(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116659
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】制御装置、冷却システム、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/46 20180101AFI20240821BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20240821BHJP
F24F 11/83 20180101ALI20240821BHJP
F24F 11/85 20180101ALI20240821BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/62
F24F11/83
F24F11/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022376
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260AB07
3L260BA42
3L260CA32
3L260CB32
3L260CB37
3L260CB40
3L260EA08
3L260EA13
3L260FB22
(57)【要約】
【課題】冷却システムの最適運転を実現する制御装置を提供する。
【解決手段】冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御装置であって、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定する手段と、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出する手段と、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御する手段と、を備える制御装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御装置であって、
前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と、前記負荷機器の発熱量と、に基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定する手段と、
前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出する手段と、
前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御する手段と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記冷却システムは、冷却装置と、前記冷却装置が冷却した前記冷媒を前記負荷機器へ供給する配管系統と、前記配管系統に設けられたポンプとを含み、
前記決定する手段は、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷却装置の動力及び前記ポンプの動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定し、
前記運転点を算出する手段は、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記冷却装置の運転点及び前記ポンプの運転点を算出し、
前記制御する手段は、前記運転点を算出する手段が算出した前記冷却装置及び前記ポンプの運転点に基づいて、前記冷却装置及び前記ポンプを制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記冷却システムは、冷却装置と、熱交換器と、前記冷却装置が前記冷却した第1の冷媒が前記冷却装置と前記熱交換器を循環するよう構成された第1の配管系統と、前記第1の配管系統に設けられた第1のポンプと、前記熱交換器で前記第1の冷媒と熱交換を行う第2の冷媒が前記冷却装置と前記負荷機器を循環するよう構成された第2配管系統と、前記第2配管系統に設けられた第2のポンプと含み、
前記第1の冷媒の流量を設定する手段をさらに備え、
前記決定する手段は、前記負荷機器の許容温度と、前記負荷機器の発熱量と、前記第1の冷媒の流量と、前記第2の冷媒の流量と、前記冷却装置の動力、前記第1のポンプの動力及び前記第2のポンプの動力の合計と、の関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記設定する手段が設定した前記第1の冷媒の流量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記第2の冷媒の流量を決定し、
前記運転点を算出する手段は、前記設定する手段が設定した前記第1の冷媒の流量に基づいて前記第1のポンプの運転点を算出し、前記決定する手段が決定した前記第2の冷媒の流量に基づいて、前記冷却装置の運転点及び前記第2のポンプの運転点を算出し、
前記制御する手段は、前記運転点を算出する手段が算出した前記冷却装置、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプの運転点に基づいて、前記冷却装置、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記設定する手段は、前記第1の冷媒の流量を様々に設定し、
前記決定する手段は、設定された前記第1の冷媒の流量の各々について前記合計が最小となる前記第2の冷媒の流量を算出し、その中から前記合計が最小となる前記第2の冷媒の流量を算出する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記運転点を算出する手段は、さらに外気温度を考慮して、前記冷却装置の運転点を算出する、
請求項2、請求項3、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記運転点を算出する手段は、前記負荷機器の温度が所定の目標温度以上となる場合には、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点を上昇させるフィードバック制御を行う、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
冷却装置と、前記冷却装置が冷却した冷媒を負荷機器へ供給する配管系統と、前記配管系統に設けられたポンプと、前記負荷機器と、請求項2に記載の制御装置と、
を含む冷却システム。
【請求項8】
冷却装置と、熱交換器と、前記冷却装置が冷却した第1の冷媒が前記冷却装置と前記熱交換器を循環するよう構成された第1の配管系統と、前記第1の配管系統に設けられた第1のポンプと、前記熱交換器で前記第1の冷媒と熱交換を行う第2の冷媒が前記冷却装置と前記負荷機器を循環するよう構成された第2配管系統と、前記第2配管系統に設けられた第2のポンプと、前記負荷機器と、請求項3に記載の制御装置と、
を含む冷却システム。
【請求項9】
前記負荷機器がサーバ装置である、請求項7又は請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御方法であって、
前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定するステップと、
前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出するステップと、
前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御するステップと、
を有する制御方法。
【請求項11】
冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムを制御するコンピュータに、
前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定するステップと、
前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出するステップと、
前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、冷却システム、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体を冷却するシステムの運転においては、クライテリアを有する特定部の温度をモニターしながら単一の制御因子を制御することが多い。しかし、冷却システムには動的機器が複数あるため、最適な運転条件を判断することは難しく、最適条件で運転できていないことが多い。これに対し、特許文献1には、熱源機器から熱媒を空調機に供給して施設の空調を行うシステムについて、熱媒の需要量を推定し、推定した熱媒の需要量から熱媒を送出するポンプの使用エネルギーを推定し、空調機の熱需要に基づいて、熱媒を供給する熱源の使用エネルギーを推定し、ポンプの使用エネルギーと熱源の使用エネルギーの和が最小となるような最適点を求めて熱源機器を制御する空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発熱体を冷却するシステムにおいて、より簡単に最適運転を実現できるような制御が求められている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決することができる制御装置、冷却システム、制御方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の制御装置は、冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御装置であって、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定する手段と、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出する手段と、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御する手段と、を備える。
【0007】
本開示の冷却システムは、冷却装置と、前記冷却装置が冷却した冷媒を負荷機器へ供給する配管系統と、前記配管系統に設けられたポンプと、前記負荷機器と、上記の制御装置と、を含む。
【0008】
本開示の制御方法は、冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御方法であって、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定するステップと、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出するステップと、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御するステップと、を有する。
【0009】
また、本開示のプログラムは、冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムを制御するコンピュータに、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定するステップと、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出するステップと、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の制御装置、冷却システム、制御方法およびプログラムによれば、冷却システムの最適運転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態に係る冷却システムの一例を示す図である。
【
図2A】第一実施形態に係る2次側冷媒流量と2次側ポンプ動力の関係性の一例を示すグラフである。
【
図2B】第一実施形態に係る2次側冷媒流量と冷却装置の動力の関係性の一例を示すグラフである。
【
図2C】第一実施形態に係る2次側冷媒流量と合計動力の関係性の一例を示すグラフである。
【
図3】第一実施形態に係る運転点の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】第二実施形態に係る運転点の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第三実施形態に係る冷却システムの一例を示す図である。
【
図6】第三実施形態に係る運転点の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第四実施形態に係る運転パラメータのテーブルの一例を示す図である。
【
図8】各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る冷却システムについて、
図1~
図3を参照しながら説明する。
(構成)
図1は、実施形態に係る冷却システムの一例を示す図である。図示するように冷却システム1は、冷却装置10と、1次側ポンプ12と、熱交換器13と、1次側配管系統14と、2次側ポンプ15と、2次側配管系統16と、負荷機器17と、制御装置20とを備える。冷却システム1は、例えば、データセンタ等でサーバのCPU(Central Processing Unit)を冷却するシステムである。
【0013】
冷却装置10は、例えば、フリークーリング方式の冷却塔、空冷式のヒートポンプチラーなどであり、1次側配管系統14を流れる1次側冷媒(例えば、水)を冷却する。冷却装置10は、ファン11を備えている。1次側ポンプ12は、1次側配管系統14に設けられ、冷却装置10で冷却された1次側冷媒を吸い込んで熱交換器13側へ送出する。1次側配管系統14は、冷却装置10と熱交換器13を1次側冷媒が循環できるように設けられた1次側冷媒が流れる配管である。2次側配管系統16は、熱交換器13と負荷機器17を2次側冷媒が循環できるように設けられた2次側冷媒が流れる配管である。熱交換器13は、1次側冷媒と2次側冷媒の熱交換を行う。熱交換器13では、1次側冷媒によって2次側冷媒が冷却される。負荷機器17は、例えば、サーバ等のIT機器である。負荷機器17は、発熱体18を備えている。発熱体18は、CPU等のプロセッサである。2次側冷媒は、発熱体18から熱を奪うことにより発熱体18を冷却し、熱交換器13にて1次側冷媒によって冷却される。制御装置20は、冷却装置10の運転を制御することにより熱交換器13入口側での1次側冷媒の温度を調節し、1次側ポンプ12の回転数を制御することにより1次側配管系統14を流れる1次側冷媒の流量を調節し、2次側ポンプ15の回転数を制御することにより2次側配管系統16を流れる2次側冷媒の流量を調節し、発熱体18の温度を所望の範囲(所定の許容温度以下)に制御する。
【0014】
制御装置20は、発熱量推定部21と、運転点決定部22と、制御部23と、記憶部24と、を備える。発熱量推定部21は、発熱体18の発熱量を推定する。例えば、発熱量推定部21は、CPU(発熱体18)の負荷(ITロード)の情報をサーバ(負荷機器17)から取得し、CPU負荷とCPU発熱量の関係を規定したテーブル等に基づいて、CPU(発熱体18)からの発熱量を推定する。あるいは、発熱量推定部21は、2次側冷媒の流量と、負荷機器17の入口側と出口側における2次側冷媒の温度差や出口側での2次側冷媒の温度からCPU(発熱体18)の発熱量を推定してもよい。運転点決定部22は、発熱量推定部21が推定したCPU(発熱体18)の発熱量とCPU(発熱体18)の許容温度に基づいて、冷却装置10と、1次側ポンプ12と、2次側ポンプ15の運転パラメータ、例えば、ファン11の回転数(冷却装置10がフリークーリングの場合)、不図示の圧縮機の回転数(冷却装置10がヒートポンプチラーの場合)、1次側ポンプ12および2次側ポンプ15の回転数などを決定する。運転パラメータの決定方法については、後に
図2~
図4を用いて説明する。制御部23は、運転点決定部22が決定した運転パラメータに基づいて、冷却装置10と、1次側ポンプ12と、2次側ポンプ15を制御する。記憶部24は、ユーザが入力装置を用いて入力した閾値やテーブルなどの各種設定情報の入力を受け付け、それらの設定情報を記憶する。
【0015】
図2Aは、実施形態に係る2次側冷媒流量と2次側ポンプ15の動力の関係性の一例を示すグラフである。
図2Aに示すように2次側の冷媒流量を増大させると2次側ポンプ15の動力も増大する。
図2Aのグラフによれば、2次側の冷媒流量を決定することにより2次側ポンプ15の動力を求めることができる。
【0016】
図2Bは、実施形態に係る2次側冷媒流量と冷却装置10の動力の関係性の一例を示すグラフである。
図2Bのグラフは、例えば、1次側冷媒流量と発熱体18の発熱量がある値で一定と仮定した場合の2次側冷媒流量と冷却装置10の動力の関係を示している。図示するように2次側冷媒流量を増大させると1次側の冷却装置10の動力を低下させることができる。
図2Aのグラフと合わせると、2次側冷媒流量に応じた、2次側ポンプ15の動力と冷却装置10の動力とを決定することができる。
【0017】
図2Cは、実施形態に係る2次側冷媒流量と合計動力の関係性の一例を示すグラフである。
図2Cのグラフは、例えば、1次側冷媒流量と発熱体18の発熱量がある値で一定と仮定した場合の2次側冷媒流量と合計動力の関係を示している。合計動力とは、冷却装置10の動力と、1次側ポンプ12の動力と、2次側ポンプ15の動力の合計である。
図2A,
図2Bのグラフと合わせると、2次側冷媒流量を定めることにより、冷却装置10の動力と、1次側ポンプ12の動力と、2次側ポンプ15の動力を決定することができる。ここで、合計動力が最小となるPUE(Power Usage Effectiveness)最適値を選択し、この運転点で、冷却装置10と、1次側ポンプ12と、2次側ポンプ15を運転することができれば、最小の動力(消費エネルギー)で冷却システム1を運転することができ、データセンタのエネルギー効率の改善に貢献することができる。
【0018】
例えば、記憶部24には、様々な1次側冷媒流量と発熱体18の発熱量および許容温度の組合せに対する2次側冷媒流量と冷却装置の動力の関係を示すグラフ(例えば、
図2B)や関数又はテーブル等が多数登録されている。また、記憶部24には、様々な1次側冷媒流量と発熱体18の発熱量および許容温度の組合せに対する2次側冷媒流量と合計動力の関係を示すグラフ(例えば、
図2C)や関数又はテーブル等が登録されている。これらのグラフや関数又はテーブル等は予め机上計算や実験などで算出されたものである。これらのグラフ等を参照することにより、PUEが最適となる冷却システム1の運転点を決定し、最適運転を実現することができる。
【0019】
(動作)
図3は、第一実施形態に係る運転点の決定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、1次側の冷媒流量を設定する(ステップS1)。例えば、ユーザが1次側冷媒流量を設定する。記憶部24は、その設定を受け付け、設定された1次側冷媒流量を記憶する。これにより、1次側ポンプ12の動力(回転数)が決定する。例えば、縦軸が1次側ポンプ12の動力、横軸が1次側冷媒流量のグラフが記憶部24に登録されていて、運転点決定部22は、このグラフと設定した1次側冷媒流量とに基づいて、1次側ポンプ12の動力を算出し、1次側ポンプ12の動力から回転数を算出する。この第一実施形態において、1次側冷媒流量は一定である。
【0020】
次に発熱体の制約条件を確認する(ステップS2)。例えば、発熱量推定部21は、発熱体18のITロード(CPU負荷)に基づいて、発熱体18の発熱量を算出する。また、発熱量推定部21は、記憶部24が記憶する発熱体18の許容温度を取得する。ステップS3以降の処理では、ステップS1で設定した1次側冷媒流量とステップS2で確認した発熱体18の発熱量および許容温度を制約条件として、この制約条件下における最適な運転点を決定する。
【0021】
次に制約条件を満たすための2次側冷媒流量を決定する(ステップS3)。例えば、記憶部24には、ステップS1で設定された1次側冷媒流量とステップS2で算出された発熱体18の発熱量および発熱体18の許容温度の組合せに対する2次側冷媒流量と合計動力の関係を示すグラフ(例えば、
図2C)等が登録されていて、運転点決定部22は、このグラフに基づいて、合計動力が最低となるような2次側冷媒流量を算出し、算出した値を、冷却システム1の2次側冷媒流量として決定する。2次側冷媒流量を決定すると、2次側ポンプ15の動力(回転数)が決定する。例えば、運転点決定部22は、
図2Aのグラフと2次側冷媒流量とに基づいて、2次側ポンプ15の動力を算出し、2次側ポンプ15の動力を回転数に換算する。また、運転点決定部22は、発熱体18の発熱量および許容温度と2次側冷媒流量から、発熱体18を許容温度以下に冷却するために必要な2次側冷媒の温度を決定する。例えば、記憶部24には、発熱体18の発熱量と、発熱体18の許容温度と、2次側冷媒流量と、2次側冷媒温度(負荷機器17の入口側における2次側冷媒の温度)と、の対応関係を規定したテーブルが登録されていて、運転点決定部22は、ステップS2で算出した発熱量および許容温度と、ステップS3で決定した2次側冷媒流量と、このテーブルと、に基づいて、2次側冷媒温度を決定する。2次側冷媒温度を決定すると、先に1次側冷媒流量が設定されていることから熱交換器13の入口側における1次側冷媒の温度も決定する。例えば、記憶部24には、1次側冷媒流量と、1次側冷媒温度と、2次側冷媒流量と、2次側冷媒温度と、の対応関係を規定したテーブルが登録されていて、運転点決定部22は、このテーブルと、先に決定等した1次側冷媒流量と、2次側冷媒流量および冷媒温度と、に基づいて、1次側冷媒温度を算出する。
【0022】
上記の各条件で熱交換器13の1次側の入りと出の温度が決定し、冷却装置10の動力が決定する(ステップS4)。運転点決定部22は、熱交換器13入口側の冷媒温度、2次側冷媒流量および温度から、熱交換器13の1次側冷媒の出口側の温度を所定の計算式で算出し、熱交換器13の1次側の入りと出の1次側冷媒温度から冷却装置10の動力を算出する。運転点決定部22は、冷却装置10の動力と制御対象機器(ファン11や圧縮機など)の関係を定めたグラフ等に基づいて、ファン11の回転数等を算出する。例えば、冷却装置10がフリークーリング方式の冷却塔の場合、運転点決定部22は、ファン11の動力(回転数)を算出する。例えば、冷却装置10が空冷式のヒートポンプチラーの場合、運転点決定部22は、ファン11や不図示の圧縮機の回転数などを算出する。
【0023】
以上の処理で、1次側ポンプ12の動力(回転数)、2次側ポンプ15の動力(回転数)、冷却装置10の動力(ファン11の回転数等)が決定するので、制御部23は、運転点決定部22が決定した動力で、1次側ポンプ12、2次側ポンプ15、冷却装置10を運転する。
【0024】
例えば、ステップS3において、ステップS1で算出した1次冷媒流量とステップS2で算出した発熱量等の組合せに対する2次側冷媒流量と合計動力の関係を示すグラフ(例えば、
図2C)等に基づいて、合計動力が最小となる2次側冷媒流量を選択すれば、
図3のフローチャートによって合計動力を最小とする運転点を算出することができる。しかし、実施形態はこの方法に限定されない。例えば、運転点決定部22は、ステップS3において、グラフ2Aに例示するグラフに基づいて、2次側の冷媒流量を任意に選択し、選択した2次側冷媒流量に基づいて、2次側冷媒温度、1次側冷媒温度、冷却装置10の動力を上記の通り計算する処理を、ステップS3で選択する2次側冷媒流量を変化させながら繰り返し行い、1次側ポンプ12の動力と、2次側ポンプ15の動力と、冷却装置10の動力の合計が最小となるときの1次側ポンプ12の回転数、2次側ポンプ15の回転数、冷却装置10の運転パラメータ(例えば、ファン11の回転数)を運転点として決定してもよい。この処理は、後述する第二実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0025】
また、例えば、冷却装置10の動力は、外気温の影響を受けるため、熱交換器13の入口側と出口側の1次側冷媒の温度に加え、外気温を考慮して冷却装置10の動力を算出するようにしてもよい。例えば、外気温と、熱交換器13の入口側の1次側冷媒温度と、熱交換器13の出口側の1次側冷媒温度と、ファン11の回転数とを対応付けたテーブルを記憶部24に登録し、このテーブルに基づいてファン11の回転数(冷却装置10の動力)を算出するようにしてもよい。この処理は、後述する第二実施形態、第三実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0026】
また、
図3のフローチャートによって決定した運転パラメータに基づいて、1次側ポンプ12、2次側ポンプ15、冷却装置10を運転しても発熱体18の温度が許容温度を超えて上昇しそうな場合には、1次側ポンプ12、2次側ポンプ15、冷却装置10の動力を所定値だけ増加させ(例えば、1次側ポンプ12、2次側ポンプ15、ファン11の回転数を1%増加させる等)、しばらく発熱体18の温度の推移を監視し、温度上昇が止まらない場合にはさらに1次側ポンプ12、2次側ポンプ15、冷却装置10の動力を増大させるといったフィードバック制御を加えてもよい。この処理は、後述する第二実施形態、第三実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0027】
また、
図1では、負荷機器17が1台、発熱体18が1個の構成を図示したが、本実施形態の運転点決定処理および制御方法は、1台の負荷機器17には、複数の発熱体18が備えられていてもよいし、1又は複数の発熱体18を備える負荷機器17が複数台設けられた冷却システムにも適用することができる。この場合、ステップS2では、複数の発熱体18の発熱量の平均値や、負荷が高い発熱体18により大きな重み付けを付して加重平均などを算出し、ステップS3では、この平均値や加重平均値に基づいて、2次側冷媒流量を決定するようにしてもよい。この処理は、後述する第二実施形態、第三実施形態に対しても同様に適用することができる。
【0028】
(効果)
以上説明したように、第一実施形態によれば、1次側冷媒流量を所定値に固定した条件下で、冷却システムの最適運転を実現することができる。1次側冷媒流量を固定することにより、最適な運転点を決定する際の計算負荷を抑制し、冷却システム1の制御を簡素化することができる。
【0029】
<第二実施形態>
(構成)
第二実施形態に係る冷却システムについて、
図4を参照しながら説明する。冷却システム1の構成は、
図1に例示したものと同様である。
(動作)
第一実施形態では、1次側冷媒流量を固定したが、第二実施形態では、1次側冷媒流量を可変とし、合計動力が最小となる運転点を探索する。
図4は、第二実施形態に係る運転点の決定処理の一例を示すフローチャートである。
図3で説明した処理と同じ処理については同じ符号を付し簡単に説明する。前提として、1次側冷媒流量の検討条件が予め設定されているとする。検討条件とは、例えば、1次側冷媒流量について、X1~X2(kg/s)の範囲をX3(kg/s)単位で変化させ、運転点を検討するなどである。
【0030】
まず、1次側の流量を仮設定する(ステップS1´)。運転点決定部22は、検討条件として予め定められた1次側冷媒流量の範囲の中から1つを選択し、選択した値を1次側冷媒流量として仮設定する。例えば、運転点決定部22は、1次側冷媒流量にX1(kg/s)を仮設定する。
【0031】
次に発熱体の制約条件を確認する(ステップS2)。次に制約条件を満たすための2次側流量を決定する(ステップS3)。これにより、制約条件を満たすための2次側冷媒の温度が決定し、先に1次側冷媒流量が仮設定されていることから1次側冷媒温度も決定する。上記の各条件で熱交換器13の1次側の入りと出の温度が決定し、冷却装置10の動力が決定する(ステップS4)。運転点決定部22は、冷却装置10の動力を算出する。運転点決定部22は、ステップS1´で仮設定した流量に応じた1次側ポンプ12の動力、ステップS3で決定した流量に応じた2次側ポンプ15の動力、ステップS4で算出した冷却装置10の動力を記憶部24に記録する。
【0032】
次に運転点決定部22は、1次側冷媒流量の全検討条件についてステップS1´~S4の処理を行ったかどうかを判定する(ステップS5)。全検討条件について処理が行われていない場合(ステップS5;No)、運転点決定部22は、次の検討条件を選択し(ステップS6)、選択した1次側冷媒流量として仮設定する(ステップS1´)。例えば、運転点決定部22は、1次側冷媒流量にX1+X3(kg/s)を仮設定する。そして、ステップS2~S4が繰り返し実行される。X1~X2(kg/s)の全検討条件についてステップS2~S4の処理が実行された場合(ステップS5;Yes)、運転点決定部22は、検討した中から合計動力が最小となる組合せ決定する(ステップS7)。運転点決定部22は、記憶部24に記録された1次側ポンプ12の動力、2次側ポンプ15の動力、冷却装置10の動力の合計が最小となる各機器の動力の組合せを選択する。以上の処理で、1次側ポンプ12の動力、2次側ポンプ15の動力、冷却装置10の動力やそれらの運転パラメータが決定するので、制御部23は、運転点決定部22が決定した運転パラメータで、1次側ポンプ12、2次側ポンプ15、冷却装置10を運転する。
【0033】
(効果)
第二実施形態によれば、冷却システム1の最適運転を実現することができる。第二実施形態では、1次側冷媒流量を様々に変化させながら合計動力が最小となる運転点を決定するので、第一実施形態と比べエネルギー効率の向上が期待できる。
【0034】
<第三実施形態>
(構成)
次に第三実施形態について、
図5~
図6を参照して説明する。
図5は、第三実施形態に係る冷却システムの一例を示す図である。図示するように冷却システム1Aは、冷却装置10Aと、ポンプ15Aと、配管系統16Aと、負荷機器17Aと、制御装置20Aとを備える。
図1の構成と比較すると、1次側配管系統14、1次側ポンプ12及び熱交換器13を取り除き、冷却装置10Aで冷却した冷媒を負荷機器17Aへ供給し、発熱体18Aを冷却する構成となっている。
【0035】
冷却装置10Aは、配管系統16Aを流れる冷媒を冷却するフリークーリング式の冷却塔やヒートポンプチラーである。冷却装置10Aは、ファン11Aを備えている。ポンプ15Aは、冷却装置10Aと負荷機器17Aとを冷媒が循環できるように設けられた配管系統16Aに設けられ、冷却装置10Aで冷却された冷媒を吸い込んで負荷機器17側へ送出する。負荷機器17Aはサーバ等のIT機器、発熱体18AはCPU等のプロセッサである。
【0036】
制御装置20Aは、発熱量推定部21Aと、運転点決定部22Aと、制御部23Aと、記憶部24Aとを備える。発熱量推定部21は、発熱体18Aの発熱量を推定する。運転点決定部22Aは、冷却装置10Aの運転パラメータ(例えば、ファン11Aの回転数、不図示の圧縮機の回転数など)、ポンプ15Aの運転パラメータ(回転数)を決定する。制御部23Aは、運転点決定部22Aが決定した運転パラメータに基づいて、冷却装置10Aとポンプ15Aを運転する。記憶部24Aは、例えば、発熱体18Aの発熱量および許容温度の様々な組合せに対する冷媒流量と合計動力(冷却装置10Aの動力とポンプ15Aの動力の合計)の関係を示すグラフ(例えば、
図2C)等を記憶している。
【0037】
(動作)
図6は、第三実施形態に係る運転点の決定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、冷媒流量を設定する(ステップS1A)。例えば、ユーザが配管系統16Aを循環する冷媒流量を設定する。記憶部24Aは、その設定を受け付け、設定された冷媒流量を記憶する。これにより、ポンプ15Aの動力(回転数)が決定する。例えば、記憶部24Aには、発熱体18Aの発熱量および許容温度の組合せに対する冷媒流量と合計動力(冷却装置10の動力とポンプ15Aの動力の合計)の関係を示すグラフ(例えば、
図2C)等が登録されていて、ユーザは、発熱体18Aの発熱量および許容温度を仮定し、仮定した発熱量および許容温度において合計動力が最低となるような冷媒流量をこのグラフに基づいて算出し、算出した値を設定してもよい。あるいは、ユーザが発熱体18Aの発熱量および許容温度の仮定値を制御装置20Aに入力すると、運転点決定部22Aが仮定された発熱量及び許容温度から発熱量および許容温度の組合せに対するグラフを選択し、選択したグラフに基づいて合計動力が最小となる冷媒流量を算出し、この冷媒流量を冷却システム1Aの冷媒流量として設定してもよい。
【0038】
次に発熱体18Aの制約条件を確認する(ステップS2A)。例えば、発熱量推定部21Aは、CPU負荷に基づいて、発熱体18Aの発熱量を算出する。発熱量推定部21Aは、記憶部24Aが記憶する発熱体18Aの許容温度を取得する。
【0039】
次に制約条件を満たすための冷媒温度を決定する(ステップS3A)。運転点決定部22Aは、発熱体18Aの発熱量および許容温度とステップS1Aで設定した冷媒流量から、発熱体18Aを許容温度以下に冷却するために必要な冷媒温度を決定する。例えば、記憶部24Aには、発熱体18Aの発熱量と、発熱体18Aの許容温度と、冷媒流量と、冷媒温度(負荷機器17Aの入口側における冷媒温度)と、の対応関係を規定したテーブルが登録されていて、運転点決定部22Aは、ステップS2Aで算出した発熱量および許容温度と、ステップS1Aで設定した冷媒流量と、このテーブルと、に基づいて、冷媒温度を決定する。
【0040】
上記の各条件で冷却装置10Aの動力が決定する(ステップS4A)。運転点決定部22Aは、負荷機器17Aの入口側での冷媒温度、発熱体18Aの発熱量、冷媒流量から負荷機器17Aの出口側での冷媒温度を所定の計算式で算出し、負荷機器17Aの入口側と出口側の冷媒温度から冷却装置10Aの動力を算出する。例えば、冷却装置10がフリークーリング方式の冷却塔の場合、運転点決定部22Aは、ファン11Aの動力や回転数を算出する。例えば、冷却装置10Aが空冷式のヒートポンプチラーの場合、運転点決定部22Aは、ファン11Aや圧縮機の動力や回転数などを算出する。以上の処理で、ポンプ15Aの運転パラメータ、冷却装置10Aの運転パラメータが決定するので、制御部23Aは、運転点決定部22Aが決定した運転パラメータで、ポンプ15A、冷却装置10Aを運転する。
【0041】
第三実施形態は上記の処理に限定されない。例えば、運転点決定部22Aは、第二実施形態と同様にして、ステップS1Aにて配管系統16Aを流れる冷媒流量を様々に設定して、設定した流量に基づいてステップS2A~S4Aを繰り返し実行し、各冷媒流量の条件下で算出されたポンプ15Aの動力と冷却装置10Aの動力を記憶部24Aに記録し、ポンプ15Aの動力と冷却装置10Aの動力の合計が最小となるときのポンプ15Aの回転数、冷却装置10Aの運転パラメータ値(例えば、ファン11Aの回転数)を運転点として決定してもよい。
【0042】
(効果)
以上説明したように、第三実施形態によれば、
図5に例示する構成の冷却システムについても最適運転を実現することができる。
【0043】
<第四実施形態>
次に
図7を参照して第四実施形態について説明する。
図7は、第四実施形態に係る運転パラメータのテーブルの一例を示す図である。
第四実施形態については、第一実施形態~第三実施形態の何れとも組み合わせることが可能である。上記の各実施形態では、冷却システム1,1Aの運転時に
図3、
図4、
図6等のフローチャートに例示した処理によって各機器の運転パラメータを算出していた。第四実施形態では、例えば、第一実施形態~第三実施形態の運転パラメータを決定する処理の結果、算出した運転パラメータと外気温と発熱量とを対応付けて発熱体18の許容温度別に記憶部24,24Aの運転パラメータテーブルに記録しておいて、このテーブルと外気温と発熱体18,18Aの発熱量および許容温度とに基づいて、1次側ポンプ12等の運転パラメータを決定する。
図7に冷却システム1(
図1)の構成の場合の運転パラメータテーブルの一例を示す。
図7の例では、外気温T1(℃)と、発熱量W1(W)と、ファン11の回転数F1(rps)と、1次側ポンプ12の回転数P11(rps)と、2次側ポンプ15の回転数P21(rps)と、が対応付けて登録されている。例えば、冷却システム1を運転する際に、外気温がT1(℃)、発熱量がW1(W)となると、運転点決定部22は、外気温T1(℃)と、発熱量W1(W)および許容温度と、
図7の運転パラメータテーブルと、に基づいて、1次側ポンプ12の回転数をP11(rps)、2次側ポンプ15の回転数をP21(rps)、ファン11の回転数をF1(rps)と決定する。予め各機器の特性から、外気温、発熱量の条件毎の最適運転条件のテーブルを作成することにより、冷却システム1の最適運転を実現するとともに、運転パラメータ決定の計算負荷を軽減することができる。また、運転パラメータテーブルに基づいて決定した運転点で冷却システム1を運転しても、発熱体18の温度が許容温度以下にならない場合は、ファン11、1次側ポンプ12、2次側ポンプ15の出力を例えば1%ずつ増やし、発熱体18の温度が許容温度以下となるように補正してもよい。
【0044】
図8は、各実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述の制御装置20,20Aは、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0045】
なお、制御装置20,20Aの全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各機能部による処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、CD、DVD、USB等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0046】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
<付記>
各実施形態に記載の制御装置、冷却システム、制御方法およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0048】
(1)第1の態様に係る制御装置20、20Aは、冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御装置であって、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定する手段と、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出する手段と、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御する手段と、を備える。
これにより、冷却システムの最適運転を実現することができる。
【0049】
(2)第2の態様に係る制御装置20Aは、(1)の制御装置であって、前記冷却システムは、冷却装置と、前記冷却装置が冷却した冷媒を負荷機器へ供給する配管系統と、前記配管系統に設けられたポンプとを含み、前記決定する手段は、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷却装置の動力及び前記ポンプの動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定し、前記運転点を算出する手段は、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記冷却装置の運転点及び前記ポンプの運転点を算出し、前記制御する手段は、前記運転点を算出する手段が算出した前記冷却装置及び前記ポンプの運転点に基づいて、前記冷却装置及び前記ポンプを制御する。
これにより、冷却システム1Aを動力が最小となる最適な運転点で運転することができる。
【0050】
(3)第3の態様に係る制御装置20は、(1)の制御装置であって、前記冷却システムは、冷却装置と、熱交換器と、前記冷却装置が冷却した第1の冷媒が前記冷却装置と前記熱交換器を循環するよう構成された第1の配管系統と、前記第1の配管系統に設けられた第1のポンプと、前記熱交換器で前記第1の冷媒と熱交換を行う第2の冷媒が前記冷却装置と前記負荷機器を循環するよう構成された第2配管系統と、前記第2配管系統に設けられた第2のポンプと含み、前記第1の冷媒の流量を設定する手段をさらに備え、前記決定する手段は、前記負荷機器の許容温度と、前記負荷機器の発熱量と、前記第1の冷媒の流量と、前記第2の冷媒の流量と、前記冷却装置の動力、前記第1のポンプの動力及び前記第2のポンプの動力の合計と、の関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記設定する手段が設定した前記第1の冷媒の流量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記第2の冷媒の流量を決定し、前記運転点を算出する手段は、前記設定する手段が設定した前記第1の流量に基づいて前記第1のポンプの運転点を算出し、前記決定する手段が決定した前記第2冷媒の流量に基づいて、前記冷却装置の運転点及び前記第2のポンプの運転点を算出し、前記制御する手段は、前記運転点を算出する手段が算出した前記冷却装置、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプの運転点に基づいて、前記冷却装置、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを制御する。
これにより、1次側冷媒流量をある流量に固定した条件下で、冷却システム1を動力が最小となる最適な運転点で運転することができる。
【0051】
(4)第4の態様に係る制御装置20は、(3)の制御装置であって、前記設定する手段は、前記第1の冷媒の流量を様々に設定し、前記決定する手段は、設定された前記第1の冷媒の流量の各々について前記合計が最小となる前記第2の冷媒の流量を算出し、その中から前記合計が最小となる前記第2の冷媒の流量を算出する。
これにより冷却システム1を動力が最小となる最適な運転点で運転することができる。
【0052】
(5)第5の態様に係る制御装置20、20Aは、(2)~(4)の制御装置であって、前記運転点を算出する手段は、さらに外気温度を考慮して、前記冷却装置の運転点を算出する。
これにより、冷却装置を適切に制御することができる。
【0053】
(6)第6の態様に係る制御装置は、(1)~(5)の制御装置であって、前記運転点を算出する手段は、前記負荷機器の温度が所定の目標温度以上となる場合には、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点を上昇させるフィードバック制御を行う。
これにより、消費電力を最小にする最適な運転点を基準として、なるべく少ない動力で冷却システムを運転し、負荷装置の温度を所望の目標温度以下に制御することができる。
【0054】
(7)第7の態様に係る冷却システムは、冷却装置と、前記冷却装置が冷却した冷媒を負荷機器へ供給する配管系統と、前記配管系統に設けられたポンプと、前記負荷機器と、請求項2に記載の制御装置と、を含む。
これにより、冷却システムを、消費電力を最小にする最適な運転点で運転することができる。
【0055】
(8)第8の態様に係る冷却システムは、冷却装置と、熱交換器と、前記冷却装置が冷却した第1の冷媒が前記冷却装置と前記熱交換器を循環するよう構成された第1の配管系統と、前記第1の配管系統に設けられた第1のポンプと、前記熱交換器で前記第1の冷媒と熱交換を行う第2の冷媒が前記冷却装置と前記負荷機器を循環するよう構成された第2配管系統と、前記第2配管系統に設けられた第2のポンプと、前記負荷機器と、(3)~(4)に記載の制御装置と、を含む。
これにより、冷却システムを、消費電力を最小にする最適運転点で運転することができる。
【0056】
(9)第9の態様に係る冷却システムは、(7)~(8)の冷却システムであって、前記負荷機器がサーバ装置である。
これにより、サーバを設置するデータセンタ等のエネルギー効率を向上することができる。
【0057】
(10)第10の態様に係る制御方法は、冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムの制御方法であって、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定するステップと、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出するステップと、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御するステップと、を有する。
【0058】
(11)第11の態様に係るプログラムは、冷媒を負荷機器へ供給して前記負荷機器を冷却する冷却システムを制御するコンピュータに、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量と前記冷媒の流量と前記冷媒を前記負荷機器に供給するために必要な複数の機器の動力の合計との関係を示す情報と、前記負荷機器の許容温度と前記負荷機器の発熱量とに基づいて、前記合計が最小となるときの前記冷媒の流量を決定するステップと、前記決定する手段が決定した前記冷媒の流量に基づいて、前記複数の機器それぞれの運転点を算出するステップと、前記運転点を算出する手段が算出した前記運転点に基づいて、前記複数の機器それぞれを制御するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A・・・冷却システム
10,10A・・・冷却装置
12・・・1次側ポンプ
13・・・熱交換器
14・・・1次側配管系統
15・・・2次側ポンプ
15A・・・ポンプ
16・・・2次側配管系統
16A・・・配管系統
17,17A・・・負荷機器
18,18A・・・発熱体
20,20A・・・制御装置
21,21A・・・発熱量推定部
22,22A・・・運転点決定部
23,23A・・・制御部
24,24A・・・記憶部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU
902・・・主記憶装置
903・・・補助記憶装置
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース