(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116400
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】放電加工装置
(51)【国際特許分類】
B23H 7/02 20060101AFI20240820BHJP
B23H 7/26 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B23H7/02 H
B23H7/02 Q
B23H7/26 E
【審査請求】有
【請求項の数】55
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099630
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2023098504の分割
【原出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/355,107
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111137349
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112114524
(32)【優先日】2023-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519404230
【氏名又は名称】日揚科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】寇崇善
(72)【発明者】
【氏名】葉文勇
(72)【発明者】
【氏名】陳長營
(57)【要約】
【課題】放電加工装置を提供する。
【解決手段】放電加工装置は、ステージと、放電加工ユニットと、を少なくとも備える。ステージは、少なくとも一つの加工対象物を乗せるためのものであり、クランプ部材を備える。放電加工ユニットは、電極と、ジグと、給電ユニットと、を備える。放電加工ユニットが加工方向に沿って加工対象物の加工目標領域に対して放電加工手順を行うときに、電極の放電区分と加工対象物の加工目標領域は相対移動する。本発明によれば、加工手順を改善することができ、工数を減少することができ、電極を交換する時間を減少することもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの加工対象物を乗せるためのステージと、
加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物の加工目標領域に対して、放電加工手順を行うための放電加工ユニットと、
を少なくとも備え、
前記放電加工ユニットは、
少なくとも一つの電極と、
少なくとも二つの乗せ部材と少なくとも二つの保持部材を、それぞれ対応して組付けて構成され、前記電極の両側は、前記二つの乗せ部材にそれぞれ押し付けることにより、前記電極の放電区分は、フローティング状態にあり、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って伸びるジグと、
前記放電加工手順において、第1の電源を前記電極と前記加工対象物とに供給することにより、前記電極の前記放電区分を経由して、前記加工対象物の前記加工目標領域に放電エネルギーを加え、前記放電加工ユニットが前記加工方向に沿って前記放電加工手順を行うときに、前記電極の前記放電区分と前記加工対象物の前記加工目標領域とは、前記第2の方向に沿って相対移動する給電ユニットと、
を備え、
前記ステージは、更に、クランプ部材を備え、前記クランプ部材は、前記加工対象物を固定するためのものであり、
前記クランプ部材は二つのプレートを有し、前記二つのプレートの内少なくとも一つはコーム構造を有することを特徴とする放電加工装置。
【請求項2】
前記電極の前記放電区分と前記加工対象物の前記加工目標領域とは、前記第2の方向に沿って、往復または周期的に元に戻すように相対移動することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項3】
前記二つの乗せ部材と前記二つの保持部材とは、前記電極と一緒に往復または周期的に元に戻すように運動することにより、前記電極が前記放電区分で前記放電エネルギーを前記加工対象物に加えることを特徴とする、請求項2に記載の放電加工装置。
【請求項4】
前記放電加工ユニットは、前記二つの乗せ部材または前記二つの保持部材を相対変位することにより、前記電極の張力を調整することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項5】
更に、安定部材を備え、前記安定部材は、前記電極の前記加工対象物に対する移動を安定化にするためのものであることを特徴とする、請求項2に記載の放電加工装置。
【請求項6】
前記電極は線状または板状を呈することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項7】
前記ステージは、前記第1の方向、前記第2の方向、又は前記加工方向に沿って移動することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項8】
前記ステージは、前記第1の方向、前記第2の方向、又は前記加工方向を軸心として旋轉することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項9】
前記放電加工装置は、更に、チップス排出ユニットを備え、前記放電加工ユニットが前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うときに、前記チップス排出ユニットは、外力を提供して、前記電極が前記加工対象物に対して前記放電エネルギーを加えて発生された残留物を排除することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項10】
前記チップス排出ユニットからの前記外力の加え方向や加え位置は、前記加工対象物の形状によって、ダイナミックに調整して前記残留物を排除することを特徴とする、請求項9に記載の放電加工装置。
【請求項11】
前記放電加工装置は、更に、張力測定ユニットを備え、前記張力測定ユニットは、前記電極の張力を測定するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項12】
前記放電加工装置は、更に、振動測定ユニットを備え、前記振動測定ユニットは、前記電極の振動を測定するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項13】
前記放電加工ユニットの前記給電ユニットは、更に、第2の電源を前記電極に供給することにより、直流電源または無線周波を前記電極に加えることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項14】
前記加工対象物は平面区域を有し、前記平面区域は、前記ステージまたは前記クランプ部材と接続することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項15】
前記クランプ部材の形状は、前記加工対象物の形状に準じることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項16】
前記ステージはコーム構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項17】
前記ステージは、ロック構造を介して前記クランプ部材と接続することを特徴とする、請求項1、14、及び15のいずれかの一つに記載の放電加工装置。
【請求項18】
前記クランプ部材の二つのプレートは、スナップイン構造を介して互いに接続することを特徴とする、請求項1、14、及び15のいずれかの一つに記載の放電加工装置。
【請求項19】
前記クランプ部材と前記加工対象物は、二つ以上の接触面を有することを特徴とする、請求項1、14、及び15のいずれかの一つに記載の放電加工装置。
【請求項20】
前記ステージまたは前記クランプ部材は、接着剤層で前記加工対象物と接続することを特徴とする、請求項1、14、及び15のいずれかの一つに記載の放電加工装置。
【請求項21】
前記接着剤層は、非連続の形態で前記ステージまたは前記クランプ部材に設けられていることを特徴とする、請求項20に記載の放電加工装置。
【請求項22】
前記接着剤層は導電性接着剤であることを特徴とする、請求項20に記載の放電加工装置。
【請求項23】
前記クランプ部材は、軸方向に沿って前記加工対象物の一側に押し付け、前記放電エネルギーにより前記加工対象物の前記加工目標領域に形成された加工溝は、接着剤層により、前記加工溝の二つの溝壁に接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項24】
前記放電加工ユニットは、前記加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物と前記クランプ部材とに対して、前記放電加工手順を行うことを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項25】
前記クランプ部材は緩衝部材をクランプし、前記緩衝部材は、導電性接着剤層を介して前記加工対象物に固定されており、前記放電加工ユニットは、前記加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うことを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項26】
前記クランプ部材は、導電枠をクランプして前記加工対象物を固定し、前記放電加工ユニットは、前記加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うことを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項27】
前記ステージ、前記クランプ部材、又は前記加工対象物は、更に、導電ゲイン層を有し、前記導電ゲイン層により、前記加工対象物と前記ステージ、又は前記加工対象物と前記クランプ部材の電気接触を向上することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項28】
更に、熱源供給源を備え、前記熱源供給源は、前記放電加工手順を行う前、最中、又は後に、前記加工対象物に熱源を提供することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項29】
前記二つの乗せ部材は、それぞれプレート状を呈する構造、又はスリーブ構造であることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項30】
前記二つの乗せ部材は、それぞれ第1のシート及び第2のシートを備え、前記電極は、前記第1のシートと前記第2のシートとの間にクランプされていることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項31】
前記二つの乗せ部材は、それぞれ貫通スロットを有し、前記二つの保持部材は、前記貫通スロットに対応するバンプをそれぞれ有し、前記二つの乗せ部材は、前記貫通スロットで前記二つの保持部材の前記バンプに対応して組付けることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項32】
前記二つの乗せ部材は、貫通穴をそれぞれ有し、前記二つの保持部材は、ねじ穴をそれぞれ有し、前記二つの乗せ部材は、ボルトを使って前記貫通穴を挿通して前記二つの保持部材の前記ねじ穴にねじ込むことを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項33】
前記二つの保持部材は溝構造をそれぞれ有し、前記二つの乗せ部材は、前記二つの保持部材の前記溝構造に差し込むことにより、前記二つの保持部材に対応して組付けることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項34】
前記二つの保持部材は導電性構造をそれぞれ有することにより、前記二つの乗せ部材に押し付ける前記電極と電気的に接続することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項35】
前記二つの保持部材は、前記二つの乗せ部材と前記電極とを同時に固定することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項36】
前記放電加工ユニットは、更に、付属部材を備え、前記付属部材は、前記二つの乗せ部材のエッジにおいて、前記電極と接続することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項37】
前記付属部材は、前記給電ユニットの前記第1の電源または第2の電源と電気的に接続することを特徴とする、請求項36に記載の放電加工装置。
【請求項38】
前記電極の頭と尾は、前記二つの乗せ部材の同じ一方、又は両方とそれぞれ接続することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項39】
前記二つの乗せ部材のエッジは面取りを有することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項40】
前記ステージに乗せる前記加工対象物は、半導体インゴット、又はウエハーであることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項41】
前記放電加工装置は、前記放電加工手順において、前記ステージに乗せる前記加工対象物を、順番、又は同時に切断または研削することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項42】
前記加工対象物は、複数の工作物を電気的に接着して構成されることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項43】
前記放電エネルギーにより、前記加工対象物の前記加工目標領域に加工溝が形成され、前記加工溝内に充填材が充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項44】
前記放電エネルギーにより、前記加工対象物の前記加工目標領域に加工溝が形成され、前記加工対象物は、前記加工溝の両側にテープが張り付けられていることにより、前記加工対象物の前記加工目標領域の揺れ現象を減少することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項45】
前記放電加工手順は、流体において、前記加工対象物の前記加工目標領域に前記放電エネルギーを加えることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項46】
前記流体は、オゾン又は酸素の成分を含有することを特徴とする、請求項45に記載の放電加工装置。
【請求項47】
前記流体はバブルを含有することを特徴とする、請求項45に記載の放電加工装置。
【請求項48】
前記バブルは、前記放電加工手順において、内外の圧力差により、内破現象が発生されることを特徴とする、請求項47に記載の放電加工装置。
【請求項49】
前記バブルは、オゾン又は酸素の成分を含有することを特徴とする、請求項47に記載の放電加工装置。
【請求項50】
前記流体は電解液であることを特徴とする、請求項45に記載の放電加工装置。
【請求項51】
前記放電加工手順は、真空環境において、前記加工対象物の前記加工目標領域に前記放電エネルギーを加えることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項52】
前記放電加工装置は、更に、超音波発生器または圧電発振器を備えることにより、前記ステージ、前記加工対象物、又は前記電極を発振することを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項53】
前記放電加工装置は、更に、超音波発生器または圧電発振器を備えることにより、前記ステージ、前記加工対象物、前記電極、又は前記流体を発振することを特徴とする、請求項45に記載の放電加工装置。
【請求項54】
前記電極は複数あり、これらの前記電極は、前記第1の方向に沿って平行であるように配列されることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項55】
更に、方向修正エレメントを備え、前記方向修正エレメントは、前記電極の前記加工方向にズレ現象が現れたときに、前記電極と前記加工対象物の相対方向を調整して、前記加工方向を修正するためのものであることを特徴とする、請求項1に記載の放電加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関し、特に、放電加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体産業の活発な発展に伴い、放電加工技術は結晶インゴットまたはウェーハを加工するために一般的に使用されてきた。放電加工(Electrical Discharge Machining,EDM)は、放電によって火花を発生させ、加工対象物を所望の形状に加工する製造手順である。誘電材料は、2つの電極を分離し、電圧を印加して周期的かつ急速に変化する電流放電を発生させ、上記の処理対象物を処理する。EDM技術では2つの電極が使用され、一方の電極はツール電極または放電電極と呼ばれ、もう一方の電極は、被加工物電極と呼ばれ、上記の加工対象物と接続する。EDMにおいて、放電電極とワークピース電極の間に実際の接触はない。
【0003】
2つの電極間の電位差が大きくなると、2つの電極間の電界も大きくなり、電界強さが絶縁耐力を超えると、絶縁破壊が起こり、2つの電極に電流が流れて、材料の一部を取り除く。電流の流れが止まると、新しい誘電材料が電極間の電場に流れ込み、上記の材料の一部が排除されて、誘電絶縁効果が再提供される。電流が流れた後、二つの電極間の電位差は絶縁破壊前に戻り、新たな絶縁破壊が繰り返される。
【0004】
しかしながら、従来の放電加工技術の欠点は、切断面の粗さが良くなく、切断面に非常に多くの表面クラックがあり、非切断方向に沿って伸びることさえあることであり、予期しない方向にクラッキングが発生する。
また、従来の放電加工技術は、例えば、結晶インゴットを切断する際のローリングや位置ズレを防止するために、ジグを用いて結晶インゴットの周囲をクランプし、すなわち、結晶インゴットの側面を放射状にクランプする。
しかし、インゴットの切断面も半径方向に位置するため、従来技術では、ジグの外側に露出したインゴットしか切断できず、ジグとインゴットが重なる部分を切断することができないため、従来技術では、もう一度カットするには、停止して位置を再調整する必要がある。
さらに、従来のEDM技術では、一度に1枚のウェーハしか切断または薄化することができず、非常に時間がかかる。
さらに、従来の放電加工技術は単一の切断ラインしか使用せず、従来の放電加工装置にはクイックリリース設計がなく、切断ラインが誤って破損した場合には、シャットダウンする必要がある。交換作業には、完了するまでに多くの時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決するための放電加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも一つの加工対象物を乗せるためのステージと、加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物の加工目標領域に対して、放電加工手順を行うための放電加工ユニットと、を少なくとも備え、前記放電加工ユニットは、少なくとも一つの電極と、少なくとも二つの乗せ部材と少なくとも二つの保持部材を、それぞれ対応して組付けて構成され、前記電極の両側は、前記二つの乗せ部材にそれぞれ押し付けることにより、前記電極の放電区分は、フローティング状態にあり、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って伸びるジグと、前記放電加工手順において、第1の電源を前記電極と前記加工対象物とに供給することにより、前記電極の前記放電区分を経由して、前記加工対象物の前記加工目標領域に放電エネルギーを加え、前記放電加工ユニットが前記加工方向に沿って前記放電加工手順を行うときに、前記電極の前記放電区分と前記加工対象物の前記加工目標領域とは、前記第2の方向に沿って相対移動する給電ユニットと、を備えることを特徴とする放電加工装置を提供する。
【0007】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電極の前記放電区分と前記加工対象物の前記加工目標領域とは、前記第2の方向に沿って、往復または周期的に元に戻すように相対移動することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材と前記二つの保持部材とは、前記電極と一緒に往復または周期的に元に戻すように運動することにより、前記電極が前記放電区分で前記放電エネルギーを前記加工対象物に加えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材と前記二つの保持部材とは、前記電極と一緒に往復または周期的に元に戻すように運動することにより、前記電極が前記放電区分で前記放電エネルギーを前記加工対象物に加えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材と前記二つの保持部材とは、前記電極と一緒に往復または周期的に元に戻すように運動することにより、前記電極が前記放電区分で前記放電エネルギーを前記加工対象物に加えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電極は線状または板状を呈することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージは、前記第1の方向、前記第2の方向、又は前記加工方向に沿って移動することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージは、前記第1の方向、前記第2の方向、又は前記加工方向を軸心として旋轉することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、更に、チップス排出ユニットを備え、前記放電加工ユニットが前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うときに、前記チップス排出ユニットは、外力を提供して、前記電極が前記加工対象物に対して前記放電エネルギーを加えて発生された残留物を排除することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る放電加工装置によると、前記チップス排出ユニットからの前記外力の加え方向や加え位置は、前記加工対象物の形状によって、ダイナミックに調整して前記残留物を排除することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、更に、張力測定ユニットを備え、前記張力測定ユニットは、前記電極の張力を測定するためのものであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、更に、振動測定ユニットを備え、前記振動測定ユニットは、前記電極の振動を測定するためのものであることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工ユニットの前記給電ユニットは、更に、第2の電源を前記電極に供給することにより、直流電源または無線周波を前記電極に加えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージは、更に、クランプ部材を備え、前記クランプ部材は、前記加工対象物を固定するためのものであることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る放電加工装置によると、前記加工対象物は平面区域を有し、前記平面区域は、前記ステージまたは前記クランプ部材と接続することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材の形状は、前記加工対象物の形状に準じることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材はプレートを有し、前記プレートはコーム構造を有することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージはコーム構造を有することを特徴とする。
【0024】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージは、ロック構造を介して前記クランプ部材と接続することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材の二つのプレートは、スナップイン構造を介して互いに接続することを特徴とする。
【0026】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材と前記加工対象物は、二つ以上の接触面を有することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージまたは前記クランプ部材は、接着剤層で前記加工対象物と接続することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る放電加工装置によると、前記接着剤層は、非連続の形態で前記ステージまたは前記クランプ部材に設けられていることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る放電加工装置によると、前記接着剤層は導電性接着剤であることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材は、軸方向に沿って前記加工対象物の一側に押し付け、前記放電エネルギーにより前記加工対象物の前記加工目標領域に形成された加工溝は、接着剤層により、前記加工溝の二つの溝壁に接着されていることを特徴とする。
【0031】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工ユニットは、前記加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物と前記クランプ部材とに対して、前記放電加工手順を行うことを特徴とする。
【0032】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材は緩衝部材をクランプし、前記緩衝部材は、導電性接着剤層を介して前記加工対象物に固定されており、前記放電加工ユニットは、前記加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うことを特徴とする。
【0033】
本発明に係る放電加工装置によると、前記クランプ部材は、導電枠をクランプして前記加工対象物を固定し、前記放電加工ユニットは、前記加工方向に沿って、前記ステージ上の前記加工対象物に対して前記放電加工手順を行うことを特徴とする。
【0034】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージ、前記クランプ部材、又は前記加工対象物は、更に、導電ゲイン層を有し、前記導電ゲイン層により、前記加工対象物と前記ステージ、又は前記加工対象物と前記クランプ部材の電気接触を向上することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る放電加工装置によると、更に、熱源供給源を備え、前記熱源供給源は、前記放電加工手順を行う前、最中、又は後に、前記加工対象物に熱源を提供することを特徴とする。
【0036】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材は、それぞれプレート状を呈する構造、又はスリーブ構造であることを特徴とする。
【0037】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材は、それぞれ第1のシート及び第2のシートを備え、前記電極は、前記第1のシートと前記第2のシートとの間にクランプされていることを特徴とする。
【0038】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材は、それぞれ貫通スロットを有し、前記二つの保持部材は、前記貫通スロットに対応するバンプをそれぞれ有し、前記二つの乗せ部材は、前記貫通スロットで前記二つの保持部材の前記バンプに対応して組付けることを特徴とする。
【0039】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材は、貫通穴をそれぞれ有し、前記二つの保持部材は、ねじ穴をそれぞれ有し、前記二つの乗せ部材は、ボルトを使って前記貫通穴を挿通して前記二つの保持部材の前記ねじ穴にねじ込むことを特徴とする。
【0040】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの保持部材は溝構造をそれぞれ有し、前記二つの乗せ部材は、前記二つの保持部材の前記溝構造に差し込むことにより、前記二つの保持部材に対応して組付けることを特徴とする。
【0041】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの保持部材は導電性構造をそれぞれ有することにより、前記二つの乗せ部材に押し付ける前記電極と電気的に接続することを特徴とする。
【0042】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの保持部材は、前記二つの乗せ部材と前記電極とを同時に固定することを特徴とする。
【0043】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工ユニットは、更に、付属部材を備え、前記付属部材は、前記二つの乗せ部材のエッジにおいて、前記電極と接続することを特徴とする。
【0044】
本発明に係る放電加工装置によると、前記付属部材は、前記給電ユニットの前記第1の電源または第2の電源と電気的に接続することを特徴とする。
【0045】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電極の頭と尾は、前記二つの乗せ部材の同じ一方、又は両方とそれぞれ接続することを特徴とする。
【0046】
本発明に係る放電加工装置によると、前記二つの乗せ部材のエッジは面取りを有することを特徴とする。
【0047】
本発明に係る放電加工装置によると、前記ステージに乗せる前記加工対象物は、半導体インゴット、又はウエハーであることを特徴とする。
【0048】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、前記放電加工手順において、前記ステージに乗せる前記加工対象物を、順番、又は同時に切断または研削することを特徴とする。
【0049】
本発明に係る放電加工装置によると、前記加工対象物は、複数の工作物を電気的に接着して構成されることを特徴とする。
【0050】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電エネルギーにより、前記加工対象物の前記加工目標領域に加工溝が形成され、前記加工溝内に充填材が充填されていることを特徴とする。
【0051】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電エネルギーにより、前記加工対象物の前記加工目標領域に加工溝が形成され、前記加工対象物は、前記加工溝の両側にテープが張り付けられていることにより、前記加工対象物の前記加工目標領域の揺れ現象を減少することを特徴とする。
【0052】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工手順は、流体において、前記加工対象物の前記加工目標領域に前記放電エネルギーを加えることを特徴とする。
【0053】
本発明に係る放電加工装置によると、前記流体は、オゾン又は酸素の成分を含有することを特徴とする。
【0054】
本発明に係る放電加工装置によると、前記流体はバブルを含有することを特徴とする。
【0055】
本発明に係る放電加工装置によると、前記バブルは、前記放電加工手順において、内外の圧力差により、内破現象が発生されることを特徴とする。
【0056】
本発明に係る放電加工装置によると、前記バブルは、オゾン又は酸素の成分を含有することを特徴とする。
【0057】
本発明に係る放電加工装置によると、前記流体は電解液であることを特徴とする。
【0058】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工手順は、真空環境において、前記加工対象物の前記加工目標領域に前記放電エネルギーを加えることを特徴とする。
【0059】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、更に、超音波発生器または圧電発振器を備えることにより、前記ステージ、前記加工対象物、又は前記電極を発振することを特徴とする。
【0060】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工装置は、更に、超音波発生器または圧電発振器を備えることにより、前記ステージ、前記加工対象物、前記電極、又は前記流体を発振することを特徴とする。
【0061】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電極は複数あり、これらの前記電極は、前記第1の方向に沿って平行であるように配列されることを特徴とする。
【0062】
本発明に係る放電加工装置によると、更に、方向修正エレメントを備え、前記方向修正エレメントは、前記電極の前記加工方向にズレ現象が現れたときに、前記電極と前記加工対象物の相対方向を調整して、前記加工方向を修正するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0063】
本発明に係る放電加工装置によれば、次のような効果がある。
(1)ジグは、少なくとも二つの乗せ部材と少なくとも二つの保持部材を、それぞれ対応して組付けて構成される。快速脱着可能の設計により、電極を交換する時間を大幅に減少することができ、放電電極の張力を調整することもできる。
(2)チップス排出ユニットを有するため、単一又は複数の加工目標領域に外力を加えることができ、外力の加え方向や加え位置は、加工対象物の形状に応じてダイナミックに調整されて、放電加工手順で発生された残留物を排除する。
(3)クランプ部材は、複数のクランプ態様を有し、コーム構造により、加工対象物をしっかりクランプすることができ、従来の放電加工技術のように、クランプ部材と加工対象物の重なり区域を切ることができないという問題を解決することができ、ロック構造により、脱着および調整が可能となる。
(4)方向修正エレメントにより、電極と加工対象物の加工方向を修正することができ、加工方向にズレの発生を回避することができる。
(5)クランプ部材またはステージにコーム構造を形成することにより、スムーズな放電加工手順が促進され、損傷が最小限に抑えられる。
(6)安定部材により、電極の振動を減少することができ、分離用カラムとしてガイドする効果を得ることができ、電気接点として使用することもできる。
(7)熱源は、熱衝撃による、不要な亀裂や亀裂の拡大を軽減することができ、放電加工手順をスムーズに行うことができる。
(8)導電ゲイン層により、加工対象物のクランプ部材やステージとの電気的な接触を向上することができる。
(9)接着剤層により、放電加工手順の過程中に、加工対象物の振動を回避することができ、放電加工手順を終了する前に、バリの発生を回避することができ、導電性接着剤層を採用すると、加工対象物のクランプ部材やステージとの電気的な接続が可能となる。
【0064】
本発明の技術的特徴および達成し得る技術的効能の理解を深めるために、より良い実施例と詳細な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】本発明に係る放電加工装置の実施の態様を示す正面図であって、
図1(A)と(B)は異なる実施の態様である。
【
図2】本発明に係る放電加工装置の一部の構造の実施の態様を示す上面図であって、
図2(A)、(B)と(C)は、異なる実施の態様である。
【
図3】本発明に係る放電加工装置の一部の構造の実施の態様を示す側面図であって、
図3(A)と(B)は異なる実施の態様である。
【
図4】本発明に係る加工対象物が複数の加工しようとする工作物を連接して構成された実施の態様を示す側面図である。
【
図5】本発明に係る放電加工ユニットが複数の加工対象物に対して放電加工手順を行う実施の態様を示す上面図である。
【
図6】本発明に係る電極の横方向の断面が異なる形状を呈する実施の態様を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る電極の両端がそれぞれ異なる乗せ部材に接続された実施の態様を示す側面図である。
【
図8】本発明に係る電極の両端がそれぞれ異なる乗せ部材に接続された実施の態様を示す上面図である。
【
図9】本発明に係る加工溝に充填材が充填された、異なる実施の態様を示す模式図であって、
図9(A)、(B)と(C)は、異なる実施の態様である。
【
図10】(A)と(B)は本発明に係る放電加工装置が安定部材を有する二つの実施の態様を示す模式図であって、
図10(A)と(B)は異なる実施の態様である。
【
図11】本発明に係る乗せ部材の制限スロットに複数の電極が設けられている実施の態様を示す模式図である。
【
図12】本発明に係る乗せ部材がプレート状の構造である実施の態様を示す側面図である。
【
図13】本発明に係る乗せ部材が別のプレート状の構造である実施の態様を示す上面図である。
【
図14】本発明に係る複数の乗せ部材が保持部材にねじ込まれた実施の態様を示す側面図である。
【
図15】本発明に係る保持部材が溝構造で乗せ部材に組付けられた実施の態様を示す側面図である。
【
図16】本発明に係る保持部材が電極に接続された導電構造を有する実施の態様を示す上面図である。
【
図17】絶縁構造が
図16の導電構造と電極との間に設けられている実施の態様を示す上面図である。
【
図18】本発明に係るクランプ部材が放射状に加工対象物をクランプした実施の態様を示す模式図であって、
図18(A)は側面図であり、
図18(B)は上面図である。
【
図19】本発明に係るクランプ部材が、軸方向に加工対象物をクランプした実施の態様を示す側面図であって、
図19(A)と(B)は異なる実施の態様である。
【
図20】本発明に係るクランプ部材のプレートが片側で加工対象物を固定した実施の態様を示す側面図である。
【
図21】本発明に係るクランプ部材が放射状に加工対象物をクランプした実施の態様を示す側面図であって、
図21(A)、(B)、(C)と(D)は、異なる実施の態様である。
【
図22】本発明が導電ゲイン層により電気接触を向上する実施の態様を示す側面図であって、
図22(A)、(B)と(C)は、異なる実施の態様である。
【
図23】本発明がコーム構造により放電加工手順を補助する実施の態様を示す側面図であって、
図23(A)、(B)と(C)は、異なる実施の態様である。
【
図24】本発明がロック構造により、クランプ部材を脱着可能にする実施の態様を示す側面図であって、
図24(A)と(B)は異なる角度から見た模式図である。
【
図25】本発明がロック構造およびスナップイン構造により、クランプ部材を脱着可能にする実施の態様を示す側面図であって、
図25(A)と(B)は異なる角度から見た模式図である。
【
図26】本発明に係る放電加工装置が加工対象物をクランプした実施の態様を示す模式図であって、
図26(A)から(D)は異なる実施の態様である。
【
図27】本発明が複数の乗せ部材により、電極を互いに平行であるように配列した実施の態様を示す模式図であって、
図27(A)は、電極が加工方向Fに沿って、互いに平行であるように配列され(すなわち、複数の電極は、単一の加工目標領域に対して、放電加工手順を順番に行う)、
図27(B)は、電極が第1の方向Xに沿って互いに平行であるように配列され(すなわち、複数の電極は、複数の加工目標領域に対して、放電加工手順を同時に行う)。
【
図28】本発明が分離用カラムにより、電極が互いに平行である実施の態様を示す上面図であって、
図28(A)は、電極が両側の乗せ部材を囲む状態を示す模式図であり、
図28(B)は、両側の乗せ部材に電極が接続されている状態を示す模式図である。
【
図29】本発明に係る放電加工装置がチップス排出ユニットを有する実施の態様を示す上面図であって、
図29(A)と(B)は異なる実施の態様を示す模式図である。
【
図30】本発明に係る放電加工装置のジグが電極をスクロールする実施の態様を示す模式図である。
【
図31】本発明に係る放電加工装置が張力制御モジュールを有する実施の態様を示す模式図である。
【
図32】本発明に係る放電加工装置が方向修正エレメントを有する実施の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の図面における各部材の比率は、説明を容易に理解するために示され、実際の比率ではない。
また、図に示すアセンブリの寸法の比率は、各部品とその構造を説明するためのものであり、もちろん、本発明はこれに限定されない。
一方、理解を便利にするために、下記の実施の形態における同じ部品については、同じ符号を付して説明する。
【0067】
さらに、明細書全体および請求の範囲で使用される用語は、特に明記しない限り、通常、この分野、本明細書に開示される内容、および特別な内容で使用される各用語の通常の意味を有する。
本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、当業者に本発明の説明に関する追加のガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明される。
【0068】
この記事での「第1」、「第2」、「第3」などの使用については、順序や順次を具体的に示すものではなく、本発明を制限するためにも使用されていない。これは、同じ専門用語で説明するコンポーネントまたは操作を区別するだけために使用される。
【0069】
次に、この記事で「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語が使用されている場合、それらはすべてオープンな用語である。つまり、これらは、含むがこれに限定されないことを意味する。
【0070】
図1は本発明に係る放電加工装置を示す正面図であって、
図1(A)の電極はラップアラウンド設計を採用し、
図1(B)の電極はジャンパー設計を採用する。
図2は本発明に係る放電加工装置の一部の構造を示す上面図であって、
図2(A)の電極は、複数あり、ラップアラウンド設計を採用し、
図2(B)の電極は、一つあり、ラップアラウンド設計を採用し、
図2(C)の電極は、一つあり、ジャンパー設計を採用する。
図3は本発明に係る放電加工装置の一部の構造を示す側面図であって、
図3(A)は複数の電極が複数の加工目標領域に対して放電加工手順を同時に行い、
図3(B)は、単一の電極が単一の加工目標領域に対して放電加工手順を行う。
図1から
図3を参照する。本発明に係る放電加工(EDM)装置10は、ステージ20と、放電加工ユニット30と、を少なくとも備える。ステージ20は、少なくとも一つの加工対象物100を乗せるためのものである。
電極32の両端は、それぞれ、
図1(B)及び
図2(C)に示すように、二つのジグ36をスパンし、又は
図1(A)、
図2(A)及び
図2(B)に示すように、二つのジグ36をサラウンドする。
これにより、電極32の放電区分Bはフローティング状態にある。
放電加工ユニット30の電極32は、第2の方向Yに沿って伸びることにより、電極32の放電区分Bは第2の方向Yに平行であり、第2の方向Yは第1の方向Xと加工方向Fとに垂直である。
電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110は、往復または周期的に元に戻すように相対移動する(例えば、
図1に示す第2の方向Yに沿って相対変位する)。
これにより、加工方向Fに沿って電極32でステージ20上の加工対象物100の加工目標領域110に対して放電加工手順を行う。
放電加工ユニット30の給電ユニット34は、放電加工手順において、電極32と加工対象物100とに第1の電源P1を供給することにより、放電区分Bに位置する電極32を経由して、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加える。
【0071】
上記の加工対象物100は、任意の導体や半導体構造であり、例えば結晶インゴットやウエハーなどであり、例えば円柱状などを呈するブロック、又はシートである。
加工対象物100には、少なくとも一つの加工目標領域110を有し、例えば、
図3(B)に示すように、単一の加工目標領域110、又は
図3(A)に示すように、複数の加工目標領域110を有する。
加工目標領域110が複数あることを例とする場合に、これらの加工目標領域110は、加工対象物100における、加工に適合である任意の位置に、互いに平行であるように配列される。
これらの加工目標領域110の間隔Dは、加工対象物100の切り厚さ、薄肉化厚さ、又は切り間隔に対応し(例えば加工対象物100と同じ)、その数値は、選択的に実際のプロセスの必要によって調整することができる。そのため、これらの加工目標領域110の間隔Dは同じか又は異なることに限定されない。
【0072】
図1から
図3を参照する。放電加工(EDM)ユニット30は、加工方向Fに沿って、ステージ20上の加工対象物100の加工目標領域110に対して、放電加工手順を行い、例えば、加工対象物100の加工目標領域110に対して、カッティング(Cutting)及び/又は研削(Electric Discharge Grinding,EDG)などの放電加工手順を順番または同時に行う。
本発明は、ステージ20が加工対象物100を駆動して放電加工ユニット30の電極32へ移動し、又は放電加工ユニット30が電極32を駆動して加工対象物100へ移動することに限定されず、放電加工(EDM)ユニット30とステージ20上の加工対象物100は上記の加工方向Fに沿って相対運動することができれば、本発明に適用することができる。
換言すると、本発明に係るステージ20は、位置が固定されてもよいし、移動や回動可能でもよい。
本発明は、ステージ20が乗せ板21を有する作業プラットフォームを例として説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明に係るステージ20は、選択的に乗せ板21を省略してもよいし、乗せ板21の代わりに下記の接着剤層を使用してもよい。
同じように、本発明に係る加工対象物100は、単一の工作物で構成されることに限定されず、例えば、加工対象とする複数の工作物を接続して構成されてもよい。
これらの工作物は、選択的に、例えば接着剤層26により互いに組み付けられる(
図4に示す実施例)。
接着剤層26は、例えば電気接触を向上可能な導電性接着剤である。
しかし、本発明は、これらに限定されず、上記または下記の接着剤層26が接着効果を発揮できれば、導電性の有無に関わらず、全て本発明の請求の範囲に属する。
一方、本発明に係る放電加工ユニット30は、選択的に、
図5に示すように、一つ又は複数の加工対象物100に対して放電加工手順を順番または同時に行うこともできる。
図4は複数の加工対象物を互いに接着して放電加工手順を行うことを示す側面図であり、
図5は本発明に係る放電加工装置が複数の加工対象物に対して放電加工手順を行うことを示す上面図である。
【0073】
図1から
図3を参照する。放電加工ユニット30は、少なくとも一つの電極32と、給電ユニット34と、ジグ36と、を備える。
電極32は、例えば、
図2(B)、
図2(C)及び
図3(B)に示すように、一つあり、又は複数あり、
図2(A)及び
図3(A)に示すように、加工対象物100上の一つの加工目標領域110又は複数の加工目標領域110に対して放電加工手順を行う。
第2の方向Yに沿って伸びる放電区分Bの複数の電極32を有することを例とする場合に、これらの電極32は、第1の方向Xに沿って互いに平行であるように配列され、又は加工方向Fに沿って互いに平行であるように配列される。これらの電極32は、線状(ストリップ状も称し)又は板状(片状も称し)の導電構造であり、例えば導電性ワイヤや箔である。
電極32の数は、選択的に、実際の必要によって決める。
これらの電極32の第1の方向Xの間隔Dは、加工対象物100のカッティング又は薄肉化厚さに対応する。
これらの電極32の横方向断面の形状は、同でもよいし、異なってもよく、例えば線状または板状を呈し、或いは、何れかの対称形状(
図6に示す円形、正方形または長方形)又は非対称形状を呈する。
給電ユニット34は、それぞれ電気接点31(electrical contact)を経由して、電極32及び加工対象物100と電気的に接続する。
給電ユニット34は、1セット又は複数セットの電源出力であり、第1の電源P1を供給する。
給電ユニット34は、電極32と電気的に直列または並列に接続することもでき、電極32を経由して加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加えることができれば、本発明に適用することができる。
電極32の材質は、例えば、銅(Copper)、真鍮(Brass)、モリブデン(Molybdenum)、タングステン(Tungsten)、黒鉛(Graphite)、鉄鋼(Steel)、アルミ(Aluminum)及び亜鉛(Zinc)からなるグループから選ばれる。
放電電極32の厚さは、約300 μmであり、約30 μmから300 μmであることが好ましい。
しかし、注意すべきことは、本発明は、電極32の数が複数あることを例として説明したが、これに限定されず、
図2(B)、
図2(C)及び
図3(B)に示すように、単一の電極を有しても、本発明の請求の範囲に属する。
本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本発明および先行技術の開示内容に基づいて、単一の電極または複数の電極に本発明の技術的手段を適用する方法を理解できるため、詳細の説明を省略する。
【0074】
図1から
図3を参照する。ジグ36は、例えば、少なくとも二つの乗せ部材40と少なくとも二つの保持部材50をそれぞれ選択的に対応して組付けて構成される。
電極32の両側Aは、二つの乗せ部材40に対してそれぞれ可動または固定であるように押し付けることにより、電極32の放電区分Bはフローティング状態にある。
二つの乗せ部材40の間に間隔がある。二つの乗せ部材40の寸法と、乗せ部材40に乗せる電極32の高さとが、同じ又は異なるであることは、特に限定されない。
電極32の放電区分Bがフローティング状態にあれば、本発明に適用することができる。
保持部材50は、乗せ部材40に脱着することが可能であり、又は乗せ部材40にしっかりと組み付けられる。保持部材50は台座52上に設けられている。台座52は、保持部材50の位置を固定するための構造であり、又は保持部材50の移動や回動などの運動を可能にするための運動機構であるる。
乗せ部材40の移動や回動などの運動を駆動するため、電極32の放電区分Bは、左右へ往復動することができる。
台座52の運動機構としては、例えば、左右へ往復動可能な任意の移動機構であり、例えばスライド機構であり、或いは、例えば、往復または周期的に元に戻すように回転可能な任意の回動機構であり、例えばモータである。
これにより、保持部材50を駆動して、移動や回動などの運動をすることができる。
これにより、乗せ部材40及び保持部材50は、選択的に電極32と一緒に往復または周期的に元に戻すように移動して、電極32が、放電区分Bで放電エネルギーを加工対象物100に加える。
電極32が乗せ部材40によりよく取り付けられるようにするために、乗せ部材40のエッジは、
図2及び
図12に示すように、選択的に面取り47を有する。
【0075】
放電加工の手順において、給電ユニット34は、電極32と加工対象物100とに第1の電源P1を供給することにより、電極32の放電区分Bを経由して、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加える。
放電加工ユニット30が加工方向F(カッティング/研削方向)に沿って加工対象物100の加工目標領域110に対して放電加工を行うときに、電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110とは、第2の方向Yに沿って相対移動し、例えば往復または周期的に元に戻すように相対移動する。
すなわち、電極32と加工対象物100は、そのうちの一方が固定であり、他方が相対移動することができる。
或いは、電極32と加工対象物100とは、相対移動する。
加工方向Fは、例えば、第1の方向Xや第2の方向Yに垂直であり、又は第1の方向Xや第2の方向Yに傾斜である。
例を挙げて説明すると、加工対象物100が電極32に対して移動することを例とする場合に、本発明に係るステージ20は、例えば、移動や回転可能な可動式ステージであり、且つ例えば、上記の第1の方向X、第2の方向Y、又は加工方向Fに沿って移動し、或いは、第1の方向X、第2の方向Y、又は加工方向Fを軸心として回転する。
【0076】
本発明は、
図1から
図3に示すように、電極32が第1の方向Xに沿って平行であるように配列される。電極32は、例えば、互いに距離を置いた二つの乗せ部材40をそれぞれ移動可能に囲むことにより、電極32の放電区分Bがフローティング状態にあり、且つ二つの乗せ部材40の運動に従って、第2の方向Yに沿って往復または周期的に元に戻すように移動する。
或いは、電極32は、例えば、固定方式であり、互いに距離を置いた二つの乗せ部材40を跨ぎ、又はサラウンドする。
放電加工装置10は、選択的に、接続構造35を有する。接続構造35は、第1の方向Xに沿って伸びて、第1の方向Xに沿って平行であるように配列される複数の電極32と接続する。
接続構造35は、放電電極32の放電加工を行うときの構造安定性を増加することができる。そのため、接続構造35は、導電性を有しない材料を採用してもよい。これにより、電極32同士が互いに電気接触することを防止することができる。
接続構造35が導電性材料を採用する場合に、接続構造35は電気接点31として使用することができる。
すなわち、各電極32の頭と尾の端は、それぞれ、
図1Aに示すように、二つの乗せ部材40の同じ一方と接続し、又は
図7に示すように、二つの乗せ部材40の両方と接続することにより、電極32の放電区分Bがフローティング状態にあり、且つ二つの乗せ部材40に従って往復動して、第2の方向Yに沿って往復動する。
図7に示すように、電極32は、二つの乗せ部材40にサラウンドすることに限定されず、選択的に、二つの乗せ部材40の頂側だけを跨いでもよい。
【0077】
図9(A)に示すように、放電加工手順において、放電加工ユニット30は、電極32の放電区分Bを経由して、加工方向Fに沿って、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加える。そのため、加工方向Fに沿って、加工対象物100の加工目標領域110に複数の加工溝120を形成することができる。
加工溝120の深さHは、全部の放電加工手順が終了するまで、放電加工手順の行いに従って深くなる。
図9(A)に示すように、本発明は、選択的に、充填手順を行うことにより、加工溝120に、選択的に、充填材124を充填してもよい。
これにより、加工対象物100の振動を減少することができ、加工対象物100のカットしたままの状態(as-cut)/薄肉化距離を保持することができる。
そして、カッティングや研磨された後の加工対象物100のシートが互いに衝突することを回避することができる。
上記の充填材124は、空気、脱イオン水、オイル、グルーなどの絶縁材料、又は他の適切な絶縁材料を誘電材料として使用することができる。
しかし、本発明に係る充填材124の材料は、絶縁材料に限定されず、加工溝120に充填することが可能な何れかの材料(例えば半絶縁材料または非絶縁材料)でも、全て本発明の請求の範囲に属する。
そして、実際のプロセスの必要によって、放電加工手順と充填手順は、同期、順番または交代に行われてもよい。
例えば、加工溝120の一部の深さを形成した後、及び加工溝120が加工対象物100を完全に貫通する前に、本発明は、更に、選択的に、加工溝120に対して充填手順を行うことができる。
例えば、
図9(B)に示すように、加工溝120に対して分注手順を行う。
これは、接着剤を充填材124として、加工溝120の両側の加工面を接着して、加工対象物100に加工溝120が形成されたことによるブレの発生を減少することができる。
上記の接着剤は、導電性接着剤または非導電性接着剤である。上記の接着剤は、加工溝120の一部や全部を補填することに限定されず、接着して固定することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
或いは、
図9(C)に示すように、本発明は、選択的に、金属箔または金属ブロックを充填材124として、充填材124を加工溝120に入れることができる。
金属箔または金属ブロックは、例えば銅箔または銅シートなどの導電性材料である。
これにより、同じように、加工対象物100のブレ現象を減少することができる。
同じように、上記の金属箔または金属ブロックは、加工溝120の一部または全部を充填することに限定されない。充填材124は金属箔または金属ブロックなどの導電性材料に限定されず、絶縁ブロックなども、選択的に、充填材124とすることもできる。
補填効果を得ることができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
一方、その他、本発明は、選択的に、加工溝120が形成された加工対象物100に対して、テープ張付け手順を行うことができ、例えば導電性または非導電性のテープ126を加工対象物100の加工溝120の両側に張り付けることにより、しっかり固定することができ、加工対象物100の加工目標領域110のブレ現象を減少することもできる。
加工溝120に金属箔または金属ブロックなどの充填材124を充填したと、充填材124を支持エレメントとして、加工溝120の両側を支持することができ、加工の過程中または加工の後に、シートである加工対象物100が外力を受けて破裂し、又は破砕することなどを有効に回避することができる。
例を挙げて説明すると、充填材124は金属箔または金属ブロックなどの導電性材料であり、且つ放電加工手順と充填手順が交互に行なわれる。
本発明は、例えば、第1段時間の放電加工手順を行って一部の加工溝120を形成した後、第2段時間の充填手順を行い、例えば金属箔または金属ブロックなどの充填材124を加工溝120に充填して、テープ126を張り付ける。
同じように、本発明は、この後、第3段時間の放電加工手順を行って別の部分の加工溝120を形成して、第4段時間の充填手順を行い、などなど。
これにより、加工溝120の一部または全部を補填することができる。
その他、本発明は、上記の液相または気相などの流体において、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加えて、放電加工手順を行うことに限定されず、本発明の放電加工手順は、真空環境において、行われてもよい。真空環境において行われる場合は、放電ロス及び不純物による汚染を減少することができ、放電加工の精度と制御性を向上することもできる。
或いは、上記の液相または気相などの流体は、例えば酸素またはオゾン成分を含有する。酸素またはオゾン成分を含有する環境において、放電加工手順を行うことにより、放電加工の速度を上げることができ、放電加工の品質を改善することもでき、電極の表面に発生した炭化物や残留物の除去にも効果があり、ひいては電極の摩耗を減少することができる。
簡単に説明すると、本発明の放電加工手順は、気相流体の環境または真空環境において、ドライ式で加工対象物100をカッティングすることができる。そして加工対象物100を液相流体タンク(例えば液体タンクや加熱された液体タンク)に浸し、又は液相流体を加工対象物100にスプレーすることにより、湿った環境において、ウェット式で加工対象物100をカッティングすることができる。
例を挙げて説明すると、上記の流体は、選択的に、電解水などの電解液(図示せず)である。
これにより、本発明は、例えば電解液環境において、放電加工手順を行うことができる。
電極32は、
図1に示すように、給電ユニット34の陰極と電気的に接続し、加工対象物100は給電ユニット34の陽極と電気的に接続するため、放電加工手順を行う過程中に、電解反応が同時に発生される。
本発明は、電解反応による陰極保護(cathodic protection)現象により、電極32の金属成分が、放電加工手順において、電解液に溶けることを回避することができるため、電極32が断裂する現象を減少することができる。
電解反応により、電解液における水は、加工対象物100の加工目標領域110で水素ガスが発生される。
水素ガスのバブルの発生により、加工溝120における残留物の排除を促進することができ、加工対象物100の洗浄効果を向上することができる。
そして、同じ電気的性質は互いに反発するという原理により、同じマイナスに帯電した残留物が電極32や加工溝120に付着することを回避できる。
本発明は、電解水を電解液として説明したが、何れかの気相や液相流体は電解反応を発生することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0078】
図10(A)及び
図10(B)を参照する。放電加工手順において、電極32の放電区分Bは、加工方向Fに沿って進んで、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加える。電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110とは、同時に第2の方向Yに沿って相対移動する(例えば、
図10(A)及び
図10(B)の白抜きの両矢印と単一の矢印で示す方向に)。電極32の放電加工手順の過程中に発生される振動を回避するために、本発明に係る放電加工装置10は、選択的に、安定部材22を有する。
安定部材22は、例えば、ステージ20またはジグ36に設けられており、例えば電極32の両側Aの間に位置する。
安定部材22の形態は、特に限定されず、電極32の振動を減少できれば、本発明に適用することができる。
例を挙げて説明すると、安定部材22の電極32と接触する接触面28は、例えば平面であり、例えば、フローティング状態にある電極32を支持することにより、振動を減少することができる。
安定部材22の電極32と接触する接触面28は、
図10(B)に示すように、選択的に案内溝281を有する。案内溝281の深さは、例えば、電極32を移動可能に収容できる程度の深さである。
案内溝281の数は電極32に対応することにより、電極32の間隔を保持することができ、第1の方向Xに沿う揺れを減少することができ、電極32を有効に安定化することができ、電極32をガイドすることもできる。
案内溝281は、フローティング状態にある電極32を支持することが可能である。そして、電極32が加工対象物100に対して、往復または周期的に元に戻すように移動するときに、電極32の安定化およびガイドをする効果を得ることができる。
その他、安定部材22は、選択的に、その高さが伸縮可能な構造を採用してもよい。
これにより、加工溝120の深さに従って、安定部材22の電極32と接触する接触面28の高さを変更することができる。
安定部材22の隣接する案内溝281の間のストリップ状構造も、下記の分離用カラムとして使用することができる。
これにより、複数の電極32を互いに平行であるように分離することができる。
安定部材22は、非導電性材料を採用することにより、電極32同士が互いに電気接触することを防止することができる。
安定部材22は、導電性材料を採用する場合に、電気接点31として使用することもできる。
【0079】
本発明に係る乗せ部材40の形状は、特に限定されず、例えば、
図12及び
図13に示すようなプレート状、又は
図1から
図10に示すようなスリーブ状を呈していてもよい。
乗せ部材40の表面には、選択的に、例えば複数の制限スロット42が設けられている。
電極32の位置は制限スロット42に制限される。
異なる制限スロット42における電極32は、それぞれ電気的に独立でもよいし、順番に接続されて電気的に連通してもよい。
図1から
図13に示す実施の態様では、制限スロット42は、間隔Dで第1の方向Xに沿って平行であるように配列されることにより、電極32が第1の方向Xに沿って平行であるように配列される。
しかし、本発明は、これに限定されず、実際の放電加工プロセスの必要によって、制限スロット42は、例えば、加工方向Fに沿って平行であるように配列されてもよい。
これにより、電極32を加工方向Fに沿って平行であるように配列することができる。
制限スロット42の幅は、電極32の幅に対応する。例えば、制限スロット42の幅は、電極32の幅よりやや大きい。
これにより、電極32の位置を制限スロット42に制限することができる。
二つの乗せ部材40は、例えば制限スロット42を有する。
電極32と乗せ部材40は相対運動する必要がない場合には、例えば乗せ部材40が回転する必要がない場合に、本発明は、更に、選択的に、
図7及び
図8に示すように、付属部材46により、制限スロット42に電極32を固定する。
付属部材46は、例えば乗せ部材40のエッジで電極32と接続する。
付属部材46は、例えば複数の位置と寸法とを有し、制限スロット42のバンプに対応し、又は付属部材46が接着剤でもよい。
一方、付属部材46は、更に、選択的に、給電ユニット34からの第1の電源P1や別の給電ユニット34’からの第2の電源P2と電気的に接続する。
第2の電源P2は、例えば直流電源または無線周波である。すなわち、付属部材46は、更に、選択的に、
図1の電気接点31として使用することができる。
【0080】
図11に示す実施の態様と、
図1から
図10とを同時に参照する。
ジグ36の乗せ部材40が円筒形を呈するスリーブ構造であることを例とすれば、複数の制限スロット42は、例えば第1の方向X(すなわち、乗せ部材40の軸方向)に沿って平行であるように配列され、且つ第3の方向Z(すなわち、乗せ部材40の半径方向)に沿って乗せ部材40の奥まで入って深さHを有する。
このため、単一の制限スロット42において、
図11に示すように、単一の電極または複数の電極32を積み重ねることができる。
制限スロット42の深さHは、実際の必要によって決めることができ、互いに同じであることに限定されない。すなわち、第1の方向Xに沿って平行であるように配列される複数の制限スロット42の深さHは、互いに異なってもよい。
電極32がラップアラウンド設計を採用することを例とする場合には、電極32が互いに接触して積み重ね状態にあり、且つ乗せ部材40を回り込むことにより、制限スロット42内に積み重ねる。
一方、異なる制限スロット42における電極32の数は、互いに同じであることに限定されない。すなわち、異なる制限スロット42に位置する電極32の数は、互いに異なってもよい。
換言すると、第1の方向Xに沿って平行であるように配列される電極32は、同じ数で第3の方向Zに沿って平行であるように配列され、又は第1の方向Xに沿って平行であるように配列される電極32は、異なる数で第3の方向Zに沿って平行であるように配列される。
第3の方向Zは、例えば、第1の方向Xに垂直である。すなわち、乗せ部材40の半径方向であり、且つ加工対象物100の半径方向に平行である。
しかし、実際のプロセスの必要によって、放電加工手順は、加工対象物100の半径方向に沿って、垂直に切断または研削することができ、又は加工対象物100の半径方向に沿って、ある傾斜角度で斜めに切断または研削することができる。
このため、実際に放電加工手順を行うときには、例えば、ステージ20やジグ36を調整して、第3の方向Zが加工方向Fに平行であるように調整する。
【0081】
保持部材50は、選択的に、脱着可能式または固定式で、乗せ部材40にしっかり組付けられている。
乗せ部材40と保持部材50の組付け態様は、特に限定されない。
保持部材50に乗せ部材を組み付けることができ、又は乗せ部材40が、保持部材50の移動や回転などの運動により、選択的に、移動や回転などの運動をすることができれば、本発明に適用することができる。
乗せ部材40は、例えば、
図2に示すように、軸穴41を有する、円筒形、又はその他の形状を呈するスリーブである。
乗せ部材40は、軸穴41により、保持部材50のバンプ53に嵌めることができる。
一方、電極32が不意に断裂したときに、電極32を交換するための時間を減少するために、本発明は、更に、例えば、まず、同様にバンプを有するダミー(Dummy)支持部材に乗せ部材40の軸穴41を嵌める。
これにより、ユーザーは、ダミー支持部材から、電極32に囲まれる乗せ部材40を快速に取り出すことができる。そして、保持部材50のバンプ53に乗せ部材40の軸穴41を嵌め、又は乗せ部材40の軸穴41に保持部材50のバンプ53を差し込む。
このため、ジグ36の組付け作業を快速に完成することができる。
【0082】
プレート状の構造を例とする場合に、
図12及び
図13に示す異なる実施の態様では、
図13の視点が
図12に垂直である。
乗せ部材40はそれぞれ第1のシート44A及び第2のシート44Bを備え、且つ電極32が第1のシート44Aと第2のシート44Bとの間にクランプされている。
図12を例とする場合に、電極32は、まず、第1のシート44Aに巻き付けて、第2のシート44Bが第1のシート44Aと結合する。第2のシート44Bは、例えば第1のシート44Aの嵌合溝に結合されている。
これにより、上記の制限スロット42が電極32をクランプすることができる。
乗せ部材40は、選択的に、例えば貫通スロット43を有する。
乗せ部材40は、貫通スロット43により、保持部材50のバンプ53に嵌めることができる。
貫通スロット43は、一側に開口し、又は両側に開口することに限定されない。乗せ部材40と保持部材50を組み付けて一体になることができれば、何れかの形態の貫通スロット43、又は組み付け方式は、全て本発明に適用することができる。
図13を例とする場合には、電極32は、第1のシート44Aと第2のシート44Bとの間にクランプされている。
乗せ部材40は、例えば貫通スロット43を有し、貫通スロット43により、保持部材50のバンプ53に嵌めることができる。
第2のシート44Bは、複数層に巻き付けられる電極32の間の仕切り層として使用することができ、且つ第2のシート44Bの厚さを変更することにより、複数層の電極32の間の第1の方向Xの間隔Dを調整することができる。
或いは、
図14に示す実施の態様のように、乗せ部材40は、選択的に、例えばネジ接続方式を採用して、保持部材50に組付ける。
例えば乗せ部材40は、それぞれ貫通穴45を有し、保持部材50のバンプ53は、それぞれねじ穴を有する。
乗せ部材40は、ボルト59が貫通穴45を通って保持部材50のねじ穴にねじ込む。
或いは、
図15に示す実施の態様のように、保持部材50は、選択的に、例えば溝構造57をそれぞれ有する。乗せ部材40は、保持部材50の溝構造57に差し込まれることにより、保持部材50に組付ける。
【0083】
一方、
図16に示す実施の態様のように、保持部材50は、更に、例えば導電構造54を有する。
導電構造54は、例えば第1の方向Xに沿って、複数の電極32を跨ぐことにより、乗せ部材40上の電極32に押し付けて電気的に接続する。
これにより、上記の実施例での給電ユニット34からの第1の電源P1は、選択的に、例えば導電構造54を経由して電極32と電気的に接続する。
すなわち、導電構造54は、選択的に、
図1の電気接点31として使用する。
加えて、電極32の間にも、選択的に、絶縁構造56が設けられていることにより、電極32が互いに電気接触することを回避することができる。
例を挙げて説明すると、
図17に示す実施の態様のように、絶縁構造56は、選択的に、例えば電極32と導電構造54との間に設けられている。
絶縁構造56の採用する材料は、特に限定されず、上記の絶縁効果を提供することできれば、本発明に適用することができる。
【0084】
一方、本発明の各実施の態様では、異なる制限スロット42内に位置する電極32同士の高さは、同じであることに限定されない。異なる制限スロット42内に位置する電極32同士の高さは異なってもよい。
或いは、異なる乗せ部材40に位置する電極32同士の高さは、同じであることに限定されず、異なる乗せ部材40に位置する電極32同士の高さは異なってもよい。
すなわち、
図11に示す実施の態様のように、電極32は、第1の方向Xに沿って平行であるように配列され可能であることだけではなく、選択的に、同じ高さ又は異なる高さで、第3の方向Zに沿って平行であるように配列されることもできる。
同じ制限スロット42内に位置する電極32は、積み重ねたり、並列したりすることもできる。
【0085】
一方、
図11に示すように、同じ制限スロット42内に位置する複数の電極32は、第3の方向Z(加工方向F)に沿って平行であるように配列されるため、第3の方向Zに沿って平行であるように配列される。
これらの電極32は、加工方向Fに沿って、加工対象物100の加工目標領域110を順番に切断または研削するときに、後の電極32は、前の電極32が通過した位置を通過する。
換言すると、加工方向Fが上から下へを例とする場合には、前の電極32(例えば下方にある電極)が断線しても、後の電極32(例えば上方にある電極)は、前の電極32の代わりに、
図1に示す加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加えることができる。
これにより、電極の断線によるプロセスの中止などを回避することができる。
【0086】
加工対象物100はステージ20上に置かれている。
ステージ20は、加工対象物100を固定するためのクランプ部材24を備える。
クランプ部材24は、例えば二つのプレート23を有し、選択的に、乗せ板21を備える。
図18(A)及び
図18(B)を参照する。クランプ部材24のプレート23は、選択的に、階段状を呈する構造である。クランプ部材24のプレート23を階段状の設計にすることにより、加工対象物100のもっと多くの位置に押し付けて接触することができ、加工対象物100をクランプする効果をより安定して実現することができる。
しかし、本発明に係るクランプ部材24の形状は、特に、限定されない。加工対象物100をクランプすることができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
例を挙げて説明すると、加工対象物100はブロック状物(例えばインゴット)を例する場合には、クランプ部材24は、例えば円柱状を呈するインゴットの周面をクランプすることにより、
図18(A)及び
図18(B)に示すように、スクロールや変位を防ぐことができ、且つ加工対象物100の加工目標領域110をクランプ部材24の外側に位置することができる。
或いは、クランプ部材24は、例えばインゴットの両端をクランプする。すなわち、軸方向に沿ってインゴットの両側をクランプすることにより、
図19(A)及び
図19(B)に示すように、変位を防止することができ、且つ加工対象物100の加工目標領域110を二つのクランプ部材24の間に位置することができる。
クランプ部材24は、例えば分離される二つのプレート23である。二つのプレート23により加工対象物100をクランプする。
クランプ部材24と加工対象物100が二つ以上の接触面を有することにより、加工対象物100がスクロールや変位することを有効に回避することができる。
ステージ20の乗せ板21又はクランプ部材24は、更に、選択的に、
図19(A)及び
図19(B)に示すように、接着剤層26で加工対象物100と接続する。
これにより、放電加工手順の過程中に、加工対象物100が振動することを有効に回避することができる。又は放電加工手順が終了する前に、加工対象物100にバリが発生する現象を有効に回避することができる。
接着剤層26は、例えば導電性接着剤であり、接着剤により、導電および固定の効果を得ることができる。
接着剤層26は、連続式または非連続式で、ステージ20上またはクランプ部材24上に設けられている。
接着剤層26は、
図19(A)に示すように、連続式で加工対象物100とステージ20の乗せ板21との間に接着されている。又は
図19(B)に示すように、接着剤層26は、非連続式で加工対象物100とステージ20の乗せ板21との間に接着されている。
非連続式であることを例とする場合には、接着剤層26は、例えば間隔を取るように、ステージ20の乗せ板21上に設けられている。且つその位置は、例えば加工目標領域110に対応し、すなわち、接着剤層26は、加工目標領域110の下方に位置する。
しかし、本発明では、接着剤層26は、加工目標領域110の真下に位置することに限定されない。加工対象物100をしっかり接着することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0087】
図20に示す実施の態様のように、クランプ部材24は、更に、例えば、単一のプレート23と乗せ板21を組み合わせて構成されてもよい。
プレート23は、加工対象物100の一側を支持するためのものである。
乗せ板21は、加工対象物100の底側に乗せるためのものである。
別の実施の態様では、本発明に係るクランプ部材24は、乗せ板21を省略してもよく、単一のプレート23がステージ20上に位置する。
一方、本発明は、更に、選択的に、接着剤層26で、加工対象物100の加工目標領域110の加工溝120の二つの溝壁を接着することにより、放電加工手順の過程中、加工対象物100が振動する現象を回避することができ、そして放電加工手順が終了する前に、バリの発生を回避することもできる。
加工対象物100は、軸方向の両端または半径方向の周縁が、接着剤層26を介して、クランプ部材24の一側に固定することに限定されない。
上記と同じように、接着剤層26は、連続式または非連続式で、加工対象物100に位置してもよい。
接着剤層26は、例えば間隔を取るように、加工対象物100に設けられており、且つその位置は、例えば、加工対象物100の加工目標領域110に対応するが、これに限定されない。
【0088】
図21(A)に示す実施の態様について説明する。クランプ部材24は、例えば複数のプレート23を組み合わせて構成され、又はプレート23と乗せ板21を組み合わせて構成される。、更にクランプ部材24は、例えば緩衝部材27をクランプしてもよい。
緩衝部材27は、接着剤層26を介して加工対象物100に固定されている。
放電加工ユニット30は、加工方向F(例えば、図面に垂直または平行であり)に沿って、ステージ20上の加工対象物100に対して放電加工手順を行う。更に、例えば加工対象物100と緩衝部材27とに対して放電加工手順を行う。
接着剤層26は、選択的に、例えば導電性接着剤層である。
加工対象物100は、軸方向の両端または半径方向の周縁で、接着剤層26を介して、緩衝部材27に固定されることに限定されない。
緩衝部材27は、例えば導電性材料でもよいが、緩衝部材27は、クランプ部材24が加工対象物100を間接的にクラップするためのものであり、これにより、放電加工手順を行うことができる。
このため、緩衝部材27は、特定の構造や材料に限定されず、上記の目的を達成することができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0089】
図21(B)、
図21(C)及び
図21(D)に示す実施の態様について説明する。
クランプ部材24は、更に、例えば導電枠25をクランプすることにより、加工対象物100を固定する。放電加工ユニット30は、加工方向F(例えば、図面に垂直または平行であり)に沿って、ステージ20上の加工対象物100に対して放電加工手順を行い、更に、例えば、加工対象物100と導電枠25とに対して放電加工手順を行う。
加工対象物100は、軸方向の両端または半径方向の周縁で、導電枠25を介して、クランプ部材24に固定されることに限定されず、放電加工手順を行うことができれば、全て本発明の請求の範囲に属する。
そして、実際のプロセスの必要によって、本発明に係る導電枠25は、選択的に、
図21(C)及び
図21(D)に示すように、その一部が加工対象物100の周縁に付属し、又は
図21(B)に示すように、その全部が加工対象物100の周縁に付属する。
【0090】
加えて、放電加工手順の効率を向上するために、本発明は、更に、導電ゲイン層を介して、加工対象物100とクランプ部材24との間の電気接触を向上し、又は加工対象物100とステージ20との間の電気接触を向上する。
例を挙げて説明すると、
図22に示すように、本発明は、表面改質(例えば放電加工やレーザー)により、まず、加工対象物100に導電ゲイン層90を形成して、クランプ部材24で加工対象物100をクラップする。
導電ゲイン層90の成分は、加工対象物100の組成に応じて決定される。
導電ゲイン層90を形成する位置は、例えば加工対象物100がクランプされる位置(すなわち、接触面)に対応する。
例えば、導電ゲイン層90は、加工対象物100のクランプ部材24の両側のプレート23及び/又は下方にある乗せ板21と接触する位置に形成されている。
別の実施の態様では、クランプ部材24の下方にある乗せ板21が省略される。これにより、本発明は、例えば導電ゲイン層90がステージ20と直接に接触する。
本発明は、加工対象物100に対して表面改質を行うことにより、加工対象物100とクランプ部材24(又はステージ20)との間の電気接触を向上することができる。
或いは、本発明は、メッキやコーティングなどにより、導電ゲイン層90を形成することにより、電気接触を良くする。
更に、導電枠25は、
図21(B)に示すように、メッキにより導電ゲイン層90を形成し、又は自体が導電ゲイン層90であることにより、電気接触を良くすることができる。
上記の異なる位置に位置する複数の導電ゲイン層90は、例えば同じ又は異なる導電材料を採用し、良い電気接触を提供することができれば、本発明に適用することができる。
加えて、本発明に係るクランプ部材24の各コンポーネントは、例えば、プレート23及び/又は乗せ板21自体が導電ゲイン材料で構成される。
導電ゲイン材料は、例えば異なる導電材料又は同じ導電材料を採用する。導電ゲイン材料は、例えば異なる金属材料又は同じ金属材料を採用する。導電ゲイン材料は良い電気接触を提供することができれば、本発明に適用することができる。
これにより、特に、半導体や不良導体などの加工対象物100の放電加工効率を向上することができる。
上記の導電ゲイン層90の仕事関数は、例えば約4.5eV以下であるが、これらに限定されず、電気接触を向上することができれば、本発明に適用することができる。
【0091】
一方、放電加工手順において、放電加工ユニットは、加工方向Fに沿って、ステージ20上の加工対象物100とクランプ部材24とに対して、放電加工手順を行うことができる。
図23(A)、
図18(A)及び
図18(B)に示すように、本発明に係るクランプ部材24は、例えば二つのプレート23及び乗せ板21を備える。二つのプレート23は、選択的に、コーム構造11を有し、例えば二つのプレート23のうちの少なくとも一つにコーム構造11が形成されており、すなわち、櫛板になる。
コーム構造11のくし歯開口29の位置は、例えば加工目標領域110の位置に対応し、すなわち、電極32の位置に対応する。
しかし、本発明は、これらに限定されず、本発明に係る乗せ板21は、選択的に、
図23(B)に示すように、コーム構造11’を有してもよい。
乗せ板21を省略した場合には、
図23(C)に示すように、コーム構造11’をステージ20上に直接に形成してもよい。
換言すると、構造を設計するときの実際の必要によって、本発明に係るクランプ部材24又はステージ20は、選択的に、コーム構造を有し、又はクランプ部材24とステージ20とはコーム構造を有する。
コーム構造11’のくし歯開口29’の位置は、例えば加工目標領域110の位置に対応する。
これにより、加工対象物100をしっかりクランプして、放電加工手順を行うことができると共に、電極32がクランプ部材24とステージ20とを損傷することを回避することができる。
一方、本発明に係るコーム構造は、特定の寸法、材料、くし歯開口の数や設置の方位に限定されず、ステージ20及び/又はクランプ部材24は、放電加工手順において、加工対象物100をクランプすることができれば、本発明の請求の範囲に属する。
【0092】
本発明では、クランプ部材24は、固定式または取り外し式で、ステージ20上に固定されていることに限定されない。
取り外し式を採用することを例とする場合には、クランプ部材24の二つのプレート23は、例えばロック構造(Lock-in structure)240により、脱着可能に互いに接続されており、且つ下方にあるプレート23も、例えばロック構造240により、ステージ20に脱着可能に接続されている。
下方にあるプレート23は、前記各図における乗せ板21と共に、乗せるためのものであるため、乗せ板21で取り換えてもよいが、説明を簡単化するために、プレート23だけを例として説明する。
本発明に係るクランプ部材24は、ロック構造240により、二つのプレート23の間隔(すなわち、クランプ口の幅)を調整することができる。これにより、異なる寸法を有する加工対象物100をクランプすることができる。
ロック構造240は、例えば、
図24(A)及び
図24(B)に示すように、ボルト242及びナット244を備えるが、これに限定されない。
これにより、加工対象物100を脱着可能にクランプすることができると共に、加工対象物100の寸法に対応して、クランプ口の幅を調整することもできる。
その他、本発明に係るロック構造240は、ステージ20上にクランプ部材24を脱着可能に設けることができれば、何れかの設計を採用する構造でもよい。
すなわち、脱着可能な構造であれば、本発明の請求の範囲に属する。
一方、本発明に係るクランプ部材24の二つのプレート23は、更に、選択的に、スナップイン構造243により、例えば互いに嵌めて接続可能なスナップインブロック246(例えばバンプ)及びスナップイン穴248(例えば貫通穴)により、快速に接続することができる。
例を挙げて説明すると、
図25(A)及び
図25(B)に示すように、下方にあるプレート23は、例えばスナップインブロック246を有する。
なお、上方にあるプレート23は、それに対応するスナップイン穴248を有する。
これにより、二つのプレート23を互いに嵌めて接続することが容易となる。
次に、ボルト242及びナット244を利用すると、上方にあるプレート23を加工対象物100にしっかり押し付けることができる。
これにより、快速な脱着および取付を可能にする効果を得ることができると共に、構造の強さを増加する効果を得ることもできる。
その他、
図24(A)及び
図24(B)と
図25(A)及び
図25(B)を参照して実施の態様を説明する。
クランプ部材24の二つのプレート23は、選択的に、コーム構造11を有する。ステージ20も、選択的に、コーム構造11’を有する。コーム構造11’のくし歯開口29’の位置は、例えば加工目標領域110の位置に対応する。
これにより、加工対象物100をしっかりクランプして、放電加工手順を行うことができると共に、クランプ部材24のプレート23やステージ20が損傷されることを回避することができる。
【0093】
その他、
図26に示すように、加工対象物100の半径方向の断面形状は、円形に限定されず、任意の形状を呈してもよく、例えば平面区域13を有する円形を呈してもよい。
加工対象物100は、選択的に、
図26(A)及び
図26(C)に示すように、平面区域13でステージ20と接続し、又は
図26(B)に示すように、平面区域13でクランプ部材24と接続する。
本発明は、
図26(A)及び
図26(B)に示すように、クランプ部材24がステージ20に合わせて加工対象物100をクランプすることに限定されない。例えば、
図26(C)及び
図26(D)に示すように、クランプ部材24を省略して、ステージ20で加工対象物100を直接にクランプし、又はステージ20上の乗せ板(未繪示)で加工対象物100をクランプしてもよい。
加工対象物100は、二つ以上の面がクランプされたと、クランプ部材24及び/又はステージ20にクランプされたかに係わらず、全て加工対象物100をしっかり固定することができ、且つ加工対象物100のスクロールや変位を回避することもできる。
本発明に係るクランプ部材24やステージ20(又はステージ20上の乗せ板)は、更に、選択的に、加工対象物100の形状に対応する形状を有し、例えば円弧状溝15を有し、これにより、
図26(A)から
図26(D)に示すように、円弧形を呈する輪郭を有する加工対象物100に対応することができる。
換言すると、クランプ部材24が加工対象物100をクランプするときに、クランプ部材24の形状は、加工対象物100の形状にピッタリ(例えばコンフォーマルアタッチメント)であり、もっと良いクランプ効果を得ることができ、放電加工手順において、加工対象物100のスクロールや変位を回避することができる。
【0094】
別の実施例では、本発明に係る放電加工ユニット30は、例えば、二つ以上の乗せ部材40を往復または周期的に元に戻すように回転することにより、複数の電極32の放電区分Bを往復または周期的に元に戻すように移動することができる。
乗せ部材40と電極32の接続形態は、
図27(A)及び
図27(B)に示す実施の態様のように、各電極32は四つの乗せ部材40をそれぞれ包み込む。
図27は、本発明が複数の乗せ部材を介して、電極を平行であるように配列する二つの実施の態様を示す模式図である。
図27(A)は、電極32が加工方向Fに沿って平行であるように配列されることにより、複数の電極32は、単一の加工目標領域110に対して、放電加工手順を順番に行うことができることを示す。
図27(B)は、電極32が第1の方向Xに沿って平行であるように配列されることにより、複数の電極32は、複数の加工目標領域110に対して、放電加工手順を同時に行うことができることを示す。
これらの電極32は、四つの乗せ部材40のうちの二つを共用するため、これらの電極32の両側Aは、互に接触して積み重ね状態になる。且つ一緒に上記の共用される二つ乗せ部材40に移動可能に押し付ける。残る乗せ部材40は、ペアになって異なる高さに設けられている。これにより、電極32は間隔を取って互いに平行であるように配列される。
これにより、乗せ部材40が往復または周期的に元に戻すように回転するときに、これらの電極32の放電区分Bも、加工対象物100に対して変位し、且つペアになって異なる高さに設けられる上記の乗せ部材40により、異なる高さに位置する。
すなわち、前記間隔は、互いに平行であるように配列される。
共用される上記の二つの乗せ部材40は、例えば往復または周期的に元に戻すように、同期に回転し、且つ回転速度が同じであるため、これらの電極32は、第2の方向Yに沿って、往復または周期的に元に戻すように移動する速度も同じである。
【0095】
別の実施例では、本発明に係る放電加工ユニット30は、例えば往復または周期的に元に戻すように回転する二つの乗せ部材40により、複数の電極32の放電区分Bが往復または周期的に元に戻すように移動する。
例を挙げて説明すると、乗せ部材40と電極32のセットアップ構成は、
図28(A)及び
図28(B)に示す実施の態様のように、これらの電極32の両側Aは、互いに接触して積み重ね状態になり、且つ一緒に二つの乗せ部材40に移動可能に押し付けられる。これらの電極32の放電区分Bは、分離用カラム33により、ある間隔を取って互いに平行であるように配列される。
これにより、乗せ部材40が往復または周期的に元に戻すように回転するときに、これらの電極32の放電区分Bも、加工対象物100に対して変位し、分離用カラム33に分離されて互いに平行であるように配列される。
これらの電極32は、分離用カラム33に移動可能に押し付け、分離用カラム33は、その位置が固定されるが、固定式やスクロール式設計を採用してもよく、且つ制限スロットを有することにより、方向案内柱とすることができる。
分離用カラム33も、選択的に、導電性材料を採用してもよい。これにより、電極32は、分離用カラム33を介して給電ユニット34と電気的に接続する。
すなわち、分離用カラム33は、選択的に、
図1に示す電気接点31として使用することもできる。
一方、分離用カラム33は、絶縁材料を採用してもよい。これにより、電極32同士は電気的に接続することを回避することができる。
二つの乗せ部材40は、例えば往復または周期的に元に戻すように同期して回転する。二つの乗せ部材40は、回転速度が同じであるため、これらの電極32は、第2の方向Yに沿って、往復または周期的に元に戻すように移動する速度も同じである。
【0096】
その他、
図29(A)及び
図29(B)に示す実施の態様のように、放電加工ユニット30は、選択的に、調整可能な張力を有する。
例えば、二つの乗せ部材40又は二つの保持部材50を相対変位することにより(
図29(A)及び
図29(B)の左側と右側との下にある二方向矢印で示すように)、例えば、互いに近接し、又は離れる方向へ運動し、ひいては電極32の張力が調整される。
図29(A)及び
図29(B)に示すように、放電加工ユニット30は、更に、張力測定ユニット60を備える。
張力測定ユニット60は、例えば張力計であり、電極32の張力を測定する。
図29(A)及び
図29(B)に示すように、前記放電加工装置は、更に、振動測定ユニット62を備える。振動測定ユニット62は、電極32の振動を測定する。
【0097】
図29(A)及び
図29(B)に示すように、放電加工ユニット30は、更に、チップス排出ユニット64を備える。
放電加工ユニット30が加工対象物100に対して放電加工手順を行うときに、チップス排出ユニット64からの一つ又は複数の外力により、電極32が加工対象物100に対して放電エネルギーを加えて発生された残留物を排除することができる。
チップス排出ユニット64からの外力の加え方向や加え位置は、加工対象物100の形状に対応して調整することができる。
これにより、外力の加え方向や加え位置は、電極32の放電区分Bに対応する。
チップス排出ユニット64は、例えば気流発生器、水流発生器、超音波発生器、圧電発振器、又は磁力発生エレメントである。
外力は、例えば気流、水流、超音波発振、圧電発振、吸引力、又は磁力などである。
チップス排出ユニット64は、ジグ36及びステージ20上に設けられていることに限定されず、更に、電極32の放電区分Bの周りに設けられていてもよい。
チップス排出ユニット64が超音波発生器や圧電発振器であることを例とする場合には、チップス排出ユニット64は、例えばジグ36及びステージ20上に設けられている。外力を直接に発生してジグ36及びステージ20に直接に加えることにより、チップス排出ユニット64からの外力は、更に、例えばジグ36、加工対象物100や電極32を発振することができ、且つ例えば同時に発振することにより、残留物の排除を補助する効果を得ることができる。
一方、上記のように、本発明は、選択的に、液相や気相などの流体において、加工対象物100の加工目標領域110に放電エネルギーを加えて、放電加工手順を行う。
上記の液相や気相などの流体は酸素またはオゾン成分を含有することを例とする場合には、本発明に係るチップス排出ユニット64における超音波発生器や圧電発振器により、ステージ20、加工対象物100及び電極32を発振することができるだけではなく、例えば上記の流体における酸素やオゾンに微細なバブルを発生することもできる。
しかし、本発明は、これらに限定されず、例えば酸素またはオゾンなどの成分を含有するバブルを、液相や気相などの流体に入れ込むことにより、流体に微細なバブルを含有させてもよい。
その他、本発明は、選択的に、超音波発生器、圧電発振器、又は流体の流速による圧力差などの方法により、これらのバブルの内外の圧力差を変更することができる。
これにより、内破現象を発生させて、放電加工手順をスムーズに進めるのに役立つ。
【0098】
図29(B)に示すように、本発明に係るチップス排出ユニット64は、選択的に、加工対象物100の形状によって、外力の加え方向や加え位置を調整することにより、電極32が加工対象物100に対して放電エネルギーを加えて発生された残留物を排除することもできる。
例を挙げて説明すると、チップス排出ユニット64が、噴水することにより残留物を除去する水流発生器であることを例とする場合には、チップス排出ユニット64は、例えば位置が移動可能な複数のノズル65を有し、且つ加工対象物100の形状によって、噴水の方向を調整することができる。
例えば、加工対象物100がインゴットである場合には、チップス排出ユニット64の複数のノズル65は、インゴットの円弧面に分布されており、且つ選択的に、インゴットの円弧面の両側に分布されている。
更に、チップス排出ユニット64の複数のノズル65は、更に、例えば、選択的に、放電加工の即時の深さ位置に従って、円弧の形状やノズルの位置を調整することにより、加工対象物100の形状によって、噴水をダイナミックに調整することができるという効果を得ることができる。
同じように、上記はチップス排出ユニット64が水流発生器であることを例として説明したが、本発明が関係する技術分野の通常の知識を有する者は、チップス排出ユニット64を如何に適切に変形して、本発明のダイナミックに噴水する設計による効果、又は加工対象物100の形状の変化に従って、噴水をダイナミックに調整する効果を得ることができるかを理解できるはずであるため、その説明を省略する。
【0099】
別の実施例では、
図29(A)及び
図29(B)に示すように、本発明に係る放電加工ユニット30は、更に、選択的に、例えば熱源供給源70を備える。
熱源供給源70は、放電加工ユニット30が放電加工手順を行う加工前、加工中、加工後に、加工対象物100に熱源を供給することにより、加工対象物100の一部または全部を加熱することができる。
すなわち、熱源供給源70からの熱源は、放電加工手順を行う加工前、加工中に、エネルギーを供給することにより、放電加工手順の効率を向上することができると共に、放電加工手順を行う加工後に、修復、研削および退火効果を得ることができる。
熱源供給源70は、例えばレーザーユニット、マイクロ波ユニット、無線周波ユニット、又は赤外線光源のうちの一つ又は複数を採用して、加工対象物100(例えば固体の構造)の温度を上げることにより、その材料の脆性を降下することができ、カッティングや薄肉化された面の粗さを降下することができ、熱衝撃による必要ない亀裂の発生や拡大を減少することができる。
一方、複数の同じや異なる熱源供給源70を使用すると、加工対象物100の温度を上げることにより、電磁エネルギーの吸収率を増加することができ、好循環を形成する。
例えば、熱源供給源70がレーザーユニット及びマイクロ波ユニットであることを例とする場合には、熱源供給源70(レーザーユニット)からのレーザーエネルギーは、加工対象物100の加工目標領域110に自由電子を発生することができる。
前記自由電子の発生により、他の区域(非加工目標領域)に比べて、もっと多くの熱源供給源70(マイクロ波ユニット)からのマイクロ波エネルギーを吸収することができる。そのため、加工目標領域110の温度を上げることができる。温度を上げたと、加工目標領域110はもっと多くのレーザーエネルギーを吸収して、もっと多くの自由電子を発生することができる。ひいてはもっと多くのマイクロ波ユニット(例えばマイクロ波や無線周波の射出源)からの電磁エネルギーを吸収することができるため、好循環を形成することができる。
【0100】
簡単に説明すると、
図30に示すように、本発明は、複数の方式を採用して、電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110とが、加工方向Fに沿って相対移動する。
第1の方式は、加工対象物100が加工方向Fに沿って移動し、且つ電極32が加工方向Fに移動しない。
第2の方式は、電極32が加工方向Fに沿って移動し、且つ加工対象物100が加工方向Fに移動しない。第3の方式は、電極32と加工対象物100とが加工方向Fの反対方向に沿って移動する。
【0101】
同じように、本発明は、更に、複数の方式を採用して、電極32の放電区分Bと加工対象物100の加工目標領域110とが、第2の方向Yに沿って相対移動する。
第1の方式は、加工対象物100が第2の方向Yに沿って移動し、且つ電極32が第2の方向Yに移動しない。
第2の方式は、電極32が第2の方向Yに沿って移動し、且つ加工対象物100が第2の方向Yに移動しない。
第3の方式は、電極32と加工対象物100とが、第2の方向Yの反対方向に沿って移動する。
放電区分Bと加工目標領域110とを第2の方向Yに沿って相対移動する第2の方式において、本発明は、更に、例えばジグ36が電極32を往復または周期的に元に戻すようにスクロールすることにより、電極32は左右へ往復に移動し、又は周期的に元に戻すように持続に移動し、或いは、電極32がジグ36に固定されている。
台座52は、各図に示す第2の方向Yに沿ってジグ36を左右へ往復に移動することにより、電極32を間接的に移動する。
【0102】
しかし、注意すべきことは、本発明は、上記の各種の放電加工手順を行う移動方式を例として挙げたが、これらに限定されない。
例を挙げて説明すると、本発明の請求の範囲も、加工対象物100は加工方向Fに沿って移動し、且つ電極32は加工方向Fと第2の方向Yとに移動せず、又は電極32が加工方向Fに沿って移動し、且つ加工対象物100が加工方向Fと第2の方向Yとに移動しないことを含む。
すなわち、放電加工手順を行うことができれば、何れかの移動方式は、全て本発明の請求の範囲に属する。
【0103】
その他、本発明では、ジグ36が電極32を往復または周期的に元に戻すようにスクロールする技術手段は、
図30及び
図31に示す態様を採用することができる、電極32は、例えば二つのジグ36を包み込み(両側を跨ぎ)、又は二つのジグ36の一側だけを跨ぐ。
二つのジグ36は、台座52上に回転可能に設けられていてもよい。
二つのジグ36は、例えば二つのカップリング55を介して二つのモータ58と接続することにより、ジグ36は、モータ58の運転により旋轉され、そして電極32が第2の方向Yに沿って往復または周期的に元に戻すように移動する。
電極32の放電区分Bがフローティング状態にあるため、本発明は、選択的に、
図31に示すように、張力制御モジュール66を備え、例えば張力測定ユニット60と制御器68とを備える。
張力測定ユニット60は、電極32の張力を測定するためのものである。
制御器68は、二つのモータ58と電気的に接続することにより、電極32の張力によって、二つのモータ58を制御して、二つのモータ58をそれぞれ同じ速度で格納や放出をするように回転し、ひいては電極32の張力を調整する。
これにより、電極32は、第2の方向Yに沿って運動するときに、指定された大きさの張力を保持することができる。
一方、本発明は、更に、例えば、電極32の長さ及び移動速度によって、二つのモータ58の運轉方向を取り換える時間を計算することができ、ひいては電極32を往復に移動することが可能であるという効果を得ることができる。
【0104】
図32に示す実施の態様のように、本発明に係る放電加工装置は、選択的に、更に、方向修正エレメント88を備える。
方向修正エレメント88は、電極32は加工方向Fに偏向などのズレが発生したときに、電極32と加工対象物100との相対方向を調整して、電極32と加工対象物100との加工方向Fを修正する。
例を挙げて説明すると、方向修正エレメント88は、例えば伸縮式アクチュエーター(例えば、手動または電動式伸縮式アクチュエーター)であり、例えば、ステージ20、電極32、又は放電加工装置において、電極32や加工対象物100の相対方向を変更可能な他の部材を押さえることにより、例えば第1の方向Xに沿って、電極32と加工対象物100との相対方向を調整可能な効果を得ることができる。
例を挙げて説明すると、本発明は、例えば、検出エレメント89により、電極32の加工方向Fにズレの発生の有無を即時に把握する。
検出エレメント89は、例えば放電変化検出エレメント、又は投光器及び受光器を有する光電検出エレメントや映像検出エレメントであり、光線の中止や光線の強さの変化などによって、電極32の加工方向Fにズレの発生の有無を把握する。
【0105】
本発明に係る放電加工装置によれば、次のような効果がある。
(1)ジグは、少なくとも二つの乗せ部材と少なくとも二つの保持部材を、それぞれ対応して組付けて構成される。快速脱着可能の設計により、電極を交換する時間を大幅に減少することができ、放電電極の張力を調整することもできる。
(2)チップス排出ユニットを有するため、単一又は複数の加工目標領域に外力を加えることができ、外力の加え方向や加え位置は、加工対象物の形状に応じてダイナミックに調整されて、放電加工手順で発生された残留物を排除する。
(3)クランプ部材は、複数のクランプ態様を有し、コーム構造により、加工対象物をしっかりクランプすることができ、従来の放電加工技術のように、クランプ部材と加工対象物の重なり区域を切ることができないという問題を解決することができ、ロック構造により、脱着および調整が可能となる。
(4)方向修正エレメントにより、電極と加工対象物の加工方向を修正することができ、加工方向にズレの発生を回避することができる。
(5)クランプ部材またはステージにコーム構造を形成することにより、スムーズな放電加工手順が促進され、損傷が最小限に抑えられる。
(6)安定部材により、電極の振動を減少することができ、分離用カラムとしてガイドする効果を得ることができ、電気接点として使用することもできる。
(7)熱源は、熱衝撃による、不要な亀裂や亀裂の拡大を軽減することができ、放電加工手順をスムーズに行うことができる。
(8)導電ゲイン層により、加工対象物のクランプ部材やステージとの電気的な接触を向上することができる。
(9)接着剤層により、放電加工手順の過程中に、加工対象物の振動を回避することができ、放電加工手順を終了する前に、バリの発生を回避することができ、導電性接着剤層を採用すると、加工対象物のクランプ部材やステージとの電気的な接続が可能となる。
【0106】
以上の記述は例を挙げたものにすぎず、限定するものではない。本発明の精神及び範疇から逸脱しない、それに対して行ういかなる同等効果の修正又は変更も、添付の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10 放電加工装置
11 コーム構造
11’ コーム構造
13 平面区域
15 円弧状溝
20 ステージ
21 乗せ板
22 安定部材
23 プレート
24 クランプ部材
25 導電枠
26 接着剤層
27 緩衝部材
28 接触面
29 くし歯開口
29’ くし歯開口
30 放電加工ユニット
31 電気接点
32 電極
33 分離用カラム
34 給電ユニット
34’ 別の給電ユニット
35 接続構造
36 ジグ
40 乗せ部材
41 軸穴
42 制限スロット
43 貫通スロット
44A 第1のシート
44B 第2のシート
45 貫通穴
46 付属部材
47 面取り
50 保持部材
52 台座
53 バンプ
54 導電構造
55 カップリング
56 絶縁構造
57 溝構造
58 モータ
59 ボルト
60 張力測定ユニット
62 振動測定ユニット
64 チップス排出ユニット
65 ノズル
66 張力制御モジュール
68 制御器
70 熱源供給源
88 方向修正エレメント
89 検出エレメント
90 導電ゲイン層
100 加工対象物
110 加工目標領域
120 加工溝
124 充填材
126 テープ
281 案内溝
240 ロック構造
242 ボルト
243 スナップイン構造
244 ナット
246 スナップインブロック
248 スナップイン穴
A 両側
B 放電区分
D 間隔
H 深さ
h 深さ
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 第3の方向
F 加工方向
P1 第1の電源
P2 第2の電源