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  • 特開-ノイズフィルタ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116485
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240821BHJP
   H01R 9/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
H05K5/03 A
H01R9/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022124
(22)【出願日】2023-02-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000201777
【氏名又は名称】双信電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英司
(72)【発明者】
【氏名】大久保 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】高山 慶次
【テーマコード(参考)】
4E360
5E086
【Fターム(参考)】
4E360AA10
4E360AB04
4E360AB22
4E360BA03
4E360BA04
4E360BB04
4E360BB23
4E360BC05
4E360BD05
4E360CA01
4E360EA18
4E360ED02
4E360GA03
4E360GA44
4E360GB99
5E086DD05
5E086JJ14
5E086JJ17
5E086LL18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】絶縁カバーを固定するための係合が外れることにより端子部が露出した場合、通電中の端子にユーザが誤って接触することを防止できるノイズフィルタ装置を提供する。
【解決手段】ノイズフィルタ装置は、ボディ16と、前記ボディに設けられる端子台14と、前記端子台を被覆する展開位置と前記端子台を露出させる収容位置との間で前記ボディに対してスライド可能なカバー部材12と、を備え、前記カバー部材が前記展開位置にある状態で、前記ボディが有する第1穴16hと、前記カバー部材が有する第2穴12hとにねじ部材20が挿通され、前記カバー部材が前記ボディにねじ止めされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに設けられる端子台と、
前記端子台を被覆する展開位置と前記端子台を露出させる収容位置との間で前記ボディに対してスライド可能なカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材が前記展開位置にある状態で、前記ボディが有する第1穴と、前記カバー部材が有する第2穴とにねじ部材が挿通され、前記カバー部材が前記ボディにねじ止めされる、
ノイズフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノイズフィルタ装置であって、
前記ボディは、前記カバー部材が裏側に収容される収容壁を有し、
前記カバー部材は、前記端子台と向かい合う面とは反対側の面に凸部を有し、
前記凸部は、前記カバー部材をユーザがスライドさせる際に用いられるとともに、前記カバー部材を前記収容位置まで前記ユーザがスライドさせた際に前記収容壁の端部に当接する、ノイズフィルタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のノイズフィルタ装置であって、
前記凸部の突出端は、前記収容壁の表面よりも突出している、ノイズフィルタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のノイズフィルタ装置であって、
前記端子台は第1方向に配列される複数の端子を有し、
前記カバー部材は、前記第1方向と交差する第2方向にスライド可能である、ノイズフィルタ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のノイズフィルタ装置であって、
前記収容壁は前記端部に切り欠きを有し、
前記カバー部材がスライドする方向である第2方向における前記凸部の寸法は、前記第2方向における前記切り欠きの寸法に対応する、ノイズフィルタ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のノイズフィルタ装置であって、
前記ねじ部材をさらに備える、ノイズフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子機器の端子台構造が開示されている。基台に設けられた端子台に形成される端子部を保護するため、絶縁カバーが形成されている。絶縁カバーが引き出されたとき、絶縁カバーの両側に設けられた溝が筐体の突起と係合することにより、絶縁カバーは固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-79976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された端子台構造によると、絶縁カバーを固定するための係合が外れることにより端子部が露出し得る。その場合、通電中の端子にユーザが誤って接触するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ノイズフィルタ装置であって、ボディと、前記ボディに設けられる端子台と、前記端子台を被覆する展開位置と前記端子台を露出させる収容位置との間で前記ボディに対してスライド可能なカバー部材と、を備え、前記カバー部材が前記展開位置にある状態で、前記ボディが有する第1穴と、前記カバー部材が有する第2穴とにねじ部材が挿通され、前記カバー部材が前記ボディにねじ止めされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通電中の端子にユーザが誤って接触することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施の形態に係るノイズフィルタ装置を例示する図である。
図2図2は、一実施の形態に係るノイズフィルタ装置を例示する図である。
図3図3Aおよび図3Bは、ノイズフィルタ装置の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施の形態によるノイズフィルタ装置について図面を用いて説明する。図1は、一実施の形態に係るノイズフィルタ装置10を例示する図である。端子台14がカバー部材12によって被覆されていない状態が図1には示されている。ノイズフィルタ装置10は、例えば、負荷装置と電源との間に挿入配置される。負荷装置としては、モータ等を駆動するインバータ装置等が挙げられるが、これに限定されない。負荷装置から発生するノイズが、ノイズフィルタ装置10によって低減される。
【0010】
ノイズフィルタ装置10は、カバー部材12と、端子台14と、ボディ16とを有する。端子台14は、ボディ16の両側に設けられる。カバー部材12は端子台14を被覆できる透明な端子カバーである。図1では、端子台14を露出させる収容位置にカバー部材12が位置している。その場合、カバー部材12は、ボディ16の一部を構成する収容壁16zの裏側に収容される。ボディ16の上面にはスイッチSWが設けられている。
【0011】
端子台14は、複数の端子18を有する。複数の端子18の各々には、端子ねじが備えられている。電源または負荷装置に電気的に接続される不図示の配線が、端子ねじを用いて端子18に固定される。複数の端子18は第1方向Dxに配列される。カバー部材12は第2方向Dyにスライド可能である。第2方向Dyは第1方向Dxと交差する。収容壁16zは、露出している面である表面16zsを有する。収容壁16zの表面16zsは、第1方向Dxおよび第2方向Dyに平行である。
【0012】
ボディ16は、上述した収容壁16zと、第1側壁16xと、第2側壁16yとを含む。第1側壁16xと、第2側壁16yとは、いずれも第3方向Dzに立設される。第3方向Dzは、第1方向Dxおよび第2方向Dyのいずれにも交差する。第3方向Dzは、上下方向に対応する。収容壁16zは、ボディ16の上部を閉塞する上蓋の一部によって構成される。第1側壁16xは、第1方向Dxおよび第3方向Dzに延在する。第2側壁16yは、第2方向Dyおよび第3方向Dzに延在する。第1側壁16xおよび第2側壁16yはいずれも複数のスリットSLを有する。スリットSLを介して放熱が行われ得る。
【0013】
端子台14は、収容壁16zの一端側と、収容壁16zの他端側とに位置している。端子台14は、第1側壁16xの上部に位置している。端子台14は、収容壁16zおよび第1側壁16xのいずれにも覆われていない。そのため、図1に示すようにカバー部材12が収容位置にある場合、端子台14は露出している。収容壁16zの端部16eは、端子台14を覆わない位置にある。カバー部材12が第2方向Dyにスライドされることによって、カバー部材12が収容壁16zから引き出されると、端子台14はカバー部材12により被覆され得る。
【0014】
カバー部材12は、凸部12cを有する。凸部12cは、端子台14と向かい合うカバー部材12の面とは反対側の面に形成されている。凸部12cは、カバー部材12の第2方向Dyにおける一端の近傍に設けられることが好ましい。凸部12cは、カバー部材12をユーザが第2方向Dyにスライドさせる際に、つまみとして用いられる。具体的には、ユーザが凸部12cをつまんで、第2方向Dyに凸部12cを移動させることにより、カバー部材12が第2方向Dyにスライドする。
【0015】
凸部12cは、カバー部材12を収容位置までユーザがスライドさせた際に、収容壁16zの端部16eに当接する。凸部12cが収容壁16zの端部16eに当接することにより、カバー部材12のスライドは制止される。すなわち、凸部12cは、ユーザがつまむつまみとして機能するだけでなく、スライドするカバー部材12のストッパとしても機能する。凸部12cがストッパとして機能するため、カバー部材12が収容壁16zの裏側に完全に収容されることが防止される。
【0016】
収容壁16zは、第2方向Dyにおける端部16eに切り欠き16nを有する。第2方向Dyは、カバー部材12がスライドする方向である。第2方向Dyにおける凸部12cの寸法は、第2方向Dyにおける切り欠き16nの寸法に対応する。したがって、カバー部材12が収容位置にある場合、凸部12cは切り欠き16nに格納される。凸部12cが切り欠き16nに格納されると、端子台14および複数の端子18は完全に露出される。
【0017】
ボディ16は、収容壁16zに第1穴16hを有する。カバー部材12は、第2穴12hを有する。カバー部材12が端子台14を被覆する展開位置にある状態で、第1穴16hと第2穴12hとにねじ部材20が挿通され、カバー部材12がボディ16にねじ止めされ得る。
【0018】
第1穴16hは、収容壁16zの端部16eの近傍に設けられることが好ましい。第2穴12hは、カバー部材12の端部の近傍に設けられることが好ましい。上述したように、凸部12cはカバー部材12の一端の近傍に位置する。第2穴12hはカバー部材12の他端の近傍に位置する。第2穴12hがカバー部材12の他端の近傍に設けられるため、カバー部材12の第2方向Dyにおける寸法を小さくできる。また、収容壁16zの第2方向Dyにおける寸法を小さくできる。
【0019】
図2は、一実施の形態に係るノイズフィルタ装置10を例示する図である。カバー部材12によって端子台14が被覆されていない状態が図2には示されている。図2では、端子台14を被覆する展開位置にカバー部材12が位置している。上述したように、ユーザが凸部12cを移動させることにより、カバー部材12が第2方向Dyにスライドする。カバー部材12が第2方向Dyにスライドすることにより、カバー部材12は、収容位置から展開位置へ変位し、または、展開位置から収容位置へ変位する。
【0020】
ノイズフィルタ装置10は、ねじ部材20を有する。カバー部材12が展開位置にある状態で、第1穴16hと第2穴12hとにねじ部材20が挿通され、カバー部材12がボディ16にねじ止めされる。図2は、カバー部材12がボディ16にねじ止めされた状態を示している。カバー部材12がボディ16にねじ止めされることにより、カバー部材12は移動できなくなり、カバー部材12は展開位置でボディ16に固定される。その場合、端子台14がカバー部材12により被覆されるため、通電中の端子18にユーザが誤って接触することを防止できる。
【0021】
図3Aおよび図3Bは、ノイズフィルタ装置10の一部を示す図である。ノイズフィルタ装置10を第1方向Dxから見た状態が、図3Aおよび図3Bには示されている。図3Aには、端子台14を露出させる収容位置にカバー部材12がある状態が示されている。カバー部材12が収容位置にある場合、収容壁16zの第1穴16hは、カバー部材12の第2穴12hの直上に位置していない。カバー部材12はボディ16にねじ止めされない状態である。端子台14が有する端子18は、カバー部材12に被覆されず、露出している。
【0022】
凸部12cは、収容壁16zの端部16eに形成された切り欠き16nに当接している。図3Aに示す例では、凸部12cの突出端12ceは、収容壁16zの表面16zsよりも高さZだけ突出している。凸部12cがこのように形成されているため、ユーザが凸部12cをつまみやすい。ユーザは、凸部12cをつまんで、カバー部材12を第2方向Dyにスライドさせることができる。カバー部材12が第2方向Dyにスライドすることにより、カバー部材12は収容位置から展開位置に変位することができる。
【0023】
図3Bには、端子台14を被覆する展開位置にカバー部材12がある状態が示されている。カバー部材12が展開位置にある場合、収容壁16zの第1穴16hは、カバー部材12の第2穴12hの直上に位置する。カバー部材12は、第1穴16hと第2穴12hとを挿通するねじ部材20により、ボディ16にねじ止めされている。端子台14が有する端子18は、カバー部材12に被覆されている。カバー部材12がボディ16にねじ止めされているため、カバー部材12は第2方向Dyにスライドし得ない。
【0024】
ねじ部材20が取り外されると、カバー部材12のボディ16への固定は解除される。ユーザは凸部12cを移動させることにより、カバー部材12を第2方向Dyにスライドさせることができる。カバー部材12が第2方向Dyにスライドすることにより、カバー部材12は、展開位置から収容位置へ変位することができる。
【0025】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0026】
(1)ノイズフィルタ装置(10)は、ボディ(16)と、前記ボディに設けられる端子台(14)と、前記端子台を被覆する展開位置と前記端子台を露出させる収容位置との間で前記ボディに対してスライド可能なカバー部材(12)と、を備え、前記カバー部材が前記展開位置にある状態で、前記ボディが有する第1穴(16h)と、前記カバー部材が有する第2穴(12h)とにねじ部材(20)が挿通され、前記カバー部材が前記ボディにねじ止めされる。これにより、通電中の端子にユーザが誤って接触することを防止できる。
【0027】
(2)前記ボディは、前記カバー部材が裏側に収容される収容壁(16z)を有し、前記カバー部材は、前記端子台と向かい合う面とは反対側の面に凸部(12c)を有し、前記凸部は、前記カバー部材をユーザがスライドさせる際に用いられるとともに、前記カバー部材を前記収容位置まで前記ユーザがスライドさせた際に前記収容壁の端部(16e)に当接してもよい。これにより、カバー部材が収容壁の裏側に完全に収容されることが防止される。
【0028】
(3)前記凸部の突出端(12ce)は、前記収容壁の表面(16zs)よりも突出してもよい。これにより、ユーザはカバー部材をスライドさせやすくなる。
【0029】
(4)前記端子台は第1方向(Dx)に配列される複数の端子(18)を有し、前記カバー部材は、前記第1方向と交差する第2方向(Dy)にスライド可能であってもよい。
【0030】
(5)前記収容壁は前記端部に切り欠き(16n)を有し、前記カバー部材がスライドする方向である第2方向における前記凸部の寸法は、前記第2方向における前記切り欠きの寸法に対応してもよい。
【0031】
(6)前記ノイズフィルタ装置は、前記ねじ部材をさらに備えてもよい。これにより、カバー部材をボディに固定することができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0033】
10…ノイズフィルタ装置 12…カバー部材
14…端子台 16…ボディ
18…端子 20…ねじ部材
図1
図2
図3