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特開2024-116383ヒトサイトメガロウイルスを増幅、検出、または定量化するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116383
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ヒトサイトメガロウイルスを増幅、検出、または定量化するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6888 20180101AFI20240820BHJP
   C12Q 1/6865 20180101ALI20240820BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240820BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240820BHJP
【FI】
C12Q1/6888 Z ZNA
C12Q1/6865 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/6888 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024097981
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2021509874の分割
【原出願日】2019-08-21
(31)【優先権主張番号】62/720,658
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】500169900
【氏名又は名称】ジェン-プローブ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ポール ダービー
(72)【発明者】
【氏名】シオバーン ミック
(72)【発明者】
【氏名】ジョー アン ジャクソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒ チョル キム
(72)【発明者】
【氏名】アンバー ヒリウス
(72)【発明者】
【氏名】アンクル シャー
(57)【要約】
【課題】ヒトサイトメガロウイルスを増幅、検出、または定量化するための組成物および方法の提供。
【解決手段】例えば、核酸増幅およびハイブリダイゼーションアッセイを使用して、ヒトサイトメガロウイルスウイルス1(CMV(ヒトヘルペスウイルス5、HHV5))核酸を検出または定量化するためのオリゴマーヌクレオチド、組成物、方法、キット、および使用が提供される。CMV標的配列の多相増幅もまた記載される。オリゴマーヌクレオチド、組成物、方法、キット、および使用を使用して、CMVのUL56遺伝子を増幅および/または検出することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月21日に出願された米国仮特許出願第62/720,658号に対する優先権を主張し、この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
出願された535372_SeqListing_ST25.txtに記述された配列表は、サイズが17キロバイトであり、2019年8月21日に作成され、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ヒトサイトメガロウイルス(CMV、ヒトヘルペスウイルス5(HHV5)とも呼ばれる)は、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)を含むウイルスのより大きなファミリーの一部である。CMVは、ヒトにおける感染を引き起こす、エンベロープ化した二本鎖DNAウイルスである。CMVは、ほぼ全ての人に感染し得る一般的なウイルスである。それは、非常に一般的であるため、発展途上国のほぼ全ての成人および米国の成人の50%~85%が感染している。CMVは、血液、唾液、尿、精液、膣液、および母乳などの体液を通して人から人へ伝播する。他のヘルペスウイルスと同様に、CMVは、断続的に再活性化し得る生涯にわたる潜伏を確立する。治療法は、存在しない。免疫適格性宿主では、CMV感染は一般に、無症候性かつ自己限定的である。
【0004】
CMV感染は、妊娠中の女性、乳児、および免疫低下個体における懸念の原因である。妊娠中の活性CMV感染は、ウイルスを乳児に感染させる可能性がある。特に臓器移植のために免疫が低下した人々にとって、CMV感染は、罹患率および死亡率の重要な原因である。しかしながら、薬物治療が、新生児および免疫系が弱い人々の治療に役立つ可能性がある。
【0005】
実質臓器移植(SOT)レシピエントでは、ドナー(D)臓器からレシピエント(R)に伝染したCMVは、CMV血清陰性SOTレシピエント(R-)において一次感染、またはCMV血清陽性SOTレシピエント(R+)において再感染を引き起こす可能性がある。D-/R+SOTレシピエントでは、免疫抑制によるCMV特異的免疫の障害は、内因性潜伏CMVの再活性化をもたらし得る。D-/R+SOTレシピエントは、既存の宿主免疫を欠如しているため、彼らは、CMV疾患を発症するリスクが高いが、R+レシピエントは、中リスク群を成す(Razonable2013)。一度感染すると、CMVは、その生涯にわたる潜伏に対する傾向のために、身体から根絶することができない。したがって、SOT患者におけるCMV療法の目標は、ウイルス複製の抑制によって、移植片に対するCMV感染の間接的な影響および/またはCMV疾患の発症を予防することである。ウイルス負荷試験は、CMV感染による活性疾患を診断するための主要な方法であり、移植レシピエントのケアにおける日常的な構成要素となっている(Rychert J.,et.al2014)。
【0006】
妊娠中の女性、および免疫が低下した者または弱まった者では、試験が重要である。現在の診断試験は、抗CMV抗体を探す。しかしながら、そのような試験は、正確さのために多数の試験を必要とし、個人は、症候性でなければならない。追加の診断試験には、培養、PCR、およびCMV pp65抗原血症アッセイが含まれる。末梢血中のCMV感染白血球の数を定量化するCMV pp65抗原血症アッセイは、免疫低下患者におけるCMV感染の検出および監視に使用されている。
【0007】
したがって、CMVの高感度かつ特異的な検出および定量化を可能にする組成物および方法に対するニーズが存在する。本開示は、これらのニーズを満たすこと、他の利益を提供すること、または少なくとも公衆に有用な選択を提供することを目的としる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
試料中のヒトサイトメガロウイルス(CMV)を検出および/もしくは定量化するため、またはCMV UL56遺伝子配列を増幅するための増幅オリゴマー、核酸、方法、組成物、およびキットが記載される。増幅オリゴマーには、順方向プライマー、逆方向プライマー、プロモータープライマー(例えば、T7プライマー)、非プロモータープライマー(例えば、NT7プライマー)、ヘルパーオリゴマー、およびディスプレーサーオリゴマーが挙げられる。増幅された配列の検出、および試料からのCMVヌクレオチド配列の単離をそれぞれ促進する、プローブオリゴマーおよび標的捕捉オリゴマー(TCO)がさらに記載される。本方法は、ウイルス核酸を増幅して、試料中のCMV標的配列を検出することを伴う。本方法は、高感度の検出CMVを有利に提供することができる。
【0009】
増幅オリゴマーは、当該技術分野で既知の任意の核酸増幅方法を使用する、CMV配列の増幅、検出、および/または定量化に使用することができる。核酸増幅方法は、熱サイクリングを使用してもよいか、またはそれらは、等温であってもよい。当該技術分野で既知の核酸増幅方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、レプリカーゼ媒介増幅(Qβ-レプリカーゼ媒介増幅を含む)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、等温転写関連増幅、および多相等温転写関連増幅があげられるが、これらに限定されない。
【0010】
記載の増幅オリゴマーを使用して、CMV配列を増幅することができる。増幅されたCMV配列であるアンプリコンは、配列番号1の全部もしくは一部分、および/またはその相補体を含む。増幅オリゴマーは、配列番号1の全部もしくは一部分、および/またはその相補体を含むCMV UL56遺伝子アンプリコンを増幅し、それを任意選択的に検出するように構成される。いくつかの実施形態では、アンプリコンは、配列番号51および/もしくはその相補体ならびに/または配列番号53および/もしくはその相補体を含む。アンプリコンは、DNAまたはRNAであり得る。当該技術分野の様々な方法を使用して、CMVアンプリコンを検出することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号2に存在するヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、非プロモータープライマーは、プロモータープライマー末端の下流で、プロモータープライマーの伸長のcDNA産物中のその標的配列に特異的に結合する増幅オリゴヌクレオチドである。プロモータープライマーは、非プロモータープライマーと組み合わされて、増幅対を形成し、一緒に標的核酸の一部分を増幅するように構成される。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号10、配列番号11、または配列番号19のヌクレオチド配列を含む。順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号79にハイブリダイズし、DNAまたはRNAの重合を開始することができる。例示的な順方向プライマーおよび非プロモータープライマーを、表1Bに提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号3に存在するヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する21~40個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または配列番号47のヌクレオチド配列を含む。逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号80にハイブリダイズし、DNAまたはRNAの重合を開始することができる。例示的な逆方向プライマーおよびプロモータープライマーを、表1Bに提供する。
【0013】
RNAポリメラーゼプロモーター配列を、記載の順方向および/または逆方向プライマーのいずれかに付加して、プロモータープライマーを形成することができる。RNAポリメラーゼプライマー配列は、記載の順方向または逆方向プライマーの5’末端に機能的に連結される。いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼプロモーター配列は、逆方向プライマーの5’末端に連結されている。RNAポリメラーゼプロモーター配列は、T7
RNAポリメラーゼプロモーター配列であり得るが、これに限定されない。T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列は、配列番号78のヌクレオチド配列を含有することができる。T7ポリメラーゼプロモーター配列を有するプロモータープライマーは、T7プライマーと称される。いくつかの実施形態では、プロモータープライマーまたはT7プライマーは、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、または配列番号46のヌクレオチド配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、鋳型ヌクレオチド配列への順方向プライマーのハイブリダイゼーションを促進または増強する。同様に、いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、鋳型核酸配列への逆方向プライマーのハイブリダイゼーションを促進または増強する。例示的なヘルパーおよびディスプレーサーオリゴマーを、表1Bに提供する。鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションの促進または増強は、標的ヌクレオチド配列の増幅を促進または増強することができる。順方向および/または逆方向プライマーのハイブリダイゼーションの促進に使用される場合、ヘルパーオリゴマーおよびディスプレーサーオリゴマーは、ブロックされ得る。ブロックされると、ヘルパーまたはディスプレーサーオリゴマーは、その3’末端から重合をプライミングすることができない。いくつかの実施形態では、ヘルパーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーは、順方向プライマーまたは逆方向プライマーであり得る。いくつかの実施形態では、記載のヘルパーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーは、ヘルパーまたはディスプレーサーオリゴマーの5’末端に連結して、プロモータープライマーを形成する、RNAポリメラーゼプロモーター配列を有し得る。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号10、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号25、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号6、配列番号41、または配列番号12を含む。例示的なヘルパーオリゴマーおよびディスプレーサーオリゴマーを、表1Bに提供する。
【0015】
記載のプローブオリゴマー(検出オリゴマーとも呼ばれる)を使用して、CMVアンプリコンを検出することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号4に存在するヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する24~35個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号81にハイブリダイズする24~35個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号51、配列番号52、または配列番号57のヌクレオチド配列を含み、1つ以上のウラシルヌクレオチドを、チミンヌクレオチドに対して置換することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、ヘアピンを含有する。ヘアピンは、プローブオリゴマーの5’および3’末端に互いに相補的な4~5個の核酸塩基を含むことができる。例示的なプローブオリゴマーを、表1Cに提供する。プローブオリゴマーは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを有し得る。記載のプローブオリゴマーのいずれについても、プローブオリゴマー中の1つ以上のヌクレオチドを、リボヌクレオチド、2’-O-メチルリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドと2’-O-メチルリボヌクレオチドとの組み合わせに対して置換することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、ウリジンに対して置換された1、2、3、4、5、6、7以上のチミジンを有し得る。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマー中の全てのチミジンを、ウリジンに対して置換することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、チミジンに対して置換された1、2、3、4、5、6、7以上のウリジンを有し得る。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマー中の全てのウリジンを、チミジンに対して置換することができる。いくつかの実施形態では、ウリジンのうちの1つ以上は、2’-O-メチルリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ウリジンの全てが、2’-O-メチルリボヌクレオチドである。
【0016】
プローブオリゴマーは、1つ以上の検出可能なマーカーまたは標識を含有することができる。検出可能なマーカーは、蛍光分子であり得るが、これに限定されない。蛍光分子は、プローブオリゴマーの5’もしくは3’末端、またはオリゴマーに沿った任意の場所に結合することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、分子ビーコンまたはトーチであり得る。プローブオリゴマーは、プローブオリゴマーの5’末端に結合した蛍光分子およびプローブオリゴマーの3’末端に結合したクエンチャーを含有することができるか、または蛍光分子は、プローブオリゴマーの3’末端に結合することができ、クエンチャーは、プローブオリゴマーの5’末端に結合することができる。
【0017】
記載の標的捕捉オリゴマー(TCO)を使用して、試料から標的CMV配列を捕捉または単離することができる。CMV TCOは、CMV内の標的ヌクレオチド配列の領域にハイブリダイズする(すなわち、相補的である)標的特異的(TS)ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、TCO TS配列は、標的核酸に存在するヌクレオチド配列と少なくとも90%、少なくとも95%、または100%の相補性を有する10~35ヌクレオチド配列を含み、標的核酸配列内の領域(TCO結合部位)にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、TCO TS配列は、20~30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、TCO TS配列は、22~26ヌクレオチド長であり、標的核酸に存在するヌクレオチド配列と少なくとも90%の相補性を有する。TCO TSおよびTCO結合部位は、完全に相補的であっても、1つ以上のミスマッチが存在してもよい。TCOは、(例えば、特異的結合対相互作用によって)固定化捕捉プローブに結合する固定化捕捉プローブ結合領域を含む。特異的結合対(または結合パートナー)のメンバーは、互いを特異的に認識し、互いに結合する部分である。メンバーは、第1の結合対メンバー(BPM1)および第2の結合対メンバー(BPM2)と称されることがあり、これらは、一緒に特異的に結合する様々な部分を表す。特異的結合対は、例えば、受容体およびそのリガンド、酵素およびその基質、補因子または補酵素、抗体またはFab断片およびその抗原またはリガンド、糖およびレクチン、ビオチンおよびストレプタビジンまたはアビジン、リガンドおよびキレート剤、タンパク質またはアミノ酸およびその特異的結合金属(ヒスチジンおよびニッケルなど)、完全にまたは部分的に相補的な配列を含む実質的に相補的なポリヌクレオチド配列、ならびに相補的なホモポリマー配列によって例証される。特異的結合対は、天然に存在するもの(例えば、酵素および基質)、合成のもの(例えば、合成受容体および合成リガンド)、または天然に存在するBPMと合成BPMとの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、TS配列および固定化捕捉プローブ結合領域は両方とも、核酸配列である。TS配列および捕捉プローブ結合領域は、互いに共有結合していても、1つ以上のリンカーによって結合された異なるオリゴヌクレオチド上にあってもよい。いくつかの実施形態では、捕捉プローブ結合領域は、ポリA配列、ポリT配列、またはポリT-ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリT-ポリA配列は、(dT)(dA)30を含む。1つ以上のTCOを、標的捕捉および/または増幅反応に使用してもよい。1つ以上のTCOは、同じ標的配列に結合しても、異なる標的配列に結合してもよい。標的配列は、同じ遺伝子に由来しても、異なる遺伝子に由来してもよく、かつ/または同じ生物に由来しても異なる生物に由来してもよい。いくつかの実施形態では、CMV TCOは、配列番号6、配列番号8、配列番号43、もしくは配列番号45のヌクレオチド配列、または配列番号6、配列番号8、配列番号43、もしくは配列番号45と少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリA配列を含有するCMV TCOは、配列番号7、配列番号9、配列番号42、もしくは配列番号44、または配列番号7、配列番号9、配列番号42、もしくは配列番号44と少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。例示的なプローブオリゴマーを、表1Dに提供する。TCOは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを有し得る。記載のTCOのいずれかついても、TCO中の1つ以上のシチジンを、5’-メチルdCに対して置換することができる。TCOは、5’-メチルdCに対して置換された1、2、3、4、5、6、7以上のシチジンを有し得る。いくつかの実施形態では、TCO中の全てのシチジンを、5’-メチルdCに対して置換することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、増幅オリゴマー、検出オリゴマー、またはTCOは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含有する。オリゴマーは、1、2、3、4、5、6、7、8以上の修飾ヌクレオチドを有し得る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドの50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、または100%が修飾される。修飾ヌクレオチドには、修飾核酸塩基を有するヌクレオチドが含まれる。修飾核酸塩基には、合成および天然の核酸塩基、5-置換ピリミジン、5’-メチルシトシン、6-アザピリミジン、N-2、N-6、およびO-6置換プリンが挙げられるが、これらに限定されない。修飾ヌクレオチドには、(2’-O-メチルヌクレオチド、および2’-フルオロヌクレオチドなどの2’-ハロゲンヌクレオチドを含むがこれらに限定されない)2’修飾ヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、修飾塩基を有するヌクレオチドも含まれる。修飾ヌクレオチドには、ホスホロチオエート結合などであるがこれに限定されない、修飾結合を有するヌクレオチドも含まれる。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。2つ以上の修飾ヌクレオチドは、同じ修飾を有しても、異なる修飾を有してもよい。いくつかの実施形態では、記載のオリゴマーのいずれも、1つ以上の5’-メチルシトシンを含有することができる。オリゴマーは、1、2、3、4、5以上の5’-メチルシトシンを有し得る。いくつかの実施形態では、記載のオリゴマー中の全てのシトシンヌクレオチドが、5’-メチルシトシン修飾ヌクレオチドである。いくつかのオリゴマーでは、5’-メチル-2’デオキシシトシン塩基を使用して、対応する非メチル化オリゴマーと比較して、オリゴマーに組み込まれた各5’メチル-2’デオキシシトシンのTmを約0.5℃~1.3℃上げることによって、二本鎖の安定性を増加させることができる。
【0019】
記載の増幅オリゴマーを使用して、CMV UL56配列を増幅することができる。いくつかの実施形態では、記載の増幅オリゴマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの熱サイクリング反応を使用してCMV UL56配列を増幅することができる。いくつかの実施形態では、記載の増幅オリゴマーを使用して、転写媒介増幅(TMA)などの等温反応を使用してCMV UL56配列を増幅することができる。転写媒介増幅は、単相または多相(例えば、二相性)であり得る。記載の増幅オリゴマーを利用することができる他の核酸増幅方法には、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、レプリカーゼ媒介増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および逆転写酵素PCR(RT-PCR)が挙げられるが、これらに限定されない。順方向またはヘルパーオリゴマーは、逆方向またはディスプレーサーオリゴマーと組み合わされて、増幅対を形成する。記載の順方向またはヘルパーオリゴマーのいずれも、記載の逆方向またはディスプレーサーオリゴマーのいずれかと組み合わされて、増幅対を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の増幅オリゴマー(順方向プライマー)および第2の増幅オリゴマー(逆方向プライマー)は、少なくとも約56、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、または少なくとも約95ヌクレオチド長のCMV UL56アンプリコンを増幅するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、記載のオリゴマーは、単相または多相(例えば、二相性)転写媒介増幅に使用することができる。多相増幅では、標的核酸配列の少なくとも一部分を、標的核酸配列の指数関数的増幅を支持しない条件下で第1相の増幅反応に供する。第1相の増幅反応は、第1の増幅産物を生成し、これを、その後に第1の増幅産物の指数関数的増幅を可能にする条件下で第2相の増幅反応に供し、それにより、第2の増幅産物を生成する。多相増幅は、単相形式と比較して、分析物濃度の下限で改善された感度および精度をもたらす。多相増幅は、改善された精度をもたらし、検出時間を短縮することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、CMV標的核酸配列の多相増幅は、
a)CMV標的核酸配列を含有するか、または含有することが疑われる試料を、標的捕捉混合物と接触させることであって、標的捕捉混合物が、RNAポリメラーゼプロモーター含有オリゴヌクレオチド(プロモータープライマー)、ならびに任意選択的に標的捕捉オリゴマー(TCO)および/またはディスプレーサーオリゴマーを含んで、前増幅ハイブリッドを形成する、接触させることと、
b)前増幅ハイブリッドを単離することと、
c)前増幅ハイブリッドを第1相の増幅混合物と接触させることであって、第1相の増幅混合物が、非RNAポリメラーゼプロモーター含有オリゴヌクレオチド(非プロモータープライマー)、任意選択的にヘルパーオリゴマー、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、dNTP、およびNTPを含み、第1相の増幅混合物が、指数関数的増幅に必要な少なくとも1つの構成要素を欠如している、接触させることと、
d)実質的に等温の転写関連増幅反応において、線形増幅を支持して、第1の増幅産物を形成する条件下で、前増幅ハイブリッドの標的核酸配列の少なくとも一部分を増幅することと、
e)第1の増幅産物を第2相の増幅混合物と接触させることであって、第2相の増幅混合物が、RNAポリメラーゼプロモーター含有オリゴヌクレオチド、または第1相の増幅混合物に欠如している指数関数的増幅に必要な少なくとも1つの構成要素を含む、接触させることと、
f)実質的に等温の転写関連増幅反応において、第1の増幅産物を指数関数的に増幅して、第2の増幅産物を生成することと、
g)第2の増幅産物を検出することとを含む。
いくつかの実施形態では、第2相増幅混合物は、検出オリゴマーを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴマーのいずれかのうちの1つ以上を、反応に使用してもよい。例えば、1つ以上のTCO、1つ以上のプロモータープライマー、1つ以上の非プロモータープライマー、1つ以上のディスプレーサーオリゴマー、1つ以上のヘルパーオリゴマー、および/または1つ以上のプローブオリゴマーである。
【0022】
いくつかの実施形態では、前増幅ハイブリッドは、プロモータープライマーにハイブリダイズした標的核酸を含む。いくつかの実施形態では、前増幅ハイブリッドは、1つ以上のTCOおよびプロモータープライマーにハイブリダイズした標的核酸を含む。いくつかの実施形態では、前増幅ハイブリッドは、1つ以上のTCO、プロモータープライマー、および任意選択的にディスプレーサーオリゴマーにハイブリダイズした標的核酸を含む。いくつかの実施形態では、前増幅ハイブリッドを単離することは、固体支持体を使用して前増幅ハイブリッドを捕捉することを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、固定化捕捉プローブを含む。固体支持体は、磁気的に引き付け可能な粒子であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前増幅ハイブリッドを単離することは、標的核酸にハイブリダイズしていないプロモータープライマーを除去することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1相の等温転写関連増幅反応中、標的核酸を鋳型として使用して、その標的配列の標的核酸に特異的に結合したプロモータープライマーを逆転写酵素(RT)によって伸長させて、cDNAコピーを作製する。次いで、cDNAを鋳型として使用して、非プロモータープライマーを酵素的に伸長させて、二本鎖DNAを生成する。次に、二本鎖DNAは、プロモータープライマーによって提供されるRNAポリメラーゼプロモーターからのRNA転写の鋳型として機能する。次いで、非プロモータープライマーは、RNAに結合し、逆転写酵素によって伸長されて、第1の増幅産物をもたらす。追加のプロモータープライマーの不在下では、指数関数的増幅は生じない。次いで、第1の増幅産物を第2相の増幅混合物と接触させて、指数関数的な第2相の増幅を開始する。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1相および第2相の等温転写関連増幅反応の各々は、RNAポリメラーゼおよび逆転写酵素を含む。いくつかの実施形態では、逆転写酵素は、内因性RNase H活性を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、CMVの多相増幅の第1相の増幅に使用するのに好適な組成物は、(a)任意選択的なTCO、(b)CMV標的核酸配列の第1の部分にハイブリダイズしたプロモータープライマー、(c)任意選択的にCMV標的核酸配列の一部分にハイブリダイズしたディスプレーサーオリゴマー、(d)非プロモータープライマー、(e)任意選択的にヘルパーオリゴマー、および(f)線形第1相の増幅反応中の標的核酸の増幅に必要であるが、標的核酸配列の指数関数的増幅に必要な少なくとも1つの構成要素を欠如している追加の構成要素を含む。いくつかの実施形態では、指数関数的増幅に必要な少なくとも1つの構成要素を欠如しているのは、追加の(遊離)プロモータープライマーである。いくつかの実施形態では、第1相の増幅は、前増幅ハイブリッド中の標的核酸にハイブリダイズしていないプロモータープライマーを欠如している。追加の構成要素には、RNA依存性DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、dNTP、NTP、緩衝液、および塩のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、CMVの多相増幅の第2相またはその後の相の増幅に使用するのに好適な組成物は、(a)第1の増幅産物、(b)プロモータープライマー、(c)非プロモータープライマー、(d)指数関数的な第2相の増幅反応中の標的核酸の増幅に必要な他の必要な構成要素を含む。追加の構成要素には、RNA依存性DNAポリメラーゼ、RNAポリマー、dNTP、NTP、緩衝液、および塩の1つ以上が含まれ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、CMVの多相増幅および/または検出のための方法であって、
(a)標的核酸配列の第1の部分へのプロモータープライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、CMV標的核酸を含有するか、または含有することが疑われる試料を、標的核酸配列の第1の部分に特異的なプロモータープライマーと接触させ、それにより、プロモータープライマーおよび標的核酸配列を含む前増幅ハイブリッドを生成することと、
(b)固体支持体への標的捕捉およびそれに続く洗浄によって前増幅ハイブリッドを単離して、ステップ(a)で標的核酸配列の第1の部分にハイブリダイズしなかったプロモータープライマーのいずれも除去することと、
(c)第1相の実質的に等温の転写関連増幅反応において、その線形増幅は支持するが、その指数関数的増幅は支持しない(すなわち、第1相の増幅反応混合物が、第1の増幅産物の指数関数的増幅に必要な少なくとも1つの構成要素を欠如している)条件下で、ステップ(b)で単離された前増幅ハイブリッドの標的核酸配列の少なくとも一部分を、第1相の増幅反応混合物中で、増幅し、それにより、第1の増幅産物を含む反応混合物をもたらすことと、
(d)第1の増幅産物を含む反応混合物を、第1の増幅産物の指数関数的増幅に必要であるが、第1の増幅産物を含む反応混合物には欠如している少なくとも1つの構成要素と組み合わせて、第2相の増幅反応混合物を生成することと、
(e)実質的に等温の転写関連増幅反応において、第2相の増幅混合物中の第1の増幅産物を指数関数的に増幅して、第2の増幅産物を生成することと、
(f)任意選択的に第2の増幅産物を検出することとを含む、方法が記載される。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1の増幅産物の指数関数的増幅に必要な少なくとも1つの構成要素は、プライマープロモーター(例えば、標的核酸とハイブリダイズし、前増幅ハイブリッドの一部として単離したプロモータープライマーに加えて、プロモータープライマー)を含む。いくつかの実施形態では、ステップ(c)の第1の増幅産物は、試料中の標的核酸配列と同じ極性を有するcDNA分子であり、ステップ(e)の第2の増幅産物は、RNA分子である。第2の増幅産物は、配列特異的検出プローブを使用して検出することができる。配列特異的検出プローブは、第2の増幅産物にハイブリダイズするときに検出可能なシグナルを生成する立体配置高感度プローブであり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、ステップ(f)の配列特異的検出プローブは、蛍光標識された配列特異的ハイブリダイゼーションプローブである。検出することは、一定の時間間隔で実施することができる。いくつかの実施形態では、検出することは、リアルタイムで実施される。いくつかの実施形態では、第2の増幅産物を検出することは、線形検量線を使用して試料中の標的核酸配列を定量化することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、標的エンハンサー試薬(TER)は、TCOまたは標的捕捉混合物の添加前に試料に添加される。いくつかの実施形態では、TERは、1.68Mの水酸化リチウム(LiOH)を含む。試料と組み合わせるTERの量は、経験的に決定することができる。TERを添加して、50~350mMの試料中の最終LiOH濃度を提供することができる。試料をTERに添加しても、TERを試料に添加してもよい。
【0030】
CMVを増幅、検出、および/または定量化するための組成物およびキットが記載される。いくつかの実施形態では、記載の組成物およびキットは、直接的、迅速、特異的、および/または高感度のCMV検出を提供する。組成物およびキットは、記載の増幅オリゴマー、プローブオリゴマー、および/またはTCOのうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物またはキットは、少なくとも1つの順方向プライマーおよび少なくとも1つの逆方向プライマーを含む。いくつかの実施形態では、組成物またはキットは、少なくとも1つのNT7プライマーおよび少なくとも1つのT7プライマーを含む。組成物またはキットは、少なくとも1つのプローブオリゴマーをさらに含むことができる。組成物またはキットは、少なくとも1つのTCOをさらに含むことができる。組成物またはキットは、1つ以上のヘルパーオリゴマーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーをさらに含むことができる。組成物またはキットは、捕捉ビーズ、標的捕捉試薬、標的捕捉洗浄溶液、標的エンハンサー試薬、増幅試薬(凍結乾燥ペレット)、増幅試薬再構成溶液、酵素試薬(凍結乾燥ペレット)、酵素試薬再構成溶液、プロモーター試薬(凍結乾燥ペレット)、プロモーター試薬再構成溶液、陽性キャリブレーター、CMV陽性対照核酸、陰性対照核酸、ヌクレオチド三リン酸、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素、試料輸送培地、および使用説明書のうちのいずれか1つ以上をさらに含むことができる。
【0031】
標的CMV配列を増幅、検出、および/または定量化するための方法であって、CMVを含有するか、または含有することが疑われる試料を、少なくとも2つの増幅オリゴマーと接触させて、CMVの標的領域を増幅するステップを含み、少なくとも2つの増幅オリゴマーは、各々がCMVのUL56遺伝子にハイブリダイズする上記の順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含む、方法が記載される。インビトロ核酸増幅反応であって、試料に存在するCMV標的核酸が、増幅産物を生成するための鋳型として使用される、反応が実施される。いくつかの実施形態では、順方向および逆方向プライマーは各々、配列番号1またはその相補体にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、順方向および逆方向プライマーは、配列番号51またはその相補体を含むアンプリコンを増幅する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本方法は、増幅産物の存在または不在を検出し、それにより、試料中のCMVの存在または不在を示すことをさらに含む。増幅産物は、プローブオリゴマーを使用して検出される。記載のプローブオリゴマーを増幅反応において使用して、試料中のCMVを検出および/または定量化することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、試料中のCMVの定量化を使用して、実質臓器移植レシピエントの管理を助けることができる。抗CMV療法を受けている患者では、連続CMV DNA測定を使用して、治療に対するウイルス応答を評価することができる。CMVウイルス負荷情報を使用して、移植患者におけるCMV疾患を診断することもできる。
【0034】
いくつかの実施形態では、記載のオリゴヌクレオチド、組成物、および方法は、多重多相反応におけるCMVの増幅および/または検出に使用するのに好適である。多重多相反応を使用して、CMVならびに1つ以上の他の標的配列および/または生物を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
A.定義
本教示を詳細に記載する前に、本開示が特定の組成物またはプロセスステップに限定されず、それらは変化し得ることを理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「1つのオリゴマー」への言及は、複数のオリゴマーなどを含む。接続詞「または」は、包括的な意味が文脈において不当でない限り、包括的な意味で、すなわち、「および/または」と同等であると解釈されるべきである。
【0036】
本明細書において参照される特許、出願、公開出願、および他の刊行物は全て、それらの全体が参照によって組み込まれる。この節に記載されている定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願、および他の刊行物に記載されている定義に反するか、またはそうでなければ矛盾する場合、この節に記載されている定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0037】
文脈から別に明らかでない限り、本発明の任意の要素、実施形態、ステップ、特徴、または態様は、任意の他のものと組み合わせて実施することができる。
【0038】
わずかかつごくわずかな偏差が本明細書の教示の範囲内であるように、本開示で考察される温度、濃度、時間などの前には黙示的な「約」が存在することが理解される。一般に、「約」という用語は、組成物の活性または安定性に有意な影響を及ぼさない組成物の構成要素の量のごくわずかな変動を示す。全ての範囲は、「終点を含まない」などの明示的な除外がない場合には終点を包含すると解釈されるべきである。したがって、例えば、「10~15以内」には10および15の値が含まれる。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有すること(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含むこと(including)」の使用は、限定を意図するものではない。上記の概要および詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、教示を限定するものではないことを理解されたい。参照により組み込まれるいかなる資料の範囲も本開示の明示的内容と矛盾する限りにおいて、明示的内容が優先する。
【0039】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して、近似の言語を適用して、それが関連する基本的な機能の変化をもたらすことなく許容できる程度に変化する可能性のある任意の定量的または定性的表現を修飾することができる。したがって、「約」または「およそ」などの用語によって修飾された値は、特定の正確な値に限定されるものではなく、特定の値とは異なる値を含み得る。いくつかの実施形態では、約またはおよそは、わずかな変動および/または5%未満の変動を示す。
【0040】
特に記述がない限り、様々な構成要素を「含むこと」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「からなる」または「から本質的になる」とも企図され、様々な構成要素「からなること」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「を含む」または「から本質的になる」とも企図され、また様々な構成要素「から本質的になること」を列挙する本明細書中の実施形態は、列挙された構成要素「からなる」または「を含む」とも企図される(この互換性は、特許請求の範囲におけるこれらの用語の使用には適用されない)。「から本質的になる」は、本明細書に記載の組成物および方法の基本的かつ新規の特徴を実質的に変化させない追加の構成要素(複数可)、組成物(複数可)、または方法ステップ(複数可)が、それらの組成物または方法に含まれ得ることを意味する。そのような特徴には、CMV核酸を他の既知の病原体から区別する特異性で、任意選択的に検出される増幅されたウイルス配列を作製する増幅反応の開始から約45分以内に約1~100コピーのウイルスを検出することができる感度で、試料に存在するCMV核酸配列を検出する能力が含まれる。
【0041】
「試料」、「検体」、「生物学的試料」、「生物学的検体」、「臨床試料」、または「臨床検体」は、対象となる分析物、例えば、微生物、ウイルス、遺伝子などの核酸(例えば、標的核酸)、または分析物中の核酸配列もしくは分析物に由来する核酸配列を含むその構成要素を含有するか、または含有することが疑われる任意の試料である。「試料」は、CMV、または核酸もしくは核酸の断片などのその構成要素を含有するものであっても、または含有することが疑われるものであってもよい。試料は、生物学的検体、臨床検体、および環境源などであるがこれらに限定されない、任意の源に由来するものであり得る。試料は、構成要素の複雑な混合物であり得る。試料には、例えば、血液、血漿、血清、血液細胞、唾液、および粘膜、(中枢神経系のCMV感染を診断するための)脳脊髄液を含む、生きたまたは死んだ哺乳動物または生物に由来する任意の組織または材料を含む「生物学的試料」、ならびに生殖器病変、肛門生殖器病変、口腔病変、粘膜皮膚病変、皮膚病変、および眼病変、またはそれらの組み合わせからの、またはそれらに由来する生検などの試料が含まれる。生物学的試料には、呼吸器組織、滲出液(例えば、気管支肺胞洗浄液)、痰、気管吸引液、リンパ節、胃腸組織、糞便、尿、泌尿生殖器液、および生検細胞または組織も含まれるが、これらに限定されない。試料は、例えば、培養培地中の細胞および組織の成長から生じる馴化培地を含む、インビトロ細胞培養成分の試料も含んでもよい。組織または細胞構造を物理的または機械的に破壊して、酵素、緩衝液、塩、界面活性剤などを含有し得る溶液中に細胞内核酸を放出するように試料を処理して、分析用試料を調製してもよい。環境試料の例には、水、氷、土壌、スラリー、破片、バイオフィルム、大気粒子、およびエアロゾルが含まれるが、これらに限定されない。試料は、例えば、培養培地中の細胞および組織の成長から生じる馴化培地を含む、インビトロ細胞培養成分の試料も含んでもよい。試料は、濾過、遠心分離、沈降、またはマトリックスもしくは支持体などの培地への付着を使用することによって試料を処理することから得られるもののような、処理された検体または材料であってもよい。試料の他の処理には、組織、細胞凝集体、または細胞を物理的または機械的に破壊して、酵素、緩衝液、塩、界面活性剤などの他の構成要素を含有し得る溶液中に核酸を含む細胞内構成要素を放出するための処理が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0042】
「接触させること」という用語は、2つ以上の構成要素を一緒にすることを意味する。接触させることは、全ての構成要素を流体または半流体混合物中で混合することによって達成することができる。接触させることは、1つ以上の構成要素が、固体組織切片または基板などの固体表面上の1つ以上の他の構成要素と物理的に接触するときに達成することができる。
【0043】
「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、一緒に連結されて、従来のRNA、DNA、混合RNA-DNA、およびそれらの類似体であるポリマーを含むポリヌクレオチドを形成する窒素複素環塩基または塩基類似体を有するヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体を含む多量体化合物を指す。核酸「主鎖」は、糖-ホスホジエステル結合、ペプチド-核酸結合(「ペプチド核酸」もしくはPNA、PCT第WO95/32305号)、ホスホロチオエート結合、メチルホスホン酸結合、またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、様々な結合から構成され得る。核酸の糖部分は、リボース、デオキシリボース、または置換、例えば、2’メトキシもしくは2’ハロゲン化物置換を有する同様の化合物であり得る。窒素含有塩基は、従来の塩基(A、G、C、T、U)、それらの類似体(例えば、イノシンまたは他のもの、The Biochemistry of the Nucleic Acids5-36,Adams et al,ed.,11th ed.,1992を参照されたい)、プリンまたはピリミジンの誘導体(例えば、N-メチルデオキシグアノシン、デアザプリンもしくはアザプリン、デアザピリミジンもしくはアザピリミジン、5もしくは6位に置換基を有するピリミジン塩基、2、6、もしくは8位に置換基を有するプリン塩基、2-アミノ-6-メチルアミノプリン、O-メチルグアニン、4-チオ-ピリミジン、4-アミノ-ピリミジン、4-ジメチルヒドラジン-ピリミジン、ならびにO-アルキル-ピリミジン(米国特許第5,378,825号およびPCT第WO93/13121号)であり得る。核酸は、主鎖がポリマーの位置(複数可)に窒素含有塩基を含まない、1つ以上の「無塩基」残基を含み得る(米国特許第5,585,481号)。核酸は、従来のRNAまたはDNAの糖、塩基、および結合のみを含んでも、従来の構成要素および置換の両方を含んでもよい(例えば、2’メトキシ結合を有する従来の塩基、または従来の塩基および1つ以上の塩基類似体を含有するポリマー)。核酸は、「ロックド核酸」(LNA)、糖立体配置を模倣するRNA中にロックされた二環式フラノース単位を有する1つ以上のLNAヌクレオチドモノマーを含有する類似体を含み、これは、相補的RNAおよびDNA配列に対するハイブリダイゼーション親和性を増強する(Vester and Wengel,2004,Biochemistry43(42):13233-41)。核酸は、核酸の機能または挙動を変化させる修飾塩基、例えば、追加のヌクレオチドが核酸に付加されるのをブロックする3’末端ジデオキシリボヌクレオチドの付加を含み得る。ハイブリダイゼーション複合体の安定性に影響を及ぼし得るオリゴマーの実施形態には、PNAオリゴマー、2’-メトキシもしくは2’-フルオロ置換RNAを含むオリゴマー、またはハイブリダイゼーション複合体の全電荷、電荷密度、もしくは立体会合(steric association)に影響を及ぼすオリゴマー(荷電した結合(例えば、ホスホロチオエート)もしくは中性基(例えば、メチルホスホネート)を含有するオリゴマーを含む)が含まれる。オリゴヌクレオチド、アンプリコン、または他の核酸の長さの範囲に言及する場合、その範囲は、全ての整数を含む(例えば、19~25個の連続ヌクレオチド長には、19個、20個、21個、22個、23個、24個、および25個が含まれる)ことが理解される。
【0044】
「標的核酸」または「標的」は、標的核酸配列を含有する核酸である。「標的核酸配列」、「標的配列」、または「標的領域」は、増幅される、CMVなどの標的生物のヌクレオチド配列を含む特定のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列である。標的配列またはその相補体は、ハイブリダイズして、標的核酸の増幅および/または検出に使用されるオリゴヌクレオチド、増幅オリゴマー、および/または検出オリゴマーを捕捉する配列を含有する。標的核酸は、増幅されなくてもよい標的配列以外の他の配列を含んでもよい。標的核酸は、DNAまたはRNAであってもよく、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよい。標的核酸は、ゲノム核酸、rRNAなどの転写された核酸、またはゲノム核酸もしくは転写された核酸に由来する核酸であり得るが、これらに限定されない。
【0045】
配列同一性は、Wisconsin Genetics Software Package Release7.0(Genetics Computer Group,575Science Dr.,Madison,Wis.)のBESTFIT、FASTA、およびTFASTAなどのアルゴリズムを使用し、デフォルトのギャップパラメータを使用して配列を整列させることによって、ならびに検査および最良の整列(すなわち、比較ウィンドウ全体にわたる最高の配列類似性の割合をもたらす)を使用して決定することができる。配列同一性の割合は、比較ウィンドウ全体にわたって2つの最適に整列された配列を比較し、両方の配列で同一の残基が生じる位置の数を決定して、マッチした位置の数をもたらし、比較ウィンドウ内のギャップ(すなわち、ウィンドウサイズ)を計数せずにマッチした位置の数をマッチした位置およびミスマッチの位置の総数で割り、結果に100を掛けて、配列同一性の割合をもたらすことによって計算される。別に示さない限り、2つの配列間の比較ウィンドウは、2つの配列のうちのより短い方の全長によって定義される。
【0046】
「相補性」という用語は、従来のワトソン・クリックまたは他の非従来型のいずれかによって、ポリヌクレオチドが別のポリヌクレオチド配列と水素結合(複数可)を形成する(ハイブリダイズする)能力を指す。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン・クリック塩基対合)を形成することができる第1の核酸配列内の連続鎖中の塩基の割合を示す(例えば、10個のうちの5、6、7、8、9、10個が、50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補的である)。相補性パーセントは、同一性パーセントと同様の様式で計算される。
【0047】
CMV配列の例示的な部分を、表1Aに提供する(簡潔にするために、当該技術分野で既知の完全なCMVゲノムは、含まれない)。別に示さない限り、「CMV核酸にハイブリダイズすること」は、CMV核酸のセンス鎖もしくはアンチセンス鎖のいずれか、またはゲノム配列から転写されたRNAにハイブリダイズすることを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、増幅オリゴマー、プローブオリゴマー、またはTCOは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含有することができる。増幅オリゴマーは、1、2、3、4、5、6以上の修飾ヌクレオチドを有し得る。修飾ヌクレオチドには、修飾核酸塩基を有するヌクレオチドが含まれる。修飾核酸塩基には、合成および天然の核酸塩基、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6、およびO-6置換プリンが含まれるが、これらに限定されない。修飾ヌクレオチドには、(2’-O-メチルヌクレオチド、および2’-フルオロヌクレオチドなどの2’-ハロゲンヌクレオチドを含むがこれらに限定されない)2’修飾ヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、修飾塩基を有するヌクレオチドも含まれる。「C残基」は、文脈が別に示さない限り、メチル化(5-メチルシトシン)および非メチル化シトシンを含む。
【0049】
「RNAおよびDNA等価物」とは、本質的に同じ相補的塩基対ハイブリダイゼーション特性を有するRNAおよびDNA分子を意味する。RNAおよびDNA等価物は、異なる糖部分(すなわち、リボース対デオキシリボース)を有し、RNA中のウラシルおよびDNA中のチミンの存在によって異なり得る。等価物は特定の配列に対して同程度の相補性を有するため、RNA等価物とDNA等価物との間の相違は、相同性の相違には寄与しない。別に示さない限り、CMV核酸への言及は、CMV RNAおよびそのDNA等価物を含む。
【0050】
「オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」、または「オリゴ」は、一緒に結合した2つ以上のヌクレオシドサブユニットまたは核酸塩基サブユニットから構成されたポリマーである。オリゴヌクレオチドは、DNAおよび/またはRNAならびにそれらの類似体であり得る。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、5~15ntの下限および50~500ntの上限を有するサイズ範囲にある。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、10~100個の核酸塩基、10~90個の核酸塩基、10~80個の核酸塩基、10~70個の核酸塩基、または10~60個の核酸塩基のサイズ範囲にある。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、約5~15、16、17、18、19、または20の核酸塩基の下限および約50~100の核酸塩基の上限を有するサイズ範囲にある。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、約10~21の核酸塩基の下限および約22~100の核酸塩基の上限を有するサイズ範囲にある。オリゴマーは、野生型染色体DNAまたはそのインビボ転写産物からはならない。オリゴマーは、任意の周知のインビトロの化学的または酵素的方法を使用することによって合成的に作製することができ、標準的な方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することによって合成後に精製することができる。RNAポリメラーゼプロモーター含有オリゴマー(プロモータープライマーとも呼ばれる、例えば、T7プライマー)、非RNAポリメラーゼプロモーター含有オリゴマー(非T7プライマー、NT7プライマー、または非プロモータープライマーとも呼ばれる)、プローブオリゴマー(検出オリゴマーもしくは検出プローブ、プローブ、またはトーチとも呼ばれる)、標的捕捉オリゴマー(TCO)、順方向プライマー、逆方向プライマー、ヘルパーオリゴマー、およびディスプレーサーオリゴマーを含むオリゴマーが記載される。
【0051】
「固定化捕捉プローブ」は、TCOを固体支持体に結合するための手段を提供する。いくつかの実施形態では、固定化捕捉プローブは、固体支持体に結合した塩基配列認識分子を含有し、これは、非結合材料からの結合した標的ポリヌクレオチドの分離を促進する。溶液中に遊離するマトリックスおよび粒子などの、任意の既知の固体支持体を使用してもよい。例えば、固体支持体は、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリアクリレート、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレン、および磁気的に引き付け可能な粒子であり得る。いくつかの実施形態では、支持体は、単分散である(すなわち、サイズが均一±約5%である)磁性球を含む。固定化捕捉プローブは、直接的に(例えば、共有結合もしくはイオン相互作用を介して)、または間接的に固体支持体に結合し得る。有用な固体支持体の一般的な例には、磁性粒子またはビーズが含まれる。
【0052】
「標的捕捉」という用語は、細胞断片、細胞小器官、タンパク質、脂質、炭水化物、または他の核酸などの試料混合物の他の構成要素から標的核酸を選択的に分離または単離することを指す。標的捕捉システムは、(例えば、TCO TS配列などの目的の標的核酸に特異的な配列を使用することによって)他の試料構成要素から所定の標的核酸を特異的かつ選択的に分離することができるか、またはそれは、標的の他の特徴(例えば、その物理的特徴を示さない他の試料構成要素からそれを区別する標的核酸の物理的特性)を使用することによって、他の試料構成要素から標的核酸を非特異的かつ選択的に分離することができる。標的捕捉方法および組成物は、以前に詳細に記載されている(米国特許第6,110,678号および同第6,534,273号、ならびに米国公開第2008/0286775A1号)。いくつかの実施形態では、標的捕捉は、溶液相のTCOおよび支持体に結合した固定化捕捉プローブを利用して、標的核酸と複合体を形成し、他の構成要素から捕捉された標的を分離する。
【0053】
「分離すること」、「単離すること」、または「精製すること」という用語は一般に、混合物中の1つ以上の他の構成要素から、試料などの混合物の1つ以上の構成要素を除去することを指す。試料構成要素は、細胞断片、タンパク質、炭水化物、脂質、および他の核酸を含み得る、一般に水性溶液相の核酸を含む。いくつかの実施形態では、標的核酸の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、混合物中の他の構成要素から分離または除去される。
【0054】
「核酸増幅」または「増幅」は、標的核酸配列もしくはその相補的配列またはそれらの断片(すなわち、完全標的核酸より少なく含有する増幅配列)の複数コピーを生成する任意のインビトロ手順を指す。核酸増幅手順の例には、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、および他のもの(例えば、米国特許第5,399,491号、同第5,554,516号、同第5,437,990号、同第5,130,238号、同第4,868,105号、および同第5,124,246号)、レプリカーゼ媒介増幅(例えば、米国特許第4,786,600号)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、欧州特許出願第0320308号)、ならびに鎖置換増幅(SDA)(例えば、米国特許第5,422,252号)などの転写関連方法が含まれる。レプリカーゼ媒介増幅は、自己複製RNA分子、およびQβ-レプリカーゼなどのレプリカーゼを使用する。PCR増幅は、DNAポリメラーゼ、プライマー、および熱サイクリングステップを使用して、DNAまたはcDNAの2つの相補鎖の複数のコピーを合成する。LCR増幅は、少なくとも4つの別々のオリゴヌクレオチドを使用して、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、および変性の複数サイクルを使用することによって標的およびその相補鎖を増幅する。SDAは、標的配列を含む半修飾DNA二本鎖の一方の鎖にニックを入れ、それに続いて一連のプライマー伸長および鎖置換ステップで増幅する、制限エンドヌクレアーゼの認識部位を含有するプライマーを使用する。特定の実施形態はPCRまたはTMAを使用するが、本明細書に開示されるオリゴマーが他の増幅方法におけるプライマーとして容易に使用され得ることは当業者に明らかである。
【0055】
転写関連増幅は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、プロモーター含有オリゴヌクレオチドを使用し、任意選択的に他のオリゴヌクレオチドを含み得ることで、最終的に核酸鋳型から複数のRNA転写物を生成する(Kacianらの米国特許第5,399,491号および同第5,554,516号、Burgらの米国特許第5,437,990号、GingerasらのPCT第WO88/01302号および同第WO88/10315号、Malekらの米国特許第5,130,238号、Urdeaらの米国特許第4,868,105号および同第5,124,246号、McDonoughらのPCT第WO94/03472号、ならびにRyderらのPCT第WO95/03430号に詳細に記載され、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。TMAを使用する方法は、以前に詳細に記載されている(米国特許第5,399,491号および同第5,545,516号、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0056】
「実質的に等温の増幅」という用語は、実質的に一定の温度で行われる増幅反応を指す。反応の等温部分は、可変温度での1つ以上のステップ、例えば、第1の変性ステップおよび最終熱不活性化ステップまたは冷却ステップの前または後にあり得る。この定義は、温度の小さな変動を排除するのではなく、むしろ増幅産物を生成するために基本的に「サイクリング温度」に依存する当該技術分野で既知の他の増幅技術から等温増幅技術を区別するために使用されることが理解される。等温増幅は、例えば、PCRが加熱ならびにそれに続くプライマーのハイブリダイゼーションおよび低温での重合による変性サイクルに依存する点で、PCRとは異なる。
【0057】
「アンプリコン」または「増幅産物」は、核酸増幅反応において生成され、かつ標的核酸に由来する核酸分子である。アンプリコンまたは増幅産物は、標的核酸と同じか、またはそれとは反対方向のものであり得る標的核酸配列を含有する。
【0058】
「増幅オリゴマー」は、標的核酸またはその相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを指し、核酸増幅反応に関与する。増幅オリゴマーは、プライマー、順方向プライマー、逆方向プライマー、プロモータープライマー、非プロモータープライマー、ヘルパーオリゴマー、またはディスプレーサーオリゴマーであり得る。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、標的核酸配列またはその相補鎖の領域に相補的な少なくとも約10個の連続塩基、および所望により少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21個の連続塩基を含有する。連続塩基は、増幅オリゴマーが結合する標的配列と少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも95%、または完全に相補的であり得る。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、標的核酸配列またはその相補鎖の領域と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的な15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45個の連続塩基を含有する。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、標的核酸配列に相補的ではない追加の3’または5’配列を含有する。当業者は、列挙された範囲がその範囲内の全ての整数および有理数(例えば、92%または98.377%)を含むことを理解するであろう。特定の増幅オリゴマーは、約10~約60塩基長であり、任意選択的に修飾ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、プライマーは、少なくとも1つのメチル化シトシンおよび/または少なくとも1つの2’-修飾ヌクレオチドを含有し得る。
【0059】
「単相増幅」は、増幅の開始時に、核酸増幅に必要な全ての構成要素が反応混合物に存在する核増幅反応を指す。
【0060】
「線形増幅」は、反応中の標的核酸の量に線形比例する標的核酸の増加を生成するように設計される増幅機構を指す。例えば、転写関連反応を使用してDNA標的から複数のRNAコピーを作製することができ、コピー数の増加は、線形因子(例えば、鋳型の開始コピー×n)によって記載することができる。いくつかの実施形態では、多相増幅手順における第1相の線形増幅は、第2相の増幅反応の開始前に、標的核酸鎖またはそれらの相補体の開始数を少なくとも10倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍増加させる。線形増幅システムの例は、“T7-based Linear Amplification of DNA”(TLAD、Liu et al.,BMC Genomics,4:Art.No.19,May9,2003を参照されたい)である。他の方法を、本明細書に開示する。したがって、「線形増幅」という用語は、標的核酸配列の指数関数的増幅をもたらさない増幅反応を指す。「線形増幅」という用語は、逆転写の場合のような単一cDNA分子へのRNA分子の転写などの、核酸鎖の単一コピーを単に作製する方法を指すものではない。
【0061】
「指数関数的増幅」は、反応中の標的核酸の量に幾何学的に比例する標的核酸の増加を生成するように設計される核酸増幅を指す。例えば、PCRは、あらゆる元の標的鎖および存在するあらゆる合成鎖に対して、1つのDNA鎖を生成する。同様に、転写関連増幅は、あらゆる元の標的鎖およびその後に合成されるあらゆる鎖に対して、複数のRNA転写物を生成する。合成された鎖がその後の増幅ラウンドにおいて鋳型として使用されるため、増幅は、指数関数的である。増幅反応は、増幅反応がそのような増加を生成するように設計されている限り、指数関数的増幅とみなされる指数関数的に増加する量の核酸を実際に生成する必要はない。
【0062】
「プライマー」は、鋳型核酸とハイブリダイズし、かつ重合によって伸長される3’末端を有するオリゴマーを指す。プライマーは、例えば、標的配列に相補的ではない5’領域を含むことによって任意選択的に修飾され得る。そのような修飾には、タグ、プロモーター、またはプライマーもしくは標的オリゴヌクレオチドの操作もしくは増幅に使用されるかもしくは有用な他の配列などの機能付加が含まれ得る。転写媒介増幅の文脈において、5’プロモーター配列で修飾されたプライマーは、「プロモーター-プライマー」と称され得る。分子生物学または生化学の当業者は、プライマーとして機能し得るオリゴマーを、5’プロモーター配列を含み、次いでプロモーター-プライマーとして機能するように修飾することができること、同様に、任意のプロモーター-プライマーが、その5’プロモーター配列の有無にかかわらずプライマーとして機能することができることを理解するであろう。
【0063】
リアルタイムでアンプリコンを検出するサイクリック増幅方法において、「閾値サイクル」(Ct)という用語は、標的の増幅に関連するシグナルの出現時間の尺度であり、一般に正規化レポーターシグナルの標準偏差の10倍である。増幅が「閾値サイクル」に達すると、一般にプローブが結合する配列の陽性の増幅産物があると考えられる。次いで、増幅産物の同一性を、ゲル電気泳動、核酸配列決定、および他のそのような周知の方法などの当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「相対蛍光単位」(「RFU」)という用語は、蛍光強度の測定単位である。RFUは、測定に使用される検出手段の特性により変化し、試料と対照との間の相対強度を比較するための測定として使用することができる。分析感度(検出限界またはLoD)は、50%組織培養感染量(median tissue culture infective dose)(TCID50/ml)から決定される。TCID50/mlは、播種された細胞培養物の50%において病理学的変化を生成する病原体の量である。
【0065】
「検出プローブ」または「プローブ」は、標的核酸の検出のために、核酸ハイブリダイゼーションを促進する条件下で増幅配列を含む標的配列に特異的にハイブリダイズするオリゴマーを指す。検出は、直接的(すなわち、標的に直接ハイブリダイズするプローブ)または間接的(すなわち、プローブを標的に連結させる中間構造体にハイブリダイズするプローブ)のいずれかであり得る。プローブの標的配列は一般に、プローブが特異的にハイブリダイズする、より大きい配列内の特異的配列を指す。検出プローブは、相補的(標的特異的)配列、および非相補的(標的に相補的ではない)配列を含み得る。そのような標的に相補的ではない配列には、検出および/または増幅の促進に使用することができる、ヘアピン構造などの所望の二次または三次構造を付与する配列が含まれ得る。(例えば、米国特許第5,118,801号、同第5,312,728号、同第5,925,517号、同第6,150,097号、同第6,849,412号、同第6,835,542号、同第6,534,274号、および同第6,361,945号、ならびに米国特許出願公開第2006/0068417A1号および同第2006/0194240A1号)。相補的配列および非相補的配列は、連続していても、リンカーによって結合されてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、またはC16リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、Cリンカーである。検出オリゴマーは、RNA、DNAであっても、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含有しても、それらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、検出オリゴマーは、1つ以上の2’メトキシヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、検出オリゴマーは、全ての2’メトキシリボヌクレオチドを含有する。定義された配列のプローブは、化学合成、および組換え核酸分子からのインビトロまたはインビボ発現などによる当業者に既知の技術によって生成することができる。
【0066】
検出は、標的増幅中に存在し、アンプリコンにリアルタイムでハイブリダイズする一本鎖核酸トーチを使用して達成することができる。各トーチは、フルオロフォアおよびクエンチャーを有する。トーチは、各末端に相補的領域を含有する。これらの相補的領域は、互いに結合し、「閉鎖」トーチを形成する。閉鎖構成では、フルオロフォアおよびクエンチャーは近接しており、フルオロフォアシグナルはクエンチされる。すなわち、それは、光によって励起されたときに検出可能なシグナルを放出しない。しかしながら、トーチが相補的標的に結合すると、トーチ内の相補的領域は、強制的に離されて、「開放」トーチを形成する。開放形態では、フルオロフォアおよびクエンチャーは近接しておらず、フルオロフォアシグナルは励起時に検出可能である(すなわち、もはやクエンチされていない)。アンプリコン-トーチ結合は、フルオロフォアからのクエンチャーの分離をもたらし、これにより、光刺激および特定の波長でのシグナル放出に応答したフルオロフォアの励起が可能になる。トーチは、増幅中に存在し、相補的アンプリコンがリアルタイムで生成されるにつれて、それに結合する可能性がある。より多くのアンプリコンが作製されるにつれて、より多くのトーチが結合し、より多くのシグナルが作製される。シグナルは最終的に、それがバックグラウンドを超える検出され得るレベルに達し、最終的に全ての利用可能なトーチがアンプリコンに結合し、シグナルが最大に達する点に達する。増幅の開始時、および増幅配列のコピー数が少ない場合、プローブオリゴマーのほとんどが閉鎖する(3’および5’末端が塩基対合し、蛍光シグナルがクエンチされる)。増幅中、より多くのプローブオリゴマーが、標的配列に結合するため、プローブオリゴの3’および5’末端が分離し、蛍光の増加(蛍光の消光の低下)を生じさせる。さらなる増幅後、蛍光シグナルは、最大に近づく。
【0067】
本明細書で使用される場合、「標識」または「検出可能な標識」は、検出されるプローブまたは検出可能なシグナルを生じさせるプローブに直接的または間接的に結合された部分または化合物を指す。直接的結合は、共有結合または非共有相互作用(例えば、水素結合、疎水性もしくはイオン相互作用、およびキレートもしくは配位錯体形成)を使用し得るが、間接的結合は、架橋部分またはリンカー(例えば、抗体または追加のオリゴヌクレオチドを介する)を使用し得、これらは検出可能なシグナルを増幅する。任意の検出可能な部分、例えば、放射性核種、ビオチンまたはアビジンなどのリガンド、酵素、酵素基質、反応性基、検出可能な色を付与する色素または粒子などの発色団(例えば、ラテックスまたは金属ビーズ)、発光化合物(例えば、生物発光性、リン光性、または化学発光性化合物)、および蛍光化合物(すなわち、フルオロフォア)を使用してもよい。フルオロフォアには、約495~650nmの範囲内の光を吸収し、約520~670nmの範囲内の光を放出するものが含まれ、これらには、FAM(商標)、TET(商標)、CAL FLUOR(商標)(オレンジまたはレッド)、QUASAR(商標)、フルオレセイン、ヘキソクロロ-フルオレセイン(HEX)、ローダミン、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、テトラメチルローダミン、IAEDANS、EDANS、DABCYL、クマリン、BODIPY FL、ルシファーイエロー、エオシン、エリスロシン、テキサスレッド、ROX、CY色素(CY5など)、シアニン5.5(Cy5.5)、およびフルオレセイン/QSY7色素化合物として知られているものが含まれるが、これらに限定されない。フルオロフォアは、フルオロフォアに近接したときに光を吸収してバックグラウンド蛍光を低減するクエンチャー分子と組み合わせて使用してもよい。そのようなクエンチャーは、当該技術分野で周知であり、BLACK HOLE QUENCHER(商標)(またはBlack Hole Quencher-2(BHQ2)を含むがこれらに限定されない、BHQ(商標)(商標))またはTAMRA(商標)化合物が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態には、混合物中の結合標識プローブが非結合標識プローブと比較して検出可能な変化を示す均一系において検出可能である「均一で検出可能な標識」が含まれ、これは、ハイブリダイズしていない標識プローブからハイブリダイズした標識プローブを物理的に除去することなく標識を検出することを可能にする(例えば、米国特許第5,283,174号、同第5,656,207号、および同第5,658,737号)。特定の均一で検出可能な標識には、周知の標準的なAEまたはAE誘導体などのアクリジニウムエステル(「AE」)化合物(米国特許第5,656,207号、同第5,658,737号、および同第5,639,604号)を含む、化学発光化合物が含まれる。標識を合成する方法、標識を核酸に結合する方法、および標識からのシグナルを検出する方法は、周知である(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)at Chapt.10、ならびに米国特許第5,658,737号、同第5,656,207号、同第5,547,842号、同第5,283,174号、および同第4,581,333号、ならびに欧州特許出願第0747706号)。AE化合物を核酸に結合する特定の方法は、既知である(例えば、米国特許第5,585,481号および米国特許第5,639,604号、第10欄の6行目~第11欄の3行目、および実施例8を参照されたい)。特定のAE標識位置は、プローブの中央領域およびA/T塩基対の領域付近、プローブの3’もしくは5’末端、またはプローブが所望の標的配列と比較して検出するべきではない既知の配列とのミスマッチ部位もしくはその付近である。他の検出可能に標識されたプローブには、TaqMan(商標)プローブ、分子トーチ、および分子ビーコンが含まれる。TaqMan(商標)プローブは、ドナーおよびアクセプター標識を含み、蛍光は、クエンチャーの存在からフルオロフォアを放出するために増幅中にプローブを酵素的に分解したときに検出される。分子トーチおよびビーコンは、開放および閉鎖配置で存在し、閉鎖配置は、フルオロフォアをクエンチし、開放位置は、フルオロフォアをクエンチャーから分離して蛍光を可能にする。標的へのハイブリダイゼーションは、そうでなければ閉鎖したプローブを開放する。
【0068】
「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」とは、2つの完全または部分的に相補的な核酸鎖が、平行方向または逆平行方向で、特定のハイブリダイゼーションアッセイ条件下で一体になり、二本鎖領域を有する安定な構造を形成する能力を意味する。ハイブリッドと呼ばれることもあるこの二本鎖構造の2つの構成鎖は、水素結合によって結び付いている。これらの水素結合は、最も一般的には、単一核酸鎖上の塩基アデニンおよびチミンもしくはウラシル(AおよびTもしくはU)またはシトシンおよびグアニン(CおよびG)を含有するヌクレオチド間で形成されるが、塩基対合は、これらの「正準(canonical)」対のメンバーではない塩基間で形成することもできる。非正準塩基対合は、当該技術分野で周知である。(例えば、R.L.P.Adams et al.,The Biochemistry of the Nucleic Acids(11th ed.1992)を参照されたい。)
【0069】
「優先的にハイブリダイズする」とは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、増幅または検出プローブオリゴマーがその標的核酸にハイブリダイズして安定なオリゴマー:標的ハイブリッドを形成することができるが、十分な数の安定なオリゴマー:非標的ハイブリッドを形成しないことを意味する。標的核酸に優先的にハイブリダイズする増幅および検出オリゴマーは、標的核酸の増幅および検出に有用であるが、特に系統学的に密接に関連する生物における非標的核酸には有用ではない。したがって、オリゴマーは、非標的核酸よりも十分に高い程度で標的核酸にハイブリダイズし、当業者が、必要に応じて、特定のインフルエンザウイルスに由来する核酸を増幅し、および/またはその存在(または不在)を正確に検出することを可能にする。一般に、オリゴヌクレオチド配列とその標的配列との間の相補性の程度を低下させることは、その標的領域へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの程度または比率を低下させるであろう。しかしながら、1つ以上の非相補的ヌクレオシドまたは核酸塩基を含めることは、オリゴヌクレオチドが非標的生物を識別する能力を促進し得る。
【0070】
優先的ハイブリダイゼーションは、当該技術分野で既知であり、かつ本明細書、例えば、以下に提供される実施例などに記載される技術を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、試験試料中の標的ハイブリダイゼーションシグナルと非標的ハイブリダイゼーションシグナルとの間に少なくとも10倍の差、少なくとも20倍の差、少なくとも50倍の差、少なくとも100倍の差、少なくとも200倍の差、少なくとも500倍の差、または少なくとも1,000倍の差が存在する。いくつかの実施形態では、試験試料中の非標的ハイブリダイゼーションシグナルは、バックグラウンドシグナルレベル以下である。
【0071】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」とは、オリゴマーが標的核酸(HPIV核酸など)に優先的にハイブリダイズすることを可能にするが、密接に関連する非標的核酸に由来する核酸には優先的にハイブリダイズすることを可能にしない条件を意味する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の定義は変化しないが、ストリンジェントなハイブリダイゼーションに使用することができる実際の反応環境は、オリゴマーのGC含量および長さ、オリゴマー配列と試験試料に存在し得る非標的核酸配列との間の類似性の程度、ならびに標的配列を含む因子によって変化し得る。ハイブリダイゼーション条件には、温度およびハイブリダイゼーション試薬または溶液の組成が含まれる。1つ以上のCMV株に由来する標的核酸を本開示のオリゴマーで増幅および/または検出するための例示的なハイブリダイゼーションアッセイ条件は、塩濃度が約0.6~0.9Mの範囲内である場合、約60℃の温度に対応する。特定のハイブリダイゼーションアッセイ条件は、以下の実施例の節に記載される。他の許容されるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当業者によって容易に確認され得る。
【0072】
言及されるオリゴマーと「CMV核酸へのハイブリダイゼーションについて、ストリンジェントな条件下で競合する」とは、オリゴマーが、ストリンジェントな条件下で、その標的CMV配列への言及されるオリゴマーの結合を実質的に低下させるか、競合するオリゴマーが、過剰に供給されたときに、飽和濃度以下において、言及されるオリゴマーの結合を約20%、30%、40%、50%以上低下させることができるか、または競合するオリゴマーのTmが、標的に対して、言及されるオリゴマーのTmよりも高いかもしくはその約5℃、4℃、3℃、2℃、もしくは1℃以内であることを意味する。好適なオリゴヌクレオチド競合アッセイ条件および手順は、当該技術分野で既知である。
【0073】
「アッセイ条件」とは、標的核酸へのオリゴヌクレオチドの安定したハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。アッセイ条件は、標的核酸へのオリゴヌクレオチドの優先的ハイブリダイゼーションを必要としない。
【0074】
配列が完全に相補的である必要はないが、配列は、2つの核酸配列の安定したハイブリダイゼーション、例えば、プローブおよび標的配列の安定したハイブリッドを可能にする場合に「十分に相補的」である。すなわち、「十分に相補的な」配列は、標準的な塩基対合(例えば、G:C、A:T、またはA:U)を使用することによって、サブセットの一連(subset series)の相補的ヌクレオチド間の水素結合によって別の配列にハイブリダイズするが、2つの配列は、配列全体が安定したハイブリダイゼーション複合体を形成するのに適切なハイブリダイゼーション条件にある限り、相補的ではない1つ以上の残基(脱塩基位置を含む)を含有し得る。十分に相補的な配列は、互いにハイブリダイズする配列において少なくとも約80%、少なくとも約90%、または完全に相補的であり得る。適切なハイブリダイゼーション条件は、当業者に周知であり、配列組成に基づいて予測することができるか、または所定の試験を使用することによって経験的に決定することができる(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.の§§1.90~1.91、7.37~7.57、9.47~9.51、および11.47~11.57、特に§§9.50~9.51、11.12~11.13、11.45~11.47、および11.55~11.57)。
【0075】
いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーまたはディスプレーサーオリゴマーなどのオリゴマーは、ブロックされている。ブロックされた、または「伸長不能な」オリゴマーは、その3’末端またはその近くに、ポリメラーゼによる新生核酸鎖の伸長を防ぐ(すなわち、オリゴマーがブロックされている)ブロッキング部分を含む。いくつかの実施形態では、3’末端付近のブロッキング基は、3’末端の5個の残基内にあり、オリゴマーへのポリメラーゼの結合を制限するのに十分に大きい。いくつかの実施形態では、ブロッキング基は、3’末端に共有結合する。多くの異なる化学基、例えば、アルキル基、非ヌクレオチドリンカー、アルカン-ジオールジデオキシリボヌクレオチド残基、およびコルジセピンを使用して、3’末端をブロックすることができる。ブロッキング部分のさらなる例には、3’-デオキシヌクレオチド(例えば、2’,3’-ジデオキシヌクレオチド);3’-リン酸化ヌクレオチド;フルオロフォア、クエンチャー、もしくは伸長を妨害する他の標識;(例えば、曝露された5’-OHもしくはリン酸を任意選択的に有する3’から3’へのホスホジエステルを通して先行するヌクレオチドに連結された)反転ヌクレオチド;またはポリメラーゼによる新生核酸鎖のさらなる伸長を防ぐためにオリゴヌクレオチドに結合されたタンパク質もしくはペプチドが含まれる。本開示の伸長不能なオリゴヌクレオチドは、少なくとも10塩基長であり得、最大15、20、25、30、35、40、50以上のヌクレオチド長まで伸長し得る。検出可能な標識を含む伸長不能なオリゴヌクレオチドを、プローブとして使用することができる。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーまたはディスプレーサーオリゴマーは、ブロックされている(すなわち、伸長不能であるか、またはブロッキング部分を含有する)。
【0076】
特に特許請求の範囲における「配列番号Xの配列」への言及は、別に示さない限り、対応する配列表に記載の塩基配列を指し、主鎖(例えば、RNA、2’-O-Me RNA、もしくはDNA)の同一性または塩基修飾(例えば、シトシン残基のメチル化)を必要としない。
【0077】
オリゴマー中の「縮重」位置は、2つ以上の塩基対がオリゴマーの集団に存在する位置を指す。例えば、ヌクレオチドは、CまたはT/Uを表すYとして表すことができる。縮重位置を有するオリゴマーは、縮重位置の導入が所望される合成ステップにおいて、所望の縮重の組み合わせに対応するヌクレオチド前駆体の混合物を提供することによって合成することができる。
【0078】
オリゴマー中の「非ワトソンクリック」(NWC)位置は、オリゴマーが、G-U、G-T、またはG-A(GまたはU/T/Aのいずれかは、オリゴマー中の塩基であり得る)などの非ワトソンクリック対合により、少なくとも1つの核酸配列にハイブリダイズするように構成される位置を指す。いくつかの実施形態では、NWC位置は、ゆらぎ(G-UまたはG-T)またはプリン-プリン(G-A)対を介してハイブリダイズするように構成される。
【0079】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的な定義は、分子生物学の分野に関連する技術書、例えば、Dictionary of Microbiology
and Molecular Biology,2nd ed.(Singleton et al.,1994,John Wiley&Sons,New York,NY)またはThe Harper Collins Dictionary of Biology(Hale&Marham,1991,Harper Perennial,New York,NY)に見出すことができる。
【0080】
B.オリゴマー
増幅される領域を含有するCMV標的領域を、表1Aに示す。CMV標的領域の増幅に好適な増幅オリゴマーは、表1Bに見出すことができる。増幅オリゴマーは、順方向(Fwd)プライマー/ヘルパー領域、逆方向(Rev)プライマー領域、および/またはディスプレーサー領域に存在するヌクレオチド配列を含有し、表1Aに示す順方向(Fwd)プライマー/ヘルパー、逆方向(Rev)プライマー、およびディスプレーサー相補的(Compl.)領域にハイブリダイズする。プローブオリゴマーは、プローブ領域に存在するヌクレオチド配列を含有し、表1Aに示すプライマー相補的(Compl.)領域にハイブリダイズする。CMVアンプリコンの検出に好適なプローブオリゴマーは、表1Cに見出すことができる。CMV核酸の捕捉に好適なTCOは、表1Dに見出すことができる。例示的なT7プロモーター配列は、表1Eに見出すことができる。
【表1A】
【表1B-1】
【表1B-2】
【表1C】
【表1D】
【表1E】
【0081】
記載の増幅オリゴマーは、CMV UL56遺伝子核酸に特異的にハイブリダイズするように構成される。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、約19~40塩基長、または約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40塩基長の標的ハイブリダイズ領域を有する。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、T7 RNAポリメラーゼプロモーターなどの標的ハイブリダイズ領域に加えて、標的ハイブリダイズ領域の5に位置し得る第2の配列領域を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、第2の配列領域を含まない。
【0082】
いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、表1Bの配列のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、表1Bの配列のいずれかからなる。いくつかの実施形態では、増幅オリゴマーは、ストリンジェントな条件下でCMV標的核酸への結合について表1Bの配列のいずれかと競合するオリゴマーを含む。CMV標的核酸は、配列番号1またはその相補体であり得るが、これらに限定されない。記載の順方向プライマーまたは非プロモータープライマーのいずれかを、任意の記載の逆方向プライマーまたはプロモータープライマーと組み合わせて、増幅オリゴマー対(増幅オリゴマーの組み合わせ)を形成することができる。同様に、ヘルパーオリゴマー、ディスプレーサーオリゴマー、またはプローブオリゴマーのいずれかを、任意の増幅オリゴマー対と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、第1の増幅オリゴマー(例えば、順方向プライマー)および第2の増幅オリゴマー(例えば、逆方向プライマー)は、少なくとも約56、少なくとも約60、少なくとも約65、少なくとも約70、少なくとも約75、少なくとも約80、少なくとも約85、少なくとも約90、または少なくとも約95ヌクレオチド長のCMV UL56アンプリコンを増幅するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の増幅オリゴマー(例えば、順方向プライマー)および第2の増幅オリゴマー(例えば、逆方向プライマー)は、56~340、56~312、56~252、または56~227、95~340、95~312、95~252、または95~227ヌクレオチド長のCMV UL56アンプリコンを増幅するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の増幅オリゴマー(例えば、順方向プライマー)および第2の増幅オリゴマー(例えば、逆方向プライマー)は、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100ヌクレオチド長のCMV UL56アンプリコンを増幅するように構成される。
【0083】
いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号2に存在する19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または19~31ヌクレオチド配列と少なくとも80%または少なくとも90%の同一性を有する19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または19~31個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号2に存在するヌクレオチド配列を有する19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または19~31個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号10または配列番号11のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、または配列番号19と90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号79にハイブリダイズし、DNAまたはRNAの重合を開始することができる。いくつかの実施形態では、順方向プライマーまたは非プロモータープライマーは、配列番号79へのハイブリダイズについて、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、または配列番号19のいずれかと競合することができるオリゴマーを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号3に存在する21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または21~40ヌクレオチド配列と少なくとも80%または少なくとも90%の同一性を有する21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または21~40個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号3に存在するヌクレオチド配列を有する21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または21~40個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号23、配列番号24、または配列番号25のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号6、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、または配列番号47からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号6、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、または配列番号47と90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号80にハイブリダイズし、DNAまたはRNAの重合を開始することができる。いくつかの実施形態では、逆方向プライマーまたはプロモータープライマーは、配列番号80へのハイブリダイズについて、配列番号6、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、または配列番号47のいずれかと競合することができるオリゴマーを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、RNAポリメラーゼプロモーター配列を、記載の順方向および/または逆方向プライマーのいずれかに付加して、プロモータープライマーを形成することができる。RNAポリメラーゼプライマー配列は、順方向または逆方向プライマーの5’末端に機能的に連結される。RNAポリメラーゼプロモーター配列は、T7、T3、またはSP6 RNAポリメラーゼプロモーター配列であり得るが、これらに限定されない。T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列は、配列番号78のヌクレオチド配列を含有することができる。いくつかの実施形態では、プロモータープライマーは、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、または配列番号46のヌクレオチド配列を含むか、またはそれらからなる。
【0086】
いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、鋳型ヌクレオチド配列への順方向プライマーのハイブリダイゼーションを促進または増強する。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、鋳型核酸配列への逆方向プライマーのハイブリダイゼーションを促進または増強する。鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションの促進または増強は、標的ヌクレオチド配列の増幅を促進または増強することができる。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーは、ブロックされ得る(すなわち、伸長不能である)。ブロックされると、ヘルパーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーは、3’末端から重合をプライミングすることができない。例えば、ヘルパー/ディスプレーサーオリゴマーは、3’-末端3’-デオキシヌクレオチド(例えば、末端2’,3’-ジデオキシヌクレオチド)を有するか、3’末端-反転ヌクレオチド(例えば、最後のヌクレオチドが、それが3’から3’へのホスホジエステル結合もしくはその類似体(ホスホロチオエートなど)によって最後から2番目のヌクレオチドに結合するように反転している)を有するか、または結合したフルオロフォア、クエンチャー、もしくは伸長を妨害する他の標識(おそらく末端ヌクレオチドの3’位を介して結合するが、必ずしもそうとは限らない)を有する、3’-リン酸化によって伸長不能にすることができる。記載のヘルパーオリゴマーのいずれについても、ヘルパーオリゴマー中の1つ以上のヌクレオチドは、修飾され得る。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、3’反転(逆極性)ヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、反転ヌクレオチドは、反転dCである。
【0087】
いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号2に存在する19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または19~31ヌクレオチド配列と少なくとも80%または少なくとも90%の同一性を有する19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または19~31個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号2に存在するヌクレオチド配列を有する19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または19~31個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号10または配列番号19のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19と90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヘルパーオリゴマーは、配列番号79へのハイブリダイズについて、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19のいずれかと競合することができるオリゴマーを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号5に存在する21、22、23、24、25、26、27、または21~27ヌクレオチドと少なくとも90%の同一性を有する21、22、23、24、25、または21~27個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号5に存在するヌクレオチド配列を有する21、22、23、24、25、26、27、または21~27個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号25、配列番号12、または配列番号41のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号25、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号6、配列番号41、および配列番号12からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号25、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号6、配列番号41、または配列番号12と90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、配列番号82へのハイブリダイズについて、配列番号25、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号6、配列番号41、または配列番号12のいずれかと競合することができるオリゴマーを含む。記載のディスプレーサーオリゴマーのいずれについても、ディスプレーサーオリゴマー中の1つ以上のヌクレオチドは、修飾され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、3’反転(逆極性)ヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、反転ヌクレオチドは、反転dCである。
【0089】
いくつかの実施形態では、ヘルパーまたはディスプレーサーオリゴマーは、順方向プライマーまたは逆方向プライマーであり得る。いくつかの実施形態では、記載のヘルパーオリゴマーまたはディスプレーサーオリゴマーは、ヘルパーまたはディスプレーサーオリゴマーの5’末端に連結して、プロモータープライマーを形成する、RNAポリメラーゼプロモーター配列を有し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識(複数可)を含むオリゴマーが提供される。そのようなオリゴマーは、プローブ(プローブオリゴマー)として使用することができる。プローブオリゴマーを使用して、記載の増幅オリゴマーを使用して作製されたCMV増幅産物の存在または不在を検出する。
【0091】
プローブオリゴマーを使用して、CMVアンプリコンを検出することがすることができ、すなわち、プローブオリゴマーは、CMVアンプリコンにハイブリダイズする。CMVアンプリコンは、記載の増幅オリゴマーのいずれかを使用して生成することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号4に存在する24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または24~35ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または24~35個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号4に存在するヌクレオチド配列を有する24~35個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号81にハイブリダイズする24~35個の連続核酸塩基を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号51または配列番号52のヌクレオチド配列を含み、1つ以上のウラシルヌクレオチドを、チミンヌクレオチドに対して置換することができる。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号21、配列番号26、または配列番号39からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、ヘアピンを含有する。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーの5’および3’末端の4~5個の核酸塩基は、互いに相補的である。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号20、配列番号22、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、および配列番号70からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、プローブオリゴマーは、配列番号20、配列番号22、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、または配列番号70のと少なくとも90%の同一性を有する核酸塩基配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、非ヌクレオチド標識である。好適な標識には、検出可能な光シグナルを放出する化合物、例えば、均一な混合物中で検出することができるフルオロフォアまたは発光(例えば、化学発光)化合物が含まれる。2つ以上の標識および2つ以上の型の標識が、特定のプローブ上に存在してもよいか、または検出は、各プローブが異なる検出可能なシグナルを生成する化合物で標識されるプローブの混合物の使用に依存してもよい(例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,180,340号および同第6,350,579号を参照されたい)。標識は、共有結合、キレート化、およびイオン相互作用を含む様々な手段によってプローブに結合することができるが、いくつかの実施形態では、標識は、共有結合する。例えば、いくつかの実施形態では、検出プローブは、例えば、アクリジニウムエステル(AE)化合物などの結合した化学発光標識を有する(例えば、米国特許第5,185,439号、同第5,639,604号、同第5,585,481号、および同第5,656,744号を参照されたい)。蛍光標識または化学発光標識などの標識は、非ヌクレオチドリンカーによってプローブに結合することができる(例えば、米国特許第5,585,481号、同第5,656,744号、および同第5,639,604号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、検出オリゴマーは、オリゴヌクレオチドの5’末端と標識との間に塩基スペーサーを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、プローブ(例えば、蛍光標識を含む)は、第1の標識と相互作用する第2の標識をさらに含む。例えば、第2の標識は、クエンチャーであり得る。そのようなプローブは、例えば、TaqMan(商標)アッセイにおいて使用することができ、このアッセイでは、プローブを標的またはアンプリコンにハイブリダイズさせ、それに続いて5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を含むポリメラーゼによる核溶解が、蛍光標識の解放、およびそれにより、蛍光の増加、または第2の標識との相互作用とは独立した蛍光をもたらす。
【0094】
いくつかの用途では、少なくともある程度の自己相補性を示す1つ以上のプローブを使用して、検出前にハイブリダイズしていないプローブの除去を最初に必要とせずに試験試料中のプローブ:標的二本鎖の検出を促進する。そのような検出プローブのいくつかの実施形態には、例えば、一般にヘアピンと称される立体配置などの、分子内ハイブリダイゼーションによって保持される立体配置を形成するプローブが含まれる。好適なヘアピンプローブには、「分子トーチ」(トーチとも呼ばれる)(例えば、米国特許第6,849,412号、同第6,835,542号、同第6,534,274号、および同第6,361,945号を参照されたい)ならびに「分子ビーコン」(例えば、米国特許第5,118,801号および米国特許第5,312,728号を参照されたい)が含まれる。スペーサー(またはリンカー)は、アルキル基であり得る。いくつかの実施形態では、トーチは、5’末端の5-6ヌクレオチド配列に相補的であり、それとハイブリダイズすることができる5-6ヌクレオチド配列を3’末端に含有する。いくつかの実施形態では、リンカーを介してトーチに連結された5’末端の5-6ヌクレオチドに相補的であり、それとハイブリダイズすることができる3’末端の5-6ヌクレオチド配列。いくつかの実施形態では、リンカーは、C1-16リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、C9リンカーである。分子トーチは、標的結合ドメインが標的閉鎖ドメインよりも標的配列へのハイブリダイゼーションを促進するように設計される。分子トーチの標的結合ドメインおよび標的閉鎖ドメインは、分子トーチが標的核酸にハイブリダイズするときとは対照的に、分子トーチが自己ハイブリダイズするときには異なるシグナルが生成されるように位置付けられた相互作用標識(例えば、蛍光/クエンチャー)を含み、それにより、それに関連する実行可能な標識を有するハイブリダイズしていないプローブの存在下で試験試料中のプローブ:標的二本鎖の検出を可能にする。いくつかの実施形態では、トーチは、5’末端に結合した蛍光分子、および3’末端に結合したクエンチャーを含有する。あるいは、蛍光分子をトーチの3’末端に結合させ、クエンチャーを検出オリゴマーの5’末端に結合させてもよい。
【0095】
本開示に関連して使用され得る相互作用ドナー/アクセプター標識対の例には、FRET対と非FRET対とを区別しようとせずに、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオロセイン、EDANS/DABCYL、クマリン/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FL、フルオレセイン/DABCYL、CalRed-610/BHQ-2、ルシファーイエロー/DABCYL、Quasar750/BHQ-2、BODIPY/DABCYL、エオシン/DABCYL、エリスロシン/DABCYL、テトラメチル-ローダミン/DABCYL、テキサスレッド/DABCYL、CY5/BHQ1、CY5/BHQ2、CY3/BHQ1、CY3/BH2、およびフルオレセイン/QSY7色素が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、ドナー色素およびアクセプター色素が異なる場合、アクセプターの増感蛍光の出現またはドナー蛍光のクエンチングによって、エネルギー移動が検出され得ることを理解するであろう。DABCYLおよびQSY7色素などの非蛍光アクセプターは、直接(すなわち、非増感)アクセプター励起から生じるバックグラウンド蛍光の潜在的な問題を有利に排除する。ドナー-アクセプター対の一方のメンバーとして使用され得る例示的なフルオロフォア部分には、フルオレセイン、ROX、およびCY色素(例えば、CY5)が含まれる。ドナー-アクセプター対の別のメンバーとして使用され得る例示的なクエンチャー部分には、Glen Research(Sterling,VA)、Berry&Associates,Inc.(Dexter,Mich)、およびBiosearch Technologies,Inc.(Novato,Calif.)から入手可能な、DABCYL、Blackberry、およびBLACK HOLE QUENCHER部分が挙げられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、標識オリゴマー(例えば、プローブ)は、伸長不能である(すなわち、ブロックされている)。例えば、標識オリゴマーは、3’-末端3’-デオキシヌクレオチド(例えば、末端2’,3’-ジデオキシヌクレオチド)を有するか、3’末端-反転ヌクレオチド(例えば、最後のヌクレオチドが、それが3’から3’へのホスホジエステル結合もしくはその類似体(ホスホロチオエートなど)によって最後から2番目のヌクレオチドに結合するように反転している)を有するか、または結合したフルオロフォア、クエンチャー、もしくは伸長を妨害する他の標識(おそらく末端ヌクレオチドの3’位を介して結合するが、必ずしもそうとは限らない)を有する、3’-リン酸化によって伸長不能にすることができる。いくつかの実施形態では、3’-末端ヌクレオチドは、メチル化されていない。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1相の増幅前に標的核酸配列を単離することが望ましい場合がある。この目的のために、試料は、標的核酸配列の一部分(TCO結合部位)へのTCOのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、標的捕捉オリゴマー(TCO)と接触させることができる。いくつかの実施形態では、標的核酸は、例えば、固定化捕捉プローブとの相互作用によって、固体支持体上に直接捕捉される。いくつかの実施形態では、標的核酸は、分子複合体(前増幅ハイブリッド)のメンバーとして固体支持体上に捕捉され、TCOは、標的核酸および固定化捕捉プローブを架橋する。いくつかの実施形態では、固体支持体は、磁場を使用して操作することができる複数の磁性または磁化可能な粒子またはビーズを含む。標的核酸配列を単離するステップは、TCO:標的核酸配列ハイブリッドを洗浄して、その後の増幅を妨害し得る望ましくない構成要素を除去することを含み得る。標的核酸配列を単離するステップは、TCO:標的核酸配列ハイブリッドを洗浄して、標的核酸にハイブリダイズしていない過剰なプロモータープライマーを実質的に除去することも含み得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、標的核酸配列を単離するステップは、標的核酸配列へのプロモータープライマーおよびTCOのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、試料をプロモータープライマーおよびTCOと接触させることを含む。プロモータープライマーが標的とする標的配列の部分は、TCOが標的とする部分とは異なる(例えば、重複しない)可能性がある。プロモータープライマーが標的とする標的配列の部分は、TCOが標的とする部分と完全にもしくは部分的に重複しても、それと同一であってもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、1つ以上のTCO、1つ以上のプロモータープライマー、および任意選択的に1つ以上のディスプレーサーオリゴマーが、標的捕捉試薬(TCR混合物)中に提供される。1つ以上のプロモータープライマーおよび任意選択的に1つ以上のディスプレーサーオリゴマーを、1つ以上の標的核酸配列にハイブリダイズさせて、(TCO(複数可)と共に)前増幅ハイブリッドを形成し、標的捕捉ステップ中に1つ以上の標的核酸配列と共に単離することができる。この方法の1つの利点は、標的捕捉中にプロモータープライマー(複数可)を標的核酸配列(複数可)にハイブリダイズさせることによって、捕捉された核酸を洗浄して、ハイブリダイズしていないオリゴマーを含む試料構成要素を除去することができることである。多相増幅反応では、ハイブリダイズしていないプロモータープライマーを除去することにより、過剰なプロモータープライマーからの干渉なく第1相の増幅を生じさせることができ、それにより、多重反応に一般的な問題を実質的に低下させるか、または排除する。単相多重増幅反応では、プライマーは、互いに干渉する可能性がある。過剰なプライマーは、一重および多重反応において、より容易にミスプライミング(非標的核酸にハイブリダイズ)する。様々な生物が各々独自のrRNAおよびオリゴヌクレオチドを有する多重反応では、ミスプライミングは、より大きな懸念事項である。多相増幅は、ストリンジェントな条件下でプロモータープライマーをその目的の標的にハイブリダイズさせ、次いで過剰なプロモータープライマーを洗い流すことによって、これらの問題に対処する。多相増幅の第1相の増幅反応に存在する結果として生じる1:1のプライマー/標的比は、ミスプライミングのレベルまたは増幅時のいかなるミスプライミングの影響も低下させながら、その後の過剰なプライマーの添加を可能にするレベルまで、標的核酸の集団を後押しすることができる。
【0100】
記載のオリゴマーのいずれも、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含有することができる。修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドは、2’-OMeリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、2つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー中のヌクレオチドの全てが修飾される。2つ以上の修飾ヌクレオチドは、同じであっても、異なってもよい。いくつかの実施形態では、記載のオリゴマーのいずれも、1つ以上の5’-メチルシトシンを含有し得る。オリゴマーは、1、2、3、4、5、6、7以上の5’-メチルシトシンを有し得る。いくつかの実施形態では、オリゴマー中の全てのシトシンヌクレオチドは、5’-メチルシトシン修飾ヌクレオチドである。オリゴマーは、1、2、3、4、5、6、7以上の2’-OMeリボヌクレオチドを有し得る。いくつかの実施形態では、オリゴマー中の全てのヌクレオチドは、2’-OMeリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、チミジンヌクレオチドを、ウリジンヌクレオチドに対して置換することができる。いくつかの実施形態では、全てのチミジンヌクレオチドを、ウリジンヌクレオチドに対して置換することができる。いくつかのオリゴマーでは、5’-メチル-2’デオキシシトシン塩基を使用して、(対応する非メチル化オリゴマーに対して)オリゴヌクレオチドに組み込まれた各5’メチル-2’デオキシシトシンのTmを約0.5℃~1.3℃上げることによって、二本鎖の安定性を増加させることができる。
【0101】
C.多相増幅
核酸鋳型から複数の転写物を生成することによって標的配列を増幅する、一般に「転写関連増幅」と称される等温増幅システムの態様を使用する方法が開示される。そのような方法は一般に、1つ以上の増幅オリゴヌクレオチドを使用し、そのうちの1つは、RNAポリメラーゼプロモーター配列、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)、リボヌクレオシド三リン酸(NTP)、ならびにRNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼ活性を有する酵素を提供して、標的配列の近くに機能的プロモーター配列を生成し、次いでプロモーターから標的配列を転写する(例えば、米国特許第4,868,105号、同第5,124,246号、同第5,130,238号、同第5,399,491号、同第5,437,990号、同第5,554,516号、および同第7,374,885号、ならびにPCT公開第WO1988/001302号、同第WO1988/010315号、同第WO1995/003430号)。例には、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、および自家持続配列複製(3SR)が含まれる。
【0102】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態の理解を助けるために、以前に詳細に記載されたTMA方法(例えば、米国特許第5,399,491号、同第5,554,516号、および同第5,824,518号)を簡潔に要約する。TMAでは、増幅される配列を含有する標的核酸は、一本鎖核酸(例えば、ssRNAまたはssDNA)として提供される。二本鎖核酸(例えば、dsDNA)を一本鎖核酸に変換する任意の従来の方法を使用することができる。プロモータープライマー(例えば、T7プライマー)は、その標的配列で標的核酸に特異的に結合し、逆転写酵素(RT)は、標的鎖を鋳型として使用してプロモータープライマーの3’末端を伸長して、cDNAコピーを作製し、RNA:cDNA二本鎖をもたらす。RNase活性(例えば、RT酵素のRNase H)は、RNA:cDNA二本鎖のRNAを消化する。第2のプライマー(例えば、非プロモータープライマーまたはNT7プライマー)は、プロモーター-プライマー末端の下流で、cDNA中のその標的配列に特異的に結合する。次いで、RTは、cDNAを鋳型として使用して第2のプライマーの3’末端を伸長することによって、新たなDNA鎖を合成して、機能的プロモーター配列を含有するdsDNAを作製する。機能的プロモーターに特異的なRNAポリメラーゼは、転写を開始して、最初の標的鎖に相補的な複数(例えば、100~1000個)のRNA転写物(増幅されたコピーまたはアンプリコン)を生成する。第2のプライマーは、各アンプリコン中のその標的配列に特異的に結合し、RTは、アンプリコンRNA鋳型からcDNAを作製して、RNA:cDNA二本鎖を生成する。RNaseは、RNA:cDNA二本鎖アンプリコンRNAを消化し、プロモータープライマーの標的特異的配列は、新しく合成されたDNAのその相補的配列に結合し、RTは、プロモータープライマーの3’末端およびcDNAの3’末端を伸長させて、RNAポリメラーゼが結合する機能的プロモーターを含有し、標的鎖に相補的な追加のアンプリコンを転写するdsDNAを作製する。反応中にこれらのステップを繰り返し使用する自己触媒サイクルは、最初の標的配列の増幅を生成する。アンプリコンは、増幅中(リアルタイム検出)または反応の終点(終点検出)で、アンプリコンに含有される配列に特異的に結合するプローブを使用することによって検出することができる。結合したプローブから生じるシグナルの検出は、試料中の標的核酸の存在を示す。
【0103】
多相増幅手順を使用してCMVを増幅および/または検出する方法が記載される。本方法は、以下のステップを含む、試料中のCMV標的核酸配列を増幅することを含む。最初に、標的核酸配列を、標的核酸配列の指数関数的増幅を支持しない条件下で第1相の増幅反応に供する。第1相の増幅反応は、第1の増幅産物を生成し、これを、その後に第1の増幅産物の指数関数的増幅を可能にする条件下で第2相の増幅反応に供し、それにより、第2の増幅産物を生成する。
【0104】
いくつかの実施形態では、プロモータープライマーが標的とする標的配列の部分(プロモータープライマー結合部位)は、TCOが標的とする部分(使用される場合)とは異なる(例えば、重複しない)可能性がある。プロモータープライマー結合部位は、TCO結合部位と完全にまたは部分的に重複しても、同一であってもよい。いくつかの実施形態では、標的配列の増幅された領域は、標的捕捉結合部位と部分的にまたは完全に重複する。いくつかの実施形態では、標的配列の増幅された領域は、標的捕捉結合部位と重複しない。
【0105】
いくつかの実施形態では、第1の増幅ステップの前に、試料を、試料中の標的核酸配列の一部分へのプロモータープライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、1つ以上のプロモータープライマーと接触させる。プロモータープライマーのRNAポリメラーゼプロモーター配列は、T7 RNAポリメラーゼなどのRNAポリメラーゼによって認識される。1つ以上のプロモータープライマーは、同じを標的としても、異なる標的核酸配列を標的としてもよい。異なる標的核酸配列は、同じ生物に由来しても、異なる生物に由来してもよい。
【0106】
第1相の増幅反応は、標的核酸配列の指数関数的増幅を支持しない条件下で実施される。いくつかの実施形態では、第1相の増幅反応は、線形増幅反応である。第1相の増幅反応は、典型的には、約2倍~約10,000倍の増幅を生成する。いくつかの実施形態では、第1相の増幅反応は、標的核酸配列の約10倍~約10,000倍の増幅を生成する。いくつかの実施形態では、第1相の増幅反応は、実質的に等温であり、すなわち、それは、PCRおよび他の一般的な増幅技術に特徴的な熱サイクリングを伴わない。第1相の増幅反応は、43±2℃、43±1℃、42±1℃、42±0.5℃、43±0.5℃、44±0.5℃、41~45℃、または42~44℃で実施することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1相の増幅反応は、標的核酸配列を、標的核酸配列の線形増幅を支持し、その指数関数的増幅に必要とされる少なくとも1つの構成要素を欠如している第1相の増幅反応混合物(例えば、AMPまたはAMP1混合物)と接触させることを伴う。いくつかの実施形態では、その指数関数的増幅に必要とされる少なくとも1つの構成要素は、追加のまたは過剰なプロモータープライマーである。いくつかの実施形態では、AMPまたはAMP1反応混合物は、1つ以上の増幅酵素を含む。1つ以上の増幅酵素は、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。DNAポリメラーゼは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、DNA依存性DNAポリメラーゼ、またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、AMPまたはAMP1混合物は、RNase H、またはRNase H活性を有する逆転写酵素などのリボヌクレアーゼ(RNase)を含む。いくつかの実施形態では、AMPまたはAMP1混合物は、RNase H活性を有する逆転写酵素、およびRNAポリメラーゼを含む。RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼであり得るが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、AMPまたはAMP1混合物は、1つ以上の非RNAポリメラーゼプロモーター含有増幅オリゴヌクレオチド(例えば、非プロモータープライマー(すなわち、NT7プライマー))を含有する。1つ以上の非プロモータープライマーは、同じ標的核酸配列を標的としても、異なる標的核酸配列を標的としてもよい。異なる標的核酸配列は、同じ生物に由来しても、異なる生物に由来してもよい。いくつかの実施形態では、AMPまたはAMP1混合物は、1つ以上の非プロモータープライマー(複数可)、RNAポリメラーゼ、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、およびデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含む。AMPまたはAMP1混合物は、緩衝液、dNTP、NTP、および塩を含むがこれらに限定されない、他の構成要素をさらに含有し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、指数関数的増幅に必要な1つ以上の構成要素が欠如しており、指数関数的増幅を阻害する作用因子が存在し、かつ/または反応混合物の温度が指数関数的増幅の助けとなるものではないため、第1相の増幅反応は、指数関数的増幅反応を支持することができない。非限定的に、指数関数的増幅に必要な1つ以上の構成要素の欠如、および/または阻害剤、および/または反応条件は、増幅オリゴヌクレオチド(例えば、プロモータープライマー、非プロモータープライマー、またはそれらの組み合わせ)、酵素(例えば、RNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、Cleavase、RNase、ホスホリラーゼ、グリコシラーゼなど)、酵素補因子、キレート剤(例えば、EDTAまたはEGTA)、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、Mg2+、塩、緩衝液、酵素阻害剤、ブロッキングオリゴヌクレオチド、pH、温度、塩濃度、およびそれらの任意の組み合わせのいずれかから選択することができる。場合によっては、第1相の反応に存在する指数関数的増幅の阻害剤の効果を逆転させる作用因子などの欠如している構成要素が、間接的に関与し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の構成要素の欠如は、プロモータープライマー(前増幅ハイブリッドの一部として標的核酸にハイブリダイズしたプロモータープライマーを超える追加のプロモータープライマー)である。
【0109】
第2相(または3つ以上の相が存在する場合、より後の相)の増幅反応は、標的核酸配列の指数関数的増幅を可能にする条件下で実施される。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応は、指数関数的増幅反応である。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応は、例えば、転写関連増幅反応または鎖置換増幅反応などの実質的に等温反応である。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応は、転写媒介増幅(TMA)反応である。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応は、43±2℃、43±1℃、42±1℃、42±0.5℃、43±0.5℃、44±0.5℃、41~45℃、または42~44℃で実施される。
【0110】
いくつかの実施形態では、第2(またはより後の)相の増幅は、第2相の増幅反応混合物(例えば、PROまたはAMP2混合物)を有する第1の増幅産物を、標的核酸配列の指数関数的増幅を支持する第1相の増幅反応混合物と組み合わせて接触させることを含む。したがって、第2相の増幅反応混合物は、典型的には、最低限、第1相の増幅反応混合物に欠如している指数関数的増幅に必要な1つ以上の構成要素(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応混合物は、増幅オリゴヌクレオチド(プロモータープライマーなど)、逆転写酵素、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ、ホスホリラーゼ、酵素補因子、キレート剤、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、Mg2+、最適なpH、最適な温度、塩、およびそれらの組み合わせから選択される1つ以上の構成要素を含む。ポリメラーゼは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)、DNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、およびそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応混合物は、RNase HまたはRNase H活性を有する逆転写酵素などのRNaseを含む。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応混合物は、プロモータープライマー、RNase H活性を有する逆転写酵素、および/またはRNAポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応混合物は、検出オリゴをさらに含む。検出オリゴマーは、トーチまたは分子ビーコンであり得るが、これらに限定されない。
【0111】
いくつかの実施形態では、標的捕捉試薬(TCR)は、1つ以上のTCO、1つ以上のT7プロモータープライマー、および任意選択的に1つ以上のディスプレーサーオリゴマーを含有し、AR(AMPまたはAMP1)試薬は、緩衝液、dNTP、NTP、塩、1つ以上の非T7プライマー、および任意選択的に1つ以上のヘルパーオリゴマーを含有し、プロモーター(PRまたはAMP2)試薬は、緩衝液、dNTP、NTP、塩、界面活性剤、1つ以上のT7プロモータープライマー、および1つ以上のトーチオリゴヌクレオチドを含有し、酵素(ENZ)試薬は、緩衝液、界面活性剤、キレート剤、逆転写酵素、およびDNAポリメラーゼを含有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、記載の方法は、第2の増幅産物を、増幅オリゴヌクレオチド(プロモータープライマーまたは非プロモータープライマー)、逆転写酵素(例えば、RNase H活性を有する逆転写酵素)、ポリメラーゼ(例えば、RNAポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ、ホスホリラーゼ、酵素補因子、キレート剤、リボヌクレオチド三リン酸(NTP)、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、Mg2+、塩、およびそれらの組み合わせから選択されるがこれらに限定されない、1つ以上の増幅構成要素のボーラスと接触させるステップをさらに含む。増幅反応構成要素のいくつかが枯渇する可能性があるため、この追加のステップは、第2相の増幅反応に対する後押しを提供することができる。
【0113】
本方法を使用して、生物学的試料中のCMV標的核酸配列を検出および/または定量化することができる。第2相の増幅反応は、定量的増幅反応であり得る。第2の増幅産物を検出するための方法も記載される。第2の増幅産物の検出および/または定量化は、当該技術分野で既知の様々な検出技術を使用して行うことができる。検出および/または定量化は、例えば、検出プローブ、配列決定反応、電気泳動、質量分析、融解曲線分析、またはそれらの組み合わせを使用することによって達成することができる。いくつかの実施形態では、第2の増幅産物は、検出プローブを使用して検出および/または定量化される。検出プローブは、分子トーチ(米国特許第6,534,274号に記載のトーチ)、分子ビーコン、ハイブリダイゼーションスイッチプローブ、またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、検出および/または定量化は、リアルタイムで実施され得る。検出プローブは、実質的に等しい成功の度合いで、第1および/または第2相の増幅反応に含まれ得る。検出プローブは、第1および/または第2相の増幅反応混合物(例えば、AMPもしくはAMP1混合物および/またはPROもしくはAMP2混合物)中に供給され得る。いくつかの実施形態では、PRO混合物は、検出プローブを含有する。検出プローブは、トーチを含むことができる。
【0114】
D.組成物およびキット
本開示は、試料中のCMVの増幅、検出、および/または定量化に有用なオリゴマー、組成物、およびキットを提供する。オリゴマー、組成物、およびキットは、熱サイクリングおよび等温増幅方法、ならびに単相および/または多相増幅方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意のオリゴマーの組み合わせは、キット中に提供することができる。
【0115】
試料中のCMV標的核酸の存在もしくは不在を決定するため、またはその量を定量化するための反応混合物も記載される。
【0116】
いくつかの実施形態では、本開示による反応混合物は、以下、オリゴマーの組み合わせ(増幅対)、ならびに任意選択的にCMV UL56遺伝子標的核酸の増幅のための本明細書に記載のヘルパーオリゴマーおよび/またはディスプレーサーオリゴマー、ならびにCMV増幅産物の存在もしくは不在を決定するための本明細書に記載の検出プローブオリゴマーのうちの少なくとも1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、様々な反応混合物は、標的捕捉(TCR)混合物、増幅(ARまたはAMP1)混合物、プロモーター(PRまたはAMP2)混合物、および酵素(ENZ)混合物のうちの1つ以上を含む。反応混合物は独立して、試料中のCMV標的核酸の増幅および/または検出のための本明細書に記載のプロモータープライマー(例えば、T7プライマー)、非プロモータープライマー(NT7オリゴヌクレオチド)、ヘルパーオリゴマー、ディスプレーサーオリゴマー、TCO、検出オリゴマー、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、dNTP、NTP、緩衝液、塩、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。キットは、例えば、各々本明細書に記載のTER、TCR、AMP1(AR)混合物、および/またはAMP2(PR)混合物のうちの1つ以上を含むことができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、キットは、対照TCO、対照プロモータープライマー、対照非プロモータープライマー、対照検出オリゴマー、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の対照オリゴヌクレオチドを含む。キットは、CMVの増幅および検出のためのオリゴヌクレオチドを含んでも、CMVおよび1つ以上の他の生物の増幅および検出のためのオリゴヌクレオチドを含んでもよい。
【0118】
組成物、キット、および/または反応混合物は、例えば、(参照により本明細書に組み込まれるUS2013/0209992に記載のポリ-(K)捕捉プローブ、およびポリ-(A)含有捕捉プローブを含むがこれらに限定されない)標的捕捉プローブなどのいくつかの任意選択的な構成要素をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、キット、組成物、または反応混合物(複数可)は、酵素(複数可)(例えば、熱安定性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、および/またはRNAポリメラーゼ)、陽性対照核酸、陰性対照核酸、対照核酸、dNTP(例えば、dATP、dTTP、dGTP、およびdCTP)、NTP(例えば、ATP、UTP、GTP、およびCTP)、Cl、MgCl2、酢酸カリウム、緩衝液、BSA、スクロース、トレハロース、DMSO、ベタイン、ホルムアミド、グリセロール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、アンモニウムイオン、EDTA、ならびに等温増幅および/または検出に好適な他の試薬または緩衝液のうちの1つ以上をさらに含有する。DNAポリメラーゼは、逆転写酵素であり得るが、これに限定されない。緩衝液は、トリス-HClおよびトリス-酢酸であり得るが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤は、Tween-20およびTriton X-100であり得るが、これらに限定されない。反応混合物は、CMVゲノムの1つの標的領域のみのための増幅オリゴマーを含んでも、複数のCMV標的領域のための増幅オリゴマーを含んでもよい。加えて、増幅オリゴマーの組み合わせと共に検出プローブを含む反応混合物については、反応混合物のための増幅オリゴマーおよび検出プローブオリゴマーの選択は、共通の標的領域によって連結される(すなわち、反応混合物は、反応混合物の増幅オリゴマーの組み合わせによって増幅可能な配列に結合するプローブを含むであろう)。
【0119】
いくつかの実施形態では、反応混合物は、KClを含む。いくつかの実施形態では、KCl濃度は、約50mMである。いくつかの実施形態では、KCl濃度は、約50mM超、例えば、約60~150mM、約75~125mM、約80~120mM、約85~115mM、または約90~110mMである。いくつかの実施形態では、KCl濃度は、55~65、65~75、75~85、85~95、95~105、105~115、115~125、125~135、または135~145であり、上記の各々は、mMであり、任意選択的に「約」によって修飾される。いくつかの実施形態では、本開示による組成物は、例えば、上記の濃度のいずれかのKClを含む。いくつかの実施形態では、本開示による方法は、例えば、上記の濃度のいずれかのKClの存在下で、増幅反応を実施することを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、CMVの増幅および/または検出のための記載のオリゴマーは、製造日から少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも18ヶ月、または少なくとも24ヶ月の貯蔵寿命を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、例えば、キットまたは組成物中に提供される。オリゴマーは一般に、例えば、CMV核酸に特異的にハイブリダイズするように構成される標的ハイブリダイズ領域を含む。異なる長さおよび塩基組成のオリゴマーを使用して、CMV核酸を増幅することができるが、いくつかの実施形態では、本開示のオリゴマーは、約19~40塩基長、または約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40塩基長の標的ハイブリダイズ領域を有する。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、T7 RNAポリメラーゼプロモーターなどの標的ハイブリダイズ領域に加えて、標的ハイブリダイズ領域の5に位置し得る第2の配列領域を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、第2の配列領域を含まない。
【0122】
いくつかの実施形態では、一方のオリゴマーが、CMV核酸のセンス鎖にハイブリダイズするように構成され、他方が、CMV核酸のアンチセンス鎖にハイブリダイズするように構成される、オリゴマーの対が提供される。そのようなオリゴマーは、PCR、転写媒介増幅、または当該技術分野で既知の他の形態の増幅のためのプライマー対を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、プライマー対、またはプライマー対および(例えば、プローブとして使用するために)任意選択的に標識される第3のオリゴマーなどの1つ以上のオリゴマーは、CMV UL56遺伝子にハイブリダイズするように構成される。いくつかの実施形態では、プライマー対、またはプライマー対および(例えば、プローブとして使用するために)任意選択的に標識されている第3のオリゴマーなどの1つ以上のオリゴマーは、配列番号1および/またはその相補体によって表されるCMV配列にハイブリダイズするように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の内部対照プローブオリゴマーも提供される。
【0124】
いくつかの実施形態では、1つ以上のオリゴマーは、縮重位置を含む。いくつかの実施形態では、記載されたオリゴマーは、縮重位置を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のオリゴマーは、非ワトソンクリック(NWC)位置を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、NWC位置を含む。例示的なNWC位置には、表1A~Eの様々な例示的なオリゴマー中のU残基が含まれる。
【0125】
いくつかの実施形態では、セット、キット、組成物、または反応混合物中の1つ以上のオリゴマーは、メチル化シトシン(例えば、5-メチルシトシン)を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、1、2、3、4、5以上のメチル化シトシンを含有する。いくつかの実施形態では、オリゴマー中のシトシンの少なくとも約半分は、メチル化されている。いくつかの実施形態では、オリゴマー中のシトシンの全てまたは実質的に全て(例えば、1つまたは2つを除く全て)は、メチル化されている。いくつかの実施形態では、3’末端または3’末端の2、3、4もしくは5塩基内のシトシンは、メチル化されていない。
【0126】
いくつかの実施形態では、組成物またはキットは、トーチまたはビーコンを含むプローブオリゴマーを含む。各トーチは、フルオロフォアおよびクエンチャー、例えば、ICトーチではアクリジンクエンチャーを有する6’-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、およびCMVではダブシルクエンチャーを有するフルオレセイン(FAM)を有する。CMVおよびIC標的に関連するフルオロフォアは、異なる波長の光を放出するため、これらの標的を互いに区別することを可能にする。
【0127】
追加の構成要素または反応混合物、組成物、および/またはキットには、捕捉ビーズ、標的捕捉試薬、標的捕捉洗浄溶液、標的エンハンサー試薬、増幅試薬(凍結乾燥ケーキ)、増幅試薬再構成溶液、酵素試薬(凍結乾燥ケーキ)、酵素試薬再構成溶液、プロモーター試薬(凍結乾燥ケーキ)、プロモーター試薬再構成溶液、陽性キャリブレーター、CMV陽性対照核酸、陰性対照核酸、および/または試料輸送培地が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、キットは、本開示による方法を実施するための一組の説明書をさらに含み、説明書は、添付文書、および/またはキットもしくはその構成要素の包装に関連し得る。
【0128】
本明細書に開示されるあらゆる方法が、本方法の目的に向けられた本方法に関与する材料の対応する使用の開示としても理解されるべきである。CMV配列を含むオリゴマーのいずれか、ならびにそのようなオリゴマーを含む任意の組み合わせ(例えば、キットおよび組成物)は、CMVの検出および/もしくは定量化またはCMV UL56遺伝子配列の増幅に使用するため、ならびにCMVの検出および/もしくは定量化またはCMV UL56遺伝子配列の増幅のための組成物の調製に使用するために開示されるものとしても理解されるべきである。
【0129】
E.CMVを増幅、検出、およびまたは定量化する方法
CMVを検出および/もしくは定量化する方法、または上記のオリゴマー、組成物、もしくはキットのうちの1つ以上を使用してCMV UL56遺伝子配列を増幅する方法が記載される。
【0130】
大まかに述べると、本方法は、以下の構成要素、(例えば、臨床試料などの試料からの)CMV核酸がTCOにアニーリングされている標的捕捉;捕捉オリゴマーと会合していない材料を除去するための単離、例えば、洗浄;増幅;および増幅と共にリアルタイムで実施され得るアンプリコン検出、例えば、アンプリコン定量化のうちの1つ以上を含むことができる。ある特定の実施形態は、上記のステップの各々を伴う。ある特定の実施形態は、任意選択的に先行する線形増幅ステップと共に、指数関数的増幅を伴う。ある特定の実施形態は、指数関数的増幅およびアンプリコン検出を伴う。ある特定の実施形態は、上に列挙した構成要素のうちのいずれか2つを伴う。ある特定の実施形態は、すぐ上に列挙した任意の2つの構成要素、例えば、洗浄および増幅、または増幅および検出を伴う。
【0131】
いくつかの実施形態では、増幅は、(1)試料を、少なくとも2つのオリゴマーと接触させて、CMV標的UL56遺伝子核酸に対応するCMV核酸標的領域を増幅することであって、オリゴマーが、上記の少なくとも2つの増幅オリゴマーを含む(例えば、指数的増幅のためにセンス方向に配向された1つ以上のプライマーおよびアンチセンス方向に配向された1つ以上のプライマー)、増幅することと、(2)インビトロ核酸増幅反応を実施することであって、試料に存在する任意のCMV標的核酸が、増幅産物を生成するための鋳型として使用される、実施することと、(3)増幅産物の存在または不在を検出し、それにより、試料中のCMVの存在もしくは不在を決定すること、または試料中のCMV核酸の量を定量化することとを含む。
【0132】
本開示による検出方法は、本方法のその後のステップに供される試料を得るステップをさらに含むことができる。ある特定の実施形態では、使用される試料を「得ること」は、例えば、本方法の1つ以上のステップが実施される試験施設もしくは他の場所で試料を受け取ること、および/または本方法の1つ以上のステップが実施される施設内の場所から(例えば、貯蔵施設もしくは他の保管所から)試料を検索することを含む。
【0133】
ある特定の実施形態では、本方法は、例えば、捕捉ステップ前などの増幅前に、試料中の他の構成要素からCMV標的核酸を精製することをさらに含む。そのような精製は、試料中に含有される生物を他の試料構成要素から分離および/もしくは濃縮するか、または非核酸試料構成要素、例えば、タンパク質、炭水化物、塩、脂質などを除去もしくは分解する方法を含んでもよい。いくつかの実施形態では、試料中のDNAは、例えば、DNaseを用いて分解され、任意選択的にDNaseを除去もしくは不活性化するか、または分解されたDNAを除去する。
【0134】
いくつかの実施形態では、標的核酸を精製することは、標的核酸を捕捉して、標的核酸を他の試料構成要素から特異的または非特異的に分離することを含む。非特異的標的捕捉方法は、実質的に水性の混合物からの核酸の選択的沈殿、他の試料構成要素を除去するために洗浄される支持体への核酸の付着、またはCMV核酸および他の試料構成要素を含有する混合物から核酸を物理的に分離する他の手段を伴ってもよい。
【0135】
標的捕捉は、典型的には、ハイブリダイズ条件下でCMV標的配列にハイブリダイズする1つ以上のTCOを含有する溶液相混合物中で生じる。TCOを含む実施形態の場合、CMV-標的:TCO複合体は、TCOテールが固定化プローブにハイブリダイズするようにハイブリダイゼーション条件を調整することによって捕捉される。ある特定の実施形態は、常磁性ビーズなどの微粒子固体支持体を使用する。いくつかの実施形態では、プロモータープライマーは、捕捉中に存在する。ハイブリダイゼーション条件は、前増幅ハイブリッドの単離および精製を可能にするように調整される。
【0136】
単離は、捕捉の後に続くことができ、固体支持体上の複合体は、他の試料構成要素から分離される。単離は、任意の適切な技術、例えば、CMV-標的配列と会合した支持体を1回以上(例えば、2回または3回)洗浄して、他の試料構成要素および/または非結合オリゴマーを除去することによって達成することができる。常磁性ビーズなどの微粒子固体支持体を使用する実施形態では、CMV標的と会合した粒子は、洗浄溶液中で懸濁され、磁気的な引き付けによって洗浄溶液から回収され得る。取り扱いステップの数を制限するために、支持体上の複合体中のCMV標的配列を増幅オリゴマーと単に混合し、増幅ステップへと進めることによって、CMV標的核酸を増幅してもよい。
【0137】
CMV標的配列を指数関数的に増幅させることは、増幅される標的領域に隣接する少なくとも2つの増幅オリゴマーを使用するインビトロ増幅反応を利用する。いくつかの実施形態では、上記の少なくとも第1(順方向)および第2(逆方向)のオリゴマーを使用して、標的配列を増幅する。増幅反応は、熱サイクリングまたは等温であり得る。好適な増幅方法には、例えば、レプリカーゼ媒介増幅、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、および転写媒介または転写関連増幅(TMA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
検出ステップは、例えば、増幅産物を標識された検出プローブとハイブリダイズし、標識されたプローブから(いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーション後にプローブから放出された標識から、を含む)生じるシグナルを検出することなどによって、増幅された標的配列に特異的に関連するシグナルを検出するための様々な既知の技術のいずれかを使用して実施され得る。いくつかの実施形態では、標識プローブは、上で考察されたように、クエンチャーまたは第1の標識と相互作用する他の部分などの第2の部分を含む。検出ステップは、例えば、その核酸塩基配列の全部または一部分など、増幅配列に関する追加の情報も提供し得る。検出は、増幅反応が完了した後に実施されても、例えば、リアルタイムでの標的領域の増幅と同時に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、検出ステップは、均一な検出、例えば、混合物からハイブリダイズしていないプローブを除去することなくハイブリダイズしたプローブを検出することを可能にする(例えば、米国特許第5,639,604号および同第5,283,174号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、核酸は、検出可能な電荷などの物理的変化をもたらす表面と会合する。増幅された核酸は、それらをマトリックスの中または上で濃縮し、核酸もしくはそれらに関連する色素(例えば、臭化エチジウムもしくはサイバーグリーンなどの挿入剤)を検出するか、または溶液相中の核酸に関連する色素の増加を検出することによって検出され得る。他の検出方法は、増幅産物中の配列に特異的にハイブリダイズし、プローブ:産物複合体の存在を検出するように構成される核酸検出プローブを使用しても、増幅産物に関連する検出可能なシグナルを増幅させ得るプローブの複合体を使用すること(例えば、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,424,413号、同第5,451,503号、および同第5,849,481号)によってもよい。増幅産物と特異的に会合する直接的または間接的に標識されたプローブは、試料中の標的核酸の存在を示す検出可能なシグナルを提供する。特に、増幅産物は、CMV UL56遺伝子中の配列またはそれに相補的な標的配列を含有し、プローブは、増幅産物に含有される配列に直接的にまたは間接的に結合して、試験試料中のCMV核酸の存在を示す。
【0139】
増幅ステップの終了近くまたは終了時に増幅産物を検出するいくつかの実施形態では、線形検出プローブを使用して、増幅産物へのプローブのハイブリダイゼーションを示すシグナルを提供してもよい。そのような検出の一例は、標的核酸にハイブリダイズする発光標識されたプローブを使用する。次いで、発光標識は、ハイブリダイズしていないプローブから加水分解される。検出は、ルミノメーターを使用して化学発光によって実施される(例えば、国際特許出願公開第WO89/002476号を参照されたい)。リアルタイム検出を使用するいくつかの実施形態では、検出プローブは、例えば、プローブが増幅産物に結合するときに検出されるレポーター部分で標識される分子ビーコン、分子トーチ、またはハイブリダイゼーションスイッチプローブなどのヘアピンプローブであってもよい。そのようなプローブは、標的ハイブリダイズ配列および非標的ハイブリダイズ配列を含み得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、検出は、時間間隔で実施される。検出は、一定の時間間隔で蛍光を測定することによって行うことができる。時間間隔は、1~60秒、1~120秒、1~180秒、1~240秒、または1~300秒であり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、時間間隔は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60秒である。一定の時間間隔で実施される検出では、各間隔は、サイクルと称される。検出は、20~240サイクル、30~210サイクル、40~180サイクル、50~150サイクル、または60~120サイクルにわたって実施することができる。例えば、60分間にわたる30秒ごとの検出は、120サイクルをなす。検出は、サイクルの開始時に生じても、終了時に生じてもよい。検出は、継続的に実施されてもよい。
【0141】
本明細書に記載の組成物および方法の実施形態は、以下の実施例によってさらに理解することができる。実施例で使用される方法ステップは、本明細書で記載されており、以下の情報は、方法で使用される典型的な試薬および条件をより具体的に記載している。上記の説明に提供されるガイダンスに従う限り、プロセスまたは結果に実質的に影響を及ぼさない他の試薬および条件を使用してもよい。さらに、開示される方法および組成物は、手動で、または自動化されたデバイスにおいて1つ以上のステップ(例えば、ピペッティング、混合、インキュベーションなど)を実施するシステムで実施されても、任意の型の既知のデバイス(例えば、試験管、多管ユニットデバイス、96ウェルマイクロタイタープレートなどの多ウェルデバイスなど)で使用されてもよい。
【0142】
F.実施形態の一覧
1.ヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL56遺伝子配列に由来する核酸の標的領域を増幅するためのキットであって、(a)配列番号2に存在する19~31ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含む順方向プライマーと、(b)配列番号3に存在する21~40ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する21~40個の連続核酸塩基を含む逆方向プライマーとを含む、キット。
2.順方向プライマー、逆方向プライマー、または順方向プライマーおよび逆方向プライマーの両方が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、実施形態1に記載のキット。
3.修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンを含む、実施形態2に記載のキット。
4.順方向プライマーが、配列番号10、配列番号11、または配列番号19の核酸塩基配列を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のキット。
5.順方向プライマーが、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19の核酸塩基配列を含む非プロモータープライマーである、実施形態4のいずれかに記載のキット。
6.逆方向プライマーが、配列番号23、配列番号24、または配列番号25の核酸塩基配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のキット。
7.逆方向プライマーが、配列番号6、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号47の核酸塩基配列を含む、実施形態6に記載のキット。
8.RNAポリメラーゼプロモーター配列が、順方向プライマーまたは逆方向プライマーの5’末端に連結している、実施形態1~4または6~7のいずれか1つに記載のキット。
9.RNAポリメラーゼプロモーター配列が、T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列である、実施形態8に記載のキット。
10.T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列が、配列番号78のヌクレオチド配列を含む、実施形態9に記載のキット。
11.逆方向プライマーが、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、または配列番号46の核酸塩基配列を含む、実施形態10に記載のキット。
12.順方向プライマーが、配列番号11を含み、逆方向プライマーが、配列番号23を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のキット。
13.プローブオリゴマーをさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のキット。
14.プローブオリゴマーが、(a)配列番号51もしくは配列番号52の核酸塩基配列を含み、1つ以上のウラシルヌクレオチドが、チミンヌクレオチドに対して置換され得るか、または(b)配列番号81にハイブリダイズする24~35個の連続核酸塩基を含むヌクレオチド配列を含む、実施形態13に記載のキット。
15.プローブオリゴマーが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、実施形態14に記載のキット。
16.修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンを含む、実施形態15に記載のプローブオリゴマー。
17.プローブオリゴマーが、配列番号21、配列番号26、配列番号39、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号69、または配列番号71の核酸塩基配列を含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載のキット。
18.プローブオリゴマーが、検出可能な標識を含有する、実施形態14~17のいずれか1つに記載のキット。
19.検出可能な標識が、蛍光分子を含む、実施形態18に記載のキット。
20.蛍光分子が、プローブオリゴマーの5’または3’末端に結合している、実施形態19に記載のキット。
21.プローブオリゴマーが、プローブオリゴマーの5’末端の4~5個の核酸塩基に相補的である、プローブオリゴマーの3’末端に4~5個の核酸塩基を含有する、実施形態14~20のいずれか1つに記載のキット。
22.蛍光分子が、プローブオリゴマーの5’末端に結合し、クエンチャーが、プローブオリゴマーの3’末端に結合するか、または蛍光分子が、プローブオリゴマーの3’末端に結合し、クエンチャーが、プローブオリゴマーの5’末端に結合する、実施形態21に記載のキット。
23.プローブオリゴマーが、配列番号20、配列番号22、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、または配列番号70の核酸塩基配列を含む、実施形態22に記載のキット。
24.順方向プライマーが、配列番号11を含み、逆方向プライマーが、配列番号23を含み、プローブオリゴヌクレオチドが、配列番号53を含む、実施形態14~22のいずれか1つに記載のキット。
25.配列番号2に存在する19~31ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含むヘルパーオリゴマーをさらに含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載のキット。
26.ヘルパーオリゴマーが、ブロックされている、実施形態25に記載のキット。
27.ヘルパーオリゴマーが、配列番号10または配列番号19のヌクレオチド配列を含む、実施形態25または26に記載のキット。
28.ヘルパーオリゴマーが、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、実施形態27に記載のキット。
29.配列番号5に存在する21~25ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する21~27個の連続核酸塩基を含むディスプレーサーオリゴマーをさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載のキット。
30.ディスプレーサーオリゴマーが、配列番号12、配列番号25、または配列番号41のヌクレオチド配列を含む、実施形態29に記載のキット。
31.ディスプレーサーオリゴマーが、配列番号6、配列番号12、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号86、配列番号87、および配列番号88からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、実施形態30に記載のキット。
32.配列番号6、配列番号8、配列番号43、または配列番号45のヌクレオチド配列を含む標的捕捉オリゴマー(TCO)をさらに含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載のキット。
33.TCOが、TCOの単離を可能にする部分を含有する、実施形態32に記載のキット。
34.部分が、ポリAヌクレオチド配列を含む、実施形態33に記載のキット。
35.部分が、(dT)3(dA)30を含む、実施形態33に記載のキット。
36.TCOが、配列番号7、配列番号9、配列番号42、または配列番号44のヌクレオチド配列を含む、実施形態35に記載のキット。
37.キットが、配列番号42のヌクレオチド配列を含む第1のTCOと、配列番号44のヌクレオチド配列を含む第2のTCOとを含む、実施形態32~36のいずれか1つに記載のキット。
38.標的捕捉試薬、標的捕捉洗浄溶液、標的エンハンサー試薬、増幅試薬、酵素試薬、プロモーター試薬、CMV陽性対照核酸、陰性対照核酸、試料輸送培地、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、dNTP、NTP、緩衝液、ならびに陽性および/または陰性対照試料のうちの1つ以上をさらに含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載のキット。
39.試料に存在するヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL56遺伝子配列に由来する核酸の標的領域を増幅するための方法であって、
(a)試料を、CMV UL56アンプリコンを増幅するように構成された順方向プライマーおよび逆方向プライマーと接触させることであって、順方向プライマーが、配列番号2に存在する19~31ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含み、逆方向プライマーが、配列番号3に存在する21~40ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する21~40個の連続核酸塩基を含む、接触させることと、
(b)試料を、標的領域を増幅するのに十分な条件に曝露し、それにより、増幅産物を生成することとを含む、方法。
40.順方向プライマーおよび/または逆方向プライマーが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、実施形態39に記載の方法。
41.少なくとも1つの修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンを含む、実施形態40に記載の方法。
42.順方向プライマーが、配列番号10、配列番号11、または配列番号19の核酸塩基配列を含み、逆方向プライマーが、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または配列番号47の核酸塩基配列を含む、実施形態39~41のいずれか1つに記載の方法。
43.順方向プライマーが、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19の核酸塩基配列を含み、逆方向プライマーが、配列番号6、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号47の核酸塩基配列を含む、実施形態42に記載の方法。
44.T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列が、逆方向プライマーの5’末端に連結されている、実施形態43に記載の方法。
45.逆方向プライマーが、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、または配列番号46の核酸塩基配列を含む、実施形態44に記載の方法。
46.順方向プライマーが、配列番号11を含み、逆方向プライマーが、配列番号23を含む、実施形態39~43のいずれか1つに記載の方法。
47.増幅産物の存在または不在を検出することをさらに含む、実施形態39~46のいずれか1つに記載の方法。
48.増幅産物の存在または不在を検出することが、増幅産物に特異的にハイブリダイズするプローブオリゴマーを利用する、実施形態47に記載の方法。
49.プローブオリゴマーが、配列番号51もしくは配列番号52の核酸塩基配列を含み、1つ以上のウラシルヌクレオチドが、チミンヌクレオチドに対して置換され得るか、または(b)配列番号81にハイブリダイズする24~35個の連続核酸塩基を含むヌクレオチド配列を含む、実施形態48に記載の方法。
50.プローブオリゴマーが、配列番号21、配列番号26、配列番号39、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号69、または配列番号71の核酸塩基配列を含む、実施形態49に記載の方法。
51.プローブオリゴマーが、プローブオリゴマーの5’末端の4~5個の核酸塩基に相補的である、プローブオリゴマーの3’末端に4~5個の核酸塩基を含有する、実施形態48~50のいずれか1つに記載の方法。
52.蛍光分子が、プローブオリゴマーの5’末端に結合し、クエンチャーが、プローブオリゴマーの3’末端に結合するか、または蛍光分子が、プローブオリゴマーの3’末端に結合し、クエンチャーが、プローブオリゴマーの5’末端に結合する、実施形態51に記載の方法。
53.プローブオリゴマーが、配列番号20、配列番号22、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、または配列番号70の核酸塩基配列を含む、実施形態52に記載の方法。
54.順方向プライマーが、配列番号11を含み、逆方向プライマーが、配列番号23を含み、プローブオリゴヌクレオチドが、配列番号53を含む、実施形態39~44および46~53のいずれか1つに記載の方法。
55.増幅することが、熱サイクリング反応を含む、実施形態39~54のいずれか1つに記載の方法。
56.熱サイクリング反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、実施形態55に記載の方法。
57.増幅することが、等温核酸増幅反応を含む、実施形態39~54のいずれか1つに記載の方法。
58.等温核酸増幅反応が、転写媒介増幅(TMA)を含む、実施形態57に記載の方法。
59.増幅することが、核酸配列ベースの増幅、レプリカーゼ媒介増幅、Qβ-レプリカーゼ媒介増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、または鎖置換増幅(SDA)を含む、実施形態39~54のいずれか1つに記載の方法。
60.増幅されたCMV UL56アンプリコンの存在または不在を検出することが、増幅されたCMV UL56アンプリコンを定量化することをさらに含む、実施形態47~59のいずれか1つに記載の方法。
61.増幅されたCMV UL56アンプリコンを定量化することが、CMVアンプリコンの産生を監視することを含む、実施形態60に記載の方法。
62.検出することおよび/または定量化することが、リアルタイムで分析される、実施形態47~61のいずれか1つに記載の方法。
63.試料中のヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL56遺伝子標的核酸配列を定量化する方法であって、
(a)試料を、配列番号43または配列番号45の核酸塩基配列を含む少なくとも1つの標的捕捉オリゴマー(TCO)および配列番号47の核酸塩基配列を含む第1のプロモータープライマーと、CMV UL56遺伝子標的核酸配列への少なくとも1つのTCOおよび第1のプロモータープライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ、それにより、少なくとも1つのTCOおよび第1のプロモータープライマーの各々にハイブリダイズした標的核酸配列を含む前増幅ハイブリッドを生成することと、
(b)固体支持体への標的捕捉およびそれに続く洗浄によって前増幅ハイブリッドを単離して、ステップ(a)でCMV UL56遺伝子標的核酸配列にハイブリダイズしなかった第1のプロモータープライマーのいずれも除去することと、
(c)第1相の実質的に等温の転写関連増幅反応において、その線形増幅は支持するが、その指数関数的増幅は支持しない条件下で、配列番号19の核酸塩基配列を含む非プロモータープライマーを含む第1相の増幅反応混合物中で、ステップ(b)で単離された前増幅ハイブリッドのCMV UL56遺伝子標的核酸配列の少なくとも一部分を増幅し、それにより、第1の増幅産物を含む反応混合物をもたらすことであって、第1の増幅産物が、第1相の実質的に等温の転写関連増幅反応中の核酸合成の鋳型ではない、もたらすことと、
(d)第1の増幅産物を、配列番号47の核酸塩基配列を含む第2のプロモータープライマーおよび配列番号57の核酸塩基配列を含むプローブオリゴマーを含む第2相の増幅反応混合物と組み合わせ、第2相の増幅反応混合物中の第2相の実質的に等温の転写関連増幅反応において、第1の増幅産物の指数関数的増幅を実施し、それにより、第2の増幅産物を合成することと、
(f)一定の時間間隔でプローブオリゴマーを用いて、第2相の増幅反応混合物中の第2の増幅産物の合成を検出することと、
(g)ステップ(f)の結果を使用して、試料中の標的核酸配列を定量化することとを含む、方法。
64.少なくとも1つのTCOが、配列番号43の核酸塩基配列を含む第1のTCOと、配列番号45の核酸塩基配列を含む第2のTCOとを含む、実施形態63に記載の方法。
65.第1および第2のプロモータープライマーが各々、RNAポリメラーゼの5’プロモーター配列を含む、実施形態63または64に記載の方法。
66.RNAポリメラーゼが、T7 RNAポリメラーゼである、実施形態65に記載の方法。
67.固体支持体が、固定化捕捉プローブを含む、実施形態63~67のいずれか1つに記載の方法。
68.固体支持体が、磁気的に引き付け可能な粒子である、実施形態67に記載の方法。
69.第1相および第2相の等温転写関連増幅反応の各々が、RNAポリメラーゼおよび逆転写酵素を含み、逆転写酵素が、内因性RNaseH活性を含む、実施形態63~68のいずれか1つに記載の方法。
70.ステップ(c)の第1の増幅産物が、試料中の標的核酸配列と同じ極性を有するcDNA分子であり、ステップ(d)の第2の増幅産物が、RNA分子である、実施形態63~69のいずれか1つに記載の方法。
71.ステップ(d)の第プローブオリゴマーが、第2の増幅産物にハイブリダイズするときに検出可能なシグナルを生成する立体配置高感度プローブである、実施形態63~70のいずれか1つに記載の方法。
72.ステップ(d)のプローブオリゴマーが、蛍光標識された配列特異的ハイブリダイゼーションプローブである、実施形態63~71のいずれか1つに記載の方法。
73.第1のTCOが、配列番号42の核酸塩基配列を含み、第2のTCOが、配列番号44の核酸塩基配列を含み、第1および第2のプロモータープライマーが各々、配列番号46の配列の核酸塩基を含み、プローブオリゴマーが、配列番号56の核酸塩基配列を含む、実施形態64~72のいずれか1つに記載の方法。
74.第1相の増幅反応混合物および/または第2相の増幅反応混合物が、ヘルパーオリゴマーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーをさらに含む、実施形態63~73のいずれか1つに記載の方法。
75.ヘルパーオリゴマーが、19~31核酸塩基長であり、配列番号14の核酸塩基配列を含み、ディスプレーサーオリゴマーが、21~27核酸塩基長であり、配列番号41の核酸塩基配列を含む、実施形態74に記載の方法。
76.ヘルパーオリゴマー、ディスプレーサーオリゴマー、またはヘルパーオリゴマーおよびディスプレーサーオリゴマーの両方が、ブロックされている、実施形態74または75に記載の方法。
【実施例0143】
実施例1.CMV増幅.CMVの塩とオリゴマーとの様々な濃度の組み合わせを評価して、好適な条件の増幅を決定した。プライマー、プローブ、KCl、およびMgCl混合物を混合することによって、PPR(再構成緩衝液を含有するプライマープローブ)混合物を作製した。以下の混合物を作製して、CMV DOEに使用した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0144】
PPR混合物1~12をボルテックスし、スピンダウンし、250μLの油を上部に添加し、再度スピンダウンしてから、機器に充填した。PPR混合物13もスピンダウンしたが、250μLの代わりに400μLの上部の油を用いた。
【0145】
節1のPPR混合物で試験するために、CMVプラスミドを1000cp/rxnに希釈した。以下を行うことによって、CMVプラスミドをSTM中で1000cp/rxnに希釈した。
【表1-9】
【0146】
34mlを30本の管にアリコートした。30本全ての管をPanther Fusionシステム(Hologic,Inc.,San Diego,CA)で処理し、各管の2回の抽出および各抽出あたり3回の複製を行った(PPR1~12ではn=12およびPPR13ではn=36)。以下のパラメータを有するDevTool(4.9.8.0)を使用して、データを分析した。
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【0147】
シグナル対ノイズは、高塩分および高オリゴマーで最高のままである。オリゴマーの低下は、シグナル対ノイズにわずかに影響を及ぼすに過ぎない。いくつかの実施形態では、塩は、>4mMであった。
【0148】
結論:Ctおよびベースラインは、プライマー+Mgおよびプライマー+プローブ、RFUプライマー+Mgおよびプローブ+Mgで有意性を示す。全てが、0.0001を超える適合性の欠如を示し、RFUは0.0412の最低値を示す。最も望ましい選択肢は、1μMのプライマー、0.8μMのプローブ、および6mMのMgClである。しかしながら、より少ないMgClは、非常に良い結果も示す。より低い塩分は、RFUを増加させ、バックグラウンドも増加させるため、JPMは、バックグラウンドのみに基づいて、6mMを最適と推定する可能性が高い。しかし、より少ないプライマーおよびプローブは、同様のCtを示すが、各0.2μMの差ごとにRFUの20%の低下をもたらす。データは、Ctは57%の可変性を占めるに過ぎないが、RFUおよびベースラインは90%および94%であるため、Ctが全ての条件にわたって類似し過ぎていることを示唆する。
【0149】
実施例2:CMVプラスミドの検出限界。CMVプラスミドを血清中で評価して、検出限界(LoD)を決定した。450μLの標的捕捉試薬および126μLの標的エンハンサー試薬と組み合わせた360μLの試料を使用して、試料溶解を実施した。インキュベーション後、混合物を標的捕捉洗浄試薬で洗浄し、50μLの最終体積で溶出した。CMV PPRを作製して、血清中のプラスミドのLoDを決定した。
【表2-1】
【0150】
2本の管を用意した。一方は、再構成管中に1200μLのPPR混合物および400μLの油を上部に添加した。他方は、850μLのPPR混合物を再構成管に添加し、350μLの油を上部に添加した。機器に充填する前に、全ての管を再度スピンダウンした。CMVプラスミドを血清中で3つの濃度に希釈し、節1のPPR混合物で試験した。以下を行うことによって、CMVプラスミドをプールされた血清中で100、10、および1cp/rxnに希釈した。
【表2-2】
【表2-3】
【0151】
プールされた血清試料は、各3mlの血清051~056からなった。400μLの20mg/mLのストックProK溶液を7600μLのSTMに添加することによって、1mg/mlのプロテイナーゼKを有するSTMを調製した。
【0152】
1230μLの各濃度のCMVプラスミドを、2.2の1230μLのSTM:ProK(溶液輸送培地:プロテイナーゼK)混合物を含有する2本の管に添加した。残りの体積は溶解せず、必要に応じて-70℃で貯蔵した。各管は、各濃度n=20で、10回のPCR複製(3回の抽出では3回のPCR複製および第4では1回のPCR複製で4回の抽出)で処理した。390ulのSTM:ProK混合物および390μLの血清プールからなる陰性対照を作製した。1回の抽出を、抽出あたり3回のPCR複製で処理した。全ての試料を処理し、以下のパラメータを有するDevTool(4.9.8.0)を使用して、データを分析した。
【表2-4】
【0153】
結論:プールされた血清中のCMVプラスミドのLoDは、10cp/rxn、または95%で溶解した試料管中で277.78cp/mlである。TMA CMVチームでは、プラスミドは、血清中で試験されていない。
【表2-5】
【表2-6】
【0154】
実施例3:血清および血漿中のCMV予備ウイルス検出限界。実施例2に記載の1ログの増分、および1:0.2のSTM比で、血清および血漿中のCMVウイルス(TCID50/ml)について、検出限界を決定した。
【0155】
CMV PPRを作製して、血清および血漿中のウイルスのLoDを決定した。以下のPPR混合物である。
【表3-1】
【0156】
2本の管を用意した。一方は、再構成管中に1100μLのPPR混合物および400μLの油を上部に添加した。他方は、1000μLのPPR混合物を再構成管に添加し、400μLの油を上部に添加した。機器に充填する前に、全ての管を再度スピンダウンした。CMVウイルスを血清および血漿中で5つの濃度に希釈し、節1のPPR混合物で試験した。以下を行うことによって、CMVをプールされた血清およびプールされた血漿中で10000、1000、100、10、および1のTCID50/mlに希釈した。
【表3-2】
【表3-3】
【0157】
プールされた血清試料は各々、3mlの血清からなり、プールされた血漿は各々、3mlの血漿からなった。濃度は、100のTCID50/mlのBioFire LoDに基づく。2.6mg/mlのプロテイナーゼKを有するSTMを、以下を行うことによって調製した。
【表3-4】
【0158】
ProKがSTM中に長時間置かれないことを確実にするために、この混合物は、試料を溶解する準備ができる直前に作製された。血清および血漿の両方における800μLの各濃度のCMVプラスミドを、185μLのSTM:ProK混合物を含有する1本の管に添加した。各管を2回の抽出および3回のPCRで処理した。115μLのSTM:ProK混合物、ならびに500μLの血清プールおよび血漿プールからなる陰性対照を、別々に作製した。1回の抽出を、抽出あたり3回のPCR複製で処理した。全ての試料を、Panther Fusionシステム(Hologic,Inc.San Diego)で処理した。以下のパラメータを有するDevTool(4.9.8.0)を使用して、データを分析した。
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【0159】
血清の1E1(すなわち、1×10または10)のTCID50/mlは、抽出ごとにほぼ1ログの差をもたらした。1本の管のみを処理したため、全ての抽出は、同じ管からのものであった。これは、珍しい出来事である。同じ濃度の血漿は、期待される結果をもたらした。全ての他の試料も、抽出/PCR複製間で同様の結果をもたらした。
【0160】
結論:予備的なLoDは、血清および血漿の両方において約10のTCID50/mlの100%の検出を示す。Ctには遅延が存在するため、血漿に何らかの阻害の問題を有したか、またはウイルス自体の分解をもたらしたようである。また、1E1のTCID50/mlの血清の結果は、高い標準偏差を示した。半分のログの増分でのさらなる分析は、血清および血漿中のCMVウイルスの真のLoDの決定に役立つ。
【0161】
実施例4.血清および血漿中のCMV予備ウイルス検出限界。実施例2に記載の半分のログの増分、および1:0.2のSTM比で、血清および血漿中のCMVウイルス(TCID50/ml)について、検出限界を決定した。CMV PPRを作製して、血清および血漿中のウイルスのLoDを決定した。以下のPPR混合物を作製した。
【表4-1】
【0162】
5本の管を用意した。4本は、再構成管中に1200μLのPPR混合物および400μLの油を上部に添加した。他方は、400μLのPPR混合物を再構成管に添加し、250μLの油を上部に添加した。機器に充填する前に、全ての管を再度スピンダウンした。CMVウイルスを血清および血漿中で4つの濃度に希釈し、節1のPPR混合物で試験した。以下を行うことによって、CMVをプールされた血清およびプールされた血漿中で31.6、10、3.16、および1のTCID20/mlに希釈した。
【表4-2】
【表4-3】
【0163】
プールされた血清試料は各々、3mlの血清からなり、プールされた血漿は各々、3mlの血漿からなった。2.6mg/mlのプロテイナーゼKを有するSTMを、以下を行うことによって調製した。
【表4-4】
【0164】
ProKがSTM中に長時間置かれないことを確実にするために、この混合物は、試料を溶解する準備ができる直前に作製された。血清および血漿の両方における1400μLの各濃度のCMVプラスミドを、325μLのSTM:ProK混合物を含有する2本の管に添加した。各管を、1回のPCR複製で1回の抽出と共に、3回の抽出および3回のPCR複製で各々処理した。2本の管を処理したため、濃度あたりn=20であった。115μLのSTM:ProK混合物、ならびに500μLの血清プールおよび血漿プールからなる陰性対照を別々に作製した。1回の抽出を、抽出あたり3回のPCR複製で処理した。全ての試料を、Panther Fusionシステムで処理した。以下のパラメータを有するDevToolを使用して、データを分析した。
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【0165】
20回のPCR複製のうち、6回は、平均と比較して非常に早期であった。6つ全てが、同じ管からのものであった(抽出1および2)。
【0166】
結論:血漿および血清中のCMVのLoDは、幾分可変的である。Ctには2つのマトリックス間で差が存在するため、血漿は、100%のCMV検出を防ぐ阻害剤を有する可能性がある。血漿は、3.16のTCID50/mlのLoD、つまりBioFireあたり135.9cp/mlを有する。血清は、1のTCID50/mlのLoD、つまりBioFireあたり43cp/mlを示す。
【0167】
実施例5.分析物特異的試薬CMV反応性およびZeptoMetrix CMV対照の分析。CMVの4つの株とのCMV反応性を、現在のCMV PCRオリゴセットを使用して評価した。全てのCMV単離株を、元の株の10倍のLoDで試験した。Zeptometrix(Franklin,MA)のCMV対照を分析して、ウイルス全体からのcp/mlでのアッセイ感度を決定し、TCID50/mlでの同じ株の範囲の決定にも役立てた。以下のCMV PPRを調製した。
【表5-1】
【0168】
1本の再構成管を、1200μLのPPR混合物および400μLの油で調製し、もう1本を、700μLのPPR混合物および上部の300μLの油で調製した。全ての管をスピンダウンしてから、Panther Fusionシステムに充填した。CMVウイルス単離株を、血漿中で1E1.5 TCID50/mlに希釈し、PantherFusionシステムで処理した。
【表5-2】
【0169】
(血漿中で)以下を行うことによって、CMVウイルスストックを1E1.5 TCID50/ml(AD-169株では10×LoD)に希釈した。
【表5-3A】
【表5-3B】
【表5-3C】
【表5-3D】
【0170】
以下を行うことによって、ProKを(試料中最終0.5mg/mlになるように)3mg/mlでPBSに添加した。
【表5-4】
【0171】
31.6 TCID50/mlの800μLの各ウイルス試料を、160μのPBS:ProK混合物に添加し、上下にピペッティングすることによって混合した。Zeptometrixからの不活性化ウイルスストック(cp/ml)も分析して、アッセイ感度を決定した。以下を行うことによって、ストックをPBS中に希釈した。
【表5-5】
【0172】
陰性対照を処理し、これは100μLのPBS:ProK混合物を有する500μLの血漿プールからなった。陰性対照を除く全ての試料を、2回の抽出(各抽出あたり3回のPCR複製)で処理した。陰性対照を、1回の抽出および3回のPCR複製で処理した。全ての試料を、以下の配列ファイルを使用してPanther Fusionシステムで処理した。
【表5-6】
【0173】
データ分析を、以下のパラメータに従って実施した。
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【表5-10】
【0174】
結論:非常に早期に出現した株は、TCID50/ml中で最低の濃度を有した。この単離株は、数週間後に低い力価に達するにすぎなかった。しかしながら、それは、早期のCtをもたらした。全ての単離株について、各々の真のLoDは、AD-169株よりも低く、1 TCID50/ml未満である。PBS中の不活性化ウイルスNATtrolのLoDは、100~10cp/mlであり、これは、PCRの理論上の限界である。ウイルス株TCID50/mlは、3.16 TCID50/ml~1 TCID50/mlであった。BioFireは、43および136cp/mlであった。機器に搭載されたPCR効率は、3.4の勾配および0.98超のR2を生成する。
【0175】
実施例6.CMV特異性。CMV特異性を、CMVチーム変換に基づいて1E+06cp/mlに可能な最も近い濃度に基づいて評価した。CMV PPRを調製した。以下のCMV PPRを調製した。
【表6-1】
【0176】
1本の再構成管を、1000μLのPPR混合物および上部の400μLの油で調製した。全ての管をスピンダウンしてから、Panther Fusionシステムに充填した。SD-AJH-000263の8つのパネルを、Panther Fusionシステム(1回の抽出および抽出あたり3回のPCR複製)で試験した。陽性対照を試験し、これは1000cp/mlのCMVプラスミドからなった。
【表6-2】
【0177】
陰性対照を処理し、これは600μLのSTMからなった。両方の対照を、1回の抽出および1回のPCR複製で処理して、PPRが正しく行われたかどうかを決定した。全ての試料を、以下の配列ファイルを使用してPanther Fusionシステムで処理した。
【表6-3】
【0178】
データ分析を、以下のパラメータに従って実施した。
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【0179】
高い細胞/cp計数を有するパネルは、IC Ctの遅延を示した。
【0180】
結論:全てのパネルは、CMVに対して陰性であり、ICに対して陽性であった。
【0181】
実施例7.CMV陽性およびCMV陰性血漿臨床試料の分析。50個のCMV陽性および50個のCMV陰性血漿試料を評価して、CMV PCRアッセイの性能を決定した。検体を、10×TCOおよび0.5mg/mlのProKを有する1:0.2のPBSで試験した。以下のPPR混合物を調製した。
【表7-1】
【0182】
4つのPPRは、1200μLを再構成管に添加し、400μLの油を上部に添加した。
【表7-2】
【0183】
4つのPPRは、1200μLを再構成管に添加し、400μLの油を上部に添加した。50個のCMV陰性および50個のCMV陽性臨床血漿を、各PPR混合物で試験した。追加の10×TCOおよび3mg/mlのProKをPBSに添加し、100μLを標識した管に添加した:1Lあたり0.666mg、0.000666mg/ml、0.0002997mg/rxn、360μLの試料入力、試料/反応物中0.0003mg、0.0030mgの10×試料/反応物
【表7-3】
【0184】
処理した陰性は、600μLのPBSを含んだ。陽性対照は、50cp/rxnでスパイクされたPBS中のCMVプラスミドからなった。
【0185】
ステップ1.初期希釈
ストック濃度=1.00×10
最終濃度=1.00×10
ストック体積(μL)=10
PBSのμL=990
最終体積(μL)1000
【0186】
ステップ2.STM中のCMVキャリブレーター、必要な濃度(計算)
開始濃度(cp/ml)=1.00×10
5μLのrxnあたりの試験量(cp)=50
「検体」管中のcp/mL=1388.89
開始体積(μL)=22
PBSのμL=1578
最終体積(μL)=1600
【0187】
全ての臨床検体を、2.1から100μLのPBS/ProK/TCO混合物を含有する管に500μL添加し、3回上下に混合することによって混合した。試料を、以下の表に従うことによって試験した。
【表7-4】
【0188】
25個の陽性および25個の陰性試料を、各々1つの機器で処理した。試料を、以下のDNA熱サイクリング条件を使用してPantherFusionシステムで処理した。
【表7-5】
【0189】
データ分析を、以下のパラメータに従って実施した。
【表7-6】
【0190】
不一致の試料を、1つの高陽性および1つの低陽性と共に、CMV TMA試験のために処理した。
【表7-7】
【表7-8-1】
【表7-8-2】
【0191】
注記:マルチコア対シングルコアは、RED677バックグラウンドの差、およびしたがって全体的なRFU値の差をもたらした。注記:CMV_Neg22は、異常な曲線をもたらし、プローブの塩基対ミスマッチを示している可能性がある。
【表7-9-1】
【表7-9-2】
【表7-10】
【0192】
注記:CMV112は、異常な曲線をもたらし、プローブの塩基対ミスマッチを示している可能性がある。
【表7-11】
【表7-12】
【0193】
注記:COBAS TaqMan(登録商標)CMV試験(「Roche」または「Roche試験」)(Roche Diagnostics,North America)を使用して陰性であり、CMV PCRによって陽性であった全ての試料は、CMV TMA定量化によって陽性であった。これらの値は、低陽性および高陽性と共に、2つのアッセイのTTimeとCtとの間に強い相関関係を返した。TTimeは、試料の増幅および検出反応中に試料シグナル値が閾値シグナル値(典型的には、所定のバックグラウンドシグナル値)を超えたときの増幅時間を表すのに使用される用語である。
【0194】
結論:50個のRoche試験陰性血漿検体の初期試験では、44/50個が、CMV
PCRによって陰性であった(80%)。6つの不一致が、CMV TMA定量によって陽性であることが確認され、これはTTimeとCtとの間の値に強い相関関係を示した。これにより、6つの検体をデータセットから除外した場合、100%の特異性が得られる。
【0195】
40/50個の試料は、CMV PCRによって陽性であったが、Roche試験では50個の試料全てがCMVについて陽性であった。10個の検体を、CMV TMA定量化によって試験し、8個の検体は低陽性であり、理論上の限界未満であった(したがって、初期試験では陽性ではなかった)。他の2つも、CMV TMA定量化によって陰性であった。陽性だった8つは、Rocheによって与えられるIU/mlをはるかに下回った(1~3ログより低い)。CMV PCRアッセイは、5~10cp/rxnの範囲内の検体をピックアップする能力および100%の特異性を有する有望な結果を示す。
【0196】
実施例8.CMVオリゴスクリーニング。様々な組み合わせのCMVオリゴマー設計を、CMVプラスミドを使用して評価した。設計は、CMV TMAオリゴマー設計に基づく。CMVオリゴマーを、様々な組み合わせでスクリーニングし、試験した。以下のPPR混合物を作製した。
【表8-1-1】
【表8-1-2】
【表8-1-3】
【0197】
550μLのPPR混合物を8つ別々の再構成管に添加し、250μLの油を各々の上部に添加した。機器に充填する前に、全ての管を再度スピンダウンした。
【0198】
CMVプラスミドを、PPR混合物を有するSTM中、3つの濃度で試験した。以下を行うことによって、CMVプラスミドを1000、100、および10cp/rxnに希釈した。
【表8-2】
【0199】
各濃度あたり1.34mlを4本の管に添加した。各管の1回の抽出を、抽出あたり3回のPCR複製で処理した。陰性対照も試験し、これは2.9mlのSTMのみからなった。1回の抽出でN=3。全ての試料を、Panther Fusionシステムで処理した。以下のパラメータを有するDevToolを使用して、データを分析した。
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5-1】
【表8-5-2】
【0200】
結論:結果は、全てのオリゴセットについて10cp/rxnまで100%の検出を示す。最良の組み合わせには、配列番号11および配列番号23が含まれる。いずれのプローブも良好な結果を示し、配列番号53は、1000cp/rxnではるかに高いRFUおよびより高いシグナル対ノイズ比を示し、配列番号53は、100および10cp/rxnでより高いRFUを示す。配列番号13、配列番号23、および配列番号53も、全ての濃度で良好な結果を示すが、配列番号11/配列番号23の組み合わせと比較して、10cp/rxnで遅れ始める。
【0201】
実施例9.CMV定量化。CMV定量化アッセイは、ヒト血漿などの生物学的試料を含むがこれに限定されない、試料中のサイトメガロウイルス(CMV)DNAおよび/またはRNAの定量化のためのインビトロ核酸増幅試験である。CMV定量化アッセイは、自動化された検出システムと組み合わせることができる。CMV定量化アッセイを使用して、実質臓器移植レシピエントの管理を助けることができる。抗CMV療法を受けている患者では、連続DNA測定を使用して、治療に対するウイルス応答を評価することができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、CMV定量化アッセイは、リアルタイム検出を有する転写媒介増幅試験である。このアッセイは、試料中のCMVの検出および/または定量化に使用され、検出システムと組み合わせることができる。検出システムは、検体処理、増幅、検出、定量化のためのデータ削減、およびアンプリコン不活性化の自動化を提供する機器であり得る。
【0203】
試薬:対照およびキャリブレーターは、任意選択的に別々のボックスに提供する。各アッセイキットボックスに提供される試薬、キャリブレーター、および対照の詳細を、以下の表9Aに詳述する。各キットは、増幅試薬、プロモーター試薬、および酵素試薬の3つの凍結乾燥材料を含有する。これらは、各凍結乾燥試薬に特異的な再構成試薬を使用して、ユーザーによって再構成される。各キットには、液体形式で提供される標的捕捉試薬(TCR)および標的エンハンサー試薬(TER)が含まれるが、残りの試薬は、凍結乾燥される。キャリブレーターおよび追加の対照は、別々に提供してもよい。
【表9A】
【0204】
例示的な試薬には、以下が挙げられる。
【0205】
「試料輸送培地」または「STM」は、EDTA、EGTA、およびラウリル硫酸リチウム(LLS)を含むリン酸緩衝液(pH6.7)である。
【0206】
「標的捕捉試薬」または「TCR」は、(dT)14オリゴヌクレオチドがそれに共有結合した250μg/mlの磁性粒子(1ミクロンのSera-Mag(商標)MG-CM粒子、Seradyn,Inc.Indianapolis,IN)と共に塩化リチウムおよびEDTAを含むHEPES緩衝液(pH6.4)である。いくつかの実施形態では、TCRは、1つ以上のTCO、および/または1つ以上のT7プライマー、および任意選択的に1つ以上のディスプレーサーオリゴマーを含有する。
【0207】
「標的捕捉洗浄溶液」または「TC洗浄溶液」は、塩化ナトリウム、EDTA、0.3%(v/v)の無水エタノール、0.02%(w/v)のメチルパラベン、0.01%(w/v)のプロピルパラベン、および0.1%(w/v)のラウリル硫酸ナトリウムを含むHEPES緩衝液(pH7.5)である。
【0208】
「増幅試薬」または「AR」は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、4つのリボヌクレオチド三リン酸(rATP、rCTP、rGTP、およびrUTP)を含むHEPES緩衝液(pH7.7)である。プライマーおよび/またはプローブは、増幅試薬中の反応混合物に添加されても、試薬(無プライマー増幅試薬)とは別々に添加されてもよい。
【0209】
増幅または前増幅反応混合物中で使用される場合、「酵素試薬」または「ER」は、MMLV逆転写酵素(RT)、T7 RNAポリメラーゼ、塩、および補因子を含むHEPES緩衝液(pH7.0)である。
【0210】
「標的エンハンサー試薬」(TER)溶液は、1.6NのLiOHを含有する。
【0211】
手順:CMV定量化アッセイは、転写媒介増幅(TMA)のリアルタイムの監視を使用して、CMVウイルスを定量化する。このアッセイは、CMVのUL56遺伝子を標的とする。試料中のウイルスの量は、シグナルを既知の濃度のウイルスDNA(キャリブレーター)から生成されたシグナルと比較することによって決定される。加えて、対照を24時間ごとに実行して、試験の妥当性を確実にする。アッセイは、3つの基本的な処理ステップを使用する検出システムを使用して実施される。
1)ウイルスが溶解され、磁性粒子にハイブリダイズし、検体構成要素から分離される標的捕捉。
2)蛍光シグナルの同時収集によるTMAを使用する標的の増幅。
3)各試料の定量的結果を生成するためのシグナルの処理。
【0212】
標的捕捉中、界面活性剤で処理して、ウイルスエンベロープを可溶化し、タンパク質を変性させ、ウイルスゲノムDNAを放出させることによって、ウイルスDNAを検体から単離する。捕捉オリゴヌクレオチドは、試験検体に存在する場合、CMV DNAの高度に保存された領域にハイブリダイズする。ハイブリダイズされた標的は、磁性粒子に結合し、これは、その後に磁場を使用して試料から分離される。
【0213】
標的増幅は、転写媒介増幅を介して等温的に生じる。T7 RNAポリメラーゼおよび逆転写酵素の2つの酵素を使用して、捕捉されたDNAから順転写および逆転写のサイクルを介して指数関数的にRNAを生成する。
【0214】
検出は、標的増幅中に存在し、アンプリコンにリアルタイムでハイブリダイズする一本鎖核酸トーチを使用して達成する。各トーチは、フルオロフォアおよびクエンチャーを有する。トーチがアンプリコンにハイブリダイズしていない場合、クエンチャーは、フルオロフォアに近接しており、蛍光を抑制する。アンプリコン-トーチ結合は、フルオロフォアからのクエンチャーの分離をもたらし、これにより、光刺激および特定の波長でのシグナル放出に応答したフルオロフォアの励起が可能になる。
【0215】
表9Bは、CMV定量化アッセイで使用することができる処理ステップを示す。
【表9B】
【0216】
アッセイ処理:リアルタイム検出および定量化を、蛍光光度計を使用して実施した。
【0217】
任意選択的に標的エンハンサー試薬(TER)と組み合わせた標的捕捉試薬(TCR)は、CMVを溶解し、磁性粒子への放出されたCMV DNAの捕捉を促進する。TCRに存在するラウリル硫酸リチウムを使用して、ウイルスを溶解する。このプロセスによって放出されたCMV DNAは、CMV特異的オリゴヌクレオチドまたは「捕捉オリゴ」(「標的捕捉オリゴ」とも称される)を使用して磁性粒子上に捕捉される。TCRは、CMVとは無関係のDNAの配列である内部キャリブレーター/内部対照(IC)も含有し得る。ICは、同じ管中の標的と共に処理され、試験の内部対照および内部キャリブレーターの両方として機能する。
【0218】
ステップ1.各管に60μLのTERを添加し、それに続いて500μLの試料を添加する。各反応管に400μLのTCRを添加した。TCR緩衝液は、ウイルスを溶解するための10g/100mLのラウリル硫酸リチウム、標的捕捉のための磁性粒子、ならびに増幅のためのICおよびCMV特異的オリゴヌクレオチドを含有する。流体を混合して、混合物の均一性を確実にする。
【0219】
ステップ2.試料を、任意選択的に43.7℃の移行インキュベーター内でインキュベートして、試料を予熱してから、64℃の高温インキュベーターに移動させる。
【0220】
ステップ3.次いで、試料を64℃に設定した高温インキュベーターに移動させる。64℃でのインキュベーション中、CMVが破壊され、ゲノムDNAが放出される。TCRには、いくつかのオリゴヌクレオチドが存在する。これらの最初のものは、標的に相補的であり、T7プロモーター領域を組み込むT7プロモータープライマーである。このオリゴヌクレオチドの長さのために、それは、標的配列内のミスマッチによる影響が少なく、それにより、等しい遺伝子型の検出を改善する。二本鎖DNAを開放して、標的へのT7プライマーの結合を確実にするのに役立つディスプレーサプライマーも存在する。
【0221】
ステップ4.試料を移行インキュベーターに戻して、冷却プロセスを開始する。TCRには、捕捉オリゴヌクレオチド、およびポリTオリゴヌクレオチドに共役した磁性ビーズが存在する。捕捉オリゴヌクレオチドは、それらが標的を捕捉することを可能にする標的に相補的な配列、およびそれらが磁性ビーズ上のポリTオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることを可能にする30塩基のポリAテールを有する。初期冷却ステップ中およびステップ5でも続いて、標的およびICは、磁性粒子上に捕捉される。
【0222】
ステップ5.試料を、冷却器勾配(17℃~19℃)で冷却し、CMVおよびIC標的と磁性ビーズとの間のより緊密な結合を生じさせる。
【0223】
ステップ6.試料を、磁気パーキングステーションに移動させる。ここで、試料を、磁気洗浄ステーションに入る前に、磁性粒子を管の側面に引っ張る磁石に供する。
【0224】
ステップ7.次いで、試料を磁気洗浄ステーションに移動させ、ここでは、磁性粒子を洗浄することによって、潜在的な干渉物質が反応から除去される。磁石は、磁性粒子を、試料を含有する管の側面に一時的に移動させ、液体が取り除かれる。洗浄緩衝液を添加し、このプロセスを繰り返して、干渉する潜在性がある物質の除去を確実にする。次いで、精製された磁性ビーズを含有する試料を、試薬添加のために増幅充填ステーションに移動させる。
【0225】
増幅およびシグナル検出:増幅は、標的をより簡単に検出することができるように、標的の多数のコピーを作製する。これは、TMA技術分野(参照により組み込まれる特許)を使用して達成される。増幅試薬、プロモーター試薬、および酵素試薬を使用して、増幅を開始および持続し、生成物をリアルタイムで検出した。.これらの試薬は、使用前に再構成される凍結乾燥試薬であり得る。再構成された増幅試薬は、緩衝液であり、CMVおよびICに特異的な非T7オリゴヌクレオチドを含有する。標的への非T7オリゴヌクレオチドの結合に役立つ、ブロックされたヘルパーオリゴマーも存在する。それは、アンプリコンの構築に必要な原材料も含有する。
【0226】
CMV定量化アッセイは、線形増幅および指数関数的増幅の2相の増幅を使用する。第2相の指数関数的増幅は、プロモーター試薬を使用して達成される。再構成されたプロモーター試薬は、CMVおよびIC標的のためのT7オリゴヌクレオチドを含有する緩衝液である。プロモーター試薬は、増幅されたCMVまたはICをリアルタイムで検出する標的特異的トーチと共に、RNAアンプリコンのコピーの構築に必要な材料も含有する。再構成された酵素試薬は、緩衝液であり、CMVおよびIC標的の両方の増幅を開始および持続する2つの酵素を含有する。
【0227】
増幅:最初に、プロモータープライマーは、試料の標的DNAまたはRNAに結合する。置換プライマーを使用して、プロモータープライマー結合を改善することもできる。次いで、逆転写酵素は、プロモータープライマーまたはプロモータープライマーおよび置換プライマーを伸長して、一本鎖DNAを作製する。プロモータープライマーを有する一本鎖DNAが作製される。次いで、順方向プライマーが、ssDNAに結合し、RNAポリメラーゼが、鎖を延長する。単一RNA鎖は、RNAの複数のコピーの鋳型として機能する。
【0228】
ステップ8.増幅試薬(50μL/試験)を試料に添加し、増幅充填ステーションで混合する。
【0229】
ステップ9.試料を43.7℃の移行インキュベーターに移動させて、試料の温度を上昇させる。
【0230】
ステップ10.試料を、酵素試薬(25μL/試験)を添加した増幅充填ステーションに戻す。
【0231】
ステップ11.試料を42.7℃に設定した増幅インキュベーターに移動させる。試料は、このインキュベーター内に5分間留まり、その間に第1の増幅ラウンドが開始される。T7開始プライマーは、CMV標的に相補的であり、T7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列も含有する。酵素試薬に存在する逆転写酵素は、T7開始プライマー-標的複合体に結合し、CMV標的からの相補的DNAの生成を開始する。逆転写酵素は、ディスプレーサーオリゴマーを使用する置換反応も開始して、CMV標的から一本鎖DNAを生成する。ICについても、同様の反応が同時に生じる。この一本鎖DNAは、T7プロモーター領域を組み込む。増幅試薬は、相補的DNA(cDNA)に結合し、二本鎖DNAの作成を開始する非T7プライマーも含有する。次いで、これは、酵素試薬からのRNAポリメラーゼによって使用されて、RNAの複数のコピーが作製される。次いで、このRNAは、非T7プライマーを使用する逆転写酵素によって一本鎖DNAアンプリコンに変換される。この相は、線形増幅または濃縮相として知られている。
【0232】
ステップ12.5分間の線形増幅相の後、試料を増幅充填ステーションに戻し、ここでは、プロモーター試薬が添加および混合される。
【0233】
ステップ13.試料を増幅インキュベーターに戻して、さらなるラウンドの増幅を行う。プロモーター試薬(25μL/試験)は、追加のCMVおよびIC T7プライマーを含有する。プロモーター試薬の添加は、CMVおよびIC標的の追加ラウンドの指数関数的増幅を開始および持続する。増幅インキュベーターは、増幅によって生成された蛍光シグナルを測定する蛍光光度計も組み込む。第2のT7プロモータープライマーの添加は、前のステップで作製された一本鎖cDNAへのDNAの相補鎖の生成を開始する。次いで、これは、RNAポリメラーゼによって使用されて、RNAの複数のコピーが作製される。内部対照は、CMVと同様の機構を使用して、RNA標的および二本鎖DNAからcDNAを作製する。
【0234】
プロモーター試薬には、上記のトーチも存在する。
【0235】
シグナルおよび結果の処理:CMV標的およびICの両方のシグナルを、最初にベースライン減算を実施することによって処理する。ベースライン減算は、各曲線のベースラインを推定し、次いで各データ点からそのレベルの蛍光を除去する。その結果、各曲線のベースラインは、同じレベルから始まる。
【0236】
次いで、全ての試料の最大蛍光が同じになるように、データをスケーリング(正規化)する。次いで、得られた曲線を、標準的な曲線当て嵌めアルゴリズムによって分析する。
【0237】
ベースライン減算および正規化が完了した後、各曲線のTTimeを計算することができる。TTimeは、正規化された蛍光シグナル(y軸)がバックグラウンドシグナルから現れる(x軸上の)時間である。これは、所定のカットオフによって設定される。各反応のTTimeを、標的および対応するIC曲線の両方について計算する。
【0238】
個々の変動を補正するために、CMV TTimeをIC TTimeで割って、「比」を生成する。CMV TTimeは、初期検体中のCMV濃度に反比例する。100IU/mLから1E8IU/mLまで変化する試料によって生成されたCMV曲線を、別個の曲線に分離する。各反応のIC標的濃度が一定であるため、IC TTimeは、比較的一定である。CMVとIC増幅システムとの間のわずかな競合は、IC TTimeがわずかに、しかし予測可能な様式で増加することを意味する。次いで、既知のCMV濃度のキャリブレーターを使用し、TTime比を標的濃度に対してプロットして、CMVおよびIC TTimeの比を使用して、検量線を生成する。検量線を確立すると、得られた比を検量線と比較することによって、未知の試料中のCMVの濃度を計算することができる。
【0239】
保存された検量線。検量線は線形であり、アッセイの勾配は負である。この検量線は、試薬ロットごとに生成することができる。検量線の数式を確立し、線がx軸と交差する点を外挿によって決定する。
【0240】
結果を生成する前に、各試薬キットは、キャリブレーターの3回の複製を実行して較正される。一方は低濃度および他方はより高濃度の2つの陽性対照が存在し、陰性対照が使用される。キャリブレーターは、事前に定義された濃度の緩衝液中にCMVの合成DNAを含有する。検量線は線形の性質のため、ユーザーが実行するキャリブレーターと検量線のx切片との組み合わせを使用して、試薬キットに特異的な検量線を生成する。
【0241】
結果報告:結果は、キャリブレーターおよび対照試料から生成された情報を使用して計算することができる。
【0242】
実施例10.多相(二相性)増幅/検出。
【0243】
「試料輸送培地」または「STM」は、EDTA、EGTA、およびラウリル硫酸リチウム(LLS)を含んだリン酸緩衝液(pH6.7)である。
【0244】
「標的捕捉試薬」または「TCR」は、(dT)14オリゴヌクレオチドがそれに共有結合した125μg/mlの磁性粒子(1ミクロンのSERA-MAG(商標)MG-CM粒子、Seradyn,Inc.Indianapolis,IN)と共に塩化リチウムおよびEDTAを含むHEPES緩衝液(pH6.4)である。TCRは、1つ以上のTCO、1つ以上のT7プライマー、および1つ以上のディスプレーサーを含み得る複数のオリゴを含有する。いくつかの実施形態では、TCRは、1つ以上のディスプレーサーオリゴマーを含有する。
【0245】
「標的捕捉洗浄溶液」または「TC洗浄溶液」は、塩化ナトリウム、EDTA、0.3%(v/v)の無水エタノール、0.02%(w/v)のメチルパラベン、0.01%(w/v)のプロピルパラベン、および0.1%(w/v)のラウリル硫酸ナトリウムを含んだHEPES緩衝液(pH7-8、pH7.5±5、またはpH7.5)である。
【0246】
「増幅試薬」または「AR」は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、4つのリボヌクレオチド三リン酸(NTP:ATP、CTP、GTP、およびUTP)を含んだトリス緩衝液(pH7~8、pH7.5±5、またはpH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH76、pH7.7、pH7.9、もしくはpH8)である。1つ以上のプライマー、ヘルパーオリゴマー、ディスプレーサーオリゴマー、およびまたはプローブオリゴマーが、増幅試薬を通して反応混合物に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のプライマー、ヘルパーオリゴマー、ディスプレーサーオリゴマー、およびまたはプローブオリゴマーは、試薬とは別に反応混合物に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、第1相の増幅反応の場合、増幅試薬は、1つ以上の非プロモータープライマーおよび1つ以上のヘルパーオリゴマーを含有し得る。いくつかの実施形態では、第2相の増幅反応の場合、増幅試薬は、1つ以上のプロモータープライマー、1つ以上のディスプレーサーオリゴマー、および1つ以上のプローブオリゴマーを含有し得る。
【0247】
「プロモーター試薬」またはPRは、塩化マグネシウム、塩化カリウム、4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、4つのリボヌクレオチド三リン酸(NTP:ATP、CTP、GTP、およびUTP)を含んだトリス緩衝液である。プライマー、ヘルパー、およびプローブのいくつかは、プロモーター試薬を通して反応混合物に添加されてもよい。
【0248】
増幅または前増幅反応混合物で使用される場合、「酵素試薬」または「ENZ」は、MMLV逆転写酵素(RT)、T7 RNAポリメラーゼ、塩、および補因子を含んだHEPES緩衝溶液(pH6.5~8、pH7.0±5、またはpH6.5、pH6.6、pH6.7、pH6.8、pH6.9、pH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、pH7.5、pH76、pH7.7、pH7.9、もしくはpH8)である。
【0249】
「標的エンハンサー試薬」(TER)は、1.68MのLiOH水酸化リチウムを含有するアルカリ性溶液である。
【0250】
T7プライマーは、標的捕捉中に標的配列にハイブリダイズし、それに続いて第1の増幅反応前の洗浄ステップT7プライマー中に過剰なT7プライマーを除去する。いくつかの実施形態では、TCOは、標的捕捉中に標的配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ディスプレーサーオリゴマーは、標的捕捉中に標的配列にハイブリダイズする。過剰なTCOおよび/またはディスプレーサーオリゴマーも、第1の増幅反応前の洗浄ステップ中に除去され得る。
【0251】
第1の増幅相(AMP1)中、NT7プライマーおよび任意選択的にヘルパーを含むオリゴが、追加のT7プライマーを除いて、必要な増幅の全ておよび酵素試薬と共に導入される。逆転写酵素の存在下で、捕捉された標的にハイブリダイズしたT7プライマーが伸長され、cDNAコピーが作製される。その後に、NT7プライマーは、cDNAにハイブリダイズして、伸長し、T7プライマーのプロモーター領域を充填し、活性二本鎖DNA鋳型を作製する。次いで、T7ポリメラーゼは、鋳型から複数のRNA転写産物を生成する。その後に、NT7プライマーは、RNA転写産物にハイブリダイズし、伸長し、標的RNA鋳型の無プロモーターcDNAコピーを生成する。RNA鎖は、逆転写酵素のRNase活性によって分解される。1相増幅混合物中には利用可能な遊離T7プライマーがないため、反応はそれ以上進行しない。第2相は、T7プライマー、非T7プライマー、ならびに任意選択的にヘルパーおよび検出オリゴヌクレオチドを含み得る追加のオリゴの添加で開始されるため、1相で生成されたcDNAプールの指数関数的増幅および検出が開始される。
【0252】
多重増幅および検出には、TCO、T7プライマー、NT7プライマー、トーチオリゴヌクレオチド、ならびに任意選択的にディスプレーサーおよびヘルパーの各々の1つ以上が使用される。オリゴヌクレオチドは、同じ標的核酸中の1つ以上の異なる配列を増幅しても、異なる標的核酸中の配列を増幅しても、それらの組み合わせであってもよい。異なる標的核酸は、同じ生物に由来しても、異なる生物に由来してもよい。
【0253】
A.例示的な実験プロトコル1:
【0254】
プレート設定:
【0255】
いくつかの実施形態では、2つの自動化されたKingFisherデバイスで使用するための4つの異なるプレートを設定する。
1.プレート1(TCRプレート)は、試料を含有する。このプレートに、標的捕捉試薬(例えば、100μL)を添加する。TCOおよびT7プライマー、ならびに任意選択的にディスプレーサーオリゴマーが、標的核酸(例えば、400μLの試料)にハイブリダイズする。磁石を使用し、磁性ビーズ(固体支持体上の捕捉プローブ)を使用して、TCO:標的核酸:T7プライマー:(任意選択的なディスプレーサーオリゴマー)(前増幅ハイブリッド)を捕捉する。単相TMAの場合、T7プライマーは、TCR混合物に存在しない可能性がある。いくつかの実施形態では、試料をTERに添加し、それに続いてTCOを含有するTCR、および二相性増幅ではT7プライマーを添加する。いくつかの実施形態では、TERを試料に添加し、それに続いてTCOを含有するTCR、および二相性増幅ではT7プライマーを添加する。いくつかの実施形態では、TERは、TCRおよび試料の混合物に添加されてもよい。TCO、T7プライマー、および任意選択的にディスプレーサーオリゴマーが試料中の標的核酸にハイブリダイズするように、これらの試薬の混合物を、より高い温度である期間にわたってインキュベートしてもよい。TCOは、磁性ビーズにもハイブリダイズする。ハイブリダイズしたTCO、T7プライマー、任意選択的なディスプレーサーオリゴマー(前増幅ハイブリッド)を有する標的核酸を、磁石を使用して、磁性ビーズを分離することによって捕捉する。次いで、試料およびTCRの混合物を管から除去し、ビーズをAptima洗浄緩衝液で2回洗浄する。
2.プレート2は、深ウェルプレートであり、200~500μL/ウェルのAPTIMA洗浄緩衝液を保持する。Aptima洗浄緩衝液は、捕捉された標的(前増幅ハイブリッド)の洗浄に使用される界面活性剤およびアルコールを含有する。
3.プレート3は、200~500μL/ウェルのAPTIMA洗浄緩衝液を含有し、捕捉された標的(増幅前ハイブリッド)の第2の洗浄の提供に使用される。
4.プレート4は、50μL/ウェルのAMPまたはAMP1試薬を含有する。いくつかの実施形態では、AMPまたはAMP1試薬は、緩衝液、塩、dNTP、NTP、および1つ以上のNT7プライマー、ならびに任意選択的におよび/または1つ以上のヘルパーオリゴマーを含有する。
【0256】
標的捕捉および単離:いくつかの実施形態では、試料を、最初に標的エンハンサー試薬と接触させる。二相性TMAの場合、TCO(複数可)、T7プライマー(複数可)、および任意選択的にディスプレーサーオリゴマーを、標的核酸を含有するか、または含有することが疑われる試料に添加する。単相TMAの場合、TCO(複数可)を、標的核酸を含有するか、または含有することが疑われる試料に添加する。いくつかの実施形態では、存在する場合、T7プライマーを、1つの標的核酸に対して約1つのT7プライマーの比で添加する。TCO、T7プライマー、およびディスプレーサーオリゴマーを、ある期間にわたって標的核酸と共にインキュベートして、標的核酸へのこれらのオリゴマーのハイブリダイゼーションを可能にして、前増幅ハイブリッドを形成する。次いで、前増幅ハイブリッドを捕捉し、精製し、過剰なまたはハイブリダイズしていないオリゴマーを除去する。次いで、TCOの場合はポリ(dT)などの結合パートナーを有する磁性粒子を使用して、前増幅ハイブリッドを単離する。
1.プレート1(TCRプレート)をヒートブロックに入れ、62℃まで20~30分間加熱し、それに続いてより低温(例えば、23℃)で20分~2時間インキュベートする。いくつかの実施形態では、TCRプレートを65℃の蓋でカバーして、ウェルの上部に結露が形成されるのを防ぐ。次いで、捕捉された前増幅ハイブリッドを、プレート2に移動させる。
2.第1の洗浄(約10分)後、深ウェルコーム/マグネットカバーをプレート2に追加して、前増幅ハイブリッドを捕捉する。捕捉された前増幅ハイブリッドを、プレート3に移動させる。
3.第2の洗浄後、小さなコーム(マグネットカバー)をプレート3に追加して、前増幅ハイブリッドを捕捉する。洗浄した前増幅ハイブリッドを捕捉し、プレート4に移動させる。第4のプレートを、熱サイクラーに移動させて、リアルタイムで等温増幅および検出する。
【0257】
二相性転写媒介増幅およびリアルタイム検出。
【0258】
第1相の増幅:NT7プライマー(複数可)、酵素、dNTP、NTP、および任意選択的に1つ以上のヘルパーオリゴマー(複数可)(AMP1混合物)を含有するAMP試薬を、前増幅ハイブリッドを含有する精製された標的核酸に。混合物をある期間にわたってインキュベートして、第1の増幅産物の形成を可能にする。
1.NT7プライマー、任意選択的にヘルパーオリゴマー、および精製された標的核酸を含有するAMP1プレートを、ハイブリダイズしたT7プライマーと共に、約42~44℃で5~15分間インキュベートする。
2.逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼを含有する25μLのENZ混合物を添加し、密封および混合し、約42~44℃で5分間インキュベートする。
【0259】
第2相の増幅:T7プライマーを含有するプロモーター試薬(AMP2)、および任意選択的にトーチなどのプローブオリゴマーを第1の増幅産物に添加し、ある期間にわたってインキュベートして、第2の増幅産物の形成を可能にする。いくつかの実施形態では、1つ以上のヘルパーオリゴマー(複数可)およびより多くの非T7プライマーを、第2相の増幅中に添加する。
3.25μLのAMP2(PRとも称される)混合物を各ウェルに添加し、密封し、混合する。いくつかの実施形態では、AMP2混合物は、緩衝液、塩、界面活性剤、dNTP、NTP、1つ以上のT7プライマー、トーチプローブ(複数可)、ならびに任意選択的により多くの非T7プライマーおよび/またはヘルパーオリゴマー(複数可)を含有する。
4.反応プログラム:42~43℃で30秒の120回のサイクル、各サイクルの終了時に標識検出(収集)を実行する。
【0260】
検出:検出オリゴヌクレオチドからの蛍光シグナルを一定の間隔で記録することによって、標的核酸配列の増幅をリアルタイムで検出する。
【0261】
B.例示的な実験プロトコル2:
【0262】
標的捕捉および単離:いくつかの実施形態では、試料を、最初に標的エンハンサー試薬と接触させる。二相性TMAの場合、TCO(複数可)、T7プライマー(複数可)、および任意選択的にディスプレーサーオリゴマーを、標的核酸を含有するか、または含有することが疑われる試料に添加する。単相TMAの場合、TCO(複数可)を、標的核酸を含有するか、または含有することが疑われる試料に添加する。TCO、T7プライマー、およびディスプレーサーオリゴマーを、ある期間にわたって標的核酸と共にインキュベートして、標的核酸へのこれらのオリゴのハイブリダイゼーションを可能にして、前増幅ハイブリッドを形成する。次いで、前増幅ハイブリッドを捕捉し、精製し、過剰なまたはハイブリダイズしていないオリゴを除去する。次いで、TCOの場合はポリ(dT)などの結合パートナーを有する磁性粒子を使用して、前増幅ハイブリッドを単離する。
【0263】
試料、TCR、および任意選択的にTERの混合物を、60~65℃で20~30分間加熱し、それに続いてより低温で20分~2時間インキュベートする。前増幅ハイブリッドを、磁石を使用して捕捉して、それらがハイブリダイズしている磁性ビーズを分離する。試料および試薬の混合物を管から取り除く。管に洗浄緩衝液を添加し、混合し、次いでそれを磁石と共にインキュベートして、磁性ビーズを分離することによって、磁性ビーズを1~2回洗浄する。ビーズが捕捉された後、洗浄緩衝液を各管から除去する。
【0264】
二相性転写媒介増幅およびリアルタイム検出。
【0265】
第1相の増幅:NT7プライマー(複数可)、酵素、dNTP、NTP、および任意選択的に1つ以上のヘルパーオリゴマー(複数可)(AMP1混合物)を含有するAMP試薬を、前増幅ハイブリッドを含有する精製された標的核酸に添加する。混合物をある期間にわたってインキュベートして、第1の増幅産物の形成を可能にする。
a.NT7プライマー、任意選択的にヘルパーオリゴマー、および精製された標的核酸(前増幅ハイブリッド)を含有するAMP1混合物を、約42~44℃で5~15分間インキュベートする。
b.逆転写酵素、T7 RNAポリメラーゼを含有する25μLのENZ混合物を添加し、混合し、約42~44℃で5分間インキュベートする。
【0266】
第2相の増幅:T7プライマーを含有するプロモーター試薬、およびトーチなどのプローブオリゴマーを第1の増幅産物に添加し、ある期間にわたってインキュベートして、第2の増幅産物の形成を可能にする。いくつかの実施形態では、1つ以上のヘルパーオリゴマー(複数可)およびより多くの非T7プライマーを、第2相の増幅中に添加する。
a.25μLのAMP2(別にPRと称される)混合物を各管に添加し、混合する。いくつかの実施形態では、AMP2混合物は、緩衝液、塩、界面活性剤、dNTP、NTP、1つ以上のT7プライマー、トーチプローブ(複数可)、ならびに任意選択的により多くの非T7プライマーおよび/またはヘルパーオリゴマー(複数可)を含有する。
【0267】
反応プログラム:42~43℃で30~60分間のインキュベーション、約30秒間隔でラベル検出(収集)を実行する。
【0268】
検出:検出オリゴヌクレオチドからの蛍光シグナルを一定の間隔で記録することによって、標的核酸配列の増幅をリアルタイムで検出する。
【0269】
実施例11.血漿試料からのリアルタイム二相性TMA CMVアッセイ。CMVのいずれかのUL56遺伝子(配列番号42および44)に対するTCOを使用して、標的捕捉を達成した。2つのTCR(標的捕捉混合物)配合物、A(679mMのLiOHを含有する)およびB(453mMのLiOH)を、プラスミドおよび血漿試料に添加した。いくつかの反応については、標的捕捉相中に100μLまたは200μLの標的エンハンサー試薬(TER)を試料に添加した。いくつかの実施形態では、使用されるTERの量は、25~200μLである。いくつかの実施形態では、使用されるTERの量は、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、または200μLである。いくつかの実施形態では、標的捕捉段階におけるLiOHの量は、50~350mMである。いくつかの実施形態では、標的捕捉段階におけるLiOHの量は、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、約325mM、または約350mMである。
【0270】
TCO(複数可)を、1×TCR緩衝液(400μL/反応)に添加した。いくつかの試料では、内部対照標的核酸も添加された。二相性TMA反応については、示される量のT7プライマーを添加した。
【0271】
単相TMAの場合、T7プライマー、NT7プライマー、およびトーチオリゴをAMP緩衝液に添加して、AMP試薬を形成し、75μLのAMP試薬を各試料に添加した。
【0272】
二相性TMAの場合、NT7オリゴをAMP緩衝液に添加して、AMP1試薬(AR)を形成し、T7オリゴおよびトーチオリゴをAMP緩衝液に添加してAMP2(PR)試薬を形成した。標的捕捉後、50μLのAMP1試薬を各試料に添加した。
【0273】
単相TMAの場合、各試験に25μLのENZを添加し、試料を1400RPMで1分間混合した。反応物を43℃で10分間インキュベートした。
【0274】
二相性TMAの場合、25μLのENZを各試験に添加し、試料を1400RPMで1分間混合した。AMP1反応物を43℃で5分間インキュベートした。次いで、25μLのAMP2を各試料に添加し、プレートを1400RPMで1分間混合した。次いで、試料を43℃でインキュベートし、蛍光をリアルタイムで測定した。
【0275】
各実験には、表11-3に列挙した内部対照オリゴマーを含有する対照反応が含まれた。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】
【0276】
要約:示されるオリゴヌクレオチドを使用すると、200μLのTERを有する配合物B TCRを使用した場合、プラスミド試料および血漿試料の両方でCMV UL56が容易に検出された。200μLのTERを有する配合物A TCRが血漿試料中のCMV
UL56を検出する性能は、それほど良好ではなかった。
【0277】
実施例12.CMV検出限界。上記の実験は、109IU/mL~250IU/mLのCMVの検出限界(LOD)を示した。ウイルス負荷緩衝液および酵素の組み込み、ならびに塩、オリゴ、およびdNTP/NTP濃度を含む様々なパラメータを変化させて、試料中のCMVの検出を改善した。様々なパラメータを調整することで、LODが37IU/mLに、定量化限界(LOQ)が40IU/mLに改善した。加えて、条件が改善されると、より速いCVM TTimeが観察された。
【0278】
これらの研究には、CMV UL56をコードする1×10~1×10コピー/mLのプラスミドをキャリブレーターとして使用した。いくつかの研究では、30コピー/mLのCMV UL56プラスミドパネルの増幅を分析した。他の研究では、処理された血漿(部品番号BI0052)中で約70、30、10、および3コピー/mLに希釈した、培養ウイルスの増幅を分析した。正確な値は、確定的には決定されていない。それにもかかわらず、これらの低濃度のウイルスパネルを使用して、試験した様々な条件の感度を比較することができた。
【表12-1】
【表12-2】
【0279】
AMP試薬中の7.5%のDMSOの添加は、感度の改善をもたらした。DMSOの添加は、より高い感度、より速いCMV TTime、およびより少ない変動を示した(表12-5および12-6)。
【0280】
pH滴定研究を、HEPES/トレハロース緩衝液配合物で行った。結果は、より高いAMP1pHが感度を改善することを示した。AMP1およびAMP2の高いpHは、AMP1単独がpHを増加させるのと比較して、感度を低下させた。さらなる評価のために、8.5のpH(トリス塩基を11.4~22mMに増加させた)を選択した。
【0281】
いくつかの反応では、AMP試薬中のMgCLの増加も、感度を改善した。
【0282】
初期研究に基づいて、以下に記載のように追加の最適化を実施した。CMVの検出をさらに改善するために、AMP緩衝液中にディスプレーサーオリゴおよびヘルパーNT7オリゴを添加した場合と同様に、追加のTCOを試験した。CMVの検出および精度を改善した(すなわち、標準偏差を低下させる)、2つのディスプレーサーオリゴ(配列番号12および配列番号41)ならびに3つのヘルパーNT7オリゴ(配列番号14、配列番号17、および配列番号18)を特定した。
【表12-3】
【表12-4】
【表12-5】
【表12-6】
【表12-7】
【0283】
両方のディスプレーサが感度を改善したが、配列番号41のディスプレーサーは、配列番号12のディスプレーサーよりも感度のより大きな増加を提供した。結果を表12-5に示す。
【0284】
ヘルパーNT7オリゴの添加は、CMV定量化の標準偏差ログコピーを低下させることによって、CMVの精度を改善した。配列番号14のヘルパーNT7オリゴは、最低の標準偏差を示した。.結果を表12-6に示す。
【0285】
より少ない量のTER/LiOH、ならびにディスプレーサおよびNT7ヘルパーオリゴヌクレオチドの添加を含む上記に特定された改善を組み合わせて、CMV検出をさらに試験した。次いで、これらの条件を、元のアッセイ条件(Aptimaアッセイ試薬)と並行して実行した。結果を表12-7に示す。
【0286】
表12-8に示されるように、感度は、増加した純度を有する新たに合成されたオリゴヌクレオチドを使用して、さらに増加した。
【表12-8】
【0287】
TCRの添加前にTERを試料に添加すると、感度の有意な改善が観察された。最初にTERを試料管またはウェルに添加し、それに続いて試料を添加した。混合後、TCRをTER処理試料に添加した。結果を表12-9に示す。
【表12-9】
【表12-10】
【0288】
結論:感度およびTTimeは、上記の条件を使用して改善した。この新たな配合物およびTER添加の順序により、37IU/mLのLODおよび40IU/mLのLOQが達成された。いくつかの実施形態では、組成物は、CMV検出オリゴヌクレオチド(TCO、T7プライマー、NT7プライマー、ディスプレーサーオリゴヌクレオチド、ヘルパーオリゴヌクレオチド、およびトーチオリゴヌクレオチド)、ならびに内部対照オリゴヌクレオチド(TCO、T7プライマー、NT7プライマー、およびトーチオリゴヌクレオチド)を含有する。
【0289】
実施例13.トーチ特定。11個のトーチを、勾配を排除し、精度および陽性を最適化するように設計および試験した。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
【0290】
試験したもののうち、配列番号20、配列番号60、および配列番号70のトーチは、陰性試料中で勾配を示した。配列番号54のトーチは、トーチ配列番号20よりも低いRFU範囲およびR2356に対する低い陽性を有した。全てのオリゴを、変異CMV配列でさらに試験して、それらが変異の存在下でも正確に定量化されることを確認した。配列番号62、配列番号64、配列番号66、および配列番号68のトーチは、変異体4のより低い検出感度を示した。結果の要約は、表13-4に見出すことができる。
【表13-4】
【0291】
トーチ(配列番号56)および(配列番号58)は、FAMバックグラウンド減算曲線(CMV標的チャネル)において陰性試料に対していかなる勾配も生成しなかった。配列番号56および配列番号58のトーチは、mutant4パネルでの改善された陽性、同等の回収率、および全てのパネルでの改善された感度も示した。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL56遺伝子配列に由来する核酸の標的領域を増幅するためのキットであって、(a)配列番号2に存在する19~31ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含む順方向プライマーと、(b)配列番号3に存在する21~40ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する21~40個の連続核酸塩基を含む逆方向プライマーと、を含む、キット。
(項目2)
前記順方向プライマー、前記逆方向プライマー、または前記順方向プライマーおよび前記逆方向プライマーの両方が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、項目1に記載のキット。
(項目3)
前記修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンを含む、項目2に記載のキット。
(項目4)
前記順方向プライマーが、配列番号10、配列番号11、または配列番号19の核酸塩基配列を含む、項目1~3のいずれか一項に記載のキット。
(項目5)
前記順方向プライマーが、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19の核酸塩基配列を含む非プロモータープライマーである、項目4のいずれかに記載のキット。
(項目6)
前記逆方向プライマーが、配列番号23、配列番号24、または配列番号25の核酸塩基配列を含む、項目1~5のいずれか一項に記載のキット。
(項目7)
前記逆方向プライマーが、配列番号6、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号47の核酸塩基配列を含む、項目6に記載のキット。
(項目8)
RNAポリメラーゼプロモーター配列が、前記順方向プライマーまたは前記逆方向プライマーの5’末端に連結されている、項目1~4または6~7のいずれか一項に記載のキット。
(項目9)
前記RNAポリメラーゼプロモーター配列が、T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列である、項目8に記載のキット。
(項目10)
前記T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列が、配列番号78のヌクレオチド配列を含む、項目9に記載のキット。
(項目11)
前記逆方向プライマーが、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、または配列番号46の核酸塩基配列を含む、項目10に記載のキット。
(項目12)
前記順方向プライマーが、配列番号11を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号23を含む、項目1~10のいずれか一項に記載のキット。
(項目13)
プローブオリゴマーをさらに含む、項目1~12のいずれか一項に記載のキット。
(項目14)
前記プローブオリゴマーが、(a)配列番号51もしくは配列番号52の核酸塩基配列を含み、1つ以上のウラシルヌクレオチドが、チミンヌクレオチドに対して置換され得るか、または(b)配列番号81にハイブリダイズする24~35個の連続核酸塩基を含むヌクレオチド配列を含む、項目13に記載のキット。
(項目15)
前記プローブオリゴマーが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、項目14に記載のキット。
(項目16)
前記修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンを含む、項目15に記載のプローブオリゴマー。
(項目17)
前記プローブオリゴマーが、配列番号21、配列番号26、配列番号39、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号69、または配列番号71の核酸塩基配列を含む、項目14~16のいずれか一項に記載のキット。
(項目18)
前記プローブオリゴマーが、検出可能な標識を含有する、項目14~17のいずれか一項に記載のキット。
(項目19)
前記検出可能な標識が、蛍光分子を含む、項目18に記載のキット。
(項目20)
前記蛍光分子が、前記プローブオリゴマーの5’または3’末端に結合している、項目19に記載のキット。
(項目21)
前記プローブオリゴマーが、前記プローブオリゴマーの5’末端の4~5個の核酸塩基に相補的である、前記プローブオリゴマーの3’末端に4~5個の核酸塩基を含有する、項目14~20のいずれか一項に記載のキット。
(項目22)
蛍光分子が、前記プローブオリゴマーの5’末端に結合し、クエンチャーが、前記プローブオリゴマーの3’末端に結合するか、または蛍光分子が、前記プローブオリゴマーの3’末端に結合し、クエンチャーが、前記プローブオリゴマーの5’末端に結合する、項目21に記載のキット。
(項目23)
前記プローブオリゴマーが、配列番号20、配列番号22、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、または配列番号70の核酸塩基配列を含む、項目22に記載のキット。
(項目24)
前記順方向プライマーが、配列番号11を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号23を含み、前記プローブオリゴヌクレオチドが、配列番号53を含む、項目14~22のいずれか一項に記載のキット。
(項目25)
配列番号2に存在する19~31ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含むヘルパーオリゴマーをさらに含む、項目1~24のいずれか一項に記載のキット。
(項目26)
前記ヘルパーオリゴマーが、ブロックされている、項目25に記載のキット。
(項目27)
前記ヘルパーオリゴマーが、配列番号10または配列番号19のヌクレオチド配列を含む、項目25または26に記載のキット。
(項目28)
前記ヘルパーオリゴマーが、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目27に記載のキット。
(項目29)
配列番号5に存在する21~25ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する21~27個の連続核酸塩基を含むディスプレーサーオリゴマーをさらに含む、項目1~28のいずれか一項に記載のキット。
(項目30)
前記ディスプレーサーオリゴマーが、配列番号12、配列番号25、または配列番号41のヌクレオチド配列を含む、項目29に記載のキット。
(項目31)
前記ディスプレーサーオリゴマーが、配列番号6、配列番号12、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号86、配列番号87、および配列番号88からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目30に記載のキット。(項目32)
配列番号6、配列番号8、配列番号43、または配列番号45のヌクレオチド配列を含む標的捕捉オリゴマー(TCO)をさらに含む、項目1~31のいずれか一項に記載のキット。
(項目33)
前記TCOが、前記TCOの単離を可能にする部分を含有する、項目32に記載のキット。
(項目34)
前記部分が、ポリAヌクレオチド配列を含む、項目33に記載のキット。
(項目35)
前記部分が、(dT)(dA)30を含む、項目33に記載のキット。
(項目36)
前記TCOが、配列番号7、配列番号9、配列番号42、または配列番号44のヌクレオチド配列を含む、項目35に記載のキット。
(項目37)
前記キットが、配列番号42のヌクレオチド配列を含む第1のTCOと、配列番号44のヌクレオチド配列を含む第2のTCOと、を含む、項目32~36のいずれか一項に記載のキット。
(項目38)
標的捕捉試薬、標的捕捉洗浄溶液、標的エンハンサー試薬、増幅試薬、酵素試薬、プロモーター試薬、CMV陽性対照核酸、陰性対照核酸、試料輸送培地、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、dNTP、NTP、緩衝液、ならびに陽性および/または陰性対照試料のうちの1つ以上をさらに含む、項目1~37のいずれか一項に記載のキット。
(項目39)
試料に存在するヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL56遺伝子配列に由来する核酸の標的領域を増幅するための方法であって、
(a)前記試料を、CMV UL56アンプリコンを増幅するように構成された順方向プライマーおよび逆方向プライマーと接触させることであって、前記順方向プライマーが、配列番号2に存在する19~31ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する19~31個の連続核酸塩基を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号3に存在する21~40ヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する21~40個の連続核酸塩基を含む、接触させることと、
(b)前記試料を、前記標的領域を増幅するのに十分な条件に曝露し、それにより、増幅産物を生成することと、を含む、方法。
(項目40)
前記順方向プライマーおよび/または前記逆方向プライマーが、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記少なくとも1つの修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、または5’-メチルシトシンを含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記順方向プライマーが、配列番号10、配列番号11、または配列番号19の核酸塩基配列を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号23、配列番号24、配列番号25、または配列番号47の核酸塩基配列を含む、項目39~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記順方向プライマーが、配列番号11、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号17、配列番号18、または配列番号19の核酸塩基配列を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号6、配列番号23、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号41、配列番号47の核酸塩基配列を含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列が、前記逆方向プライマーの5’末端に連結されている、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記逆方向プライマーが、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、または配列番号46の核酸塩基配列を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記順方向プライマーが、配列番号11を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号23を含む、項目39~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記増幅産物の存在または不在を検出することをさらに含む、項目39~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記増幅産物の存在または不在を検出することが、前記増幅産物に特異的にハイブリダイズするプローブオリゴマーを利用する、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記プローブオリゴマーが、配列番号51もしくは配列番号52の核酸塩基配列を含み、1つ以上のウラシルヌクレオチドが、チミンヌクレオチドに対して置換され得るか、または(b)配列番号81にハイブリダイズする24~35個の連続核酸塩基を含むヌクレオチド配列を含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記プローブオリゴマーが、配列番号21、配列番号26、配列番号39、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号65、配列番号67、配列番号69、または配列番号71の核酸塩基配列を含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記プローブオリゴマーが、前記プローブオリゴマーの5’末端の4~5個の核酸塩基に相補的である、前記プローブオリゴマーの3’末端に4~5個の核酸塩基を含有する、項目48~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
蛍光分子が、前記プローブオリゴマーの5’末端に結合し、クエンチャーが、前記プローブオリゴマーの3’末端に結合するか、または蛍光分子が、前記プローブオリゴマーの3’末端に結合し、クエンチャーが、前記プローブオリゴマーの5’末端に結合する、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記プローブオリゴマーが、配列番号20、配列番号22、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、または配列番号70の核酸塩基配列を含む、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記順方向プライマーが、配列番号11を含み、前記逆方向プライマーが、配列番号23を含み、前記プローブオリゴヌクレオチドが、配列番号53を含む、項目39~44および46~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記増幅することが、熱サイクリング反応を含む、項目39~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記熱サイクリング反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記増幅することが、等温核酸増幅反応を含む、項目39~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記等温核酸増幅反応が、転写媒介増幅(TMA)を含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記増幅することが、核酸配列ベースの増幅、レプリカーゼ媒介増幅、Qβ-レプリカーゼ媒介増幅、リガーゼ連鎖反応(LCR)、または鎖置換増幅(SDA)を含む、項目39~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記増幅されたCMV UL56アンプリコンの存在または不在を検出することが、前記増幅されたCMV UL56アンプリコンを定量化することをさらに含む、項目47~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記増幅されたCMV UL56アンプリコンを定量化することが、前記CMVアンプリコンの産生を監視することを含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
検出することおよび/または定量化することが、リアルタイムで分析される、項目47~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
試料中のヒトサイトメガロウイルス(CMV)UL56遺伝子標的核酸配列を定量化する方法であって、
(a)前記試料を、配列番号43または配列番号45の核酸塩基配列を含む少なくとも1つの標的捕捉オリゴマー(TCO)および配列番号47の核酸塩基配列を含む第1のプロモータープライマーと、前記CMV UL56遺伝子標的核酸配列への前記少なくとも1つのTCOおよび第1のプロモータープライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させ、それにより、前記少なくとも1つのTCOおよび前記第1のプロモータープライマーの各々にハイブリダイズした標的核酸配列を含む前増幅ハイブリッドを生成することと、
(b)固体支持体への標的捕捉およびそれに続く洗浄によって前記前増幅ハイブリッドを単離して、ステップ(a)で前記CMV UL56遺伝子標的核酸配列にハイブリダイズしなかった前記第1のプロモータープライマーのいずれも除去することと、
(c)第1相の実質的に等温の転写関連増幅反応において、その線形増幅は支持するが、その指数関数的増幅は支持しない条件下で、配列番号19の核酸塩基配列を含む非プロモータープライマーを含む第1相の増幅反応混合物中で、ステップ(b)で単離された前記前増幅ハイブリッドの前記CMV UL56遺伝子標的核酸配列の少なくとも一部分を増幅し、それにより、第1の増幅産物を含む反応混合物をもたらすことであって、前記第1の増幅産物が、前記第1相の実質的に等温の転写関連増幅反応中の核酸合成の鋳型ではない、もたらすことと、
(d)前記第1の増幅産物を、配列番号47の核酸塩基配列を含む第2のプロモータープライマーおよび配列番号57の核酸塩基配列を含むプローブオリゴマーを含む第2相の増幅反応混合物と組み合わせ、前記第2相の増幅反応混合物中の第2相の実質的に等温の転写関連増幅反応において、前記第1の増幅産物の指数関数的増幅を実施し、それにより、第2の増幅産物を合成することと、
(f)一定の時間間隔で前記プローブオリゴマーを用いて、前記第2相の増幅反応混合物中の前記第2の増幅産物の合成を検出することと、
(g)ステップ(f)の結果を使用して、前記試料中の前記標的核酸配列を定量化することと、を含む、方法。
(項目64)
前記少なくとも1つのTCOが、配列番号43の核酸塩基配列を含む第1のTCOと、配列番号45の核酸塩基配列を含む第2のTCOと、を含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記第1および第2のプロモータープライマーが各々、RNAポリメラーゼの5’プロモーター配列を含む、項目63または64に記載の方法。
(項目66)
前記RNAポリメラーゼが、T7 RNAポリメラーゼである、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記固体支持体が、固定化捕捉プローブを含む、項目63~67のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
前記固体支持体が、磁気的に引き付け可能な粒子を含む、項目67に記載の方法。
(項目69)
前記第1相および第2相の等温転写関連増幅反応の前記各々が、RNAポリメラーゼおよび逆転写酵素を含み、前記逆転写酵素が、内因性RNaseH活性を含む、項目63~68のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
ステップ(c)の前記第1の増幅産物が、前記試料中の前記標的核酸配列と同じ極性を有するcDNA分子であり、ステップ(d)の前記第2の増幅産物が、RNA分子である、項目63~69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
ステップ(d)の前記プローブオリゴマーが、前記第2の増幅産物にハイブリダイズするときに検出可能なシグナルを生成する立体配置高感度プローブである、項目63~70のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
ステップ(d)の前記プローブオリゴマーが、蛍光標識された配列特異的ハイブリダイゼーションプローブである、項目63~71のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
前記第1のTCOが、配列番号42の核酸塩基配列を含み、前記第2のTCOが、配列番号44の核酸塩基配列を含み、前記第1および第2のプロモータープライマーが各々、配列番号46の核酸塩基配列を含み、前記プローブオリゴマーが、配列番号56の核酸塩基配列を含む、項目64~72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記第1相の増幅反応混合物および/または第2相の増幅反応混合物が、ヘルパーオリゴマーおよび/またはディスプレーサーオリゴマーをさらに含む、項目63~73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記ヘルパーオリゴマーが、19~31核酸塩基長であり、配列番号14の核酸塩基配列を含み、前記ディスプレーサーオリゴマーが、21~27核酸塩基長であり、配列番号41の核酸塩基配列を含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記ヘルパーオリゴマー、前記ディスプレーサーオリゴマー、または前記ヘルパーオリゴマーおよび前記ディスプレーサーオリゴマーの両方が、ブロックされている、項目74または75に記載の方法。
【配列表】
2024116383000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0275
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0275】
各実験には、表11-3に列挙した内部対照オリゴマーを含有する対照反応が含まれた。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【表11-4】
【表11-5】

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0287
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0287】
TCRの添加前にTERを試料に添加すると、感度の有意な改善が観察された。最初にTERを試料管またはウェルに添加し、それに続いて試料を添加した。混合後、TCRをTER処理試料に添加した。結果を表12-9に示す。
【表12-9】
【表12-10】
【外国語明細書】