(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116353
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ポリエステル系フィルムおよびこれを用いたポリエステル系容器の再生方法
(51)【国際特許分類】
C08J 7/046 20200101AFI20240820BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240820BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20240820BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C08J7/046 CFD
C08J5/18
B29B17/02 ZAB
B29B17/04
C08J5/18 CFD
B29B17/02
C08J7/046 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096258
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2021523167の分割
【原出願日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/928,913
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】10-2020-0118929
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0118930
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】519331729
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス アメリカ インコーポレイテッド.
【氏名又は名称原語表記】SK Microworks America, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 SKC Drive,Covington, Georgia 30014 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョルキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンドク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ユジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョクス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器の再生工程の際、環境汚染を防止しながらも、リサイクル性および品質を向上させ得るポリエステル系フィルム、およびこれを用いたポリエステル系容器の再生方法を提供する。
【解決手段】ポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂を含む基材層と、前記基材層の一面に位置する印刷層とを含み、前記印刷層が、第1溶剤、第1バインダーおよび第1顔料を含む印刷層用組成物により形成され、前記第1溶剤および前記第1バインダーの重量比が1:0.5~2.5であり、前記ポリエステル系樹脂がジオール成分およびジカルボン酸成分を含み、前記ジオール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含み、前記ポリエステル系樹脂が、前記ジオール成分の総モル数を基準に、前記ネオペンチルグリコールを1モル%~35モル%で含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系フィルムであって、
ポリエステル系樹脂を含む基材層と、
前記基材層の一面に位置する印刷層とを含み、
前記印刷層が、第1溶剤、第1バインダーおよび第1顔料を含む印刷層用組成物により形成され、
前記第1溶剤および前記第1バインダーの重量比が1:0.5~2.5であり、
前記ポリエステル系樹脂がジオール成分およびジカルボン酸成分を含み、
前記ジオール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含み、
前記ポリエステル系樹脂が、前記ジオール成分の総モル数を基準に、前記ネオペンチルグリコールを1モル%~35モル%で含み、
縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上であり、
前記ポリエステル系フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕して得たフレークを200℃~220℃の温度にて60分~120分間熱処理する際、クランピング分率が5%以下である、ポリエステル系フィルム。
【請求項2】
前記第1溶剤が、ベンゼン、キシレン、トルエン、テトラメチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含む、請求項1に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項3】
前記印刷層用組成物が、前記印刷層用組成物の総重量を基準に、1重量%~35重量%の第1溶剤、25重量%~60重量%の第1バインダー、および5重量%~50重量%の第1顔料を含む、請求項1に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項4】
前記ポリエステル系樹脂が、前記ジオール成分の総モル数を基準に55モル%~90モル%のエチレングリコールおよび1モル%~15モル%のジエチレングリコールを含み、
前記エチレングリコールおよび前記ジエチレングリコールのモル比が5~60:1である、請求項1に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項5】
前記基材層において、550nmにおける光透過率が90%以上であり、前記浸漬前後の光透過率の変化量が0.7%以下であり、前記浸漬前後のCol-Lの変化量(△L)が0.7以下であり、Col-aの変化量(△a)が0.5以下であり、Col-bの変化量(△b)が0.5以下である、請求項1に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項6】
ポリエステル系フィルムであって、
ポリエステル系樹脂を含む基材層と、
前記基材層に対向する印刷層と、
前記基材層と前記印刷層との間に介在する剥離促進層とを含み、
前記印刷層が、第1溶剤、第1バインダーおよび第1顔料を含む印刷層用組成物により形成され、
前記第1溶剤および前記第1バインダーの重量比が1:0.5~2.5であり、
前記ポリエステル系樹脂がジオール成分およびジカルボン酸成分を含み、
前記ジオール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含み、
前記ポリエステル系樹脂が、前記ジオール成分の総モル数を基準に、前記ネオペンチルグリコールを1モル%~35モル%で含み、
前記剥離促進層が、第2溶剤、第2バインダーおよび第2顔料を含む剥離促進層用組成物により形成され、
前記第2溶剤および前記第2バインダーの重量比が1:0.5~3であり、
縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上であり、
前記ポリエステル系フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕して得たフレークを200℃~220℃の温度にて60分~120分間熱処理する際、クランピング分率が5%以下である、ポリエステル系フィルム。
【請求項7】
前記第2溶剤がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含む、請求項6に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項8】
前記剥離促進層用組成物が、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、15重量%~40重量%の第2溶剤を含み、10重量%~55重量%の第2バインダーを含み、5重量%~50重量%の第2顔料を含む、請求項6に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項9】
前記基材層の厚さが10μm~100μmであり、
前記剥離促進層の厚さが10nm~200nmであり、
前記印刷層の厚さが0.1μm~100μmである、請求項6に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項10】
前記基材層において、1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後のヘイズ変化量は0.5%以下である、請求項6に記載のポリエステル系フィルム。
【請求項11】
請求項1に記載のポリエステル系フィルムが少なくとも一部を取り囲むポリエステル系容器を準備する段階と、
前記フィルムが備えられているポリエステル系容器を粉砕してフレークを得る段階と、
前記粉砕されたフレークを85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬する段階と、
浸漬された前記フレークを熱処理して再生ポリエステル系チップを製造する段階とを含む、ポリエステル系容器の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、ポリエステル系容器のリサイクル性を向上させ、環境問題を解決するのみならず、品質、収率および生産性を高め得るポリエステル系フィルムおよびこれを用いたポリエステル系容器の再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への懸念が増加するにつれ、熱可塑性重合体を用いて製造された製品のリサイクル問題に対する対応反応が求められている。特に、熱抵抗性、加工性、透明性、および無毒性のような特性に優れた熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)は、フィルム、繊維、ボトル、容器などと幅広い製品を製造するのに広く利用されており、再生率を向上させようとする研究が進められている。
【0003】
一般に、PETを用いた容器には、ポリオレフィン系のストレッチフィルムなどがラベルとして貼り付けられる。したがって、一般消費者から回収されたPET容器は、洗浄および粉砕の後、粉砕物内に含まれている多量のフィルムを除去するために液比重分離、脱水乾燥および/または風力比重分離を経た後、ペレタイズ(pelletize)のような追加工程を行って、再生ポリエステル系チップを製造してきた。しかし、前記工程を経た後でも、フィルムを完全に除去することは難しく、特に、フィルムに含まれているインクによって再生ポリエステル系チップが着色されたり、フィルムの熱的特性に起因して熱処理工程において前記再生ポリエステル系チップが不規則に凝集するクランピング(clumping)が発生したりする問題があった。
【0004】
そこで、比重分離が容易に行われるよう低比重重合体であるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムをラベルとして使用する比重分離法が提案されたが、インク層に起因して低比重が効果的に行われず完全なフィルムの分離および除去が難しく、残留インクが再生ポリエステル系チップを着色させる問題を解決することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、実現例は、容器の再生工程の際、環境汚染を防止しながらも、リサイクル性および品質を向上させ得るポリエステル系フィルムおよびこれを用いたポリエステル系容器の再生方法を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実現例によるポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂を含む基材層と、前記基材層の一面に位置する印刷層とを含み、縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径(particle size)が15μm以上である。
【0007】
他の実現例によるポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂を含む基材層と、前記基材層に対向する印刷層と、前記基材層と前記印刷層との間に介在する剥離促進層とを含み、縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上である。
【0008】
また他の実現例によるポリエステル系容器の再生方法は、前記ポリエステル系フィルムが少なくとも一部を取り囲むポリエステル系容器を準備する段階と、前記フィルムが備えられているポリエステル系容器を粉砕してフレークを得る段階と、前記粉砕されたフレークを85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬する段階と、前記浸漬されたフレークを熱処理して再生ポリエステル系チップを製造する段階とを含み、前記フレークを200℃~220℃の温度にて60分~120分間熱処理する際、クランピング(clumping)分率が5%以下である。
【0009】
また他の実現例による再生ポリエステル系チップは、前記ポリエステル系容器の再生方法によって製造される。
【発明の効果】
【0010】
実現例によるポリエステル系フィルムは、特定温度、濃度、および撹拌速度の条件で水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する際、印刷層が水酸化ナトリウム水溶液に全て溶解されず、かつ、基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が特定範囲で調節されるので、前記フィルムを含むポリエステル系容器の再生工程の際、印刷層成分の分離が容易であるため、環境汚染を防止し得る。
【0011】
また、実現例によるポリエステル系フィルムは、これを含むポリエステル系容器のリサイクル性を向上させ、これを利用したポリエステル系容器の再生方法により製造される再生ポリエステル系チップの品質、収率および生産性を向上させることができる。
【0012】
さらに、実現例によるポリエステル系容器の再生方法は、ポリエステル系容器とフィルムとを分離する別途の工程が不要なので、時間およびコストが削減され経済的である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例により発明を詳細に説明する。実現例は、以下で開示される内容に限定されるものではなく、発明の要旨が変更されない限り、様々な形態に変形され得る。
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0015】
本明細書に記載された構成成分の量、反応条件などを表す全ての数字および表現は、特別な記載がない限り、全ての場合に「約」という用語をもって修飾されるものと理解するべきである。
【0016】
本明細書において、第1、第2、1次、2次などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的としてのみ使用される。
【0017】
フィルムがラベルとして備えられている容器の再生工程において、印刷層成分、特にインクを効果的に分離および除去することは、容器のリサイクル性および品質を向上させることにおいて重要である。印刷層成分を除去する方法として、水酸化ナトリウム水溶液を用いた洗浄工程が行われ得るが、前記洗浄工程の際、印刷層成分が水酸化ナトリウム水溶液にほとんど溶解されたり、平均粒径が非常に小さかったりして分離が難しいという問題がある。
【0018】
具体的に、前記洗浄工程において、印刷層成分が水酸化ナトリウム水溶液にほとんど溶解されると、水酸化ナトリウム水溶液に溶解された印刷層成分を分離することが難しいため、環境を汚染させ得る。
【0019】
また、印刷層成分の平均粒径が15μm未満と非常に小さいと、容器のリサイクル性および品質を低下させ、水酸化ナトリウム水溶液からの分離工程時に追加費用が発生し得る。
【0020】
実現例によるポリエステル系フィルムは、縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が15μm以上に調節される。
【0021】
したがって、前記フィルムが備えられている容器の再生工程において、前記印刷層成分が水酸化ナトリウム水溶液に溶解されないとともに、前記印刷層成分を効果的に分離できるので、容器のリサイクル性および品質を向上させるとともに、環境汚染防止の効果に優れる。
【0022】
[ポリエステル系フィルム]
一実現例によるポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂を含む基材層と、前記基材層の一面に位置する印刷層とを含み、縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上である。
【0023】
他の実現例によるポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂を含む基材層と、前記基材層に対向する印刷層と、前記基材層と前記印刷層との間に介在する剥離促進層とを含み、縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上である。
【0024】
[基材層]
前記ポリエステル系樹脂は、ジオール成分およびジカルボン酸成分を含み得る。
【0025】
具体的に、前記ジオール成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アルキル基で置換または非置換のプロパンジオール、アルキル基で置換または非置換のブタンジオール、アルキル基で置換または非置換のペンタンジオール、アルキル基で置換または非置換のヘキサンジオール、アルキル基で置換または非置換のオクタンジオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0026】
例えば、前記ジオール成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-オクタンジオール、1,3-オクタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、および1,1-ジメチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0027】
より具体的に、前記ジオール成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0028】
前記ポリエステル系樹脂は、前記ジオール成分の総モル数を基準に1モル%~35モル%のネオペンチルグリコールを含み得る。例えば、前記ポリエステル系樹脂は、前記ジオール成分の総モル数を基準に、3モル%~35モル%、5モル%~35モル%、7モル%~35モル%、7モル%~33モル%、10モル%~33モル%、15モル%~33モル%、または17モル%~30モル%、20モル%~35モル%、20モル%~33モル%、21モル%~33モル%、もしくは22モル%~30モル%のネオペンチルグリコールを含み得る。
【0029】
ネオペンチルグリコールの含有量が前記範囲を満足することにより、前記フィルムの熱収縮時、第1方向または前記第1方向に垂直の第2方向の熱収縮率が容易に調節され、フィルムを容器に適用する際にしわが生じたり、変形が起きたりすることを防止し得る。
【0030】
本明細書において、前記第1方向は横方向(TD)または縦方向(MD)であり、前記第1方向に垂直の第2方向は、縦方向(MD)または横方向(TD)であり得る。例えば、前記第1方向が縦方向(MD)であり、前記第2方向が主収縮方向として横方向(TD)であり得る。
【0031】
前記ポリエステル系樹脂は、前記ジオール成分の総モル数を基準に55モル%~90モル%のエチレングリコール、および1モル%~15モル%のジエチレングリコールを含み得る。例えば、前記ポリエステル系樹脂は、前記ジオール成分の総モル数を基準に前記エチレングリコールを、60モル%~90モル%、55モル%~85モル%、58モル%~80モル%、60モル%~78モル%、63モル%~78モル%、63モル%~75モル%、または65モル%~73モル%で含み、前記ジエチレングリコールを、1モル%~13モル%、1モル%~10モル%、3モル%~15モル%、3モル%~13モル%、4モル%~10モル%、4モル%~8モル%、5モル%~7モル%、1モル%~7モル%、2モル%~6モル%、3モル%~5.5モル%、3.5モル%~5.5モル%、または4モル%~5.5モル%で含み得る。
【0032】
また、前記エチレングリコールおよび前記ジエチレングリコールのモル比は、5~60:1であり得る。例えば、前記エチレングリコールおよび前記ジエチレングリコールのモル比は、7~55:1、10~50:1、13~46:1、12~15:1、13~14.7:1、7.8~26:1、7.8~23:1、7.8~20:1、8~18:1、8~16:1、または9~16:1であり得る。エチレングリコールおよびジエチレングリコールのモル比が前記範囲を満足することにより、収縮均一性および収縮応力に有利な効果があるので、後の再生工程において印刷層成分をより容易に除去し得る。
【0033】
また、前記ポリエステル系樹脂は、前記ジオール成分以外に1価アルコールをさらに含み得る。例えば、前記1価アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、またはベンジルアルコールであり得る。具体的に、前記ポリエステル系樹脂は、前記ジオール成分および前記1価アルコールの総モル数を基準に前記1価アルコールを、10モル%~30モル%、13モル%~25モル%、または15モル%~22モル%で含み得るが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記ジカルボン酸成分は、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸(sebacic acid)、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;脂環式ジカルボン酸;これらのエステル化物;およびその組み合わせからなる群より選択され得る。
【0035】
具体的に、前記ジカルボン酸成分は、芳香族ジカルボン酸を含み得る。例えば、前記ジカルボン酸成分は、前記ジカルボン酸成分の総モル数を基準に、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、99モル%以上、または100モル%のテレフタル酸またはジメチルテレフタル酸を含み得る。
【0036】
前記ジオール成分およびジカルボン酸成分は、エステル交換反応を経た後、重合されポリエステル系樹脂を形成し得る。
【0037】
具体的に、前記エステル交換反応の触媒として酢酸マンガン(manganese acetate tetrahydrate)、カルシウムおよび亜鉛からなる群より選択された1種以上の触媒を使用し得る。前記触媒の含有量は、前記ジカルボン酸成分の総重量を基準に、0.02重量%~0.2重量%、0.02重量%~0.1重量%、または0.03重量%~0.08重量%であり得る。
【0038】
また、前記エステル交換反応が終了した後、シリカ、カリウムおよびマグネシウムからなる群より選択された1種以上の添加剤;トリメチルホスフェートのような安定化剤;およびアンチモニトリオキシド(antimony trioxide)またはテトラブチレンチタネートのような重合触媒等を選択的に添加し得る。
【0039】
また、前記基材層の厚さは10μm~100μmであり得る。例えば、前記基材層の厚さは、20μm~80μm、30μm~70μm、35μm~65μm、35μm~55μm、40μm~60μm、または35μm~45μmであり得る。基材層の厚さが前記範囲を満足することにより、基材層の一面に印刷層を形成する際、フィルムの物性低下およびカールやシワのような外観の変形を効果的に防止し得る。
【0040】
前記基材層のヘイズは10%以下であり得る。例えば、9%以下、8.5%以下、8%以下、7%以下、または6.5%以下であり、3%~10%、4%~9%、4.5%~8%、4.5%~7%、または4.8%~6.5%であり得る。
【0041】
基材層のヘイズが前記範囲を満足することにより、前記基材層を含むフィルムをラベルとして使用するのに容易である。具体的に、ヘイズが低すぎると、透明度が高すぎるため、容器のラベルとして使用するには不適であり得る。
【0042】
[印刷層]
実現例によるポリエステル系フィルムは、前記基材層の一面に印刷層を含む。
【0043】
具体的に、前記印刷層は、第1溶剤、第1バインダーおよび第1顔料を含む印刷層用組成物により形成され得る。
【0044】
前記第1溶剤は、ベンゼン、キシレン、トルエン、テトラメチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選ばれた1種以上を含み得る。具体的に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上が好ましい。
【0045】
また、前記印刷層用組成物は、前記印刷層用組成物の総重量を基準に、前記第1溶剤を1重量%~35重量%で含み得る。例えば、前記第1溶剤の含有量は、前記印刷層用組成物の総重量を基準に3重量%~35重量%、5重量%~35重量%、10重量%~33重量%、15重量%~32重量%、18重量%~32重量%、25重量%~32重量%、28重量%~32重量%、20重量%~35重量%、または20重量%~30重量%であり得る。第1溶剤の含有量が前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。
【0046】
前記第1バインダーは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、およびポリエステルウレタン系樹脂からなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0047】
また、前記印刷層用組成物は、前記印刷層用組成物の総重量を基準に、前記第1バインダーを25重量%~60重量%で含み得る。例えば、前記第1バインダーの含有量は、前記印刷層用組成物の総重量を基準に、27重量%~60重量%、25重量%~55重量%、25重量%~50重量%、28重量%~45重量%、28重量%~42重量%、または30重量%~40重量%であり得る。第1バインダーの含有量が前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。
【0048】
前記第1溶剤および前記第1バインダーの重量比は、1:0.5~2.5であり得る。例えば、前記第1溶剤および前記第1バインダーの重量比は、1:0.7~2.3、1:0.9~2.2、1:0.9~2.1、1:1~2、1:0.7~1.5、1:0.7~1.3、または1:0.9~1.2であり得る。第1溶剤および第1バインダーの重量比が前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から前記印刷層をより効果的に脱離させられるとともに、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。
【0049】
前記第1顔料は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、黄色酸化鉄、鉄黒、クロムイエロー、クロムバーミリオン(chromevermilion)、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、紺青、群青、有機顔料のような不溶性アゾ系;可用性アゾ系;フタロシアニン(phthalocyanine)系;キナクリドン(quinacridone)系;ポリアゾ系;またはこれらの混合物であり得る。具体的に、前記第1顔料は、カーボンブラック、酸化チタン、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、およびポリアゾ系からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0050】
また、前記印刷層用組成物は、前記印刷層用組成物の総重量を基準に、前記顔料を5重量%~50重量%で含み得る。例えば、前記顔料の含有量は、前記印刷層用組成物の総重量を基準に、10重量%~50重量%、20重量%~45重量%、25重量%~45重量%、30重量%~45重量%、または35重量%~45重量%であり得る。
【0051】
前記印刷層の厚さは0.1μm~100μmであり得る。例えば、前記印刷層の厚さは、0.1μm~80μm、0.3μm~60μm、0.5μm~40μm、0.5μm~30μm、0.7μm~20μm、1μm~15μm、1.5μm~10μm、1.5μm~7μm、1.5μm~5μm、または1.5μm~3μmであり得る。印刷層の厚さが前記範囲を満足することにより、印刷層の発色が低下しないとともに、耐スクラッチ性を向上させ得る。
【0052】
他の実現例によるポリエステル系フィルムは、前記基材層に対向する位置に印刷層を含む。具体的に、他の実現例によるポリエステル系フィルムは剥離促進層を含み、印刷層は前記剥離促進層の一面に形成され得、前記印刷層、前記剥離促進層および前記基材層が前記の順に位置し得る。
【0053】
剥離促進層の一面に形成される印刷層も、第1溶剤、第1バインダーおよび第1顔料を含む印刷層用組成物により形成され得る。
【0054】
剥離促進層の一面に形成される印刷層の前記第1溶剤は、ベンゼン、キシレン、トルエン、テトラメチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0055】
具体的に、従来印刷層に使用されたベンゼン、キシレン、トルエン、テトラメチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノンの場合、水酸化ナトリウム水溶液を用いた洗浄工程の際、前記水酸化ナトリウム水溶液にほとんど溶解したり、平均粒径が非常に小さかったりして分離が難しかった。
【0056】
しかし、実現例による剥離促進層を含むポリエステル系フィルムの場合、印刷層が、前記ベンゼン、キシレン、トルエン、テトラメチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはシクロヘキサノンを含んでいても、前記印刷層成分が水酸化ナトリウム水溶液に溶解されないとともに、前記印刷層成分を効果的に分離し得る。
【0057】
[剥離促進層]
他の実現例によるフィルムは、前記基材層の一面に剥離促進層を含む。具体的に、前記フィルムは、基材層と印刷層との間に介在する剥離促進層を含む。
【0058】
前記フィルムが基材層と印刷層との間に介在する剥離促進層を含むことにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。また、前記印刷層成分の脱離をより容易にすることができる。
【0059】
前記剥離促進層は、第2溶剤および第2バインダーを含む剥離促進層用組成物により形成され得る。
【0060】
前記第2溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0061】
また、前記剥離促進層用組成物は、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、前記第2溶剤を15重量%~40重量%で含み得る。例えば、前記第2溶剤の含有量は、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、17重量%~40重量%、15重量%~38重量%、17重量%~38重量%、または20重量%~35重量%であり得る。第2溶剤の含有量が前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層からの印刷層成分の脱離をより容易にすることができ、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。
【0062】
前記第2バインダーは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、およびポリエステルウレタン系樹脂からなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0063】
また、前記剥離促進層用組成物は、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、前記第2バインダーを10重量%~55重量%で含み得る。例えば、前記第2バインダーの含有量は、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、15重量%~50重量%、15重量%~45重量%、20重量%~43重量%、または25重量%~40重量%であり得る。第2バインダーの含有量が前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から印刷層成分の脱離をより容易にすることができ、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。
【0064】
前記第2溶剤および前記第2バインダーの重量比は、1:0.5~3であり得る。例えば、前記第2溶剤および前記第2バインダーの重量比は、1:0.5~2.7、1:0.5~2.5、1:0.6~2.3または1:0.7~2であり得る。第2溶剤および第2バインダーの重量比が前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層からの印刷層成分の脱離をより容易にすることができ、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径を15μm以上に調節できる。
【0065】
また、前記剥離促進層用組成物は第2顔料をさらに含み得る。具体的に、前記第2顔料は、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、黄色酸化鉄、鉄黒、クロムイエロー、クロムバーミリオン、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、紺青、群青、有機顔料のような不溶性アゾ系;可用性アゾ系;フタロシアニン系;キナクリドン系;ポリアゾ系;またはこれらの混合物であり得る。具体的に、前記顔料は、カーボンブラック、酸化チタン、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、およびポリアゾ系からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0066】
前記剥離促進層用組成物は、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、前記第2顔料を5重量%~50重量%で含み得る。例えば、前記第2顔料の含有量は、前記剥離促進層用組成物の総重量を基準に、3重量%~50重量%、5重量%~50重量%、10重量%~50重量%、20重量%~45重量%、25重量%~45重量%、30重量%~45重量%、または35重量%~45重量%であり得る。
【0067】
前記剥離促進層の厚さは10nm~200nmであり得る。例えば、前記剥離促進層の厚さは、15nm~180nm、20nm~150nm、40nm~120nm、60nm~110nm、80nm~110nm、20nm~80nm、30nm~60nm、または40nm~50nmであり得る。剥離促進層の厚さが前記範囲を満足することにより、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から印刷層成分の脱離をより容易にすることができる。
【0068】
前記フィルムを縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径は15μm以上であり得る。例えば、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径は、20μm以上、23μm以上、または25μm以上であり得、15μm~1000μm、15μm~100μm、15μm~80μm、20μm~100μm、20μm~80μm、25μm~75μm、20μm~1000μm、20μm~900μm、25μm~800μm、25μm~750μm、50μm~1000μm、65μm~800μm、500μm~1000μm、または600μm~800μmであり得る。
【0069】
基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が前記範囲を満足することにより、印刷層成分を効果的に分離できるとともに、コスト削減の効果がある。具体的に、基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が前記範囲未満であると、微粒子を分離することが容易でないため、フィルターの交換費用が上昇することがあり、基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が前記範囲を超えると、容器の再生工程で製造される再生ポリエステル系チップの品質を低下させ得る。
【0070】
前記フィルムの総厚さは10μm~200μmであり得る。例えば、前記フィルムの総厚さは、10μm~150μm、30μm~160μm、60μm~120μm、60μm~140μm、90μm~110μm、80μm~90μm、20μm~130μm、25μm~100μm、30μm~80μm、35μm~60μm、または35μm~45μmであり得る。
【0071】
前記フィルムは、550nmの波長における光透過率が90%以上であり得る。具体的に、85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後の前記フィルムを550nmの波長で測定した光透過率は、それぞれ90.5%以上、91%以上、92%以上、または93%以上であり得る。
【0072】
また、前記フィルムを85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後の光透過率の変化量は0.7%以下であり得る。例えば、前記浸漬前後のフィルムの光透過率の変化量は、0.6%以下または0.5%以下であり得る。
【0073】
前記光透過率の変化量は、前記浸漬前に550nmの波長で測定した前記フィルムの光透過率と、前記浸漬後に550nmの波長で測定した前記フィルムの光透過率との差の絶対値のことを意味する。
【0074】
また、前記フィルムを85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後のCol-Lの変化量(△L)は0.7以下であり、Col-aの変化量(△a)は0.5以下であり、Col-bの変化量(△b)は0.5以下であり得る。例えば、前記浸漬前後のCol-Lの変化量(△L)は、0.65以下、0.6以下、0.55以下、または0.5以下であり、Col-aの変化量(△a)は、0.3以下、0.1以下、0.08以下、0.06以下または0.05以下であり、Col-bの変化量(△b)は、0.3以下、0.1以下、0.08以下、または0.07以下であり得る。
【0075】
前記Col-Lの変化量(△L)は、前記浸漬前のCol-Lの値と、前記浸漬後のCol-Lの値との差の絶対値を意味し、前記Col-aの変化量(△a)は、前記浸漬前のCol-a値と前記浸漬後のCol-aの値との差の絶対値を意味し、前記Col-bの変化量(△b)は、前記浸漬前のCol-aの値と、前記浸漬後のCol-aの値との差の絶対値を意味する。
【0076】
実現例によるフィルムは、前記浸漬前後の光透過率の変化量、Col-Lの変化量(△L)、Col-aの変化量(△a)、およびCol-bの変化量(△b)が前記範囲を満足することにより、基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が15μm以上を満足するとともに、浸漬前後にも光透過率および色変化のような物性変化がほとんどないため、品質に優れる。具体的に、前記フィルムが備えられている容器の再生工程の際、品質の優れた再生ポリエステル系チップを提供することができる。
【0077】
前記Col-L、前記Col-aおよび前記Col-bは、国際照明委員会(CIE(Commission International d'Eclairage)によって確立されたカラーシステムであって、色をL(明度)、a(緑色から赤色の補色)、b(黄色から青色の補色)で表記して色相を表現し、UltraScan PRO(Hunterlab社)を用いて測定し得るが、これに限定されるものではない。
【0078】
また、前記フィルムを1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬前後のヘイズ変化量は0.5%以下であり得る。具体的に、前記フィルムのヘイズは前記基材層のヘイズであって、前記フィルムは前記浸漬後に印刷層成分が除去されるため、ヘイズが測定可能である上、そのヘイズ変化量が0.4%以下、0.35%以下、または0.3%以下であり得る。前記ヘイズ変化量は、前記浸漬前のヘイズ値と前記浸漬後のヘイズ値との差の絶対値を意味する。もし、印刷層成分が除去されないと、印刷層が含まれているフィルムはヘイズ値が測定できない。
【0079】
ヘイズ変化量が前記範囲を満足することにより、浸漬前後でもヘイズのような物性の変化がほとんどないので、実現例によるフィルムは、前記基材層から脱離する印刷層成分の平均粒径が15μm以上を満足するとともに、浸漬前後でもヘイズのような物性の変化がほとんどないため、品質に優れる。具体的に、前記フィルムが備えられている容器の再生工程の際、品質の優れた再生ポリエステルチップを提供することができる。
【0080】
また、前記フィルムを70℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は1%~55%であり得る。例えば、前記フィルムを、70℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は、1%~50%、3%~50%、5%~50%、10%~50%、20%~45%、または25%~40%であり得る。
【0081】
前記フィルムを80℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は30%以上であり得る。例えば、前記フィルムを80℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、30%~85%、40%~80%、または50%~80%であり得る。
【0082】
また、前記フィルムを90℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は50%以上であり得る。例えば、前記フィルムを、90℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は55%以上、60%以上、70%以上、50%~90%、60%~85%、70%~85%、または70%~80%であり得る。
【0083】
前記フィルムを100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は30%以上であり得る。例えば、前記フィルムを100℃の温度にて10秒間熱処理する際、第1方向または第2方向の熱収縮率は35%以上、40%以上、50%以上、30%~90%、30%~80%、40%~80%、45%~80%、または50%~80%であり得る。
【0084】
70℃、80℃、90℃、および100℃における熱収縮率が前記範囲を満足することにより、前記フィルムが容器の少なくとも一部を取り囲む工程の際、ラベリングするのに容易である。
【0085】
また、前記フィルムを示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry)で測定したガラス転移温度(Tg)は60℃以上であり得る。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定したガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、65℃以上、70℃以上~80℃未満、または70℃~75℃であり得る。
【0086】
前記フィルムを示差走査熱量計で測定した融点(Tm)は170℃以上であり得る。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した融点は、170℃以上、175℃以上、具体的に、170℃~230℃、170℃~200℃、または175℃~200℃であり得る。
【0087】
フィルムのガラス転移温度および融点が前記範囲を満足することにより、容器の再生工程において発生し得るクランピング現象を減少させ得る。具体的に、容器の再生工程における熱処理の際、フレークが凝着して凝集体を形成し得るが、このようなクランピング現象に起因し、製造される再生ポリエステル系チップの品質が低下して、容器のリサイクル性を低下させ得る。
【0088】
しかし、実現例によるフィルムは、ガラス転移温度および融点が前記範囲を満足することにより、容器の再生工程において発生し得るクランピング現象を減少させ得るので、容器のリサイクル性を向上させ、製造される再生ポリエステル系チップの品質および生産性を最大化することができる。
【0089】
また、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した結晶化温度(Tc)は、測定されないか、70℃~130℃であり得る。例えば、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した結晶化温度(Tc)は、測定されないか、70℃~120℃、75℃~110℃、または80℃~110℃であり得る。
【0090】
前記結晶化温度(Tc)にて測定した前記フィルムの結晶化熱量は0.01J/g~50J/gであり得る。例えば、前記結晶化温度(Tc)にて測定した前記フィルムの結晶化熱量は、0.01J/g~40J/g、0.05J/g~30J/g、0.1J/g~20J/g、0.1J/g~10J/g、0.1J/g~8J/g、または0.1J/g~5J/gであり得る。
【0091】
結晶化温度および結晶化熱量が前記範囲を満足することにより、容器の再生工程において発生し得るクランピング現象を減少させ得るので、容器のリサイクル性を向上させ、製造される再生ポリエステル系チップの品質および生産性を最大化することができる。
【0092】
具体的に、前記フィルムを示差走査熱量計で測定した融点(Tm)が170℃以上で、かつ、結晶化温度(Tc)が70℃~130℃のとき、クランピング現象防止効果を最大化することができる。
【0093】
[ポリエステル系フィルムの製造方法]
実現例によるポリエステル系フィルムの製造方法は、ポリエステル系樹脂を含む基材層用組成物により基材層を形成する段階と、前記基材層の一面に印刷層用組成物により印刷層を形成する段階とを含む。
【0094】
他の実現例によるポリエステル系フィルムの製造方法は、ポリエステル系樹脂を含む基材層用組成物により基材層を形成する段階と、前記基材層の一面に剥離促進層用組成物により剥離促進層を形成する段階と、前記基材層の一面に印刷層用組成物により印刷層を形成する段階とを含む。
【0095】
<基材層>
前記基材層は、ポリエステル系樹脂を含む基材層用組成物により形成され得る。前記ポリエステル系樹脂については、前述の通りである。
【0096】
具体的に、前記ポリエステル系樹脂をT-ダイ(T‐die)で260℃~300℃または270℃~290℃にて溶融押出した後、冷却して未延伸シートを得られ得る。前記未延伸シートを10m/分~110m/分または20m/分~90m/分の速度で移送しながら、チャンバーを通過させながら予熱した後、延伸して得られたシートを熱固定することにより、基材層を製造し得る。
【0097】
前記予熱は、90℃~120℃にて0.01分~1分間行われ得る。例えば、前記予熱温度(T1)は95℃~115℃または97℃~113℃であり、前記予熱時間は0.05分~0.5分、0.08分~0.2分であり得る。
【0098】
また、前記延伸は、一軸延伸または二軸延伸であり得る。具体的に、前記延伸は、第2方向に行われる一軸延伸でもよく、第1方向に行われた後、前記第1方向に垂直の第2方向に行われる二軸延伸でもよい。例えば、前記延伸が一軸延伸の場合、前記第2方向は横方向(TD)であり得る。
【0099】
具体的に、前記延伸が一軸延伸の場合、前記延伸は、前記予熱温度(T1)よりも20℃以上低い温度にて3倍~5.5倍の伸び率で第2方向に行われ得る。例えば、前記延伸は、60℃~90℃、70℃~90℃、または70℃~85℃の延伸温度にて2.5倍~5.5倍、2.5倍~5倍、または3.5倍~5倍の伸び率で第2方向に行われ得る。
【0100】
または、前記延伸が二軸延伸の場合、前記延伸は、前記予熱温度(T1)よりも20℃以上低い温度にて2.5倍~5倍の伸び率で第1方向に行われた後、3倍~5倍の伸び率で第2方向に行われ得る。例えば、前記延伸は60℃~90℃、70℃~90℃、または70℃~85℃の延伸温度にて2.5倍~5倍、2.5倍~4倍、または3.5倍~5倍の伸び率で第1方向に行われた後、2.5倍~5倍、2.5倍~4倍、または3.5倍~5倍の伸び率で第2方向に行われ得る。
【0101】
また、前記第2方向に一軸延伸する前に、または前記第1方向に延伸した後、前記第2方向に延伸する前に、コーティング工程をさらに行ってもよい。具体的に、前記フィルムに帯電防止などのような機能性を与え得る促進層などを形成するコーティング工程をさらに行ってもよい。前記コーティング工程は、スピンコーティングまたはインラインコーティングにより行われ得るが、これに限定されるものではない。
【0102】
前記熱固定はアニーリングでよく、70℃~95℃にて0.01分~1分間行われ得る。例えば、前記熱固定温度(T2)は、75℃~95℃、75℃~93℃、80℃~93℃、または85℃~93℃であり、前記熱固定時間は0.05分~0.5分または0.08分~0.2分であり得る。
【0103】
前記予熱温度(T1)-熱固定温度(T2)は10℃~40℃であり得る。具体的に、前記延伸温度は、予熱温度(T1)よりも10℃以上、15℃以上、または20℃以上低くてよく、前記熱固定温度(T2)は、前記延伸温度よりも5℃以上または10℃以上高くてよい。予熱温度、延伸温度、および熱固定温度が前記範囲を満足することにより、第1方向または第2方向の熱収縮率を効果的に調節し得る。
【0104】
<剥離促進層>
前記剥離促進層は、前記基材層の一面に剥離促進層用組成物をコーティングして形成され得る。具体的に、前記基材層の一面に剥離促進層用組成物をインライン(In-Line)またはオフライン(Off-Line)コーティングして形成され得るが、これに限定されるものではない。
前記剥離促進層用組成物に関する説明は、前述の通りである。
【0105】
<印刷層>
前記印刷層は、印刷層用組成物および印刷機を用いて形成され得る。具体的に、前記基材層、または一面に剥離促進層が形成されている基材層を印刷機に投入して、印刷層用組成物を前記剥離促進層の一面に印刷することにより、印刷層を形成し得る。
前記印刷層用組成物に関する説明は、前述の通りである。
【0106】
<ポリエステル系容器の再生方法>
他の実現例によるポリエステル系容器の再生方法は、前記ポリエステル系フィルムが少なくとも一部を取り囲むポリエステル系容器を準備する段階と、前記フィルムが備えられているポリエステル系容器を粉砕してフレークを得る段階と、前記粉砕されたフレークを85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬する段階と、前記浸漬されたフレークを熱処理して再生ポリエステル系チップを製造する段階とを含み、前記フレークを200℃~220℃の温度にて60分~120分間熱処理する際、クランピングの分率が5%以下である。
【0107】
一実現例によるポリエステル系容器を再生するために、まず、前記ポリエステル系フィルムが少なくとも一部を取り囲むポリエステル系容器を準備する。
【0108】
従来では、容器、金属、ガラス、プラスチックなどが混在し得る回収済みの廃品を洗浄してポリエステル系容器を分類し、容器のリサイクル性および品質を向上させるために、前記容器を包んでいるフィルムなどを除去する工程を行っていた。前記除去工程は、フィルムを機械的に破ったり切断したりして行われるか、液比重分離、脱水乾燥、風力比重分離、またはペレタイズ(pelletize)のような追加工程により行われてきた。
【0109】
しかし、前記除去工程によっては、フィルムを完璧に除去することが難しく、特に、フィルムに形成されていた残余インクに起因して、製造される再生ポリエステル系チップの品質を向上させることが難しかった。
【0110】
実現例によるポリエステル系容器の再生方法は、ポリエステル系容器を取り囲むフィルムを除去する工程を別途行うことなく、再生ポリエステル系チップを製造できるので、コスト削減の効果がある。また、実現例によるフィルムは、印刷層成分が容易に分離されることは勿論のこと、洗浄工程で水酸化ナトリウム水溶液に全部溶解されないため、環境汚染防止効果に優れる。
【0111】
前記ポリエステル系容器は、外表面に前記ポリエステル系フィルムが備えられているものである。具体的に、前記ポリエステル系フィルムで前記ポリエステル系容器の外表面を取り囲んだ後、スチームまたは熱風によって前記フィルムが収縮され、前記ポリエステル系容器の外表面の少なくとも一部を包み得る。例えば、前記ポリエステル系フィルムは、熱収縮フィルムとして前記ポリエステル系容器のラベルであり得るが、これに限定されるものではない。
前記ポリエステル系フィルムに関する説明は、前述の通りである。
【0112】
前記ポリエステル系容器は、前記ポリエステル系容器の総重量を基準に、ポリエステル系樹脂を90重量%以上で含み得る。例えば、前記ポリエステル系容器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む容器であり、前記ポリエステル系容器が前記ポリエステル系容器の総重量を基準に、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上のポリエチレンテレフタレートを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0113】
その後、前記フィルムが備えられているポリエステル系容器を粉砕してフレークを得る。
【0114】
具体的に、前記ポリエステル系容器の外表面の少なくとも一部は前記フィルムが取り囲んでおり、前記容器と前記フィルムとを分離する工程なしで、前記容器および前記フィルムを一緒に粉砕してフレークを得る。
【0115】
すなわち、前記フレークは、前記ポリエステル系容器が粉砕されて得られる第1フレークおよび前記フィルムが粉砕されて得られる第2フレークを含む。
【0116】
前記第1フレークの粒径は0.1mm~25mmであり、前記第2フレークの粒径は0.1mm~25mmであり得る。例えば、前記第1フレークの粒径は、0.3mm~23mm、0.5mm~20mm、1mm~20mm、0.5mm~15mm、0.5mm~13mm、1mm~18mm、1mm~15mm、1mm~13mm、または2mm~10mmであり、前記第2フレークの粒径は、0.3mm~23mm、0.5mm~20mm、1mm~20mm、0.5mm~15mm、0.5mm~13mm、1mm~18mm、1mm~15mm、1mm~13mm、または2mm~10mmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0117】
その後、前記粉砕されたフレークを、85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬する。
【0118】
具体的に、前記粉砕されたフレークを85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分~30分間浸漬して洗浄する段階を行える。例えば、前記第1フレークおよび前記第2フレークを85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分~25分または10分~20分間浸漬して洗浄し得る。
【0119】
前記洗浄段階を行うことにより、前記粉砕されたフレークに残り得る不純物を除去できるとともに、印刷層成分を効果的に除去できるので、製造される再生ポリエステル系チップの品質および純度を向上させ、容器のリサイクル性を最大化することができる。
【0120】
前述のように、前記フィルムは、縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記記載層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上である。
【0121】
したがって、前記洗浄工程により、前記粉砕されたフレーク、特に第2フレークに残っている印刷層成分を第2フレークから効果的に分離および除去することができる。また、前記印刷層成分が、前記水酸化ナトリウム水溶液に溶解しないとともに、平均粒径が15μm以上なので、印刷層成分、特にインク成分を効果的に除去して、製造される再生ポリエステル系チップの品質および純度を向上させ得るとともに、環境防止効果にも優れる。
【0122】
具体的に、前記平均粒径が15μm以上である印刷層成分は、15μmの気孔サイズを有するフィルター、または前記フレークの大きさよりも小さい0.1mm以上~25mm未満のフィルターを使用することにより、水酸化ナトリウム水溶液から分離および除去し得るが、これに限定されるものではない。
【0123】
また、前記85℃および1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分~30分間浸漬する洗浄段階が1次洗浄段階であるとき、前記1次洗浄段階後に2次洗浄段階をさらに行える。
【0124】
具体的に、前記2次洗浄段階は、常温の水および/または0.5%~3%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で80℃~97℃にて5分~30分間行われ得る。
【0125】
より具体的に、0.5%~3%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で2次洗浄段階を行うと、前記粉砕されたフレークに残っている不純物をより効果的に除去することができ、常温の水で2次洗浄段階を行うと、残留水酸化ナトリウム水溶液を除去できる。例えば、前記1次洗浄段階の後、常温の水で2次洗浄段階を行うか、前記1次洗浄段階の後、0.5%~3%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄してから常温の水で2次洗浄段階を行える。
【0126】
また、前記洗浄段階の後で、前記洗浄済みのフレークを60℃~175℃にて10分~90分間乾燥する段階をさらに行える。例えば、前記乾燥段階は、65℃~175℃、70℃~170℃、90℃~165℃、100℃~165℃、または120℃~165℃にて、15分~85分、20分~70分、15分~30分、または50分~70分間行われ得る。
【0127】
前記洗浄および乾燥段階は1回~5回繰り返し行われ得る。例えば、前記洗浄および乾燥段階を順に2回~5回または3回~5回繰り返し行うことにより、前記フレークに残っている不純物を効果的に除去することができる。
【0128】
最後に、前記浸漬されたフレークを熱処理して、再生ポリエステル系チップを製造する。
【0129】
前記熱処理は、200℃~220℃にて60分~120分間行われ得る。例えば、前記熱処理は、200℃~215℃または205℃~220℃にて70分~120分間または80分~120分間行われ得る。
【0130】
また、前記フレークを200℃~220℃の温度にて60分~120分間熱処理する際、クランピング(clumping)分率は5%以下であり得る。例えば、前記フレークを220℃にて60分間、または210℃の温度にて90分間熱処理する際、クランピング分率は4%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下、1%以下、0.8%以下であり得る。
【0131】
前記クランピングは、前記フレークから形成され得る凝集体のことを意味するもので、前記凝集体の大きさは例えば、前記フレーク粒子サイズの3倍以上であり得る。前記クランピング分率は、前記フレークの総重量を基準に、前記凝集体の重量比のことを意味する。例えば、前記フレークを篩に通過させた後熱処理するが、この際、フレークが凝着して凝集体を形成し得る。前記凝集体は、再度篩に通過させてろ過し得るが、このようにして得られた凝集体の重量を測定し、前記熱処理されたフレークの総重量を基準に、前記凝集体の重量比を計算することにより、前記クランピング分率を得ることができる。
【0132】
したがって、前記クランピング分率の数値が高いほど、前記第1フレークおよび第2フレークが互いに凝着して再生ポリエステル系チップの品質が低下し得る。しかし、前記第2フレークは、実現例によるポリエステル系フィルムが粉砕されて得られることにより、凝集体の形成を効果的に減少または防止して、製造される再生ポリエステル系チップの品質を向上させることができる。
【0133】
前記熱処理工程を経た後、再生ポリエステル系のチップが得られる。具体的に、前記熱処理工程を経た後、前記第1フレークおよび前記第2フレークを含む再生ポリエステル系のチップが得られる。例えば、前記フレークを溶融押出した後、これを裁断して再生ポリエステル系チップが得られるが、これに限定されるものではない。
【0134】
<再生ポリエステル系チップ>
また他の実現例による再生ポリエステル系チップは、前記ポリエステル系容器の再生方法により製造される。
【0135】
具体的に、前記再生ポリエステル系チップは、ポリエチレンテレフタレートを含む第1フレークおよびポリエステル系樹脂を含む第2フレークを含み得る。
【0136】
前記再生ポリエステル系チップの固有粘度(IV)は、0.60dl/g以上であり得る。例えば、前記再生ポリエステル系チップの固有粘度は、0.63dl/g以上、0.65dl/g以上、0.70dl/g以上、0.75dl/g以上、0.60dl/g~3.00dl/g、0.60dl/g~2.0dl/g、または0.65dl/g~1.0dl/gであり得る。
【0137】
また、前記再生ポリエステル系チップは、前記再生ポリエステル系チップの総重量を基準に、ポリエチレンテレフタレートを70重量%~99重量%で含み、ポリエステル系樹脂を1重量%~30重量%で含み得る。例えば、前記再生ポリエステル系チップは、前記再生ポリエステル系チップの総重量を基準に、80重量%~99重量%、90重量%~99重量%、または95重量%~99重量%のポリエチレンテレフタレートを含み、1重量%~20重量%、1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%のポリエステル系樹脂を含み得る。
【0138】
(実施例)
前記内容を下記実施例によりさらに詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、実施例の範囲はこれらだけに限定されるものではない。
【0139】
(実施例A)
-ポリエステル系樹脂の調製-
[製造例1-1]
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を備えているステンレススチール製のオートクレーブに、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)100モル%、およびジオール成分としてエチレングリコール(EG)78モル%と、ネオペンチルグリコール(NPG)17モル%と、ジエチレングリコール(DEG)5モル%とを混合した。その後、エステル交換触媒として酢酸亜鉛0.05モル%(酸成分に対して)を添加し、生成されるメタノールを蒸留除去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃にて26.6Pa(0.2Torr)の減圧条件で重縮合反応を行って、ポリエステル系樹脂を調製した。
【0140】
[製造例1-2~1-6]
それぞれの構成および含有量を下記表1のように変化させたことを除いて、前記製造例1-1と同様の方法によりポリエステル系樹脂を調製した。
【0141】
【0142】
-印刷層用組成物の調製-
[製造例2-1]
エタノール25重量%、ポリエステル系バインダー(BNPE-100、BN Chemical社)35重量%およびBlue顔料(First Blue1530、First Color社)40重量%を混合および撹拌して印刷層用組成物を調製した。
【0143】
[製造例2-2~2-6]
それぞれの構成および含有量を下記表2に示すように変化させたことを除いて、前記製造例2-1と同様の方法により印刷層用組成物を調製した。
【0144】
【0145】
-ポリエステル系フィルムの製造-
[製造例3-1]
前記製造例1-1のポリエステル系樹脂を押出機に投入した後、T-ダイ(T-Die)で280℃にて溶融押出した後、冷却して未延伸シートを得た。その後、前記未延伸シートを30m/分の速度で移送しながら105℃にて0.1分間予熱した。その後、85℃にて4.0倍~4.7倍の伸び率で横方向に延伸した。その後、90℃にて0.1分間熱固定して厚さ40μmの基材層を製造した。
【0146】
その後、前記基材層を印刷機に投入し、前記基材層の一面を前記製造例2-1の印刷層用組成物により印刷して厚さ2μmの印刷層が形成された総厚42μmのポリエステル系フィルムを製造した。
【0147】
[製造例3-2~3-6]
下記表3に記載のように、製造例1-1のポリエステル系樹脂の代わりに、製造例1-2~1-6のポリエステル系樹脂を使用し、製造例2-1の印刷層用組成物の代わりに製造例2-2~2-6の印刷層用組成物を用いたことを除いて、前記製造例3-1と同様の方法によりポリエステル系フィルムを製造した。
【0148】
-再生ポリエステル系チップの製造-
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート容器(PET容器、30g)の外表面の一部を前記製造例3-1のポリエステル系フィルム(1g)で包んだ後、90℃の温度および熱風条件で前記フィルムを収縮させて、前記フィルムが外表面の一部を取り囲むポリエステル系テレフタレート容器を製造した。
【0149】
その後、前記フィルムが備えられている容器を粉砕機で粉砕してフレークを得た。前記粉砕されたフレークを85℃にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、240m/分の撹拌速度で15分間洗浄した。
【0150】
その後、前記フレークを常温の水でもう一度洗浄して残留水酸化ナトリウム水溶液を除去し、15μm気孔サイズの篩を使用してろ過した。その後、160℃にて1時間乾燥させた後、210℃にて90分間熱処理して、再生ポリエステル系チップを製造した。
【0151】
[実施例2および3、および比較例1~3]
前記製造例3-1のポリエステル系フィルムの代わりに、製造例3-2~3-6のポリエステル系フィルムを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の方法により再生ポリエステル系チップを製造した。
【0152】
(評価例)
[評価例1-1:平均粒径]
1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を撹拌機に入れて85℃で加熱した後、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmに切断して投入した。240m/分の撹拌速度で15分間撹拌した後、MICROTRAC S-3500((株)ドリーム)を用いて、脱離した印刷層成分の平均粒径を測定した。
【0153】
[評価例1-2:光透過率および色(color)]
前記フィルムを縦1cmおよび横1cmに切断し、85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬前後の550nmにおける光透過率、Col-L、Col-aおよびCol-bを、UltraScan PRO(Hunterlab社)を用いて測定した。
【0154】
[評価例1-3:クランピング分率]
前記で製造したフレークを、0.625''篩を用いて、通過したフレーク1kgを210℃のオーブンに90分間露出させた。常温に冷却した後、0.625''篩を用いてろ過された凝集体の重さを測定し、これを前記フレークの総重量の百分率でクランピング分率を計算した。
【0155】
【0156】
前記表3に示すように、製造例3-1~3-3のポリエステル系フィルムおよびこれを用いたポリエステル系容器の再生方法により製造された実施例1~3の再生ポリエステル系チップは、比較例1~3に比べて品質に優れていた。
【0157】
具体的に、製造例3-1~3-3のポリエステル系フィルムは、製造例2-1~2-3の印刷層を含むことにより、85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬前後の光透過率および色の変化がほとんどなく、再生工程で分離された印刷層成分の平均粒径も15μm以上なので、これを含むポリエステル系容器の再生方法により製造された再生ポリエステル系チップの品質に優れてした。また、前記印刷層成分が水酸化ナトリウム水溶液に溶解されないので、環境汚染防止の効果にも優れていることが分かる。
【0158】
一方、比較例1~3の再生ポリエステル系チップは、クランピング分率が高いので品質が良くないため、リサイクル性が低く、また、印刷層成分が全て水酸化ナトリウム水溶液に溶解されるか、平均粒径が15μm未満であるので、分離が容易ではないため、環境汚染問題もあることが分かる。
【0159】
(実施例B)
-ポリエステル系樹脂の調製-
[製造例4-1]
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を備えているステンレススチール製のオートクレーブに、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA)100モル%、およびジオール成分としてエチレングリコール(EG)65モル%と、ネオペンチルグリコール(CHDM)30モル%と、ジエチレングリコール(DEG)5モル%とを混合した。エステル交換触媒として酢酸亜鉛0.05モル%(酸成分に対して)を添加し、生成されるメタノールを蒸留除去しながらエステル交換反応を行った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(酸成分に対して)を添加し、280℃にて26.6Pa(0.2Torr)の減圧条件で重縮合反応を行って、ポリエステル系樹脂を調製した。
【0160】
[製造例4-2~4-6]
それぞれの構成および含有量を下記表4に示すように変化させたことを除いて、前記製造例4-1と同様の方法によりポリエステル系樹脂を調製した。
【0161】
【0162】
-剥離促進層用組成物の調製-
[製造例5-1]
エタノール25重量%、ポリエステル系バインダー(BNPE-100、BN Chemical社)35重量%およびBlue顔料(FR、東洋化学株式会社)40重量%を混合および撹拌して剥離促進層用組成物を調製した。
【0163】
[製造例5-2~5-4]
それぞれの構成および含有量を下記表5に示すように変化させたことを除いて、前記製造例5-1と同様の方法により剥離促進層用組成物を調製した。
【0164】
【0165】
-印刷層用組成物の調製-
[製造例6-1]
トルエン30重量%、ポリプロピレン系バインダー(BINDER-I、現代ケミカル株式会社)30重量%およびBlue顔料(First Blue1530、First Color社)40重量%を混合および撹拌して、印刷層用組成物を調製した。
【0166】
[製造例6-2]
Blue顔料の代わりにYellow顔料を使用したことを除いて、前記製造例6-1と同様の方法により印刷層用組成物を調製した。
【0167】
【0168】
-ポリエステル系フィルムの製造-
[製造例7-1]
前記製造例4-1のポリエステル系樹脂を押出機に投入した後、T-ダイ(T-Die)で280℃にて溶融押出した後、冷却して未延伸シートを得た。その後、前記未延伸シートを30m/分の速度で移送しながら105℃にて0.1分間予熱した。その後、85℃にて4.0倍~4.7倍の伸び率で横方向に延伸し、90℃にて0.1分間熱固定して厚さ40μmの基材層を製造した。
【0169】
その後、前記基材層の一面に前記製造例5-1の剥離促進層用組成物をインライン(In-Line)またはオフライン(Off-Line)コーティングして厚さ100nmの剥離促進層を形成した。その後、一面に剥離促進層が形成された基材層を印刷機に投入し、前記剥離促進層の一面を前記製造例6-1の印刷層用組成物により印刷して、厚さ2μmの印刷層が形成された総厚42.1μmのポリエステル系フィルムを製造した。
【0170】
[製造例7-2~7-6]
下記表7に記載のように、前記製造例4-1のポリエステル系樹脂の代わりに、製造例4-2~4-6のポリエステル系樹脂を使用し、製造例5-1の剥離促進層用組成物の代わりに製造例5-2~5-4の剥離促進層用組成物を使用し、印刷層用組成物として製造例6-1または製造例6-2を使用したことを除いて、前記製造例7-1と同様の方法によりポリエステル系フィルムを製造した。ただし、製造例7-5および7-6のポリエステル系フィルムは、剥離促進層を形成しなかった。
【0171】
-再生ポリエステル系チップの製造-
[実施例4]
ポリエチレンテレフタレート容器(PET容器、30g)の外表面の一部を前記製造例7-1のポリエステル系フィルム(1g)で包んだ後、90℃の温度および熱風の条件で前記フィルムを収縮させて、前記フィルムが外表面の一部を取り囲むポリエステル系テレフタレート容器を製造した。
【0172】
その後、前記フィルムが備えられている容器を粉砕機で粉砕してフレークを得た。前記粉砕されたフレークを85℃にて1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、240m/分の撹拌速度で15分間洗浄した。
【0173】
その後、前記フレークを常温の水でもう一度洗浄して残留水酸化ナトリウム水溶液を除去し、15μm気孔サイズの篩を用いてろ過した。その後、160℃にて1時間乾燥させた後、210℃にて90分間熱処理して、再生ポリエステル系チップを製造した。
【0174】
[実施例5および6、並びに比較例4~6]
前記製造例7-1のポリエステル系フィルムの代わりに、製造例7-2~7-6のポリエステル系フィルムを使用したことを除いて、前記実施例4と同様の方法により再生ポリエステル系チップを製造した。
【0175】
(評価例)
[評価例2-1:平均粒径]
1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を撹拌機に入れて85℃に加熱した後、前記フィルムを縦1cmおよび横1cmに切断して投入した。240m/分の撹拌速度で15分間撹拌した後、MICROTRAC S3500((株)ドリーム)を用いて、脱離した印刷層成分の平均粒径を測定した。
【0176】
[評価例2-2:ヘイズ]
前記フィルムを縦1cmおよび横1cmに切断し、85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬前後のヘイズを、日本電色工業社のヘイズメーターNDH-5000Wを使用して測定した。
【0177】
[評価例2-3:クランピング分率]
前記で製造したフレークを、0.625''篩を用いて通過したフレーク1kgを210℃のオーブンに90分間露出させた。常温に冷却させた後、0.625''篩を用いてろ過した凝集体の重さを測定し、これ前記フレークの総重量の百分率でクランピング分率を計算した。
【0178】
【0179】
前記表7から分かるように、製造例4-1~4-3のポリエステル系フィルムおよびこれを用いたポリエステル系容器の再生方法によって製造された実施例4~6の再生ポリエステル系チップは、比較例4~6に比べて品質に優れている。
【0180】
具体的に、製造例7-1~7-3のポリエステル系フィルムは、剥離促進層を含むことにより、85℃の温度にて1%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬前後のヘイズ変化がほとんどないとともに、再生工程で脱離する印刷層成分の平均粒径も15μm以上なので、これを含むポリエステル系容器の再生方法によって製造された再生ポリエステル系チップは品質に優れている。また、前記印刷層成分が水酸化ナトリウム水溶液に溶解されないので、環境汚染防止の効果にも優れることが分かる。
【0181】
一方、比較例4~6の再生ポリエステル系チップは、印刷層成分が全て水酸化ナトリウム水溶液に溶解されるため、環境汚染問題のあることが分かる。具体的に、比較例4および5の再生ポリエステル系チップは、クランピング分率が比較的低いが、ヘイズが測定できないため印刷層成分が除去されておらず、比較例6の再生ポリエステル系チップは、脱離する印刷層成分の平均粒径が15μm以上ではあるが、クランピング分率が非常に高いので品質が良くないためリサイクル性が低い。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系フィルムであって、
ポリエステル系樹脂を含む基材層と、
前記基材層の一面に位置する印刷層とを含み、
前記印刷層が、第1溶剤、第1バインダーおよび第1顔料を含む印刷層用組成物により形成され、
前記第1溶剤および前記第1バインダーの重量比が1:0.5~2.5であり、
前記ポリエステル系樹脂がジオール成分およびジカルボン酸成分を含み、
前記ジオール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびネオペンチルグリコールからなる群より選択された1種以上を含み、
前記ポリエステル系樹脂が、前記ジオール成分の総モル数を基準に、前記ネオペンチルグリコールを1モル%~35モル%で含み、
縦1cmおよび横1cmの大きさに切断して1%濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、85℃にて240m/分の速度で15分間撹拌した後、前記基材層から脱離する前記印刷層成分の平均粒径が15μm以上であり、
前記ポリエステル系フィルムが備えられているポリエチレンテレフタレート容器を粉砕して得たフレークを200℃~220℃の温度にて60分~120分間熱処理する際、クランピング分率が5%以下である、ポリエステル系フィルム。