(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116592
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022284
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】松永 拓巳
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB09
5E021FB13
5E021FB20
5E021FC38
5E021JA20
5E021KA09
5E021KA15
(57)【要約】
【課題】電気的に精度よく嵌合状態を検出するコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ100は、ハウジング10と、ハウジング10に収容され、相手側コネクタ200が有する被検出端子51との接触を検出する検出端子20と、ハウジング10に取り付けられ、相手側コネクタ200に接続される途中で相手側コネクタ200に押されて撓み、相手側コネクタ200に接続されると戻る梁状のロックアーム30と、を備える。検出端子20は、片持ちの弾性片22と、弾性片22の端部に形成され、被検出端子51と接触する接点部24と、を有する。ロックアーム30は、弾性片22を押圧する押圧部31を有する。押圧部31は、相手側コネクタ200に接続される途中でロックアーム30が撓むと、弾性片22の端部に形成された接点部24が被検出端子51から離れる方向に変位し、検出端子20が被検出端子51と非接触状態になるように、弾性片22を押圧する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、相手側コネクタが有する被検出端子との接触を検出する検出端子と、
前記ハウジングに取り付けられ、前記相手側コネクタに接続される途中で前記相手側コネクタに押されて撓み、前記相手側コネクタに接続されると戻る梁状のロックアームと、
を備え、
前記検出端子は、片持ちの弾性片と、前記弾性片の端部に形成された、前記被検出端子と接触する接点部と、を有し、
前記ロックアームは、前記弾性片を押圧する押圧部を有し、
前記押圧部は、前記相手側コネクタに接続される途中で前記ロックアームが撓むと、前記弾性片の端部に形成された前記接点部が前記被検出端子から離れる方向に変位し、前記検出端子が前記被検出端子と非接触状態になるように、前記弾性片を押圧する、
コネクタ。
【請求項2】
前記押圧部は、前記弾性片の前記端部を押圧する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記押圧部は、前記ロックアームの端部に形成される、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記検出端子は、前記ハウジングに取り付けられた基部と、前記基部と前記弾性片を接続する折り返し部と、を有する、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ロックアームは、ユーザにより前記ロックアームを撓ませる操作部を有する、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロックアームは、前記操作部と前記押圧部との間に設けられた、前記相手側コネクタに設けられた被係合部と係合する係合部を有する、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ロックアームは、前記相手側コネクタに設けられた被係合部と係合する係合部を有する、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記相手側コネクタが有する前記被検出端子は、第1の被検出端子と、第2の被検出端子と、を有し、
前記接点部は、前記第1の被検出端子と接触する第1の接点部と、前記第2の被検出端子と接触する第2の接点部と、を有し、
前記押圧部は、前記弾性片における前記第1の接点部と前記第2の接点部との間の位置を、前記第1の接点部が前記第1の被検出端子から離れる方向に変位し、且つ、前記第2の接点部が前記第2の被検出端子から離れる方向に変位するように押圧する、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記相手側コネクタが有する前記被検出端子は、第1の被検出端子と、第2の被検出端子と、を有し、
前記接点部は、第1の弾性片に設けられた、前記第1の被検出端子と接触する第1の接点部と、第2の弾性片に設けられた、前記第2の被検出端子と接触する第2の接点部と、を有し、
前記押圧部は、前記第1の弾性片、または前記第2の弾性片の何れかを押圧し、前記第1の接点部が前記第1の被検出端子から離れる方向に変位させる、または前記第2の接点部が前記第2の被検出端子から離れる方向に変位させる、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタが正規の位置で嵌合されていることを保証するCPA(Connector Position Assurance)を備えるコネクタが知られている。CPAとしては、コネクタ同士が嵌合し1次ロックがされた後、正規の位置で嵌合していないと動作しない2次ロックを有する機械的CPAが用いられている。機械的CPAでは、コネクタ同士の導通を実現するために2次ロックを動作させる必要があり、作業工程が増えるという問題がある。この問題を解決するため、コネクタの嵌合状態を電気的に検出することで正しい嵌合状態を確認する電気CPAも用いられている。
【0003】
特許文献1は、片持ちの可撓ロック腕の下部に設けられた短絡用接触子を有するコネクタAと、短絡用接触子と接触して嵌合検知を行う結合検知用ピン型端子金具Dを有するコネクタBと、が嵌合したか否かを検出する電気CPAを開示する。短絡用接触子は、片持ちの弾性接触片の中間部に形成された短絡接点部Cと、弾性接触片の自由端部に形成された被駆動係合部Eとを有する。コネクタAとコネクタBとが嵌合する際、嵌合途中においては、可撓ロック腕が被駆動係合部Eを押すことで弾性接触片が撓み、短絡用接触子と結合検知用ピン型端子金具Dとが非接触となる。一方、コネクタAとコネクタBとの嵌合が完了すると、可撓ロック腕と弾性接触片とが復帰して、短絡接点部Cが結合検知用ピン型端子金具Dに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたコネクタAでは、短絡接点部Cが弾性接触片の中間部に形成され、被駆動係合部Eは弾性接触片の自由端部に形成されている。それゆえ、短絡接点部Cの変位量が被駆動係合部Eの変位量より小さくなることから、被駆動係合部Eの変位量が所定値より不足すると、短絡接点部Cが想定より撓まないことがある。これにより、コネクタAとコネクタBとの嵌合途中において、短絡接点部Cが結合検知用ピン型端子金具Dに接触し、嵌合検知を誤作動させる虞がある。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたものであり、電気的に精度よく嵌合状態を検出するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコネクタは、
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、相手側コネクタが有する被検出端子との接触を検出する検出端子と、
前記ハウジングに取り付けられ、前記相手側コネクタに接続される途中で前記相手側コネクタに押されて撓み、前記相手側コネクタに接続されると戻る梁状のロックアームと、
を備え、
前記検出端子は、片持ちの弾性片と、前記弾性片の端部に形成された、前記被検出端子と接触する接点部と、を有し、
前記ロックアームは、前記弾性片を押圧する押圧部を有し、
前記押圧部は、前記相手側コネクタに接続される途中で前記ロックアームが撓むと、前記弾性片の端部に形成された前記接点部が前記被検出端子から離れる方向に変位し、前記検出端子が前記被検出端子と非接触状態になるように、前記弾性片を押圧する。
【0008】
前記押圧部は、前記弾性片の前記端部を押圧してもよい。
【0009】
前記押圧部は、前記ロックアームの端部に形成されていてもよい。
【0010】
前記検出端子は、前記ハウジングに取り付けられた基部と、前記基部と前記弾性片を接続する折り返し部と、を有してもよい。
【0011】
前記ロックアームは、ユーザにより前記ロックアームを撓ませる操作部を有してもよい。
【0012】
前記ロックアームは、前記操作部と前記押圧部との間に設けられた、前記相手側コネクタに設けられた被係合部と係合する係合部を有してもよい。
【0013】
前記ロックアームは、前記相手側コネクタに設けられた被係合部と係合する係合部を有してもよい。
【0014】
前記相手側コネクタが有する前記被検出端子は、第1の被検出端子と、第2の被検出端子と、を有し、
前記接点部は、前記第1の被検出端子と接触する第1の接点部と、前記第2の被検出端子と接触する第2の接点部と、を有し、
前記押圧部は、前記弾性片における前記第1の接点部と前記第2の接点部との間の位置を、前記第1の接点部が前記第1の被検出端子から離れる方向に変位し、且つ、前記第2の接点部が前記第2の被検出端子から離れる方向に変位するように押圧してもよい。
【0015】
前記相手側コネクタが有する前記被検出端子は、第1の被検出端子と、第2の被検出端子と、を有し、
前記接点部は、第1の弾性片に設けられた、前記第1の被検出端子と接触する第1の接点部と、第2の弾性片に設けられた、前記第2の被検出端子と接触する第2の接点部と、を有し、
前記押圧部は、前記第1の弾性片、または前記第2の弾性片の何れかを押圧し、前記第1の接点部が前記第1の被検出端子から離れる方向に変位させる、または前記第2の接点部が前記第2の被検出端子から離れる方向に変位させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコネクタによれば、検出端子が、弾性片の端部に形成された、被検出端子と接触する接点部を備えるため、嵌合状態を電気的に精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタを示す分解図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るコネクタおよび相手側コネクタを示す断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るコネクタを示す断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る検出端子を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る検出端子を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るコネクタを示す断面斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るコネクタと相手側コネクタとの接続方法を説明する断面図(その1)である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るコネクタと相手側コネクタとの接続方法を説明する断面図(その2)である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るコネクタと相手側コネクタとの接続方法を説明する断面図(その3)である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るコネクタを相手側コネクタに接続した状態を示す斜視図である。
【
図12】変形例に係る検出端子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態に係るコネクタを、図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施の形態に係るコネクタ100は、電気製品または自動車に装備される電子回路の部品として用いられるものであり、
図1に示すように、ハウジング10と、ハウジング10に収容された検出端子20と、ハウジング10に取り付けられた梁状のロックアーム30と、を備える。コネクタ100は、
図2および
図3に示すように、検出端子20と相手側コネクタ200が有する被検出端子51との接触を検出することで、相手側コネクタ200との嵌合状態を電気的に検出する電気CPA(Connector Position Assurance)の機能を有するものである。
【0020】
理解を容易にするために、コネクタ100が相手側コネクタ200に挿入される方向をx軸方向、ロックアーム30が撓む方向をz軸方向、x軸方向およびz軸方向に垂直な方向をy軸方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。
【0021】
ハウジング10には、樹脂などの誘電体から構成され、
図4に示すように、検出端子20を収容する検出端子収容室11と、端子12を収容する端子収容室13と、端子12を係止する
図1に示すサイドリテーナ15と、が設けられている。検出端子収容室11には、検出端子20をコネクタ100の外部に露出するための開口11aが設けられている。端子収容室13には、端子12をコネクタ100の外部に露出するための開口13aと、端子12を係止するランス14が設けられている。
【0022】
端子12は、棒状の形状を有し、金属板などの導電性部材を曲げ加工して形成されているメス端子から構成される。端子12は、
図3および
図4に示すように、相手側端子52と接触する角筒状の本体部12aと、ランス係止部12bと、導線40の絶縁部41を固定する固定部12cと、導線40の導体部42を圧着固定するための結束部12dと、を備える。また、端子12は、サイドリテーナ15に形成された端子係止部15aにより端子収容室13に係止されている。本体部12aは、相手側端子52が接触する部分であり、金属板を角筒状に折り曲げて形成されている。本体部12aの一端部には、相手側端子52が挿入される開口が設けられている。本体部12aの内部には、相手側端子52に当接するアーチ状の弾性接触部12eが設けられている。固定部12cおよび結束部12dは、弾性を有する片持ち梁からそれぞれ構成される。固定部12cは、塑性変形して導線40の絶縁部41を固定する。結束部12dは、導線40の導体部42と端子12とを電気的に接続する部分であり、圧着工具により圧着されて導体部42を固定する。
【0023】
検出端子20は、
図3に示す被検出端子51との接触を電気的に検出するものであり、検出端子収容室11に取り付けられた基部21と、片持ちの弾性片22と、基部21と弾性片22を接続する折り返し部23と、被検出端子51と接触する接点部24と、を有する。弾性片22は、折り返し部23からx軸方向に延在する。接点部24は、
図5に示すように、弾性片22の端部22aに形成される。端部22aのx軸方向の長さL1は、弾性片22のx軸方向の長さL2の3分の1以下である。また、接点部24を弾性片22の自由端22bに近い位置に配置することで、弾性片22の撓み量に対して、接点部24の変位量を大きくすることができる。このため、自由端22bから接点部24の中心までのx軸方向の長さL3は、弾性片22のx軸方向の長さL2の4分の1以下であることが好ましい。また、この例では、
図6に示すように、
図3に示す相手側コネクタ200が有する被検出端子51は、第1の被検出端子51Aと、第2の被検出端子51Bと、を有する。接点部24は、第1の被検出端子51Aに接触する第1の接点部24Aと、第2の被検出端子51Bに接触する第2の接点部24Bと、を有する。また、基部21には、検出端子20を
図3に示す検出端子収容室11に係止する係止部21aが設けられている。なお、検出端子20は、金属板をプレス成型によりy軸方向からみて、U字形状に成型して作成される。
【0024】
ロックアーム30は、
図7に示すように、ハウジング10と一体成型され、
図5に示す弾性片22の端部22aを押圧する押圧部31と、ユーザによりロックアーム30を撓ませる操作部32と、
図3に示す被係合部53に係合する係合部33と、を有する。ロックアーム30の一端部30aは、ハウジング10に接続される。押圧部31は、ロックアーム30の自由端部である他端部30bに形成される。係合部33は、操作部32と押圧部31との間に設けられ、
図3に示す相手側コネクタ200に接続される途中で、被係合部53に当接する傾斜部33aを有する。この構造により、コネクタ100が相手側コネクタ200に押し込まれると、ロックアーム30は、
図3に示す相手側コネクタ200の被係合部53に係合部33が押されて撓み、ロックアーム30の押圧部31は、
図6に示す弾性片22における第1の接点部24Aと第2の接点部24Bとの間の位置に配置された被押圧部25を押圧する。これにより、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bから離れる方向に変位する。また、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続されると、ロックアーム30の撓みが戻り、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bに接触する。第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bが、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bに接触すると、第1の被検出端子51Aと第2の被検出端子51Bとが電気的に接続され、コネクタ100と相手側コネクタ200との嵌合状態を電気的に検出することができる。
【0025】
相手側コネクタ200は、
図3に示すように、コネクタ100を収容する収容室61が形成されたハウジング60と、収容室61内に配置された被検出端子51および相手側端子52と、係合部33に係合する被係合部53と、を備える。被検出端子51は、検出端子20と接触するものである。相手側端子52は、端子12と接続されるオス端子である。
【0026】
つぎに、コネクタ100を相手側コネクタ200に接続する方法について図面を参照しながら説明する。
【0027】
まず、ユーザが、
図8に示すように、コネクタ100を相手側コネクタ200の収容室61に挿入する。このとき、係合部33に設けられた傾斜部33aが、被係合部53に当接する。なお、この状態では、ロックアーム30は撓んでいない。この状態では、
図6に示す第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと、x軸方向に離れているため非接触状態である。このため、第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bとは、電気的に接続されず、嵌合していないことが検出される。
【0028】
つぎに、ユーザが、
図9に示すように、コネクタ100を相手側コネクタ200の収容室61にさらに挿入すると、ロックアーム30は、係合部33に設けられた傾斜部33aが被係合部53により-z軸方向に押されて撓む。これにより、ロックアーム30の押圧部31は、
図6に示す弾性片22における第1の接点部24Aと第2の接点部24Bとの間の位置に配置された被押圧部25を押圧する。これにより、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bから離れる方向に変位する。この状態では、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと非接触状態になる。これにより、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続される途中では、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと接触せず、電気CPAの誤動作を防止できる。
【0029】
つぎに、ユーザが、
図10に示すように、コネクタ100を相手側コネクタ200の収容室61にさらに挿入すると、係合部33が被係合部53を乗り越え、ロックアーム30の撓みが戻り、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続される。このとき、
図6に示す第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bに接触する。第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bが、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bに接触すると、第1の被検出端子51Aと第2の被検出端子51Bとが電気的に接続され、コネクタ100と相手側コネクタ200との嵌合状態を電気的に検出することができる。また、係合部33が被係合部53に係合することにより、コネクタ100が相手側コネクタ200から抜けなくなる。
【0030】
また、ユーザは、コネクタ100を相手側コネクタ200から取り外す場合、
図11に示す操作部32を押すことで、コネクタ100を相手側コネクタ200から取り外すことができる。操作部32が押されると、
図9に示すように、係合部33が被係合部53から外れ、押圧部31は、
図5に示す弾性片22における第1の接点部24Aと第2の接点部24Bとの間の位置に配置された被押圧部25を押圧する。これにより、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bから離れる方向に変位する。この状態では、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと非接触状態になる。これにより、コネクタ100を相手側コネクタ200から外す途中でも、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと接触せず、電気CPAの誤動作を防止できる。
【0031】
上記構成を有するコネクタ100によれば、コネクタ100が相手側コネクタ200に押し込まれると、ロックアーム30が撓み、ロックアーム30に設けられた押圧部31は弾性片22における被押圧部25を押圧する。これにより、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bから離れる方向に変位し、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと非接触状態になる。従って、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続されていない状態では、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと接触せず、電気CPAの誤動作を防止できる。
【0032】
また、コネクタ100を相手側コネクタ200から外す途中でも、操作部32が押されると、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bから離れる方向に変位する。このため、コネクタ100を相手側コネクタ200から外す途中でも、第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、それぞれ第1の被検出端子51Aおよび第2の被検出端子51Bと非接触状態になり、電気CPAの誤動作を防止できる。
【0033】
また、接点部24は、弾性片22の端部22aに形成されるため、弾性片22が撓んだとき、接点部24の変位量を確保でき、電気CPAの誤動作を防止できる。さらに、押圧部31は弾性片22の端部22aを押圧するため、弾性片22が撓んだときにおける接点部24の変位量を確保できる。これにより、電気CPAの誤動作を防止できる。また、押圧部31はロックアーム30の他端部30bに形成されるため、押圧部31がロックアーム30の中間位置に形成された場合と比較して、ロックアーム30が撓んだ際における押圧部31の変位量を大きくすることができる。これにより、接点部24の変位量が大きくなり、電気CPAの誤動作を防止できる。また、ロックアーム30が撓むと、押圧部31は、弾性片22における第1の接点部24Aと第2の接点部24Bとの間の位置に配置される被押圧部25を押圧するため、第1の接点部24Aの変位量および第2の接点部24Bの変位量を、押圧部31の変位量と同じにできる。これにより、電気CPAの誤動作を防止できる。
【0034】
(変形例)
上述の実施の形態においては、検出端子20が1つの弾性片22と、1つの折り返し部23と、第1の接点部24Aと、第2の接点部24Bと、を有する例について説明したが、これらに限定されない。第1の接点部24Aおよび第2の接点部24Bは、いずれか片方がロックアーム30の押圧部31に押されて、第1の被検出端子51Aまたは第2の被検出端子51Bと非接触状態になればよい。例えば、
図12に示すように、接点部24は、第1の弾性片26に設けられた第1の接点部24Aと、第2の弾性片27に設けられた第2の接点部24Bと、を有してもよい。第1の弾性片26は、第1の折り返し部23Aにより基部21に接続される。第2の弾性片27は、第2の折り返し部23Bにより基部21に接続される。第1の接点部24Aは、第1の被検出端子51Aと接触する。第2の接点部24Bは、第2の被検出端子51Bと接触する。また、
図4に示すロックアーム30の押圧部31は、第2の接点部24Bに接続された被押圧部25を押圧する。この構成であっても、第2の接点部24Bは、第2の被検出端子51Bから離れる方向に変位し、第2の接点部24Bは、第2の被検出端子51Bと非接触状態になり、電気CPAの誤動作を防止できる。具体的には、第1の接点部24Aがロックアーム30の押圧部31に押される構成であれば、第1の接点部24Aは、第1の被検出端子51Aと非接触状態になる。一方、第2の接点部24Bがロックアーム30の押圧部31に押される構成であれば、第2の接点部24Bは、第2の被検出端子51Bと非接触状態になる。また、この構成では、ロックアーム30の押圧部31は、第2の弾性片27のみを押すため、上述の実施の形態と比較して弱い力でロックアーム30を操作することができる。
【0035】
上述の実施の形態において、ロックアーム30がユーザによりロックアーム30を撓ませる操作部32を有する例について説明した。しかしながら、これらに限定されない。ロックアーム30は、操作部32を備えなくてもよい。この場合、コネクタ100を相手側コネクタ200から取り外す際に、治具などを用いてロックアーム30を撓ませてもよい。
【0036】
上述の実施の形態において、ロックアーム30が被係合部53と係合する係合部33を有する例について説明したが、これらに限定されず、コネクタ100が相手側コネクタ200に押し込まれると、ロックアーム30が撓む構成を有すればよい。また、ロックアーム30は係合部33に代えて凸部を有してもよい。これにより、コネクタ100が相手側コネクタ200に押し込まれると、ロックアーム30が撓み、ロックアーム30の押圧部31が弾性片22の被押圧部25を押圧することができる。
【0037】
上述の実施の形態において、接点部24が、第1の被検出端子51Aと接触する第1の接点部24Aと、第2の被検出端子51Bと接触する第2の接点部24Bと、を有する例について説明した。しかしながら、これらに限定されない。コネクタ100は相手側コネクタ200に接続されたか否かを電気的に検出することが可能であればよい。検出端子20は、1つの接点部24を有し、1つの被検出端子51と電気的に接続されたか否かにより、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続されたか否かを電気的に検出してもよい。例えば、被検出端子51と検出端子20とをそれぞれ電気的に接地し、被検出端子51から検出端子20に電流が流れるか否かにより、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続されたか否かを電気的に検出してもよい。また、被検出端子51に基準電圧を印加し、検出端子20で基準電圧が検出されたか否かにより、コネクタ100が相手側コネクタ200に接続されたか否かを電気的に検出してもよい。
【0038】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、電気回路の部品として用いられるコネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10、60…ハウジング、11…検出端子収容室、11a…開口、11b…係止部、12…端子、12a…本体部、12b…ランス係止部、12c…固定部、12d…結束部、12e…弾性接触部、13…端子収容室、13a…開口、14…ランス、15…サイドリテーナ、15a…端子係止部、20…検出端子、21…基部、21a…係止部、22…弾性片、22a…端部、22b…自由端、23…折り返し部、23A…折り返し部、23B…折り返し部、24…接点部、24A…第1の接点部、24B…第2の接点部、25…被押圧部、26…第1の弾性片、27…第2の弾性片、30…ロックアーム、30a…一端部、30b…他端部、31…押圧部、32…操作部、33…係合部、33a…傾斜部、40…導線、41…絶縁部、42…導体部、51…被検出端子、51A…第1の被検出端子、51B…第2の被検出端子、52…相手側端子、53…被係合部、61…収容室、100…コネクタ、200…相手側コネクタ、L1~L3…長さ