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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116391
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】歯車機構、減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/023 20120101AFI20240820BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20240820BHJP
   F16H 1/14 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F16H57/023
F16H1/06
F16H1/14
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098861
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2019127916の分割
【原出願日】2019-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】中村 江児
(72)【発明者】
【氏名】沖村 隆行
(57)【要約】
【課題】軸線方向に沿って見たサイズの小型化を可能とする。
【解決手段】第一軸と、第一軸と角度をなす第二軸21aと、第一軸の回転を第二軸に伝達する複数の第一歯車11b,11cを有する第一歯車群と、第一軸側から伝達された第二軸の回転を出力側30に伝達する複数の第二歯車を有して複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車21の回転中心と最も出力側に位置する最後の第二歯車22の回転中心とを結ぶ直線L1が第二軸に沿った方向に見て第一軸と交差している第二歯車群と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸と、
前記第一軸と角度をなす第二軸と、
前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、
前記第一軸側から伝達された前記第二軸の回転を出力側に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も前記出力側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と角度をなす第二歯車群と、
を備える歯車機構。
【請求項2】
前記最初の第二歯車の回転中心と前記最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第一軸となす前記角度が前記第二軸に沿った方向に見て直角である請求項1記載の歯車機構。
【請求項3】
前記第一歯車群が、前記第一軸に取り付ける第一傘歯車と、前記第一傘歯車に噛み合って前記第二軸に取り付ける第二傘歯車と、
を備える請求項1または2記載の歯車機構。
【請求項4】
前記第一歯車群を収納する第一ケースと、
前記第二歯車群を収納して前記第一ケースに取り付ける第二ケースと、
前記出力側となる第三軸を有する出力部を収納して前記第一ケースに近接する位置として前記第二ケースに取り付けるとともに前記第三軸に対する周方向に形成された壁部の厚みのうち前記第一ケースに近接する部分のみ減少するカット面を有する出力部ケースと、を備える請求項1から3のいずれか記載の歯車機構。
【請求項5】
前記第一ケースは、前記第二軸に沿った方向に見た前記第一軸に沿った方向の寸法が前記出力部ケースにおける前記第二軸に沿った方向に見た前記第一軸に沿った方向の寸法よりも小さい請求項4記載の歯車機構。
【請求項6】
第一軸と、
前記第一軸と角度をなす第二軸と、
前記第二軸の軸方向と同じ方向を軸方向とする第三軸と、
前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、
前記第二軸の回転を前記第三軸に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も第三軸側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と交差している第二歯車群と、
を備える歯車機構。
【請求項7】
回転駆動力を入力する前記第一軸と、
前記第一軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力する出力部と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第二軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記入力軸線を延長した位置に前記第二軸を配置し前記第一歯車群によって前記第一軸から回転駆動力が伝達される前記最初の第二歯車と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第三軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記最初の第二歯車の回転中心から前記入力軸線に向かう方向に対して前記最初の第二歯車の回転中心から交差した方向となる位置に前記第三軸を配置して前記出力部に回転駆動力を伝達する前記最後の第二歯車と、
を備える請求項6記載の歯車機構。
【請求項8】
回転駆動力を入力する前記第一軸と、
前記第一軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力されて駆動される出力部と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第二軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記出力軸線の位置を中心とする所定の円周上に前記第二軸を配置して前記円周における前記最初の第二歯車の回転中心での接線となるように配置されている前記第一軸から前記第一歯車群によって回転駆動力が伝達される前記最初の第二歯車と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第三軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記最初の第二歯車の回転中心より前記出力軸線に近接する位置に前記第三軸を配置して前記出力部に回転駆動力を伝達する前記最後の第二歯車と、
を備える請求項6記載の歯車機構。
【請求項9】
前記第一歯車群が、互いに噛み合うベベルギアである請求項6から8のいずれか記載の歯車機構。
【請求項10】
第一軸と、
前記第一軸と角度をなす第二軸と、
前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、
前記第一軸側から伝達された前記第二軸の回転を出力側に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も前記出力側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と角度をなす第二歯車群と、
前記第一軸を回転駆動する回転駆動源と、
前記最後の第二歯車の回転を出力する前記出力側である減速部と、
を備える減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯車機構、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットや工作機械等では、モータ等の回転駆動源の回転を減速するために減速機が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の減速機の入力歯車に対しては、モータの出力歯車との間に、駆動力を伝達するように噛み合う歯車機構が介装されることがある。
【0003】
このような歯車機構の介装された減速機をターンテーブル等の駆動に用いた場合には、上下方向すなわち減速機の軸線に沿った方向における厚さ寸法を小さく扁平に配置することが望ましい。このため、減速機の軸線に対してモータの軸線方向が交差するように配置した歯車機構が知られている。
【0004】
この場合、減速機の軸線に沿った方向に見て、減速機の軸線を中心として、歯車機構の輪列およびモータ軸が径方向外側に直列に配置されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5231530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ターンテーブルなどでは、減速機およびモータ等の回転駆動源がいずれもターンテーブルで覆われていることが好ましい。つまり、ターテーブルの中心から軸線方向に沿って見た際に、モータの輪郭における最外周となる位置がテーブルの外径よりも小さくなるように配置されることが好ましい。
しかし、減速機およびモータの寸法がテーブルの外径よりも大きいと、モータがテーブルの載置面からはみ出してしまいターンテーブルの小型化を妨げるおそれがある。結果として、所定の出力を要求される減速機およびモータの大きさに応じて、それ以上テーブルの小型化が制限されてしまうこととなる。
【0007】
本発明は、扁平化と軸線方向に沿って見た領域の小型化とを両立可能な歯車機構、減速機を提供可能とするという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る歯車機構は、第一軸と、前記第一軸と角度をなす第二軸と、前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、前記第一軸側から伝達された前記第二軸の回転を出力側に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も前記出力側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と角度をなす第二歯車群と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る歯車機構によれば、第二軸に沿った方向に見て、第一軸の延びる方向に対して、最初の第二歯車の回転中心から最後の第二歯車の回転中心へと向かう方向が交差している。これにより、第二軸に沿った方向に見て、最後の第二歯車の回転中心が第一軸を延長した位置からオフセットしている。したがって、第二軸に沿った方向に見て、第一軸の延長する位置に最後の第二歯車の回転中心が配置された状態に比べて、第一軸側から出力側へと向かう回転の伝達に必要な構成の配置領域を削減する。
【0010】
本発明の歯車機構は、前記最初の第二歯車の回転中心と前記最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第一軸となす前記角度が前記第二軸に沿った方向に見て直角であってもよい。
【0011】
本発明の歯車機構は、前記第一歯車群が、前記第一軸に取り付ける第一傘歯車と、前記第一傘歯車に噛み合って前記第二軸に取り付ける第二傘歯車と、を備えてもよい。
【0012】
上記構成では、前記第一歯車群を収納する第一ケースと、前記第二歯車群を収納して前記第一ケースに取り付ける第二ケースと、前記出力側となる第三軸を有する出力部を収納して前記第一ケースに近接する位置として前記第二ケースに取り付けるとともに前記第三軸に対する周方向に形成された壁部の厚みのうち前記第一ケースに近接する部分のみ減少するカット面を有する出力部ケースと、を備えてもよい。
【0013】
本発明の歯車機構によれば、第三軸を中心として出力部が配置され、この第三軸の周囲に配置された出力部の径方向外側を囲む壁部を出力部ケースが備える。出力部の壁部は第三軸の周方向における略全周に配置される。また、出力部の壁部は、第三軸の径方向における厚み寸法が、第三軸の周方向でほぼ均一であるが、第一ケースに近接する部分のみ減少する。具体的には、出力部の壁部は略円筒状とされて、第一ケースに対向する部分が、第一ケースの側面に対応して平面状とされたカット面に形成される。これにより、第一ケースの側面と出力部の壁部との間隔を削減できる、したがって、第二軸に沿った方向に見て、第三軸から第一ケースの側面までの距離を減少することができる。
【0014】
本発明の歯車機構では、前記第一ケースは、前記第二軸に沿った方向に見た前記第一軸に沿った方向の寸法が前記出力部ケースにおける前記第二軸に沿った方向に見た前記第一軸に沿った方向の寸法よりも小さいことができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る歯車機構は、第一軸と、前記第一軸と角度をなす第二軸と、前記第二軸の軸方向と同じ方向を軸方向とする第三軸と、前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、前記第二軸の回転を前記第三軸に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も第三軸側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と交差している第二歯車群と、を備える。
【0016】
本発明の他の態様に係る歯車機構によれば、第二軸および第三軸に沿った方向に見て、第一軸の延びる方向に対して、最初の第二歯車の回転中心から最後の第二歯車の回転中心へと向かう方向が交差している。これにより、第二軸および第三軸に沿った方向に見て、最後の第二歯車の回転中心が第一軸を延長した位置からオフセットしている。したがって、第二軸および第三軸に沿った方向に見て、第一軸の延長する位置に最後の第二歯車の回転中心が配置された状態に比べて、第一軸側から第三軸側へと向かう回転の伝達に必要な構成の配置領域を削減する。あるいは、第三軸側から第一軸側へと向かう回転の伝達に必要な構成の配置領域を削減する。
【0017】
上記構成では、回転駆動力を入力する前記第一軸と、前記第一軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力する出力部と、前記出力軸線に沿った方向の前記第二軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記入力軸線を延長した位置に前記第二軸を配置し前記第一歯車群によって前記第一軸から回転駆動力が伝達される前記最初の第二歯車と、前記出力軸線に沿った方向の前記第三軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記最初の第二歯車の回転中心から前記入力軸線に向かう方向に対して前記最初の第二歯車の回転中心から交差した方向となる位置に前記第三軸を配置して前記出力部に回転駆動力を伝達する前記最後の第二歯車と、を備えてもよい。
【0018】
上記構成ででは、前記第一軸の前記入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力されて駆動される出力部と、前記出力軸線に沿った方向の前記第二軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記出力軸線の位置を中心とする所定の円周上に前記第二軸を配置して前記円周における前記最初の第二歯車の回転中心での接線となるように配置されている前記第一軸から前記第一歯車群によって回転駆動力が伝達される前記最初の第二歯車と、前記出力軸線に沿った方向の前記第三軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記最初の第二歯車の回転中心より前記出力軸線に近接する位置に前記第三軸を配置して前記出力部に回転駆動力を伝達する前記最後の第二歯車と、
を備えてもよい。
【0019】
上記構成では、前記第一歯車群が、互いに噛み合うベベルギアであってもよい。
【0020】
本発明の他の態様に係る減速機は、第一軸と、前記第一軸と角度をなす第二軸と、前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、前記第一軸側から伝達された前記第二軸の回転を出力側に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も前記出力側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と角度をなす第二歯車群と、前記第一軸を回転駆動する回転駆動源と、前記最後の第二歯車の回転を出力する前記出力側である減速部と、を備える。
【0021】
本発明の他の態様に係る減速機によれば、最初の第二歯車の回転中心と最も出力側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と角度をなすことにより、最後の第二歯車の回転中心から回転駆動源の輪郭における最も遠い位置までの距離を縮小する。したがって、第二軸に沿った方向に見て、減速機の設置に必要な配置領域を削減する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、扁平化と軸線方向に沿って見た領域の小型化とを両立可能な歯車機構、減速機を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る歯車機構、減速機の実施形態を示す平面図である。
図2図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図3図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
図4】従来の減速機を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る歯車機構、減速機の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における歯車機構、減速機を示す平面図であり、図2は、図1におけるII-II線に沿った断面図であり、図3は、図1におけるIII-III線に沿った断面図である。図で符号1は、減速機である。
【0025】
本実施形態に係る減速機1は、図1に示すように、歯車機構20を介してモータ(回転駆動源)10の回転駆動力を減速部(出力部)30に伝達し、減速部30の出力軸線T0の周りの回転力として所定の減速比で出力するものである。
なお、出力軸線T0に沿った方向を上下方向(鉛直方向)と呼ぶことがある。本実施形態の減速機1は、例えばターンテーブルのテーブル駆動に適用されることができる。
【0026】
減速機1では、図2図3に示すように、歯車機構20と減速部30とがケーシング2に収納される。モータ10は、ケーシング2の外部に取り付けられる。モータ10は略水平方向に延びる駆動軸線(入力軸線)T10に沿った駆動軸10aを駆動する。駆動軸10aには、同軸となる入力軸線(第一軸線)を有する入力軸(第一軸)11が取り付けられる。入力軸11は、ケーシング2に回転自在に支持される。歯車機構20は、入力軸11に連動する。減速部30は、歯車機構20から入力された回転数よりも低い回転数を出力する。
【0027】
モータ10と歯車機構20は、出力軸線T0に沿った方向に見て、互いに隣接するように配置される。同様に、歯車機構20と減速部30は、出力軸線T0に沿った方向に見て、互いに隣接するように配置される。モータ10と減速部30は、出力軸線T0に沿った上下方向における位置がほぼ重なっている。歯車機構20は、出力軸線T0に沿った上下方向における位置がモータ10と減速部30に対して、ほぼ同じであるが、やや下側に隣接した位置に配置される。
【0028】
歯車機構20は、センター軸線(第三軸線)T2を回転軸線とするセンターギア(最後の第二歯車)22と、センターギア22に噛み合うアイドラギア(第二歯車)23と、アイドラギア23に噛み合いモータ10からの駆動力を入力軸11から入力されるインプットギア(最初の第二歯車)21と、を備えている。センターギア22と、アイドラギア23と、インプットギア21とは、いずれも平歯車とされて同一の水平面に沿って配置される。
【0029】
アイドラギア23のアイドラ軸線T3と、インプットギア21のインプット軸線(第二軸線)T1と、センターギア22のセンター軸線T2とは、いずれも出力軸線T0と平行である。センターギア22のセンター軸線T2は、出力軸線T0と一致している。
センターギア22はセンター軸線T2を回転中心とする。アイドラギア23はアイドラ軸線T3を回転中心とする。インプットギア21はインプット軸線T1を回転中心とする。
【0030】
出力軸線T0に沿った方向に見て、減速部30の出力軸線T0とインプットギア21のインプット軸線T1とを結ぶ直線L1と、駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10と、は交差している。本実施形態では、出力軸線T0に沿った方向に見て、出力軸線T0の位置およびインプット軸線T1の位置を結ぶ直線L1と、駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10と、は直交している。
【0031】
駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10は、出力軸線T0に沿った方向に見て、減速部30の出力軸線T0の位置を中心とする円R0と接している。円R0は、出力軸線T0に沿った方向に見て、減速部30の出力軸線T0の位置からインプットギア21のインプット軸線T1の位置までを半径とする。駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10は、出力軸線T0に沿った方向に見て、インプットギア21のインプット軸線T1の位置で円R0と接している。
【0032】
また、出力軸線T0に沿った方向に見て、減速部30の出力軸線T0の位置を通り、駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10と、平行な直線L2は、減速部30の出力軸線T0の位置からインプットギア21のインプット軸線T1の位置へと向かう直線L1と、直交している。つまり、出力軸線T0に沿った方向に見て、円R0の中心である出力軸線T0の位置を通る直線L2に対して、円R0の接線である駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10が平行でオフセットされた位置となる。
【0033】
ケーシング2は、ベース部(第二ケース)2aと第一ブロック(第一ケース)2bと第二ブロック(出力部ケース)2cとを有する。
ベース部2aは、板状に形成されて出力軸線T0に直交する水平面に沿うように配置される。ベース部2aは、減速機1の下面に沿って配置される。ベース部2aの上面には、出力軸線T0に沿った方向に見て、歯車機構20を収容する第一ブロック2bと、減速部30を収容する筒状の第二ブロック2cとが並んで配置されている。
【0034】
第一ブロック2bと第二ブロック2cとは、並んだ状態でそれぞれベース部2aの上面に結合される。第一ブロック2bと第二ブロック2cとは、ベース部2aの上面から上向きに突出する。第一ブロック2bとベース部2aとは互いに減速機1の内部を密閉可能に結合される。
【0035】
筒状の第二ブロック2cは、その中心軸線が出力軸線T0と一致するように配置される。第二ブロック2cは、第一ブロック2bが隣接して配置される。第二ブロック2cの上端は、減速機1の上面に沿って配置される。第二ブロック2cは、ボルト2j等によってベース部2aの上面に締結される。第二ブロック2cとベース部2aとは互いに減速機1の内部を密閉可能に結合される。
【0036】
筒状の第二ブロック2cは、出力軸線T0の周方向における略全周に配置される。
出力部の壁部は第三軸の周方向における略全周に配置される。また、第二ブロック2cには、第一ブロック2bに対向する位置にカット面2cが形成される。
カット面2cは、出力軸線T0と平行な鉛直面とされる。また、カット面2cは、出力軸線T0に沿った方向に見て、直線L2と平行な鉛直面とされる。
つまり、第二ブロック2cは、出力軸線T0の径方向における厚み寸法が、出力軸線T0の周方向でほぼ均一である円筒で、第一ブロック2bに近接する部分のみカット面2c1として平面状に削った形状とされる。具体的には、第二ブロック2cは径方向厚みの等しい円筒であり、かつ、第一ブロック2bに対向する部分に第一ブロック2bの対向面と対応して平面状のカット面2cが形成される。
図2に示すように、第二ブロック2cは、カット面2cにおける最小の厚み寸法Mc1が、それ以外の厚さ寸法Mcに対して小さくなっている。
【0037】
ベース部2aは、板状の第一ベース部2a1と、第一ベース部2a1より小さな輪郭を有する板状の第二ベース部2a2と、を有する。第一ベース部2a1は、第一ブロック2bと第二ブロック2cとの両方を取り付け可能な輪郭を有する。第二ベース部2a2は、第一ブロック2bに対応する輪郭を有し、後述するように第一ブロック2bに対応する領域に一体として第一ベース部2a1に嵌め込まれる。第一ベース部2a1と第二ベース部2a2とは互いに減速機1の内部空間28bを密閉可能に結合される。
第一ベース部2a1は、後述するように第二ベース部2a2を嵌め込み可能なように第二ベース部2a2よりも肉厚に形成される。第二ベース部2a2は、減速機1の下面に露出している。第一ベース部2a1には、上下方向で第一ブロック2bと反対となる位置に第二ベース部2a2が一体に結合される。
【0038】
第一ブロック2bは、第一ベース部2a1の上面に一体に結合される第一ブロック側部2b1と、第一ブロック側部2b1の上面に一体に結合される第一ブロック板2b2とを有する。
第一ブロック側部2b1は、板状の第一ベース部2a1の上面から上方向に突出する。第一ブロック板2b2は、第一ブロック側部2b1の内部を閉塞するように結合される。第一ブロック板2b2は、第一ベース部2a1および第二ベース部2a2と略平行に配置される。第一ブロック板2b2は、減速機1の上面に沿って配置される。
第一ブロック2bには、歯車機構20にモータ10の回転駆動力を伝達する入力軸11の先端が貫通している。入力軸11は水平方向を向いている。
【0039】
モータ10は、駆動軸10aを有する。モータ10は、第一ブロック側部2b1の側部に固定される。駆動軸10aの先端は、ケーシング2を貫通する入力軸11とされる。 入力軸11の外端面には、モータ10の駆動軸10aが嵌め込まれる圧入穴11aが形成されている。モータ10は、第一ブロック2bに取り付けられたモータ支持部材26に固定されている。モータ10の駆動軸10aは、その駆動軸線T10が水平方向(ベース部2aと平行な方向)に延びる姿勢として、入力軸11の圧入穴11aに挿入されている。モータ10は、ベース部2aの上外面よりもやや上側(第一ブロック2b側)に位置している。
【0040】
入力軸11の先端部には駆動側歯車(第一傘歯車,第一歯車)11bが取り付けられている。
駆動側歯車11bは、入力軸11の外周面から径方向に突出した円板状の部位の外端部に歯が形成された構成である。駆動側歯車11bには、従動側歯車(第二傘歯車,第一歯車)11cが噛み合う。駆動側歯車11bおよび従動側歯車11cは傘歯車(ベベルギア)からなる。なお、駆動側歯車11bおよび従動側歯車11cは、傘歯車に限られるものでなく、駆動側歯車11bの駆動軸線T10と従動側歯車11cのインプット軸21aのインプット軸線T1が交差する位置関係で、かつ、駆動側歯車11bから従動側歯車11cへ駆動力を伝達できるものであればよい。従動側歯車11cは、上下方向に延びるインプット軸21aを回転軸とする。従動側歯車11cは、インプット軸21aの上下方向で第二ブロック2cに近接して配置される。
【0041】
インプット軸21aは従動側歯車11cの回転軸線と同心状に直線状に延びる軸部材からなる。インプット軸21aは、インプット軸線T1が入力軸11の駆動軸線T10に対して直交する姿勢で、後述する軸受21gに支持されている。すなわち、インプット軸21aは、ケーシング2に回転可能に支持されている。
本実施形態では、入力軸11の駆動軸線T10が減速機1の上面と平行であり、インプット軸21aのインプット軸線T1は、減速機1の上面に対して直交している。
なお、インプット軸21aのインプット軸線T1と入力軸11の駆動軸線T10は、直交する位置関係に限られるものではなく、平行以外の位置関係であればよい。例えば、入力軸11の駆動軸線T10が水平位置よりもモータ10側が下降するように上下方向に傾いた構成が可能である。
【0042】
従動側歯車11cは、インプット軸21aの外周面から径方向に突出した円板状の部位の外端部に歯が形成された構成である。従動側歯車11cの外端部は第一ブロック2bに形成された拡径部28d1の中に入り込んでいる。拡径部28d1は、後述するように、第一ブロック側部2b1に形成された内部空間28dの上端位置とされて、第一ブロック板2b2により閉塞されている。
【0043】
第一ベース部2a1には、上下方向の中程に内部空間28bが形成される。内部空間28bは、出力軸線T0に直交する水平面に沿って形成される。
【0044】
第一ベース部2a1には、上下方向に貫通する二つの貫通孔28aおよび貫通孔28d2が形成されている。貫通孔28aおよび貫通孔28d2はいずれも内部空間28bに連通する。
貫通孔28aは、出力軸線T0を中心線として配置され、筒状の第二ブロック2cと同心となる形状に形成される。貫通孔28aは、内部空間28bから減速機1の下面の外部に貫通する。
貫通孔28d2は、インプットギア21の中心に対応する位置に形成されている。貫通孔28d2は、内部空間28bから、後述する第一ブロック2bの内部空間28dに連通している。
【0045】
内部空間28bには、歯車機構20のインプットギア(最初の第二歯車)21とアイドラギア(第二歯車)23とセンターギア(最後の第二歯車)22とが互いに噛み合った状態で収容される。内部空間28bは、インプット軸21aと同心となる形状に形成された部分と、アイドラ軸23aと同心となる形状に形成された部分と、センターギア22と同心となる形状に対応した部分と、を連続した平面輪郭形状を有する。
【0046】
内部空間28bでは、歯車機構20として、インプットギア21がモータ10から回転駆動力を伝達する側の入力軸11に連結される。アイドラギア23が、内部空間28bの内部でインプットギア21に噛み合って第一ベース部2a1と第二ベース部2a2とに回転可能に保持される。センターギア22が、内部空間28bの内部に位置しアイドラギア23に噛み合ってインプットギア21の回転を伝達される。
【0047】
センターギア22は、インプットギア21よりも大径で、かつインプットギア21の歯数よりも歯数が多く設定されている。したがって、モータ10によるインプットギア21の回転は、所定の減速比に減速され、その状態でセンターギア22に伝達される。
【0048】
第一ベース部2a1には、内部空間28bにおけるインプットギア21とアイドラギア23とに対向する下側位置に開口28b1が形成されている。開口28b1は、第二ベース部2a2が下側から嵌め込まれて閉塞されている。第二ベース部2a2は、上下方向における内部空間28bの途中まで挿入した位置で固定される。
【0049】
第一ベース部2a1には、内部空間28bの下向きとなる開口28b1の縁部に、段差を有して拡径された拡径部28b2が形成される。拡径部28b2には、第二ベース部2a2の周囲に張り出すように形成されたフランジ部2a2aが嵌め込まれている。この状態で、上下方向で互いに対向する拡径部28b2とフランジ部2a2aとの面が互いに接触する。これにより、上下方向における第一ベース部2a1に対する第二ベース部2a2の位置が固定される。なお、拡径部28b2は、水平方向で第一ベース部2a1の輪郭となる端部まで形成されてもよい。開口28b1における周囲には、フランジ部2a2aより上側となる位置にOリング等の密閉手段を設けることもできる。
【0050】
第二ベース部2a2には、内部空間28bの内側となる面に断面円形で有底の支持穴21fと支持穴23fとが離間して形成されている。
支持穴21fには軸受21gが装着されている。軸受21gは支持穴21fの内周面に取り付けられている。軸受21gはインプット軸21aの下端部を支持する。インプット軸21aは、出力軸線T0に沿った上下方向のインプット軸線T1を有する。インプット軸21aの下端部は、支持穴21fに挿入されている。インプット軸21aには、下端部に近接してインプットギア21が取り付けられる。
支持穴23fはアイドラ軸23aを回転可能に支持する。アイドラ軸23aは、出力軸線T0に沿った上下方向のアイドラ軸線T3を有する。アイドラ軸23aの下端部は、支持穴23fに挿入されている。アイドラ軸23aにはアイドラギアが接続される。
【0051】
第一ブロック側部2b1の支持穴21fに対向する位置には、上下方向に延びる内部空間28dが形成される。内部空間28dは上下方向に延びて形成され、その下端は貫通孔28d2を介して内部空間28bと連通している。
内部空間28dは、貫通孔28d2に対応して断面円形とされる。内部空間28dの上端は第一ブロック板2b2によって閉塞されている。内部空間28dの内側となる第一ブロック板2b2の下面位置には、断面円形で有底の支持穴21hが形成されている。支持穴21hには軸受21gが装着されている。軸受21gは支持穴21hの内周面に取り付けられている。軸受21gはインプット軸21aを支持する。インプット軸21aの上端部は、支持穴21hに挿入されている。
【0052】
第一ブロック2bでは、内部空間28dの上端に拡径部28d1が形成されている。拡径部28d1には、軸受21gの下側位置に従動側歯車11cが収納されている。第一ブロック板2b2の下端は、内部空間28dの上端に嵌め込まれている。第一ブロック板2b2における上端の周囲には、フランジ部2b2aが径方向外側に突出して設けられる。フランジ部2b2aは第一ブロック側部2b1の上端に接触しており、これにより、第一ブロック側部2b1に対する第一ブロック板2b2の上下方向位置が固定される。同時に、第一ブロック側部2b1と第一ブロック板2b2とが密着されて、内部空間28dを密閉している。第一ブロック板2b2の外周面には、フランジ部2b2aより下側で第一ブロック側部2b1に挿入された位置にOリング等の密閉手段を設けることもできる。
【0053】
第一ブロック2bでは、内部空間28dの下端付近に、インプット軸21aの軸方向の中央位置を支持する軸受21gが取り付けられている。軸受21gは第一ブロック側部2b1における内部空間28dの内周面に取り付けられている。
内部空間28dの下端位置となる第一ブロック側部2b1の下端には、貫通孔28d2の周囲となる位置に下向きに突出する突条2b4が形成されている。突条2b4は貫通孔28d2に挿入されており、第一ブロック側部2b1と第一ベース部2a1との位置決めに用いられる。
【0054】
第一ブロック2bでは、上下方向で拡径部28d1に対応する内部空間28dの位置およびその下側位置に、水平方向に延びる貫通孔28d4が形成される。貫通孔28d4は、モータ10に向かう方向に延びて形成される。貫通孔28d4の内部には、駆動側歯車11bが収納される。貫通孔28d4の外側には、入力軸11の周囲を囲む位置に入力軸支持部25が第一ブロック側部2b1に連続して形成される。入力軸支持部25は、入力軸11の周囲を囲む筒状とされ、その内側には軸受24が配置されている。軸受24は、入力軸11を回転可能に支持する。入力軸支持部25の外側には、モータ支持部材26が固定されている。入力軸支持部25の内部は貫通孔28d4に対応した径寸法を有している。入力軸支持部25および第一ブロック側部2b1は、入力軸11および駆動側歯車11bを収納して外部に対して密閉されている。
【0055】
第一ベース部2a1には、センターギア22に対向する内部空間28bの上側に開口28b3が形成されている。開口28b3は、第二ブロック2cおよび減速部30によって閉塞される。開口28b3は、出力軸線T0を中心として第二ブロック2cおよびセンターギア22と同心となる平面輪郭形状に形成される。
【0056】
内部空間28bでは、センターギア22が、筒体34に回転可能に支持されている。 筒体34は、内部空間28bを上下方向に貫通する。筒体34は、出力軸線T0を中心として配置される。筒体34は、減速機1を上下方向に貫通する。筒体34の下端は、貫通孔28aに嵌め込まれている。筒体34の下端と貫通孔28aの内面との間にはシール部材34bが設けられてもよい。筒体34の上端には、減速部30の上面に露出するフランジ部34aが形成されている。フランジ部34aは、減速機1の上面に対して下向きに凹んで形成されている。筒体34は、開口28b3のほぼ中心に配置される。
【0057】
センターギア22には、同軸となるギア22dが一体として形成されている。ギア22dは、センターギア22よりも小さな歯数を有し、小径とされる。センターギア22とギア22dとは一体として筒体34の周りに回転可能である。ギア22dは、センターギア22よりも上側に配置される。ギア22dは、センターギア22よりも減速部30に近接して配置される。ギア22dは減速部30への入力側とされる。ギア22dは開口28b3の内部に収容される。センターギア22の下端は、軸受34cを介して貫通孔28aの付近に回転可能に支持される。センターギア22の上端は、軸受34cを介して減速部30に対して回転可能に支持される。
【0058】
減速部30は、第一ベース部2a1に固定される筒状の第二ブロック2cに収納される。
減速部30は、例えば偏心揺動型の減速機構であってよい。減速部30は、第二ブロック2cの内側に配されるキャリア33と、センターギア22の回転に伴って回転する伝達軸31と、を有する。
【0059】
キャリア33は、第二ブロック2cに対して出力軸線T0を中心に相対的に回転可能となっている。具体的に、第二ブロック2cとキャリア33との相対的な回転は、第二ブロック2cの内周とキャリア33の外周との間に設けられた軸受36によって許容されている。キャリア33は、減速部30の上面に露出する。キャリア33は、減速部30の出力側となる。減速部30の下端は、開口28b3に対向している。キャリア33の中央部には筒体34が貫通する。キャリア33の軸線は、筒体34の軸線である出力軸線T0と一致している。筒体34は例えばキャリア33に固定されてもよい。
【0060】
伝達軸31は、センターギア22から回転駆動力を伝達される減速部30の入力側とされる。伝達軸31は、出力軸線T0に平行する方向を軸として、キャリア33に対して回転可能に取り付けられている。減速部30は、伝達軸31の回転に基づいて伝達軸31の回転速度よりも遅い速度で第二ブロック2cおよびキャリア33を相対的に回転させる。伝達軸31には、ギア22dに噛み合う伝達ギア32が設けられている。伝達ギア32は、平歯車である。
【0061】
本実施形態の減速機1は、平坦な減速機取付け面に固定されてもよい。そして、この状態で、キャリア33の上面にターンテーブル等が載せられてもよい。この場合、ターンテーブルは、締結ボルトによってキャリア33の上面に固定される。
【0062】
この減速機1では、モータ10が駆動されると、駆動軸10aが回転し、駆動軸10aと同軸で一体とされた入力軸11が回転する。これにより、入力軸11に設けられた駆動側歯車11bと噛み合う従動側歯車11cが駆動され、歯車機構20のインプット軸21aがインプット軸線T1の回りに回転する。インプット軸21aが回転すると、インプット軸21aに結合されたインプットギア21はインプット軸線T1の回りに回転する。インプットギア21の回転により、インプットギア21に噛み合ったアイドラギア23がアイドラ軸23aの回りに回転する。アイドラギア23が回転すると、アイドラギア23に噛み合ったセンターギア22が出力軸線T0の回りに回転する。センターギア22が回転すると、センターギア22と一体とされた同軸となるギア22dが回転する。これにより、ギア22dに噛み合った伝達ギア32が回転し、伝達ギア32と一体とされた伝達軸31が回転する。伝達軸31の回転により、減速部30の外筒となる第二ブロック2cとキャリア33とが、伝達軸31の回転速度よりも遅い速度で相対的に回転する。これにより、ターンテーブルが回転する。
【0063】
本実施形態の減速機1では、出力軸線T0に沿った方向に見て、直線L1と駆動軸線T10とが直交しており、直線L1と直線L2とが直交している。また、直線L2と駆動軸線T10とが平行でオフセットされた位置となる。これにより、本実施形態の減速機1では、出力軸線T0に沿った方向に見て、減速機1の中心である出力軸線T0の位置からモータ10の輪郭における最も遠い位置までの距離が図1に示す距離RTとなる。
【0064】
図4は、従来の減速機を示す平面図である。
図1に示す本実施形態の減速機1に対し、従来の減速機では、図4に示すように、出力軸線T0に沿った方向に見て、減速部30の出力軸線T0の位置からインプットギア21のインプット軸線T1の位置までの直線と、駆動軸10aおよび入力軸11の駆動軸線T10と、が一致している。この場合、減速機1の中心位置である出力軸線T0の位置からモータ10の輪郭における最も遠い位置までの距離が図4に示す距離RT0となる。
なお、図4では、配置が異なっているが、対応している構成には同一の符号を付してある。
【0065】
図4に示す構成では、距離RT0に比べて、距離RTは直線L1が直交している分だけ短くなる。これらを比較すれば、本実施形態では、減速機1を配置する際に必要な水平面における領域を小さくすることができることが明らかである。これにより、図4に示す従来の構成では、直径がRT0のターンテーブルでなければ、減速機をテーブルに隠れるように配置することができなかったが、本実施形態では、直径がRT0で平面輪郭の小さなターンテーブルに対しても、減速機1をテーブルに隠れるように配置することが可能となることがわかる。したがって、駆動軸10aが出力軸線T0を通る構成に比べて、減速機1の径方向のサイズを小さくすることができる。
【0066】
本発明の歯車機構は、回転駆動力を入力する入力軸と、前記入力軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力される出力部と、前記出力軸線に沿った方向のインプット軸線を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記入力軸線を延長した位置に前記インプット軸線が配置されて前記入力軸から回転駆動力を伝達されるインプットギアと、前記出力軸線に沿った方向のセンター軸線を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記インプット軸線の位置から前記入力軸線に向かう方向に対して前記インプット軸線の位置から交差した方向となる位置に前記センター軸線が配置されて前記出力部に回転駆動力を伝達するセンターギアと、を有することができる。
【0067】
これによれば、出力軸線に沿った方向に見て、入力軸線の延びる方向に対して、インプット軸線の位置からセンター軸線の位置へと向かう方向が交差している。これにより、出力軸線に沿った方向に見て、出力軸線の位置が入力軸線を延長した位置からオフセットされる。したがって、出力軸線に沿った方向に見て、入力軸線の延長する位置に出力軸線の位置が配置された状態に比べて、入力側から出力部へと向かかう回転駆動力の伝達に必要な構成の配置領域を削減する。つまり、出力軸線から入力側となる回転駆動源の輪郭の最も遠い位置までを含むために必要な配置領域を削減する。
【0068】
本発明では、前記入力軸と前記インプットギアの回転軸とが、互いに噛み合うベベルギアによって駆動力を伝達することができる。
これにより、出力軸線に沿った方向に見て、出力部と入力側となる回転駆動源との配置される寸法を短くするとともに、歯車機構を扁平化することができる。
【0069】
本発明の歯車機構は、回転駆動力を入力する入力軸と、前記入力軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力されて駆動される出力部と、前記出力軸線に沿った方向のインプット軸線を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記出力軸線の位置を中心とする所定の円周上に前記インプット軸線が配置されて前記円周における前記インプット軸線の位置での接線となるように配置される前記入力軸から回転駆動力を伝達されるインプットギアと、前記出力軸線に沿った方向のセンター軸線を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記インプット軸線の位置より前記出力軸線に近接する位置に前記センター軸線が配置されて前記出力部に回転駆動力を伝達するセンターギアと、を有することができる。
【0070】
これによれば、出力軸線に沿った方向に見て、円周の中心である出力軸線の位置に対して、インプット軸線の位置からセンター軸線の位置へと向かう方向が径方向に沿って配置される。また、出力軸線に沿った方向に見て、円周の中心である出力軸線の位置を通る直線に対して、円周の接線である入植軸線の延びる方向が平行で、かつ、オフセットされた位置となる。
これにより、出力軸線に沿った方向に見て、入力軸線の延びる方向と、インプット軸線の位置からセンター軸線の位置へと向かう方向とが交差する。
したがって、出力軸線に沿った方向に見て、円周の径寸法と入力軸線の延びる方向における回転駆動源の輪郭における最も遠い位置までとなる配置領域に対して、これを削減することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、減速機1が水平方向に延びる面の上に載置される構成として、減速機1をターンテーブルの駆動に用いるものとしたが、この構成および用途に限るものではない。本実施形態での減速機1は、水平以外の方向に延びる取付け面に固定される構成であってもよい。
また、減速部30では、出力側がキャリア33である構成として説明したが、この構成に限るものではなく、キャリア33と筒状の第二ブロック2cとのいずれかが出力側とされていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る歯車機構は、上述した実施形態の減速機1に適用されることに限らず、任意の機械や装置に適用されてよい。
【符号の説明】
【0073】
1…減速機
2…ケーシング
2a…ベース部(第二ケース)
2a1…第一ベース部
2a2…第二ベース部
2b…第一ブロック(第一ケース)
2b1…第一ブロック側部
2b2…第一ブロック板
2c…第二ブロック(出力部ケース)
10…モータ(回転駆動源)
10a…駆動軸
11…入力軸(第一軸)
11b…駆動側歯車(第一傘歯車,第一歯車)
11c…従動側歯車(第二傘歯車,第一歯車)
20…歯車機構
21…インプットギア(最初の第二歯車)
21a…インプット軸(第二軸)
22…センターギア(最後の第二歯車)
22a…センター軸(第三軸)
23…アイドラギア(第二歯車)
23a…アイドラ軸
30…減速部(出力部)
T0…出力軸線
T1…インプット軸線(第二軸線)
T2…センター軸線(第三軸線)
T10…駆動軸線,入力軸線(第一軸線)
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸と、
前記第一軸と角度をなす第二軸と、
前記第二軸の軸方向と同じ方向を軸方向とする第三軸と、
前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、
前記第二軸の回転を前記第三軸に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も第三軸側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と交差している第二歯車群と、
を備える歯車機構。
【請求項2】
回転駆動力を入力する前記第一軸と、
前記第一軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力する出力部と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第二軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記入力軸線を延長した位置に前記第二軸を配置し前記第一歯車群によって前記第一軸から回転駆動力が伝達される前記最初の第二歯車と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第三軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記最初の第二歯車の回転中心から前記入力軸線に向かう方向に対して前記最初の第二歯車の回転中心から交差した方向となる位置に前記第三軸を配置して前記出力部に回転駆動力を伝達する前記最後の第二歯車と、
を備える請求項記載の歯車機構。
【請求項3】
回転駆動力を入力する前記第一軸と、
前記第一軸の入力軸線と交差する方向の出力軸線を有するとともに回転駆動力を出力されて駆動される出力部と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第二軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記出力軸線の位置を中心とする所定の円周上に前記第二軸を配置して前記円周における前記最初の第二歯車の回転中心での接線となるように配置されている前記第一軸から前記第一歯車群によって回転駆動力が伝達される前記最初の第二歯車と、
前記出力軸線に沿った方向の前記第三軸を有するとともに前記出力軸線に沿った方向に見て前記最初の第二歯車の回転中心より前記出力軸線に近接する位置に前記第三軸を配置して前記出力部に回転駆動力を伝達する前記最後の第二歯車と、
を備える請求項記載の歯車機構。
【請求項4】
前記第一歯車群が、互いに噛み合うベベルギアである請求項からのいずれか一項に記載の歯車機構。
【請求項5】
第一軸と、
前記第一軸と角度をなす第二軸と、
前記第二軸の軸方向と同じ方向を軸方向とする第三軸と、
前記第一軸の回転を前記第二軸に伝達する複数の第一歯車を有する第一歯車群と、
前記第二軸の回転を前記第三軸に伝達する複数の第二歯車を有して前記複数の第二歯車のうち最も第二軸側に位置する最初の第二歯車の回転中心と最も第三軸側に位置する最後の第二歯車の回転中心とを結ぶ直線が前記第二軸に沿った方向に見て前記第一軸と交差している第二歯車群と、
前記第一軸を回転駆動する回転駆動源と、
前記最後の第二歯車の回転を出力する前記出力側である減速部と、
を備える減速機。