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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116306
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024094807
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2020175491の分割
【原出願日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2019206359
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】
【課題】 複数のプレイヤによって同一のベットエリアに置かれたゲーミングチップの複数のスタックをいずれのプレイヤによって置かれたスタックであるかを判別できるゲームシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明のゲームシステムは、複数種類のベット対象がレイアウトされたベットエリア6を有するゲームテーブル2と、ゲームテーブル2を撮影して撮影画像を生成するカメラ10と、撮影画像に基づいて、撮影画像内のゲーミングチップ8のスタック80の位置に基づいて、当該スタック80がいずれのベット対象7にベットされているかを特定する情報処理装置12とを備え、情報処理装置12は、同一のベットエリア6に複数のスタック80のゲーミングチップ8がベットされているときに、撮影画像11に基づいて、いずれのスタック80がメインプレイヤ3mのスタック80であり、いずれのスタック80がバックベットプレイヤ3bのスタック80であるかを判定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のベット対象エリアがレイアウトされたベットエリアを複数のプレイポジションの各々が有するゲーミングテーブルにおけるゲーミングチップのベットを判定するゲームシステムであって、
プレイヤから提供された記憶媒体から読み取ったプレイヤIDと、前記プレイヤが位置するプレイポジションとしてディーラによって入力されたプレイポジションと、を関連付けることで、前記プレイポジションのメインプレイヤを特定するメインプレイヤ特定手段と、
一又は複数のゲーミングチップが、前記プレイヤに関連付けられた前記プレイポジションのどのベット対象エリアにベットされたか、及び前記一又は複数のゲーミングチップの総額がいくらかを判定するベット判定手段と、
前記ベット判定手段によって同一のベット対象エリアにベットされたと判定された前記一又は複数のゲーミングチップのそれぞれについて、メインプレイヤのゲーミングチップであるか非メインプレイヤのゲーミングチップであるかを判定するベッタ判定手段と、
前記ベット判定手段による判定及び前記ベッタ判定手段による判定に基づいて、前記メインプレイヤがベットした総額を前記メインプレイヤのプレイヤIDと関連付けて記憶するデータベースと、
を備えた、ゲームシステム。
【請求項2】
前記データベースは、前記メインプレイヤがベットした総額及び前記メインプレイヤのプレイヤIDに、さらに、前記メインプレイヤがベットしたベット対象エリアを関連付けて記憶する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ベット判定手段は、所定の時間間隔で連続的に、前記一又は複数のゲーミングチップが、前記プレイヤに関連付けられたプレイポジションのどのベット対象エリアにベットされたか、及び総額がいくらかを判定する、請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記ベッタ判定手段は、前記同一のベット対象エリアにベットされたと判定された前記一又は複数のゲーミングチップが置かれた時間に関する情報に基づいて、前記一又は複数のゲーミングチップが前記メインプレイヤのゲーミングチップであるか前記非メインプレイヤのゲーミングチップであるかを判定する、請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記ベッタ判定手段は、前記同一のベット対象エリアにベットされたと判定された前記一又は複数のゲーミングチップが置かれた順番に基づいて、前記一又は複数のゲーミングチップが前記メインプレイヤのゲーミングチップであるか前記非メインプレイヤのゲーミングチップであるかを判定する、請求項4に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーミングチップをテーブル上にレイアウトされた複数種類のベット対象のいずれかに置くことでプレイするゲームに用いられるゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーミングチップをテーブル上にレイアウトされたベット対象のいずれかに置くことでプレイするゲームが行われるテーブルにおいて、テーブル上のゲーミングチップをカメラで撮影して撮影画像を得て、その撮影画像を画像分析装置で分析して、ゲーミングチップが置かれたベット対象、及びそのゲーミングチップの種類及び枚数を特定することで、いずれのベット対象にいくらのゲーミングチップがベットされたかを確定するシステムが知られている。
【0003】
このようなテーブルには、複数のプレイヤが同時にプレイできるように、複数のプレイポジションが設けられている。テーブル上には、プレイポジションごとにベットエリアが設けられている。各ベットエリアには、複数種類のベット対象がレイアウトされている。プレイポジションでプレイするプレイヤは、自らのプレイポジションに割り当てられたベットエリアにレイアウトされた複数種類のベット対象のいずれかにゲーミングチップを置くことで、当該ベット対象に当該ゲーミングチップをベットする。なお、複数枚のゲーミングチップをベット対象にベットする場合には、それらの複数枚のゲーミングチップは積み重ねられて1つのスタックを形成してベット対象に置かれる。
【0004】
したがって、このようにプレイポジションごとにベットエリアが分かれていることを踏まえて画像分析装置を設計することで、プレイポジションごとに、いずれのベット対象にいくらのゲーミングチップがベットされたかを確定することができる。例えば、バカラゲームのためのテーブルでは、プレイポジションごとに、複数種類のベット対象として、少なくとも「PLAYER」及び「BANKER」が設けられる。ゲームシステムは、撮影画像を画像分析することで、各プレイポジションのプレイヤが「PLAYER」にベットしたのか、「BANKER」にベットしたのか、さらに、そのベット額がいくらであるかを確定することができる(例えば、特開2019-149155号公報)。
【0005】
このシステムに加えて、さらにプレイヤを特定するプレイヤ特定システムを用いることで、どのプレイヤがどのベット対象にいくらのゲーミングチップをベットしたのかを確定することができる。これに加えて、さらにゲームの結果を判定するゲーム結果判定システムを用いることで、どのプレイヤがいくらのゲーミングチップをベットして、いくらのゲーミングチップの償還を受け、いくらのゲーミングチップを回収されたかを確定することも可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テーブルに複数のプレイポジションが設けられている場合であっても、プレイヤは必ずしもいずれかのプレイポジションにつかなければゲームをプレイできないというわけではない。特に、あるテーブルに用意されたすべてのプレイポジションがすでに利用されている場合には、プレイポジションでプレイしているプレイヤ(以下、「メインプレイヤ」ともいう。)に割り当てられたベットエリアに、プレイポジションについていないプレイヤが自らのゲーミングチップを置くことでゲームに参加することもある。このように、プレイポジションについていないプレイヤが、プレイポジションについているプレイヤに割り当てられたベットエリアのいずれかのベット対象にベットすることを「バックベッティング」といい、バックベッティングをするプレイヤを「バックベットプレイヤ」という。
【0007】
このようなバックベッティングによって、プレイポジションごとに分かれていたはずのベットエリアに、複数のプレイヤがゲーミングチップをベットすることになり、その結果、1つのベットエリアの同一ベット対象又は互いに異なる複数のベット対象に、ゲーミングチップの複数のスタックが存在することになる。従来のシステムでは、このような場合に、同一のベットエリアに置かれたゲーミングチップの複数のスタックうちのいずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判別することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、複数のプレイヤによって同一のベットエリアに置かれたゲーミングチップの複数のスタックをいずれのプレイヤによって置かれたスタックであるかを判別できるゲームシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様のゲームシステムは、複数種類のベット対象がレイアウトされたベットエリアを有するテーブルと、前記テーブルを撮影して撮影画像を生成するカメラと、前記撮影画像に基づいて、前記撮影画像内のゲーミングチップのスタックの位置に基づいて、当該スタックがいずれのベット対象にベットされているかを特定する情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、同一のベットエリアに複数のスタックのゲーミングチップがベットされているときに、前記撮影画像に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定する構成を有している。
【0010】
この構成により、同一のベットエリアに複数のスタックのゲーミングチップがベットされている場合であっても、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるか判定することが可能になる。
【0011】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、同一のベットエリアにベットされている前記複数のスタックの互いの位置関係に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0012】
この構成により、同一のベットエリアに複数のスタックのゲーミングチップがベットされていても、それらスタック同士の相対的な位置関係から、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるか判定することが可能になる。例えば、バックベットはメインベットの右方に置く、というルールをカジノ側が設定してゲームが行われた場合、左方に置かれたスタックはメインプレイヤのスタックであり、右方に置かれたスタックはバックベットプレイヤのスタックであるということを判定するといったことが可能になる。
【0013】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、前記スタックと、前記スタックがベットされている前記ベット対象との位置関係に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0014】
この構成により、ベット対象にスタックが置かれた場所から、そのスタックがいずれのプレイヤのスタックであるか判定することが可能になる。例えば、メインベットはベット対象の中央及び左寄りに置き、バックベットはベット対象の右端に置く、というルールをカジノ側が設定してゲームが行われた場合、ベット対象の中央及び左寄りに置かれたスタックはメインベットプレイヤのスタックであり、ベット対象の右端に置かれたスタックはバックベットプレイヤのスタックであるということを判定することが可能になる。さらに、バックベットプレイヤがベットをせず、メインプレイヤのみがベットしたスタックがベット対象内に存在する場合であっても、そのスタックが置かれた位置から、そのスタックがメインプレイヤのスタックであるということを判定することが可能になる。
【0015】
上記のゲームシステムにおいて、前記カメラは、前記ゲーミングチップのスタックをベットするプレイヤを撮影してよく、前記情報処理装置は、前記撮影画像において、同一のベットエリアにベットされている前記複数のスタックをベットしたそれぞれのプレイヤを認識し、認識結果に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0016】
この構成により、スタックをベットしたプレイヤを認識し、そこから、いずれのプレイヤがメインプレイヤであり、いずれのプレイヤがバックベットプレイヤであるか、さらに、いずれのスタックがメインプレイヤのものであるか、いずれのスタックがバックベットプレイヤのものであるかを判定することが可能になる。
【0017】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、前記撮影画像において、同一のベットエリアにベットされている前記複数のスタックをベットしたそれぞれのプレイヤの身体の一部又は衣服の一部を認識し、身体の一部又は衣服の一部の認識結果に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0018】
この構成により、スタックをベットする場所をカジノ側がルールとして設定せず、プレイヤがベット対象に自由にスタックをベットしてゲームが行われる場合であっても、撮影した画像から認識した身体の一部又は衣服の一部から、いずれのスタックがいずれのプレイヤのものであるかを判定することが可能になる。
【0019】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、認識した身体の一部又は衣服の一部がいずれのプレイヤの身体の一部又は衣服の一部であるかを特定し、特定結果に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0020】
この構成により、いずれの身体の一部又は衣服の一部がいずれのプレイヤのものであるかを認識したうえで、その身体の一部又は衣服の一部がいずれのスタックをベットしたかを判定することが可能になる。
【0021】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、認識した身体の一部又は衣服の一部の方向を判定し、判定結果に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0022】
この構成により、例えばメインプレイヤとバックベットプレイヤの顔の認識、あるいは身体の一部又は衣服の認識が困難な場合であっても、スタックをベットした身体の一部又は衣服の一部の延在方向から、いずれのスタックがいずれのプレイヤのものであるかを判定することが可能になる。
【0023】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、前記撮影画像に基づいて、同一のベットエリアにベットされている複数のスタックが同一のプレイヤのスタックであるか否かを判定してよい。
【0024】
この構成により、例えばベット額が大きいために一人のプレイヤがスタックを複数にしてベットしている場合、あるいは複数のプレイヤがそれぞれスタックをベットしている場合などであっても、いずれのスタックがいずれのプレイヤのものであるかを判定することが可能になる。
【0025】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、前記複数のスタックの距離に基づいて、当該複数のスタックが同一のプレイヤのスタックであるか否かを判定してよい。
【0026】
この構成により、例えば、スタック同士の距離が近ければそれらは同一プレイヤによってベットされたもので、スタック同士の距離が遠ければそれらは複数のプレイヤによってベットされたものであるといった判定が可能になる。
【0027】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、時系列に得られた複数の前記撮影画像に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0028】
この構成により、撮影された一枚の画像からだけでなく、時系列に得られた複数の画像、すなわち映像のようなものからでもいずれのスタックがいずれのプレイヤのものであるかを見分けることが可能になる。
【0029】
上記のゲームシステムにおいて、前記情報処理装置は、同一のベットエリアにベットされた複数のスタックがベットされた順番に基づいて、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるかを判定してよい。
【0030】
この構成により、例えばメインプレイヤが先にベットし、バックベットプレイヤが後にベットするというルールをカジノ側が設定した場合、先にベットされたスタックがメインプレイヤのもので、後にベットされたスタックがバックベットプレイヤのものであるということを判定することが可能になる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、同一のベットエリアに複数のスタックのゲーミングチップがベットされている場合であっても、いずれのスタックがメインプレイヤのスタックであり、いずれのスタックがバックベットプレイヤのスタックであるか判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る第1の例のゲームシステムの構成を示す図である。
図2図2は、カメラがベットエリアを撮影することで生成された第1の例の撮影画像を示す図である。
図3図3は、ゲームテーブルの真上のカメラで撮影された画像の一部を示す図である。
図4図4は、カメラがベットエリアを撮影することで生成した第2の例の撮影画像を示す図である。
図5図5は、カメラがベットエリアを撮影することで生成した第3の例の撮影画像を示す図である。
図6図6は、カメラがベットエリアを撮影することで得られた第4の例の撮影画像を示す図である。
図7図7は、カメラがベットエリアを撮影することで生成した第5の例の撮影画像を示す図である。
図8図8は、カメラがベットエリアを撮影することで生成した第6の例の撮影画像を示す図である。
図9図9は、カメラがベットエリアを撮影することで生成した第7の例の撮影画像を示す図である。
図10図10は、時系列に得られた6枚の撮影画像を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る第2の例のゲームシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、この発明に係るゲームシステムにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施の形態では、ゲームシステムとしてバカラ用のゲームシステムを例示して説明するが、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0034】
図1は本発明の実施の形態の第1の例のゲームシステムの構成を示す図である。ゲームシステム1は、概略楕円形のゲームテーブル2を備えている。ゲームテーブル2の一方側(図1の下側)にメインプレイヤ3mとバックベットプレイヤ3b(以下、メインプレイヤ3mとバックベットプレイヤ3bを合わせて「プレイヤ3」ともいう。)が位置し、反対側にはディーラ(図示省略)が位置する。ゲームテーブル2の上面には、複数のプレイポジションの各々に対応して複数のベットエリア6a~6f(以下、総称するときは「ベットエリア6」ともいう。)が区画されている。さらにベットエリア6には、複数種類のベット対象がレイアウトされている。各ベットエリア6には、ベット対象7として、PLAYER PAIRエリア7a 、BANKER PAIRエリア7b、TIEエリア7c、PLAYER WINエリア7d 、BANKER WINエリア7eがレイアウトされている。メインプレイヤ3mとバックベットプレイヤ3bは、ベットエリア6にレイアウトされたベット対象7のいずれかにゲーミングチップ8を置くことで、ベット対象7にゲーミングチップ8をベットしてゲームに参加する。ベットするゲーミングチップ8は1つまたは複数であってよい。複数のゲーミングチップ81をベットする場合は、ゲーミングチップ8は積み重ねられて1つまたは複数のゲーミングチップ8の山を形成する。以下、このゲーミングチップ8の山をスタック80という。スタック80は、1枚のゲーミングチップ8からなるものであってもよい。
【0035】
ゲームシステム1はカメラ10を備え、カメラ10はベットエリア6を撮影して撮影画像11を生成する。さらに、ゲームシステム1は情報処理装置12を備え、情報処理装置12は撮影画像11に基づいて、スタック80がメインプレイヤ3mのスタック(以下「メインベット」ともいう。)であるかバックベットプレイヤ3bのスタック(以下「バックベット」ともいう。)であるかを判定する。あるいは情報処理装置12は、メインベットであるかバックベットであるかを判別することなく、ベット対象7に置かれたゲーミングチップ8のスタック80の位置を特定してもよい。
【0036】
なお説明するにあたり、便宜的に4台のカメラ10a~10dを図1に図示しているが、カメラ10の台数または位置は、ベットエリア6とそこに置かれたスタック80を十分に撮影できる任意の数または場所であってよい。カメラ10bは、ゲームテーブル2の真上からゲームテーブル2のベットエリア6及びそこに置かれたゲーミングチップ8を撮影するものである。このカメラ10bの画像には、スタック80の最上のゲーミングチップ8の表面しか観察できないが、スタック80の位置については、他のカメラ10の画像よりも容易に判断できる。
【0037】
図2は、カメラ10がベットエリア6を撮影することで生成された第1の例の撮影画像11aを示す図である。ここで、情報処理装置12におけるスタック80の認識方法について図2を用いて説明する。図2に示す撮影画像11aは、2次元座標に配置される複数のピクセルにより構成されている。
【0038】
前提として、ゲーミングチップ8には少なくとも部分的に色が付与されている。その色はゲーミングチップ8の層をなしていたり、ゲーミングチップ8の側面の周方向に付されていたり、ゲーミングチップ8の表面に所定のマークとして付されていてもよい。図2では、ゲーミングチップ8の側面の周方向に色が付された例を図示している。この色は、ゲーミングチップ8の種類(価値)を表している。すなわち、ゲーミングチップ8には、種類(価値)に応じた色が付与されている。
【0039】
情報処理装置12は、スタック80を検出するよう学習されたニューラルネットワークを用いて、画像内からスタック80を検出する。具体的には、情報処理装置12は、画像内からスタック80を含む矩形領域9(バウンディングボックス)を検出し(物体検出)、あるいはスタック80の領域(以下、「スタック領域」という。)を抽出する(領域セグメンテーション)。
【0040】
また、情報処理装置12は、部分的に付与されている色が記録されている領域を抽出し、検出されたスタック80に含まれる各ゲーミングチップ8の部分的に付与された色に基づいて、各ゲーミングチップ8の種類を判定する。この判定には、テンプレートマッチングを用いてもよいし、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルを用いてもよい。また、それらの2つを組み合わせて用いてもよいし、それぞれを用いて段階的に判定してもよい。
【0041】
さらに、情報処理装置12は人工知能装置を用いることなく、撮影画像11を画像分析した結果から、形状、明度、彩度、色合いなどの画像上の特徴を計測する方法によりスタック80ないしスタック80を形成するゲーミングチップ8の種類を認識してもよい。
【0042】
次に、スタック80がどのベット対象7に置かれているのかを認識する方法について説明する。図3は、ゲームテーブル2の真上のカメラ10bで撮影された画像の一部を示す図である。この画像では、スタック80の最上のゲーミングチップ8が円形状で観察される。情報処理装置12は、この画像に対して2次元配置されたグリッドを定義し、各グリッドについて当該グリッドがどのベット対象7に該当するかを定義している。情報処理装置12は、画像からスタック80を検出し、検出したスタック80(具体的には、スタック80の最上のゲーミングチップ8の中心)がどのグリッドに位置しているかを判定することにより、当該スタック80がどのベット対象7に置かれているかを判定する。また、図3に示す撮影画像に基づいて、スタック80がどのグリッドに位置しているかを判定することで、当該スタック80がベット対象7内のいずれの位置に置かれているかも判定することができる。
【0043】
情報処理装置12は、図2に示す撮影画像11aに基づいてスタック80がどのベット対象7に置かれているかを判定するときは、以下のようにして行う。すなわち、図2の撮影画像11aのように、斜め上方から撮影して得られた撮影画像を用いる場合には、情報処理装置12は、検出された矩形領域9の底辺の中央又は抽出されたスタック領域の左右最大幅の中央の最下点のピクセルの座標値(即ち、撮影画像内の位置)に応じて、そのスタック80が置かれている位置(即ち、ベット対象7又はベット対象7内の位置)を判定する。
【0044】
あるいは、図2に示す撮影画像11aからスタック80が置かれている位置(即ち、ベット対象7又はベット対象7内の位置)を判定する場合において、情報処理装置12は、一番下のゲーミングチップ8の側面の周方向に付された色の左右方向の中央の座標にスタック80が存在すると判定する。あるいは周方向に付された色の円弧状の形状から、ゲーミングチップ8の全体の形状を推定し、そこからゲーミングチップ8の中心の座標を特定することでスタック80の位置を判定してもよい。
【0045】
情報処理装置12は、どの座標がどのベット対象7に対応するかを記憶しており、その記憶された情報と、撮影画像11aから判定したゲーミングチップ8の中心を示す座標とを照らし合わせ、スタック80がどのベット対象7に置かれているのかを認識することが可能になる。なお、情報処理装置12は、ベット対象7についても、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルを利用して撮影画像から各ベット対象7を検出ないし抽出して、スタック80が置かれているベット対象7を判定してもよい。
【0046】
また、情報処理装置12は、最上位のチップの中心を認識するとともに、スタック80におけるゲーミングチップ8の枚数を認識して、それらに基づいて、スタック80の最下位のゲーミングチップの中心の位置を推定し、それを当該スタック80の位置としてもよい。この場合には、情報処理装置12は、カメラ10と最上位チップとの中心とを結ぶ線分を斜辺の傾きとして有し、ゲーミングチップ8の枚数から算出される高さを有し、テーブル面上の底辺を設定したときの直角三角形の直角の位置を最下位のゲーミングチップ8の位置、すなわち、スタック80の位置として算出する。
【0047】
情報処理装置12は、カメラ10から得られた画像の各画素の座標をテーブル面上に設定されたテーブル座標系に変換する。この変換式は、テーブル面とカメラ10との位置及び姿勢の関係から決定され、カメラ10が固定されている限り既知のものである。複数のカメラ10のそれぞれの画像において認識されたスタック80の位置を、それぞれテーブル座標系に変換することで、複数のカメラ10で撮影されたスタック80を統一的に扱うことができる。
【0048】
情報処理装置12は、テーブル座標系に対応したベット対象のマップを有している。情報処理装置12は、テーブル座標系に変換されたスタック80の位置(座標)を、ベット対象7が設定されたマップ(第1のマップ)にマッピングすることで、当該スタック80がどのベット対象7に位置しているかを判定する。
【0049】
情報処理装置12は、さらに、一部のベット対象(例えば、比較的面積の大きいTIEエリア7c、PLAYER WINエリア7d、及びBANKER WIN7e)をさらに複数の小領域に区分けしたマップ(第2のマップ)も有している。情報処理装置12は、テーブル座標系に変換されたスタックの位置(座標)を、この第2のマップにマッピングすることで、当該スタック80がベット対象7のどの小領域に位置しているかを判定する。このような第2のマップとして、例えば、TIEエリア7cを長手方向に3分割して3つの小領域を定義し、PLAYER WINエリア7d及びBANKER WINエリア7eをそれぞれ4分割して4つの小領域を定義したものを用いてよい。
【0050】
複数のカメラ10でそれぞれ得られたスタック80の位置をテーブル座標系に変換した場合に、それらの間に誤差が生じることがある。この誤差は、カメラ10の姿勢や位置がずれること、座標変換の変換式が不正確であること、あるいはスタック80の位置の認識の誤差によって生じ得る。複数のカメラ10で撮影された同一のスタック80の位置をそれぞれテーブル座標系に変換したときに位置がずれていた場合には、それらの中央値を当該スタック80の座標とみなしてよい。また、複数のカメラ10でそれぞれスタック80が撮影された場合に、それらのテーブル座標系における距離が所定の閾値以下である場合は、情報処理装置12は、それらのスタック80を同一のスタックとみなし、それらの間の距離が閾値より大きい場合には、異なる2つのスタックであると認識してもよい。
【0051】
なお、上記の例では、情報処理装置12は、複数のカメラ10の各々で得られたスタック80の位置をすべて同じテーブル座標系に変換したうえで、当該スタック80がどのベット対象ないしは小領域に置かれているのかを判断したが、これに代えて、各カメラ10の撮影画像11に各ベット対象又は小領域を設定したマップを用意し、座標変換をすることなく、各カメラの撮影画像11において認識されたスタック80の位置を当該マップにマッピングすることで、認識されたスタック80がどのベット対象又は小領域に位置しているのかを判断してもよい。
【0052】
図4は、カメラ10がベットエリア6を撮影することで生成した第2の例の撮影画像11bを示す図である。撮影画像11bにはベットエリア6aと6bの一部が図示されている。情報処理装置12による具体的な判定方法を図1図4図5を用いて説明する。
【0053】
図4におけるベットエリア6aには2つのスタック80a、80bがあり、スタック80aはTIEエリア7cに、スタック80bはPLAYER WINエリア7dに置かれている。いま、カジノ側が、バックベットはプレイヤからディーラに向かってメインベットの右方に置く、というルールを設定し、そのルールに基づいてゲームが行われ、撮影画像11bが生成されたとする。この場合には、情報処理装置12は、撮影画像11bに基づいて、PLAYER WINエリア7dに置かれたスタック80bが左側に置かれ、TIEエリア7cに置かれたスタック80aはスタック80bよりも右側に置かれていることを判定し、さらに上記のルールに基づいて、スタック80bはメインベットであり、スタック80aはバックベットであると判定する。
【0054】
上記のルールに基づくと、同一のベットエリア6内にメインプレイヤ3mとバックベットプレイヤ3bがベットすることで、複数のスタック80がベットされている場合にも、各スタック80がメインベットであるかバックベットであるのかを判定することが可能になる。また、カジノ側は、メインベットはベット対象7の中央及び左寄りに置き、バックベットはベット対象7の右端に置く、というルールを設定してもよい。
【0055】
上記のルールに基づくと、バックベットプレイヤ3bがベットをせず、メインプレイヤ3mのみがベットした単数または複数のスタック80のみがベット対象7内にある場合にも、当該スタック80がメインプレイヤ3mのものであると判定することができるとともに、メインプレイヤ3mがベットせず、バックベットプレイヤ3bのみがベットした単数または複数のスタック80のみがベット対象7内にある場合にも、当該スタック80がバックベットプレイヤ3bのものであると判定することが可能になる。
【0056】
なお説明するにあたり、カジノ側が設定するルールを2例のみ挙げたが、必ずしもこれらのルールである必要はなく、バックベットプレイヤ3bとメインプレイヤ3mを区別することのできるルールである限りにおいて、カジノ側が設定するルールはいかなるものであってもよい。
【0057】
図5は、カメラ10がベットエリア6を撮影することで生成した第3の例の撮影画像11cを示す図である。撮影画像11cには、撮影画像11bに加え、メインプレイヤ3mの手と腕の一部ないしは衣服の袖の一部(以下、単に「腕15a」という。)とバックベットプレイヤ3bの手と腕の一部ないしは衣服の袖の一部(以下、単に「腕15b」という。)(以下、腕15aと腕15bとを総称するときは「腕15」ともいう。)が図示されている。情報処理装置12は撮影画像11cにおける腕15を認識することができる構成になっている。さらに情報処理装置12は、各腕15がメインプレイヤ3mのものか、またはバックベットプレイヤ3bのものであるかを特定することができる。情報処理装置12はその特定結果に基づき、ベットエリア6に置かれた各スタック80が、メインプレイヤ3mのものか、またはバックベットプレイヤ3bのものであるかを判定する。
【0058】
ここで、情報処理装置12の腕15の認識方法について説明する。撮影画像11cから腕15の領域を認識する方法は、基本的に先述したゲーミングチップ8の領域抽出方法と同様である。ゲーミングチップ8を認識する場合は、ゲーミングチップ8に付された特定の色を基準としたが、腕15を認識する場合は、衣服の色や模様、腕の色を基準とする。
【0059】
情報処理装置12は、事前に各プレイヤの腕15を撮影して、各腕15の撮影画像と当該プレイヤを特定する情報とを関連付けて記憶してある。情報処理装置12は、後述するプレイヤ特定システムによって、メインプレイヤ3mとバックベットプレイヤ3bとを特定する。そして、情報処理装置12は、撮影画像11cにおける第1の腕15を認識した際、その腕15が事前に記憶してあるいずれの腕15に対応するかを特定することで、当該腕15がメインプレイヤ3mの腕15aであるかバックベットプレイヤ3bの腕15bであるかを判定する。
【0060】
また、情報処理装置12が撮影画像11cの腕15を認識し、認識した腕15の方向にも度づいて、その腕15がメインプレイヤ3mまたはバックベットプレイヤ3bのものであるかを判定してもよい。
【0061】
図6はカメラ10がベットエリア6を撮影することで得られた第4の例の撮影画像11dを示す図である。腕の方向に基づく特定方法を図6を用いて説明する。撮影画像11dにはメインプレイヤ3m及びバックベットプレイヤ3bのそれぞれの腕15が図示されている。情報処理装置12は、まず腕15の先端14と末端16を特定し、その2点を直線17で結ぶ。さらに、その直線17と、先端14を通って水平に引かれた直線18とを結ぶ。その2本の直線17、18が構成する角度19をプレイヤ3を特定する基準とする。
【0062】
ゲームにおいて、バックベットプレイヤ3bは立った状態でプレイをする。よってベットする際は、腕15bを高い角度からゲームテーブル2に向かって出すことになる。一方メインプレイヤ3mは座った状態でプレイをする。よってベットする際は、腕15aを低い角度からゲームテーブル2に向かって出すことになる。
【0063】
すなわち、上記の方法によって求められた角度19が小さい腕15が、メインプレイヤ3mの腕15aであり、角度19が大きい腕15が、バックベットプレイヤ3bの腕15bであると情報処理装置12が特定する。さらに、それ以外に基づいて特定してもよい。
【0064】
なお説明するにあたり、情報処理装置12が撮影画像11dにおいて認識するものを腕15としたが、認識する対象はプレイヤ3の腕15である必要はなく、身体の一部又は衣服の一部であれば、腕以外であってもよい。
【0065】
腕以外の身体の一部を認識する例として、例えば、プレイヤ3の体も撮影画像11に含まれるように撮影する場合もあってよい。その場合、椅子に座っているメインプレイヤ3mの体を認識し、さらにその体から出てきた腕15を認識する。そしてさらに、その腕15がベットしたスタック80を認識し、そのスタック80がメインプレイヤ3mのものであると特定する。バックベットプレイヤ3bについても同じ方法で特定する。
【0066】
ゲームにおいてプレイヤ3がゲーミングチップ8をベットするにあたり、一人のプレイヤ3がゲーミングチップ8を複数のスタック80にしてベットすることがある。本例のゲームシステム1はこのような場合にも、複数のスタック80が同一のプレイヤ3のものであるか否かの判定を可能とする。以下、図7を用いて説明する。
【0067】
図7は、カメラ10がベットエリア6を撮影することで生成した第5の例の撮影画像11eを示す図である。撮影画像11eにはベットエリア6aと6bの一部が図示されている。ベットエリア6には2つのスタック80c、80dがあり、両方のスタック80c、80dがTIEエリア7cに置かれている。情報処理装置12は、撮影画像11eに基づいて、同一のベット対象7にベットされている複数のスタック80c、80dの距離を測定する。この距離は撮影画像11e内の距離であってもよいし、撮影画像11eの距離から実空間の距離に換算したものであってもよい。そして、情報処理装置12は、得られた距離に基づいて、当該複数のスタック80c、80dが同一のプレイヤ3のスタック80であるか否かを判定する。
【0068】
図8は、カメラ10がベットエリア6を撮影することで生成した第6の例の撮影画像11fを示す図である。具体的な判定方法を、図7図8を用いて説明する。図7では、2つのスタック80c、80dが近接に置かれている。この場合、情報処理装置12は、スタック80cとスタック80dとの間の距離が所定の閾値より小さいと判断し、これら2つのスタック80c、80dが同一のプレイヤ3のスタック80であると判定する。一方、図8における第6の例の撮影画像11fでは、2つのスタック80が遠隔に置かれている。この場合情報処理装置12は、スタック80eとスタック80fとの間の距離が所定の閾値より大きいと判断し、これら2つのスタック80e、80fが異なるプレイヤ3のスタック80であると判定する。すなわち情報処理装置12は、複数のスタック80の間の距離に基づいて、複数のスタック80が同一のプレイヤ3のスタック80であるか否かを判定する。情報処理装置12が判定の基準とするスタック80の間の距離は、任意の距離であってよい。
【0069】
図9は、カメラ10がベットエリア6を撮影することで生成した第7の例の撮影画像11gを示す図である。同一のベット対象7に3つのスタック80がベットされた場合の判定方法について、図9を用いて説明する。図9では、3つのスタックがTIEエリア7cに置かれている。スタック80gとスタック80hとが近接に置かれ、スタック80iは遠隔に置かれている。この場合情報処理装置12は、スタック80gとスタック80h間、またスタック80hとスタック80i間の距離を判定の基準とする。つまり情報処理装置12は、スタック80gとスタック80hとが一方のプレイヤ3によって、スタック80iが他方のプレイヤ3によってベットされたと判定する。情報処理装置12が判定の基準とする距離は、任意の距離であってよい。
【0070】
なお、2つのスタック80を図7図8に、3つのスタック80を図9にそれぞれ図示して説明したが、スタック80は4つ以上であってもよい。
【0071】
上記で説明した情報処理装置12による判定は、複数のスタック80がメインベットであるかバックベットであるのかを、各一枚の撮影画像に基づいて判定したが、情報処理装置12は、複数の撮影画像に基づいて判定を行ってもよい。ゲームシステム1に備えられたカメラ10は、一定の間隔でベットエリア6を撮影して撮影画像を生成している。その撮影画像は時系列に得ることができる。よって、同一のベットエリア6に複数のスタック80が置かれた場合、情報処理装置12は、時系列に得られた複数の撮影画像に基づいて、複数のスタック80が同一プレイヤ3のスタック80であるか否かを判定することもできる。
【0072】
図10は、1から6の順に、時系列に得られた6枚の撮影画像11h1~11h6を示す図である。複数の撮影画像に基づく具体的な判定方法を図10を用いて説明する。撮影画像11h1、11h2は、第1のプレイヤ3が複数のゲーミングチップ8をベットエリア6に置こうとしている様子を表す。撮影画像11h3は、第1のプレイヤ3が複数のゲーミングチップ8をベットエリア6のBANKER PAIRエリア7bに置き、BANKER PAIRエリア7bにベットした様子を表す。撮影画像11h4、11h5は、第2のプレイヤ3が複数のゲーミングチップ8をベットエリア6に置こうとしている様子を表す。撮影画像11h6は、第2のプレイヤ3が複数のゲーミングチップ8をベットエリア6のTIEエリア7cに置き、TIEエリア7cにベットした様子を表す。また、撮影画像11h6では第1のプレイヤ3がベットすることでできたスタック80と、第2のプレイヤ3がベットすることでできたスタック80とが置かれ、複数のスタック80が同一のベットエリア6に存在する様子も表している。
【0073】
例えばカジノ側が、バックベットはメインベットのあとにベットする、というルールを設定してゲームが行われ、6枚の撮影画像11h1~11h6が得られた場合、情報処理装置12は、第1のプレイヤ3がベットしたゲーミングチップ8はメインプレイヤ3mのスタック80であり、第2のプレイヤ3がベットしたゲーミングチップ8はバックベットプレイヤ3bのスタック80であると判定する。
【0074】
なお、説明するにあたり、1つのルールを挙げたが、バックベットプレイヤ3bとメインプレイヤ3mを区別することのできるルールである限りにおいて、カジノ側が設定するルールはいかなるものであってもよい。
【0075】
なお、メインプレイヤ3mとバックベットプレイヤ3bは、それぞれ、複数のスタック80をベットすることもある。この場合に、単に順序で判断すると、メインプレイヤ3mがベットした2つ目のスタック80は、バックベットプレイヤ3bのベットしたものであると判断される。そこで、2つ目以降のスタック80がメインプレイヤ3mによるベットであるのか、バックベットプレイヤ3bによるバックベットであるのかを判断するために、情報処理装置12は、以下のように判断してもよい。
【0076】
カメラ10は、連続的に複数の画像を撮影して、時系列の撮影画像11を情報処理装置12に与える。情報処理装置12は、最初のスタック80がベットされた後に所定時間内(例えば、2秒以内)に他のスタック80がベットされた場合には、それらのスタック80は同一のプレイヤによるベッティングであると判断する。このようにすることで、例えば、同一のベットエリア6にスタック80が3つある場合に、2つ目のスタック80がメインプレイヤ3mによりベットされたものであるか、バックベットプレイヤ3bによりベットされたものであるかを判断できる。
【0077】
なお、同一のベットエリア6に複数のスタック80がある場合にも、それらがすべてメインプレイヤ3mによってベットされたものである可能性もある。この場合には、情報処理装置12は、2つ目のスタック80が1つ目のスタック80がベットされてから所定時間以内にベットされていれば、1つ目のスタックと2つ目のスタックとは同一のプレイヤによってベットされたものと認識し、3つ目のスタックが2つ目のスタックがベットされてから所定時間以内にベットされていれば、2つ目のスタックと3つ目のスタックとは同一にプレイヤによってベットされたものと認識してもよい。
【0078】
また、情報処理装置12は、同一のベットエリア6に複数のスタック80がある場合に、そのスタック80のゲーミングチップ8の額及び枚数に基づいて、それらのスタック80が同一のプレイヤによってベットされたものであるのか否かを判断してもよい。例えば、10枚の10,000ドルチップ(合計100,000ドル)のスタック80と、1,000ドルチップ2枚のスタック80とがある場合には、それらのスタックは、別々のプレイヤによってベットされたものであると判断してよい。これは、100,000ドルをベットするプレイヤがさらに1,000ドルもベットして合計で101,000ドルをベットするとは考えにくいからである。なお、この場合に、情報処理装置12は、額が大きいほうのスタック80をメインプレイヤがベットしたスタックであると認識してよい。
【0079】
図11は本発明の実施の形態の第2の例のゲームシステム20の構成を示す図である。第2の例のゲームシステム20は、第1の例のゲームシステム1(図1参照)に加え、メインプレイヤ3mを特定するプレイヤ特定システム21と、プレイヤ3とゲーミングチップ8の情報とを関連づけて記憶するデータベース22と、メインプレイヤ3mのスタック80であると判定されたゲーミングチップ8の情報とメインプレイヤ3mと特定されたプレイヤ3とを関連付けてデータベース22に記憶する更新装置23とを備えている。
【0080】
上記の構成により、少なくともメインプレイヤ3mのゲーミングチップ8について、データベース22で管理することが可能になる。またプレイヤ特定システム21が、バックベットプレイヤ3bを特定する構成であってもよい。
【0081】
プレイヤ特定システム21には、カメラ10と画像認識装置とからなる画像認識システム24、及びカードとカードリーダとからなるカード認証システム25を含むが、いずれか一方であってもよい。
【0082】
カメラ10はプレイヤ3の顔を撮影し、撮影によって生成された画像を画像認識装置に出力する。画像認識装置は、あらかじめ登録されている複数のプレイヤ3(以下、登録されているプレイヤ3を「メンバ」ともいう。)の顔画像を学習したニューラルネットワークによる顔認識エンジンを備えている。画像認識装置は、カメラ10からの画像をニューラルネットワークに入力することで、入力された顔画像が登録されているいずれのメンバの顔画像であるであるかを特定する。なお、画像認識装置は、カメラ10からの画像が、登録されているいずれのメンバの顔でもないと判断した場合には、当該顔画像が非メンバの顔画像であるという結果を出力する。
【0083】
また、カメラ10はプレイヤ3の顔以外を撮影してもよく、例えば撮影したプレイヤ3の衣服や身体的特徴の情報と、プレイヤ3の顔の情報とを紐づける構成であってもよい。
【0084】
カードリーダは、プレイヤ3からディーラに手渡されたメンバズカードをスキャンして、メンバズカードに記憶された情報を読み取る。メンバズカードは、磁気ストライプが形成された磁気カードであり、その磁気ストライプには少なくともプレイヤ3(メンバ)のユーザIDが記憶されている。ディーラは、プレイヤ3からメンバズカードを預かると、カードリーダを用いてメンバズカードをスキャンするとともに、当該プレイヤ3がどの位置でプレイするか(以下、「プレイポジション」という。)をカードリーダに入力する。カードリーダは、メンバズカードから読み取ったユーザIDと、ディーラによって入力されたプレイポジションのエリアIDとを出力する。
【0085】
なお、メンバズカードの情報と、各プレイヤがメインプレイヤ3mであるか、あるいはバックベットプレイヤ3bであるのかを紐づける構成であってもよい。
【0086】
なお、プレイヤ特定システム21においては、顔認証システムによるプレイヤ3の特定及びメンバズカードの読み取りによるプレイヤ3の特定のいずれか一方のみを行ってもよい。すなわち、登録されているメンバは、プレイポジションに着いたときに必ずしもメンバズカードによるプレイヤ3の特定を行わなくてもよく、その場合には顔認証システムのみによってプレイヤ3が特定される。また、プレイヤ3の顔がうまく撮影できず顔認証ができない場合であっても、メンバズカードによってプレイヤ3が特定されることもある。さらに、顔認証及びメンバズカードのいずれによってもプレイヤ3が特定されることもある。
【0087】
ゲーミングチップ8の情報は、ゲーミングチップ8の価値情報または識別情報またはそれ以外であってもよい。こういった情報を把握することで、どのプレイヤ3がいくらのゲーミングチップ8の償還を受け、いくらのゲーミングチップ8をディーラに回収されたのか、さらにそれらの償還や回収の結果、各プレイヤ3がいくらのゲーミングチップ8を所持しているのか(所持額)を把握することも可能になる。
【0088】
なお、上記の説明におけるゲームシステムは、バカラで用いられることを想定しているが、ブラックジャックにおいても同様に使用されてもよい。
【0089】
以上の実施の形態によって、以下の内容が開示される。
(付記1)
複数種類のベット対象がレイアウトされたベットエリアを有するテーブルと、
前記テーブルを撮影して撮影画像を生成するカメラと、
前記撮影画像に基づいて、前記撮影画像内のゲーミングチップのスタックの位置に基づいて、当該スタックがいずれのベット対象にベットされているかを特定する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、さらに、前記スタックが前記ベット対象内に設置された複数の小領域の内のいずれに位置しているかを判定する、ゲームシステム。
【0090】
(付記2)
複数種類のベット対象がレイアウトされたベットエリアを有するテーブルと、
前記テーブルを撮影して撮影画像を生成するカメラと、
前記撮影画像に基づいて、前記撮影画像内のゲーミングチップのスタックの位置に基づいて、当該スタックがいずれのベット対象にベットされているかを特定する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、前記テーブルの面上に設定されたテーブル座標系に前記ベット対象を定義したマップを有し、前記撮影画像内の前記スタックの位置を前記テーブル座標系に変換し、変換された位置を前記マップにマッピングすることで、前記スタックがいすれのベット対象にベットされているかを特定する、ゲームシステム。
【符号の説明】
【0091】
1 ゲームシステム
2 ゲームテーブル
3 プレイヤ
3m メインプレイヤ
3b バックベットプレイヤ
6 ベットエリア
7 ベット対象
7a PLAYER PAIRエリア
7b BANKER PAIRエリア
7c TIEエリア
7d PLAYER WINエリア
7e BANKER WINエリア
8 ゲーミングチップ
80 スタック
10 カメラ
11 撮影画像
12 情報処理装置
15 腕
15a メインプレイヤの腕
15b バックベットプレイヤの腕
20 ゲームシステム
21 プレイヤ特定システム
22 データベース
23 更新装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11