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特開2024-116395通信制御方法、基地局、ユーザ装置及びプロセッサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116395
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】通信制御方法、基地局、ユーザ装置及びプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/06 20090101AFI20240820BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240820BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240820BHJP
【FI】
H04W4/06
H04W72/0453
H04W36/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099171
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2023061257の分割
【原出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2020131728
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供するセルを、基地局がユーザ装置に通知する通信制御方法、基地局、ユーザ装置及びプロセッサを提供する。
【解決手段】MBSを提供する移動通信システムで用いる通信制御方法は、基地局が、MBSデータを第1セルC1においてユーザ装置UEに送信することと、基地局が、MBSデータの送信又は受信に用いるセルであるMBSセルを第1セルC1から第2セルC2へ変更することを示す通知メッセージをユーザ装置に送信することと、MBSデータを基地局から受信するユーザ装置が、通知メッセージを基地局から受信することと、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、
第1セル及び前記第1セルと異なる第2セルを管理するネットワークノードが、前記第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを前記第1セルにおいて、ユーザ装置に送信することと、
前記ネットワークノードが、前記ユーザ装置と前記第1セルとの接続を維持しつつ、前記第2セルにおいて前記MBS送信を行うことと、を有し、
前記通知メッセージは、前記第2セルを識別するセル識別子と、前記第2セルの周波数を示す情報を含む
通信制御方法。
【請求項2】
前記通知メッセージは、前記第2セルにおける前記MBSの受信に使用される最初のPRB(Physical Resource Block)位置及び帯域幅を示す情報をさらに含む
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記ネットワークノードが、前記通知メッセージに基づく前記ユーザ装置からのインディケーションを受信することと、
前記インディケーションに基づいて、前記第2セルにおける前記MBS送信を開始するとともに、前記第1セルにおける前記MBS送信を停止することと、をさらに有する
請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記ネットワークノードが、前記インディケーションに基づいて、前記第1セルとの通信を行わないMBS受信期間を前記ユーザ装置に対して設定することをさらに有し、
前記MBS受信期間は、前記ユーザ装置が前記第2セルから前記MBS送信を受信する期間である
請求項3に記載の通信制御方法。
【請求項5】
マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供するネットワークノードであって、
第1セル及び前記第1セルと異なる第2セルを管理する制御部と、
前記第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを前記第1セルにおいて、ユーザ装置に送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記ユーザ装置と前記第1セルとの接続を維持しつつ、前記第2セルにおいて前記MBS送信を行い、
前記通知メッセージは、前記第2セルを識別するセル識別子と、前記第2セルの周波数を示す情報を含む
ネットワークノード。
【請求項6】
マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおけるユーザ装置であって、
第1セル及び前記第1セルと異なる第2セルを管理するネットワークノードから、前記第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを、前記第1セルを介して受信する受信部を備え、
前記受信部は、前記第1セルとの接続を維持しつつ、前記第2セルにおいて前記MBS送信を受信し、
前記通知メッセージは、前記第2セルを識別するセル識別子と、前記第2セルの周波数を示す情報を含む
ユーザ装置。
【請求項7】
マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおけるユーザ装置を制御するチップセットであって、
第1セル及び前記第1セルと異なる第2セルを管理するネットワークノードから、前記第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを、前記第1セルを介して受信する処理と、
前記第1セルとの接続を維持しつつ、前記第2セルにおいて前記MBS送信を受信する処理と、を実行し、
前記通知メッセージは、前記第2セルを識別するセル識別子と、前記第2セルの周波数を示す情報を含む
チップセット。
【請求項8】
マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおけるユーザ装置に、
第1セル及び前記第1セルと異なる第2セルを管理するネットワークノードから、前記第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを、前記第1セルを介して受信する処理と、
前記第1セルとの接続を維持しつつ、前記第2セルにおいて前記MBS送信を受信する処理と、を実行させ、
前記通知メッセージは、前記第2セルを識別するセル識別子と、前記第2セルの周波数を示す情報を含む
プログラム。
【請求項9】
マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムであって、
第1セル及び前記第1セルと異なる第2セルを管理するネットワークノードを備え、
前記ネットワークノードは、
前記第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを前記第1セルにおいて、ユーザ装置に送信し、
前記ユーザ装置と前記第1セルとの接続を維持しつつ、前記第2セルにおいて前記MBS送信を行い、
前記通知メッセージは、前記第2セルを識別するセル識別子と、前記第2セルの周波数を示す情報を含む
移動通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第5世代(5G)の移動通信システムが注目されている。5Gシステムの無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)であるNR(New Radio)は、第4世代の無線アクセス技術であるLTE(Long Term Evolution)に比べて、高速・大容量かつ高信頼・低遅延といった特徴を有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP技術仕様書「3GPP TS 38.300 V16.2.0 (2020-07)」
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、基地局が、MBSデータを第1セルにおいてユーザ装置に送信することと、前記基地局が、前記MBSデータの送信又は受信に用いるセルであるMBSセルを前記第1セルから第2セルへ変更することを示す通知メッセージを前記ユーザ装置に送信することと、前記MBSデータを前記基地局から受信する前記ユーザ装置が、前記通知メッセージを前記基地局から受信することとを有する。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、第1セルを管理する基地局が、前記第1セルと異なる第2セルにおけるMBS送信に関する通知メッセージを前記第1セルにおいてユーザ装置に送信することを有し、前記通知メッセージは、前記第2セルが前記MBS送信に用いる無線アクセス技術を示す無線アクセス技術情報及び前記第2セルが前記MBS送信に用いる帯域幅部分を示す帯域幅部分情報のうち少なくとも一方を含む。
【0006】
第3の態様に係る通信制御方法は、マルチキャスト・ブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムで用いる通信制御方法であって、複数の無線アクセス技術をサポートするユーザ装置が、前記ユーザ装置がMBSデータを受信するために用いる無線アクセス技術を前記複数の無線アクセス技術の中から選択することと、前記ユーザ装置が、前記選択した無線アクセス技術を示すメッセージを基地局に送信することとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成を示す図である。
図3】実施形態に係るgNB(基地局)の構成を示す図である。
図4】データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図5】シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図6】実施形態に係る下りリンクの論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)との対応関係を示す図である。
図7】実施形態に係る動作環境の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る動作環境の他の例を示す図である。
図9】実施形態に係る移動通信システムの動作例1を示す図である。
図10】実施形態に係る移動通信システムの動作例2を示す図である。
図11】変更例1に係る動作を示す図である。
図12】BWPの一例を示す図である。
図13】変更例2に係る動作を示す図である。
図14】変更例3に係る動作を示す図である。
図15】変更例3に係るMBSインディケーションの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
5Gシステム(NR)にマルチキャスト・ブロードキャストサービスを導入することが検討されている。NRのマルチキャスト・ブロードキャストサービスは、LTEのマルチキャスト・ブロードキャストサービスよりも改善されたサービスを提供することが望まれる。
【0009】
そこで、本開示は、改善されたマルチキャスト・ブロードキャストサービスを実現することを目的とする。
【0010】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
(移動通信システムの構成)
まず、実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。図1は、実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。この移動通信システムは、3GPP(登録商標)規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0012】
図1に示すように、移動通信システムは、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。
【0013】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わないが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0014】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
【0015】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局が5GCに接続することもできる。LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されることもできる。
【0016】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100のモビリティを管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0017】
図2は、実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
【0019】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0020】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0021】
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0022】
図3は、実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を示す図である。
【0023】
図3に示すように、gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
【0024】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0025】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0026】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0027】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNBは、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間はF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0028】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0029】
図4に示すように、ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0030】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0031】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0032】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0033】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0034】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0035】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0036】
図5に示すように、制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0037】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間の接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0038】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0039】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0040】
(MBS)
次に、実施形態に係るMBSについて説明する。MBSは、NG-RAN10からUE100に対してブロードキャスト又はマルチキャスト、すなわち、1対多(PTM:Point To Multipoint)でのデータ送信を行うサービスである。MBSは、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)と呼ばれることがある。
【0041】
MBSのユースケースとしては、公安通信、ミッションクリティカル通信、V2X(Vehicle to Everything)通信、IPv4又はIPv6マルチキャスト配信、IPTV、グループ通信、及びソフトウェア配信等がある。
【0042】
LTEにおけるMBSの送信方式には、MBSFN(Multicast Broadcast Single Frequency Network)送信及びSC-PTM(Single Cell Point To Multipoint)送信の2種類がある。図6は、実施形態に係る下りリンクの論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)との対応関係を示す図である。
【0043】
図6に示すように、MBSFN送信に用いる論理チャネルはMTCH(Multicast Traffic Channel)及びMCCH(Multicast Control Channel)であり、MBSFN送信に用いるトランスポートチャネルはMCH(Multicast Control Channel)である。MBSFN送信は、主にマルチセル送信用に設計されており、複数のセルからなるMBSFNエリアにおいて各セルが同じMBSFNサブフレームで同じ信号(同じデータ)の同期送信を行う。
【0044】
SC-PTM送信に用いる論理チャネルはSC-MTCH(Single Cell Multicast Traffic Channel)及びSC-MCCH(Single Cell Multicast Control Channel)であり、SC-PTM送信に用いるトランスポートチャネルはDL-SCH(Downlink Shared Channel)である。SC-PTM送信は、主に単一セル送信用に設計されており、セル単位でブロードキャスト又はマルチキャストでのデータ送信を行う。SC-PTM送信に用いる物理チャネルはPDCCH(Physical Downlink Control Channel)及びPDSCH(Physical Downlink Control Channel)であり、動的なリソース割当が可能になっている。
【0045】
以下において、SC-PTM伝送方式を用いてMBSが提供される一例について主として説明するが、MBSFN伝送方式を用いてMBSが提供されてもよい。また、MBSがマルチキャストにより提供される一例について主として説明するが、MBSがブロードキャストにより提供されてもよい。以下において、MBSデータとは、MBS送信により送信されるデータをいい、MBS送信とは、マルチキャスト又はブロードキャストをいうものとする。マルチキャスト制御チャネルとは、MCCH又はSC-MCCHをいい、マルチキャストトラフィックチャネルとは、MTCH又はSC-MTCHをいうものとする。
【0046】
ネットワークは、MBSセッションごとに異なるMBSデータを配信できる。MBSセッションは、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)、セッション識別子、及びG-RNTI(Group Cell Radio Network Temporary Identifier)のうち少なくとも1つにより識別される。以下において、これらの識別子のうち少なくとも1つをMBSセッション識別子と呼ぶ。MBSセッション識別子は、MBSグループ識別子(又はマルチキャストグループ識別子)と呼ばれてもよい。
【0047】
図7は、実施形態に係る動作環境の一例を示す図である。
【0048】
図7に示すように、gNB200は、セルC1(第1セル)及びセルC2(第2セル)を管理する。セルC1及びセルC2のそれぞれのセルサイズが同等である一例を図示しているが、セルC1及びセルC2のそれぞれのセルサイズが互いに異なっていてもよい。セルC1は周波数F1で運用され、セルC2は周波数F2で運用されている。すなわち、セルC1及びセルC2のそれぞれの周波数(キャリア周波数)が互いに異なっている。セルC1及びセルC2のそれぞれの地理的領域は、少なくとも部分的に重複する。このようなセル間の関係は、隣接セルと呼ばれることがある。UE100は、セルC1及びセルC2の重複領域に位置している。
【0049】
図8は、実施形態に係る動作環境の他の例を示す図である。
【0050】
図8に示すように、セルC1及びセルC2が互いに異なる基地局により管理される点で図7と異なっている。具体的には、gNB200AはセルC1を管理し、gNB200BはセルC2を管理する。図8において、セルC1及びセルC2を管理する2つの基地局が同じ無線アクセス技術であるNRの基地局である一例を示している。しかながら、セルC1及びセルC2を管理する2つの基地局は互いに無線アクセス技術が異なっていてもよい。例えば、セルC1及びセルC2を管理する2つの基地局のうち、一方がNR基地局(gNB)であって他方がLTE基地局(eNB)であってもよい。
【0051】
(移動通信システムの動作)
次に、上述の移動通信システム及びMBSを前提として、一実施形態に係る動作について説明する。
【0052】
一実施形態に係る動作は、図8及び図9に示すような動作環境において、UE100がセルC1において送信されるMBSデータを受信しているときに、MBSデータの送信又は受信に用いるセルであるMBSセルをセルC1からセルC2へ変更する動作に関する。例えば、セルC1を管理するgNB200は、セルC1の混雑により負荷が高まったことに応じて、MBSセルをセルC1からセルC2へ変更することを決定する。これにより、セル間で負荷分散を図ることができる。
【0053】
一実施形態に係る通信制御方法は、gNB200が、MBSデータをセルC1においてUE100に送信するステップと、gNB200が、当該MBSデータの送信又は受信に用いるセルであるMBSセルをセルC1からセルC2へ変更することを示す通知メッセージをUE100に送信するステップと、MBSデータをgNB200から受信するUE100が、通知メッセージをgNB200から受信するステップとを有する。このような通知メッセージをUE100に送信することにより、UE100は、MBSセルが変更されることを把握し、MBSデータの受信を継続し易くなる。
【0054】
gNB200は、マルチキャスト制御チャネルで送信する制御メッセージ、又はブロードキャスト制御チャネル(BCCH:Broadcast Control Channel)で送信するシステム情報(SIB:System Information Block)として、通知メッセージをUE100に送信してもよい。gNB200は、MACレイヤの制御メッセージであるMAC CE(Control Element)、又はRRCメッセージとして、通知メッセージを送信してもよい。
【0055】
通知メッセージは、MBSセルを変更するタイミングを示す情報要素、セルC2を示す識別子(セル識別子)、セルC2が属する周波数を示す識別子(周波数識別子)、MBSセルが変更されるMBSセッションを示す識別子(MBSセッション識別子)のうち少なくとも1つを含む。通知メッセージにおいて、MBSセルを変更するタイミングを示す情報要素、セル識別子、及び周波数識別子のうち少なくとも1つがMBSセッション識別子と対応付けられていてもよい。但し、MAC CEで通知メッセージが送信される場合であって、マルチキャストトラフィックチャネル及びMAC CEが多重される場合、MBSセッション識別子は自明となるため、明示的にMBSセッション識別子を通知する必要はない。
【0056】
通知メッセージは、セルC1におけるMBS送信が停止されるか否かを示す情報要素を含んでもよい。MBSセルをセルC1からセルC2へ変更することを示す情報要素とセルC1におけるMBS送信が停止されるか否かを示す情報要素とを共通化し、この情報要素の内容により「変更」又は「停止」を示してもよい。
【0057】
通知メッセージは、ある一定期間内にMBSセルが変更されることを通知するメッセージであってもよいし、当該通知を情報要素として含むメッセージであってもよい。当該一定期間は、0(ゼロ:即時)であってもよいし、SC-MCCH modification boundary(又はSIB modification boundary)の期間であってもよいし、gNB200から設定される任意の期間であってもよい。当該一定期間の時間単位は、SC-MCCH(又はSIB) modification boundary単位であってもよいし、無線フレーム単位でもよいし、サブフレーム単位であってもよいし、分・秒単位であってもよい。
【0058】
通知メッセージは、ある時刻において送信セルが変更されることを通知するメッセージであってもよいし、当該通知を情報要素として含むメッセージであってもよい。当該時刻は、システムフレーム番号(SFN)又はハイパーシステムフレーム番号(H-SFN)により表現されてもよい。
【0059】
通知メッセージは、MBSデータを現在送信中のMBSセッションが他セルでも送信中であることを通知するメッセージであってもよいし、当該通知を情報要素として含むメッセージであってもよい。通知メッセージは、複数のセルで同じMBSセッションのMBS送信を行っている場合、受信を推奨するセルを示す情報を通知するメッセージであってもよい。この場合、同じMBSセッションが他セルでも同時に(二重で)送信されているため、UE100は、任意のタイミングでスムーズに受信先セルを変更できる。
【0060】
通知メッセージは、MBSデータを現在送信中のMBSセッションについてセルの変更を推奨する(もしくは指示する)ことを通知するメッセージであってもよいし、当該通知を情報要素として含むメッセージであってもよい。
【0061】
図9は、動作例1を示す図である。動作例1においては、UE100がRRCコネクティッド状態にあるものとする。
【0062】
図9に示すように、ステップS101において、gNB200は、あるMBSセッション(ここでは、MBSセッション識別子#1とする)のMBSデータをセルC1において送信開始する。UE100は、セルC1からMBSデータを受信する。その後、gNB200が、MBSセッション識別子#1に対応するMBSデータを送信するMBSセルをセルC1からセルC2へ変更することを決定したとする。
【0063】
ステップS102において、gNB200は、MBSセッション識別子#1に対応するMBSデータを送信するMBSセルをセルC1からセルC2へ変更することを示す通知メッセージをセルC1において送信する。UE100は、通知メッセージを受信する。
【0064】
ステップS103において、UE100は、ステップS102で受信した通知メッセージに基づいて、UE100がセルC1からセルC2へのハンドオーバを行うためのインディケーション(以下、MBSインディケーションと呼ぶ)をgNB200に送信する。ハンドオーバは、RRCコネクティッド状態にあるUE100のセル切替動作である。
【0065】
MBSインディケーションは、RRCメッセージであってもよい。MBSインディケーションは、UE100がMBSデータの受信を希望するセルであるセルC2の識別子及び/又はその周波数(周波数F2)の識別子を含む。MBSインディケーションは、UE100がMBS受信をユニキャスト受信よりも優先するか否かを示す情報要素を含んでもよい。
【0066】
MBSインディケーションは、UE100がセルC1の接続を維持しつつ、セルC2のMBSデータを受信するためのMBS受信期間の設定を要求するメッセージ、又は当該要求を情報要素として含むメッセージであってもよい。MBS受信期間は、UE100がセルC1との通信を行わない期間であり、MBS受信用ギャップと呼ばれてもよい。
【0067】
MBSインディケーションは、MBSセルの切替に関する条件に基づいて送信される場合と、それ以外の条件に基づいて送信される場合とがあってもよい。UE100は、後者の場合に限り、MBSインディケーションの繰り返し送信を規制するための禁止タイマを動作させてもよい。具体的には、UE100は、MBSインディケーションの送信時に禁止タイマを始動し、禁止タイマが満了するまで次のMBSインディケーションの送信が禁止される。一方、UE100は、MBSセルの切替に関する条件に基づいてMBSインディケーションを送信する場合、禁止タイマを適用しない(無視する)。
【0068】
gNB200は、UE100からのMBSインディケーションに基づいて、UE100が切替先のセルC2からのMBS受信を希望している(MBS受信に興味を持つ)ことを把握する。ステップS104において、gNB200は、RRCメッセージである設定メッセージをセルC1においてUE100に送信する。設定メッセージは、RRC Reconfigurationメッセージであってもよい。設定メッセージは、セルC2へのハンドオーバをUE100に設定(指示)するメッセージであってもよい。設定メッセージは、ハンドオーバに先立って行うセルC2(周波数F2)の測定及びその報告をUE100に設定するメッセージであってもよい。この場合、測定報告後にUE100にハンドオーバが指示されることになる。設定メッセージは、上述のMBS受信期間をUE100に設定するメッセージであってもよい。
【0069】
設定メッセージがハンドオーバを指示するメッセージである場合、ステップS105において、UE100は、セルC1からセルC2へのハンドオーバを行う。
【0070】
ステップS106において、gNB200は、MBSセッション識別子#1のMBSデータをセルC2において送信開始する。UE100は、セルC2からMBSデータを受信する。UE100にMBS受信期間が設定された場合、UE100は、設定されたMBS受信期間においてセルC2からMBSデータを受信する。
【0071】
ステップS107において、gNB200は、MBSセッション識別子#1のMBSデータをセルC1において送信停止する。ステップS107は、ステップS106と同時に行われてもよい。
【0072】
図10は、動作例2を示す図である。動作例2においては、UE100がRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるものとする。
【0073】
図10に示すように、ステップS201及びS202は、上述のステップS101及びS102と同様である。
【0074】
ステップS203において、UE100は、ステップS202でgNB200(セルC1)から受信した通知メッセージに基づいて、セルC1からセルC2へのセル再選択を行う。セル再選択は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100のセル切替動作である。ここで、UE100は、セルC2又はセルC2が属する周波数F2をセル再選択の最高優先度に設定することにより、セルC1からセルC2へのセル再選択を行ってもよい。
【0075】
ステップS204において、gNB200は、MBSセッション識別子#1のMBSデータをセルC2において送信開始する。UE100は、セルC2からMBSデータを受信する。
【0076】
ステップS205において、gNB200は、MBSセッション識別子#1のMBSデータをセルC1において送信停止する。ステップS205は、ステップS204と同時に行われてもよい。
【0077】
(変更例1)
次に、上述の実施形態の変更例1に係る動作について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。変更例1において、NRセル及びLTEセルが混在するシナリオを想定する。
【0078】
上述の実施形態において、セルC2がNRセルであることを想定していた。しかしながら、セルC2はLTEセルであり得る。NR及びLTEの両方の無線アクセス技術(RAT)をサポートするUE100は、NRセルからのMBS受信及びLTEセルからのMBS送信の両方が可能である。一方、NRのみをサポートするUE100は、NRセルからのMBS受信が可能であるものの、LTEセルからのMBS受信は不可である。このため、変更例1では、通知メッセージにおいて、セルC2のRATを通知することとする。
【0079】
変更例1に係る通知メッセージは、上述の通知メッセージの機能のうち少なくとも1つを有していてもよい。但し、変更例1に係る通知メッセージは、MBSセルをセルC1からセルC2へ変更することを示す機能を有していなくてもよい。変更例1において、セルC1及びセルC2は、互いに異なるMBSセッションのMBSデータを送信してもよい。このような前提は、後述の各変更例においても同様である。
【0080】
図11は、変更例1に係る動作を示す図である。
【0081】
図11に示すように、ステップS401において、セルC1を管理するgNB200は、セルC2におけるMBS送信に関する通知メッセージをセルC1においてUE100に送信する。変更例1に係る通知メッセージは、セルC2がMBS送信に用いるRATを示すRAT情報を含む。RAT情報は、セルC2がMBS送信に用いるRATがLTE及びNRのいずれであるかを示す。変更例1に係る通知メッセージは、BCCHで送信されるSIBであってもよいし、マルチキャスト制御チャネルで送信されるメッセージであってもよい。
【0082】
gNB200(セルC1)は、隣接セル(セルC2)がMBS送信を行っている場合、当該MBS送信のMBSセッション識別子、当該隣接セルのセルID、及び当該隣接セルが属する周波数のうち少なくとも1つに加え、当該MBS送信がLTEで行われているのか又はNRで行われているのかを識別するRAT情報を、セルC1で送信する通知メッセージに含める。RAT情報は、例えば、「ratType ENUM(lte,nr)」といった情報要素である。
【0083】
変更例1において、RRCコネクティッド状態にあるUE100は、gNB200(セルC1)から通知メッセージを受信すると、通知メッセージに含まれるRAT情報と、自身がサポートするRATと、自身が受信に興味を持つMBSセッションとに基づいて、上述のMBSインディケーションの送信を制御する。このような動作のシーケンスは、上述の実施形態(図9参照)と同様である。
【0084】
例えば、UE100は、通知メッセージに含まれるRAT情報に基づいて、自身がサポートするRATと異なるRATでMBS送信が行われているMBSセッション・セル・周波数についてMBS受信不可と判断し、自身が興味を持つMBSセッション・セル・周波数から除外してもよい。UE100は、自身がサポートするRATでMBS送信が行われているMBSセッション・セル・周波数についてMBS受信可能と判断し、自身が興味を持つMBSセッション・セル・周波数の候補としてもよい。
【0085】
変更例1において、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にあるUE100は、gNB200(セルC1)から通知メッセージを受信すると、通知メッセージに含まれるRAT情報と、自身がサポートするRATと、自身が受信に興味を持つMBSセッションとに基づいて、上述のセル再選択を制御する。このような動作のシーケンスは、上述の実施形態(図10参照)と同様である。
【0086】
(変更例2)
次に、上述の実施形態の変更例1に係る動作について、上述の実施形態及びその変更例との相違点を主として説明する。
【0087】
変更例2は、隣接セルであるセルC2がNRセルであるシナリオを想定する。セルC2がNRセルである場合、UE100の送受信帯域を限定する帯域幅部分(BWP:Bandwidth Part)がセルC2に設定され得る。図12は、BWPの一例を示す図である。
【0088】
図12に示すように、BWPは、セルの全帯域の一部の周波数部分である。図12において、帯域幅が40MHzかつサブキャリア間隔(subcarrier spacing)が15kHzであるBWP1と、帯域幅が10MHzかつサブキャリア間隔が15kHzであるBWP2と、帯域幅が20MHzかつサブキャリア間隔が60kHzであるBWP3とを例示している。BWPは、gNB200からUE100に設定され、一のBWPから他のBWPへの切り替えはgNB200により制御される。例えば、複数のBWPがUE100に設定されており、一部のBWPがアクティブ且つ他のBWPが非アクティブである場合、gNB200は、アクティブなBWPを他のBWPに切替えるよう制御できる。また、BWPごとにサブキャリア間隔やサイクリックプリフィックスを可変設定できる。
【0089】
このような前提下において、gNB200は、MBS送信用のBWPを設定し得る。ここで、セルC1に位置するUE100は、セルC2のMBS送信用のBWPに関する設定を予め把握しておくことが好ましい。これにより、UE100は、セルC1からセルC2へのセル切替とともに、セルC2から速やかにMBSデータを受信できる。
【0090】
図13は、変更例2に係る動作を示す図である。
【0091】
図13に示すように、ステップS401において、セルC1を管理するgNB200は、セルC2におけるMBS送信に関する通知メッセージをセルC1においてUE100に送信する。変更例2に係る通知メッセージは、セルC2がMBS送信に用いるBWPを示すBWP情報を含む。変更例2に係る通知メッセージは、変更例1に係る通知メッセージと同様にRAT情報を含んでもよい。この場合、通知メッセージにおいてRAT情報がNRを示す場合に限り、BWP情報を通知メッセージに含めるとしてもよい。なお、変更例2に係る通知メッセージは、BCCHで送信されるSIBであってもよいし、マルチキャスト制御チャネルで送信されるメッセージであってもよい。
【0092】
gNB200(セルC1)は、隣接セル(セルC2)がMBS送信を行っている場合、当該MBS送信のMBSセッション識別子、当該隣接セルのセルID、及び当該隣接セルが属する周波数のうち少なくとも1つに加え、当該MBS送信に用いるBWPを示すBWP情報を、セルC1で送信する通知メッセージに含める。
【0093】
BWP情報は、どのBWPで送信されているのかを識別する情報(BWP識別子)を含んでもよい。BWP情報は、BWPの設定情報、例えば、BWPの周波数位置及び帯域幅を示す情報、BWPのサブキャリア間隔(例えば、15kHz、30kHz、60kHz、120kHz、又は240kHz)を示す情報、及びBWPで用いるサイクリックプリフィックス長(例えば、通常の長さ又は拡張された長さ)を示す情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0094】
例えば、BWP情報は、最初のPRB(Physical Resource Block)位置及び帯域幅を含む。BWP情報は、最初のPRB位置及び帯域幅と紐づいたインデックス値を含んでもよい。
【0095】
さらに、BWP情報は、対応するBWPに関するPDCCH設定情報及びPDSCH設定情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。BWP情報は、対応するBWPに関するSIBの設定情報及びマルチキャスト制御チャネルの設定情報(スケジューリング情報)のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0096】
(変更例3)
次に、上述の実施形態の変更例3に係る動作について、上述の実施形態との相違点を主として説明する。変更例3において、変更例1と同様に、NRセル及びLTEセルが混在するシナリオを想定する。
【0097】
上述のMBSインディケーションは、UE100が複数のRAT(NR及びLTE)をサポートする場合、gNB200は、UE100がどのRATでのMBS受信を希望しているのか把握できない。特に、同一周波数でNRセル及びLTEセルが混在するような場合、MBSインディケーションに含まれる周波数識別子からRATを特定することが困難である。
【0098】
また、NRのMBSインディケーション及びLTEのMBSインディケーションの両方をUE100が送信できるとすると、gNB200において予期せぬエラーが生じる懸念がある。このため、NRのMBSインディケーション及びLTEのMBSインディケーションを重複して送信しないようにRATを選択できるようにする。
【0099】
図14は、変更例3に係る動作を示す図である。
【0100】
図14に示すように、ステップS501において、複数のRATをサポートするUE100は、自身がMBSデータを受信するために用いるRATを複数のRATの中から選択し、選択したRATを示すメッセージ(MBSインディケーション)をgNB200に送信する。例えば、UE100は、NRを選択した場合にはNRのMBSインディケーションをgNB200に送信し、LTEを選択した場合にはLTEのMBSインディケーションをgNB200に送信する。
【0101】
図15は、変更例3に係るMBSインディケーションの構成例を示す図である。図15に示すように、MBSインディケーション(MBSInterestIndication-r17)は、LTEのMBSインディケーション(LTE-MBMSInterestIndication)及びNRのMBSインディケーション(NR-MBSInterestIndication)の中から選択(CHOICE)が可能な構成である。
【0102】
或いは、UE100は、選択結果を示す明示的な情報要素(例えば、ENUM(lte,nr))をMBSインディケーションに含めてもよい。例えば、UE100は、NRを選択した場合にはNRのMBSインディケーションをgNB200に送信し、LTEを選択した場合にはLTEを示す情報を含むNRのMBSインディケーションをgNB200に送信してもよい。
【0103】
(その他の実施形態)
上述の各変更例は、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の変更例を組み合わせて実施可能である。
【0104】
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0105】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0106】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0107】
本願は、日本国特許出願第2020-131728号(2020年8月3日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15