(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116498
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ドライバー及び電気光学装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/04 20060101AFI20240821BHJP
G09G 3/18 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
G09G3/04 N
G09G3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022155
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 和顕
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AA15
5C006AC01
5C006AC28
5C006BF01
5C006BF02
5C006BF04
5C006BF05
5C006BF08
5C006BF14
5C006BF16
5C006BF25
5C006BF26
5C006BF33
5C006BF34
5C006BF38
5C006EB01
5C006EC09
5C080AA10
5C080BB02
5C080DD15
5C080FF08
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080KK20
5C080KK21
(57)【要約】
【課題】評価専用の端子を設けずに透明電極の抵抗値を検出可能なドライバー等を提供すること。
【解決手段】ドライバー100は、第1端子TSaと、透明電極を介して第1端子TSaに接続される第2端子TSbと、第1駆動回路10aと、第2駆動回路10bと、モニター状態において第2端子TSbの電圧VTSbに基づいて透明電極の抵抗値を検出するモニター回路160とを含む。モニター状態は、第1端子TSaが第1駆動回路10aを介して第1高電位側電源電圧に接続され、第2端子TSbが第2駆動回路10bを介して第1高電位側電源電圧とは異なる第2高電位側電源電圧に接続される状態、又は、第1端子TSaが第1駆動回路10aを介して高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の一方に接続され、第2端子TSbが第2駆動回路10bを介して高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の他方に接続される状態である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
電気光学パネルに設けられた透明電極を介して前記第1端子に接続される第2端子と、
前記第1端子に接続され、前記第1端子を駆動する第1駆動回路と、
前記第2端子に接続され、前記第2端子を駆動する第2駆動回路と、
モニター状態において、前記第2端子の電圧に基づいて前記透明電極の抵抗値を検出するモニター回路と、
を含み、
前記モニター状態は、
前記第1端子が前記第1駆動回路を介して第1高電位側電源電圧に接続され、前記第2端子が前記第2駆動回路を介して前記第1高電位側電源電圧とは異なる第2高電位側電源電圧に接続される状態、又は、
前記第1端子が前記第1駆動回路を介して高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の一方に接続され、前記第2端子が前記第2駆動回路を介して前記高電位側電源電圧及び前記低電位側電源電圧の他方に接続される状態であることを特徴とするドライバー。
【請求項2】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記モニター回路は、
第1入力端子に比較判定電圧が入力される比較回路と、
前記第2端子と前記比較回路の第2入力端子との間に設けられ、前記モニター状態においてオンである第1スイッチと、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項3】
請求項2に記載されたドライバーにおいて、
前記モニター回路は、
前記第2端子と前記第2駆動回路の出力との間に設けられ、前記モニター状態においてオンである第2スイッチを含むことを特徴とするドライバー。
【請求項4】
請求項3に記載されたドライバーにおいて、
前記第2スイッチは、
前記透明電極に含まれる表示電極が前記第1駆動回路によって表示駆動されるとき、オフであることを特徴とするドライバー。
【請求項5】
請求項3に記載されたドライバーにおいて、
前記第2スイッチは、
前記第1端子と前記第2端子の間のオープンが検出されたとき、オンになることを特徴とするドライバー。
【請求項6】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記モニター回路は、
比較判定電圧を生成する電圧生成回路と、
前記比較判定電圧と前記第2端子の電圧とを比較する比較回路と、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項7】
請求項6に記載されたドライバーにおいて、
前記比較判定電圧の電圧値が設定される記憶回路を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
前記第1駆動回路は、
前記第1高電位側電源電圧のノードと前記第1端子との間に設けられる第1トランジスターと、
前記第1端子と前記低電位側電源電圧のノードとの間に設けられる第2トランジスターと、
を含み、
前記第2駆動回路は、
前記第2高電位側電源電圧のノードと前記第2端子との間に設けられる第3トランジスターと、
前記第2端子と前記低電位側電源電圧のノードとの間に設けられる第4トランジスターと、
を含み、
前記第1端子が前記第1駆動回路を介して前記第1高電位側電源電圧に接続され、前記第2端子が前記第2駆動回路を介して前記第2高電位側電源電圧に接続される前記モニター状態において、前記第1トランジスター及び前記第3トランジスターがオンであり、前記第2トランジスター及び前記第4トランジスターがオフであることを特徴とするドライバー。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
前記第1駆動回路は、
前記高電位側電源電圧のノードと前記第1端子との間に設けられる第1トランジスターと、
前記第1端子と前記低電位側電源電圧のノードとの間に設けられる第2トランジスターと、
を含み、
前記第2駆動回路は、
前記高電位側電源電圧のノードと前記第2端子との間に設けられる第3トランジスターと、
前記第2端子と前記低電位側電源電圧のノードとの間に設けられる第4トランジスターと、
を含み、
前記第1端子が前記第1駆動回路を介して前記高電位側電源電圧又は前記低電位側電源電圧の一方に接続され、前記第2端子が前記第2駆動回路を介して前記高電位側電源電圧又は前記低電位側電源電圧の他方に接続される前記モニター状態において、前記第1トランジスター及び前記第4トランジスターがオン及びオフの一方であり、前記第2トランジスター及び前記第3トランジスターがオン及びオフの他方であることを特徴とするドライバー。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
表示データと、前記モニター状態において前記第1端子に接続される電圧を設定する第1データと、前記モニター状態において前記第2端子に接続される電圧を設定する第2データとを記憶するデータ記憶部を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項11】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーにおいて、
前記抵抗値の異常が検出されたとき、外部の処理システムに対して異常の通知を行うインターフェース回路を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載されたドライバーと、
前記透明電極が設けられた前記電気光学パネルと、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバー及び電気光学装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透明基板に形成された表示パネルと、表示パネルを駆動する表示ドライバーと、を備える表示装置が開示されている。表示ドライバーの接続面に、信号伝送用のバンプとは別に第1評価用バンプ及び第2評価用バンプが設けられる。透明基板には、第1評価用バンプ及び第2評価用バンプに対応する位置に評価用電極が設けられる。COG実装後、表示ドライバーに設けられた抵抗値評価回路は、評価用電極を介した第1評価用バンプ及び第2評価用バンプ間の抵抗値に応じた評価信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、評価専用のバンプを設ける必要があり、表示パネルを駆動するための信号伝送用のバンプを評価用に用いることができないという課題がある。評価専用のバンプを設けることで、例えば、ドライバーのチップ面積が増える、或いはパネル側にも評価専用の電極を設ける必要がある等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、第1端子と、電気光学パネルに設けられた透明電極を介して前記第1端子に接続される第2端子と、前記第1端子に接続され、前記第1端子を駆動する第1駆動回路と、前記第2端子に接続され、前記第2端子を駆動する第2駆動回路と、モニター状態において、前記第2端子の電圧に基づいて前記透明電極の抵抗値を検出するモニター回路と、を含み、前記モニター状態は、前記第1端子が前記第1駆動回路を介して第1高電位側電源電圧に接続され、前記第2端子が前記第2駆動回路を介して前記第1高電位側電源電圧とは異なる第2高電位側電源電圧に接続される状態、又は、前記第1端子が前記第1駆動回路を介して高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の一方に接続され、前記第2端子が前記第2駆動回路を介して前記高電位側電源電圧及び前記低電位側電源電圧の他方に接続される状態であるドライバーに関係する。
【0006】
また本開示の他の態様は、上記のドライバーと、前記透明電極が設けられた前記電気光学パネルと、を含む電気光学装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の電気光学装置を含む電子機器の構成例。
【
図2】第1構成例における電気光学パネルのセグメント用透明電極の例と、そのセグメント用透明電極とドライバーの接続例。
【
図3】第1構成例における電気光学パネルのコモン用透明電極の例と、そのコモン用透明電極とドライバーの接続例。
【
図4】第1構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の構成例。
【
図5】第1構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例。
【
図7】第1構成例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図。
【
図10】コモン駆動回路及びモニター回路の詳細構成例。
【
図11】第2構成例における電気光学パネルのセグメント用透明電極の例と、そのセグメント用透明電極とドライバーの接続例。
【
図12】第2構成例におけるセグメント駆動回路とモニター回路の構成例。
【
図13】第2構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例と、透明電極の第1接続例。
【
図14】第1接続例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図。
【
図15】第2構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例と、透明電極の第2接続例。
【
図16】第2接続例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図。
【
図17】第2構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例と、透明電極の第3接続例。
【
図18】第3接続例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.ドライバー、電気光学装置及び電子機器
図1は、本実施形態の電気光学装置を含む電子機器の構成例である。電子機器500は、処理装置400と電気光学装置300とを含む。電気光学装置300は、電気光学パネル200とドライバー100とを含む。
【0010】
電気光学装置300としては、例えば、移動体に搭載されるクラスターパネル、或いは、ヘッドライト等の制御に用いられる液晶シャッターを想定できる。移動体は、二輪車、自動車、船舶、飛行機又はロボット等を含んでよい。クラスターパネルは、アイコン、数字、文字又はメーター等の情報を表示するためのパネルである。液晶シャッターは、光源と被照明物の間に設けられた液晶パネルであり、その液晶パネルが制御されることでヘッドライト等の配光又は照明光量が制御される。但し、電気光学装置300の用途はこれらに限定されない。
【0011】
電気光学パネル200は、パッシブ型の液晶パネルである。即ち、電気光学パネル200は、第1透明基板と、第1透明基板に対向する第2透明基板と、第1透明基板及び第2透明基板の間を満たす液晶とを含む。第1透明基板と第2透明基板には透明電極が設けられている。第1透明基板側の透明電極と、それに対向する第2透明基板側の透明電極との間に電圧が印加されると、その間の液晶の透過率が電圧に応じて変化する。透明基板は例えばガラス基板であり、透明電極は透明導電膜とも呼ばれ、例えばITOで構成される。ITOはIndium Tin Oxideの略である。
【0012】
ドライバー100は、透明電極に電圧を出力することで電気光学パネル200を駆動する。ドライバー100は、例えば、複数の回路素子が半導体基板に集積された集積回路装置である。ドライバー100は、電気光学パネル200の第1ガラス基板又は第2ガラス基板にCOG実装される。但し、ドライバー100と電気光学パネル200はフレキシブル基板等を介して接続されてもよい。なお、本開示における「接続」は電気的な接続である。電気的な接続とは、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は受動素子又は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0013】
ドライバー100は、インターフェース回路110と制御回路120とデータ記憶部130とラインラッチ140とセグメント駆動回路150とモニター回路160とコモン駆動回路170と記憶回路180と発振回路190とを含む。
【0014】
モニター回路160は、電気光学パネル200に設けられた透明電極の抵抗値を検出することで、電気光学パネル200の経時変化をモニターする。以下、このモニター動作を抵抗モニターとも呼ぶ。モニター回路160は、コモン駆動回路170の出力及びセグメント駆動回路150の出力を含む複数の出力のうち、任意の1又は複数の出力に対して、抵抗モニターを実施可能である。
【0015】
インターフェース回路110は、ドライバー100と処理装置400の間の通信を行う。具体的には、インターフェース回路110は、各セグメント電極の表示を制御する表示データを処理装置400から受信する。例えばスタティック駆動の場合、表示データは、セグメント電極の表示をオン又はオフにするデータである。或いはスタティック駆動においてPWM駆動を行う場合には、表示データは、セグメント電極の表示階調を設定するデータである。またインターフェース回路110は、抵抗モニター時にセグメント駆動回路150の出力状態を設定する第1データ及び第2データを処理装置400から受信してもよい。インターフェース回路110の通信方式としては、例えばI2C(Inter Integrated Circuit)方式、又はSPI(Serial Peripheral Interface)方式等のシリアルインターフェース方式を採用できる。或いはインターフェース回路110の通信方式としてパラレルインターフェース方式を採用してもよい。インターフェース回路110は、これらの通信方式を実現する入出力バッファー回路及び制御回路を含むことができる。
【0016】
なお、処理装置400は、ドライバー100のホスト装置であり、例えばプロセッサー又は表示コントローラー等である。プロセッサーはCPU又はマイクロコンピューター等である。
【0017】
記憶回路180は、ドライバー100の動作設定を行うための設定情報である。設定情報は、例えば、抵抗モニターに用いられる比較判定電圧の電圧値を設定する情報を含む。或いは、設定情報は、複数の出力のうち抵抗モニターの対象とする出力を設定する情報を含む。或いは、設定情報は、抵抗モニター時にセグメント駆動回路150の出力状態を設定する第1データ及び第2データを含む。記憶回路180は、レジスター、揮発性メモリー又は不揮発性メモリー等である。揮発性メモリーはSRAM又はDRAM等である。不揮発性メモリーはOTPメモリー又はEEPROM等である。例えば、処理装置400がインターフェース回路110を介してレジスター又は揮発性メモリーに設定情報を書き込んでもよい。或いは、ドライバー100、電気光学装置300又は電子機器500の製造時等において、不揮発性メモリーに設定情報が書き込まれてもよい。
【0018】
制御回路120は、ロジック回路であり、発振回路190から入力されるクロック信号に基づいて動作する。制御回路120は、ドライバー100が電気光学パネル200を駆動する際の駆動タイミングを制御する。具体的には、制御回路120は、表示データ、又は第1データ及び第2データをデータ記憶部130に記憶させる。また制御回路120は、各フレームにおいて、そのフレームの駆動データに対応した駆動信号をセグメント駆動回路150から出力させる制御を行う。また制御回路120は、フレーム毎に駆動極性を反転させる制御を行う。
【0019】
データ記憶部130は、制御回路120からの駆動データを記憶する。データ記憶部130は、いわゆる表示データRAMである。或いは、データ記憶部130はレジスターであってもよい。ラインラッチ140は、データ記憶部130から読み出された1フレーム分の駆動データをラッチする。
【0020】
セグメント駆動回路150は、ラインラッチ140にラッチされた駆動データに基づいて、電気光学パネル200のセグメント用の透明電極に対する信号出力を行う。即ち、セグメント駆動回路150は、表示データに対応したセグメント駆動信号をセグメント端子から出力することで、セグメント電極を駆動する。駆動方式は、スタティック駆動、PWM駆動又はデューティー駆動など、様々であってよい。またセグメント駆動回路150は、透明電極により接続される2つの端子の一方に、第1データにより設定される第1電圧を出力し、2つの端子の他方に、第2データにより設定される第2電圧を出力する。このモニター状態において、モニター回路160が2つの端子の一方又は他方の電圧を検出することで、2つの端子の間に接続された透明電極の抵抗値を検出する。
【0021】
コモン駆動回路170は、電気光学パネル200のコモン電極を駆動する。即ち、コモン駆動回路170は、極性に応じたコモン駆動信号をコモン端子から出力することで、コモン電極を駆動する。
【0022】
モニター回路160は、抵抗モニターにおいて透明電極の抵抗値の異常を検出したとき、異常を示す信号を制御回路120へ出力する。制御回路120は、インターフェース回路110を介して電気光学装置300の外部の処理システムへ異常を通知する。外部の処理システムは処理装置400であってもよいし、或いはネットワークを介して接続された情報処理装置であってもよい。情報処理装置は、例えばPC又はスマートフォン等である。処理システムは、異常の通知を受けたとき、それに対応する処理を行う。例えば、処理システムは、電気光学パネル200の異常を報知する情報、或いは電気光学パネル200の交換を促す情報を、処理システムのディスプレイに表示する。或いは処理システムは、上記情報を、電気光学装置300に表示させてもよい。
【0023】
2.第1構成例
図2は、第1構成例における電気光学パネルのセグメント用透明電極の例と、そのセグメント用透明電極とドライバーの接続例である。電気光学パネル200は、セグメント電極ES1~ES7と、セグメント信号線LS1~LS4及びLS7~LS17とを含む。ドライバー100は、セグメント端子TS1~TS20を含む。
【0024】
ドライバー100は、電気光学パネル200のガラス基板に実装されている。具体的には、ドライバー100は集積回路装置であり、その半導体基板に設けられるパッドがセグメント端子TS1~TS20に相当する。そして、パッドが設けられた面が電気光学パネル200のガラス基板と向かい合うように、半導体基板が電気光学パネル200に実装される。このとき、セグメント端子TS1~TS20は、例えば金属バンプ等を介してセグメント信号線LS1~LS20に接続される。なお
図2では、本来は半導体基板に隠れて見えないセグメント端子等についても、図示している。
【0025】
セグメント電極ES1は、セグメント信号線LS1によりセグメント端子TS1に接続され、セグメント信号線LS2によりセグメント端子TS2に接続される。同様に、セグメント電極ES2、ES3、ES4、ES5、ES6、ES7は、セグメント信号線LS3、LS7、LS9、LS11、LS13、LS15によりセグメント端子TS3、TS7、TS9、TS11、TS13、TS15に接続され、セグメント信号線LS4、LS8、LS10、LS12、LS14、LS16によりセグメント端子TS4、TS8、TS10、TS12、TS14、TS16に接続される。セグメント端子TS17とTS18は、セグメント信号線LS17により接続される。
図2の例では、セグメント端子TS5、TS6、TS19及びTS20は、いわゆるNC端子である。NCはNon Connectionの略である。
【0026】
セグメント電極ES1~ES7及びセグメント信号線LS1~LS17は、ガラス基板上に設けられた透明電極である。この透明電極のうち、コモン電極に対して液晶を挟んで向かい合う部分がセグメント電極であり、そのセグメント電極とセグメント端子を接続する部分がセグメント信号線である。例えば、セグメント電極ES1とセグメント信号線LS1及びLS2は一体の透明電極で形成されている。このうち、後述する
図3のコモン電極EC1に向かい合う部分がセグメント電極ES1である。セグメント電極ES1~ES7は所定のアイコン形状を有している。セグメント駆動回路150が、表示データに基づいてセグメント電極ES1~ES7を駆動することで各アイコンが表示又は非表示に制御される。
図2には、セグメント電極ES1~ES7の組み合わせにより数字の0~9が表現される例を示す。
【0027】
なお、
図2には、セグメント電極に接続されないセグメント信号線LS17が抵抗モニター専用に設けられる例を示している。但し、後述のように本実施形態では表示用の透明電極を抵抗モニター用に兼用可能であるため、抵抗モニター専用のセグメント信号線LS17は省略されてもよい。
【0028】
図3は、第1構成例における電気光学パネルのコモン用透明電極の例と、そのコモン用透明電極とドライバーの接続例である。電気光学パネル200は、コモン電極EC1~EC7と、コモン信号線LC1~LC4とを含む。ドライバー100は、コモン端子TC1及びTC2を含む。
【0029】
コモン端子TC1及びTC2は、ドライバー100の半導体基板上に形成されたパッドである。コモン端子TC1、TC2は、例えば金属バンプ等を介してコモン信号線LC1、LC4に接続される。なお
図3では、本来は半導体基板に隠れて見えないコモン端子等についても、図示している。
【0030】
コモン電極EC2は、コモン信号線LC1によりコモン端子TC1に接続される。コモン電極EC2、EC1、EC7及びEC6は、コモン信号線LC2により直列に接続される。コモン電極EC6、EC5、EC4及びEC3は、コモン信号線LC3により直列に接続される。コモン電極EC3は、コモン信号線LC4によりコモン端子TC2に接続される。
【0031】
コモン電極EC1~EC7及びコモン信号線LC1~LC4は、ガラス基板上に設けられた透明電極である。この透明電極のうち、セグメント電極に対して液晶を挟んで向かい合う部分がコモン電極であり、コモン電極とコモン電極の間又はコモン電極間を接続する部分がコモン信号線である。コモン電極EC1~EC7の形状は、対向するセグメント電極ES1~ES7のアイコン形状と同じである。コモン駆動回路170が、制御回路120からの極性信号に基づいてコモン電極EC1~EC7を駆動する。
【0032】
図4は、第1構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の構成例である。なお、
図4ではラインラッチ140の図示を省略している。
【0033】
セグメント駆動回路150は、セグメント端子TS1~TS20に対応して設けられた駆動回路10-1~10-20を含む。
【0034】
駆動回路10-1~10-20の出力はセグメント端子TS1~TS20に接続される。駆動回路10-2、10-4、・・・、10-20の出力は、
図5で後述するスイッチSBを介してセグメント端子TS2、TS4、・・・TS20に接続されるが、
図4ではスイッチSBの図示を省略する。
【0035】
モニター回路160は、比較回路161とセレクター168とを含む。ここでは
図5で後述する電圧生成回路165の図示を省略している。
【0036】
セレクター168は、セグメント端子TS2、TS4、・・・TS20のいずれかを選択し、その選択したセグメント端子と比較回路161の入力とを接続する。セレクター168は、
図5で後述するスイッチSAに相当する。セグメント端子TS2、TS4、・・・TS20のうち任意の1又は複数のセグメント端子をモニター対象に設定可能である。複数のセグメント端子がモニター対象であるとき、セレクター168は、モニター対象の複数のセグメント端子を時分割に選択する。
【0037】
比較回路161は、セレクター168が選択したセグメント端子の電圧と比較判定電圧とを比較し、その結果を制御回路120へ出力する。
【0038】
なお、
図4にはセグメント駆動回路150に対して1つの比較回路が設けられた例を示したが、各駆動回路に対して1つずつ比較回路が設けられてもよいし、駆動回路10-1~10-20が複数のグループに分割され、各グループに対してセレクター及び比較回路が設けられてもよい。
【0039】
図5は、第1構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例である。なお、
図5ではラインラッチ140の図示を省略している。
【0040】
セグメント端子TSaとTSbは、
図2において電気光学パネル200の透明電極によって接続された任意の2つの端子である。駆動回路10aと10bは、セグメント端子TSaとTSbに対応して設けられた駆動回路である。例えば、セグメント端子TSaとTSbが
図2のセグメント端子TS1とTS2に対応するとき、駆動回路10aと10bは
図4の駆動回路10-1と10-2に対応する。
【0041】
駆動回路10aは、極性反転回路11aとラッチ回路12aとレベルシフター13aと出力ドライバー14aとを含む。
【0042】
極性反転回路11aは、制御回路120からの極性信号POLに基づいて、駆動データDTaを極性反転処理する。駆動データDTaは、表示データ、又は抵抗モニター用の第1データである。極性反転回路11aは、正極性のフレームにおいて、駆動データDTaと同じ論理レベルの信号を出力し、負極性のフレームにおいて、駆動データDTaの論理レベルを反転した信号を出力する。
【0043】
ラッチ回路12aは、制御回路120からのラッチパルスLPにより極性反転回路11aの出力信号をラッチし、そのラッチした信号を出力する。
【0044】
レベルシフター13aは、ラッチ回路12aの出力信号をレベルシフトする。極性反転回路11a及びラッチ回路12aはロジック用の電源電圧で動作し、出力ドライバー14aは、ロジック用の電源電圧より高い駆動用の電源電圧で動作する。レベルシフター13aは、ロジック用の電源電圧の信号レベルを、駆動用の電源電圧の信号レベルにレベルシフトする。
【0045】
出力ドライバー14aは、レベルシフター13aの出力信号をバッファリングして信号SQaとしてセグメント端子TSaに出力する。駆動データDTaが表示データであるとき、信号SQaは表示用のセグメント駆動信号であり、駆動データDTaが第1データであるとき、信号SQaは抵抗モニター用の第1電圧である。
【0046】
駆動回路10bは、極性反転回路11bとラッチ回路12bとレベルシフター13bと出力ドライバー14bとを含む。これらの構成及び動作は駆動回路10aと同様なので、以下概略のみ説明する。
【0047】
極性反転回路11bは極性信号POLに基づいて駆動データDTbを極性反転処理する。駆動データDTbは、表示データ、又は抵抗モニター用の第2データである。ラッチ回路12bは、制御回路120からのラッチパルスLPにより極性反転回路11bの出力信号をラッチする。レベルシフター13bは、ラッチ回路12bの出力信号をレベルシフトする。出力ドライバー14bは、レベルシフター13bの出力信号をバッファリングして信号SQbとして出力する。駆動データDTbが表示データであるとき、信号SQbは表示用のセグメント駆動信号であり、駆動データDTbが第2データであるとき、信号SQbは抵抗モニター用の第2電圧である。
【0048】
モニター回路160は、スイッチSA及びSBと、比較回路161と、電圧生成回路165とを含む。
【0049】
電圧生成回路165は、制御回路120からの制御信号CVRSが指示する電圧値の比較判定電圧VRSを生成し、その比較判定電圧VRSを比較回路161の第1入力端子へ出力する。電圧生成回路165は、例えば、ラダー抵抗と、ラダー抵抗が生成する複数の電圧のいずれかを制御信号CVRSに基づいて選択するスイッチ回路と、を含む。スイッチ回路により選択された電圧が、比較判定電圧VRSとして出力される。
【0050】
スイッチSAは、セグメント端子TSbと比較回路161の第2入力端子との間に設けられる。即ち、スイッチSAの一端はセグメント端子TSbに接続され、他端は第2入力端子に接続される。スイッチSAは、制御回路120からの制御信号CSAによりオン又はオフに制御される。スイッチSBは、セグメント端子TSbと出力ドライバー14bの出力との間に設けられる。即ち、スイッチSBの一端はセグメント端子TSbに接続され、他端は出力ドライバー14bの出力に接続される。スイッチSBは、制御回路120からの制御信号CSBによりオン又はオフに制御される。スイッチSA及びSBの各々は、例えば1又は複数のトランジスターで構成される。
【0051】
スイッチSAがオンであるとき、比較回路161の第2入力端子には、セグメント端子TSbの電圧VTSbがモニター電圧VMSとして入力される。比較回路161の第1入力端子には、電圧生成回路165からの比較判定電圧VRSが入力される。第1入力端子は非反転入力端子及び反転入力端子の一方であり、第2入力端子は非反転入力端子及び反転入力端子の他方である。比較回路161は、モニター電圧VMSと比較判定電圧VRSを比較し、その結果を信号CPSとして制御回路120へ出力する。セグメント端子TSaとTSbの間に接続された透明電極の寄生抵抗をRSとする。信号CPSは、抵抗RSの抵抗値が異常であるか否かを示す信号である。抵抗値の異常とは、電気光学パネル200の経年変化等によって透明電極の抵抗値が所定の抵抗値より高くなったことを意味する。所定の抵抗値は、比較判定電圧VRSによって設定される。
【0052】
図6は、比較回路の詳細構成例である。比較回路161は、比較器163とレベルシフター164と判定回路166とを含む。
【0053】
比較器163は、駆動用の電源電圧で動作し、モニター電圧VMSと比較判定電圧VRSを比較する。
【0054】
レベルシフター164は、比較器163の出力信号をレベルシフトする。即ち、レベルシフター164は、駆動用の電源電圧の信号レベルを、ロジック用の電源電圧の信号レベルにレベルシフトする。
【0055】
判定回路166は、ロジック用の電源電圧で動作し、レベルシフター164の出力信号に基づいて、抵抗RSの抵抗値が異常であるか否かを判定する。判定回路166は、比較器163の出力信号が所定条件を満たしたとき、抵抗RSの抵抗値が異常であると判定する。例えば、判定回路166は、比較器163の出力信号が一定時間以上、又は複数回、異常を示す論理レベルとなったとき、抵抗RSの抵抗値が異常であると判定する。
【0056】
図7は、第1構成例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図である。
図5の駆動回路10a、10b及びモニター回路160は、表示状態又はモニター状態に設定される。
【0057】
例えば
図4の駆動回路10-1及び10-2のようにセグメント電極を駆動する場合には、表示状態のみが設定されてもよいし、表示期間において表示状態が設定され且つモニター期間においてモニター状態が設定されてもよい。モニター期間は、例えばドライバー100の起動時である。電気光学パネル200が移動体に搭載される場合には、例えば移動体のエンジン又はモーターの始動時にドライバー100に電源が投入されることでドライバー100が起動し、このとき抵抗モニターが実施されてもよい。
【0058】
或いは
図4の駆動回路10-17及び10-18のように抵抗モニター専用のセグメント信号線が接続される場合には、表示状態は設定されずにモニター期間においてモニター状態が設定されてもよい。この場合のモニター期間は、ドライバー100の起動時に限らない。例えば、
図4のセグメント電極ES1等が表示駆動されているときに、抵抗モニター専用のセグメント信号線LS17に対して抵抗モニターが実施されてもよい。
【0059】
表示状態は、1線駆動と2線駆動を含む。1線駆動において、スイッチSAはオフであり、スイッチSBはオフであり、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは任意であってよい。即ち、1線駆動は、
図5の駆動回路10aのみによってセグメント電極を駆動する状態である。2線駆動において、スイッチSAはオフであり、スイッチSBはオンであり、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは駆動データDTaに等しい。即ち、2線駆動は、
図5の駆動回路10a及び10bによってセグメント電極を駆動する状態である。
【0060】
1線駆動と2線駆動は任意に選択されてもよいし、1線駆動において透明電極のオープンが検出されたときに2線駆動に切り替えられてもよい。「オープン」は断線とも呼ばれる。例えば、不図示のオープン検出回路が、1線駆動において駆動データDTaの論理レベルと端子TSbの信号の論理レベルを比較し、それらの論理レベルが異なっていた場合に透明電極のオープンと判断してもよい。或いは、1線駆動においてスイッチSAをオンし、モニター回路160をオープン検出に兼用してもよい。このとき、電圧生成回路165はオープン検出用の比較判定電圧VRSを出力してもよい。
【0061】
モニター状態において、スイッチSAはオンであり、スイッチSBはオンであり、駆動データDTaは第1データであり、駆動データDTbは第2データである。このとき、駆動回路10aは第1電圧の信号SQaを出力し、駆動回路10bは第2電圧の信号SQbを出力する。具体的には、第1データ及び第2データは、駆動回路10a及び10bの出力信号を(SQa,SQb)=(H,L)、(L,H)又は(H,H)に設定するデータである。Lは、ローレベル、つまり出力ドライバーの低電位側電源電圧を意味する。Hは、ハイレベル、つまり出力ドライバーの高電位側電源電圧を意味する。例えば、(SQa,SQb)=(H,L)であれば、第1電圧は高電位側電源電圧であり、第2電圧は低電位側電源電圧である。
【0062】
図8は、モニター状態の第1例である。
図8には、(SQa,SQb)=(H,L)に設定したときの例を示す。
【0063】
出力ドライバー14aは、高電位側電源電圧VLCDのノードとセグメント端子TSaの間に設けられるP型の第1トランジスターTPaと、セグメント端子TSaと低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられるN型の第2トランジスターTNaとを含む。低電位側電源電圧は、例えばグランド電圧であるが、高電位側電源電圧より低い電圧であればよい。出力ドライバー14bは、高電位側電源電圧VLCDのノードとセグメント端子TSbの間に設けられるP型の第3トランジスターTPbと、セグメント端子TSbと低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられるN型の第4トランジスターTNbとを含む。高電位側電源電圧VLCD及び低電位側電源電圧VSSは、例えばドライバー100内の不図示の電源回路から供給されてもよいし、ドライバー100の外部から供給されてもよい。
【0064】
本例においては、出力ドライバー14aの第1トランジスターTPaがオンであることで、出力ドライバー14aが高電位側電源電圧VLCDを出力する状態となっている。また出力ドライバー14bの第4トランジスターTNbがオンであることで、出力ドライバー14bが低電位側電源電圧VSSを出力する状態となっている。このとき、
図8の点線矢印に示す経路で電流が流れるので、第1トランジスターTPaのオン抵抗、透明電極の抵抗RS、及び第4トランジスターTNbのオン抵抗が、高電位側電源電圧VLCDと低電位側電源電圧VSSの間を分圧し、その結果、セグメント端子TSbの電圧VTSbが決まる。
【0065】
電圧生成回路165は、高電位側電源電圧VLCDと低電位側電源電圧VSSの間をラダー抵抗により分圧して比較判定電圧VRSを生成する。比較回路161は、セグメント端子TSbの電圧VTSbであるモニター電圧VMSと、比較判定電圧VRSとを比較する。比較回路161の出力信号CPSは、VTSb>VRSのとき、ハイレベル及びローレベルの一方であり、VTSb<VRSのとき、ハイレベル及びローレベルの他方である。透明電極の抵抗RSは経年変化によって徐々に高くなるので、セグメント端子TSbの電圧VTSbは徐々に低くなる。即ち、VTSb<VRSのとき電気光学パネル200は異常と判断される。
【0066】
図9は、モニター状態の第2例である。
図9には、(SQa,SQb)=(H,H)に設定したときの例を示す。
【0067】
出力ドライバー14aは、第1高電位側電源電圧VLCDAのノードとセグメント端子TSaの間に設けられるP型の第1トランジスターTPaと、セグメント端子TSaと低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられるN型の第2トランジスターTNaとを含む。出力ドライバー14bは、第2高電位側電源電圧VLCDBのノードとセグメント端子TSbの間に設けられるP型の第3トランジスターTPbと、セグメント端子TSbと低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられるN型の第4トランジスターTNbとを含む。第2高電位側電源電圧VLCDBの電圧値は、第1高電位側電源電圧VLCDAの電圧値と異なっていればよく、第1高電位側電源電圧VLCDAの電圧値より高くても低くてもよい。
図9には、第2高電位側電源電圧VLCDBの電圧値が、第1高電位側電源電圧VLCDAの電圧値より低い例を示す。第1高電位側電源電圧VLCDA、第2高電位側電源電圧VLCDB及び低電位側電源電圧VSSは、例えばドライバー100内の不図示の電源回路から供給されてもよいし、ドライバー100の外部から供給されてもよい。
【0068】
本例においては、出力ドライバー14aの第1トランジスターTPaがオンであることで、出力ドライバー14aが第1高電位側電源電圧VLCDAを出力する状態となっている。また出力ドライバー14bの第3トランジスターTPbがオンであることで、出力ドライバー14bが第2高電位側電源電圧VLCDBを出力する状態となっている。このとき、
図9の点線矢印に示す経路で電流が流れるので、第1トランジスターTPaのオン抵抗、透明電極の抵抗RS、及び第3トランジスターTPbのオン抵抗が、第1高電位側電源電圧VLCDAと第2高電位側電源電圧VLCDBの間を分圧し、その結果、セグメント端子TSbの電圧VTSbが決まる。
【0069】
電圧生成回路165及び比較回路161の動作は
図8の第1例と同様である。但し、第2例における比較判定電圧VRSの電圧値は、第1例における比較判定電圧VRSの電圧値と異なってもよい。
【0070】
図10は、コモン駆動回路及びモニター回路の詳細構成例である。コモン駆動回路170は、駆動回路20aと駆動回路20bとを含む。コモン端子TCa及びTCbは、例えば
図2のコモン端子TC1及びTC2に対応する。
【0071】
駆動回路20aは、極性反転回路21aとラッチ回路22aとレベルシフター23aと出力ドライバー24aとを含む。駆動回路20bは、極性反転回路21bとラッチ回路22bとレベルシフター23bと出力ドライバー24bとを含む。
【0072】
極性反転回路21aは、制御回路120からの極性信号POLに基づいて、制御回路120からのコモンデータCDTaを極性反転処理する。極性反転回路21bは、制御回路120からの極性信号POLに基づいて、制御回路120からのコモンデータCDTbを極性反転処理する。表示状態において、(CDTa,CDTb)=(H,H)である。モニター状態において、コモンデータCDTaは第1データであり、コモンデータCDTbは第2データである。即ち、(CDTa,CDTb)=(H,L)、(L,H)又は(H,H)である。
【0073】
ラッチ回路22a、22b及びレベルシフター23a、23bの動作は、
図5のラッチ回路12a、12b及びレベルシフター13a、13bの動作と同様である。
【0074】
出力ドライバー24aは、レベルシフター23aの出力信号をバッファリングして信号CQaとしてコモン端子TCaに出力する。表示状態において信号CQaは表示用のコモン駆動信号であり、モニター状態において信号CQaは抵抗モニター用の第1電圧である。出力ドライバー24bは、レベルシフター23bの出力信号をバッファリングして信号CQbとしてコモン端子TCbに出力する。表示状態において信号CQbは表示用のコモン駆動信号であり、モニター状態において信号CQbは抵抗モニター用の第2電圧である。
【0075】
モニター回路160は、スイッチSCA及びSCBと、比較回路162と、電圧生成回路169とを含む。
【0076】
電圧生成回路169は、制御回路120からの制御信号CVRCが指示する電圧値の比較判定電圧VRCを生成し、その比較判定電圧VRCを比較回路162の第1入力端子へ出力する。電圧生成回路169は、例えば、ラダー抵抗と、ラダー抵抗が生成する複数の電圧のいずれかを制御信号CVRCに基づいて選択するスイッチ回路と、を含む。スイッチ回路により選択された電圧が、比較判定電圧VRCとして出力される。
【0077】
スイッチSCAは、コモン端子TCbと比較回路162の第2入力端子との間に設けられる。即ち、スイッチSCAの一端はコモン端子TCbに接続され、他端は第2入力端子に接続される。スイッチSCAは、制御回路120からの制御信号CSCAによりオン又はオフに制御される。スイッチSCBは、コモン端子TCbと出力ドライバー24bの出力との間に設けられる。即ち、スイッチSCBの一端はコモン端子TCbに接続され、他端は出力ドライバー24bの出力に接続される。スイッチSCBは、制御回路120からの制御信号CSCBによりオン又はオフに制御される。スイッチSCA及びSCBの各々は、例えば1又は複数のトランジスターで構成される。
【0078】
スイッチSCAがオンであるとき、比較回路162の第2入力端子には、コモン端子TCbの電圧VTCbがモニター電圧VMCとして入力される。比較回路162の第1入力端子には、電圧生成回路169からの比較判定電圧VRCが入力される。第1入力端子は非反転入力端子及び反転入力端子の一方であり、第2入力端子は非反転入力端子及び反転入力端子の他方である。比較回路162は、モニター電圧VMCと比較判定電圧VRCを比較し、その結果を信号CPCとして制御回路120へ出力する。コモン端子TCaとTCbの間に接続された透明電極の寄生抵抗をRCとする。信号CPCは、抵抗RCの抵抗値が異常であるか否かを示す信号である。比較回路161の詳細構成例は
図6と同様である。また抵抗モニターの手法は、
図8又は
図9で説明した手法と同様である。
【0079】
なお、
図10ではセグメントの抵抗モニターに用いられる電圧生成回路165及び比較回路161とは別に、コモンの抵抗モニターに用いられる電圧生成回路169及び比較回路162を設ける例を示した。但し、セグメントとコモンで電圧生成回路が共用されてもよいし、比較回路が共用されてもよい。比較回路が共用される場合には、セグメントの抵抗モニターとコモンの抵抗モニターが時分割に実行される。
【0080】
以上の本実施形態では、ドライバー100は、第1端子と第2端子と第1駆動回路と第2駆動回路とモニター回路160とを含む。第2端子は、電気光学パネル200に設けられた透明電極を介して第1端子に接続される。第1駆動回路は、第1端子に接続され、第1端子を駆動する。第2駆動回路は、第2端子に接続され、第2端子を駆動する。モニター回路160は、モニター状態において第2端子の電圧に基づいて透明電極の抵抗値を検出する。モニター状態は、第1端子が第1駆動回路を介して第1高電位側電源電圧VLCDAに接続され、第2端子が第2駆動回路を介して第1高電位側電源電圧VLCDAとは異なる第2高電位側電源電圧VLCDBに接続される状態である。又は、モニター状態は、第1端子が第1駆動回路を介して高電位側電源電圧VLCD及び低電位側電源電圧VSSの一方に接続され、第2端子が第2駆動回路を介して高電位側電源電圧VLCD及び低電位側電源電圧VSSの他方に接続される状態である。なお、モニター状態は、第1駆動回路が第1電圧を出力し、第2駆動回路が第1電圧とは異なる第2電圧を出力する状態と言うこともできる。
【0081】
例えば
図5において、セグメント端子TSaが第1端子であり、セグメント端子TSbが第2端子であり、駆動回路10aが第1駆動回路であり、駆動回路10bが第2駆動回路である。そして、
図8のモニター状態においては、第1端子は、高電位側電源電圧VLCDに接続され、第2端子は、低電位側電源電圧VSSに接続されている。第1端子が低電位側電源電圧VSSに接続され、第2端子が高電位側電源電圧VLCDに接続されてもよい。
図9のモニター状態においては、第1端子は、第1高電位側電源電圧VLCDAに接続され、第2端子は、第2高電位側電源電圧VLCDBに接続されている。或いは
図10において、コモン端子TCaが第1端子であり、コモン端子TCbが第2端子であり、駆動回路20aが第1駆動回路であり、駆動回路20bが第2駆動回路である。或いは後述の
図13において、セグメント端子TSa1が第1端子であり、セグメント端子TSb2が第2端子であり、駆動回路30aが第1駆動回路であり、駆動回路30bが第2駆動回路である。或いは後述の
図15において、セグメント端子TSa1が第1端子であり、セグメント端子TSb1が第2端子であり、駆動回路30aが第1駆動回路であり、駆動回路30bが第2駆動回路である。
【0082】
本実施形態によれば、第1端子と第2端子の間に接続される透明電極の抵抗値を検出できる。特許文献1ではCOG実装のバンプ接合異常を検出しているが、本実施形態では透明電極の抵抗値を検出することで電気光学パネル200の経年変化をモニターできる。また本実施形態では、表示に用いることが可能な第1駆動回路及び第2駆動回路を、透明電極の抵抗モニターに兼用できる。即ち、モニター状態において第1端子と第2端子が互いに異なる電圧に接続されることで、その電圧差によって透明電極に電流が流れ、その分圧電圧である第2端子の電圧に基づいて透明電極の抵抗値を検出できる。これにより、特許文献1のような評価専用のバンプを設ける必要がなくなる。
【0083】
また本実施形態では、モニター回路160は、比較回路と第1スイッチとを含む。比較回路の第1入力端子に比較判定電圧が入力される。第1スイッチは、第2端子と比較回路の第2入力端子との間に設けられ、モニター状態においてオンである。
【0084】
例えば
図5において、セグメント端子TSbが第2端子であり、モニター回路160は、比較回路161と、第1スイッチに対応したスイッチSAとを含む。或いは
図10において、コモン端子TCbが第2端子であり、モニター回路160は、比較回路162と、第1スイッチに対応したスイッチSCAとを含む。或いは後述の
図13において、セグメント端子TSb2が第2端子であり、モニター回路160は、比較回路161と、第1スイッチに対応したスイッチSAbとを含む。或いは後述の
図15において、セグメント端子TSb1が第2端子であり、モニター回路160は、比較回路161と、第1スイッチに対応したスイッチSAbとを含む。
図15ではスイッチSAbは、セグメント端子TSb2及び透明電極を介して、第2端子であるセグメント端子TSb1に接続されている。
【0085】
本実施形態によれば、第2端子と比較回路の第2入力端子との間に設けられた第1スイッチがモニター状態においてオンであることで、モニター状態において比較回路の第2入力端子に第2端子の電圧が入力される。これにより、モニター状態において比較回路が第2端子の電圧と比較判定電圧とを比較できる。
【0086】
また本実施形態では、モニター回路は第2スイッチを含む。第2スイッチは、第2端子と第2駆動回路の出力との間に設けられ、モニター状態においてオンである。
【0087】
例えば
図5において、セグメント端子TSbが第2端子であり、モニター回路160は、第2スイッチに対応したスイッチSBを含む。或いは
図10において、コモン端子TCbが第2端子であり、モニター回路160は、第2スイッチに対応したスイッチSCBを含む。或いは後述の
図13において、セグメント端子TSb2が第2端子であり、モニター回路160は、第2スイッチに対応したスイッチSBbを含む。
【0088】
本実施形態によれば、第2端子と第2駆動回路の出力との間に設けられた第2スイッチがモニター状態においてオンになることで、モニター状態において第2端子が第2駆動回路を介して第2高電位側電源電圧に接続され、或いは高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の他方に接続される。これにより、モニター状態において、透明電極の一端が接続された第1端子と、透明電極の他端が接続された第2端子とが、互いに異なる電圧に接続される。
【0089】
また本実施形態では、第2スイッチは、透明電極に含まれる表示電極が第1駆動回路によって表示駆動されるとき、オフである。
【0090】
例えば
図5及び
図7において、表示電極はセグメント電極であり、第1駆動回路に対応した駆動回路10aがセグメント電極を1線駆動するとき、第2スイッチに対応したスイッチSBはオフである。或いは
図10において、表示電極はコモン電極であり、第1駆動回路に対応した駆動回路20aがコモン電極を1線駆動するとき、第2スイッチに対応したスイッチSCBはオフである。或いは
図13及び
図14において、表示電極はセグメント電極であり、第1駆動回路に対応した駆動回路30aがセグメント電極を1線駆動するとき、第2スイッチに対応したスイッチSBbはオフである。
【0091】
本実施形態によれば、第2スイッチのオンとオフを切り替えることで、表示電極が表示駆動される表示状態の1線駆動と、透明電極の抵抗値が検出されるモニター状態とを切り替え可能である。但し、
図7等で説明したように、表示状態において第2スイッチがオンである2線駆動を行うことも可能である。
【0092】
また本実施形態では、第2スイッチは、第1端子と第2端子の間のオープンが検出されたとき、オンになる。
【0093】
例えば
図5及び
図7において、1線駆動においてセグメント端子TSaとセグメント端子TSbの間のオープンが検出されたとき2線駆動に切り替わり、第2スイッチに対応したスイッチSBはオンになる。或いは
図10において、1線駆動においてコモン端子TCaとコモン端子TCbの間のオープンが検出されたとき2線駆動に切り替わり、第2スイッチに対応したスイッチSCBはオンになる。或いは
図13及び
図14において、1線駆動においてセグメント端子TSa1とセグメント端子TSb2の間のオープンが検出されたとき2線駆動に切り替わり、第2スイッチに対応したスイッチSBbはオンになる。
【0094】
本実施形態によれば、第2スイッチがオフであり第1駆動回路が表示電極を表示駆動する1線駆動において、第1端子と第2端子の間のオープンが検出されたとき、第2スイッチがオンになる。これにより、第1駆動回路と第2駆動回路が表示電極を表示駆動する2線駆動に切り替わるので、第1端子と表示電極の間、又は第2端子と表示電極の間がオープンであっても、表示電極が表示駆動される。
【0095】
また本実施形態では、モニター回路160は、比較判定電圧を生成する電圧生成回路と、比較判定電圧と第2端子の電圧とを比較する比較回路と、を含む。
【0096】
例えば
図5において、モニター回路160は、比較判定電圧VRSを生成する電圧生成回路165と、比較判定電圧VRSとセグメント端子TSbの電圧VTSbとを比較する比較回路161と、を含む。或いは
図10において、モニター回路160は、比較判定電圧VRCを生成する電圧生成回路169と、比較判定電圧VRCとコモン端子TCbの電圧VTCbとを比較する比較回路162と、を含む。或いは
図13において、モニター回路160は、比較判定電圧VRSを生成する電圧生成回路165と、比較判定電圧VRSとセグメント端子TSb2の電圧VTSb2とを比較する比較回路161と、を含む。或いは
図15において、モニター回路160は、比較判定電圧VRSを生成する電圧生成回路165と、比較判定電圧VRSとセグメント端子TSb2の電圧VTSb2とを比較する比較回路161と、を含む。
図15において、セグメント端子TSb2は、第2端子に対応したセグメント端子TSb1と透明電極により接続されており、電圧VTSb2は第2端子の電圧になっている。
【0097】
本実施形態によれば、比較回路が、電圧生成回路が生成した比較判定電圧と第2端子との電圧とを比較することで、モニター回路が、モニター状態において第2端子の電圧に基づいて透明電極の抵抗値を検出できる。
【0098】
また本実施形態では、ドライバー100は、比較判定電圧の電圧値が設定される記憶回路180を含む。
【0099】
比較判定電圧の電圧値は、電気光学パネル200が異常であるかを判断する基準となっている。本実施形態によれば、電圧生成回路が生成する比較判定電圧の電圧値を、記憶回路に設定できる。これにより、透明電極がどのような抵抗値となったとき電気光学パネル200を異常と判断するかの基準を、記憶回路180に設定できるようになる。
【0100】
また本実施形態では、
図9に示すように、第1駆動回路は、第1高電位側電源電圧VLCDAのノードと第1端子との間に設けられる第1トランジスターTPaと、第1端子と低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられる第2トランジスターTNaと、を含む。第2駆動回路は、第2高電位側電源電圧VLCDBのノードと第2端子との間に設けられる第3トランジスターTPbと、第2端子と低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられる第4トランジスターTNbと、を含む。第1端子が第1駆動回路を介して第1高電位側電源電圧VLCDAに接続され、第2端子が第2駆動回路を介して第2高電位側電源電圧VLCDBに接続されるモニター状態において、第1トランジスターTPa及び第3トランジスターTPbがオンであり、第2トランジスターTNa及び第4トランジスターTNbがオフである。
【0101】
本実施形態によれば、第1高電位側電源電圧VLCDAと第2高電位側電源電圧VLCDBの電圧差によって、第1トランジスターTPa、透明電極、及び第3トランジスターTPbの経路で電流が流れる。これにより、第1トランジスターTPaのオン抵抗、透明電極の抵抗RS、及び第3トランジスターTPbのオン抵抗が、第1高電位側電源電圧VLCDAと第2高電位側電源電圧VLCDBの間を分圧し、その結果、第2端子であるセグメント端子TSbの電圧VTSbが決まる。これにより、モニター回路160が透明電極の抵抗値を検出できる。
【0102】
また本実施形態では、
図8に示すように、第1駆動回路は、高電位側電源電圧VLCDのノードと第1端子との間に設けられる第1トランジスターTPaと、第1端子と低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられる第2トランジスターTNaと、を含んでもよい。第2駆動回路は、高電位側電源電圧VLCDのノードと第2端子との間に設けられる第3トランジスターTPbと、第2端子と低電位側電源電圧VSSのノードとの間に設けられる第4トランジスターTNbと、を含んでもよい。第1端子が第1駆動回路を介して高電位側電源電圧VLCD及び低電位側電源電圧VSSの一方に接続され、第2端子が第2駆動回路を介して高電位側電源電圧VLCD及び低電位側電源電圧VSSの他方に接続されるモニター状態において、第1トランジスターTPa及び第4トランジスターTNbがオン及びオフの一方であり、第2トランジスターTNa及び第3トランジスターTPbがオン及びオフの他方であってもよい。なお、
図8には第1トランジスターTPa及び第4トランジスターTNbがオンであり、第2トランジスターTNa及び第3トランジスターTPbがオフである例を示す。
【0103】
本実施形態によれば、第1高電位側電源電圧と低電位側電源電圧VSSの電圧差によって第1トランジスターTPa、透明電極、及び第4トランジスターTNbの経路で電流が流れる。これにより、第1トランジスターTPaのオン抵抗、透明電極の抵抗RS、及び第4トランジスターTNbのオン抵抗が、高電位側電源電圧VLCDと低電位側電源電圧VSSの間を分圧する。これにより、モニター回路160が透明電極の抵抗値を検出できる。又は、低電位側電源電圧VSSと第1高電位側電源電圧の電圧差によって第2トランジスターTNa、透明電極、及び第3トランジスターTPbの経路で電流が流れる。これにより、第2トランジスターTNaのオン抵抗、透明電極の抵抗RS、及び第3トランジスターTPbのオン抵抗が、低電位側電源電圧VSSと高電位側電源電圧VLCDの間を分圧する。その結果、第2端子であるセグメント端子TSbの電圧VTSbが決まる。これにより、モニター回路160が透明電極の抵抗値を検出できる。
【0104】
また本実施形態では、ドライバー100はデータ記憶部130を含む。データ記憶部130は、表示データと、モニター状態において第1端子に接続される電圧を設定する第1データと、モニター状態において第2端子に接続される電圧を設定する第2データとを記憶する。
【0105】
本実施形態によれば、データ記憶部130が第1データと第2データとを記憶することで、モニター状態において第1駆動回路が第1データに基づいて第1端子を第1高電位側電源電圧に接続し、第2駆動回路が第2データに基づいて第2端子を第2高電位側電源電圧に接続できる。或いは、モニター状態において第1駆動回路が第1データに基づいて第1端子を高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の一方に接続し、第2駆動回路が第2データに基づいて第2端子を高電位側電源電圧及び低電位側電源電圧の他方に接続できる。これにより、表示駆動の構成を変更することなくデータのみ変更することで表示状態とモニター状態を切り替え可能になる。
【0106】
また本実施形態では、ドライバー100はインターフェース回路110を含む。インターフェース回路110は、透明電極の抵抗値の異常が検出されたとき、外部の処理システムに対して異常の通知を行う。
【0107】
本実施形態によれば、異常の通知を受けた外部の外部の処理システムが、異常に対応する処理を実行できる。例えば、処理システムは、電気光学パネル200の異常を報知する情報、或いは電気光学パネル200の交換を促す情報を、ユーザーに報知できる。
【0108】
3.第2構成例
以下、第2構成例について、第1構成例と異なる部分を主に説明する。なお、コモンに関する構成は第1構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
図11は、第2構成例における電気光学パネルのセグメント用透明電極の例と、そのセグメント用透明電極とドライバーの接続例である。電気光学パネル200は、セグメント電極ES1~ES7と、セグメント信号線LS1~LS5及びLS8~LS17とを含む。ドライバー100は、セグメント端子TS1~TS20を含む。
【0110】
セグメント電極ES3は、セグメント信号線LS5によりセグメント端子TS5に接続され、セグメント信号線LS8によりセグメント端子TS8に接続される。セグメント端子TS17とTS20は、セグメント信号線LS17により接続される。
図11の例では、セグメント端子TS6、TS7、TS18及びTS19は、いわゆるNC端子である。
【0111】
図12は、第2構成例におけるセグメント駆動回路とモニター回路の構成例である。なお、
図12ではラインラッチ140の図示を省略している。
【0112】
セグメント駆動回路150は、セグメント端子TS1及びTS2に対応して設けられた駆動回路30-1を含む。同様に、セグメント駆動回路150は、セグメント端子TS3及びTS4、TS5及びTS6、・・・、TS19及びTS20に対応して設けられた駆動回路30-2、30-3、・・・、30-10を含む。
【0113】
駆動回路30-1の第1出力はセグメント端子TS1に接続され、第2出力はセグメント端子TS2に接続される。同様に、駆動回路30-2、30-3、・・・、30-10の第1出力はセグメント端子TS3、TS5、・・・、TS19に接続され、第2出力はセグメント端子TS4、TS6、・・・、TS20に接続される。駆動回路30-1、30-2、・・・、30-10の第2出力は、
図13で後述するスイッチSBa又はSBbを介してセグメント端子TS2、TS4、・・・TS20に接続されるが、
図12ではスイッチSBa及びSBbの図示を省略する。
【0114】
モニター回路160は、比較回路161とセレクター168とを含む。セレクター168は、
図13で後述するスイッチSAa及びSBbに相当する。
【0115】
図13は、第2構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例と、透明電極の第1接続例である。
図13ではラインラッチ140の図示を省略している。
【0116】
第1接続例では、駆動回路30aの第1出力に対応したセグメント端子TSa1と、駆動回路30bの第2出力に対応したセグメント端子TSb2との間に透明電極が接続されている。例えば、セグメント端子TSa1、TSa2、TSb1、TSb2は
図12のセグメント端子TS5、TS6、TS7、TS8に対応し、駆動回路30a、30bは
図12の駆動回路30-3、30-4に対応する。
【0117】
駆動回路30aは、極性反転回路31aと、ラッチ回路32aと、レベルシフター33a及び35aと、出力ドライバー34a及び36aとを含む。
【0118】
極性反転回路31a及びラッチ回路32aの動作は、
図5の第1構成例における極性反転回路11a及びラッチ回路12aの動作と同様である。レベルシフター33a及び35aは、ラッチ回路32aの出力信号をレベルシフトする。出力ドライバー34aは、レベルシフター33aの出力信号をバッファリングして信号SQa1としてセグメント端子TSa1に出力する。出力ドライバー36aは、レベルシフター35aの出力信号をバッファリングして信号SQa2として出力する。駆動データDTaが表示データであるとき、信号SQa1及びSQa2は表示用のセグメント駆動信号であり、駆動データDTaが第1データであるとき、信号SQa1及びSQa2は抵抗モニター用の第1電圧である。
【0119】
駆動回路30bは、極性反転回路31bと、ラッチ回路32bと、レベルシフター33b及び35bと、出力ドライバー34b及び36bとを含む。
【0120】
極性反転回路31b及びラッチ回路32bの動作は、
図5の第1構成例における極性反転回路11b及びラッチ回路12bの動作と同様である。レベルシフター33b及び35bは、ラッチ回路32bの出力信号をレベルシフトする。出力ドライバー34bは、レベルシフター33bの出力信号をバッファリングして信号SQb1としてセグメント端子TSb1に出力する。出力ドライバー36bは、レベルシフター35bの出力信号をバッファリングして信号SQb2として出力する。駆動データDTbが表示データであるとき、信号SQb1及びSQb2は表示用のセグメント駆動信号であり、駆動データDTbが第2データであるとき、信号SQb1及びSQb2は抵抗モニター用の第2電圧である。
【0121】
モニター回路160は、スイッチSAa、SBa、SAb及びSBbと、比較回路161と、電圧生成回路165とを含む。
【0122】
スイッチSAaは、セグメント端子TSa2と比較回路161の第1入力端子との間に設けられる。即ち、スイッチSAaの一端はセグメント端子TSa2に接続され、他端は第1入力端子に接続される。スイッチSAaは、制御回路120からの制御信号CSAaによりオン又はオフに制御される。スイッチSBaは、セグメント端子TSa2と出力ドライバー36aの出力との間に設けられる。即ち、スイッチSBaの一端はセグメント端子TSa2に接続され、他端は出力ドライバー36aの出力に接続される。スイッチSBaは、制御回路120からの制御信号CSBaによりオン又はオフに制御される。スイッチSAa及びSBaの各々は、例えば1又は複数のトランジスターで構成される。
【0123】
スイッチSAbは、セグメント端子TSb2と比較回路161の第1入力端子との間に設けられる。即ち、スイッチSAbの一端はセグメント端子TSb2に接続され、他端は第1入力端子に接続される。スイッチSAbは、制御回路120からの制御信号CSAbによりオン又はオフに制御される。スイッチSBbは、セグメント端子TSb2と出力ドライバー36bの出力との間に設けられる。即ち、スイッチSBbの一端はセグメント端子TSb2に接続され、他端は出力ドライバー36bの出力に接続される。スイッチSBbは、制御回路120からの制御信号CSBbによりオン又はオフに制御される。スイッチSAb及びSBbの各々は、例えば1又は複数のトランジスターで構成される。
【0124】
スイッチSAbがオンであるとき、比較回路161の第1入力端子には、セグメント端子TSb2の電圧VTSb2がモニター電圧VMSとして入力される。比較回路161は、モニター電圧VMSと比較判定電圧VRSを比較し、その結果を信号CPSとして制御回路120へ出力する。抵抗モニターの手法は、
図8又は
図9で説明した手法と同様である。
【0125】
図14は、第1接続例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図である。
図13の駆動回路30a、30b及びモニター回路160は、表示状態又はモニター状態に設定される。
【0126】
例えば
図12の駆動回路30-3及び30-4のようにセグメント電極を駆動する場合には、表示期間において表示状態が設定され且つモニター期間においてモニター状態が設定されてもよい。或いは
図12の駆動回路30-9及び30-10のように抵抗モニター専用のセグメント信号線が接続される場合には、表示状態は設定されずにモニター期間においてモニター状態が設定されてもよい。
【0127】
表示状態及びモニター状態のいずれの状態においても、スイッチSAaはオフであり、スイッチSBaは任意であってよい。
【0128】
表示状態の1線駆動において、スイッチSAbはオフであり、スイッチSBbはオフであり、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは任意であってよい。即ち、1線駆動は、
図13の駆動回路30aの第1出力のみによってセグメント電極を駆動する状態である。表示状態の2線駆動において、スイッチSAbはオフであり、スイッチSBbはオンであり、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは駆動データDTaに等しい。即ち、2線駆動は、
図13の駆動回路30aの第1出力及び駆動回路30bの第2出力によってセグメント電極を駆動する状態である。
【0129】
モニター状態において、スイッチSAbはオンであり、スイッチSBbはオンであり、駆動データDTaは第1データであり、駆動データDTbは第2データである。このとき、駆動回路30aの出力ドライバー34aは第1電圧の信号SQa1を出力し、駆動回路30bの出力ドライバー36bは第2電圧の信号SQb2を出力する。
【0130】
図15は、第2構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例と、透明電極の第2接続例である。
【0131】
第2接続例では、駆動回路30aの第1出力に対応したセグメント端子TSa1と、駆動回路30bの第2出力に対応したセグメント端子TSb2との間に透明電極が接続され、且つセグメント端子TSb1とTSb2が透明電極で接続されている。例えば、セグメント端子TSa1、TSa2、TSb1、TSb2は
図12のセグメント端子TS17、TS18、TS19、TS20に対応し、駆動回路30a、30bは
図12の駆動回路30-9、30-10に対応する。
【0132】
図16は、第2接続例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図である。
図15の駆動回路30a、30b及びモニター回路160は、表示状態の2線駆動又はモニター状態に設定される。
【0133】
表示状態及びモニター状態のいずれの状態においても、スイッチSAaはオフであり、スイッチSBaは任意であってよい。
【0134】
表示状態の2線駆動において、スイッチSAbはオフであり、スイッチSBbは任意であってよく、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは駆動データDTaに等しい。
【0135】
モニター状態において、スイッチSAbはオンであり、スイッチSBbはオフであり、駆動データDTaは第1データであり、駆動データDTbは第2データである。このとき、駆動回路30aの出力ドライバー34aは第1電圧の信号SQa1を出力し、駆動回路30bの出力ドライバー34bは第2電圧の信号SQb1を出力する。
【0136】
図17は、第2構成例におけるセグメント駆動回路及びモニター回路の詳細構成例と、透明電極の第3接続例である。
【0137】
第3接続例では、駆動回路30aの第1出力に対応したセグメント端子TSa1と、駆動回路30aの第2出力に対応したセグメント端子TSa2との間に、セグメント電極ESaを含む透明電極が接続されている。また、駆動回路30bの第1出力に対応したセグメント端子TSb1と、駆動回路30bの第2出力に対応したセグメント端子TSb2との間に、セグメント電極ESbを含む透明電極が接続されている。例えば、セグメント端子TSa1、TSa2、TSb1、TSb2は
図12のセグメント端子TS1、TS2、TS3、TS4に対応し、セグメント電極ESa、ESbは
図12のセグメント電極ES1、ES2に対応し、駆動回路30a、30bは
図12の駆動回路30-1、30-2に対応する。
【0138】
図18は、第3接続例における駆動回路及びモニター回路の動作説明図である。
図17の駆動回路30a、30b及びモニター回路160は、表示状態に設定される。
【0139】
1線駆動において、スイッチSAaはオフであり、スイッチSBaはオフであり、スイッチSAbはオフであり、スイッチSBbはオフであり、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは駆動データDTaとは独立した表示データである。即ち、1線駆動は、
図17の駆動回路30aの第1出力のみによってセグメント電極ESaを駆動し、駆動回路30bの第1出力のみによってセグメント電極ESbを駆動する状態である。
【0140】
2線駆動において、スイッチSAaはオフであり、スイッチSBaはオンであり、スイッチSAbはオフであり、スイッチSBbはオンであり、駆動データDTaは表示データであり、駆動データDTbは駆動データDTaとは独立した表示データである。即ち、2線駆動は、
図17の駆動回路30aの第1出力及び第2出力によってセグメント電極ESaを駆動し、駆動回路30bの第1出力及び第2出力によってセグメント電極ESbを駆動する状態である。
【0141】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。またドライバー、電気光学パネル、電気光学装置、処理装置及び電子機器の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0142】
10-1~10-20…駆動回路、10a,10b…駆動回路、20a,20b…駆動回路、30-1~30-10…駆動回路、30a,30b…駆動回路、100…ドライバー、110…インターフェース回路、120…制御回路、130…データ記憶部、140…ラインラッチ、150…セグメント駆動回路、160…モニター回路、161,162…比較回路、165,169…電圧生成回路、170…コモン駆動回路、180…記憶回路、190…発振回路、200…電気光学パネル、300…電気光学装置、400…処理装置、500…電子機器、RC,RS…抵抗、SA,SAa,SAb…スイッチ、SB,SBa,SBb…スイッチ、SCA,SCB…スイッチ、TCa,TCb…コモン端子、TNa…第2トランジスター、TNb…第4トランジスター、TPa…第1トランジスター、TPb…第3トランジスター、TSa,TSb…セグメント端子、TSa1,TSa2,TSb1,TSb2…セグメント端子、VLCD…高電位側電源電圧、VLCDA…第1高電位側電源電圧、VLCDB…第2高電位側電源電圧、VRC,VRS…比較判定電圧、VSS…低電位側電源電圧