IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社明電舎の特許一覧

<>
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図1
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図2
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図3
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図4
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図5
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図6
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図7
  • 特開-車両自動運転装置用キャリア 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116455
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】車両自動運転装置用キャリア
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
G01M17/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022078
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 安紀彦
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 伸夫
(57)【要約】
【課題】車両自動運転装置を分解した状態で積載・搬送するキャリア1の設置面積を小さくするとともに、車両への取付・取り外し作業をやり易くする。
【解決手段】キャリア1は、キャスタ3を有する四角形の底部フレーム2と、底部フレーム2を第1の区画11と第2の区画12とに2分するように略中央において垂直に立ち上がった中央フレーム5と、トランスミッションアクチュエータ支持台28と、を有する。第1の区画11に、車両自動運転装置の本体部101が斜めに立てかけられた形に積載され、第2の区画12のペダルアクチュエータ支持部21に3つのペダルアクチュエータ102が積載される。トランスミッションアクチュエータ支持台28には、トランスミッションアクチュエータユニット103が積載される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席のシート上に配置される本体部と、この本体部の前端から車両前方へ延びる複数のペダルアクチュエータと、上記本体部の長手方向中間部に支持されるトランスミッションアクチュエータユニットと、を含む車両自動運転装置を、これらの各要素に分解した状態で積載・搬送する車両自動運転装置用キャリアであって、
底面に移動機構を備えた底部フレームと、
この底部フレームを平面視で第1の区画と第2の区画とに2分するように該底部フレームの略中央において垂直に立ち上がった中央フレームと、
上記第1の区画上に斜めに立てかけられる上記本体部の下端を受けて位置決めするように当該第1の区画に設けられた本体部支持部と、
上記第2の区画上に上記複数のペダルアクチュエータを並べて斜めに立てかけるように、傾斜した支持板および当該支持板から突出した複数の位置決めピンからなるペダルアクチュエータ支持部と、
上記中央フレームの中間高さ位置において上記ペダルアクチュエータ支持部の上方を覆うように張り出して設けられ、上面に上記トランスミッションアクチュエータユニットが積載されるトランスミッションアクチュエータ支持台と、
を備えてなる車両自動運転装置用キャリア。
【請求項2】
上記本体部支持部は、上記本体部の下端が係合するL字形の切欠部を有する一対のブロック状部材からなる、
請求項1に記載の車両自動運転装置用キャリア。
【請求項3】
上記本体部は、上記中央フレームと上記底部フレームとに亘って斜めに立てかけられ、その重心位置が上記切欠部と上記中央フレームとの間にあることで当該キャリア上に保持される、
請求項2に記載の車両自動運転装置用キャリア。
請求項
【請求項4】
上記ペダルアクチュエータは、車両セット時にペダル側となる先端部が下方となった傾斜姿勢でもって、上記ペダルアクチュエータ支持部に自重により保持される、
請求項1に記載の車両自動運転装置用キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばシャシダイナモメータ上で車両の走行試験を行う際に、車両のペダル操作やシフトレバー操作を運転者に代わって行う車両自動運転装置の分野に関し、特に、車両自動運転装置を複数の構成要素に分解した状態で積載・搬送するキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行試験の際に車両のペダル操作やシフトレバー操作を運転者に代わって行う車両自動運転装置は、特許文献1や特許文献2に記載されているように、一般に、車両のシート上に配置される本体部と、この本体部から前方へ延びて車両のペダルを操作するペダルアクチュエータと、本体部上に搭載されて車両のシフトレバーを操作するトランスミッションアクチュエータと、を含んで構成される。
【0003】
このような車両自動運転装置は、例えば、シャシダイナモメータを備えた試験室内において検査対象である車両にセットされる。
【0004】
特許文献2には、試験室内等において車両自動運転装置を複数の構成要素に分解した状態で積載・搬送する手押しの台車が開示されている。この台車は、底面にキャスターを備えた箱状のボディ部を主体とし、ボディ部の上面に車両自動運転装置の本体部が載置されるとともに、ボディ部の前面に3つの脚部(ペダルアクチュエータ)が取り付けられる。また箱状のボディ部の内部空間に、トランスミッションアクチュエータが収容されるようになっており、この空間の上面を開閉する扉が上記本体部の載置面を兼ねている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-148613号公報
【特許文献2】特開2020-190462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されている従来の台車は、箱状のボディ部を備え、車両のシート上にセットされる本体部がそのままの姿勢でボディ部上面に載置される構成であるため、接地面積つまり上方から見たときの投影面積が大きい。例えばシャシダイナモメータを備えた車両試験室内で車両周囲に確保できるスペースは限られており、台車が大型であると、車両への取付作業や取り外し作業の際に、車両の近くまで台車を近付けて作業を行うことができない。
【0007】
また、本体部を載置する載置面が高い位置にあり、重量物である本体部を持ち上げる作業員の負担が大きい。しかも、トランスミッションアクチュエータは、箱状のボディ部の上面の扉を開いて、その中の空間に上方から落とし込むようにして収容されるので、作業性が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、運転席のシート上に配置される本体部と、この本体部の前端から車両前方へ延びる複数のペダルアクチュエータと、上記本体部の長手方向中間部に支持されるトランスミッションアクチュエータユニットと、を含む車両自動運転装置を、これらの各要素に分解した状態で積載・搬送する車両自動運転装置用キャリアであって、
底面に移動機構を備えた底部フレームと、
この底部フレームを平面視で第1の区画と第2の区画とに2分するように該底部フレームの略中央において垂直に立ち上がった中央フレームと、
上記第1の区画上に斜めに立てかけられる上記本体部の下端を受けて位置決めするように当該第1の区画に設けられた本体部支持部と、
上記第2の区画上に上記複数のペダルアクチュエータを並べて斜めに立てかけるように、傾斜した支持板および当該支持板から突出した複数の位置決めピンからなるペダルアクチュエータ支持部と、
上記中央フレームの中間高さ位置において上記ペダルアクチュエータ支持部の上方を覆うように張り出して設けられ、上面に上記トランスミッションアクチュエータユニットが積載されるトランスミッションアクチュエータ支持台と、
を備えて構成される。
【0009】
このような構成では、中央フレームによって区分される一方の側(つまり第1の区画側)に車両自動運転装置の本体部が斜めに立てかけた状態に配置され、他方の側(つまり第2の区画側)に3つのペダルアクチュエータが斜めに立てかけた状態に配置される。つまり、中央フレームを挟んで背中合わせとなるようにして本体部とペダルアクチュエータとが積載される。そのため、上方から見たときの投影面積ないし接地面積が小さい。
【0010】
そして、例えば車両への取付作業の際には、本体部が積載されている第1の区画を車両に向けた状態で本体部の取付作業を行った後、キャリア全体を180°反転させて第2の区画を車両に向けた状態として、ペダルアクチュエータの取付および該ペダルアクチュエータの上方に積載されているトランスミッションアクチュエータユニットの取付を行うことができる。
【0011】
つまり、本体部とペダルアクチュエータとが中央フレームを挟んで背中合わせとなるように積載されることで、キャリアの向きを変えながら車両や作業員に近い位置まで本体部およびペダルアクチュエータならびにトランスミッションアクチュエータを搬送することが可能となり、重量物である各構成要素の取付・取り外し作業の負担が軽減する。
【0012】
本発明の好ましい一つの態様では、上記本体部支持部は、上記本体部の下端が係合するL字形の切欠部を有する一対のブロック状部材からなる。斜めに立てかけた本体部の下端が一対の切欠部に係合することで、本体部の荷重が支持されると同時に本体部が位置決めされる。
【0013】
さらに、好ましくは、上記本体部は、上記中央フレームと上記底部フレームとに亘って斜めに立てかけられ、その重心位置が上記切欠部と上記中央フレームとの間にあることで当該キャリア上に保持される。つまり、特にロック機構等を要さずに、本体部をキャリア上に積載状態に保持することができる。ロック機構を具備しないことで、車両への取付・取り外し作業の際のキャリアからの取り外し・キャリアへの取付が容易である。
【0014】
また、本発明の好ましい一つの態様では、上記ペダルアクチュエータは、車両セット時にペダル側となる先端部が下方となった傾斜姿勢でもって、上記ペダルアクチュエータ支持部に自重により保持される。つまり、特にロック機構等を要さずに、ペダルアクチュエータがキャリアに積載される。ロック機構を具備しないことで、車両への取付・取り外し作業の際のキャリアからの取り外し・キャリアへの取付が容易である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、上方から見たときの投影面積ないし接地面積が小さくなり、例えばシャシダイナモメータを備えた車両試験室内での取り回しが良好となる。また、本体部とペダルアクチュエータとが背中合わせに配置されることで、キャリアを180°反転させて各々の車両への取付・取り外し作業を行うことができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施例のキャリアを車両自動運転装置を積載した状態で示す斜視図。
図2図1とは異なる方向から示す積載状態のキャリアの斜視図。
図3】積載状態のキャリアの正面図。
図4】車両自動運転装置を積載していない状態のキャリアを図1と同じ方向から示す斜視図。
図5】非積載状態のキャリアを図2と同じ方向から示す斜視図。
図6】非積載状態のキャリアを図3と同じ方向から示す正面図。
図7】本体部を車両シートにセットした段階での説明図。
図8】さらにペダルアクチュエータとトランスミッションアクチュエータユニットをセットした段階での説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1図3は、一実施例のキャリア1を車両自動運転装置を積載した状態で示している。図4図6は、一実施例のキャリア1を車両自動運転装置を積載していない状態で示している。
【0018】
初めに、キャリア1の全体的な構成を図4図6に基づいて説明する。一実施例のキャリア1は、底部に、平面視でほぼ正方形に近い四角形をなす底部フレーム2を有する。底部フレーム2は、四辺を構成する4本の底部フレーム部材2a~2dを四角形をなすように接続した構成であり、四角形の中に、平行な一対の補強フレーム部材2e,2fを備え、さらに、この一対の補強フレーム部材2e,2f同士が中間部の短い補強フレーム部材2gによって互いに接続されている。これらのフレーム部材2a~2gは、いずれも断面長方形の中空金属部材からなる。なお、以下では、説明の便宜のために、一対の補強フレーム部材2e,2fの長手方向に沿った方向をキャリア1の「左右方向」とし、補強フレーム部材2gの長手方向に沿った方向をキャリア1の「前後方向」とする。従って、2本の底部フレーム部材2a,2cはキャリア1の前後方向に沿って延びており、2本の底部フレーム部材2b,2dはキャリア1の左右方向に沿って延びている。
【0019】
底部フレーム2の四隅の底面には、移動機構として、キャリア1の移動を容易とするためのキャスタ3がそれぞれ旋回可能に取り付けられている。キャスタ3は、キャリア1が段差を乗り越える際の衝撃を緩和するために図示せぬ緩衝スプリングを内蔵した構成であることが望ましい。
【0020】
底部フレーム2の前後方向の略中央には、底部フレーム2から垂直に立ち上がった長方形をなす中央フレーム5が設けられている。中央フレーム5は、底部フレーム部材2aの略中央に下端が接続されて該底部フレーム部材2aから上方に垂直に延びた縦フレーム部材5aと、底部フレーム部材2cの略中央に下端が接続されて該底部フレーム部材2cから上方に垂直に延びた縦フレーム部材5bと、これら一対の縦フレーム部材5a,5bの上端にそれぞれ接続されて水平方向に延びた横フレーム部材5cと、を備え、これらが縦長の長方形の三辺に沿って配置されている。長方形の中には、一対の縦フレーム部材5a,5b同士を中間の高さ位置において互いに接続する水平方向に沿った第2横フレーム部材5dが設けられている。第2横フレーム部材5dは、縦フレーム部材5a,5bの上下方向中央よりもやや上方となる高さ位置に設けられている。さらに、この第2横フレーム部材5dと下方の補強フレーム部材2gとの間に垂直に延びる第2縦フレーム部材5eを備えており、この第2縦フレーム部材5eの中間高さ位置と縦フレーム部材5bとの間に水平方向に延びる第3横フレーム部材5fを備えている。これらの各フレーム部材5a~5fは、やはり断面長方形の中空金属部材からなる。
【0021】
一方の縦フレーム部材5aの上端部には、移動時に作業員が把持できるように、一対のグリップ7が取り付けられている。一対のグリップ7は、それぞれ縦フレーム部材5aの前後方向の面に固定されており、互いに対称をなすように前後方向に突出している(図6参照)。
【0022】
上記のように中央フレーム5が底部フレーム2の前後方向の略中央に設けられていることで、底部フレーム2は、平面視で第1の区画11と第2の区画12とに2分される。図示例では、底部フレーム部材2b側が第1の区画11となり、底部フレーム部材2d側が第2の区画12となる。
【0023】
底部フレーム2の第1の区画11には、後述する車両自動運転装置の本体部を支持しかつ位置決めするための本体部支持部として、一対の合成樹脂性のブロック状部材14が設けられている。この一対のブロック状部材14は、第1の区画11に積載した本体部の下端と係合するL字形の切欠部15を備えている。このL字形の切欠部15は、図6に示すように、中央フレーム5の方を指向するように、斜めに傾いている。ブロック状部材14は、底部フレーム2の左右方向に延びた底部フレーム部材2bとこれに平行な補強フレーム部材2eとの間に挟まれた形に支持されている(図4参照)。
【0024】
底部フレーム2の第2の区画12には、後述する車両自動運転装置の3つのペダルアクチュエータを並べて積載することができるように、ペダルアクチュエータ支持部21が設けられている。このペダルアクチュエータ支持部21は、ペダルアクチュエータを乗せる支持板22と、この支持板22に植設された複数の位置決めピン23と、から構成されている。支持板22は、平らな金属板からなり、上端が中央フレーム5の第3横フレーム部材5fの第2の区画12側の面に取り付けられており、下端が底部フレーム2の底部フレーム部材2dと補強フレーム部材2fとの間に位置している。詳しくは、底部フレーム部材2dの上面と補強フレーム部材2fの上面とに亘る底板24に、支持板22の下端が接続されている。つまり、支持板22は、下端位置が上端位置に比較してキャリア1の前後方向外側へ位置するように傾斜している(図6参照)。例えば、垂直線に対して20~40°程度の角度で傾斜している。
【0025】
円柱状をなす複数の位置決めピン23は、ペダルアクチュエータと接する外周面に合成樹脂性スリーブを備えた構成であり、各ペダルアクチュエータの先端(積載状態では下端)に当接してペダルアクチュエータの荷重を受ける位置と、ペダルアクチュエータの両側でペダルアクチュエータを左右方向に拘束する位置と、にそれぞれ配置されている。
【0026】
なお、底部フレーム2の補強フレーム部材2e,2fの間には、小物を収容するためのトレー26が設けられている。このトレー26は、補強フレーム部材2e,2fの下面側に固定されており、上面つまり2つの補強フレーム部材2e,2fの間から収容物の出し入れが可能である。
【0027】
第2の区画12の上方には、後述するトランスミッションアクチュエータユニットを積載するための棚状のトランスミッションアクチュエータ支持台28が設けられている。トランスミッションアクチュエータ支持台28は、平面視で左右方向に長い長方形をなし、中央フレーム5の第2横フレーム部材5dおよび縦フレーム部材5aによって片持ち状に支持されている。つまり、トランスミッションアクチュエータ支持台28は、ペダルアクチュエータ支持部21の上方を覆うように中央フレーム5から張り出している。なお、図6に示すように、平面視においては、前後方向について、底部フレーム2の底部フレーム部材2dの外縁とトランスミッションアクチュエータ支持台28の外縁とがほぼ同一の位置にある。換言すれば、トランスミッションアクチュエータ支持台28は、底部フレーム2よりは外側へ突出しておらず、壁等にトランスミッションアクチュエータ支持台28のみが衝突することはない。
【0028】
トランスミッションアクチュエータ支持台28の下面側には、前後方向に引き出し可能な引き出し29が設けられており、付属品類の収容が可能である。
【0029】
次に、図1図3に基づいて車両自動運転装置をキャリア1に積載した状態について説明する。図示例の車両自動運転装置は、例えば特開2021-148613号公報(上述した特許文献1)や特開2021-188913号公報によって公知となっている構成であるので、詳しい説明は省略するが、後述する図8に示すように、運転席のシート100上に配置される本体部101と、この本体部101の前端から車両前方へ延びる3つのペダルアクチュエータ102と、本体部101の長手方向中間部に支持されるトランスミッションアクチュエータユニット103と、から大略構成される。キャリア1に積載する際には、これら3つの構成要素に分解した状態で積載される。なお、具体的な公報番号を挙げたが、本発明のキャリア1の積載対象が上記公報に記載の車両自動運転装置のみに限定される趣旨ではない。
【0030】
図1に示すように、本体部101は、キャリア1の第1の区画11の側に積載される。一例の本体部101は、シート100の上に斜めに配置されるように緩く湾曲したハシゴ状の形状をなしており、第1の区画11の上に斜めに立てかけられた状態となる。詳しくは、シート100にセットしたとき(以下、車両セット状態という)に後端部となる端部が上方となり、車両セット状態で前端部となる端部が下方となるようにして、車両セット状態での傾斜をより急峻にしたような形で第1の区画11に立てかけられる。このとき、下方となる本体部101の端部が一対のブロック状部材14の上に乗り、かつ切欠部15に係合する。従って、本体部101の荷重は基本的に一対のブロック状部材14によって支持される。そして、切欠部15との係合によって本体部101の下方の端部が前後方向に位置決めされる。また、中央フレーム5の第2横フレーム部材5dに本体部101の上部がもたれかかった状態となる。このような状態において、本体部101の重心位置は、平面視において、第2横フレーム部材5dと切欠部15との間にある。そのため、他のロック機構等を要さずに、本体部101は自重によりキャリア1上で傾斜姿勢を保持する。
【0031】
なお、車両自動運転装置をキャリア1に積載したまま長期間保管するような場合には、車両セット状態で本体部101をシート100に締め付けるためのストラップ105(図8参照)を利用して、中央フレーム5と本体部101とを互いに拘束するようにしてもよい。
【0032】
図示例の本体部101は、車両セット状態で前端部となる位置に車体フロアに先端が接する一対の円柱状の脚部107(図7図8参照)を備えている。キャリア1に積載した状態では、この一対の脚部107の先端部が、底部フレーム2の一対の補強フレーム部材2e,2fの間に位置し、これらと干渉しない。従って、車両に合わせて長さ調整した脚部107を備えたまま本体部101の積載が可能である。
【0033】
なお、本体部101が接する第2横フレーム部材5d等の表面に、滑り止めと緩衝とを兼ねたゴムシートを貼り付けておくようにしてもよい。
【0034】
図2に示すように、3つのペダルアクチュエータ102とトランスミッションアクチュエータユニット103は、キャリア1の第2の区画12の側に積載される。
【0035】
ペダルアクチュエータ102は、車両セット状態と同様の順序に並べた形でペダルアクチュエータ支持部21に積載される。傾斜した支持板22の上に置くことで、各ペダルアクチュエータ102は、斜めに立てかけられたような姿勢となる。積載状態では、車両セット状態で本体部101に接続される側の端部が上方となる。また、図示例のペダルアクチュエータ102は、箱状のモータユニットが下面側(車両セット状態での下面側)に突出しているので、平坦な上面が支持板22に接するように、上下を反転させた形で支持板22上に積載される。支持板22上に積載されたペダルアクチュエータ102は、下側および左右両側の複数の位置決めピン23によって囲まれるので、自重により保持された状態となる。ペダルアクチュエータ102が接する支持板22表面に、滑り止めと緩衝とを兼ねたゴムシートを貼り付けておくようにしてもよい。なお、搬送時とりわけ段差を乗り越える際などのペダルアクチュエータ102の保持をより確実とするために、積載したペダルアクチュエータ102を図示しないベルトによって支持板22に締め付けておくようにしてもよい。
【0036】
トランスミッションアクチュエータユニット103は、トランスミッションアクチュエータ支持台28の上に積載される。図示例のトランスミッションアクチュエータユニット103は、シフトレバーを車両幅方向に沿って操作(いわゆるセレクト操作)するセレクト用アクチュエータ111と、シフトレバーを車両前後方向に沿って操作(いわゆるシフト操作)するシフト用アクチュエータ112と、を組み合わせた構成となっている。詳しくは、シフトレバー頭部のノブないしグリップを把持するグリップハンド113がシフト用アクチュエータ112のロッド112a先端に設けられており、このシフト用アクチュエータ112全体がセレクト用アクチュエータ111によって左右に移動するように構成されている。そして、セレクト用アクチュエータ111を支持するベースプレート103aに、詳細には図示しないが、本体部101の支持台115(図1図7参照)上にトランスミッションアクチュエータユニット103を固定するためのロック機構114が設けられており、キャリア1に積載した状態では、このロック機構114を利用してトランスミッションアクチュエータユニット103がトランスミッションアクチュエータ支持台28に固定される。
【0037】
ロック機構114は、例えばロックピンを手指で90°ないし180°回転することでロックされる形式であり、ロックピンに対応するグロメットがトランスミッションアクチュエータ支持台28に設けられている。なお、本発明のキャリア1においては、トランスミッションアクチュエータ支持台28に積載したトランスミッションアクチュエータユニット103のロック機構は必須のものではなく、また、他の適当な形式のロック機構を利用してもよい。
【0038】
キャリア1の縦フレーム部材5aと第2縦フレーム部材5eとの間のスペースには、シート100の背面に配置されてストラップ105による締め付け荷重を受けるためのリテーナ106(図7参照)を積載することが可能である。
【0039】
上記実施例のキャリア1は、上記のように車両自動運転装置の構成要素を積載した状態で、作業員が押したり引いたりして例えば車両試験室内で自由に移動させることが可能である。図1図3に示したように、中央フレーム5を挟んで背中合わせとなるように本体部101とペダルアクチュエータ102とが積載されるため、上方から見たときの投影面積ないし接地面積が小さくなる。そのため、例えばシャシダイナモメータを備えた車両試験室内での取り回しが良好となる。
【0040】
また、本体部101と、ペダルアクチュエータ102ならびにトランスミッションアクチュエータユニット103とが、背中合わせに配置されることで、キャリア1を180°反転させて各々の車両への取付・取り外し作業を行うことができ、作業性が向上する。例えば、車両への取付作業においては、図7の説明図に示すように、最初に本体部101をキャリア1から下ろし、シート100にセットすることとなる。このとき、図7のように、キャリア1の第1の区画11が車両のドア開口部ならびに作業員の方に向いた姿勢としておくことで、作業員が本体部101を持ってシート100上まで動かす距離が最短となる。しかも、本体部101はキャリア1上で極端に高い位置に積載されずに、シート100と同程度の高さ位置に積載されるので、重量物である本体部101の取り扱いが容易となる。
【0041】
本体部101をシート100上にセットした後にペダルアクチュエータ102を本体部101前端部に接続し、かつトランスミッションアクチュエータユニット103を本体部101上に取り付けることになるが、このときには、図8の説明図に示すように、図7の状態からキャリア1の向きを180°反転させて、キャリア1の第2の区画12が車両のドア開口部ならびに作業員の方に向いた姿勢とすることができる。これにより、ペダルアクチュエータ102やトランスミッションアクチュエータユニット103の取付作業が容易となる。
【0042】
車両からの取り外し作業の際には逆の順序となり、トランスミッションアクチュエータユニット103およびペダルアクチュエータ102を取り外してキャリア1に積載した後、キャリア1の向きを180°反転させた状態で、本体部101をシート100から取り外してキャリア1に積載することができる。いずれも近い位置で作業を行うことができる。
【0043】
以上、この発明の一実施例を説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、積載される車両自動運転装置は、図示例の構成に限られず、また、キャリア1の細部は、積載される車両自動運転装置の構成に対応して適宜に変更され得る。
【符号の説明】
【0044】
1…キャリア
2…底部フレーム
3…キャスタ
5…中央フレーム
11…第1の区画
12…第2の区画
14…ブロック状部材
15…切欠部
21…ペダルアクチュエータ支持部
22…支持板
23…位置決めピン
28…トランスミッションアクチュエータ支持台
100…シート
101…本体部
102…ペダルアクチュエータ
103…トランスミッションアクチュエータユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8