(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116606
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】口腔内画像撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A61C19/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022303
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】523055422
【氏名又は名称】竹内 宏彰
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏彰
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052NN05
4C052NN14
4C052NN15
4C052NN16
(57)【要約】
【課題】本発明は、外光の影響を受けることなくシェードガイドと患者の歯の撮影を行なうことができる口腔内画像撮影装置を提供する。
【解決手段】
本発明の口腔内画像撮影装置10は、患者の口腔内でシェードガイド40と共に前記患者の歯を撮影する口腔内画像撮影装置であって、前記患者の口に挿入され、前記口を上下に開かせると共に左右の口角を外向きに開く一対の口角拡開部21,22と、前記口角拡開部を左右にスライド可能とした拡開部支持部31と、前記シェードガイドが装着されるシェードガイド取付部28と、を具えた口唇拡開ユニット20と、口腔内を照らす照明手段53と、前記照明手段を保持する照明保持部51と、具え、前記拡開部支持部に着脱可能な照明ユニット50と、前記照明ユニット側から前記口唇拡開ユニットに被さる遮光性を有する暗幕60と、前記暗幕の内側であって、前記照明ユニットの上側に装着される撮影手段70と、を具える。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口腔内でシェードガイドのサンプルと共に前記患者の歯を撮影する口腔内画像撮影装置であって、
前記患者の口に挿入され、前記口を上下に開かせると共に左右の口角を外向きに開く一対の口角拡開部と、前記口角拡開部を左右にスライド可能とした拡開部支持部と、前記シェードガイドが装着されるシェードガイド取付部と、を具えた口唇拡開ユニットと、
口腔内を照らす照明手段と、前記照明手段を保持する照明保持部と、具え、前記拡開部支持部に着脱可能な照明ユニットと、
前記照明ユニット側から前記口唇拡開ユニットに被さる遮光性を有する暗幕と、
前記暗幕の内側であって、前記照明ユニットの上側に装着される撮影手段と、
を具える口腔内画像撮影装置。
【請求項2】
前記口角拡開部は、前記患者が上下の歯で噛む噛合部が形成されている、
請求項1に記載の口腔内画像撮影装置。
【請求項3】
前記口角拡開部どうしを接近させたときに、前記口角拡開部を互いに嵌合させる嵌合部が形成されている、
請求項2に記載の口腔内画像撮影装置。
【請求項4】
前記拡開部支持部に対して前記口角拡開部を位置決めする位置決め手段を具える、
請求項2に記載の口腔内画像撮影装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、前記拡開部支持部に対して前記口角拡開部が外向きにスライドすることを許容するが、内向きにスライドすることを阻止する、
請求項4に記載の口腔内画像撮影装置。
【請求項6】
前記位置決め手段は、前記拡開部支持部に対して前記口角拡開部が内向きにスライドすることを許容する操作部を有する、
請求項5に記載の口腔内画像撮影装置。
【請求項7】
前記シェードガイド取付部は、前記シェードガイドを前記患者の歯の位置に合わせて移動可能且つ位置決め可能である、
請求項2に記載の口腔内画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯の色見本として用いられるシェードガイドを口腔内で歯と共に撮影することのできる口腔内画像撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科の審美治療や美容処置では、歯の黄ばみを消して白くするホワイトニングが行なわれる。このとき、患者の希望する歯の色に仕上げるために、色見本(シェードガイド)が使用される。
【0003】
シェードガイドは、色の異なる複数のサンプルをスティックに装着した構造である。各シェードガイドには夫々色を特定する番号が付されており、選択されたシェードガイドのサンプルと患者の歯の色を比較しながらホワイトニングなどが行なわれる(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、義歯や歯冠修復物などの補綴物を患者の歯に補綴する場合、補綴物の色は、隣りの歯と同じ色にすることが望まれる。そこで、患者の歯と、患者の歯の色に近いサンプルを特定し、その番号が補綴作製者に伝えられて補綴物を作製する。
【0005】
シェードガイドと患者の歯の色の判別(シェードテイキング)は、照明や太陽光の影響を受ける。具体的には、蛍光灯の下では青みがかって見え、白熱灯の下では赤みがかって見える。このため、正しくシェードテイキングを行なうには、外光の影響を受けない同じ撮影環境が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、外光から遮断された暗室内でシェードガイドと患者の歯を撮影するようにしている。しかしながら、暗室の設置や維持にコストが掛かり、設置場所も必要である。そこで、簡易な構成で、外光の影響を受けることなく撮影を行なうことのできる撮影装置が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、外光の影響を受けることなくシェードガイドと患者の歯の撮影を行なうことができる口腔内画像撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の口腔内画像撮影装置は、
患者の口腔内でシェードガイドのサンプルと共に前記患者の歯を撮影する口腔内画像撮影装置であって、
前記患者の口に挿入され、前記口を上下に開かせると共に左右の口角を外向きに開く一対の口角拡開部と、前記口角拡開部を左右にスライド可能とした拡開部支持部と、前記シェードガイドが装着されるシェードガイド取付部と、を具えた口唇拡開ユニットと、
口腔内を照らす照明手段と、前記照明手段を保持する照明保持部と、具え、前記拡開部支持部に着脱可能な照明ユニットと、
前記照明ユニット側から前記口唇拡開ユニットに被さる遮光性を有する暗幕と、
前記暗幕の内側であって、前記照明ユニットの上側に装着される撮影手段と、
を具える。
【0010】
前記口角拡開部は、前記患者が上下の歯で噛む噛合部を具えることができる。
【0011】
前記口角拡開部どうしを接近させたときに、前記口角拡開部を互いに嵌合させる嵌合部が形成されていることが望ましい。
【0012】
前記拡開部支持部に対して前記口角拡開部を位置決めする位置決め手段を具えることができる。
【0013】
前記位置決め手段は、前記拡開部支持部に対して前記口角拡開部が外向きにスライドすることを許容するが、内向きにスライドすることを阻止する構成とすることが望ましい。
【0014】
前記位置決め手段は、前記拡開部支持部に対して前記口角拡開部が内向きにスライドすることを許容する操作部を有することができる。
【0015】
前記シェードガイド取付部は、前記シェードガイドを前記患者の歯の位置に合わせて移動可能且つ位置決め可能とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の口腔内画像撮影装置は、患者の口を口角拡開部により開いた状態で、口唇拡開ユニットに照明ユニットを装着し、暗幕を患者に被せる。そして、撮影手段を照明ユニットに取り付けて、口腔内をシェードガイドと共に撮影する。口腔内画像撮影装置内は暗幕により外光が遮断されているから、外光の影響を受けることなく、照明手段の照明のみの同じ撮影環境で撮影を行なうことができる。本発明の口腔内画像撮影装置は、小型であり、持ち運びも簡便であって、暗室のような大がかりな装置は不要であるという利点もある。
【0017】
同じ撮影環境で撮影された口腔内画像を元に、シェードテイキングを行なうことで、患者の好みに応じたホワイトニングを実行でき、また、補綴物を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る口腔内画像撮影装置の正面図である。
【
図2】
図2は、口腔内画像撮影装置から暗幕を取り外した平面図である。
【
図3】
図3は、口角拡開部を閉じた口唇拡開ユニットの正面図である。
【
図6】
図6は、
図3の口唇拡開ユニットの右側方向から見た概略図である。
【
図7】
図7は、口角拡開部を開いた口唇拡開ユニットの正面図である。
【
図16】
図16は、患者の口に口唇拡開ユニットを装着した状態を示す説明図である。
【
図17】
図17は、口角拡開部により患者の口を拡げた状態を示す説明図である。
【
図18】
図18は、患者に口腔内画像撮影装置を装着した状態を示す説明図である。
【
図19】
図19は、本発明の第2実施形態を示す拡開部支持フレームとスライダーの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る口腔内画像撮影装置10について説明を行なう。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の口腔内画像撮影装置10の正面図、
図2は暗幕60を取り外した状態の平面図である。口腔内画像撮影装置10は、患者の口を開いた状態で維持する口唇拡開ユニット20と、口腔内を照らす照明ユニット50と、暗幕60、撮影手段70を主要構成としている。口唇拡開ユニット20には、シェードガイド40が配備される。本発明の口腔内画像撮影装置10は、後述する
図18に示すように、患者90の顔91に載せ、暗幕60を被せて使用され、患者90の口腔内を撮影する。
【0021】
口唇拡開ユニット20と照明ユニット50は着脱可能となっており、また、暗幕60及び撮影手段70は、照明ユニット50に着脱可能となっている。
【0022】
具体的実施形態として、口唇拡開ユニット20は、拡開部支持フレーム31に一対の口角拡開部21,22とシェードガイド40を装着して構成することができる。拡開部支持フレーム31は、本発明の拡開部支持部の一例である。
【0023】
拡開部支持フレーム31は、
図3乃至
図9に示すように、平面視略矩形の枠体であって、左右方向に延びる横フレーム32,32と、横フレーム32,32の端部を連結する縦フレーム33,33、縦フレーム33,33の内側に設けられた取付フレーム34,34を具える。これらフレームは、樹脂や金属から作製することができる。
【0024】
図示の実施形態では、横フレーム32,32は、中央が山型に屈曲した形状であり、患者の顔幅程度の長さ或いは顔幅よりやや長く形成されている。横フレーム32,32には、スライダー26,26が左右に夫々一対ずつスライド可能に嵌まっている。右側、左側で夫々対向するスライダー26,26どうしは、
図4、
図8等に示すように、夫々対向するスライダー26,26が一体にスライド可能となるように、繋ぎ杆29により連繋している。
【0025】
スライダー26は、横フレーム32に対してスライド可能且つ位置決め可能な構成とすることが望ましい。なお、スライダー26の位置決め手段80については、口角拡開部21,22の説明をした後に詳述する。
【0026】
横フレーム32,32の右側、左側に夫々一対ずつ配備されたスライダー26,26には、軸状の取付部材27を介して口角拡開部21,22が取り付けられている。口角拡開部21,22は、スライダー26に対して着脱可能な構成とすることが望ましい。たとえば、取付部材27をスライダー26に着脱可能、又は、取付部材27を口角拡開部21,22に着脱可能とすることができる。これにより、口唇拡開ユニット20から口角拡開部21,22を取り外すことができ、患者に使用した後、口角拡開部21,22を洗浄、滅菌することができる。また、患者の口の大きさに合わせて、口角拡開部21,22を交換できる。
【0027】
口角拡開部21,22は、患者の口に挿入されて、口を上下に拡げると共に、口角を左右に拡げるマウスピースの如き部材である。上記のとおり、取付部材27に装着され、スライダー26と連繋される。
図3乃至
図6は、左右の口角拡開部21,22を閉じた状態、
図7乃至
図9は、口角拡開部21,22を左右に開いた状態を示している。
【0028】
右口角拡開部21は、患者の口の上唇の右側と下唇の右側、右側の口角に嵌まる外周側が凹んだ形状であり、後述する
図17に示すように、患者90の口92に嵌めて、右側の口角93を右向きに拡げるように押し付けたときに、上歯茎96から下歯茎97までが露出する程度の長さを有している。
【0029】
左口角拡開部22も、上唇の左側と下唇の左側、左側の口角94に嵌まる外周側が凹んだ形状であり、後述する
図17に示すように、患者90の口92に嵌めて、左側の口角94を左向きに拡げるように押し付けたときに、上歯茎96から下歯茎97までが露出する程度の長さを有している。
【0030】
図示の実施形態では、左右の口角拡開部21,22は、傾斜した拡開部支持フレーム31と平行になるように、外向きに下がる方向にやや傾いた状態としている。このように、口角拡開部21,22をやや傾けることで、口角拡開部21,22を患者の口角にフィットさせることができる。
【0031】
左右の口角拡開部21,22は、
図3乃至
図6に示すように、口角拡開部21,22の両端が当接する程度まで間隔を狭めたときに、患者の口に余裕をもって挿入できる幅とする。なお、
図3及び
図7に示すように、口角拡開部21,22の端部の少なくとも一方には、互いに嵌め合うことができる嵌合部23を形成することができる。これにより、口角拡開部21,22どうしを接近させたときに、口角拡開部21,22の位置ずれを防止できる。図示の嵌合部23は、一方が凸形状、他方が凸形状に嵌まる形状である。
【0032】
口角拡開部21,22には、患者が上下の歯で噛むことのできる噛合部24,24を形成することができる。噛合部24,24は、
図17に示すように、口角拡開部21,22を左右に開いた状態で、患者90が噛むことで、口角拡開部21,22は閉じ方向に移動せず、
図7乃至
図9に示すように、口角拡開部21,22を左右に開いた状態を維持できる。
【0033】
左右の噛合部24にも、
図1、
図2に示すように、中央側に噛合部24どうしを接近させたときに、噛合部24,24の位置ずれを防止する嵌合部25,25を形成している。噛合部24,24を接近させたときに、嵌合部25,25が嵌まり合って噛合部24,24の位置ずれを防止できる。
【0034】
上記のように、口角拡開部21,22は、噛合部24を患者90が噛むことで位置決めされるが、患者90の噛む力が弱いと、口角が閉じ方向に動いてしまう。その結果、口角拡開部21,22が内側にスライドすると、口腔内の撮影を上手く行なうことができない。そこで、スライダー26には、口角拡開部21,22を位置決めできる位置決め手段80を設けている。
【0035】
本実施形態の位置決め手段80は、口角拡開部21,22を外向きにスライドさせることは許容するが、内向きにスライドすることを阻止する構成としている。これは、口角拡開部21,22を患者90の口に装着した状態で、患者又は施術者が口角拡開部21,22を手で左右に引っ張って、口角拡開部21,22を左右に広げることができるようにするためである。
【0036】
具体的実施形態として、位置決め手段80は、
図10及び
図11に示すようなラチェット機構を例示できる。この場合、横フレーム32の側面にラチェットギア81を形成し、スライダー26にラチェットギア81に係合可能な係合爪82を設けた構造とすることができる。係合爪82は、バネプレート83に設けられている。バネプレート83は、基端がスライダー26の外側面に取り付けられて、スライダー26から離間するよう外向きに湾曲し、先端が内向きに屈曲したバネ性を有するプレートである。バネプレート83の外向きに湾曲した部分は、位置決めを解除するための操作部84であり、先端の内向きに屈曲した部分には、横フレーム32が貫通する開口85が形成されている。係合爪82は、この開口85に内向きに形成されている。係合爪82は、鈎状であり、バネプレート83の付勢力によりラチェットギア81に押し当てられている。
【0037】
口角拡開部21,22を外向きにスライドさせる際には、スライダー26は、係合爪82がラチェットギア81に引っ掛からない。従って、口角拡開部21,22のスライドは許容される。しかしながら、口角拡開部21,22を内向きに移動させようとすると、スライダー26は、係合爪82がラチェットギア81に引っ掛かる。従って、口角拡開部21,22の内向きスライドは阻止される。すなわち、口角拡開部21,22は内側にスライドしないため、患者90は、噛合部24を強い力で噛み続ける必要はなく、口の疲れを抑え、撮影を上手く行なうことができる。
【0038】
一方、撮影完了後に口角拡開部21,22を内向きにスライドさせるには、バネプレート83を外側から、たとえば親指と人差し指で、対向するバネプレート83の操作部84を挟むように押さえ付ければよい(
図10中、矢印Pで示す)。これにより、バネプレート83は、係合爪82がラチェットギア81から離間する方向に移動し(
図11中、点線及び矢印Qで示す)、スライダー26のスライドが可能となって、口角拡開部21,22を内向きスライドできる。操作部84から指を離すと、バネプレート83の復元力により、再び係合爪82はラチェットギア81に引っ掛かり、スライダー26の外側スライドのみを許容することになる。
【0039】
上記構成の口唇拡開ユニット20を具えた拡開部支持フレーム31には、照明ユニット50が装着される。本実施形態では、照明ユニット50を装着するために、横フレーム32,32間に取付フレーム34,34を設けている。なお、取付フレーム34,34は、縦フレーム33,33で代用することもできる。
【0040】
横フレーム32には、シェードガイド40が装着される。シェードガイド40は、歯のホワイトニングの際に比色のために用いられる色見本となるサンプル41をスティック42に装着したものである。シェードガイド40は、サンプル41のシェードの明るさや色調により、たとえば、A、B、C、D系統の16種類の色と、P系統の2種類とW系統(ホワイトニング用)の2種類の色のものを挙げることができる。これらの色は、属する系統と系統内での明るさの違いにより番号(たとえばA1、B1等)がサンプル41の近い位置に付されている。
【0041】
スティック42は、丸棒状であって長さ約5-10cm程度とすることができる。そして、スティック42は、たとえば正面側の横フレーム32の中央に設けられたシェードガイド取付部28に取り付けられる。シェードガイド取付部28は、差込孔を有し、スティック42が差し込まれる。望ましくは、シェードガイド取付部28は、ボールジョイント等を内装する構成とし、スティック42を上下、左右に揺動可能とし、サンプル41を患者90の歯95に近い位置まで移動でき、位置決め可能な構成とすることが望ましい。
【0042】
口唇拡開ユニット20には、照明ユニット50が装着される。照明ユニット50は、
図1及び
図2に示すように拡開部支持フレーム31に装着され、口腔内を照らす。照明ユニット50は、
図12乃至
図15に示すように、照明保持フレーム51に照明手段(符号53)を装着した構成とすることができる。発光手段は、バッテリー式、電池式、或いは、コード式の何れであってもよい。
【0043】
リングライト53は、照明保持フレーム51に装着される。照明保持フレーム51は、概略やぐら型の枠を例示でき、照明保持フレーム51は、本発明の照明保持部の一例である。もちろん照明保持フレーム51の形状はこれに限るものではなく、また、フレーム形状以外、たとえば側壁を有する矩形筒型の形状のものも照明保持部に含む。
【0044】
照明保持フレーム51は、下の左右の枠幅が拡開部支持フレーム31の取付フレーム34と略同じとなるように構成することができる。また、上枠は、リングライト53が装着可能であればよい。図示では、上枠は、リングライト53の外周を保持する環状のフレームである。
【0045】
照明保持フレーム51の上枠にリングライト53が装着される。リングライト53は、発光面55が下向きとなるように装着され、中央穴54が照明保持フレーム51の中央に位置するよう配置する。図示のリングライト53は、中央穴54の周囲に環状にLED等の発光部材が配置され、下向きに発光する。もちろん、照明手段の種類や形状はこれに限るものではない。
【0046】
照明保持フレーム51の下側には、左右に、拡開部支持フレーム31と係合する取付部52,52が配備される。形成された取付部52は、可撓性を有する断面略C字状のジョイントを例示できる。照明保持フレーム51は、取付部52,52を拡開部支持フレーム31の取付フレーム34,34に位置合わせし、取付部52を取付フレーム34に押し込むことで照明保持フレーム51を拡開部支持フレーム31に取り付けることができる。
【0047】
なお、拡開部支持フレーム31と照明保持フレーム51は、磁石などで着脱できるようにしてもよい。
【0048】
照明保持フレーム51には、
図1に示すように、外光を遮断する遮光性を具備する暗幕60が被せられる。暗幕60は、下方が開口した袋状の布を採用することができる。暗幕60は、照明保持フレーム51と拡開部支持フレーム31が余裕をもって覆われる大きさとし、口腔内画像撮影装置10を患者90に装着したときに、下端が患者90の顔に被さって、暗幕60と顔との間から口腔内画像撮影装置10内に外光が侵入しない長さとすることが望ましい。
【0049】
暗幕60内には、リングライト53の上側に撮影手段70が配備される。撮影手段70は、スマートホンやタブレット、携帯電話機などのカメラ機能、デジタルカメラを例示できる。撮影手段70のレンズは、リングライト53の中央穴54から下方を撮影可能となるように、リングライト53の上に装着する。
【0050】
撮影手段70は、予めリングライト53の上側に装着して、暗幕60を被せることができる。また、暗幕60に切欠きを設け、切欠きから撮影手段70を差し込むようにしてもよい。
【0051】
撮影手段70が位置ずれすることなく、リングライト53上に取り付けできるように、リングライト53の上面に撮影手段70の位置決め部材(図示せず)を設けてもよい。
【0052】
然して、上記構成の口腔内画像撮影装置10は、歯科診療用椅子の背凭れを倒し、患者90が仰向けになった状態で装着して使用される。
【0053】
口腔内画像撮影装置10は、口唇拡開ユニット20から照明保持フレーム51を取り外しておく。また、口唇拡開ユニット20は、
図3乃至
図6に示すように、口角拡開部21,22が閉じた状態としておく。また、所望するサンプル41が装着されたシェードガイド40をシェードガイド取付部28に装着しておく。
【0054】
この状態で、口唇拡開ユニット20を
図16に示すように仰向けの患者90の口92に装着する。より詳細には、施術者は、患者90に口92を開いてもらい、口角拡開部21,22が患者90の口92に挿入するよう口唇拡開ユニット20を患者90の顔91に近づける。
【0055】
口唇拡開ユニット20を照明保持フレーム51から取り外した状態で装着するのは、施術者が口角拡開部21,22と患者90の口92を視認しながら、口唇拡開ユニット20を患者90に装着するため、また、口角拡開部21,22を手で拡げることができるようにするためである。
【0056】
口角拡開部21,22を患者90の口92に挿入した状態で、拡開部支持フレーム31は患者90の顔91からは浮いた状態である。この状態から、施術者は、口角拡開部21,22を左右に拡げる。
図10に示すように、スライダー26の位置決め手段80は、係合爪82がラチェットギア81を乗り越えることで、スライダー26の外向きスライドを許容する。従って、施術者が口角拡開部21,22を外向きに指で押すだけで、口角拡開部21,22の間隔を広げることができる。スライダー26を横フレーム32に沿って外向きにスライドさせると、口角拡開部21,22は、
図7乃至
図9に示すように、左右外向きに夫々移動する。そして、
図17に示すように、歯95や上歯茎96と下歯茎97が見える状態まで口角拡開部21,22を広げる。口角拡開部21,22は、やや外向きに下がるように傾斜しているので、口角拡開部21,22をスライドさせたときに患者90の口へのフィット感が良好である。
【0057】
口角拡開部21,22を外向きスライドさせる間、位置決め手段80は、口角拡開部21,22の内向きスライドを阻止するから、口角拡開部21,22は、内向きに閉じることなく、広がった状態を維持できる。この状態で、患者90に噛合部24を噛んでもらう。これにより、口唇拡開ユニット20は、患者90の顔の上で安定して保持される。そして、必要に応じて、シェードガイド40の位置を調整する。
【0058】
なお、位置決め手段80を搭載しない口唇拡開ユニット20では、口角拡開部21,22を広げた状態で、患者90に噛合部24を噛んでもらうことで、口唇拡開ユニット20を保持できると共に、口角拡開部21,22が内向きに閉じることを防止できる。拡開部支持フレーム31は、患者90の顔91から浮いた状態であるから、患者90は不快感を感じることなく施術を受けることができる。
【0059】
続いて、
図1、
図2、
図18に示すように、口唇拡開ユニット20に照明ユニット50を装着する。照明ユニット50には、予め暗幕60と撮影手段70を取り付けておいてもよいし、後付けしてもよい。照明ユニット50は、取付部52を取付フレーム34に嵌めることで、口唇拡開ユニット20に装着できる。
【0060】
撮影手段70を取り付けていない場合には撮影手段70を取り付け、撮影手段70の上から暗幕60を掛ける。暗幕60は、
図18に示すように、患者90の顔91を覆うように掛けることが望ましく、暗幕60内に外光が入らないように裾を顔91に密着させる。これにより、暗幕60内は外光が遮断され、真っ暗な状態となる。
【0061】
続いて、リングライト53を点灯させ、撮影手段70で口腔内の画像を撮影する。これにより、患者90の歯95とシェードガイド40の画像を得ることができ、シェードテイキングに利用できる。
【0062】
本発明の口腔内画像撮影装置10によれば、暗幕60内は、外光が遮断されており、光源はリングライト53だけであるため、同じ撮影環境での撮影を行なうことができる。このように、外光の影響を受けることなく、同じ撮影環境で撮影された画像を元に、シェードテイキングを行なうことで、患者の好みに応じたホワイトニングを実行でき、また、補綴物を作製することができる。
【0063】
撮影終了後は、暗幕60を取り去って、患者に上下の歯を離してもらい、この状態で、施術者は、たとえば親指と人差し指で、対向するスライダー26のバネプレート83の操作部84を挟むように押さえ付け(
図10中、矢印Pで示す)、スライダー26,26を内向きにスライドさせる。バネプレート83を押すことで、
図11に点線及び矢印Qで示すように、係合爪82はラチェットギア81から離間する方向に移動し、スライダー26のスライドが可能となるから、口角拡開部21,22を内向きスライドできる。口角拡開部21,22が、
図3等に示すように閉じた状態まで内向きスライドすると、指を離すことでバネプレート83の復元力により、係合爪82はラチェットギア81に引っ掛かり、スライダー26の外側スライドのみを許容することになる。このとき、口角拡開部21,22を閉じることで、口角拡開部21,22の嵌合部23,23どうし、噛合部24,24の嵌合部25,25どうしは夫々嵌まり合って位置ずれを防止できる。
【0064】
この状態から、施術者は、口唇拡開ユニット20を照明ユニット50と共に持ち上げて、患者の口から口角拡開部21,22を抜き取ればよい。
【0065】
なお、口角拡開部21,22をスライダー26に対して着脱可能としている場合には、使用後、口角拡開部21,22を取り外して、洗浄、滅菌すればよい。口角拡開部21,22が取り外せない構成の場合は、口唇拡開ユニット20ごと洗浄、滅菌すればよい。
【0066】
<第2実施形態>
図19は、口唇拡開ユニット20の異なる実施形態のフレーム構造を示している。第2実施形態は、口角拡開部をスライダー26と共に拡開部支持フレーム31から着脱可能とした実施形態である。説明のため、
図19では、拡開部支持フレーム31とスライダー26のみを示しているが、第1実施形態と同様の構成を具備できる。
【0067】
拡開部支持フレーム31は、平面視略矩形であり、中央が山型に屈曲した形状である。拡開部支持フレーム31は、左右の縦フレーム33,33から夫々内向きに2本の横フレーム32,32を突設している。左右の横フレーム32,32の先端は離間しており、横フレーム32,32間にスライダー26を着脱するための隙間86が形成されている。
【0068】
図示しない口角拡開部21,22は、先の実施形態と同様、スライダー26に装着されており、横フレーム32,32間の隙間86からスライダー26を横フレーム32,32に挿入することで、口角拡開部21,22を口唇拡開ユニット20に装着できる。また、撮影終了後は、スライダー26を横フレーム32の先端側に移動させ、横フレーム32,32間の隙間86から取り外しできる。従って、口角拡開部21,22の洗浄、滅菌を容易に行なうことができる。
【0069】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0070】
たとえば、口腔内画像撮影装置10の各部材の形状や材質、大きさは、上記実施形態に限定されるものではない。
【0071】
また、
図1等では、口角拡開部21,22を支持する横フレーム32,32は、外向きに下がる方向にやや傾いた直線状の形態であるが、外向きに下がる方向に湾曲した形態としてもよい。これにより、口角拡開部21,22を患者の口角にさらにフィットさせることができる。
【0072】
さらに、拡開部支持フレーム31は、上記実施形態では、平面視略矩形の枠体であるが、一部または全部が円形や楕円形などの環状形状であってもよい。
【0073】
加えて、
図19の如き形状の拡開部支持フレーム31について、上側のフレームが患者の額に届くように縦フレーム33,33を長く構成し、当該フレームを患者の額に当てることで、拡開部支持フレーム31を安定して保持、固定できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 口腔内画像撮影装置
20 口唇拡開ユニット
21 右口角拡開部
22 左口角拡開部
24 噛合部
26 スライダー
28 シェードガイド取付部
31 拡開部支持フレーム(拡開部支持部)
40 シェードガイド
50 照明ユニット
51 照明保持フレーム(照明保持部)
52 取付部
53 リングライト(照明手段)
60 暗幕
70 撮影手段
80 位置決め手段
81 ラチェットギア
82 係合爪
83 バネプレート
84 操作部
90 患者