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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116510
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/139 20060101AFI20240821BHJP
   F16F 15/134 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
F16F15/139 B
F16F15/139 D
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022176
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】児泉 直也
(72)【発明者】
【氏名】相川 将隆
(72)【発明者】
【氏名】上原 宏
(57)【要約】
【課題】NV性能を向上可能なダンパ装置を提供する。
【解決手段】ダンパ装置は、第1回転体、第2回転体、第1弾性部材、第2弾性部材、第1摩擦機構、及び第2摩擦機構を備えている。第2回転体は、第1回転体と相対回転可能に配置される。第1弾性部材は、第1回転体を第1回転方向に付勢し且つ第2回転体を第2回転方向に付勢するように圧縮した状態で配置される。第2弾性部材は、第1回転体を第2回転方向に付勢し且つ第2回転体を第1回転方向に付勢するように圧縮した状態で配置される。第1摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に回転したときに第1摩擦力を発生させるように構成される。第2摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第2回転方向に回転したときに第1摩擦力よりも大きい第2摩擦力を発生させるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転体と、
前記第1回転体と相対回転可能に配置される第2回転体と、
前記第1回転体を第1回転方向に付勢し且つ前記第2回転体を第2回転方向に付勢するように圧縮した状態で配置される第1弾性部材と、
前記第1回転体を前記第2回転方向に付勢し且つ前記第2回転体を前記第1回転方向に付勢するように圧縮した状態で配置される第2弾性部材と、
前記第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に回転したときに第1摩擦力を発生させるように構成される第1摩擦機構と、
前記第1回転体が前記第2回転体に対して第2回転方向に回転したときに前記第1摩擦力よりも大きい第2摩擦力を発生させるように構成される第2摩擦機構と、
を備える、ダンパ装置。
【請求項2】
前記第2回転体は、フランジ部を有し、
前記第1回転体は、
前記フランジ部に対して軸方向第1側に配置される第1プレートと、
前記フランジ部に対して軸方向第2側に配置される第2プレートと、
を有する、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記第1プレートと前記フランジ部との間に配置される第1摩擦部材と、
前記第2プレートと前記フランジ部との間に配置され、前記第1摩擦部材と一体的に回転するように構成される第2摩擦部材と、
前記第2摩擦部材と前記フランジ部との間に配置され、前記第2摩擦部材と一体的に回転するように構成される第3摩擦部材と、
前記第2プレートと前記第2摩擦部材との間に配置され、前記第2プレートと一体的に回転するように構成される押圧部材と、
をさらに備え、
前記第1摩擦部材は、前記第1プレートと接触する第1摩擦面と、前記フランジ部と接触する第2摩擦面と、を有し、
前記第2摩擦部材は、前記押圧部材と接触する第3摩擦面を有し、
前記第3摩擦部材は、前記フランジ部と接触する第4摩擦面を有し、
前記第1摩擦機構は、前記第2摩擦面及び前記第4摩擦面を有し、
前記第2摩擦機構は、前記第1摩擦面及び前記第3摩擦面を有する、
請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第2プレートと前記押圧部材との間に配置される第1皿バネと、
前記第2摩擦部材と前記第3摩擦部材との間に配置される第2皿バネと、
をさらに備える、請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項5】
前記第2皿バネは、前記第1皿バネよりも外径の小さい外径を有する、
請求項4に記載のダンパ装置。
【請求項6】
前記第2皿バネは、内周端部に係合凹部を有し、
第3摩擦部材は、軸方向に延びて前記係合凹部と係合する係合凸部を有する、
請求項4に記載のダンパ装置。
【請求項7】
前記第1摩擦面は、前記第2摩擦面の外径よりも大きい外径を有する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項8】
前記第1摩擦面は、前記第2摩擦面の内径よりも大きい内径を有する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項9】
前記第3摩擦面は、前記第4摩擦面の外径よりも大きい外径を有する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項10】
前記第3摩擦面は、前記第4摩擦面の内径よりも大きい内径を有する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項11】
前記第2摩擦部材は、内周端部において係合凹部を有し、
第3摩擦部材は、軸方向に延びて前記係合凹部と係合する係合凸部を有する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項12】
前記第2摩擦部材は、
前記第3摩擦面を有する摩擦本体部と、
前記摩擦本体部に対して径方向内側且つ軸方向第2側に配置される内周部と、
を有する、
請求項3に記載のダンパ装置。
【請求項13】
前記第2プレートと前記押圧部材との間に配置される第1皿バネと、
前記第2摩擦部材と前記第3摩擦部材との間に配置される第2皿バネと、
をさらに備え、
前記第2皿バネは、径方向視において、前記第2摩擦部材の摩擦本体部と重複するように配置される、
請求項12に記載のダンパ装置。
【請求項14】
前記第1摩擦機構は、前記第1回転体が第2回転体に対して第2回転方向に所定角度以下回転したときに第1摩擦力を発生させるように構成される、
請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項15】
第2摩擦機構は、前記第1回転体が前記第2回転体に対して第1回転方向に所定角度を超えて回転したときに前記第2摩擦力を発生させるように構成される、
請求項1に記載のダンパ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンパ装置は、内燃機関からのトルク変動を吸収して減衰するように構成されている。例えば、特許文献1に開示されたダンパ装置は、第1及び第2プレートと、ハブフランジと、複数の弾性部材とを備えている。各弾性部材は、第1及び第2プレートとハブフランジとを弾性的に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-196013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように構成されたダンパ装置において、NV(noise and vibration)性能を向上させることが要望されている。そこで、発明の課題は、NV性能を向上可能なダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係るダンパ装置は、第1回転体、第2回転体、第1弾性部材、第2弾性部材、第1摩擦機構、及び第2摩擦機構を備えている。第2回転体は、第1回転体と相対回転可能に配置される。第1弾性部材は、第1回転体を第1回転方向に付勢し且つ第2回転体を第2回転方向に付勢するように圧縮した状態で配置される。第2弾性部材は、第1回転体を第2回転方向に付勢し且つ第2回転体を第1回転方向に付勢するように圧縮した状態で配置される。第1摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に回転したときに第1摩擦力を発生させるように構成される。第2摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第2回転方向に回転したときに第1摩擦力よりも大きい第2摩擦力を発生させるように構成される。
【0006】
この構成によれば、第1回転方向に回転したときに第1摩擦機構が第1摩擦力を発生させる一方で、第2回転方向に回転したときに第2摩擦機構が第2摩擦力を発生させるため、ダンパ装置のNV性能を向上させることが可能となる。例えば、ダンパ装置をハイブリッド自動車に搭載した場合、走行時において内燃機関から微小なトルク変動が入力されたときに第1摩擦機構によってその小さなトルク変動を抑制することができる。また、始動時において電気モータからトルクが入力されて大きなトルク変動が発生した時に第2摩擦機構によってその大きなトルク変動を抑制することができる。
【0007】
第2態様に係るダンパ装置は、第1態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第2回転体は、フランジ部を有する。第1回転体は、第1及び第2プレートを有する。第1プレートは、フランジ部に対して軸方向第1側に配置される。第2プレートは、フランジ部に対して軸方向第2側に配置される。
【0008】
第3態様に係るダンパ装置は、第2態様に係るダンパ装置において、第1摩擦部材と、第2摩擦部材と、第3摩擦部材と、押圧部材とをさらに備える。第1摩擦部材は、第1プレートとフランジ部との間に配置される。第2摩擦部材は、第2プレートとフランジ部との間に配置される。第2摩擦部材は、第1摩擦部材と一体的に回転するように構成される。第3摩擦部材は、第2摩擦部材とフランジ部との間に配置される。第3摩擦部材は、第2摩擦部材と一体的に回転するように構成される。押圧部材は、第2プレートと第2摩擦部材との間に配置される。押圧部材は、第2プレートと一体的に回転するように構成される。第1摩擦部材は、第1プレートと接触する第1摩擦面と、フランジ部と接触する第2摩擦面と、を有する。第2摩擦部材は、押圧部材と接触する第3摩擦面を有する。第3摩擦部材は、フランジ部と接触する第4摩擦面を有する。第1摩擦機構は、第2摩擦面及び第4摩擦面を有する。第2摩擦機構は、第1摩擦面及び第3摩擦面を有する。
【0009】
第4態様に係るダンパ装置は、第3態様に係るダンパ装置において、第1及び第2皿バネをさらに備える。第1皿バネは、第2プレートと押圧部材との間に配置される。第2皿バネは、第2摩擦部材と第3摩擦部材との間に配置される。
【0010】
第5態様に係るダンパ装置は、第4態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第2皿バネは、第1皿バネよりも外径の小さい外径を有する。
【0011】
第6態様に係るダンパ装置は、第4又は第5態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第2皿バネは、内周端部に係合凹部を有する。第3摩擦部材は、軸方向に延びて係合凹部と係合する係合凸部を有する。
【0012】
第7態様に係るダンパ装置は、第3から第6態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第1摩擦面は、第2摩擦面の外径よりも大きい外径を有する。
【0013】
第8態様に係るダンパ装置は、第3から第7態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第1摩擦面は、第2摩擦面の内径よりも大きい内径を有する。
【0014】
第9態様に係るダンパ装置は、第3から第8態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第3摩擦面は、第4摩擦面の外径よりも大きい外径を有する。
【0015】
第10態様に係るダンパ装置は、第3から第9態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第3摩擦面は、第4摩擦面の内径よりも大きい内径を有する。
【0016】
第11態様に係るダンパ装置は、第3から第10態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第2摩擦部材は、内周端部において係合凹部を有する。第3摩擦部材は、軸方向に延びて係合凹部と係合する係合凸部を有する。
【0017】
第12態様に係るダンパ装置は、第3から第11態様のいずれかに係るダンパ装置において、次のように構成される。第2摩擦部材は、摩擦本体部と、内周部とを有する。摩擦本体部は、第3摩擦面を有する。内周部は、摩擦本体部に対して径方向内側且つ軸方向第2側に配置される。
【0018】
第13態様に係るダンパ装置は、第12態様に係るダンパ装置において、第1及び第2皿バネをさらに備える。第1皿バネは、第2プレートと押圧部材との間に配置される。第2皿バネは、第2摩擦部材と第3摩擦部材との間に配置される。第2皿バネは、径方向視において、第2摩擦部材の摩擦本体部と重複するように配置される。
【0019】
第14態様に係るダンパ装置は、第1~第13態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第1摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第2回転方向に所定角度以下回転したときに第1摩擦力を発生させるように構成される。なお、第1回転体が第2回転体に対して第2回転方向に所定角度を超えて回転したときには、第2摩擦機構が第2摩擦力を発生させる。
【0020】
第15態様に係るダンパ装置は、第1~第14態様に係るダンパ装置において、次のように構成される。第2摩擦機構は、第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に所定角度を超えて回転したときに第2摩擦力を発生させるように構成される。なお、第1回転体が第2回転体に対して第1回転方向に所定角度以下回転したときには、第1摩擦機構が第1摩擦力を発生させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ダンパ装置のNV性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ダンパ装置の正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3A】第1回転体と第2回転体との関係を示す模式図。
図3B】第2回転体に対して第1回転体がR1側にθ1捩れた状態を示す模式図。
図3C】第2回転体に対して第1回転体がR1側に角度θ5捩れた状態を示す模式図。
図3D】第2回転体に対して第1回転体がR2側に角度θ2捩れた状態を示す模式図。
図4】第2プレート、第1皿バネ、押圧部材を取り外した状態のダンパ装置の正面図。
図5】ダンパ装置の拡大断面図。
図6図5とは別の角度で切断したダンパ装置の拡大断面図。
図7】ストッパ部とストッパ面とを示す正面図。
図8】ねじり特性を示すグラフ。
図9】中立状態を示す動作説明図。
図10】捩り角度が大きくなる過程においてR1側にθ1捩れた状態を示す動作説明図。
図11】捩り角度が大きくなる過程においてR1側にθ3捩れた状態を示す動作説明図。
図12】捩り角度が大きくなる過程においてR1側にθmax捩れた状態を示す動作説明図。
図13】捩り角度が小さくなる過程においてR1側にθ6捩れた状態を示す動作説明図。
図14】捩り角度が小さくなる過程においてR1側にθ7捩れた状態を示す動作説明図。
図15】捩り角度が小さくなる過程においてR1側にθ1捩れた状態を示す動作説明図。
図16】捩り角度が大きくなる過程においてR2側にθ4捩れた状態を示す動作説明図。
図17】捩り角度が大きくなる過程においてR2側にθmax捩れた状態を示す動作説明図。
図18】捩り角度が小さくなる過程においてR2側にθ8捩れた状態を示す動作説明図。
図19】捩り角度が小さくなる過程においてR2側にθ2捩れた状態を示す動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[全体構成]
図1は、中立状態におけるダンパ装置100の正面図であり、図2図1のII-II線断面図である。中立状態とは、ダンパ装置100に対して外部からトルクが入力されていない状態である。なお、図2において、ダンパ装置100の左側に内燃機関(図示せず)が配置され、右側に電気モータ(図示せず)が配置されている。
【0024】
なお、以下の説明において、軸方向とは、ダンパ装置100の回転軸Oが延びる方向である。また、周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。また、捩り角度とは、第2回転体3に対して第1回転体2が捩れた角度を意味する。なお、中立状態では、捩り角度は0度である。
【0025】
図1及び図2に示すように、ダンパ装置100は、内燃機関と電気モータとの間でトルクを伝達するように構成されている。ダンパ装置100は、内燃機関と電気モータとの間に配置される。詳細には、ダンパ装置100は、フライホイールと、電気モータのシャフトとの間でトルク伝達するように構成されている。なお、本実施形態に係るダンパ装置100は、ハイブリッド自動車に搭載されている。
【0026】
ダンパ装置100は、内燃機関からのトルクを電気モータ側に伝達するとき、第1回転方向(図1の反時計回り)に回転する。また、始動時などにおいて電気モータによって内燃機関を回転させるとき、ダンパ装置100は第2回転方向(図1の時計回り)に回転する。なお、第2回転方向は、第1回転方向とは逆の回転方向を意味する。
【0027】
ダンパ装置100は、第1回転体2、第2回転体3、第1弾性部材4、第2弾性部材5、第1摩擦部材6、第2摩擦部材7、第3摩擦部材8、押圧部材9、第1皿バネ11、第2皿バネ12、第1摩擦機構13、及び第2摩擦機構14を有している。
【0028】
<第1回転体>
第1回転体2は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。第1回転体2は、第1プレート21及び第2プレート22を有している。第1プレート21及び第2プレート22は、それぞれ中心部に孔を有する円板状である。なお、本実施形態において、内燃機関による走行時では、第1回転体2からトルクが入力され、第1及び第2弾性部材4,5を介して第2回転体3へとトルク伝達される。
【0029】
第1プレート21は、後述する第2回転体3のフランジ部32に対して、軸方向第1側に配置されている。第2プレート22は、フランジ部32に対して、軸方向第2側に配置されている。第1プレート21と第2プレート22とは、互いに軸方向に間隔をあけて配置されている。第1プレート21と第2プレート22とは、互いに一体的に回転するように固定されている。
【0030】
第1プレート21は、1対の第1支持部201、及び一対の第2支持部202を有している。第2プレート22も同様に、一対の第1支持部201、及び1対の第2支持部202を有している。第1プレート21の第1支持部201は、第2プレート22の第1支持部201と同じ位置に形成されている。すなわち、軸方向視において、第1プレート21の第1支持部201は、第2プレート22の第1支持部201と重複する。また、第1プレート21の第2支持部202は、第2プレート22の第2支持部202と同じ位置に形成されている。すなわち、軸方向視において、第1プレート21の第2支持部202は、第2プレート22の第2支持部202と重複する。
【0031】
第1プレート21は、複数の規制部213及び複数の固定部214を有している。規制部213及び固定部214は、第1プレート21の外周部に配置されている。
【0032】
規制部213は、第2プレート22に向かって軸方向に延びている。規制部213は、第1プレート21の外周部を第2プレート22側に折り曲げることによって形成されている。
【0033】
固定部214は、規制部213の先端部を径方向外側に折り曲げることによって形成されている。この固定部214が、第2プレート22の外周端部に複数のリベット23によって固定されている。このため、第1プレート21と第2プレート22とは、互いに相対回転不能であり、互いに軸方向に移動不能である。
【0034】
第1プレート21の1対の第1支持部201は、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。また、第1プレート21の各第2支持部202は、回転軸Oを中心にして各第1支持部を90°程度回転させた位置に配置されている。第2プレート22の第1支持部201及び第2支持部202も同様の位置に配置されている。各支持部201,202は、軸方向に貫通する孔と、この孔の内周縁及び外周縁に切り起こされた縁部と、を有している。
【0035】
図3A図3Dに模式的に示すように、各支持部201,202は、第1回転方向側(以下、単に「R1側」と記載する)の端部にR1支持面201a,202aを有し、第2回転方向側(以下、単に「R2側」と記載する)の端部にR2支持面201b,202bを有している。各支持部201,202における孔の幅(R1支持面とR2支持面との間の距離)はLである。
【0036】
なお、図3A図3Dでは、第1支持部201及び第2支持部202を実線で示し、後述する第2回転体3の第1収容部301及び第2収容部302を一点鎖線で示している。また、図3は模式図であって、図1で示す実際の具体的な形状とは異なっている。
【0037】
<第2回転体>
図1及び図2に示すように、第2回転体3は、ハブ部31及びフランジ部32を有している。ハブ部31及びフランジ部32は、一つの部材によって互いに一体的に構成されている。第2回転体3は、第1回転体2に対して所定の角度範囲で相対回転可能である。ハブ部31は、筒状に形成され、中心部にはスプライン孔31aが形成されている。また、ハブ部31は、第1プレート21及び第2プレート22の中心部の孔を貫通するように軸方向に延びている。
【0038】
フランジ部32は、円板状であり、ハブ部31の外周面から径方向外側に延びている。フランジ部32は、軸方向において、第1プレート21と第2プレート22との間に配置されている。
【0039】
図4は、第2プレート22、第1皿バネ11、押圧部材9を取り外した状態のダンパ装置100の正面図である。図4に示すように、フランジ部32は、複数の規制用突起32bと、1対の第1収容部301と、一対の第2収容部302と、複数の切欠303と、を有している。
【0040】
規制用突起32bは、フランジ部32の外周面から径方向外側に突出して形成されている。各規制用突起32bが形成された位置は、各収容部301,302の周方向の中央部の径方向外側である。そして、第1回転体2と第2回転体3とが互いに相対回転した際に、規制用突起32bが第1プレート21の規制部213に当接することにより、第1回転体2と第2回転体3との相対回転が禁止される。
【0041】
図3Aに示すように、1対の第1収容部301は、1対の第1支持部201に対応する位置に配置されている。また、1対の第2収容部302は、1対の第2支持部202に対応する位置に配置されている。詳細には、第1回転体2と第2回転体3との間の相対回転角度が0°であって両者が捩じれていない中立状態(捩り角度0°)では、図3Aに示すように、第1収容部301は、第1支持部201に対して軸方向視で一部が重なるようにかつR1側に第1角度θ1(例えば2°)だけオフセットして配置されている。また、第2収容部302は、第2支持部202に対して軸方向視で一部が重なるようにかつR2側に第2角度θ2だけオフセットして配置されている。なお、本実施形態では、第1角度θ1と第2角度θ2とは同じ値であるが、第1角度θ1と第2角度θ2とが異なる値であってもよい。
【0042】
各収容部301,302は、軸方向視において、外周部が円弧状のほぼ矩形の孔である。各収容部301,302は、R1側の端部にR1収容面301a,302aを有し、R2側の端部にR2収容面301b,302bを有している。各収容部301,302の孔の幅(R1収容面301a,302aと、R2収容面301b,302bと、の間の距離)は、各支持部201,202の孔の幅と同様にLに設定されている。
【0043】
図4に示すように、切欠303は、周方向において隣り合う第1収容部301と第2収容部302との間に配置されている。切欠303は、径方向外側に向かって開口している。すなわち、切欠303は、フランジ部32の外周面から径方向内側に向かって形成されている。
【0044】
<弾性部材>
図1及び図2に示すように、第1弾性部材4及び第2弾性部材5は、第1回転体2と第2回転体3とを弾性的に連結している。第1回転体2と第2回転体3とは、第1弾性部材4及び第2弾性部材5を介して、互いにトルクを伝達する。第1及び第2弾性部材4,5は、例えば、コイルスプリング41、51と、その両端部に取り付けられたスプリングシート42、52を有する。
【0045】
第1弾性部材4は、フランジ部32の第1収容部301に収容されている。第1弾性部材4は、第1回転体2の各第1支持部201によって径方向及び軸方向に支持されている。
【0046】
第2弾性部材5は、フランジ部32の第2収容部302に収容されている。第2弾性部材5は、第1回転体2の各第2支持部202によって径方向及び軸方向に支持されている。第1弾性部材4は第2弾性部材5と並列で作動する。
【0047】
第1弾性部材4と第2弾性部材5とは、自由長が互いに同じである。この第1及び第2弾性部材4,5の自由長は、各支持部201,202及び各収容部301,302の幅Lと同じである。
【0048】
第1弾性部材4の剛性は、第2弾性部材5の剛性と同じである。すなわち、第1弾性部材4のばね定数は、第2弾性部材5のばね定数と同じである。
【0049】
<第1及び第2弾性部材の状態>
ここで、中立状態での、各支持部201,202と各収容部301,302との配置、及び各弾性部材4,5の状態について、以下に詳細に説明する。なお、以下の説明において、第1支持部201及び第1収容部301を「第1窓セットw1」と記載し、第2支持部202及び第2収容部302を「第2窓セットw2」と記載する場合がある。
【0050】
中立状態では、図3Aに示すように、各第1収容部301は、対応する各第1支持部201に対してR1側に第1角度θ1だけオフセットされている。一方、各第2収容部302は、対応する各第2支持部202に対してR2側に第2角度θ2だけオフセットされている。なお、本実施形態では、第1角度θ1と第2角度θ2とは同じである。
【0051】
第1支持部201と第1収容部301との軸方向視において重なった部分の開口(軸方向に貫通する孔)に、第1弾性部材4が圧縮された状態で装着されている。
【0052】
第2支持部202と第2収容部302との軸方向視において重なった部分の開口(軸方向に貫通する孔)に、第2弾性部材5が圧縮された状態で装着されている。
【0053】
具体的には、図3Aに示すように、中立状態において、各第1窓セットw1では、第1弾性部材4のR1側の端面がR1支持面201aに当接し、第1弾性部材4のR2側の端面がR2収容面301bに当接している。すなわち、中立状態において、各第1窓セットw1では、第1弾性部材4のR1側の端面は、第1回転体2と接触する一方で、第2回転体3とは接触していない。また、中立状態において、各第1窓セットw1では、第1弾性部材4のR2側の端面は、第2回転体3と接触する一方で、第1回転体2とは接触していない。このように、第1弾性部材4は、第1回転体2をR1側に付勢し且つ第2回転体3をR2側に付勢するように圧縮した状態で配置される。
【0054】
各第2窓セットw2では、第2弾性部材5のR1側の端面がR1収容面302aに当接し、R2側の端面がR2支持面202bに当接している。すなわち、中立状態において、各第2窓セットw2では、第2弾性部材5のR1側の端面は、第2回転体3と接触する一方で、第1回転体2とは接触していない。また、中立状態において、各第2窓セットw2では、第2弾性部材5のR2側の端面は、第1回転体2と接触する一方で、第2回転体3とは接触していない。このように、第2弾性部材5は、第1回転体2をR2側に付勢し且つ第2回転体3をR1側に付勢するように圧縮した状態で配置される。
【0055】
<第1摩擦部材>
図2に示すように、第1摩擦部材6は、軸方向において、第1プレート21とフランジ部32との間に配置されている。第1摩擦部材6は、周方向に延びる環状である。第1摩擦部材6は、第1プレート21に対して相対回転可能である。また、第1摩擦部材6は、フランジ部32に対して相対回転可能である。
【0056】
図5に示すように、第1摩擦部材6は、第1摩擦面61及び第2摩擦面62を有している。第1摩擦面61及び第2摩擦面62は、周方向に延びる環状である。第1摩擦面61は、軸方向第1側を向いている。第1摩擦面61は、第1プレート21と接触している。また、第1摩擦面61は、第1皿バネ11の付勢力によって、第1プレート21を押圧している。このため、第1摩擦部材6が第1プレート21と相対回転すると、第1摩擦面61が第1プレート21と摺動し、摩擦力が発生する。
【0057】
第2摩擦面62は、軸方向第2側を向いている。第2摩擦面62は、フランジ部32と接触している。なお、第2皿バネ12の付勢力によって、フランジ部32が第2摩擦面62を押圧している。このため、第1摩擦部材6がフランジ部32と相対回転すると、第2摩擦面62がフランジ部32と摺動し、摩擦力が発生する。なお、この第2摩擦面62によって発生する摩擦力は、第1摩擦面61によって発生する摩擦力よりも小さい。このため、第1摩擦部材6の回転が規制されていない状態では、第1摩擦部材6は、第1プレート21と一体的に回転し、フランジ部32と相対回転する。すなわち、第1摩擦部材6の回転が規制されていない状態では、第1摩擦面61による摩擦力は発生せず、第2摩擦面62による摩擦力が発生する。
【0058】
第1摩擦面61は、第2摩擦面62の外径よりも大きい外径を有している。また、第1摩擦面61は第2摩擦面62の内径よりも大きい内径を有している。第1摩擦面61の面積は、第2摩擦面62の面積よりも大きい。
【0059】
図6は、図1のVI-VI線断面図である。図6に示すように、第1摩擦部材6は、摩擦本体部63と、複数のストッパ部64を有する。摩擦本体部63は、周方向に延びる環状プレートである。摩擦本体部63は、上述した第1摩擦面61及び第2摩擦面62を有している。摩擦本体部63は、軸方向において、第1プレート21とフランジ部32との間に配置されている。
【0060】
ストッパ部64は、摩擦本体部63から軸方向第2側に延びている。ストッパ部64は、軸方向において、フランジ部32を超えて、フランジ部32と第2プレート22との間まで延びている。
【0061】
図7に示すように、第2回転体3は、第1ストッパ面33と第2ストッパ面34とを有している。詳細には、フランジ部32が、第1ストッパ面33と第2ストッパ面34とを有している。第1ストッパ面33は、ストッパ部64に対して第1回転方向R1側に配置されている。第1ストッパ面33は、第2回転方向R2を向く面であり、周方向においてストッパ部64と対向している。
【0062】
第2ストッパ面34は、ストッパ部64に対して第2回転方向R2側に配置されている。第2ストッパ面34は、第1回転方向R1を向く面であり、周方向においてストッパ部64と対向している。第2ストッパ面34は、第1ストッパ面33に対して第2回転方向R2側に配置されている。
【0063】
ストッパ部64は、周方向において、第1ストッパ面33と第2ストッパ面34との間に配置されている。ダンパ装置100が中立状態にあるとき、ストッパ部64と第1ストッパ面33及び第2ストッパ面34との間には、周方向において隙間が形成されている。ストッパ部64と第1ストッパ面33との間には、第3角度θ3に相当する隙間が形成されている。すなわち、中立状態において、ストッパ部64は、第1回転方向R1側に第3角度θ3分だけ回転することができる。また、ストッパ部64と第2ストッパ面34との間には、第4角度θ4に相当する隙間が形成されている。すなわち、中立状態において、ストッパ部64は、第2回転方向R2側に第4角度θ4分だけ回転することができる。第3角度θ3は、第4角度θ4よりも大きい。また、第3角度θ3は、第1角度θ1よりも大きい。なお、本実施形態では、第4角度θ4は、第2角度θ2と同じである。
【0064】
第1摩擦部材6は、第2回転体3に対して、第1回転方向R1に第3角度θ3だけ相対回転することができる。なお、ストッパ部64が第1ストッパ面33に当接するため、第1摩擦部材6が第2回転体3に対して第1回転方向R1に第3角度θ3を超えて回転することはできない。
【0065】
また、第1摩擦部材6は、第2回転体3に対して、第2回転方向R2に第4角度θ4だけ相対回転することができる。なお、ストッパ部64が第2ストッパ面34に当接するため、第1摩擦部材6が第2回転体3に対して第2回転方向R2に第4角度θ4を超えて回転することはできない。
【0066】
<第2摩擦部材>
図5及び図6に示すように、第2摩擦部材7は、軸方向において、第2プレート22とフランジ部32との間に配置される。第2摩擦部材7は、周方向に延びる環状である。第2摩擦部材7は、第1摩擦部材6と一体的に回転するように構成されている。また、第2摩擦部材7は、第1摩擦部材6と一体的に軸方向移動するように構成されている。詳細には、第2摩擦部材7は、第1摩擦部材6のストッパ部64の先端部に係合している。
【0067】
第2摩擦部材7は、第3摩擦面71を有している。第3摩擦面71は、軸方向第2側を向いている。第3摩擦面71は、押圧部材9と接触している。なお、第1皿バネ11の付勢力によって、押圧部材9が第3摩擦面71を押圧している。このため、第2摩擦部材7が押圧部材9(第2プレート22)と相対回転すると、第3摩擦面71が押圧部材9と摺動し、摩擦力が発生する。
【0068】
第2摩擦部材7は、摩擦本体部72と、内周部73とを有する。摩擦本体部72は、周方向に延びる環状プレートである。摩擦本体部72は、第3摩擦面71を有している。
【0069】
内周部73は、摩擦本体部72に対して径方向内側に配置されている。また、内周部73は、摩擦本体部72に対して軸方向第2側に配置されている。このため、内周部73と摩擦本体部72との間には段差部74が形成されている。
【0070】
図4に示すように、第2摩擦部材7は、一対の突出部75を有している。突出部75は、摩擦本体部72から径方向外側に突出している。各突出部75は、回転軸Oを挟んで互いに反対側の位置に配置されている。
【0071】
突出部75は、周方向において、第1窓セットw1と第2窓セットw2との間に位置している。詳細には、突出部75は、第1窓セットw1に対してR1側に配置され、第2窓セットw2に対してR2側に配置される。そして、各突出部75のR1側の当接面751aは、第2窓セットw2に配置された第2弾性部材5によってR2側に付勢されている。また、各突出部75のR2側の当接面751bは、第1窓セットw1に配置された第1弾性部材4によってR1側に付勢されている。
【0072】
以上のように、第2摩擦部材7の各突出部75は、第1弾性部材4によってR1側に付勢され、第2弾性部材5によってR2側に付勢されている。したがって、第2摩擦部材7及びこれと一体的に回転する第1摩擦部材6は、中立状態では中立位置に位置決めされる。
【0073】
<第3摩擦部材>
図5に示すように、第3摩擦部材8は、軸方向において、第2摩擦部材7とフランジ部32との間に配置されている。第3摩擦部材8は、周方向に延びる環状である。第3摩擦部材8は、摩擦本体部81及び複数の係合凸部82を有している。摩擦本体部81は、軸方向において、第2摩擦部材7とフランジ部32との間に配置されている。摩擦本体部81は、周方向に延びる環状プレートである。
【0074】
摩擦本体部81は、第4摩擦面83を有している。第4摩擦面83は、軸方向第1側を向いている。第4摩擦面83は、フランジ部32と接触している。なお、第2皿バネ12の付勢力によって、第4摩擦面83はフランジ部32を押圧している。このため、第3摩擦部材8が第2回転体3と相対回転すると、第4摩擦面83がフランジ部32と摺動し、摩擦力が発生する。なお、第4摩擦面83によって発生する摩擦力は、第3摩擦面71によって発生する摩擦力よりも小さい。
【0075】
第3摩擦面71は、第4摩擦面83の外径よりも大きい外径を有している。また、第3摩擦面71は第4摩擦面83の内径よりも大きい内径を有している。第3摩擦面71の面積は、第4摩擦面83の面積よりも大きい。
【0076】
係合凸部82は、摩擦本体部81から軸方向第2側に延びている。詳細には、係合凸部82は、摩擦本体部81の内周端部から軸方向第2側に延びている。各係合凸部82は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各係合凸部82は、第2摩擦部材7の内周端部に形成された各係合凹部76のそれぞれと係合している。このため、第3摩擦部材8は、第2摩擦部材7と一体的に回転する。なお、第3摩擦部材8は、軸方向移動可能に第2摩擦部材7に取り付けられている。
【0077】
<押圧部材>
押圧部材9は、軸方向において第2プレート22と第2摩擦部材7との間に配置されている。押圧部材9は、第2摩擦部材7と相対回転可能である。また、押圧部材9は、第2プレート22と一体的に回転する。
【0078】
押圧部材9は、押圧本体部91と、複数の係合部92とを有している。押圧本体部91は、周方向に延びる環状プレートである。押圧本体部91は、第2プレート22と第2摩擦部材7との間に配置されている。
【0079】
押圧本体部91は、押圧面93を有している。押圧面93は、軸方向第1側を向いている。押圧面93は、第2摩擦部材7の第3摩擦面71と当接している。
【0080】
係合部92は、押圧本体部91から軸方向第2側に延びている。各係合部92は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。各係合部92は、第2プレート22に形成された複数の係合孔のそれぞれに係合している。このため、押圧部材9は、第2プレート22と一体的に回転する。なお、押圧部材9は、軸方向に移動可能に第2プレート22に取り付けられている。
【0081】
<第1及び第2皿バネ>
第1皿バネ11は、第2プレート22と押圧部材9との間に配置されている。第1皿バネ11は、押圧部材9を軸方向第1側に付勢するように構成されている。なお、第1皿バネ11は、内周端部において第2プレート22と当接しており、外周端部において押圧部材9と当接している。
【0082】
第1皿バネ11は、複数の係合凹部111を有している。各係合凹部111は、第1皿バネ11の外周端部に形成されている。各係合凹部111は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。押圧部材9の係合部92が、係合凹部111を介して軸方向に延びている。また、押圧部材9の係合部92は、係合凹部111と係合している。このため、第1皿バネ11は、押圧部材9と一体的に回転する。なお、押圧部材9は、第1皿バネ11に対して軸方向に移動可能である。
【0083】
第2皿バネ12は、第2摩擦部材7と第3摩擦部材8との間に配置されている。詳細には、第2皿バネ12は、第2摩擦部材7の内周部73と第3摩擦部材8との間に配置されている。第2皿バネ12は、径方向視において、第2摩擦部材7の摩擦本体部72と重複するように配置されている。また、第2皿バネ12は、軸方向視において、第2摩擦部材7の内周部73と重複するように配置されている。
【0084】
第2皿バネ12は、第3摩擦部材8を軸方向第1側に付勢するように構成されている。なお、第2皿バネ12は、内周端部において第2摩擦部材7と当接しており、外周端部において第3摩擦部材8と当接している。
【0085】
第2皿バネ12は、複数の係合凹部121を有している。各係合凹部121は、第2皿バネ12の内周端部に形成されている。各係合凹部121は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。第3摩擦部材8の係合凸部82が、係合凹部121を介して軸方向に延びている。また、第3摩擦部材8の係合凸部82は、係合凹部121と係合している。このため、第2皿バネ12は、第3摩擦部材8と一体的に回転する。なお、第3摩擦部材8は、第2皿バネ12に対して軸方向に移動可能である。
【0086】
第2皿バネ12は、第1皿バネ11の外径よりも小さい外径を有している。第2皿バネ12の付勢力は、第1皿バネ11の付勢力よりも小さい。
【0087】
<第1摩擦機構>
第1摩擦機構13は、第1回転体2が第2回転体3に対して第1回転方向R1に回転したときに、第1摩擦力を発生させるように構成されている。詳細には、第1回転方向R1における捩り角度が第3角度θ3になるまでは第1摩擦機構13が作動する。なお、第1回転方向R1における捩り角度が第3角度θ3(所定角度)より大きくなると、第2摩擦機構14が作動し始める。また、第1回転方向R1における捩り角度が第3角度θ3より大きくなった場合であっても、トルク変動が入力された場合、第1摩擦機構13が作動する。詳細には、第3角度θ3と第1角度θ1との差(θ3-θ1)に相当するトルク変動以下のトルク変動が入力されたときに、第1摩擦機構13が作動する。
【0088】
また、第2回転方向R2における捩り角度が第4角度θ4(所定角度)になるまでは、第1摩擦機構13が作動する。第2回転方向R2における捩り角度が第4角度θ4を超えると、第2摩擦機構14が作動し、第1摩擦機構13は作動しない。また、本実施形態では、第2回転方向R2における捩り角度が第4角度θ4を超えると、トルク変動が入力された場合も第1摩擦機構13は作動しない。
【0089】
第1摩擦機構13は、第2摩擦面62、第4摩擦面83、及び第2皿バネ12によって構成されている。第1摩擦機構13は、第1摩擦部材6及び第3摩擦部材8がフランジ部32と相対回転したときに、第1摩擦力を発生させる。すなわち、第1摩擦機構13は、第2及び第4摩擦面62、83がフランジ部32と摺動することによって、第1摩擦力を発生させるように構成されている。
【0090】
<第2摩擦機構>
第2摩擦機構14は、第1回転体2が第2回転体3に対して第2回転方向R2に回転したときに、第2摩擦力を発生させるように構成されている。詳細には、第2回転方向R2における捩り角度が第4角度θ4を超えると、第2摩擦機構14が作動する。なお、第2回転方向R2における捩り角度が第4角度θ4以下の場合、第2摩擦機構14は作動せずに第1摩擦機構13が作動する。
【0091】
また、第2摩擦機構14は、第1回転方向R1における捩り角度が第3角度θ3を超えると作動する。
【0092】
第2摩擦機構14は、第1摩擦面61、第3摩擦面71、及び第1皿バネ11によって構成されている。第2摩擦機構14は、第1摩擦部材6及び第2摩擦部材7が第1回転体2と相対回転したときに、第2摩擦力を発生させる。すなわち、第2摩擦機構14は、第1摩擦面61が第1プレート21と摺動し、且つ第3摩擦面71が押圧部材9と摺動することによって、第2摩擦力を発生させるように構成されている。第2摩擦力は、第1摩擦力よりも大きい。
【0093】
[捩り特性:摩擦力なし]
ここで、動作の説明を容易にするために、まず、摩擦力がない場合の、4つの弾性部材4,5による捩り特性について説明する。図8において、破線が第1窓セットw1の第1弾性部材4による捩り特性、二点鎖線が第2窓セットw2の第2弾性部材5による捩り特性、実線がこれらの捩り特性を合成した捩り特性w0である。
【0094】
ダンパ装置100は、中立状態、第1捩り状態、及び第2捩り状態となるように構成されている。図3Aは、中立状態のダンパ装置100の模式図を示し、図3B及び図3Cは、第1捩り状態のダンパ装置100を示し、図3Dは、第2捩り状態のダンパ装置100を示す。なお、中立状態とは、内燃機関及び電気モータのいずれからもダンパ装置100にトルクが伝達されないときのダンパ装置100の状態を意味する。また、第1捩り状態とは、内燃機関からダンパ装置100にトルクが伝達されることによって、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側に捩れたときのダンパ装置100の状態を意味する。また、第2捩り状態とは、電気モータからダンパ装置100にトルクが伝達されることによって、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に捩れたときのダンパ装置100の状態を意味する。
【0095】
<第1窓セットw1>
図3Aに示すように、第1回転体2と第2回転体3とが相対回転していない中立状態では、第1窓セットw1の第1弾性部材4は、R1支持面201aとR2収容面301bとの間に圧縮して配置されている。このR1支持面201aとR2収容面301bとの間の間隔G0は、各支持部201,202及び各収容部301,302の幅L(弾性部材4,5の自由長に等しい)より狭い。したがって、図8の鎖線で示すように、第1窓セットw1では、圧縮された第1弾性部材4による捩りトルク-tが発生している。
【0096】
図3Bに示すように、内燃機関からダンパ装置100にトルクが入力されると、ダンパ装置100は、第1捩り状態となる。すなわち、第1回転体2に対して第2回転体3が中立状態から第2回転方向R2に捩れる。なお、第2回転体3に対して第1回転体2が第1回転方向R1に捩れた時の捩れ角度を正とし、第2回転体3に対して第1回転体2が第2回転方向R2に捩れた時の捩れ角度を負とする。図3Bでは、第1回転体2は、第2回転体3に対して第1角度θ1だけ捩れる。この状態では、第1支持部201に対する第1収容部301のオフセット量が「0」となる。
【0097】
ここでは、第1窓セットw1において、第1弾性部材4のR1側の端面が当接しているR1支持面201aと、第1弾性部材4のR2側の端面が当接しているR2収容面301bとの間の間隔G1は間隔G0よりも広くなる。この間隔G1は第1弾性部材4の自由長と同じである。すなわち、捩り角度が第1角度θ1になったとき、第1窓セットw1では、第1弾性部材4は自由長となって、図8に示すように、捩りトルクは「0」となる。
【0098】
また、第1回転体2に対して第2回転体3が第1角度θ1を超えて捩れると、図3Cに示すように(図3Cでは捩り角度がθ5(>θ1)の場合を示している)、第1窓セットw1の第1弾性部材4のR1側の端面はR1収容面301aに当接し、R2側の端面はR2支持面201bに当接する。ここで、R1収容面301aとR2支持面201bとの間の間隔G2は、第1弾性部材4の自由長よりも狭い。すなわち、第1回転体2と第2回転体3の捩り角度がθ1を超えると、第1弾性部材4は自由長から圧縮され、図8に示すように、捩りトルクは次第に大きくなる。
【0099】
一方、図3Dに示すように、ダンパ装置100が第2捩り状態となった場合、すなわち、第1回転体2に対して第2回転体3が中立状態から第1回転方向R1に捩れる場合は、第1窓セットw1の第1弾性部材4は、常にR1支持面201aとR2収容面301bとの間で圧縮される。すなわち、第1窓セットw1では、図8に示すように、負側の捩り領域においては、捩り角度が負側に大きくなるにしたがって捩りトルクも負側に大きくなる。
【0100】
<第2窓セットw2>
図3Aに示すように、中立状態では、第2窓セットw2の第2弾性部材5は、R1収容面302aとR2支持面202bとの間に圧縮して配置されている。このR1収容面302aとR2支持面202bとの間の間隔G0は、各支持部201,202及び各収容部301,302の幅L(弾性部材4,5の自由長に等しい)より狭い。したがって、図8の二点鎖線で示すように、中立状態において、第2窓セットw2では、圧縮された第2弾性部材5による捩りトルク+tが発生している。なお、この中立状態における第2弾性部材5の捩りトルク+tは、第1弾性部材4による捩りトルク-tと釣り合っている。
【0101】
図3B及び図3Cに示すように、ダンパ装置100が第1捩り状態となると、第2窓セットw2の第2弾性部材5は、常にR1収容面302aとR2支持面202bとの間で圧縮される。すなわち、第2窓セットw2では、図8に示すように、正側の捩り領域においては、捩り角度が大きくなるにしたがって捩りトルクも正側に大きくなる。
【0102】
一方、図3Dに示すように、ダンパ装置100が第2捩り状態となる、すなわち、第1回転体2に対して第2回転体3が中立状態からR1側に角度θ2だけ捩れると、第2支持部202に対する第2収容部302のオフセット量が「0」となる。
【0103】
ここでは、第2窓セットw2では、第2弾性部材5のR1側の端面が当接しているR1収容面302aと、第2弾性部材5のR2側の端面が当接しているR2支持面202bと、の間の間隔G3は間隔G0よりも広くなる。この間隔G3は第2弾性部材5の自由長と同じである。すなわち、第1回転体2と第2回転体3の捩り角度が-θ2の場合、第2窓セットw2では、第2弾性部材5は自由長となって、図8に示すように、捩りトルクは「0」となる。
【0104】
また、第1回転体2に対して第2回転体3が角度θ2を超えてR1側に捩れると、第2窓セットw2の第2弾性部材5のR1側の端面はR1支持面202aに当接し、R2側の端面はR2収容面302bに当接する。そして、捩り角度が負側にさらに大きくなると、第2弾性部材5は自由長から圧縮され、図8に示すように、捩りトルクは負側に次第に大きくなる。
【0105】
<合成された捩り特性>
ダンパユニット全体としては、図8の破線で示す特性w1と二点鎖線で示す特性w2とが合成され、実線で示す捩り特性w0となる。すなわち、中立状態では捩りトルクは「0」であり、捩り角度が正側及び負側に大きくなるにしたがって、捩りトルクも正側及び負側に大きくなる。
【0106】
[動作:摩擦力あり]
次に、図9以降の模式図を用いて、摩擦力を考慮した捩り特性について説明する。模式図では、第1摩擦部材6、第2摩擦部材7、及び第3摩擦部材8をまとめて「摩擦部材FP」として説明する。また、各模式図において、右側がR1側を示し、左側がR2側を示す。以下の説明では、捩り角度とは、第2回転体3に対する第1回転体2の捩り角度を意味する。また、捩り角度は絶対値として説明する。
【0107】
<中立状態>
図9は、中立状態を示している。この中立状態では、各窓セットw1,w2の弾性部材4,5は圧縮されて配置されている。また、前述のように、第2摩擦部材7の突出部75の端面である当接面751a,751bは、対応する弾性部材4,5の端面に当接している。このため、第2摩擦部材7は、中立位置に位置決めされている。したがって、第1摩擦部材6のストッパ部64とフランジ部32の第1ストッパ面33との間には、第3角度θ3分の隙間が確保されており、ストッパ部64と第2ストッパ面34との間には第4角度θ4の隙間が確保されている。
【0108】
まず、ダンパ装置100が第1捩り状態となった時の捩り特性について説明する。
【0109】
<中立状態→捩り角度θ1>
図10は、第1回転体2が第2回転体3に対して中立状態からR1側に第1角度θ1(例えば2°)捩れた状態を示している。
【0110】
図9から図10に状態が変化する間、すなわち、中立状態からR1側に第1角度θ1捩れる間は、第1弾性部材4は圧縮状態から伸長して自由長となり、第2弾性部材5は圧縮状態からさらに圧縮される。また、R2支持面201b及びR1収容面301aが第1弾性部材4と当接する。
【0111】
摩擦部材FPは、第1回転体2と同期してR1側に回転する。このため、摩擦部材FPと第1回転体2との間に摩擦力は発生しない。詳細には、第1摩擦面61と第1プレート21との間に摩擦力は発生しない。また、第3摩擦面71と押圧部材9との間にも摩擦力は発生しない。すなわち、第2摩擦機構14は作動しない。
【0112】
一方、摩擦部材FPと第2回転体3との間に摩擦力が発生する。詳細には、第2摩擦面62及び第4摩擦面83とフランジ部32との間に摩擦力が発生する。すなわち、第1摩擦機構13が作動する。
【0113】
<捩り角度θ1→θ3>
図11は、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側に第3角度θ3(例えば、4.5°)捩れた状態を示している。
【0114】
図10から図11に状態が変化する間、すなわち、捩り角度が第1角度θ1から第3角度θ3になる間は、第1窓セットw1の第1弾性部材4は、自由長から圧縮されて圧縮状態となる。なお、捩り角度が第1角度θ1より大きくなると、突出部75の当接面751bは、第1弾性部材4の端面から離れる。第2窓セットw2の第2弾性部材5は、圧縮状態からさらに圧縮される。
【0115】
図10から図11に状態が変化する間と同様に、第1摩擦機構13が作動し、第2摩擦機構14は作動していない。
【0116】
<捩り角度θ3°→θmax°>
図12は、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側にθmax(例えば、13.5°)捩れた状態を示している。
【0117】
図11から図12に状態が変化する間、すなわち、捩り角度が第3角度θ3からθmaxになる間は、第1弾性部材4及び第2弾性部材5は、圧縮状態がさらに進む。
【0118】
摩擦部材FPは、ストッパ部64が第1ストッパ面33と当接しているため、R1側への回転が禁止される。この結果、摩擦部材FPは第1回転体2に対して相対回転し、これらの間に摩擦力が発生する。詳細には、第1摩擦面61が第1プレート21と相対回転して、これらの間に摩擦力が発生する。また、第3摩擦面71が押圧部材9と相対回転して、摩擦力が発生する。このように、第2摩擦機構14が作動している。
【0119】
また、摩擦部材FPの突出部75の当接面751bは、第1弾性部材4と当接しておらず、第3角度θ3と第1角度θ1との差の分だけ隙間が空いている。このため、第1回転体2に捩り角度がθ3-θ1分のトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構13が作動する。
【0120】
<捩り角度θmax→θ6>
図13は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側にθ6(=θ3-θ1)捩れた状態を示している。
【0121】
図12から図13に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθmaxからθ6に戻る間は、摩擦部材FPは第1回転体2とともにR2側に回転する。このため、第2摩擦面62及び第4摩擦面83とフランジ部32との間で摩擦力が発生する。すなわち、第1摩擦機構13が作動する。なお、第2摩擦機構14は作動しない。
【0122】
<捩り角度θ6→θ7>
図14は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側にθ7(例えば、3.5°)捩れた状態を示している。
【0123】
図13から図14に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ6からθ7に戻る間は、第1回転体2がR2側に回転する一方で、摩擦部材FPは回転しない。詳細には、摩擦部材FPは、当接面751bが第1弾性部材4に当接している一方で、当接面751aが第2弾性部材5と当接していない。すなわち、摩擦部材FPは、第1弾性部材4によってR1側に付勢されている。このため、摩擦部材FPは、R2側に回転しない。したがって、第1回転体2は摩擦部材FPに対して相対回転するので、第1摩擦面61と第1プレート21との間、及び第3摩擦面71と押圧部材9との間で摩擦力が発生する。すなわち、第2摩擦機構14が作動する。
【0124】
ここで、摩擦部材FPのストッパ部64は、第1ストッパ面33と当接しておらず、また、摩擦部材FPの突出部75の当接面751aは第2弾性部材5と当接していない。このため、第1回転体2にトルク変動が入力された場合、第1摩擦機構13が作動する。
【0125】
<捩り角度θ7→θ1>
図15は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR1側に第1角度θ1捩れた状態を示している。
【0126】
図14から図15に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ7からθ1に戻る間は、第1回転体2は摩擦部材FPととともにR2側に回転する。このため、第2摩擦面62及び第4摩擦面83とフランジ部32との間で摩擦力が発生する。すなわち、第1摩擦機構13が作動する。なお、第2摩擦機構14は作動しない。
【0127】
なお、捩り角度がθ7からθ1になるまでの間、第1弾性部材4は作動しない。すなわち、第1弾性部材4の伸縮状態は変化しない。このため、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第2弾性部材5のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0128】
<捩り角度θ1から中立状態>
図15から図9に状態が変化する間、すなわち、捩り角度θ1から中立状態に戻る間は、第1回転体2がR2側に回転する一方で、摩擦部材FPは回転しない。詳細には、摩擦部材FPは第1弾性部材4によってR1側に付勢されるため、R2側への回転が規制される。このため、第1摩擦面61と第1プレート21、及び第3摩擦面71と押圧部材9との間で摩擦力が発生する。すなわち、第2摩擦機構14が作動する。なお、第1摩擦機構13は作動しない。
【0129】
なお、捩り角度2°から中立状態になるまでの間、第1弾性部材4は作動しない。すなわち、第1弾性部材4の伸縮状態は変化しない。このため、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第2弾性部材5のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0130】
次に、ダンパ装置100が第2捩り状態となったときの捩り特性について説明する。
【0131】
<中立状態→捩り角度θ4>
図16は、捩り角度が負側に大きくなる過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に第4角度θ4捩れた状態を示している。この状態において、摩擦部材FPのストッパ部64は、フランジ部32の第2ストッパ面34に当接している。
【0132】
図9から図16に状態が変化する間、すなわち、中立状態からR2側にθ4捩れる間は、第2弾性部材5は圧縮状態から伸長して自由長となり、第1弾性部材4は圧縮状態からさらに圧縮される。
【0133】
摩擦部材FPは、第1回転体2とは同期してR2側に回転する。このため、摩擦部材FPと第1回転体2との間に摩擦力は発生しない。詳細には、第1摩擦面61と第1プレート21との間に摩擦力は発生しない、また、第3摩擦面71と押圧部材9との間にも摩擦力は発生しない。すなわち、第2摩擦機構14は作動しない。
【0134】
一方、摩擦部材FPと第2回転体3との間に摩擦力が発生する。詳細には、第2摩擦面62及び第4摩擦面83とフランジ部32との間に摩擦力が発生する。すなわち、第1摩擦機構13が作動する。
【0135】
<捩り角度θ4→θmax>
図17は、捩り角度が負側に大きくなる過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側にθmax捩れた状態を示している。
【0136】
図16から図17に状態が変化する間、すなわち、捩り角度θ4からθmaxまで捩れる間は、第1弾性部材4は圧縮状態がさらに進み、第2弾性部材5は自由長から圧縮されて圧縮状態となる。
【0137】
第1回転体2は、R2側へ回転する一方で、摩擦部材FPは、ストッパ部64が第2ストッパ面34と当接しているため、R2側への回転が禁止される。この結果、摩擦部材FPは第1回転体2に対して相対回転し、これらの間に摩擦力が発生する。詳細には、第1摩擦面61が第1プレート21と相対回転して、これらの間に摩擦力が発生する。また、第3摩擦面71が押圧部材9と相対回転して、摩擦力が発生する。このように、第2摩擦機構14が作動する。なお、第1回転体2にトルク変動が入力されても、第1摩擦機構13は作動しない。
【0138】
<捩り角度θmax→θ8>
図18は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側にθ8(例えば、3.5°)捩れた状態を示している。
【0139】
図17から図18に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθmaxからθ8に戻る間は、第1回転体2がR1側に回転する一方で、摩擦部材FPは回転しない。詳細には、摩擦部材FPは、当接面751aが第2弾性部材5の端面に当接している一方で、当接面751bが第1弾性部材4の端面と当接していない。すなわち、摩擦部材FPは、第2弾性部材5によってR2側のみに付勢されている。このため、摩擦部材FPは、R1側に回転しない。したがって、第1回転体2は摩擦部材FPに対して相対回転するので、第1摩擦面61と第1プレート21との間、及び第3摩擦面71と押圧部材9との間で摩擦力が発生する。すなわち、第2摩擦機構14が作動する。なお、第1摩擦機構13は作動しない。
【0140】
<捩り角度θ8→θ2>
図19は、中立状態に戻る過程において、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側に第2角度θ2捩れた状態を示している。
【0141】
図18から図19に状態が変化する間、すなわち、捩り角度がθ8からθ2に戻る間は、第1回転体2は摩擦部材FPととともにR1側に回転する。このため、第2摩擦面62及び第4摩擦面83とフランジ部32との間で摩擦力が発生する。すなわち、第1摩擦機構13が作動する。なお、第2摩擦機構14は作動しない。
【0142】
なお、捩り角度がθ8からθ2になるまでは、第2弾性部材5は作動しない。すなわち、第2弾性部材5の伸縮状態は変化しない。このため、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第1弾性部材4のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0143】
<捩り角度θ2から中立状態>
図19から図9に状態が変化する間、すなわち、捩り角度θ2から中立状態に戻る間は、第1回転体2がR1側に回転する一方で、摩擦部材FPは回転しない。詳細には、摩擦部材FPは第2弾性部材5によってR2側に付勢されるため、R1側への回転が規制される。このため、第1摩擦面61と第1プレート21、及び第3摩擦面71と押圧部材9との間で摩擦力が発生する。すなわち、第2摩擦機構14が作動する。なお、第1摩擦機構13は作動しない。
【0144】
なお、捩り角度θ2から中立状態になるまでの間、第2弾性部材5は作動しない。すなわち、第2弾性部材5の伸縮状態は変化しない。このため、ダンパ装置100全体の捩り剛性は、第1弾性部材4のみの剛性(具体的には合成特性の剛性の1/2)となる。
【0145】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0146】
(a)上記実施形態では、第2捩り状態において、第2摩擦機構14が作動する範囲で第1摩擦機構13が作動しないように構成されているが、ダンパ装置100の構成はこれに限定されない。例えば、第2捩り状態で第2摩擦機構14が作動する範囲において、第1摩擦機構13が作動するように構成されていてもよい。具体的には、第4角度θ4を第2角度θ2よりも大きくする。これにより、第1回転体2が第2回転体3に対してR2側にθ4を超えて捩れたとき、第2摩擦機構14が作動するとともに、第1回転体2にトルク変動が入力されると第1摩擦機構13が作動する。
【0147】
(b)上記実施形態では、第1捩り状態において、捩り角度が第3角度θ3を超えると第2摩擦機構14が作動するように構成されているが、第2摩擦機構14は第1捩り状態において作動しないように構成することができる。この場合、例えば、第3角度θ3をθmax以上の大きさにすればよい。
【0148】
(c)上記実施形態では、第1摩擦部材6がストッパ部64を有しているが、ストッパ部64の構成はこれに限定されない。例えば、第2摩擦部材7がストッパ部64を有していてもよい。この場合、ストッパ部64は、第2摩擦部材7から軸方向第1側に延びる。そして、ストッパ部64は、第1摩擦部材6と一体的回転するように係合している。
【0149】
(d)各支持部201,202及び各収容部301,302の幅や、弾性部材4,5の長さ、あるいは捩り角度の具体的数値については、一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0150】
2 :第1回転体
21 :第1プレート
22 :第2プレート
3 :第2回転体
32 :フランジ部
4 :第1弾性部材
5 :第2弾性部材
6 :第1摩擦部材
61 :第1摩擦面
62 :第2摩擦面
7 :第2摩擦部材
71 :第3摩擦面
72 :摩擦本体部
73 :内周部
76 :係合凹部
8 :第3摩擦部材
82 :係合凸部
83 :第4摩擦面
9 :押圧部材
11 :第1皿バネ
12 :第2皿バネ
13 :第1摩擦機構
14 :第2摩擦機構
100 :ダンパ装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19