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特開2024-116350通信制御方法、ユーザ装置、プロセッサ、移動通信システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116350
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】通信制御方法、ユーザ装置、プロセッサ、移動通信システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20240820BHJP
   H04W 48/08 20090101ALI20240820BHJP
   H04W 48/20 20090101ALI20240820BHJP
   H04W 28/084 20230101ALI20240820BHJP
【FI】
H04W48/16 131
H04W48/08
H04W48/20
H04W28/084
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096149
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2022557422の分割
【原出願日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2020171978
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スライス優先度の最も高いネットワークスライスをサポートするセルを選択する移動通信システムに用いる通信制御方法を提供する。
【解決手段】ユーザ装置(UE)と基地局装置(gNB)とを有し、ユーザ装置と基地局装置との間で無線通信が可能な移動通信システムにおける通信制御方法であって、ユーザ装置のAccess Stratum(AS)レイヤが、基地局装置から送信された、ユーザ装置が在圏するセルのスライス情報を取得することS100と、ユーザ装置のASレイヤが、ASレイヤよりも上位にあるユーザ装置の上位レイヤへ、スライス情報を通知することS101と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信制御方法であって、
ユーザ装置が、コアネットワーク装置から前記ユーザ装置に提供される複数のネットワークスライスを識別する識別情報と、前記複数のネットワークスライスのスライス優先度を示す優先度情報と、を記憶することと、
ユーザ装置が、ネットワークスライスとセル再選択優先度との対応関係を示すシステム情報を基地局から受信することと、
前記ユーザ装置が、セル再選択を行うことと、を含み、
前記セル再選択を行うことは、前記ユーザ装置が、前記優先度情報によって示されるスライス優先度の最も高いネットワークスライスをサポートする周波数に対して、前記システム情報によって示される当該ネットワークスライスに対応するセル再選択優先度を適用することを含む
通信制御方法。
【請求項2】
ユーザ装置であって、
コアネットワーク装置から前記ユーザ装置に提供される複数のネットワークスライスを識別する識別情報と、前記複数のネットワークスライスのスライス優先度を示す優先度情報と、を記憶する記憶部と、
ネットワークスライスとセル再選択優先度との対応関係を示すシステム情報を基地局から受信する受信部と、
セル再選択を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記優先度情報によって示されるスライス優先度の最も高いネットワークスライスをサポートする周波数に対して、前記システム情報によって示される当該ネットワークスライスに対応するセル再選択優先度を適用する
ユーザ装置。
【請求項3】
ユーザ装置を制御するためのプロセッサであって、
コアネットワーク装置から前記ユーザ装置に提供される複数のネットワークスライスを識別する識別情報と、前記複数のネットワークスライスのスライス優先度を示す優先度情報と、を記憶する処理と、
ネットワークスライスとセル再選択優先度との対応関係を示すシステム情報を基地局から受信する処理と、
セル再選択を行う処理と、を実行し、
前記セル再選択を行う処理は、前記優先度情報によって示されるスライス優先度の最も高いネットワークスライスをサポートする周波数に対して、前記システム情報によって示される当該ネットワークスライスに対応するセル再選択優先度を適用する処理を含む
プロセッサ。
【請求項4】
請求項2に記載のユーザ装置及び基地局を備える移動通信システム。
【請求項5】
ユーザ装置を制御するためのプログラムであって、
コアネットワーク装置から前記ユーザ装置に提供される複数のネットワークスライスを識別する識別情報と、前記複数のネットワークスライスのスライス優先度を示す優先度情報と、を記憶する処理と、
ネットワークスライスとセル再選択優先度との対応関係を示すシステム情報を基地局から受信する処理と、
セル再選択を行う処理と、を前記ユーザ装置に実行させ、
前記セル再選択を行う処理は、前記優先度情報によって示されるスライス優先度の最も高いネットワークスライスをサポートする周波数に対して、前記システム情報によって示される当該ネットワークスライスに対応するセル再選択優先度を適用する処理を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ)の規格において、ネットワークスライシング(Network Slicing)(又はネットワークスライス)が規定されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ネットワークスライシングは、顧客毎の要求に応じて、差別化された処理を許容する概念である。或いは、ネットワークスライシングは、ネットワークを仮想的にスライスすることで、顧客が利用するサービスの要求条件に合わせて効率的にネットワークを提供する技術でもある。
【0004】
ネットワークスライスは、RAN(Radio Access Network)とCN(Core Network)の各部分から構成される。また、各ネットワークスライスは、S-NSSAI(Single Network Slice Selection Assistance Information)によって識別される。
【0005】
例えば、eMBB(enhanced Mobile Broad Band:高速大容量)などのサービス毎にネットワークスライスが構築されることも可能である。これにより、例えば、ネットワークは、各サービスに合致したネットワークスライスをユーザに提供することが可能となる。
【0006】
なお、3GPPでは、複数の異なるスライスが異なる周波数でサポート可能であること、及び、複数の異なるスライスが異なる領域において同一の周波数でサポート可能であること、について検討している(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300 V16.2.0 (2020-07)
【非特許文献2】3GPP TR 38.832 V0.1.0 (2020-08)
【発明の概要】
【0008】
第1の態様に係る通信制御方法は、ユーザ装置と基地局装置とを有し、前記ユーザ装置と前記基地局装置との間で無線通信が可能な移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、前記ユーザ装置の第1のレイヤが、前記基地局装置から送信された、前記ユーザ装置が在圏するセルのスライス情報を取得することと、前記ユーザ装置の前記第1のレイヤが、前記第1のレイヤよりも上位にある前記ユーザ装置の第2のレイヤへ、前記スライス情報を通知することと、を有する。
【0009】
第2の態様に係る通信制御方法は、ユーザ装置と基地局装置とを有し、前記ユーザ装置と前記基地局装置との間で無線通信が可能な移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、前記ユーザ装置の第1のレイヤよりも上位にある前記ユーザ装置の第2のレイヤが、前記第1のレイヤへ、意図したスライス(intended slice)を通知することと、前記ユーザ装置の前記第1のレイヤが、所定の処理を行うことと、を有する。
【0010】
第3の態様に係る通信制御方法は、ユーザ装置と第1及び第2の基地局装置とを有し、前記ユーザ装置と前記第1又は第2の基地局装置との間で無線通信が可能な移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、前記第2の基地局装置が、前記第2の基地局装置に隣接する前記第1の基地局装置がサポートするスライス情報を報知することを有する。さらに、前記通信制御方法は、前記ユーザ装置が、前記第1の基地局装置がサポートするスライス情報を取得することを有する。
【0011】
第4の態様に係る通信制御方法は、ユーザ装置と基地局装置とを有し、前記ユーザ装置と前記基地局装置との間で無線通信が可能な移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、前記基地局装置が、ネットワークスライス毎のセル再選択優先度を報知することと、前記ユーザ装置が、前記セル再選択優先度を用いて、セル再選択を行うことと、を有する。
【0012】
第5の態様に係る通信制御方法は、ユーザ装置と基地局装置とを有し、前記ユーザ装置と前記基地局装置との間で無線通信が可能な移動通信システムにおける通信制御方法である。前記通信制御方法は、前記ユーザ装置が、RRC(Radio Resource Control)再確立を行う場合のセル選択の際に、前記RRC再確立前にアクセスしていたネットワークスライスをサポートするセルを優先して選択することと、前記ユーザ装置が、選択した前記セルにアクセスすることと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係るユーザ装置の構成例を示す図である。
図3図3は、一実施形態に係る基地局装置の構成例を示す図である。
図4図4は、無線インターフェイスのユーザプレーンのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
図5図5は、無線インターフェイスの制御プレーンのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
図6図6は、ASレイヤと上位レイヤとの関係例を表す図である。
図7図7(A)は移動通信システムの例、図7(B)は実施例1の動作例を表す図である。
図8図8(A)は実施例2、図8(B)は実施例3の各動作例を表す図である。
図9図9は、実施例4の動作例を表す図である。
図10図10(A)は実施例5の動作例、図10(B)はスライス情報の送信例を表す図である。
図11図11は、スライス情報の送信例を表す図である。
図12図12(A)は実施例6、図12(B)は実施例7の各動作例を表す図である。
図13図13は、実施例8の動作例を表す図である。
図14図14は、実施例9動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0015】
(移動通信システムの構成)
まず、一実施形態に係る移動通信システムの構成例について説明する。一実施形態に係る移動通信システムは3GPPの5Gシステムであるが、移動通信システムには、LTE(Long Term Evolution)が少なくとも部分的に適用されてもよい。また、6Gなど、将来の無線通信システムに適用されてもよい。
【0016】
図1は、一実施形態に係る移動通信システム1の構成例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN)10とを有する。
【0018】
UE100は、移動可能な装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)など、無線通信が可能な装置である。
【0019】
NG-RAN10は、5Gシステムにおいて「gNB」(「next generation Node B」)と呼ばれる基地局装置(以下、「基地局」と称する場合がある。)200-1~200-3を含む。gNB200-1~200-3は、NG-RANノードと呼ばれることもある。各gNB200-1~200-3は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200-1~200-3は、1又は複数のセルを管理する。gNB200-1~200-3は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200-1~200-3は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、及び/又はモビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。なお、本実施の形態においては、「セル」と「基地局装置」、又は「セル」と「gNB」とを区別しないで用いる場合がある。
【0020】
なお、gNB200-1~200-3がLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)及び/又はLTEの基地局が5GC20に接続されてもよい。また、LTEの基地局とgNB200-1~200-3とが基地局間インターフェイスを介して接続されてもよい。
【0021】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPF300は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200-1~200-3と接続される。
【0022】
なお、以下においては、gNB200-1~200-3を、gNB200と表記する場合がある。また、AMF及びUPF300のうち、AMFを、AMF300と表記する場合がある。
【0023】
図2は、一実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0024】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0025】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部130に出力する。
【0026】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0027】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。CPUに代えて、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのプロセッサやコントローラであってもよい。本実施の形態における制御部130は、以下に示す実施例で説明する各種の制御又は処理を行うことが可能である。
【0028】
図3は、一実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0029】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0030】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0031】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部230に出力する。
【0032】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサと電気的に接続された少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。CPUに代えて、DSPやFPGAなどのプロセッサやコントローラであってもよい。本実施の形態における制御部230は、以下に示す実施例で説明する各種の制御又は処理を行うことが可能である。
【0033】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介して5GC20の各ノードと接続される。なお、gNB200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0034】
(無線インターフェイスにおけるプロトコルスタックについて)
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0035】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0036】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0037】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0038】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0039】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0040】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0041】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0042】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。また、RRC接続が中断(サスペンド)されている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0043】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0044】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0045】
(動作例)
次に動作例について説明する。動作例は、以下の順番で説明する。
【0046】
(実施例1)UE100内、ASレイヤから上位レイヤ(NASなど)へ、在圏セルのスライス情報を通知する。
【0047】
(実施例2)UE100内、上位レイヤはASレイヤへ、intended sliceを通知する。
【0048】
(実施例3)UE100内、ASレイヤは、上位レイヤから通知されたintended sliceをサポートするセルをサーチ及び再選択する。
【0049】
(実施例4)UE100は、gNB200へ、intended sliceを通知する。
【0050】
(実施例5)セルは、隣接セルがサポートするスライス情報を報知(又は通知)する。
【0051】
(実施例6)gNB200-1は、隣接gNB200-2へ、自身がサポートするスライス情報を通知する。
【0052】
(実施例7)AMF300は、gNB200へ、隣接セルがサポートするスライス情報を通知する。
【0053】
(実施例8)サービングセルは、スライス毎のセル再選択優先度を報知(又は通知)する。
【0054】
(実施例9)UE100は、RR再確立時のセル選択において、アクセス中のスライスがサポートするセルを優先して選択する。
【0055】
(実施例1)
図6は、UE100内におけるASレイヤ140と上位レイヤ150との関係例を表す図である。図6に示すように、UE100は、ASレイヤ140と、ASレイヤ140よりも上位の上位レイヤ150とを含む。
【0056】
ASレイヤ140と上位レイヤ150は、図5に示した無線インターフェイスの制御プレーンの各レイヤを含む。すなわち、ASレイヤ140は、PHYレイヤ、MACレイヤ、RLCレイヤ、PDCPレイヤ、及びRRCレイヤを含む。また、上位レイヤ150は、NASレイヤを含む。本実施例1では、図6に示すように、ASレイヤ140から上位レイヤ150へ、在圏セルのネットワークスライスに関するスライス情報を通知する。このような処理は、例えば、制御部130内で行われてもよい。なお、以下では、ネットワークスライスを「スライス」と称する場合がある。
【0057】
図7(A)は、UE100がgNB200のセル#1に在圏する例を表す図である。この場合おいて、UE100は、ASレイヤ140から上位レイヤ150へ、UE100が在圏するセル#1のスライス情報を通知することになる。
【0058】
スライス情報は、NASレイヤで取り扱われ、例えば、AMF300で管理される。一方、セルに関する情報は、ASレイヤ140で取り扱われる。UE100のASレイヤ140において、セル#1のスライス情報を受信した場合、ASレイヤ140は、上位レイヤ150へ、このスライス情報を通知することで、上位レイヤ150(又はNASレイヤ)は、セル毎にスライス情報を把握することが可能となる。
【0059】
図7(B)は、実施例1における動作例を表す図である。
【0060】
ステップS100において、アイドル状態又はインアクティブ状態のUE100は、UE100が在圏するgNB200のセル(図7(A)の例では、セル#1)においてサポートされているスライスに関するスライス情報を取得する。
【0061】
スライス情報は、SIB(System Information Block)に含まれて報知されていてもよいし、RRCメッセージに含まれてUE100へ送信されてもよい。また、スライス情報は、S-NSSAIが含まれてもよいし、“eMBB”など、人間が解読可能な(human readable)識別子が含まれてもよい。さらに、UE100は、RRCコネクティッド状態のときに、スライス情報を受信してもよい。
【0062】
ステップS101において、ASレイヤ140は、上位レイヤ150へ、スライス情報を通知する。ASレイヤ140が上位レイヤ150へ通知するトリガとしては、例えば、以下がある。
【0063】
すなわち、アイドル状態又はインアクティブ状態にあるUE100がセル選択又はセル再選択を行った場合に、ASレイヤ140が上位レイヤ150へスライス情報を通知してもよい。又は、RRCコネクティッド状態にあるUE100において、ハンドオーバが行われた場合に、ASレイヤ140が上位レイヤ150へスライス情報を通知するようにしてもよい。又は、セルのサポートするスライス情報が変更された場合、ASレイヤ140が通知するようにしてもよい。又は、前回通知したスライス情報と現在のスライス情報(又はgNB200から今回取得したスライス情報)とが異なっていた場合、ASレイヤ140が通知するようにしてもよい。又は、定期的に(或いは一定周期で)、ASレイヤ140が通知するようにしてもよい。
【0064】
ステップ102において、上位レイヤ150は、所定の処理を行う。所定の処理としては、例えば、以下がある。
【0065】
すなわち、上位レイヤ150は、アプリケーションレイヤへ、現在サポート可能なスライス情報を通知してもよい。この場合、上位レイヤ150は、ステップS101で通知された1又は複数のスライス情報の中から、サポート可能なスライス情報を選択して、通知するようにしてもよい。また、上位レイヤ150(又は制御部130)は、UE100のディスプレイに、スライスカバレッジ情報を表示させるようにしてもよい。スライスカバレッジ情報として、例えば、ディスプレイ上のアンテナマークの横に「5G URLLC」など、サポートするサービス名が表示されてもよい。又は、設定欄に、スライスカバレッジ情報が表示されてもよい。また、上位レイヤ150は、ASレイヤ140へ、intended sliceを通知してもよい。この詳細は実施例2において説明する。
【0066】
(実施例2)
実施例2では、UE100の上位レイヤ150が、ASレイヤ140へ、intended sliceを通知する例である。
【0067】
intended slice(又は、「意図したスライス」)は、UE100において使用見込みのあるスライスでもよいし、候補スライスでもよいし、又は希望するスライスでもよい。例えば、上位レイヤ150がこのようなスライスをASレイヤ140へ通知することで、ASレイヤ140では、セル再選択処理など、様々な処理を行うことが可能となる。
【0068】
図8(A)は、実施例2における動作例を表す図である。
【0069】
ステップS110において、上位レイヤ150は、ASレイヤ140へ、intended sliceを通知する。
【0070】
通知されるintended sliceには、複数のintended sliceがリスト形式となっていてもよい。この場合、例えば、UE100において、インストールした又はアクティブなアプリケーションが使用(又は要求)するスライスが複数あって、それらかリスト形式となっていてもよい。又は、例えば、CNから許可(又は認証)されているintended sliceが複数あって、それらがリスト形式となっていてもよい。
【0071】
また、intended sliceが複数存在する場合、各々に対する優先順位が更に通知されてもよい。さらに、上位レイヤ150は、ASレイヤ140へ、セル再選択等を用いて、intended sliceのサーチを指示するようにしてもよい。この詳細については、(実施例3)で説明する。さらに、上位レイヤ150は、ASレイヤ140から問い合わせ(又は情報提供要求などの要求)があった場合に、ASレイヤ140へintended sliceを通知してもよい。この場合、ASレイヤ140は、例えば、セル再選択時、又はセルのサポートするスライス情報変更時などに、上位レイヤ150へ、intended sliceの問い合わせを行ってもよい。
【0072】
なお、intended sliceは、上位レイヤ150で作成されてもよい。又は、intended sliceは、AMF300から上位レイヤ150へ送信されてもよい。
【0073】
ステップS111において、ASレイヤ140は、所定の処理を行う。所定の処理としては例えば、以下がある。
【0074】
すなわち、ASレイヤ140は、UE100が在圏しているセルが、通知されたintended sliceを、サポートしているか否かをチェックしてもよい。この場合、ASレイヤ140は、サポートしている場合は「IN」、サポートしていない場合は「OUT」などを、NASレイヤ(又は上位レイヤ150)へ通知してもよい。また、アイドル状態又はインアクティブ状態のUE100において、ASレイヤ140は、通知されたintended sliceが、UE100の在圏するセルにおいてサポートされていない場合、セル再選択を行うようにしてもよい。この詳細は実施例3において説明する。他方、UE100がRRCコネクティッド状態の場合、通知されたintended sliceが、UE100の在圏するセルにおいてサポートされていない場合、ASレイヤ140は、gNB200へ、intended sliceを送信してもよい。この詳細は実施例4において説明する。
【0075】
(実施例3)
実施例3は、アイドル状態又はインアクティブ状態のUE100において、ASレイヤ140は、上位レイヤ150から通知されたintended sliceをサポートするセルをサーチし、セル再選択を行う例である。
【0076】
UE100は、このようなセルをサーチし、再選択することで、例えば、UE100が希望するサービスを提供するスライスへアクセスし、アクセスしたスライスを介して、そのようなサービスの提供を受けることが可能となる。
【0077】
図8(B)は、実施例3の動作例を表す図である。
【0078】
ステップS120において、ASレイヤ140は、上位レイヤ150から、intended sliceの通知を受ける。
【0079】
ステップS121において、ASレイヤ140は、通知されたintended sliceをサポートしていないセルに在圏している場合、セル再選択処理を行う。
【0080】
ASレイヤ140は、NASレイヤからセルサーチが指示された場合に、セル再選択処理を行うようにしてもよい。このような指示は、例えば、ステップS120において、intended sliceとともに通知されてもよい。また、ASレイヤ140は、セル再選択処理において、intended sliceをサポートするセルを優先的に再選択(又は選択)するようにしてもよい。この場合、例えば、ASレイヤ140は、intended sliceをサポートするセルの中から最も無線品質(RSRP(Reference Signal Received Power)など)が良いセルを選択することを試みる(Ranking)。そして、ASレイヤ140は、このようなセルが存在しなかった場合、intended sliceをサポートしないセルを再選択する。又は、例えば、ASレイヤ140は、intended sliceをサポートするセル及び/又はintended sliceをサポートする周波数を最高優先度として、セル再選択を行う。この場合、再選択優先度ハンドリング(reselection priorities handling)により、セル又は周波数の優先順位の入れ替え処理が行われてもよい。また、ASレイヤ140は、NASレイヤへ、intended sliceのセルサーチが成功したか否かを通知してもよい。この場合、例えば、ASレイヤ140は、成功又は失敗のみを通知してもよい。又は、例えば、ASレイヤ140は、再選択後のセルのスライス情報を通知するようにしてもよい。
【0081】
(実施例4)
実施例4は、UE100がgNB200へ、intended sliceを送信する例である。例えば、UE100は、在圏するセルにおいてサポートされるスライスが希望するスライスではなく、他のスライスを希望する場合がある。このような場合、UE100は、gNB200へ、intended sliceを適切なタイミングで送信する。これにより、例えば、gNB200は、UE100が希望するスライスをサポートするセルへ、UE100をハンドオーバさせ、UE100は、希望するサービスの提供を受けることが可能となる。なお、UE100は、実施例2における所定の処理(図8(A)のステップS111)の一例として、gNB200へ、intended sliceを送信するようにしてもよい。
【0082】
図9は、実施例4の動作例を表す図である。
【0083】
ステップS130において、gNB200とRRCコネクティッド状態にあるUE100は、gNB200へ、intended sliceを送信する。intended sliceの送信のトリガとしては、例えば、以下であってもよい。
【0084】
すなわち、UE100のASレイヤ140が上位レイヤ150からintended sliceの通知を受けた場合に、UE100(又はASレイヤ140)は、intended sliceをgNB200へ送信するようにしてもよい。又は、UE100がアクセスするスライスに変更がある(又はあった)場合に、UE100は、intended sliceをgNB200へ送信するようにしてもよい。また、UE100は、intended sliceに変化があった場合に、intended sliceをgNB200へ送信するようにしてもよい。「intended sliceに変化があった場合」とは、例えば、RRC接続の初回接続の場合、又は、前回に送信したintended sliceの通知内容に変化があった場合、などがある。また、UE100は、gNB200から情報提供(又は問い合わせ)があった場合、例えば、gNB200からリクエスト(又は要求)を受信した場合に、intended sliceをgNB200へ送信してもよい。さらに、UE100は、ハンドオーバが予期される場合(又はハンドオーバが行われる場合)、例えば、測定報告(Measurement Report)がトリガされた場合に、intended sliceをgNB200へ送信してもよい。また、当該通知は、gNB200が事前に許可(設定)している場合に、行われてもよい。
【0085】
ただし、これらの送信トリガについては、例えば、以下のような制限事項があってもよい。すなわち、UE100は、(UE100が在圏する)セルがサポートするスライスとintended sliceとが合致していない(又はサポートしていないスライスを意図している)場合に(のみ)、gNB200へintended sliceを送信してもよい。この場合、例えば、UE100が意図するスライスをサポートするセルへのハンドオーバをgNB200へ促すために、intended sliceを送信するようにしてもよい。又は、UE100は、セルがサポートするスライスとintended sliceとが合致している(又は意図するすべてのスライスをサポートしている)場合に(のみ)、gNB200へintended sliceを送信するようにしてもよい。この場合、例えば、UE100が、希望するスライスをサポートするセルに入った場合(又は当該セルを選択した場合、又は当該セルへハンドオーバした場合など)に、gNB200へintended sliceを送信するようにしてもよい。
【0086】
また、ステップS130において送信されるメッセージ内容としては、例えば、以下であってもよい。すなわち、UE100は、intended sliceがリスト形式で表されたスライス情報を、gNB200へ送信してもよい。このようなスライス情報には、UE100におけるintended sliceの全てが含まれて、送信されるようにしてもよい。又は、スライス情報には、セルのサポートするスライスと合致するintended slice(のみ)が含まれてもよいし、セルのサポートするスライスと合致しないintended slice(のみ)が含まれてもよい。
【0087】
さらに、ステップS130の送信に用いられるメッセージとしては、例えば、以下であってもよい。すなわち、UE100は、UEアシスタンス情報(UE Assistance Information)メッセージにintended sliceを含めて、gNB200へ送信するようにしてもよい。この場合において、UE100は、UEアシスタンス情報に、intended slice(のリスト)、優先順位(又は優先希望か否か)、及び、ある一定期間内に当該スライス(又はintended slice)へのアクセスを行うか否か(又は将来予測)などの情報を含めて、送信してもよい。又は、UE100は、測定報告(Measurement Report)メッセージにintended sliceを含めて、gNB200へ送信するようにしてもよい。この場合において、UE100は、測定報告メッセージ内の各セルの測定結果とintended sliceとを紐づけて、当該セルがサポートするスライス情報、UE100のintended sliceとの合致性(又は合致するか否か)、及びUE100のプレファレンス(「できればこのセルをターゲットにして欲しい」という希望を示すプレファレンス)、などを含めて送信してもよい。
【0088】
ステップS131において、gNB200は、UE100に対して所定の処理を行う。所定の処理としては、例えば、以下があってもよい。
【0089】
すなわち、gNB200は、UE100が在圏するセルにおいてintended sliceがサポートされていない場合、intended sliceをサポートするセルへ、UE100をハンドオーバさせてもよい。このようなハンドオーバにより、例えば、UE100は、intended sliceをサポートするセルから、希望するサービスの提供を受けることが可能となる。又は、gNB200は、当該エリア内(又は当該セル)ではintended sliceがサポートされない旨を、UE100へ送信するようにしてもよい。この場合において、gNB200は、どの隣接セルにおいても、intended sliceがサポートされていない場合、その旨をUE100へ送信するようにしてもよい。
【0090】
(実施例5)
実施例5は、隣接セルがサポートするスライス情報を、セルが報知又は送信する例である。
【0091】
例えば、UE100は、実施例3などで説明したセル再選択を行う場合、サポートする全ての周波数でセルをサーチし、SIBを読むなどして、当該セル毎にサポートするスライスを確認する場合がある。このような場合、UE100では、セル毎にサポートするスライスを確認するため、消費電力が大きくなる。
【0092】
そこで、gNB200は、隣接セルのスライス情報を報知等する。これにより、UE100においては、隣接セルのスライス情報を取得することができ、セルサーチの際に隣接セルのスライスを確認する処理がなくなり、消費電力の削減を図ることが可能となる。
【0093】
図10(A)は、実施例5の動作例を表す図である。
【0094】
ステップS140において、(UE100のサービングセルを有する)gNB200は、隣接セルがサポートするスライス情報を報知する。
【0095】
図10(B)と図11は、サービングセルと隣接セルとの関係例を表す図である。図10(B)では、UE100は、gNB200のセル#1に在圏しており、セル#1がサービングセルとなる。この場合、gNB200は、セル#1に隣接するセル#2がサポートするスライス情報を報知する。また、図11は、gNB200-1のセル#1がUE100のサービングセルとなり、gNB200-1に隣接するgNB200-2のセル#2が、セル#1と隣接セルとなる。gNB200-1は、gNB200-1のセル#2のスライス情報を報知する。
【0096】
なお、CA(Carrier Aggregation)又はDC(Dual Connectivity)が設定されていない場合は、RRCコネクティッド状態にあるUE100にとって、プライマリセルがサービングセルとなる。また、CA又はDCが設定されている場合、RRCコネクティッド状態にあるUE100にとって、スペシャルセルと全セカンダリセルとで構成されるセルのセットを表現するために、サービングセルが用いられる。
【0097】
gNB200は、SIBを用いて、スライス情報を報知する。ただし、gNB200は、個別シグナリングにより、隣接セルがサポートするスライス情報を送信してもよい。個別シグナリングの例としては、RRC接続変更時に用いられるRRC再設定(RRCReconfiguration)メッセージなどであってもよい。また、gNB200は、セルID(Identification)(及び/又はgNB ID)とサポートするスライス情報とを紐づけて報知してもよい。さらに、gNB200は、保証するサービス要件の情報をスライス情報に紐づけて報知してもよい。サービス要件の情報としては、例えば、以下があってよい。
【0098】
すなわち、eMBBの場合、サービス要件の情報は、最大及び/又は平均スループット(またはビットレート)などである。URLLC(Ultra Reliable and Low Latency Communications:超高信頼及び低遅延)の場合、サービス要件の情報は、最高レイテンシ、最大パケットロス、又は同期(又は参照)クロック精度などである。mMTC(massive Machine Type Communication:大量端末接続)の場合、サービス要件の情報は、最大接続数、余力(残り接続許容数)などである。サービス要件の情報は、サポートする5QI(5G QoS(Quality of Service) Indicator)(又はQoS情報)により示されてもよい。例えば、サービス要件の情報は、どのQoSレベルまでサポート可能であるのか、どのQoSベアラまでサポート可能であるのかが、5QIによって示されたサービス要件の情報であってもよい。
【0099】
図10(A)に戻り、ステップS141において、UE100は、隣接セルのスライス情報を取得し、所定の処理を行う。所定の処理としては、例えば、以下があってよい。
【0100】
すなわち、UE100は、実施例3で説明したセル再選択の処理を行ってもよい。又は、UE100は、gNB200への通知を行うようにしてもよい。又は、UE100におけるASレイヤ140は、intended sliceをサポートしないセルを再選択する場合、上位レイヤ150へ、隣接セルのスライス情報を通知するようにしてもよい。この場合、例えば、上位レイヤ(アプリケーションなど)150は、当該スライスがカバレッジ外となる旨の(ユーザ)への警告表示をディスプレイに行うようにしてもよい。
【0101】
(実施例6)
実施例6は、gNB200-1が、隣接gNB200-2へ、自身がサポートするスライス情報を送信する例である。
【0102】
実施例5では、サービングセル(又はgNB200)が隣接セルのスライス情報を報知等する例について説明した。そこで、gNB200-1が、隣接gNB200-2へ、gNB200-1がサポートするスライス情報を送信する。これにより、隣接gNB200-2では、gNB200-2にとって隣接セルを有するgNB200-1のスライス情報を報知等することが可能となる。そして、UE100は、gNB200-1のスライス情報を、gNB200-2から取得することが可能となる。
【0103】
図12(A)は、実施例6の動作例を表す図である。
【0104】
ステップS150において、gNB200-1は、隣接gNB200-2へ、自身がサポートするスライス情報を送信する。
【0105】
この場合、gNB200-1は、自身が管理するセル毎に、スライス情報を紐づけて、隣接gNB200-2へ送信してもよい。また、gNB200-1は、Xn-AP(Application Protocol)シグナリング(又はXn-APによるメッセージ)を用いて、隣接gNB200-2へ送信してもよい。Xn-APは、基地局間のXnインターフェイスの制御プレーンにおけるアプリケーションプロトコルである。さらに、gNB200-1は、以下のトリガによって、スライス情報を隣接gNB200-2へ送信してもよい。
【0106】
すなわち、gNB200-1は、Xn接続がセットアップされた場合に、スライス情報を隣接gNB200-2へ送信してもよい。又は、gNB200-1は、サポートするスライスが変更になった場合(又はgNB200-1の設定変更が行われた場合)に、スライス情報を隣接gNB200-2へ送信してもよい。又は、gNB200-1は、隣接セル(又は隣接gNB200-2)からスライス情報提供のリクエスト(要求)を受信した場合に、スライス情報を隣接gNB200-2へ送信してもよい。又は、gNB200-1は、定期的に(又は一定周期で)、スライス情報を隣接gNB200-2へ送信してもよい。
【0107】
ステップS151において、gNB200-1は、当該スライス情報を考慮して、所定の処理を行う。所定の処理としては、例えば、隣接セルのスライス情報を更新したり、モビリティ制御を行ったりしてもよい。モビリティ制御の例としては、上述したUE100のハンドオーバ処理などがある。
【0108】
(実施例7)
実施例7は、AMF300がgNB200に対して、隣接セルがサポートするスライス情報を送信する例である。
【0109】
実施例6などでは、隣接するgNB200-1から、隣接セルがサポートするスライス情報を取得することについて説明した。実施例7では、gNB200は、AMF300から取得する例について説明する。これにより、例えば、gNB200は、実施例5で説明した、隣接セルがサポートするスライス情報を報知等することが可能となる。
【0110】
図12(B)は、実施例7の動作例を表す図である。
【0111】
ステップS160において、AMF300は、配下のgNB200-1へ、配下の(隣接)gNB200-2がサポートするスライス情報を送信する。図11の例では、gNB200-1のセル#1に対する、gNB200-2のセル#2が「隣接セル」となる。この場合、AMF300は、gNB200-1に対して、セル#2(又はgNB200-2)がサポートするスライス情報を送信することになる。
【0112】
AMF300は、NG-APシグナリング(又はNG-APによるメッセージ)を用いて、隣接セルのスライス情報をgNB200へ送信してもよい。また、AMF300がスライス情報を送信するトリガは、実施例6におけるgNB200-1がスライス情報を送信するトリガと同一であってもよい。すなわち、AMF300は、NG接続がセットアップされた場合に、配下のgNB200においてサポートするスライスが変更になった場合に、配下の隣接gNB200-2からスライス情報提供のリクエストを受信した場合に、又は定期的に、送信してもよい。
【0113】
なお、AMF300は、隣接セルがサポートするスライス情報を、例えば、OAM(Operation Administration and Maintenance)により、設定されてもよい。
【0114】
ステップS161において、gNB200は、所定の処理を行う。所定の処理としては、実施例6において、スライス情報を受信した隣接gNB200-2が行う所定の処理と同一であってもよい。すなわち、gNB200は、隣接セルがサポートするスライス情報を更新したり、UE100のハンドオーバ処理などのモビリティ制御を行ったりしてもよい。また、AMF300は、自身(もしくは自身が管理するネットワーク)がサポートするスライス情報を、gNB200に通知してもよい。これにより、gNB200は、UE100のintended sliceをサポートするAMF300(もしくはコアネットワーク)を適切に選択(もしくは当該UE100のデータルーティング)を行うことができる。
【0115】
(実施例8)
実施例8は、(intended)スライス毎のセル再選択優先度(cell reselection priority)を報知又は送信する例である。
【0116】
UE100は、セルによって設定されたセル再選択優先度に従って、セル再選択を行う。しかし、これでは、UE100は、intended sliceをサポートするセルを確実に選択することができない場合がある。
【0117】
他方、(RRCで設定される)個別優先度(dedicated priority)により、intended sliceをサポートするセルへの選択を制御することも可能である。しかし、UE100が別のエリア(又はセル)へ移動した場合、又はUE100のintended sliceが変わってしまった場合などにおいても、UE100が、intended sliceをサポートするセルを選択できない問題が生じる。
【0118】
また、intended sliceをサポートするセル又は周波数を最高優先度として、UE100がセル再選択を行うことも考えられる。しかし、この場合、どのセルを選択するかはUE100の実装依存になってしまう。そのため、ネットワーク側からは、制御不能となる。
【0119】
そこで、gNB200は、スライス毎のセル再選択優先度を報知等する。これにより、例えば、UE100では、ネットワーク側が指定したセル再選択優先度を用いてセル再選択を行うことが可能となる。そのため、ネットワーク制御を可能としつつ、UE100のintended sliceをサポートするセルへのアクセスを実現することが可能となる。
【0120】
図13は、実施例8の動作例を表す図である。
【0121】
ステップS170において、gNB200は、スライス毎のセル再選択優先度を報知又は送信する。gNB200は、SIBを用いて、スライス毎のセル再選択優先度を報知してもよい。又は、gNB200は、RRC解放(RRCRelease)メッセージなどの個別シグナリングを用いて、スライス毎のセル再選択優先度をUE100へ送信してもよい。
【0122】
また、gNB200は、実施例6等で説明したスライス情報と、セル及び/又は周波数のセル再選択優先度(又は優先度情報)とを紐づけて(又は結び付けて)、報知してもよい。例えば、周波数優先度の場合、eMBBスライスを意図(又は希望)するUE100は、周波数f1を優先度「7」、周波数f2を優先度「3」、...、URLLCスライスを意図(又は希望)するUE100は、周波数f2を優先度「7」、周波数f1を優先度「3」、...、などとすることが可能である。また、例えば、セル優先度の場合、eMBBスライスを意図(又は希望)するUE100は、セル#1を優先度「7」、セル#2を優先度「3」などとすることが可能である。これらの例では、いずれも、数字が大きい方が、優先度が高い例を示しているが、数字が小さいほど優先度が高い場合であってもよい。
【0123】
なお、gNB200は、スライス情報と紐づかない(従来の)セル再選択優先度をさらに報知するようにしてもよい。この場合、報知される再選択優先度は、レガシーUE(3GPPにおけるRel-15など)、又は、intended sliceを有していないUE100において、使用されてもよい。
【0124】
ステップS171において、UE100は、自身のintended sliceに応じて、セル再選択優先度を適用し、セル再選択を行う。この場合、UE100のASレイヤ140は、上位レイヤ150から通知されたintended sliceを用いて、報知されたセル再選択優先度の中から、適用するセル再選択優先度を選択してもよい。この場合、intended sliceが複数存在する場合、ASレイヤ140は、上位レイヤ150から通知されたスライス優先度の最も高いintended sliceに対応するセル再選択優先度を選択してもよい。
【0125】
(実施例9)
実施例9は、RRC再確立(RRC Reestablishment)時のセル選択において、UE100が、アクセス中のスライスをサポートするセルを優先して選択する例である。
【0126】
RRCコネクティッド状態のUE100がスライスにアクセス中、RLF(Radio Link Failure:無線リンク障害(又は無線リンク失敗))が発生すると、UE100は、RRC再確立手順を行う。RRC再確立手順においては、セル選択が行われる。セル選択の際、UE100が、RRC再確立前にアクセスしていたスライスをサポートしていないセルを選択すると、スライスへのアクセス断が発生するおそれがある。
【0127】
そこで、実施例9では、UE100が、セル選択の際に、RRC再確立前にアクセスしていたスライスをサポートするセルを優先的に選択することで、スライスへのアクセス断の発生を防止させることが可能となる。そして、UE100では、継続したサービスの提供を受けることが可能となる。
【0128】
図14は、実施例9の動作例を表す図である。
【0129】
ステップS180において、UE100とgNB200は、RRC接続され、RRCコネクティッド状態となる。
【0130】
ステップS181において、UE100とgNB200は、データ通信を行う。
【0131】
ステップS182において、無線リンクにおいて障害が発生する。
【0132】
ステップS183において、UE100は、RRC再確立の手順を開始し、RC再確立要求(RRC Reestablishment Request)メッセージをgNB200へ送信する。
【0133】
ステップS184において、UE100は、セル選択の処理を行う。UE100は、RRC再確立をトリガにしてセル選択を行う。この場合、UE100は、RRC再確立前にアクセスしていたスライスをサポートするセルを優先して選択する。すなわち、UE100は、UE100がアクセスするスライスをサポートするセルを優先(又は選択)することが許容されてもよい。また、UE100は、上位レイヤ150から通知されたintended sliceに基づいて、セル選択の処理を行ってもよい。さらに、UE100は、(旧)サービングセルから提供された隣接セルのスライス情報(例えば実施例5)を利用して、セル選択の処理を行ってもよい。又は、UE100は、SIBにより提供されるスライス情報を取得することで、セルサーチ時において、隣接セル毎にサポートするスライス情報をチェックするようにしてもよい。
【0134】
ステップS185において、UE100は、RRC再確立(RRC Reestablishment)メッセージを受信する。
【0135】
ステップS186において、UE100は、RRC再確立完了(RRC Reestablishment Complete)メッセージを送信する。
【0136】
そして、ステップS187において、UE100は、ステップS184で選択したセル(を有するgNB200)との間で、RRC接続を確立する。
【0137】
ステップS188において、UE100は、選択したセル(を有するgNB200)にアクセスし、当該セルとの間でデータ通信を行う。UE100は、無線リンク障害(ステップS182)前からアクセスしていたスライスに継続してアクセスすることができ、そのスライスを介して、サービスの継続した提供を受けることが可能となる。
【0138】
(その他の実施形態)
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0139】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0140】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施例の全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【0141】
本願は、日本国特許出願第2020-171978号(2020年10月12日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0142】
1 :移動通信システム
10 :NG-RAN
20 :5GC
100 :UE
110 :受信部
120 :送信部
130 :制御部
140 :ASレイヤ
150 :上位レイヤ
200(200-1~200-3):gNB
210 :送信部
220 :受信部
230 :制御部
240 :バックホール通信部
300 :AMF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14