(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116497
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20240821BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022153
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】500562145
【氏名又は名称】東京海上日動あんしん生命保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 直記
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 瞬
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB61
5L055BB61
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保険に関する相談を望む顧客に対し、当該顧客のニーズに合った募集人の候補を提示することが可能な情報処理装置及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】複数の顧客端末とマッチングサーバとが、通信ネットワークNを介して相互接続している保険システムにおいて、マッチングサーバ200のマッチング実行部213は、顧客によって入力される属性情報や事前に登録されている各募集人の属性情報等を利用して、当該顧客と各募集人のマッチング度を算出し、マッチング度の高い募集人を、募集人の候補として選定する。ここで、マッチング度の算出においては、出願人らの鋭意調査・検証の結果、20代と60代以上の顧客は、他の世代の顧客と比べて同世代の募集人を好むという傾向が見出されたため、このような傾向がマッチング度に反映されるように、マッチングロジックが組み立てられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客と募集人とのマッチングを行う情報処理装置であって、
前記顧客の関連情報と前記募集人の関連情報とに基づいて、前記顧客と前記募集人とのマッチング度を算出するマッチング実行部を備え、
前記顧客の関連情報には、前記顧客の年齢が含まれ、
前記募集人の関連情報には、前記募集人の年齢が含まれ、
前記マッチング実行部は、
前記顧客と前記募集人との年齢差に基づいて、前記マッチング度を算出するように構成され、前記顧客の年齢に応じて、前記年齢差に基づいて前記マッチング度を算出する際の算出ロジックを決定する、情報処理装置。
【請求項2】
前記マッチング実行部は、
前記顧客の年齢から求まる前記顧客の年代に応じて、前記年齢差に基づいて前記マッチング度を算出する際の算出ロジックを決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
算出された前記マッチング度が所定値以上の募集人を、募集人の候補として前記顧客に通知する通知部をさらに備える、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記顧客の関連情報には、前記顧客が閲覧した記事のカテゴリが含まれ、
前記募集人の関連情報には、前記募集人の得意分野が含まれ、
前記マッチング実行部は、
前記顧客が閲覧した記事のカテゴリと、前記募集人の得意分野との比較結果に基づき、前記マッチング度を算出するように構成される、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記顧客の関連情報には、前記顧客の居住地が含まれ、
前記募集人の関連情報には、前記募集人が対応可能なエリアが含まれ、
前記マッチング実行部は、
前記顧客の居住地と、前記募集人が対応可能なエリアの比較結果に基づき、前記マッチング度を算出するように構成される、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記顧客の関連情報には、前記顧客の関心事項が含まれ、
前記募集人の関連情報には、前記募集人の得意分野が含まれ、
前記マッチング実行部は、
前記顧客の関心事項と、前記募集人の得意分野との比較結果に基づいて、前記マッチング度を算出するように構成される、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
顧客と募集人とのマッチングを行うコンピュータに、
前記顧客の関連情報と前記募集人の関連情報とに基づいて、前記顧客と前記募集人とのマッチング度を算出するステップを実行させるためのプログラムであって、
前記顧客の関連情報には、前記顧客の年齢が含まれ、
前記募集人の関連情報には、前記募集人の年齢が含まれ、
前記マッチング度を算出するステップにおいては、
前記顧客と前記募集人との年齢差に基づいて、前記マッチング度を算出し、前記顧客の年齢に応じて、前記年齢差に基づいて前記マッチング度を算出する際の算出ロジックを決定する、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生命保険や傷害保険、保険に付随する各種特約など、保険に関する相談を望む顧客は、保険代理店に直接赴き、保険募集人(以下、単に募集人)から保険商品の説明を受けるのが一般的である(例えば、特許文献1の段落番号0006等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保険代理店においては、このような顧客の訪問に対して適切な募集人(すなわち、顧客の所望する保険商品の知識を十分に有し、コミュニケーションを上手に取ることができる募集人)を欠く場合がある。かかる場合、顧客は、募集人から所望する保険商品について満足のいく説明を受けることができず、不満が残るとともに、その後の保険の契約手続などが円滑に進まない、という問題があった。
【0005】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、保険に関する相談を望む顧客に対し、当該顧客のニーズに合った募集人の候補を提示することが可能な情報処理装置等を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である情報処理装置は、顧客と募集人とのマッチングを行う情報処理装置であって、顧客の関連情報と募集人の属性情報とに基づいて、顧客と募集人とのマッチング度を算出するマッチング実行部を備え、顧客の関連情報には、顧客の年齢が含まれ、募集人の属性情報には、募集人の年齢が含まれ、マッチング実行部は、顧客の年齢から求まる顧客の年代に応じて、顧客と募集人との年齢差に対するマッチングの重みの設定を変更することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保険に関する相談を望む顧客に対し、当該顧客のニーズに合った募集人の候補を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る保険システムの概略構成を示す図である。
【
図2】マッチングサーバの機能モジュールを示すブロック図である。
【
図3】顧客データベースの登録内容を例示した図である。
【
図4】募集人データベースの登録内容を例示した図である。
【
図5】マッチングロジックテーブルを模式的に示した図である。
【
図7】募集人の候補の表示画面を例示した図である。
【
図8】マッチングサーバのメイン動作を示すフローチャートである。
【
図9】変形例に係る保険システムの概略構成を示す図である。
【
図10】管理サーバの営業支援機能に関わる機能モジュールを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
(1)実施形態の構成
図1は、本実施形態に係る保険システム1の概略構成を示す図である。
保険システム1は、保険に関する相談(例えば、ライフプランや新規の保険契約など)を望む顧客のニーズ等に応じて、適切な募集人の候補を提示するものであり、顧客端末100とマッチングサーバ200とを備えて構成される。
【0011】
顧客端末100とマッチングサーバ200とは、通信ネットワークNを介して相互接続されている。なお、顧客端末100の数は、本システム1を利用する顧客の数などに応じて任意に設定することが可能である。
【0012】
通信ネットワークNは、顧客端末100とマッチングサーバ200との間で相互に情報を送受信可能な通信網を含む。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0013】
顧客端末100は、保険に関する相談を行う顧客が利用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末、ハンドヘルドコンピュータデバイス、ウェアラブル端末、携帯電話、スマートフォンなどによって構成されている。顧客端末100は、本システム1を利用するために必要なソフトウェアやブラウザ等を備えている。顧客は、ソフトウェアやブラウザ等を動作させることで、本システム1が提供する各種サービスを享受する。ソフトウェアは、顧客端末100にインストールする構成であってもよいが、マッチングサーバ200等から通信ネットワークNを介してソフトウェアの一部または全部の機能が提供される構成(いわゆるSaaS(Software as a Service)など)であってもよい。
【0014】
マッチングサーバ(情報処理装置)200は、汎用的なコンピュータであり、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、通信ネットワークN上に分散する複数のコンピュータから構成されてもよい。マッチングサーバ200は、制御装置21と記憶装置22を備えている。制御装置21は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。
【0015】
制御装置21は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより、後述する各種の機能を実現する。記憶装置22は、ハードディスクドライブ等であり、制御装置21に実行させる各種プログラムや各種データを記憶する。
【0016】
図2は、マッチングサーバ200の機能モジュールを示すブロック図である。
図2に示すように、機能モジュールには、記憶部211、管理部212、マッチング実行部213、通知部214が含まれる。
【0017】
記憶部211は、顧客データベースDB1、募集人データベースDB2などを記憶する。
図3は、顧客データベースDB1の登録内容を例示した図である。
顧客データベースDB1には、本システム1を利用する各顧客の関連情報、具体的には各顧客の属性情報IF1及び閲覧履歴情報IF2が登録されている。
【0018】
各顧客の属性情報IF1は、各顧客が自分のニーズにあった募集人を検索するために、本システム1にアクセスしたときに各顧客が入力する情報である。
【0019】
顧客の属性情報IF1には、顧客ID、性別、年齢、居住地などの基本情報のほか、顧客の関心事項、募集人との希望の相談方式などの情報が登録されている。
【0020】
本実施形態では、顧客の関心事項として「家計見直し」、「節約」、「資産形成」、「教育資金」、「住宅資金」、「老後資金」、「介護」、「病気・けが」、「相続」の9つが選択可能(複数選択可)となっている。また、募集人との希望の相談方式については、「対面」、「オンライン」、「対面・オンラインのどちらでもよい」のいずれかを選択することが可能となっている。
【0021】
一方、顧客の閲覧履歴情報IF2には、顧客が本システム1にアクセスしたときに閲覧した記事ページのタイトルや、その記事ページのカテゴリなどが登録されている。
本実施形態では、記事ページのカテゴリとして、上述した顧客の関心事項と同じ項目、すなわち「家計見直し」、「節約」、「資産形成」、「教育資金」、「住宅資金」、「老後資金」、「介護」、「病気・けが」、「相続」が設定されている。なお、閲覧履歴情報IF2は、例えば直近分だけ、あるいは所定期間分(例えば、過去半年分など)を登録するようにしてもよい。
【0022】
図4は、募集人データベースDB2の登録内容を例示した図である。
募集人データベースDB2には、本システム1を利用する各募集人の関連情報、具体的には各募集人の属性情報IF3が登録されている。
募集人の属性情報IF3は、募集人によって事前登録される情報である。募集人の属性情報IF3には、募集人ID、名前、性別、年齢、血液型、家族構成、趣味、顔画像などの基本情報のほか、対応エリア、実績、得意分野、顧客評価などの情報が登録されている。
【0023】
対応エリアには、募集人が対応可能な地域(都道府県名など)が含まれる。
実績には、例えば保険業界歴(例えば、〇×年)、年間の相談対応件数(例えば、〇△件)、特に依頼の多い顧客の年代層(例えば、×△代)などが含まれる。
【0024】
得意分野については、上述した顧客の関心事項や記事ページのカテゴリと同じ項目、すなわち、「家計見直し」、「節約」、「資産形成」、「教育資金」、「住宅資金」、「老後資金」、「介護」、「病気・けが」、「相続」が設定可能(複数設定可)となっている。さらに、得意な順番も設定可能となっており、例えば、第1位の得意分野として「家計見直し」、第2位の得意分野として「資産形成」等と設定することが可能となっている。
【0025】
顧客評価については、例えば「1」~「5」の5段階の評価値が設定可能となっている。顧客評価を設定する際には、例えば所定期間(例えば、過去半年分など)で蓄積された顧客評価の平均値を利用することができる。
【0026】
管理部212は、顧客データベースDB1及び募集人データベースDB2に登録されている各種情報を管理する。管理部212は、例えば顧客や募集人から属性情報の新規登録指示や更新指示などを受け取ると、かかる指示に従い顧客データベースDB1や募集人データベースDB2の登録内容を更新する。
【0027】
マッチング実行部213は、顧客データベースDB1及び募集人データベースDB2を参照し、顧客と各募集人とのマッチング度を算出することにより、顧客のニーズにマッチする募集人の候補を選定する。
【0028】
図5は、マッチング実行部213が保持するマッチングロジックテーブルTa1を模式的に示した図である。
マッチングロジックテーブルTa1は、顧客と各募集人とのマッチング度を算出するために用いられる。
【0029】
マッチングロジックテーブルTa1には、マッチング項目と、マッチング内容と、付与ポイントがそれぞれ対応づけて登録されている。詳細は以下に説明するが、各項目の付与ポイントを合計することで、顧客と各募集人とのマッチング度が算出される。
【0030】
<(1)居住地>
居住地については、顧客の属性情報IF1に含まれる居住地及び顧客の希望の相談方式、募集人の属性情報IF3に含まれる対応エリアなどに基づいて、付与ポイントが決定される。具体的には、顧客の居住地が、募集人の対応エリア内である場合には、“20ポイント”が付与される。一方、顧客の居住地が、募集人の対応エリア外である場合には、ポイントが付与されない(すなわち、“0ポイント”)。
【0031】
もっとも、顧客の希望の相談方式が、「オンライン」または「対面・オンラインのどちらでもよい」に設定されている場合には、全ての募集人が対応可能となるため、この場合は全ての募集人に“20ポイント”が付与される。
【0032】
<(2)関心事項>
関心事項については、顧客の属性情報IF1に含まれる関心事項、募集人の属性情報IF3に含まれる得意分野などに基づいて、付与ポイントが決定される。
すでに説明したように、顧客が選択可能な関心事項と募集人が設定可能な得意分野の数、内容は一致する。
【0033】
関心事項の付与ポイントの決定方法について、
図5に示す算出テーブルTa2及びTa3を参照しながら説明する。
まず、顧客の関心項目の数に応じて、分母の値を決定する。例えば、顧客の関心事項の数が4つ(=“4項目”)の場合には、算出テーブルTa2に示すように、分母の値は“30”となる。なお、顧客の関心事項は、最大で9つ、最小で1つであるため、分母の最大値は“45”、最小値は“9”となる。
【0034】
次に、顧客の関心事項と募集人の得意分野の合致度合いに応じた点数に基づき、分子の値を決定する。ここで、「合致度合いに応じた点数」は、顧客の関心事項に合致した募集人の得意分野の順位に応じて決定される。具体的には、算出テーブルTa3に示すように、顧客の関心事項が、募集人の1位の得意分野と合致した場合には“9ポイント”が付与され、2位の場合には“8ポイント”が付与され、・・・9位の場合には“1ポイント”が付与される。分子の値は、合致度合いに応じた点数を合計したものであるであるから、例えば、募集人の1位と2位の得意分野の2項目が合致した場合には、“17”(=9+8)となる。
【0035】
上記のようにして分母、分子を決定した後、最後に60を乗ずることで、関心事項の付与ポイントを決定する。
例えば、顧客の関心事項の数が4つ(=“4項目”)であり、このうち募集人の1位と2位の得意分野の2項目が合致した場合には、分母の値は“30”となり、分子の値は“17”となるため、関心事項の付与ポイントは、“34ポイント”(=(17/30)×60)となる。
【0036】
<(3)閲覧履歴>
閲覧履歴については、顧客の閲覧履歴情報IF2に含まれる記事ページのカテゴリと、募集人の属性情報IF3に含まれる得意分野などに基づいて、付与ポイントが決定される。
すでに説明したように、記事ページのカテゴリと募集人が設定可能な得意分野の数、内容は一致する。
【0037】
閲覧履歴の付与ポイントの決定方法について説明すると、閲覧履歴情報IF2に登録されている記事ページのカテゴリと、募集人の得意分野の上位5項目のいずれかが合致していれば、1項目合致につき、2ポイントを付与される(最大10ポイント)。
【0038】
例えば、顧客が閲覧した記事ページが2つあり、2つの記事ページのカテゴリが、それぞれ募集人の得意分野の1位と、3位に合致している場合には、2つの記事ページのカテゴリのいずれも、募集人の得意分野の上位5項目に合致していることから、閲覧履歴のポイントは“4ポイント”(=2×2)となる。
【0039】
<(4)年齢>
年齢については、顧客の属性情報IF1に含まれる年齢と募集人の属性情報に含まれる年齢などに基づいて、付与ポイントが決定される。
【0040】
出願人らは、鋭意調査・検証の結果、特に20代と60代以上の顧客は、他の世代の顧客と比べて同世代の募集人を好む傾向が強いことを見出した。本実施形態では、このような傾向を年齢の付与ポイントに反映する。
【0041】
年齢の付与ポイントの決定方法について、
図6に示す算出テーブルTa4を参照しながら説明する。
【0042】
募集人の年齢が、顧客の年齢の±5歳以内の場合には、年齢差ポイント(すなわち、年齢差に起因するマッチング度)として“5ポイント”が付与される一方、募集人の年齢が、顧客の年齢の±10歳以内の場合には、年齢差ポイントとして“3ポイント”が付与される。
ただし、上述したように、顧客の年齢が20代もしくは60代以上である場合には、他の世代の顧客と比べて同世代の募集人を好む傾向が強いことから、年齢差ポイントが他の世代よりも高くなるように、算出テーブルTa4の値を設定している(算出テーブルTa4のハッチング行を参照)。具体的には、顧客の年齢が20代もしくは60代以上であり、かつ、募集人の年齢が顧客の年齢の±5歳または±10歳の場合には、年齢差ポイントとして、他の世代の2倍の“10ポイント”または“6ポイント”が付与される。なお、他の世代の2倍に設定する構成は、あくまで一例にすぎず、常に2倍とならないような適切な値(非線形関係)を設定してもよい。
【0043】
このように、
図6に示す算出テーブルTa4を利用して年齢の付与ポイント決定する方法では、まず、顧客の年齢に応じて該当する行を選択(算出ロジックを決定)し、選択した行を参照することで年齢差ポイント(年齢差に起因するマッチング度)を決定する。なお、顧客と募集人の年齢差の区分の仕方や、年齢差ポイントの設定などは、システム設計などに応じて任意に変更可能である。
【0044】
また、算出テーブルTa4を利用する代わりに、以下に示す顧客と募集人の年齢差と付与ポイントの基本関係式(A)を利用して年齢差ポイントを決定してもよい。
(±5以内,±6~±10,±10超え)=a*(5,3,0) ・・・(A)
a:重み
【0045】
例えば、算出テーブルTa4の例にあわせて重みを決定(すなわち、算出ロジックを決定)する場合であれば、顧客の年齢が20代もしくは60代以上である場合にはa=2、顧客の年齢がその他の年代である場合にはa=1に決定すればよい。
上記基本関係式(A)と各重みをマッチング実行部213に保持しておくことで、
図6に示すような算出テーブルTa4は不要となる。なお、基本関係式(A)では、顧客と募集人の年齢差が増大すると、年齢差ポイントが減少する単調減少の関係を示しているが、これに限る趣旨ではなく、単調増加、非減少、非増加、凹凸のある非線形な関係であってもよい。
【0046】
図2に戻り、マッチング実行部213は、各項目の付与ポイントを決定すると、これら各項目の付与ポイントを加算し、合計付与ポイント(すなわち、マッチング度)を算出して顧客のニーズにマッチする募集人の候補を選定する。一例として、マッチング実行部213は、マッチング度が設定された閾値以上(例えば、60ポイント以上)の募集人を、募集人の候補として選定する、あるいはマッチング度が最も高い募集人のみを、募集人の候補として選定することができる。なお、募集人の選定基準や、募集人の候補数は、任意に設定可能である。マッチング実行部213は、募集人の候補を選定すると、選定した募集人の候補とともにマッチング度を通知部214に送る。
【0047】
通知部214は、マッチング実行部213から募集人の候補及びマッチング度を受けと取ると、受け取った募集人の候補を検索キーとして募集人データベースDB2を検索し、対応する募集人の属性情報IF3を抽出する。通知部214は、抽出した属性情報IF3にマッチング度を付加し、顧客のニーズにあった募集人の候補として、顧客端末100に通知(提示)する。
【0048】
図7は、顧客端末100に表示される募集人の候補の表示画面P1を例示した図である。
表示画面P1には、最もマッチング度が高い募集人の候補の詳細が表示されている。具体的には、当該募集人の顔画像とともに、名前、年齢、家族構成、年間の相談対応件数、顧客の評価、得意分野などが表示されている。なお、顧客は、表示画面P1の並べ替えボタンB1をクリック等することで、表示される募集人の候補を切り替えことが可能となっている。その後、顧客は、気に入った募集人の候補を決定すると、相談予約に必要な事項(例えば、名前、住所、連絡先、相談日時、相談概要など)を入力し、相談申込の手続きを完了する。
【0049】
以上説明したように、上記構成によれば、顧客によって入力される属性情報や事前に登録されている各募集人の属性情報等を利用して、当該顧客と各募集人のマッチング度を算出し、マッチング度の高い募集人を、募集人の候補として顧客に提示する。ここで、マッチング度の算出においては、出願人らの鋭意調査・検証の結果、20代と60代以上の顧客は、他の世代の顧客と比べて同世代の募集人を好むという傾向が見出されたため、このような傾向がマッチング度に反映されるように、マッチングロジックが組み立てられている。このため、顧客は、煩雑な操作を強いられることなく、自身のニーズにマッチした募集人の候補の提示を受けることが可能となる。
以下、マッチングサーバ200の処理動作について図面を参照しながら説明する。
【0050】
(2)実施形態の動作
図8は、マッチングサーバ200のメイン動作を示すフローチャートである。
以下では、顧客が自分のニーズにあった募集人を検索するために、顧客端末100を利用して本システム1にアクセスし、自身の属性情報IF1や募集人の検索指示(すなわち、マッチングの実行指示)などを入力している場合を想定する。
【0051】
ステップS1において、マッチングサーバ200の管理部212は、顧客端末100から属性情報IF1を受信すると、顧客データベースDB1に登録する。
ステップS2において、マッチング実行部213は、マッチングの実行指示に従い、各募集人のマッチング度を求め、顧客のニーズにマッチする募集人の候補を選定する。なお、募集人の候補の選定方法については、すでに詳細を明らかにしたため、ここでは割愛する。
【0052】
ステップS3において、通知部214は、選定された募集人の候補の属性情報IF3を、募集人データベースDB2から抽出する。
【0053】
ステップS4において、通知部214は、抽出した募集人の候補の属性情報IF3にマッチング度を付加し、顧客のニーズにあった募集人の候補として顧客端末100に通知し、処理を終了する。
【0054】
B.変形例
図9は、変形例に保険システム1aの構成を例示した図である。
保険システム1aは、各募集人による営業活動(例えば、顧客との会話の進め方など)の支援を可能とするものであり、管理サーバ300及び募集人端末400を備える。その他の構成は、前掲
図1に示す保険システム1と同様であるため、対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0055】
管理サーバ300は、例えば汎用的なコンピュータであり、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。管理サーバ300は、CPUがROM当に格納されたプログラムを実行することにより、顧客と募集人との間で行われる保険に関する相談や契約などを管理する機能、募集人の営業活動を支援する機能(営業支援機能)などを実現する。なお、管理サーバ300とマッチングサーバ200は、それぞれ別に設けてもよいが、例えば管理サーバ300にマッチングサーバ200を搭載するなどして一体構成としてもよい。
【0056】
募集人端末400は、募集人が利用する端末であり、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末、ハンドヘルドコンピュータデバイス、ウェアラブル端末、携帯電話、スマートフォンなどによって構成されている。募集人端末400も、顧客端末100と同様、本システム1aを利用するために必要なソフトウェアやブラウザ等を備えている。
【0057】
図10は、管理サーバ300の営業支援機能に関わる機能モジュールを示すブロック図である。
図10に示すように、機能モジュールには、記憶部310、提案部320が含まれる。
【0058】
記憶部310には、各募集人の営業を支援するための営業支援情報IF4が格納されている。営業支援情報IF4は、これまでに高い営業実績を上げている模範的な募集人(以下、模範募集人)の行動を分析し、分析結果をもとに作成した情報であり、模範募集人が実践している行動パターンなどが含まれる。より具体的には、例えば模範募集人が顧客との面談の際に実践している質問の仕方や応酬話法、顧客に提供するデータなどが、営業支援情報として記憶部310に記憶されている。
【0059】
提案部320は、各募集人の要求に応じて、適切な営業支援情報を各募集人の募集人端末400に提供(リコメンド)する。
【0060】
以下、募集人が顧客とオンライン面談を行う場合を例に説明する。
例えば、募集人は、事前に登録された属性情報IF1などから、顧客の関心事項が「子供の誕生」であることを把握すると、募集人端末400を操作して、この関心事項から話を展開するために必要な情報を管理サーバ300に要求する。管理サーバ300の提案部320は、かかる要求を受け取ると、「子供の誕生」に関わる営業支援情報(例えば、顧客から引き出したい事項として“将来の子供の教育プラン”など)を記憶部310から抽出する。提案部320は、抽出した営業支援情報を、要求のあった募集人端末400に提供する。
【0061】
なお、営業支援情報の抽出方法としては、例えば関心事項と営業支援情報とを予め対応づけた支援テーブルなどを記憶部310に記憶し、これを利用する方法が考えられる。提案部320は、関心事項を検索キーとして支援テーブルを参照し、この関心事項に適した営業支援情報を抽出する。支援テーブルは、模範募集人の対応事例に基づいて作成すればよい。もしくは、営業成績の良い模範募集人、営業成績の良くない募集人のそれぞれの対応事例を学習データとして用いて機械学習により学習済みモデルを作成し、かかる学習済みモデルを用いて営業支援情報を取得するようにしてもよい。
【0062】
募集人端末400は、受け取った営業支援情報を表示装置などに表示する。募集人は、表示装置の表示内容を確認することで、顧客との面談において次にとるべき最適な行動(ネクストベストアクション)を把握することができ、顧客との面談を効率的かつ円滑に進めることが可能となる。
【0063】
C.その他
本発明は、上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態及び変形例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。また、本発明は、保険システムに限る趣旨ではなく、顧客との契約が存するあらゆるシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,1a…保険システム、100…顧客端末、200…マッチングサーバ、21…制御装置、22…記憶装置、211…記憶部、DB1…顧客データベース、DB2…募集人データベース、212…管理部、213…マッチング実行部、214…通知部、IF1…顧客の属性情報、IF2…閲覧履歴情報、IF3…募集人の属性情報、Ta1…マッチングロジックテーブル、Ta2,Ta3,Ta4…算出テーブル、P1…表示画面、B1…並べ替えボタン、300…管理サーバ、310…記憶部、IF4…営業支援情報、320…提案部、400…募集人端末