(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116665
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】画架
(51)【国際特許分類】
A47B 97/04 20060101AFI20240821BHJP
【FI】
A47B97/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022391
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】523056290
【氏名又は名称】株式会社アムス
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】長尾 基夫
(57)【要約】
【課題】傾斜角度を変更することが可能であり、且つ収納時にかさばらない画架を提供することを課題とする。
【解決手段】枠体2と、当該枠体2を支える脚部3を有し、前記脚部3は揺動支点を介して枠体2に取り付けられていて枠体2に対して揺動可能であり、前記脚部3を閉じて当該脚部3を前記枠体内に収容又は近接した収容時形態と、前記脚部3を開いて枠体を支持する使用時形態をとることができる画架1であって、前記揺動支点が前記枠体2の内側にあり、且つ前記揺動支点の位置を変更可能であり、前記枠体2の角度が異なる複数の使用時形態をとることが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、当該枠体を支える脚部を有し、前記脚部は揺動支点を介して枠体に取り付けられていて枠体に対して揺動可能であり、前記脚部を閉じて当該脚部を前記枠体内に収容又は近接した収容時形態と、前記脚部を開いて枠体を支持する使用時形態をとることができる画架であって、
前記揺動支点が前記枠体の内側にあり、且つ前記揺動支点の位置を変更可能であり、前記枠体の角度が異なる複数の使用時形態をとることが可能であることを特徴とする画架。
【請求項2】
前記枠体は、平行に配された縦部材を有し、当該縦部材の内側面に第一長溝部があり、
前記脚部には前記揺動支点となる支軸部があり、当該支軸部を前記第一長溝部に沿って移動させることによって前記揺動支点の位置が変更されることを特徴とする請求項1に記載の画架。
【請求項3】
前記第一長溝部に前記支軸部と係合する係合部があり、前記支軸部を前記係合部に係合して支軸部の移動を阻止することを特徴とする請求項2に記載の画架。
【請求項4】
前記枠体又は前記脚部の一方に第二長溝部があり、
前記脚部と前記枠体との距離を規制する規制部材を有し、
前記規制部材は、一端側が前記枠体又は前記脚部の一方に対して揺動可能に取り付けられ、他端側が前記第二長溝部と係合していることを特徴とする請求項1に記載の画架。
【請求項5】
前記規制部材は、二本の棒部と当該棒部を繋ぐ接続領域を有しており、
前記規制部材の一端側たる前記二本の棒部の自由端が枠体に対して揺動可能に取り付けられ、
前記第二長溝部は脚部を貫通する長孔であり、前記規制部材の他端側たる前記接続領域が第二長溝部たる前記長孔と係合していることを特徴とする請求項4に記載の画架。
【請求項6】
前記脚部の幅の少なくとも一部は前記枠体の内側よりも小さく、前記収容時形態においては前記脚部の一部又は全部が前記枠部内に収まり、前記規制部材が前記枠体と前記脚部間に収容され、前記収容時形態が平面的な形状となることを特徴とする請求項4に記載の画架。
【請求項7】
枠体と、当該枠体を支える脚部を有し、前記脚部は揺動支点を介して枠体に取り付けられていて枠体に対して揺動可能であり、前記脚部を閉じて当該脚部を前記枠体内に収容又は近接した収容時形態と、前記脚部を開いて枠体を支持する使用時形態をとることができる画架であって、
前記枠体は、平行に配された縦部材を有し、当該縦部材の内側面に第一長溝部があり、
前記脚部には前記揺動支点となる支軸部があり、当該支軸部が前記第一長溝部に沿って移動されて前記揺動支点の位置が変更されることによって前記揺動支点の位置を変更可能であり、
前記第一長溝部に前記支軸部と係合する係合部があり、前記支軸部を前記係合部に係合して支軸部の移動を阻止することができて前記枠体の角度が異なる複数の使用時形態をとることが可能であり、
前記脚部と前記枠体との距離を規制する規制部材を有し、
前記規制部材は、二本の棒部と当該棒部を繋ぐ接続領域を有しており、
前記二本の棒部の自由端が枠体に対して揺動可能に取り付けられ、
前記第二長溝部は脚部を貫通する長孔であり、前記接続領域が前記長孔と係合し、
前記脚部の幅の少なくとも一部は前記枠体の内側よりも小さく、前記収容時形態においては前記脚部の一部又は全部が前記枠部内に収まり、前記規制部材が前記枠体と前記脚部間に収容され、前記収容時形態が平面的な形状となることを特徴とする画架。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絵を描く時等にキャンバス等を固定する画架に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画架は、油絵等を描く際にキャンバス等を固定する道具であり、画家の間で古くから使用されている。また画架は、近年では、店頭のディスプレイや、絵や写真を飾っておくための台としても利用される。
【0003】
絵を描く際に、キャンバス等を画架に固定するが、書き手によってキャンバスを傾斜する角度に好みがある。
描画対象が地面に対して立っている場合、作者は描画対象を正面から観察することとなる。これに対してキャンバスを傾斜させて絵を描くと、作者はキャンバスの絵を斜めから見ることとなる。そのため作者が見る実際の描画対象とキャンバスに描かれた絵の角度が異なり、見え方が違ってしまう。この様に、描画対象が地面に対して垂直に存在している場合、画架に置かれたキャンパスに傾斜があり垂直でないことで見え方に歪みが生じ、作品の出来栄えに影響する場合がある。そのため、画架の傾斜角度を調整したいという要求がある。
また絵画は壁に掛けて鑑賞されるものであるから、絵の製作過程で一時的に画架の傾斜角度を垂直姿勢に近い姿勢にして、絵のでき具合を確認したいという要求がある。
【0004】
特許文献1に記載の画架は、キャンバスの角度を変更することができる。
特許文献1に記載の画架は、絵画道具を載せておく板があり、当該板が画架の前脚と脚の双方と係合している。特許文献1に記載の画架では、前記した板と、脚との係合位置を変更することにより、脚の開き具合を変更し、画架の傾斜角度を変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
学校や絵画教室では、多数の生徒が一堂に集まって絵画を描くことがある。そのため学校や絵画教室では、画架を多数保有している場合が多い。
画架はかさばるものであるから、できるだけ小さく畳んで保管することできることが望ましい。
これに対して特許文献1に開示された画架は、前脚と後足によって構成される画架の本体部に加えて、絵画道具を載せておく板が必須であり、保管の際に板が邪魔である。
本発明は、従来技術の上記した問題に注目し、傾斜角度を変更することが可能であり、且つ収納時にかさばらない画架を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決すための態様は、枠体と、当該枠体を支える脚部を有し、前記脚部は揺動支点を介して枠体に取り付けられていて枠体に対して揺動可能であり、前記脚部を閉じて当該脚部を前記枠体内に収容又は近接した収容時形態と、前記脚部を開いて枠体を支持する使用時形態をとることができる画架であって、前記揺動支点が前記枠体の内側にあり、且つ前記揺動支点の位置を変更可能であり、前記枠体の角度が異なる複数の使用時形態をとることが可能であることを特徴とする画架である。
【0008】
本態様の画架は、揺動支点の位置を変えることによって脚部の開き具合を変更し、枠体の傾斜角度を変更する。本態様の画架は、板の様な部材が不要であり、収容する際にかさばらない。
【0009】
上記した態様において、前記枠体は、平行に配された縦部材を有し、当該縦部材の内側面に第一長溝部があり、前記脚部には前記揺動支点となる支軸部があり、当該支軸部を前記第一長溝部に沿って移動させることによって前記揺動支点の位置が変更されることが望ましい。
【0010】
第一長溝部は、貫通するものであってもよい。即ち第一長溝部は、長孔であってもよい。
【0011】
上記した態様において、前記第一長溝部に前記支軸部と係合する係合部があり、前記支軸部を前記係合部に係合して支軸部の移動を阻止することが望ましい。
【0012】
本態様の画架では、第一長溝部に支軸部と係合する係合部があり、支軸部を係合部に係合して支軸部の移動を阻止する。そのため支軸部の位置がずれにくく、枠体の傾斜角度が安定する。
また支軸部を係合部に係合して支軸部の移動を阻止するので、係合部が決まれば枠体の傾斜角度が一義的に決まる。そのため、本態様の画架は、決まった角度で枠体を傾斜させることができ、枠体の傾斜角度の再現性が高い。
【0013】
上記した各態様において、前記枠体又は前記脚部の一方に第二長溝部があり、前記脚部と前記枠体との距離を規制する規制部材を有し、前記規制部材は、一端側が前記枠体又は前記脚部の一方に対して揺動可能に取り付けられ、他端側が前記第二長溝部と係合していることが望ましい。
【0014】
本態様の画架は、脚部と枠体との距離を規制する規制部材を有しているので枠体の傾斜角度が安定する。
また規制部材は、第二長溝部と係合しているので折り畳むことができ、収容時形態としたときにかさばらない。
【0015】
上記した態様において、前記規制部材は、二本の棒部と当該棒部を繋ぐ接続領域を有しており、前記規制部材の一端側たる前記二本の棒部の自由端が枠体に対して揺動可能に取り付けられ、前記第二長溝部は脚部を貫通する長孔であり、前記規制部材の他端側たる前記接続領域が第二長溝部たる前記長孔と係合していることが望ましい。
【0016】
本態様によると、規制部材を枠体及び脚部から外すことなく姿勢変更することができる。
【0017】
上記した態様において、前記脚部の幅の少なくとも一部は前記枠体の内側よりも小さく、前記収容時形態においては前記脚部の一部又は全部が前記枠部内に収まり、前記規制部材が前記枠体と前記脚部間に収容され、前記収容時形態が平面的な形状となることが望ましい。
【0018】
本態様の画架は、収容時形態が平面的な形状となるのでかさばらない。
【0019】
上記した課題を解決すためのもう一つの態様は、枠体と、当該枠体を支える脚部を有し、前記脚部は揺動支点を介して枠体に取り付けられていて枠体に対して揺動可能であり、前記脚部を閉じて当該脚部を前記枠体内に収容又は近接した収容時形態と、前記脚部を開いて枠体を支持する使用時形態をとることができる画架であって、前記枠体は、平行に配された縦部材を有し、当該縦部材の内側面に第一長溝部があり、前記脚部には前記揺動支点となる支軸部があり、当該支軸部が前記第一長溝部に沿って移動されて前記揺動支点の位置が変更されることによって前記揺動支点の位置を変更可能であり、前記第一長溝部に前記支軸部と係合する係合部があり、前記支軸部を前記係合部に係合して支軸部の移動を阻止することができて前記枠体の角度が異なる複数の使用時形態をとることが可能であり、前記脚部と前記枠体との距離を規制する規制部材を有し、前記規制部材は、二本の棒部と当該棒部を繋ぐ接続領域を有しており、前記二本の棒部の自由端が枠体に対して揺動可能に取り付けられ、前記第二長溝部は脚部を貫通する長孔であり、前記接続領域が前記長孔と係合し、前記脚部の幅の少なくとも一部は前記枠体の内側よりも小さく、前記収容時形態においては前記脚部の一部又は全部が前記枠部内に収まり、前記規制部材が前記枠体と前記脚部間に収容され、前記収容時形態が平面的な形状となることを特徴とする画架
である。
【0020】
本態様の画架は、枠体の傾斜角度を変更することができ、且つ、収納する際にかさばらない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画架は、傾斜角度を変更することが可能であり、且つ収納時にかさばらない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】(a)は、
図1の画架の枠体の内面に設けられた第一長溝の斜視図であり、(b)は、当該部分の分解斜視図である。
【
図4】(a)は、
図1の画架の第三横桟部材の中央部と、脚部の下部を正面側から観察した断面斜視図であり、(b)は、第三横桟部材の中央部を裏面側から観察した分解斜視図である。
【
図5】(a)は、
図1の画架の使用時形態であって枠体の傾斜が最も急である場合の画架の側面図であり、(b)は、その側面断面図であり、(c)は、その際における第一長溝部と支軸部の位置関係を示す断面図である。
【
図6】(a)は、
図1の画架の使用時形態であって枠体の傾斜が中である場合の画架の側面断面図であり、(b)はその際における第一長溝部と支軸部の位置関係を示す断面図であり、(c)は、
図1の画架の使用時形態であって枠体の傾斜が最も緩い場合の画架の側面断面図であり、(d)はその際における第一長溝部と支軸部の位置関係を示す断面図である。
【
図7】(a)は、
図1の画架の収容時形態の正面図であり、(b)はその側面図であり、(c)は、その側面断面図であり、(d)は、(c)の円内の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の画架1は、
図2の様に、枠体2と、脚部3と、規制部材5及び支持桟部材6によって構成されている。
枠体2は、木製であって略長方形の枠であり、中間部に補強の桟が配されている。
具体的には、枠体2は、平行に間隔を開けて配された二本の縦部材10を有し、当該縦部材10を三本の横桟部材12、13、15で繋いだものである。即ち、二本の縦部材10は、第一横桟部材12、第二横桟部材13、第三横桟部材15で繋がれている。
【0024】
二本の縦部材10は、断面が長方形の板材で作られており、面積の広い面が枠体2の表裏面となっている。
縦部材10の側面には、第一長溝部16と、係合孔20が設けられている。
第一長溝部16は、
図3の様に、木製の縦部材10に溝21が設けられ、当該溝21に補強板22が取り付けられたものである。
補強板22は、金属で作られた板であり、中央に長孔23が形成されている。補強板22の長孔23には複数の係合部25、26が設けられている。本実施形態では、長孔23の最も下の位置に第一係合部25があり、長孔23の中ほどの高さの位置に第二係合部がある。係合部25、26は、いずれも長孔23の一辺側に設けられた凹部である。
第一長溝部16は、縦部材10の中央よりも上の位置に形成されている。
係合孔20は、丸穴であり、縦部材10の下部に設けられている。
縦部材10の正面には多数の取付け孔28が設けられている。
【0025】
第一横桟部材12は、二本の縦部材10の上部を繋ぐ部材である。第一横桟部材12の二本の縦部材10の天面30は略同一平面となっている。
即ち枠体2の天面30は、二本の縦部材10の上面と、第一横桟部材12の上面によって構成されている。枠体2の天面30には、取付け孔32が二個設けられている。
【0026】
第二横桟部材13は、二本の縦部材10の中間部であって中心高さよりも上の部分同士を繋ぐ部材である。
【0027】
第三横桟部材15は、二本の縦部材10の下部同士を繋ぐ部材である。第三横桟部材15は、縦部材10の下端よりもやや上の位置で二本の縦部材10を繋いでいる。
第三横桟部材15の長手方向の中央には、
図2、
図4の様に切り欠き部35が形成されている。切り欠き部35は、第三横桟部材15の背面側に設けられている。切り欠き部35には、磁石36が装着されている。
【0028】
次に脚部3について説明する。
脚部3は、略「T」字状の部材であり、大半の部分が木製である。
脚部は、直線状の接続部37と、当該接続部37の中心部から垂直に垂下された支持部38を有している。接続部37の長さは、前記した枠体2の内寸法よりもやや短い。即ち接続部37の長さは、縦部材10の間隔よりもやや短い。
接続部37の両端に、長手方向にのびる孔27が設けられており、当該孔27に金属棒40が挿通されている。
金属棒40の一端は、孔27から突出している。金属棒の突出部は、支軸部41として機能する。
接続部37の正面側であって上側の角の部分は、
図2等の様に大きく面取りされている。即ち、接続部37の正面側であって、その上辺には全長に渡って面取り部33がある。
【0029】
支持部38の先端を除く領域(以下、本体部42)は、長尺の板である。そして本体部42の先端に金属片43が装着されている。支持部38の幅は、枠体2の内側よりもはるかに小さい。
本体部42の側面には、
図2の様に第二長溝部50が設けられている。第二長溝部50は、本体部42の両側面を貫通する長孔である。第二長溝部50の長さは、本体部42の全長に近い。
【0030】
金属片43は、鋼板を「L」字状に曲げ加工したものであり、取り付け部45と、取り付け部45に繋がる足部46を有している。
本体部42の末端であって、その裏面側に切り欠き48が設けられており、当該切り欠き48に金属片43の取り付け部45が取り付けられている。金属片43の足部46は、本体部42の末端から離れた位置にあり、支持部38の下部は、
図4の様に、本体部42の末端と、取り付け部45の一部と、足部46によって正面側に開口する「コ」字状となっている。
【0031】
規制部材5は、金属棒を曲げ加工したものであり、
図2のような対称形である。即ち規制部材5は、二つの短い枠側支持部52と、一つの脚側支持部53を有し、この三者が繋がれたものである。
規制部材5は、両側に距離を開けて直列状に並んだ枠側支持部52があり、二つの枠側支持部52の間であって、二つの枠側支持部52を結ぶ仮想直線100と並行に脚側支持部53があり、二つの枠側支持部52と脚側支持部53が傾斜辺の二本の棒部55で繋がれたものである。脚側支持部53は、二本の棒部55を繋ぐ接続領域である。
前記規制部材5の一端側たる前記二本の棒部55の自由端側が枠体2に対して揺動可能に取り付けられ、
規制部材5は対称形であり、二つの規制部材が中央の接続領域で繋がったものであると言える。即ち、規制部材5は、全体の一端側が枠体2に揺動可能に取り付けられる枠側支持部52であり、他端側が脚部3の第二長溝部50と係合する脚側支持部53である。
【0032】
支持桟部材6は、キャンバス等の画材を支持する部材であり、細長い板状の部材である。
支持桟部材6の面積の広い面には、キャンバス等を保持する溝60が設けられており、支持桟部材6の断面形状は凹状である。
いる。また支持桟部材6の面積の狭い面には、ピン61が二本設けられている。
【0033】
次に上記した各部材の関係について説明する。
本実施形態の画架1は、枠体2の二本の縦部材10で囲まれた領域に脚部3の接続部37が配され、接続部37の両端から突出する支軸部41が、縦部材10の内側面に設けられた第一長溝部16と係合している。脚部3の支軸部41は、枠体2の縦部材10に対して揺動自在であり、且つ第一長溝部16に沿って軸方向に移動可能である。支軸部41は、脚部3の枠体2に対する揺動支点となるものであるから、脚部3は、揺動支点たる支軸部41を介して枠体2に取り付けられていて、枠体2に対して揺動可能である。また揺動支点は枠体2の内側にあり揺動支点の位置を変更することができる。
【0034】
枠体2と脚部3は、規制部材5によっても連結されている。即ち、規制部材5の枠側支持部52が枠体2の縦部材10の内側の面に設けられた係合孔20に挿入されており、規制部材5の枠側支持部52は枠体2に揺動可能である。
また規制部材5の脚側支持部53が脚部3の第二長溝部50に挿通されている。即ち規制部材5の接続領域(脚側支持部53)が第二長溝部50と係合している。規制部材5の接続領域(脚側支持部53)は、第二長溝部50に沿って移動可能である。
【0035】
支持桟部材6は、ピン61が二本の縦部材10の正面に形成された取付け孔28であって同じ高さのものに係合され、枠体2の表面に取り付けられている。
【0036】
画架1の使用時形態は、
図1、
図5、
図6の通りであり、脚部3が枠体2に対して開かれる。使用時形態では、画架1の枠体2を脚部3が背後から支えて枠体2を立てることができる。支持桟部材6は、枠体2の表面から突出していてキャンバス等の下面を支持することができる。キャンバスは、支持桟部材6と枠体2の表面によって支持される。
【0037】
本実施形態の画架1では、使用時形態として傾斜角度が異なる三形態をとることができる。即ち、本実施形態の画架1では、脚部3の支軸部41が第一長溝部16と係合しており、支軸部41が第一長溝部16に沿って軸方向に移動可能である。
そのため支軸部41を第一長溝部16に沿って上下に移動させることにより、脚部3と枠体2の接続点が上下方向に移動し、
図5、
図6の様に、支軸部41を中心として脚部3の末端を半径とする仮想円弧101と、枠体2との交点の位置が変わる。簡単に説明すると、支軸部41の位置が上になると脚部3の末端の位置が枠体2に対して上がり、支軸部41の位置が下になると脚部3の末端の位置が枠体2に対して下方に移動する。
その一方で、規制部材5によって枠体2と脚部3の特定部分との距離が規制されるので、枠体2と脚部3のなす角は、大きくは変わらない。
そのため、支軸部41の位置が上になると枠体2の傾斜角度が急となり、支軸部41の位置が下になると枠体2の傾斜角度が緩くなる。
【0038】
なお本実施形態の画架1では、脚部3の接続部37の正面側であって、その上辺に全長に渡る面取り部33があり、角の部分が削られているから、脚部3を枠体2に対して開いた際に、接続部37の角が正面側に突出しない。
【0039】
本実施形態の画架1では、脚部3の支軸部41と係合する第一長溝部16に補強板22が取り付けられており、当該補強板22に係合部25、26が複数設けられている。そのため脚部3の支軸部41はいずれかの係合部25、26と係合し、位置ずれを起こしにくい。なお、補強板22の上部の末端も、係合部として機能する。
【0040】
図5は、脚部3の支軸部41が第一長溝部16の最も下の第一係合部25と係合した状態を示し、枠体2の傾斜角度が急である。
図6(a)は、脚部3の支軸部41が第一長溝部16の中間の第二係合部26と係合した状態を示し、枠体2の傾斜角度は中程度である。
図6(c)は、脚部3の支軸部41が第一長溝部16の上端と係合した状態を示し、枠体2の傾斜角度は緩い。
本実施形態では、支軸部41を係合部25、26等に係合して支軸部41を特定の位置で固定するので、係合する係合部25、26等によって枠体2の傾斜角度が一義的に決まる。そのため、本実施形態の画架1は、決まった角度で枠体2を傾斜させることができ、枠体2の傾斜角度の再現性が高い。
【0041】
次に画架1の収容時形態について、
図7を参照しつつ説明する。
画架1を収納する際には、脚部3を折り畳むとともに、支持桟部材6を枠体2の表面から抜き取って枠体2の第一横桟部材12の上に載せる。そして、支持桟部材6のピン61を、枠体2の天面30に設けられた取付け孔32に係合し、支持桟部材6を枠体2の上に固定する。
【0042】
脚部3を折り畳むには、脚部3の一部と枠体2の一部を手で保持し、脚部3の末端側を枠体2に近づけてゆく。
枠体2と脚部3の間には規制部材5があるが、規制部材5の接続領域(脚側支持部53)が第二長溝部50と係合していて第二長溝部50に沿って移動可能であるから、脚部3の末端側を枠体2に近づけると、接続領域が第二長溝部50に沿って上方に逃げる。そのため、規制部材5が障害となることなく、脚部3の末端側を枠体2に近づけ、脚部3を枠体2に対して閉じてゆく。
【0043】
脚部3が完全に閉じられると、
図7の様に、枠体2で囲まれる空間内に脚部3が収まる。
また規制部材5の棒部55は、
図7の様に、枠体2の二本の縦部材10と脚部3の支持部38の間に収まる。即ち、脚部3の支持部38の幅は、枠体2の内側よりもはるかに小さいので、脚部3の支持部38と枠体2の内側の間には広い空間がある。規制部材5の棒部55は、脚部3の支持部38と枠体2の内側の間に収まる。
その結果、画架1は、全体として平面的な形状となる。即ち一枚の板状となる。
なお、収容時形態においては、
図7(d)の様に、脚部3の末端の「コ」字状の部分が、第三横桟部材15の切り欠き部35と篏合状態となる。そして脚部3の鋼材で作られた金属片43が、第三横桟部材15の背面側に設けられた磁石36に磁着され、容易に離れない状態となる。
また金属片43は、本体部42の切り欠き48部分に固定されているから、脚部3は平坦であり、収容時形態においては、金属片43の裏面は、他の部分から突出しない。同様に、脚部3の末端の「コ」字状の部分が、第三横桟部材15の切り欠き部35と篏合状態となるから、脚部3の末端も他の部分から突出しない。
そのため本実施形態の画架1は、収納時にかさばらない。
【0044】
以上説明した実施形態では、第二長溝部50を脚部3に設けたが、枠体2側に第二長溝部を設けてもよい。
収容時形態は、板状であることが望ましいが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、多少の凹凸があってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 画架
2 枠体
3 脚部
5 規制部材
6 支持桟部材
10 縦部材
16 第一長溝部
20 係合孔
22 補強板
25、26 係合部
41 支軸部
50 第二長溝部
52 枠側支持部
53 脚側支持部
55 棒部