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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116465
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】発泡ブロー成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20240821BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20240821BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
C08J9/12 CES
B29C49/04
B29C44/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022099
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】100126413
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 太亮
(72)【発明者】
【氏名】五味渕 正浩
(72)【発明者】
【氏名】奥田 匡保
【テーマコード(参考)】
4F074
4F208
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA20
4F074AA24
4F074AA24B
4F074AA98
4F074AB01
4F074AB03
4F074AB05
4F074BA32
4F074BC12
4F074CA22
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA12
4F074DA23
4F074DA24
4F074DA35
4F208AA07
4F208AA11
4F208AA50
4F208AG07
4F208AG20
4F208AP14
4F208LA01
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG04
4F208LG11
4F208LG24
4F208LJ09
4F214AA07
4F214AA11
4F214AA50
4F214AG07
4F214AG20
4F214AP14
4F214UA17
4F214UA29
4F214UB01
4F214UC02
4F214UG03
4F214UG10
4F214UG22
4F214UJ09
(57)【要約】
【課題】 発泡ブロー成形体の製造過程で回収された回収原料を用いても耐寒衝撃性に優れ、良好に賦形された発泡ブロー成形体を製造することができる、発泡ブロー成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】
ポリプロピレン系樹脂発泡パリソンをブロー成形して発泡ブロー成形体を製造する方法であって、前記発泡パリソンは、分岐状ホモポリプロピレンAである樹脂Aと、直鎖状ブロックポリプロピレンBである樹脂Bと、低密度ポリエチレンCである樹脂Cと、回収原料Dとを押出機に供給し、ダイから押出発泡させることで形成される。前記樹脂Bとして、メルトフローレイトが特定の比となるブロックポリプロピレンB1とブロックポリプロピレンB2とが特定の配合量の比率で用いられ、前記樹脂Aの配合量と前記樹脂Bの配合量と前記樹脂Cの配合量と、前記回収原料Dの配合量との比が特定の範囲であり、樹脂A、樹脂B及び樹脂Cのそれぞれに由来する成分の配合量が特定の範囲となっている。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂発泡パリソンをブロー成形して発泡ブロー成形体を製造する方法であって、
前記発泡パリソンは、分岐状ホモポリプロピレンAと、直鎖状ブロックポリプロピレンBと、低密度ポリエチレンCと、発泡ブロー成形体の製造過程で回収され、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分A、直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分B及び低密度ポリエチレンCに由来する成分Cを含む回収原料Dとを溶融混練してなる発泡性樹脂溶融物をダイから押出発泡させることで形成され、
前記直鎖状ブロックポリプロピレンBとして、
230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが10g/10min以上16g/10min以下であるブロックポリプロピレンB1と、
230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが16g/10minを超え、40g/10min以下であるブロックポリプロピレンB2と、を用い、
前記ブロックポリプロピレンB1の前記メルトフローレイトに対する前記ブロックポリプロピレンB2の前記メルトフローレイトの比が1.5以上であり、
前記ブロックポリプロピレンB1の配合量に対する前記ブロックポリプロピレンB2の配合量の比が0.1以上10以下であり、
前記分岐状ホモポリプロピレンAの配合量と前記直鎖状ブロックポリプロピレンBの配合量と前記低密度ポリエチレンCの配合量との合計WA+B+Cと、前記回収原料Dの配合量Wとの比WA+B+C:Wが40:60~5:95であり、
前記分岐状ホモポリプロピレンAの配合量と前記成分Aの配合量との合計WA+ARが10質量部以上30質量部以下であり、前記直鎖状ブロックポリプロピレンBの配合量と前記成分Bの配合量との合計WB+BRが40質量部以上70質量部以下であり、且つ、前記低密度ポリエチレンCの配合量と前記成分Cの配合量との合計WC+CRが10質量部以上30質量部以下である(ただし、前記WA+ARと前記WB+BRと前記WC+CRとの合計を100質量部とする)、発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項2】
前記回収原料Dの230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが10g/10min以上25g/10min以下である、請求項1に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項3】
前記直鎖状ブロックポリプロピレンBの230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが15g/10min以上30g/10min以下である、請求項1または2に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項4】
前記ブロックポリプロピレンB1の230℃における溶融張力が1mN以上30mN以下であり、前記ブロックポリプロピレンB2の230℃における溶融張力が1mN以上30mN以下である、請求項1または2に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項5】
前記低密度ポリエチレンCの190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが0.2g/10min以上20g/10min以下である、請求項1または2に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
【請求項6】
前記発泡ブロー成形体の密度が0.1~0.5g/cmである、請求項1または2に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡ブロー成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡性樹脂溶融物を押出発泡させてなる発泡パリソンを賦形してなる発泡ブロー成形体が知られている。発泡ブロー成形体の中でも、ポリプロピレン系樹脂を樹脂原料として用いた中空状の成形体は、軽量であると共に、剛性等に優れる観点から、例えば、自動車等における空調ダクト等の様々な用途で使用されている。
【0003】
発泡ブロー成形体については、近年では、軽量性を維持又は向上させつつ、耐寒衝撃性を向上させたものが求められている。なお、耐寒衝撃性とは、低温時における発泡ブロー成形体の衝撃に対する耐久性を示す。発泡ブロー成形体の耐寒衝撃性を向上させるために、例えば特許文献1には、プロピレンブロックコポリマー及び低密度ポリエチレンを特定量配合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-116804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、発泡ブロー成形体の製造方法では、発泡ブロー成形体の原料の一部又は全部として、発泡ブロー成形体の製造過程で生じる発泡パリソンのバリ等を回収して再原料化した回収原料を利用することが要請されている。しかしながら、回収原料を使用しつつ、耐寒衝撃性が良好な発泡ブロー成形体を製造しようとすると、発泡パリソンのブロー成形性が低下しやすく、良好に賦形された発泡ブロー成形体を製造することが困難となるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、発泡ブロー成形体の製造過程で回収された回収原料を用いても耐寒衝撃性に優れ、良好に賦形された発泡ブロー成形体を製造することができる、発泡ブロー成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)から(6)に示す発明を要旨とする。
【0008】
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡パリソンをブロー成形して発泡ブロー成形体を製造する方法であって、
前記発泡パリソンは、分岐状ホモポリプロピレンAと、直鎖状ブロックポリプロピレンBと、低密度ポリエチレンCと、発泡ブロー成形体の製造過程で回収され、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分A、直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分B及び低密度ポリエチレンCに由来する成分Cを含む回収原料Dとを溶融混練してなる発泡性樹脂溶融物をダイから押出発泡させることで形成され、
前記直鎖状ブロックポリプロピレンBとして、
230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが10g/10min以上16g/10min以下であるブロックポリプロピレンB1と、
230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが16g/10minを超え、40g/10min以下であるブロックポリプロピレンB2と、を用い、
前記ブロックポリプロピレンB1の前記メルトフローレイトに対する前記ブロックポリプロピレンB2の前記メルトフローレイトの比が1.5以上であり、
前記ブロックポリプロピレンB1の配合量に対する前記ブロックポリプロピレンB2の配合量の比が0.1以上10以下であり、
前記分岐状ホモポリプロピレンAの配合量と前記直鎖状ブロックポリプロピレンBの配合量と前記低密度ポリエチレンCの配合量との合計WA+B+Cと、前記回収原料Dの配合量Wとの比WA+B+C:Wが40:60~5:95であり、
前記分岐状ホモポリプロピレンAの配合量と前記成分Aの配合量との合計WA+ARが10質量部以上30質量部以下であり、前記直鎖状ブロックポリプロピレンBの配合量と前記成分Bの配合量との合計WB+BRが40質量部以上70質量部以下であり、且つ、前記低密度ポリエチレンCの配合量と前記成分Cの配合量との合計WC+CRが10質量部以上30質量部以下である(ただし、前記WA+ARと前記WB+BRと前記WC+CRとの合計を100質量部とする)、発泡ブロー成形体の製造方法。
(2)前記回収原料Dの230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが10g/10min以上25g/10min以下である、上記(1)に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
(3)前記直鎖状ブロックポリプロピレンBの230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが15g/10min以上30g/10min以下である、上記(1)または(2)に記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
(4)前記ブロックポリプロピレンB1の230℃における溶融張力が1mN以上30mN以下であり、前記ブロックポリプロピレンB2の230℃における溶融張力が1mN以上30mN以下である、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
(5)前記低密度ポリエチレンCの190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが0.2g/10min以上20g/10min以下である、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
(6)前記発泡ブロー成形体の密度が0.1~0.5g/cmである、上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の発泡ブロー成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発泡ブロー成形体の製造過程で回収された回収原料を用いても耐寒衝撃性に優れ、良好に賦形された発泡ブロー成形体を製造することができる、発泡ブロー成形体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の一例について以下に説明する。なお、本発明は、以下に説明する形態等に限定されない。
【0011】
[1 発泡ブロー成形体の製造方法]
本発明は、発泡ブロー成形体の製造方法であり、詳しくは発泡パリソンに対してブロー成形工程を行って発泡ブロー成形体を製造する方法である。本発明にかかる発泡ブロー成形体の製造方法の一実施例について説明を続ける。
【0012】
[1-1 発泡ブロー成形体の製造方法の内容]
(押出発泡工程)
発泡パリソンは、樹脂原料を溶融混練してなる発泡性樹脂溶融物をダイから押出発泡させることで形成される。なお、発泡性樹脂溶融物には、発泡剤が含まれる。発泡ブロー成形体の製造方法を実施する装置には、樹脂原料を供給されることの可能な押出機が備えられている。押出機に供給された樹脂原料を構成する各種の樹脂が溶融混練されることで樹脂溶融物が形成され、該樹脂溶融物に発泡剤が添加されてさらに混練されることで発泡性樹脂溶融物が得られる。得られた発泡性樹脂溶融物は、押出機に繋げられたダイから押し出される。このとき、押出機とダイとの間には、アキュームレータが設けられていてもよい。この場合、発泡性樹脂溶融物はアキュームレータに充填された後、ダイから押し出される。押出機に供給された樹脂原料がダイから押出発泡され、発泡パリソンが形成される。このとき形成される発泡パリソンは、例えば筒状の発泡パリソンであってもよく、シート状の発泡パリソンであってもよい。筒状の発泡パリソンを形成する場合には、ダイとして、例えば、環状ダイを用いることができる。ダイの直下には成形型が配置されており、成形型は、得ようとする成形体の形状に応じた成形空間(金型キャビティ)を形成できるように構成される。成形型は、通常、分割形式の一対の金型(分割成形型)となっている。
【0013】
(プリブロー工程)
発泡パリソンは、押出発泡工程の直後では軟化状態にある。ピンチなどを用いて軟化状態の発泡パリソンの下部を閉鎖し、発泡パリソンの中空部に気体を吹き込むことで発泡パリソンの中空部の圧力を高める。このとき発泡パリソンが拡幅される。プリブロー工程の中で又はプリブロー工程の後に、成形型が型締めされ、発泡パリソンが成形型間に挟み込まれる。なお、プリブロー工程においては、発泡パリソンをピンチする前や、発泡パリソンをピンチした後、成形型が型締めされるまでに、発泡パリソン上部の内周面に気体を吹き付けて発泡パリソンを拡幅してもよい。
【0014】
(ブロー成形工程)
ブロー成形工程は、発泡パリソンをブロー成形する工程であり、より詳しくは、発泡パリソンを成形型間(金型キャビティ)に挟み込んだ状態で発泡パリソンの中空部に気体を吹き込み、発泡パリソンを賦形する工程である。なお、発泡パリソンの外面が成形型の内面に押し付けられることで、発泡パリソンが成形型のキャビティ形状(金型キャビティ形状)に賦形される。このようなブロー成形工程により中空状の発泡ブロー成形体が形成される。発泡ブロー成形体の製造方法においては、アキュームレータが押出機とダイとの間、またはダイに設けられることが好ましい。
【0015】
なお、発泡ブロー成形体の製造において、発泡パリソンが分割成形型に挟み込まれる際に、発泡パリソンの成形キャビティの周縁部により挟み込まれる部分は、パリソンの対向する内面同士で融着してピンチオフ部となる。このピンチオフ部から外側がバリと呼ばれる余剰部分となり、最終的にこのバリが取り除かれることにより、発泡ブロー成形体製品等となる。
【0016】
本発明において、発泡パリソンは、ポリプロピレン系樹脂発泡パリソンである。ポリプロピレン系樹脂発泡パリソンとは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする発泡パリソンを示すものとする。ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を50質量%以上の比率で有する重合体を示すものとする。本発明において、発泡パリソンを構成するポリプロピレン系樹脂の成分としては、後述する分岐状ホモポリプロピレン(分岐状h-PP)Aと直鎖状ブロックポリプロピレン(直鎖状b-PP)B等が含まれる。「ポリプロピレン系樹脂を主成分とする」とは、発泡パリソン中のポリプロピレン系樹脂の質量割合が50質量%以上であることを意味し、好ましくは60質量%以上である。
【0017】
(樹脂原料の構成)
押出発泡工程において、発泡性樹脂溶融物の樹脂成分を形成するために押出機に供給される樹脂原料は、分岐状ホモポリプロピレンAと直鎖状ブロックポリプロピレンBと低密度ポリエチレンCと回収原料Dとを含む。このように押出機に供給される樹脂原料が発泡パリソンを構成する樹脂成分となる。
【0018】
回収原料Dとしては、例えば分岐状ホモポリプロピレンAと直鎖状ブロックポリプロピレンBと低密度ポリエチレンCに由来する成分を含むポリプロピレン系樹脂組成物を用いることができる。なお、ポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする組成物を意味する。具体的には、ポリプロピレン系樹脂組成物は、組成物中のポリプロピレン系樹脂の質量割合が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、押出発泡工程では発泡性樹脂溶融物の樹脂成分を構成するために、分岐状ホモポリプロピレンAと直鎖状ブロックポリプロピレンBと低密度ポリエチレンCと回収原料Dとが特定の割合で配合される。
【0019】
なお、以下では、分岐状ホモポリプロピレンAを、説明の便宜上、樹脂Aと称呼する場合がある。また、このことと同様に、説明の便宜上、直鎖状ブロックポリプロピレンBと低密度ポリエチレンCを、それぞれ樹脂B、樹脂Cと称呼する場合がある。
【0020】
本明細書において、回収原料Dに含まれる成分とは区別して新たに押出機に投入される原料(新規使用原料と称呼する場合がある)としての樹脂Aを、新規使用原料としての樹脂A等と称呼する場合があり、このことは樹脂B及び樹脂Cについても同様である。また、新規使用原料としての分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂A)を分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂A)と称呼する場合があり、樹脂B、樹脂Cについても同様に、新規使用原料としての直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂B)を直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂B)と称呼する場合があり、と新規使用原料としての低密度ポリエチレンC(樹脂C)を低密度ポリエチレンC(樹脂C)と称呼する場合がある。
【0021】
本明細書において、樹脂原料として用いられる分岐状ホモポリプロピレンAと直鎖状ブロックポリプロピレンBと低密度ポリエチレンCは、回収原料Dの構成成分であることを明示しない限り、新たに押出機に投入される原料(新規使用原料と称呼する場合がある)の状態における内容及び性質を示すものとする。このことは後述するブロックポリプロピレンB1とブロックポリプロピレンB2についても同様である。
【0022】
(分岐状ホモポリプロピレンA)
樹脂原料として用いられる分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂A)は、ポリプロピレン系樹脂のうち、分子構造中に分岐構造を有するホモポリプロピレンである。分岐状ホモポリプロピレンAの分岐構造としては、分子構造中における枝分かれした部分且つ長鎖状構造部分で自由末端を有する構造部分を例示することができる。なお、分岐構造の確認は高温GPC-MALS測定等を用いて確認することができる。
【0023】
樹脂Aの具体例としては、ボレアリス社製の分岐状ホモポリプロピレン(商品名:WB130、WB135、WB140)、サンアロマー社製の分岐状ホモポリプロピレン(商品名:PF814)等が挙げられる。
【0024】
(溶融張力)
樹脂Aの230℃における溶融張力は、100mN以上であることが好ましい。樹脂Aの溶融張力がこの範囲であることで、発泡性樹脂溶融物の押出発泡性を高めることができると共に、発泡パリソンを良好に拡幅させつつ、発泡パリソンのドローダウンを安定して抑制することができ、良好な発泡ブロー成形体を安定して得ることができる。この観点では、樹脂Aの溶融張力は、好ましくは120mN以上であり、より好ましくは150mN以上である。なお、樹脂Aの溶融張力の上限については、好ましくは500mN、より好ましくは450mNである。溶融張力は、たとえば、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1D等を用いて、所定の条件で吐出された溶融樹脂(230℃)のストランドを、プーリー上のロードセルを介して、所定の加速度で引き取り速度を増加させつつ引き取った際に、ストランドが破断する直前のロードセルに加わる荷重値(張力)を測定することで求めることができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0025】
分岐状ポリプロピレンは、通常、直鎖状ポリプロピレンに対して高い溶融張力を有するため、例えば、230℃における溶融張力が100mN以上であるような高い溶融張力を有するポリプロピレン系樹脂は、分岐構造を有すると判断できる。
【0026】
本明細書においては、説明の便宜上、230℃における溶融張力を溶融張力(230℃)と称呼する。また、本明細書においては、説明の便宜上、溶融張力をMTと称呼する場合がある。
【0027】
(メルトフローレイト)
樹脂Aの230℃、荷重2.16kgの条件にて測定されるメルトフローレイトは0.1g/10min以上15g/10min以下であることが好ましい。前記メルトフローレイトが上記範囲内であれば、樹脂の溶融時の流動性を適度に高め、発泡パリソンの拡幅性を高めつつ、発泡パリソンのドローダウンを安定して抑制することができる。樹脂の溶融時の流動性を高め、発泡パリソンの拡幅性や賦形性を安定して高める観点からは、樹脂Aのメルトフローレイトは、好ましくは0.5g/10min以上であり、より好ましくは1g/10min以上である。発泡パリソンのドローダウンを安定して抑制できる観点からは、樹脂Aのメルトフローレイトは、好ましくは10g/10min以下であり、より好ましくは5g/10min以下である。なお、前記樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K7210-1:2014(試験方法A法)に基づき測定することができる。
【0028】
本明細書においては、230℃、荷重2.16kgの条件にて測定されるメルトフローレイトをメルトフローレイト(230℃、荷重2.16kg)と称呼する。また、本明細書においては、説明の便宜上、メルトフローレイトをMFRと称呼する場合がある。
【0029】
(融点)
樹脂Aの融点は、150℃以上165℃以下であることが好ましい。樹脂Aの融点がこの範囲にあることで、発泡性樹脂溶融物の押出発泡性を高めつつ、得られるブロー成形体の剛性や耐熱性を高めやすくなる。
【0030】
樹脂Aの融点は、JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定により求められる融解ピーク温度を意味する。試験片の状態調節として、「(2)一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」を採用し、このときの冷却速度として毎分10℃を採用する。融解温度を測定する際の加熱速度として毎分10℃を採用する。なお、融解ピークが2つ以上現れる場合は、ベースラインから融解ピークの頂点までのピーク高さが最も高い融解ピークの頂点の温度を融点とする。
【0031】
分岐状ホモポリプロピレンAは、押出発泡性に優れると共に、軟化時において適度に伸びやすく、また破断しにくいため、発泡性樹脂溶融物が分岐状ホモポリプロピレンAを含むことで、発泡パリソン形成時の発泡性樹脂溶融物の押出発泡性を高めることができると共に、発泡パリソンの耐ドローダウン性を向上させつつ、発泡パリソンの拡幅性や賦形性を向上させることができる。そして、樹脂原料が分岐状ホモポリプロピレンAを含むことで、軽量であると共に、発泡ブロー成形体の内面状態や、外観に優れる発泡ブロー成形体を得ることが容易となる。
【0032】
(直鎖状ブロックポリプロピレンB)
直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂B)は、直鎖状の分子構造を有するブロックポリプロピレンである。ブロックポリプロピレンとしては、プロピレン重合体の存在下、エチレンと1種類以上のC3~C10-αオレフィン(炭素数が3から10のα-オレフィン)を重合して得た重合混合物が挙げられ、JIS K6921-1で規定される耐衝撃性ポリプロピレンポリマーを含み、一般にブロックポリプロピレンとして市販されているものを含む。ただし、ここに示すブロックポリプロピレンの例は一例であり、他の例を排除するものではない。具体的には、ブロックポリプロピレンは、プロピレン・エチレンブロック共重合体を例示することができる。さらに具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶性のプロピレンブロックと、エチレンプロピレンランダムブロックを含有するブロック共重合体が挙げられる。直鎖状ブロックポリプロピレンとしては、一般にブロックポリプロピレンとして市販されている、ポリプロピレン系樹脂中にエチレン-プロピレン系ラバーを含むゴム状体が分散したブロックポリプロピレンを用いることが好ましい。なお、エチレンプロピレン系ラバーとは、エチレン成分とプロピレン成分とを含むエチレンプロピレン系共重合体から構成されるゴム状の物質であり、例えば、エチレンとプロピレンとの共重合体(EPM)が挙げられる。また、エチレンプロピレン系ラバーは、前述した作用効果を損なわない範囲において、ジエン等の、エチレン及びプロピレン以外のモノマーに由来する成分を含むエチレンプロピレン系共重合体(例えばEPDM)であってもよい。また、前記ゴム状体には、ポリエチレン系樹脂が含まれていてもよい。
【0033】
樹脂原料として用いられる樹脂Bとして、互いに少なくともメルトフローレイトの異なるブロックポリプロピレンB1とブロックポリプロピレンB2が用いられる。なお、ブロックポリプロピレンB1、ブロックポリプロピレンB2、及び樹脂Bのそれぞれのメルトフローレイト(MFR)は、上述した樹脂Aの説明において述べたように、JIS K7210-1:2014(試験方法A法)に基づき測定することができる。本明細書においては、説明の便宜上、ブロックポリプロピレンB1とブロックポリプロピレンB2を、それぞれ樹脂B1、樹脂B2と称呼する場合がある。また、樹脂A等について上述したことと同様に、新規使用原料としてのブロックポリプロピレンB1(樹脂B1)をブロックポリプロピレンB1(樹脂B1)と称呼する場合があり、新規使用原料としてのブロックポリプロピレンB2(樹脂B2)をブロックポリプロピレンB2(樹脂B2)と称呼する場合がある。
【0034】
(ブロックポリプロピレンB1)
ブロックポリプロピレンB1は、230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが10g/10min以上16g/10min以下である、直鎖状の分子構造を有するブロックポリプロピレンである。
【0035】
(ブロックポリプロピレンB2)
ブロックポリプロピレンB2は、230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイトが16g/10minを超え、40g/10min以下である、直鎖状の分子構造を有するブロックポリプロピレンである。なお、樹脂B1のMFRよりも樹脂B2のMFRのほうが高い値となる。
【0036】
樹脂Bが樹脂B1を含むことで、得られる発泡ブロー成形体の耐衝撃性を高めつつ、発泡パリソンのドローダウンを抑制することができる。また、樹脂Bが樹脂B2を含むことで発泡性樹脂溶融物の流動性を適度に高め、プリブロー工程における発泡パリソンの拡幅性やブロー成形工程における発泡パリソンの賦形性を高めることができる。
【0037】
(樹脂B1と樹脂B2のMFRの比)
樹脂Bでは、ブロックポリプロピレンB1のメルトフローレイト(樹脂B1のMFR)に対するブロックポリプロピレンB2のメルトフローレイト(樹脂B2のMFR)の比((樹脂B2のMFRの値)/(樹脂B1のMFRの値))が1.5以上であることが好ましい。(樹脂B2のMFRの値)/(樹脂B1のMFRの値)の値がこの数値範囲にあることで、発泡パリソンの拡幅性が高められると共に、発泡パリソンを良好に賦形することが容易となる。このような効果の観点からは、(樹脂B2のMFRの値)/(樹脂B1のMFRの値)の値は、より好ましくは1.6g/10min以上であり、さらに好ましくは1.8g/10min以上である。なお、(樹脂B2のMFRの値)/(樹脂B1のMFRの値)の上限は4g/10minであり、より好ましくは3g/10minである。
【0038】
樹脂B1として、2種類以上の樹脂を使用する場合には、樹脂B1として押出機に供給されるそれぞれの樹脂のMFRの荷重平均値を、樹脂B1のMFRとする。例えば、樹脂B1が、樹脂として互いに異なる第1の樹脂と第2の樹脂を併用したものである場合、第1の樹脂のMFRと第2の樹脂のMFRを用いて第1の樹脂と第2の樹脂の質量比率で重み付けした荷重平均値が樹脂B1のMFRであるものとする。同様に、樹脂B2として、2種類以上の樹脂を使用する場合には、樹脂B2として押出機に供給されるそれぞれの樹脂のMFRの荷重平均を、樹脂B2のMFRとする。
【0039】
(樹脂B1と樹脂B2の配合比)
樹脂Bでは、ブロックポリプロピレンB1の配合量(WB1とする)(質量部)に対するブロックポリプロピレンB2の配合量(WB2とする)(質量部)の比(WB2/WB1)が0.1以上10以下であることが好ましい。(WB2/WB1)の値がこの数値範囲にあることで、発泡パリソンの拡幅性や賦形性が良好となると共に、耐衝撃性に優れる発泡ブロー成形体を得ることが容易となる。このような効果の観点からは、(WB2/WB1)の値は、より好ましくは0.2以上6以下である。
【0040】
なお、樹脂B1として、2種類以上の樹脂を使用する場合には、樹脂B1として押出機に供給されるそれぞれの樹脂の配合量の合計を、樹脂B1の配合量(質量部)とする。同様に、樹脂B2として、2種類以上の樹脂を使用する場合には、樹脂B2として押出機に供給されるそれぞれの樹脂の配合量の合計を、樹脂B2の配合量(質量部)とする。
【0041】
(樹脂Bのメルトフローレイト)
樹脂Bの230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイト(樹脂BのMFR(230℃、荷重2.16kg))が15g/10min以上30g/10min以下であることが好ましい。樹脂BのMFR(230℃、荷重2.16kg)の値がこの数値範囲にあることで、発泡パリソンのブロー成形性を安定して高めることができる。このような効果の観点からは、樹脂BのMFR(230℃、荷重2.16kg)の値は、より好ましくは16g/10min以上28g/10min以下である。なお、樹脂Bのメルトフローレイトは、樹脂B1のメルトフローレイトと、樹脂B2のメルトフローレイトとの荷重平均値として算出される値である。したがって、樹脂B1のMFRと樹脂B2のMFRを用いて樹脂B1と樹脂B2の質量比率で重み付けした荷重平均値が、樹脂BのMFRとして特定される。
【0042】
(樹脂B1と樹脂B2の溶融張力)
樹脂Bでは、ブロックポリプロピレンB1の230℃における溶融張力(樹脂B1のMT)が1mN以上30mN以下であることが好ましく、また、ブロックポリプロピレンB2の230℃における溶融張力(樹脂B2のMT)が1mN以上30mN以下であることが好ましい。樹脂B1と樹脂B2の溶融張力の値がこの数値範囲にあることで、発泡パリソンのブロー成形性を良好とすることが容易となる。発泡パリソンの拡幅性を高めやすくなる観点からは、樹脂B1のMT及び樹脂B2のMTの値は、より好ましくは、それぞれ20mN以下であり、それぞれ10mN以下である。なお、樹脂B1のMT及び樹脂B2のMTの値は、測定試料として樹脂B1あるいは樹脂B2を用いること以外は、樹脂Aの溶融張力の場合と同じ方法で測定することができる。
【0043】
(樹脂B1と樹脂B2の融点)
樹脂B1の融点(℃)は、150℃以上165℃以下であることが好ましく、また樹脂B2の融点(℃)は、150℃以上165℃以下であることが好ましい。樹脂B1及び樹脂B2の融点がこの範囲にあることで、得られるブロー成形体の剛性や耐熱性を高めやすくなる。樹脂B1、B2の融点は、測定試料として樹脂B1あるいは樹脂B2を用いること以外は、樹脂Aの融点の場合と同じ方法で測定することができる。
【0044】
(樹脂B1と樹脂B2の融点差)
発泡性樹脂溶融物の形成時に、樹脂B1と樹脂B2とを良好に混合させやすくなる観点からは、樹脂B1の融点と、樹脂B2の融点との差(樹脂B1の融点-樹脂B2の融点)は-5℃以上5℃以下であることが好ましい。
【0045】
(樹脂Aと樹脂B1の融点差、及び樹脂Aと樹脂B2の融点差)
良好な押出発泡性を有する発泡性樹脂溶融物を安定して形成することができる観点や、良好な拡幅性や賦形性を有する発泡パリソンを安定して形成することができる観点からは、樹脂Aの融点と、樹脂B1の融点との差(樹脂Aの融点-樹脂B1の融点)は-10℃以上0℃以下であることが好ましい。また、同様の観点から、樹脂Aの融点と、樹脂B2の融点との差(樹脂Aの融点-樹脂B2の融点)は-10℃以上0℃以下であることが好ましい。
【0046】
(樹脂Aと樹脂B1の結晶化温度差、及び樹脂Aと樹脂B2の結晶化温度差)
良好な拡幅性や賦形性を有する発泡パリソンを安定して形成することができる観点からは、樹脂Aの結晶化温度と、樹脂B1の結晶化温度との差(樹脂Aの結晶化温度-樹脂B1の結晶化温度)は-15℃以上10℃以下であることが好ましい。また、これと同様の観点から、樹脂Aの結晶化温度と、樹脂B2の結晶化温度との差(樹脂Aの結晶化温度-樹脂B2の結晶化温度)は-10℃以上15℃以下であることが好ましい。
【0047】
樹脂A、樹脂B1、樹脂B2の結晶化温度(℃)は、JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定により求められる結晶化ピーク温度を意味する。なお、熱流束示差走査熱量測定において、冷却速度としては毎分10℃を採用する。なお、結晶化ピークが2つ以上現れる場合には、ベースラインから結晶化ピークの頂点までのピーク高さが最も高い結晶化ピークの頂点の温度を結晶化温度とする。
【0048】
(低密度ポリエチレンC)
低密度ポリエチレンC(樹脂C)は、長鎖分岐構造を有し、密度が910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレンを示す。また、本明細書においては、説明の便宜上、低密度ポリエチレンをLDPEと称呼する場合がある。発泡パリソンを形成するために供給される樹脂原料に低密度ポリエチレンCが含まれることにより、得られる発泡パリソンから形成される発泡ブロー成形体は低温環境下における耐衝撃性に優れるものとなる。
【0049】
(樹脂Cのメルトフローレイト)
樹脂Cの190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイト(樹脂CのMFR)は、0.2g/10min以上20g/10min以下であることが好ましい。樹脂CのMFRの値がこの数値範囲にあることで、発泡パリソンのブロー成形性を良好とすることが容易となる。このような効果を高めると共に、より独立気泡率の高い発泡ブロー成形体を得やすくなる観点からは、樹脂CのMFRの値は、より好ましくは1g/10min以上18g/10min以下であり、さらに好ましくは2g/10min以上16g/10min以下である。樹脂CのMFRは、上述した樹脂Aや樹脂Bの説明において述べたように、JIS K7210-1:2014(試験方法A法)に基づき測定することができる。
【0050】
(回収原料D)
回収原料Dは、発泡ブロー成形体の製造過程で回収された回収物である。即ち、回収原料Dは、本発明にかかる発泡ブロー成形体の製造方法を構成する各工程において発生する端材である。端材としては、例えば、発泡押出工程で生じた樹脂原料の余り物質、プリブロー工程やブロー成形工程で生じたバリなどの副産物、ブロー成形工程で得られた成形体製品のうち不良品と判断されたもの等が挙げられる。端材は、回収された後、必要に応じ、破砕、混練、リペレット化およびそれらの組み合わせから選ばれる適宜の処理に付されたものであってもよい。
【0051】
したがって、回収原料Dは、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分A、直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分B及び低密度ポリエチレンCに由来する成分Cを含むものである。なお、回収原料Dを構成する成分を示す場合における分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分Aの文言は、押出機により少なくとも1回混練された分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分であり、この点において樹脂原料を構成するために新たに押出機に投入される新規使用原料としての分岐状ホモポリプロピレンAとは異なる。このことは、回収原料Dを構成する成分を示す場合における直鎖状ブロックポリプロピレンB及び低密度ポリエチレンCについても同様であり、いずれについても、回収原料Dを構成する成分を示す場合には、それぞれ押出機により少なくとも1回混練された直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分B及び低密度ポリエチレンCに由来する成分Cを示す。
【0052】
したがって、回収原料Dを構成する成分としての「分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分A」とは、少なくとも1回は、発泡ブロー成形体の製造工程のうち少なくとも途中までの工程(少なくとも押出機にて溶融混練される工程)を経た分岐状ホモポリプロピレンAから形成される成分を意味する。回収原料Dを構成する成分としての「直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分B」についても、分岐状ホモポリプロピレンAの場合と同様に、少なくとも1回は、発泡ブロー成形体の製造工程のうち少なくとも途中までの工程を経た直鎖状ブロックポリプロピレンBから形成される成分を意味する。また、回収原料Dを構成する成分としての「低密度ポリエチレンCに由来する成分C」についても、分岐状ホモポリプロピレンAの場合と同様に、少なくとも1回は、発泡ブロー成形体の製造工程のうち少なくとも途中までの工程を経た低密度ポリエチレンCから形成される成分を意味する。
【0053】
なお、本明細書においては、回収原料Dを構成する成分の由来となる分岐状ホモポリプロピレンAを、発泡ブロー成形体等の成形体の形成に使用された、使用歴を有する(非新規使用原料の)分岐状ホモポリプロピレンA(非新規使用原料の樹脂A)と称呼し、分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂A)と表記することがある。これと同様に、本明細書においては、回収原料Dを構成する成分の由来となる直鎖状ブロックポリプロピレンBを、非新規使用原料の直鎖状ブロックポリプロピレンB(非新規使用原料の樹脂B)と称呼し、直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂B)と表記することがあり、また、回収原料Dを構成する成分の由来となる低密度ポリエチレンCを、非新規使用原料の低密度ポリエチレンC(非新規使用原料の樹脂C)と称呼し、低密度ポリエチレンC(樹脂C)と表記することがある。なお、回収原料Dを構成する成分の由来となる直鎖状ブロックポリプロピレンBを構成するブロックポリプロピレンB1とブロックポリプロピレンB2は、それぞれ非新規使用原料の直鎖状ブロックポリプロピレンB1、B2(非新規使用原料の樹脂B1、B2)と称呼し、直鎖状ブロックポリプロピレンB1、B2(樹脂B1、B2)と表記することがある。
【0054】
回収原料Dは、発泡ブロー成形体の製造工程で用いられる樹脂原料の少なくとも一部として、再び発泡ブロー成形体の製造に使用される。したがって、本発明においては、発泡ブロー成形体の製造が複数回繰り返し実施されることとなり、所定の発泡ブロー成形体の製造回を基準回として、該基準回で形成される発泡パリソンは、分岐状ホモポリプロピレンAと、直鎖状ブロックポリプロピレンBと、低密度ポリエチレンCと、回収原料Dとを押出機に供給して、ダイから押出発泡させることで形成される。そしてこの際に用いられる回収原料Dは、該基準回よりも前に発泡ブロー成形体の製造に使用された分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂Aとしての分岐状ホモポリプロピレン)に由来する成分Aと、直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂Bとしての直鎖状ブロックポリプロピレン)に由来する成分Bと、低密度ポリエチレンC(樹脂Cとしての低密度ポリエチレン)に由来する成分Cを含むものとなる。樹脂Aとしての分岐状ホモポリプロピレン(非新規使用原料の分岐状ホモポリプロピレンA)は、使用歴を付される前の状態では樹脂Aとしての分岐状ホモポリプロピレン(新規使用原料の分岐状ホモポリプロピレンA)と同種且つ同様の性質(メルトフローレート、融点等)を備える。このことは、樹脂B、樹脂B1、樹脂B2、樹脂Cについても同様である。
【0055】
(回収原料Dのメルトフローレイト)
回収原料Dの230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイト(回収原料DのMFR)が10g/10min以上25g/10min以下であることが好ましい。回収原料DのMFRの値がこの数値範囲にあることで、発泡パリソンのブロー成形性をより安定して高めやすくなる。このような効果の観点からは、回収原料DのMFRの値は、より好ましくは12以上22以下である。回収原料Dのメルトフローレイト(MFR)は、上述した樹脂Aや樹脂B等の説明において述べたようにJIS K7210-1:2014(試験方法A法)に基づき測定することができる。
【0056】
(回収原料Dの溶融張力)
良好な押出発泡性を有する発泡性樹脂溶融物を安定して形成することができる観点や、良好な拡幅性や賦形性を有する発泡パリソンを安定して形成することができる観点からは、回収原料Dの溶融張力(MT)(mN)は、10mN以上であることが好ましく、15mN以上であることがより好ましい。また、その上限は、概ね50mN以下であることが好ましく、40mN以下であることがより好ましく、30mN以下であることがさらに好ましい。
【0057】
回収原料DのMT(mN)の値は、測定試料として回収原料Dを用いること以外は、上述した樹脂Aの溶融張力の場合と同じ方法で測定することができる。
【0058】
(回収原料Dの融点)
回収原料Dの融点(℃)は、155℃以上170℃以下であることが好ましく、160℃以上168℃以下であることがより好ましい。回収原料Dの融点がこの範囲にあることで、得られるブロー成形体の剛性や耐熱性を高めやすくなる。また、良好な押出発泡性を有する発泡性樹脂溶融物を安定して形成しやすくなる。回収原料Dの融点は、測定試料として回収原料Dを用いること以外は、樹脂Aの融点の場合と同じ方法で測定することができる。
【0059】
(回収原料Dの融点と結晶化温度との差)
良好な拡幅性や賦形性を有する発泡パリソンを安定して形成することができる観点からは、回収原料Dの融点(℃)と、回収原料Dの結晶化温度(℃)との差が30℃以上36℃以下であることが好ましい。回収原料Dの結晶化温度は、測定試料として回収原料Dを用いること以外は、樹脂Aの結晶化温度の場合と同じ方法で測定することができる。
【0060】
(回収原料Dにおける樹脂A、樹脂B及び樹脂Cそれぞれに由来する成分の配合割合)
回収原料Dにおける、樹脂Aに由来する成分Aの配合割合が10質量%以上30質量%以下、樹脂Bに由来する成分Bの配合割合が40質量%以上70質量%以下、且つ、樹脂Cに由来する成分Cの配合割合が10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。ただし、樹脂Aに由来する成分Aの配合割合と樹脂Bに由来する成分Bの配合割合と樹脂Cに由来する成分Cの配合割合との合計を100質量%とする。回収原料における樹脂A、樹脂B及び樹脂Cそれぞれに由来する成分の配合割合が、上記の数値範囲となっていることで、発泡パリソンのブロー成形性を良好とすることができると共に、低温での耐衝撃性に優れる発泡ブロー成形体を安定して得ることができる。このような観点から、回収原料Dにおいて、より好ましくは、樹脂Aに由来する成分Aの配合割合が15質量%以上30質量%以下、樹脂Bに由来する成分Bの配合割合が50質量%以上70質量%以下、且つ、樹脂Cに由来する成分Cの配合割合が10質量%以上20質量%以下である。
【0061】
(樹脂原料における樹脂A、樹脂B、樹脂C及び回収原料Dの配合比率)
本発明にかかる発泡ブロー成形体の製造方法においては、分岐状ホモポリプロピレンAの配合量(樹脂Aの配合量W)(質量部)と直鎖状ブロックポリプロピレンBの配合量(樹脂Bの配合量W)(質量部)と前記低密度ポリエチレンCの配合量(樹脂Cの配合量W)(質量部)との合計量(W+W+Wの値)をWA+B+Cとし、回収原料Dの配合量(質量部)をW(配合量W)とした場合に、それらの比(WA+B+C:W)が40:60~5:95である。ただし、樹脂A、樹脂B、樹脂C及び回収原料Dの配合量の合計を100(質量部)とする。このように、樹脂A、樹脂B、樹脂C及び回収原料Dの混合樹脂に占める回収原料Dの比率が大きくなっているが、本発明にかかる発泡ブロー成形体の製造方法によれば、このように回収原料Dの配合比率が高くても良好に賦形された発泡ブロー成形体を得ることができると共に、低温での耐衝撃性に優れる発泡ブロー成形体を安定して得ることができる。
【0062】
(樹脂原料における樹脂Aと樹脂Bの配合比率)
樹脂Aの配合量Wに対する、樹脂Bの配合量Wの比(W/W)が、1以上5以下であることが好ましい。W/Wがこの範囲にあることで、発泡パリソンのブロー成形性を確保しつつ、発泡ブロー成形体の耐衝撃性を安定して高めることができる。この観点からは、W/Wは、より好ましくは、2以上4以下である。
【0063】
(樹脂の配合量及び樹脂に由来する成分の配合量)
発泡パリソンを形成するための発泡性樹脂溶融物は、分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂Aとしての分岐状ホモポリプロピレン)と分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂Aとしての分岐状ホモポリプロピレン)に由来する成分A、直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂Bとしての直鎖状ブロックポリプロピレン)と直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂Bとしての直鎖状ブロックポリプロピレン)に由来する成分B及び低密度ポリエチレンC(樹脂Cとしての低密度ポリエチレン)と低密度ポリエチレンC(樹脂Cとしての低密度ポリエチレン)に由来する成分Cが溶融混練されてなる。なお、樹脂Bは樹脂B1と樹脂B2を含み、樹脂Bは樹脂B1と樹脂B2を含む。
【0064】
分岐状ホモポリプロピレンA(樹脂A)の配合量Wと前記成分Aの配合量WAR(質量部)との合計量の値(W+WARの値)をWA+AR(質量部)とし、直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂B)の配合量Wと前記成分Bの配合量WBR(質量部)との合計量の値(W+WBRの値)をWB+BR(質量部)とし、低密度ポリエチレンC(樹脂C)の配合量Wと前記成分Cの配合量WCRとの合計量の値(W+WCRの値)をWC+CR(質量部)とした場合、WA+AR、WB+BR及びWC+CR(質量部)が次に示す範囲を満たしている。なお、直鎖状ブロックポリプロピレンB(樹脂B)の配合量Wは、ブロックポリプロピレンB1の配合量WB1とブロックポリプロピレンB2の配合量WB2との合計で定められる。前記成分Bの配合量WBRは、成分BのうちブロックポリプロピレンB1に由来する成分B1の配合量WB1Rと成分BのうちブロックポリプロピレンB2に由来する成分B2の配合量WB2Rとの合計量で定められる。したがって、WB+BRは、WB1とWB2とWB1RとWB2Rとの合計(あるいは、WB1とWB1Rとの合計WB1+B1Rと、WB2とWB2Rとの合計WB2+B2Rとの合計値)で定められる。
【0065】
すなわち、WA+ARの値が10質量部以上30質量部以下であり、WB+BRの値が40質量部以上70質量部以下であり、且つ、WC+CRの値が10質量部以上30質量部以下である。ただし、WA+ARの値とWB+BRの値とWC+CRの値との合計を100質量部とする。
【0066】
上述した発泡性樹脂溶融物を形成するために供給される樹脂A、樹脂B、樹脂C、成分A、成分B、及び成分Cの配合量が、上記した範囲を満たすように定められることで、発泡ブロー成形体を良好に成形できると共に、発泡ブロー成形体として低温環境下における耐衝撃性を高められたものを得ることが容易となる。この観点からは、発泡パリソンにおいては、より好ましくは、WA+ARの値が15質量部以上30質量部以下であり、WB+BRの値が50質量部以上70質量部以下であり、且つ、WC+CRの値が10質量部以上20質量部以下である。
【0067】
なお、発泡ブロー成形体には、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分(成分A)と、直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分(成分B)と、低密度ポリエチレンCに由来する成分(成分C)とが含まれる。発泡ブロー成形体における分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分Aの配合割合は、新規使用原料としての樹脂A(樹脂A)の配合量と、非新規使用原料としての樹脂A(樹脂A)に由来する成分Aの配合量の合計に応じて定められる。このことと同様に、発泡ブロー成形体における直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分Bの配合量は、新規使用原料としての樹脂Bの配合量と、非新規使用原料の樹脂Bに由来する成分Bの配合量の合計に応じて定められる。また、発泡ブロー成形体における低密度ポリエチレンCに由来する成分Cの配合割合は、新規使用原料としての樹脂Cの配合量と、非新規使用原料の樹脂Cに由来する成分Cの配合量の合計に応じて定められる。このことは、発泡パリソンについても同様である。
【0068】
上述したWA+ARの値(質量部)は、通常、本発明の製造方法中で形成される発泡パリソン及び本発明の製造方法によって得られる発泡ブロー成形体に含まれる樹脂Aに由来する成分(成分A)の値と同じになる。このことはWB+BR及びWC+CRの値(質量部)についても同様であり、通常、本発明の製造方法中で形成される発泡パリソン及び本発明の製造方法によって得られる発泡ブロー成形体に含まれる樹脂B、Cに由来する成分(成分B、成分C)の値と同じになる。
【0069】
(発泡剤)
発泡剤としては、化学発泡剤や物理発泡剤を用いることができるが、適用の容易性の観点からは物理発泡剤を好適に使用することができる。物理発泡剤としては、例えば、有機系物理発泡剤や無機系物理発泡剤を挙げることができる。有機系物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、並びにイソヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタンやシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、塩化メチルや塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2-テトラフルオロエタンや1,1-ジフルオロエタン等のフッ化炭化水素等が挙げられる。無機系物理発泡剤としては、例えば、窒素、二酸化炭素、空気、並びに水等が挙げられる。発泡性樹脂溶融物に対して用いられる物理発泡剤は、1種類の化合物で構成されてもよいし、2種類以上の化合物が含まれていてもよい。
【0070】
ポリプロピレン系樹脂や低密度ポリエチレンと物理発泡剤との相溶性や発泡性樹脂溶融物の発泡性の観点からは、発泡性樹脂溶融物に対して用いられる物理発泡剤としては、無機系物理発泡剤が好ましく、無機系物理発泡剤のなかでも二酸化炭素がより好ましい。
【0071】
発泡剤の配合量は、発泡剤の種類や所望する見掛け密度等に応じて適宜設定することができる。例えば、発泡剤が二酸化炭素である場合、発泡剤の配合量は、発泡性樹脂溶融物に含まれる樹脂成分1kgに対して0.05mol以上0.4mol以下であることが好ましく、0.07mol以上0.3mol以下であることがより好ましく、0.1mol以上0.2mol以下であることがさらに好ましい。
【0072】
(他の重合体)
発泡性樹脂溶融物には、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂A、樹脂B及び樹脂C以外の他の重合体が含まれていてもよい。他の重合体としては、例えば、樹脂A、樹脂B以外のポリプロピレン系樹脂や、直鎖状低密度ポリエチレン(PE-LLD)、高密度ポリエチレン(PE-HD)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂や、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等のエラストマー等を挙げることができる。他の重合体が含まれる場合、分岐状ホモポリプロピレンAの配合量と、直鎖状ブロックポリプロピレンBの配合量と、低密度ポリエチレンCの配合量と、回収原料Dの配合量との合計を100質量部として、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
【0073】
(添加剤)
発泡性樹脂溶融物には、添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、気泡調整剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、充填材、抗菌剤等を挙げることができる。気泡調整剤としては、無機系気泡調整剤や有機系気泡調整剤を使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩や塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等を挙げることができる。有機系気泡調整剤としては、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-tert-ブチルフェニル)ナトリウムや安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等を挙げることができる。発泡性樹脂溶融物に添加される気泡調整剤は、1種類の化合物でもよいし、2種類以上の化合物でもよい。
【0074】
[1-2 作用及び効果]
従来からの発泡ブロー成形体の製造方法では、発泡ブロー成形体の原料の一部又は全部として、発泡ブロー成形体の製造過程で生じる発泡パリソンのバリ等を回収して再原料化した回収原料を利用することが要請されている。
【0075】
発泡ブロー成形体の製造方法においては、発泡ブロー成形体の製造過程で回収された回収原料Dが再び樹脂原料に含まれるため、回収原料には、繰り返して使用された樹脂成分が含まれるようになる。このため、回収原料には、押出機での混練等による多くの熱履歴が与えられたポリプロピレン系樹脂等が含まれることとなる。熱履歴の回数が多くなると、回収原料に含まれるポリプロピレン系樹脂の分子鎖の切断が進み、回収原料の溶融張力の低下や、メルトフローレイトの増大が生じる。このような回収原料が樹脂原料に含まれた場合、発泡パリソンの耐ドローダウン性や賦形性が低下して発泡パリソンのブロー成形性が低下しやすく、良好に賦形された発泡ブロー成形体を得ることが困難になる。特に、例えば押出方向長さ(発泡ブロー成形体の長手方向長さ)が1m以上であるような、大型の発泡ブロー成形体を得る場合には、良好な発泡ブロー成形体を得ることがより困難となる。さらに、樹脂原料を構成する樹脂の組成比率として新規使用原料に対する回収原料の比率をより高めた場合には、発泡パリソンのブロー成形性がより低下しやすいという課題が大きくなっていた。
【0076】
本発明にかかる製造方法によれば、樹脂原料が樹脂A、樹脂B及び樹脂Cを含み、且つ樹脂Bとしてメルトフローレイトの異なる特定の樹脂B1及び樹脂B2を併用している。さらに、本発明にかかる製造方法によれば、新規使用原料としての樹脂A、樹脂B及び樹脂Cの合計量と回収原料Dの配合量の比率を特定の範囲とし、さらに樹脂Aと非新規使用原料としての樹脂Aとの合計配合量、樹脂Bと非新規使用原料としての樹脂Bとの合計配合量及び樹脂Cと非新規使用原料としての樹脂Cとの合計配合量を特定の範囲としている。樹脂B1と樹脂B2については、樹脂B1のMFRのほうが樹脂B2のMFRよりも小さいと共に、樹脂B1のほうが樹脂B2に比べて相対的に分子量の大きい成分が多くなる傾向となるため、樹脂Bに樹脂B1が含まれることにより、発泡パリソンの耐ドローダウン性を高めることができると共に、発泡ブロー成形体について低温環境下での耐衝撃性等の物性を確保することが容易となる。また、樹脂Bには、樹脂B2のほうが樹脂B1よりも相対的に分子量が小さい成分が多くなる傾向となり、樹脂Bに樹脂B2が含まれることによりプリブロー工程時やブロー成形工程時に発泡パリソンが適度に伸びやすくなり、発泡パリソンの拡幅性や賦形性を高めることが容易となる。このように、発泡パリソンを構成する樹脂成分の分子量分布の広がりの観点からみても、樹脂B1と樹脂B2とが併用されていることで、発泡パリソンのブロー成形性を高めることができるものと考えられる。また、回収原料Dに含まれる樹脂Bに由来する成分に、樹脂B1に由来する成分と樹脂B2に由来する成分が含まれるようになり、回収原料Dをより多く用いても、発泡ブロー成形体としての低温環境下における耐衝撃性を確保しつつ、発泡パリソンのブロー成形性を向上させることができ、大型の発泡ブロー成形体であっても、良好に成形することができる。
【0077】
[2 発泡ブロー成形体]
上記の[1 発泡ブロー成形体の製造方法]で述べた製造方法により発泡ブロー成形体が得られる。発泡ブロー成形体の形状は、ブロー成形工程で使用される成形型の形状に応じて適宜定められてよく、また、中空状に形成されてよい。
【0078】
上述した本発明の製造方法により得られる発泡ブロー成形体として、例えば、後述する「構成1」を備えるような発泡ブロー成形体が得られる。なお、上述した製造方法で得られる発泡ブロー成形体は、「構成1」にさらに後述する「構成2」を備えることが好ましい。
【0079】
「構成1」: 発泡ブロー成形体は、分岐状ホモポリプロピレンAと、直鎖状ブロックポリプロピレンBと、低密度ポリエチレンCと、発泡ブロー成形体の製造過程で回収された回収原料Dとを含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
【0080】
「構成2」: 上記構成1に示す前記ポリプロピレン系樹脂組成物においては、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分Aの配合割合が10質量%以上30質量%以下、直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分Bの配合割合が40質量%以上70質量%以下、低密度ポリエチレンCに由来する成分Cの配合割合が10質量%以上30質量%以下である。
【0081】
ただし、構成2においては、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分Aの配合割合と直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分Bの配合割合と低密度ポリエチレンCに由来する成分Cの配合割合との合計を100質量%とする。
【0082】
内面の状態や外観が良好であると共に、低温環境下での耐衝撃性が良好な発泡ブロー成形体が安定して得られる観点からは、構成2に示す数値範囲について、次に示すような範囲であることがより好ましい。すなわち、構成1に示す前記ポリプロピレン系樹脂組成物においては、より好ましくは、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分Aの配合割合が15質量%以上30質量%以下、直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分Bの配合割合が50質量%以上70質量%以下、低密度ポリエチレンCに由来する成分Cの配合割合が10質量%以上20質量%以下である。
【0083】
なお、上述したように、発泡ブロー成形体における、分岐状ホモポリプロピレンAに由来する成分Aの配合割合は、新規使用原料としての樹脂Aの配合量と、非新規使用原料としての樹脂Aに由来する成分Aの配合量との合計の値に基づき定められる。直鎖状ブロックポリプロピレンBに由来する成分Bの配合割合は、新規使用原料としての樹脂Bの配合量と、非新規使用原料としての樹脂Bに由来する成分Bの配合量との合計の値に基づき定められる。さらに、低密度ポリエチレンCに由来する成分Cの配合割合は、新規使用原料としての樹脂Cの配合量と、非新規使用原料としての樹脂Cに由来する成分Cの配合量との合計の値に基づき定められる。
【0084】
(発泡ブロー成形体の密度)
本発明の製造方法により、発泡ブロー成形体として、その密度(見掛け密度)が0.1~0.5g/cmであるような発泡成形体を得ることができる。発泡ブロー成形体の密度がこのような数値範囲にある場合、発泡ブロー成形体は、軽量であると共に、ダクト等の各種用途に好適に用いることができる適度な剛性等を備えた発泡成形体となる。特に本発明の製造方法によれば、0.1~0.35g/cmの低見掛け密度の発泡ブロー成形体を得ようとする場合にも、安定的に発泡ブロー成形体を製造することができる。
【0085】
発泡ブロー成形体の密度は、発泡ブロー成形体の質量(W)(g)を、発泡ブロー成形体の体積(V)(cm)で割り算することで得られる値(W/V)として算出することができる。なお、発泡ブロー成形体の体積については、例えば、水の入った目盛り線の付いた容器中に発泡ブロー成形体を沈めて水位の上昇を測定する方法(水没法)等により、測定することができる。
【0086】
(発泡ブロー成形体の独立気泡率)
発泡ブロー成形体の独立気泡率は、発泡ブロー成形体の外観性を向上させる観点や、剛性を高める観点からは、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0087】
(独立気泡率の測定)
発泡ブロー成形体のおおむね平坦部から25mm×25mm×平坦部の厚みに切断した試験片を作製する。厚みの総和が20mmに最も近づくように試験片を複数枚重ねて測定用試験片とする。次に、ASTM-D2856-70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型等を使用して測定用試験片の真の体積Vxを測定し、下記数式(式(1))により独立気泡率(S(%))を計算する。上記測定を、5個の測定用試験片を用いて行い、その算術平均値を発泡ブロー成形体の独立気泡率とする。
【0088】
【数1】
【0089】
ただし、
Vx:上記方法で測定された試験片の真の体積(cm)であり、発泡ブロー成形体を構成する樹脂の体積と、試験片内の独立気泡部分の気泡全体積との和に相当する、
Va:測定に使用された試験片の外寸から計算された試験片の見掛け体積(cm)、
W:測定に使用された試験片の全質量(g)、そして
ρ:発泡ブロー成形体を構成する樹脂の密度(g/cm)、
である。
【0090】
本発明にかかる製造方法を用いて製造された発泡ブロー成形体は、ダクト、タンク、容器等の広範な用途で使用することが可能である。発泡ブロー成形体が上述したような密度0.1~0.5g/cmの発泡成形体である場合には、軽量性と剛性とのバランスに優れる発泡ダクトとして発泡ブロー成形体を好適に使用することができる。
【0091】
次に、具体的な実施例を用いて更に詳細に説明する。
【実施例0092】
(樹脂の準備)
表1に示す分岐状ポリプロピレン(樹脂A)、直鎖状ブロックポリプロピレン(樹脂B)を構成する2種類のブロックポリプロピレン(樹脂B1及び樹脂B2)を準備した。表1には、準備された樹脂A、樹脂B1、樹脂B2のMFR(g/10min(230℃、荷重2.16kg))、溶融張力(mN)、融点(℃)及び結晶化温度(℃)を合わせて示す。
【0093】
樹脂A、樹脂B1、樹脂B2のMFR(g/10min(230℃、荷重2.16kg))は、JIS K7210-1:2014(試験方法A法)に基づき測定した。樹脂A、樹脂B1、樹脂B2の融点は、JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定により求めた。なお、試験片の状態調節としては、「(2)一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」を採用し、このときの冷却速度として毎分10℃を採用した。また、融解温度を測定する際の加熱速度として毎分10℃を採用した。樹脂A、樹脂B1、樹脂B2の結晶化温度は、JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定により求めた。冷却速度としては毎分10℃を採用した。
【0094】
樹脂A、樹脂B1、樹脂B2の溶融張力(mN)は、以下のようにして測定された。まず、樹脂Aの溶融張力の測定方法について説明する。シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーに、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスをセットした。シリンダー及びオリフィスの設定温度を230℃とし、樹脂Aを用いて試料の必要量をシリンダー内に入れ、4分間放置して試料(樹脂A試料)の溶融樹脂を形成した。次に、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物(ストランド)を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取った。この操作により紐状物を破断させ、紐状物が破断する直前の張力の極大値を得た。なお、引取り速度が0m/分から200m/分に達するまでの時間を4分とした理由は、試料として用いられた樹脂の熱劣化を抑えるとともに得られる値の再現性を高めるためである。異なる試料を使用して上記操作(1つの試料を用いて溶融張力の極大値を得るまでの操作)を実施することで、計10回の測定を行い、10回で得られた極大値の最も大きな値から順に3つの値と、極大値の最も小さな値から順に3つの値を除き、残った中間の4つの極大値を相加平均して得られた値を、溶融張力(mN)として算出した。
【0095】
なお、上記した方法で溶融張力の測定を行い、引取り速度が200m/分に達しても紐状物が切れない場合には、引取り速度を200m/分の一定速度にして得られる溶融張力(mN)の値を採用した。詳しくは、上記測定と同様にして、溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を張力検出用プーリーに掛け、4分間で0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させた。回転速度が200m/分に到達してから溶融張力のデータの取り込みを開始し、30秒後にデータの取り込みを終了した。この30秒の間に得られたテンション荷重曲線から得られたテンション最大値(Tmax)とテンション最小値(Tmin)の平均値(Tave)を本発明方法における溶融張力とした。ここで、上記Tmaxとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたピーク(山)値の合計値を検出された個数で除した値であり、上記Tminとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたディップ(谷)値の合計値を検出された個数で除した値である。
【0096】
上記の樹脂Aの溶融張力の測定方法と同様の方法を用いて樹脂B1、樹脂B2の溶融張力(mN)が測定された。
【0097】
樹脂Aとしては、表1の種類名a1、a2に示される2種類が準備された。種類名a1、a2の樹脂Aの内容は次に示すとおりである。なお、種類名a1及びa2の樹脂AのMFR(g/10min(230℃、荷重2.16kg))、融点、及び結晶化温度は、それぞれ表1に示すとおりである。
【0098】
種類名a1で識別される樹脂A:ボレアリス社(Borealis社)製の商品名「WB140」である。
種類名a2で識別される樹脂A:サウジ基礎産業公社(SABIC社)製の商品名「HEX17112」である。
【0099】
樹脂Bとして、表1の種類名b1、b2、b3及びb4に示される4種類が準備された。種類名b1、b2の樹脂Bが、ブロックポリプロピレンB1(樹脂B1)に対応し、種類名b3、b4の樹脂Bが、ブロックポリプロピレンB2(樹脂B2)に対応する。種類名b1、b2、b3及びb4の樹脂Bの内容は次に示すとおりである。なお、種類名b1、b2、b3及びb4のそれぞれの樹脂BのMFR(g/10min(230℃、荷重2.16kg))は、それぞれ表1に示すとおりである。
【0100】
種類名b1で識別される樹脂B(樹脂B1にも対応する):ブロックポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製、商品名「プライムポリマー(型番J-750HP)」)である。
種類名b2で識別される樹脂B(樹脂B1にも対応する):ブロックポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテックPP(型番BC3BRF)」)である。
種類名b3で識別される樹脂B(樹脂B2にも対応する):ブロックポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製、商品名「プライムポリマー(型番J707G)」)である。
種類名b4で識別される樹脂B(樹脂B2にも対応する):ブロックポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、商品名「ノバテック(商標)PP(型番BC03GS)」)である。
【0101】
また、低密度ポリエチレン(樹脂C)として、以下の種類名c1、c2及びc3に示される3種類が準備された。種類名c1、c2及びc3の樹脂Cの内容は次に示すとおりである。なお、樹脂CのMFR(g/10min(190℃、荷重2.16kg))は、JIS K7210-1:2014(試験方法A法)に基づき測定した。また、樹脂Cの融点は、JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定により求めた。なお、試験片の状態調節としては、「(2)一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」を採用し、このときの冷却速度として毎分10℃を採用した。また、融解温度を測定する際の加熱速度として毎分10℃を採用した。
【0102】
種類名c1で識別される樹脂C:株式会社NUC製、商品名「NUC(型番8351)」(MFR:14g/10min(190℃、荷重2.16kg)、融点:108℃)である。
種類名c2で識別される樹脂C:株式会社NUC製、商品名「NUC(型番8008)」(MFR:5g/10min(190℃、荷重2.16kg)、融点:108℃)である。
種類名c3で識別される樹脂C:住友化学株式会社製、商品名「スミカセン(型番F102-0)」(MFR:0.4g/10min(190℃、荷重2.16kg)、融点:110℃)である。
【0103】
【表1】
【0104】
実施例1
(回収原料の準備)
回収原料Dは、発泡ブロー成形体の製造工程を複数回繰り返した後に得られる回収物で構成されたものが用いられた。実施例1では、発泡ブロー成形体の製造工程を次に示すように4回繰り返して実施した後に得られる回収物で構成されたものが用いられた。回収原料Dを得る際に行われる第1回目の発泡ブロー成形体の製造工程から第4回目の発泡ブロー成形体の製造工程で使用される樹脂原料をそれぞれ第1の樹脂原料から第4の樹脂原料と称呼するが、回収原料の準備について説明する際に第1の樹脂原料から第4の樹脂原料を区別しない場合には、単に樹脂原料と称呼することがある。
【0105】
第1回目の(初回の)発泡ブロー成形体の製造工程が実施された。初回では回収原料を含ませずに構成された第1の樹脂原料を用いて発泡ブロー成形体の製造工程を実施して、第1次の成形体として発泡ブロー成形体が作製された。なお、このとき、発泡ブロー成形体の製造条件は、実施例1に示すような回収原料Dを用いた場合の製造条件と同じ条件が用いられた。また、第1の樹脂原料における樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cは、表3の実施例1の欄に示す樹脂原料における樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの配合量(ただし、各樹脂はすべて新規使用原料)と同じとなるように配合された。また、初回の発泡ブロー成形体の製造に際して、気泡調整剤としてタルクマスターバッチ:商品名「ハイフィラー#12」(松村産業製、タルク濃度20質量%、タルクのメジアン径7.5μm)が樹脂原料100質量部に対して5質量部添加され、黒顔料としてカーボンブラックマスターバッチ:商品名「PP Black Master Batch,BT920F-JSJ」(B&Tech Corporation製、CB濃度45質量%)が、樹脂原料100質量部に対して0.5質量部添加された。
【0106】
得られた第1次の成形体は破砕された。このとき得られる破砕物が押出機に供給されて230℃で混練されることで溶融樹脂が得られた。そして溶融樹脂を押出し且つリペレット化した。このようにしてリペレット化された樹脂ペレットを第1次の回収物とした。
【0107】
第1次の回収物を用い、第2回目の発泡ブロー成形体の製造工程が実施された。第1次の回収物を含む第2の樹脂原料を用いて発泡ブロー成形体の製造工程を実施して、第2次の成形体として発泡ブロー成形体が作製された。第2次の成形体は、第1次の回収物を得る場合と同様に樹脂ペレットとされた。樹脂ペレットを第2次の回収物とした。
【0108】
第2回目の発泡ブロー成形体の製造条件としては、第1回目の発泡ブロー成形体の製造条件と同様に、実施例1に示すような回収原料Dを用いた場合の製造条件と同じ条件が用いられた。また、第2の樹脂原料における樹脂A、樹脂B及び樹脂Cの配合量としては、表3の実施例1の欄に示す樹脂原料における新規使用原料としての樹脂A、樹脂B及び樹脂Cの配合量(表3において回収原料Dとは区別されて記載された樹脂A、樹脂B及び樹脂Cの配合量)と同様の配合量が用いられた。第2の樹脂原料における第1次の回収物の配合量としては、表3の実施例1の欄に示す回収原料Dと同様の配合量が用いられた。実施例1では、樹脂A、樹脂B、樹脂C及び回収原料Dの合計を100質量部とした場合に回収原料Dが80質量部となっており、第2の樹脂原料についても、樹脂A、樹脂B、樹脂C及び第1次の回収物の合計を100質量部とした場合に第1次の回収物が80質量部となるように第1の回収物が用いられた。
【0109】
第2次の回収物を用い、第3回目の発泡ブロー成形体の製造工程が実施された。第3回目の発泡ブロー成形体の製造工程は、第1次の回収物に代えて、第2次の回収物を用いること以外は、第2回目の発泡ブロー成形体の製造工程と同様の方法で実施された。これにより、第3次の回収物が得られた。
【0110】
第3次の回収原物を用い、第4回目の発泡ブロー成形体の製造工程が実施された。第4回目の発泡ブロー成形体の製造工程は、第2次の回収物に代えて、第3次の回収物を用いること以外は、第3回目の発泡ブロー成形体の製造工程と同様の方法で実施された。これにより、第4次の回収物が得られた。第4次の回収物が、回収原料Dとして用いられた。なお、表2に示すように実施例1で得られた回収原料Dの種類名をd1とした。
【0111】
回収原料Dの物性については、上記した方法で、MFR(g/10min(230℃、荷重2.16kg))、溶融張力(mN)、融点(℃)及び結晶化温度(℃)が測定された。結果を表2に示す。なお、これらの点については、実施例2から8についても同様である。また、表4に記載された比較例1から6についても同様である。
【0112】
実施例1において得られる回収原料Dについて、樹脂Aに由来する成分A、樹脂Bのうち樹脂B1に由来する成分B1、樹脂B2に由来する成分B2及び樹脂Cに由来する成分Cの配合割合(質量%)は、表2のそれぞれ「A由来成分」欄、「B1由来成分」欄、「B2由来成分」欄及び「C由来成分」欄に示す通りである。樹脂Aに由来する成分A、樹脂Bのうち樹脂B1に由来する成分B1、樹脂B2に由来する成分B2及び樹脂Cに由来する成分Cの配合割合は、第1回目から第4回目までの発泡ブロー成形体の製造工程で使用される樹脂原料(第1の樹脂原料から第3の樹脂原料)の樹脂組成から算出することができる。これらの点については、実施例2から8についても同様である。また、表4に記載された比較例1から6についても同様である。
【0113】
なお、表2には、「配合比:B2/B1」欄に、回収原料Dを構成する樹脂に占める樹脂B1に対する樹脂B2の比率(樹脂B2の配合量(WB2))/(樹脂B1の配合量(WB1))が記載されており、また、「B由来成分の合計割合」欄に、樹脂Bの配合量(質量%)が記載されている。また、表2には、「配合比:B/A」欄に、回収原料Dを構成する樹脂に占める樹脂Aに対する樹脂Bの比率(樹脂Bの配合量(W))/(樹脂Aの配合量(W))、「配合比:C/B」欄に、回収原料Dを構成する樹脂に占める樹脂Bに対する樹脂Cの比率(樹脂Cの配合量(W))/(樹脂Bの配合量(W))も記載されている。これらの点については、実施例2から8についても同様である。また、表4に記載された比較例1から6についても同様である。
【0114】
(発泡ブロー成形体の製造)
(押出発泡工程)
表3の実施例1の欄に示す種類名で特定される樹脂A、樹脂B(樹脂B1及び樹脂B2)、樹脂C及び回収原料Dを、表3に示す量にて配合したものが樹脂原料として用いられた。表3の樹脂原料の構成として示される樹脂A、樹脂B(樹脂B1及び樹脂B2)、樹脂Cは、回収原料Dに含まれる樹脂とは区別されて用いられるものである。また、押出機には、気泡調整剤として前記タルクマスターバッチが樹脂原料100質量部に対して1質量部添加され、黒顔料として前記カーボンブラックマスターバッチが樹脂原料100質量部に対して0.1質量部添加された。押出機により樹脂原料を230℃で混練して樹脂溶融物とし、発泡剤として二酸化炭素が押出機の途中から圧入された。樹脂原料1kgあたりの発泡剤の量(mol/kg)は、表3に示すとおりである。発泡剤が圧入された状態で樹脂原料がさらに混練されることで発泡性樹脂溶融物が得られた。
【0115】
得られた発泡性溶融樹脂は、押出機の下流側に設けられたアキュームレータに充填され、170℃に調整された。アキュームレータの下流側に取付けた環状ダイのリップ(直径90mm)から、吐出速度1500kg /hrで、発泡性樹脂溶融物を大気圧下に筒状に押出しながら発泡させて、発泡パリソンを形成した。
【0116】
(プリブロー工程)
発泡パリソンの下部をピンチした後、発泡パリソン内の中空部にプリブローエアを供給して発泡パリソンを膨らませ且つ発泡パリソンをダイ直下に設けられた2分割式の金型で挟みこんだ。
【0117】
(ブロー成形工程)
型締め終了後、発泡パリソン内の中空部に、圧力0.1MPa(G)のブローエアを吹き込み、同時に金型に設けた孔より発泡パリソンと成形面との間のエアを吸引することにより、ブロー成形を行った。これにより、発泡パリソンに金型形状に対応した形状が賦形された。成形型を冷却した後、金型を開いて成形バリ付きの発泡成形体を取出した。成形バリ付きの発泡成形体からバリを取り除くことにより中空状の発泡ブロー成形体が得られた。得られた発泡ブロー成形体は、長手方向長さ1500mm、最大周長900mmに形成されていた。
【0118】
得られた発泡ブロー成形体について、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。
【0119】
密度(g/cm)は、発泡ブロー成形体の質量(W)(g)を、水没法により測定された発泡ブロー成形体の体積(V)(cm)で割り算することで算出した。
【0120】
平均厚み(mm)は、以下のように測定した。まず発泡ブロー成形体の長手方向中央部および長手方向両端部付近、さらに中央部と両端部との中間部の計5部位の長手方向に対する垂直断面を得た。各垂直断面の周方向に等間隔に6箇所の発泡ブロー成形体の厚み(肉厚)の測定を行った。得られた30箇所の厚みの測定値から最大値と最小値を除く28箇所の厚みの算術平均値を発泡ブロー成形体の平均厚みとした。
【0121】
独立気泡率(%)の値は、以下のように測定した。まず、発泡ブロー成形体の平坦部から25mm×25mm×平坦部の厚みに切断した試験片を作製した。厚みの総和が20mmに最も近づくように試験片を複数枚重ねて測定用試験片とした。次に、ASTM-D2856-70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定用試験片の真の体積Vxを測定し、上記した数式(式(1))により独立気泡率(S(%))を計算した。上記測定を、異なる測定用試験片を用いて5回行い、その算術平均値を発泡ブロー成形体の独立気泡率とした。
【0122】
なお、表3には、押出発泡工程で用いられる樹脂原料について、「配合比:B2/B1」欄に、樹脂原料に占める樹脂B1に対する樹脂B2の比率(樹脂B2の配合量(WB2))/(樹脂B1の配合量(WB1))が記載されており、また、「配合比:([A+B+C]:[D])」欄に、樹脂Aと樹脂Bと樹脂Cの合計量(WA+B+C)(配合量の合計)と回収原料Dの配合量(W)との比率((WA+B+C):(W))が記載されている。ここに表3の各比率の値は、特に明示しない限り、回収原料Dに含まれる樹脂とは区別されて用いられる樹脂A、樹脂B(樹脂B1及び樹脂B2)、樹脂Cを対象とする。表3には、「BのMFR」欄に、回収原料Dとは区別して使用された樹脂BのMFRの値が記載されている。この樹脂BのMFRの値としては、上述したように樹脂B1と樹脂B2の配合量の関係と、樹脂B1のMFR及び樹脂B2のMFRを用いて定められた加重平均値として定められる。また、表3の「MFR比:B2/B1」欄には、回収原料Dとは区別して使用された樹脂B1のMFRに対する樹脂B2のMFRの比が記載されている。これらの点については、実施例2から10についても同様である。また、表5に記載された比較例1から6についても同様である。
【0123】
また、表3には、「配合比:B/A」欄に、樹脂原料に占める樹脂Bに対する樹脂Aの比率(樹脂Aの配合量(W))/(樹脂Bの配合量(W))、「配合比:C/B」欄に、樹脂原料に占める樹脂Bに対する樹脂Cの比率(樹脂Cの配合量(W))/(樹脂Bの配合量(W))も記載されている。さらに、表3には、「樹脂A+成分A」欄に、樹脂Aの配合量(W)と樹脂Aに由来する成分Aの配合量(WAR)との合計(WA+AR)(質量部)が記載されており、「樹脂B1+成分B1」欄に、樹脂B1の配合量(WB1)と樹脂B1に由来する成分B1の配合量(WB1R)との合計(WB1+B1R)(質量部)が記載され、「樹脂B2+成分B2」欄に、樹脂B2の配合量(WB2)と樹脂B2に由来する成分B2の配合量(WB2R)との合計(WB2+B2R)(質量部)が記載され、「樹脂C+成分C」欄に、樹脂Cの配合量(W)と樹脂Cに由来する成分Cの配合量(WCR)との合計(WC+CR)(質量部)が記載されている。また、「樹脂B+成分B」欄に、樹脂B1の配合量(WB1)と樹脂B1に由来する成分B1の配合量(WB1R)と樹脂B2の配合量(WB2)と樹脂B2に由来する成分B2の配合量(WB2R)との合計値(WB+BR)が記載されている。なお、「成分A」、「成分B1」、「成分B2」、「成分B」及び「成分C」は、それぞれ、回収原料Dに含まれる、樹脂Aに由来する成分、樹脂B1に由来する成分、樹脂B2に由来する成分、樹脂Bに由来する成分及び樹脂Cに由来する成分である。これらの点については、実施例2から10についても同様である。また、表5に記載された比較例1から6についても同様である。
【0124】
得られた発泡ブロー成形体に対しては、成形性評価及び落球試験が実施された。
【0125】
(成形性評価)
成形性評価については、発泡パリソンや発泡ブロー成形体を目視観察して、プリブロー工程において発泡パリソンが十分に拡幅されているか否か(拡幅性)、及び、発泡ブロー成形体の上部に成形不良が認められるか否かを(成形体上部の成形不良の有無)、下記のように判定することよって実施された。結果を表3に示す。
【0126】
(拡幅性)
〇(良好):プリブロー工程において、発泡パリソンを破損させることなく、成形型幅方向(発泡パリソンの押出方向と、成形型の型締め方向とに直交する方向)における発泡パリソンの最大長さを、成形型幅方向における成形キャビティの周縁部間の最大長さ以上に拡幅することができる。
×(不良):プリブロー工程において、発泡パリソンを破損させることなく、成形型幅方向における発泡パリソンの最大長さを、成形型幅方向における成形キャビティの周縁部間の最大長さ以上に拡幅することができない。
【0127】
(成形体上部の成形不良の有無)
無し:発泡ブロー成形体の上部まで、金型キャビティ形状が賦形されており、また発泡ブロー成形体に穴あき等が認められない。
有り:発泡ブロー成形体の上部が、金型キャビティ形状に賦形されていない、又は、発泡ブロー成形体に穴あき等が認められる。
【0128】
(落球試験)
落球試験は次に示すように実施された。まず発泡ブロー成形体を-10℃の雰囲気下、24時間載置して状態調節を行った。状態調節を行った発泡ブロー成形体を、発泡ブロー成形体の長手方向が概ね水平方向となるようにして、平坦部分を上に向けて試験台に載置した。500gの鉄球を、発泡ブロー成形体の測定する平坦部分の上端から鉄球の下面までの距離が40cmとなる位置から発泡ブロー成形体の平坦部分に向けて落下させ、発泡ブロー成形体の損傷を観察した。落球試験は、5回実施された。落球試験の結果に基づき、次の基準で発泡ブロー成形体の耐寒衝撃性を評価した。結果を表3に示す。
【0129】
〇(良好):5回の試験において、発泡ブロー成形体が割れない、又は、発泡ブロー成形体に割れが認められるが破片の飛び散りが認められない。
×(不良):少なくとも1回の試験において、発泡ブロー成形体が割れ、且つ、発泡ブロー成形体の割れた破片の飛び散りが認められる。
【0130】
実施例2から実施例8
(回収原料の準備)
実施例2から実施例8では、樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量として、表3に記載されたそれぞれ実施例2から実施例8に対応する種類と配合量を用いた他は、実施例1と同様にして、回収原料Dを得た。
【0131】
得られた回収原料Dを用い、表3に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件で、実施例2から実施例8のそれぞれについて発泡ブロー成形体を製造した。
【0132】
得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表3に示す。また、得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、成形性評価及び落球試験を実施した。結果を表3に示す。
【0133】
実施例9及び実施例10
実施例9及び実施例10については、実施例1で得られた種類名d1で識別される回収原料Dと、樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂C2を、表3に示す配合量で用い、実施例9では、樹脂原料100質量部に対して、タルクマスターバッチを1.5質量部、カーボンブラックマスターバッチを0.15質量部添加し、実施例10では、樹脂原料100質量部に対して、タルクマスターバッチを0.5質量部、カーボンブラックマスターバッチを0.05質量部添加した他は、実施例1と同様の方法を用いて発泡ブロー成形体を得た。なお、実施例9では、実施例1よりも回収原料Dの占める比率が小さく、実施例10では、実施例1よりも回収原料Dの占める比率が大きい。
【0134】
実施例9及び実施例10で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表3に示す。また、得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、成形性評価及び落球試験を実施した。結果を表3に示す。
【0135】
実施例1から10によれば、「配合比:([A+B+C]:[D])」欄に示すように、樹脂Aと樹脂Bと樹脂Cの合計量(WA+B+C)と回収原料Dの配合量(W)との比率((WA+B+C):(W))で回収原料Dの比率が多くても、成形性が良好で且つ落球試験の結果も〇(良好)であるような発泡ブロー成形体が得られていることが確認された。なお、実施例1から10では、発泡ブロー成形体について落球試験の結果が〇であることにより、低温環境下における耐衝撃性に優れることが確認されている。
【0136】
実施例1から10については、第1回目以降のすべての発泡ブロー成形体の製造工程において、成形性評価の結果が良好である発泡ブロー成形体を製造できることが確認された。なお、成形性評価の結果が良好であるとは、拡幅性が良好で、成形体上部の成形不良が無いことを示すものとする。
なお、発泡ブロー成形体の上部は、発泡パリソンのドローダウンの影響を受けやすいため、賦形が難しい部分となる。そして、ブロー成形体が大型となるほど、この傾向が大きくなるが、本発明においては、上部まで十分に賦形された発泡ブロー成形体を得ることができた。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
比較例1
(回収原料の準備)
比較例1では、樹脂Bとして樹脂B1のみを使用し、樹脂B2を省略した他は、実施例1と同様にして回収原料Dを得た。比較例1の回収原料Dの種類名をd1(ct)とする。得られた回収原料Dの構成については表4に示すとおりである。なお、表2に記載されているように、比較例2から6の回収原料Dの種類名は、それぞれd2(ct)、d3(ct)、d4(ct)、d5(ct)、d6(ct)とする。
【0140】
なお、比較例1及び後述する比較例2から5のいずれについても第1回目から第4回目までの発泡ブロー成形体の製造工程で回収物(第1次の回収物から第4次の回収物)として用いるための発泡ブロー成形体の製造を行った。ここで、比較例1、後述する比較例3及び比較例5については、第1回目以降のすべての発泡ブロー成形体の製造工程において、成形性評価の結果が良好であるような発泡ブロー成形体を製造することはできなかった。また、後述する比較例2及び比較例4については、第1回目の(初回の)発泡ブロー成形体の製造工程においては発泡ブロー成形体として成形性評価が良好であるようなものを製造することができたが、第2回目以降の発泡ブロー成形体の製造工程においては、成形性評価が良好であるような発泡ブロー成形体を製造することはできなかった。
【0141】
(発泡ブロー成形体の製造)
比較例1で得られた回収原料Dを用い、表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件とした他は、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得ようした。しかしながら、比較例1で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして成形性評価を実施したところ、表5に示すように、拡幅性が×(不良)となり、プリブロー工程において発泡パリソンを十分に拡幅することができず、良好な発泡ブロー成形体を得ることはできなかった。なお、拡幅性が×となっていたため、成形体上部の成形不良の有無の判断及び落球試験については省略した。参考までに、比較例1で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表5に示す。
【0142】
比較例2
(回収原料の準備)
比較例2では、樹脂Bとして樹脂B2のみを使用し、樹脂B1を省略した他は、実施例1と同様にして回収原料Dを得た。得られた回収原料Dの構成については表4に示すとおりである。
【0143】
(発泡ブロー成形体の製造)
比較例2で得られた回収原料Dを用い、表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件とした他は、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得ようした。しかしながら、比較例2で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして成形性評価を実施したところ、表5に示すように、成形体上部の成形不良が有りとなり、成形不良を生じており、良好な発泡ブロー成形体を得ることはできなかった。なお、成形体上部の成形不良が有りとなっていたため、落球試験については省略した。参考までに、比較例2で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表5に示す。
【0144】
比較例3
比較例3では、樹脂B1として種類名b1の樹脂にかえて種類名b2の樹脂を使用した他は、比較例1と同様にして、回収原料Dを得て、さらに回収原料Dを用い、表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件とした他は、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得ようとした。しかしながら、比較例3で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして成形性評価を実施したところ、表5に示すように、拡幅性が×となり、プリブロー工程において発泡パリソンを十分に拡幅することができず、良好な発泡ブロー成形体を得ることはできなかった。なお、拡幅性が×となっていたため、成形体上部の成形不良の有無の判断及び落球試験については省略した。参考までに、比較例3で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表5に示す。
【0145】
比較例4
比較例4では、樹脂B2として種類名b3の樹脂にかえて種類名b4の樹脂を使用した他は、比較例2と同様にして、回収原料Dを得て、さらに回収原料Dを用い、表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件とした他は、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得ようとした。しかしながら、比較例4で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして成形性評価を実施したところ、表5に示すように、成形体上部の成形不良が有りとなり、成形不良を生じており、良好な発泡ブロー成形体を得ることはできなかった。なお、成形体上部の成形不良が有りとなっていたため、落球試験については省略した。参考までに、比較例4で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表5に示す。
【0146】
比較例5
(回収原料の準備)
比較例5では、樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの配合量を、それぞれ表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの配合量とした他は、実施例1と同様にして回収原料Dを得た。得られた回収原料Dの構成については表4に示すとおりである。
【0147】
(発泡ブロー成形体の製造)
比較例5で得られた回収原料Dを用い、表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件とした他は、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得ようとした。しかしながら、比較例5で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして成形性評価を実施したところ、表5に示すように、拡幅性が×となり、プリブロー工程において発泡パリソンを十分に拡幅することができず、良好な発泡ブロー成形体を得ることはできなかった。なお拡幅性が×となっていたため、成形体上部の成形不良の有無の判断及び落球試験については省略した。参考までに、比較例5で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表5に示す。
【0148】
比較例6
(回収原料の準備)
比較例6では、樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの配合量を、それぞれ表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの配合量とした他は、実施例1と同様にして回収原料Dを得た。得られた回収原料Dの構成については表4に示すとおりである。
【0149】
(発泡ブロー成形体の製造)
比較例6で得られた回収原料Dをそれぞれ用い、表5に示す樹脂A、樹脂B1、樹脂B2及び樹脂Cの種類と配合量と回収原料Dの配合量の条件とした他は、実施例1と同様にして、発泡ブロー成形体を得た。得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、密度(g/cm)、平均厚み(mm)、及び独立気泡率(%)が測定された。結果を表5に示す。
【0150】
比較例6で得られた発泡ブロー成形体について、実施例1と同様にして、成形性評価と落球試験評価を実施したところ、表5に示すように、拡幅性は〇であり、成形体上部の成形不良は無しであったが、落球試験の結果が×(不良)であった。
【0151】
【表4】
【0152】
【表5】