における物理的方向付け、方向付けが吸入器にとって正しいかのブール値、吸入器が薬物投与キャニスターに取り付けられているかのブール値、吸入器が揺れているかのブール値、センサが現在吸入を検出しているかのブール値、ならびに現在の圧力読み取り値および圧力ベースライン。よって、
図2~
図5中の例示的な遵守モニタ100において、吸入器10の方向付けは、加速度計318によって決定され得、吸入器10が遵守モニタ100に取り付けられているかが取付検出IRセンサ332によって決定され得、圧力およびベースライン圧力は、大気圧センサ326によって決定され得る。
【0107】
このデータは、定期的な感覚で送信される。遵守モニタのコントローラは、現在のデータが前回の間隔において収集されたデータと異なるかを決定するようにプログラムされ得る。データが同じである場合、コントローラは、更新送信を行わないことにより、バッテリー電力を節約する。
【0108】
ライブデータは、適切な技術が遵守されていないかを評価するために用いられ得る。特定の吸入器の使用における技術は、ライブデータによって評価され得る。例えば、データは、遵守モニタが吸入器に取り付けられていないことを示し得る。このライブデータは、遵守モニタが(1回分の用量の提供のために)正しい方向付けにあるかを示し得る。このライブデータは、ユーザが吸入しているかを示し得、ユーザが吸入している場合は吸入強度を示し得る。このライブデータは、ユーザによる吸入が適切な計量(例えば、薬物投与の良好な沈降を達成できる持続時間、強度および作動タイミング)と共に行われているかも示し得る。さらなる分析により、ユーザが典型的吸入プロファイルから逸脱していなかったか(これは、再燃の切迫またはユーザの状態の改善または悪化を示す)も示され得る。
【0109】
ライブデータは、特定の吸入器モデルが先ず揺らされたか(または
図13A中のRedihaler吸入器1300の場合に揺らされていないか)を決定するために用いられ得る。例えば、遵守モニタ1350が動き検出を通じて覚醒されると、揺れ検出アルゴリズムがオンにされる。アルゴリズムは、加速度計1418の監視を定期的な間隔で行い、加速の大きさを計算する。大きさが閾値に到達し、この閾値が最短期間にわたって維持された場合、揺れは進行中である。ライブデータは、加速度計値と、遵守モニタ1350が揺れているかの2進値とを含む。
【0110】
別の例として、
図9A中のEasyhaler吸入器900がプライムされている場合がある。ライブデータは、リミットスイッチ1022の状態の2進値をEasyhaler吸入器遵守モニタ950上に含む。吸入器900上のアクチュエータが押圧されて薬物投与が分配されると、この2進値は状態を変化させて、プライミングが進行中であることを示す。
【0111】
特定の技術別の例として、ユーザが
図1A中のSymbicort吸入器10のために薬物投与を分配しているかを決定する場合がある。作動検出IRセンサ338は、吸入器10のキャニスター14の状態を決定し、これが押圧されているかを決定する。このデータは、ライブデータ中の2進値およびIRセンサ338の生の読み取り値として提示される。ユーザが薬物投与の分配のためにキャニスター14を押圧すると、この値は変化する。このデータを圧力センサ326から収集された吸入データおよび各読み取りのタイミングとペアリングすることにより、ユーザが吸入無しに吸入器10をプライミングしているかまたは薬物投与の分配無しに吸入しているか、吸入が弱すぎるか、または1つの完全な用量を受容するために吸入と薬物投与の分配とのタイミングが適切であるかを決定することが可能となる。
【0112】
図17は、遵守データおよび他のデータを吸入器(例えば、
図1A中の吸入器10、
図9A中の吸入器900または
図13A中の吸入器1300)を用いている患者からの遵守モニタ(例えば、遵守モニタ100)から入手するための例示的なヘルスケアシステム1700のブロック図である。ヘルスケアシステム1700は、複数の吸入器を含む(例えば、
図1A中の吸入器10、
図9A中の吸入器900または
図13A中の吸入器1300または薬剤用量を対応するユーザまたは患者1710a、1710bおよび1710cへ提供するようにそれぞれ作動し得る他の任意の種類の吸入器)。ヘルスケアシステム1700は、データサーバ1712、電子医療記録(EMR)サーバ1714、健康またはホームケアプロバイダ(HCP)サーバ1716、ならびに対応する患者コンピューティングデバイス1720a、1720bおよび1720cを含む。本例において、患者コンピューティングデバイス1720aは、吸入器10および取り付けられた遵守モニタ100の近隣にある。同様に、患者コンピューティングデバイス1720bおよび1720cは、吸入器900および1300と、取り付けられた遵守モニタ950および1350との近隣にある。システム1700において、これらのエンティティは全て、広域ネットワーク1730(例えば、インターネット)へ接続されかつ広域ネットワーク1730を介して相互通信するように構成される。広域ネットワーク930への接続は、有線型であってもよいし、無線型であってもよい。EMRサーバ1714、HCPサーバ1716、およびデータサーバ1712は全て、別の場所における別個のコンピューティングデバイス上において実行され得、あるいは、これらのエンティティのうち2つ以上の任意の部分的組合せが、同一コンピューティングデバイス上において共に実行され得る。
【0113】
患者コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cは、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータまたは他のデバイスであり得る。患者コンピューティングデバイス1720aが、広域ネットワーク1730を経て、患者1710aとシステム1700の遠隔所在エンティティとの間を仲介するように構成されている。
図17の具現例において、この仲介は、患者コンピューティングデバイス1720上において実行するソフトウェアアプリケーションプログラム940により、達成される。患者コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cによって作動される患者プログラム1740は、「患者アプリ」と称される専用アプリケーションであってもよいし、あるいは、健康プロバイダまたは在宅医療プロバイダによって提供されるウェブサイトと対話するウェブブラウザであってもよい。システム1700は、各患者と関連付けられた他の吸入器および遵守モニタ(図示せず)を含み得、これらの吸入器(図示せず)は、それぞれの関連付けられたコンピューティングデバイスおよび(恐らくは他の患者と共に共有される)関連付けられたHCPサーバを有する各患者と関連付けられる。システム1700内の患者/吸入器ユーザは全て、データサーバ1712によって管理され得る。
【0114】
上記において説明したように、モニタ100、950および1350からの遵守データは、吸入器10、900および1300からの薬剤用量の付加と相関付けられ得る。モニタ100、950および1300からのさらなるデータは、分析モジュール1754に関連して上記したような患者の薬剤適用技術の追跡のために、コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cによって収集され得る。このようなデータは、コンピューティングデバイス1720a、1720bおよび1720cによってデータサーバ1712へ送信され得る。分析モジュール1754は、
図8中のルーチンからの収集されたデータの分析を提供し得る(使用時における個々の患者による吸入器の適切な技術の決定)。
【0115】
本例において、モニタ100、950および1350は、薬剤用量の付加からの吸入器作動から収集されたデータを各患者コンピューティングデバイス1720a、1720bおよび1720cへ無線プロトコルを介して送信するように構成される。この無線プロトコルは、上記データを患者プログラム1740の一部として受信する。それから患者コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cは、プルオアプッシュ(pull or push)モデルに従って、データをデータサーバ1712へ送信する。データサーバ1712は、「プル」モデルに従ってデータをコンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cから受信し得、これにより、コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cは、データサーバ1712からのクエリに応答して生理学的データを送信する。あるいは、データサーバ1712は、「プッシュ」モデルに従って生理学的データを受信し得、これにより、コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cは、吸入器から投与量が投与された後に生理学的データが利用可能になり次第、イベントデータをデータサーバ1712へ送信する。さらに、データサーバ1712は、データベース1760にアクセスして、患者1710a、1710bおよび1710cに関連する収集および分析されたデータと、患者の全体的母集団に関連するビッグデータとを保存し得る。
【0116】
患者コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cから受信されたデータは、モニタ100、950、および1350と一意に関連付けられることによってシステム1700中の任意の他のモニタから収集されたデータから区別可能であるように、データサーバ1712によって保存およびインデックス付けされる。この点について、説明を容易にするため、
図17中において吸入器およびモニタを3つだけ図示しているが、システム1700は、より多数の吸入器およびモニタを含み得る。データサーバ1712は、モニタ100から受信されたデータからの各適用量について概要データを計算するように、構成され得る。データサーバ1712は、患者コンピューティングデバイス1720a、1720b、および1720cからデータを受信するようにも構成され得る(例えば、各患者1720a、1720b、および1720cが入力したデータ、患者についての挙動データ、または投与量/要約データ)。
【0117】
EMRサーバ1714は、電子医療記録(EMR)を含む(すなわち、患者1710a~cについて特異的な電子医療記録(EMR)と、患者1710a~cと類似の疾患を有する患者からなるより大きな母集団に対して包括的な電子医療記録(EMR)との両方)。EMRは、電子健康記録(EHR)とも呼ばれ、典型的には、患者の医療履歴(例えば、前回の状態、治療、合併症および現在の状態)を含む。EMRサーバ1714は、例えば患者1710a~cのいずれかが前回治療を受けた病院に配置され得る。EMRサーバ17914は、恐らくはデータサーバ1712からのクエリ受信に応答してEMRデータをデータサーバ1712へ送信するように構成される。
【0118】
本例において、HCPサーバ1716は、患者の呼吸治療について責任を負う健康/在宅医療プロバイダ(これは、個々のヘルスケア専門家または組織であり得る)と関連付けられる。HCPは、DMEまたはHME(国内/家庭用医療機材プロバイダ)とも呼ばれ得る。HCPサーバ1716は、プロセス1752をホストし得る。プロセス432について、以下により詳細に説明する。HCPサーバプロセス1752の1つの機能として、データサーバ1712からのクエリ受信に応答して、患者1710a~cに関連するデータをデータサーバ1712へ送信することがある。
【0119】
いくつかの実装例において、データサーバ1712は、HCPサーバ1716と通信して、HCPの代行者(例えば、看護婦)への通知またはアクション推奨をトリガするかまたは多様な報告のサポートを行うように、構成される。実行されたアクションの詳細は、従事データの一部としてデータサーバ1712によって保存される。HCPサーバ1716は、分析モジュール1754および患者プログラム940と通信するHCPサーバプロセス1752をホストする。
【0120】
例えば、HCPサーバプロセス1752により、吸入器が正しく操作されているかについての遵守分析が得られ得る。また、HCPサーバプロセス1752は、患者の吸入器使用をコンプライアンス規則に従って監視する能力を含み得る。これらのコンプライアンス規則は、コンプライアンス期間(例えば、30日間)にわたる必要な吸入器使用量を、最小投与回数についてコンプライアンス期間内の一定の最小日数(例えば、21日間)にわたって指定する。概要データの後処理において、使用時間と順守規則からの最低持続時間とを比較することにより、最近の継続期間が順守セッションであるかが決定され得る。このような後処理の結果を「コンプライアンスデータ」と呼ぶ。このような順守データは、吸入器および他の機構を含み得る治療をヘルスケアプロバイダが個別調整する際に、用いられ得る。他の関係者(例えば、支払人)は、患者に対して償還が存在し得るかを決定するために、順守データを用い得る。
【0121】
理解されるように、データサーバ1712、EMRサーバ1714、およびHCPサーバ1716中のデータは、患者1710a~cに関連する機密データであることが多い。典型的には、機密データを別の当事者へ送る許可を患者1710a~cから提供する必要があることが多い。このような許可は、サーバ1712、1714、および1716間のデータ転送に必要であり得る(ただし、このようなサーバが異なるエンティティによって操作されている場合)。
【0122】
本出願で使用される「部品」、「モジュール」、「システム」などの用語は、ハードウェア(例えば、回路)、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または1つ以上の具体的な機能を有する動作機械に関するエンティティのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを概して指す。例えば、部品は、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)上で実行される処理、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータであり得るが、これらに限定されない。例として、コントローラと、コントローラ上で動作するアプリケーションの両方が部品であり得る。1つ以上の部品が、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在し得、ある部品が、1台のコンピュータ上でローカライズされたり、2台以上のコンピュータ間で分散されたりし得る。さらに、「デバイス」は、特別に設計されたハードウェア、具体的な機能の実行を可能にするソフトウェアの実行によって特殊化された被汎用化ハードウェア、コンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェア、またはこれらの組み合わせの形態をとることができる。
【0123】
本明細書中に用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定的なものではない。本明細書で使用している単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかな場合を除き、複数形も含むことが意図されている。さらに、発明を実施するための形態および特許請求の範囲において、「含む」、「有する」、またはそれらの活用形が使用されており、これらの用語は、「備える」という用語と同様に包括的であることが意図されている。
【0124】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての用語(技術用語および科学用語を含めて)は、当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。さらには、広く使用されている辞書で定義されているような用語は、当該技術分野の文脈における意味と一致するように解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されている場合を除き、理想化された意味や過剰に形式的な意味で解釈されることはない。
【0125】
以上、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、それらは例示目的でのみ提示されており、限定ではないものと理解すべきである。本発明について、1つ以上の実装形態に関して例示および説明してきたが、本明細書および添付の図面を読み、理解する上で、等価の変更および修正が生じるか、他の当業者に公知であろう。加えて、本発明の特定の特徴は、いくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されたかもしれないが、かかる特徴は、任意の所与または特定の用途に対して所望かつ有利となるように、他の実装形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせられ得る。したがって、本発明の幅と範囲は、上記実施形態のいずれによっても制限されるべきでない。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項およびその均等物に従って定義されるべきである。
【0126】
以下、本開示の付記項を記載する。
(付記項1)
吸入器へ取り付けられる遵守モニタであって、前記吸入器は、キャニスターカバーによって被覆される薬剤キャニスターと、前記薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、マウスピースを有する、アクチュエータと、前記薬剤キャニスターを作動させて1回分の用量を放出させるように動作可能な投薬デバイスとを有し、前記遵守モニタは、
作動時において前記薬剤キャニスターの物理的移動を感知するように動作可能な作動検出センサと、
前記1回分の用量の吸入に起因して発生した空気圧変化を前記作動から感知するように動作可能な吸入データセンサと、
作動イベントを記録するように前記作動検出センサおよび前記吸入データセンサへ連結されたコントローラと、を含む、遵守モニタ。
(付記項2)
前記コントローラへ連結された加速度計をさらに含み、前記加速度計は、作動前の前記吸入器の動きを示し信号を出力し、前記コントローラは、前記動きが検出された場合に前記センサを起動させるように動作可能である、付記項1の遵守モニタ。
(付記項3)
前記作動検出センサは、赤外線センサである、付記項1~2のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項4)
前記作動検出センサは、コンタクトスイッチである、付記項1~3のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項5)
前記作動検出センサは、大気圧センサである、付記項1~4のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項6)
前記吸入器は、前記キャニスターカバーへ取り付けられたシールドを含み、前記作動検出センサは、前記シールドの動きを前記吸入器の動きを示すものとして検出する、付記項1~5のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項7)
前記吸入データセンサは、圧力センサであり、前記コントローラは、前記吸入器からの前記1回分の用量の吸入時の圧力曲線を決定するように動作可能である、付記項1~6のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項8)
前記コントローラは、前記吸入器の動きを示すタイムスタンプを収集されたデータへ付加するように動作可能である、付記項1~7のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項9)
前記コントローラへ連結されたトランシーバをさらに含み、前記コントローラは、前記作動イベントに基づいたデータを前記トランシーバと通信する外部クライアントデバイスへ送信するように動作可能である、付記項1~8のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項10)
前記外部クライアントデバイスは、ユーザと関連付けられたモバイルコンピューティングデバイスであり、前記外部クライアントデバイスは、前記収集されたデータを分析して、前記遵守を決定するアプリケーションを実行する、付記項9に記載の遵守モニタ。
(付記項11)
前記吸入器が前記遵守モニタへ取り付けられたときを検出するように動作可能な取付検出センサをさらに含む、付記項1~10のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項12)
前記コントローラおよび前記センサを起動させるためにユーザが操作することが可能な作動ボタンをさらに含む、付記項1~11のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項13)
前記吸入器のキャニスターカバー上にフィットして取り付けられる本体をさらに含む、付記項1~12のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項14)
前記吸入データセンサは、前記遵守モニタと、前記吸入器のキャニスターカバーとの間の隙間に露出されるように回路基板上に配置される、付記項1~13のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項15)
吸入器へ取り付けられる遵守モニタであって、前記吸入器は、薬剤キャニスターと、前記薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、一端により前記薬剤キャニスターが前記他端上のマウスピースと共に保持される円筒型本体を有する、アクチュエータと、前記薬剤キャニスターへ取り付けられた投薬デバイスであって、前記投薬デバイスは、前シールド面を含み、前記投薬デバイスは、前記薬剤キャニスターを作動させて1回分の用量を放出させるように動作可能である、投薬デバイスとを有し、前記遵守モニタは、
前記アクチュエータの円筒型本体の側部に一致する一対の曲線状の側壁であって、前記側壁はそれぞれ、開口した前縁部および閉鎖した後縁部を有する、一対の曲線状の側壁;前記アクチュエータの円筒型本体と重複するように前記側壁のうちの1つに取り付けられたサイドアームであって、前記吸入器のマウスピースはアクセス可能であり、前記前シールド面は露出される、サイドアームと、
前記側壁の閉鎖した後縁部に取り付けられた電子装置ハウジングと、
を含む、遵守モニタ。
(付記項16)
前記吸入器は、下部ストラップを含み、前記側壁はそれぞれ、前記ストラップのためのスロットを形成する下部を含む、付記項15の遵守モニタ。
(付記項17)
作動時において前記薬剤キャニスターの物理的移動を感知するように動作可能な作動検出センサと、
前記作動に起因して発生した空気圧変化を感知するように動作可能な吸入データ検出センサと、
作動イベントを記録するように前記センサへ連結された前記電子装置ハウジング中のコントローラと、を含む、付記項15~16のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項18)
プリント回路基板を前記電子装置ハウジング内にさらに含み、前記プリント回路基板は、前記作動検出センサへ接続されたコネクタを含む第1の面を有し、前記作動検出センサは、前記吸入器のシールド面の近隣における前記側壁のうちの1つと、前記側壁の上カバーと前記吸入器のアクチュエータとの間の隙間の近隣の前記吸入データセンサが取り付けられた第2の対向面とのうちの1つの上に取り付けられる、付記項17の遵守モニタ。
(付記項19)
吸入器の遵守モニタへの取付を検出するように動作可能である、プリント回路基板の第1の面上に取り付けられた取付検出センサをさらに含む、付記項18に記載の遵守モニタ。
(付記項20)
前記電子装置ハウジングは、コントローラおよびセンサの起動するように作動可能である作動ボタンを有するバックパネルを含む、付記項18に記載の遵守モニタ。
(付記項21)
吸入器へ取り付けられる遵守モニタであって、前記吸入器は、薬剤キャニスターと、前記薬剤キャニスターを保持するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記薬剤キャニスターを前記他端上のマウスピースと共に保持する一端および前記薬剤キャニスターを被覆するキャニスターカバーを有し、前記薬剤キャニスターは、1回分の用量を放出させるように作動されるように動作可能であり、前記モニタは、
前記キャニスターカバーの周囲にフィットして取り付けられた本体と、
前記本体に取り付けられた電子装置ハウジングと、
作動時において前記薬剤キャニスターを感知するように動作可能な作動検出センサと、
前記作動に起因して発生した空気圧変化を感知するように動作可能な吸入データ検出センサと、
作動イベントを記録するように前記センサへ連結された前記電子装置ハウジング中のコントローラと、を含む、遵守モニタ。
(付記項22)
プリント回路基板を前記電子装置ハウジング内にさらに含み、前記プリント回路基板は、作動検出センサを有する持つ第1の面と、前記電子装置ハウジングの上カバーと前記吸入器のキャニスタカバーとの間の隙間の近隣の前記吸入データセンサが取り付けられた第2の対向面とを有する、付記項21の遵守モニタ。
(付記項23)
前記電子装置ハウジングは、コントローラおよびセンサの起動するように作動可能である作動ボタンを有するパネルを含む、付記項22に記載の遵守モニタ。
(付記項24)
前記キャニスターカバーは、薬剤キャニスターを作動させるように、物理的に移動可能である、付記項21~23のいずれか一項に記載の遵守モニタ。
(付記項25)
前記作動検出センサは、キャニスターカバーが移動されたときに起動するリミットスイッチである、付記項24に記載の遵守モニタ。
(付記項26)
前記作動検出センサおよび吸入検出センサは、大気圧センサである、付記項21~25のいずれか一項に記載の遵守センサ。