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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116476
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ガスオーブン
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20240821BHJP
   F24C 3/02 20210101ALI20240821BHJP
【FI】
F24C15/10 A
F24C3/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022112
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】谷 秀樹
(57)【要約】
【課題】操作部の上部に流れ込んだ水等が操作部の後方から後ケースへ向けて流れることを抑制することができるガスオーブンを提供する。
【解決手段】操作部10の後ケース30は、前ケース20の上壁部24の下側に組み付けられて、内部に電装基板51を収納する。前ケース20の上壁部24の後端部241は、後ケース30の後壁321よりも後方に位置する。後端部241には上方に突出して左右方向に延びる突出部242が設けられる。調理時の噴きこぼれ等に起因する水等がビルトインコンロからガスオーブンへ向けて流れた場合、水等は操作部10の上壁部24に流れ込む。突出部242は、操作部10の後方から後ケース30へ向けて流れる水等をせき止め、操作部10内の電装基板51を水没から保護する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に開口部を有する焼成庫と、前記焼成庫の前側に、下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられ、閉状態で前記開口部を閉塞するオーブン扉と、前記オーブン扉の上側で且つ前記焼成庫の前記開口部の上側に固定され、ハーネスを介してコントローラと電気的に接続される操作部とを備えるガスオーブンにおいて、
前記焼成庫の前記開口部の上側には、少なくとも、面方向が前方を向く背壁部を有する取付板部が設けられ、
前記操作部は、
操作ボタンを備える前面部と、前記前面部の左右両端からそれぞれ後方に延出する左右の側面部と、前記前面部の上端から後方に延出し、前記左右の側面部に接続する上面部とを備え、前記取付板部に固定される前ケースと、
前記前面部の後ろ側に配置される背面部と、前記背面部の下端から前方に延出する底面部とを備え、前記前ケースの後ろ側に固定される後ケースと、
前記前ケースと前記後ケースとの間に収納される一又は複数の電装基板と
を備え、
前記前ケースの前記上面部のうち前後方向における後端側の部分である上面後端部は、前記後ケースの前記背面部よりも前後方向の後方に位置しており、
前記上面後端部は、上方に突出して左右方向に延びる突出部を有すること
を特徴とするガスオーブン。
【請求項2】
前記突出部は、前記上面後端部の左端の位置から右端の位置に連続して延びること
を特徴とする請求項1に記載のガスオーブン。
【請求項3】
前記突出部は、前記上面後端部の後端に沿って形成されたこと
を特徴とする請求項2に記載のガスオーブン。
【請求項4】
前記後ケースの前記背面部には、後方へ向けて突出する一又は複数の突起部が設けられ、
前記前ケースが前記取付板部に固定された状態で、
前記突起部の先端部は前記取付板部の前記背壁部に当接し、前記取付板部の前記背壁部と前記後ケースの前記背面部との間に間隙を形成すること
を特徴とする請求項3に記載のガスオーブン。
【請求項5】
前記前ケースの上端は、前記後ケースの上端よりも後方、且つ前記取付板部の前記背壁部の上端の上方に位置し、
前記前ケースの上端と、前記背壁部の上端との間に、前記間隙と外部とを連通する第一連通部を有し、
前記後ケースの下端と、前記取付板部の前記背壁部の下端との間に、前記間隙と外部とを連通する第二連通部を有し、
前記第一連通部は、前記間隙と外部とを連通する開口部分を前記操作部の後方へ向けて開口すること
を特徴とする請求項4に記載のガスオーブン。
【請求項6】
前記取付板部は、前記背壁部の上端から後方に延出し、面方向が上方を向く天壁部を有すること
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のガスオーブン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスオーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルトインタイプのガスオーブンは、上部にガスコンロを配置する。調理時、加熱した鍋からガスコンロの天板に噴きこぼれ等が生ずる場合がある。吹きこぼれた水等は、ガスコンロの前面を伝ってガスオーブンの天面に流れ込む場合がある。
【0003】
例えば特許文献1に記載の加熱調理器は、コントロールパネルの天面部で、キャビネットの天面部の外縁部との継ぎ合わせ部となる外縁部に、上方に向けて開口する溝を有する。噴きこぼれた水等が溝内に流れ込むことで、加熱調理器は、コントロールパネル内の電装部品に対する防水性能を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4884555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、噴きこぼれによって多量の水等が溝内に流れ込んだ場合、水等を溝内に収容しきれず、溝から溢れさせてしまうと、コントロールパネル内の電装部品に水等がかかってしまう可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、操作部の上部に流れ込んだ水等が操作部の後方から後ケースへ向けて流れることを抑制することができるガスオーブンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明のガスオーブンは、前側に開口部を有する焼成庫と、前記焼成庫の前側に、下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられ、閉状態で前記開口部を閉塞するオーブン扉と、前記オーブン扉の上側で且つ前記焼成庫の前記開口部の上側に固定され、ハーネスを介してコントローラと電気的に接続される操作部とを備えるガスオーブンにおいて、前記焼成庫の前記開口部の上側には、少なくとも、面方向が前方を向く背壁部を有する取付板部が設けられ、前記操作部は、操作ボタンを備える前面部と、前記前面部の左右両端からそれぞれ後方に延出する左右の側面部と、前記前面部の上端から後方に延出し、前記左右の側面部に接続する上面部とを備え、前記取付板部に固定される前ケースと、前記前面部の後ろ側に配置される背面部と、前記背面部の下端から前方に延出する底面部とを備え、前記前ケースの後ろ側に固定される後ケースと、前記前ケースと前記後ケースとの間に収納される一又は複数の電装基板とを備え、前記前ケースの前記上面部のうち前後方向における後端側の部分である上面後端部は、前記後ケースの前記背面部よりも前後方向の後方に位置しており、前記上面後端部は、上方に突出して左右方向に延びる突出部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明のガスオーブンは、請求項1に係る発明の構成に加え、前記突出部は、前記上面後端部の左端の位置から右端の位置に連続して延びることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明のガスオーブンは、請求項2に係る発明の構成に加え、前記突出部は、前記上面後端部の後端に沿って形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明のガスオーブンは、請求項3に係る発明の構成に加え、前記後ケースの前記背面部には、後方へ向けて突出する一又は複数の突起部が設けられ、前記前ケースが前記取付板部に固定された状態で、前記突起部の先端部は前記取付板部の前記背壁部に当接し、前記取付板部の前記背壁部と前記後ケースの前記背面部との間に間隙を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明のガスオーブンは、請求項4に係る発明の構成に加え、前記前ケースの上端は、前記後ケースの上端よりも後方、且つ前記取付板部の前記背壁部の上端の上方に位置し、前記前ケースの上端と、前記背壁部の上端との間に、前記間隙と外部とを連通する第一連通部を有し、前記後ケースの下端と、前記取付板部の前記背壁部の下端との間に、前記間隙と外部とを連通する第二連通部を有し、前記第一連通部は、前記間隙と外部とを連通する開口部分を前記操作部の後方へ向けて開口することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明のガスオーブンは、請求項1から5のいずれかに係る発明の構成に加え、前記取付板部は、前記背壁部の上端から後方に延出し、面方向が上方を向く天壁部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のガスオーブンによれば、調理時の噴きこぼれ等に起因する水等がガスコンロの天板から前面を伝い、ガスオーブンへ向けて流れた場合、水等はガスコンロとガスオーブンの隙間に入り込み、操作部の上面部に流れ込む。操作部の前ケースは、上面部の上面後端部に突出部を有する。上面後端部は後ケースの背面部よりも後方に位置する。故に水等は突出部に遮られ、突出部よりも後方へ流れにくい。故に突出部は、操作部の上部に流れ込んだ水等が操作部の後方から後ケースへ向けて流れることを抑制し、操作部内の電装基板を水没から保護することができる。
【0014】
また、多量の水等が操作部の上面部に流れ込んだ場合、水等は突出部を乗り越える可能性がある。突出部が設けられた上面後端部は、後ケースの背面部よりも前後方向の後方に位置する。水等は、突出部を乗り越え、上面後端部の後端から下方又は後ろ斜め下方に落ちると、取付板部に付着し、前面を伝って下方に流れるので、後ケースには付着しにくい。よって操作部は、前ケースと後ケースの間に収納される電装基板を水没等から保護することができる。
【0015】
請求項2に係る発明のガスオーブンによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、突出部が上面後端部の両端に延びるので、操作部の上面部に流れ込んだ水等を突出部でより確実にせき止めることができ、突出部よりも後方に流れにくくできる。故に突出部は、操作部の上部に流れ込んだ水等が操作部の後方から後ケースへ向けて流れることを抑制し、操作部内の電装基板を水没から保護することができる。
【0016】
請求項3に係る発明のガスオーブンによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、突出部が上面後端部の後端に沿って設けられているので、操作部の上面部に流れ込んだ水等を突出部でせき止めた場合に、突出部の前側に、より多くの水等を溜めることができ、突出部よりも後方に流れにくくできる。故に突出部は、操作部の上部に流れ込んだ水等が操作部の後方から後ケースへ向けて流れることを抑制し、操作部内の電装基板を水没から保護することができる。
【0017】
請求項4に係る発明のガスオーブンによれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、突起部によって、取付板部の背壁部と後ケースの背面部との間に間隙が形成される。上面後端部の後端を乗り越えた水等は、取付板部の背壁部を伝って下方に流れるが、間隙が突起部に確保されることによって、より後ケースに付着しにくい。よって操作部は、前ケースと後ケースの間に収納される電装基板を水没等から保護することができる。
【0018】
請求項5に係る発明のガスオーブンによれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、第一連通部、間隙及び第二連通部によって、後ケースと取付板部との間隙を大気が通過可能な通路が形成される。第二連通部は、間隙に流入する空気の流入口として機能し、第一連通部は、間隙から排出される空気の排出口として機能する。第一連通部、間隙及び第二連通部は、焼成庫からの熱気が通過する煙突としての機能を果たし、煙突効果によって、間隙内に流れ込んだ水等の流れ落ちる勢いを弱め、且つ熱を奪って乾燥させるので、水等は、より後ケースに付着しにくくなる。また、第一連通部は操作部の後方へ向けて開口する。突出部を乗り越え、上面後端部の後端から下方又は後ろ斜め下方に落ちる水等は、第一連通部から後方に排出される空気によって、第一連通部から間隙内に入りにくくなる。よって操作部は、前ケースと後ケースの間に収納される電装基板を水没等から保護することができる。
【0019】
請求項6に係る発明のガスオーブンによれば、請求項1から5のいずれかに記載の発明の効果に加え、上面後端部の後端を乗り越えた水等は、第一連通部から後方に排出される空気によって後方に押されて天壁部に流れやすくなるので、背壁部を伝って間隙内に入り込む水等の量が減る。そして天壁部に流れた水等は、焼成庫からの熱で温められた取付板部の熱や、第一連通部から後方に排出される温められた空気によって、天壁部において乾燥しやすい。よって天壁部の下方に配置される構成物は、水等の影響を受けにくい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】キッチンカウンタ100に組み込んだガスオーブン1の正面図である。
図2】オーブン扉6が閉じた状態のガスオーブン1の斜視図である。
図3】オーブン扉6が半開き状態のガスオーブン1の斜視図である。
図4】操作部10を上方右前方視した分解斜視図である。
図5】操作部10を上方右後方視した分解斜視図である。
図6図2の操作部10付近のI-I線断面を後方右上方視した断面斜視図である。
図7図2の操作部10付近のI-I線断面を右側方視した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本実施形態では、図中に示す前後、左右、上下の向きを使用して説明する。
【0022】
図1に示すように、キッチンカウンタ100のカウンタトップ101の上面には開口(図示略)が設けられ、その開口にビルトインコンロ3が上方から落とし込まれて設置される。キッチンカウンタ100の正面のカウンタパネル102には縦長矩形状の開口部103が設けられる。開口部103の内側上部においてビルトインコンロ3の正面が露出する。ビルトインコンロ3の下方にはガスオーブン1が設置され、その正面が開口部103の内側下部において露出する。
【0023】
図2図3を参照し、ガスオーブン1の構造について説明する。ガスオーブン1は、本体部2、焼成庫5(図3参照)、オーブン扉6、排気筒9、操作部10等を備える。本体部2は略直方体状の金属製の箱体である。本体部2の前面には、大きな矩形状の開口部2Aが形成される。開口部2A内には焼成庫5が設けられる。焼成庫5の前面には矩形状の開口部5Aが設けられる。焼成庫5の内側には開口部5Aを介して被調理物が収容される。
【0024】
オーブン扉6は正面視略矩形状に形成され、焼成庫5の下部前側にて下端側を軸として縦開きに開閉可能に設けられる(図3参照)。オーブン扉6の前面上部には、左右方向に延びる取手6Aが設けられる。オーブン扉6は閉状態で焼成庫5の開口部5Aを閉塞する。本体部2の内側において、焼成庫5の下方には燃焼装置(図示略)が設けられる。燃焼装置はガスバーナを備える。燃焼装置によって加熱された高温空気はファン(図示略)により焼成庫5内に流入する。これにより、焼成庫5の庫内温度が上昇して被調理物の加熱調理が行われる。
【0025】
排気筒9は焼成庫5の後部から本体部2の上面後部に設けられた開口部(図示略)を介して上方に延び、ビルトインコンロ3の排気部(図示略)と連結する。排気筒9は焼成庫5内と連通し、焼成庫5内から流出する高温空気をビルトインコンロ3の排気部内に流入させる。これにより、焼成庫5内から流出する高温空気は、排気筒9及びビルトインコンロ3の排気部を介して外部に排出される。
【0026】
操作部10は左右方向に延びる略角柱状に形成され、本体部2の前面上部に固定された取付板部7(図4参照)にネジ止めされる。ガスオーブン1を正面から見たとき、操作部10はオーブン扉6の上側に配置され、操作部10の左右両端部はオーブン扉6よりも左右両側に張り出す。操作部10の前面には後述の各種ボタンと表示部等が設けられ、使用者による操作の入力を受け付け、使用者に向けたメッセージ等が表示される。
【0027】
図4図5を参照し、取付板部7の形状について説明する。図4に示すように、取付板部7は、正面視左右方向に延びる略矩形状の金属板であり、本体部71、右延設部72、左延設部73、上側突出部74、下側突出部75を備える。本体部71は正面視左右方向に延びる略矩形状に形成される。本体部71の右端部には、略矩形状の右側ハーネス用開口76が設けられる。本体部71の左端部には、略矩形状の左側ハーネス用開口77が設けられる。
【0028】
本体部71の左右方向中央部からやや右側で且つ下端部寄りには、やや横長の略矩形状の係止穴78が設けられる。本体部71の左右方向中央部からやや左側で且つ下端部寄りにも、やや横長の略矩形状の係止穴79が設けられる。本体部71には6つの固定穴71Aが設けられる。
【0029】
右延設部72は本体部71の右端部から前方に突出し、右側面視上下方向に長い略矩形状に形成される。右延設部72には上下一対の固定穴72Aが設けられる。固定穴72Aは右延設部72を左右方向に貫通する。左延設部73は本体部71の左端部から前方に突出し、左側面視上下方向に長い略矩形状に形成される。左延設部73には上下一対の固定穴73Aが設けられる。固定穴73Aは左延設部73を左右方向に貫通する。上側突出部74は本体部71の上端部から後方に突出し、平面視左右方向に長い略帯状に形成される。下側突出部75は本体部71の下端部から前方に突出し、底面視左右方向に長い略帯状に形成される。
【0030】
図3に示すように、上記形状の取付板部7は、本体部2の前面上部に位置決めされ、6本のネジ8で、本体部71に設けられた6つの固定穴71Aを介して、本体部2の前面上部に設けられた本体側の6つの固定穴(図示略)に締結する。これにより、取付板部7が本体部2の前面上部に固定される。
【0031】
次に、操作部10の構成について説明する。操作部10は前ケース20と後ケース30を備え、前後方向に組み合わせて互いに固定されることによって、左右方向に長い略直方体状の箱体が形成される。操作部10の内側には、後述の3枚の電装基板51~53、ファン55等が収容される。
【0032】
前ケース20は、正面視左右方向に延び且つ後方に向けて開口する略直方体の箱状に形成される。前ケース20の材質は樹脂である。前ケース20は、前壁部21、右壁部22、左壁部23、上壁部24、下壁部25(図5図6参照)を備える。
【0033】
前壁部21は正面視左右方向に延びる略矩形状に形成される。前壁部21の前面には、電源ボタン21A、複数のボタン21B、複数の表示部21C、ファン用スリット21Dが設けられる。電源ボタン21A及び複数のボタン21Bは、前壁部21に対して前後方向に移動可能に支持される。表示部21Cは、電装基板52,53の表示器63,65のそれぞれの位置に対応して設けられ、7セグメント状のスリットで形成される。ファン用スリット21Dは、ファン55に相対する位置に設けられ、ファン55の駆動により操作部10内に外部空気を流入させる。前壁部21の前面には樹脂膜29が貼り付けられる。樹脂膜29は電源ボタン21A及び複数のボタン21Bを前壁部21に保持すると共に、前壁部21の前面を保護する。樹脂膜29には文字、記号、模様等の印刷が施される。
【0034】
右壁部22は前壁部21の右端部から後方に突出し、右側面視上下方向に長い略矩形状に形成される。右壁部22には上下一対の固定穴22Aが設けられる。固定穴22Aは右壁部22を左右方向に貫通する。左壁部23は前壁部21の左端部から後方に突出し、左側面視上下方向に長い略矩形状に形成される。左壁部23にも上下一対の固定穴23Aが設けられる。固定穴23Aは左壁部23を左右方向に貫通する。
【0035】
上壁部24は前壁部21の上端部から後方に突出し、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。上壁部24が後方に突出する長さは、右壁部22及び左壁部23が後方に突出する長さと同じ長さである。上壁部24の上面右側の後端寄りにはシート状の弾性部材24Aが固定され、上壁部24の上面左側の後端寄りにもシート状の弾性部材24Bが固定される。弾性部材24A,24Bの材質はゴムであるが、弾性を有する材質であれば他のものでもよい。弾性部材24A,24Bには、例えばビルトインコンロ3の底部が接触する。下壁部25は前壁部21の下端部から後方に突出し、底面視左右方向に長い略矩形状に形成される。下壁部25が後方に突出する長さは、上壁部24が後方に突出する長さよりも短い。
【0036】
後ケース30は、前ケース20と同様に正面視左右方向に長い略矩形状に形成され、前ケース20の後方に向けて開口する内側の領域と同等の大きさを有する。後ケース30の材質も樹脂である。前ケース20の背面且つ後ケース30の前面には、左側から順に、電装基板51~53、ファン55が配置される。電装基板51~53及びファン55は、前ケース20と後ケース30とを前後方向に組み合わせた箱体の内部に収容される。電装基板51~53のうち、中央の電装基板52の左右方向の幅が最も長く、左側の電装基板51の左右方向の幅が最も短い。
【0037】
電装基板51の前面中央には電源スイッチ61が設けられる。電源スイッチ61は、前ケース20の電源ボタン21Aの位置に対応する。電装基板51の前面の左端部には接続端子51Aが設けられる。電装基板51の前面の上端部には接続端子51Bが設けられる。電装基板52の前面には、複数のスイッチ62と複数の表示器63が設けられる。複数のスイッチ62は、前ケース20の表示部21Cより左側にあるボタン21Bと、表示部21Cの間にあるボタン21Bのそれぞれの位置に対応する。表示器63はそれぞれ、7セグメント状に基板上に配置された複数のLEDであり、前ケース20の表示部21Cのうち左側にある複数の表示部21Cの位置に対応する。電装基板52の前面の上端部の右側には接続端子52Aが設けられる。電装基板53の前面には、複数の表示器65と複数のスイッチ66が設けられる。表示器65も7セグメント状に基板上に配置された複数のLEDであり、前ケース20の表示部21Cのうち右側にある表示部21Cの位置に対応する。スイッチ66は、前ケース20の表示部21Cより右側にある複数のボタン21Bのそれぞれの位置に対応する。電装基板53の前面の右上角部には接続端子53Aが設けられる。
【0038】
後ケース30の背面において、上端部と右端部を除く部分には、膨出部32が設けられる。膨出部32は背面視左右方向に長い略矩形状に形成され、後ケース30の背面から後方に向かって箱状に膨出する。膨出部32は、後壁321、上壁322、右壁323、左壁324、下壁325を備える。後壁321は背面視左右方向に長い略矩形状に形成される。後壁321は、換気用スリット37、4つのボス部34、2つの取付爪35,36を備える。換気用スリット37は後壁321の左端側、すなわちファン55が配置される側とは反対側に設けられる。4つのボス部34は短軸円柱状に形成され、後壁321の背面の上端部において左右方向に間隔を空けて後方に突出して設けられる。取付爪35,36は、後壁321の背面の下端部において左右方向に間隔を空けて設けられる。取付爪35,36は、後方に突出し、屈曲して下方に延びる側面視上下逆L字状である。後壁321には、8つの固定穴30Aが左右方向に間隔を空けて設けられる。固定穴30Aは後壁321を前後方向に貫通する。
【0039】
上壁322は後壁321の上端部から前方に突出し、平面視左右方向に長い略帯状に形成される。右壁323は後壁321の右端部から前方に突出し、右側面視上下方向に延びる略帯状に形成される。上壁322の右端部と右壁323の上端部とが相互に接続する角部は円弧状に形成される。左壁324は後壁321の左端部から前方に突出し、左側面視上下方向に延びる略帯状に形成される。下壁325は後壁321の後端部から前方に突出し、底面視左右方向に長い略帯状に形成される。
【0040】
後ケース30の背面において、膨出部32の上側には上側部301が設けられ、右側には右側部302が設けられる。上側部301は、膨出部32の上壁322の前端部から上方に突出し、背面視左右方向に延びる略矩形状に形成される。右側部302は、膨出部32の右壁323の前端部から右方に突出し、背面視上下方向に延びる略矩形状に形成される。上側部301の右端部と右側部302の上端部は相互に直交して接続する。上側部301及び右側部302のそれぞれの背面は、膨出部32の後壁321の背面よりも前側に窪んで形成される。上側部301の背面の左側には段部33が設けられる。段部33は後方に向けて箱状に突出する。段部33の前後方向の長さは、膨出部32の上壁322の前後方向の長さよりも短い。
【0041】
上側部301の上端部には、開口溝311,312が設けられる。開口溝311は、電装基板53の接続端子53Aの位置に対応する。開口溝312は、電装基板52の接続端子52Aの位置に対応する。段部33の上端部には、開口溝313が設けられる。開口溝313は、電装基板51の接続端子51Bの位置に対応する。膨出部32の左壁324の前端部には、開口溝314が設けられる。開口溝314は、電装基板51の接続端子51Aの位置に対応する。開口溝311~313は背面視横長のスリット状に形成される。開口溝314は背面視縦長のスリット状に形成される。上側部301及び段部33には、4つの固定穴30Bが左右方向に間隔を空けて設けられる。固定穴30Bは上側部301及び段部33を前後方向に貫通する。
【0042】
ハーネス91~94は、複数の配線を1本の束にしたものである。なお、ハーネス91~94として束ねる配線の数は自由である。ハーネス91の一端部には端子91Aが設けられ、他端部は後方へ向けて延ばして配置される。ハーネス92の一端部には端子92Aが設けられ、他端部はハーネス91の一端部と共に端子91Aに接続される。ハーネス93の一端部には端子93Aが設けられ、他端部はハーネス92の一端部と共に端子92Aに接続される。ハーネス94の一端部には端子94Aが設けられ、他端部は後方へ向けて延ばして配置される。
【0043】
操作部10の組み立てについて説明する。ファン55は、前ケース20の右端部背面側に、2本のネジで固定される。電装基板51~53の接続端子51A,51B,52A,53Aには、それぞれ、ハーネス91~94の端子94A,93A,92A,91Aが接続される。電装基板51~53は、後ケース30の前面側に配置される。ハーネス91~93は、開口溝311,312,313を介して後ケース30の後方に引き出され、上側部301及び右側部302の背面に複数のクリップで固定される。ハーネス94は、開口溝314を介して後ケース30の後方に引き出される。後ケース30は前ケース20の内側に後方から挿入されて、ファン55の信号線(図示略)が、電装基板53に接続される。前ケース20と後ケース30は、内部に収容する電装基板51~53ごと複数のネジによって締結される。ハーネス91の他端部及びハーネス94の他端部は、それぞれ、後ケース30の右端部及び左端部において後方へ向けて延ばして配置される。前ケース20の前壁部21には、電源ボタン21A及び複数のボタン21Bが配置され、樹脂膜29が貼り付けられて、操作部10が組み立てられる。
【0044】
操作部10の取り付けについて説明する。組み立てられた操作部10は、取付板部7に対して前方から取り付けられる。後ケース30の右端側から後方へ向けて配置されたハーネス91の他端部は、取付板部7の右側ハーネス用開口76を介して本体部2の内部に挿入される。後ケース30の左端側から後方へ向けて配置されたハーネス94の他端部は、取付板部7の左側ハーネス用開口77を介して本体部2の内部に挿入される。ハーネス91,94の他端部は、本体部2内に設けられたコントローラ(図示略)に直接又は他の配線を介して接続される。
【0045】
後ケース30の背面に設けられた取付爪35,36は、それぞれ、取付板部7の本体部71に設けられた係止穴78,79に係止される。操作部10は、取付爪35,36の後方に突出する部分が係止穴78,79の下側の縁部に掛け留められることで、取付板部7に対して上下方向及び左右方向に位置決めされる。また、操作部10は、取付爪35,36を軸に上部が後方に縦回転され、後ケース30のボス部34が取付板部7に当接することで、前後方向に位置決めされる。そして前ケース20の右壁部22と左壁部23は、それぞれ、取付板部7の右延設部72と左延設部73のそれぞれの外側に配置される。操作部10の右方から2本のネジ14(図3参照)が、前ケース20の右壁部22の固定穴22Aを介して、取付板部7の右延設部72の固定穴72Aに締結される。また、操作部10の左方から2本のネジ15(図3参照)が、前ケース20の左壁部23の固定穴23Aを介して、取付板部7の右延設部72の固定穴73Aに締結される。これにより操作部10は、取付板部7を介してガスオーブン1に固定される(図2参照)。
【0046】
次に、操作部10における防水構造について説明する。図6図7に示すように、前ケース20の上壁部24の後端側の部分である後端部241は、後ケース30の後壁321よりも後方に位置する。前ケース20に後ケース30を組み付けた場合において、後端部241は、膨出部32の後壁321の背面と、取付板部7の本体部71の前面との間隙D1(後述)の幅と略同じ長さ分、後壁321よりも後方に突出する。すなわち、上壁部24の後端の位置は、前後方向において、取付板部7の本体部71の前面とほぼ同じ位置にある。
【0047】
後端部241の上面には、上方へ向けて突出する突出部242が設けられる。突出部242の突出長さは、上壁部24の厚みの略半分程度である。突出部242は後端部241の後端に沿って形成され、左右方向に延び、上壁部24の左端の位置から右端の位置に連続して延びる(図4図5参照)。このため突出部242は、前後方向の中間部分に設けられた場合と比べ、上壁部24の上面で突出部242より前側に、より広いスペースを確保できる。なお、上壁部24の後端寄りの位置には、弾性部材24A,24Bが固定されている。突出部242は、弾性部材24A,24Bと干渉する部位においては、弾性部材24A,24Bの側方及び前方の周囲を迂回することで、左右方向に連続して延びる。
【0048】
ガスオーブン1に操作部10が固定された状態で、取付板部7は、操作部10の後ケース30の背面及び底面を、後方及び下方から覆うように配置される。すなわち、後ケース30の膨出部32の後壁321及び上側部301の背面は、取付板部7の本体部71の前面と向き合って配置される。また、後ケース30の膨出部32の下壁325の底面は、取付板部7の下側突出部75の上面と向き合って配置される。操作部10は、ガスオーブン1の使用に伴う焼成庫5からの熱によって、本体部2内を通じて操作部10の後方から温められる。また、操作部10は、オーブン扉6の開閉に伴い、焼成庫5からの熱によって下方からも温められる。取付板部7は、操作部10に直接熱の影響が及びにくくなるように、操作部10と、ガスオーブン1の本体部2との間に位置し、操作部10の背面及び底面を覆うことで本体部2からの輻射熱を遮り、後ケース30の表面温度の上昇を抑制する。
【0049】
後ケース30は、膨出部32の後壁321の背面に設けられた4つのボス部34が、取付板部7の本体部71に当接することで、後壁321と本体部71との間に前後方向の間隙D1を形成する。また、後ケース30は、取付爪35,36が係止穴78,79によって上下方向に位置決められることで、膨出部32の下壁325と、取付板部7の下側突出部75との間に、上下方向の間隙D2を形成する。
【0050】
また、後ケース30の下壁325は、前端部分において下方に屈曲し、間隙D2の長さ以上に延びる屈曲部326を形成する。屈曲部326は、前面が前ケース20の下壁部25の後端に当接し、下端が下壁部25の底面より若干上方に位置する。取付板部7の下側突出部75は、前端が、屈曲部326の背面の位置よりも後方に位置するように、本体部71の下端部から突出する長さが調整されている。従って、下側突出部75の前端と、屈曲部326の背面との間には、上下方向に開口し、間隙D2内と外部とを連通する連通部T2が形成される。すなわち連通部T2の開口部分は、操作部10の下方へ向けて開口する。なお、ガスオーブン1において操作部10の下方にはオーブン扉6の上端部が位置し、開閉のため、操作部10の下面とオーブン扉6の上端部の上面との間に間隙が設けられている。
【0051】
また、取付板部7は、本体部71の上端の位置が、後ケース30の上端の位置、すなわち上側部301の上端の位置よりも下方に位置するように、その上下方向の長さが調整されている。後ケース30は、上側部301の上端が、上壁部24の底面に当接するように、前ケース20に組み付けられる。間隙D1は、後ケース30の上側部301の後方且つ前ケース20の上壁部24の下方に形成された、ハーネス91~93が配置される空間部分に対し、上下方向に接続する。また、前ケース20の上壁部24の後端は、取付板部7の本体部71の上端の上方に位置する。そして上壁部24の後端と本体部71の上端との間隙は、上側部301の後方且つ上壁部24の下方の空間部分と外部とを前後方向に連通する。上側部301の後方且つ上壁部24の下方の空間部分は、間隙D1内と外部とを連通する連通部T1として機能する。故に上壁部24の後端と本体部71の上端との間隙は、連通部T1が外部へ向けて開口する開口部分であり、操作部10の後方へ向けて開口する。取付板部7の上端部は上壁部24の後端の直下に位置し、上端部から後方に上側突出部74が延びる。そして、ガスオーブン1において本体部2の上方にはビルトインコンロ3が配置され、その底部が弾性部材24A,24Bに載置されるため、取付板部7の上側突出部74とビルトインコンロ3の底部との間に間隙が設けられる。
【0052】
このような構成によって、ガスオーブン1は、操作部10内の電装基板51~53を水没から保護することができる。例えば、ビルトインコンロ3における調理時の噴きこぼれ等に起因する水等が、ビルトインコンロ3の前面を伝ってガスオーブン1に流れる場合がある。図中の矢印W1に示すように、水等はビルトインコンロ3とガスオーブン1の隙間に入り込み、操作部10の上壁部24に流れ込む。水等は、矢印W2に示すように、上壁部24の上面を流れ、後端部241に到達した場合に、突出部242にせき止められる。突出部242は上壁部24の後端部241の両端間を左右方向に延びるので、せき止められた水等は、突出部242よりも後方へ流れにくい。突出部242は突出高さが上壁部24の厚みの略半分あるので、多くの量の水等をせき止めて、上壁部24の上面に溜めることができる。さらに、突出部242が後端部241の後端に沿って設けられたことで、上壁部24の上面に、より広いスペースを確保して、より多くの量の水等を溜めることができる。
【0053】
一方、上壁部24の上面に流れ込んだ水等の量が多く、突出部242を水等が乗り越えた場合、水等は突出部242の後面から後端部241の後面を伝い、連通部T1の開口部分を下方に滴り落ちる。後端部241の下方には取付板部7の本体部71の上端部が位置する。矢印W3に示すように、滴り落ちた水等は、本体部71の上端部から、前面を伝って間隙D1内を下方に流れる。ここで、下壁325と下側突出部75との間隙D2と、後壁321と本体部71との間隙D1は連通する。すなわち、操作部10と取付板部7は、操作部10の下部の連通部T2から間隙D2内に取り込まれる大気が、間隙D2、D1を通過させ、連通部T1を介して排出される、大気の流路Rを形成する。
【0054】
間隙D1,D2内では、ガスオーブン1の使用に伴う焼成庫5からの熱によって温められた大気が内部を上昇する。間隙D1,D2内で圧力差が生ずることで、連通部T2を介して間隙D2内にガスオーブン1の外部の冷たい大気が取り込まれる。間隙D2内に流入した大気は圧力差によって間隙D1内に移動する。そして間隙D1内の温められた大気は、連通部T1を介してガスオーブン1の外部に排出される。すなわち、連通部T1,T2及び間隙D1,D2が連通して大気が通過可能な流路Rを形成することによって、煙突効果が生ずる。間隙D1内に流れ込んだ水等は、煙突効果で生じた上昇気流によって、本体部71の前面を伝って流れ落ちる勢いが弱められ、且つ焼成庫5からの熱によって乾燥する。これにより、水等は後ケース30に付着しにくくなる。
【0055】
また、連通部T1は操作部10の後方へ向けて開口する。突出部242を乗り越え、上壁部24の後端部241の後端から下方に落ちる水等は、矢印W4に示すように、連通部T1から後方に排出される空気によって後方に飛ばされる場合がある。この場合、水等は、連通部T1から間隙D1内に入りにくくなる。水等は上側突出部74の上面に落ち、焼成庫5からの熱や、連通部T1から排出される温められた大気によって、上側突出部74において乾燥する。
【0056】
以上説明したように、調理時の噴きこぼれ等に起因する水等がビルトインコンロ3の天板から前面を伝い、ガスオーブン1へ向けて流れた場合、水等はビルトインコンロ3とガスオーブン1の隙間に入り込み、操作部10の上壁部24に流れ込む。操作部10の前ケース20は、上壁部24の後端部241に突出部242を有する。後端部241は後ケース30の後壁321よりも後方に位置する。故に水等は突出部242に遮られ、突出部242よりも後方へ流れにくい。故に突出部242は、操作部10の上部に流れ込んだ水等が操作部10の後方から後ケース30へ向けて流れることを抑制し、操作部10内の電装基板51~53を水没から保護することができる。
【0057】
また、多量の水等が操作部10の上壁部24に流れ込んだ場合、水等は突出部242を乗り越える可能性がある。突出部242が設けられた後端部241は、後ケース30の後壁321よりも前後方向の後方に位置する。水等は、突出部242を乗り越え、後端部241の後端から下方又は後ろ斜め下方に落ちると、取付板部7に付着し、前面を伝って下方に流れるので、後ケース30には付着しにくい。よって操作部10は、前ケース20と後ケース30の間に収納される電装基板51~53を水没等から保護することができる。
【0058】
突出部242が後端部241の両端に延びるので、操作部10の上壁部24に流れ込んだ水等を突出部242でより確実にせき止めることができ、突出部242よりも後方に流れにくくできる。故に突出部242は、操作部10の上部に流れ込んだ水等が操作部10の後方から後ケース30へ向けて流れることを抑制し、操作部10内の電装基板51~53を水没から保護することができる。
【0059】
突出部242が後端部241の後端に沿って設けられているので、操作部10の上壁部24に流れ込んだ水等を突出部242でせき止めた場合に、突出部242の前側に、より多くの水等を溜めることができ、突出部242よりも後方に流れにくくできる。故に突出部242は、操作部10の上部に流れ込んだ水等が操作部10の後方から後ケース30へ向けて流れることを抑制し、操作部10内の電装基板51~53を水没から保護することができる。
【0060】
ボス部34によって、取付板部7の本体部71と後ケース30の後壁321との間に間隙D1が形成される。後端部241の後端を乗り越えた水等は、取付板部7の本体部71を伝って下方に流れるが、間隙D1がボス部34に確保されることによって、より後ケース30に付着しにくい。よって操作部10は、前ケース20と後ケース30の間に収納される電装基板51~53を水没等から保護することができる。
【0061】
連通部T1、間隙D1,D2及び連通部T2によって、後ケース30と取付板部7との間隙D1,D2を大気が通過可能な流路Rが形成される。連通部T2は、間隙D2に流入する空気の流入口として機能し、連通部T1は、間隙D1から排出される空気の排出口として機能する。連通部T1、間隙D1,D2及び連通部T2は、焼成庫5からの熱気が通過する煙突としての機能を果たし、煙突効果によって、間隙D1内に流れ込んだ水等の流れ落ちる勢いを弱め、且つ熱を奪って乾燥させる。故に水等は、後ケース30に、より付着しにくくなる。また、連通部T1は操作部10の後方へ向けて開口する。突出部242を乗り越え、後端部241の後端から下方又は後ろ斜め下方に落ちる水等は、連通部T1から後方に排出される空気によって後方に飛ばされ、連通部T1から間隙D1内に入りにくくなる。よって操作部10は、前ケース20と後ケース30の間に収納される電装基板51~53を水没等から保護することができる。
【0062】
後端部241の後端を乗り越えた水等は、連通部T1から後方に排出される空気によって後方に押されて上側突出部74に流れやすくなるので、本体部71を伝って間隙D1内に入り込む水等の量が減る。そして上側突出部74に流れた水等は、焼成庫5からの熱で温められた取付板部7の熱や、連通部T1から後方に排出される温められた空気によって、上側突出部74において乾燥しやすい。よって上側突出部74の下方に配置される構成物は、水等の影響を受けにくい。
【0063】
なお、上記説明において、本体部71は本発明の「背壁部」の一例である。前壁部21は本発明の「前面部」の一例である。左壁部23及び右壁部22は本発明の「左右の側面部」の一例である。上壁部24は本発明の「上面部」の一例である。後壁321は本発明の「背面部」の一例である。下壁325は本発明の「底面部」の一例である。後端部241は本発明の「上面後端部」の一例である。ボス部34は本発明の「突起部」の一例である。間隙D1は本発明の「間隙」の一例である。連通部T1は本発明の「第一連通部」の一例である。間隙D2及び連通部T2は本発明の「第二連通部」の一例である。上側突出部74は本発明の「天壁部」の一例である。
【0064】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。突出部242の高さは上壁部24の厚みの略半分としたが、それより高くても低くてもよい。突出部242は上壁部24の後端部241において、後面に沿って形成したが、必ずしも後面に沿う構成でなくてもよい。突出部242は、上壁部24の左右両端に連続して延びるが、断続的に延びてもよいし、左右両端に達していなくてもよい。また、後端部241の後面に沿う突出部242の前側に、他の突出部を形成してもよく、あるいは複数形成し、後方に流れる水等の勢いを抑制できるようにしてもよい。左右方向に断続的に延びる突出部を前後方向において複数設け、且つ互い違いに配置し、水等が後方に流れる経路を延ばすことで、後端部241に達するまでの間に乾燥しやすくしてもよい。また、上壁部24の後端の位置は、前後方向において、取付板部7の本体部71よりも後方にあってもよい。上壁部24の左右両端部において、側面に沿って、前後方向に延びる突出部を設けてもよい。膨出部32の下壁325と、取付板部7の下側突出部75との間隙D2はなくてもよく、この場合、下側突出部75の後端部もしくは本体部71の下端部に複数の穴を形成し、連通部T2としてもよい。
【0065】
後ケース30にボス部34を設けず、取付板部7に設けてもよいし、あるいは取付板部7に操作部10を固定した状態で、ボス部34がなくても間隙D1が形成されるようにしてもよい。後ケース30に上側部301を設けず、膨出部32の後壁321が後ケース30の上端まで延び、前ケース20に組み付けた場合に上壁部24の底面に当接する構成でもよい。取付板部7の本体部71及び下側突出部75はそれぞれ後ケース30の背面の一部及び底面の一部を覆うが、後ケース30の背面全部及び底面の全部を覆う構成でもよい。この場合、本体部71の上端部及び下側突出部75の前端部に穴状の開口部あるいは切欠状の凹み部を形成し、それぞれ連通部T1,T2として機能させてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ガスオーブン
5 焼成庫
5A 開口部
6 オーブン扉
7 取付板部
10 操作部
20 前ケース
21 前壁部
21B ボタン
22 右壁部
23 左壁部
24 上壁部
30 後ケース
34 ボス部
51~53 電装基板
71 本体部
74 上側突出部
91~94 ハーネス
241 後端部
242 突出部
321 後壁
325 下壁
D1,D2 間隙
T1,T2 連通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7