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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011663
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】爆薬装填装置
(51)【国際特許分類】
   F42D 1/08 20060101AFI20240118BHJP
   E21D 9/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F42D1/08
E21D9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113863
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】592243047
【氏名又は名称】株式会社キヨモトテックイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】宮川 克己
(72)【発明者】
【氏名】坂西 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】日暮 徹
(72)【発明者】
【氏名】手塚 仁
(72)【発明者】
【氏名】星野 義郎
(57)【要約】
【課題】爆薬供給装置の爆薬出口の近傍において爆薬を整列させて装填機側にスムーズに供給できるようにした爆薬装填装置を提供する。
【解決手段】切羽に形成された装薬孔に爆薬(増ダイ)を装填するための爆薬装填装置であって、爆薬供給装置2と、爆薬を装薬孔に圧送するための装填機と、爆薬を装填機側に送るための通路となる爆薬供給路4とを備え、爆薬供給装置2は、爆薬を収容可能な爆薬収容部2Aと、爆薬収容部2Aの爆薬出口(増ダイ排出口23)と爆薬供給路4との間に設けられた中継供給路40と、中継供給路40を開閉する開閉板51を有した開閉装置50とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切羽に形成された装薬孔に爆薬を装填するための爆薬装填装置であって、
爆薬供給装置と、
爆薬を装薬孔に圧送するための装填機と、
爆薬を装填機側に送るための通路となる爆薬供給路とを備え、
爆薬供給装置は、
爆薬を収容可能な爆薬収容部と、
爆薬収容部の爆薬出口と爆薬供給路との間に設けられた中継供給路と、
中継供給路を開閉する開閉板を有した開閉装置とを備えたことを特徴とする爆薬装填装置。
【請求項2】
中継供給路は、爆薬出口から爆薬供給路まで連続して縦方向に延長する供給路であり、
開閉装置の開閉板が中継供給路を閉じた場合に爆薬を受け、開閉板が中継供給路を開いた場合に爆薬が爆薬供給路に落下するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の爆薬装填装置。
【請求項3】
開閉板の開閉を制御する制御装置を備え、
制御装置は、爆薬供給装置の出口から中継供給路に排出された爆薬を開閉板で1個ずつ受けて爆薬供給路に1個ずつ供給できるように開閉板の開閉を制御することを特徴とする請求項1に記載の爆薬装填装置。
【請求項4】
爆薬供給装置から爆薬供給路に供給された爆薬の端面を押圧して爆薬圧送用の装填機側に送る爆薬押圧手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の爆薬装填装置。
【請求項5】
装填機は、中心軸線が水平方向に延長するように配置され、
爆薬供給路は、水平方向に延長するように設けられたことを特徴とする請求項4に記載の爆薬装填装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切羽に形成された装薬孔に爆薬を装填するための爆薬装填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切羽に形成された装薬孔に、爆薬及び込め物を装填する作業を遠隔操作で行う爆薬装填装置が知られている(特許文献1等参照)。
当該爆薬装填装置は、爆薬供給装置と、込め物供給装置と、爆薬供給装置により供給された爆薬又は込め物供給装置により供給された込め物を装薬孔に圧送する圧送装置とを備え、圧送装置は、爆薬供給装置及び込め物供給装置の排出側に設けられた装填機と、装填機の終端に接続された装填ホースと、装填ホースの終端に接続された装填パイプとを備えた構成である。
そして、装填パイプの終端側を装薬孔に挿入した状態で、装填ホース内に供給された爆薬又は込め物に装填機側から空気を送り込んで爆薬又は込め物を装薬孔内に圧送して装填するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6942624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の爆薬装填装置では、爆薬を自由落下方式で装填機側に供給するようにしているため、爆薬が落下する落下通路内で爆薬が引掛かってしまって後続の爆薬が詰まってしまう可能性があった。
即ち、特許文献1の爆薬装填装置では、爆薬供給装置の爆薬出口の近傍において爆薬を整列させることができないという課題があった。
本発明は、爆薬供給装置の爆薬出口の近傍において爆薬を整列させて装填機側にスムーズに供給できるようにした爆薬装填装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る爆薬装填装置は、切羽に形成された装薬孔に爆薬を装填するための爆薬装填装置であって、爆薬供給装置と、爆薬を装薬孔に圧送するための装填機と、爆薬を装填機側に送るための通路となる爆薬供給路とを備え、爆薬供給装置は、爆薬を収容可能な爆薬収容部と、爆薬収容部の爆薬出口と爆薬供給路との間に設けられた中継供給路と、中継供給路を開閉する開閉板を有した開閉装置とを備えたことを特徴とする。
また、中継供給路は、爆薬出口から爆薬供給路まで連続して縦方向に延長する供給路であり、開閉装置の開閉板が中継供給路を閉じた場合に爆薬を受け、開閉板が中継供給路を開いた場合に爆薬が爆薬供給路に落下するように構成されたことを特徴とする。
また、開閉板の開閉を制御する制御装置を備え、制御装置は、爆薬供給装置の出口から中継供給路に排出された爆薬を開閉板で1個ずつ受けて爆薬供給路に1個ずつ供給できるように開閉板の開閉を制御することを特徴とする。
本発明に係る爆薬装填装置によれば、爆薬供給装置の爆薬出口の近傍において爆薬を整列させることができ、爆薬を爆薬供給路及び装填機側にスムーズに供給できるようになった。
また、爆薬供給装置から爆薬供給路に供給された爆薬の端面を押圧して爆薬圧送用の装填機側に送る爆薬押圧手段を備えたことを特徴とするので、爆薬供給装置から排出された爆薬を装填機側にスムーズに供給できるようになった。
また、装填機は、中心軸線が水平方向に延長するように配置され、爆薬供給路は、水平方向に延長するように設けられたことを特徴とするので、高さの低い装置を実現でき、断面が小さいトンネルにも導入が可能な爆薬装填装置を提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】爆薬装填装置の使用状態を示す図。
図2】爆薬装填装置の外観を示す平面図。
図3図2のA方向から見た爆薬供給装置の外観を示す図。
図4】爆薬供給装置の縦断面部。
図5】爆薬装填装置の概要を示す平面図。
図6】爆薬供給装置の送りローラ及び開閉装置の拡大断面図。
図7】爆薬装填システムにおける爆薬強制装填方式の概要を示す正面図(図6のX方向から見た図)。
図8】込め物装填システムにおける込め物強制装填方式の概要を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る爆薬装填装置1は、トンネル掘削現場Tにおいて、切羽Kに穿孔した装薬孔Hに、爆薬及び込め物を装填するための装置であって、爆薬装填システム1Aと、込め物装填システム1Bと、制御装置1Xとを備えるとともに、爆薬装填システム1Aの装填機3Aの終端、及び、込め物装填システム1Bの装填機3Bの終端に装填ホースCが接続され、装填ホースCの終端には装填パイプDが接続されて構成されている。
【0008】
爆薬装填システム1A、込め物装填システム1B、制御装置1Xは、例えば図1のようにトンネル掘削現場Tの外部から当該トンネル掘削現場Tに亘って設置されたレール1R上を走行可能な車輪等の走行手段1Yを備えた設置台1Z上に設置されて移動可能なように構成されていたり、あるいは、車両に搭載されて移動可能なように構成されている。
そして、切羽Kの手前側で作業を行う作業者Mが装填パイプDを装薬孔Hに挿入した後、作業者Mや作業補助者等が、図外の指示装置から制御装置1Xに遠隔で指示を送ったり、あるいは、制御装置1Xに直接指示を与えることによって、制御装置1Xが爆薬装填システム1Aを制御して装填ホースCに爆薬が供給されたり、制御装置1Xが込め物装填システム1Bを制御して装填ホースCに込め物が供給される。
さらに、制御装置1Xが装填機3A,3Bを制御して、装填ホースC内に供給された爆薬又は込め物に装填機3A,3Bから圧縮空気が送り込まれることで、爆薬又は込め物が装薬孔H内に圧送されて装填される。
尚、切羽Kの高所に形成された装薬孔Hに装填パイプDを挿入する際には、例えば削岩機E、作業用ケージF等を備えたドリルジャンボG等の作業用機械を用いて、作業者Mが作業用ケージFに搭乗して作業を行う。また、切羽Kの地上Lに近い低所に形成された装薬孔Hに装填パイプDを挿入する際には、作業者Mが地上Lから作業を行う。
【0009】
爆薬装填装置1では、爆薬としての例えばエマルションタイプの含水爆薬と当該含水爆薬に点火する雷管とを備えて構成された薬包状爆薬(親ダイナマイト)10(以下、「親ダイ10」という)が、装填パイプDの先端に取付けられる。
そして、切羽Kに形成された装薬孔Hに挿入された装填パイプDの先端に取付けられている親ダイ10が、爆薬装填システム1Aから送られてくる圧送空気によって押圧されて装薬孔Hの孔尻に装填される。
次に、親ダイ10の爆轟により爆発する雷管の付いていない含水爆薬で構成された薬包状爆薬(増分ダイナマイト)11(即ち、殉爆による起爆を期待する爆薬、以下、「増ダイ11」という)が、上述した爆薬装填システム1Aにより圧送されて装薬孔Hに供給され、装薬孔Hに装填されている親ダイ10の後側に装填される。
そして、装薬孔Hの孔口を塞ぐために粘土等で形成された込め物(以下、「アンコ」という)12が、込め物装填システム1Bにより圧送されて装薬孔Hに供給され、装薬孔Hに装填されている増ダイ11の後側に装填される。
即ち、爆薬装填装置1により、親ダイ10、増ダイ11、アンコ12が、装薬孔Hの孔尻から孔口側に向けて順番に、順次押し潰された状態に密に装填される。
【0010】
尚、装薬孔Hの孔尻に装填された親ダイ10の雷管に一端が接続された図外の脚線の他端側が装薬孔Hの外に引き出された後、増ダイ11、アンコ12が装薬孔Hに装填され、脚線の他端が図外の発破器に接続される。
即ち、装薬孔Hに親ダイ10と増ダイ11とが装薬された後、装薬孔Hの孔口がアンコ12で塞がれた状態で、発破器を操作して親ダイ10の雷管に点火することにより、切羽Kを爆破する。
【0011】
親ダイ10、増ダイ11を構成する薬包状爆薬は、例えば、円筒状の紙筒に、水、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、ソルビタンセスキオート、マイクロクリスタリンワックス、グラスマイクロバルーン等を混ぜ合わせた粘土状の爆薬が充填されて形成された、直径約2.8cm程度、長さ16~17.7cm程度の円棒状に構成される。
アンコ12は、例えば、直径2.6cm、長さ10cm程度の円棒状に形成された粘土がビニールなどの包装材で包装されて構成される。
【0012】
爆薬装填装置1の爆薬装填システム1Aは、増ダイ供給装置(爆薬供給装置)2と、増ダイ11を装薬孔Hに圧送するための増ダイ圧送用(爆薬圧送用)の装填機3Aと、増ダイ11を増ダイ圧送用の装填機3A側に送るための通路となる増ダイ供給路(爆薬供給路)4と、増ダイ供給装置2から増ダイ供給路4に供給された棒状の増ダイ11の端面11eを押圧して増ダイ圧送用の装填機3A側に送る増ダイ押圧手段(爆薬押圧手段)5とを備える。
尚、実施形態1に係る爆薬装填システム1Aにおいては、装填機3Aは、管体3aの中心軸線3Cが水平方向に延長するように配置されるとともに、増ダイ供給路4は、水平方向に延長する水平な路面に形成されており、当該増ダイ供給路4の水平な路面と装填機3Aの入口とが連通するように構成されている。
そして、増ダイ供給装置2から、増ダイ供給路4の水平な路面に供給された棒状の増ダイ11の端面11eを増ダイ押圧手段5により押圧して当該増ダイ11を強制的に増ダイ圧送用の装填機3A側に送る構成とした。
【0013】
また、爆薬装填装置1の込め物装填システム1Bは、アンコ供給装置(込め物供給装置)6と、アンコ12を装薬孔Hに圧送するためのアンコ圧送用(込め物圧送用)の装填機3Bと、アンコ12をアンコ圧送用の装填機3B側に送るための通路となるアンコ供給路(込め物供給路)7と、アンコ供給装置6からアンコ供給路7に供給された棒状のアンコ12の端面12eを押圧してアンコ圧送用の装填機3B側に送るアンコ押圧手段(込め物押圧手段)8とを備える。
尚、実施形態1に係る込め物装填システム1Bにおいては、装填機3Bは、管体3aの中心軸線3Cが水平方向に延長するように配置されるとともに、アンコ供給路7は、水平方向に延長する水平な路面に形成されており、当該アンコ供給路7の水平な路面と装填機3Bの入口とが連通するように構成されている。
そして、アンコ供給装置6から、アンコ供給路7の水平な路面に供給された棒状のアンコ12の端面12eをアンコ押圧手段8により押圧して当該アンコ12を強制的にアンコ圧送用の装填機3B側に送る構成とした。
【0014】
また、爆薬装填システム1Aの装填機3Aの終端に接続された装填ホースCと、装填ホースCの終端に接続された装填パイプDとにより、増ダイを装薬孔Hに圧送するための圧送路が構成されるとともに、込め物装填システムBの装填機3Bの終端に接続された装填ホースCと、装填ホースCの終端に接続された装填パイプDとにより、アンコを装薬孔Hに圧送するための圧送路が構成される。
尚、装填ホースCとしては、例えば図5に示すように、装填機3Aの終端、及び、装填機3Bの終端の両方に接続可能な二股接続口CWを有した装填ホースCが用いられる。
即ち、装填機3Aと装填ホースCと装填パイプDとにより、増ダイ11を装薬孔Hに圧送するための圧送装置が構成される。
また、装填機3Bと装填ホースCと装填パイプDとにより、アンコ12を装薬孔Hに圧送するための圧送装置が構成される。
【0015】
まず、爆薬装填システム1Aについて説明する。
尚、本明細書においては、上、下、左、右、前、後は、図2乃至図7に示した方向と定義して説明する。
爆薬装填システム1Aの増ダイ供給装置2は、増ダイ収容部2Aと、増ダイ送出手段2Bとを備える。
【0016】
図2図4図5に示すように、増ダイ収容部2Aは、多数の増ダイ11を収容可能な収容ボックス20により構成される。
収容ボックス20は、右端壁(一端壁)21と、左端壁(他端壁)22と、右端壁21の下端から増ダイ排出口(爆薬出口)23が形成された左端壁22の下端側に向けて傾斜して下る傾斜底壁24と、前側壁(側壁)25と、後側壁(側壁)26と、上部開口27とを備え、図4に示すように、当該上部開口27が開閉蓋28により開閉可能な投入口に形成された箱体により構成される。
即ち、収容ボックス20内に、多数の増ダイ11,11…が投入されて収容される。つまり、図2に示すように、円棒状の増ダイ11の中心軸11Cが前後方向に水平に延長するように設置されて収容される。
尚、図4に示すように、収容ボックス20の傾斜底壁24の内面には、複数のフリーローラ29a,29a…が傾斜方向に並設されて形成されたグラビティコンベヤ29を備えているので、増ダイ11が、傾斜底壁24の傾斜方向に沿って移動しやすい構成となっている。
【0017】
図4図5図6に示すように、増ダイ送出手段2Bは、増ダイ収容部2Aの増ダイ排出口23の上方に設けられて増ダイ収容部2Aから増ダイ供給路4に増ダイ11を送る送りローラ30と、増ダイ収容部2Aの増ダイ排出口23と増ダイ供給路4との間に設けられた中継供給路40と、中継供給路40を開閉する開閉板51を有した開閉装置50とを備える。
【0018】
送りローラ30は、増ダイ収容部2Aの増ダイ排出口23において、増ダイ11,11…が集中して詰まらないように、増ダイ11,11…の集中に基づく増ダイ11の詰まり状態を崩すための手段である。
当該送りローラ30は、回転中心軸31と、断面円形の外周面32aを備えたローラ32と、回転中心軸31に回転力を付与してローラ32を回転させるモータ等の回転動力付与手段33とを備えて構成される。
【0019】
送りローラ30は、例えば、図7に示すように、回転中心軸31の一端側が連結板46に回転可能に取付けられるとともに、回転中心軸31の他端側が連結板47に回転可能に取付けられて、当該回転中心軸31の他端に、回転動力付与手段33としての例えばモータのモータ軸が連結されて構成される。
そして、制御装置1Xが当該モータを制御することによって、図6に示すように、増ダイ11を中継供給路40及び増ダイ供給路4に送る方向である正方向又は逆方向に回転するように構成されている。
【0020】
図6に示すように、ローラ32の外周面32aには、複数の凸部34,34…が、周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられている。
凸部34は、例えば、1層目の湾曲板34aと、1層目の湾曲板34aの上に積層されて設けられた2層目の湾曲板34bとで構成される。
1層目の湾曲板34aは、ローラ32の幅方向に対応する横方向寸法がローラ32のほぼ全幅寸法に対応する寸法に形成されて、かつ、ローラ32の周方向に対応して湾曲する周方向寸法が所定の長さに形成される。
2層目の湾曲板34bは、ローラ32の幅方向に対応する横方向寸法がローラ32のほぼ全幅寸法に対応する寸法に形成されて、かつ、ローラ32の周方向に対応して湾曲する周方向寸法が1層目の湾曲板の所定の長さよりも短い寸法に形成される。
そして、凸部34は、1層目の湾曲板34aが、ローラ32の外周面32aに溶接等の取付手段で取付けられ、かつ、2層目の湾曲板34bが、1層目の湾曲板34aの上に溶接等の取付手段で取付けられて構成される。
尚、送りローラ30の材質は特に限定されないが、例えば金属材料や合成樹脂材料等で形成されたものを用いればよい。
【0021】
凸部34は、ローラ32を逆方向に回転させた場合に増ダイ11に衝突する側の壁面35が段差面に形成された構成である。
即ち、当該壁面35は、周方向にずれて位置された1層目の湾曲板34aの周方向一端側の端面35aと2層目の湾曲板34bの周方向一端側の端面35bとで構成された段差面に形成される。即ち、壁面35は、2段突起により構成される。
また、凸部34は、ローラ32を正方向に回転させた場合に増ダイ11に衝突する側の壁面36を備える。
即ち、当該壁面36は、周方向で一致した1層目の湾曲板34aの周方向他端側の端面36aと2層目の湾曲板34bの周方向他端側の端面36bとで構成される。つまり、当該壁面36は、湾曲板34aの板厚寸法+湾曲板34bの板厚寸法の高さを有した壁面に形成される。
【0022】
尚、図6に示すように、上述した送りローラ30の上方に設けられた隔壁である左端壁(他端壁)22は、送りローラ30の回転中心線を含む垂直面よりも収容ボックス20の右端壁(一端壁)21側(即ち、傾斜底壁24の傾斜方向上流側)に位置する内壁面22Aを備えた構成とした。
内壁面22Aは、左端壁22の下端22eから収容ボックス20の右端壁21側及び上方に向けて延長する傾斜面22aと、当該傾斜面22aの上端から上方に垂直に延長する垂直面22bとを備える。この垂直面22bは、送りローラ40の回転中心線を含む垂直面と平行に対向する垂直面である。
当該内壁面22Aを備えたことにより、収容ボックス20内に収容された増ダイ11,11…は、傾斜面22aに沿って並ぶように位置されるようになるため、送りローラ32の上方の増ダイ11の重量が送りローラ32の直近に位置される増ダイ11や送りローラ30に加わり難くなる。従って、送りローラ32の直近に位置される増ダイ11の変形を軽減でき、また、送りローラ30の回転負荷を軽減できる。
【0023】
また、左端壁22の下端22eと送りローラ30の凸部34との間に増ダイ11が挟まらないように、当該左端壁22の下端22eと送りローラ30の凸部34との間の間隔が、棒状の増ダイ11の直径寸法よりも小さい間隔となるように構成されている。
【0024】
制御装置1Xは、送りローラ30を、正方向又は逆方向に回転させる回転制御を行うように構成されている。このため、送りローラ30に接触している増ダイ11に異なる方向からの力が加えられるようになり、送りローラ30に接触している増ダイ11の挙動に変化を付与できるので、当該増ダイ11に接触している増ダイ11にも力が付与される。
よって、増ダイ排出口23の近傍に集中している増ダイ群を崩すことができるので、増ダイ11,11…の詰まり解消効果が得られる。
【0025】
特に、回転制御として、正方向に回転させる時間と逆方向に回転させる時間とを異ならせる回転制御を行う制御装置1Xとすることで、送りローラ30に接触している増ダイ11に異なる方向から不規則な力を付与できるようになり、増ダイ11,11…の詰まり解消効果を向上させることができる。
例えば、送りローラ30を、正方向に3秒間回転させた後に、逆方向に1.5秒間回転させる回転制御を行う制御装置1Xとすることで、増ダイ11,11…の詰まり解消効果が向上したことを確認できた。
【0026】
また、当該制御装置1Xによる送りローラ30の回転制御は、例えば、増ダイ供給経路4及び増ダイ排出口23の少なくとも一方に、増ダイ11が存在しない時に行うようにした。
例えば、図6に示すように、増ダイ供給経路4上に増ダイ11が存在するか否かを検出するセンサS1と、増ダイ排出口23に増ダイ11が存在するか否かを検出するセンサS2とを備える。
そして、制御装置1Xは、センサS1及びセンサS2の少なくとも一方から、増ダイ11が存在しないことを示す信号を受信した場合に、回転動力付与手段33としてのモータに駆動信号を出力することにより、送りローラ30の回転制御を行うように構成されている。従って、速やかに、増ダイ11,11…の詰まりが解消されるようになる。
また、制御装置1Xは、センサS1及びセンサS2の両方から、増ダイ11が存在することを示す信号を受信した場合には、回転動力付与手段33としてのモータに停止信号を出力することにより、送りローラ30の回転制御を中止するように構成されている。つまり、回転制御を開始してから規定動作時間(例えば上述した3秒+1.5秒)が経過していなくても回転制御を中止する。従って、増ダイ11が詰まっていない状態において増ダイ11に送りローラ30からの不要な力が加わってしまうことを防止できる。即ち、増ダイ11が詰まっていない状態で送りローラ30を回転すると、送りローラ30の凸部が増ダイ11の外径を擦って、増ダイ11のシュリンク包装が剥がれやすくなるという不具合を生じやすくなるが、このような不具合を防止できるようになる。
図6に示すように、センサS1は、例えば、収容ボックス20における増ダイ排出口23の下方に位置される傾斜底壁24の裏側に設置され、センサS2は、後述する中継供給路40の垂直路42の下端側における右内面42aの裏側に設置される。
尚、センサS1,センサS2としては、例えば、拡散反射形の光電センサが用いられ、センサS1が設置される傾斜底壁24、及び、センサS2が設置される垂直路42の下端側には、当該光電センサの光を透過させるための図外の透過孔が形成されている。
【0027】
上述した増ダイ排出口23は、送りローラ30のローラ32の外周面32aにおける下端位置と収容ボックス20の傾斜底壁24の内面と間の空間により形成される。
この増ダイ排出口23と増ダイ供給路4との間には、増ダイ排出口23から増ダイ供給路4に増ダイ11を供給するための供給路となる中継供給路40を備える。
当該中継供給路40は、増ダイ排出口23から下方斜めに延長する傾斜路41と、傾斜路41の下端から下方垂直方向に延長する垂直路42とを備える。即ち、中継供給路40は、増ダイ排出口23から増ダイ供給路4まで連続して縦方向に延長する供給路である。つまり、中継供給路40は、上方の増ダイ排出口23から連続して縦方向に延長する傾斜路41及び垂直路42を介して下方の水平な増ダイ供給路4まで到達する供給路である。
傾斜路41の路面41a及び垂直路42の右内面42aは、収容ボックス20の傾斜底壁24の内面から延長するように設けられる。
また、傾斜路41の上面41b及び垂直路42の左内面42bは、カバー板43により構成される。
当該カバー板43は、傾斜路41の路面41aと平行な上面41bを形成する上側板部43Aと垂直路42の右内面42aと平行な左内面42bを形成する下側板部43Bとの間の部分を湾曲させて形成された湾曲板により構成され、当該下側板部43Bの下端側が、図6に示すように、増ダイ供給路4の左側に設けられたブラケット40Xにヒンジ機構40Yを介して取付けられている。
【0028】
つまり、当該カバー板43は、ヒンジ機構40Yを介して開閉可能に設けられている。
即ち、当該カバー板43は、図6の実線に示すように、閉じた状態に設定されることで、カバー板43の内面である傾斜路41の上面41b及び垂直路42の左内面42bと傾斜路41の路面41a及び垂直路42の右内面42aとが平行に対向した状態の中継供給路40が構成されることになる。
また、当該カバー板43は、図6の想像線に示すように左側に開くことができるように構成されている。即ち、作業終了後に、当該カバー板43を開くことによって、中継供給路40に残っている増ダイ11,11…を回収できるように構成されている。尚、ブラケット40Xには、カバー板43が所定の角度以上に開かないようにするためのストッパー40Zが設けられている。
尚、図7に示すように、閉じた状態に設定されたカバー板43の近傍には、カバー板43の開閉確認用の近接スイッチ等のセンサS3が設けられている。そして、制御装置1Xは、センサS3からカバー板43が閉じていることを示す信号を受信しているときにのみ爆薬装填装置1を動作させ、センサS3からカバー板43が開いていることを示す信号を受信しているときは、爆薬装填装置1の動作を停止する。即ち、爆薬装填装置1は、カバー板43が開いている場合には、爆薬装填装置1の動作を停止するインターロック機能を備えている。
【0029】
当該中継供給路40の下端が増ダイ供給路4に到達し、増ダイ排出口23と増ダイ供給路4とが中継供給路40によって繋がれる。
尚、中継供給路40の前側壁44及び後側壁45が設けられている。当該前側壁44と後側壁45との間の間隔は、増ダイ11の長さ寸法よりも若干大きい間隔に設定されている。
従って、傾斜路41の路面41a及び垂直路42の右内面42aとカバー板43と前側壁44と後側壁45とで囲まれた空間により、中継供給路40が構成される。
よって、増ダイ排出口23を排出した増ダイ11が中継供給路40を経由して増ダイ供給路4上に到達する。
【0030】
また、カバー板43の下側板部43Bには、開閉装置50が設けられている。
当該開閉装置50は、中継供給路40を形成した状態において、下側板部43Bに形成されている開閉板貫通孔51を介して中継供給路40に対して進退可能に設けられた開閉板52と、開閉板52の開閉駆動装置53とを備えて構成される。
開閉装置50は、例えば、開閉駆動装置53としてのソレノイドや油圧シリンダ,エアシリンダ等の進退装置により進退するプランジャ54(図6参照)の先端側に開閉板52を備えた構成である。
【0031】
即ち、開閉装置50の開閉板52が中継供給路40を閉じた場合に増ダイ11を水平状態で受け、開閉板52が中継供給路40を開放した場合に増ダイ11が水平状態のまま増ダイ供給路4に落下するように構成されている。
つまり、制御装置1Xは、増ダイ排出口23から中継供給路40に排出された増ダイ11を開閉板52で1個ずつ受けて増ダイ供給路4上に1個ずつ供給できるように開閉板52の開閉を制御する。
【0032】
開閉板52は、例えば、前後左右方向に延長する水平な板面を有した水平板により構成される。当該開閉板52の前後方向の長さは、図7に示すように、増ダイ11の長さ寸法の例えば1/3以上の長さに形成され、中継供給路40を下降してくる増ダイ11の延長方向の中央部を支えることが可能なように構成されている。
また、図6に示すように、開閉板52の開閉方向先端側の上面は、中継供給路40内を下降する上下の増ダイ11,11の間における上の増ダイ11のカバー板43側の外周下側湾曲面に対応した湾曲面52tに形成されている。さらに、開閉板52の開閉方向の先端は、中継供給路40内を下降する上下の増ダイ11,11の間に入り込みやすいように、尖った形状に形成されている。
即ち、開閉板52は、増ダイ供給路4上に位置された下側増ダイ11と当該下側増ダイ11の直上に積み重なるように位置された上側増ダイ11との間の水平位置で左右に進退するように構成されている。
そして、中継供給路40を閉じる方向に開閉板52を移動させることによって、開閉板52の先端側の湾曲面52tが中継供給路40内を下降する増ダイ11を水平に維持した状態で受ける。つまり、開閉板52の先端側の湾曲面52tが上側増ダイ11のカバー板43側の外周下側湾曲面に接触することで、当該開閉板52が上側増ダイ11を受けて当該上側増ダイ11を水平状態に維持するように構成されている。そして、中継供給路40を開く方向に開閉板52を移動させた場合に、当該開閉板52で受け止められていた増ダイ11が水平状態のまま増ダイ供給路4上に供給されることになる。
つまり、開閉板52を開閉させることで、増ダイ11を水平に保った状態で増ダイ供給路4上に増ダイ11を1つずつスムーズに供給することができるようになる。
開閉板52を備えない構成の場合、増ダイ11が斜めの状態(図7の前後方向に傾いた状態)で増ダイ供給路4上に落下してしまう可能性がある。このように、増ダイ11が斜めの状態で増ダイ供給路4上に落下してしまった場合、増ダイ11を装填できなくなって装填作業に支障を来たしたり、増ダイ11,11…が中継供給路40内で詰まってしまう原因となる。
一方、実施形態では、開閉板52を備えているため、増ダイ供給路4の直上において上側増ダイ11を水平状態に維持することができるので、当該増ダイ11を水平状態のまま増ダイ供給路4上に落下させることができるようになる。従って、増ダイ11をスムーズかつ正確に装填できるようになり、また、中継供給路40内で増ダイ11,11…を水平状態に整列させることできて、増ダイ11が中継供給路40内で詰まってしまうようなことも解消できるようになった。
【0033】
図3図5図7に示すように、増ダイ供給路4の前側には、増ダイ供給路4上に供給された増ダイ11を押圧する押圧体5Aが配置される。
当該押圧体5Aと、この押圧体5Aを前後方向に進退自在に駆動する押圧体駆動装置5B(図3参照)により、増ダイ供給路4に供給された棒状の増ダイ11の端面11eを押圧して増ダイ圧送用の装填機3A側に送る増ダイ押圧手段5が構成される。押圧体駆動装置5Bは、例えば、油圧シリンダ,エアシリンダ等の進退装置により構成される。
尚、増ダイ11の端面11eは、増ダイ供給路4上に供給された増ダイ11の中心軸線11Cに沿った方向の前側(一端側)の端面のことである(図5参照)。
【0034】
図7に示すように、水平な路面を有した増ダイ供給路4の終端には、例えば上述した連結板46が延長するように設けられており、当該連結板46に形成された連結孔48と装填機3Aの導入口とが連結されたことにより、増ダイ供給路4と装填機3Aの管体3a内とが連通するように構成されている。
装填機3Aは、管体3aと、管体3aの中途に設けられた装填バルブ3bと、装填バルブ開閉装置3cと、圧送空気供給機構3Xとを備える。
【0035】
装填バルブ3bは、装填バルブ開閉装置3cにより管体3aの管路を開閉する例えばボールバルブのような弁体3dを有したものである。
【0036】
圧送空気供給機構3Xは、圧縮空気供給装置3eと、圧縮空気を弁体3dに供給するための圧縮空気供給管3fとを備える。
【0037】
装填バルブ3bの弁体3dが管体3aの管路を閉鎖した状態において、圧縮空気供給装置3eを駆動して、弁体3dよりも後側(下流側)の位置から当該弁体3dに向けて圧縮空気を吹き付けることにより、弁体3dに衝突した空気が装填ホースC側に向けた空気の流れとなり、装填ホースCに供給されている増ダイ11が当該空気の流れによる圧力によって装薬孔Hまで圧送される。
【0038】
次に、図5に基づいて、増ダイ11が装薬孔Hに装填されるまでの流れについて説明する。尚、図5において、矢印aは増ダイ11の移動方向、矢印bは押圧体5Aの進退方向を示す。
まず、増ダイ収容部2Aに増ダイ11,11…を入れて収容した後、制御装置1Xを作動させる。
制御装置1Xは、センサS1から増ダイ供給路4上に増ダイ11が存在することを示す信号を受信した場合に、押圧体駆動装置5Bを制御して、押圧体5Aを後側(装填機3A側)に移動させることにより、押圧体5Aが、増ダイ供給路4上に供給されている増ダイ11の端面を押圧する。
押圧体5Aで押された増ダイ11は、装填機3Aの管路内、又は、装填ホースC内に移動する。
尚、開閉板52は、押圧体5Aが後側(装填機3A側)に移動するのに同期して中継供給路40を閉じ、押圧体5Aが前側に戻るのに同期して中継供給路40を開放するように制御される。
制御装置1Xは、開閉駆動装置53及び押圧体駆動装置5Bを制御して、所定数の増ダイ11を装填機3Aの管路内、又は、装填ホースC内に移動させる。
その後、制御装置1Xは、閉鎖装填バルブ開閉装置3cを制御して弁体3dで管体3aの管路を閉鎖した後、圧縮空気供給装置3eを制御して弁体3dに向けて圧縮空気を吹き付けることにより、弁体3dに衝突した空気が装填ホースC側に向けた空気の流れとなり、装填ホースCに供給されている増ダイ11が当該空気の流れによる圧力によって圧送されて、装薬孔Hに装填される。
尚、制御装置1Xは、上述したように、例えば、増ダイ供給路4及び増ダイ排出口23の少なくとも一方に増ダイ11が存在しないことを、センサS1,センサS2から受信した場合に、送りローラ30の回転制御を行う。これにより、増ダイ11,11…の詰まりが解消される。
即ち、制御装置1Xにより回転制御される送りローラ30、及び、制御装置1Xにより開閉制御される開閉体52を備えたことで、増ダイ収容部2Aの増ダイ排出口23の近傍での増ダイ11の詰まり、及び、中継供給路40内での増ダイ11の詰まりを解消でき、増ダイ11を水平に保った状態で増ダイ供給路4上に増ダイ11を1つずつスムーズに供給することができるようになった。
【0039】
次に、込め物装填システム1Bについて説明する。
込め物装填システム1Bは、上述したように、アンコ供給装置6と、アンコ圧送用の装填機3Bと、アンコ供給路7と、アンコ押圧手段8とを備える。
そして、アンコ供給装置6は、図5に示すように、アンコ12を後述する整列路63まで搬送する搬送装置6Aと、アンコ12を整列路63からアンコ供給路7まで移送する移送装置6Bとを備える。
【0040】
搬送装置6Aは、多数のアンコ12,12…を収容するとともに搬送するパーツフィーダ60と、パーツフィーダ60の出口に繋がれた上流側搬送路61aと、上流側搬送路61aにより搬送されてくるアンコ12の形状を矯正する矯正装置62と、矯正装置62を経由して矯正されたアンコ12を整列路63まで搬送する下流側搬送路61bとを備える。
【0041】
矯正装置62は、例えば、外周面が断面湾曲凹部状に形成された4つのローラが十字状に配置されて構成され、4つのローラの湾曲凹部状の外周面で囲まれた円筒状空間をアンコ12が通過する際に、アンコ12の円棒の外周面が、4つのローラの湾曲凹部状の外周面に接触して矯正されるように構成されている。つまり、トラック輸送中、保管中、開梱時等において変形したアンコ12の形状を所定の丸棒状に矯正する装置である。
【0042】
移送装置6Bは、搬送装置6Aにより搬送されてきたアンコ12を水平面上に複数個直列に並ぶように整列させる整列路63と、整列路63に直列に並んだ複数個のアンコ12,12をまとめてアンコ供給路7に移送する移送手段64とを備える。
当該移送手段64は、押出部材64aと、当該押出部材64aを進退させる図外の押出部材駆動装置とを備える。当該押出部材駆動装置は、例えば、油圧シリンダ,エアシリンダ等の進退装置により構成される。
尚、アンコ供給路7の路面は、例えば整列路63の路面よりアンコ12の直径寸法程度だけ下方に位置されるように構成される。
【0043】
アンコ供給路7の前側には、アンコ供給路7上に供給された複数のアンコ12,12…(例えば3個のアンコ12)を押圧する押圧体8Aが配置される。
当該押圧体8Aと、この押圧体8Aを前後方向に進退自在に駆動する押圧体駆動装置8B(図3参照)により、アンコ供給路7に供給された棒状の複数のアンコ12,12…のうち一番前側に位置されるアンコ12の端面12eを押圧して、これら複数のアンコ12,12…をアンコ圧送用の装填機3B側に送るアンコ押圧手段8が構成される。押圧体駆動装置8Bは、例えば、油圧シリンダ,エアシリンダ等の進退装置により構成される。
尚、アンコ12の端面12eは、アンコ供給路7上に供給された複数のアンコ12,12…のうち一番前側に位置されるアンコ12の中心軸線12Cに沿った方向の前側(一端側)の端面のことである。
【0044】
図8に示すように、水平な路面を有したアンコ供給路7の終端には、連結板71が設けられており、当該連結板71に形成された連結孔72と装填機3Bの導入口とが連結されたことにより、アンコ供給路7と装填機3Bの管体3a内とが連通するように構成されている。
尚、装填機3Bは、上述した装填機3Aと同じ構成である。
【0045】
次に、図5に基づいて、アンコ12が装薬孔Hに装填されるまでの流れについて説明する。尚、図5において、矢印c,dはアンコ12の搬送方向、矢印eは押出部材64aの進退方向、矢印fは押圧体8Aの進退方向を示す。
まず、パーツフィーダ60にアンコ12,12…を投入した後、パーツフィーダ60を作動させることにより、所定数のアンコ12,12…を整列路63まで搬送する。
そして、所定数のアンコ12,12…が整列路63まで搬送されたことを示す搬送完了信号が図外のセンサから図外の操作盤に送信される。操作盤の操作者は、操作盤が搬送完了信号を受信したことを確認した後に、操作盤のアンコ装填信号送信スイッチを押す。そして、アンコ装填信号を受信した押出部材駆動装置が押出部材64aを図5の右側に移動させる。これにより、所定数のアンコ12,12…が押出部材64aによりまとめて押し出されて整列路63からアンコ供給路7まで移送される。
そして、制御装置1Xは、所定数のアンコ12,12…がアンコ供給路7に移送されたことを示す信号を図外の検出装置(検出センサ)から受信したならば、押圧体駆動装置8B(図3参照)を制御して、押圧体8Aを後側(装填機3B側)に移動させることにより、押圧体8Aが、アンコ供給路74上に位置されているアンコ12の端面12eを押圧する。
押圧体8Aで押された所定数のアンコ12,12…は、装填機3Bの管路内、又は、装填ホースC内に移動する。
その後、制御装置1Xは、閉鎖装填バルブ開閉装置3cを制御して弁体3dで管体3aの管路を閉鎖した後、圧縮空気供給装置3eを制御して弁体3dに向けて圧縮空気を吹き付けることにより、弁体3dに衝突した空気が装填ホースC側に向けた空気の流れとなり、装填ホースCに供給されている所定数のアンコ12,12…が当該空気の流れによる圧力によって圧送されて、装薬孔Hに装填される。
即ち、移送装置6Bを備えたので、所定数のアンコ12,12…をまとめてアンコ供給路7まで移送できて、所定数のアンコ12,12…をまとめて装薬孔Hに装填することができるようになり、アンコ装填作業をより効率的に行えるようになった。
【0046】
実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、増ダイ押圧手段5により増ダイ11を強制押圧して装填機3A側に供給する増ダイ強制押圧供給方式を採用した爆薬装填システム1Aを備えたことにより、増ダイ供給装置2から排出された増ダイ11を装填機3A側にスムーズに供給できるようになった。
また、実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、アンコ押圧手段8によりアンコ12を強制押圧して装填機3B側に供給するアンコ強制押圧供給方式を採用した込め物装填システム1Bを備えたことにより、アンコ供給装置6から排出された所定数のアンコ12,12…をまとめて装填機3B側にスムーズに供給できるようになった。
【0047】
実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、増ダイ11又はアンコ12を水平方向に強制押圧する構成としたので、爆薬装填装置1の高さ寸法(機械高さ)を低減できる。
即ち、特許文献1に開示された爆薬装填装置では、増ダイ又はアンコを縦方向に自由落下させる方式であったため、落下高さを確保するために、必然的に、機械高さを高くする必要があったが、実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、増ダイ11又はアンコ12を水平方向に強制押圧する構成としたので、高さの低い装置を実現でき、断面が小さいトンネルにも導入が可能な爆薬装填装置1を提供できるようになった。
つまり、図7に示すように、増ダイ圧送用の装填機3Aは、中心軸線3Cが水平方向HDに延長するように配置され、増ダイ供給路4は、水平方向HDに延長するように設けられた構成とし、さらに、図8に示すように、込め物圧送用の装填機3Bは、中心軸線3Cが水平方向HDに延長するように配置され、込め物供給路7は、水平方向HDに延長するように設けられた構成としたので、高さの低い装置を実現でき、断面が小さいトンネルにも導入が可能な爆薬装填装置1を提供できるようになった。
【0048】
実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、爆薬供給装置2が、制御装置1Xにより回転制御されて爆薬供給路4に増ダイ11を送る送りローラ30を備えたので、増ダイ排出口23の近傍に集中している増ダイ群を崩すことができるようになり、増ダイ収容部2Aの増ダイ排出口23の近傍での増ダイ11の詰まりを抑制できるようになった。
【0049】
実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、爆薬供給装置2の増ダイ排出口(爆薬出口)23と爆薬供給路4との間に設けられた中継供給路40と、制御装置1Xにより開閉制御されて中継供給路40を開閉する開閉板52を有した開閉装置50とを備えたので、中継供給路40内での増ダイ11の詰まりを解消できるようになり、増ダイ11を水平に保った状態で増ダイ供給路4上に増ダイ11を1つずつスムーズに供給することができるようになった。即ち、中継供給路40及び開閉装置50を備えたことにより、爆薬供給装置2の増ダイ排出口23の近傍において増ダイ11,11…を整列させることができ、増ダイ11を1つずつ増ダイ供給路4及び装填機3A側にスムーズに供給できるようになった。
【0050】
実施形態1に係る爆薬装填装置1によれば、増ダイ圧送用の装填機3Aとアンコ圧送用の装填機3Bとを別々に備えたので、増ダイ圧送用の装填機3Aとアンコ圧送用の装填機3Bとを別々に制御することが可能となるため、後述する実施形態2のように、装填機を移動させる必要が無くなるので、作業のタイムロスを少なくできる。
【0051】
実施形態2
実施形態1に係る爆薬装填装置1では、増ダイ圧送用の装填機3Aとアンコ圧送用の装填機3Bとを別々に備えた構成のものを例示したが、増ダイ圧送用とアンコ圧送用とを兼用する1つの装填機を備えた構成としてもよい。
即ち、上述した増ダイ供給装置2と、込め物供給装置6と、増ダイ又はアンコを装薬孔に圧送するための1つの装填機と、増ダイ供給路4と、込め物供給路7と、装填機を、増ダイ供給路4の終端側、又は、アンコ供給路7の終端側に移動させる装填機移動手段と、増ダイ供給装置2から増ダイ供給路4に供給された増ダイ11の端面11eを押圧して装填機側に送る増ダイ押圧手段5と、アンコ供給装置6からアンコ供給路7に供給されたアンコ12の端面12eを押圧して装填機側に送るアンコ押圧手段8とを備えた構成の爆薬装填装置であってもよい。
実施形態2に係る爆薬装填装置によれば、実施形態1に係る爆薬装填装置1と同様に、増ダイ供給装置2から排出された増ダイ11、及び、アンコ供給装置6から排出されたアンコ12を装填機側にスムーズに供給できるようになる。
また、実施形態2に係る爆薬装填装置によれば、装填機を1つにできるので、装填機に係るコストを低減できるとともに、装填機の制御を簡素化できるようになる。
【0052】
尚、上記実施形態で説明した「水平」の意味は、水平、又は、水平に近い状態も含むものとする。即ち、本発明の説明において使用した「水平」の意味は、厳密な水平の意味以外に、水平面に対して例えば数°程度の傾斜を有した水平に近い状態をも含むものとする。
【0053】
また、上記では、増ダイ排出口(爆薬出口)23の上方に送りローラ30が設けられた構成を例示したが、当該送りローラ30を備えない構成としてもよい。
即ち、増ダイ供給装置2が、増ダイ11を収容可能な増ダイ収容部2Aと、増ダイ排出口(爆薬出口)23と増ダイ供給路4との間に設けられた中継供給路40と、中継供給路40を開閉する開閉板51を有した開閉装置50とを備えた構成であればよい。
【0054】
また、上記では、増ダイ装填システム(爆薬装填システム)1Aとアンコ装填システム(込め物装填システム)1Bとを備えた爆薬装填装置1を例示したが、本発明の爆薬装填装置は、アンコ装填システム(込め物装填システム)1Bを備えていない構成、即ち、増ダイ装填システム(爆薬装填システム)1Aのみを備えた構成の爆薬装填装置であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 爆薬装填装置、1A 爆薬装填システム、
1X 制御装置、2 増ダイ供給装置(爆薬供給装置)、
2A 増ダイ収容部(爆薬収容部)、3A 増ダイ圧送用(爆薬圧送用)の装填機、
4 増ダイ供給路(爆薬供給路)、5 増ダイ押圧手段(爆薬押圧手段)、
11 増ダイ(爆薬)、11e 増ダイの端面、22 左端壁(隔壁)、22A 内壁面、23 増ダイ排出口(爆薬出口)、40 中継供給路、50 開閉装置、51 開閉板、H 装薬孔。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8