(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116531
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】道床形状測定装置及び道床形状測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240821BHJP
E01B 35/06 20060101ALI20240821BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
G01B11/24 K
E01B35/06
B61L23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022209
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104064
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 岳人
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2D057
2F065
5H161
【Fターム(参考)】
2D057AB02
2D057AB03
2F065AA04
2F065AA52
2F065AA53
2F065CC14
2F065DD03
2F065FF05
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM06
2F065QQ31
5H161AA01
5H161MM12
5H161NN10
(57)【要約】
【課題】バラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することができる道床形状測定装置を提供する。
【解決手段】道床形状測定装置1は、軌道周辺の複数の第1点の色値を含む線路沿線の3次元点群データを取得する第1取得部21と、複数の第1点のうちレールの頭頂面を表す複数の第2点の頭頂面の3次元点群データを取得する第1抽出部22と、頭頂面の3次元点群データに基づいて、レールの頭頂面の中心線上に間隔を空けて配列された複数の第4点の芯の3次元点群データを取得する第2取得部25と、隣り合う2つの第4点を第5点及び第6点として選択し、第5点を通り且つ第5点から第6点に向かう第4方向に垂直な第1平面からの第4方向における距離が一定の範囲内である複数の第1点を第7点として抽出することにより、バラスト道床の断面形状の3次元点群データを取得する第2抽出部28と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラスト道床と、前記バラスト道床上に互いに間隔を空けて配置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎをそれぞれまたいで設置され且つ互いに間隔を空けて配置された第1レール及び第2レールと、を含むバラスト軌道に含まれる前記バラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置において、
前記バラスト軌道の表面及び前記バラスト軌道周辺の物体の表面の複数の第1点の各々についての、水平面内の第1方向における第1座標、前記水平面内で前記第1方向と直交する第2方向における第2座標、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向における第3座標、並びに、色値又は輝度値である第1値、を含む第1点群データを取得する第1取得部と、
前記複数の第1点のうち、前記第1値が第1範囲内である第1点を、前記第1レールの頭頂面を表す第2点としてそれぞれ抽出することにより、前記第1レールの頭頂面を表す複数の前記第2点の各々についての、前記第1座標、前記第2座標及び前記第3座標、を含む第2点群データを取得する第1抽出部と、
前記複数の第2点よりなる第1点群を、前記第1レールに沿って配列された複数の第2点群に分割する第1分割部と、
前記第1分割部により分割された前記複数の第2点群のうちいずれかの第2点群を第3点群として選択し、前記複数の第2点のうち、選択された前記第3点群に含まれる複数の第2点を複数の第3点として選択し、前記第3点群に対応して算出される第4点であって、前記第4点についての前記第1方向における第4座標が前記複数の第3点の各々についての前記第1座標の平均値に対応し、前記第4点についての前記第2方向における第5座標が前記複数の第3点の各々についての前記第2座標の平均値に対応し、且つ、前記第4点についての前記第3方向における第6座標が前記複数の第3点の各々についての前記第3座標の平均値に対応している、前記第4点、を算出する第1算出処理を実行する第1選択部と、
前記複数の第2点群のうち前記第1選択部により選択される第2点群を変更しながら前記第1選択部による前記第1算出処理を繰り返すことにより、前記複数の第2点群の各々にそれぞれ対応した複数の前記第4点を算出し、算出された前記複数の第4点の各々についての、前記第4座標、前記第5座標及び前記第6座標、を含む第3点群データを取得する第2取得部と、
前記複数の第4点のうち互いに隣り合う2つの第4点を、第5点及び第6点として選択する第2選択部と、
前記第2選択部により選択された前記第5点についての前記第4座標及び前記第5座標、並びに、前記第2選択部により選択された前記第6点についての前記第4座標及び前記第5座標、に基づいて、前記第5点から前記第6点に向かう方向を第4方向として算出する第1算出部と、
前記複数の第1点のうち、前記第5点を通り且つ前記第4方向に垂直な第1平面からの前記第4方向における距離が第2範囲内である複数の第1点を、複数の第7点として抽出することにより、前記複数の第7点の各々についての、前記第1座標、前記第2座標及び前記第3座標、を含む第4点群データを取得する第2抽出部と、
前記第2抽出部により取得された前記第4点群データに基づいて、前記バラスト道床の前記第4方向に垂直な断面形状を測定する第1測定部と、
を有する、道床形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の道床形状測定装置において、
前記第1算出部は、前記水平面内で前記第4方向と直交する方向を第5方向として算出し、
前記第1測定部は、
前記第1平面を、前記第5方向に配列された複数の第2平面に分割し、前記複数の第7点よりなる第4点群を、前記第4方向から視たときに前記複数の第2平面の各々とそれぞれ重なる複数の第5点群に分割する第2分割部と、
前記複数の第2平面のうちいずれかの第2平面を第3平面として選択し、前記複数の第5点群のうち前記第4方向から視たときに前記第3平面と重なる第5点群を第6点群として選択し、前記複数の第7点のうち、選択された前記第6点群に含まれる複数の第7点を複数の第8点として選択し、前記第6点群に対応して算出され且つ前記第3平面内に配置される第9点であって、前記第9点についての前記第1平面内での前記第5方向における第7座標が前記第5点を原点としたときの前記第5方向における前記第3平面の位置に対応し、前記第9点についての前記第1平面内での前記第3方向における第8座標が前記複数の第8点の各々についての前記第3座標の中央値又は平均値に対応している、前記第9点、を算出する第2算出処理を実行する第2選択部と、
前記複数の第5点群のうち前記第2選択部により選択される第5点群を変更しながら前記第2選択部による前記第2算出処理を繰り返すことにより、前記複数の第5点群の各々にそれぞれ対応した複数の前記第9点を算出し、算出された前記複数の第9点の各々についての、前記第7座標及び前記第8座標、を含む第5点群データを取得する第3取得部と、
を含み、
前記第1測定部は、前記第3取得部により取得された前記第5点群データに基づいて、前記バラスト道床の前記第4方向に垂直な断面形状を測定する、道床形状測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の道床形状測定装置において、
前記第1測定部は、前記第1平面内で前記第5点から前記第3方向に予め定められた前記第1レールの第1高さだけ下方に離れた点を第10点とし、前記複数の第9点のうち、前記第1平面内で前記第5点を中心として前記第5方向における前記第2レール側に対応した第1の側と反対側に配置され且つ前記第8座標が最大となる第9点を第11点としたとき、前記第11点から前記第10点までの前記第3方向における距離を、前記第5点における前記バラスト道床の余盛高さとして測定する、第2測定部を含む、道床形状測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の道床形状測定装置において、
前記第1測定部は、前記第1平面内で前記第5点から前記第3方向に予め定められた前記第1レールの第2高さだけ下方に離れた点を第12点とし、前記第1平面内で前記第12点を通り且つ前記第5方向に延在する第1直線と、前記複数の第9点を通る第1曲線とが、前記第1平面内で前記第12点を中心として前記第5方向における前記第2レール側に対応した第2の側と反対側で交差する点を第13点とし、前記第1直線上で前記第12点と前記第13点との間に配置され、前記第12点から前記第5方向において予め定められた第1長さだけ離れ、且つ、前記第4方向から視たときのまくらぎの端部を表す点を第14点としたとき、前記第14点から前記第13点までの前記第5方向における距離を、前記第5点における前記バラスト道床の道床肩幅として測定する、第3測定部を含む、道床形状測定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の道床形状測定装置において、
前記第1レールの第1曲線半径と、前記第1曲線半径に応じて決定される前記余盛高さの第1基準値と、の関係を示す第1関係データが記録された第1記録部を有し、
前記第1分割部は、前記第1点群を、前記第1レールに沿って第1間隔で配列された前記複数の第2点群に分割し、
前記第1測定部は、
前記複数の第4点のうち互いに隣り合うN1個(N1は1以上の整数)の第4点を挟んで前記第5点と隣り合う第4点を第15点として選択し、前記複数の第4点のうち、前記第5点を挟んで前記第15点と反対側に配置され、且つ、互いに隣り合うN1個の第4点を挟んで前記第5点と隣り合う、第4点を第16点として選択し、前記第5点についての前記第4座標及び前記第5座標、選択された前記第15点についての前記第4座標及び前記第5座標、並びに、選択された前記第16点についての前記第4座標及び前記第5座標、に基づいて、前記第15点と前記第16点とを結ぶ第1弦の第1弦長、及び、前記第5点から前記第1弦までの距離である第1正矢、を算出し、算出された前記第1弦長及び前記第1正矢に基づいて、前記第5点における前記第1レールの前記第1曲線半径を測定する第4測定部と、
前記第4測定部により測定された前記第1曲線半径、及び、前記第1記録部に記録された前記第1関係データ、に基づいて、前記第5点における前記余盛高さの前記第1基準値を決定する第1決定部と、
前記第2測定部により測定された、前記第5点における前記余盛高さの第1測定値を、前記第1決定部により決定された、前記第5点における前記余盛高さの前記第1基準値と比較し、前記第1測定値が前記第1基準値未満のとき、前記第1測定値が正常値でないと判定する第1判定部と、
を含み、
前記第4測定部は、算出される前記第1弦長が20~40mになるように、前記第15点及び前記第16点を選択する、道床形状測定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の道床形状測定装置において、
前記第1レールの第2曲線半径と、前記第2曲線半径に応じて決定される前記道床肩幅の第2基準値と、の関係を示す第2関係データが記録された第2記録部を有し、
前記第1分割部は、前記第1点群を、前記第1レールに沿って第2間隔で配列された前記複数の第2点群に分割し、
前記第1測定部は、
前記複数の第4点のうち互いに隣り合うN2個(N2は1以上の整数)の第4点を挟んで前記第5点と隣り合う第4点を第17点として選択し、前記複数の第4点のうち、前記第5点を挟んで前記第17点と反対側に配置され、且つ、互いに隣り合うN2個の第4点を挟んで前記第5点と隣り合う、第4点を第18点として選択し、前記第5点についての前記第4座標及び前記第5座標、選択された前記第17点についての前記第4座標及び前記第5座標、並びに、選択された前記第18点についての前記第4座標及び前記第5座標、に基づいて、前記第17点と前記第18点とを結ぶ第2弦の第2弦長、及び、前記第5点から前記第2弦までの距離である第2正矢、を算出し、算出された前記第2弦長及び前記第2正矢に基づいて、前記第5点における前記第1レールの前記第2曲線半径を測定する第5測定部と、
前記第5測定部により測定された前記第2曲線半径、及び、前記第2記録部に記録された前記第2関係データ、に基づいて、前記第5点における前記道床肩幅の前記第2基準値を決定する第2決定部と、
前記第3測定部により測定された、前記第5点における前記道床肩幅の第2測定値を、前記第2決定部により決定された、前記第5点における前記道床肩幅の前記第2基準値と比較し、前記第2測定値が前記第2基準値未満のとき、前記第2測定値が正常値でないと判定する第2判定部と、
を含み、
前記第5測定部は、算出される前記第2弦長が20~40mになるように、前記第17点及び前記第18点を選択する、道床形状測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の道床形状測定装置において、
前記バラスト軌道の画像を撮像する撮像部が搭載された鉄道車両が前記バラスト軌道上を走行する際に、前記バラスト軌道の画像を前記撮像部により撮像する撮像処理を繰り返すことにより、互いに異なる複数の時点の各々で前記バラスト軌道がそれぞれ撮像された複数の画像を含む画像群を取得し、取得された前記画像群に含まれる前記複数の画像に基づいて、前記バラスト軌道の表面及び前記バラスト軌道周辺の物体の表面の前記複数の第1点の各々についての、第6方向における第9座標、前記第6方向と交差する第7方向における第10座標、前記第6方向及び前記第7方向のいずれとも交差する第8方向における第11座標、並びに、前記第1値、を含む第6点群データを取得する第4取得部を有し、
前記第1取得部は、前記第6点群データに含まれる前記第9座標、前記第10座標及び前記第11座標について座標変換を行うことにより、前記複数の第1点の各々についての、前記第1座標、前記第2座標、前記第3座標及び前記第1値、を含む前記第1点群データを取得する、道床形状測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の道床形状測定装置において、
前記撮像部は、互いに間隔を空けて設置され、前方をそれぞれ向くように設置され、且つ、前記バラスト軌道の画像をそれぞれ撮像する第1カメラ及び第2カメラを含み、
前記第4取得部は、
前記鉄道車両が前記バラスト軌道上を走行する際に、前記バラスト軌道の画像を前記第1カメラ及び前記第2カメラにより撮像する前記撮像処理を繰り返すことにより、互いに異なる複数の時点の各々で前記バラスト軌道が前記第1カメラによりそれぞれ撮像された複数の第1画像、及び、互いに異なる複数の時点の各々で前記バラスト軌道が前記第2カメラによりそれぞれ撮像された複数の第2画像、を含む前記画像群を取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理にて取得された前記画像群に含まれる前記複数の第1画像及び前記複数の第2画像のうち、第1時点でそれぞれ撮像された第1画像及び第2画像の第1組を選択し、選択された前記第1組に含まれる前記第1画像及び前記第2画像に共通する特徴点をペアリングすることで、ステレオマッチングを行うステレオマッチング処理と、
選択される前記第1組を変更しながら前記ステレオマッチング処理を繰り返す繰り返し処理と、
を含む第2取得処理を実行することにより、前記画像群に含まれる前記複数の第1画像及び前記複数の第2画像に基づいて、前記第6点群データを取得する、道床形状測定装置。
【請求項9】
バラスト道床と、前記バラスト道床上に互いに間隔を空けて配置された複数のまくらぎと、前記複数のまくらぎをそれぞれまたいで設置され且つ互いに間隔を空けて配置された第1レール及び第2レールと、を含むバラスト軌道に含まれる前記バラスト道床の形状を測定する道床形状測定方法において、
(a)前記バラスト軌道の表面及び前記バラスト軌道周辺の物体の表面の複数の第1点の各々についての、水平面内の第1方向における第1座標、前記水平面内で前記第1方向と直交する第2方向における第2座標、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向における第3座標、並びに、色値又は輝度値である第1値、を含む第1点群データを、第1取得部により取得するステップ、
(b)前記複数の第1点のうち、前記第1値が第1範囲内である第1点を、第1抽出部により前記第1レールの頭頂面を表す第2点としてそれぞれ抽出することにより、前記第1レールの頭頂面を表す複数の前記第2点の各々についての、前記第1座標、前記第2座標及び前記第3座標、を含む第2点群データを、前記第1抽出部により取得するステップ、
(c)前記複数の第2点よりなる第1点群を、第1分割部により、前記第1レールに沿って配列された複数の第2点群に分割するステップ、
(d)前記(c)ステップにて分割された前記複数の第2点群のうちいずれかの第2点群を、第1選択部により第3点群として選択し、前記複数の第2点のうち、選択された前記第3点群に含まれる複数の第2点を、前記第1選択部により複数の第3点として選択し、前記第3点群に対応して算出される第4点であって、前記第4点についての前記第1方向における第4座標が前記複数の第3点の各々についての前記第1座標の平均値に対応し、前記第4点についての前記第2方向における第5座標が前記複数の第3点の各々についての前記第2座標の平均値に対応し、且つ、前記第4点についての前記第3方向における第6座標が前記複数の第3点の各々についての前記第3座標の平均値に対応している、前記第4点、を前記第1選択部により算出するステップ、
(e)前記複数の第2点群のうち選択される第2点群を変更しながら前記(d)ステップを繰り返すことにより、前記複数の第2点群の各々にそれぞれ対応した複数の前記第4点を第2取得部により算出し、算出された前記複数の第4点の各々についての、前記第4座標、前記第5座標及び前記第6座標、を含む第3点群データを前記第2取得部により取得するステップ、
(f)前記複数の第4点のうち互いに隣り合う2つの第4点を、第2選択部により第5点及び第6点として選択するステップ、
(g)前記(f)ステップにて選択された前記第5点についての前記第4座標及び前記第5座標、並びに、前記(f)ステップにて選択された前記第6点についての前記第4座標及び前記第5座標、に基づいて、前記第5点から前記第6点に向かう方向を、第1算出部により第4方向として算出するステップ、
(h)前記複数の第1点のうち、前記第5点を通り且つ前記第4方向に垂直な第1平面からの前記第4方向における距離が第2範囲内である複数の第1点を、第2抽出部により複数の第7点として抽出することにより、前記複数の第7点の各々についての、前記第1座標、前記第2座標及び前記第3座標、を含む第4点群データを、前記第2抽出部により取得するステップ、
(i)前記(h)ステップにて取得された前記第4点群データに基づいて、前記バラスト道床の前記第4方向に垂直な断面形状を、第1測定部により測定するステップ、
を有する、道床形状測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置及び道床形状測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道の軌道では、酷暑期にレールの温度が著しく上昇し、レールの内部にレールの長さ方向の圧縮の軸力が発生することにより、レールがレールの横方向に大きく変位する現象、即ち軌道の座屈が発生するおそれがある。一方、鉄道の軌道のうち、有道床軌道即ちバラスト軌道では、バラスト道床の上面にまくらぎを埋め、まくらぎの上にレールを敷設するが、このバラスト道床の上面にまくらぎを埋めることにより、バラスト軌道に、レールの横方向へのまくらぎの移動に対する抵抗力、即ち道床横抵抗力を与えている。また、バラスト軌道に適切な道床横抵抗力を与えるためには、バラスト道床の断面形状、例えばバラスト道床の隆起部である道床の余盛高さ及び肩幅(以下、「道床肩幅」とも称する。)を測定し、余盛高さ及び道床肩幅が定められた基準値以上となるように管理する必要がある。
【0003】
このようなバラスト道床の形状については、列車の前頭に設置したカメラにより撮影した画像を解析することで、線路周辺の3次元点群空間を構築する技術が知られている。特開2013-257258号公報(特許文献1)には、道床形状計測方法において、道床バラストの上面の凹部に埋められた枕木上に敷設された軌道上を走行する車両に少なくとも2台以上の複数のビデオカメラを設置し、車両を走行させながら、道床肩部に枕木に隣接して設けられた道床バラストの隆起部を複数のビデオカメラにより撮影し、複数のビデオカメラを用いた多眼視ステレオ法により上記道床バラストの隆起部の形状を計測する技術が開示されている。
【0004】
また、特開2020-132094号公報(特許文献2)には、鉄道沿線の地物の形状を示す3次元点群を取得した時の車体動揺を補正する車体動揺補正装置において、道床部分の3次元点群の座標データを取得する点群座標データ取得部と、道床部分の3次元点群の座標データのうち道床部分を含む第1の所定領域の座標データを抽出する第1の点群抽出部と、第1の点群抽出部により抽出された第1の所定領域の座標データの高さ成分の中央値を算出する中央値算出部と、を備える技術が開示されている。
【0005】
また、特開2022-141444号公報(特許文献3)には、平面視で第1方向に延在する第1レールを含む第1軌道の軌道変位を検測する軌道検測装置において、軌道の表面の複数の第1点についての色値又は輝度値である第1値を含む第1点群データを取得する第1取得部と、第1レールの頭頂面を表す複数の第2点についての第2点群データを取得する第1抽出部と、レールの頭頂面の中心線上に位置する複数の第4点についての第3点群データを取得する第2取得部と、第3点群データに基づいて第1軌道の軌道変位を検測する検測部と、を有する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-257258号公報
【特許文献2】特開2020-132094号公報
【特許文献3】特開2022-141444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えばロングレール区間におけるバラスト軌道のうち曲線部(曲線区間)では、ロングレール区間におけるバラスト軌道のうち直線部(直線区間)と比較して、バラスト軌道に、より大きな道床の余盛高さ及び道床肩幅を与えることが必要である。言い換えれば、バラスト軌道におけるバラスト道床の余盛高さ及び道床肩幅は、軌道の曲線半径又は曲率に応じて定められた基準値以上となるように管理する必要がある。しかしながら、上記特許文献1乃至上記特許文献3に記載された技術においては、そもそもバラスト軌道の曲線部においてバラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することが困難であった。
【0008】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、バラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置において、バラスト軌道のうち直線部及び曲線部のいずれにおいてもバラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することができる道床形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
本発明の一態様としての道床形状測定装置は、バラスト道床と、バラスト道床上に互いに間隔を空けて配置された複数のまくらぎと、複数のまくらぎをそれぞれまたいで設置され且つ互いに間隔を空けて配置された第1レール及び第2レールと、を含むバラスト軌道に含まれるバラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置である。当該道床形状測定装置は、バラスト軌道の表面及びバラスト軌道周辺の物体の表面の複数の第1点の各々についての、水平面内の第1方向における第1座標、水平面内で第1方向と直交する第2方向における第2座標、第1方向及び第2方向のいずれとも直交する第3方向における第3座標、並びに、色値又は輝度値である第1値、を含む第1点群データを取得する第1取得部と、複数の第1点のうち、第1値が第1範囲内である第1点を、第1レールの頭頂面を表す第2点としてそれぞれ抽出することにより、第1レールの頭頂面を表す複数の第2点の各々についての、第1座標、第2座標及び第3座標、を含む第2点群データを取得する第1抽出部と、を有する。また、当該道床形状測定装置は、複数の第2点よりなる第1点群を、第1レールに沿って配列された複数の第2点群に分割する第1分割部と、第1分割部により分割された複数の第2点群のうちいずれかの第2点群を第3点群として選択し、複数の第2点のうち、選択された第3点群に含まれる複数の第2点を複数の第3点として選択し、第3点群に対応して算出される第4点であって、第4点についての第1方向における第4座標が複数の第3点の各々についての第1座標の平均値に対応し、第4点についての第2方向における第5座標が複数の第3点の各々についての第2座標の平均値に対応し、且つ、第4点についての第3方向における第6座標が複数の第3点の各々についての第3座標の平均値に対応している、第4点、を算出する第1算出処理を実行する第1選択部と、複数の第2点群のうち第1選択部により選択される第2点群を変更しながら第1選択部による第1算出処理を繰り返すことにより、複数の第2点群の各々にそれぞれ対応した複数の第4点を算出し、算出された複数の第4点の各々についての、第4座標、第5座標及び第6座標、を含む第3点群データを取得する第2取得部と、を有する。また、当該道床形状測定装置は、複数の第4点のうち互いに隣り合う2つの第4点を、第5点及び第6点として選択する第2選択部と、第2選択部により選択された第5点についての第4座標及び第5座標、並びに、第2選択部により選択された第6点についての第4座標及び第5座標、に基づいて、第5点から第6点に向かう方向を第4方向として算出する第1算出部と、複数の第1点のうち、第5点を通り且つ第4方向に垂直な第1平面からの第4方向における距離が第2範囲内である複数の第1点を、複数の第7点として抽出することにより、複数の第7点の各々についての、第1座標、第2座標及び第3座標、を含む第4点群データを取得する第2抽出部と、第2抽出部により取得された第4点群データに基づいて、バラスト道床の第4方向に垂直な断面形状を測定する第1測定部と、を有する。
【0011】
また、他の一態様として、第1算出部は、水平面内で第4方向と直交する方向を第5方向として算出してもよい。第1測定部は、第1平面を、第5方向に配列された複数の第2平面に分割し、複数の第7点よりなる第4点群を、第4方向から視たときに複数の第2平面の各々とそれぞれ重なる複数の第5点群に分割する第2分割部と、複数の第2平面のうちいずれかの第2平面を第3平面として選択し、複数の第5点群のうち第4方向から視たときに第3平面と重なる第5点群を第6点群として選択し、複数の第7点のうち、選択された第6点群に含まれる複数の第7点を複数の第8点として選択し、第6点群に対応して算出され且つ第3平面内に配置される第9点であって、第9点についての第1平面内での第5方向における第7座標が第5点を原点としたときの第5方向における第3平面の位置に対応し、第9点についての第1平面内での第3方向における第8座標が複数の第8点の各々についての第3座標の中央値又は平均値に対応している、第9点、を算出する第2算出処理を実行する第2選択部と、複数の第5点群のうち第2選択部により選択される第5点群を変更しながら第2選択部による第2算出処理を繰り返すことにより、複数の第5点群の各々にそれぞれ対応した複数の第9点を算出し、算出された複数の第9点の各々についての、第7座標及び第8座標、を含む第5点群データを取得する第3取得部と、を含んでもよい。第1測定部は、第3取得部により取得された第5点群データに基づいて、バラスト道床の第4方向に垂直な断面形状を測定してもよい。
【0012】
また、他の一態様として、第1測定部は、第1平面内で第5点から第3方向に予め定められた第1レールの第1高さだけ下方に離れた点を第10点とし、複数の第9点のうち、第1平面内で第5点を中心として第5方向における第2レール側に対応した第1の側と反対側に配置され且つ第8座標が最大となる第9点を第11点としたとき、第11点から第10点までの第3方向における距離を、第5点におけるバラスト道床の余盛高さとして測定する、第2測定部を含んでもよい。
【0013】
また、他の一態様として、第1測定部は、第1平面内で第5点から第3方向に予め定められた第1レールの第2高さだけ下方に離れた点を第12点とし、第1平面内で第12点を通り且つ第5方向に延在する第1直線と、複数の第9点を通る第1曲線とが、第1平面内で第12点を中心として第5方向における第2レール側に対応した第2の側と反対側で交差する点を第13点とし、第1直線上で第12点と第13点との間に配置され、第12点から第5方向において予め定められた第1長さだけ離れ、且つ、第4方向から視たときのまくらぎの端部を表す点を第14点としたとき、第14点から第13点までの第5方向における距離を、第5点におけるバラスト道床の道床肩幅として測定する、第3測定部を含んでもよい。
【0014】
また、他の一態様として、当該道床形状測定装置は、第1レールの第1曲線半径と、第1曲線半径に応じて決定される余盛高さの第1基準値と、の関係を示す第1関係データが記録された第1記録部を有し、第1分割部は、第1点群を、第1レールに沿って第1間隔で配列された複数の第2点群に分割してもよい。第1測定部は、複数の第4点のうち互いに隣り合うN1個(N1は1以上の整数)の第4点を挟んで第5点と隣り合う第4点を第15点として選択し、複数の第4点のうち、第5点を挟んで第15点と反対側に配置され、且つ、互いに隣り合うN1個の第4点を挟んで第5点と隣り合う、第4点を第16点として選択し、第5点についての第4座標及び第5座標、選択された第15点についての第4座標及び第5座標、並びに、選択された第16点についての第4座標及び第5座標、に基づいて、第15点と第16点とを結ぶ第1弦の第1弦長、及び、第5点から第1弦までの距離である第1正矢、を算出し、算出された第1弦長及び第1正矢に基づいて、第5点における第1レールの第1曲線半径を測定する第4測定部と、第4測定部により測定された第1曲線半径、及び、第1記録部に記録された第1関係データ、に基づいて、第5点における余盛高さの第1基準値を決定する第1決定部と、第2測定部により測定された、第5点における余盛高さの第1測定値を、第1決定部により決定された、第5点における余盛高さの第1基準値と比較し、第1測定値が第1基準値未満のとき、第1測定値が正常値でないと判定する第1判定部と、を含んでもよい。第4測定部は、算出される第1弦長が20~40mになるように、第15点及び第16点を選択してもよい。
【0015】
また、他の一態様として、当該道床形状測定装置は、第1レールの第2曲線半径と、第2曲線半径に応じて決定される道床肩幅の第2基準値と、の関係を示す第2関係データが記録された第2記録部を有し、第1分割部は、第1点群を、第1レールに沿って第2間隔で配列された複数の第2点群に分割してもよい。第1測定部は、複数の第4点のうち互いに隣り合うN2個(N2は1以上の整数)の第4点を挟んで第5点と隣り合う第4点を第17点として選択し、複数の第4点のうち、第5点を挟んで第17点と反対側に配置され、且つ、互いに隣り合うN2個の第4点を挟んで第5点と隣り合う、第4点を第18点として選択し、第5点についての第4座標及び第5座標、選択された第17点についての第4座標及び第5座標、並びに、選択された第18点についての第4座標及び第5座標、に基づいて、第17点と第18点とを結ぶ第2弦の第2弦長、及び、第5点から第2弦までの距離である第2正矢、を算出し、算出された第2弦長及び第2正矢に基づいて、第5点における第1レールの第2曲線半径を測定する第5測定部と、第5測定部により測定された第2曲線半径、及び、第2記録部に記録された第2関係データ、に基づいて、第5点における道床肩幅の第2基準値を決定する第2決定部と、第3測定部により測定された、第5点における道床肩幅の第2測定値を、第2決定部により決定された、第5点における道床肩幅の第2基準値と比較し、第2測定値が第2基準値未満のとき、第2測定値が正常値でないと判定する第2判定部と、を含んでもよい。第5測定部は、算出される第2弦長が20~40mになるように、第17点及び第18点を選択してもよい。
【0016】
また、他の一態様として、当該道床形状測定装置は、バラスト軌道の画像を撮像する撮像部が搭載された鉄道車両がバラスト軌道上を走行する際に、バラスト軌道の画像を撮像部により撮像する撮像処理を繰り返すことにより、互いに異なる複数の時点の各々でバラスト軌道がそれぞれ撮像された複数の画像を含む画像群を取得し、取得された画像群に含まれる複数の画像に基づいて、バラスト軌道の表面及びバラスト軌道周辺の物体の表面の複数の第1点の各々についての、第6方向における第9座標、第6方向と交差する第7方向における第10座標、第6方向及び第7方向のいずれとも交差する第8方向における第11座標、並びに、第1値、を含む第6点群データを取得する第4取得部を有し、第1取得部は、第6点群データに含まれる第9座標、第10座標及び第11座標について座標変換を行うことにより、複数の第1点の各々についての、第1座標、第2座標、第3座標及び第1値、を含む第1点群データを取得してもよい。
【0017】
また、他の一態様として、撮像部は、互いに間隔を空けて設置され、前方をそれぞれ向くように設置され、且つ、バラスト軌道の画像をそれぞれ撮像する第1カメラ及び第2カメラを含んでもよい。第4取得部は、鉄道車両がバラスト軌道上を走行する際に、バラスト軌道の画像を第1カメラ及び第2カメラにより撮像する撮像処理を繰り返すことにより、互いに異なる複数の時点の各々でバラスト軌道が第1カメラによりそれぞれ撮像された複数の第1画像、及び、互いに異なる複数の時点の各々でバラスト軌道が第2カメラによりそれぞれ撮像された複数の第2画像、を含む画像群を取得する第1取得処理と、第1取得処理にて取得された画像群に含まれる複数の第1画像及び複数の第2画像のうち、第1時点でそれぞれ撮像された第1画像及び第2画像の第1組を選択し、選択された第1組に含まれる第1画像及び第2画像に共通する特徴点をペアリングすることで、ステレオマッチングを行うステレオマッチング処理と、選択される第1組を変更しながらステレオマッチング処理を繰り返す繰り返し処理と、を含む第2取得処理を実行することにより、画像群に含まれる複数の第1画像及び複数の第2画像に基づいて、第6点群データを取得してもよい。
【0018】
本発明の一態様としての道床形状測定方法は、バラスト道床と、バラスト道床上に互いに間隔を空けて配置された複数のまくらぎと、複数のまくらぎをそれぞれまたいで設置され且つ互いに間隔を空けて配置された第1レール及び第2レールと、を含むバラスト軌道に含まれるバラスト道床の形状を測定する道床形状測定方法である。当該道床形状測定方法は、バラスト軌道の表面及びバラスト軌道周辺の物体の表面の複数の第1点の各々についての、水平面内の第1方向における第1座標、水平面内で第1方向と直交する第2方向における第2座標、第1方向及び第2方向のいずれとも直交する第3方向における第3座標、並びに、色値又は輝度値である第1値、を含む第1点群データを、第1取得部により取得する(a)ステップと、複数の第1点のうち、第1値が第1範囲内である第1点を、第1抽出部により第1レールの頭頂面を表す第2点としてそれぞれ抽出することにより、第1レールの頭頂面を表す複数の第2点の各々についての、第1座標、第2座標及び第3座標、を含む第2点群データを、第1抽出部により取得する(b)ステップと、を有する。また、当該道床形状測定方法は、複数の第2点よりなる第1点群を、第1分割部により、第1レールに沿って配列された複数の第2点群に分割する(c)ステップと、(c)ステップにて分割された複数の第2点群のうちいずれかの第2点群を、第1選択部により第3点群として選択し、複数の第2点のうち、選択された第3点群に含まれる複数の第2点を、第1選択部により複数の第3点として選択し、第3点群に対応して算出される第4点であって、第4点についての第1方向における第4座標が複数の第3点の各々についての第1座標の平均値に対応し、第4点についての第2方向における第5座標が複数の第3点の各々についての第2座標の平均値に対応し、且つ、第4点についての第3方向における第6座標が複数の第3点の各々についての第3座標の平均値に対応している、第4点、を第1選択部により算出する(d)ステップと、複数の第2点群のうち選択される第2点群を変更しながら(d)ステップを繰り返すことにより、複数の第2点群の各々にそれぞれ対応した複数の第4点を第2取得部により算出し、算出された複数の第4点の各々についての、第4座標、第5座標及び第6座標、を含む第3点群データを第2取得部により取得する(e)ステップと、を有する。また、当該道床形状測定方法は、複数の第4点のうち互いに隣り合う2つの第4点を、第2選択部により第5点及び第6点として選択する(f)ステップと、(f)ステップにて選択された第5点についての第4座標及び第5座標、並びに、(f)ステップにて選択された第6点についての第4座標及び第5座標、に基づいて、第5点から第6点に向かう方向を、第1算出部により第4方向として算出する(g)ステップと、複数の第1点のうち、第5点を通り且つ第4方向に垂直な第1平面からの第4方向における距離が第2範囲内である複数の第1点を、第2抽出部により複数の第7点として抽出することにより、複数の第7点の各々についての、第1座標、第2座標及び第3座標、を含む第4点群データを、第2抽出部により取得する(h)ステップと、(h)ステップにて取得された第4点群データに基づいて、バラスト道床の第4方向に垂直な断面形状を、第1測定部により測定する(i)ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様を適用することで、バラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置において、バラスト軌道のうち直線部及び曲線部のいずれにおいてもバラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態の道床形状測定装置を説明するための図であり、軌道の画像を撮像する撮像部が搭載された鉄道車両を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状が測定されるバラスト軌道を模式的に示す斜視図である。
【
図3】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状が測定されるバラスト軌道を模式的に示す断面図である。
【
図4】実施の形態の道床形状測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態の道床形状測定方法の一部のステップを示すフロー図である。
【
図6】実施の形態の道床形状測定方法の一部のステップを示すフロー図である。
【
図7】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図8】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図9】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図10】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図11】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図12】実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図13】バラスト道床の断面形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図14】バラスト道床の断面形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図15】バラスト道床の断面形状を測定する方法を説明するための図である。
【
図16】軌道の曲線半径又は曲率を測定する方法を説明するための図である。
【
図17】レールの各位置における曲率、余盛高さ及び道床肩幅の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0023】
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0024】
更に、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチング(網掛け)を省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを付す場合もある。
【0025】
なお、以下の実施の形態においてA~Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
【0026】
(実施の形態)
<道床形状測定装置による道床形状測定方法>
初めに、
図1乃至
図12を参照し、実施の形態の道床形状測定装置による道床形状測定方法について説明する。本実施の形態の道床形状測定装置は、バラスト道床と、バラスト道床上に互いに間隔を空けて配置された複数のまくらぎと、複数のまくらぎをそれぞれまたいで設置され且つ互いに間隔を空けて配置された第1レール及び第2レールと、を含むバラスト軌道に含まれるバラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置である。また、本実施の形態の道床形状測定方法は、本実施の形態の道床形状測定装置による道床形状測定方法であり、バラスト軌道に含まれるバラスト道床の形状を測定する道床形状測定方法である。
【0027】
図1は、実施の形態の道床形状測定装置を説明するための図であり、軌道の画像を撮像する撮像部が搭載された鉄道車両を模式的に示す図である。
図2は、実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状が測定されるバラスト軌道を模式的に示す斜視図である。
図3は、実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状が測定されるバラスト軌道を模式的に示す断面図である。
図4は、実施の形態の道床形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図5及び
図6は、実施の形態の道床形状測定方法の一部のステップを示すフロー図である。
図7乃至
図12は、実施の形態の道床形状測定装置によりバラスト道床の形状を測定する方法を説明するための図である。
図7及び
図12は、バラスト軌道の表面を表す点群をバラスト軌道の撮像画像と重ねて示している。
図8乃至
図11は、
図7及び
図12に示すバラスト軌道の撮像画像を模式的に表す模式図である。
【0028】
図1乃至
図4に示すように、本実施の形態の道床形状測定装置1は、路盤2上に設置されたバラスト道床3と、バラスト道床3上に互いに間隔を空けて配置された複数のまくらぎ4と、複数のまくらぎ4をそれぞれまたいで設置され且つ互いに間隔を空けて配置されたレール5及びレール6と、を含むバラスト軌道7に含まれるバラスト道床3の形状を測定するものである。なお、
図2及び
図3では図示を省略するものの、複線区間においては、後述する
図13を用いて説明するように、バラスト軌道7は、レール8及びレール9を有してもよい。
【0029】
また、本実施の形態の道床形状測定装置1は、バラスト軌道7の画像を撮像する撮像部11が搭載された鉄道車両12がバラスト軌道7上を走行する際に、バラスト軌道7の画像を撮像部11により撮像し、撮像された画像を画像処理することにより、バラスト道床3の形状を測定するものである。撮像部11として、
図1に示すように、鉄道車両12に設置されたカメラ13と、カメラ13により撮像された画像を集録する画像集録装置14と、を含むものを用いることができる。また、本実施の形態の道床形状測定装置1として、鉄道車両12の外部又は内部に設置され、画像集録装置14と無線又は有線で接続されたコンピュータ15を用いることができる。
【0030】
図1乃至
図4に示すように、本実施の形態の道床形状測定装置1は、第1取得部21と、第1抽出部22と、第1分割部23と、第1選択部24と、第2取得部25と、第2選択部26と、第1算出部27と、第2抽出部28と、第1測定部29と、を有する。また、前述したように、本実施の形態の道床形状測定装置1として、コンピュータ15を用いることができ、このような場合、第1取得部21、第1抽出部22、第1分割部23、第1選択部24、第2取得部25、第2選択部26、第1算出部27、第2抽出部28及び第1測定部29の各々として、コンピュータ15を用いることができる。
【0031】
図7及び
図8に示すように、第1取得部21(
図4参照)は、バラスト軌道7(
図2参照)の表面及びバラスト軌道7の周辺の物体の表面の形状を表す複数の点PN1の各々についての、水平面内のX軸方向(第1方向)におけるX座標(第1座標)、水平面内でX軸方向(第1方向)と直交するY軸方向(第2方向)におけるY座標(第2座標)、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第2方向)のいずれとも直交するZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第3座標)、並びに、色値又は輝度値である値VL1、を含む点群データ(線路沿線の3次元点群データ)PC1を取得する。
【0032】
ここで、X軸方向(第1方向)はバラスト軌道7(
図2参照)に含まれるレール5が延在する方向(レールの長さ方向)と略同じ方向であり、Y軸方向(第2方向)はレール5が延在する方向と直交する方向であるレールの幅方向(レールの横方向)と略同じ方向であり、Z軸方向(第3方向)は鉛直方向である。また、XY座標系は軌道(線路)の平面であるXY平面を表す座標系である。また、3次元点群データとは、物体の表面の形状を3次元点群で表すデータを意味する。
【0033】
図9及び
図12に示すように、第1抽出部22(
図4参照)は、複数の点PN1のうち、値VL1が第1範囲内である点PN1を、レール5(
図8参照)の頭頂面を表す点PN2としてそれぞれ抽出することにより、レール5の頭頂面を表す複数の点PN2の各々についての、X座標(第1座標)、Y座標(第2座標)及びZ座標(第3座標)、を含む点群データ(頭頂面の3次元点群データ)PC2を取得する。なお、点PN2を抽出した後のデータであるから、点群データPC2は、値VL1を含まなくてもよい。
【0034】
図10及び
図12に示すように、第1分割部23(
図4参照)は、複数の点PN2よりなる点群PG1を、レール5(
図8参照)に沿って配列された複数の点群PG2に分割する。
【0035】
図10及び
図12に示すように、第1選択部24(
図4参照)は、第1分割部23(
図4参照)により分割された複数の点群PG2のうちいずれかの点群PG2を点群PG3として選択し、複数の点PN2のうち、選択された点群PG3に含まれる複数の点PN2を複数の点PN3として選択し、点群PG3に対応して算出される点PN4であって、点PN4についてのX軸方向(第1方向)におけるX座標(第4座標)が複数の点PN3の各々についてのX座標(第1座標)の平均値に対応するか又は等しく、点PN4についてのY軸方向(第2方向)におけるY座標(第5座標)が複数の点PN3の各々についてのY座標(第2座標)の平均値に対応するか又は等しく、且つ、点PN4についてのZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第6座標)が複数の点PN3の各々についてのZ座標(第3座標)の平均値に対応するか又は等しい、点PN4、を算出する第1算出処理を実行する。また、この点PN4は、点群PG3に対応して算出されたレール5(
図8参照)の芯を表す点である。
【0036】
図10及び
図12に示すように、第2取得部25(
図4参照)は、複数の点群PG2のうち第1選択部24(
図4参照)により選択される点群PG2を変更しながら第1選択部24による第1算出処理を繰り返すことにより、複数の点群PG2の各々にそれぞれ対応した複数の点PN4を算出し、算出された複数の点PN4の各々についての、X座標(第4座標)、Y座標(第5座標)及びZ座標(第6座標)、を含む点群データ(芯の3次元点群データ)PC3を取得する。
【0037】
図10及び
図12に示すように、第2選択部26(
図4参照)は、複数の点PN4のうち互いに隣り合う2つの点PN4を、点PN5及び点PN6として選択する。
【0038】
図10及び
図12に示すように、第1算出部27(
図4参照)は、第2選択部26(
図4参照)により選択された点PN5についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、並びに、第2選択部26により選択された点PN6についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、に基づいて、点PN5から点PN6に向かう方向をθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)として算出する。
【0039】
図11及び
図12に示すように、第2抽出部28(
図4参照)は、複数の点PN1のうち、点PN5を通り且つθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)に垂直な平面PL1からのθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)における距離が一定の範囲RN2内である複数の点PN1を、複数の点PN7としてそれぞれ抽出することにより、複数の点PN7の各々についての、X座標(第1座標)、Y座標(第2座標)及びZ座標(第3座標)、を含む点群データ(バラスト道床の断面形状の3次元点群データ)PC4を取得する。点群データPC4は、芯の点を通りレール方向に垂直な断面形状を表す点群データである。
【0040】
第1測定部29(
図4参照)は、第2抽出部28(
図4参照)により取得された点群データPC4に基づいて、バラスト道床3のθ
1方向(第4方向)に垂直な断面形状を測定する。第1測定部29によりバラスト道床3の断面形状を測定する方法については、後述する
図13乃至
図15を用いて説明する。
【0041】
本実施の形態の道床形状測定装置1として用いられるコンピュータ15は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、RAM(Random Access Memory)、記憶部、データ・指令入力部、画像表示部及び出力部等により構成されている。
【0042】
CPUは、図示は省略するが、各種データに対して、四則演算(加算、減算、乗算及び除算)、論理演算(論理積、論理和、否定及び排他的論理和等)、又は、データ比較、若しくはデータシフト等の処理を実行する部分である。なお、記憶部は、図示は省略するが、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)、又は、ROM(Read Only Memory)等を有しており、CPUを制御するための制御プログラム、及び、CPUが用いる各種データ等を格納している部分である。また、ROMは、一般に、半導体チップ等により構成される。
【0043】
また、本実施の形態の道床形状測定装置1として用いられるコンピュータ15は、以下に説明する道床形状測定方法の各ステップの動作及び処理を行うためのプログラムを実行するものである。
【0044】
本実施の形態の道床形状測定装置1による道床形状測定方法では、車載カメラにより画像撮影を行う(
図5のステップS11)。車載カメラによる画像撮影を行う具体的な方法については、後述する。
【0045】
次に、3次元点群を構築する(
図5のステップS12)。このステップS12では、具体的には、
図7及び
図8に示すように、バラスト軌道7(
図2参照)の表面及びバラスト軌道7の周辺の物体の表面の複数の点PN1の各々についての、水平面内のX軸方向(第1方向)におけるX座標(第1座標)、水平面内でX軸方向(第1方向)と直交するY軸方向(第2方向)におけるY座標(第2座標)、X軸方向(第1方向)及びY軸方向(第2方向)のいずれとも直交するZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第3座標)、並びに、色値又は輝度値である値VL1、を含む点群データ(線路沿線の3次元点群データ)PC1を、第1取得部21(
図4参照)により取得する(
図6のステップS21)。
【0046】
次に、レール点群を抽出する(
図5のステップS13)。このステップS13では、レール照面の点群を一定間隔(例えば0.25m間隔)に区切り、その区切った領域内の照面点群を平均化することでレール照面の芯の座標を取得する。
【0047】
このステップS13では、具体的には、まず、
図9及び
図12に示すように、複数の点PN1のうち、値VL1が第1範囲内である点PN1を、第1抽出部22(
図4参照)によりレール5の頭頂面を表す点PN2としてそれぞれ抽出することにより、レール5の頭頂面を表す複数の点PN2の各々についての、X座標(第1座標)、Y座標(第2座標)及びZ座標(第3座標)、を含む点群データ(頭頂面の3次元点群データ)PC2を、第1抽出部22により取得する(
図6のステップS22)。
【0048】
このステップS13では、次に、
図10及び
図12に示すように、複数の点PN2よりなる点群PG1を、第1分割部23(
図4参照)により、レール5に沿って配列された複数の点群PG2に分割する(
図6のステップS23)。
【0049】
ステップS13では、次に、
図10及び
図12に示すように、ステップS23にて分割された複数の点群PG2のうちいずれかの点群PG2を、第1選択部24(
図4参照)により点群PG3として選択し、複数の点PN2のうち、選択された点群PG3に含まれる複数の点PN2を、第1選択部24により複数の点PN3として選択し、点群PG3に対応して算出される点PN4であって、点PN4についてのX軸方向(第1方向)におけるX座標(第4座標)が複数の点PN3の各々についてのX座標(第1座標)の平均値に対応するか又は等しく、点PN4についてのY軸方向(第2方向)におけるY座標(第5座標)が複数の点PN3の各々についてのY座標(第2座標)の平均値に対応するか又は等しく、且つ、点PN4についてのZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第6座標)が複数の点PN3の各々についてのZ座標(第3座標)の平均値に対応するか又は等しい、点PN4、を第1選択部24により算出する(
図6のステップS24)。
【0050】
ステップS13では、次に、
図10及び
図12に示すように、複数の点群PG2のうち選択される点群PG2を変更しながらステップS24を繰り返すことにより、複数の点群PG2の各々にそれぞれ対応した複数の点PN4を第2取得部25(
図4参照)により算出し、算出された複数の点PN4の各々についての、X座標(第4座標)、Y座標(第5座標)及びZ座標(第6座標)、を含む点群データ(芯の3次元点群データ)PC3を第2取得部25(
図4参照)により取得する(
図6のステップS25)。
【0051】
次に、レール方向を算出する(
図5のステップS14)。このステップS14では、ステップS13にて取得した隣り合う芯座標の位置関係から、レール方向を推定する。
【0052】
ステップS14では、まず、
図10及び
図12に示すように、複数の点PN4のうち互いに隣り合う2つの点PN4を、第2選択部26(
図4参照)により点PN5及び点PN6として選択する(
図6のステップS26)。
【0053】
ステップS14では、次に、
図10及び
図12に示すように、ステップS26にて選択された点PN5についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、並びに、ステップS26にて選択された点PN6についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、に基づいて、点PN5から点PN6に向かう方向(隣り合う芯を結ぶ方向)を、第1算出部27(
図4参照)によりθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)として算出する(
図6のステップS27)。
【0054】
次に、一定間隔ごとにレールの断面を抽出する(
図5のステップS15)。このステップS15では、推定したレール方向に対し、そのレール方向と直交する方向に、
図11に示すように、一定の枠FR1を設けて、その枠FR1の内部に入る点群を抽出する。枠FR1のレールの長さ方向における枠の幅を、例えば0.1mとすることができる。
【0055】
このステップS15では、
図11及び
図12に示すように、複数の点PN1のうち、点PN5を通り且つθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)に垂直な平面PL1からのθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)における距離が一定の範囲RN2内である複数の点PN1を、第2抽出部28(
図4参照)により複数の点PN7としてそれぞれ抽出することにより、複数の点PN7の各々についての、X座標(第1座標)、Y座標(第2座標)及びZ座標(第3座標)、を含む点群データ(バラスト道床の断面形状の3次元点群データ)PC4を、第2抽出部28により取得する(
図6のステップS28)。
【0056】
ステップS27及びステップS28において、具体的に、枠内に入る点群を抽出する方法については、以下のようにすることができる。
【0057】
n番目のレールの芯の点をCnとし、芯の点CnのX座標、Y座標を、xn、ynと表記するものとする。また、Z軸方向は、鉛直方向と同一の方向であるものとする。このようにした場合、例えば、芯の点C1と芯の点C2とを結ぶ直線とX軸とがなす角θ1は、以下の式(1)で表される。
【0058】
【0059】
上記式(1)における角θ1が、点C1(x1、y1)におけるXY平面内(水平面内)でのレール方向(レールの長さ方向)となり、角θ1と直交する角(θ1+π/2)が、レールの直角方向(レールの幅方向)となる。また、芯の点C1と芯の点C2とを結ぶ直線(レール方向の直線)は、以下の式(2)で表される。
【0060】
【0061】
一方、芯の点C1を通り且つ水平面内でレール方向と直交する方向であるレールの直角方向に延在する直線は、以下の式(3)で表される。また、芯の点C1を通り且つレール方向に垂直な平面も、以下の式(3)で表される。
【0062】
【0063】
ステップS28では、上記式(3)により表される平面からのレール方向における距離が一定の範囲内にある点群を、バラスト道床3の断面形状を表す点群として抽出する。言い換えれば、ステップS28では、上記式(3)により表される直線からのレール方向における距離が一定の範囲内にある点群を、バラスト道床3の断面形状を表す点群として抽出する。
【0064】
次に、道床の余盛高さ及び道床肩幅を算出する(
図5のステップS16)。このステップS16では、ステップS28にて取得された点群データPC4に基づいて、バラスト道床3のθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)に垂直な断面形状を、第1測定部29(
図4参照)により測定する(
図6のステップS29)。第1測定部29によりバラスト道床3の断面形状を測定する方法については、後述する
図13乃至
図15を用いて説明する。
【0065】
次に、算出された余盛高さ及び道床肩幅の測定値を基準値と比較し、判定する(
図5のステップS17)。また、ランク又は不足量等の判定結果を表示し、出力する(
図5のステップS18)。なお、後述する
図16を用いて説明するように、レール点群から算出された正矢により曲線半径を推定してもよく(
図5のステップS19)、ステップS17では、算出された余盛高さ及び道床肩幅の測定値を、曲線半径に応じて決定された余盛高さ及び道床肩幅の基準値と比較し、判定してもよい。
【0066】
このように、本実施の形態の道床形状測定装置による道床形状測定方法では、軌道周辺の複数の点PN1の色値を含む線路沿線の3次元点群データを取得し、複数の点PN1のうちレールの頭頂面を表す複数の点PN2の頭頂面の3次元点群データを取得し、頭頂面の3次元点群データに基づいて、レールの頭頂面の中心線上に間隔を空けて配列された複数の点PN4の芯の3次元点群データを取得し、隣り合う2つの点PN4を点PN5及び点PN6として選択し、点PN5を通り且つ点PN5から点PN6に向かうθ1方向に垂直な平面PL1からのθ1方向における距離が一定の範囲RN2内である複数の点PN1を点PN7として抽出することにより、バラスト道床の断面形状の3次元点群データを取得する。
【0067】
ここで、バラスト道床の形状を測定する際の問題点について説明する。
【0068】
カメラによりバラスト道床の隆起部を撮影してバラスト道床の形状を測定する技術が用いられる前は、道床の余盛高さ及び道床肩幅を正確に測定することは困難であり、また連続的な測定を行うことも困難であった。このような場合、経験を積んだ検査者が現場に行き、目視等により余盛高さ又は道床肩幅が低下していると推定される箇所を選定し、誤差を許容した測定を実施していた。そのため、バラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することは、全く困難であった。
【0069】
一方、カメラによりバラスト道床の隆起部を撮影してバラスト道床の形状を測定することができれば、経験を積んだ検査者が実際の現場に行き、目視等により余盛高さ又は道床肩幅が低下していると推定される箇所を選定し、誤差を許容した測定を実施する必要もなくなる。
【0070】
上記特許文献1に記載された技術では、複数のビデオカメラにより撮影された映像に対して多眼視ステレオ法を適用して道床余盛の三次元形状計算を実施し、カメラ座標系での三次元座標値を求めることはできる。また、上記特許文献2に記載された技術でも、複数のセンサを用いて道床部分の3次元点群の座標データを取得することはできる。
【0071】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、撮影された映像に多眼視ステレオ法を適用するだけでは、軌道の表面の各点の絶対位置を精度良く算出することができない。また、上記特許文献2に記載された技術では、複数のセンサを用いて道床部分の3次元点群の座標データを取得するだけでは、軌道の表面の各点の絶対位置を精度良く算出することができない。そのため、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術では、バラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することが困難であった。
【0072】
一方、上記特許文献3に記載された技術では、軌道の表面の複数の第1点についての色値又は輝度値を含む第1点群データを取得し、第1点群データに含まれる色値又は輝度値に基づいて、第1レールの頭頂面を表す複数の第2点についての第2点群データを取得することができるので、頭頂面を基準位置として軌道の表面の絶対位置を精度よく算出することはできる。
【0073】
ところが、例えばロングレール区間におけるバラスト軌道のうち曲線部では、ロングレール区間におけるバラスト軌道のうち直線部と比較して、バラスト軌道により大きな道床の余盛高さ及び道床肩幅を与えることが必要である。言い換えれば、バラスト軌道におけるバラスト道床の余盛高さ及び道床肩幅は、軌道の曲線半径又は曲率に応じて定められた基準値以上となるように管理する必要がある。にもかかわらず、上記特許文献3に記載された技術においては、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術でも同様であるが、そもそもバラスト軌道の曲線部において、バラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することが困難であった。そのため、上記特許文献3に記載された技術においては、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術も同様であるが、バラスト軌道におけるバラスト道床の余盛高さ及び道床肩幅が、軌道の曲線半径又は曲率に応じて定められた基準値以上となるように管理することが困難であった。
【0074】
一方、本実施の形態によれば、軌道周辺の複数の点PN1の色値を含む線路沿線の3次元点群データを取得し、複数の点PN1のうちレールの頭頂面を表す複数の点PN2の頭頂面の3次元点群データを取得し、頭頂面の3次元点群データに基づいて、レールの頭頂面の中心線上に間隔を空けて配列された複数の点PN4の芯の3次元点群データを取得し、隣り合う2つの点PN4を点PN5及び点PN6として選択し、点PN5を通り且つ点PN5から点PN6に向かうθ1方向に垂直な平面PL1からのθ1方向における距離が一定の範囲RN2内である複数の点PN1を点PN7として抽出することにより、バラスト道床の断面形状の3次元点群データを取得する。
【0075】
このような場合、カメラによりバラスト道床の隆起部を撮影してバラスト道床の形状を測定することができるので、経験を積んだ検査者が実際の現場に行き、目視等により余盛高さ又は道床肩幅が低下していると推定される箇所を選定し、誤差を許容した測定を実施する必要がない。即ち、本実施の形態によれば、画像計測のみで足り、それ以外のセンサ類は必要ない。
【0076】
また、本実施の形態では、軌道の表面の複数の点PN1についての色値又は輝度値を含む線路沿線の3次元点群データを取得し、線路沿線の3次元点群データに含まれる色値又は輝度値に基づいて、レールの頭頂面を表す複数の点PN2についての頭頂面の3次元点群データを取得することができるので、頭頂面を基準位置として軌道の表面の絶対位置を精度よく算出することができる。そのため、本実施の形態によれば、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載された技術に比べ、バラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することができる。即ち、本実施の形態によれば、レールを抽出可能であり、レールを基準にした誤差の補正又は判定が自動的且つ連続的に可能である。
【0077】
更に、本実施の形態によれば、点PN5を通り且つ点PN5から点PN6に向かうθ1方向に垂直な平面PL1からのθ1方向における距離が一定の範囲RN2内である複数の点PN1を点PN7として抽出する。そのため、バラスト軌道の曲線部において、バラスト道床の断面形状を高精度且つ高効率で測定することができる。従って、上記特許文献1乃至上記特許文献3に記載された技術に比べ、バラスト軌道におけるバラスト道床の余盛高さ及び道床肩幅が、軌道の曲線半径又は曲率に応じて定められた基準値以上となるように、容易に管理することができる。
【0078】
<線路沿線の3次元点群データの取得方法>
次に、本実施の形態の道床形状測定装置による道床形状測定方法の好適例及び具体例について説明する。初めに、
図5及び
図6を参照し、車載カメラにより画像を撮影し、3次元点群を構築する方法(
図5のステップS11及びステップS12)について説明する。
【0079】
図4に示すように、好適には、本実施の形態の道床形状測定装置1は、取得部(第4取得部)31を有する。取得部31として、前述した第1取得部21等と同様に、コンピュータ15を用いることができる。
【0080】
図5のステップS11及びステップS12では、取得部(第4取得部)31は、バラスト軌道7の画像を撮像する撮像部11が搭載された鉄道車両12がバラスト軌道7上を走行する際に、バラスト軌道7の画像を撮像部11により撮像する撮像処理を繰り返すことにより、互いに異なる複数の時点の各々でバラスト軌道7がそれぞれ撮像された複数の画像を含む画像群を取得する(
図6のステップS31)。
【0081】
また、取得部(第4取得部)31は、
図6のステップS31では、取得された画像群に含まれる複数の画像に基づいて、バラスト軌道7の表面及びバラスト軌道7の周辺の物体の表面の形状を表す複数の点PN1の各々についての、X´´軸方向(第6方向、
図8参照)におけるX´´座標(第9座標)、X´´軸方向(第6方向)と交差するY´´軸方向(第7方向、
図8参照)におけるY´´座標(第10座標)、X´´軸方向(第6方向)及びY´´軸方向(第7方向)のいずれとも交差するZ´´軸方向(第8方向、
図8参照)におけるZ´´座標(第11座標)、並びに、値VL1、を含む点群データ(線路沿線の3次元点群データ)PC6(
図8参照)を取得する(第1取得処理)。
【0082】
また、第1取得部21は、
図5のステップS12では、ステップS31にて取得された点群データPC6に含まれるX´´座標(第9座標)、Y´´座標(第10座標)及びZ´´座標(第11座標)について座標変換を行うことにより、複数の点PN1の各々についての、X座標(第1座標)、Y座標(第2座標)、Z座標(第3座標)及び値VL1、を含む点群データPC1(
図8参照)を取得する。
【0083】
これにより、鉄道車両若しくは保守用車等の車上若しくは地上で撮影した各種の画像から画像処理により、又は、その他の各種の方法により、作成し、輝度値又はRGB値を備えた3次元点群に対して、ある基準位置で、X軸がレールが延在する方向(レールの長さ方向)であり、XY座標系(平面)が軌道(線路)を含む平面であり、XZ座標系(平面)が軌道(線路)の縦断面になるように、容易に座標変換を行うことができる。
【0084】
更に好適には、
図1に示すように、撮像部11は、互いに間隔を空けて設置され、前方をそれぞれ向くように設置され、且つ、バラスト軌道7の画像をそれぞれカメラ13として撮像するステレオカメラであるカメラ13a及びカメラ13bを含む。
【0085】
また、取得部(第4取得部)31は、
図5のステップS11及びステップS12では、第1取得処理(
図6のステップS31)と、ステレオマッチング処理(
図6のステップS32)と、繰り返し処理(
図6のステップS33)と、を含む第2取得処理(
図6のステップS34)を実行することにより、画像群に含まれる複数の画像に基づいて、点群データ(線路沿線の3次元点群データ)PC6を取得する。
【0086】
まず、取得部(第4取得部)31は、第1取得処理(
図6のステップS31)では、鉄道車両12がバラスト軌道7上を走行する際に、バラスト軌道7の画像をカメラ13a及びカメラ13bにより撮像する撮像処理を繰り返すことにより、互いに異なる複数の時点(位置)の各々でバラスト軌道7がカメラ13aによりそれぞれ撮像された複数の左画像、及び、互いに異なる複数の時点(位置)の各々でバラスト軌道7がカメラ13bによりそれぞれ撮像された複数の右画像、を含む画像群を取得する。
【0087】
次に、取得部(第4取得部)31は、ステレオマッチング処理(
図6のステップS32)では、第1取得処理(
図6のステップS31)にて取得された画像群に含まれる複数の左画像及び複数の右画像のうち、第1時点(同一時点)でそれぞれ撮像された左画像及び右画像の第1組を選択し、選択された第1組に含まれる左画像及び右画像に共通する特徴点をペアリングすることで、ステレオマッチングを行う。
【0088】
具体的には、カメラにより撮像される画像は、撮影条件の変化により、光学的又は幾何学的に変動しやすく、単純に複数の画像(フレーム)の間で被写体が一致する一致点を特徴として取得することは、容易ではない。そのため、ステレオカメラにより撮像される左右画像(左右映像)に対して、比較的一致点を取得しやすい物体の輪郭又は物体の色変化の端点を特徴点として抽出し、左右画像の各々で抽出された特徴点のうち類似した特徴点をペアリングすることで、ステレオマッチングを行う。
【0089】
このような方法により、カメラにより撮像される画像が、撮影条件の変化により、光学的又は幾何学的に変動した場合でも、複数の画像(フレーム)の間で被写体が一致する一致点を特徴点として精度良く取得することができる。
【0090】
また、取得部(第4取得部)31は、繰り返し処理(
図6のステップS33)では、選択される第1組を変更しながらステレオマッチング処理を繰り返す。このような方法により、前後2つのフレームの間に鉄道車両が移動した移動量を、精度良く算出することができるので、軌道周辺の物体の表面の形状を表す複数の点PN1の各々について、3次元座標を精度良く算出することができ、高精度の3次元座標を含む点群データPC6を容易に取得することができる。即ち、本実施の形態の道床形状測定装置は、車載カメラの進行方向(線路長手方向)に対してステレオマッチングを繰り返して3次元計測を行い、レールを含む線路沿線の点群データを取得するものである。
【0091】
<バラスト道床の断面形状の測定方法>
次に、
図13乃至
図15を参照し、バラスト道床の断面形状を測定する方法(
図5のステップS16及び
図6のステップS29)について説明する。
図13乃至
図15は、バラスト道床の断面形状を測定する方法を説明するための図である。
図13乃至
図15は、平面PL1をθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)における点PN5から点PN6に向かう方向と反対方向から視たときの点群PG4を示し、
図14は、
図13における枠FR2で囲まれた着目範囲を拡大して示している。また、
図13及び
図14では、Y´座標を、レール直角(Y´軸)方向座標と表記している。
【0092】
図4に示すように、好適には、第1測定部29は、第2分割部41と、第2選択部42と、第3取得部43と、を含む。また、
図6のステップS27では、第1算出部27は、水平面内でθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)と直交する方向を、θ
2方向(Y´軸方向又は第5方向)として算出する。
【0093】
一方、ステップS29では、まず、第2分割部41(
図4参照)は、
図14に示すように、平面PL1を、θ
2方向(Y´軸方向又は第5方向)に配列された複数の平面PL2に分割し、複数の点PN7よりなる点群PG4を、θ
1方向(X´軸方向又は第4方向)から視たときに複数の平面PL2の各々とそれぞれ重なる複数の点群PG5に分割する(
図6のステップS41)。
【0094】
ステップS29では、次に、第2選択部42(
図4参照)は、
図14に示すように、複数の平面PL2のうちいずれかの平面PL2を平面PL3として選択し、複数の点群PG5のうちθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)から視たときに平面PL3と重なる点群PG5を点群PG6として選択し、複数の点PN7のうち、選択された点群PG6に含まれる複数の点PN7を複数の点PN8として選択し、点群PG6に対応して算出され且つ平面PL3内に配置される点PN9であって、点PN9についての平面PL1内でのθ
2方向(Y´軸方向又は第5方向)におけるY´座標(第7座標)が点PN5(
図11参照)を原点としたときのθ
2方向(Y´軸方向又は第5方向)における平面PL3の位置、好適には中心位置に対応し、点PN9についての平面PL1内でのZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第8座標)が複数の点PN8の各々についてのZ座標(第3座標)の中央値又は平均値に対応している、点PN9、を算出する第2算出処理を実行する(
図6のステップS42)。
【0095】
ステップS29では、次に、第3取得部43(
図4参照)は、
図14に示すように、複数の点群PG5のうち第2選択部42(
図4参照)により選択される点群PG5を変更しながら第2選択部42による第2算出処理を繰り返すことにより、複数の点群PG5の各々にそれぞれ対応した複数の点PN9を算出し、算出された複数の点PN9の各々についての、Y´座標(第7座標)及びZ座標(第8座標)、を含む点群データ(バラスト道床の断面形状の2次元点群データ)PC5を取得する(
図6のステップS43)。即ち、ステップS19では、平面PL1を一定の範囲RG1(例えば0.01mの範囲)ごとに区切り、範囲RG1内の点群の鉛直方向中央値を算出し、算出された鉛直方向中央値を断面形状の鉛直座標とする。
【0096】
ステップS29では、また、第1測定部29(
図4参照)は、第3取得部43(
図4参照)により取得された点群データPC5に基づいて、
図13乃至
図15に示すように、バラスト道床3のθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)に垂直な断面形状を測定する。
【0097】
図14に示すように、
図6のステップS28にて第2抽出部28により取得された点群データPC4は、レール方向即ちθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)から視たときに、大きなばらつきを持っており、このままではバラスト道床の断面形状の測定を行うことができない場合がある。このような場合には、本実施の形態では、
図6のステップS29において、ステップS41乃至ステップS43を行うことにより、抽出した点群のレール方向の奥行を無視し、レール直角方向即ちθ
2方向(Y´軸方向又は第5方向)に対して一定間隔(例えば0.01m)で区切り、その区切った各領域において点群の鉛直方向の座標の中央値を算出することで、バラスト道床の断面形状の測定を行う。これにより、
図6のステップS28にて第2抽出部28により取得された点群データPC4が、レール方向即ちθ
1方向(X´軸方向又は第4方向)から視たときに、大きなばらつきを持っている場合でも、バラスト道床の断面形状を、高精度且つ高効率で測定することができる。即ち、本実施の形態によれば、レールを基準としてばらつきを持った点群のノイズの補正が可能である。
【0098】
第2算出処理において、点PN9についての平面PL1内でのZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第8座標)が、複数の点PN8の各々についてのZ座標(第3座標)の平均値に等しい点PN9を算出することもできる。しかしながら、点群データPC4において一部の点が他の点から大きく離れている場合には、第2算出処理において、点PN9についての平面PL1内でのZ軸方向(第3方向)におけるZ座標(第8座標)が、複数の点PN8の各々についてのZ座標(第3座標)の中間値に等しい点PN9を算出することが好ましい。
【0099】
<道床の余盛高さの測定方法>
次に、
図15を参照し、
図6のステップS29(
図6参照)において、道床の余盛高さを測定する方法について説明する。
【0100】
図4に示すように、好適には、第1測定部29は、第2測定部51を含む。
【0101】
図15に示すように、ステップS29では、第2測定部51(
図4参照)は、平面PL1内で点PN5からZ軸方向(第3方向)に予め定められたレール5の高さHT1だけ下方に離れた点を点PN10とし、複数の点PN9のうち、平面PL1内で点PN5を中心としてY´軸方向(第5方向)におけるレール6側に対応した第1の側と反対側に配置され且つZ座標(第8座標)が最大となる点PN9を点PN11とする。このようにしたとき、第2測定部51は、ステップS29において、点PN11から点PN10までのZ軸方向(第3方向)における距離を、点PN5におけるバラスト道床3の余盛高さHT2として測定する(
図6のステップS51)。
【0102】
即ち、ステップS51では、片側レールの芯の点を基準とし、芯の点の位置からレール高さ分だけ低い位置に水平に基準線を設ける。そして、点群データから算出した断面形状のうち、レールを除く最も高い位置の点と基準線との距離を、便宜上余盛高さとする。
【0103】
このような方法によれば、カメラによりバラスト道床の隆起部を撮影して測定されたバラスト道床の断面形状から、余盛高さを容易に算出することができるので、余盛高さを高精度且つ高効率で測定することができる。
【0104】
<道床肩幅の測定方法>
次に、
図15を参照し、ステップS29(
図6参照)において、道床肩幅を測定する方法について説明する。
【0105】
図4に示すように、好適には、第1測定部29は、第3測定部61を含む。
【0106】
図15に示すように、ステップS29では、第3測定部61(
図4参照)は、平面PL1内で点PN5からZ軸方向(第3方向)に予め定められたレール5の高さHT3だけ下方に離れた点を点PN12とし、平面PL1内で点PN12を通り且つY´軸方向(第5方向)に延在する直線(基準線)SL1と、複数の点PN9を通る曲線CV1とが、平面PL1内で点PN12を中心としてY´軸方向(第5方向)におけるレール6側に対応した第2の側と反対側で交差する点を点PN13とし、直線SL1上で点PN12と点PN13との間に配置され、点PN12からY´軸方向(第5方向)において予め定められた長さLN1だけ離れ、且つ、X´軸方向(第4方向)から視たときのまくらぎ4の端部を表す点を点PN14とする。このようにしたとき、第3測定部61は、ステップS29において、点PN14から点PN13までのY´軸方向(第5方向)における距離を、点PN5におけるバラスト道床3の道床肩幅WD1として測定する(
図6のステップS61)。
【0107】
即ち、ステップS61では、片側レールの芯の点を基準とし、芯の点の位置からレール高さ分だけ低い位置に水平に基準線を設ける。また、この基準線と点群データから算出された断面形状を表す曲線とが交わる点を求め、この点と設計図面から算出したまくらぎ端部位置との距離を、便宜上道床肩幅とする。
【0108】
このような方法によれば、カメラによりバラスト道床の隆起部を撮影して測定されたバラスト道床の断面形状から、道床肩幅を容易に算出することができるので、道床肩幅を高精度且つ高効率で測定することができる。
【0109】
<曲線半径に応じて決定される余盛高さの基準値との比較>
次に、
図16を参照し、バラスト軌道の曲線半径を測定し、曲線半径に応じて決定される余盛高さの基準値と、余盛高さの測定値と、を比較する方法(
図5のステップS17)について説明する。
図16は、軌道の曲線半径又は曲率を測定する方法を説明するための図である。なお、以下では、曲線半径を測定する方法を説明するが、曲線半径の逆数である曲率についても同様に測定することができる。
【0110】
図4に示すように、好適には、道床形状測定装置は、第1記録部52を有する。また、第1測定部29は、第4測定部53と、第1決定部54と、第1判定部55と、を有する。なお、好適には、ステップS23(
図6参照)では、第1分割部23は、点群PG1を、レール5に沿って間隔DS1(
図11参照)で配列された複数の点群PG2に分割することになる。
【0111】
第1記録部52には、レール5の曲線半径と、曲線半径に応じて決定される余盛高さの第1基準値と、の関係を示す第1関係データが記録されている。
【0112】
図16に示すように、ステップS17(
図5参照)では、第4測定部53(
図4参照)は、複数の点PN4のうち互いに隣り合うN1個(N1は1以上の整数)の点PN4を挟んで点PN5と隣り合う点PN4を点PN15として選択し、複数の点PN4のうち、点PN5を挟んで点PN15と反対側に配置され、且つ、互いに隣り合うN1個の点PN4を挟んで点PN5と隣り合う、点PN4を点PN16として選択する(
図6のステップS53)。
【0113】
このステップS53では、第4測定部53(
図4参照)は、点PN5についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、選択された点PN15についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、並びに、選択された点PN16についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、に基づいて、点PN15と点PN16とを結ぶ弦CH1の弦長CL1、及び、点PN5から弦CH1までの距離である正矢VR1、を算出する。なお、
図16では、点PN5をP
0(x
0,y
0)と表記し、点PN15をP
1(x
1,y
1)と表記し、点PN16をP
2(x
2,y
2)と表記し、弦長CL1をLと表記し、正矢VR1をDと表記している。
【0114】
また、ステップS53では、第4測定部53(
図4参照)は、算出された弦長CL1及び正矢VR1に基づいて、点PN5におけるレール5の曲線半径を算出することにより、曲線半径を測定する。
図16では、曲線半径をRと表記している。また、曲線半径の算出方法は、以下のようにすることができる。
【0115】
具体的には、点PN5、点PN15及び点PN16の各点のX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)に基づいて、正矢量(正矢)及び弦長を、三平方の定理を用いて計算することで、曲線半径に換算する。
【0116】
前述したように、曲線半径をRとし、正矢VR1をDとし、弦長CL1をLとすると、曲線半径R、正矢D及び弦長Lの関係は、
図16に示す位置関係に基づいて、以下の式(4)で表される。
【0117】
【0118】
上記式(4)をRについて解くと、以下の式(5)が得られる。
【0119】
【0120】
上記式(5)によれば、弦長L及び正矢Dが得られれば曲線半径Rを算出することができる。また、弦長Lは以下の式(6)により求めることができる。
【0121】
【0122】
また、前述したように、点PN15をP1(x1,y1)と表記し、点PN16をP2(x2,y2)と表記すると、点P1及び点P2を通る直線は、以下の式(7)で表される。
【0123】
【0124】
ここで、a=y2-y1とし、b=-(x2-x1)とし、c=(x2-x1)y1-(y2-y1)x1とすると、a、b及びcは、以下の式(8)を満たす。
【0125】
【0126】
このとき、点P1及び点P2を通る直線と点P0(x0,y0)との距離、即ち正矢Dは、以下の式(9)で表される。
【0127】
【0128】
ステップS17(
図5参照)では、次に、第1決定部54(
図4参照)は、第4測定部53(
図4参照)により測定された曲線半径、及び、第1記録部52(
図4参照)に記録された第1関係データ、に基づいて、点PN5における余盛高さの第1基準値を決定する(
図6のステップS54)。
【0129】
ステップS17(
図5参照)では、次に、第1判定部55(
図4参照)は、第2測定部51(
図4参照)により測定された、点PN5における余盛高さの第1測定値を、第1決定部54(
図4参照)により決定された、点PN5における余盛高さの第1基準値と比較し、余盛高さの第1測定値が余盛高さの第1基準値未満のとき、余盛高さの第1測定値が正常値でなく、保守作業が必要と判定する(
図6のステップS55)。
【0130】
これにより、余盛高さが、曲線半径に応じて決定される基準値未満でないか、容易に判定することができる。そのため、曲線部では直線部と比較してバラスト軌道により大きな道床の余盛高さを与えることが必要であるロングレール区間においても、バラスト軌道におけるバラスト道床の余盛高さを、軌道の曲線半径又は曲率に応じて定められた基準値以上となるように、容易に管理することができる。即ち、本実施の形態によれば、線形に応じて断面の取得が可能であり、曲線の半径の変化に対応した判定が可能である。
【0131】
また、点PN5、点PN15及び点PN16として、互いに隣り合う3点即ち連続した3点を選択した場合、即ち例えば0.25mごとに算出したレールの芯の座標を用いる場合、弦長が短すぎるため、正矢が極めて短くなって、測定時のノイズ又は軌道変位が正矢に与える影響が大きくなり、曲線半径の誤差が大きくなる。
【0132】
一方、点PN15を、複数の点PN4のうち互いに隣り合うN1個(N1は1以上の整数)の点PN4を挟んで点PN5と隣り合う点PN4とし、点PN16を、点PN5を挟んで点PN15と反対側に配置され、且つ、複数の点PN4のうち互いに隣り合うN1個の点PN4を挟んで点PN5と隣り合う点PN4とした場合、弦長が短すぎないので、正矢が少し長くなって、測定時のノイズ又は軌道変位が正矢に与える影響が小さくなり、曲線半径の誤差が小さくなる。
【0133】
例えば0.25mごとに算出したレールの芯の座標を用いる場合に、好適には、弦長CL1は、20~40m以上であり、上記した整数N1は、39~79である。また、更に好適には、弦長CL1は、30~40mであり、上記した整数N1は、59~79である。
【0134】
即ち、第4測定部53(
図4参照)が、算出される弦長CL1が20~40mになるように、点PN15及び点PN16を選択することにより、曲線半径の誤差を小さくすることができる。また、第4測定部53が、算出される弦長CL1が30~40mになるように、点PN5、点PN15及び点PN16を選択することにより、曲線半径の誤差を更に小さくすることができる。弦長CL1が20m以上の場合、弦長CL1が20m未満の場合に比べ、曲線部において曲線半径の誤差を小さくすることができる(道床肩幅の測定における弦長CL2も同様)。弦長CL1が40m以下の場合、弦長CL1が40mを超える場合に比べ、直線部(直線区間)から曲線部(曲線区間)に推移する区間でも曲線半径の誤差を小さくすることができる(道床肩幅の測定における弦長CL2も同様)。
【0135】
言い換えれば、n番目のレールの芯の点をQnと表記し、芯の座標の間隔を約0.25mとし、曲線半径を算出するための弦長を約30mとした場合に、具体的な処理は、下記(1-1)~(1-4)のように表すこともできる。
(1-1)1番目の芯の点Q1を点P1とし、約30m離れて配置された121番目の芯の点Q121((30m/0.25m)+1=121)を点P2とし、その中間に配置された61番目の芯の点Q61を点P0とする。
(1-2)上記した点P1及び点P2の各々についての座標に基づいて、正確な弦長を計算し、点P1、点P2及び点P0の位置関係に基づいて、正矢を算出する。
(1-3)算出した弦長及び正矢に基づいて、曲線半径(曲率)を算出し、その値を点P0の位置での曲線半径(曲率)とする。
(1-4)2番目の芯の点Q2を点P1とし、122番目の芯の点Q122(図示は省略)を点P2とし、62番目の芯の点Q62を点P0として、上記(1)~(3)の処理を繰り返す。
【0136】
上記(1-1)~(1-4)の処理を行うことにより、カメラにより撮像された画像のみから取得された3次元点群に基づいて、容易に曲線半径又は曲率を推定即ち測定することができる。
【0137】
<曲線半径に応じて決定される道床肩幅の基準値との比較>
次に、
図16を参照し、バラスト軌道の曲線半径を測定し、曲線半径に応じて決定される道床肩幅の基準値と、道床肩幅の測定値と、を比較する方法(
図5のステップS17)について説明する。
【0138】
図4に示すように、好適には、道床形状測定装置は、第2記録部62を有する。また、第1測定部29は、第5測定部63と、第2決定部64と、第2判定部65と、を有する。なお、好適には、ステップS23(
図6参照)では、第1分割部23は、点群PG1を、レール5に沿って間隔DS2(
図11参照)で配列された複数の点群PG2に分割することになる。
【0139】
第2記録部62には、レール5の曲線半径と、曲線半径に応じて決定される道床肩幅の第2基準値と、の関係を示す第2関係データが記録されている。
【0140】
図16に示すように、ステップS17(
図5参照)では、第5測定部63(
図4参照)は、複数の点PN4のうち互いに隣り合うN2個(N2は1以上の整数)の点PN4を挟んで点PN5と隣り合う点PN4を点PN17として選択し、複数の点PN4のうち、点PN5を挟んで点PN17と反対側に配置され、且つ、互いに隣り合うN2個の点PN4を挟んで点PN5と隣り合う、点PN4を点PN18として選択する(
図6のステップS63)。
【0141】
このステップS63では、第5測定部63(
図4参照)は、点PN5についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、選択された点PN17についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、並びに、選択された点PN18についてのX座標(第4座標)及びY座標(第5座標)、に基づいて、点PN17と点PN18とを結ぶ弦CH2の弦長CL2、及び、点PN5から弦CH2までの距離である正矢VR2、を算出する。なお、
図16では、点PN5をP
0(x
0,y
0)と表記し、点PN17をP
1(x
1,y
1)と表記し、点PN18をP
2(x
2,y
2)と表記し、弦長CL2をLと表記し、正矢VR2をDと表記している。
【0142】
また、ステップS63では、第5測定部63(
図4参照)は、算出された弦長CL2及び正矢VR2に基づいて、点PN5におけるレール5の曲線半径を算出することにより、曲線半径を測定する。具体的な曲線半径の算出方法は、前述した曲線半径の算出方法と同様にすることができる。
【0143】
ステップS17(
図5参照)では、次に、第2決定部64(
図4参照)は、第5測定部63(
図4参照)により測定された曲線半径、及び、第2記録部62(
図4参照)に記録された第2関係データ、に基づいて、点PN5における道床肩幅の第2基準値を決定する(
図6のステップS64)。
【0144】
ステップS17(
図5参照)では、次に、第2判定部65(
図4参照)は、第3測定部61(
図4参照)により測定された、点PN5における道床肩幅の第2測定値を、第2決定部64(
図4参照)により決定された、点PN5における道床肩幅の第2基準値と比較し、道床肩幅の第2測定値が道床肩幅の第2基準値未満のとき、道床肩幅の第2測定値が正常値でなく、保守作業が必要と判定する(
図6のステップS65)。
【0145】
これにより、道床肩幅が、曲線半径に応じて決定される基準値未満でないか、容易に判定することができる。そのため、曲線部では直線部と比較してバラスト軌道により大きな道床の道床肩幅を与えることが必要であるロングレール区間においても、バラスト軌道におけるバラスト道床の道床肩幅を、軌道の曲線半径又は曲率に応じて定められた基準値以上となるように、容易に管理することができる。即ち、本実施の形態によれば、線形に応じて断面の取得が可能であり、曲線の半径の変化に対応した判定が可能である。
【0146】
また、道床肩幅の測定においても、余盛高さの測定と同様に、第5測定部63(
図4参照)が、算出される弦長CL2が20~40mになるように、点PN17及び点PN18を選択することにより、曲線半径の誤差を小さくすることができる。また、第5測定部63が、算出される弦長CL2が30~40mになるように、点PN17及び点PN18を選択することにより、曲線半径の誤差を更に小さくすることができる。
【0147】
<曲率、余盛高さ及び道床肩幅の測定結果>
図17は、レールの各位置における曲率、余盛高さ及び道床肩幅の測定結果を示すグラフである。
図17(a)は、レールに沿った各位置における曲率、即ち曲率のキロ程依存性を示し、
図17(b)は、レールに沿った各位置における余盛高さ、即ち余盛高さのキロ程依存性を示し、
図17(c)は、レールに沿った各位置における道床肩幅、即ち道床肩幅のキロ程依存性を示している。また、
図17(a)は、3次元点群データから推定された曲率の測定値を、同位置における曲率の設計値と合わせて示している。
【0148】
図17(a)の設計値が示すように、0k000mから0k100mまでの区間が直線部(直線区間)であり、0k200mから0k300mまでの区間が曲率1.25/1000(1/m)の曲率を有する曲線部(曲線区間)である。ここで、
図17(a)に示すように、3次元点群データから推定された曲率の測定値は、同位置における曲率の設計値と略一致していた。このように、本実施の形態の道床形状測定装置を用いた道床形状測定方法によれば、カメラにより撮像された画像のみから曲線半径又は曲率を測定することができる。
【0149】
また、
図17(b)に示すように、曲線部(曲線区間)における余盛高さが直線部(直線区間)における余盛高さよりも高くなっている。即ち、本実施の形態の道床形状測定装置を用いた道床形状測定方法によれば、カメラにより撮像された画像のみから余盛高さを測定することができる。
【0150】
また、
図17(c)に示すように、曲線部(曲線区間)における道床肩幅が直線部(直線区間)における道床肩幅よりも大きくなっている。即ち、本実施の形態の道床形状測定装置を用いた道床形状測定方法によれば、カメラにより撮像された画像のみから道床肩幅を測定することができる。
【0151】
このように、本実施の形態の道床形状測定装置による道床形状測定方法と、上記特許文献3に記載された技術とは、以下の(2-1)乃至(2-4)で異なるものである。
(2-1)本実施の形態では、画像計測のみで足り、それ以外のセンサ類は必要ない。
(2-2)本実施の形態では、レールを抽出可能であり、レールを基準にした誤差の補正又は判定が自動的且つ連続的に可能である。
(2-3)本実施の形態では、レールを基準としてばらつきを持った点群のノイズの補正が可能である。
(2-4)本実施の形態では、線形に応じて断面の取得が可能であり、また曲線の半径の変化に対応した判定が可能である。
【0152】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0153】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0154】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、バラスト道床の形状を測定する道床形状測定装置及び道床形状測定方法に適用して有効である。
【符号の説明】
【0156】
1 道床形状測定装置
2 路盤
3 バラスト道床
4 まくらぎ
5、6、8、9 レール
7 バラスト軌道
11 撮像部
12 鉄道車両
13、13a、13b カメラ
14 画像集録装置
15 コンピュータ
21 第1取得部
22 第1抽出部
23 第1分割部
24 第1選択部
25 第2取得部
26 第2選択部
27 第1算出部
28 第2抽出部
29 第1測定部
31 取得部
41 第2分割部
42 第2選択部
43 第3取得部
51 第2測定部
52 第1記録部
53 第4測定部
54 第1決定部
55 第1判定部
61 第3測定部
62 第2記録部
63 第5測定部
64 第2決定部
65 第2判定部
CH1、CH2 弦
CL1、CL2 弦長
CV1 曲線
DS1、DS2 間隔
FR1、FR2 枠
HT1、HT3 高さ
HT2 余盛高さ
LN1 長さ
PC1~PC6 点群データ
PG1~PG6 点群
PL1~PL3 平面
PN1、PN10~PN18、PN2~PN9 点
RG1 範囲
RN2 範囲
SL1 直線
VL1 値
VR1、VR2 正矢
WD1 道床肩幅