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  • 特開-包装体のシール装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024116670
(43)【公開日】2024-08-28
(54)【発明の名称】包装体のシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20240821BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20240821BHJP
【FI】
B65B51/10 M
B65B51/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022405
(22)【出願日】2023-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義和
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA11
3E094CA06
3E094CA12
3E094DA06
3E094EA02
3E094FA19
3E094FA25
3E094GA03
3E094HA12
(57)【要約】
【課題】シール圧力をシールブロックの移動速度や包装フィルムの厚み、材質に応じて適正に維持しつつ、各シールブロックの衝突力を低減することができる包装体のシール装置を提供する。
【解決手段】シール装置300は、駆動側シールブロック301と受け側シールブロック302とで包装体3を挟み込んでシールし、受け側シールブロック302に対する接離方向に駆動側シールブロック301を移動させる駆動機構303と、受け側シールブロック302を接離方向に変位させるサーボモータ314と、サーボモータ314のモータ軸315の回転量を検出する回転量検出手段319と、回転量検出手段319で検出したモータ軸315の回転量とサーボモータ314に供給するモータ電流とに基づいて、サーボモータ314のトルクを制御することにより、受け側シールブロック302の変位量を制御する制御手段316と、サーボモータ314の制御パラメータの設定値を入力するための設定値入力手段317とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側シールブロックと受け側シールブロックとで包装体を挟み込んでシールするシール装置であって、
前記受け側シールブロックに対する接離方向に前記駆動側シールブロックを移動させる駆動機構と、
前記受け側シールブロックを前記接離方向に変位させるサーボモータと、
前記サーボモータのモータ軸の回転量を検出する回転量検出手段と、
前記回転量検出手段で検出した前記モータ軸の回転量と前記サーボモータに供給するモータ電流とに基づいて、前記サーボモータのトルクを制御することにより、前記受け側シールブロックの変位量を制御する制御手段と、
前記サーボモータの制御パラメータの設定値を入力するための設定値入力手段と
を備える、包装体のシール装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記駆動側シールブロックと前記受け側シールブロックとにより前記包装体を挟んでシールするときのシール圧力を所定圧力とするべく、前記駆動側シールブロックの衝突に伴う前記受け側シールブロックの変位量に応じて前記サーボモータの前記トルクを増減して制御する、請求項1に記載の包装体のシール装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記シール圧力を前記所定圧力とするべく、前記サーボモータの前記トルクをインピーダンス制御する、請求項2に記載の包装体のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品の外面に包装フィルムが胴巻きされた包装体の端部を折り込み、且つ熱シールするための包装体のシール装置(端部熱シールユニット300)が開示されている。このシール装置は、第1シールブロック及び第2シールブロックを有し、第1シールブロックは、駆動機構によって上下方向に駆動され、一方、第2シールブロックは支持台に固定されている(公報図5及び図6参照)。
【0003】
シール装置においては、駆動側の第1シールブロックが受け側の第2シールブロックに移動することにより、第1及び第2シールブロックで包装体の端部が挟み込まれ、包装体にシール圧力を付与しつつ熱シールが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-284110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第2シールブロックに対する第1シールブロックの移動速度を高速化した場合、第1及び第2シールブロックの各シール面が包装体を挟んで互いに急激に衝突する。このため、第1及び第2シールブロックの各シール面が摩耗してシール装置のシール機能低下及び寿命低下を招いたり、或いは、第1及び第2シールブロックの衝突音によって作業環境が悪化したりすることがある。
【0006】
これらの問題を回避しつつ第1及び第2シールブロックのシール圧力を適正に維持するために、第1シールブロックの駆動機構にスプリング等の弾性部材を設けるなどの対応が取られている(公報図5参照)。しかし、弾性部材の弾性率は一定であるため、第1シールブロックの移動速度や包装フィルムの厚み、材質に応じたシール圧力の調整は困難である。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、シール圧力をシールブロックの移動速度や包装フィルムの厚み、材質に応じて適正に維持しつつ、各シールブロックの衝突力を低減することができる包装体のシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明の包装体のシール装置は、駆動側シールブロックと受け側シールブロックとで包装体を挟み込んでシールするシール装置であって、受け側シールブロックに対する接離方向に駆動側シールブロックを移動させる駆動機構と、受け側シールブロックを接離方向に変位させるサーボモータと、サーボモータのモータ軸の回転量を検出する回転量検出手段と、回転量検出手段で検出したモータ軸の回転量とサーボモータに供給するモータ電流とに基づいて、サーボモータのトルクを制御することにより、受け側シールブロックの変位量を制御する制御手段と、サーボモータの制御パラメータの設定値を入力するための設定値入力手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装体のシール装置によれば、シール圧力をシールブロックの移動速度や包装フィルムの厚み、材質に応じて適正に維持しつつ、各シールブロックの衝突力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るシール装置が組み込まれた包装システムの斜視図である。
図2】シール装置の側面図である。
図3】シール装置の正面図である。
図4】伝達機構及びサーボモータの側面図である。
図5】シール装置のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るシール装置について図面を参照して説明する。図1は、シール装置が組み込まれた包装システムの斜視図を示す。被包装対象となる物品1は、矢印a~eに示す搬送経路に沿って上流側から下流側へ搬送される。搬送経路の上流側には胴巻き装置100が設置され、搬送経路の下流側には包装体の端部折り込みシール装置10が設置されている。
【0012】
胴巻き装置100は、物品1の外面に包装フィルム2を胴巻きするとともに、包装フィルム2の切断端部を合掌熱シールして筒状に胴巻きされた包装体3を形成する。この包装体3は、包装フィルム2の両側の延出端部2aを物品1の両側端部より側方に延出した形態である。端部折り込みシール装置10は、上流側から端部拡開ユニット200、端部熱シールユニット(シール装置)300、及び張出部折り込みシールユニット400を備えている。
【0013】
胴巻き装置100から搬送されてきた包装体3は、先ず、端部拡開ユニット200により包装フィルム2の延出端部2aを拡開して平坦化される。次に、端部熱シールユニット300により平坦部が合掌シールされる。次に、端部熱シールユニット300により合掌シールされた包装フィルム2の延出端部2aは、端部熱シールユニット300により加熱されながら折り込まれ、物品1の側面側に熱シールされる。
【0014】
端部熱シールユニット300における熱シールにより、包装体3の端部には拡開方向に張り出す包装フィルム2の張出部2bが形成される。包装フィルム2の張出部2bは、張出部折り込みシールユニット400により搬送過程で加熱されながら物品1の側面側に折り込まれて熱シールされ、これにより包装体3の側面が平坦面に仕上げられる。
【0015】
包装フィルム2の延出端部2aが熱シールされた包装体3は、冷却装置600に小端立てした姿勢で搬送され、冷却装置600により側面が冷却されて包装システムから搬出される。なお、図示しない検査装置により不良品と判別された包装体3は、冷却装置600の上流側に設けた不良品排除装置500によって搬送経路から排除される。
【0016】
図2は、端部熱シールユニット300(以下、単にシール装置300とも称する)の側面図を示し、図3は、シール装置300の正面図を示す。なお、図2及び図3においては後述する伝達機構311は一部のみが示され、また、図3においては後述する駆動機構303は一部のみが示されている。シール装置300は、図3で見て左右にそれぞれ対となる第1シールブロック(駆動側シールブロック)301及び第2シールブロック(受け側シールブロック)302を有している。
【0017】
シール装置300は、各第1シールブロック301と各第2シールブロック302とで包装体3を挟み込んでシールする。各第1シールブロック301は、駆動機構303を介しモータ318(後述の図5に示す)によって上下方向(接離方向)に一括して移動される。駆動機構303は、駆動軸305、カム306、カムレバー307、連結部材308、及びスプリング310を備えたカム機構により構成され、モータ318の動力が図示しない動力伝達機構を介して駆動軸305に伝達され、駆動軸305の回転に伴いカム306が回転する。
【0018】
カム306の上方にはカムレバー307が設けられ、カムレバー307はその一端側に設けられたレバー軸307aにより揺動自在に支持されている。カムレバー307の長手方向中央にはカムフォロア307bが設けられている。また、カムレバー307には連結部材308が連結され、カムレバー307の他端側にはスプリング310が取り付けられ、スプリング310によりカムフォロア307bがカム306に押し付けられている。駆動軸305の回転に伴いカム306が回転し、カム306の回転に伴いカムフォロア307bを介してカムレバー307が揺動し、ひいてはカムレバー307に連結された連結部材308が上下動する。
【0019】
連結部材308は、第1シールブロック301が固定されるホルダ309に連結されている。これにより、駆動軸305の回転に伴い第1シールブロック301が上下方向に駆動される。一対の第2シールブロック302は、それぞれ伝達機構311を構成するホルダ312に固定され、各ホルダ312には、それぞれリンク313が連結されている。
【0020】
図4は、伝達機構311及びサーボモータ314の側面図を示す。一対の第2シールブロック302は、それぞれ伝達機構311を介して個々のサーボモータ314によって上下方向(接離方向)に変位される。伝達機構311は、第2シールブロック302が固定されるホルダ312と2つのリンク313a、313bとから構成される。リンク313aの外端がホルダ312を介して第2シールブロック302に回転自在に連結され、各リンク313a、313b同士は互いに回転自在に連結され、リンク313bの外端がサーボモータ314のモータ軸315に連結される。これにより、モータ軸315の回転に伴い第2シールブロック302が上下方向に変位される。
【0021】
第2シールブロック302の上面(シール面)302aは、端部拡開ユニット200から搬送されてくる包装体3の包装フィルム2の延出端部2aとほぼ同一平面上に位置決めしてあり、延出端部2aが配置される。第2シールブロック302の上面302aは、包装体3がシールされるシール位置に設定してあり、第1シールブロック301はこのシール位置を下降端として上下動する。
【0022】
第1シールブロック301の上下動タイミングは、端部拡開ユニット200及びシール装置300の図示しないプッシャコンベアによる包装体3の搬送タイミングと同期するように調整される。第1シールブロック301には、熱源である図示しない電熱ヒータが内蔵してあり、この電熱ヒータからの熱によって第1シールブロック301の下面301a及び側面301bが加熱される。
【0023】
第1シールブロック301の下面(シール面)301aは、第2シールブロック302上面302aと協働して、包装体3の延出端部2aを熱シールする。また、第1シールブロック301の側面301bは、第1シールブロック301の上昇動作に伴って包装体3の側面3aに接触し、側面3aを加熱する。包装体3の側面3aは、熱シールされた延出端部2aが折り込みシールされる相手先面である。
【0024】
一方、第2シールブロック302にも図示しない電熱ヒータが内蔵されており、この第2シールブロック302は、第1シールブロック301と協働して延出端部2aを熱シールするとともに、包装体3の熱シールされた延出端部2aを折り込む際のガイド面として機能する。第1,第2シールブロック301,302の下流側には、包装体3を小端立てして搬送する図示しないプッシャコンベアが搬送経路に沿って設けてある。
【0025】
このプッシャコンベアは、前述したシール位置に配置された包装体3をほぼ90゜下方向に旋回させて小端立てした後、下流側へ搬送する。なお、駆動機構303及び伝達機構311は、カム機構やリンク機構の代わりに、エアー、オイル、電力などの各種動力を駆動源とするシリンダを連結して構成しても良い。また、伝達機構311を介さずにサーボモータ314で直接に第2シールブロック302を変位させても良い。
【0026】
図5は、シール装置300のシステム構成図を示す。シール装置300は、シール装置300を制御する制御ユニット(制御手段)316を備え、制御ユニット316には、サーボモータ314の制御パラメータの設定値を入力するための設定値入力部(設定値入力手段)317が設置されている。制御ユニット316には、一対の第1シールブロック301を一括にて上下動させるモータ318と、一対の第2シールブロック302をそれぞれ個別に上下動させる各サーボモータ314とが電気的に接続されている。
【0027】
シール装置300は、一対のサーボモータ314のモータ軸315の回転量を個別に検出する各エンコーダ(回転量検出手段)319をさらに備える。制御ユニット316は、各エンコーダ319で検出したモータ軸315の回転量と各サーボモータ314に供給するモータ電流とに基づいて、各サーボモータ314のトルクを個別に制御する。これにより、各第2シールブロックの変位量が制御される。
【0028】
詳しくは、制御ユニット316は、第1シールブロック301と第2シールブロック302とにより包装体3を挟んでシールするときのシール圧力を所定圧力とするべく、第1シールブロック301の衝突に伴う第2シールブロック302の変位量に応じてサーボモータ314のトルクを増減して制御する。シール圧力の所定圧力は、第1,第2シールブロック301,302で包装体3を挟んでシールする際に、包装体3の溶着不良や過溶着が生じない良好なシールを実現可能な値に設定される。
【0029】
より具体的には、制御ユニット316は、シール圧力を前述した所定圧力とするべく、サーボモータ314のトルクをインピーダンス制御するのが好ましい。インピーダンス制御とは、物体が受けた力を特定の値に修正するのみの直接力制御とは異なる間接力制御であり、換言すると、受ける外力の変化に対して緩やかに物体を変位させるソフトタッチな接触制御である。
【0030】
本実施形態では、前述したようなインピーダンス制御で使用するインピーダンスパラメータをサーボモータ314の制御パラメータとして設定値入力部317に入力し、各サーボモータ314をインピーダンス制御することにより、第2シールブロック302に対する第1シールブロック301の衝突を大幅に緩和している。
【0031】
以上のように、本実施形態のシール装置300は、制御ユニット316において、エンコーダ319で検出したモータ軸315の回転量とサーボモータ314に供給するモータ電流とに基づいて、サーボモータ314のトルクを制御し、第2シールブロックの変位量を制御する。このように、第2シールブロックを自在に変位可能とすることにより、第2シールブロック302を単に固定する場合に比して、シール圧力を第1シールブロック301の移動速度や包装フィルム2の厚み、材質に応じて適正に維持しつつ、第1,第2シールブロック301,302の衝突力を低減することができる。
【0032】
従って、第1,第2シールブロック301,302の上下面301a,302a(シール面)の摩耗を抑制することができ、上下面301a,302aの摩耗に起因したシール装置のシール機能低下及び寿命低下を抑制することができる。また、第1,第2シールブロック301,302の衝突音による作業環境の悪化を抑制することができる。
【0033】
詳しくは、制御ユニット316は、第1シールブロック301と第2シールブロック302とにより包装体3を挟んでシールするときのシール圧力を所定圧力とするべく、第1シールブロック301の衝突に伴う第2シールブロック302の変位量に応じてサーボモータ314のトルクを増減して制御する。これにより、第2シールブロック302にスプリング等の弾性部材を取り付けたようなダンパー制御が可能となるため、シール圧力を第1シールブロック301の移動速度や包装フィルム2の厚み、材質に応じて適正に維持しつつ、第1,第2シールブロックの衝突力をより一層効果的に低減することができる。
【0034】
具体的には、制御ユニット316は、第1シールブロック301と第2シールブロック302とにより包装体3を挟んでシールするときのシール圧力を所定圧力とするべく、サーボモータ314のトルクをインピーダンス制御する。これにより、シール圧力を第1シールブロック301の移動速度や包装フィルム2の厚み、材質に応じて適正に維持しつつ、第2シールブロック302に対する第1シールブロック301の接触をより一層ソフトに安定化させることができる。
【0035】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、上記実施形態のシール装置は、包装システムの端部折り込みシール装置10を構成する端部熱シールユニット300に限らず、種々の包装システムに組み込まれる種々のシール装置に適用可能である。
【0036】
また、本発明は、第1シールブロック301のような駆動側シールブロックと、第2シールブロック302のような受け側シールブロックとで包装体3を挟み込んでシールするシール装置に適用可能であり、駆動側シールブロック及び受け側シールブロックは必ずしも2つずつ配置する必要はない。また、包装体3の形状や包装体3のシール形態も前述した内容に限定されない。
【符号の説明】
【0037】
3 包装体
300 シール装置
301 第1シールブロック(駆動側シールブロック)
302 第2シールブロック(受け側シールブロック)
303 駆動機構
314 サーボモータ
315 モータ軸
316 制御ユニット(制御手段)
317 設定値入力部(設定値入力手段)
319 エンコーダ(回転量検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5