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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011651
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/28 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E06B7/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113844
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】千野 哲玄
(57)【要約】
【課題】開閉操作を行う子供に対して注意を促すことができる建具を提供すること。
【解決手段】操作者によって操作された際の建具の動作内容を検出するセンサと、音声を発する音声発生部と、センサの検出値を閾値と比較し、検出値が閾値に達した場合に音声発生部から音声を発生させる制御部と、を含む機能部を備える、建具である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者によって操作された際の建具の動作内容を検出するセンサと、
音声を発する音声発生部と、
前記センサの検出値を閾値と比較し、前記検出値が前記閾値に達した場合に前記音声発生部から音声を発生させる制御部と、を含む機能部を備える、建具。
【請求項2】
前記閾値は、第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きい値に設定される第2の閾値と、を含み、
前記制御部は、前記センサの検出値が前記第1の閾値以上前記第2の閾値未満である場合に、前記音声発生部から第1の音声を発生させ、前記センサの検出値が前記第2の閾値を超える場合に、前記音声発生部から前記第1の音声とは異なる第2の音声を発生させる、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第1の音声は、前記操作者を褒める言葉であり、前記第2の音声は、前記操作者を叱るもしくは前記操作者に注意を促す言葉である、請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記センサは、加速度センサである、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
前記音声発生部は、前記建具に内蔵される、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項6】
前記機能部は、建具に後付けされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項7】
前記機能部は、前記操作者によって操作された前記建具の動作内容を外部の情報端末に送信する送信部をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項8】
前記機能部は、前記操作者によって操作された前記建具の動作内容を外部のサーバ装置に送信する送信部をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
子供は、建具を急激に開閉操作しがちである。例えば、子供が引き違い窓の障子を急激に開閉操作すると、手や足等の体の一部の挟み込みや、移動した障子が縦枠に勢い良く衝突して大きな衝撃音を発生させる場合がある。特に、集合住宅においては、衝撃音は他の住戸にも伝搬して騒音問題を発生させるおそれがある。そのため、子供の教育的観点からも、親が子供に対して、建具を安全にゆっくりと開閉操作するように注意することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-173740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、親が子供の行動を逐一監視して建具を開閉操作する度に注意することは現実的には困難である。
【0005】
本開示は、開閉操作を行う子供に対して注意を促すことができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の建具は、操作者によって操作された際の建具の動作内容を検出するセンサと、音声を発する音声発生部と、前記センサの検出値を閾値と比較し、前記検出値が前記閾値に達した場合に前記音声発生部から音声を発生させる制御部と、を含む機能部を備える、建具である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る建具を室内側から見た正面図である。
図2図1中のA-A線に沿う横断面図である。
図3】機能部のブロック図である。
図4】建具の障子を静かに開閉操作したときのセンサの検出信号の一例を示すグラフである。
図5】建具の障子を急激に開閉操作したときのセンサの検出信号の一例を示すグラフである。
図6】機能部の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図7】子供が建具の障子を静かに閉めた場合を説明する図である。
図8】子供が建具の障子を急激に閉めた場合を説明する図である。
図9】他の実施形態に係る建具の上部を示す縦断面図である。
図10】他の実施形態に係る機能部のブロック図である。
図11図10に示す機能部と外部の情報端末及びサーバ装置との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の建具の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本開示の建具の一例である引き違い窓1を示している。図2及び図9中に示す矢印において、X1方向は引き違い窓1の室外側を示し、X2方向は引き違い窓1の室内側を示す。
【0009】
引き違い窓1は、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23を矩形に枠組みしてなる枠体2の内周側に、内障子3及び外障子4の2枚の障子と、外障子4の室外側に配置される網戸5と、を納めることによって構成される。内障子3、外障子4及び網戸5は、上枠21に設けられるガイドレール211,212,213(図9参照)及び下枠22に設けられるガイドレール221,222,223(図2参照)に沿って、それぞれ左右方向に移動可能に設けられる。
【0010】
内障子3は、上框31、下框32、戸先框33及び召合せ框34を矩形に框組みしてなる框体30の内周側に、ガラス35を納めることによって構成される。外障子4は、上框41、下框42、戸先框43及び召合せ框44を矩形に框組みしてなる框体40の内周側に、ガラス45を納めることによって構成される。
【0011】
図2に示すように、内障子3及び外障子4の戸先框33,43及び召合せ框34,44は、いずれも中空形状を有する。本実施形態の引き違い窓1において、内障子3及び外障子4の戸先框33,43には、それぞれ機能部6が内蔵されている。
【0012】
機能部6は、建具の動作内容を検出し、検出結果に応じた音声を発生させるように機能する。建具の動作内容とは、建具において操作者の開閉操作によって移動動作する部材の動作状態のことである。詳しくは、本実施形態に示す引き違い窓1の場合、建具の動作内容は、機能部6が内蔵される内障子3及び外障子4のそれぞれの移動時の動作状態のことである。動作状態とは、例えば、移動時の加速度の大きさ、移動速度の大きさ、移動終了時の振動の大きさ等である。
【0013】
機能部6は、図3に示すように、センサ61と、制御部62と、増幅部63と、音声発生部64と、を含み、図示しない内蔵電池もしくは外部電源によって動作する。本実施形態の機能部6は、センサ61、制御部62、増幅部63及び音声発生部64の各部品を共通の筐体内に収納することによって構成される。機能部6を内蔵する内障子3及び外障子4の戸先框33,43には、機能部6のメンテナンスもしくは交換等のための図示しない開閉可能な蓋体を有する取出し部が設けられる。
【0014】
センサ61は、開閉操作時の内障子3及び外障子4の動作状態を電気的に検出する。具体的なセンサ61としては、開閉操作時に内障子3及び外障子4に加わる加速度を検出する加速度センサ、開閉操作時の内障子3及び外障子4の移動速度を検出する速度センサ、内障子3及び外障子4の移動終了時の振動を検出する振動センサ等が挙げられる。本実施形態では、センサ61として加速度センサを用いている。センサ61として加速度センサを用いる場合は、速度センサによって内障子3及び外障子4の移動速度を検出する場合よりも高精度に内障子3及び外障子4の動作状態を検出することができるとともに、振動センサによって内障子3及び外障子4の振動の大きさを検出する場合によりも機器構成を簡素化することができる。センサ61の検出値は、制御部62に出力される。
【0015】
制御部62は、例えばMCU(Micro Controller Unit)によって構成される。制御部62は、センサ61の検出値が示す内障子3及び外障子4の動作状態に応じて音声信号を出力する。詳しくは、制御部62は、センサ61の検出値を所定の周波数でサンプリングし、サンプリングしたセンサ61の検出値を、制御部62に予め設定される閾値とそれぞれ比較する。この閾値は、内障子3及び外障子4の動作状態の良否を判定するための基準となるセンサ61の検出値である。制御部62は、センサ61の検出値が閾値に達したかどうかに応じて、複数種類の音声出力パターンのうちから1つもしくは複数の音声を設定し、その音声信号を増幅部63に出力する。
【0016】
本実施形態の制御部62には、図4及び図5に示すように、閾値として第1の閾値と第2の閾値との2つの閾値が設定されている。第1の閾値は、内障子3及び外障子4が安全にゆっくりと移動した際に検出され得る値に設定される。第2の閾値は、開閉操作時の内障子3及び外障子4が急激に勢い良く移動した際に検出され得る値であり、第1の閾値よりも大きい値に設定される。
【0017】
制御部62は、センサ61の検出値が第1の閾値及び第2の閾値のいずれの閾値に達したかどうかに応じて、制御部62に記憶される複数種類の音声を含む音声出力パターンのうちから、1つもしくは複数の音声を設定し、その音声信号を増幅部63に出力する。
【0018】
制御部62には、複数種類の音声出力パターンとして、それぞれ種類が異なる第1の音声と第2の音声とが予め記憶される。
【0019】
第1の音声は、内障子3及び外障子4が安全にゆっくりと開閉操作されたと判定される場合に設定される音声である。詳しくは、第1の音声は、操作者である子供を褒める言葉を発する音声である。具体的には、第1の音声は、「ありがとう」、「やさしいね」、「よくできました」等のように、子供が喜ぶような種類の言葉を発する音声である。
【0020】
第2の音声は、内障子3及び外障子4が急激に勢い良く開閉操作されたと判定される場合に設定される音声である。詳しくは、第2の音声は、操作者である子供を叱るもしくは子供に注意を促す言葉を発する音声である。具体的には、第2の音声は、「痛いよ」、「危ないよ」、「ダメだよ」等のように、子供を注意するような種類の言葉を発する音声である。
【0021】
制御部62は、第1の音声及び第2の音声を、図示しないインターフェースを介して、ユーザ(例えば、子供の親)が自らの声で録音することによって、もしくは外部メモリ等に保存されている音声データ(例えば、アニメのキャラクターの音声データ等)をインポートすることによって、記憶可能に構成されてもよい。
【0022】
制御部62は、内障子3及び外障子4が移動開始してから移動終了するまでの間に、図4に示すように、サンプリングしたセンサ61の検出値が第1の閾値に達し、且つ第1の閾値以上第2の閾値未満となる検出値の数が所定値に達した場合に、内障子3及び外障子4は安全にゆっくりと開閉操作されたと判定する。安全なゆっくりとした移動時の加速度は、急激且つ大きな変化を伴わない緩やかな変化であり、第1の閾値以上第2の閾値未満となるセンサ61の検出値が、内障子3及び外障子4の移動の間継続するためである。このとき、制御部62は、音声出力パターンを第1の音声に設定する。制御部62は、設定した第1の音声に対応する音声信号を、内障子3及び外障子4の移動終了後に増幅部63に出力する。
【0023】
上記の所定値は、安全でゆっくりとした内障子3及び外障子4の移動が開始されてから終了するまでの間に検出されると想定される数に設定される。所定値の具体的な値は、センサ61の検出値をサンプリングする周波数と内障子3及び外障子4の開閉方向の最大の移動距離との関係で適宜決定される。
【0024】
一方、制御部62は、内障子3及び外障子4が移動開始してから移動終了するまでの間に、図5に示すように、サンプリングしたセンサ61の検出値が、上記の所定値に達する前に、第1の閾値を超えて第2の閾値に達したことを少なくとも1回検出した場合に、内障子3及び外障子4は急激に勢い良く開閉操作されたと判定する。このとき、制御部62は、音声出力パターンを第2の音声に設定する。制御部62は、設定した第2の音声に対応する音声信号を、内障子3及び外障子4の移動終了後に増幅部63に出力する。
【0025】
制御部62は、音声出力パターンの設定時、それぞれ複数種類の言葉を含む第1の音声もしくは第2の音声のうちから、いずれかの音声をランダムに選択するように構成されてもよいし、複数種類の音声を予め決められた順番で選択するように構成されてもよい。制御部62は、例えば、第1の音声の場合には「やさしいね、ありがとう」、第2の音声の場合には「危ないよ、ダメだよ」等のように、複数種類の言葉を組み合わせた音声を設定してもよい。
【0026】
制御部62は、第1の音声及び第2の音声として設定される音声を、図示しない選択スイッチをユーザが任意に操作すること等によって、複数種類の音声のうちのいずれかの音声をユーザが予め選択及び変更できるように構成されてもよい。制御部62は、設定される音声の音程の高さ及び強弱等の音色を、ユーザが任意に変更できるように構成されてもよい。
【0027】
図4及び図5において破線で示される閾値ゼロは、センサ61の誤検出を防止するために設定される第3の閾値である。閾値ゼロは、第1の閾値よりも小さい値に設定される。センサ61は、内障子3及び外障子4に加わる微細な振動も検出するため、内障子3及び外障子4が停止しているにもかかわらず、風、車両の走行、住人の足音等の振動が検出された際に、内障子3及び外障子4が開閉操作されたと誤検出するおそれがある。制御部62は、閾値ゼロ未満の検出値を無効化することによって、内障子3及び外障子4が確実に開閉操作されたことを検出している。
【0028】
増幅部63は、制御部62から出力される音声信号を増幅し、音声発生部64に出力する。増幅部63は、音声の増幅度、すなわち音声発生部64が発生する音声の大きさを、ユーザが任意に調整できるように構成されてもよい。
【0029】
音声発生部64は、例えば、スピーカによって構成され、増幅部63で増幅された音声信号を可聴化する。音声発生部64が内蔵される戸先框33,43の室内側の見付け面33a,43aには、戸先框33,43から室内に向けて音声が効果的に放出されるようにするための図示しない孔部もしくは網部が設けられてもよい。
【0030】
次に、図6図8に基づいて、本実施形態の引き違い窓1の動作を説明する。図6は、外障子4の戸先框43に内蔵される機能部6の制御部62が、閾値ゼロを超えるセンサ61の検出値を検出したことによって、外障子4の移動動作が開始されたと判定した後の制御フローを示している。ここでは、図7及び図8に示すように、子供Pが、開状態の外障子4を閉操作する場合について説明する。
【0031】
外障子4が閉方向への移動を開始すると、外障子4には移動に伴う加速度が発生する。このとき、センサ61は、図4に示すように、第1の閾値を超える値を継続して制御部62に出力する。制御部62は、入力されるセンサ61の検出値をサンプリングし、第1の閾値を超える検出値の回数をカウントする(ステップS1)。
【0032】
制御部62は、カウント数が予め設定される所定値(例えば、50回)に達したかどうかを監視する(ステップS2)。カウント数が所定値に達した場合(ステップS2;YES)、制御部62は、外障子4の開閉操作は安全でゆっくりとした適切な操作であると判定する。これによって、制御部62は、音声出力パターンを第1の音声に設定する(ステップS3)。
【0033】
外障子4が完全に閉じられて移動停止すると、センサ61の検出値は、図4に示す閾値ゼロを下回る。制御部62は、センサ61の検出値が閾値ゼロを所定時間下回ったかどうかを監視することによって、外障子4の移動動作が終了したかどうかを判定する(ステップS4)。
【0034】
外障子4の移動動作が終了したと判定された場合(ステップS4;YES)、制御部62は、設定された第1の音声に対応する音声信号を増幅部63に出力する。これによって、図7に示すように、音声発生部64から、第1の音声として、例えば「やさしいね、ありがとう」の音声が発生する(ステップS5)。その後、制御部62は、上記ステップS3で設定した音声出力パターンをリセットする(ステップS6)。
【0035】
一方、制御部62は、外障子4が閉方向への移動を開始した後、上記ステップS1のカウント数が所定値に達する前に、図5に示すように、第2の閾値を超える検出値を検出したかどうかを監視している(ステップS7)。カウント数が所定値に達する前に第2の閾値を超える検出値が検出された場合(ステップS7;YES)、制御部62は、外障子4の開閉操作は急激で不適切な操作であると判定する。これによって、制御部62は、音声出力パターンを第2の音声に設定する(ステップS8)。
【0036】
外障子4が完全に閉じられて移動停止すると、センサ61の検出値は、図5に示す閾値ゼロを下回る。制御部62は、センサ61の検出値が閾値ゼロを所定時間下回ったかどうかを監視することによって、外障子4の移動動作が終了したかどうかを判定する(ステップS9)。
【0037】
外障子4の移動動作が終了したと判定された場合(ステップS9;YES)、制御部62は、設定された第2の音声に対応する音声信号を増幅部63に出力する。これによって、図8に示すように、音声発生部64から、第2の音声として、例えば「痛いよ」の音声が発生する(ステップS10)。その後、制御部62は、上記ステップS8で設定した音声出力パターンをリセットする(ステップS10)。
【0038】
内障子3が開閉操作される場合も、引き違い窓1は上記と同様に動作する。
【0039】
機能部6は、内障子3及び外障子4に内蔵されるものに限らない、例えば、機能部6は、内障子3及び外障子4の框体30,40の室内側に面するいずれかの見付け面に、両面テープ、ねじ止め等の方法で取り付けられてもよい。図9は、機能部6を内障子3及び外障子4の上框31,41の室内側の見付け面31a,41aに取り付けた引き違い窓1を例示している。これによれば、既存の建具に機能部6を後付けすることができる。
【0040】
図10は、他の実施形態に係る機能部6のブロック図を示す。この機能部6は、送信部65をさらに備えている。送信部65は、制御部62によって判別された内障子3及び外障子4の動作内容の情報を、図11に示すように、引き違い窓1の外部の情報端末100に送信する。情報端末100は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータである。情報端末100は、送信部65を介して送られた内障子3及び外障子4の動作内容の情報を、画面表示して視覚化することができる。情報端末100は、動作内容の情報が送られる度に画面表示を行ってもよいし、情報端末100の所有者(例えば、親)の任意の操作によって画面表示を行ってもよい。
【0041】
送信部65は、図11に示すように、制御部62によって判別された内障子3及び外障子4の動作内容の情報を、引き違い窓1の外部のサーバ装置200に送信してもよい。サーバ装置200は、パーソナルコンピュータの内部記憶装置もしくはパーソナルコンピュータに接続された外部記憶装置であってもよいし、インターネット回線を利用するクラウドであってもよい。サーバ装置200は、送信部65を介して送られた内障子3及び外障子4の動作内容の情報を記憶する。サーバ装置200に記憶された動作内容の情報は、例えば親が任意にアクセスすることによって閲覧可能である。
【0042】
送信部65は、図11に示すように、動作内容の情報を情報端末100とサーバ装置200の両方に送信してもよい。
【0043】
以上の実施形態に係る建具である引き違い窓1によれば、以下の効果を奏する。
【0044】
(1) 引き違い窓1は、操作者である子供Pによって操作された際の建具の動作内容を検出するセンサ61と、音声を発する音声発生部64と、センサ61の検出値を閾値と比較し、検出値が閾値に達した場合に音声発生部64から音声を発生させる制御部62と、を含む機能部6を備える。これによれば、引き違い窓1の開閉操作時の動作内容に応じて、子供Pに向けて自動的に音声を発生させることができる。そのため、親が子供Pの行動を常に監視していなくても、子供Pの開閉操作時に、引き違い窓1の動作内容に応じて、音声によって子供Pに注意を促すことができる。
【0045】
(2) 上記(1)において、閾値は、第1の閾値と、第1の閾値よりも大きい値に設定される第2の閾値と、を含み、制御部62は、センサ61の検出値が第1の閾値以上第2の閾値未満である場合に、音声発生部64から第1の音声を発生させ、センサ61の検出値が第2の閾値を超える場合に、音声発生部64から第1の音声とは異なる第2の音声を発生させる。これによれば、引き違い窓1の開閉操作時の動作内容に応じて、異なる音声を発生させることができるため、子供Pに対して適切な教育を行うことができる。
【0046】
(3) 上記(2)において、第1の音声は、子供Pを褒める言葉であり、第2の音声は、子供Pを叱るもしくは子供Pに注意を促す言葉である。これによれば、引き違い窓1の開閉操作時の動作内容に応じて、子供Pを褒めたり叱ったりすることができ、子供Pに対してより一層適切な教育を行うことができる。
【0047】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかにおいて、センサ61は、加速度センサである。これによれば、引き違い窓1の開閉操作時の急激な移動を、簡素な機器構成で高精度に検出することができる。
【0048】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかにおいて、音声発生部64は、引き違い窓1に内蔵される。これによれば、引き違い窓1自体が声を発生させていると子供Pに認識させることができ、特に「ありがとう」、「痛いよ」等、まるで引き違い窓1自体が感情・痛覚を有しているかのような音声を発することで、子供Pの感情にさらに大きく働きかけることができる。そのため、子供P自らが行動を是正する効果が高まる。
【0049】
(6) 上記(1)~(5)のいずれかにおいて、機能部6は、引き違い窓1に後付けされる。これによれば、既存の引き違い窓に、音声を発する機能を容易に持たせることができる。
【0050】
(7) 上記(1)~(6)のいずれかにおいて、機能部6は、子供Pによって操作された引き違い窓1の動作内容を外部の情報端末100に送信する送信部65をさらに含む。これによれば、子供Pの親は、引き違い窓1の近くにいない場合でも、子供Pが引き違い窓1を操作した際の操作状況を把握することができる。
【0051】
(8) 上記(1)~(6)のいずれかにおいて、機能部6は、子供Pによって操作された引き違い窓1の動作内容を外部のサーバ装置200に送信する送信部65をさらに含む。これによれば、子供Pの親は、サーバ装置200に記憶される子供Pの操作状況の履歴によって、子供Pの成長記録を把握することができる。
【0052】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成し得る範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0053】
例えば、以上の実施形態では、機能部6を内障子3及び外障子4のそれぞれ戸先框33,43内に設けた。しかし、機能部6は、内障子3及び外障子4の召合せ框34,44内に設けてもよいし、内障子3及び外障子4の上框31,41もしくは下框32,42内に設けてもよい。
【0054】
機能部6は、枠体2に設けられてもよい。例えば、引き違い窓1は、枠体2の左右の縦枠23,23の外周面等にそれぞれ機能部6を配置させることによって、内障子3及び外障子4が閉じられた際の衝撃の大きさに応じて音声を発生させるように構成されてもよい。
【0055】
以上の実施形態において、機能部6は、筐体内にセンサ61、制御部62、増幅部63、音声発生部64、及び送信部65の各部品を収納している。しかし、機能部6を構成する各部品は、必ずしも共通の筐体内に収納されていなくてもよい。機能部6を構成する各部品は、内障子3及び外障子4の上框31,41、下框32,42、戸先框33,43及び召合せ框34,44のいずれか2箇所以上に分散して配置されてもよい。
【0056】
引き違い窓1は、内障子3及び外障子4の開閉操作時の動作内容に応じて音声を発生させる際、例えば、開閉操作が急激であると判定された場合に、制御部62が内障子3及び外障子4の移動を減速させる機構を起動させることによって、内障子3及び外障子4の移動速度を調整するように構成されてもよい。
【0057】
以上の実施形態では、建具として引き違い窓1を例示した。しかし、本開示の建具は、操作者によって開閉操作される建具であればよく、引き違い窓1に限定されない。本開示の建具は、例えば、室内あるいは玄関等の開口部を開閉する戸体を有する引き戸もしくは開き戸であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 引き違い窓(建具)、6 機能部、61 センサ、64 音声発生部、62 制御部、65 送信部、100 情報端末、200 サーバ装置、P 子供(操作者)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11