IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷凍機器 図1
  • 特開-冷凍機器 図2
  • 特開-冷凍機器 図3
  • 特開-冷凍機器 図4
  • 特開-冷凍機器 図5
  • 特開-冷凍機器 図6
  • 特開-冷凍機器 図7
  • 特開-冷凍機器 図8
  • 特開-冷凍機器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116666
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】冷凍機器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20240821BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
F28F9/00 C
F25D19/00 550Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022393
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐真
(72)【発明者】
【氏名】門脇 静馬
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
(57)【要約】
【課題】凝縮器での熱交換効率を高めて冷凍能力を向上することができる冷凍機器を提供する。
【解決手段】凝縮器CDと基台15の上面との間に、前後方向に連通するスペースGが形成される。凝縮器CDの後側に、凝縮器CDの後面を囲繞すると共に中央に空気吸込口が形成されたシュラウド27が配設され、シュラウド27に冷却ファンFMが配設される。シュラウド27には、凝縮器CDの下部に対応した下部内面に、冷却フィン19から離間すると共に、凝縮器側の端から空気吸込口に向かうにつれて上方傾斜する下傾斜面28aが形成される。スペースGの高さsは、上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間の距離h以上に設定される。下傾斜面28aの始端Kは、前後方向において凝縮器CDの後端の冷媒配管22と冷却ファンFMとの間で、かつ上下方向においてスペースGに臨むように位置している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数枚の冷却フィンに、冷媒配管が貫通するよう蛇行状に配設され、上側の冷媒入口から冷媒配管に流入した冷媒が下側の冷媒出口から流出するよう構成された凝縮器と、凝縮器用の冷却ファンとが、箱体に内部画成された機械室に配置された冷凍機器であって、
前記凝縮器と前記機械室の内底面との対向部に形成されて、前記冷却ファンによって機械室内に吸い込まれる空気の流通方向に連通する空気流通部と、
前記凝縮器における空気の流通方向の下流側に配設され、前記凝縮器の下流側面を囲繞すると共に中央に前記冷却ファンが臨む空気吸込口が形成されたシュラウドと、を備え、
該シュラウドは、少なくとも前記凝縮器の下部に対応した下部内面に、前記冷却フィンから離間すると共に、凝縮器側の端から前記空気吸込口に向かうにつれて上方に変位する変位案内面を備え、
前記空気流通部の高さは、上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間の距離以上に設定され、
前記変位案内面の始端は、空気の流通方向において前記凝縮器の後端の冷媒配管と前記冷却ファンとの間で、かつ上下方向において前記空気流通部に臨むように位置している
ことを特徴とする冷凍機器。
【請求項2】
前記シュラウドは樹脂製であって、前記凝縮器の下流側面を囲繞すると共に前記空気吸込口を中心とした絞り形状の導風部を備え、該導風部の内底面に前記変位案内面が形成されている請求項1記載の冷凍機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷式の凝縮器を備えた冷凍機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
喫茶店やレストラン等の厨房施設で好適に使用される冷蔵庫、ショーケース、製氷機等の冷凍機器は、食材等を収納する収納室や氷塊の製氷部を配設した製氷部収納室と、圧縮機や凝縮器等からなる冷凍装置を配設する機械室とが、筐体内部に画成されている。そして、前記圧縮機から供給される高圧気体冷媒を、前記凝縮器で冷却(熱交換)して凝縮液化させ、この凝縮液化した冷媒を前記収納室内に配設された冷却器や製氷部の冷却器で膨張気化させて、収納室や製氷部を冷却するよう構成されている。また、前記凝縮器に近接した位置には、凝縮器用の冷却ファンが配設されており、該冷却ファンを運転して外部空気を機械室に取り入れて凝縮器を空冷することで、効率的に冷媒が凝縮液化されるよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の冷凍機器では、凝縮器として、冷媒が通過する冷媒配管を幾重にも蛇行させると共に、該冷媒配管を多数の放熱用の冷却フィンに挿通したフィンアンドチューブ型のものが採用されると共に、該凝縮器に、四角箱状のシュラウドを介して冷却ファンのファンモータを取り付けている。また、シュラウドには、ファンモータにより回転されるファンに合わせた円筒形のベルマウスが形成されており、ファンの回転によって吸い込んだ外部空気を、冷却フィンや冷媒配管に接触させることで冷媒を冷却して凝縮液化するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-175419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷凍機器における凝縮器では、冷媒配管における冷媒の入口が凝縮器の上側に配置されると共に、冷媒の出口が凝縮器の下側に配置されており、凝縮器の上側の冷媒配管を流れる温度の高い冷媒と、吸い込まれる外部空気との温度差は大きく、熱交換が効果的に行われる。一方、凝縮器の下側の冷媒配管を流れる冷媒は、冷媒配管を流れる間に外部空気との熱交換が行われて温度が低くなっているため、該冷媒と外部空気との温度差は小さくなり、凝縮器下部側での冷媒と外部空気との熱交換が効果的に行われず、凝縮器全体としての熱交換効率が低下して冷凍能力を高めることができなかった。
【0006】
本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、凝縮器での熱交換効率を高めて冷凍能力を向上することができる冷凍機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る冷凍機器は、
並設された複数枚の冷却フィン(19)に、冷媒配管(22)が貫通するよう蛇行状に配設され、上側の冷媒入口(22a)から冷媒配管(22)に流入した冷媒が下側の冷媒出口(22b)から流出するよう構成された凝縮器(CD)と、凝縮器用の冷却ファン(FM)とが、箱体(11)に内部画成された機械室(14)に配置された冷凍機器であって、
前記凝縮器(CD)と前記機械室(14)の内底面との対向部に形成されて、前記冷却ファン(FM)によって機械室内に吸い込まれる空気の流通方向に連通する空気流通部(G)と、
前記凝縮器(CD)における空気の流通方向の下流側に配設され、前記凝縮器(CD)の下流側面を囲繞すると共に中央に前記冷却ファン(FM)が臨む空気吸込口(29)が形成されたシュラウド(27)と、を備え、
該シュラウド(27)は、少なくとも前記凝縮器(CD)の下部に対応した下部内面に、前記冷却フィン(19)から離間すると共に、凝縮器側の端から前記空気吸込口(29)に向かうにつれて上方に変位する変位案内面(28a)を備え、
前記空気流通部(G)の高さ(s)は、上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間の距離(h)以上に設定され、
前記変位案内面(28a)の始端(K)は、空気の流通方向において前記凝縮器(CD)の後端の冷媒配管(22)と前記冷却ファン(FM)との間で、かつ上下方向において前記空気流通部(G)に臨むように位置していることを要旨とする。
請求項1の発明によれば、凝縮器の下方に空気流通部を設けることで、凝縮器の下部側に多くの空気を流通させることができる。また、シュラウドに設けた変位案内面によって、空気流通部を流通する空気に、凝縮器の下部側の冷媒配管や冷却フィンに向かう流れを作ることができる。すなわち、凝縮器の下部側での空気の流通量を増加することで、凝縮器の下部側での熱交換効率を高めることができ、冷風用の空気との温度差が小さくなっている冷媒の凝縮効率を高めて、冷凍能力を向上することができる。
【0008】
請求項2の発明は、
前記シュラウド(27)は樹脂製であって、前記凝縮器(CD)の下流側面を囲繞すると共に前記空気吸込口(29)を中心とした絞り形状の導風部(28)を備え、該導風部(28)の内底面に前記変位案内面(28a)が形成されていることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、変位案内面を適当な位置に容易に設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る冷凍機器によれば、凝縮器の下部側での空気の流通量を増加して凝縮器の下部側での熱交換効率を高めることができるので、冷凍能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る製氷機を示す要部概略斜視図である。
図2】凝縮器とシュラウドを示す概略側面図である。
図3】凝縮器とシュラウドを示す概略縦断側面図である。
図4】凝縮器の要部正面図である。
図5】シュラウドを示す概略斜視図である。
図6】凝縮器に固定されたシュラウドを示す背面図である。
図7】前面パネルおよび電装箱を取り外した状態の機械室を示す概略斜視図である。
図8】凝縮器とシュラウドの下傾斜面との関係を示す説明図である。
図9】別実施例に係る製氷機の要部を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る冷凍機器につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本発明は、冷蔵庫、冷凍庫(ショーケースやネタケース等)、製氷機、飲料機等の冷凍装置を備えた各種の冷凍機器を対象とするが、実施例では、製氷機を例に挙げて説明する。
【実施例0012】
図1に示す如く、製氷機10は、本体をなす箱体11の内部を上下に区画して、上方に貯氷室12を画成すると共に、該貯氷室12の下方に冷凍装置13が設置される機械室14を画成している。そして、貯氷室12の内部上方に製氷機構(図示せず)が配設され、該製氷機構で製造された氷塊を貯氷室12内に貯留するようになっている。冷凍装置13は、製氷機構を構成する蒸発管に冷媒を循環供給するものであり、機械室14の底部に敷設固定される基台15の上面(機械室14の内底面)に配置されている。箱体11には、機械室14の前面側を開放する開口部11aが形成されると共に、該開口部11aを塞ぐ前面パネル16が着脱自在に配設されている。なお、貯氷室12は、所定間隔離間するパネル間に断熱材を充填した箱状の断熱壁内に画成されており、該断熱壁を構成する前側に臨む前パネル17によって、前記開口部11aの上端縁が規定されている。また、機械室14は、基台15と左右の側面パネル18,18と後面パネル42、断熱壁を構成する下パネル43および前面パネル16とで画成される。また、前面パネル16に、前後方向に貫通する多数の長孔からなる吸気口16aが形成され、機械室14の右方を構成する側面パネル18に、左右方向に貫通する多数の長孔からなる排気口18aが形成されると共に、機械室14の後方を構成する後面パネル42に、前後方向に貫通する多数の長孔からなる排気口42aが形成されている。ここで、機械室14には、図3に示す如く、前面パネル16の後側に、吸気口16aに臨ませて凝縮器CDが配置され、この凝縮器CDの後側に冷却ファンFMが配置されると共に、冷却ファンFMと後面パネル42の排気口42aとの間に圧縮機CMが配置されている。そして、機械室14には、冷却ファンFMを駆動することで、前側の吸気口16aから取り込んだ外部の空気が、凝縮器CDおよび圧縮機CMと接触して熱交換しつつ後側へ流通し、熱交換により昇温した空気が側方および後方の排気口18a,42aから外部へ排出されるよう構成される。なお、機械室14には、凝縮器CDの左側に、冷凍装置13や製氷機構等の各種機器を制御するための電装箱CBが隣り合って設置されている。
【0013】
図4図7に示す如く、前記凝縮器CDは、略平板状の多数の冷却フィン19を、板面を左右に向けた姿勢で左右方向に所定間隔離間して並設した本体20と、該本体20を挟むように左右両側に配設された一対の支持板21,21と、圧縮機CMから導出した図示しない冷媒管に接続され、複数の冷却フィン19および支持板21,21を左右方向に貫通して蛇行状態に延在する冷媒配管22とから構成される。各冷却フィン19および支持板21,21の夫々が冷媒配管22に固定されると共に、本体20には、左右方向に隣り合う冷却フィン19,19の間の通路を空気が前後方向(冷却ファンFMの駆動により機械室14に吸い込まれた空気の流通方向)に流れるよう構成されて、該通路を流れる空気に接触する冷却フィン19および冷媒配管22が空冷されるようになっている。冷媒配管22は、図2に示す如く、圧縮機CMから導出する冷媒管が接続する冷媒入口22aが凝縮器CD(本体20)の上側に配置されると共に、前記蒸発管に接続する冷媒管(図示せず)が接続される冷媒出口22bが凝縮器CD(本体20)の下側に配置されている。各支持板21は、本体20から下方に突出すると共に突出端で左側に向かって略直角に屈曲した脚部23を備え、一対の脚部23,23によって凝縮器CDは前記基台15に着脱自在に固定される。具体的に、図7に示す右側の脚部23は、左側に向かって略直角に屈曲された水平部23aの前端部が、凝縮器CDの前側に突出し、該水平部23aの前端部が、上側から操作可能なネジ24によって基台15に固定されている。また、左側の脚部23は、左側に向かって略直角に屈曲されることで凝縮器CDの外側方に位置する水平部23aの後端部が、上側から操作可能なネジ24によって基台15に固定されている。また、支持板21,21の脚部23,23によって基台15に固定された凝縮器CDの本体下面(冷却フィン19の下端)と基台上面との間に、左右両側が脚部23,23で塞がれて前後方向に開口し、空気の流通方向に連通する空間部25が画成され、前記吸気口16aから吸い込まれた外部空気は、該空間部25を前側から後側に流通可能に構成される。なお、前記前面パネル16の吸気口16aは、空間部25の前側に臨む領域にも形成されている。
【0014】
前記凝縮器CDの下側に画成される前記空間部25は、凝縮器CDの洗浄に際して水や洗浄用の液体等の洗浄液を受ける受皿26を収容可能な高さよび幅寸法に設定されている。受皿26は、所要深さを有するトレイ状に形成された部材であって、凝縮器CDの洗浄作業時に空間部25に前側から挿入されて凝縮器CDの下方に臨ませ、該凝縮器CDに噴射供給されて流下する洗浄液を回収する(図2参照)。なお、受皿26の横幅寸法は、空間部25の横幅寸法より僅かに小さく設定されると共に、受皿26の前後方向の長さ寸法は、凝縮器CDにおける本体20の前後寸法より大きく設定される。
【0015】
図2図3図5に示す如く、前記凝縮器CDの後方(空気の流通方向の下流側)に、前記冷却ファンFMを固定するシュラウド27が配設されている。シュラウド27は、合成樹脂を材質として成形された部材であって、凝縮器CDの後面(空気の流通方向の下流側面)を囲繞して冷却ファンFMにより吸い込まれる外部空気を効率的に凝縮器CDの空冷に利用するための部材である。シュラウド27は、凝縮器CDの後面に略整合する大きさで前側に向けて開口する筒状に形成された導風部28と、該導風部28の後端の中央に形成されたベルマウス状の空気吸込口29と、該空気吸込口29の後方に位置して冷却ファンFMのモータ30が取り付けられるモータ取付部31と、を備え、モータ取付部31は、周方向に離間する複数本(実施例では3本)の連結部32によって導風部28に接続されている。そして、モータ30がモータ取付部31に取り付けられた冷却ファンFMは、導風部28および空気吸込口29の内側に臨んでいる。具体的には、モータ30により回転される複数の羽根からなるファン33が、導風部28および空気吸込口29に対し、該導風部28および空気吸込口29の内側において中央に位置するように臨んで、凝縮器CDの後面と対向している。
【0016】
前記シュラウド27には、図5に示す如く、前記導風部28の前端上縁から前方に向けて延出する延出部34が設けられると共に、導風部28の前端左側縁から前方に向けて延出するサイド取付部35が設けられている。また、シュラウド27には、導風部28の右下角部であって、前記空間部25を通して前側に露出する位置に、前側からネジ24が螺挿可能なナット36がインサートまたはアウトサートされている取着部37が設けられている。そして、図2図3図7に示す如く、延出部34を凝縮器CDにおける支持板21,21の上端に当接してネジ24によって固定すると共に、サイド取付部35を凝縮器CDにおける左側の支持板21の外側に当接してネジ24によって固定し、更に導風部28の取着部37を、凝縮器CDにおける取着部37に対応する位置に設けた取付板38にネジ24によって固定することで、シュラウド27は、凝縮器CDの後面を導風部28で覆うように凝縮器CDに取付け固定される。なお、延出部34は、凝縮器CDにおける本体20の複数の冷却フィン19間の上面側の隙間を閉塞する。また、取付板38と取着部37とを固定するネジ24は、空間部25に露出して前側から操作可能になっている。また、延出部34には、前後方向または左右方向に延在する複数のリブ34aが設けられ、延出部34aの剛性を高めて、該延出部34の変形を抑制し得るよう構成されている。
【0017】
図1図5に示す如く、前記延出部34の前部上面に、左右方向の略全長に延在すると共に上方に突出する遮蔽部39が設けられ、該遮蔽部39が、前記箱体11における断熱壁を構成する前パネル17の前面にネジ止め固定される。実施例では、シュラウド27とは別体のL字状の遮蔽部39が、延出部34を凝縮器CDに固定するネジ24によって延出部34に固定されると共に、該遮蔽部39が、前パネル17の前側からネジ24によって固定されている。遮蔽部39は、前パネル17の下端縁と延出部34との間の隙間を塞ぎ、吸気口16aから吸い込まれた外部空気が、凝縮器CDを通ることなく延出部34の上側を後方に流れてしまうショートサイクルの発生を防止するよう構成される。
【0018】
図6に示す如く、前記シュラウド27の各連結部32に、後方に開口して連結部32の延在方向に沿って延在する収容溝32aが複数並列に形成され、各収容溝32aに、各種配線40を収容状態で支持し得るよう構成される。
【0019】
図3図5に示す如く、前記シュラウド27の導風部28は、前端から後方に向かうにつれて開口が縮径する絞り形状に形成されて、導風部28の後端が吸気吸込口29の前端に連設されている。矩形状に開口する導風部28の内面は、凝縮器CDの下側に位置する前開口縁から空気吸込口29に向かうにつれて上方に変位するよう上方傾斜する下傾斜面(変位案内面)28aと、凝縮器CDの上側に位置する前開口縁から空気吸込口29に向かうにつれて下方に変位するよう下方傾斜する上傾斜面28bと、凝縮器CDの左右両側に位置する前開口縁から空気吸気口29に向かうにつれて右または左に向けて傾斜する側傾斜面28c,28cとから構成される。すなわち、前記ファン33の回転によって吸い込まれて凝縮器CDにおける外周部側を通る外部空気は、導風部28の各傾斜面28a,28b,28c,28cに沿ってシュラウド中央の空気吸込口29に集められるよう構成される。
【0020】
実施例の製氷機では、前記凝縮器CDと前記基台15の上面との対向部に、前記冷却ファンFMによって機械室14内に吸い込まれる外部空気の流通方向である前後方向に連通する空気流通部としてのスペースGが形成されている。なお、このスペースGは、凝縮器CDにおける一番下の冷媒配管22の下端から冷却フィン19の下端までの高さ分だけ、前記空間部25より上方に大きな空間となっている。すなわち、スペースGは、凝縮器CDにおける一番下の冷媒配管22から基台15までの間において、前後方向に連通する空間である。そして、前記空間部25を設けると共に、上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間の距離と、スペースGの高さと、下傾斜面28aの始端(前端位置)Kの位置と、スペースGに対する下傾斜面28aの位置等の関係を、以下のように設定することで、凝縮器CDの下部側での外部空気による熱交換効率を向上することができるようになっている。
【0021】
ここで、図8(a)に示す如く、凝縮器CDにおける一番下の冷媒配管22の下端から基台15の上面までスペースGの高さをs、上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間の距離をh、冷却フィン19の下端から基台15の上面までの高さをt、一番下の冷媒配管22の下端から冷却フィン19の下端までの距離を(s-t)、凝縮器CDにおける後端の冷媒配管22からファン33(冷却ファンFMの前端)までの領域をmとした場合に、以下の関係となるように設定する。
(1) h≦s、t≧1/2hおよび(s-t)≦1/2hの関係に設定する。
(2) 下傾斜面28aの始端Kの位置は、前後方向において領域mに臨むと共に、ファン33よりも下方に設定する。
(3) 冷却フィン19の下端後縁19aから下傾斜面28aが離間すると共に、下傾斜面28aの始端Kの位置は、上下方向においてスペースGに臨むように設定する。
【0022】
上記(1)の条件に設定することで、ファン33の回転によって吸い込まれる外部空気の流れに対する抵抗は、凝縮器CDにおける上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間よりも前記スペースGの方が小さくなり、凝縮器CDの下部側に外部空気が流れ易くなる。また、外部空気の流れに対する抵抗を、凝縮器CDにおける上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間よりもスペースGの方を小さくすることで、シュラウド27の下傾斜面28aによる抵抗を相殺することができ、該下傾斜面28aによる抵抗の影響を抑えることができる。なお、スペースGの高さsを大きくし過ぎると、凝縮器CDと熱交換しない外部空気の流れが増えるので、高さsは、距離hと同等の寸法とするのが好ましい。
ちなみに、外部空気が凝縮器CDを流通する際に外部空気に加わる抵抗は、抵抗を与える部材の前側から見たときの面積の違いに起因しており、冷却フィン19より冷媒配管22の方が抵抗が極めて大きく、h>sの条件とした場合は、上下方向に隣り合う冷媒配管同士の間よりも前記スペースGでの外部空気の流れが悪くなり、凝縮器CDの下部側で外部空気を流れ易くする作用が低下する。また、冷却フィン19による抵抗は、冷媒配管22に比べて小さいものの、距離(s-t)を1/2hより大きくする(冷却フィン19の下端を下に延ばす)と、抵抗が大きくなって凝縮器CDの下部側で外部空気を流れ易くする作用が低下する。
【0023】
上記(2),(3)の条件に設定することで、凝縮器CDにおける下部側の冷媒配管22や冷却フィン19の周りに、ファン33に向けて外部空気が効果的に流れる流路を確保でき、凝縮器CDの下部側での熱交換効率を向上することができる。なお、下傾斜面28aの始端Kの位置を、後端の冷媒配管22より前側に位置させると、冷媒配管22と下傾斜面28aとの隙間が小さくなることで、前記スペースGを流れる外部空気に対する抵抗が大きくなり、スペースGにおける外部空気の流れ易さが低下する。また、下傾斜面28aの始端Kの位置は、前記領域m内であればよいが、ファン33より前側の冷却フィン19の後端との間の位置とした方が、冷却フィン19や冷媒配管22と下傾斜面28aとの隙間が大きくなり、スペースGでの外部空気の流れの抵抗をより小さくできるので、より好適である。また、前記(3)の条件に設定することで、前記スペースGを流通する外部空気に、図8(b)に示す矢印Aのような斜め上へと向かう流れが生じる。そして、この上向きの流れによって、下部側の冷媒配管22や冷却フィン19の周りにも上向きの流れが生じ、凝縮器CDの下部側における冷媒配管22や冷却フィン19が存在する空間において、外部空気が冷媒配管22や冷却フィン19に接触するようになる上向きの流れを形成することができる。
【0024】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例の製氷機の作用について説明する。
【0025】
前記冷却ファンFMを駆動すると、図3に示す如く、前記吸気口16aから機械室内に吸い込まれた外部空気は、凝縮器CDにおける左右に隣り合う冷却フィン19,19の間を前から後に通り抜け、該外部空気が接触する冷媒配管22および冷却フィン19と熱交換することで冷媒が凝縮液化される。凝縮器CDにおける本体20の下方には、冷却フィン19および冷媒配管22が存在しない前記空間部25が存在しているので、吸気口16aから吸い込まれた外部空気は、抵抗のない空間部25に流れ易く、多くの外部空気が空間部25を流通する。また、空間部25を含むスペースGを流れる外部空気は、図8(b)に示す如く、前記シュラウド27の下傾斜面28aに沿って上向きに流れる。この上向きの流れの作用によって、スペースGを流れる外部空気は、凝縮器CDにおける下部側の冷却フィン19および冷媒配管22が存在する領域を流れるようになり、凝縮器CDの下部側での熱交換効率が向上する。
【0026】
すなわち、冷媒配管22の冷媒入口22aが配置される凝縮器CDの上部側では、冷媒と外部空気との大きな温度差によって熱交換が効果的に行われると共に、冷媒配管22の冷媒出口22bが配置される凝縮器CDの下部側では、空間部25を含むスペースGを流れる外部空気の量が多くなることで熱交換が効果的に行われる。従って、凝縮器CDの全体の凝縮効率が向上して冷凍能力が増加し、性能が改善される。また、シュラウド27は樹脂製の成形品であるので、前記導風部28の内面を、吸気吸込口29に向けた絞り形状に形成することは容易で、かつ下傾斜面28aの始端Kの位置を、当該シュラウド27が固定される凝縮器CDに対して適当な位置に配置することも容易である。
【0027】
前記凝縮器CDの上部において、前記前パネル17の下端縁と前記延出部34との間の隙間を前記遮蔽部39で塞いでいるので、前記吸気口16aから吸い込まれた外部空気が、凝縮器CDを通ることなく延出部34の上側を後方に流れてしまうショートサイクルの発生は防止され、吸い込まれた外部空気を凝縮器CDの空冷のために効果的に利用できる。また、遮蔽部39によって凝縮器CDへの上部からの水侵入を防止でき、凝縮器CDが濡れるのを防ぐことができる。更に、遮蔽部39を前パネル17に固定することで、シュラウド27は安定して固定され、前記モータ30の動作によるビビリ振動やビビリ音等の異常音を効果的に低減し得る。
【0028】
前記シュラウド27の連結部32に複数の収容溝32aを形成したので、前記冷却ファンFMの配設位置の周辺に配置されている各種機器を接続する複数の配線40を、例えば、冷却ファンFMと電装箱CBとを接続する強電配線と、各種センサと電装箱CBとを接続する弱電配線とに区別して収容支持することができる。これにより、強電配線のノイズが弱電配線に及ぼす影響を抑制することができると共に、各種配線40がファン33に近づいて巻き込まれるのを防止することができる。すなわち、電気的かつ物理的に各種配線40を区別して収容支持できるので、ノイズによる異常やファン33に巻き込まれて断線等するのを未然に防ぐことができ、安定した運転が可能となる。また、連結部32に複数の収容溝32aを形成することで、該連結部32は断面において凹凸形状となるので、成形時の変形を防ぐと共に強度の向上にも寄与する。
【0029】
ここで、前記凝縮器CDを機械室14から取り外すことなく洗浄する場合は、図7に示す如く、前記前面パネル16を箱体11から取り外して開口部11aを開放して凝縮器CDを露出させる。そして、前記空間部25に受皿26を挿入したもとで(図2参照)、凝縮器CDに洗浄液を噴射供給することで洗浄する。凝縮器CDの冷却フィン19等を流下する洗浄液は、受皿26で回収される。実施例の製氷機では、凝縮器CDの下部側の熱交換効率を向上するための空間部25を利用して凝縮器CDの下方に受皿26を配置し得るよう構成したので、受皿26を配置するための専用の構造とする必要はなく、コストの上昇を抑えることができる。
【0030】
前記凝縮器CDを機械室14から取り外して洗浄する場合は、図7に示す如く、前記前面パネル16を箱体11から取り外して開口部11aを開放して凝縮器CDを露出させると共に、前記電装箱CBを機械室14から取り外して、凝縮器CDの左側方に作業空間を確保する。この状態で、凝縮器CDの左右の脚部23,23と基台15とを固定するネジ24、シュラウド27の遮蔽部39と前パネル17とを固定するネジ24、凝縮器CDとシュラウド27のサイド取付部35とを固定するネジ24および凝縮器CDとシュラウド27の取着部37とを固定するネジ24を夫々取り外し、基台15に対する凝縮器CDおよびシュラウド27の固定を解除する。そして、凝縮器CDとシュラウド27の延出部34との固定部が箱体前側に露出する位置まで凝縮器CDを前側に引き出し、該固定部のネジ24を取り外す。次に、凝縮器CDのみを延出部34より前側に引き出し、前記両脚部23,23の間の空間部25に受皿26を挿入したもとで、凝縮器CDの本体20における開放している上から洗浄液を噴射供給して洗浄する。凝縮器CDを流下する洗浄液は、受皿26で回収される。洗浄後には、逆の手順で凝縮器CDとシュラウド27とを固定すると共に、凝縮器CDおよびシュラウド27を基台15および前パネル17に固定する。実施例の製氷機では、凝縮器CDとシュラウド27および凝縮器CDおよびシュラウド27と箱体11(基台15や前パネル17)との固定および固定解除を箱体前側から行い得るので、着脱作業がし易く、短時間で洗浄作業を終了することができ、サービス性が向上する。
【0031】
なお、前記シュラウド27に設けるナット36を、アウトサートするようにすれば、ナット36の種類を選択できるので、緩み止めを用いたナットを採用することで、冷却ファンFMの駆動に伴うシュラウド27のガタ付きを防止することができる。
【0032】
(別実施例)
次に、別実施例の製氷機につき、図9を参照して説明する。なお、実施例と同じ部材には同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0033】
図9に示す如く、前記シュラウド27における空間部25に臨む下端前面の左右両側に、該空間部25に突出するストッパ41,41が設けられ、空間部25に前側から挿入された受皿26の後端がストッパ41,41に当接することで、該受皿26を凝縮器下方の適当な位置に位置決めすることができるよう構成されている。なお、受皿26の前後寸法は、後端がストッパ41,41に当接した状態で、受皿26における洗浄液の受容部が凝縮器CDにおける本体20の下方に臨むように設定される。すなわち、別実施の製氷機によれば、凝縮器CDによって視認が困難な凝縮器下方の適当な位置に受皿26を配置することができ、洗浄液を基台15上に滴下させることなく受皿26で受けることができ、凝縮器CDの周囲が濡れるのを好適に防ぐことができる。
【0034】
(変更例)
本願は前述した実施例や別実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構造を適宜に採用することができる。また、以下の各変更例を相互に組み合わせた構成を採用することができる。
(1) 遮蔽部は、合成樹脂製のシュラウドに一体成形したものであってもよい。
(2) 実施例等では、シュラウドの連結部にのみ収容溝を設けるようにしたが、モータ取付部に、配線を収容支持可能な後方に開口する収容溝を設ける構成を採用することができる。
(3) シュラウドの連結部に、配線を固定するための結束バンド等の固定具の位置決めのための凹部や穴を設ける構成を採用することができる。
(4) 実施例では、シュラウドの導風部における右下角部にのみナットを有する取着部を設けたが、左下角部にも同様な取着部を設け、シュラウドの前端下部の左右両側を、凝縮器にネジ止め固定する構成を採用することができる。この構成を採用する場合は、サイド取付部を省略すると共に、電装箱を取り外すことなく前側から凝縮器とシュラウドとの固定の解除および固定を行うことができる。
(5) 実施例等では、シュラウドの導風部における上下左右の内面に、空気吸込口に向かうにつれて中央に変位する傾斜面(変位案内面)を設けたが、少なくとも下内面にのみ変位案内面を設ける構成を採用することができる。例えば、導風部の上および左右の内面が、空気吸込口に向けて空気の流通方向に沿って延在し、下内面のみが空気吸込口に向けて上方傾斜する構成を採用することができる。
(6) シュラウドに設ける変位案内面は、直線的な傾斜でなく、曲面であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
11 箱体,14 機械室,19 冷却フィン,22 冷媒配管,22a 冷媒入口
22b 冷媒出口,26 受皿,27 シュラウド,28 導風部
28a 下傾斜面(変位案内面),29 空気吸込口,41 ストッパ,CD 凝縮器
FM 冷却ファン,G スペース(空気流通部)
K 下傾斜面の始端(変位案内面の始端),s スペースの高さ(空気流通部の高さ)
h 上下方向に隣り合う冷媒配管の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9