(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116660
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/42 20230101AFI20240821BHJP
B01J 39/18 20170101ALI20240821BHJP
B01J 47/14 20170101ALI20240821BHJP
B01J 49/53 20170101ALI20240821BHJP
【FI】
C02F1/42 A
B01J39/18
B01J47/14
B01J49/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022379
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鎌仲 真也
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】柳川 英明
【テーマコード(参考)】
4D025
【Fターム(参考)】
4D025AA01
4D025AB21
4D025AB22
4D025BA08
4D025BB02
4D025BB07
4D025CA01
4D025CA10
(57)【要約】
【課題】 濾過器の再生時において、濾過器内を流通する水量及びポンプの吐出し圧力等を容易に制御可能な水処理装置の一例を開示する。
【解決手段】 再生時にポンプ3の吐出し口から濾過器9を経由して排水側に至る流路18のいずれかの部位17Aで分流した水を当該排水側に導く分流路17に開閉バルブ15が設けられている。そして、制御装置7は、再生時には開閉バルブ15を開き、濾過時には開閉バルブ15を閉じる。これにより、ポンプ3の吐出し圧力が過度に上昇してしまうことを抑制しながら、濾過器9内を流通する水量を適切な水量まで低下させることが可能となり得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を濾過する濾過器を備えるとともに、当該濾過器を再生する再生機能を実行可能な水処理装置において、
水を前記濾過器に供給するポンプと、
再生時に前記ポンプの吐出し口から前記濾過器を経由して排水側に至る流路のいずれかの部位で分流した水を当該排水側に導く分流路に設けられ、当該分流路の連通状態を調節するバルブと、
前記バルブの作動を制御するバルブ制御部であって、再生時に、当該バルブの開度を濾過時に比べて大きくするバルブ制御部と、
を備える水処理装置。
【請求項2】
前記バルブは開閉弁であり、
前記バルブ制御部は、再生時には前記開閉弁を開き、濾過時には当該開閉弁を閉じる請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
水を濾過する際に前記濾過器内を流通する水の向きを「濾過の向き」とし、当該濾過の向きと逆向きに水を前記濾過器内に流通させることを「逆洗」としたとき、
前記バルブ制御部は、逆洗時には前記開閉弁を閉じる請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記流路には、再生時に前記濾過器に入水する水量を低下させるための絞り部が設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記ポンプの運転を制御するポンプ制御部を備え、
前記ポンプ制御部は、前記ポンプの起動及び停止のみを制御する請求項2又は3に記載の水処理装置。
【請求項6】
水を濾過する濾過器を備えるとともに、当該濾過器を再生する再生機能を実行可能な水処理装置において、
水を前記濾過器に供給するポンプと、
前記ポンプの吐出し口から前記濾過器を経由して排水側に至る流路のいずれかの部位で分流した水を当該排水側に導く分流路に設けられたリリーフバルブであって、当該部位の水圧(以下、監視圧力という。)が予め決められた圧力(以下、設定圧という。)を超えたときに当該分流路を連通させ、監視圧力が設定圧以下のときに当該分流路を閉じるリリーフバルブと
を備える水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水を濾過する濾過器を備える水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の水処理装置は、濾過器を再生する再生機能を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、濾過器の再生時において、濾過器内を流通する水量及びポンプの吐出し圧力等を容易に制御可能な水処理装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
水を濾過する濾過器(9)を備えるとともに、当該濾過器(9)を再生する再生機能を実行可能な水処理装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0006】
すなわち、当該構成要件は、水を濾過器(9)に供給するポンプ(3)と、再生時にポンプ(3)の吐出し口から濾過器(9)を経由して排水側に至る流路(18)のいずれかの部位で分流した水を当該排水側に導く分流路(17)に設けられ、当該分流路(17)の連通状態を調節するバルブ(15)と、バルブ(15)の作動を制御するバルブ制御部(7)であって、再生時に、当該バルブ(15)の開度を濾過時に比べて大きくするバルブ制御部(7)とである。
【0007】
ところで、再生時における適切な水量は、濾過器(9)にて濾過を行うときに比べて小さい水量が望ましい。このとき、例えば、流路(18)を絞る、つまり通水抵抗を大きくすることにより水量を小さくすると、ポンプ(3)の吐出し圧力が過度に上昇してポンプ(3)の温度も上昇してしまうおそれがある。
【0008】
これに対して、当該水処理装置では、再生時に、バルブ(15)の開度を濾過時に比べて大きくするので、ポンプ(3)の吐出し圧力が過度に上昇してしまうことを抑制しながら、濾過器内を流通する水量を適切な水量まで低下させることが可能となり得る。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る水処理装置の模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る水処理装置の濾過時を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る水処理装置の逆洗時を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る水処理装置の再生時を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る水処理装置のリンス時を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る水処理装置の補給時を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る水処理装置の模式図である。
【
図8】第3実施形態に係る水処理装置の模式図である。
【
図9】第4実施形態に係る水処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された水処理装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.水処理装置の構成>
本実施形態は、井戸水等(以下、原水という。)を濾過する装置に本開示に係る水処理装置の一例が適用されたものである。具体的には、
図1に示されるように、本実施形態に係る水処理装置1は、電動式のポンプ3、濾過装置5及び制御装置7等を少なくとも備える。
【0014】
<1.1 ポンプ>
ポンプ3は、井戸から原水を汲み上げて濾過装置5に供給する。当該ポンプ3の作動は、制御装置7により制御される。本実施形態に係る制御装置7は、ポンプ3の回転数を制御する機能を有しておらず、ポンプ3の起動及び停止のみを制御する。
【0015】
なお、ポンプの回転数とは、当該ポンプのインペラの単位時間当たりの回転数を意図する。このため、本実施形態では、制御装置7がポンプ3を起動すると、ポンプ3は、商用電源周波数に応じた回転数にて回転する。
【0016】
このとき、ポンプ3の吐出し流量は、当該ポンプ3の吐出し側の通水抵抗値に応じて変化する。具体的には、通水抵抗が大きくなると、吐出し流量が低下するとともに、吐出し圧力が上昇する。通水抵抗が小さくなると、吐出し流量が増大するとともに、吐出し圧力が低下する。
【0017】
<1.2 濾過装置の概要>
濾過装置5は、濾過器9、第1バルブユニット11~第4バルブユニット14、開閉バルブ15及び再生剤タンク16、並びにこれら9~16を接続して流路を構成する配管等を少なくとも有する。
【0018】
濾過器9は水を濾過する。本実施形態に係る濾過器9は、主に、鉄イオンやマンガンイオン等の金属(陽)イオンを除去する。本実施形態では、当該除去機能はイオン交換樹脂を利用して実現されている。
【0019】
なお、イオン交換樹脂は樹脂表面に修飾された官能基に含まれるイオンと原水中の金属イオンを交換することで当該金属イオンを原水から除去する。そして、濾過を継続すると、イオン交換樹脂表面のイオンが金属イオンに置換されるため、濾過能力が低下する。
【0020】
このため、本実施形態に係る水処理装置1は、イオン交換樹脂、つまり濾過器9を洗浄及び再生する機能(以下、逆洗・再生機能という。)を実行することができる。逆洗機能とは、濾過器9内の汚れを洗浄する機能である。
【0021】
再生機能とは、再生剤(例えば、食塩水)を濾過器9に供給することにより、イオン交換樹脂に吸着された金属イオンと再生剤に含まれるイオンとを交換し、イオン交換樹脂を再生させる機能をいう。
【0022】
なお、本実施形態では、再生剤タンク16に再生剤が貯留されている。以下、原水の濾過が実行されているとき又は原水の濾過が実行可能となっているときを「濾過時」という。逆洗機能が実行されているときを「逆洗時」という。再生機能が実行されているときを「再生時」という。
【0023】
第1バルブユニット11~第4バルブユニット14は、原水又は再生剤の流通状態を切り替える機能を少なくとも発揮可能である。第1バルブユニット11は、ポンプ3から吐き出された原水の供給先を切り替る。第2バルブユニット12は、濾過器9から排出された原水を排水側に流通させる場合と当該流通を禁止する場合とを切り替える。
【0024】
なお、第1バルブユニット11及び第2バルブユニット12のうち少なくとも一方は、上記の切替機能に加えて、通水量を低下させるための絞り部としての機能も兼ね備える。第3バルブユニット13は、再生剤タンク16から濾過器9に至る流路16Aを開閉する。第4バルブユニット14は、濾過時の通水経路と逆洗時の通水経路とを切り替える。
【0025】
因みに、本実施形態に係る第1バルブユニット11~第4バルブユニット14は、1つ又は複数の弁(バルブ)を有して構成されている。そして、少なくとも第1バルブユニット11又は第2バルブユニット12には、上記絞り部を構成するオリフィス状の固定絞り(図示せず。)が設けられている。
【0026】
開閉バルブ15は、分流路17の連通状態を調節するバルブの一例である。分流路17とは、流路18のいずれかの部位で分流した水を排水側に導く流路である。流路18は、再生時にポンプ3の吐出し口から濾過器9を経由して排水側に至る流路である。
【0027】
具体的には、流路18は、ポンプ3→第1バルブユニット11→濾過器9→第2バルブユニット12→排水側に至る流路である。分岐部17Aは、流路18のうちポンプ3と第1バルブユニット11との間に設けられている。分岐部17Aとは、流路18から原水を分流路17に分流させる部位である。
【0028】
なお、「排水側」とは、略大気圧となる部位をいう。具体的には、水処理装置1の外部又は井戸内をいう。本実施形態では、分流路17及び流路18は、同一の排水側(例えば、ドレンパンや排水口等)に繋がっている。
【0029】
制御装置7は、第1バルブユニット11~第4バルブユニット14及び開閉バルブ15の作動、並びにポンプ3の稼働及び停止を制御する制御部の一例である。当該制御装置7は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータを有して構成されている。
【0030】
当該制御を実行するためのソフトウェア(プログラム)は、制御装置7に設けられたROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。なお、本実施形態に係る制御装置7は、末端開閉弁19の開閉も制御可能である。
【0031】
末端開閉弁19は、濾過器9と処理水槽20との連通状態を切り替えるバルブである。処理水槽20は、濾過時に濾過器9から排出された濾過後の水(以下、処理水ともいう。)が貯留されるタンクである。処理水は、処理水槽20から水の需要者に供給される。
【0032】
<2.水処理装置の作動>
制御装置7は、逆洗・再生開始スイッチ(図示せず。)が投入されたときに、逆洗機能及び再生機能等を実行するための逆洗再生モードを開始する。逆洗再生モードが終了すると、制御装置7は、補給機能を実行した後、水処理装置1を濾過時に復帰させる。
【0033】
なお、本実施形態に係る逆洗再生モードでは、逆洗機能、再生機能及びリンス機能等が少なくとも実行される。リンス機能は、濾過器9内に残留する再生剤を洗浄するための機能である。補給機能は、再生剤タンク16に水を補給するため機能である。
【0034】
そして、逆洗再生モードが起動されると、制御装置7は、逆洗機能→再生機能→リンス機能→逆洗機能→リンス機能の順で各機能を実行する。なお、本実施形態に係る制御装置7は、機能毎に予め決められた時間が経過した時に、機能の切替を実行する。
【0035】
<2.1 濾過時(
図2参照)>
濾過時には、制御装置7は、第1バルブユニット11~第4バルブユニット14、開閉バルブ15及び末端開閉弁19を以下の状態とする。
【0036】
すなわち、制御装置7は、(a)第1バルブユニット11をポンプ3から吐き出された原水が濾過器9に流入可能な状態とし、(b)第2バルブユニット12を排水側への通水を禁止する状態とする。
【0037】
さらに、制御装置7は、(c)第3バルブユニット13を再生剤の供給を禁止する状態とし、(d)第4バルブユニット14を処理水槽20に処理水を送水可能な状態とし、(e)開閉バルブ15を分流路17(排水側へ)の通水を禁止する状態とし、(f)末端開閉弁19を処理水槽20に処理水を送水可能な状態とする。
【0038】
なお、ポンプ3の稼働又は停止は、処理水槽20内の水量に応じて制御される。例えば、水量が予め決められた第1水量以下となったときには、ポンプ3が起動されて原水の濾過、つまり水処理が実行される。
【0039】
水量が予め決められた第2水量を超えたときには、ポンプ3が停止されて原水の濾過が実行可能な状態となる。なお、第1水量と第2水量とは、異なる水量、同一の水量のいいずれでもよい。
【0040】
<2.2 逆洗時(
図3参照)>
逆洗時には、制御装置7は、第1バルブユニット11~第4バルブユニット14、開閉バルブ15及び末端開閉弁19を以下の状態とする。
【0041】
すなわち、制御装置7は、(a)第1バルブユニット11及び第4バルブユニット14をポンプ3から吐き出された原水が濾過時と反対側から濾過器9に流入可能となり、かつ、処理水槽20への送水が禁止された状態とするとともに、(b)第2バルブユニット12を排水側への通水が可能となる状態とする。
【0042】
これにより、ポンプ3から吐き出された原水は、濾過器9内において濾過時と逆向きに流通して第2バルブユニット12を経由して排水側に排出される。このとき、制御装置7は、(c)第3バルブユニット13を再生剤タンク16から再生剤が供給されることを禁止する状態とし、(d)開閉バルブ15を排水側への通水を禁止する状態とするとともに、末端開閉弁19を処理水槽20への送水を禁止する状態とする。
【0043】
<2.3 再生時(
図4参照)>
再生時には、制御装置7は、第1バルブユニット11~第4バルブユニット14、開閉バルブ15及び末端開閉弁19を以下の状態とする。
【0044】
すなわち、制御装置7は、(a)第1バルブユニット11をポンプ3から吐き出された原水が濾過器9に流入可能な状態とし、(b)第2バルブユニット12を排水側への通水を許可する状態とする。
【0045】
さらに、制御装置7は、(c)第3バルブユニット13を再生剤の供給を許可する状態とし、(d)第4バルブユニット14及び末端開閉弁19を処理水槽20への通水を禁止する状態とし、(e)開閉バルブ15を分流路17(排水側へ)の通水が許可された状態とする。
【0046】
つまり、開閉バルブ15は、再生時以外のとき(本実施形態では、濾過時、逆洗時及びリンス時)は閉じた状態、つまり開度=0となり、かつ、再生時は開いた状態となる。換言すれば、再生時の開閉バルブ15の開度は、濾過時の開度に比べて大きくなる。
【0047】
また、制御装置7は、再生時においては、再生時以外のとき(本実施形態では、濾過時、逆洗時及びリンス時)に比べて濾過器9に流入する原水の水量を小さくする。これは、再生に適した流量は、再生時以外に比べて小さな流量だからである。
【0048】
このため、本実施形態に係る制御装置7は、第1バルブユニット11及び第2バルブユニット12のうち少なくとも一方のバルブユニット(本実施形態では、第1バルブユニット11)内の弁を作動させて、原水が固定絞りを通過して流通するようにする。
【0049】
これにより、再生時においては、再生剤タンク16内の再生剤、つまり高濃度の食塩水が原水と共に濾過器9内を流通しながらイオン交換樹脂を再生するとともに、交換されて原水中に放出された金属イオンが当該原水と共に排出される。
【0050】
なお、再生剤タンク16内の再生剤は、濾過器9に向かって流通する原水の流速を利用したエジェクタ効果により濾過器9内に供給される。また、再生時が実行される時間は、再生剤タンク16内の再生剤の全てが濾過器9内に流入し、かつ、その再生剤の略全てが濾過器9から排出されるに必要な時間を基に決定された時間である。
【0051】
<2.4 リンス機能(
図5参照)>
リンス機能の実行時には、制御装置7は、(a)第2バルブユニット12を排水側への通水を禁止した状態とし、かつ、第3バルブユニット13を再生剤の供給を禁止する状態として、(b)開閉バルブ15を閉じた状態で、再生時と同じ流路に原水を流通させる。
【0052】
リンス時の通水量は、濾過時又は逆洗時と同じである。つまり、原水は、固定絞りを迂回して流路18を流通する。これにより、濾過器9内に残存する再生剤を確実に洗浄することが可能となる。
【0053】
<2.5 補給機能(
図6参照)>
補給機能の実行時には、制御装置7は、(a)第2バルブユニット12を排水側への通水を禁止する状態とし、かつ、第3バルブユニット13及び開閉バルブ15を開いた状態として、(b)再生時と同じ流路に原水を流通させる。
【0054】
これにより、ポンプ3から吐き出された原水の一部は、第3バルブユニット13を経由して再生剤タンク16内に流入する。そして、制御装置7は、補給機能の開始後、再生剤タンク16内の水量が所定量以上となるに必要な時間が経過した時に、補給機能を停止する。
【0055】
なお、本実施形態では、補給機能の停止後、管理者が再生剤タンク16内に所定量の再生剤(本実施形態では、食塩)を投入する必要がある。このため、制御装置7は、補給機能の停止後、再生剤タンク16に再生剤を投入すべき旨の通知を発する。
【0056】
<3.本実施形態に係る水処理装置の特徴>
再生時における適切な水量は、濾過器9にて濾過を行うときに比べて小さい水量が望ましい。このため、本実施形態に係る水処理装置1では、絞り部をなす固定絞り(具体的には、第1バルブユニット11)にて通水抵抗を大きくすることにより、再生時の水量を小さくしている。
【0057】
このとき、再生時のポンプ3の回転数が濾過時のポンプ3の回転数と略同じであるため、ポンプ3の吐出し側の通水抵抗が大きくなって、ポンプ3の吐出し圧力が過度に上昇してポンプ3の温度も上昇してしまうおそれがある。
【0058】
これに対して、本実施形態に係る制御装置7は、再生時に開閉バルブ15を開くので、原水が固定絞りを流通する場合であっても、ポンプ3の吐出し側の通水抵抗が過度に大きくなることが抑制される。
【0059】
したがって、本実施形態に係る水処理装置1では、ポンプ3の吐出し圧力が過度に上昇してしまうことを抑制しながら、濾過器9内を流通する水量を適切な水量まで低下させることが可能となり得る。
【0060】
ところで、再生時に吐出し圧力が過度に上昇してしまう原因の一つは、再生時のポンプ3の回転数が濾過時のポンプ3の回転数と略同じであり、かつ、水量を小さくするために通水抵抗を大きくすることである。
【0061】
したがって、再生時にポンプ3の回転数を小さくして水量を小さくすれば、通水抵抗を大きくする必要がないので、再生時に吐出し圧力が過度に上昇してしまうことを抑制でき得る。しかし、当該解決手法では、ポンプ3及びポンプ3を制御するための制御部の製造原価上昇を招く。
【0062】
これに対して、本実施形態では、開閉バルブ15を設け、再生時に当該開閉バルブ15を開くことにより、再生時の吐出し圧力上昇を抑制でき得る。したがって、当該水処理装置1では、製造原価上昇を抑制しながら、再生時の吐出し圧力上昇を抑制でき得る。
【0063】
また、再生時の吐出し圧力上昇を抑制する解決手法として、開閉バルブ15に代えてオリフィス等の固定絞りを設けるといった手法も可能である。しかし、当該手法では、濾過時及び逆洗時においても、ポンプ3から吐き出された原水の一部が排水されるので、見かけ上のポンプ効率が低下してしまう。
【0064】
これに対して、本実施形態では、再生時に当該開閉バルブ15を開き、濾過時及び逆洗時には開閉バルブ15を閉じるので、見かけ上のポンプ効率が低下してしまうことが抑制され得る。
【0065】
本実施形態に係る制御装置7は、再生機能の実行後、リンス機能及び逆洗機能を実行する。このため、本実施形態に係る水処理装置1では、高濃度の再生材が確実に濾過器9内から洗浄排出され得る。
【0066】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る分岐部17Aは、ポンプ3の吐出し口と第1バルブユニット11との間の流路18に設けられていた。これに対して、本実施形態に係る水処理装置1では、
図7に示されるように、流路18のうち濾過器9から排出側に至る流路の途中に分岐部17Aが設けられたものである。
【0067】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(第3実施形態)
上述の実施形態に係る水処理装置1では、再生時に当該開閉バルブ15を開き、濾過時及び逆洗時には開閉バルブ15を閉じる構成であった。これに対して、本実施形態に係る水処理装置1は、
図8に示されるように、開閉バルブ15に代えてリリーフバルブ21が設けられたものである。
【0068】
以下の説明は、上述の実施形態に係る水処理装置1との相違点に関する説明である。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0069】
すなわち、リリーフバルブ21は分流路17に設けられている。換言すれば、リリーフバルブ21は、ポンプ3の吐出し口から濾過器9を経由して排水側に至る流路のいずれかの部位(例えば、分岐部17A)で分流して排水側に至る流路に設けられている。
【0070】
そして、リリーフバルブ21は、分岐部17Aの水圧(以下、監視圧力という。)が予め決められた圧力(以下、設定圧という。)を超えたときに当該分流路17を連通させ、監視圧力が設定圧以下のときに当該分流路17を閉じるように構成されている。
【0071】
したがって、再生時の水量を小さくすべく、例えば、第1バルブユニット11の通水抵抗を大きくした場合であっても、本実施形態に係る水処理装置1では、ポンプ3の吐出し圧力が過度に上昇してしまうことを抑制でき得る。
【0072】
なお、
図8は、第1実施形態に係る開閉バルブ15に代えてリリーフバルブ21が配置された例である。しかし、本実施形態は、第2実施形態に係る開閉バルブ15に代えてリリーフバルブ21が配置された構成であってもよい。
【0073】
因みに、当該構成に係る設定圧は、概ね、
図8に示された構成に係る設定圧から濾過器9での圧力損失を控除した値である。また、分流路17には分岐部17Aも含まれる。このため、リリーフバルブ21が分岐部17Aに配置された構成であってもよい。
【0074】
(第4実施形態)
上述の実施形態では、再生時に濾過器9から排出される原水は、第2バルブユニット12を経由して排水側に流出する構成であった。これに対して、本実施形態に係る水処理装置1では、
図9に示されるように、第2バルブユニット12が廃止され、かつ、第4バルブユニット14が四方弁ユニットとして構成されている。
【0075】
そして、再生時に濾過器9から排出される原水は、当該第4バルブユニット14から排水側に排出される。つまり、本実施形態に係る濾過器9では、濾過時に処理水が排出される排出口と再生時に原水が排出される排出口とが共用化されている。なお、本実施形態においても、開閉バルブ15又はリリーフバルブ21は、濾過器9の流入側及び排出側のいずれの部位に配置されていてもよい。
【0076】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る制御装置7は、ポンプ3の起動及び停止のみを制御する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、吐出し圧力を検出する圧力センサを備え、当該圧力センサの検出値を利用してポンプ3の回転数を制御する構成であってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、再生時の水量を小さくするために、流路18に絞り部を設け、当該絞り部により通水抵抗を大きくして水量を小さくする構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0078】
すなわち、当該開示は、例えば、固定絞りを廃止し、開閉バルブ15を開度が調整可能な流量調整弁とするとともに、当該流量調整弁の開度を濾過時又は逆洗時に比べて大きくすることにより再生時の水量を小さくしてもよい。
【0079】
つまり、再生時の流量調整弁の開度が濾過時又は逆洗時に比べて大きくなると、当該流量調整弁を経由して排水側に流通する水量が再生時に増大するので、再生時に濾過器9内を流通する水量が低下するとともに、吐出し圧力が上昇することが抑制される。
【0080】
上述の実施形態に係る制御装置7は、再生機能の実行後、リンス機能及び逆洗機能を実行された。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、再生機能の実行後、リンス機能及び逆洗機能のいずれか一方の機能のみ、又はいずれの機能も実行しない構成であってもよい。
【0081】
上述の実施形態に係る濾過器9は、陽イオンを原水から除去するイオン交換樹脂を用いた濾過器であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、陰イオンを原水から除去する濾過器、陽イオン及び陰イオンを原水から除去する濾過器、又はイオン交換樹脂を用いない濾過器であってもよい。
【0082】
上述の実施形態では、処理水が処理水槽20に貯留される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、処理水が直接的に需用者に供給される構成、又は処理水に薬液を注入する薬液注入装置を備える構成であってもよい。
【0083】
上述の実施形態では、逆洗・再生開始スイッチが投入されたときに、逆洗再生モードが実行される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、制御装置7が予め決められた日程に従って定期に逆洗再生モードを実行する構成であってもよい。
【0084】
上述の実施形態に係る制御装置7は、機能毎に予め決められた時間が経過した時に、機能の切替を実行した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、逆洗による洗浄の度合を検知するセンサ、又は再生状態を検知するセンサが設けられ、これらセンサの検出値に基づいて機能の切替を実行する構成であってもよい。
【0085】
上述の実施形態では、制御装置7により制御される末端開閉弁19を備えていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、末端開閉弁19が廃止された構成、又は手動操作される末端開閉弁19であってもよい。
【0086】
上述の実施形態に係る開閉バルブ15又はリリーフバルブ21は、流路18のうち濾過機器9の流入側又は流出側から分流した分流路17に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、濾過器9内の流路の途中で分岐する分流路に開閉バルブ15又はリリーフバルブ21が設けられた構成であってもよい。
【0087】
上述の実施形態では、制御装置7にて第1バルブユニット11~第4バルブユニット14、開閉バルブ15及びポンプ3を制御する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、バルブ制御部とポンプ制御部とがそれぞれ設けられた構成であってもよい。
【0088】
上述の実施形態では、分流路17及び流路18は、同一の排水側に繋がっていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、分流路17と流路18とが異なる排水側に繋がった構成(例えば、分流路17が井戸に繋がった構成)であってもよい。
【0089】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1… 水処理装置 3…ポンプ 5… 濾過装置 7… 制御装置
9… 濾過器 11…第1バルブユニット 12… 第2バルブユニット
13… 第3バルブユニット 14…第4バルブユニット
15… 開閉バルブ 16…再生剤タンク 17… 分流路
17A… 分岐部 18…流路 19… 末端開閉弁 20… 処理水槽