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特開2024-116657制御装置、排ガス供給システム、制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116657
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】制御装置、排ガス供給システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240821BHJP
   F04D 27/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
F04D27/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022374
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】園田 隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 一茂
(72)【発明者】
【氏名】岸 真人
【テーマコード(参考)】
3H021
4D002
【Fターム(参考)】
3H021AA01
3H021BA02
3H021BA04
3H021BA09
3H021CA04
3H021CA09
3H021CA10
3H021DA01
3H021DA15
3H021DA29
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA13
4D002EA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB20
(57)【要約】
【課題】ブロワを運転可能な条件に基づいて動作させる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御装置であって、前記設備の運転状態を検知する検知部と、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定する判定部と、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲外の場合、前記ブロワを停止する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御装置であって、
前記設備の運転状態を検知する検知部と、
検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定する判定部と、
前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを起動し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記運転状態に基づく前記排ガスの流量に応じて、前記ブロワの回転数を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
設備から排出される排ガスをCO回収装置へ導く排ガス系統と、
前記排ガス系統における前記CO回収装置の下流側に設けられたブロワと、
前記排ガス系統における前記ブロワの上流側に設けられたダンパと、
前記排ガス系統における前記ダンパの上流側に設けられた煙突と、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置と、
を備え、
前記制御部は、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ダンパを開とし、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ダンパを閉とする、
排ガス供給システム。
【請求項4】
前記排ガス系統における前記ダンパと前記ブロワの間に設けられた前記排ガスの流量調節手段、をさらに備え、
前記制御部は、前記運転状態に基づく前記排ガスの流量に応じて、前記流量調節手段の開度を調節する、
請求項3に記載の排ガス供給システム。
【請求項5】
前記ダンパの下流側で前記ブロワをバイパスする循環系統と、前記循環系統に設けられたバルブと、をさらに備え、
前記制御部は、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記バルブを開とする、
請求項3に記載の排ガス供給システム。
【請求項6】
設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御方法であって、
前記設備の運転状態を検知するステップと、
検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定するステップと、
前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止するステップと、
を有する制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムを制御する処理であって、
前記設備の運転状態を検知するステップと、
検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定するステップと、
前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止するステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CO回収装置に排ガスを供給するシステムの制御装置、排ガス供給システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CO回収装置を、ガスタービンやGTCCなどの様々な上流設備へ適用することが検討されている。例えば、ガスタービンとCO回収装置の間にブロワを設け、上流側の設備(ガスタービン)が排出した排ガスを引込みCO回収装置へ供給する。特許文献1には、上流側の産業設備から排出される排ガスを外部へ排出する煙突と、煙突の後流側に設置され、排ガスを引込むブロワと、ブロワにより引込まれた排ガスのCOを回収するCO回収装置とを備え、煙突の排ガスの排出流量が零となるまで、ブロワによるCO回収装置への排ガス引込み量を増大させ、煙突からの排出量が零となったら、略一定量で排ガスを引込みつつ排ガス中のCO回収を行うCO回収システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5039651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、煙突の排ガス流量に基づいてブロワの運転を制御する方法が開示されているが、ブロワの運転可能な範囲が考慮されておらず、起動・停止のタイミングを判断できない。また、排ガスの流量検出も難しく、より簡便な方法で判断できることが望ましい。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる制御装置、排ガス供給システム、制御方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の制御装置は、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御装置であって、前記設備の運転状態を検知する検知部と、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定する判定部と、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを起動し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の排ガス供給システムは、設備から排出される排ガスをCO2回収装置へ導く排ガス系統と、前記排ガス系統における前記CO回収装置の下流側に設けられたブロワと、前記排ガス系統における前記ブロワの下流側に設けられたダンパと、前記排ガス系統における前記ダンパの下流側に設けられた煙突と、上記の制御装置と、を備え、前記制御部は、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ダンパを開とし、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ダンパを閉とする。
【0008】
本開示の制御方法は、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御方法であって、前記設備の運転状態を検知するステップと、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定するステップと、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止するステップと、を有する。
【0009】
本開示のプログラムは、コンピュータに、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムを制御する処理であって、前記設備の運転状態を検知するステップと、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定するステップと、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止するステップと、を含む処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の制御装置、排ガス供給システム、制御方法及びプログラムによれば、ブロワを運転可能な条件に基づいて動作させるので機械や設備を安全に運転できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一実施形態に係るCO回収システムの概略図である。
図2】第一実施形態に係る制御の一例を示すフローチャートである。
図3】第二実施形態に係るCO回収システムの概略図である。
図4】第二実施形態に係る制御の一例を示すフローチャートである。
図5】第三実施形態に係るCO回収システムの概略図である。
図6】第三実施形態に係る制御の一例を示すフローチャートである。
図7】各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係るCO回収システムにおけるブロワ等の制御について、図1図7を参照して説明する。
<第一実施形態>
(構成)
図1は、第一実施形態に係るCO回収システム100の概略図である。CO回収システム100は、上流設備1と、スタック(煙突)4と、冷却塔5と、ブロワ6と、CO回収装置8と、制御装置10を備える。上流設備1とは、例えば、ガスタービンやGTCC(Gas Turbine Combined Cycle:ガスタービンコンバインドサイクル)などの発電プラントである。本実施形態では一例として、上流設備1をGTCC3であるとして説明を行う。GTCC3の入口側にはIGV(inlet guide vane)2が設けられている。IGV2の開度を調節することにより、GTCC3に吸入される空気流量が変化する。例えば、GTCC3の負荷が大のときには吸入する空気流量も大となる等、必要な空気吸入量に応じてIGV2の開度が制御される。GTCC3と、冷却塔5と、ブロワ6と、CO回収装置8は排ガス系統L1上に配置され、各機器は配管やダクトなどで接続されている。GTCC3と冷却塔5の間には系統L2と接続する分岐点が存在し、系統L2の先にはスタック4が設けられている。系統L2にはダンパD1(スタック入口ダンパD1とも称する。)が設けられている。系統L1における系統L2との分岐点と冷却塔5の間には、ダンパD2(CO回収装置入口ダンパとも称する。)が設けられる。ダンパD1を開とし、ダンパD2を閉とすると、GTCC3が排出した排ガスは、スタック4から系外へ排出される。ダンパD1を閉とし、ダンパD2を開とすると、GTCC3が排出した排ガスは、CO回収装置8側へ供給される。冷却塔5とCO回収装置8の間には、ブロワ6が設けられ、モータ7を駆動することによりブロワ6が起動する。ブロワ6の起動により、排ガスが引き込まれ、CO回収装置8へ供給される。制御装置10は、ダンパD1の開閉、ダンパD2の開閉、ブロワ6(モータ7)の起動停止などを制御する。
【0013】
制御装置10は、検知部11と、判定部12と、制御部13と、を備える。検知部11は、上流設備1の運転状態等を示す情報を取得する。例えば、検知部11は、IGV2の開度、GTCCの出力、GTCCを構成するガスタービンや蒸気タービンの回転数などを取得する。判定部12は、検知部11が取得した情報に基づいて、GTCC3から排出される排ガス量がブロワ6の運転範囲に含まれるかどうかを判定する。制御部13は、判定部12の判定結果に基づいて、ダンパD1,D2の開閉,ブロワ6の起動停止、ブロワ6の回転数などを制御する。
【0014】
(動作)
図2にCO回収システム100の制御方法の一例を示す。
最初に制御装置10が、スタック入口ダンパD1を開く(ステップS1)。
次に上流設備1(GTCC3)が起動される(ステップS2)。GTCC3が起動されると、出力が上昇するまでの間、GTCC3から排出される排ガス流量は少ない。排ガス流量が少ない状態でブロワ6を起動すると、排ガス系統L1の下流側(排ガス流れ方向の下流側、以下同様)のガスが引っ張られる為、下流側の機械やダクトの圧力が例えば負圧となり、常圧での使用が想定されている排ガス系統L1の機械やダクト等の故障や劣化を招く可能性がある。従って、制御装置10(判定部12)は、GTCC3からの排ガス流量が、ブロワ6が運転可能な流量以上か否かを判定する(ステップS3)。例えば、判定部12は、検知部11によって取得されたIGV2の開度が所定の閾値以上であれば、GTCC3の出力大、排ガス量大と考えられることから、GTCC3から排出される排ガスの流量は、ブロワ6が運転可能な流量以上であると判定する。判定部12は、IGV2の開度が所定の閾値未満であれば、排ガス流量は、ブロワ6が運転可能な流量未満であると判定する。同様に、判定部12は、ガスタービンの回転数やGTCC負荷が所定の閾値以上であれば、排ガス流量はブロワ6が運転可能な流量以上であると判定し、それらが閾値未満であれば、排ガス流量はブロワ6が運転可能な流量未満であると判定してもよい。判定部12が、排ガス流量がブロワ6の運転可能流量以上であると判定すると(ステップS3;Yes)、制御部13は、CO回収装置入口ダンパD2を開く(ステップS4)。次に制御部13は、モータ7を駆動し、ブロワ6を起動する(ステップS5)。次に制御部13は、スタック入口ダンパD1を閉とする。
【0015】
図2では、GTCC3の起動時の制御を例に説明を行ったが、GTCC3の運転中や停止時も、判定部12は、検知部11によって取得されたIGV開度やガスタービン回転数、負荷などに応じて、GTCC3から排出される排ガス流量が、ブロワ6が運転可能な流量以上かどうかを判定し、その判定結果に応じてブロワ6の起動停止等を制御してもよい。例えば、排ガス流量がブロワ6の運転可能範囲を下回ると、制御部13は、ダンパD1を開とし、ブロワ6を停止し、ダンパD2を閉とする。そして、排ガス流量がブロワ6の運転可能範囲となると、ダンパD2を開とし、ブロワ6を起動し、ダンパD1を閉とする。
【0016】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、排ガス流量がブロワ6の運転可能範囲に含まれるかどうかを判定し、ダンパD1,D2およびブロワ6を制御する。ブロワ6の運転可能な条件(排ガスの下限流量)を考慮することで、配管、ダクト、機械などの故障を回避し、プラントを安全に運転できる。上流設備1の運転状態から排ガス流量の大小を判断するので、流量計や圧力計などを設ける必要が無く、運転可能条件に基づいて、ブロワ6を自動で起動・停止することができ、運転自動化を実現することができる。
【0017】
<第二実施形態>
第二実施形態では、ブロワ6の運転可能範囲を広げる(下限流量を下げる)ために、流量調節機能を設ける。図3に第二実施形態に係るCO回収システム100aの概略を示す。第二実施形態では、ブロワ6の入口側に流量調節手段D3を設け、ブロワ6の回転数と流量調節手段D3の制御を行う。流量調節手段D3とは、例えば、開度が調節可能なダンパや、IGV2のようなブロワ入口翼で翼の開度を調節することにより後段に流れる排ガス流量を調整できる機器である。流量調節手段D3によって、排ガス流量を絞ると、ブロワ6を起動しても、引き込み量が少なくなり、十分な量の排ガスが流れていない場合でも排ガス系統L1の圧力への影響(負圧になる等)を抑制することができる。また、ブロワ6の回転数を低下させて運転すれば引き込み量が少なくなるため、やはり排ガス系統L1が負圧になる等の悪影響を低下させることができる。つまり、流量調節手段D3によって流量を絞る、および/又は、ブロワ6を低回転数で運転することにより、第一実施形態に比べて排ガス流量が少ない状態でブロワ6を起動することができる。
【0018】
第二実施形態に係るCO回収システム100aは、図3に例示するように流量調節手段D3を設けて、流量調節手段D3によって排ガス流量を調節し(絞り)、ブロワ6は定格回転数で運転するように構成してもよいし、流量調節手段D3を設けずにブロワ6の回転数制御だけを行うように構成してもよい。但し、流量調節手段D3を設けて流量制御を行い、さらにブロワ6の回転数制御を行うことで、ブロワ6の運転条件(排ガスの下限流量)を最も低下させ、運転範囲を広げることができる。
【0019】
(動作)
図4にCO回収システム100aの制御方法の一例を示す。第一実施形態と同じ処理については簡単に説明する。
最初に制御装置10が、スタック入口ダンパD1を開く(ステップS1)。次に上流設備1(GTCC3)が起動される(ステップS2)。次に制御部13が、ブロワ入口翼D3の開度を最小に設定する(ステップS2-1)。これにより、ブロワ6の運転可能条件(排ガスの下限流量)が広がる。次に、判定部12は、排ガス流量が、ブロワ6が運転可能な流量以上か否かを判定する(ステップS3)。例えば、判定部12は、検知部11によって取得されたIGV2の開度が所定の閾値以上であれば、排ガス流量はブロワ6が運転可能な流量以上であると判定する。判定部12によって排ガス流量が運転可能な流量以上であると判定されると(ステップS3;Yes)、制御部13は、CO回収装置入口ダンパD2を開く(ステップS4)。次に制御部13は、ブロワ6を起動する(ステップS5)。このとき、制御部13は、例えば、ブロワ6を最低回転数で起動してもよい。次に制御部13は、スタック入口ダンパD1を閉とする。
【0020】
次に判定部12は、検知部11によって取得されたIGV2の開度やガスタービンの回転数、負荷などに基づいて、上流設備1の負荷が変化したかどうかを判定する(ステップS6)。例えば、IGV2の開度やガスタービンの回転数が所定値以上変化すると、判定部12は、負荷が変化したと判定する。負荷が変化したと判定した場合(ステップS6;Yes)、制御部13は、上流設備1の負荷に応じて、ブロワ6の運転状態を調整する(ステップS7)。例えば、上流設備1の負荷が低下した場合、ブロワ6を定格の回転数で運転すると、系統圧力が負圧になる可能性がある。従って、制御部13は、上流設備1の負荷に応じてブロワ6の回転数を低下させる。上流設備1の負荷が上昇した場合、制御部13は、上流設備1の負荷に応じてブロワ6の回転数を上昇させる。例えば、制御部13は、上流設備1の運転状態(IGV開度やガスタービンの回転数、負荷など)とブロワ6の回転数の関係を規定したテーブルや関数を記憶しており、このテーブルや関数に基づいてブロワ6の回転数を制御してもよい。制御装置10は、ステップS6以降の処理を継続する。負荷が変化していないと判定した場合(ステップS6;No)、制御装置10は、ブロワ6を停止するかどうかを判定する(ステップS8)。停止しない場合(ステップS8;No)、制御装置10は、ステップS6以降の処理を継続する。停止する場合(ステップS8;Yes)、制御装置10は、ブロワ6停止する。
【0021】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、ブロワ6の流量下限値を調整することで、ブロワ6の運転可能な範囲を広げることができる。運転可能条件を引き下げることで、GTCC3起動後のより早い段階でブロワ6を起動し、CO回収装置8へ排ガスを送り込むことができるのでCO回収率の向上が期待できる。
【0022】
<第三実施形態>
第三実施形態では、ブロワ6にブロワ循環系統L3を設け、上流設備1から供給される排ガス量が少ないときは、ブロワ循環系統L3にて排ガスを循環させることにより流量を確保する。図5に第三実施形態に係るCO回収システム100bの概略を示す。図5に示すように、ブロワ6の入口側と出口側を接続するブロワ循環系統L3を設け、ブロワ循環系統L3にバルブV1を設ける。バルブV1を開とすると、ブロワ6が引き込んだ排ガスの一部はブロワ循環系統L3を通じて、ブロワ6の入口側へ戻される。上流設備1から供給される排ガス量が少ない場合でも、引き込む排ガスの一部を、リサイクル系統L3を通じて戻される排ガスによって賄うことができるので、排ガス系統L1の圧力への悪影響を低下させることができる。これにより、ブロワ6の起動条件(下限流量)を低下させ、運転範囲を広げることができる。また、例えば、上流設備1が停止しているときでも、バルブV1を開として、ブロワ循環系統L3を通じてガスを循環させることで、ブロワ6を運転させておく(スタンバイ状態にする)ことができ、排ガス量が上昇したときに、ダンパD2を開とし、バルブV1の開度を調節(例えば、全閉とする)することで、速やかにGTCC3からの排ガスをCO回収装置8へ供給することができるようになる。
【0023】
(動作)
図6にCO回収システム100bの制御方法の一例を示す。第一実施形態と同じ処理については簡単に説明する。
最初に制御装置10が、CO回収装置入口ダンパD2とブロワ循環系統L3のバルブV1を開く(ステップS11)。次に制御装置10が、スタック入口ダンパD1を閉じる(ステップS12)。次に制御部13が、ブロワ6を起動する(ステップS13)。次に上流設備1(GTCC3)が起動される(ステップS14)。次に判定部12は、検知部11によって取得されたIGV開度やガスタービン回転数などに基づいて、上流設備1の負荷が変化したかどうかを判定する(ステップS15)。例えば、IGV2の開度やガスタービンの回転数が所定値以上変化すると、判定部12は、負荷が変化したと判定する。負荷が変化したと判定した場合(ステップS15;Yes)、制御部13は、上流設備1の負荷に応じて、ブロワ循環系統L3のバルブV1の弁開度を調整する(ステップS16)。例えば、上流設備1の負荷が低下した場合、ブロワ6を定格の回転数で運転すると、系統圧力が負圧になる可能性がある。従って、制御部13は、上流設備1の負荷に応じてバルブV1の弁開度を大きくし(開き)、より多くの排ガスがブロワ6の入口側に戻るように制御する。上流設備1の負荷が上昇した場合、排ガス流量も上昇する。制御部13は、バルブV1の弁開度を低下させ(閉じ)、より多くの排ガスをCO回収装置8へ供給できるようにする。例えば、制御部13は、上流設備1の運転状態(IGV開度やガスタービンの回転数、負荷など)とバルブV1の開度の関係を規定したテーブルや関数を記憶しており、このテーブルや関数に基づいてバルブV1の開度を制御してもよい。制御装置10は、ステップS15以降の処理を継続する。負荷が変化していないと判定した場合(ステップS15;No)、制御装置10は、ブロワ6を停止するかどうかを判定する(ステップS17)。停止しない場合(ステップS17;No)、制御装置10は、ステップS15以降の処理を継続する。停止する場合(ステップS17;Yes)、制御装置10は、ブロワ6停止する。
【0024】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、ブロワ6の流量下限値を調整することで、ブロワ6の運転可能な範囲を広げることができる。また、上流設備1が停止しているときでもブロワ6を停止することなく運転し、スタンバイ状態とすることができ、上流設備1の起動に伴って速やかにCO回収装置8へ排ガスを供給することができる。第三実施形態は、第二実施形態と組み合わせることが可能である。
【0025】
<第四実施形態>
第四実施形態では、第二実施形態の構成において、上流設備1の運転状態に応じて、流量調節手段D3を先行的に調節する。例えば、図4のフローチャートのステップS7において、ブロワ6の運転状態(回転数)に加えて、流量調節手段D3の開度を調節する。例えば、制御部13は、負荷が大きくなるのに応じて(排ガス流量が増加するのに応じて)、流量調節手段D3の開度を開き、なるべく多くの排ガスをCO回収装置8へ供給できるようにする。制御部13は、負荷が小さくなるのに応じて(排ガス流量が減少するのに応じて)、流量調節手段D3の開度を小さくし、流量を絞るように制御する。これによりブロワ6の運転範囲を広げることができる。例えば、制御部13は、上流設備1の運転状態(IGV開度やガスタービンの回転数、負荷など)と流量調節手段D3の開度の関係を規定したテーブルや関数を記憶しており、このテーブルや関数に基づいて流量調節手段D3の開度を制御してもよい。
【0026】
(効果)
第四実施形態によれば、上流設備1の負荷が急変化する場合でも、上流設備1の運転状態に基づいて、先行的に流量調節手段D3を調節することにより、負荷に応じた排ガス量が系統L1を流れるよう制御できるので、CO回収システム100a全体で安定的な運転が実現できる。また、流量計や圧力計で計測した計測値等に基づいて、流量調節手段D3やブロワ6の回転数制御を行うことがないので制御を簡略化できる。
【0027】
以上説明したように、第一実施形態~第四実施形態によれば、ブロワ6の運転可能範囲に応じてブロワ6の起動停止を制御することができる。また、第二実施形態~第四実施形態によれば、ブロワ6の運転可能範囲を広げることができる。
【0028】
図7は、各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の制御装置10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0029】
制御装置10の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0030】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0031】
<付記>
各実施形態に記載の制御装置、排ガス供給システム、制御方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0032】
(1)第1の態様に係る制御装置は、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御装置であって、前記設備の運転状態を検知する検知部と、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定する判定部と、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを起動し、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ブロワを停止する制御部と、を備える。
ブロワを運転可能な条件に基づいて動作させるので機器や設備を安全に運転できる。
【0033】
(2)第2の態様に係る制御装置は、(1)の制御装置であって、前記制御部は、前記運転状態に基づく前記排ガスの流量に応じて、前記ブロワの回転数を制御する。
排ガスの流量が少ない場合には、ブロワの回転数を下げることにより、ブロワの運転範囲を広げることができる。
【0034】
(3)第3の態様に係るCO回収システムは、設備から排出される排ガスをCO2回収装置へ導く排ガス系統と、前記排ガス系統における前記CO回収装置の下流側に設けられたブロワと、前記排ガス系統における前記ブロワの上流側に設けられたダンパと、前記排ガス系統における前記ダンパの上流側に設けられた煙突と、(1)~(2)の制御装置と、を備え、前記制御部は、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ダンパを開とし、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記ダンパを閉とする。
これにより、排ガス流量に応じてブロワを運転することができるので、機器や設備を安全に運転できる。
【0035】
(4)第4の態様に係る制御装置は、(3)の排ガス供給システムであって、前記排ガス系統における前記ダンパと前記ブロワの間に設けられた前記排ガスの流量調節手段、をさらに備え、前記制御部は、前記運転状態に基づく前記排ガスの流量に応じて、前記流量調節手段の開度を調節する。
排ガス量に応じて、流量調節手段の開度を調節することにより、可能な限り排ガスをCO回収装置へ供給し、安定してシステムを運用することができる。排ガスの流量調節手段の開度を絞ることで、ブロワの運転範囲を広げることができる。
【0036】
(5)第5の態様に係る制御装置は、(3)~(4)の排ガス供給システムであって、前記ダンパの下流側で前記ブロワをバイパスする循環系統と、前記循環系統に設けられたバルブと、をさらに備え、前記制御部は、前記排ガスの流量が前記運転範囲よりも少ない場合、前記バルブを開とする。
バルブを開とし、循環系統を通じて排ガスを循環させることで、ブロワの運転範囲を広げることができる。
【0037】
(6)第6の態様に係る制御方法は、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムの制御方法であって、前記設備の運転状態を検知するステップと、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定するステップと、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲外の場合、前記ブロワを停止するステップと、を有する。
【0038】
(7)第7の態様に係るプログラムは、コンピュータに、設備が排出する排ガスをブロワによってCO回収装置へ供給するシステムを制御する処理であって、前記設備の運転状態を検知するステップと、検知された前記運転状態に基づいて、前記排ガスの流量が前記ブロワの運転範囲か否かを判定するステップと、前記排ガスの流量が前記運転範囲に含まれる場合、前記ブロワを運転し、前記排ガスの流量が前記運転範囲外の場合、前記ブロワを停止するステップと、を含む処理を実行させる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・上流設備
2・・・IGV
3・・・GTCC
4・・・スタック
5・・・冷却塔
6・・・ブロワ
7・・・モータ
8・・・CO回収装置
10・・・制御装置
11・・・検知部
12・・・判定部
13・・・制御部
D1、D2・・・ダンパ
L1、L2.L3・・・系統
100、100a、100b・・・CO回収システム
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7