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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116627
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
G03G15/20 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022326
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真一
(72)【発明者】
【氏名】田口 和奈
(72)【発明者】
【氏名】宗田 真
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA23
2H033BA02
2H033BA10
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA26
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB30
2H033BB34
2H033BB38
2H033BE00
(57)【要約】
【課題】定着装置のガイドがシートの厚み方向に変形するのを抑制することを目的とする。
【解決手段】定着装置は、シートを加熱する加熱部と、加熱部との間でシートを挟む加圧部と、筐体4と、ガイド5を備える。加熱部は、第1方向に長い。加圧部は、加熱部との間にニップ部を形成する。筐体4は、加熱部および加圧部を支持する。ガイド5は、筐体4に取り付けられる。ガイド5は、シートの面と接触してシートをニップ部に向けて案内する。ガイド5および筐体4のうち一方は、第1方向の中央部に突起53を有する。ガイド5および筐体4のうち他方は、第1方向の中央部に穴43を有する。突起53は、穴43に嵌まる。ガイド5および筐体4のうち一方は、第1方向の両端部に第1長穴55を有する。第1長穴55は、第1方向に長い。ガイド5および筐体4のうち他方は、第1方向の両端部に第1ボスを有する。第1ボスは、第1長穴55に入る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを加熱する加熱部であって、第1方向に長い加熱部と、
前記第1方向に直交する第2方向においてシートを前記加熱部との間で挟む加圧部であって、前記加熱部との間にニップ部を形成する加圧部と、
前記加熱部および前記加圧部を支持する筐体と、
前記筐体に取り付けられ、シートの面と接触してシートを前記ニップ部に向けて案内するガイドと、を備え、
前記ガイドおよび前記筐体のうち一方は、前記第1方向の中央部に突起を有し、他方は、前記第1方向の中央部に前記突起が嵌まる穴を有し、
前記ガイドおよび前記筐体のうち一方は、前記第1方向の両端部に、前記第1方向に長い第1長穴を有し、他方は、前記第1方向の両端部に、前記第1長穴に入る第1ボスを有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ガイドは、前記突起を有し、
前記筐体は、前記穴を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記突起は、シートの搬送方向下流側に向けて突出することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記突起は、断面形状が四角い部分を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ガイドは、前記第1長穴を有し、
前記筐体は、前記第1ボスを有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項6】
前記ガイドの前記第1方向の中央部は、前記筐体に第1ネジにより固定されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項7】
前記ガイドは、前記第1ネジのネジ部が入る貫通孔を有し、
前記筐体は、前記第1ネジの頭部との間で前記ガイドを挟む座面を有し、
前記貫通孔の前記第1方向の寸法および前記第2方向の寸法は、前記ネジ部の直径よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記第1方向の両端部に第2ネジが取り付けられる第2ボスを有し、
前記第2ボスは、
ベース面を有するベースと、
前記ベース面から突出し、前記第2ネジの頭部と接触する座面を有するスリーブと、を有し、
前記ガイドは、前記スリーブが入る第2長穴であって、前記第1方向に長い第2長穴を、前記第1方向の両端部に有し、
前記スリーブの前記ベース面からの突出量は、前記ガイドのうち前記第2長穴を有する部位の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項9】
前記ガイドは、樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項10】
前記加熱部は、
無端状のベルトと、
前記ベルトの内側に位置する板状のヒータと、を備え、
前記加圧部は、前記ヒータとの間で前記ベルトを挟む加圧ローラであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を熱定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置として、加熱ローラと加圧ローラの間にシートを案内するガイドを備えたものが知られている(特許文献1参照)。ガイドは、シートの幅方向に長い部材である。ガイドの幅方向の両端部は、加圧ローラの軸受部材に回動可能に支持されている。
【0003】
ガイドは、幅方向の両端部に、一対の当接部を有する。加熱ローラは、幅方向の両端部に、一対の被当接部を有する。ガイドは、バネによって加熱ローラに向けて付勢される。これにより当接部が被当接部と接触して、ガイドの位置が定まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-222320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、ガイドの幅方向の両端部が加圧ローラの軸受部材および加熱ローラで支持されるだけなので、定着装置の熱によりガイドがシートの厚み方向に変形するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、定着装置のガイドがシートの厚み方向に変形するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、加熱部と、加圧部と、筐体と、ガイドと、を備える。
加熱部は、シートを加熱する。加熱部は、第1方向に長い。
加圧部は、第1方向に直交する第2方向においてシートを加熱部との間で挟む。加圧部は、加熱部との間にニップ部を形成する。
筐体は、加熱部および加圧部を支持する。
ガイドは、筐体に取り付けられる。ガイドは、シートの面と接触してシートをニップ部に向けて案内する。
ガイドおよび筐体のうち一方は、第1方向の中央部に突起を有する。
ガイドおよび筐体のうち他方は、第1方向の中央部に穴を有する。突起は、穴に嵌まる。
ガイドおよび筐体のうち一方は、第1方向の両端部に第1長穴を有する。第1長穴は、第1方向に長い。
ガイドおよび筐体のうち他方は、第1方向の両端部に第1ボスを有する。第1ボスは、第1長穴に入る。
【0008】
ガイドが、突起、穴、第1ボスおよび第1長穴によって筐体に取り付けられる構成とすることで、ガイドの第1方向の中央部と両端部が第2方向、つまりシートの厚み方向に位置決めされるので、ガイドが厚み方向に変形するのを抑制することができる。ガイドの第1方向の中央部が突起と穴によって第1方向に位置決めされ、ガイドの第1方向の両端部が第1ボスと第1長穴により第1方向に移動可能になるので、ガイドの熱膨張による延びを第1方向に逃がしてガイドのひずみを抑えることができる。ガイドの第1方向の中央部が第1方向に位置決めされ、ガイドの第1方向の両端部が第1方向に移動可能になるので、ガイドが熱膨張する際、ガイドの中央部の位置がずれるのを抑制できる。
【0009】
また、ガイドは、突起を有していてもよい。この場合、筐体は、穴を有する。
【0010】
また、突起は、シートの搬送方向下流側に向けて突出していてもよい。
【0011】
また、突起は、断面形状が四角い部分を有していてもよい。
【0012】
また、ガイドは、第1長穴を有していてもよい。この場合、筐体は、第1ボスを有する。
【0013】
また、ガイドの第1方向の中央部は、筐体に第1ネジにより固定されてもよい。
【0014】
ガイドの第1方向の中央部が第1ネジで筐体に固定されることで、ガイドをシートの搬送方向にも位置決めできる。
【0015】
また、ガイドは、貫通孔を有していてもよい。
この場合、第1ネジのネジ部は、貫通孔に入る。
筐体は、座面を有する。座面は、第1ネジの頭部との間でガイドを挟む。
貫通孔の第1方向の寸法および第2方向の寸法は、ネジ部の直径よりも大きい。
【0016】
貫通孔の第1方向の寸法および第2方向の寸法がネジ部の直径よりも大きい構成によれば、突起を穴に嵌めてガイドを位置決めした後、第1ネジを筐体に捩じ込む際に、ネジ部が貫通孔の縁に干渉するのを抑制できるので、第1ネジを容易に筐体に捩じ込むことができる。
【0017】
また、筐体は、第1方向の両端部に第2ボスを有していてもよい。この場合、ガイドは、第2長穴を、第1方向の両端部に有していてもよい。
第2ボスは、第2ネジが取り付けられるボスである。第2ボスは、ベースと、スリーブと、を有する。
ベースは、ベース面を有する。
スリーブは、ベース面から突出する。スリーブは、座面を有する。
座面は、第2ネジの頭部と接触する。
ガイドは、第2長穴を、第1方向の両端部に有する。
スリーブは、第2長穴に入る。第2長穴は、第1方向に長い。
スリーブのベース面からの突出量は、ガイドのうち第2長穴を有する部位の厚みよりも大きい。
【0018】
スリーブのベース面からの突出量が、ガイドのうち第2長穴を有する部位の厚みよりも大きい構成によれば、第2ネジの頭部とベース面との間でガイドが挟まれないので、ガイドが突起を基準に熱膨張しても、第2ネジの頭部が熱膨張時の抵抗になってガイドが撓むのを抑制できる。
【0019】
また、ガイドは、樹脂からなっていてもよい。
【0020】
また、加熱部は、ベルトと、ヒータと、を備えていてもよい。この場合、加圧部は、加圧ローラであってもよい。
ベルトは、無端状である。
ヒータは、ベルトの内側に位置する。ヒータは、板状である。
加圧ローラは、ヒータとの間でベルトを挟む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、定着装置のガイドがシートの厚み方向に変形するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る定着装置の断面図(a)と、ヒータ周りの部分を拡大して示す図(b)である。
図2】定着装置を第3方向の他方側から見た斜視図である。
図3】分解された状態のベースフレームとガイドを、第3方向の他方側から見た斜視図である。
図4】分解された状態のベースフレームとガイドを、第3方向の一方側から見た斜視図である。
図5】定着装置を第3方向の他方側から見た図(a)と、第1ボスおよび第2ネジ周りの部分を拡大して示す図(b)である。
図6図5のX1-X1断面図(a)と、図5のX2-X2断面図(b)である。
図7図5のX3-X3断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、定着装置1は、シートSにトナー像を定着させる装置である。定着装置1は、プリンタなどの画像形成装置の本体筐体に取り付けられる。定着装置1は、加熱部の一例としての加熱ユニット2と、加圧部の一例としての加圧ローラ3と、筐体4と、ガイド5とを備える。筐体4およびガイド5は、例えば樹脂からなる。
【0024】
なお、以下の説明において、方向を説明する場合、図1に示す第1方向、第2方向および第3方向を用いて説明する。本実施形態において、第1方向は、加圧ローラ3の軸方向に沿った方向である。第1方向は、シートの幅方向に沿った方向でもある。第2方向は、第1方向に直交する方向である。第2方向は、加熱ユニット2と加圧ローラ3でシートSを挟む方向である。第2方向は、ガイド5で案内されるシートSの厚み方向でもある。第3方向は、第1方向および第2方向に直交する方向である。第3方向は、加熱ユニット2と加圧ローラ3の間のニップ部におけるシートSの搬送方向でもある。また、図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。また、一方側の端部を「一端部」とも称し、他方側の端部を「他端部」とも称する。
【0025】
加熱ユニット2は、第1方向に長い。詳しくは、加熱ユニット2の第1方向の寸法は、第2方向の寸法および第3方向の寸法よりも大きい。加熱ユニット2は、ヒータ10と、ホルダ20と、熱伝導部材30と、ステイSTと、ベルトBLとを有する。
【0026】
ヒータ10は、ベルトBLを介してシートSを加熱する。ヒータ10は、第1方向に長い板状である。
【0027】
図1(b)に示すように、ヒータ10は、基板11と、基板11に支持された抵抗発熱体12と、カバー13とを有する。基板11は、酸化アルミニウムを材料とするセラミックの細長い長方形の板からなる。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。抵抗発熱体12は、基板11の一方の面に、印刷により形成されている。カバー13は、抵抗発熱体12を覆っている。カバー13は、例えば、ガラスからなる。
【0028】
熱伝導部材30は、ヒータ10の長手方向に熱を伝導して、ヒータ10の温度を、長手方向に均一化するための部材である。熱伝導部材30は、板状部材であり、ヒータ10とホルダ20との間に位置する。加熱ユニット2が加圧ローラ3との間でシートSを挟むときには、熱伝導部材30は、ヒータ10とホルダ20により挟まれる。熱伝導部材30は、例えばアルミニウムからなる。
【0029】
図1(a)に示すように、ホルダ20は、ヒータ10を支持するとともに、ベルトBLを案内する機能を有する。ホルダ20は、例えば、樹脂からなる。
【0030】
ステイSTは、ホルダ20を支持する。ステイSTは、例えば金属からなる。
【0031】
ベルトBLは、無端状である。ヒータ10は、ベルトBLの内側に位置する。ベルトBLは、ホルダ20に案内されながら、ヒータ10の周りを回転する。ベルトBLは、外周面と内周面を有する。外周面は、加圧ローラ3または加熱対象となるシートと接触する。内周面は、ヒータ10と接触する。
ベルトBLは、回転することで加圧ローラ3と共にシートSを搬送する。
【0032】
図1(b)に示すように、加圧ローラ3は、回転可能なローラである。加圧ローラ3は、第2方向において、シートSをベルトBLとの間で挟む。加圧ローラ3は、ベルトBLとの間にニップ部NPを形成する。加圧ローラ3は、ヒータ10との間でベルトBLを挟む。加圧ローラ3は、ベルトBLとの間でシートSを搬送する。
【0033】
加圧ローラ3は、シャフト3Aと、弾性層3Bと、表層3Cとを有する。
シャフト3Aは、円柱形状を有する。シャフト3Aは、例えば金属からなる。
【0034】
弾性層3Bは、円筒形状を有する。弾性層3Bは、例えばシリコンゴムからなる。弾性層3Bは、シャフト3Aを被覆している。弾性層3Bは、表面に表層3Cを有する。
【0035】
表層3Cは、例えばフッ素樹脂からなる。表層3Cは、弾性層3Bの表面に被覆されている。
【0036】
筐体4は、加圧ローラ3を回転可能に支持する。筐体4は、加熱ユニット2を第2方向に移動可能に支持する。
【0037】
図2に示すように、筐体4は、ベースフレーム41と、回動フレーム42とを備える。ベースフレーム41は、加圧ローラ3および加熱ユニット2を支持する。回動フレーム42は、ベースフレーム41に対して図示しない軸周りに回動させて開閉することが可能である。回動フレーム42をベースフレーム41に対して回動させて開くことで、筐体4の内部に加熱ユニット2や加圧ローラ3などの部品を組み付けることができる。
【0038】
ガイド5は、シートSの面と接触してシートSをニップ部NPに向けて案内する部材である。ガイド5は、ベースフレーム41に取り付けられている。図3および図4に示すように、ガイド5は、本体部51と、脚部52とを有する。
【0039】
本体部51は、板状の部位である。本体部51は、第1ガイド面51Aと、第2ガイド面51Bとを有する。
【0040】
図1(a)に示すように、第1ガイド面51Aは、シートSの面と接触してシートSをニップ部NPに向けて案内する面である。第2ガイド面51Bは、シートSの面と接触してシートSを第1ガイド面51Aに向けて案内する面である。
【0041】
第1ガイド面51Aおよび第2ガイド面51Bは、第2方向の他方側を向いている。第1ガイド面51Aは、ニップ部NP側から第3方向の他方側に向かうにつれて第2方向の一方側に位置するように、第3方向に対して傾斜する。
【0042】
第2ガイド面51Bは、第1ガイド面51Aの第3方向の他端に位置する。第2ガイド面51Bは、第1ガイド面51Aから第3方向の他方側に向かうにつれて第2方向の一方側に位置するように、第1ガイド面51Aに対して傾斜する。
【0043】
ガイド5は、第1ガイド面51Aまたは第2ガイド面51Bで案内されるシートSの第1方向の端と第1方向で対向する部位を有さない。これにより、ガイド5は、シートSの厚み方向の位置を規定するが、シートSの幅方向の位置は規定しないように構成されている。
【0044】
脚部52は、本体部51から第2方向の一方側に延びている。脚部52は、第3方向において、第1ガイド面51Aの範囲内に位置する。
【0045】
図4に示すように、脚部52は、突起53と、貫通孔54と、2つの第1長穴55と、2つの第2長穴56とを有する。突起53および貫通孔54は、脚部52の第1方向の中央部に位置する。
【0046】
突起53は、脚部52から第3方向の一方側、つまりシートSの搬送方向下流側に向けて突出している。突起53は、板状部53Aと、凸部53Bとを有する。
【0047】
板状部53Aおよび凸部53Bは、断面形状が四角い。板状部53Aは、脚部52から第3方向の一方側に突出する。板状部53Aは、第2方向の一端と他端に最も広い面を有する。
【0048】
凸部53Bは、板状部53Aの第2方向の他方側の面から突出する。凸部53Bは、脚部52に繋がっていてもよいし、繋がっていなくてもよい。
【0049】
貫通孔54は、円形の穴である。貫通孔54は、突起53の第2方向の一方側に位置する。貫通孔54は、脚部52を貫通する。
【0050】
第1長穴55は、脚部52の第1方向の両端部に位置する。詳しくは、第1長穴55は、脚部52の第1方向の一端部と他端部とに1つずつ配置されている。第1長穴55は、第1方向に長い。第1長穴55は、脚部52を貫通する。
【0051】
第2長穴56は、脚部52の第1方向の両端部に位置する。詳しくは、第2長穴56は、脚部52の第1方向の一端部と他端部とに1つずつ配置されている。第1方向の一方側の第1長穴55は、第1方向において、第1方向の一方側の第2長穴56と突起53の間に位置する。第1方向の一方側の第1長穴55は、突起53よりも第1方向の一方側の第2長穴56に近い。
【0052】
第1方向の他方側の第1長穴55は、第1方向において、第1方向の他方側の第2長穴56と突起53の間に位置する。第1方向の他方側の第1長穴55は、突起53よりも第1方向の他方側の第2長穴56に近い。
【0053】
第2長穴56は、第1方向に長い。第2長穴56は、脚部52を貫通する。
【0054】
ベースフレーム41は、第1方向の中央部に穴43を有する。穴43は、ガイド5の突起53が嵌まる四角い穴である。穴43の第2方向の一方側の縁には、係合突起43Aが形成されている。
【0055】
ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、ガイド5の突起53は、穴43の第2方向の他方側の縁と係合突起43Aとの間で挟まれる。詳しくは、ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、突起53の凸部53Bは、穴43の第2方向の他方側の縁と接触する。ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、突起53の板状部53Aは、係合突起43Aと接触する。
【0056】
ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、ガイド5の突起53は、穴43の第1方向の両側の縁の間で挟まれる。詳しくは、ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、突起53の板状部53Aは、穴43の第1方向の両側の縁と接触する。
【0057】
図3に示すように、ベースフレーム41は、中央ボス44と、2つの第1ボス45と、2つの第2ボス46とをさらに有する。中央ボス44、第1ボス45および第2ボス46は、第3方向の他方側、つまりシートSの搬送方向上流側に向けて突出する。定着装置1は、第1ネジ61と、2つの第2ネジ62とをさらに備えている。
【0058】
中央ボス44は、第1ネジ61が捩じ込まれる穴を有する円筒状のボスである。中央ボス44は、ベースフレーム41の第1方向の中央部に位置する。中央ボス44は、穴43の第2方向の一方側に位置する。中央ボス44は、座面44Aを有する。座面44Aは、中央ボス44の先端に位置する。
【0059】
第1ネジ61は、ガイド5の第1方向の中央部をベースフレーム41に固定するためのネジである。図6(a)に示すように、第1ネジ61は、ネジ部61Aと、頭部61Bとを有する。
【0060】
ネジ部61Aは、ネジ山を有する棒状の部位である。頭部61Bは、ネジ部61Aの一端に位置する。頭部61Bの直径は、ネジ部61Aの直径よりも大きい。
【0061】
ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、ネジ部61Aは、ガイド5の貫通孔54に入っているとともに、中央ボス44の穴に捩じ込まれている。貫通孔54の直径は、ネジ部61Aの直径よりも大きい。ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、頭部61Bは、ガイド5の貫通孔54周りの部位を中央ボス44の座面44Aとの間で挟んでいる。
【0062】
図3に示すように、第1ボス45は、ガイド5の第1長穴55に入るボスである。第1ボス45は、ベースフレーム41の第1方向の両端部に位置する。詳しくは、第1ボス45は、ベースフレーム41の第1方向の一端部と他端部とに1つずつ配置されている。第1ボス45は、円柱状である。図6(b)に示すように、ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、第1ボス45は、第1長穴55を通って、ガイド5の脚部52から第3方向の他方側に突出している。
【0063】
図5(a),(b)に示すように、ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、第1ボス45は、第1長穴55の第2方向の両側の縁に挟まれる。詳しくは、ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、第1ボス45は、第1長穴55の第2方向の両側の縁と接触する。
【0064】
ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、第1ボス45は、第1長穴55の第1方向の両側の縁から離れている。
【0065】
図3に示すように、第2ボス46は、ガイド5の第2長穴56に入るスリーブ46Aを有する。第2ボス46は、ベースフレーム41の第1方向の両端部に位置する。詳しくは、第2ボス46は、ベースフレーム41の第1方向の一端部と他端部とに1つずつ配置されている。
【0066】
第1方向の一方側の第1ボス45は、第1方向において、第1方向の一方側の第2ボス46と中央ボス44の間に位置する。第1方向の一方側の第1ボス45は、中央ボス44よりも第1方向の一方側の第2ボス46に近い。
【0067】
第1方向の他方側の第1ボス45は、第1方向において、第1方向の他方側の第2ボス46と中央ボス44の間に位置する。第1方向の他方側の第1ボス45は、中央ボス44よりも第1方向の他方側の第2ボス46に近い。
【0068】
図7に示すように、第2ボス46は、前述したスリーブ46Aを有するとともに、ベース46Bをさらに有する。ベース46Bは、第2ネジ62が捩じ込まれる穴を有する円筒状の部位である。ベース46Bは、先端にベース面F1を有する。
【0069】
スリーブ46Aは、第2ネジ62を取り付けるための孔を有する円筒状の部位である。なお、第2ネジ62は、第1ネジ61と略同様の構造となっている。詳しくは、第2ネジ62は、ネジ部62Aおよび頭部62Bを有する。
【0070】
スリーブ46Aの直径は、ベース46Bの直径よりも小さい。スリーブ46Aは、ベース面F1から突出している。スリーブ46Aは、座面F2を先端に有する。座面F2は、第2ネジ62の頭部62Bと接触する。
【0071】
スリーブ46Aのベース面F1からの突出量L1は、ガイド5の脚部52のうち第2長穴56を有する部位の厚みL2よりも大きい。詳しくは、突出量L1は、脚部52のうち第2長穴56周りの部位の厚みL2よりも大きい。
【0072】
ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、スリーブ46Aは、第2長穴56の第2方向の両側の縁から僅かに離れている。図5(b)に示すように、ガイド5がベースフレーム41に取り付けられた状態において、スリーブ46Aは、第2長穴56の第1方向の両側の縁から大きく離れている。言い換えると、スリーブ46Aから第2長穴56の第1方向の一方側の縁までの距離は、スリーブ46Aから第2長穴56の第2方向の一方側の縁までの距離よりも大きい。
【0073】
次に、ガイド5の取付方法について説明する。
図4に示すように、作業者は、ガイド5の突起53を、ベースフレーム41の穴43に嵌める。この際、作業者は、図3に示すように、ベースフレーム41の各第1ボス45をガイド5の各第1長穴55に入れるとともに、ベースフレーム41の各スリーブ46Aをガイド5の各第2長穴56に入れる。
【0074】
突起53が穴43に嵌まることで、ガイド5の第1方向の中央部は、第1方向および第2方向に位置決めされる。また、各第1ボス45が各第1長穴55に入ることで、ガイド5の第1方向の両端部は、第2方向に位置決めされる。
【0075】
その後、作業者は、第1ネジ61を、ガイド5の貫通孔54に通した後、ベースフレーム41の中央ボス44に取り付ける。この際、貫通孔54の直径がネジ部61Aの直径よりも大きいので、ネジ部61Aが貫通孔54の縁と干渉することなく、第1ネジ61を中央ボス44に取り付けることができる。
【0076】
第1ネジ61を中央ボス44に取り付けると、図6(a)に示すように、ガイド5の脚部52の第1方向における中央部が、第1ネジ61の頭部61Bと中央ボス44の座面44Aとの間に挟まれる。これにより、ガイド5の第1方向の中央部が第3方向に位置決めされる。
【0077】
その後、作業者は、図7に示すように、各第2ネジ62を各第2ボス46に取り付ける。各第2ネジ62の頭部62Bは、スリーブ46Aの座面F2に接触した位置で止まるので、ガイド5の第1方向の両端部は、頭部62Bとベース面F1の間で挟まれない。また、ガイド5の第2長穴56のすべての縁がスリーブ46Aから離れているため、ガイド5の熱膨張時において、ガイド5の第2長穴56周りの部位は、ガイド5の第1長穴55周りの部位よりも移動しやすくなっている。
【0078】
次に、ガイド5の熱膨張時における作用効果について説明する。
加熱ユニット2からの熱がガイド5に加わると、図5(a)に示すように、ガイド5は、第1方向の中央部にある突起53を基準に、第1方向の一方側と他方側に向けて第1方向に沿って熱膨張する。図5(b)に示すように、ガイド5の第1長穴55の縁が第1ボス45から第1方向に離れていることで、ガイド5の第1長穴55周りの部位が熱膨張により第1方向に移動するので、第1ボス45と突起53の間でガイド5が撓むことが抑制される。
【0079】
また、ガイド5の第2長穴56の縁がスリーブ46Aから第1方向に離れていることで、ガイド5の第2長穴56周りの部位が熱膨張により第1方向に移動するので、スリーブ46Aと第1ボス45の間でガイド5が撓むことが抑制される。さらに、前述したようにガイド5の第2長穴56周りの部位は、ガイド5の第1長穴55周りの部位よりも移動しやすくなっているので、スリーブ46Aと第1ボス45の間でガイド5が撓むことがより確実に抑制される。
【0080】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
ガイド5が、突起53、穴43、第1ボス45および第1長穴55によってベースフレーム41に取り付けられる構成とすることで、ガイド5の第1方向の中央部と両端部が第2方向、つまりシートの厚み方向に位置決めされるので、ガイド5が厚み方向に変形するのを抑制することができる。ガイド5の第1方向の中央部が突起53と穴43によって第1方向に位置決めされ、ガイド5の第1方向の両端部が第1ボス45と第1長穴55により第1方向に移動可能になるので、ガイド5の熱膨張による延びを第1方向に逃がしてガイド5のひずみを抑えることができる。ガイド5の第1方向の中央部が第1方向に位置決めされ、ガイド5の第1方向の両端部が第1方向に移動可能になるので、ガイド5が熱膨張する際、ガイド5の中央部の位置がずれるのを抑制できる。
【0081】
ガイド5の第1方向の中央部が第1方向に位置決めされるので、例えばガイドの第1方向の端部が第1方向に位置決めされる構造に比べ、熱膨張時にガイド5の第1方向の端の変位量を小さくすることができる。
【0082】
ガイド5の第1方向の中央部が第1ネジ61でベースフレーム41に固定されるので、ガイド5をシートSの搬送方向に位置決めできる。
【0083】
貫通孔54の直径がネジ部61Aの直径よりも大きいので、突起53を穴43に嵌めてガイド5を位置決めした後、第1ネジ61を中央ボス44に捩じ込む際に、ネジ部61Aが貫通孔54の縁に干渉するのを抑制できる。そのため、第1ネジ61を容易に中央ボス44に捩じ込むことができる。
【0084】
スリーブ46Aのベース面F1からの突出量L1が、ガイド5のうち第2長穴56を有する部位の厚みL2よりも大きいので、第2ネジ62の頭部62Bとベース面F1との間でガイド5が挟まれない。そのため、ガイド5が突起53を基準に第1方向に熱膨張しても、第2ネジ62の頭部62Bが熱膨張時の抵抗になってガイド5が撓むのを抑制できる。
【0085】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0086】
凹凸の関係は、前記実施形態とは逆であってもよい。例えば、筐体が、第1方向の中央部に突起を有していてもよい。この場合、ガイドは、第1方向の中央部に、突起が入る穴を有する。例えば、ガイドは、第1方向の両端部に第1ボスを有していてもよい。この場合、筐体は、第1方向の両端部に、第1ボスが入る第1長穴を有する。例えば、ガイドは、第1方向の両端部に、ベース面とスリーブを有していてもよい。この場合、筐体は、スリーブが入る第2長穴を有する。
【0087】
加熱部は、加熱ユニット2に限らず、例えば、加熱ローラであってもよいし、ベルトと、ベルトの内周面に接触するニップ板と、ベルトおよびニップ板を加熱する熱源とを備える構成などであってもよい。
【0088】
加圧部は、加圧ローラに限らず、例えば、ベルトと、ベルトの内側に配置されるゴムパッドとを備える構成などであってもよい。
【0089】
穴および第1長穴は、底付きの穴、つまり凹部であってもよい。前記実施形態における各穴の形状は、任意であり、例えば多角形であってもよい。具体的には、例えば、第1ネジのネジ部が入る貫通孔の形状は、円形でなくてもよく、楕円、矩形などの多角形でもよい。なお、貫通孔がどのような形状であっても、貫通孔の第1方向の寸法および第2方向の寸法をネジ部の直径よりも大きくすることで、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
筐体の構造は、前記実施形態に限定されない。ガイドの取付位置は、筐体の構造に応じて適宜決定されればよい。
【0091】
突起は、断面形状が四角い部分を有していなくてもよい。例えば、突起は、円柱であってもよい。
【0092】
前記実施形態では、第1ネジの頭部との間でガイドを挟む座面が、中央ボスの先端に配置された構成としたが、第1ネジの頭部との間でガイドを挟む座面は、例えば、ボスの先端ではない広い平らな面に配置されていてもよい。また、ベース面も、ボス状のベース46Bの先端に配置されていなくてもよく、例えば、広い平らな面に配置されていてもよい。
【0093】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 定着装置
2 加熱ユニット
3 加圧ローラ
4 筐体
5 ガイド
43 穴
45 第1ボス
53 突起
55 第1長穴
NP ニップ部
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7