IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新電機株式会社の特許一覧

特開2024-116564系統連系装置、電源システム、及び、制御方法
<>
  • 特開-系統連系装置、電源システム、及び、制御方法 図1
  • 特開-系統連系装置、電源システム、及び、制御方法 図2
  • 特開-系統連系装置、電源システム、及び、制御方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116564
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】系統連系装置、電源システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
H02J3/38 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022253
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】福田 有貴
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 吉則
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA03
5G066HA06
5G066HA11
5G066HB02
(57)【要約】
【課題】FRT要件を満たしつつ、通常時における通電損失の発生を抑制する。
【解決手段】商用電力系統10と重要負荷20との間の電力線に設けられ、商用電力系統10及び重要負荷20を連系する系統連系装置100であって、電力線L1を開閉する機械式スイッチ4と、機械式スイッチ4に並列接続される転流回路5と、機械式スイッチ4に並列接続されるインピーダンス素子6と、機械式スイッチ4よりも商用電力系統10側の電圧を検出する系統側電圧検出部7と、系統側電圧検出部7の検出電圧から商用電力系統10側の系統異常を検出する系統異常検出部8と、重要負荷20への給電を制御する制御部9とを備え、制御部9は、系統異常検出部8によって系統異常が検出された場合に、機械式スイッチ4を開放するとともに電流を転流回路5に転流させ、機械式スイッチ4の開放が完了した場合に、商用電力系統10及び重要負荷20をインピーダンス素子6を介して接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統と重要負荷との間の電力線に設けられ、前記商用電力系統及び前記重要負荷を連系する系統連系装置であって、
前記電力線を開閉する機械式スイッチと、
前記機械式スイッチに並列接続される転流回路と、
前記機械式スイッチに並列接続されるインピーダンス素子と、
前記機械式スイッチよりも前記商用電力系統側の電圧を検出する系統側電圧検出部と、
前記系統側電圧検出部の検出電圧から前記商用電力系統側の系統異常を検出する系統異常検出部と、
前記重要負荷への給電を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記系統異常検出部によって系統異常が検出された場合に、前記機械式スイッチを開放するとともに電流を前記転流回路に転流させ、前記機械式スイッチの開放が完了した場合に、前記商用電力系統及び前記重要負荷を前記インピーダンス素子を介して接続する系統連系装置。
【請求項2】
前記転流回路は、半導体スイッチで構成される請求項1に記載の系統連系装置。
【請求項3】
商用電力系統と重要負荷との間に設けられ、前記重要負荷に電力を供給する電源システムであって、
請求項1又は2に記載の系統連系装置と、
前記系統連系装置よりも前記重要負荷側の前記電力線に接続された発電機とを備える、電源システム。
【請求項4】
商用電力系統と重要負荷との間の電力線に設けられ、前記商用電力系統及び前記重要負荷を連系させる系統連系装置に用いられる制御方法であって、
前記系統連系装置は、
前記電力線を開閉する機械式スイッチと、
前記機械式スイッチに並列接続される転流回路と、
前記機械式スイッチに並列接続されるインピーダンス素子と、
前記機械式スイッチよりも前記商用電力系統側の電圧を検出する系統側電圧検出部とを備えるものであり、
前記制御方法は、
前記系統側電圧検出部の検出電圧から前記商用電力系統側の系統異常を検出し、
前記系統異常が検出された場合に、前記切替スイッチを開放するとともに電流を前記転流回路に転流させ、
前記切替スイッチの開放が完了した場合に前記商用電力系統及び前記重要負荷を前記インピーダンス素子を介して接続する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統連系装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
系統連系装置は、商用電力系統及び重要負荷の間に設けられ、通常時において商用電力系統及び重要負荷を連系し、商用電力系統の異常が発生した場合に重要負荷及び商用電力系統に連系された発電機を保護するものである。
【0003】
例えば非特許文献1に示すように、この種の系統連系装置は、通常時において商用電力系統及び重要負荷を連系するサイリスタスイッチ及び直流リアクトルを備える。そして商用電力系統の異常が発生すると、系統連系装置は、電流を直流リアクトルによって限流するとともに、サイリスタスイッチを消弧させる。これにより、系統連系装置は、商用電力系統から重要負荷及び発電機を解列して、発電機を自立運転させて重要負荷に給電しているので、商用電力系統の異常が発生した場合であっても、重要負荷及び発電機の保護を図ることができる。
【0004】
ところで、商用電力系統に連系される発電機が増大しており、瞬低時にそれらの発電機を一斉に解列してしまうと、商用電力系統全体の電圧や周波数の維持に大きな影響を与える可能性がある。このため、瞬低時においても発電機を商用電力系統から解列することなく継続運転することが求められている(事故時運転継続(FRT)要件)。
【0005】
しかしながら、上述した系統連系装置では、サイリスタスイッチによって遮断した時点で商用電力系統から発電機が解列しているので、FRT要件を満たすことができない。また、FRT要件を満足するために商用電力系統と発電機との連系を継続したとしても、時間の経過とともに直流リアクトルによる限流が低減するので、発電機を継続して運転することができない。
【0006】
さらに、通常時において、商用電力系統及び重要負荷はインピーダンスが大きいサイリスタスイッチによって連系されているので、サイリスタスイッチによる通電損失が発生してしまう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“高速限流遮断装置”、日新電機カタログNo.8163、日新電機株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、FRT要件を満たしつつ、通常時における通電損失の発生を抑制することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る系統連系装置は、商用電力系統と重要負荷との間の電力線に設けられ、前記商用電力系統及び前記電力線に接続された発電機を連系させる系統連系装置であって、前記電力線を開閉する機械式スイッチと、前記機械式スイッチに並列接続される転流回路と、前記機械式スイッチに並列接続されるインピーダンス素子と、前記機械式スイッチよりも前記商用電力系統側の電圧を検出する系統側電圧検出部と、前記系統側電圧検出部の検出電圧から前記商用電力系統側の系統異常を検出する系統異常検出部と、前記重要負荷への給電を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記系統異常検出部によって系統異常が検出された場合に、前記機械式スイッチを開放するとともに前記商用電力系統に流れる電流を前記転流回路に転流させ、前記機械式スイッチの開放が完了した場合に、前記商用電力系統及び前記発電機を前記インピーダンス素子を介して連系することを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば、系統異常が検出された場合であっても、商用電力系統及び重要負荷は転流回路又はインピーダンス素子によって接続されているので、FRT要件を満足することができる。
また、通常時においては、商用電力系統及び重要負荷は、インピーダンスがほとんど無視できる機械式スイッチによって接続されているので、サイリスタスイッチによって商用電力系統及び重要負荷を接続する場合と比較して、通常時における通電損失の発生を抑制することができる。
【0011】
前記転流回路は、半導体スイッチで構成されることが望ましい。
このような構成であれば、半導体スイッチによって転流回路のオン状態とオフ状態とを高速に切り替えることができるので、機械式スイッチの開放が完了してすぐにインピーダンス素子による限流を開始することができる。その結果、例えば、発電機が商用電力系統に連系されている場合に、発電機から商用電力系統へと流れる電流を限流することができるので、発電機のトルクの急変を抑制することができる。
【0012】
また、電源システムは、商用電力系統と重要負荷との間に設けられ、前記重要負荷に電力を供給する電源システムであって、前記系統連系装置と、前記系統連系装置よりも前記重要負荷側の前記電力線に接続された発電機とを備えるものが挙げられる。
このような構成であれば、上記の系統連系装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0013】
さらに、制御方法は、商用電力系統と重要負荷との間の電力線に設けられ、前記商用電力系統及び前記重要負荷を連系させる系統連系装置に用いられる制御方法であって、前記系統連系装置は、前記電力線を開閉する機械式スイッチと、前記機械式スイッチに並列接続される転流回路と、前記機械式スイッチに並列接続されるインピーダンス素子と、前記機械式スイッチよりも前記商用電力系統側の電圧を検出する系統側電圧検出部とを備えるものであり、前記制御方法は、前記系統側電圧検出部の検出電圧から前記商用電力系統側の系統異常を検出し、前記系統異常が検出された場合に、前記切替スイッチを開放するとともに電流を前記転流回路に転流させ、前記切替スイッチの開放が完了した場合に前記商用電力系統及び前記重要負荷を前記インピーダンス素子を介して接続するが挙げられる。
このような構成であれば、上記の系統連系装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、FRT要件を満たしつつ、通常時における通電損失の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の電源システムの構成を示す模式図である。
図2】同実施形態におけるシミュレーション結果を示す図である。
図3】従来例におけるシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る系統連系装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し、又は、誇張して模式的に描かれている場合がある。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0017】
<装置構成>
本実施形態の系統連系装置100は、図1に示すように、商用電力系統10と重要負荷20との間に設けられ、通常時には商用電力系統10及び重要負荷20を連系するとともに、商用電力系統10の異常発生時には、重要負荷20及び商用電力系統10に連系された発電機30を保護するものである。
【0018】
本実施形態では、系統連系装置100及び発電機30が電源システムを構成し、電源システムは、商用電力系統10の異常時に重要負荷20に電力を供給する無停電電源システムとしての機能(無停電電源機能)と、商用電力系統10に対して順潮流及び逆潮流することで負荷平準化する分散型電源システムとしての機能(負荷平準化機能)を発揮する。
【0019】
ここで、商用電力系統10は、電力会社(電気事業者)の電力供給網であり、発電所、送電系統及び配電系統を有するものである。重要負荷20は、停電や瞬低などの系統異常時においても電力を安定して供給すべき負荷であり、図1では1つであるが、複数あっても良い。
【0020】
また発電機30は、商用電力系統10から重要負荷20に給電するための電力線L1に接続され、本実施形態では、系統連系装置100よりも重要負荷20側の電力線L1に接続される。この発電機30は、商用電力系統10に連系されるものであり、例えばコージェネレーション、小水力発電機、又は、バイオマス発電といった回転子を回転させることにより発電を行う回転系発電設備である。
【0021】
具体的に系統連系装置100は、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とを接続する機械式スイッチ4と、機械式スイッチ4に並列接続された転流回路5及びインピーダンス素子6と、機械式スイッチ4よりも商用電力系統10側の電圧を検出する系統側電圧検出部7と、系統側電圧検出部7の検出電圧から系統異常を検出する系統異常検出部8と、系統異常検出部8により検出された系統異常に基づいて機械式スイッチ4及び転流回路5を制御する制御部9とを備えている。
【0022】
機械式スイッチ4は、電力線L1において発電機30の接続点及び商用電力系統10の間の電力線L1に設けられて電力線L1を開閉するものである。なお、この機械式スイッチ4は、制御部9により開閉制御される。
【0023】
転流回路5は、電力線L1において機械式スイッチ4に並列に接続されたものであり、機械式スイッチ4の開放時に電流を転流するものである。本実施形態において、転流回路5は、半導体スイッチで構成されており、切替時間を2ミリ秒以下にすることができ、ゼロ点関係なく遮断することができる。なお、この転流回路5は、制御部9により開閉制御される。
【0024】
インピーダンス素子6は、前記電力線L1において機械式スイッチ4に並列接続されたものであり、本実施形態では、限流リアクトルである。
【0025】
系統側電圧検出部7は、電力線L1において機械式スイッチ4よりも商用電力系統10側の電圧を、計器用変圧器を介して検出するものである。具体的に系統側電圧検出部7は、機械式スイッチ4及びインピーダンス素子6からなる並列回路よりも商用電力系統10側に計器用変圧器を介して接続されている。
【0026】
系統異常検出部8は、系統側電圧検出部7により検出された検出電圧から、機械式スイッチ4よりも商用電力系統10側の各系統異常を検出するものである。本実施形態の系統異常は、瞬低を含む電圧低下、電圧上昇、周波数変動、位相変動、電圧不平衡、異常高調波、フリッカである。
【0027】
このため、系統異常検出部8は、瞬低を含む電圧低下を検出する電圧低下検出部81と、周波数変動を検出する周波数変動検出部82と、電圧上昇を検出する電圧上昇検出部83と、位相変動を検出する位相変動検出部84と、電圧不平衡を検出する電圧不平衡検出部85と、異常高調波を検出する異常高調波検出部86と、フリッカを検出するフリッカ検出部87とを有する。
【0028】
電圧低下検出部81は、系統側電圧検出部7の検出電圧と所定の整定値とを比較することにより電圧低下を検出するものである。ここで、電圧低下を検出するための整定値は、瞬低を検出するための電圧値であり、例えば残電圧20%である。
【0029】
周波数変動検出部82は、系統側電圧検出部7の検出電圧から周波数変動(周波数上昇(OF)、周波数低下(UF))を検出するものである。なお、周波数変動は、例えばステップ上昇や、ランプ上昇・下降である。
【0030】
電圧上昇検出部83は、系統側電圧検出部7の検出電圧と所定の整定値とを比較することにより電圧上昇を検出するものである。ここで、電圧上昇を検出するための整定値は、系統電圧に対して例えば107%の電圧である。
【0031】
位相変動検出部84は、系統側電圧検出部7の検出電圧の位相から例えば10°の位相跳躍等の位相変動を検出するものである。
【0032】
電圧不平衡検出部85は、系統側電圧検出部7の検出電圧から三相間の振幅の大きさ又は位相差120°が異なる状態となっていることを検出するものである。
【0033】
異常高調波検出部86は、系統側電圧検出部7の検出電圧から高調波電圧を検出するものである。フリッカ検出部87は、系統側電圧検出部7の検出電圧から電圧変動(フリッカ)を検出するものである。
【0034】
制御部9は、系統異常検出部8又は復電電圧検出部72により検出された各検出信号に基づいて、連系遮断器3、機械式スイッチ4又は転流回路5を制御するものである。本実施形態の制御部9は、各検出部81~87からの検出信号を受け付けて何れか1つの検出信号が条件(OR条件)を満たす場合に、機械式スイッチ4を開放するとともに、転流回路5に電流を転流させる。
【0035】
具体的に制御部9は、重要負荷20又は発電機30の瞬低耐量が所定の整定範囲を満たさない場合において、電圧低下検出部81により検出された瞬低が瞬低耐量以上であり且つ、所定の整定範囲内に含まれる場合に機械式スイッチ4を開放するとともに、転流回路5に電流を転流させる。これにより、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とは転流回路5を介して接続された状態となる。そして、機械式スイッチ4の開放が完了すると、制御部9は転流回路5を開放する。これにより、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とはインピーダンス素子6を介して接続された状態となる。この状態で、発電機30は逆潮流を含む運転を継続する。
【0036】
また、制御部9は、重要負荷20又は発電機30の周波数変動耐量が所定の整定範囲を満たさない場合において、周波数変動検出部82により検出された周波数変動が周波数変動耐量以上であり、且つ所定の整定範囲内に含まれる場合に機械式スイッチ4を開放するとともに、転流回路5に電流を転流させる。これにより、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とは転流回路5を介して接続された状態となる。そして、機械式スイッチ4の開放が完了すると、制御部9は転流回路5を開放する。これにより、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とはインピーダンス素子6を介して接続された状態となる。この状態で、発電機30は逆潮流を含む運転を継続する。
【0037】
さらに、制御部9は、系統異常検出部83~87により検出されたその他の系統異常が重要負荷20又は発電機30のその他の系統異常に対する耐量以上である場合に機械式スイッチ4を開放するとともに、転流回路5に電流を転流させる。これにより、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とは転流回路5を介して接続された状態となる。そして、機械式スイッチ4の開放が完了すると、制御部9は転流回路5を開放する。これにより、商用電力系統10と発電機30及び重要負荷20とはインピーダンス素子6を介して接続された状態となる。この状態で、発電機30は逆潮流を含む運転を継続する。
【0038】
さらに本実施形態において、系統連系装置100は、電力線L1よりも商用電力系統10側に解列用スイッチ11を備える。また、本実施形態における系統連系装置100は、解列用スイッチ11よりも高圧側の電圧を検出する電源側電圧検出部12が設けられる。
【0039】
本実施形態の解列用スイッチ11は、商用電力系統10と発電機30とを解列するための開閉スイッチであり、例えば機械式スイッチである。図1では、機械式スイッチ4よりも高圧側に設けられているが、機械式スイッチ4よりも低圧側に設けてもよい。この解列用スイッチ11は、制御部9により開閉制御される。
【0040】
そして、制御部9は、系統側電圧検出部7の検出電圧が所定の解列条件を満たす場合に解列用スイッチ11を開放する。ここで、所定の解列条件は、系統電圧の電圧低下(検出電圧が整定値以下となっている状態)の継続時間が所定値以上(瞬低継続時間よりも長い時間)となることである。解列用スイッチ11が開放された状態で、発電機30は自立運転モードとなり重要負荷20に給電する。なお、機械式スイッチ4は既に解放されているので、解列用スイッチ11の開放による過電流はインピーダンス素子6によって抑制される。
【0041】
一方、制御部9は、系統側電圧検出部7の検出電圧が所定の復電条件を満たす場合に機械式スイッチ4を投入する。ここで所定の復電条件とは、系統電圧の電圧が整定値の範囲内である時間が所定時間継続し、系統異常検出部8が系統異常を検出していない場合である。機械式スイッチ4が投入されると、商用電力系統10及び重要負荷20は、よりインピーダンスが小さい機械式スイッチ4を介して連系される。
【0042】
<第1実施形態のシミュレーション>
系統異常が発生した場合の発電機及び電力線に流れる連系電流への影響をシミュレーションした。このシミュレーションでは、発電機の定格電圧を6.6kV、定格出力を2MWとしている。このシミュレーションの結果を図2に示す。図2は、系統異常発生時における発電機電圧及び連系電流の時間変化を示している。
【0043】
系統異常が発生すると、機械式スイッチ4が開放されるとともに電流は転流回路5に転流され、機械式スイッチ4の開放が完了した後には、インピーダンス素子6により商用電力系統10及び重要負荷20が接続される。その結果、図2に示すように、系統異常の発生後においても、発電機30から重要負荷20への給電が継続し、かつ、連系電流が発散することなく継続して流れているので、FRT要件を満足している。
【0044】
一方、従来例の系統連系装置では、系統異常が発生すると、図3に示すように、発電機電圧が減衰し、連系電流が発散するので、発電機から重要負荷への給電を継続することができず、FRT要件を満足することができない。
【0045】
<第1実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の系統連系装置100によれば、系統異常が検出された場合であっても、商用電力系統10及び重要負荷20は転流回路5又はインピーダンス素子6によって接続されているので、FRT要件を満足することができる。
また、通常時において商用電力系統10及び重要負荷20は、インピーダンスがほとんど無視できる機械式スイッチ4によって接続されているので、サイリスタスイッチによって接続される場合と比較して、通常時における通電損失の発生を抑制することができる。
【0046】
また、半導体スイッチである転流回路5が半導体スイッチで構成されているので、転流回路5のオン状態とオフ状態とを高速に切り替えることができる。したがって、機械式スイッチ4の開放が完了してすぐにインピーダンス素子6による限流を開始することができる。その結果、発電機30が商用電力系統10に連系されている場合に、発電機30から商用電力系統10へと流れる電流を限流することができるので、発電機30のトルクの急変を抑制することができる。
【0047】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0048】
例えば、前記実施形態では、系統異常の何れか1つが条件を満たした場合に切替スイッチを開放するものであったが、2つ以上の系統異常の組み合わせが所定の条件を満たした場合に機械式スイッチ4を開放するようにしても良い。
【0049】
本実施形態では、転流回路5は半導体スイッチで構成されていたが、コンデンサを用いてもよいし、コンデンサ及びリアクトルを直列に接続したLC直列共振回路であってもよいし、インバータを用いるものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0050】
また、インピーダンス素子6は限流リアクトルの他に、抵抗を用いてもよいし、コンデンサを用いても良いし、リアクトル、抵抗又はコンデンサの何れかを組み合わせたものであっても良い。
【0051】
その上、前記実施形態の電源側電圧検出部12は、解列用スイッチ11及び機械式スイッチ4の間に設けられたものであったが、発電機30の系統接続点電圧の計測機能で代用してもよい。
【0052】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
100・・・系統連系装置
10 ・・・商用電力系統
20 ・・・重要負荷
30 ・・・発電機
L1 ・・・電力線
3 ・・・連系遮断器
4 ・・・機械式スイッチ
5 ・・・転流回路
6 ・・・インピーダンス素子
7 ・・・系統側電圧検出部
8 ・・・系統異常検出部
81 ・・・電圧低下検出部
82 ・・・周波数変動検出部
83 ・・・電圧上昇検出部
84 ・・・位相変動検出部
85 ・・・電圧不平衡検出部
86 ・・・異常高調波検出部
87 ・・・フリッカ検出部
9 ・・・制御部
11 ・・・解列用スイッチ
12 ・・・電源側電圧検出部
図1
図2
図3