(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116636
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
G03G15/20 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022337
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真一
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA23
2H033BA02
2H033BA04
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA26
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB22
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB38
2H033BE00
(57)【要約】
【課題】除電ブラシの脱落を抑制することを目的とする。
【解決手段】定着装置1は、筐体4と、加熱部と、加圧部と、除電ブラシ5と、アース板金61と、補助板金62を備える。加熱部は、シートを加熱する。加圧部は、加熱部との間にニップ部を形成する。除電ブラシ5は、加熱部に接触する。アース板金61は、除電ブラシ5をアースするための板金である。アース板金61は、接触部61Bを有する。接触部61Bは、除電ブラシ5に接触する。補助板金62は、接触部61Bとの間で除電ブラシ5を挟む。筐体4は、保持部42を有する。保持部42は、除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62を撓ませた状態で保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
シートを加熱する加熱部と、
前記加熱部との間にニップ部を形成する加圧部と、
前記加熱部に接触する除電ブラシと、
前記除電ブラシをアースするためのアース板金であって、前記除電ブラシに接触する接触部を有するアース板金と、
前記接触部との間で前記除電ブラシを挟む補助板金と、を備え、
前記筐体は、
前記除電ブラシを挟んだ前記接触部および前記補助板金を撓ませた状態で保持する保持部を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記保持部は、
第1面から第1方向に突出する2つの第1リブであって、前記第1方向と直交する第2方向に離れた2つの第1リブと、
前記第1面と対向する第2面から突出する第2リブであって、前記第2方向において2つの前記第1リブの間に位置する第2リブと、を有し、
前記第1方向における前記第1リブの先端から前記第2リブの先端までの距離は、前記第1方向における前記接触部、前記除電ブラシおよび前記補助板金の各寸法の積算値よりも小さく、
前記除電ブラシを挟んだ前記接触部および前記補助板金は、2つの前記第1リブと、前記第2リブとで挟まれることで、撓んだ状態で前記保持部に保持されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記接触部と前記補助板金は、前記第1方向において前記除電ブラシを挟み、
前記アース板金は、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向において前記補助板金と接触する当接部を有することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記アース板金が取り付けられるフレームであって、前記除電ブラシが通る開口を有するフレームと、
前記アース板金の前記フレームとは反対の面を覆うカバーと、をさらに備え、
前記カバーは、前記当接部の前記除電ブラシとは反対側の面と接触する押さえ部を有することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記カバーは、
当該カバー内の空間を、前記フレームの前記開口が臨む第1空間と、当該第1空間とは別の第2空間とに仕切るための仕切壁と、
前記第1空間に臨む位置に位置し、前記第1空間内の空気を排出する排気口と、を有し、
前記第2空間内には、電子回路を構成する電子部品が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記アース板金は、直列接続されたキャパシタおよび第1抵抗を介して接地されることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
前記電子回路は、
直列接続された前記キャパシタおよび前記第1抵抗と、前記キャパシタおよび前記第1抵抗と並列接続される第2抵抗とを有する回路と、
前記加圧部と前記回路の間に位置するダイオードであって、前記回路から前記加圧部への電流の流れを抑制するダイオードと、をさらに備え、
前記アース板金は、前記回路を介して接地され、
前記加圧部は、前記ダイオードおよび前記回路を介して接地されることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記加熱部は、
無端状のベルトと、
前記ベルトの内側に位置する板状のヒータと、を備え、
前記加圧部は、前記ヒータとの間で前記ベルトを挟む加圧ローラであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記除電ブラシは、前記ベルトの端部に接触することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を熱定着させる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置の加熱ローラなどを除電するための部材として、導電性繊維をブラシ毛として有する除電ブラシが知られている(特許文献1参照)。除電ブラシは、接着剤や接着テープなどによって、定着フレームなどの所定箇所に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、除電ブラシを接着剤等で定着フレーム等に固定した場合には、定着装置の熱の影響を受けた接着剤等が経年劣化して、除電ブラシが定着フレーム等から脱落してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、除電ブラシの脱落を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、筐体と、加熱部と、加圧部と、除電ブラシと、アース板金と、補助板金と、を備える。
加熱部は、シートを加熱する。
加圧部は、加熱部との間にニップ部を形成する。
除電ブラシは、加熱部に接触する。
アース板金は、除電ブラシをアースするための板金である。アース板金は、接触部を有する。接触部は、除電ブラシに接触する。
補助板金は、接触部との間で除電ブラシを挟む。
筐体は、保持部を有する。
保持部は、除電ブラシを挟んだ接触部および補助板金を撓ませた状態で保持する。
【0007】
保持部が、除電ブラシを挟んだ接触部および補助板金を撓ませた状態で保持する構成とすることで、例えば接着剤で除電ブラシを定着フレーム等に貼り付ける構成に比べ、経年劣化によって除電ブラシが脱落するのを抑制できる。
【0008】
また、保持部は、2つの第1リブと、第2リブと、を有していてもよい。
2つの第1リブは、第1面から第1方向に突出する。2つの第1リブは、第1方向と直交する第2方向に離れている。
第2リブは、第2面から突出する。第2面は、第1面と対向する。第2リブは、第2方向において2つの第1リブの間に位置する。
第1方向における第1リブの先端から第2リブの先端までの距離は、第1方向における接触部、除電ブラシおよび補助板金の各寸法の積算値よりも小さい。
除電ブラシを挟んだ接触部および補助板金は、2つの第1リブと、第2リブとで挟まれることで、撓んだ状態で保持部に保持される。
【0009】
また、接触部と補助板金は、第1方向において除電ブラシを挟んでもよい。
アース板金は、当接部を有する。
当接部は、第1方向および第2方向に直交する第3方向において補助板金と接触する。
【0010】
当接部が第3方向において補助板金と接触する構成とすることで、補助板金が第3方向に移動するのを当接部で止めることができる。
【0011】
また、定着装置は、フレームと、カバーと、をさらに備えていてもよい。
フレームには、アース板金が取り付けられる。フレームは、開口を有する。開口は、除電ブラシが通る開口である。
カバーは、アース板金のフレームとは反対の面を覆う。
カバーは、押さえ部を有する。
押さえ部は、当接部の除電ブラシとは反対側の面と接触する。
【0012】
押さえ部が、当接部の除電ブラシとは反対側の面と接触する構成とすることで、除電ブラシが第3方向に動くのを押さえ部によって抑えることができる。
【0013】
また、カバーは、仕切壁と、排気口と、を有していてもよい。
仕切壁は、カバー内の空間を、第1空間と、第2空間とに仕切る。
第1空間は、フレームの開口が臨む空間である。
第2空間は、第1空間とは別の空間である。
排気口は、第1空間内の空気を排出するための開口である。排気口は、第1空間に臨む位置に位置する。
第2空間内には、電子回路を構成する電子部品が配置されている。
【0014】
カバーが仕切壁と排気口を有する構成とすることで、フレームの開口から第1空間に入ってくる水蒸気が第2空間に入るのを仕切壁で抑制するとともに、第1空間に入った水蒸気を排気口から逃がすことができるので、第2空間に配置された電子部品が濡れるのを抑えることができる。
【0015】
また、アース板金は、キャパシタおよび第1抵抗を介して接地されていてもよい。
キャパシタおよび第1抵抗は、直列接続されている。
【0016】
また、電子回路は、回路と、ダイオードと、をさらに備えていてもよい。
回路は、キャパシタおよび第1抵抗と、第2抵抗とを有する。
キャパシタおよび第1抵抗は、直列接続されている。
第2抵抗は、キャパシタおよび第1抵抗と並列接続されている。
ダイオードは、加圧部と回路の間に位置する。ダイオードは、回路から加圧部への電流の流れを抑制する。
アース板金は、回路を介して接地されている。
加圧部は、ダイオードおよび回路を介して接地されている。
【0017】
また、加熱部は、ベルトと、ヒータと、を備えていてもよい。この場合、加圧部は、加圧ローラである。
ベルトは、無端状である。
ヒータは、ベルトの内側に位置する。ヒータは、板状である。
加圧ローラは、ヒータとの間でベルトを挟む。
【0018】
また、除電ブラシは、ベルトの端部に接触してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、除電ブラシの脱落を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】除電ブラシ周りの構造を分解して示す斜視図(a)と、除電ブラシ等を保持する保持部を示す平面図である。
【
図3】加圧ローラ、除電ブラシおよび電子回路の関係を示す斜視図である。
【
図4】加圧ローラ、除電ブラシおよび電子回路の関係を示す回路図である。
【
図5】フレームに電子回路が取り付けられた状態を示す平面図(a)と、フレームにカバーが取り付けられた状態を示す平面図(b)である。
【
図6】カバーをY方向の他方側から見た斜視図(a)と、カバーをY方向の一方側から見た斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、定着装置1は、シートSにトナー像を定着させる装置である。定着装置1は、プリンタなどの画像形成装置の本体筐体に取り付けられる。定着装置1は、加熱部の一例としての加熱ユニット2と、加圧部の一例としての加圧ローラ3と、筐体4と、除電ブラシ5とを備える。筐体4は、例えば樹脂からなる。
【0022】
なお、以下の説明において、方向を説明する場合、
図1に示すX方向、Y方向およびZ方向を用いて説明する。本実施形態において、X方向は、加圧ローラ3の軸方向に沿った方向である。X方向は、シートの幅方向に沿った方向でもある。X方向は、第1方向の一例である。Y方向は、X方向に直交する方向である。Y方向は、加熱ユニット2と加圧ローラ3でシートSを挟む方向である。Y方向は、第3方向の一例である。
【0023】
Z方向は、X方向およびY方向に直交する方向である。Z方向は、加熱ユニット2と加圧ローラ3の間のニップ部におけるシートSの搬送方向でもある。Z方向は、第2方向の一例である。また、図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。また、一方側の端部を「一端部」とも称し、他方側の端部を「他端部」とも称する。
【0024】
加熱ユニット2は、X方向に長い。詳しくは、加熱ユニット2のX方向の寸法は、Y方向の寸法およびZ方向の寸法よりも大きい。加熱ユニット2は、ヒータ10と、ホルダ20と、熱伝導部材30と、ステイSTと、ベルトBLとを有する。
【0025】
ヒータ10は、ベルトBLを介してシートSを加熱する。ヒータ10は、X方向に長い板状である。
【0026】
ホルダ20は、ヒータ10を支持するとともに、ベルトBLを案内する機能を有する。ホルダ20は、例えば、樹脂からなる。
【0027】
ステイSTは、ホルダ20を支持する。ステイSTは、例えば金属からなる。
【0028】
ベルトBLは、無端状である。ヒータ10は、ベルトBLの内側に位置する。ベルトBLは、ホルダ20に案内されながら、ヒータ10の周りを回転する。ベルトBLは、外周面と内周面を有する。外周面は、加圧ローラ3または加熱対象となるシートと接触する。内周面は、ヒータ10と接触する。
ベルトBLは、回転することで加圧ローラ3と共にシートSを搬送する。
【0029】
加圧ローラ3は、回転可能なローラである。加圧ローラ3は、Y方向において、シートSをベルトBLとの間で挟む。加圧ローラ3は、ベルトBLとの間にニップ部NPを形成する。加圧ローラ3は、ヒータ10との間でベルトBLを挟む。加圧ローラ3は、ベルトBLとの間でシートSを搬送する。
【0030】
筐体4は、加圧ローラ3を回転可能に支持する。筐体4は、加熱ユニット2をY方向に移動可能に支持する。
【0031】
筐体4は、フレーム41を有する。フレーム41は、加熱ユニット2に対してY方向の他方側に位置する。
【0032】
除電ブラシ5は、ベルトBLを除電するための部材である。除電ブラシ5は、導電性を有する繊維からなる。除電ブラシ5は、例えば、Z方向に延びる複数の繊維と、複数の繊維のY方向の他方側の部分に編み込まれる編み込み用の繊維とを有する。
【0033】
除電ブラシ5は、フレーム41からY方向の一方側に突出している。除電ブラシ5のY方向の一端部は、ベルトBLに接触する。詳しくは、
図3に示すように、除電ブラシ5は、ベルトBLの端部に接触する。
【0034】
図2(a)に示すように、定着装置1は、アース板金61と、補助板金62と、を備える。
アース板金61は、除電ブラシ5をアースするための板金である。アース板金61は、フレーム41にY方向の他方側から取り付けられている。アース板金61は、本体部61Aと、接触部61Bと、当接部61Cと、2つのフランジ部61Dと、第1接続部61Eと、第2接続部61Fと、第3接続部61Gとを有する。
【0035】
本体部61Aは、Y方向に直交する面を有する板状の部位である。本体部61Aは、第1部位A1と、第2部位A2と、第3部位A3とを有する。
【0036】
第1部位A1および第2部位A2は、X方向に長い。第1部位A1は、第2部位A2に対してZ方向の一方側、かつ、X方向の一方側に位置する。第3部位A3は、第1部位A1のX方向の他端部と、第2部位A2のX方向の一端部とを連結する。
【0037】
接触部61Bは、X方向において除電ブラシ5と接触する部位である。接触部61Bは、第1部位A1のX方向の一端部からY方向の一方側に延びる。
【0038】
当接部61Cは、Y方向において補助板金62と接触する部位である。当接部61Cは、第1部位A1のX方向の一端部からX方向の一方側に延びる。
【0039】
フランジ部61Dは、Z方向において補助板金62を位置決めする部位である。フランジ部61Dは、接触部61BのZ方向の一端部と他端部に1つずつ配置されている。各フランジ部61Dは、接触部61BからX方向の一方側に延びる。
【0040】
第1接続部61Eは、第2部位A2のX方向の一端部からY方向の一方側に延びる。第2接続部61Fは、第2部位A2のX方向の他端部からY方向の一方側に延びる。第3接続部61Gは、第1部位A1のX方向の他端部からY方向の一方側に延びる。
【0041】
図2(a)および
図3に示すように、補助板金62は、アース板金61の接触部61Bとの間で除電ブラシ5を挟む板金である。補助板金62は、矩形の板金である。除電ブラシ5の一部は、接触部61Bと補助板金62でX方向に挟まれる。除電ブラシ5の他部は、接触部61Bおよび補助板金62からY方向の一方側に突出する。
【0042】
図2(a)に示すように、フレーム41は、開口41Aを有する。開口41Aは、除電ブラシ5、接触部61B、フランジ部61Dおよび補助板金62が通る開口である。
【0043】
図2(b)に示すように、フレーム41は、第1面F1と、第2面F2と保持部42とを有する。第1面F1と第2面F2は、開口41Aを形成する面である。第1面F1と第2面F2は、X方向で対向する。第1面F1は、第2面F2に対してX方向の一方側に位置する。
【0044】
保持部42は、除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62を撓ませた状態で保持する部位である。保持部42は、2つの第1リブ42Aと、1つの第2リブ42Bとを有している。
【0045】
2つの第1リブ42Aは、第1面F1から突出する。2つの第1リブ42Aは、Z方向に離れている。
【0046】
第2リブ42Bは、第2面F2から突出する。第2リブ42Bは、Z方向において2つの第1リブ42Aの間に位置する。第2リブ42Bの先端は、第1リブ42Aの先端よりも第2面F2の近くに位置する。
【0047】
X方向における第1リブ42Aの先端から第2リブ42Bの先端までの距離L1は、X方向における接触部61B、除電ブラシ5および補助板金62の各寸法の積算値よりも小さい。除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62は、2つの第1リブ42Aと、第2リブ42Bとで挟まれることで、撓んだ状態で保持部42に保持される。
【0048】
図7に示すように、第1リブ42Aは、傾斜面F3を有する。傾斜面F3は、第1リブ42Aの先端からY方向の他方側に向かうにつれて補助板金62から離れるように傾斜する。第2リブ42Bは、傾斜面F4を有する。傾斜面F4は、第2リブ42Bの先端からY方向の他方側に向かうにつれて接触部61Bから離れるように傾斜する。
【0049】
第1リブ42Aが傾斜面F3を有し、第2リブ42Bが傾斜面F4を有することで、第1リブ42Aの先端のY方向の寸法と第2リブ42Bの先端のY方向の寸法が小さくなるので、除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62を第1リブ42Aの先端と第2リブ42Bの先端の間に差し込みやすくなっている。
【0050】
図3に示すように、定着装置1は、電子回路Eをさらに備えている。
電子回路Eは、除電ブラシ5および加圧ローラ3をアースするための回路である。電子回路Eは、前述したアース板金61と、導線部材71と、第1板金72と、ダイオード73と、回路80とを備えている。
【0051】
導線部材71は、金属からなる線状の部材である。導線部材71は、フレーム41に取り付けられている。導線部材71は、一端部が加圧ローラ3の軸受3Aに接触し、他端部が第1板金72に接触する。導線部材71は、コイル部を有する。導線部材71の一端部は、軸受3Aに付勢される。
【0052】
第1板金72は、フレーム41に取り付けられている。第1板金72は、本体部72Aと、第4接続部72Bとを有する。本体部72Aは、Y方向に直交する面を有する板状の部位である。第4接続部72Bは、本体部72AからY方向の一方側に延びる。
【0053】
ダイオード73は、回路80から加圧ローラ3への電流の流れを抑制する機能を有する。詳しくは、ダイオード73は、ベルトBLの電位が加圧ローラ3の電位よりも高くなるように電位差を設ける機能を有する。これにより、シートSに転写されたトナー像が、静電気力によりベルトBLに転写されることを抑制できる。ここで、トナー像は、正帯電されたトナー像である。静電気力は、ベルトBLと加圧ローラ3の電位差である。
【0054】
ダイオード73は、加圧ローラ3と回路80の間に位置する。詳しくは、ダイオード73は、第1板金72とアース板金61の間に位置する。ダイオード73は、第1板金72の第4接続部72Bと、アース板金61の第1接続部61Eとに接続される。
【0055】
回路80は、キャパシタ81と、第2板金82と、第1抵抗83と、第3板金84と、第2抵抗85とを有する。第2板金82および第3板金84は、フレーム41に取り付けられている。
【0056】
キャパシタ81は、アース板金61の第2接続部61Fと、第2板金82の後述する第5接続部82Bとに接続されている。
【0057】
第2板金82は、本体部82Aと、第5接続部82Bと、第6接続部82Cとを有する。本体部82Aは、Y方向に直交する面を有する板状の部位である。第5接続部82Bおよび第6接続部82Cは、本体部82AからY方向の一方側に延びる。
【0058】
第1抵抗83は、第2板金82の第6接続部82Cと、第3板金84の後述する第7接続部84Bとに接続されている。
【0059】
第3板金84は、本体部84Aと、第7接続部84Bと、第8接続部84Cとを有する。本体部84Aは、Y方向に直交する面を有する板状の部位である。第7接続部84Bおよび第8接続部84Cは、本体部84AからY方向の一方側に延びる。第3板金84は、図示せぬ導電性の部材を介して接地されている。
【0060】
第2抵抗85は、アース板金61の第3接続部61Gと、第3板金84の第8接続部84Cとに接続されている。
【0061】
図4に示すように、キャパシタ81および第1抵抗83は、直列接続されている。第2抵抗85は、キャパシタ81および第1抵抗83と並列接続されている。アース板金61は、回路80を介して接地されている。つまり、アース板金61は、キャパシタ81および第1抵抗83を介して接地されている。また、アース板金61は、第2抵抗85を介して接地されている。加圧ローラ3は、ダイオード73および回路80を介して接地されている。
【0062】
図5(a),(b)に示すように、定着装置1は、カバー9をさらに備えている。
カバー9は、アース板金61のフレーム41とは反対の面を覆うカバーである。詳しくは、カバー9は、電子回路Eをフレーム41とは反対側から覆っている。より詳しくは、カバー9は、アース板金61、導線部材71の一部、第1板金72、ダイオード73および回路80を覆う。
【0063】
図6(a),(b)に示すように、カバー9は、押さえ部の一例としてのボス91と、仕切壁92と、排気口93とを有している。
【0064】
ボス91は、
図5(a)に示すように、アース板金61の当接部61CをY方向の他方側から押さえる部位である。ボス91は、Y方向から見て当接部61Cと重なる。
図7に示すように、ボス91は、当接部61Cの除電ブラシ5とは反対側の面と接触する。
【0065】
図6(a)および
図7に示すように、仕切壁92は、カバー9内の空間を、第1空間9Aと、第2空間9Bとに仕切る壁である。第1空間9Aは、フレーム41の開口41Aが臨む空間である。第2空間9Bは、第1空間9Aとは別の空間である。仕切壁92は、ボス91と一体に形成されている。
【0066】
第2空間9B内には、電子回路Eを構成する電子部品が配置されている。詳しくは、第2空間9B内には、
図5(a)に示すダイオード73、キャパシタ81、第1抵抗83および第2抵抗85が配置されている。
【0067】
図6(a)および
図7に示すように、排気口93は、第1空間9A内の空気を排出するための開口である。排気口93は、第1空間9Aに臨む位置に位置する。
【0068】
次に、除電ブラシ5のフレーム41への取付方法等について説明する。
図2(a)に示すように、作業者は、アース板金61の接触部61Bと補助板金62とによって除電ブラシ5を挟む。
図2(b)に示すように、作業者は、除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62を、撓ませながら各第1リブ42Aと第2リブ42Bの間に入れる。これにより、除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62が、保持部42で撓んだ状態で保持されるので、除電ブラシ5がフレーム41に取り付けられる。
【0069】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
保持部42が、除電ブラシ5を挟んだ接触部61Bおよび補助板金62を撓ませた状態で保持するので、例えば接着剤で除電ブラシを定着フレーム等に貼り付ける構成に比べ、経年劣化によって除電ブラシ5が脱落するのを抑制できる。
【0070】
図3に示すように、当接部61CがY方向において補助板金62と接触するので、補助板金62がY方向の他方側に移動するのを当接部61Cで止めることができる。
【0071】
図7に示すように、ボス91が、当接部61Cの除電ブラシ5とは反対側の面と接触するので、除電ブラシ5がY方向の他方側に動くのをボス91によって抑えることができる。
【0072】
カバー9が仕切壁92と排気口93を有するので、フレーム41の開口41Aから第1空間9Aに入ってくる水蒸気が第2空間9Bに入るのを仕切壁92で抑制するとともに、第1空間9Aに入った水蒸気を排気口93から逃がすことができるので、第2空間9Bに配置された電子部品が濡れるのを抑えることができる。
【0073】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0074】
保持部は、除電ブラシを挟んだ接触部および補助板金を撓ませた状態で保持できる構造であればどのような構造でもよく、例えば円弧状の開口であってもよい。
【0075】
第1方向、第2方向および第3方向は、互いに直交する方向であれば、どの方向でもよい。
【0076】
第2リブの先端は、第1方向において第1リブの先端と同じ位置に位置していてもよい。第2リブの先端は、第1リブの先端よりも第1面の近くに位置していてもよい。
【0077】
押さえ部は、ボスではなく、例えばリブであってもよい。
【0078】
押さえ部、仕切壁、排気口、当接部等は、なくてもよい。
【0079】
電子回路は、前記実施形態に限らず、適宜変更可能である。また、電子回路を構成する電子部品も、前記実施形態に限らず、適宜変更可能である。
【0080】
除電ブラシは、例えばベルトの中央部に接触してもよい。
除電ブラシは、例えばベルトの端部のうち、特に定着装置がシートを搬送する場合にシートがベルトに接触する領域の外側に接触してもよい。
【0081】
加熱部は、加熱ユニット2に限らず、例えば、加熱ローラであってもよいし、ベルトと、ベルトの内周面に接触するニップ板と、ベルトおよびニップ板を加熱する熱源とを備える構成などであってもよい。
【0082】
加圧部は、加圧ローラに限らず、例えば、ベルトと、ベルトの内側に配置されるゴムパッドとを備える構成などであってもよい。
【0083】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 定着装置
2 加熱ユニット
3 加圧ローラ
4 筐体
5 除電ブラシ
42 保持部
61 アース板金
61B 接触部
62 補助板金
NP ニップ部
S シート