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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011641
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 24/00 20060101AFI20240118BHJP
   E01D 19/12 20060101ALI20240118BHJP
   B28D 1/08 20060101ALI20240118BHJP
   B28D 1/10 20060101ALI20240118BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240118BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240118BHJP
   B26D 1/46 20060101ALI20240118BHJP
   E04G 23/08 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
E01D24/00
E01D19/12
B28D1/08
B28D1/10
B24B27/06 D
B24B49/10
B26D1/46 502E
E04G23/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113826
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】596118530
【氏名又は名称】テクノス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502345278
【氏名又は名称】株式会社誠和ダイア
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】谷内 健治
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝
(72)【発明者】
【氏名】神谷 涼太
(72)【発明者】
【氏名】田近 正春
【テーマコード(参考)】
2D059
2E176
3C034
3C069
3C158
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059GG41
2E176DD22
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB92
3C034CA26
3C034CA30
3C034CB20
3C034DD20
3C069AA01
3C069BA06
3C069BB03
3C069BC03
3C069BC06
3C069CA09
3C069EA01
3C158AA05
3C158AA11
3C158AA14
3C158AA16
3C158AC02
3C158BA02
3C158BA07
3C158BA09
3C158BB02
3C158BC02
3C158CA01
3C158CB03
3C158DA03
(57)【要約】
【課題】プーリをガイドレール上で移動させる移動作業及び停止作業の自動制御化を実現した切断装置を提供する。
【解決手段】切断装置1は、ガイドレール30と、ガイドレール30に沿って移動可能に設けられた可動体5と、可動体に設けられたプーリ20と、当該プーリ20と駆動プーリ22とを含む複数のプーリに掛け渡された無端環状のワイヤ10と、ワイヤ10を駆動させるワイヤ駆動機構4とを備え、ワイヤ駆動機構4によりワイヤ10を駆動させてワイヤ10を構造物に接触させることで構造物を切断する切断装置において、可動体5の移動及び停止を制御する制御手段6を備えた。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、ガイドレールに沿って移動可能に設けられた可動体と、可動体に設けられたプーリと、当該プーリと駆動プーリとを含む複数のプーリに掛け渡された無端環状のワイヤと、ワイヤを駆動させるワイヤ駆動機構とを備え、ワイヤ駆動機構によりワイヤを駆動させてワイヤを構造物に接触させることで構造物を切断する切断装置において、
可動体の移動及び停止を制御する制御手段を備えたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
ガイドレールとして、一方のガイドレールと、当該一方のガイドレールと並ぶように設けられた他方のガイドレールとを備え、
可動体として、一方のガイドレールに沿って移動可能に設けられた一方の可動体と、他方のガイドレールに沿って移動可能に設けられた他方の可動体とを備え、
プーリとして、一方の可動体に設けられた一方のプーリと、他方の可動体に設けられた他方のプーリとを備え、
無端環状のワイヤが一方のプーリと他方のプーリと駆動プーリとを含む複数のプーリに掛け渡されて、ワイヤ駆動機構により駆動させたワイヤにおける一方のプーリと他方のプーリとの間の部分を構造物に接触させて当該構造物を切断するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
構造物が、桁の上面に取付けられた床版であり、
一方のガイドレールと他方のガイドレールとが桁を挟んで配置され、
ワイヤ駆動機構により駆動させたワイヤにおける一方のプーリと他方のプーリとの間の部分を、床版と桁の上面との境界近傍における床版の切断対象部位に接触させて当該切断対象部位構造物を切断するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
可動体は、可動体の停止中にワイヤによる切断作業が進行するにつれて変動するワイヤの姿勢変化を検出する検出手段を備え、
制御手段は、ワイヤの姿勢が所定の姿勢になったことを検出手段から受信した場合に可動体を所定の距離だけ移動させた後に停止させる可動体駆動処理と、可動体を停止させた後にワイヤによる切断作業が進行してワイヤの姿勢が所定の姿勢になるまでの間に可動体を停止させた状態のままに維持する可動体停止維持処理とを、交互に繰り返すことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項5】
可動体は、ガイドレールに設けられたラックに噛み合うピニオンを有したモータを備え、
制御手段は、可動体駆動処理において、モータを駆動させて可動体を所定の距離だけ移動させ、可動体停止維持処理において、モータを停止した状態に維持することを特徴とする請求項4に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端環状のワイヤを駆動させて構造物を切断する切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、橋梁の鉄筋コンクリート製の床版等の構造物を切断する切断装置として、駆動プーリと従動プーリと切断時の支点となる一方側プーリと切断時の支点となる他方側プーリとに掛け渡されて、循環移動を行うことにより、接触する構造物の切断対象部位を切断可能なように構成された無端環状のワイヤと、駆動プーリを回転させるとともに駆動プーリ及び従動プーリの両方又はいずれか一方を移動させてワイヤを駆動させるワイヤの駆動機構とを有し、ワイヤの駆動機構によりワイヤを駆動させることによって、一方側プーリと他方側プーリとの間のワイヤの部分に接触する構造物の切断対象部位を切断する切断装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7019008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の切断装置においては、一方側プーリと他方側プーリと間のワイヤの部分を切断方向に移動させることで、ワイヤを切断対象部位に押し込むようにして切断対象部位を所定の長さ分(切断代の分)だけ切断した後、次の切断作業の切断代を確保するために、一方側プーリと他方側プーリとをガイドレール上で移動させる必要がある。
しかしながら、プーリをガイドレール上で移動させる処理は、プーリを移動させるための動力源である油圧シリンダを作業者が操作することで行っている為、プーリを移動させるタイミングや移動量の調整が難しいという課題があった。
本発明は、プーリをガイドレール上で移動させる移動作業及び停止作業の自動制御化を実現した切断装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る切断装置は、ガイドレールと、ガイドレールに沿って移動可能に設けられた可動体と、可動体に設けられたプーリと、当該プーリと駆動プーリとを含む複数のプーリに掛け渡された無端環状のワイヤと、ワイヤを駆動させるワイヤ駆動機構とを備え、ワイヤ駆動機構によりワイヤを駆動させてワイヤを構造物に接触させることで構造物を切断する切断装置において、可動体の移動及び停止を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
また、ガイドレールとして、一方のガイドレールと、当該一方のガイドレールと並ぶように設けられた他方のガイドレールとを備え、可動体として、一方のガイドレールに沿って移動可能に設けられた一方の可動体と、他方のガイドレールに沿って移動可能に設けられた他方の可動体とを備え、プーリとして、一方の可動体に設けられた一方のプーリと、他方の可動体に設けられた他方のプーリとを備え、無端環状のワイヤが一方のプーリと他方のプーリと駆動プーリとを含む複数のプーリに掛け渡されて、ワイヤ駆動機構により駆動させたワイヤにおける一方のプーリと他方のプーリとの間の部分を構造物に接触させて当該構造物を切断するように構成されたことを特徴とする。
また、構造物が、桁の上面に取付けられた床版であり、一方のガイドレールと他方のガイドレールとが桁を挟んで配置され、ワイヤ駆動機構により駆動させたワイヤにおける一方のプーリと他方のプーリとの間の部分を、床版と桁の上面との境界近傍における床版の切断対象部位に接触させて当該切断対象部位構造物を切断するように構成されたことを特徴とする。
また、可動体は、可動体の停止中にワイヤによる切断作業が進行するにつれて変動するワイヤの姿勢変化を検出する検出手段とを備え、制御手段は、ワイヤの姿勢が所定の姿勢になったことを検出手段から受信した場合に可動体を所定の距離だけ移動させた後に停止させる可動体駆動処理と、可動体を停止させた後にワイヤによる切断作業が進行してワイヤの姿勢が所定の姿勢になるまでの間に可動体を停止させた状態のままに維持する可動体停止維持処理とを、交互に繰り返すことを特徴とする。
また、可動体は、ガイドレールに設けられたラックに噛み合うピニオンを有したモータを備え、制御手段は、可動体駆動処理において、モータを駆動させて可動体を所定の距離だけ移動させ、可動体停止維持処理において、モータを停止した状態に維持することを特徴とする。
本発明に係る切断装置によれば、プーリをガイドレール上で移動させる移動作業及び停止作業の自動制御化を実現できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】床版の下面に取付けられた切断装置を上方から見た平面図。
図2図1のA方向から見た状態を示す図。
図3図1のB方向から見た場合のプーリの配置例を示す図。
図4】可動体を示す平面図。
図5】可動体を示す正面図。
図6】ワイヤの状態変化と検出手段の状態変化との関係を示す動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係る構造物の切断装置を、図1乃至図6に基づいて説明する。
実施形態に係る切断装置1は、ガイドレール30と、ガイドレール30に沿って移動可能に設けられた可動体5と、可動体5に設けられたプーリ20と、当該プーリ20と駆動プーリ22とを含む複数のプーリに掛け渡された無端環状のワイヤ10と、ワイヤ10を駆動させるワイヤ駆動機構4とを備え、ワイヤ駆動機構4によりワイヤ10を駆動させてワイヤ10を構造物に接触させることで構造物を切断する切断装置1であって、ガイドレール30に沿った可動体5の移動及び停止を制御する制御手段6を備えた構成としたものである。
【0008】
切断装置1は、例えば、橋梁の床版を更新する際の解体工事において、桁2の上面2tに取付けられた構造物としての鉄筋コンクリート製の床版3と桁2の上面2tとの境界近傍における床版3の切断対象部位3Aを切断するワイヤ10を備えた切断装置(ワイヤソー)1である。
切断対象部位3Aは、例えば、桁2の上面2tの幅方向Wの両端側より上方に向けて傾斜する傾斜下面3utに形成された床版3のハンチ(テーパ)部分における桁2の上面2tとの境界近傍部分である。
また、床版3の下面3uは、ハンチ部分の傾斜下面3ut以外の下面である。
ワイヤ10は、例えば、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだビーズを一定間隔に装着した無端環状のダイヤモンドワイヤにより形成される。
尚、図1は橋梁の床版3を更新する際の解体工事において、床版3の下面に取付けられた切断装置1を上方から見た平面図であるが、床版3の切断対象部位3A(傾斜下面3ut)及び桁2以外の部分の図示は省略してある。
また、本明細書において、幅方向は、各図において「W」で示した方向、切断方向は、各図において「S」で示した方向、上下方向は、各図において「V」で示した方向と定義して説明する。
【0009】
床版3の切断対象部位3Aを切断する切断装置1においては、例えば図1に示すように、ガイドレール30としては、床版3の切断対象部位3Aの幅方向Wの左右両側における床版3の下面3u側において、桁2の延長方向に沿って延長して桁2と平行に対向するように、桁2を挟んで互いに平行に配置された一方のガイドレール30A、及び、他方のガイドレール30Bを備える。
また、可動体5としては、一方のガイドレール30Aに沿って移動可能に設けられた一方の可動体5A、及び、他方のガイドレール30Bに沿って移動可能に設けられた他方の可動体5Bを備える。
また、プーリ20としては、一方の可動体5Aに取付けられた一方のプーリ20A、及び、他方の可動体5Bに取付けられた他方のプーリ20Bを備える。
即ち、循環移動するワイヤ10を切断対象部位3Aに押し込む際の支点となる一方のプーリ20Aが一方の可動体5Aに設けられているとともに、循環移動するワイヤ10を切断対象部位3Aに押し込む際の支点となる他方のプーリ20Bが他方の可動体5Bに設けられていることによって、支点となる一方のプーリ20Aが一方のガイドレール30に沿って移動可能に構成されるとともに、支点となる他方のプーリ20Bが他方のガイドレール30Bに沿って移動可能に構成されている。
そして、当該切断装置1は、無端環状のワイヤ10が一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bと駆動プーリ22とを含む複数のプーリに掛け渡されて、ワイヤ駆動機構4により駆動させたワイヤ10における一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間の部分を床版3に接触させて当該床版3を切断するように構成されているものである。
【0010】
尚、ワイヤ10を駆動させるとは、駆動プーリ22を回転させてワイヤ10を循環移動させるとともに、駆動プーリ22及び従動プーリ25の両方又はいずれか一方を移動させて、ワイヤ10を牽引することをいう。例えば駆動プーリ22を図3の矢印c方向に回転させてワイヤ10を図1の矢印a方向に循環移動させるとともに、駆動プーリ22及び従動プーリ25の両方又はいずれか一方を図3の矢印dや矢印eに示す方向に移動させて、ワイヤ10を例えば図1の10(b)に示す状態から10(c)に示す状態となるように牽引することをいう。
このように、ワイヤ10を駆動させることによって、一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間の部分が床版3の切断対象部位3Aに押し付けられて当該切断対象部位3A(例えば図1のワイヤ10(a)とワイヤ10(c)との間の切断対象部位3A)が切断されることになる。
【0011】
また、ワイヤ10を循環移動させるとは、少なくとも一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bと駆動プーリ22とを含む後述のプーリ群を構成する各プーリの外側を囲むよう各プーリに掛け渡された無端環状のワイヤ10が、駆動プーリ22の回転力を受けて、プーリ群の外側を囲むように形成される環状経路を自転して移動する状態をいう。換言すれば、循環移動とは、プーリ群の外側を囲むように各プーリに掛け渡された無端環状のワイヤ10が、駆動プーリ22の回転力を受けて、プーリ群の外側をぐるぐる回るように動く状態、例えば、ワイヤ10を図1の矢印aの方向にぐるぐると移動させることをいう。
【0012】
例えば、図1に示すように、切断装置1は、ワイヤ10が、床版3の切断対象部位3Aであるハンチ部分の一方の傾斜下面3utと他方の傾斜下面3utとに亘って貫通するように形成された貫通孔3aに通されるとともに、駆動プーリ20と、一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bを含む複数の従動プーリに掛け渡されて無端環状に構成される。例えば一方のプーリ20A及び他方のプーリ20B、ワイヤ10が、図1の実線で示す状態となるように設定される。
その後、一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bを、矢印b1に示すように切断方向Sに向けて所定の距離だけ移動させる。これにより、ワイヤ10が、10(b)に示す状態となる。そして、図3に示すように、駆動プーリ22を回転させるとともに、駆動プーリ22及び従動プーリ25の両方又はいずれか一方を移動させて、ワイヤ10を牽引することにより、循環移動するワイヤ10における一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間の貫通孔3aに通された部分が床版3に食い込んで切断対象部位3Aを切断方向Sに向けて切断するように構成されている。
尚、一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bを、切断方向Sに向けて所定の距離だけ移動させる際には、駆動プーリ22を回転させるとともに、駆動プーリ22及び従動プーリ25の両方又はいずれか一方を移動させて、ワイヤ10を牽引方向とは逆方向に送り出しながら、一方の可動体5A及び他方の可動体5Bを移動させることにより、一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bを移動させる。
例えば、一方の可動体5A及び他方の可動体5Bの移動時にワイヤ10が引っ張られることで駆動プーリ22が追随して図3の上方向に自動的に引き上げられるように構成されている。
【0013】
つまり、実施形態に係る切断装置1は、まず、一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bを、矢印b1に示すように切断方向Sに向けて所定の距離だけ移動させることによって、切断作業の切断代(切り代)を確保した後に、上述したように、ワイヤ10を循環移動させるとともに牽引する。これにより、図1に示すように、切断対象部位3Aの幅方向Wの左右両側に配置された切断時の支点となる一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bと間のワイヤ10の部分が、10(b)の状態から10(c)の状態になるように、切断方向Sに向けて移動し、循環移動するワイヤ10が切断対象部位3Aに押し込まれて床版3の切断対象部位3Aが切断されることになる。
この場合、図1のワイヤ10(a)とワイヤ10(c)との間の切断対象部位3Aが切断代(切り代)となり、この切断代となる切断対象部位3Aが切断されることになる。
【0014】
次に、図4図5に基づいて、切断装置1の構成を詳細に説明する。
支点となるプーリ20(一方のプーリ20A及び他方のプーリ20B)は、滑車20aと、滑車20aの回転中心軸20bとを備えた構成である。
滑車20aは、回転中心軸20bを回転中心として回転可能な円板により構成される。
滑車20aには、滑車20aを構成する円板の円の中心を貫通する中央貫通孔20cが形成されており、回転中心軸20bが当該中央貫通孔20cを貫通するように設けられて、滑車20aが回転中心軸20bを回転中心として回転可能に設けられたプーリ20が構成される。
また、滑車20aの外周面には、ワイヤ10をガイドするための外周溝20dが形成されている。
尚、支点となるプーリ20(一方のプーリ20A及び他方のプーリ20B)は、外周溝20dに掛け渡されて循環移動するワイヤ10からの力を受けて滑車20aが回転する従動プーリである。
【0015】
ガイドレール30は、ガイドレール30の延長方向に沿って延長するように設けられて後述のピニオン51cと噛み合うラック31と、後述する車輪54a等により構成される移動補助手段52の接触面32とを備える。
ラック31は、ガイドレール30の延長方向に沿って延長するように例えばガイドレール30の下面に設けられる。
接触面32は、例えば切断方向Sに延長するようにガイドレール30に設けられた水平な上水平走行面32a及び下水平走行面32bにより構成される。
【0016】
可動体5(一方の可動体5A及び他方の可動体5B)には、上述したプーリ20の他に、ローラ40、検出手段60が設けられる。
【0017】
可動体5は、上述したプーリ20、ローラ40、検出手段60が連結されてガイドレール30上で移動可能なように構成されたものであり、基体50と、駆動部51と、移動補助手段52とを備える。
【0018】
基体50は、例えば、ガイドレール30の上下左右を囲むように構成された基部50aと、プーリ20を連結するためのプーリ連結部50bと、ローラ40を連結するためのローラ連結部50cと、検出手段60を連結するための検出手段連結部50d1,50d2,50d3と、後述するモータ51a及び移動補助手段52を連結するための移動構成部材連結部50eとを備える。
即ち、プーリ連結部50b、ローラ連結部50c、検出手段連結部50d1,50d2,50d3、移動構成部材連結部50eが、それぞれ、基部50aから延長するように設けられて、基体50が構成されている。
【0019】
プーリ連結部50bは、例えば、基部50aに取付けられた支柱状の連結部により構成され、このプーリ連結部50bの上端側に回転中心軸20bが設けられて、滑車20aが当該回転中心軸20bを回転中心として回転可能なように取付けられてプーリ20が構成されている。
【0020】
駆動部51は、基体50に設けられて可動体5を移動させるための動力源となるモータ51aと、モータ51aのモータ軸51bに設けられてガイドレール30に設けられたラック31に噛み合うピニオン51cとを備えて構成される。
尚、モータ51aは、モータ軸51bの回転角度を検出して可動体5の移動距離を検出する移動距離検出手段としてのロータリエンコーダ53を備える。当該ロータリエンコーダ53は、例えばモータ軸51bに図外のベルトで繋がれて、モータ軸51bの回転角度を検出する構成のものである。
【0021】
また、移動補助手段52は、例えばガイドレール30の上走行面32a及び下走行面32bを走行可能に設けられた車輪54aにより構成される。
当該車輪54aは、例えば、基体50の切断方向Sの前後に2つずつ上走行面32aに接触するように設けられるとともに、基体50の切断方向Sの前後に2つずつ下走行面32bに接触するように設けられる。即ち、例えば合計8個の車輪54a,54a…が設けられた構成としたことで、可動体5が切断方向Sに沿ってガイドレール30上をスムーズに移動できるように構成されている。
【0022】
そして、モータ51aのモータハウジング50fが移動構成部材連結部50eに固定されるとともに、車輪54a,54a…が移動構成部材連結部50eに回転可能に連結されている。
【0023】
ローラ40は、一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間のワイヤ10の部分の下方への移動を規制する規制部材として機能するローラである。
ローラ40としては、一方の可動体5Aに取付けられた一方のローラ40Aと、他方の可動体5Bに取付けられた他方のローラ40Bとを備える。
そして、一方のローラ40Aが、一方のプーリ20Aよりも桁2に近い位置に配置されて、かつ、他方のローラ40Bが、他方のプーリ20Bよりも桁2に近い位置に配置されている(図1参照)。
従って、循環移動するワイヤ10における一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間の部分が、一方のプーリ20Aの近傍位置において一方のローラ40Aで支持されるとともに、他方のプーリ20Bの近傍位置において他方のローラ40Bで支持されることによって、循環移動するワイヤ10における一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間の部分の下方への移動が規制される。
よって、循環移動するワイヤ10における一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間の部分が、一方のローラ40Aと他方のローラ40Bとによって、水平状態に維持されるので、良好な切断動作が維持される。
ローラ40(一方のローラ40A及び他方のローラ40B)は、例えば、ローラ本体40aが回転中心軸40bを回転中心として回転可能なように構成されており、回転中心軸40bの一端部及び他端部が、固定手段40c,40cにより、ローラ連結部50c,50cに固定されている。
【0024】
検出手段60は、可動体50の停止中にワイヤ10による床版3の切断が進行するにつれて変動するワイヤ10の姿勢変化を検出する手段である。
検出手段60は、例えば、接触式センサ61と、揺動子62と、接触維持手段63とを備えた構成とした。
【0025】
接触式センサ61は、例えば、検出部を内蔵するとともに、一端側に接触部61aを備え、揺動子62の接触部62bが接触部61aに接触した場合に、当該接触を検出部が検出して検出信号を出力するように構成されたセンサである。
【0026】
揺動子62は、例えば、揺動子62の本体を形成する板部62Aが、基部50aから延長するように設けられた検出手段連結部50d1に回転中心軸62aを介して回転可能に取付けられて、板部62Aの一端と他端との間の部分に設けられた回転中心軸62aを回転中心として揺動するように構成された部材である。
揺動子62は、板部62Aの一端側に接触部62bを有するとともに、板部62Aの他端側に接触ローラ62cを有した構成である。
接触部62bは、板部62Aの一端側が、接触式センサ61の接触部61aに接触しやすい形状に構成される。
接触ローラ62cは、板部62Aの他端側に回転可能に設けられたローラにより構成される。
【0027】
接触維持手段63は、例えば、ばね等の付勢手段63cを内蔵した筒体63aと、筒体に収納されて付勢手段63cにより付勢された付勢軸63bとを備える。
当該接触維持手段63は、筒体63aが、プーリ連結部50bより延長するよう設けられた検出手段連結部50d3に固定されている。
そして、付勢軸63bは、一端側が、揺動子62の板部62Aの一端側の連結部に連結され、他端側が、筒体63内の付勢手段63cからの力を受ける力受部に形成されている。
【0028】
即ち、検出手段60は、揺動子62が回転中心軸62aを回転中心として揺動するように構成されて、揺動子62の接触部62bが、接触式センサ61の接触部61aに対して接触、又は、離反することで、オンオフを検出するように構成されている。
つまり、揺動子62の接触部62bと接触式センサ61の接触部61aとが離れたこと、即ち、接触式センサ61がオフになったことを制御手段6が検出した場合(接触式センサ61から検出信号が出力されない場合)に、制御手段6は、モータ51aを駆動させて、可動体5を所定距離だけ移動させる。
また、付勢軸63bは、付勢手段63cからの力を受けて揺動子62の接触部62bを接触式センサ61の接触部61aに接触させた状態を維持するように機能するものである。
そして、揺動子62の接触ローラ62cがワイヤ10から付勢手段63cの付勢力よりも大きい力を受けた場合には、揺動子62が付勢手段63cからの付勢力に抗して付勢軸63bを筒体63の方向に押し戻す方向に回転し、これにより、揺動子62の接触部62bと接触式センサ61の接触部61aとが離れた状態となるように構成されている。
尚、検出手段連結部50d1には、付勢手段63cの力により揺動子62が回転しすぎないように規制するストッパ65が設けられており、揺動子62がストッパ65に接触することにより、揺動子62の接触部62bと接触式センサ61の接触部61aとの適正な接触状態が維持されるように構成されている。また、検出手段連結部50d1には、ストッパ65の位置を微調整するための円弧状の長孔66が形成されている。
【0029】
以上のように、プーリ20、ローラ40、検出手段60が、可動体5に連結されたことにより、プーリ20、ローラ40、検出手段60が、可動体5を介してガイドレール30上で移動可能なように構成される。
即ち、可動体5のモータ51aを駆動してモータ軸51bを回転させると、モータ軸51bに連結されたピニオン51cがラック31上を移動するとともに、可動体5の車輪54a,54a…がガイドレール30の上走行面32a及び下走行面32bを走行するので、可動体5に設けられたプーリ20、ローラ40、検出手段60が、ガイドレール30の延長方向に沿って移動できるように構成されている。
【0030】
尚、移動構成部材連結部50eにおける移動方向S側及び移動方向Sとは反対側には、それぞれ、可動体5の移動端を検出する為の移動端検出センサ67a,67bが設けられている。
即ち、当該可動体5の移動端検出センサ67a,67bが、切断対象の終端側に設けられた切断作業区間終端部位に接触した場合に、制御手段6は、移動端検出センサ67a,67bからの検出信号を検出してモータ51aを停止させ、可動体5の移動を停止させる。
【0031】
次に、ガイドレール30に沿った可動体5の移動のタイミング、及び、可動体5の停止のタイミングを制御する制御手段6による自動制御について図1及び図6に基づいて説明する。
【0032】
最初に、一方の可動体5A、及び、他方の可動体5Bを初期状態に設定する。
初期状態では、揺動子62の接触部62bが、接触式センサ61の接触部61aに対して離反した状態(図6(c)に示す状態)となるように設定される。例えば一方のプーリ20A及び他方のプーリ20B、ワイヤ10が、図1の実線で示す状態となるように設定した後に、電源を投入する。
これにより、制御手段6は、ワイヤ駆動機構4を作動させるとともに、初期状態、即ち、接触式センサ61のオフ状態を検出して、可動体5のモータ51aを駆動する。
即ち、制御手段6は、プーリ20(20A,20B)が図1の想像線(二点鎖線)で示した位置まで到達するように、可動体5(5A,5B)を矢印b1のように所定距離だけ移動させる。
そして、制御手段6は、ロータリエンコーダ53からの出力に基づいて可動体5が所定距離だけ移動したことを検出した場合には、モータ51aにモータ停止信号を出力する。
即ち、可動体5(5A,5B)を図1の矢印b1のように所定距離だけ移動させたことにより、ワイヤ10が、図1の実線の状態から10(b)の状態になり、ワイヤ10(a)とワイヤ10(c)との間の切断対象部位3Aが切断代となる。
そして、循環移動するワイヤ10が牽引され、一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間のワイヤ10の部分が切断対象部位3Aに接触しながら、図1の10(b)の状態から10(c)の状態になることで、切断対象部位3Aが切断される。
つまり、ワイヤ10が、図1の10(b)の状態(図6(a)に示す状態)から10(c)の状態(図6(c)に示す状態)に至るまでの間、つまり、ワイヤ10による切断動作中は、接触維持手段63の機能により、揺動子62の接触部62bが、接触式センサ61の接触部61aに対して接触している状態に維持される。即ち、ワイヤ10による切断動作中は、制御手段6は、接触式センサ61のオフ状態を検出しないので、モータ51aは停止状態のまま維持され、可動体5の移動動作は行われない。
即ち、切断動作が進んで、一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間のワイヤ10の部分が進行方向Sの方向に移動し、図6(a)に示す状態から図6(b)に示す状態になる。図6(b)に示す状態では、揺動子62の接触ローラ62cに加わるワイヤ10からの力よりも接触維持手段63の付勢手段63cからの力の方が大きいので、まだ、揺動子62の接触部62bと接触式センサ61の接触部61aとが接触した状態のまま維持される。
そして、さらに、切断動作が進んで、一方のプーリ20Aと他方のプーリ20Bとの間のワイヤ10の部分が進行方向Sの方向にさらに移動することで、図6(c)に示す状態になる。図6(c)に示す状態では、揺動子62の接触ローラ62cに加わるワイヤ10からの力が接触維持手段63の付勢手段63cからの力よりも大きくなって、揺動子62の接触部62bが、接触式センサ61の接触部61aに対して離反した状態となる。即ち、接触部62bが接触部61aから離れる方向に、揺動子62が回転する。
従って、制御手段6は、接触式センサ61のオフ状態を検出して、可動体5のモータ51aを駆動する。即ち、制御手段6は、可動体5(5A,5B)を図1の矢印b2のように所定距離だけ移動させる。
【0033】
即ち、上記構成の切断装置1において、制御手段6は、ワイヤ10の姿勢が所定の姿勢になったことを検出手段60から検出した場合に可動体5を所定の距離だけ移動させた後に停止させる可動体駆動処理と、可動体5を停止させた後にワイヤ10による床版3の切断作業が進行してワイヤ10の姿勢が所定の姿勢になるまでの間、可動体5を停止させた状態のまま維持する可動体停止維持処理とを繰り返すことにより、切断時の支点となる一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bの移動作業及び停止作業の自動制御化を実現する。
つまり、切断装置1においては、プーリ20、ローラ40、検出手段60が設けられた可動体5は、ガイドレール30に設けられたラック31に噛み合うピニオン51cを有したモータ51aを備え、制御手段6は、可動体駆動処理において、モータ51aを駆動させて可動体5を所定の距離だけ移動させ、可動体停止維持処理において、モータ51aを停止した状態に維持する構成とした。
従って、実施形態に係る切断装置1によれば、切断時の支点となる従動プーリである支点プーリ20(20A,20B)をガイドレール30(30A,30B)上で移動させる移動作業及び停止作業の自動制御化を実現でき、切断作業の自動制御化を実現できるようになった。
即ち、実施形態に係る切断装置1は、一方のプーリ20Aが設けられた一方の可動体5A及び他方のプーリ20Bが設けられた他方の可動体5Bの移動及び停止を制御する制御手段6を備えたことによって、一方のプーリ20A及び他方のプーリ20Bの移動作業及び停止作業の自動制御化が実現され、切断作業の自動制御化が可能となった切断装置1である。
【0034】
尚、制御手段6は、例えば上述した可動体駆動処理と可動体停止維持処理とを繰り返し行わせるためのプログラムを実行するPLC(Programmable Logic Controller)やコンピュータハードウェア等により実現される。
【0035】
また、特許文献1に開示された切断装置では、支点プーリを移動させるための動力源として切断方向Sに延長する油圧シリンダを用いていたため、油圧シリンダが横桁に干渉する可能性があり、切断装置の取扱性に課題があったが、実施形態に係る切断装置1によれば、支点プーリ20(20A,20B)を移動させるための機構として、動力源をモータとしたラックアンドピニオン機構を用いたので、切断装置1の小型化が図れ、取扱性に優れた切断装置1を提供できるようになった。
【0036】
また、実施形態1に係る切断装置1では、ラックアンドピニオンとロータリーエンコーダ53との組み合わせにより、可動体5の移動距離を検出できる構成としたので、可動体5に設けられたプーリ20の移動量の可視化を実現できるようになった。
【0037】
また、実施形態1に係る切断装置1では、可動体駆動処理と可動体停止維持処理とを繰り返すことで、切断作業の自動制御化を実現しているが、可動体駆動処理を行うタイミングとなる切断代小の状態は、予め任意の状態に決めておけばよい。
そして、予め任意に決めた切断代小の状態において、接触式センサ61がオフ状態となるように、検出手段60を構成しておけばよい。
【0038】
次に、プーリ群、ワイヤ駆動機構4、切断装置1を床版3の下面3uに取付けるための取付手段41について、説明を補足する。
【0039】
例えばプーリ群としては、ワイヤ10を水平面上でガイドする水平方向配列プーリ群と、ワイヤ10を垂直面上でガイドする垂直方向配列プーリ群と、ワイヤ10を、水平面上から垂直面上、あるいは、垂直面上から水平面上に導く垂直水平方向変換プーリ群とを備える。
【0040】
水平方向配列プーリ群は、例えば図1に示すように、切断時において支点となる上述した2つの支点プーリ20,20とコーナ用プーリ21とで構成される。
垂直方向配列プーリ群は、例えば図3に示すように、駆動プーリ22と、複数の方向変換用の従動プーリ23,24,25,26,27とを備える。
垂直水平方向変換プーリ群は、ワイヤ10を水平面に導く際の方向を変更可能に構成された可変プーリ28と、ワイヤ10を水平面に導く際の方向が一定の固定プーリ29とを備える。
【0041】
即ち、ワイヤ10は、一方の支点プーリ20から、可変プーリ28、従動プーリ23,24,25,26、駆動プーリ22、従動プーリ23、固定プーリ29、他方の支点プーリ20に掛け渡されて構成される。
そして、ワイヤ10の駆動機構4により、駆動プーリ22を回転させるとともに、駆動プーリ22及び従動プーリ25の両方又はいずれか一方を上下方向Vに移動させることにより、一方の支点プーリ20と他方の支点プーリ20との間のワイヤ10の部分が切断対象部位3Aに押し込まれて、切断対象部位3Aが切断されることになる。
【0042】
例えば図3に示すように、駆動プーリ22は、上下方向に延長する第1垂直支持体35に上下方向に往復動可能なように取付けられている。この第1垂直支持体35は、例えば、上端に設けられた取付部材35Aを介して床版3の下面3uに取付けられる。
また、従動プーリ25は、上下方向に延長する第2垂直支持体36に上下方向に往復動可能なように取付けられている。この第2垂直支持体36は、例えば、上端に設けられた取付部材36Aを介して床版3の下面3uに取付けられる。
また、従動プーリ24は、従動プーリ25よりも上方に位置されるように図外の取付部材を介して第2垂直支持体36に取付けられている。
さらに、従動プーリ23,26,27は、例えば、水平支持体37の所定に位置にそれぞれ図外の取付部材を介して取付けられている。この水平支持体37は、例えば、第1垂直支持体35と第2垂直支持体36とに図外の連結部材を介して連結されている。
また、可変プーリ28、固定プーリ29は、例えば図外の取付部材を介して水平支持体37に取付けられている。
【0043】
ワイヤ10の駆動機構4は、駆動プーリ22を回転させるとともに、駆動プーリ22を上下方向Vに直線往復移動させる図外の駆動プーリ制御装置と、従動プーリ25を上下方向Vに直線往復移動させる図外の従動プーリ制御装置とを備えて構成される。
駆動プーリ制御装置は、例えば、駆動プーリ22の図外の中心軸に連結された回転駆動源としてのプーリ回転用モータ、駆動プーリ22の回転中心軸を回転可能に支持する軸受、駆動プーリ22を第1垂直支持体35に沿って上下方向Vに往復動させる直線移動機構とを備える。
【0044】
直線移動機構は、例えば、第1垂直支持体35側に設けられたラックと駆動プーリ22側に設けられてラックと噛み合う図外のピニオンとで構成されたラックピニオン機構と、ピニオンを回転させる駆動源としての図外のプーリ移動用モータ(例えば油圧モータ)と、当該プーリ移動用モータの制御回路等とを備えて構成される。
即ち、ピニオンを回転させることで、ラックの延長方向、即ち、第1垂直支持体35の上下方向Vに駆動プーリ22が往復動可能となるように構成されている。
【0045】
従動プーリ制御装置は、例えば、従動プーリ25を第2垂直支持体36に沿って上下方向Vに往復動させる直線移動機構を備え、当該直線移動機構は、駆動プーリ制御装置の直線移動機構と同様に構成される。
【0046】
切断装置1を床版3の下面3uに取付けるための取付手段41は、例えば、図2に示すように、床版3の下面3uにアンカーボルト39等で取付けられる床側取付部材43と、ガイドレール30に取付けられるガイドレール側取付部材44とを備え、ガイドレール側取付部材44が床側取付部材43の上下延長板43aに対して上下方向に移動可能となるように取付けられていることにより、ガイドレール30の上下位置高さを調整できて可動体5の上下位置を調整可能な上下位置調整機構を備えた構成となっている。
即ち、取付手段41は、ガイドレール30を床版3の下面3uに固定するとともに、ガイドレール30の上下位置を調整するための上下位置調整機構を備えた構成となっている。
例えば、取付手段41は、上下調整ネジ45や位置決めネジ46等による上下位置調整機構を備えた構成となっている。
尚、例えば、ガイドレール30の両端部が取付手段41,41により床版3の下面3uに取付けられている。この場合、一方の可動体5A及び他方の可動体5Bをガイドレール30の一端側から他端側に移動させてガイドレール30の長さ分に対応する切断作業を終了したならば、取付手段41,41を床版3から取り外して当該取付手段41,41とガイドレール30とを先方へ移動させた後、当該取付手段41,41を床版3の下面3uに取付けてガイドレール30を再設置し、その後、切断作業を再開するという処理を繰り返すことにより、切断作業を続行できるようになる。
【0047】
このように、切断装置1を床版3の下面3uに取付けて切断装置1を床版3に支持させた状態でワイヤ10を駆動して、床版3における桁2の上面2tとの境界近傍部分である切断対象部位3Aを切断するように構成すれば、床版更新工事において、床版周辺の利用、すなわち、道路の利用を損なうことなく、かつ、再利用する桁2を損傷する可能性を低くできる。
【0048】
尚、実施形態では、可動体5を移動させるための動力源としてモータ51aを使用したラックピニオン方式を例示したが、可動体5を移動させるための動力源として、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、水圧シリンダ、電動シリンダ等の動力シリンダ、あるいは、その他のアクチュエータを用いてもよい。
この場合、動力源としての動力シリンダ、あるいは、その他のアクチュエータの動作量を制御することで、可動体5の移動停止制御(上述した可動体駆動処理と可動体停止維持処理とを繰り返す制御)を行う制御手段を構成すればよい。
【0049】
また、実施形態では、切断装置1を下面3uに取り付けた構成を例示したが、切断装置1を、床版3のハンチ部分の傾斜下面3utに取付けるようにしても良い。例えば、取付手段41を床版3のハンチ部分の傾斜下面3utに取付けるようにしても良い。
【0050】
また、切断装置は、床版3の下面3uに取付ける構成でなくともよい。例えば、床版3の下方に専用の支持装置(フレーム)を設置して、当該支持装置に取付けて切断する切断装置であってもよい。
【0051】
また、上述した切断装置1では、プーリ20に掛けられるワイヤ10の下方への移動を規制する規制部材としてのローラ40を備えたものを例示したが、規制部材は必ずしもローラである必要はなく、プーリ20に掛けられるワイヤ10の下方への移動を規制できるものであればよい。
【0052】
また、規制部材としてのローラ40を備えない構成であってもよい。
【0053】
また、実施形態では、コンクリート構造物としての床版を切断対象として切断する方法を例示したが、切断対象は、床版以外のコンクリート構造物や鋼構造物等の構造物であってもよい。
例えば、本発明は、道路架橋、鉄道架橋、又は、ボックスカルバート、壁高欄等の構造物を切断する場合にも適用でき、良好な切断動作を実現できる。
【0054】
また、プーリ20は、一つであってもよい。
即ち、本発明に係る切断装置は、ガイドレール30と、ガイドレール30に沿って移動可能に設けられた可動体5と、可動体5に設けられたプーリ20と、当該プーリ20と駆動プーリ22とを含む複数のプーリに掛け渡された無端環状のワイヤ10と、ワイヤ10を駆動させるワイヤ駆動機構4とを備え、ワイヤ駆動機構4によりワイヤを駆動させてワイヤを構造物に接触させることで構造物を切断する切断装置において、可動体5の移動及び停止を制御する制御手段6を備えた構成であればよい。
つまり、本発明に係る切断装置によれば、プーリ20付きの可動体5は、1つであってもよく、制御手段6により、当該プーリ20付きの可動体5を移動させた後、ワイヤ駆動機構4によりワイヤ10を駆動させてワイヤ10を構造物に接触させることで構造物を切断できる構成であればよい。
【符号の説明】
【0055】
1 切断装置、2 桁、3 床版(構造物)、3A 切断対象部位、
4 ワイヤ駆動機構、5 可動体、6 制御手段、10 ワイヤ、20 プーリ、
22 駆動プーリ、31 ラック、51a モータ、51c ピニオン、
60 検出手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6