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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011647
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電池セル及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20240118BHJP
   H01M 50/136 20210101ALI20240118BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240118BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240118BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/136
H01M10/613
H01M10/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113839
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大岡 愛佳
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
(72)【発明者】
【氏名】岡住 綾馬
【テーマコード(参考)】
5H011
5H031
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011CC10
5H011DD06
5H031AA00
5H031KK01
(57)【要約】
【課題】電池セルの放熱性を確保した状態で外装材の封止辺の折り曲げ形状を固定する。
【解決手段】電池セル10は、電池要素100と、所定の折り曲げ形状に折り曲げられた左方封止辺126aを有し、電池要素100を収容する外装材120と、左方封止辺126aの折り曲げ形状を固定する左方折り曲げ固定体132aと、を備えている。左方折り曲げ固定体132aは、左方封止辺126aに部分的に設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、
所定の折り曲げ形状に折り曲げられた封止辺を有し、前記電池要素を収容する外装材と、
前記封止辺の前記折り曲げ形状を固定する第1固定体と、
を備え、
前記第1固定体が前記封止辺に部分的に設けられている、電池セル。
【請求項2】
前記電池要素に含まれる正極、負極及びセパレータの積層形状を固定する第2固定体をさらに備え、
前記第1固定体と前記第2固定体とが前記封止辺に沿って互いにずれて配置されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
互いに電気的に接続された、請求項1又は2に記載の電池セルを複数備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池セル等の電池セルの様々な構造が開発されている。例えば特許文献1に記載されているように、電池セルは、電池要素及び外装材を備えている。外装材は、電池要素の上部を覆う上部外装材と、電池要素の下部を覆う下部外装材と、を有している。上部外装材及び下部外装材の熱融着によって、外装材には封止辺が形成されている。特許文献1に記載の電池セルでは、電池要素の長手方向に沿った封止辺が所定の折り曲げ形状に折り曲げられている。封止辺には、封止辺の折り曲げ形状を固定するテープが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-521481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電池セルでは、封止辺の折り曲げ形状を固定するテープが封止辺の全体に亘って設けられている。しかしながら、当該テープが封止辺の全体に亘って設けられている場合、電池セルの放熱性を確保することが難しいことがある。一方、当該テープが設けられていない場合、封止辺の折り曲げ形状を維持することが難しいことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、電池セルの放熱性を確保した状態で外装材の封止辺の折り曲げ形状を固定することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池要素と、
所定の折り曲げ形状に折り曲げられた封止辺を有し、前記電池要素を収容する外装材と、
前記封止辺の前記折り曲げ形状を固定する第1固定体と、
を備え、
前記第1固定体が前記封止辺に部分的に設けられている、電池セル。
[2]
前記電池要素に含まれる正極、負極及びセパレータの積層形状を固定する第2固定体をさらに備え、
前記第1固定体と前記第2固定体とが前記封止辺に沿って互いにずれて配置されている、[1]に記載の電池セル。
[3]
互いに電気的に接続された、[1]又は[2]に記載の電池セルを複数備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、電池セルの放熱性を確保した状態で外装材の封止辺の折り曲げ形状を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図2】実施形態に係る電池セルの上面図である。
図3】実施形態に係る電池セルの前面図である。
図4】実施形態に係る電池要素の斜視図である。
図5】実施形態に係るセル積層体の最も右端に位置する電池セルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1の分解斜視図である。図2は、実施形態に係る電池セル10の上面図である。図3は、実施形態に係る電池セル10の前面図である。図4は、実施形態に係る電池要素100の斜視図である。図5は、実施形態に係るセル積層体10Sの最も右端に位置する電池セル10を説明するための図である。図3では、説明のため、正極タブ112及び負極タブ114を図示していない。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が付されている。
【0012】
図1において、X方向、Y方向及びZ方向は、次のとおりとなっている。X方向は、電池モジュール1の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1の上下方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池モジュール1のX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。
【0013】
図2図5において、X方向、Y方向及びZ方向は、次のとおりとなっている。X方向は、電池セル10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池セル10の上下方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池セル10の左右方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、下方向及び左方向である。すなわち、図1において、各電池セル10は、電池セル10の左右方向及び上下方向が電池モジュール1の上下方向及び左右方向にそれぞれ略平行となる状態で配置されている。ただし、電池セル10のX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。
【0014】
なお、X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。
【0015】
図1を参照し、必要に応じて図4を参照して、電池モジュール1について説明する。
【0016】
電池モジュール1は、セル積層体10S及び収容体20を備えている。
【0017】
セル積層体10Sは、複数の電池セル10及び複数のコンプレッションパッド12を備えている。複数の電池セル10及び複数のコンプレッションパッド12は、Y方向に交互に積層されている。各電池セル10の長手方向は、X方向に略平行となっている。各電池セル10の短手方向は、Z方向に略平行となっている。各電池セル10の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。なお、各電池セル10の形状は、この例に限定されない。
【0018】
図1及び図4に示すように、各電池セル10は、電池要素100、正極タブ112、負極タブ114及び外装材120を含んでいる。
【0019】
図4に示すように、電池要素100は、複数の正極102、複数の負極104及び複数のセパレータ106の積層体を有している。複数の正極102及び複数の負極104は、Y方向に交互に積層されている。各セパレータ106は、Y方向に隣り合う正極102及び負極104の間に位置している。ただし、電池要素100の構造は、この例に限定されない。電池要素100は、少なくとも1つの正極102、少なくとも1つの負極104及び少なくとも1つのセパレータ106の積層体を有するようにすることができる。例えば、1枚のシート状のセパレータ106がZ方向の両端で交互に折り返されてつづら折り形状となっていてもよい。この例では、セパレータ106のZ方向の両端の折り返しの間に位置する部分が、Y方向に隣り合う正極102及び負極104の間に配置されている。
【0020】
図4に示すように、正極タブ112は、電池要素100の複数の正極102から引き出された複数の正極集電体102aを介して電池要素100の複数の正極102に電気的に接続されている。負極タブ114は、電池要素100の複数の負極104から引き出された複数の負極集電体104aを介して電池要素100の負極104に電気的に接続されている。図4に示す例において、正極タブ112は、電池要素100の前方に向けて引き出されている。負極タブ114は、電池要素100の後方に向けて引き出されている。
【0021】
外装材120は、電池要素100と、不図示の電解液と、を収容している。
【0022】
実施形態では、複数の電池セル10が電気的に接続されている。具体的には、複数のセル群10Gが、Y方向の一端に位置するセル群10GからY方向の他端に位置するセル群10Gにかけて直列に接続されている。各セル群10Gは、並列に接続された複数の電池セル10を含んでいる。実施形態において、各セル群10Gは、Y方向に隣り合う2つの電池セル10を含んでいる。各セル群10Gに含まれる2つの電池セル10から引き出された2つの正極タブ112は、X方向の同じ側に向けられている。各セル群10Gに含まれる2つの電池セル10から引き出された2つの負極タブ114は、X方向の同じ側に向けられている。Y方向に隣り合うセル群10Gの一方から引き出された正極タブ112及び負極タブ114と、Y方向に隣り合うセル群10Gの他方から引き出された正極タブ112及び負極タブ114と、はX方向において互いに反対側に向けられている。Y方向に隣り合う2つのセル群10Gは、当該2つのセル群10Gの前方又は後方に位置するタブ群110を含んでいる。タブ群110は、互いに接合された正極タブ112及び負極タブ114を含んでいる。タブ群110に含まれる正極タブ112及び負極タブ114は、例えばレーザ溶接によって互いに接合されている。これによって、セル積層体10Sの前方に位置する複数のタブ群110と、セル積層体10Sの後方に位置する複数のタブ群110と、が互い違いに配置されている。
【0023】
セル積層体10Sの構成は、上述の例に限定されない。例えば、各セル群10Gは、3つ以上の並列に接続された電池セル10を含んでいてもよい。或いは、単一の電池セル10が複数、Y方向の一端に位置する電池セル10からY方向の他端に位置する電池セル10にかけて直列に接続されていてもよい。
【0024】
収容体20は、セル積層体10Sを収容している。収容体20は、前方プレート210、後方プレート220、右方プレート230、左方プレート240、下方プレート250及び上方プレート260を有している。前方プレート210、後方プレート220、右方プレート230、左方プレート240、下方プレート250及び上方プレート260は、セル積層体10Sの前方、後方、右方、左方、下方及び上方をそれぞれ覆っている。セル積層体10Sと下方プレート250との間には、熱伝導性接着剤252が配置されている。
【0025】
図5を参照して詳細を後述するように、セル積層体10Sの最も右端に位置する電池セル10の外装材120の下端部及び上端部には、それぞれ、第1保護テープ136a及び第2保護テープ136bが設けられている。同様にして、セル積層体10Sの最も左端に位置する電池セル10の外装材120の下端部及び上端部には、それぞれ、第3保護テープ136c及び第4保護テープ136dが設けられている。
【0026】
次に、図2及び図3を参照し、必要に応じて図1及び図4を参照して、各電池セル10について説明する。
【0027】
図3に示すように、外装材120は、上部外装材122及び下部外装材124を有している。上部外装材122は、電池要素100の上部を覆っている。下部外装材124は、電池要素100の下部を覆っている。上部外装材122及び下部外装材124の電池要素100のY方向の周りの外周部分は、例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、図2に示すように、上部外装材122及び下部外装材124の電池要素100のY方向の周りの外周部分には、左方封止辺126a、右方封止辺126b、前方封止辺126c及び後方封止辺126dが形成されている。
【0028】
図3に示すように、X方向から見て、左方封止辺126aは、所定の折り曲げ形状に折り曲げられている。具体的には、X方向から見て、左方封止辺126aは、上部外装材122の左側面に向けて折り曲げられている。また、X方向から見て、左方封止辺126aの先端は、左方封止辺126aの折り曲げによって左方封止辺126aと上部外装材122の左側面との間に生じる空間に向けて折り曲げられている。図3に示す例では、左方封止辺126aを上部外装材122の左側面に向けて折り曲げることで、左方封止辺126aの左方への突出を抑制することができる。また、左方封止辺126aの先端を上述した空間に向けて折り曲げることで、左方封止辺126aの先端の上方への突出を抑制することができる。ただし、左方封止辺126aの折り曲げ形状は、図3に示す例に限定されない。右方封止辺126bも、左方封止辺126aと同様にして、所定の折り曲げ形状に折り曲げられている。
【0029】
左方折り曲げ固定体132aは、左方封止辺126aの折り曲げ形状を固定している。実施形態において、左方折り曲げ固定体132aは、テープである。例えば、左方折り曲げ固定体132aは、樹脂テープ等の絶縁性テープにすることができる。図3に示す例において、左方折り曲げ固定体132aは、上部外装材122の左端部分から下部外装材124の左端部分にかけて左方封止辺126aを覆うように延在している。したがって、左方封止辺126aに復元力が働いても、左方封止辺126aの折り曲げ形状が左方封止辺126aの元の形状に戻らないようにすることができる。右方折り曲げ固定体132bも、左方折り曲げ固定体132aと同様にして、右方封止辺126bの折り曲げ形状を固定している。
【0030】
図2に示すように、左方封止辺126aには、複数の左方折り曲げ固定体132aが互いに離間して設けられている。すなわち、左方折り曲げ固定体132aは、左方封止辺126aに部分的に設けられている。このため、左方折り曲げ固定体132aが左方封止辺126aの全体に亘って設けられている場合と比較して、電池セル10の放熱性を確保することができる。
【0031】
図2に示すように、右方封止辺126bには、複数の右方折り曲げ固定体132bが互いに離間して設けられている。すなわち、右方折り曲げ固定体132bは、右方封止辺126bに部分的に設けられている。このため、右方折り曲げ固定体132bが右方封止辺126bの全体に亘って設けられている場合と比較して、電池セル10の放熱性を確保することができる。例えば、実施形態では、右方折り曲げ固定体132bが右方封止辺126bの全体に亘って設けられている場合と比較して、右方封止辺126b及び熱伝導性接着剤252の接触面積を大きくすることができる。したがって、実施形態では、右方折り曲げ固定体132bが右方封止辺126bの全体に亘って設けられている場合と比較して、電池セル10の放熱性を向上させることができる。
【0032】
左方封止辺126aの折り曲げ形状を固定する観点からすると、左方封止辺126aのX方向の全体に対して15%以上の長さに少なくとも1つの左方折り曲げ固定体132aが設けられていることが好ましい。右方折り曲げ固定体132bについても同様である。
【0033】
電池セル10の放熱性を確保する観点からすると、左方封止辺126aのX方向の全長の全体に対して30%以下の長さに少なくとも1つの左方折り曲げ固定体132aが設けられていることが好ましい。右方折り曲げ固定体132bについても同様である。
【0034】
図4に示すように、電池要素100の左辺には、複数の左方積層固定体134aが互いに離間して設けられている。同様にして、電池要素100の右辺には、複数の右方積層固定体134bが互いに離間して設けられている。実施形態において、各左方積層固定体134a及び各右方積層固定体134bは、テープである。例えば、各左方積層固定体134a及び各右方積層固定体134bは、樹脂テープ等の絶縁性テープにすることができる。各左方積層固定体134a及び各右方積層固定体134bは、正極102、負極104及びセパレータ106の積層形状を固定している。
【0035】
図2に示すように、左方折り曲げ固定体132a及び左方積層固定体134aは、左方封止辺126aに沿って互いにずれて配置されている。図2に示す例では、いずれの左方折り曲げ固定体132aも、いずれの左方積層固定体134aともY方向に重なっていない。したがって、左方折り曲げ固定体132a及び右方折り曲げ固定体132bがY方向に重なっている場合と比較して、電池セル10のY方向の厚さを薄くすることができる。ただし、左方折り曲げ固定体132a及び左方積層固定体134aは、Y方向に重なっていてもよい。右方折り曲げ固定体132b及び右方積層固定体134bも、左方折り曲げ固定体132a及び左方積層固定体134aと同様にして、右方封止辺126bに沿って互いにずれて配置されている。
【0036】
図1に示す例において、各電池セル10に設けられた左方折り曲げ固定体132aは、X方向において略揃った位置に配置されている。このため、各電池セル10に応じて異なる位置に左方折り曲げ固定体132aを設ける場合と比較して、電池セル10の量産性を
向上させることができる。しかしながら、各電池セル10に設けられた左方折り曲げ固定体132aは、X方向において互いにずれて配置されていてもよい。例えば、Y方向に隣り合う電池セル10の各々に設けられた左方折り曲げ固定体132aをX方向に互いにずらして配置することで、これらの左方折り曲げ固定体132aがX方向に揃っている場合と比較して、セル積層体10SのY方向の厚さを薄くすることができる。左方折り曲げ固定体132aについて上述した事項は、右方折り曲げ固定体132bについても同様である。
【0037】
次に、図5を参照し、必要に応じて図1を参照して、セル積層体10Sの最も右端に位置する電池セル10について説明する。以下、当該説明においては、特に断りがない限り、電池セル10に関する方向ついては、Z方向が左右方向となっている。
【0038】
第1保護テープ136aは、右方封止辺126bの全体を覆っている。第1保護テープ136aは、耐熱性を有している。したがって、第1保護テープ136aは、右方封止辺126bを保護する耐熱体となっている。例えば、右方プレート230の下端部と下方プレート250の右端部との溶接によって右方封止辺126bの周囲に比較的高温の熱が発生することがある。実施形態においては、右方封止辺126bを当該熱から第1保護テープ136aによって保護することができる。このため、当該熱による右方封止辺126bの封止性への影響を抑制することができる。
【0039】
第1保護テープ136aの耐熱性は、例えば、第1保護テープ136aを構成する材料と、第1保護テープ136aの厚みと、によって決定される。第1保護テープ136aは、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PP(ポリプロピレン)等の樹脂からなっている。この例において、第1保護テープ136aは、例えば、0.1mm以上の厚みを有している。この場合、第1保護テープ136aは、耐熱体として機能することができる。或いは、第1保護テープ136aは、PET又はPPの耐熱性より高い耐熱性を有する樹脂からなっていてもよい。当該樹脂としては、例えば、ポリイミドが例示される。この例において、第1保護テープ136aの厚みは、0.1mm未満であってもよい。
【0040】
なお、第1保護テープ136aの耐熱温度は、外装材120の最外層の耐熱温度以下であってもよい。外装材120の最外層は、例えば、PET又はナイロンからなっていることがある。例えば、上述の溶接によって右方封止辺126bの周囲に比較的高温の熱が発生しても、この熱が発生する時間は比較的短い。このため、第1保護テープ136aは、その短い時間の熱に耐えることができればよい。したがって、第1保護テープ136aの耐熱温度は、必ずしも、外装材120の最外層の耐熱温度より高くなっている必要はない。しかしながら、第1保護テープ136aの耐熱温度は、外装材120の最外層の耐熱温度より高くなっていてもよい。
【0041】
第1保護テープ136aの前端は、右方封止辺126bの前端より前方に位置している。これによって、第1保護テープ136aの前端は、右方封止辺126bの前端の少なくとも一部分を覆っている。したがって、上述した熱から右方封止辺126bの前端を第1保護テープ136aによって保護することができる。第1保護テープ136aは、絶縁性を有していてもよい。右方封止辺126bの前端からは、外装材120に含まれるアルミニウムシート等の導体が露出していることがある。絶縁性の第1保護テープ136aによって右方封止辺126bの前端の少なくとも一部分を覆うことで、外装材120の当該導体と、右方プレート230等の収容体20と、の短絡を抑制することができる。
【0042】
第1保護テープ136aの後端は、右方封止辺126bの後端より後方に位置している。これによって、第1保護テープ136aの後端は、右方封止辺126bの後端の少なくとも一部分を覆っている。したがって、上述した熱から右方封止辺126bの後端を第1保護テープ136aによって保護することができる。第2保護テープ136bは、絶縁性を有していてもよい。右方封止辺126bの後端からは、外装材120に含まれるアルミニウムシート等の導体が露出していることがある。絶縁性の第2保護テープ136bによって右方封止辺126bの後端の少なくとも一部分を覆うことで、外装材120の当該導体と、右方プレート230等の収容体20と、の短絡を抑制することができる。
【0043】
第1保護テープ136aは、右方折り曲げ固定体132bと同様にして、右方封止辺126bの折り曲げ形状を固定している。したがって、第1保護テープ136aは、右方封止辺126bの折り曲げ形状を固定する固定体ともなっている。
【0044】
第1保護テープ136aの形状は、図5に示す例に限定されない。例えば、第1保護テープ136aが有する機能に応じて、第1保護テープ136aが設けられる位置は適宜変更可能である。
【0045】
例えば、第1保護テープ136aが耐熱性を有する場合について説明する。この例において、右方プレート230の下端部と下方プレート250の右端部との複数の溶接箇所がX方向に沿って間欠的に配置される場合、当該複数の溶接個所に対応させて複数の第1保護テープ136aを右方封止辺126bに沿って間欠的に配置させてもよい。これによって、各溶接個所から発生した熱から右方封止辺126bを各第1保護テープ136aによって保護することができる。この例において、第1保護テープ136aは、上述したように、耐熱性だけでなく、絶縁性を有していてもよい。
【0046】
第1保護テープ136aが絶縁性を有する場合について説明する。この例において、第1保護テープ136aは、右方封止辺126bの前端のみを覆っていてもよい。或いは、第1保護テープ136aは、右方封止辺126bの後端のみを覆っていてもよい。或いは、第1保護テープ136aは、右方封止辺126bの前端及び後端のみを覆っていてもよい。これによって、上述したように、外装材120の上述の導体と、右方プレート230等の収容体20と、の短絡を抑制することができる。これらの例において、第1保護テープ136aは、上述したように、絶縁性だけでなく、耐熱性を有していてもよい。
【0047】
第2保護テープ136bは、第1保護テープ136aと同様にして、左方封止辺126aの全体を覆っている。第2保護テープ136bの前端は、第1保護テープ136aの前端と同様にして、左方封止辺126aの前端より前方に向けて突出している。第2保護テープ136bの後端は、第1保護テープ136aの後端と同様にして、左方封止辺126aの後端より後方に向けて突出している。例えば、右方プレート230の上端部と上方プレート260の右端部との溶接によって左方封止辺126aの周囲に比較的高温の熱が発生することがある。実施形態においては、当該熱から左方封止辺126aを第2保護テープ136bによって保護することができる。このため、当該熱による左方封止辺126aの封止性への影響を抑制することができる。ただし、第1保護テープ136aの形状と同様にして、第2保護テープ136bの形状は、この例に限定されない。
【0048】
セル積層体10Sの最も右端に位置する電池セル10の上述した構造は、セル積層体10Sの最も左端に位置する電池セル10の構造にも同様に適用可能である。例えば、左方プレート240の下端部と下方プレート250の左端部との溶接によって、セル積層体10Sの最も左端に位置する電池セル10の右方封止辺126bの周囲に比較的高温の熱が発生することがある。実施形態においては、当該熱から、当該電池セル10の右方封止辺126bを第3保護テープ136cによって保護することができる。同様にして、例えば、左方プレート240の上端部と上方プレート260の左端部との溶接によって、セル積層体10Sの最も左端に位置する電池セル10の左方封止辺126aの周囲に比較的高温の熱が発生することがある。実施形態においては、当該熱から、当該電池セル10の左方封止辺126aを第4保護テープ136dによって保護することができる。
【0049】
保護テープは、セル積層体10Sの最も左端及び最も右端に位置する電池セル10以外の電池セル10にも適用可能である。すなわち、保護テープは、セル積層体10Sに含まれる少なくとも1つの電池セル10の外装材120の左方封止辺126a及び右方封止辺126bの少なくとも一方に適用させてもよい。
【0050】
外装材120の封止辺の少なくとも一部分を覆う耐熱体は、保護テープに限定されない。耐熱体は、例えば、耐熱性及び絶縁性を有する液状又はゲル状の物質であってもよい。この例において、当該物質は、封止辺の少なくとも一部分に塗布させて固化させてもよい。或いは、耐熱体は、スポンジ等の発泡体であってもよい。
【0051】
実施形態において、保護テープは、収容体20の一部分同士の溶接によって発生する熱から、外装材120の封止辺を保護している。しかしながら、保護テープは、収容体20の一部分同士の溶接によって発生する熱と異なる熱からも、外装材120の封止辺を保護してもよい。
【0052】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0053】
例えば、実施形態において、外装材120は、上部外装材122及び下部外装材124の2つの外装材の熱融着によって形成されている。しかしながら、1枚のシート状の外装材120を電池要素100のX方向の周りに巻き付けてもよい。この場合、電池要素100の左側又は右側において外装材120の封止辺が形成される。この例においても、実施形態と同様にして、当該封止辺の折り曲げ形状を固定する固定体を当該封止辺に部分的に設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 電池モジュール
10 電池セル
10G セル群
10S セル積層体
12 コンプレッションパッド
20 収容体
100 電池要素
102 正極
102a 正極集電体
104 負極
104a 負極集電体
106 セパレータ
110 タブ群
112 正極タブ
114 負極タブ
120 外装材
122 上部外装材
124 下部外装材
126a 左方封止辺
126b 右方封止辺
126c 前方封止辺
126d 後方封止辺
132a 左方折り曲げ固定体
132b 右方折り曲げ固定体
134a 左方積層固定体
134b 右方積層固定体
136a 第1保護テープ
136b 第2保護テープ
136c 第3保護テープ
136d 第4保護テープ
210 前方プレート
220 後方プレート
230 右方プレート
240 左方プレート
250 下方プレート
252 熱伝導性接着剤
260 上方プレート
図1
図2
図3
図4
図5