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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116596
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240821BHJP
   H01R 12/79 20110101ALI20240821BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20240821BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/79
H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022293
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼地 尚
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB20
5E223AB31
5E223AB41
5E223AC50
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CC15
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DA33
5E223DB09
5E223DB23
5E223EC07
5E223EC32
5E223EC75
(57)【要約】
【課題】摩耗粉の発生を抑制することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、ハウジング10を備える。ハウジング10には、端子配置空間と、第1挿入空間と、第1案内部13-1と、退避部14と、第2案内部13-2とが形成されている。第1案内部13-1は、第1挿入空間において、第1基板50が挿入される挿入方向の手前寄りである+X方向寄りに配置され、X軸方向に対して傾斜する傾斜方向D2に第1基板50の挿入を案内する。退避部14は、第1案内部13-1に連続して配置され、端子20から第1基板50の-X方向寄りの先端50aを退避させる。第2案内部13-2は、退避部14に連続して配置され、傾斜方向D2に挿入される第1基板50の傾きを減少させて、端子20に接触するように第1基板50を案内する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板に形成されている第1電極部分が電気的に接触する接点部を有する端子が配置される端子配置空間と、
前記第1基板が挿入される第1挿入空間と、
前記第1挿入空間において、前記第1基板が挿入される挿入方向の手前寄りに配置され、前記挿入方向に対して傾斜する傾斜方向に前記第1基板の挿入を案内する第1案内部と、
前記第1案内部に連続して配置され、前記端子から前記第1基板の先端を退避させる退避部と、
前記退避部に連続して配置され、前記傾斜方向に挿入される前記第1基板の傾きを減少させて、前記端子に接触するように前記第1基板を案内する第2案内部と、
が形成されているハウジングを備える、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングには、第2基板が挿入される第2挿入空間が形成され、
前記第2挿入空間に前記第2基板が挿入された状態において、前記第1挿入空間に挿入された前記第1基板が前記端子に接触すると、前記第2基板に形成されている第2電極部分と前記第1基板に形成されている前記第1電極部分とが前記端子を介して電気的に接続される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記第2基板を挟み込み可能な形状に形成されている挟圧部を有し、
前記第2案内部は、前記第1基板を案内することで、前記第1基板で前記挟圧部を押圧して、前記挟圧部で前記第2基板を挟み込むように形成されている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1案内部は、前記第1基板に接触して、前記第1基板の挿入を前記傾斜方向に案内する第1傾斜壁を有し、
前記第1基板には、その先端が前記接点部よりも前記挿入方向における奥寄りに位置したとき、前記第1傾斜壁との接触を解除する切欠きが形成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記切欠きに係止することで、前記第1挿入空間からの前記第1基板の抜け止めを行う係止部が形成されている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1案内部は、前記第1基板に接触して、前記第1基板の挿入を前記傾斜方向に案内する第2傾斜壁を有し、
前記第2傾斜壁は、前記第1挿入空間に前記第1基板が挿入されている状態において、前記第1傾斜壁の壁面と対向する前記第1基板の一方の面とは反対側の他方の面に対向する壁面を有する、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記退避部は、前記第1案内部と前記第2案内部との間に設けられる凹部である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングに形成されている前記端子配置空間に配置される前記端子を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体と、本体に収容される端子とを有するカードエッジコネクタが開示されている。端子は、プリント回路基板及びフレキシブルフラットケーブルを接続するために用いられる。この端子には、第一接触部と、プリント回路基板の電極板と接触する第二接触部とが形成されている。第一接触部は、端子における第二接触部から先端寄りに形成されている。特許文献1に記載のものでは、フレキシブルフラットケーブルを本体に挿入しつつ、プリント回路基板を本体に挿入することにより、端子の第二接触部がプリント回路基板の電極板と接触して反力を受けて、第一接触部がフレキシブルフラットケーブルに荷重を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3236706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカードエッジコネクタでは、プリント回路基板を本体に挿入する際、プリント回路基板の先端が端子に当接し続ける。それゆえ、当接によってプリント回路基板が破損し、その破損により摩耗粉が発生するおそれがある。ひいては、その摩耗粉が端子とプリント回路基板との間に入ることでカードエッジコネクタの電気抵抗が大きくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、摩耗粉の発生を抑制することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、
第1基板に形成されている第1電極部分が電気的に接触する接点部を有する端子が配置される端子配置空間と、
前記第1基板が挿入される第1挿入空間と、
前記第1挿入空間において、前記第1基板が挿入される挿入方向の手前寄りに配置され、前記挿入方向に対して傾斜する傾斜方向に前記第1基板の挿入を案内する第1案内部と、
前記第1案内部に連続して配置され、前記端子から前記第1基板の先端を退避させる退避部と、
前記退避部に連続して配置され、前記傾斜方向に挿入される前記第1基板の傾きを減少させて、前記端子に接触するように前記第1基板を案内する第2案内部と、
が形成されているハウジングを備える。
【0007】
前記ハウジングには、第2基板が挿入される第2挿入空間が形成され、
前記第2挿入空間に前記第2基板が挿入された状態において、前記第1挿入空間に挿入された前記第1基板が前記端子に接触すると、前記第2基板に形成されている第2電極部分と前記第1基板に形成されている前記第1電極部分とが前記端子を介して電気的に接続されていてもよい。
【0008】
前記端子は、前記第2基板を挟み込み可能な形状に形成されている挟圧部を有し、
前記第2案内部は、前記第1基板を案内することで、前記第1基板で前記挟圧部を押圧して、前記挟圧部で前記第2基板を挟み込むように形成されていてもよい。
【0009】
前記第1案内部は、前記第1基板に接触して、前記第1基板の挿入を前記傾斜方向に案内する第1傾斜壁を有し、
前記第1基板には、その先端が前記接点部よりも前記挿入方向における奥寄りに位置したとき、前記第1傾斜壁との接触を解除する切欠きが形成されていてもよい。
【0010】
前記ハウジングには、前記切欠きに係止することで、前記第1挿入空間からの前記第1基板の抜け止めを行う係止部が形成されていてもよい。
【0011】
前記第1案内部は、前記第1基板に接触して、前記第1基板の挿入を前記傾斜方向に案内する第2傾斜壁を有し、
前記第2傾斜壁は、前記第1挿入空間に前記第1基板が挿入されている状態において、前記第1傾斜壁の壁面と対向する前記第1基板の一方の面とは反対側の他方の面に対向する壁面を有していてもよい。
【0012】
前記退避部は、前記第1案内部と前記第2案内部との間に設けられる凹部であってもよい。
【0013】
前記ハウジングに形成されている前記端子配置空間に配置される前記端子を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、退避部が、ハウジングの第1挿入空間に挿入される第1基板の先端を端子から退避させる。このため、本発明に係るコネクタは、第1挿入空間に挿入される第1基板の先端が端子に摺動することを抑制する。これにより、本発明においては、第1基板と端子との摺動に起因する摩耗粉の発生を抑制することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るコネクタの斜視図(その1)である。
図2】実施の形態に係るコネクタの斜視図(その2)である。
図3】実施の形態に係るコネクタのハウジングの正面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5図3のB-B断面図である。
図6】実施の形態に係るコネクタの一部を断面で示した斜視断面図であり、図3のB-B断面に対応する図である。
図7】実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のA-A断面に対応する図(その1)である。
図8】実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のA-A断面に対応する図(その2)である。
図9】実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のA-A断面に対応する図(その3)である。
図10】(A)は、実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のA-A断面に対応する図(その4)である。(B)は、実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のB-B断面に対応する図(その1)である。
図11】(A)は、実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のA-A断面に対応する図(その5)である。(B)は、実施の形態に係るコネクタにおいてハウジングへの第1基板の挿入方法を説明するための図3のB-B断面に対応する図(その2)である。
図12】変形例に係るコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るコネクタ1について、図を参照して説明する。なお、理解を容易にするために、相互に直交するXYZ座標を設定し、適宜参照する。XYZ座標の-X方向は、図1及び図2に示すように、ハウジング10に対して第1基板50が挿入される挿入方向D1と同一の方向である。Z軸方向は、第1基板50の厚み方向と同一の方向である。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向の双方向に直交する方向であると共に、ハウジング10の幅方向と同一の方向である。
【0017】
コネクタ1は、本実施の形態においては、第1基板50に取り付けられるカードエッジコネクタである。コネクタ1は、例えば、自動車部品に装備される電子回路部品であり、第1基板50と第2基板60とを接続するために用いられる。
【0018】
第1基板50は、本実施の形態においては、+Z方向寄りの一方の面50bとは反対側の-Z方向寄りの他方の面50cに導電性の第1電極部分55が形成されているプリント基板である。しかしながら、これに限らない。第1基板50は、プリント基板に限定されるものではなく、他の種類の基板であってもよい。この第1基板50には、-X方向寄りの端部から切り欠かれる2つの切欠き51が設けられている。
【0019】
第2基板60は、本実施の形態においては、フレキシブルプリント基板である。しかしながら、これに限らない。第2基板60は、フレキシブルプリント基板以外のものであってもよい。この第2基板60には、-Z方向寄りの裏面において、導電性の第2電極部分65が形成されている。また、第2基板60には、幅方向(Y軸方向)の両側において切り欠かれて形成されている被係止部61が設けられている。
【0020】
第1基板50と第2基板60とを接続するコネクタ1は、図3及び図4に示すように、ハウジング10と、複数の端子20とを備える。
【0021】
ハウジング10は、端子20を収容して保護する。ハウジング10は、例えば、絶縁性の素材からなる。具体的には、ハウジング10は、例えば、樹脂を射出成形することにより形成される。しかしながら、これに限られず、ハウジング10の素材や製造方法はこれら以外のものであってもよい。このハウジング10には、図4及び図5に示すように、端子配置空間11と、第1挿入空間12-1と、第1案内部13-1と、退避部14と、第2挿入空間12-2と、第2案内部13-2とが形成されている。
【0022】
端子配置空間11は、図5に示すように、端子20を収容する空間である。端子配置空間11は、端子20の接点部21が+Z方向(上方向)に突出した状態で端子20を収容する。
【0023】
第1挿入空間12-1は、図4及び図5に示すように、第1基板50が挿入される空間である。第1挿入空間12-1は、ハウジング10の+X方向寄りの端部に形成されている開口近傍に設けられている。
【0024】
第1案内部13-1は、第1挿入空間12-1において、挿入方向D1の手前寄り(+X方向寄り)に配置されている。この第1案内部13-1は、挿入方向D1に対して傾斜する傾斜方向D2に第1基板50の挿入を案内するために形成されている。この第1案内部13-1は、第1傾斜壁15と第2傾斜壁16とを有する。
【0025】
第1傾斜壁15は、第1挿入空間12-1に挿入された第1基板50が接触して、第1基板50の挿入を傾斜方向D2に案内する。第1傾斜壁15は、第1挿入空間12-1に第1基板50が挿入されている状態において、第1基板50の一方の面50bに対向する天井壁面を有する壁部分として形成されている。
【0026】
第2傾斜壁16は、第1挿入空間12-1に挿入された第1基板50が接触して、第1傾斜壁15と共に、第1基板50の挿入を傾斜方向D2に案内する。第2傾斜壁16は、第1挿入空間12-1に第1基板50が挿入されている状態において、第1基板50の他方の面50cに対向する底壁面を有する壁部分として形成されている。本実施の形態においては、第2傾斜壁16は、図1に示すように、ハウジング10の第1挿入空間12-1の開口の幅方向(Y軸方向)の両側近傍にそれぞれ形成されている。これに対して、第1基板50には、第2傾斜壁16に接触する第2傾斜壁用接触部52が幅方向(Y軸方向)に張り出すように形成されている。しかしながら、これに限られない。第2傾斜壁16は、ハウジング10の第1挿入空間12-1の開口の幅方向(Y軸方向)の両側近傍に加えて、その部分以外にも形成されていてもよい。
【0027】
退避部14は、図4及び図5に示すように、第1挿入空間12-1において、第1案内部13-1の奥寄り(-X方向寄り)に形成されていると共に、第1案内部13-1に連続して配置されている。この退避部14は、端子20から第1基板50の-X方向寄りの先端50aを退避させるために形成されている。本実施の形態においては、退避部14は、第1案内部13-1と第2案内部13-2との間に設けられ、Y軸方向に視て凹部となる形状に形成されている。
【0028】
第2案内部13-2は、第1挿入空間12-1において、退避部14の奥寄り(-X方向寄り)に形成されていると共に、退避部14に連続して配置されている。この第2案内部13-2は、傾斜方向D2に挿入される第1基板50の傾きを減少させて、端子20に接触するように第1基板50を案内するために形成されている。本実施の形態においては、第2案内部13-2は、第1案内部13-1と同一のXZ断面に表れないように、第1案内部13-1に対して、Y軸方向にずれた位置に設けられている。これにより、ハウジング10の射出成形時に効率的に型抜きを行うことができる。しかしながら、これに限られない。第2案内部13-2は、第1案内部13-1と同一のXZ断面に表れる位置に設けられていてもよい。
【0029】
第2挿入空間12-2は、第2基板60が挿入される空間である。第2挿入空間12-2は、ハウジング10の-X方向寄りの端部から開口して形成されている。第2挿入空間12-2には、ハウジング10の-X方向寄りの端部の開口から第2基板60が挿入される。
【0030】
また、ハウジング10は、図4及び図6に示すように、係止部用アーム17と、係止部18と、第2の係止部19とを有する。
【0031】
係止部用アーム17は、ハウジング10の内部において、ハウジング10の一部から+X方向に延設されている。この係止部用アーム17は、+X方向に延設された先端がZ軸方向に撓み可能に片持ち状に形成されている。
【0032】
係止部18は、係止部用アーム17の延設された先端近傍に+Z方向に突出して形成されている。この係止部18は、第1基板50に形成されている切欠き51に係止する。第2案内部13-2は、当該係止に基づいて、第1基板50と第1傾斜壁15との接触を解除する。係止部18は、第1挿入空間12-1からの第1基板50の抜け止めを行う。
【0033】
第2の係止部19は、係止部用アーム17の延設された先端近傍において、係止部18の突出方向とは反対方向である-Z方向に突出して形成されている。第2の係止部19は、第2基板60に形成されている被係止部61に係止する。第2の係止部19は、当該係止に基づいて、第2挿入空間12-2からの第2基板60の抜け止めを行う。なお、本実施の形態においては、第2の係止部19の係止対象である第2基板60の被係止部61は切り欠きである。しかしながら、これに限られない。第2基板60の被係止部61は、切り欠き以外の形状のものであってもよい。例えば、被係止部61は、第2基板60の板厚方向に貫通する孔の縁であってもよい。
【0034】
このように構成されている係止部用アーム17、係止部18、及び第2の係止部19は、図3に示すように、本実施の形態においては、ハウジング10の内部において、幅方向(Y軸方向)の両側近傍にそれぞれ1つずつ形成されている。
【0035】
端子20は、図4及び図5に示すように、銅、銅合金等からなる弾性と導電性とを有する一枚の板材から形成されている。また、端子20は、+Z方向に突出する部分を含むように湾曲されているアーチ状部分を有し、Z軸方向に撓み可能に形成されている。端子20のアーチ状部分の頂点には、第1基板50の第1電極部分55に接触する接点部21が設けられている。また、端子20は、接点部21に加えて、第2挿入空間12-2に挿入された第2基板60を挟み込み可能な形状に形成されている挟圧部22を有する。端子20は、接点部21が第1基板50の第1電極部分55に接触しつつ、挟圧部22が第2基板60をZ軸方向に挟み込んで、挟圧部22が第2基板60の第2電極部分65に接触する。これにより、第1基板50の第1電極部分55と第2基板60の第2電極部分65とは、端子20を介して電気的に接続される。
【0036】
上述のように構成されたコネクタ1において、ハウジング10への第1基板50の挿入方法について図を用いて説明する。
【0037】
先ず、図5に示すように、ハウジング10に第1基板50を挿入するユーザーは、第2挿入空間12-2に第2基板60が挿入されているハウジング10を準備する。第2挿入空間12-2に挿入されている第2基板60は、端子20の挟圧部22によって挟み込まれている。これにより、第2基板60が形成されている第2電極部分65が、端子20に電気的に接続されている。
【0038】
続いて、ユーザーは、図7及び図8に示すように、第2基板60が挿入されているハウジング10の第1挿入空間12-1に第1基板50を挿入する。ユーザーが第1基板50を挿入方向D1に沿って挿入していくと、第1基板50は、第1案内部13-1によって、傾斜方向D2に案内されつつ挿入される。具体的には、第1基板50は、第1案内部13-1の第1傾斜壁15及び第2傾斜壁16の案内の作用によって、挿入方向D1から傾斜方向D2に傾きを増加させつつ挿入される。そして、第1基板50は、端子20に対して非接触状態を維持しつつ挿入される。
【0039】
第1基板50が第1案内部13-1によって傾斜方向D2に案内されつつ挿入されていくと、図9に示すように、第1基板50の先端50aが、退避部14に到達する。第1基板50の先端50aが退避部14に到達することで、第1基板50の先端50aは、端子20よりも+Z方向寄り(上寄り)に離間して配置されるため、第1基板50の先端50aが端子20から退避する。これにより、退避部14は、第1基板50が挿入方向D1に対して傾いている間、第1基板50の第1電極部分55が端子20に摺動することを抑制する。
【0040】
さらに、第1基板50が第1挿入空間12-1に挿入されていくと、図10(A)及び(B)に示すように、第2案内部13-2は、矢印A1に示すように、傾斜方向D2に挿入される第1基板50の傾きを減少させる。このとき、係止部18は、第1基板50に形成されている切欠き51に係止しておらず、係止部用アーム17は矢印A2に示すように-Z方向寄り(下寄り)に撓む。そして、第2案内部13-2が、第1基板50と第1傾斜壁15との接触を解除して、第1傾斜壁15から第1基板50を離間させる。第2案内部13-2は、端子20に接触するように第1基板50を案内する。これにより、第2案内部13-2は、第1基板50が端子20を押し付ける接触荷重Lを発生させて、第1基板50の第1電極部分55を端子20に接触させる。また、この接触荷重Lは、端子20の挟圧部22が第2基板60を挟み込む力を増加させる。この結果、第1基板50の第1電極部分55と第2基板60の第2電極部分65とは、端子20を介して電気的に接続される。また、接触荷重Lは、第1基板50の挿入が完了した際、第1基板50の切欠き51に対する係止部18の係止力と、第2基板60の被係止部61に対する第2の係止部19の係止力とを向上させる。
【0041】
さらに、第1基板50が第1挿入空間12-1に挿入されていくと、図11(A)及び(B)に示すように、やがて、第1基板50の先端50aは、端子20の接点部21よりも挿入方向D1における奥寄り(-X方向寄り)までスライド移動する。このとき、係止部18が、第1基板50に形成されている切欠き51に係止して、第1挿入空間12-1からの第1基板50の抜け止めを行う。以上により、ハウジング10への第1基板50の挿入が完了する。
【0042】
以上、説明したように、本実施の形態に係るコネクタ1においては、図9に示すように、退避部14が、第1挿入空間12-1に挿入される第1基板50の先端50aを端子20から退避させる。このため、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1挿入空間12-1に挿入される第1基板50の先端50aが端子20に摺動することを抑制する。これにより、本実施の形態においては、第1基板50と端子20との摺動に起因する摩耗粉の発生を抑制することができるコネクタ1を提供することができる。ひいては、その摩耗粉が端子20と第1基板50との間に入ることでコネクタ1の電気抵抗が大きくなることを抑制することができる。また、退避部14が第1基板50の先端50aを端子20から退避させることにより、メッキ削れ等による端子20の破損を抑制する。これにより、コネクタ1の電気抵抗が大きくなることを抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態においては、図10(A)~図11(B)に示すように、ハウジング10の第1挿入空間12-1に挿入された第1基板50が端子20に接触すると、第2基板60に形成されている第2電極部分65と第1基板50に形成されている第1電極部分55とが端子20を介して電気的に接続される。これにより、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1基板50と端子20との摺動に起因する摩耗粉の発生を抑制しつつ、ハウジング10への第1基板50の取付け作業の効率を向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、端子20は、挟圧部22を有する。第2案内部13-2は、第1基板50を案内することで、第1基板50で挟圧部22を押圧して、その挟圧部22で第2基板60を挟み込むように形成されている。このため、コネクタ1は、端子20を介して、第1基板50の第1電極部分55と第2基板60の第2電極部分65との電気的な接続能力を向上させることができる。ひいては、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1基板50と端子20との摺動に起因する摩耗粉の発生を抑制しつつ、第1基板50の第1電極部分55と第2基板60の第2電極部分65との電気的な接続能力を向上させることができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、図7及び図8に示すように、第1案内部13-1は、第1傾斜壁15に加えて、第1傾斜壁15に対向するように形成されている第2傾斜壁16を有する。このため、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1基板50の挿入に対する第1案内部13-1の傾斜方向D2への案内の効果を高めることができる。これにより、本実施の形態においては、第1基板50と端子20との摺動に起因する摩耗粉の発生を抑制することができるコネクタ1を提供することができる。ひいては、その摩耗粉が端子20と第1基板50との間に入ることでコネクタ1の電気抵抗が大きくなることを抑制することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0047】
例えば、本実施の形態においては、図5に示すように、端子20は、第2基板60を挟み込み可能な形状に形成されている挟圧部22を有する。この挟圧部22により、第2基板60が形成されている第2電極部分65は、端子20に電気的に接続されている。しかしながら、これに限られない。端子20は、第2基板60を挟み込み可能な形状以外の形状を有する部分を有していてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、退避部14は、図4及び図5に示すように、第1案内部13-1と第2案内部13-2との間に設けられる凹部である。しかしながら、これに限られない。退避部14は、凹部以外の形状に形成されたものであってもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、図1に示すように、第2傾斜壁16に接触する第2傾斜壁用接触部52は、互いに幅方向(Y軸方向)に張り出すように形成されている。しかしながら、これに限られない。図12に示す変形例に係るコネクタ2のように、第2傾斜壁用接触部52は、互いに内向きに突出するように形成されていてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、図11(A)に示すように、第1挿入空間12-1において第1基板50が挿入方向D1にスライド移動したとき、係止部18が、第1基板50の切欠き51に係止するように形成されている。しかしながら、これに限られない。第2案内部13-2が傾斜方向D2に挿入される第1基板50の傾きを減少させたとき、係止部18が、第1基板50の切欠き51に係止するように形成されていてもよい。
【0051】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1,2:コネクタ、10:ハウジング、11:端子配置空間、12-1:第1挿入空間、12-2:第2挿入空間、13-1:第1案内部、13-2:第2案内部、14:退避部、15:第1傾斜壁、16:第2傾斜壁、17:係止部用アーム、18:係止部、19:第2の係止部、20:端子、21:接点部、22:挟圧部、50:第1基板、50a:先端、50b:一方の面、50c:他方の面、51:切欠き、52:第2傾斜壁用接触部、55:第1電極部分、60:第2基板、61:被係止部、65:第2電極部分、D1:挿入方向、D2:傾斜方向、A1,A2:矢印、L:接触荷重。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12