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  • 特開-締結方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011630
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】締結方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20240118BHJP
   F16B 25/10 20060101ALI20240118BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F16B5/02 V
F16B25/10 A
F16B35/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113809
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】松田 誠樹
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001JA01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、金属等で構成された2つの部材を締結する締結方法を提供する。
【解決手段】締結方法は、切削刃13aを備えたドリル部13を備える先端部12と、先端部12に連続して設けられたねじ部14とを有するドリルビス10を用いて、重ねられた2つの部材20、22を締結する締結方法である。ドリルビス10の軸方向Dにおけるドリル部13の長さLは、重ねられた2つの部材20、22の合計の厚みtよりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削刃を備えたドリル部を備える先端部と、前記先端部に連続して設けられたねじ部とを有するドリルビスを用いて、重ねられた2つの部材を締結する締結方法であって、
前記ドリルビスの軸方向における前記ドリル部の長さは、重ねられた2つの前記部材の合計の厚みよりも短い、締結方法。
【請求項2】
前記ドリル部の前記長さは、重ねられた2つの前記部材のうち、前記ドリル部側に配置された1層目の部材の厚みと同じである、請求項1に記載の締結方法。
【請求項3】
重ねられた2つの前記部材のうち、前記ドリル部側に配置された1層目の部材の厚みは、残りの2層目の部材の厚みと同じである、請求項1又は2に記載の締結方法。
【請求項4】
前記ねじ部は、前記軸方向において、前記先端部の反対側に向かうにつれて呼び径が大きい、請求項1又は2に記載の締結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の締結に用いられる締結方法に係り、特に、ドリルビスを用いた2つの部材の締結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属等で構成された2つの部材を締結する際に、溶接又はリベット等を用いる場合がある。
溶接を用いて締結する場合、溶接機等の準備が煩雑になり作業性が悪い。また、溶接の場合、部材がめっきされていれば、めっきをはがした後に溶接して、溶接後にめっきをはがした箇所に塗装する必要があり、作業性が悪い。
リベットを用いて締結する場合、2つの部材の配置によっては、リベットが利用できず、リベットによって締結できないことがある。
上述の溶接又はリベット以外に、2つの部材の締結にドリルビスが用いられる。ドリルビスとして、例えば、特許文献1にセルフドリルねじが提案されている。
【0003】
特許文献1のセルフドリルねじは、ドライバビットに係合可能な頭部と、これと一体でねじ部を有する脚部の無ねじ部に略円錐状のドリル部を形成し、このドリル部と無ねじ部に頭部に向かうとともに軸心を挟む対角位置で延びる二条の排出溝を形成し、しかも、ドリル部の先端から排出溝の外周縁に沿って切削刃を有するセルフドリルねじにおいて、ドリル部からねじ部にかけて形成された排出溝の後部に排出溝からねじ部の谷にかけて上り勾配の排出傾斜面を形成し、この排出傾斜面の側壁が排出溝の面に対して直立した構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-249091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のセルフドリルねじは、切削屑を排出する排出溝にねじ山が形成されないようにしており、構成が複雑である。このため、製造コストも嵩む。簡単な構成で、金属等で構成された2つの部材を締結することが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、金属等で構成された2つの部材を締結する締結方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明の締結方法によれば、切削刃を備えたドリル部を備える先端部と、先端部に連続して設けられたねじ部とを有するドリルビスを用いて、重ねられた2つの部材を締結する締結方法であって、ドリルビスの軸方向におけるドリル部の長さは、重ねられた2つの部材の合計の厚みよりも短い、ことにより解決される。
上記のように構成された本発明の締結方法では、簡単な構成のドリルビスで、金属等で構成された2つの部材を締結することができる。
【0008】
また、上記の締結方法において、ドリル部の長さは、重ねられた2つの部材のうち、ドリル部側に配置された1層目の部材の厚みと同じであると、好適である。
上記の構成によれば、ドリル部により1層目の部材に確実に穴を形成でき、2つの部材をドリルビスによって更に容易に締結できる。
また、上記の締結方法において、重ねられた2つの部材のうち、ドリル部側に配置された1層目の部材の厚みは、残りの2層目の部材の厚みと同じであると、より好適である。
上記の構成によれば、2つの部材をドリルビスによって容易に締結できる。
【0009】
また、上記の締結方法において、ねじ部は、軸方向において、先端部の反対側に向かうにつれて呼び径が大きいと、さらに好適である。
上記の構成によれば、ねじ部に大きなトルクがかかり、2つの部材をドリルビスによって更に容易に締結できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の締結方法によれば、簡単な構成で、金属等で構成された2つの部材をドリルビスによって締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の締結方法に用いられるドリルビスの一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態の締結方法に締結される2つの部材の一例を示す模式的斜視図である。
図3】本発明の実施形態の締結方法に用いられるドリルビスの他の例を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態の締結方法に用いられるドリルビスによる締結方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<<本発明の一つの実施形態に係る締結方法について>>
以下、本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態)について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、図面では、説明を分かり易くするために幾分簡略化及び模式化して各部材を図示している。また、図中に示す各部材のサイズ(寸法)及び部材間の間隔等についても、実際のものとは異なっている。
また、本明細書において、「同じ」とは、本発明の技術分野において一般的に許容される誤差の範囲を含む。
【0013】
以下、重ねられた2つの部材の締結に用いられる締結方法について説明する。
図1は本発明の実施形態の締結方法に用いられるドリルビスの一例を示す模式図である。図2は本発明の実施形態の締結方法に締結される2つの部材の一例を示す模式的斜視図である。本実施形態の締結方法では、例えば、図1に示すドリルビス10が用いられる。
ドリルビス10は、切削刃13aを備えたドリル部13を備える先端部12と、先端部12に連続して設けられたねじ部14とを有する。ねじ部14には、ねじ部14の外周に沿って、螺旋状にねじ山15が設けられている。後述のように、ねじ部14は2つの部材20、22に螺合される。
ドリルビス10は、ねじ部14に、先端部12の反対側に頭部16が設けられている。頭部16には、図示はしないが、ドライバー等の先端がはまる溝が設けられている。頭部16の溝(図示せず)にドライバー等の先端が嵌められて、ドライバーの回転力がねじ部14及び先端部12に伝達される。なお、ドライバーは、手動でも、電動でもよい。
【0014】
ドリルビス10は、上述のように重ねられた2つの部材20、22の締結に用いられる。重ねられた2つの部材20、22は、特に限定されるものではないが、例えば、板材である。
ここで、重ねられた2つの部材20、22のうち、ドリル部13側に配置された1層目の部材20のドリルビス10の軸方向Dにおける厚みをtとする。残りの2層目の部材22のドリルビス10の軸方向Dにおける厚みをtとする。重ねられた2つの部材20、22のドリルビス10の軸方向Dにおける合計の厚みをtとする。以下、単に、厚みt、t、tという。
なお、ドリルビス10の軸方向Dとは、ドリルビス10の軸Cの延在方向である。
ドリルビス10は、ドリルビス10の軸方向Dにおけるドリル部13の長さ(ドリル長さ)をLとするとき、ドリル部13の長さLは、重ねられた2つの部材20、22の合計の厚みtよりも短い。
2つの部材20、22は、例えば、鋼材、又はアルミニウム合金材で構成される。
また、1層目の部材20の厚みt、及び2層目の部材22の厚みをtは、例えば、2~5mm程度であり、合計の厚みtは、4~10mm程度である。
【0015】
ドリル部13の長さLが、重ねられた2つの部材20、22の合計の厚みtよりも長い場合、ドリル部13の長さLを長くする必要がある。また、2つの部材20、22を貫通させるように作業者は荷重を加えなければならず、ドリルビス10の回転力を有効に利用できない。これに対して、ドリル部13の長さLが、重ねられた2つの部材20、22の合計の厚みtよりも短い場合、1層目の部材20にドリル部13を貫通させて2層目の部材22に進入させた後、ドリルビス10を回転させる。すると、ドリルビス10の回転により、ドリルビス10が軸方向Dにおいて先端部12側に移動して部材20、22にねじ山(図示せず)が形成されて、ねじ部14が2つの部材20、22に螺合される。これにより、重ねられた2つの部材20、22が締結される。このようにして、簡単な構成のドリルビス10で、金属等で構成された2つの部材20、22を締結できる。
【0016】
図1では、ドリル部13の長さLは部材20の厚みtよりも長いが、これに限定されるものではない。ドリル部13の長さLは、2つの部材20、22の合計の厚みtよりも短かければ、部材20の厚みtよりも短く、部材20に進入している間は部材22に達しない構成でもよい。
ドリル部13の長さLは、重ねられた2つの部材20、22のうち、ドリル部13側に配置された1層目の部材20の厚みtと同じであることが好ましい。この場合、ドリル部13を1層目の部材20に進入させて、ドリル部13が1層目の部材20を貫通させた後、ドリルビス10を回転させると、ドリルビス10が軸方向Dに移動し、ドリル部13により形成された穴に、ねじ部14により部材20にねじ山(図示せず)が形成される。そして、ドリル部13により2層目の部材22に穴が形成される。その後、形成された穴に、ねじ部14により部材22にねじ山(図示せず)が形成される。このようにドリル部13により1層目の部材20に確実に穴を形成でき、2つの部材20、22をドリルビス10によって更に容易に締結できる。
【0017】
ドリル部13側に配置された1層目の部材20の厚みtと、残りの2層目の部材22の厚みtとの関係は、特に限定されるものではなく、同じであっても、どちらか一方が他方よりも厚くてもよい。
重ねられた2つの部材20、22のうち、ドリル部13側に配置された1層目の部材20の厚みtは、残りの2層目の部材22の厚みtと同じであることが好ましい。この場合、ドリルビス10の回転を有効に利用でき、2つの部材20、22を容易に締結できる。
【0018】
重ねられた2つの部材20、22は、より具体的には、図2に示す形態がある。
図2に示すように、第1の溝型部材24と、第2の溝型部材26とは、矩形フレームの角部において重ねられている。
第1の溝型部材24(矩形フレーム)は、基部30と、基部30の両端が折り曲げられて対向する2つの側面部31とを有する。さらに、端部24aが、側面部31が対向する方向に、側面部31の間隔が狭くなるように絞られている。
第2の溝型部材26(矩形フレーム)は、基部34と、基部34の両端が折り曲げられて対向する2つの側面部35を有する。
【0019】
第1の溝型部材24の絞られた端部24aの一方の側面部32の外面32bに、第2の溝型部材26の一方の側面部35の内面35aを対向させ、第1の溝型部材24の絞られた端部24aの他方の側面部32の内面32aに、第2の溝型部材26の他方の側面部35の外面35bを対向させて配置する。図2に示すように第1の溝型部材24の端部24aに、第2の溝型部材26が被せられた状態になる。
この状態で、第1の溝型部材24の端部24aの一方の側面部32において、第2の溝型部材26の側面部35の外面35b側から、側面部35の外面35bの位置Gにドリルビス10を進入させて、ドリルビス10を回転させて、第1の溝型部材24と第2の溝型部材26とを締結する。また、第1の溝型部材24の端部24aの他方の側面部32において、第1の溝型部材24の側面部32の外面32b側から、側面部32の外面32bの位置Gにドリルビス10を進入させてドリルビス10を回転させて、第1の溝型部材24と第2の溝型部材26とを締結する。
【0020】
上記のドリルビス10の構成は、上述の実施形態に限定されるものではない。
ここで、図3は本発明の実施形態の締結方法に用いられるドリルビスの他の例を示す模式図であり、図4は本発明の実施形態の締結方法に用いられるドリルビスによる締結方法を説明する模式図である。図3及び図4において、図1と同じ構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図3に示すドリルビス10aは、図1に示すドリルビス10に比して、ねじ部14の構成が異なる点以外は、図1に示すドリルビス10と同様の構成である。
図3に示すドリルビス10aのねじ部14は、軸方向Dにおいて、先端部12の反対側に向かうにつれて呼び径が大きい構成である。図3に示すドリルビス10aのねじ部14は、先端部12から頭部16に向うにつれて、呼び径が大きくなっており、ねじ部14の外周は、軸Cに対して傾斜している。なお、呼び径とは、ねじ山15の外径のことであり、図3において2つの二点鎖線の間隔によって表される長さである。
【0021】
図3に示すドリルビス10aを、上述の図1に示すドリルビス10と同様に、2つの部材20、22の締結に用いた場合、部材20にドリル部13を進入させた後、ドリルビス10を回転させる。これにより、ドリルビス10が軸方向Dにおいて先端部12側に移動し、ドリル部13により2層目の部材22に穴が形成され、形成された穴に、ねじ部14により部材20にねじ山(図示せず)が形成される。このとき、ねじ部14は呼び径が大きくなっており、ねじ部14に大きなトルクがかかり、2つの部材20、22にねじ山(図示せず)が、更に容易に形成される。図4に示すように、ねじ部14が2つの部材20、22に螺合されて、重ねられた2つの部材20、22が締結される。このようにして、ドリルビス10により、2つの部材20、22が更に容易に締結される。
【0022】
以上までに、本発明の締結方法に関する実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
10、10a ドリルビス
12 先端部
13 ドリル部
13a 切削刃
14 ねじ部
15 ねじ山
16 頭部
20、22 部材
24 第1の溝型部材
24a 端部
26 第2の溝型部材
30、34 基部
31、32 側面部 35 側面部
32a、35a 内面
32b、35b 外面
C 軸
D 軸方向
t、t、t 厚み
図1
図2
図3
図4