IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルムヘルスケア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図1
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図2
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図3
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図4
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図5
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図6
  • 特開-医用画像撮像装置及びその制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116652
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】医用画像撮像装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240821BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240821BHJP
【FI】
A61B6/03 330Z
G06T7/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022361
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹本 和馬
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA18
4C093EE16
4C093FA13
4C093FD03
4C093FG13
4C093FG16
5L096AA06
5L096BA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA32
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】施設や操作者ごとに異なる撮像位置の調整を不要にする医用画像撮像装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置であって、前記被検体のカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、前記カメラ画像に基づいて撮像位置を設定する撮像位置設定部と、前記撮像位置に関する調整データを施設毎または操作者毎に記憶する記憶部と、施設または操作者を識別する識別子に基づいて前記記憶部から取得される前記調整データを用いて前記撮像位置を調整する撮像位置調整部を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置であって、
前記被検体のカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像に基づいて撮像位置を設定する撮像位置設定部と、
前記撮像位置に関する調整データを施設毎または操作者毎に記憶する記憶部と、
施設または操作者を識別する識別子に基づいて前記記憶部から取得される前記調整データを用いて前記撮像位置を調整する撮像位置調整部を備えることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用画像撮像装置であって、
前記調整データは、前記撮像位置設定部によって設定された撮像位置または前記撮像位置調整部によって調整された撮像位置に対する操作者による調整に基づいて算出されることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医用画像撮像装置であって、
前記操作者による調整は、人体外形と前記人体外形に重ねて表示される撮像範囲を有する操作画面において、前記人体外形に対する前記撮像範囲の相対位置や前記撮像範囲の大きさの調整によってなされることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の医用画像撮像装置であって、
前記操作者による調整は、前記被検体の近傍にいる操作者のジェスチャによってなされることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項5】
請求項2に記載の医用画像撮像装置であって、
前記調整データは、前記操作者による調整によって取得される複数のデータの平均値や中間値、最頻値であることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項6】
請求項2に記載の医用画像撮像装置であって、
前記調整データは、前記操作者による調整によって取得されるデータを教師データ、前記識別子や部位を入力パラメータとして機械学習した機械学習エンジンの出力であることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項7】
被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置の制御方法であって、
前記被検体のカメラ画像を取得するカメラ画像取得ステップと、
前記カメラ画像に基づいて撮像位置を設定する撮像位置設定ステップと、
前記撮像位置に関する調整データを施設毎または操作者毎に記憶する記憶部から、施設または操作者を識別する識別子に基づいて取得される前記調整データを用いて前記撮像位置を調整する撮像位置調整ステップを備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置に係り、特に被検体に対して設定された撮像位置を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像撮像装置は、被検体の撮像位置から得られる信号、例えば被検体を透過するX線や被検体から生じる核磁気共鳴信号等を検出することにより、被検体の診断等に用いられる医用画像を撮像する装置である。医用画像撮像装置では、医用画像の撮像に先立って寝台上の被検体に対して撮像位置が設定される。撮像位置の設定は自動化されることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、トレーニング済みの2つの独立した深層学習モデルに3Dカメラ画像を入力し、それぞれから得られる予測結果に基づいて撮像位置を自動的に設定することが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-6993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、自動的に設定された撮像位置が施設や操作者ごとに個別に調整されることに対する配慮が不足している。撮像位置は必ずしも一律の基準によって設定されるとは限られず、施設の方針や操作者の経験によって個別に調整されることがある。
【0006】
そこで本発明は、施設や操作者ごとに異なる撮像位置の調整を不要にする医用画像撮像装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置であって、前記被検体のカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、前記カメラ画像に基づいて撮像位置を設定する撮像位置設定部と、前記撮像位置に関する調整データを施設毎または操作者毎に記憶する記憶部と、施設または操作者を識別する識別子に基づいて前記記憶部から取得される前記調整データを用いて前記撮像位置を調整する撮像位置調整部を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置の制御方法であって、前記被検体のカメラ画像を取得するカメラ画像取得ステップと、前記カメラ画像に基づいて撮像位置を設定する撮像位置設定ステップと、前記撮像位置に関する調整データを施設毎または操作者毎に記憶する記憶部から、施設または操作者を識別する識別子に基づいて取得される前記調整データを用いて前記撮像位置を調整する撮像位置調整ステップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施設や操作者ごとに異なる撮像位置の調整を不要にする医用画像撮像装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のX線CT装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】実施例1の機能ブロックの一例を示す図である。
図3】実施例1の処理の流れの一例を示す図である。
図4】カメラ画像に基づいて設定された撮像位置の一例を示す図である。
図5】調整後の撮像位置の表示例を示す図である。
図6】調整データを算出する処理の流れの一例を示す図である。
図7】操作画面の一例である撮像位置調整画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に従って本発明に係る医用画像撮像装置の実施例について説明する。医用画像撮像装置は、被検体から得られる信号、例えば被検体を透過するX線や被検体から生じる核磁気共鳴信号等を検出することにより、被検体の診断等に用いられる医用画像を撮像する装置である。以下では、医用画像撮像装置の一例として、被検体のX線投影像を様々な投影角度で取得することにより、被検体の断層画像を撮像するX線CT(Computed Tomography)装置について説明する。
【実施例0012】
図1を用いて実施例1のX線CT装置の全体構成について説明する。X線CT装置は、スキャンガントリ部100と操作ユニット120とカメラ130を備える。スキャンガントリ部100とカメラ130はX線を遮蔽する遮蔽材で囲われる撮像室に設置され、操作ユニット120は撮像室の外にある操作室に設置される。
【0013】
スキャンガントリ部100は、X線源101と、回転板102と、コリメータ103と、X線検出器106と、データ収集部107と、寝台105と、回転板制御部108と、寝台制御部109と、X線制御部110と、高電圧発生部111を備える。X線源101は寝台105に載置された被検体10にX線を照射する装置であり、例えばX線菅装置である。コリメータ103はX線の照射範囲を制限する装置である。回転板102は、寝台105上に載置された被検体10が入る開口部104を備えるとともに、X線源101とX線検出器106を搭載し、X線源101とX線検出器106を被検体10の周囲で回転させる。
【0014】
X線検出器106は、X線源101と対向配置され、被検体10を透過したX線を検出する複数の検出素子を備え、X線の空間的な分布を検出する装置であり、被検体10から得られる信号を検出する検出部として機能する。X線検出器106の検出素子は、回転板102の回転方向と回転軸方向との二次元に配列される。データ収集部107は、X線検出器106で検出されたX線の空間的な分布をデジタルデータとして収集する装置である。
【0015】
回転板制御部108は回転板102の回転及び傾斜を制御する装置である。寝台制御部109は、寝台105の上下前後左右動を制御する装置である。高電圧発生部111はX線源101に印加される高電圧を発生する装置である。X線制御部110は、高電圧発生部111の出力を制御する装置である。回転板制御部108と寝台制御部109とX線制御部110は、例えばMPU(Micro-Processing Unit)等である。
【0016】
操作ユニット120は、入力部121と、画像生成部122と、表示部125と、記憶部123と、システム制御部124を備える。入力部121は、被検体10の氏名、検査日時、撮像条件等の検査データの入力に用いられる装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス、タッチパネル等である。画像生成部122は、データ収集部107で収集されたデジタルデータを用いて断層画像を生成する装置であり、例えばMPUやGPU(Graphics Processing Unit)等である。表示部125は、画像生成部122で生成された断層画像等を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイやタッチパネル等である。記憶部123は、データ収集部107で収集されたデジタルデータや画像生成部122で生成された断層画像、システム制御部124が実行するプログラム、プログラムが使用するデータ等を記憶する装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。システム制御部124は、回転板制御部108、寝台制御部109、X線制御部110等の各部を制御する装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0017】
カメラ130は、寝台105の上に載置される被検体10を寝台105とともに上方から撮影する装置であり、撮像室の天井やスキャンガントリ部100の上部に設けられる。カメラ130によって撮影されたカメラ画像は、表示部125に表示され、操作室にいる操作者が被検体10の状態を確認するのに用いられたり、撮像位置の設定に用いられたりする。カメラ画像は記憶部123に記憶されても良い。
【0018】
入力部121を介して設定された撮像条件に基づき、X線源101に印加される高電圧である管電圧を高電圧発生部111が発生することにより、撮像条件に応じたX線がX線源101から被検体10に照射される。X線検出器106は、X線源101から照射され被検体10を透過したX線を多数の検出素子で検出し、透過X線の空間的な分布を取得する。回転板102は回転板制御部108により制御され、入力部121から入力された撮像条件、特に回転速度等に基づいて回転する。寝台105は寝台制御部109によって制御され、回転板102に対して相対移動することにより、透過X線が検出される範囲である撮像視野に被検体10に対して設定された撮像位置を移動させる。
【0019】
X線源101によるX線の照射とX線検出器106によるX線の検出が回転板102の回転とともに繰り返されることにより、被検体10のX線投影像である投影データが様々な投影角度で計測される。投影データは、各投影角度を表すビュー(View)と、X線検出器106の検出素子番号であるチャネル(ch)番号及び列番号と対応付けられる。計測された投影データは画像生成部122に送信される。画像生成部122は複数の投影データを逆投影処理することにより断層画像を生成する。生成された断層画像は医用画像として表示部125に表示されたり、記憶部123に記憶されたりする。
【0020】
断層画像の撮像に先立って、寝台105の上の被検体10を撮影したカメラ画像を用いて自動的に設定される撮像位置は一律の基準によるものであり、施設の方針や操作者の経験に応じて個別に調整されることがある。そこで実施例1では、一律の基準によって自動的に設定された撮像位置を、施設毎または操作者毎に予め準備された調整データを用いて調整することにより、操作者による撮像位置の調整を不要にする。
【0021】
図2を用いて実施例1の機能ブロックについて説明する。なおこれらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いた専用のハードウェアで構成されても良いし、システム制御部124上で動作するソフトウェアで構成されても良い。以降の説明では実施例1の機能ブロックがソフトウェアで構成される場合について説明する。
【0022】
実施例1では、カメラ画像取得部201と撮像位置設定部202と撮像位置調整部203が備えられる。以下、各部について説明する。なお記憶部123には、撮像位置の調整に用いられる調整データが記憶される。調整データは、施設や操作者を識別する識別子である施設IDや操作者ID毎に記憶される。図2には、施設IDや操作者IDと調整データとを対応付けたテーブルが例示される。
【0023】
カメラ画像取得部201は、カメラ130によって撮影されるカメラ画像を取得する。取得されるカメラ画像は、デジタル化された画像であり、静止画または動画中のフレーム画像である。
【0024】
撮像位置設定部202は、カメラ画像取得部201によって取得されるカメラ画像に基づいて、被検体10に対して撮像位置を設定する。例えば、カメラ画像から抽出される被検体10の形状と検査部位とに基づいて撮像位置設定部202が撮像位置を設定する。より具体的には、検査部位が胸部であるとき、カメラ画像上の被検体10の形状から推測される顎と肩の位置に基づいて撮像位置が設定される。撮像位置設定部202は、人体の形状と検査部位毎の撮像位置を機械学習した機械学習エンジンであっても良い。
【0025】
撮像位置調整部203は、撮像位置設定部202によって設定された撮像位置を、記憶部123に記憶される調整データを用いて調整する。調整データは、施設IDや操作者IDに応じて読み出される。
【0026】
図3を用いて、実施例1の処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。
【0027】
(S301)
カメラ画像取得部201は、寝台105に載置される被検体10が撮影されたカメラ画像を取得する。S301にて取得されるカメラ画像は静止画またはフレーム画像であって、カメラ130から送信されるカメラ画像でも良いし、記憶部123から読み出されるカメラ画像でも良い。
【0028】
(S302)
撮像位置設定部202は、S301にて取得されたカメラ画像を用いて、被検体10に対して撮像位置を設定する。撮像位置は、例えばカメラ画像から抽出される被検体10の形状と検査部位とに基づいて設定される。
【0029】
図4に、S301にて取得されるカメラ画像400に対して設定された撮像位置の一例を示す。図4に例示されるカメラ画像400には、スキャンガントリ部100、被検体10、寝台105が含まれ、被検体10に対して撮像開始位置401や撮像終了位置402、撮像中心位置403といった撮像位置が設定されている。
【0030】
(S303)
撮像位置調整部203は、記憶部123に予め記憶される調整データを施設IDや操作者IDに基づいて取得する。施設IDや操作者IDは、操作者がX線CT装置の操作を開始するときに入力部121から入力される。
【0031】
(S304)
撮像位置調整部203は、S302にて設定された撮像位置を、S303で取得された調整データを用いて調整する。例えば、S302にて設定された撮像位置に調整データが加算されることにより撮像位置が調整される。調整後の撮像位置は、表示部125に表示される。
【0032】
図5に、調整後の撮像位置の表示例を示す。図5には、図4に例示されるカメラ画像400の上に、調整後の撮像開始位置501や調整後の撮像終了位置502、調整後の撮像中心位置503といった調整後の撮像位置が示される。図5には、調整後の撮像位置との比較対象として、撮像開始位置401や撮像終了位置402、撮像中心位置403が点線で示される。なお、表示部125には、撮像開始位置401や撮像終了位置402、撮像中心位置403は表示されなくても良い。調整後の撮像位置は、図5のような線による表示に限られず、調整後の撮像位置の寝台105における座標を示す数値による表示であっても良い。
【0033】
図3を用いて説明した処理の流れにより、撮像位置設定部202が一律の基準のもとで設定した撮像位置が、施設や操作者ごとに調整されるので、操作者による撮像位置の調整が不要になる。その結果、操作者の負担を軽減でき、検査ワークフローも改善できる。なお、調整後の撮像位置を操作者が再調整しても良く、再調整された撮像位置は調整データに反映される。
【0034】
図6を用いて、調整データを算出する処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。なお再調整された撮像位置も図6に例示される処理の流れによって調整データに反映される。
【0035】
(S601)
カメラ画像取得部201は、S301と同様に、寝台105に載置される被検体10が撮影されたカメラ画像を取得する。
【0036】
(S602)
撮像位置設定部202は、S302と同様に、S601にて取得されたカメラ画像を用いて、被検体10に対して撮像位置を設定する。なおS602にて設定される撮像位置は、撮像位置調整部203によって調整された撮像位置であっても良い。
【0037】
(S603)
操作者は、S602にて設定された撮像位置を確認し、必要に応じて撮像位置を調整する。S602にて設定された撮像位置が撮像位置調整部203によって調整された撮像位置である場合、撮像位置は再調整されることになる。撮像位置の調整や再調整には、表示部125に表示される操作画面が用いられても良い。
【0038】
図7を用いて、操作画面の一例である撮像位置調整画面700について説明する。撮像位置調整画面700は、人体図701と調整データテーブル702を有しており、入力部121を介して操作される。
【0039】
人体図701には、人体外形703と撮像範囲704が表示される。人体外形703は人体の外形を模擬する図形である。撮像範囲704は、撮像位置を示す図形の一例であり、図7では点線四角で示され、人体外形703に重ねられる。操作者は入力部121を介して、人体外形703に対する撮像範囲704の相対位置や撮像範囲704の大きさを調整する。人体図701の利用により、操作者は直感的に撮像範囲704を調整できる。人体図701には、撮像範囲704の比較対象として、撮像位置設定部202によって設定された撮像位置が表示されても良い。
【0040】
調整データテーブル702には、撮像位置設定部202によって設定された撮像位置に対する調整データが、部位毎に、直交する3方向であるX方向、Y方向、Z方向のそれぞれについて数値で示される。図7の調整データテーブル702では、胸部の行が選択されており、胸部の調整データを調整中であることが示される。なお人体図701の撮像範囲704と調整データテーブル702の数値は連動しており、一方の調整に応じて他方が調整されても良い。
【0041】
撮像位置の調整は、操作画面を用いるものに限定されない。例えば、被検体10の近傍にいる操作者のジェスチャによって撮像位置が調整されても良い。被検体10の近傍にいる操作者は、操作ユニット120の入力部121を操作できないので、ジェスチャによる撮像位置の調整が有効である。
【0042】
操作者のジェスチャはカメラ130によって撮影され、撮影されたカメラ画像の解析によってジェスチャの種類が判別される。例えば、掌を閉じた状態で親指を上にし、調整したい撮像位置に手を持って行くようなジェスチャでも良いし、調整したい撮像位置を人差し指で指すようなジェスチャでも良い。また決まったフレーズが発せられたときやカメラ130に操作者が手を振ったときに、ジェスチャによる撮像位置の調整を開始するようにしても良い。さらに他のジェスチャとの組み合せや操作画面やハードボタンの操作との組み合わせがなされても良い。
【0043】
(S604)
撮像位置調整部203は、S603にて調整された撮像位置を取得する。S604にて取得された撮像位置は、施設IDや操作者ID、部位等と対応付けられて、記憶部123に記憶される。
【0044】
(S605)
撮像位置調整部203は、S604にて取得されたデータの取得数が十分か否かを判定する。データの取得数が十分であればS605へ処理が進められ、不十分であればS601へ処理が戻される。データの取得数が十分か否かは、予め定められた閾値に基づいて判例される。すなわちデータの取得数が閾値を超過するとき、データの取得数が十分であるとの判定がなされる。
【0045】
(S606)
撮像位置調整部203は、S604にて取得された調整後の撮像位置を用いて調整データを算出する。算出された調整データは、施設IDや操作者ID、部位等と対応付けられて、記憶部123に記憶される。
【0046】
調整データは、例えばS604にて取得された複数のデータの平均値や中間値、最頻値である。なお平均値や中間値、最頻値は、施設IDや操作者ID、部位毎に算出されることが好ましい。平均値や中間値、最頻値を調整データとする場合、調整データの算出に要る時間を短縮できる。
【0047】
また調整後の撮像位置を教師データ、施設IDや操作者ID、部位等を入力パラメータとして機械学習した機械学習エンジンの出力を調整データとしても良い。機械学習エンジンの出力を調整データとする場合、調整データをより正確に算出することができる。
【0048】
図6を用いて説明した処理の流れにより、操作者の調整に基づいて撮像位置の調整データが算出される。算出された調整データは、図3に例示される処理の流れにおいて利用される。操作者の調整に基づいて算出される調整データの利用により、施設や操作者ごとに撮像位置を調整できるようになる。
【0049】
以上、本発明の複数の実施形態を説明した。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0050】
10:被検体、100:スキャンガントリ部、101:X線源、102:回転板、103:コリメータ、104:開口部、105:寝台、106:X線検出器、107:データ収集部、108:回転板制御部、109:寝台制御部、 110:X線制御部、111:高電圧発生部、120:操作ユニット、121:入力部、122:画像生成部、123:記憶部、124:システム制御部、125:表示部、130:カメラ、201:カメラ画像取得部、202:撮像位置設定部、203:撮像位置調整部、400:カメラ画像、401:撮像開始位置、402:撮像終了位置、403:撮像中心位置、501:調整後の撮像開始位置、502:調整後の撮像終了位置、503:調整後の撮像中心位置、700:撮像位置調整画面、701:人体図、702:調整データテーブル、703:人体外形、704:撮像範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7