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特開2024-116594走行距離算出装置、走行距離算出方法、およびコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116594
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】走行距離算出装置、走行距離算出方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240821BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240821BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240821BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240821BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240821BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240821BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
G06Q10/00
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022288
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123021
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 元幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126538
【弁理士】
【氏名又は名称】嶺 直道
(72)【発明者】
【氏名】中村 豪仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 正幸
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138BA12
3E138CB05
3E138MB02
3E138MB11
3E138MB12
3E138MC12
3E138MD05
3E138MF03
3E138MF08
5H181AA01
5H181AA15
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MC27
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】車両の走行距離を正確に算出することができる走行距離算出装置を提供する。
【解決手段】走行距離算出装置は、車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信する走行データ受信部と、前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類する走行データ分類部と、前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出する走行距離算出部とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信する走行データ受信部と、
前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類する走行データ分類部と、
前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出する走行距離算出部とを備える、走行距離算出装置。
【請求項2】
前記走行データ分類部は、前記車両の位置が変化しており、かつ、前記車両の速度が0であることを示す前記走行データを第1クラスに分類し、
前記走行距離算出部は、前記第1クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データと他の走行データとの間の位置変化量を、前記車両の走行距離として算出する、請求項1に記載の走行距離算出装置。
【請求項3】
前記走行距離算出部は、前記第1クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データに含まれる前記車両の位置の決定に用いられた電波の送信元である航法衛星の数が所定数以上の前記走行データについて、前記車両の走行距離を算出する、請求項2に記載の走行距離算出装置。
【請求項4】
前記走行データ分類部は、前記車両の位置が変化しておらず、かつ、前記車両の速度が0よりも大きいことを示す前記走行データを第2クラスに分類し、
前記走行距離算出部は、前記第2クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データが示す前記速度と、当該走行データと他の走行データとの間の時刻差とに基づいて、前記車両の走行距離を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行距離算出装置。
【請求項5】
前記走行データ分類部は、前記車両の位置が変化しており、かつ、前記車両の速度が0よりも大きいことを示す前記走行データを第3クラスに分類し、
前記走行距離算出部は、前記第3クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データに含まれる前記車両の位置の決定に用いられた電波の送信元である航法衛星の数が所定数以上の前記走行データについて、当該走行データが示す前記速度と、当該走行データと他の走行データとの間の時刻差とに基づいて、前記車両の走行距離を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行距離算出装置。
【請求項6】
複数の前記走行データから算出される前記車両の停止時間に基づいて、複数の前記走行データから複数の時系列データを生成する時系列データ生成部と、
前記時系列データごとに、前記走行距離算出部が算出した前記車両の走行距離を累積した累積走行距離を算出する累積走行距離算出部とをさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行距離算出装置。
【請求項7】
前記走行距離算出部が算出した前記車両の走行距離を所定時間ごとに累積した累積走行距離、および、前記走行距離算出部が算出した前記車両の走行距離を所定時刻から累積した累積走行距離の少なくとも一方を算出する累積走行距離算出部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行距離算出装置。
【請求項8】
車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信するステップと、
前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類するステップと、
前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出するステップとを含む、走行距離算出方法。
【請求項9】
コンピュータを、
車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信する走行データ受信部、
前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類する走行データ分類部、および、
前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出する走行距離算出部として機能させるための、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行距離算出装置、走行距離算出方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆるモノがネットワークに繋がるIoT(Internet of Things)技術が発展しつつある。このような中、自動車に代表される車両をネットワークに接続し、車両の運行位置や状態の確認処理等を実行する車両の動態管理サービスが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
動態管理サービスでは、車両に設置された車載装置から車両の位置、速度および時刻等を含む走行データがサーバに送信され、サーバにおいて走行データに基づく車両の動態管理を行っている。ここで、動態管理サービスで用いられる車載装置は、動態管理サービスを行う事業者等から車両のユーザに提供される。
【0004】
車載装置には、例えば、車両のシガーソケットに接続して利用するタイプ(以下、「シガータイプ」という)のものと、車両のDLC(Data Link Connector)に接続して利用するタイプ(以下、「DLCタイプ」という)のものとが混在する。
【0005】
シガータイプの車載装置は、航法衛星であるGPS(Global Positioning System)衛星より受信した電波に基づいて車両の位置および速度を算出する。一方、DLCタイプの車載装置は、GPS衛星より受信した電波に基づいて車両の位置を算出し、車両の車載ネットワークに接続された速度計測ECU(Electronic Control Unit)から車両の速度情報を取得する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“選ばれ続ける動態管理サービス「docoですcar NEXT」”,[online],[2022年7月14日検索],インターネット<URL:https://www.ntt.com/business/services/docodesucar/move.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、車載装置のタイプによって、走行データの取得方法は様々である。
【0008】
また、車両の走行状況または状態によっては、一部の情報が不正確な走行データがサーバに送信される場合がある。
【0009】
例えば、DLCタイプの車載装置に接続された速度計測ECUが計測エラーを起こしたり、車載装置と車載ネットワークとの接続不良が生じた場合には、車両の位置は変化しているが車両の速度が0または空値(NULL)の走行データが、車載装置からサーバに送信される場合がある。
【0010】
また、車両がトンネルを通過中の場合には、シガータイプの車載装置はGPS衛星からの電波を受信することができないため、車両の位置および速度を算出することができない。このため、トンネル通過中は、車両の位置として最後に算出された車両の位置を含み、かつ、車両の速度としてNULLを含む走行データが、繰り返しサーバに送信される場合がある。一方、DLCタイプの車載装置は車両の位置を算出することができないものの、車両の速度は速度計測ECUより取得することができる。このため、トンネル通過中は、車両の位置が最後に算出された車両の位置から更新されないものの、車両の速度が正確な走行データがサーバに送信される場合がある。
【0011】
動態管理サービスとセットで車載装置が車両のユーザに提供される場合には、サーバは、車載装置のIDなどから、サーバに接続されている車載装置のタイプを把握することができる。このため、一部の情報が不正確な走行データがサーバに送信される場合であっても、サーバはその理由を推測することができる。このため、サーバは、車載装置のタイプに応じた処理を行うことにより車両の動態管理を行うことができる。
【0012】
しかしながら、サーバがAPI(Application Program Interface)を提供する場合には、様々なタイプの車載装置がサーバとAPI連携される可能性がある。このような車載装置は、動態管理サービスとは独立してユーザが入手可能である。このため、サーバは、走行データを送信する車載装置のタイプを把握することができない。したがって、一部の情報が不正確な走行データがサーバに送信された場合に、サーバは、当該走行データに基づいて車両の走行距離を算出することができないという課題がある。
【0013】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、一部の情報が不正確な走行データを受信した場合であっても、車両の走行距離を正確に算出することができる走行距離算出装置、走行距離算出方法、およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一態様に係る走行距離算出装置は、車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信する走行データ受信部と、前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類する走行データ分類部と、前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出する走行距離算出部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示によると、一部の情報が不正確な走行データを受信した場合であっても、車両の走行距離を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る走行管理システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態1に係るシガータイプの車載装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、走行データの一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態1に係るDLCタイプの車載装置のハードウェア構成を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態1に係る走行管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、本開示の実施形態1に係る走行管理装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図7図7は、NULLを含む走行データの一例を示す図である。
図8図8は、トリップデータに含まれる第1クラスの走行データの一例を示す図である。
図9図9は、トリップデータに含まれる第2クラスの走行データの一例を示す図である。
図10図10は、トリップデータに含まれる第3クラスの走行データの一例を示す図である。
図11図11は、トリップデータに含まれる第4クラスの走行データの一例を示す図である。
図12図12は、帳票データ作成部が作成した帳票データに含まれるグラフの一例を示す図である。
図13図13は、走行管理装置による動態管理データの作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、走行管理装置による帳票データの表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、トリップデータ生成処理(図14のステップS12)の詳細の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、トリップデータ生成部による動態管理データのトリップデータへの分割を模式的に示した図である。
図17図17は、トリップデータ生成部による動態管理データのトリップデータへの分割を模式的に示した図である。
図18図18は、走行データごとの走行距離算出処理(図14のステップS13)の詳細の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、本開示の実施形態2に係る走行管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図20図20は、本開示の実施形態2に係る走行管理装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図21図21は、走行管理装置による累積走行距離の表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、走行管理装置による累積走行距離の表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図23図23は、走行管理装置による累積走行距離の表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本開示の実施形態の概要]
最初に本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態に係る走行距離算出装置は、車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信する走行データ受信部と、前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類する走行データ分類部と、前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出する走行距離算出部とを備える。
【0018】
この構成によると、車載装置から一部の情報が不正確な走行データを受信した場合であっても、車両の位置の変化および車両の速度に基づいて走行データをクラスに分類し、クラスに適した走行距離算出手法を用いて車両の走行距離を算出することができる。このため、車両の走行速度を正確に算出することができる。
【0019】
(2)上記(1)において、前記走行データ分類部は、前記車両の位置が変化しており、かつ、前記車両の速度が0であることを示す前記走行データを第1クラスに分類し、前記走行距離算出部は、前記第1クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データと他の走行データとの間の位置変化量を、前記車両の走行距離として算出してもよい。
【0020】
このような走行データを受信した場合には、例えば、車載装置が速度計測ECU等の車両側から速度の情報を取得することができず、車両の速度が不正確であると考えられる。このため、車両の速度を用いずに、位置変化量を車両の走行距離として算出することにより、車両の走行速度を正確に算出することができる。
【0021】
(3)上記(2)において、前記走行距離算出部は、前記第1クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データに含まれる前記車両の位置の決定に用いられた電波の送信元である航法衛星の数が所定数以上の前記走行データについて、前記車両の走行距離を算出してもよい。
【0022】
所定数以上の航法衛星の電波から決定された車両の位置は信頼性が高いと考えられる。このため、信頼性の高い位置を含む走行データを用いることにより、車両の走行速度を正確に算出することができる。
【0023】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記走行データ分類部は、前記車両の位置が変化しておらず、かつ、前記車両の速度が0よりも大きいことを示す前記走行データを第2クラスに分類し、前記走行距離算出部は、前記第2クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データが示す前記速度と、当該走行データと他の走行データとの間の時刻差とに基づいて、前記車両の走行距離を算出してもよい。
【0024】
このような走行データを受信した場合には、例えば、車載装置が速度計測ECU等の車両側から速度の情報を取得しているものの、車両がトンネル内等を通過しているために航法衛星から電波を受信できずに車両の位置を算出することができない状況であると考えられる。つまり、車両の位置が不正確であると考えられる。このため、車両の位置を用いずに、車両の速度と時刻差を用いることにより、車両の走行速度を正確に算出することができる。
【0025】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記走行データ分類部は、前記車両の位置が変化しており、かつ、前記車両の速度が0よりも大きいことを示す前記走行データを第3クラスに分類し、前記走行距離算出部は、前記第3クラスに属する前記走行データごとに、当該走行データに含まれる前記車両の位置の決定に用いられた電波の送信元である航法衛星の数が所定数以上の前記走行データについて、当該走行データが示す前記速度と、当該走行データと他の走行データとの間の時刻差とに基づいて、前記車両の走行距離を算出してもよい。
【0026】
所定数以上の航法衛星の電波から決定された車両の位置は信頼性が高いと考えられる。このため、信頼性の高い位置を含む走行データを用いることにより、車両の走行速度を正確に算出することができる。
【0027】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記走行距離算出装置は、複数の前記走行データから算出される前記車両の停止時間に基づいて、複数の前記走行データから複数の時系列データを生成する時系列データ生成部と、前記時系列データごとに、前記走行距離算出部が算出した前記車両の走行距離を累積した累積走行距離を算出する累積走行距離算出部とをさらに備えてもよい。
【0028】
この構成によると、例えば、車両が停止して作業を行う第1配送地点から、次に車両が停止して作業を行う第2配送地点に向かう経路を車両が走行する場合の走行データを、1つの時系列データとして生成することができる。また、時系列データごとに、累積走行距離を正確に算出することができる。
【0029】
(7)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記走行距離算出装置は、前記走行距離算出部が算出した前記車両の走行距離を所定時間ごとに累積した累積走行距離、および、前記走行距離算出部が算出した前記車両の走行距離を所定時刻から累積した累積走行距離の少なくとも一方を算出する累積走行距離算出部をさらに備えてもよい。
【0030】
この構成によると、例えば、所定時間ごとの車両の累積走行距離、または、所定時刻からの車両の累積走行距離を正確に算出することができる。
【0031】
(8)本開示の他の実施形態に係る走行距離算出方法は、車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信するステップと、前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類するステップと、前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出するステップとを含む。
【0032】
この構成は、上述の走行距離算出装置における特徴的な処理をステップとして含む。このため、上述の走行距離算出装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0033】
(9)本開示の他の実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、車両に搭載された車載装置から、各々が前記車両の位置、速度および時刻を含む複数の走行データを受信する走行データ受信部、前記複数の走行データが示す前記車両の位置の変化および前記車両の速度に基づいて、各前記走行データを複数のクラスのいずれかに分類する走行データ分類部、および、前記クラスごとに、当該クラスに対応した走行距離算出手法を用いて、当該クラスに属する前記走行データから前記車両の走行距離を算出する走行距離算出部として機能させる。
【0034】
この構成によると、コンピュータを、上述の走行距離算出装置として機能させることができる。このため、上述の走行距離算出装置と同様の作用および効果を奏することができる。
【0035】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0036】
また、同一の構成要素には同一の符号を付す。それらの機能および名称も同様であるため、それらの説明は適宜省略する。
【0037】
<実施形態1>
〔走行管理システムの全体構成〕
図1は、本開示の実施形態1に係る走行管理システムの全体構成を示す図である。
【0038】
走行管理システム1は、車両2A,2Bの走行を管理するためのシステムであり、車両2Aに搭載された車載装置3Aと、車両2Bに搭載された車載装置3Bと、走行管理装置4とを備える。車載装置3A,3Bと走行管理装置4とは、公衆通信回線またはインターネット等のネットワーク5を介して通信可能に接続される。
【0039】
車両2A,2Bは、例えば、荷物の配送用途に用いられるトラックまたはバンなどの配送車両である。ただし、車両2A,2Bは、配送車両に限定されるものではない。
【0040】
以下では、車両2A,2Bを区別しない場合には車両2と呼び、車載装置3A,3Bを区別しない場合には車載装置3と呼ぶこととする。
【0041】
車両2は、BEV(Battery Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)またはFCV(Fuel Cell Vehicle)などの電動車であってもよしい、ガソリン車(コンベンショナル車)であってもよい。
【0042】
車載装置3は、車両2の位置、時刻および速度などの車両の移動または停止に関する情報である走行データを生成し、生成した走行データを、ネットワーク5を介して走行管理装置4に送信する。
【0043】
走行管理装置4は、車載装置3から走行データを受信し、受信した走行データに基づいて、車両2ごとに、車両2の動態を集計した帳票データを作成する。
【0044】
〔車載装置3の構成〕
図2は、本開示の実施形態1に係るシガータイプの車載装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0045】
車載装置3は、通信部310と、GPS受信機320と、I/F(インタフェース)部330と、プロセッサ340と、記憶装置350とを備える。
【0046】
通信部310は、ネットワーク5に無線接続され、ネットワーク5を介して走行管理装置4との間でデータの送受信を行う。
【0047】
GPS受信機320は、各々が航法衛星である複数のGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、車両2の位置を特定する。車両2の位置は、例えば、緯度、経度および高度(または標高)により特定される。ただし、GPS受信機320は、準天頂衛星から送信されるGPS補完信号またはGPS補強信号を合わせて用いることで、GPS信号を補完したり、車両2の位置を補正してもよい。なお、走行管理装置4は、GPS以外の衛星測位システムを用いて、車両2の位置を特定してもよい。
【0048】
また、GPS受信機320は、車両2の位置とともに当該位置を観測した時刻を出力する。また、GPS受信機320は、車両2の位置および時刻に基づき算出される車両2の速度を出力する。ただし、車両2の速度は、後述するプロセッサ340が、車両2の位置および速度から算出してもよい。
【0049】
I/F部330は、車載装置3を車両2のシガーソケットに接続するためのインタフェースである。I/F部330は、シガーソケットから供給される電力を、通信部310、GPS受信機320、プロセッサ340および記憶装置350に供給し、車載装置3を動作させる。
【0050】
記憶装置350は、SRAM(Static RAM(Random Access Memory))もしくはDRAM(Dynamic RAM)などの揮発性のメモリ素子、フラッシュメモリもしくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性のメモリ素子、または、ハードディスクなどの磁気記憶装置などにより構成される。
【0051】
記憶装置350は、プロセッサ340で実行されるコンピュータプログラムを記憶する。また、記憶装置350は、コンピュータプログラムの実行時に利用されるデータ、およびコンピュータプログラムの実行時に生成されるデータを記憶する。
【0052】
また、記憶装置350は、車載装置3の識別子である車載装置IDを記憶している。
【0053】
プロセッサ340は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などにより構成される。
【0054】
プロセッサ340は、GPS受信機320から車両2の時刻、位置および速度の情報を所定時間ごと(例えば、3秒ごと)に取得し、記憶装置350から車載装置IDを読み出す。プロセッサ340は、車載装置IDと、車両2の時刻、位置および速度とを含む走行データを生成する。プロセッサ340は、生成した走行データを、通信部310を介して走行管理装置4に送信する。
【0055】
図3は、走行データの一例を示す図である。走行データは、車載装置IDと、車両2の時刻、位置(緯度、経度、および高度)ならびに速度とを含む。例えば、車載装置IDがD1の車載装置3が時刻t1に観測した車両2の緯度、経度および高度は、それぞれ、la1、lo1およびal1であり、時刻t1における車両2の速度は70km/hである。
【0056】
なお、プロセッサ340は、走行データを生成するたびに走行管理装置4に送信してもよいし、複数の走行データをまとめて走行管理装置4に送信してもよい。
【0057】
なお、車載装置3は、DLCタイプであってもよい。
図4は、本開示の実施形態1に係るDLCタイプの車載装置3のハードウェア構成を示す図である。
【0058】
車載装置3は、通信部310と、GPS受信機320と、I/F部330と、プロセッサ340と、記憶装置350と、電源360とを備える。
【0059】
通信部310、GPS受信機320および記憶装置350は、図2に示したものと同様である。ただし、GPS受信機320は、車両2の位置および時刻を出力し、車両2の速度を出力しない。
【0060】
I/F部330は、車載装置3を車両2のDLCに接続するためのインタフェースである。I/F部330は、DLCを介して車両2の車載ネットワークに接続された速度計測ECUから車両2の速度情報を取得する。車載ネットワークは、例えば、CAN(Controller Area Network)である。
【0061】
プロセッサ340は、所定時間ごと(例えば、3秒ごと)に、GPS受信機320から車両2の時刻および位置の情報を取得するとともに、I/F部330を介して速度計測ECUから車両2の速度情報を取得する。また、プロセッサ340は、記憶装置350から車載装置IDを読み出す。
【0062】
プロセッサ340は、車載装置IDと、取得した車両2の時刻、位置および速度とを含む走行データを生成する。プロセッサ340は、生成した走行データを、通信部310を介して走行管理装置4に送信する。なお、プロセッサ340は、走行データを生成するたびに走行管理装置4に送信してもよいし、複数の走行データをまとめて走行管理装置4に送信してもよい。
【0063】
電源360は、電力を、通信部310、GPS受信機320、プロセッサ340および記憶装置350に供給し、車載装置3を動作させる。
【0064】
なお、DLCから電力が供給される場合には、I/F部330が、当該電力を通信部310、GPS受信機320、プロセッサ340および記憶装置350に供給し、車載装置3を動作させてもよい。この場合には、電源360は備えられていなくてもよい。
【0065】
〔走行管理装置4の構成〕
図5は、本開示の実施形態1に係る走行管理装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0066】
走行管理装置4は、通信部410と、プロセッサ420と、表示部430と、記憶装置440とを備える。通信部410、プロセッサ420、表示部430、および記憶装置440は、バス450を介して相互に接続される。
【0067】
通信部410は、ネットワーク5に有線または無線により接続され、ネットワーク5を介して車載装置3などの他装置との間でデータの送受信を行う。
【0068】
プロセッサ420は、CPUまたはGPUなどにより構成され、記憶装置440に記憶されているコンピュータプログラム441を実行する。
【0069】
表示部430は、液晶ディスプレイまたは有機EL(electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置である。
【0070】
記憶装置440は、SRAMまたはDRAMなどの揮発性のメモリ素子、フラッシュメモリもしくはEEPROMなどの不揮発性のメモリ素子、または、ハードディスクなどの磁気記憶装置などにより構成される。
【0071】
記憶装置440は、プロセッサ420で実行されるコンピュータプログラム441を記憶する。また、記憶装置440は、コンピュータプログラム441の実行時に生成または利用されるデータを記憶する。当該データは、後述する動態管理データ442、トリップデータ443および帳票データ444を含む。
【0072】
図6は、本開示の実施形態1に係る走行管理装置4の機能的な構成を示すブロック図である。
【0073】
走行管理装置4は、走行データ受信部421と、トリップデータ生成部422と、走行データ分類部423と、走行距離算出部424と、累積走行距離算出部425と、帳票データ作成部426と、表示制御部427とを備える。これらの処理部は、記憶装置440に記憶されているコンピュータプログラム441をプロセッサ420が実行することにより機能的に実現される。
【0074】
走行データ受信部421は、車載装置3から走行データを受信する。なお、走行データ受信部421は、APIを提供し、様々なタイプ(例えば、シガータイプまたはDLCタイプ)や、様々なメーカまたは様々な機種の車載装置3が走行管理装置4とAPI連携される。
【0075】
走行データ受信部421は、受信した走行データのうち、位置または速度に値が不定であることを示すNULLが含まれている走行データを削除する。
【0076】
図7は、NULLを含む走行データの一例を示す図である。図7に示す走行データは、車載装置ID「D1」、時刻「t1」、緯度「la1」、経度「lo1」、高度「al1」および速度「NULL」を含む。例えば、車載装置3がシガーソケットタイプであり、車両2がトンネル内を走行している場合などには、GPS受信機320は、GPS衛星からGPS信号を受信できないため、位置を特定することができない。このため、GPS受信機320は、緯度、経度および高度の情報として、直近に特定した緯度、経度および高度を出力する。また、GPS受信機320は、位置を特定できない場合には、位置変化から速度を算出することができないため、速度としてNULLを出力する。ただし、速度が不定となるのは、GPS信号を受信できない場合に限定されるものではない。
【0077】
その後、走行データ受信部421は、走行データを、走行データに含まれる時刻順に整列したデータである動態管理データ442を生成する。走行データ受信部421は、生成した動態管理データ442を記憶装置440に書き込む。
【0078】
トリップデータ生成部422は、動態管理データ442により示される車両2の停止時間に基づいて、動態管理データ442を複数のトリップデータ443に分割することで、複数のトリップデータ443を生成する。各トリップデータ443は、車両2がある地点を出発してから次の地点に到着するまでの時系列の走行データを示している。トリップデータ生成部422によるトリップデータ443の生成処理については後述する。
【0079】
走行データ分類部423は、トリップデータ443ごとに、トリップデータ443に含まれる複数の走行データが示す車両2の位置の変化および車両2の速度に基づいて、各走行データを、後述する複数のクラスのいずれかに分類する。
【0080】
複数のクラスは、第1クラスから第4クラスを含む。
【0081】
≪第1クラスについて≫
第1クラスの走行データは、時間的に前の走行データ(ここでは、1つ前の時刻の走行データ)が示す車両2の位置に比べて車両2の位置が変化しており、かつ、車両2の速度が0であることを示す走行データを含む。
【0082】
図8は、トリップデータ443に含まれる第1クラスの走行データの一例を示す図である。トリップデータ443は、時刻t1から時刻t7までの走行データを含んでおり、各時刻の緯度、経度および高度は、それぞれ変化している。しかし、車両2の速度は時刻t1から時刻t7までの間、0のままである。このため、時刻t1から時刻t7までの走行データは第1クラスに分類される。
【0083】
例えば、車載装置3がDLCタイプであり、速度計測ECUが作動していなかったり、I/F部330がDLCに接続されておらず、車載装置3が速度計測ECUから速度が取得できなかった場合などに速度が0となることがある。ただし、速度が0となる原因はこれに限定されるものではない。
【0084】
≪第2クラスについて≫
第2クラスの走行データは、時間的に前の走行データ(ここでは、1つ前の時刻の走行データ)が示す車両2の位置に比べて車両2の位置が変化しておらず、かつ、車両2の速度が0よりも大きいことを示す走行データを含む。
【0085】
図9は、トリップデータ443に含まれる第2クラスの走行データの一例を示す図である。トリップデータ443は、時刻t11から時刻t17までの走行データを含んでおり、各時刻の位置は変化しておらず、各時刻の速度は0よりも大きい。このため、時刻t11から時刻t17までの走行データは第2クラスに分類される。
【0086】
例えば、車載装置3がDLCタイプであり、速度計測ECUから速度情報を取得することができているものの、車両2がトンネル内を走行しているためにGPS受信機320が車両2の位置を特定できない場合などに第2クラスの走行データが発生する。GPS受信機320は、車両2の位置を特定できない場合には、直近に特定した車両2の緯度、経度および高度を出力する。このため、第2クラスの走行データでは、車両2の位置(緯度、経度および高度)が変化しない。ここでは、一例として、GPS受信機320は、時刻「t11」の1つ前の時刻「t10」に特定した車両2の緯度「la10」、経度「lo10」および高度「al10」を出力したものとする。
【0087】
なお、GPS受信機320が車両2の位置を特定できない場合には、GPS受信機320は、車両2の位置を特定しなかったことを示す情報をプロセッサ340に出力し、プロセッサ340が、GPS受信機320が直近に特定した車両2の緯度、経度および高度を出力するようにしてもよい。
【0088】
≪第3クラスについて≫
第3クラスの走行データは、時間的に前の走行データ(ここでは、1つ前の時刻の走行データ)が示す車両2の位置に比べて車両2の位置が変化しており、かつ、車両2の速度が0よりも大きいことを示す走行データを含む。
【0089】
図10は、トリップデータ443に含まれる第3クラスの走行データの一例を示す図である。トリップデータ443は、時刻t21からt27までの走行データを含んでおり、各時刻の緯度、経度および高度が変化しており、かつ、各時刻の速度も変化している。このため、時刻t21から時刻t27までの走行データは第3クラスに分類される。
【0090】
第3クラスの走行データは、車両2が走行状態にあり、車載装置3が車両2の位置および速度を正常に取得することができている場合のデータである。
【0091】
≪第4クラスについて≫
第4クラスの走行データは、時間的に前の走行データ(ここでは、1つ前の時刻の走行データ)が示す車両2の位置に比べて車両2の位置が変化しておらず、かつ、車両2の速度が0であることを示す走行データを含む。
【0092】
図11は、トリップデータ443に含まれる第4クラスの走行データの一例を示す図である。トリップデータ443は、時刻t31から時刻t37までの走行データを含んでおり、各時刻の緯度、経度および高度は変化しておらず、かつ、各時刻の速度は0である。このため、時刻t31から時刻t37までの走行データは第4クラスに分類される。
【0093】
第4クラスの走行データは、車両2が停止状態あり、車載装置3が車両2の位置および速度を正常に取得することができている場合のデータである。
【0094】
走行距離算出部424は、走行データ分類部423での走行データの分類結果に基づいて、第1クラス、第2クラスまたは第3クラスに分類された走行データから車両2の走行距離を算出する。なお、第4クラスに分類された走行データは、停止中の車両2の走行データであり、走行距離は0である。このため、走行距離算出部424は、第4クラスに分類された走行データからは走行距離を算出しない。または、走行距離算出部424は、第4クラスに分離された走行データから走行距離を0と算出する。
【0095】
以下、第1クラスから第3クラスのいずれかのクラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離の算出方法について説明する。
【0096】
≪第1クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離算出方法について≫
上述したように、第1クラスに分類された走行データは、車両2の位置が変化しているものの、車両2の速度が0である。つまり、車両2の位置は正確ではあるが、車両2の速度は不正確であると考えられる。
【0097】
このため、走行距離算出部424は、車両2の位置の変化に基づいて、車両2の走行距離を算出する。つまり、走行距離算出部424は、第1クラスに属する走行データごとに、当該走行データと、当該走行データよりも過去の走行データ(ここでは、当該走行データに時間的に隣接する他の走行データ)との間の位置変化量を、車両2の走行距離として算出する。
【0098】
例えば、第1クラスに属する時刻tの走行データの緯度、経度および高度を、それぞれla(t)、lo(t)およびal(t)とする。走行距離算出部424は、時刻(t-1)の走行データおよび時刻tの走行データに基づいて、la(t-1)、lo(t-1)およびal(t-1)で特定される点(車両2の位置)と、la(t)、lo(t)およびal(t)で特定される点との間の直線距離を、時刻t-1から時刻tまでの間の車両2の走行距離として算出する。なお、走行距離算出部424は、車両2の緯度および経度のみを利用して、la(t-1)およびlo(t-1)で特定される点と、la(t)およびlo(t)で特定される点との間の直線距離を、時刻t-1から時刻tまでの間の車両2の走行距離として算出してもよい。2点間の直線距離は、距離の公式により算出することができる。
【0099】
図8を参照して、例えば、走行距離算出部424は、la1,lo1,al1で特定される時刻t1における車両2の位置と、la2,lo2,al2で特定される時刻t2における車両2の位置との間の直線距離を、時刻t1から時刻t2までの間の車両2の走行距離として算出する。
【0100】
なお、上述の例では、隣接する時刻間における車両2の走行距離を求めたが、走行距離を求める時間間隔は隣接する時刻間に限定されるものではない。例えば、走行距離算出部424は、時刻tの走行データおよび時刻(t-2)の走行データに基づいて、1つおきの時刻間(例えば、時刻tおよび時刻(t-2)の間)における車両2の走行距離を算出してもよい。後述する第2クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離の算出および第3クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離の算出においても同様である。
【0101】
なお、走行距離算出部424は、走行データに含まれる車両2の位置の決定に用いられた、車載装置3のGPS受信機320への電波の送信元であるGPS衛星の数が所定数(例えば、4)以上の場合に、当該走行データを用いて車両2の走行距離を算出するようにしてもよい。この場合、走行データに含まれる車両2の位置の決定に用いられた電波の送信元のGPS衛星の数が3以下の場合には、走行距離算出部424は、当該走行データを用いて車両2の走行距離を算出しない。なお、GPS衛星の数は、走行データに含まれていてもよいし、走行データとは独立に車載装置3が走行管理装置4に、電波の受信時刻情報とともに送信するようにしてもよい。
【0102】
≪第2クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離算出方法について≫
上述したように、第2クラスに分類された走行データは、車両2の位置が変化しておらず、かつ、車両2の速度が0よりも大きい。つまり、車両2の位置は不正確ではあるが、車両2の速度は正確であると考えられる。
【0103】
このため、走行距離算出部424は、車両2の速度に基づいて、車両2の走行距離を算出する。つまり、走行距離算出部424は、第2クラスに属する走行データごとに、当該走行データが示す速度と、当該走行データよりも過去の走行データ(ここでは、当該走行データに時間的に隣接する他の走行データ)との間での時刻差とに基づいて、車両2の走行距離を算出する。ここで、時刻tにおける車両2の速度をv(t)とする。走行距離算出部424は、例えば、時刻(t-1)から時刻tまでの間の時刻差(時間)に、v(t)を乗算することにより、時刻(t-1)から時刻tまでの間の車両2の走行距離を算出する。なお、走行距離算出部424は、時間および速度と走行距離との関係を示したテーブルデータを用いて、時刻(t-1)から時刻tまでの間の時刻差(時間)と速度v(t)とから、車両2の走行距離を導いてもよい。
【0104】
図9を参照して、例えば、走行距離算出部424は、時刻t11の1つ前の時刻t10から時刻t11までの時刻差(時間)に、時刻t11での車両2の速度(60km/h)を乗算することにより、時刻t10から時刻t11までの間の車両2の走行距離を算出する。
【0105】
≪第3クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離算出方法について≫
上述したように、第3クラスに分類された走行データは、車両2の位置が変化しており、かつ、車両2の速度が0よりも大きい。つまり、車両2の位置および車両2の速度の両方が正確であると考えられる。
【0106】
このため、走行距離算出部424は、車両2の速度に基づいて、車両2の走行距離を算出する。車両2の走行距離の算出方法は、第2クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離の算出方法と同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0107】
図10を参照して、例えば、走行距離算出部424は、時刻t21から時刻t22までの時刻差(時間)に、時刻t22での車両2の速度(62km/h)を乗算することにより、時刻t21から時刻t22までの間の車両2の走行距離を算出する。
【0108】
なお、走行距離算出部424は、車両2の位置に基づいて、車両2の走行距離を算出してもよい。車両2の位置に基づく走行距離の算出方法は、第1クラスに分類された走行データに基づく車両2の走行距離の算出方法と同様である。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0109】
なお、走行距離算出部424は、第1クラスに分類された走行データを用いて車両2の走行距離を算出する場合と同様に、GPS衛星の数に基づいて車両2の走行距離を算出するか否かを判断してもよい。
【0110】
累積走行距離算出部425は、走行距離算出部424が走行データごとに算出した車両2の走行距離に基づいて、トリップデータ443ごとに、車両2の累積走行距離を算出する。つまり、累積走行距離算出部425は、トリップデータ443ごとに、トリップデータ443の開始から終了までの車両2の走行距離を累積することにより、車両2がある地点を出発してから次の地点に到着するまでの累積走行距離を算出する。
【0111】
また、累積走行距離算出部425は、所定時間ごと(例えば、5分ごと)の車両2の累積走行距離を算出する。
【0112】
帳票データ作成部426は、累積走行距離算出部425が算出したトリップデータ443ごとまたは所定時間ごとの車両2の累積走行距離を用いて、車両2の走行を管理するための帳票データ444を作成する。例えば、帳票データ作成部426は、トリップデータ443ごとの累積走行距離を含む帳票データ444を作成する。また、帳票データ作成部426は、所定時刻(例えば、5:00)からの所定時間ごと(例えば、5分ごと)の車両2の累積走行距離と、所定時刻からの車両2の累積走行距離とを示すグラフを含む帳票データ444を作成する。帳票データ作成部426は、作成した帳票データ444を記憶装置440に書き込む。
【0113】
図12は、帳票データ作成部426が作成した帳票データ444に含まれるグラフの一例を示す図である。図12の横軸は時間を示し、右に行くほど時間が経過する。図12の左側の縦軸は5分ごとの累積走行距離を示し、上に行くほど値が大きくなる。図12の右側の縦軸は5:00からの累積走行距離を示し、上に行くほど値が大きくなる。図12における棒グラフが5分ごとの車両2の累積走行距離を示し、折れ線グラフが5:00からの車両2の累積走行距離を示す。
【0114】
表示制御部427は、記憶装置440から帳票データ444を読み出し、帳票データ444を表示部430に表示する。例えば、表示制御部427は、図12に示したようなグラフを含む帳票データ444を表示部430に表示する。
【0115】
〔動態管理データ作成処理〕
図13は、走行管理装置4による動態管理データ442の作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0116】
走行データ受信部421は、車載装置3から走行データを受信するまで待機する(ステップS1)。
【0117】
走行データ受信部421は、走行データを受信すると(ステップS1においてYES)、受信した走行データのうち、NULLが含まれている走行データを削除する(ステップS2)。
【0118】
走行データ受信部421は、走行データを、走行データに含まれる時刻順に整列することにより、時系列の動態管理データ442を生成する(ステップS3)。
【0119】
走行データ受信部421は、生成した動態管理データ442を、同一の車載装置3の走行データから既に生成済みの動態管理データ442に追加する形で記憶装置440に書き込む(ステップS4)。
【0120】
走行データ受信部421は、ステップS1からステップS4の処理を繰り返し実行する。
【0121】
〔帳票データ表示処理〕
図14は、走行管理装置4による帳票データ444の表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。図14に示す処理は、例えば、車両2の一日の走行が終了した後などの、累積走行距離の算出対象である動態管理データ442が生成された後に実行される。
【0122】
トリップデータ生成部422は、記憶装置440から動態管理データ442を読み出す(ステップS11)。
【0123】
トリップデータ生成部422は、読み出した動態管理データ442により示される車両2の停止時間に基づいて、動態管理データ442を複数のトリップデータ443に分割することで、複数のトリップデータ443を生成する(ステップS12)。
【0124】
図15は、トリップデータ生成処理(図14のステップS12)の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0125】
図15を参照して、トリップデータ生成部422は、動態管理データ442に基づいて、車両2の停止時間を算出する。つまり、トリップデータ生成部422は、動態管理データ442において速度が「0」の継続時間を停止時間として算出する(ステップS21)。例えば、時刻「ts1」から時刻「te1」までの間、速度が「0」の走行データが連続している場合には、トリップデータ生成部422は、速度が「0」の継続時間である(te1-ts1)を車両2の停止時間として算出する。トリップデータ生成部422は、速度が「0」の連続する走行データの組ごとに停止時間を算出する。
【0126】
なお、走行データに車両2が走行可能な状態か否かを示す走行可能状態情報が含まれている場合には、トリップデータ生成部422は、走行可能状態情報を用いて車両2の停止時間を算出してもよい。走行可能状態とは、車両2がすぐに始動する(走り出す)ことができる発進可能な状態を意味する。例えば、エンジン車の場合には、エンジンが稼働している状態が走行可能状態であり、エンジンが停止している状態は走行不可能状態である。電動車の場合には、パワースイッチがONとなり、駆動モータに電力が供給されている状態が走行可能状態であり、パワースイッチがOFFの状態は走行不可能状態である。ただし、走行可能状態の定義はこれに限定されるものではない。例えば、ACC(アクセサリー)電源またはIG(イグニッション)電源がONになった状態を走行可能状態としてもよい。この場合、トリップデータ生成部422は、走行可能状態情報が「OFF」の継続時間を停止時間として算出する。
【0127】
トリップデータ生成部422は、算出した停止時間のそれぞれについて、ステップS22,S23の処理を繰り返し実行する(ループB)。
【0128】
つまり、トリップデータ生成部422は、着目している停止時間(停止時間の時間長)があらかじめ定められた停止時間最大値以上であるかを判定する(ステップS22)。
【0129】
当該停止時間が停止時間最大値以上の場合には(ステップS22においてYES)、トリップデータ生成部422は、動態管理データ442を、当該停止時間の前後でトリップデータ443に分割する(ステップS23)。例えば、トリップデータ生成部422は、当該停止時間の間(上述の時刻ts1から時刻te1の間)の通過時刻を有する動態管理データ442の走行データを前のトリップデータ443に含め、当該停止時間の後の通過時刻を有する動態管理データ442の走行データを後のトリップデータ443に含めるように、動態管理データ442を分割する。これにより、車両2の出発地から到着地までの動態と、到着地における停止中の動態とが1つのトリップデータ443に含められる。
【0130】
ただし、トリップデータ443の作成方法はこれに限定されるものではない。例えば、トリップデータ生成部422は、動態管理データ442のうち、当該停止時間よりも前の通過時刻を有する走行データを前のトリップデータ443に含め、当該停止時間よりも後の通過時刻を有する走行データを後のトリップデータ443に含め、当該停止時間の間の通過時刻を有する走行データをトリップデータ443に含めないようにしてもよい。トリップデータ生成部422は、作成したトリップデータ443を記憶装置440に記憶させる。
【0131】
当該停止時間が停止時間最大値未満である場合には(ステップS22においてNO)、トリップデータ生成部422は、車両2の出発地から到着地への移動中の一時的な停車と判断し(ステップS22においてNO)、ステップS23の処理を実行しない。
【0132】
図16および図17は、トリップデータ生成部422による動態管理データ442のトリップデータ443への分割を模式的に示した図である。図16は、拠点→コンビニA→地点A→地点B→拠点の順に巡回する車両2の動態管理データ600を模式的に示す。ここで、車両2はコンビニAで2分間停止し、地点Aで30分間停止し、地点Bで15分間停止したことが動態管理データ442から分かったとする。また、停止時間最大値は3分であるとする。この場合、地点Aおよび地点Bにおいて車両2の停止時間が停止時間最大値以上となるため、地点Aおよび地点Bの各停止時間の前後で動態管理データ600が分割される。なお、コンビニAの停止時間は停止時間最大値未満であるため、コンビニAの停止時間の前後では動態管理データ600は分割されない。
【0133】
これにより、図17に示すような3つのトリップデータ601,602,603が作成される。つまり、トリップデータ601は、車両2が拠点を出発し、コンビニAを経由して地点Aに到着し、地点Aを出発するまでの動態を示す。トリップデータ602は、車両2が地点Aを出発し、地点Bに到着し、地点Bを出発するまでの動態を示す。トリップデータ603は、車両2が地点Bを出発し、拠点に到着し、拠点を出発するまで、または動態管理データ442が終了するまでの動態を示す。
【0134】
再び図14を参照して、走行管理装置4は、トリップデータ443の各々について、ステップS13の処理を繰り返し実行する(ループA)。
【0135】
つまり、走行管理装置4は、トリップデータ443に含まれる走行データごとに車両2の走行距離を算出する(ステップS13)。
【0136】
図18は、走行データごとの走行距離算出処理(図14のステップS13)の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0137】
走行管理装置4は、トリップデータ443に含まれる走行データごとに、ステップS31からステップS41の処理を繰り返し実行する(ループC)。
【0138】
つまり、走行データ分類部423は、着目している走行データに示される車両2の位置が、1つ前の時刻の走行データに示される車両2の位置から変化しているか否かを判定する(ステップS31)。
【0139】
車両2の位置が変化している場合には(ステップS31においてYES)、走行データ分類部423は、走行データに含まれる車両2の位置の決定に用いられた、車載装置3のGPS受信機320への電波の送信元であるGPS衛星の数が4以上かを判定する(ステップS32)。
【0140】
GPS衛星数が4以上であれば(ステップS32においてYES)、走行データ分類部423は、着目している走行データが示す車両2の速度が0よりも大きいか否かを判定する(ステップS33)。
【0141】
速度が0よりも大きい場合には(ステップS33において‘>0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第3クラスに分類する(ステップS34)。また、走行データ分類部423は、当該走行データが示す速度に、当該走行データと当該走行データの1つ前の時刻の走行データとの間の時刻差を乗算することにより、車両2の走行距離を算出する(ステップS35)。
【0142】
速度が0の場合には(ステップS33において‘=0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第1クラスに分類する(ステップS36)。また、走行データ分類部423は、当該走行データと、当該走行データの1つ前の時刻の走行データとの間の位置変化量を、車両2の走行距離として算出する(ステップS37)。
【0143】
車両2の位置が変化していない場合には(ステップS31においてNO)、走行データ分類部423は、着目している走行データが示す車両2の速度が0よりも大きいか否かを判定する(ステップS38)。
【0144】
速度が0よりも大きい場合には(ステップS38において‘>0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第2クラスに分類する(ステップS39)。また、走行データ分類部423は、当該走行データが示す速度に、当該走行データと当該走行データの1つ前の時刻の走行データとの間の時刻差を乗算することにより、車両2の走行距離を算出する(ステップS40)。
【0145】
速度が0の場合には(ステップS38において‘=0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第4クラスに分類し(ステップS41)、当該走行データについて車両2の走行距離を算出しない。
【0146】
再び図14を参照して、累積走行距離算出部425は、5:00を距離の算出開始時刻として、5:00から各時刻までの車両2の累積走行距離を算出する(ステップS14)。また、累積走行距離算出部425は、5:00を距離の算出開始時刻として車両2の5分ごとの累積走行距離を算出する(ステップS15)。
【0147】
帳票データ作成部426は、ステップS14,S15で算出した累積走行距離に基づいて、図12に示したようなグラフを含む帳票データ444を作成する(ステップS16)。帳票データ作成部426は、作成した帳票データ444を記憶装置440に書き込む。
【0148】
表示制御部427は、記憶装置440から帳票データ444を読み出し、表示部430に表示する(ステップS17)。
【0149】
以上説明したように、本開示の実施形態1によると、車載装置3から一部の情報が不正確な走行データを受信した場合であっても、車両2の位置の変化および車両2の速度に基づいて走行データをクラスに分類し、クラスに適した走行距離算出手法を用いて車両2の走行距離を算出することができる。このため、車両2の走行速度を正確に算出することができる。
【0150】
走行管理装置4が第1クラスに属する走行データを受信した場合には、例えば、車載装置が速度計測ECU等の車両2側から速度の情報を取得することができず、車両2の速度が不正確であると考えられる。このため、走行管理装置4は、車両2の速度を用いずに、位置変化量を車両2の走行距離として算出することにより、車両2の走行速度を正確に算出することができる。
【0151】
なお、走行管理装置4は、第1クラスに属する走行データのうち、走行データに含まれる車両2の位置の決定に用いられた電波の送信元であるGPS衛星の数が所定数以上の走行データについて、車両2の走行距離を算出している。所定数以上のGPS衛星の電波から決定された車両2の位置は信頼性が高いと考えられる。このため、信頼性の高い位置を含む走行データを用いることにより、車両2の走行速度を正確に算出することができる。
【0152】
走行管理装置4が第2クラスに属する走行データを受信した場合には、例えば、車載装置が速度計測ECU等の車両2側から速度の情報を取得しているものの、車両2がトンネル内等を通過しているためにGPS衛星から電波を受信できずに車両2の位置を算出することができない状況であると考えられる。つまり、車両2の位置が不正確であると考えられる。このため、車両2の位置を用いずに、車両2の速度と時刻差を用いることにより、車両2の走行速度を正確に算出することができる。
【0153】
走行管理装置4は、第3クラスに属する走行データのうち、走行データに含まれる車両2の位置の決定に用いられた電波の送信元であるGPS衛星の数が所定数以上の走行データについて、車両2の走行距離を算出している。所定数以上のGPS衛星の電波から決定された車両2の位置は信頼性が高いと考えられる。このため、信頼性の高い位置を含む走行データを用いることにより、車両2の走行速度を正確に算出することができる。
【0154】
走行管理装置4は、車両2の停止時間に基づいて、動態管理データ442から1以上のトリップデータ443を生成している。また、走行管理装置4は、トリップデータ443ごとに、累積走行距離を正確に算出することができる。
【0155】
<実施形態2>
実施形態1では、走行管理装置4が動態管理データ442から1以上のトリップデータ443を生成し、トリップデータ443から帳票データ444を生成した。実施形態2では、走行管理装置4が動態管理データ442からリアルタイムに車両2の累積走行距離を算出して、画面に表示する例について説明する。以下では、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0156】
図19は、本開示の実施形態2に係る走行管理装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0157】
実施形態2に係る走行管理装置4の構成は、図5に示した実施形態1に係る走行管理装置4のハードウェア構成と同様である。ただし、記憶装置440に記憶されるデータが異なる。
【0158】
記憶装置440は、コンピュータプログラム441と動態管理データ442とを記憶しているが、実施形態1で説明したトリップデータ443および帳票データ444は記憶していない。
【0159】
図20は、本開示の実施形態2に係る走行管理装置4の機能的な構成を示すブロック図である。
【0160】
走行管理装置4は、走行データ受信部421と、走行データ分類部423と、走行距離算出部424と、累積走行距離算出部425と、表示制御部427とを備える。これらの処理部は、記憶装置440に記憶されているコンピュータプログラム441をプロセッサ420が実行することにより機能的に実現される。
【0161】
走行データ受信部421は、実施形態1の走行データ受信部421と同様に、車載装置3から走行データを受信する。
【0162】
走行データ分類部423は、動態管理データ442に含まれる複数の走行データが示す車両2の位置の変化および車両2の速度に基づいて、各走行データを、複数のクラスのいずれかに分類する。実施形態1の走行データ分類部423は、トリップデータ443に含まれる走行データをいずれかのクラスに分類したのに対し、実施形態2の走行データ分類部423は、動態管理データ442に含まれる走行データをいずれかのクラスに分類する点で異なる。ただし、クラスの種類およびクラスの分類方法は実施形態1と同様である。
【0163】
走行距離算出部424は、実施形態1と同様に走行データ分類部423での走行データの分類結果に基づいて、第1クラス、第2クラスまたは第3クラスに分類された走行データから車両2の走行距離を算出する。また、走行距離算出部424は、第4クラスに分類された走行データからは走行距離を算出しない。または、走行距離算出部424は、第4クラスに分離された走行データから走行距離を0と算出する。
【0164】
累積走行距離算出部425は、走行距離算出部424が走行データごとに算出した車両2の走行距離に基づいて、所定時間ごと(例えば、5分ごと)の車両2の累積走行距離、および、所定時刻(例えば、5:00)からの車両2の累積走行距離の少なくとも一方を算出する。
【0165】
表示制御部427は、累積走行距離算出部425が算出した累積走行距離を表示部430に表示する。例えば、表示制御部427は、図12に示したようなグラフを表示部430に表示する。
【0166】
図21から図23は、走行管理装置4による累積走行距離の表示処理の手順の一例を示すフローチャートである。図21から図23に示す処理は、所定時刻(例えば、5:00)に開始される。
【0167】
図21を参照して、累積走行距離算出部425は、所定時刻からの車両2の累積走行距離(以下、「累積距離」という。)を0にリセットする(ステップS51)。
【0168】
累積走行距離算出部425は、5分ごとの車両2の累積走行距離(以下、「5分間距離」という。)を0にリセットする(ステップS52)。
【0169】
走行データ受信部421は、車載装置3から走行データを受信するまで待機する(ステップS53)。
【0170】
走行データ受信部421は、走行データを受信すると(ステップS53においてYES)、受信した走行データのうち、NULLが含まれている走行データを削除する(ステップS54)。
【0171】
走行データ受信部421は、走行データを、走行データに含まれる時刻順に整列することにより、時系列の動態管理データ442を生成する(ステップS55)。
【0172】
走行データ受信部421は、生成した動態管理データ442を、同一の車載装置3の走行データから既に生成済みの動態管理データ442に追加する形で記憶装置440に書き込む(ステップS56)。
【0173】
図22を参照して、走行データ分類部423は、記憶装置440に記憶されている動態管理データ442の中から、走行距離の算出を行っていない未処理の走行データを読み出す(ステップS57)。
【0174】
走行データ分類部423は、読み出した着目している走行データに示される車両2の位置が、1つ前の時刻の走行データに示される車両2の位置から変化しているか否かを判定する(ステップS58)。
【0175】
車両2の位置が変化している場合には(ステップS58においてYES)、走行データ分類部423は、走行データに含まれる車両2の位置の決定に用いられた、車載装置3のGPS受信機320への電波の送信元であるGPS衛星の数が4以上かを判定する(ステップS59)。
【0176】
GPS衛星数が4以上であれば(ステップS59においてYES)、走行データ分類部423は、着目している走行データが示す車両2の速度が0よりも大きいか否かを判定する(ステップS60)。
【0177】
速度が0よりも大きい場合には(ステップS60において‘>0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第3クラスに分類する(ステップS61)。また、走行データ分類部423は、当該走行データが示す速度に、当該走行データと当該走行データの1つ前の時刻の走行データとの間の時刻差を乗算することにより、車両2の走行距離を算出する(ステップS62)。
【0178】
速度が0の場合には(ステップS60において‘=0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第1クラスに分類する(ステップS63)。また、走行データ分類部423は、当該走行データと、当該走行データの1つ前の時刻の走行データとの間の位置変化量を、車両2の走行距離として算出する(ステップS64)。
【0179】
車両2の位置が変化していない場合には(ステップS58においてNO)、走行データ分類部423は、着目している走行データが示す車両2の速度が0よりも大きいか否かを判定する(ステップS65)。
【0180】
速度が0よりも大きい場合には(ステップS65において‘>0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第2クラスに分類する(ステップS66)。また、走行データ分類部423は、当該走行データが示す速度に、当該走行データと当該走行データの1つ前の時刻の走行データとの間の時刻差を乗算することにより、車両2の走行距離を算出する(ステップS67)。
【0181】
速度が0の場合には(ステップS65において‘=0’)、走行データ分類部423は、着目している走行データを上述の第4クラスに分類し(ステップS68)、当該走行データについて車両2の走行距離を算出しない。
【0182】
累積走行距離算出部425は、5分間距離に、ステップS62、ステップS64またはステップS67において算出された車両2の走行距離を加算することにより、5分間距離を更新する(ステップS69)。
【0183】
また、累積走行距離算出部425は、累積距離に、ステップS62、ステップS64またはステップS67において算出された車両2の走行距離を加算することにより、累積距離を更新する(ステップS70)。
【0184】
図23を参照して、累積走行距離算出部425は、ステップS52において5分間距離を0にリセットした時刻から5分間経過しているか否かを判定する(ステップS71)。
【0185】
5分間経過していれば(ステップS71においてYES)、表示制御部427は、5分間距離および累積距離を表示部430に表示する(ステップS72)。例えば、表示制御部427は、図12に示したようなグラフを表示部430に表示する。棒グラフが5分間距離を示し、折れ線グラフが累積距離を示す。
【0186】
累積走行距離算出部425は、5分間距離を0にリセットする(ステップS73)。
【0187】
走行データ分類部423は、動態管理データ442の中に未処理の走行データが含まれるか否かを判定する(ステップS73)。
【0188】
未処理の走行データが含まれる場合には(ステップS73においてYES)、走行管理装置4は、ステップS57以降の処理を実行する。
【0189】
未処理の走行データが含まれない場合には(ステップS74においてNO)、走行管理装置4はステップS53以降の処理を実行する。
【0190】
以上説明したように、本開示の実施形態2によると、所定時間ごとの車両2の累積走行距離、または、所定時刻からの車両2の累積走行距離を正確に算出し、表示することができる。
【0191】
[付記]
以上、本開示の実施形態に係る走行管理システム1について説明したが、本開示は、この実施形態に限定されるものではない。
【0192】
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1または複数のシステムLSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの半導体装置から構成されていてもよい。
【0193】
上記したコンピュータプログラムを、コンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体、例えば、HDD、CD-ROM、半導体メモリなどに記録して流通させてもよい。また、コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送して流通させてもよい。
【0194】
また、上記各装置は、複数のコンピュータまたは複数のプロセッサにより実現されてもよい。
【0195】
また、上記各装置の一部または全部の機能がクラウドコンピューティングによって提供されてもよい。つまり、各装置の一部または全部の機能がクラウドサーバにより実現されていてもよい。
【0196】
さらに、上記実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0197】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0198】
1 走行管理システム
2 車両
2A 車両
2B 車両
3 車載装置
3A 車載装置
3B 車載装置
4 走行管理装置
5 ネットワーク
310 通信部
320 GPS受信機
330 I/F部
340 プロセッサ
350 記憶装置
360 電源
410 通信部
420 プロセッサ
421 走行データ受信部
422 トリップデータ生成部
423 走行データ分類部
424 走行距離算出部
425 累積走行距離算出部
426 帳票データ作成部
427 表示制御部
430 表示部
440 記憶装置
441 コンピュータプログラム
442 動態管理データ
443 トリップデータ
444 帳票データ
450 バス
600 動態管理データ
601 トリップデータ
602 トリップデータ
603 トリップデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23