(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116384
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】断熱容器、断熱容器の製造方法、断熱容器の内容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/34 20060101AFI20240820BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B65D25/34 A
B65D81/38 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098380
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2022076791の分割
【原出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】P 2016028413
(32)【優先日】2016-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591148370
【氏名又は名称】吉村化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】吉村 孝勝
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易な着脱構造で高い断熱性を有した断熱容器を提供する。
【解決手段】断熱容器100は、カップ状の内容器102と、内容器の周囲に着脱容易に取り付けられる筒状の外装体103とを含み、外装体は、略截頭錐形に形成され、截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、截頭錐形の截頭面にあたり、第1の開口端と略相似形状、かつ第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と、第1の開口端から第2の開口端に向かって縮形する側周面とを備え、内容器は、上方に開放するカップ状の底部122に設けられる外装体支持部125と、底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、外装体を内容器に装着した状態で、第2の開口端は、外装体支持部に支持され、側周部と側壁部とが間隔を有するように、外容器が内容器に装着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の内容器と、該内容器の周囲に着脱容易に取り付けられる筒状の外装体とを含む断熱容器であって、
前記外装体は、略截頭錐形に形成され、該截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、
該截頭錐形の截頭面にあたり、前記第1 の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と、
前記第1の開口端から前記第2の開口端に向かって縮径する側周面とを備え、
前記内容器は、上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、前記底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、
前記外装体を前記内容器に装着した状態で、前記第2の開口端は、前記外装体支持部に支持され、前記側周面と前記側壁部とが間隔を有するように、前記外装体が前記内容器に装着され、
前記側壁部は、その上側に縮径の割合が大きい第1の側壁部と、その下側に前記第1の側壁部よりも縮径の割合が小さい第2の側壁部とを有する、断熱容器。
【請求項2】
前記内容器は、1枚のシート材料が折り返されて形成されている、請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
前記内容器は、さらに、前記外装体の前記第1の開口端に対応する位置に設けられた膨出部を備え、
前記膨出部は、上端から径方向に延出する外延部を有し、
前記外延部が、前記膨出部の上端から水平方向に延出したのち、一度下方に折れられている、請求項1または請求項2に記載の断熱容器。
【請求項4】
周方向に僅かに変形を許容するカップ状の内容器と、
前記内容器の周囲に着脱容易に取り付けられ、周方向に僅かに変形を許容する筒状の外装体とを含む断熱容器において、
前記外装体は、截頭錐形に形成され、該截頭錐形の截頭面を下方に、底面を上方に向けた筒状体であり、
該截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、
該截頭錐形の截頭面にあたり、前記第1の開口端と略相似形状かつ、前記第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と、
前記第1の開口端から前記第2の開口端に向かって縮径する側周面とを備え、
前記内容器は、
上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、
前記底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、
前記側壁部は、その上側に縮径の割合が大きい第1の側壁部と、その下側に前記第1の側壁部よりも縮径の割合が小さい第2の側壁部とを有し、
前記外装体支持部は、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端よりも小さく、前記第2の開口端よりも大きい相似比を有する断熱容器を利用した断熱容器の形成方法であって、
上方に開放した前記内容器の下方から、前記外装体支持部を超えて前記第1の開口端を通し、続いて、前記内容器または前記外装体を僅かに変形させ、前記外装体支持部を超えて前記第2の開口端を通すことと、
前記第2の開口端を前記外装体支持部の上側に接触させることとを含む、断熱容器の製造方法。
【請求項5】
周方向に僅かに変形を許容するカップ状の内容器であって、
周囲に着脱容易に取り付けられ、周方向に僅かに変形を許容する筒状の外装体を装着可能に形成され、
前記外装体は、截頭錐形に形成され、該截頭錐形の截頭面を下方に、底面を上方に向けた筒状体であり、
該截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、
該截頭錐形の截頭面にあたり、前記第1の開口端と略相似形状かつ、前記第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と、
前記第1の開口端から前記第2の開口端に向かって縮径する側周面とを備え、
上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、
前記底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、
前記側壁部は、その上側に縮径の割合が大きい第1の側壁部と、その下側に前記第1の側壁部よりも縮径の割合が小さい第2の側壁部とを有し、
前記外装体支持部は、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端よりも小さく、前記第2の開口端よりも大きい相似比を有し、前記外装体を装着した状態で、第2の開口端は、前記突出部の上側に接し、
前記側周部と前記側壁部とが間隙を有するように、前記内容器が前記外装体を支持することを特徴とする、断熱容器の内容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ形状の断熱容器に関し、さらに詳細には、内容器と外装体とからなり、内容器と外装体とが着脱容易な断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内容器と外装体によって構成される複合容器には、特許文献1に示すようなものがある。この複合容器では、円形に開放するカップ状の内容器の外側に円筒状の外装体が設けられており、内容器が、径方向に膨出する膨出部を底部付近に備え、外装体が膨出部に係止されることにより着脱自在とされている。すなわち、膨出部が係止手段として作用する。
【0003】
この複合容器では、外装体が内容器の側壁部に即した形状を有し、側壁部が内容器の側壁部に接して、特に係止手段を設けなくとも装着可能となっているが、係止手段を設けることで、内容器と外装体とが、分離したり相互に回転したりすることなく、強固に結合されている。
【0004】
また、別の容器として、特許文献2に示すような内容器と外装体によって構成される複合容器がある。この複合容器は、内容器の側壁部と外装体の側周部とが接することなく中空構造とされることにより、断熱性を高め、食品を保温する効果を奏し、例えば、インスタントラーメン等の即席食品の容器として利用されている。
【0005】
この複合容器では、内容器と外装体とが上端部および下端部において接着されることにより、外装体が内容器に固定して装着される。これにより、断熱性を高めるべく中空構造を採用しても、内容器と外装体とが、分離することのなく、強固に結合されている。
【0006】
また、別の容器として、特許文献3に示すような内容器と外装体によって構成される複合容器がある。この複合容器は、特許文献2と同様に、内容器の側壁部と外装体の側周部とが接することなく中空構造とされることにより、断熱性を高め、食品の保温の効果を奏する。
【0007】
この複合容器では、外装体の下端部が内側に折り畳まれ、内容器に形成された凹部に嵌合することにより外装体が内容器に固定して装着される。これにより、断熱性を高めるべく中空構造を採用しても、中空構造を成す内容器と外装体とが分離しにくい状態で強固に結合されている。
【0008】
以上のように、従来の内容器と外装体とからなる複合容器は、外装体を内容器に強固に結合するために、種々の工夫がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-284683号公報
【特許文献2】特開平05-016977号公報
【特許文献3】特開2007-191180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1の複合容器では、外装体を内容器に強固に結合するために、外装部の側周面が内容器の側壁部に接している。したがって、この複合容器の断熱性は高くない。また、特許文献2の断熱容器では、中空構造とすることで断熱性は高いが、外装体を内容器に接着しているため、着脱が容易ではない。さらに、特許文献3の複合容器では、特許文献2の複合容器と同様に、中空構造とすることで断熱性は高いが、外装体の下部を折り曲げ内容器に嵌合させるため、外装体の加工が煩雑となる。
【0011】
本発明は、上記のような複合容器の課題を解決すべくなされたもので、簡易な着脱構造で高い断熱性を有した断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る断熱容器は、カップ状の内容器と、該内容器の周囲に着脱容易に取り付けられる筒状の外装体とを含む。前記外装体は、略截頭錐形に形成され、該截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、該截頭錐形の截頭面にあたり、前記第1の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と、前記第1の開口端から前記第2の開口端に向かって縮径する側周面とを備え、前記内容器は、上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、前記底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、前記外装体を前記内容器に装着した状態で、前記第2の開口端は、前記外装体支持部に支持され、前記側周部と前記側壁部とが間隔を有するように、前記外容器が前記内容器に装着されることを特徴とする。
【0013】
前記内容器は、上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、前記底部から上方に向けて、側面視で、略直線状に延びる側壁部とを備え、前記外装体支持部は、平面視で、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端に対し相似比が小さく、前記第2の開口端よりも相似比が大きくなるように形成されており、前記外装体が前記内容器に装着した状態で、第2の開口端は前記外装体支持部に接し、前記側周部と前記側壁部とが間隔を有するように、前記外容器が前記内容器に装着される。
【0014】
本発明に係る断熱容器によれば、内容器の側壁部と外装体の側周部とが間隔を有するように内容器の形状と外装体の形状が決定されている。これにより、該間隔の空気が断熱材として作用し、内容器と外容器とが一体となって断熱容器として機能する。さらに、外装体は、端部が折り曲げられることなく、筒状に形成されており、載頭錐形の底面および載頭面にあたる第1および第2の開口端が端面となっている。この第2の開口端が内容器の外装体支持部に接することにより、外装体を内容器に接着や嵌合させることなく支持することができ、外装体を内容器に対して着脱容易に設けることができる。これにより、簡易な着脱構造で高い断熱性を有した断熱容器を提供できる。
【0015】
前記断熱容器において、前記外装体支持部は、上方からの平面視で、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端よりも小さく、前記第2の開口端よりも大きい相似比を有するように、前記底部から径方向に突出する突出部を形成していてもよい。
【0016】
そのようにすれば、簡易な構造で内容器を製造することできるため、断熱容器、特に内容器の製造が容易になる。また、内容器のスタックも容易になり、内容器の保管スペースも小さくできる。
【0017】
また、前記内容器は、前記底部に設けられる高台を備え、前記高台は、下方に向けて拡径し、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端よりも小さく、前記第2の開口端よりも大きい相似比を有し、前記高台の一部は、前記外装体支持部として機能するようにしてもよい。
【0018】
そのようにすれば、断熱容器を持つときに、底部から下方に伸びる高台の下端とカップ状の開口部の上端とを上下から挟むように指で把持することができ、内容物の熱が指に伝わることを抑止し、火傷等を防止することができる。
【0019】
さらに、前記した高台を備える断熱容器において、前記内容器は1枚のシート材料から形成されており、前記高台は、前記1枚のシートが折り返されて形成されててもよい。
【0020】
そのようにすれば、外装体を支持する高台が二重構造となり、外装体を堅固に支持することができる。
【0021】
前記内容器は、さらに、前記外装体の前記第2の開口端が前記突出部の上側に接した状態で前記外装体の前記第1の開口端に対応する位置に設けられた膨出部を備え、前記膨出部は、平面視で、最外端を結ぶ仮想線が前記第1の開口端と略同一形状かつ略同一相似比となるように膨出する。
【0022】
そのような断熱容器によれば、外装体は、内容器に対して相対的に上方に移動しても、側面視で、略直線状に延び、下方ほど相互に間隔の縮まる側周面が内容器の膨出部に接することになり、膨出部を乗り越えることがないため、上方に抜けて分離することが防止される。
【0023】
前記内容器は、前記膨出部の開放方向の端部から、さらに径方向に延出する外延部を備え、前記外延部の延端は、前記第1の開口端と相似形状かつ前記第1の開口端に対して相似比が大きくてもよい。
【0024】
そのような断熱容器によれば、外装体は、内容器に対して相対的に上方に移動しても、外装体の第1の開口端が内容器の外延部に接することになり、外延部を乗り越えることがないため、上方に抜けることを防止される。
【0025】
前記外装体は紙材料から形成され、前記内容器は結晶性プラスティック材料から形成されていてもよい。結晶性ポリエチレンテレフタレート(以下、「C‐PET」とも称する)に代表される結晶性のプラスティックは、耐熱性が高い(例えば、C‐PETであれば220度の耐熱性がある。)が、二次収縮の割合が大きく、かつ文字の印刷等の装飾に不向きという特徴を有する。したがって、内容器が結晶性のプラスティック材料であれば、高温の収容物を収容することができる反面、形状の設計に二次収縮を考慮する必要があり、かつ装飾する場合は表面加工等が必要になる場合がある。
【0026】
しかし、そのような断熱容器によれば、前記内容器は結晶性プラスティック材料から形成されているので、耐熱性の高い容器を提供できるにもかかわらず、紙材料から形成される外装体により中空構造が形成されるので、高い断熱性を有し、高温の収容物を収容する際に大きな効果を奏する。すなわち、断熱性効果の影響が大きい高温の収容物にも対応できる。
【0027】
さらに、外装体は、第2の開口端を内容器の外装体支持部に接する形状となっており、内容器に接着や嵌合することなく支持されており、結晶性プラスティック材料の内容器が二次収縮で縮んだ場合であっても、外装体支持部に第2の開口端が接し続けるように外装体支持部の形状を設計すれば、安定して外装体が支持される。また、内容器の側面を覆うように外装体が装着されることになるため、外装体に装飾を施すことにより、断熱容器全体として装飾が容易となる。
【0028】
本発明にかかる断熱容器の製造方法は、周方向に若干の変形を許容するカップ状の内容器と、前記内容器の周囲に着脱容易に取り付けられ、周方向に若干の変形を許容する筒状の外装体とを含む断熱容器において、前記外装体は、截頭錐形に形成され、該截頭錐形の截頭面を下方に、底面を上方に向けた筒状体であり、該截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、該截頭錐形の截頭面にあたり、前記第1の開口端と略相似形状かつ、前記第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と前記第1の開口端から前記第2の開口端に向かって縮径する側周面とを備え、前記内容器は、上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、前記底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、前記外装体支持部は、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端よりも小さく、前記第2の開口端よりも大きい相似比を有する断熱容器を利用する。
【0029】
前記断熱容器の製造方法は、前記外装体支持部を超えて前記第1の開口端を通し、続いて、前記内容器または前記外装体を若干変形させ、前記外装体支持部を超えて前記第2の開口端を通すことと、前記第2の開口端を前記外装体支持部に接触させることとを含む。
【0030】
本発明に係る断熱容器の製造方法によれば、内容器の側壁部と外装体の側周部とが間隔を有するように内容器の形状と外装体の形状が決定され、該間隔の空気が断熱材として作用し、断熱容器として機能する断熱容器を提供できる。さらに、外装体は、端部が折り曲げられることなく、筒状に形成されており、第2の開口端が外装体支持部に接することにより、外装体を内容器に接着や嵌合させることなく支持することができ、外装体を内容器に対して着脱容易に断熱容器を製造できる。
【0031】
本発明に係る断熱容器の内容器は、周方向に若干の変形を許容するカップ状であり、周囲に着脱容易に取り付けられ、周方向に若干の変形を許容する筒状の外装体を装着可能に形成される。前記外装体は、截頭錐形に形成され、該截頭錐形の截頭面を下方に、底面を上方に向けた筒状体であり、該截頭錐形の底面にあたる第1の開口端と、該截頭錐形の截頭面にあたり、前記第1の開口端と略相似形状かつ、前記第1の開口端より小さい相似比を有する第2の開口端と前記第1の開口端から前記第2の開口端に向かって縮径する側周面とを備える。このうち容器は、上方に開放する前記カップ状の底部に設けられる外装体支持部と、前記底部から上方に向けて伸びる側壁部とを備え、前記外装体支持部は、最外端を結ぶ仮想線が前記第1および第2の開口端と略相似形状、かつ前記第1の開口端よりも小さく、前記第2の開口端よりも大きい相似比を有し、前記外装体を装着した状態で、第2の開口端は、前記外装体支持部に接し、前記側周部と前記側壁部とが間隙を有するように、前記内容器が前記外装体を支持することを特徴とする。
【0032】
本発明に係る断熱容器の内容器によれば、内容器の側壁部と外装体の側周部とが間隔を有するように内容器の形状と外装体の形状が決定され、該間隔の空気が断熱材として作用し、断熱容器として機能する断熱容器を提供できる。さらに、外装体は、端部が折り曲げられることなく、筒状に形成されており、第2の開口端が外装体支持部に接することにより、外装体を内容器に接着や嵌合させることなく支持することができ、外装体を内容器に対して着脱容易に断熱容器を製造できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、簡易な着脱構造で高い断熱性を有する断熱容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の外装体の斜視図である。
【
図3】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の外装体の展開図である。
【
図4】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の内容器の概略斜視図である。
【
図5】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の内容器の正面図である。
【
図6】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の内容器の平面図である。
【
図7】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の内容器の底面図である。
【
図8】本発明の実施の第1の形態に係る断熱容器の内容器の側断面図である。
【
図9】
図1に示す断熱容器のV1の部分を拡大して示す断面斜視図である。
【
図10】
図1に示す断熱容器のW1の部分を拡大して示す断面斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る断熱容器の製造方法を示すフロー図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る断熱容器の利用方法を示すフロー図である。
【
図13】本発明の実施の第2の形態に係る断熱容器の概略斜視図である。
【
図14】本発明の実施の第2の形態に係る断熱容器の内容器の概略斜視図である。
【
図15】本発明の実施の第2の形態に係る断熱容器の内容器の正面図である。
【
図16】本発明の実施の第2の形態に係る断熱容器の内容器の平面図である。
【
図17】本発明の実施の第2の形態に係る断熱容器の内容器の底面図である。
【
図18】本発明の実施の第2の形態に係る断熱容器の内容器の側断面図である。
【
図19】
図1に示す断熱容器のV2の部分を拡大して示す側断面図である。
【
図20】
図1に示す断熱容器のW2の部分を拡大して示す側断面図である。
【
図21】本発明の実施の形態に係る断熱容器の内容器の第1の変形例(突出部が不連続の内容器)を示す図である。
【
図22】本発明の実施の形態に係る断熱容器の内容器の第2の変形例(開口が四角形の内容器)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態に係る断熱容器について、図面を参照しつつ説明する。断熱容器には、第1の実施の形態として断熱容器100と、第2の実施の形態として断熱容器200とを含む。
【0036】
まず、第1の実施の形態に係る断熱容器100について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る断熱容器100の斜視図を示す。
図1(A)は、断熱容器100の上方斜視図であり、
図1(B)は、断熱容器100の下方斜視図である。断熱容器100は、二重容器であり、カップ状の内容器102と、筒状の外装体103とを含む。断熱容器100は、上方に開放する開口111と、底112を備える。外装体103は、内容器102に着脱容易に取り付けられる。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態に係る断熱容器100の外装体103の斜視図である。
図2(A)は第1の開口端131を上方に、第2の開口端132を下方に向けた図であり、
図2(B)は第1の開口端131を下方に、第2の開口端132を上方に向けた図である。
【0038】
外装体103は、筒状の載頭円錐形に形成されている。したがって、
図2(A)は、載頭円錐形の外装体103の載頭面を下にした状態、すなわち、逆載頭円錐形の状態を示し、
図2(B)は、載頭円錐形の外装体103の載頭面を上にした状態、すなわち、載頭円錐形の状態を示す。
【0039】
外装体103は、筒状に形成されており、
図2(A)に示すように、載頭円錐形の底面にあたる第1の開口端131を備え、
図2(B)に示すように、載頭円錐形の載頭面にあたる第2の開口端132を備える。また、外装体103は、第1の開口端131から第2の開口端132に向かって縮径する側周面133を備える。
【0040】
第1の開口端131と第2の開口端132とは、載頭円錐形の中心線に対して垂直な関係におかれ、平行面となっている。すなわち、外装体103は、正円錐を底面に平行となるように載頭した載頭円錐形である。第1および第2の開口端131,132は、内側、または外側に折り畳まれることなく端縁となっている。
【0041】
第1および第2の開口端131,132は、正円の形状で、かつ第1の開口端131は第2の開口端132よりも大きくなっている。すなわち、第2の開口端132は、第1の開口端131と相似形状、かつ第1の開口端131に対し相似比が小さくなっている。これにより、外装体103は、本実施の形態では、載頭円錐形の筒状に形成されている。
【0042】
側周面133は、載頭円錐形の底面にあたる第1の開口端131から載頭面にかけて一定の割合で均一に縮径する。すなわち、側周面133は、側面視で、下方ほど間隔が狭くなるように(逆ハの字に)直線状に延びる。側周面133は、外側または内側に印刷加工が施され、文字や図形等が印刷されていてもよい。
【0043】
図3は、外装体103を展開した展開図を示す。外装体103は、扇の扇面の形状をした1枚の紙材料103aを巻くことにより形成される。紙材料103aは、扇面の両端に、重ね合わせて結合する一対の貼合部103bを備え、貼合部103bを結合することにより、載頭円錐形に形成される。紙材料103aは、プラスティック材料に比較して、印刷加工が容易である。本実施の形態において、第1の開口端、第2の開口端は直線状に形成されてるが、第1の開口端、第2の開口端は、外装体として後述する内容器に支持されれば、波線状等の他の形状に形成されていてもよい。
【0044】
図4は、本発明の実施の形態に係る断熱容器100の内容器102の斜視図である。また、
図5は内容器102の正面図、
図6は内容器102の平面図、
図7は内容器102の底面図、
図8は内容器102の側断面図である。なお、背面図と、右側面図と、左側面図とは、正面図と同一になる。
【0045】
内容器102は、カップ状に形成されており、上方に開放する円形の開口部121と、カップの底を形成する底部122とを有する。さらに、内容器102は、開口部121に膨出部124と、底部122に突出部125と、膨出部124と突出125をつなぐ側壁部126とを備える。膨出部124は、突出部125と相似形状、かつ突出部125に対して相似比が大きい。したがって、側壁部126は、下方に縮径するように形成されている。
【0046】
内容器102は、膨出部124が周方向にわたって膨出することでフランジFを形成し、さらに膨出部124の上端から径(外周)方向に延出する外延部127を有する。外延部127は、膨出部の上端から水平方向に延出したのち、一度下方に折れ、再び水平方向に延出している。外延部127は、周方向にわたって延出することで環状に形成されている。
【0047】
膨出部124は、平面視で、径方向の最外端を結ぶ仮想線124Iが外装体103の第1の開口端131と相似形状、かつ第1の開口端131に対して相似比は僅かに小さくなるように形成されている。本実施の形態において、フランジFの外周が正円に形成されており、膨出部124の最外端を結ぶ仮想線124Iと一致する。膨出部124は、側面視で、矩形状に形成されており、側壁部126との境界である下側に段128を形成する。側壁部126は段128から下方に向けて縮径する。
【0048】
突出部125は、平面視で、径方向の最外端を結ぶ仮想線125Iが外装体103の第1の開口端131および第2の開口端132と相似形状、かつ第1の開口端131に対して相似比は小さく、第2の開口端132に対して相似比は大きくなるように形成されている。突出部125は径方向に突出し、周方向にわたって突出することで鍔部Gを形成する。
【0049】
本実施の形態において、鍔部Gの外周が正円に形成されており、突出部125の最外端を結ぶ仮想線125Iと一致する。すなわち、鍔部Gの外周は、外縁が第1の開口端131よりも小さく、第2の開口端132よりも小さい正円形の環状に形成されている。
【0050】
突出部125は、側面視で、くの字形状に形成され、上側の傾斜部125aと下側の傾斜部125bを有し、側壁部126と上側の傾斜部125aとの境界に括れ129を形成する。側壁部126は括れ129から上方に向けて拡径する。しかし、突出部125は、例えば、側面視で、コの字の形状に形成されていてもよく、上側の水平部と下側の水平部を有し、側壁部と上側の傾斜部との境界に段を形成してもよい。
【0051】
側壁部126は、全体的に下方にかけて縮径しており、外装体103の側周部と概ね平行な形状となる。しかし、詳細には、側壁部126の上側の略1/4は、縮径の割合が大きい第1の側壁部126aとなり、側壁部126の下側の略3/4は、縮径の割合が小さい第2の側壁部126bとなる。側壁部126は、外装体103の側周部と略同一の長さ寸法を有する。側壁部126は、側面視で、略直線的に延び、第1の側壁部126aと第2の側壁部126bとは、それぞれ異なる角度で直線状に延びている。
【0052】
断熱容器100の開口111は、内容器102の開口部121に相当し、断熱容器の底112は、後述する内容器102の底部122に相当する。
【0053】
内容器102は、結晶性プラスティックを材料として真空成型により形成される。結晶性のプラスティックとして、結晶性のポリプロピレン(PP)、結晶性のポリエチレンテレフタレート(PET)、結晶性のポリ乳酸(PLA)等がある。結晶性プラスティック 10は、装飾に不向きであり、また、熱収縮が起こりやすい。内容器102は、一般的に、真空成型時に一次収縮し、高温の充填物を充填された時に二次収縮する。ポリ乳酸は廃棄が容易で、エコ材料として利用される。
【0054】
図1、
図9および
図10を参照して、外装体103が内容器102に装着されている状態を説明する。
図9は、本発明の実施の形態に係る断熱容器100において、
図1のVの部分の拡大断面斜視図を示し、
図10は、
図1のWの部分の拡大断面斜視図を示す。
【0055】
断熱容器100は、内容器102の側壁部126と外装体103の側周面133とが間隔を有するように内容器102に外装体103が装着され、これにより、中空構造となる。断熱容器100は、中空構造となることにより、断熱効果が高まる。
【0056】
外装体103は、内容器102に着脱可能に支持される。本実施の形態では、外装体103が筒状に形成された後、内容器102の下側からはめ込まれることにより装着される。はめ込みの作業は相対的なもので、内容器102を固定し、下側から外装体103をはめ込んでもよいし、外装体103を固定し、上側から内容器102をはめ込んでもよい。
【0057】
外装体103の第2の開口端132は、
図9に示すように、突出部125の上側の傾斜部125aに接して、外装体103は、鍔部Gに下方から支持される。内容器102は収縮すること場合があるが、その場合であっても、上側の傾斜部125aのいずれかの位置に接する。したがって、本実施の形態において、突出部125は、外装体支持部として機能し、特に、上側の傾斜部125aが外装体支持部として機能している。
【0058】
外装体103の第1の開口端131の内側付近は、膨出部124の下側の角124aに接し、外装体103は、フランジFに支持される。しかし、外装体103は、フランジFに支持されなくても、第2の開口端132が鍔部Gに支持されていれば、内容器102に装着されて維持される。たとえば、内容器102が設計値以上に収縮した場合であって、外装体103の第1の開口端131の内側付近がフランジFに接しない状態であっても、外装体103の第2の開口端32が内容器102の鍔部Gに接していれば、中空構造を維持される。
【0059】
外装体103は、断熱容器100が作業者に把持されるなどの場合に、径方向の内側にむけて応力を受ける。このとき、外装体103は、フランジFと鍔部Gとに接して支持され、外装体103が大きく変形しなければ、断熱容器100は中空構造を維持される。
【0060】
外装体103は、断熱容器100が作業者に外装体103を把持され、持ち上げられる場合に、内容器102に対して相対的に上方に移動しようとする。このとき、外装体103の縮径する側周面133が内容器102の下側の角124aに接している場合は、外装体103がフランジFに支持されて、上方向および内方向に対して、中空構造が維持される。
【0061】
他方、外装体103の縮径する側周面133が内容器102の膨出部124の下側の角124aに接していない場合は、外装体103の第1の開口端131が内容器102の外延部127に接するまで外装体103が内容器102に対して相対的に上方に移動する。これにより、外装体103は、上方向に対しては外延部127に支持され、内方向に対しては膨出部124の下側の角124aに支持されることになり、中空構造が維持される。
【0062】
外装体103が内容器102に対して相対的に上方向に移動するとき、膨出部124の下の角124aが1側周面133の内側に接する前に、第1の開口端131が、内容器102の外延部127に接する場合がある。このときは、外装体103が上方に応力を受けており、内容器102が外装体103に支持される。
【0063】
本発明の実施の形態に係る断熱容器100の製造方法について
図11を用いて説明する。
図11は、断熱容器100の製造方法のフロー図である。
【0064】
まず、上記で説明した内容器102と外装体103とが準備される(M-1)。内容器102は、例えば、真空成型ののちに、多数を重ねられたスタック群として保管されており、そのスタック群から1つずつ取り出して準備される。外装体103は、展開された紙材料103aの状態で束として保管されており、その束から1枚ずつ取り出して、貼合部103bを重ね合わせて貼り合わせることで載頭円錐形に形成されて準備される。
【0065】
次いで、外装体103が、内容器102の底側からはめ込まれる。このとき、まずは、外装体103の第1の開口端31が、内容器102の鍔部Gを超え相対移動する(M-2)。外装体103の第1の開口端131は、内容器102の鍔部Gに対して相似比が大きいので、障害なく内容器102の鍔部Gを通過する。
【0066】
続いて、第2の開口端132が内容器102の鍔部Gを超えていく(M-3)。外装体103の第2の開口端132は、内容器102の鍔部Gに対して相似比が小さいため、外装体103および内容器102の少なくともいずれか一方が僅かに変形し、第2の開口端132が鍔部Gを乗り越える。これにより、外装体103が、内容器102の底側からはめ 込まれる。本実施の形態において、外装体103は、第2の開口端132が内容器102の鍔部Gに支持されればよく、その他の部分がはめ込みの障害とならないように設計されている。
【0067】
次いで、外装体103の第2の開口端132が鍔部Gの上側に接する(M-4)。外装体103は重力により下方向に移動する力が働き、鍔部Gを乗り越えた外装体103の第2の開口端132は、内容器102の鍔部Gに対して相似比が小さいため、突出部125の上側の傾斜部125aに接する。これにより、外装体103は、内容器102の鍔部Gに支持されて装着される。
【0068】
以上のように、断熱容器100が製造される。このとき、内容器102の側壁部126と外装体103の側周部133は、側面視で、略同一の長さ寸法を有するため、外装体103の第1の開口端131は、内容器102の膨出部124付近に位置する。また、内容器102の側壁部126と外装体103の側周面33とは、間隔を置いており、断熱容器100は中空構造となっている。
【0069】
本実施の形態において、筒状に形成された外装体103を内容器102に装着して断熱容器100が形成されたが、展開された外装体103を内容器102に巻き付けるようにして筒状に形成して、外装体3を内容器102に装着してもよい。
【0070】
次に、本発明の実施の形態に係る断熱容器100の利用方法について
図12を用いて説明する。
図12は、断熱容器100の利用方法のフロー図である。
【0071】
まず、断熱容器100の内容器102が準備される(U-1)。内容器102は、多数が重ねられたスタック束として保管されており、その束から1つずつ取り出して準備される。
【0072】
次いで、内容器102に充填物が充填される(U-2)。この充填物が高温であると内容器102は二次収縮する。
【0073】
次いで、断熱容器100が封緘される(U-3)。断熱容器100は、充填物が充填された状態で、内容器102の膨出部24の上側に、開口部121よりも若干大きい蓋(図示しない)が接着されて封止される。
【0074】
次いで、高温の充填物が充填された内容器102に外装体103が装着される(U-4)。これにより断熱容器100が製造される。この装着は、先に説明した断熱容器100の製造方法と同様である。
【0075】
次いで、断熱容器100が保管される(U-5)。充填物を充填した断熱容器100は、商品として、段ボール箱のような集積容器に集積されて倉庫で貯留されたり、市場に流通して店舗に陳列されることにより、保管される。
【0076】
次いで、断熱容器100が加熱される(U-6)。断熱容器100は、商品として、個別に販売され、個別に加熱される。例えば、電子レンジ等により100度前後に加熱される。このとき、内容器102は、充填物が加熱されることにより高温となるが、外装体103は、中空構造により直接伝熱を受けることがない。したがって、断熱容器100は、中空構造により高い保温効果を奏する。また、作業者が断熱容器100を把持しようとしても、火傷のような熱被害を受けることがない。
【0077】
次いで、断熱容器100から充填物が取り出される(U-7)。断熱容器100は、例えば、充填物が食されることにより充填物が取り出される。充填物を取り出された断熱容器100は空になる。
【0078】
次いで、空になった断熱容器100が内容器102と外装体103とに分離される(U
-8)。外装体103は、内容器102から相対的に下方向けて移動するように取り外される。このとき、外装体103の第2の開口端132が内容器102の鍔部Gを乗り越える必要があり、作業者の応力により、内容器102および外装体103の少なくともいずれか一方が変形して、外装体103が取り外される。このとき、外装体103を支持する上側の傾斜部125aは、外装体103の第2の開口端132を外周方向に案内し、外装体103の取り外しを容易にする。
【0079】
内容器102と外装体103とが廃棄処理される(U-9)。内容器102と外装体103とは分離しているため、別々に処理できる。紙の外装体103と結晶性プラスティックの内容器102とは、廃棄処理のプロセスが異なるが、別々に処理できるため、廃棄処理が容易になる。
【0080】
本実施の形態において、内容器102に充填物を充填した後に外装体103を装着したが、外装体3を装着した後に充填物を充填してもよい。しかし、充填作業により紙の外装体103が吸湿等により劣化する場合があるため、充填作業を先にする方がよい。
【0081】
また、本実施の形態において、断熱容器100を封緘して保管する例を示したが、断熱容器100は、内容物を充填され、封緘されることなく取り出されるような手順で利用されてもよい。また、本実施の形態において、内容物を充填された状態で加熱する例を示したが、断熱容器100は、高温の内容物を直接充填されてもよい。
【0082】
つぎに、第2の実施の形態に係る断熱容器200について説明する。
図13は、本発明の実施の形態に係る断熱容器200の斜視図を示す。
図13(A)は、断熱容器200の上方斜視図であり、
図13(B)は、断熱容器200の下方斜視図である。断熱容器200は、二重容器であり、カップ状の内容器202と、筒状の外装体203とを含む。
【0083】
断熱容器200は、上方に開放する開口211と、底212を備える。外装体203は、内容器202に着脱容易に取り付けられる。外装体203は筒状に形成されており、第1の開口端231と、第2の開口端232と、側周面233とを備え、
図13に示すように略截頭円錐形に形成されている。すなわち、外装体203は、第1の実施の形態の外装体103と、サイズは異なるが、同様の構成を有する。よって、詳細な説明は省略する。
【0084】
図14は、本発明の実施の形態に係る断熱容器200の内容器202の斜視図である。また、
図15は内容器202の正面図、
図16は内容器202の平面図、
図17は内容器202の底面図、
図18は側断面図である。なお、背面図と、右側面図と、左側面図とは、正面図と同一になる。
【0085】
内容器202は、カップ状に形成されており、主に、上方に開放する円形の開口部221と、カップの底を形成する底部222と、開口部221と底部222をつなぐ側壁部226とを備える。さらに、内容器202は、開口部221に膨出部224を備え、また、底部222の底面に高台225を備える。
【0086】
内容器202の膨出部224は、第1の実施の形態の膨出部124と同一の構成を有し、さらに膨出部224の上端から径(外周)方向に延出する外延部227を有する。外延部227は、周方向にわたって延出することで環状に形成されている。膨出部224は、高台225と相似形状、かつ高台225に対して相似比が大きい。したがって、側壁部226は、下方に縮径するように形成されている。
【0087】
内容器202は、第1の実施の形態の内容器102と同様に、膨出部224が周方向にわたって膨出することでフランジFを形成し、さらに膨出部224の上端から径(外周)方向に延出する外延部227を有する。外延部227は、膨出部の上端から水平方向に延出している。外延部227は、周方向にわたって延出することで環状に形成されている。
【0088】
膨出部224は、平面視で、径方向の最外端を結ぶ仮想線224Iが外装体203の第1の開口端231と相似形状、かつ第1の開口端231に対して相似比は僅かに小さくなるように形成されている。本実施の形態において、フランジFの外周が正円に形成されており、膨出部224の最外端を結ぶ仮想線224Iと一致する。膨出部224は、側面視で、矩形状に形成されており、側壁部226との境界である下側に段228を形成する。側壁部226は段228から下方に向けて縮径する。
【0089】
高台225は、平面視で、下端に相当する径方向の最外端を結ぶ仮想線225Iが外装体203の第1の開口端231および第2の開口端232と相似形状、かつ第1の開口端231に対して相似比は小さく、第2の開口端232に対して相似比は大きくなるように形成されている。
【0090】
高台225は、下方ほど径方向に広がるように傾斜する傾斜部225aを有し、側壁部226と傾斜部225aとの境界に括れ229を形成する。高台225は括れ229から下方に向けて拡径する。
【0091】
側壁部226は、全体的に下方にかけて縮径しており、外装体203の側周部と概ね平行な形状となる。側壁部226は、外装体203の側周部233と略同一の長さ寸法を有する。側壁部226は、第1の実施の形態の内容器102と同様に、側面視で第1の側壁部と第2の側壁部とを有し、それぞれ異なる角度で略直線状に延びている。しかし、側壁部は、単純に直線状に延びていてもよい。
【0092】
内容器202は、第1の実施の形態の内容器102と同様に、結晶性プラスティックを材料として真空成型により形成される。
【0093】
図13、
図19および
図20を参照して、外装体203が内容器202に装着されている状態を説明する。本発明の実施の形態に係る断熱容器200において、
図18は、
図13のV2の部分の拡大側断面図を示し、
図19は、
図13のW2の部分の拡大側断面図を示す。
【0094】
断熱容器200は、内容器202の側壁部226と外装体203の側周面233とが間隔を有するように内容器202に外装体203が装着され、これにより、中空構造となる。断熱容器200は、中空構造となることにより、断熱効果が高まる。
【0095】
外装体203は、内容器202に着脱可能に支持される。本実施の形態では、外装体203が筒状に形成された後、内容器202の下側からはめ込まれることにより装着される。はめ込みの作業は相対的なもので、内容器202を固定し、下側から外装体203をはめ込んでもよいし、外装体203を固定し、上側から内容器202をはめ込んでもよい。
【0096】
外装体203の第2の開口端232は、
図19に示すように、高台225の傾斜部225aに接して、外装体203は、高台225に下方から支持される。内容器202は収縮すること場合があるが、その場合であっても、括れ229から傾斜部225aのいずれかの位置に接する。すなわち、高台225は、外装体支持部として機能する。
【0097】
外装体203の第1の開口端231の内側付近は、第1の実施の形態の断熱容器100と同様の関係で、内容器202の膨出部224の下側の角224aに接し、外装体203は、フランジFに支持される。しかし、外装体203は、フランジFに支持されなくても、第2の開口端が高台225に支持されていれば、内容器202に装着されて維持されている。たとえば、内容器202が設計値以上に収縮した場合であって、外装体203の第1の開口端の内側付近がフランジFに接しない状態であっても、外装体203の第2の開口端が内容器102の高台225に接していれば、中空構造を維持される。
【0098】
外装体103は、断熱容器200が作業者に把持されるなどの場合に、径方向の内側にむけて応力を受けることがある。このとき、外装体203は、フランジFと高台225とに接して支持され、外装体203が大きく変形しなければ、断熱容器200は中空構造を維持される。
【0099】
外装体203は、断熱容器200が作業者に水平方向から把持され、持ち上げられる場合に、内容器202に対して相対的に上方に移動しようとする。このとき、外装体203の縮径する側周面33が内容器202の下側の角24aに接している場合は、外装体203がフランジFに支持されて、上方向および内方向に対して、中空構造が維持される。
【0100】
他方、外装体103の縮径する側周面233が内容器202の下側の角224aに接していない場合は、外装体203の第1の開口端231が内容器202の外延部227に接するまで外装体203が内容器202に対して相対的に上方に移動する。これにより、外装体203は、上方向に対しては外延部227に支持され、内方向に対しては膨出部224の下側の角224aに支持されることになり、中空構造が維持される。
【0101】
外装体203が内容器202に対して相対的に上方向に移動するとき、膨出部224の下の角224aが側周面233の内側に接する前に、第1の開口端231が、内容器202の外延部227に接する場合がある。このときは、外装体103が上方に応力を受けており、内容器202が外装体203に支持される。
【0102】
また、
図19および
図20に示すように、内容器203は、1枚のシート材料から形成されており、開口部211、側壁部226等は、1枚のシート材料が延びて一重に形成されているが、高台225は、1枚のシートが折り返されて二重に形成されている。したがって、高台225は、内容器の他の部分よりも強度が高い。ここで1枚のシートとは、単層のシートの他に多層のシートも含む。
【0103】
本発明の第2の実施の形態に係る断熱容器200は、第1の実施例に係る断熱容器100と同様の製造方法を適用でき、同様の利用方法を適用できる。
【0104】
次に、本発明の第1の変形例について、
図21を参照しつつ説明する。
図21は、第1の変形例に係る内容器12の斜視図を示し、
図21(A)は、内容器12の上方斜視図であり、
図21(B)は、内容器12の下方斜視図である。
【0105】
内容器12は、突出部25が周方向にわたって連続していない点で、第1の実施の形態の内容器102と異なり、その他の点では、同様の構成を有する。
【0106】
内容器12は、径方向に突出する突出部25を備える。突出部25は、周方向に間隔をおいて設けられているが、外装体支持部として機能する。突出部25の最外端を結ぶ仮想線25Iは、正円形となり、外装体103の第1の開口端131および第2の開口端132と相似形状、かつ第1の開口端131に対して相似比が小さく、第2の開口端132に対して相似比が大きい。
【0107】
次に、本発明の第2の変形例について、
図22を参照しつつ説明する。
図22は、第2の変形例に係る内容器22の斜視図を示し、
図22(A)は、内容器22の上方斜視図であり、
図22(B)は、内容器22の下方斜視図である。
【0108】
第2の変形例に係る内容器22は、開口部が四角形であり、全体的に略載頭四角錐である点で、実施の形態の内容器102と異なる。内容器22は、四角の開口部を有するカップ状に形成されている。外装体(図示しない)は、内容器22に着脱容易に、載頭四角錐に形成される。
【0109】
第1および第2の変形例は、第1の実施の形態に係る断熱容器100の内容器102の変形例を示した。しかし、第2の実施の形態に係る断熱容器200の内容器202の変形例もある。すなわち、内容器202の高台225を周方向にわたって連続していないように形成でき、内容器202の開口部221の形状を四角形等の円形以外の形状にすることもできる。
【0110】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、断熱容器に使用できる。
【符号の説明】
【0112】
100,200 断熱容器
12,22,102,202 内容器
121,221 開口部
122,222 底部
124,224 膨出部
124I,224I 膨出部の外端を結ぶ仮想線
125 突出部(外装体支持部)
125a 突出部の上側の傾斜部
125I 突出部の外端を結ぶ仮想線
225 高台(外装体支持部)
225a 高台の傾斜部
225I 高台の外端を結ぶ仮想線
126,226 側壁部
127,227 外延部
128,228 段
129,229 括れ
103,203 外装体
103a 紙材料
131,231 第1の開口端
132,232 第2の開口端
133,233 側周面