(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116423
(43)【公開日】2024-08-27
(54)【発明の名称】分電盤及び建設現場情報システム
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20240820BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240820BHJP
【FI】
H02B1/40 A
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024103314
(22)【出願日】2024-06-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】505019068
【氏名又は名称】ミノシマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 栄一
(57)【要約】
【課題】建設現場においてコミュニケーションを容易にする。
【解決手段】分電盤は、一次側から引き込まれる電力を建設現場に供給する電力供給ユニットと、電力を利用して、建設現場に敷設された配線を介してデータ通信を行う通信ユニットと、スピーカー及びマイクロフォンを含み、通信ユニットを介して音声データの送受信を行う通話ユニットとを備え。通話ユニットは、建設現場に設置される他の分電盤、又は建設現場に設置される分電盤群を制御する制御盤との間で、音声データの送受信を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側から引き込まれる電力を建設現場に供給する電力供給ユニットと、
前記電力を利用して、前記建設現場に敷設された配線を介してデータ通信を行う通信ユニットと、
スピーカー及びマイクロフォンを含み、前記通信ユニットを介して音声データの送受信を行う通話ユニットと、
を備える分電盤であって、
前記通話ユニットは、前記建設現場に設置される他の分電盤、又は前記建設現場に設置される分電盤群を制御する制御盤との間で、前記音声データの送受信を行う
分電盤。
【請求項2】
カメラと表示装置とをさらに備え、
前記通話ユニットは、映像データの送受信をさらに行う
請求項1に記載の分電盤。
【請求項3】
前記通話ユニットは、2以上の前記他の分電盤、及び前記制御盤のうち複数の装置との間でグループ通話を実行させる
請求項1又は2に記載の分電盤。
【請求項4】
酸素濃度を示す情報を出力する酸素濃度センサと接続され、
前記酸素濃度センサが出力した情報に基づいて酸素濃度が所定の閾値を下回ると判断された場合、前記表示装置に警告を表示させる
請求項2に記載の分電盤。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の分電盤と、
前記制御盤と、
を含み、
前記制御盤は、
プロセッサと、
前記建設現場の立入禁止区域、重機の稼働状況、工程、資材管理、作業員、及び作業手順に関する情報を記憶する記憶装置と、
通信インターフェースと、
を備えるコンピュータを含み、
前記プロセッサは、前記通信インターフェースを介した前記分電盤からの要求に応じて、要求元の分電盤に対し、前記通信インターフェースを介して、要求された情報を送信する
建設現場情報システム。
【請求項6】
前記分電盤及び前記制御盤は、フル2線式リモコンを構成し、前記分電盤に接続された負荷を遠隔制御可能にする
請求項5に記載の建設現場情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、建設現場で使用される仮設の分電盤及び建設現場情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場に設けられる分電盤に関して様々な提案がなされていていた(例えば、特許文献1から3)。特許文献1に記載の分電盤は、情報機器を広域ネットワークNに接続可能にするとともに、負荷に対する電力供給を可能にする。また、温湿度センサを備え、熱中症の発生可能性に応じて警報を出力することが提案されている。特許文献2に記載の現場支援装置は、分電盤に接続され、使用電力量を含む状態情報に基づく管理情報と、建設現場における設計図面及び作業指示書を含む作業に関連する作業情報とを表示させる。特許文献3に記載の多機能型仮設柱は、敷地の気候要素情報を検出する検出センサと、気候要素情報を含む気象関連情報を出力する出力部とを備え、仮設分電盤ボックスから供給される電力によって作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-73162号公報
【特許文献2】特開2021-196706号公報
【特許文献3】特開2021-76454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、建設現場の作業者同士や他の拠点とコミュニケーションを取るためには個人が所持する携帯端末を使用することが一般的であった。そこで、本技術は、建設現場においてコミュニケーションを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(態様1)
一次側から引き込まれる電力を建設現場に供給する電力供給ユニットと、
前記電力を利用して、前記建設現場に敷設された配線を介してデータ通信を行う通信ユニットと、
スピーカー及びマイクロフォンを含み、前記通信ユニットを介して音声データの送受信を行う通話ユニットと、
を備える分電盤であって、
前記通話ユニットは、前記建設現場に設置される他の分電盤、又は前記建設現場に設置される分電盤群を制御する制御盤との間で、前記音声データの送受信を行う
分電盤。
(態様2)
カメラと表示装置とをさらに備え、
前記通話ユニットは、映像データの送受信をさらに行う
態様1に記載の分電盤。
(態様3)
前記通話ユニットは、2以上の前記他の分電盤、及び前記制御盤のうち複数の装置との間でグループ通話を実行させる
態様1又は2に記載の分電盤。
(態様4)
酸素濃度を示す情報を出力する酸素濃度センサと接続され、
前記酸素濃度センサが出力した情報に基づいて酸素濃度が所定の閾値を下回ると判断された場合、前記表示装置に警告を表示させる
態様2、又は態様2を引用する態様3に記載の分電盤。
(態様5)
態様2又は4に記載の分電盤と、
前記制御盤と、
を含み、
前記制御盤は、
プロセッサと、
前記建設現場の立入禁止区域、重機の稼働状況、工程、資材管理、作業員、及び作業手順に関する情報を記憶する記憶装置と、
通信インターフェースと、
を備えるコンピュータを含み、
前記プロセッサは、前記通信インターフェースを介した前記分電盤からの要求に応じて、要求元の分電盤に対し、前記通信インターフェースを介して、要求された情報を送信する
建設現場情報システム。
(態様6)
前記分電盤及び前記制御盤は、フル2線式リモコンを構成し、前記分電盤に接続された負荷を遠隔制御可能にする
態様5に記載の建設現場情報システム。
【0006】
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。また、課題を解決するための手段の内容は、コンピュータ等の装置若しくは複数の装置を含むシステム、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとして提供することができる。該プログラムはネットワーク上で実行されるようにすることも可能である。また、当該プログラムを保持する記録媒体を提供するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本技術は、建設現場においてコミュニケーションを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に係るシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る分電盤及び制御盤の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、建設現場情報システムが実現する通話機能を説明するための図である。
【
図4】
図4は、電源制御及びセンシングデータの利用について説明するための図である。
【
図5】
図5は、データベースに格納された情報の表示について説明するための図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る建設現場情報システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
<システム構成>
図1は、本発明に係るシステムの構成の一例を示す図である。建設現場情報システム100は構造物1に設置される分電盤10と、事務所2に設置される制御盤20とを含む。構造物1は、例えば建設中のビルディング等のような建築物である。分電盤10は、構造
物1の建設中に使用する仮設の分電盤であり、一時側から引き込まれる電力を周囲の機器に供給する。なお、構造物1には、その延床面積や構造、施工状況に応じて、複数の分電盤10が設置され得る。
図1の例では、分電盤10Aは、一次側に電柱又はキュービクルから電線が引き込まれて受電する。そして、電線は建設現場内の複数の分電盤10の一次側へ接続されている。なお、分電盤10の数や配置は、
図1に示す例には限定されない。事務所2は、例えば仮設の現場事務所である。制御盤20は、コンピュータを含み、1以上の分電盤10を制御する。なお、制御盤20及び1以上の分電盤10は、建設現場に構築されるローカルネットワークに接続され、データの双方向通信を行うことができる。また、制御盤20は、外部ネットワーク4を介してユーザーが使用する端末30と接続されていてもよい。外部ネットワーク4は、例えばIP(Internet Protocol)ネットワーク
であり、電話網(固定電話網又は移動体通信網)、インターネット等を含むものであってもよい。
【0011】
<機能構成>
図2は、本発明に係る分電盤10及び制御盤20の一例を示すブロック図である。本発明に係る分電盤10は、電力供給ユニット11と、フル2線制御ユニット12と、通信ユニット13と、通話ユニット14と、表示ユニット15と、カメラユニット16と、センサ群17とを備える。電力供給ユニット11は、一次側から引き込まれる電力を、分電盤10の周囲の機器に供給する。例えば、電力供給ユニット11は、主幹用ブレーカー(遮断器)、分岐用ブレーカー、端子台などを含むものであってもよい。また、電力供給ユニット11は、例えばフル2線制御ユニット12を介し、建設現場で使用する照明装置18などの負荷に電力を供給する。
【0012】
フル2線制御ユニット12は、スイッチからの信号等に基づいて照明装置18等の負荷への電力供給を制御するためのフル2線式リモコンを構成する伝送ユニットである。フル2線式リモコンは、リレーに割り当てられたアドレスに基づいて所望の照明装置18や照明装置18のグループへの電力供給を制御できる。
【0013】
通信ユニット13は、有線又は無線でデータ通信を行うための通信モジュールである。例えば、分電盤10は、通信ユニット13を介して建設現場内のローカルネットワーク(LAN(Local Area Network))に接続される。なお、通信ユニット13は、プロセッサや記憶装置を備え、分電盤10の動作を制御するコンピュータであってもよい。
【0014】
プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等
の処理装置である。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、及びHDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置(二次記憶装置)を含む。主記憶装置は、プロセッサが読み出したプログラムを一時的に記憶したり、プロセッサの作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。
【0015】
通話ユニット14は、マイクロフォンとスピーカーとを含み、通信ユニット13へ音声信号を出力したり、通信ユニット13から入力された音声信号を音声として再生する。ユーザーは、通話ユニット14及び通信ユニット13を介して他の装置との間で音声通話を実行できる。例えば通信ユニット13のプロセッサは、建設現場のローカルネットワーク内でVoIP技術により音声通話を実現するようにしてもよい。
【0016】
表示ユニット15は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode Display)、LED(Light-Emitting Dio
de)ディスプレイ等のようなディスプレイパネルと、例えばディスプレイコントローラとを備える。また、例えば通信ユニット13のプロセッサにより表示ユニット15の表示内容が制御される。なお、表示ユニット15は、ディスプレイパネルにタッチパネルが積層された入出力装置であってもよい。
【0017】
カメラユニット16は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いたイメージセンサを備え、画像(動画像)データを出力するモジュールである。カメラユニット16は、例えば通信ユニット13のプロセッサと接続され、画像データを出力する。また、カメラユニット16は、所定長のUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介して接続され、ユーザーはカメラユニット16のレンズ部分を分電盤10の周囲の任意の方向に向けて撮影できるようにしてもよい。
【0018】
センサ群17は、例えば、温度センサ171、湿度センサ172、騒音センサ173、振動センサ174、風速センサ175、及び酸素濃度センサ176を含む。温度センサ171は、サーミスタ、サーモクプル、抵抗温度計、赤外線温度計などを利用したセンサユニットであり、温度を示す情報を出力する。湿度センサ172は、例えば、抵抗式、静電容量式などのセンサユニットであり、湿度を示す情報を出力する。騒音センサ173は、例えばコンデンサ型マイクロフォンが検出する静電容量の変化に基づいて音圧を算出するセンサユニットであり、音圧レベルを示す情報を出力する。振動センサ174は、加速度センサ、振動スイッチなどを利用したセンサユニットであり、振動の大きさ又は有無を示す情報を出力する。風速センサ175は、風杯型風速計などを利用したセンサユニットであり、風速を示す情報を出力する。酸素濃度センサ176は、ジルコニア式、ガルバニ電池式、波長可変半導体レーザ分光式などのセンサユニットであり、酸素濃度を示す情報を出力する。センサ群17が出力する情報は、通信ユニット13を介して制御盤20へ送信されるものとする。また、
図2のセンサ群17は例示であり、センサ群17は他のセンサを含んでいたり一部のセンサを含んでいなくてもよい。
【0019】
照明装置18は、LED投光器、バルーンライトなどである。
【0020】
一方、制御盤20は、コンピュータ21と、電力量計測ユニット22と、フル2線制御ユニット23とを備える。コンピュータ21は、プロセッサ211と、記憶装置212と、第1通信インターフェース(IF)213と、第2通信インターフェース(IF)214と、ユーザーインターフェース(UI)215とを備える。
【0021】
プロセッサ211は、CPU等の処理装置であり、制御盤20の動作を制御する。記憶装置212は、例えば、RAMやROM等の主記憶装置、及びHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置(二次記憶装置)を含む。主記憶装置は、プロセッサが読み出したプログラムを一時的に記憶したり、プロセッサの作業領域を確保したりする。補助記憶装置は、プロセッサが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。また、記憶装置212は、現場情報2121、工程情報2122、資材管理情報2123、作業員情報2124、作業手順書2125などを記憶していてもよい。これらの情報は、例えばRDB(Relational Database)の形式で記憶され、分電盤10又は端末30からの要求に応
じて送信される。現場情報2121は、例えば立入禁止区域、重機の稼動状況などを含む。工程情報2122は、計画されている作業工程や依存関係、進捗に関する情報を含み、例えばガントチャートなどで表される。資材管理情報2123は、資材の受入れ、保管、消費などに関する情報を含む。作業員情報2124は、作業員の資格、技能、経験を含む個人情報、安全教育やトレーニングに関する情報、勤怠記録や作業予定などの少なくとも何れかを含む。作業手順書2125は、例えば単位作業ごとに、作業行動の順序を説明する情報を含む。また、これらの情報は、工程の進捗などに基づいて適宜更新される。
【0022】
第1通信IF213及び第2通信IF214は、有線又は無線でデータ通信を行うための通信モジュールである。コンピュータ21は、第1通信IF213を介して外部ネットワーク4へ接続され、第2通信IF214を介してローカルネットワークへ接続されるものとする。なお、ローカルネットワークに接続されるコンピュータ21、電力量計測ユニット22、フル2線制御ユニット23、分電盤10は、ハブ(スイッチングハブ)などのネットワーク機器を介して接続される。UI215は、ディスプレイパネル、これに積層されるタッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス、マイク、スピーカー、カメラ等のユーザーインターフェースである。UI215は、ユーザーの操作を受け付け、又はユーザーに対して情報を出力する。コンピュータ21は、プロセッサ211が所定のプログラムを実行することにより、分電盤10との間で音声通話、ビデオ通話、グループ通話などを実行させる。
【0023】
電力量計測ユニット22は、測定ICなどを備え、分電盤10が構成する電力供給網における消費電力量を、集計監視の為に測定する。また、電力量計測ユニット22は、分電盤10全体での消費電力を監視し、所定の閾値を超えた場合にコンピュータ21や端末30へ通知を行うようにしてもよい。
【0024】
フル2線制御ユニット23は、照明装置18等の負荷への電力供給を制御するためのフル2線式リモコンを構成する伝送ユニット又は制御ユニットである。フル2線制御ユニット23は、分電盤10のフル2線制御ユニット12と連携して照明装置18を制御する。
【0025】
なお、
図1に示した端末30は、タブレット、スマートフォン等のコンピュータである。端末30は、所定のプログラムを実行することにより、分電盤10、制御盤20との間で音声通話、ビデオ通話、グループ通話などを実行できるようにしてもよい。また、端末30は、所定のプログラムを実行することにより、フル2線制御ユニット23を遠隔で操作できるようにしてもよい。
【0026】
<通話機能>
図3は、建設現場情報システム100が実現する通話機能を説明するための図である。
図3の例では、分電盤10Bの表示ユニット15には、事務所2の制御盤20を使用してビデオ通話を行うユーザーが表示されている。一方、事務所2の制御盤20のUI215には、分電盤10Bのカメラユニット16が撮影した映像が表示されている。なお、音声データも双方向に送受信され、再生される。すなわち、制御盤20のコンピュータ21が備えるUI215を介して入力された音声データは、第2通信IF214及びローカルネットワークを介して分電盤10に送信され、例えば通信ユニット13のプロセッサは通話ユニット14のスピーカーから出力させる。一方、分電盤10の通話ユニット14のマイクロフォンを介して入力された音声データは、通信ユニット13及びローカルネットワークを介して制御盤20へ送信され、コンピュータ21はUI215から出力させる。
【0027】
複数の分電盤10の通話ユニット14同士、又は分電盤10の通話ユニット14と制御盤20のコンピュータ21とは、音声通話、又はビデオ通話を行うことができる。すなわち、音声データの双方向通信が行われる。なお、映像データは、双方向でなく一方向の通信であってもよいし、送受信されなくてもよい(すなわち、音声のみによる通話であってもよい)。また、3つ以上の装置がグループ通話を行うようにしてもよい。グループ通話は、3つ以上の装置の各々が他の装置との間で音声データの双方向通信を行うことにより実現される。グループ通話においても、さらに映像データを送受信するようにしてもよい。通話は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)などの呼制御を行うプロトコ
ルに基づいて発呼し、開始されるようにしてもよい。
【0028】
建設現場においては、例えば作業者全体の朝礼や作業グループでの打合せを行い、作業計画や注意事項などの情報共有が行われることがある。建設現場情報システム100のグループ通話機能により、遠隔で打合せに参加できるようになれば、作業者の移動に要する時間や待ち時間を削減し、全体の作業効率を向上させることができる。また、例えば現場で何らかの問題が生じた場合に、作業者は分電盤10の通話ユニット14やカメラユニット16を用いて、他の分電盤10の周辺にいる作業者や事務所2にいる監督者などのユーザーとの間での情報の共有が容易になる。
【0029】
<電源制御>
図4は、電源制御及びセンシングデータの利用について説明するための図である。建設現場情報システム100は、フル2線式リモコンにより、遠隔で照明装置18の点灯及び消灯を制御することができる。また、端末30に対するユーザーの操作に基づいて、制御盤20のコンピュータ21が要求を受け、フル2線制御ユニット23から送信する信号を制御するようにしてもよい。分電盤10側のフル2線制御ユニット12は、受信した信号に基づいてリレー121のオン/オフを切り替え、リレー121に接続された照明装置18を制御する。遠隔での電源制御によれば、消灯忘れを抑制し、消灯のための作業者の移動の手間を削減することができる。
【0030】
<センシングデータ等の利用>
分電盤10は、電力供給ユニット11又は制御盤20の電力量計測ユニット22が測定する使用電力量や、センサ群17により測定されたデータに基づいて表示ユニット15の表示を制御するようにしてもよい。また、表示内容の少なくとも一部は、例えば制御盤20のコンピュータ21又は分電盤10が備えるプロセッサが、センシングデータに基づいて決定するようにしてもよい。
【0031】
図4では、表示ユニット15の領域151に、使用電力量、気温、湿度の各情報が表示されている。また、領域152には、熱中症について注意を促す警告が表示されている。使用電力量は、当該分電盤10における使用電力量であってもよいし、建設現場全体の使用電力量であってもよい。また、使用電力量が予め定められた閾値を超える場合は、表示ユニット15、制御盤20、又は端末30に警告を出力させるようにしてもよい。気温は、温度センサ171が出力する情報に基づいて表示される。湿度は、湿度センサ172が出力する情報に基づいて表示される。また、分電盤10又は制御盤20は、気温及び湿度に基づいて熱中症のリスクを表す指標値を算出し、所定の閾値を超える場合には警告を出力させるようにしてもよい。なお、センサ群17は、乾球温度、湿球温度及び黒球温度を取得し、分電盤10又は制御盤20は暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)のような指標値を算出してもよい。
【0032】
また、表示ユニット15の領域153には、騒音、風速、酸素濃度の各情報が表示されている。騒音は、騒音センサ173が出力する情報、及び振動センサ174が出力する情報の少なくとも何れかに基づいて表示される。風速は、風速センサ175が出力する情報に基づいて表示される。酸素濃度は、酸素濃度センサ176が出力する情報に基づいて表示される。領域154には、酸素欠乏状態(低酸素症)について注意を促す警告が表示されている。このように、センシングデータが所定の閾値を下回る場合に警告を出力してもよい。
図4の表示は一例であり、建設現場情報システム100はその他のリスクなどを評価し、警告などを表示するようにしてもよい。
【0033】
<データベース情報の表示>
図5は、データベースに格納された情報の表示について説明するための図である。
図5の例では、分電盤10の表示ユニット15には、工程表155と、現場情報156とが表示されている。なお、表示ユニット15には、記憶装置212(データベース)に記憶さ
れている他の情報を表示してもよい。制御盤20のデータベースに格納された情報は、例えば分電盤10からの要求に応じて制御盤20のコンピュータ21が要求元の分電盤10に送信する。なお、分電盤10の表示ユニット15は、例えばタッチパネルを備え、作業者は表示ユニット15を操作して制御盤20に対し情報を要求できるものとする。工程表155は、計画されている作業工程に関する情報である。現場情報156は、立入禁止区域や重機の稼動状況、搬入経路などの情報である。建設現場においては、稼動しているエレベータが限られていたり、通行できる領域が作業の進捗に伴い変わったりする。本実施形態によれば、作業者は紙の資料やタブレットなどの端末を持ち歩く必要なく、建設現場に関する情報を確認できるようになる。
【0034】
<変形例>
図6は、変形例に係る建設現場情報システム100の一例を示す図である。
図6の例では、分電盤10の構成要素の一部が無線通信モジュールを備え、所定の電波到達範囲内において分電盤10との間で通信を行う。なお、無線通信は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、ZigBeeなどの通信規格を利用することができる。
図6の例では、カメラユニット16、センサ群17、照明装置18、警報装置19は、分電盤10との間で無線通信を行う。なお、これらの装置への電力供給は、ワイヤレス給電方式であっても、電池式(充電式)であってもよい。また、照明装置18は、フル2線式リモコンで制御されるものでなくてもよい。例えば、照明装置18は、防犯のために分電盤又はその周囲を照らすものであってもよく、人感センサーを備えたものであってもよい。また、警報装置19は、分電盤10からの通信に基づいて、音声又は警告灯の点灯若しくは点滅などにより警報を発する装置である。警報装置19は、例えば
図4の表示ユニット15の領域152、154に示すような警告情報を通知するために鳴動するようにしてもよい。また、警報装置19は、他の分電盤10等から通話の着呼があった場合に、鳴動するようにしてもよい。これらの装置を無線接続にすることで、建設現場において自由に配置を変更することができ、利便性が向上する。
【0035】
<その他>
なお、上述した実施形態は例示であり、本発明は上述した構成には限定されない。また、本発明の対象は、上述した処理を実行するコンピュータプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。当該プログラムが記録された記録媒体は、プログラムをコンピュータに実行させることにより、上述の処理が可能となる。
【0036】
なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、HDDやSSD、ROM等がある。
【符号の説明】
【0037】
1:構造物、10:分電盤、2:事務所、20:制御盤、30:端末、4:外部ネットワーク